JP2023027671A - 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、吸水特性と流動性のバランスに優れた連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む連続繊維強化樹脂複合材料であり、連続繊維強化樹脂複合材料の1H-NMR測定において、2.6~2.8ppmにピークトップを有するピークA2.6~2.8と、5.2~5.8ppmにピークトップを有するピークB5.2~5.8とがあり、ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたとき、ピークB5.2~5.8の積分強度が0.5~3.0であり、1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークが1本以下であることを特徴とする、連続繊維強化樹脂複合材料。【選択図】なし

Description

本発明は、連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法に関する。
各種機械や自動車等の構造部品、圧力容器、及び管状の構造物等には、マトリックス樹脂材料にガラス繊維等の強化材が添加された複合材料成形体が使用されている。特に強度の観点から、強化繊維が連続繊維である連続繊維強化樹脂複合材料が望まれている。
この連続繊維強化樹脂複合材料としては、強化繊維に添加する集束剤を工夫しているもの(例えば、以下の特許文献1参照)、樹脂材料の融点と結晶化温度の差を工夫しているもの(例えば、以下の特許文献2参照)、樹脂材料に有機塩を加えているもの(例えば、以下の特許文献3参照)、成形前駆体の布帛を熱可塑性の樹脂で積層しているもの(例えば、以下の特許文献4参照)、連続強化繊維と樹脂材料との界面を工夫しているもの(例えば、以下の特許文献5参照)が提案されている。
特開2003-238213号公報 特許第5987335号公報 特開2017-222859号公報 特開2009-19202号公報 国際公開第2019/208586号
しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、従来技術の連続繊維強化樹脂複合材料では、いずれも連続繊維強化樹脂複合材料に含まれるアミド基とアミノ末端基の濃度のバランスが十分でなく、吸水特性と流動性のバランスに改善の余地があることを見出した。
かかる従来技術の水準に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、吸水特性と流動性のバランスに優れた連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、2.6~2.8ppmにピークトップを有するピークと5.2~5.8ppmにピークトップを有するピークとの積分強度の比率、及び1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークの数を特定の範囲とすることで、吸水特性と流動性のバランスに優れた連続繊維強化樹脂複合材料が得られることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]
連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む連続繊維強化樹脂複合材料であり、
前記連続繊維強化樹脂複合材料のH-NMR測定において、
2.6~2.8ppmにピークトップを有するピークA2.6~2.8と、5.2~5.8ppmにピークトップを有するピークB5.2~5.8とがあり、前記ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたとき、前記ピークB5.2~5.8の積分強度が0.5~3.0であり、
1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークが1本以下である
ことを特徴とする、連続繊維強化樹脂複合材料。
[2]
前記1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークが、1.9~2.0ppmにピークトップを有するピークC1.9~2.0であり、
前記ピークC1.9~2.0の積分強度を1としたとき、前記ピークA2.6~2.8の積分強度が1.0~3.0である、[1]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[3]
前記連続繊維強化樹脂複合材料のH-NMR測定において、8.0~8.1ppmにピークトップを有するピークD8.0~8.1と、2.4ppm以上2.6ppm未満にピークトップを有するピークE2.4以上2.6未満とがあり、前記ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたとき、前記ピークD8.0~8.1の積分強度と前記ピークE2.4以上2.6未満の積分強度との和が1.0~3.0である、[1]又は[2]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料 。
[4]
前記ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたとき、前記ピークE2.4以上2.6未満の積分強度が1.5~3.0である、[3]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料 。
[5]
[1]~[4]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法であり、
前記熱可塑性樹脂のH-NMR測定において、
2.6~2.8ppmにピークトップを有するピークa2.6~2.8と、5.2~5.8ppmにピークトップを有するピークb5.2~5.8とがあり、前記ピークa2.6~2.8の積分強度を1としたとき、前記ピークb5.2~5.8の積分強度が0.5~3.0であり、
1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークが1本以下である
ことを特徴とする、連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
[6]
前記熱可塑性樹脂の前記ピークa2.6~2.8の積分強度を1としたときの前記ピークb5.2~5.8の積分強度が、前記連続繊維強化樹脂複合材料の前記ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときの前記ピークB5.2~5.8の積分強度の0.8~1.2倍である、[5]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
[7]
前記連続繊維強化樹脂複合材料のH-NMR測定において、8.0~8.1ppmにピークトップを有するピークD8.0~8.1と、2.4ppm以上2.6ppm未満にピークトップを有するピークE2.4以上2.6未満とがあり、
前記熱可塑性樹脂のH-NMR測定において、8.0~8.1ppmにピークトップを有するピークd8.0~8.1と、2.4ppm以上2.6ppm未満にピークトップを有するピークe2.4以上2.6未満とがあり、
前記熱可塑性樹脂の前記ピークd8.0~8.1の積分強度と前記ピークe2.4以上2.6未満の積分強度との和を1としたときの前記ピークb5.2~5.8の積分強度が、前記連続繊維強化樹脂複合材料の前記ピークD8.0~8.1の積分強度と前記ピークE2.4以上2.6未満の積分強度との和を1としたときの前記ピークB5.2~5.8の積分強度の0.2~0.9倍である、[5]又は[6]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
本発明によれば、吸水特性と流動性のバランスに優れた連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。
[連続繊維強化樹脂複合材料]
本明細書において、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を、単に「複合材料」と称する場合がある。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む連続繊維強化樹脂複合材料であり、連続繊維強化樹脂複合材料のH-NMR測定において、2.6~2.8ppmにピークトップを有するピークA2.6~2.8と、5.2~5.8ppmにピークトップを有するピークB5.2~5.8とがあり、ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたとき、ピークB5.2~5.8の積分強度が0.5~3.0であり、1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークが1本以下であることを特徴とする。
前記ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークB5.2~5.8の積分強度は、1.0~2.0であることが好ましく、1.22~1.5であることがさらに好ましい。
ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークB5.2~5.8の積分強度と1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークの数が前記範囲であると、吸水特性と流動性のバランスに優れた連続繊維強化樹脂複合材料となる。
前記ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークB5.2~5.8の積分強度を上記範囲に調整する方法としては、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料の材料である熱可塑性樹脂のアミド基濃度を調整する方法が挙げられ、具体的には、熱可塑性樹脂1mol当たりのアミド基の濃度を、好ましくは80~300/molとし、より好ましくは90~200/molとするか、或いは、熱可塑性樹脂1g当たりのアミド基濃度を、好ましくは5.5~9.9mmol/g、より好ましくは6.5~9.0mmol/gとする。また、連続繊維強化樹脂複合材料の材料である熱可塑性樹脂のアミド基濃度とアミノ末端基濃度との比率を調整する方法も挙げられ、アミド基濃度を、好ましくはアミノ末端基濃度の100~500倍にし、より好ましくは150~300倍とする。さらに、連続強化繊維に添加する集束剤に含まれるカップリング剤として、熱可塑性樹脂のアミノ基との反応性が乏しい反応性末端基を有するものを使用する方法が挙げられ、このようなカップリング剤を使用すると、ピークA2.6~2.8の積分強度に対するピークB5.2~5.8の積分強度は減少する傾向にある。
また、1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークを1本以下に調整する方法としては、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料の材料である熱可塑性樹脂を精製して不純物を除去する方法等が挙げられる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、上記1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークが1本ある場合、当該ピークが1.9~2.0ppmにピークトップを有するピークC1.9~2.0であることが好ましい。
また、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、H-NMR測定において、ピークC1.9~2.0がある場合、ピークC1.9~2.0の積分強度を1としたとき、ピークA2.6~2.8の積分強度が1.0~3.0であることが好ましく、1.5~3.0であるとより好ましく、1.5~2.0であるとさらに好ましい。
ピークC1.9~2.0の積分強度を1としたときのピークA2.6~2.8の積分強度が上記範囲であると、流動性に優れた連続繊維強化樹脂複合材料となる傾向にある。
ピークC1.9~2.0の積分強度を1としたときのピークA2.6~2.8の積分強度を上記範囲に調整する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂の分子量を調整する方法、熱可塑性樹脂の末端封止量を調整する方法等が挙げられ、熱可塑性樹脂の分子量を大きくするほど、又は熱可塑性樹脂の末端封止量を少なくするほど、ピークC1.9~2.0の積分強度を1としたときのピークA2.6~2.8の積分強度は大きくなる傾向にある。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、H-NMR測定において、8.0~8.1ppmにピークトップを有するピークD8.0~8.1と、2.4ppm以上2.6ppm未満にピークトップを有するピークE2.4以上2.6未満とがあり、ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたとき、ピークD8.0~8.1の積分強度とピークE2.4以上2.6未満の積分強度との和が1.0~3.0であることが好ましく、1.0~2.0であることがより好ましく、1.0~1.5であることがさらに好ましい。
ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークD8.0~8.1の積分強度とピークE2.4以上2.6未満の積分強度との和が上記範囲であると、吸水特性と流動性のバランスに優れた連続繊維強化樹脂複合材料となる傾向にある。
ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークD8.0~8.1の積分強度とピークE2.4以上2.6未満の積分強度との和を上記範囲に調整する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂の末端基のバランスを調整する方法、熱可塑性樹脂の末端封止量を調整する方法等が挙げられ、熱可塑性樹脂の末端基のバランスに関してカルボキシル末端基量を多くするほど、又は熱可塑性樹脂の末端封止量を少なくするほど、ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークD8.0~8.1の積分強度とピークE2.4以上2.6未満の積分強度との和は大きくなる傾向にある。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、H-NMR測定において、ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたとき、ピークE2.4以上2.6未満の積分強度が1.5~3.0であることが好ましく、2.0~3.0であることがより好ましく、2.5~3.0であるとさらに好ましい。
ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークE2.4以上2.6未満の積分強度が上記範囲であると、吸水特性と流動性のバランスに優れた連続繊維強化樹脂複合材料となる傾向にある。
ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークE2.4以上2.6未満の積分強度を上記範囲に調整する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂の末端基のバランスを調整する方法等が挙げられ、熱可塑性樹脂の末端基のバランスに関してカルボキシル末端基量を多くするほど、ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークE2.4以上2.6未満の積分強度は大きくなる傾向にある。
なお、本開示で、連続繊維強化樹脂複合材料のH-NMR測定は、重水素化硫酸と重水素化トリフルオロ酢酸とを質量比1:1で混合した溶媒に、連続繊維強化樹脂複合材料を溶解し、得られた溶液を核磁気共鳴分光法によってH-NMR測定をして得ることができ(特開2020-56773号公報を参照)、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
核磁気共鳴装置及び積算回数としては、高分解能型の核磁気共鳴装置にて積算回数を512回とすることが好ましく、超伝導型のパルスフーリエ変換型で500MHzのものにて積算回数を512回とすることがより好ましい。
なお、上記ピークA2.6~2.8、ピークB5.2~5.8、ピークC1.9~2.0、ピークD8.0~8.1、ピークE2.4以上2.6未満のそれぞれについて、該当するピークが複数存在する場合(例えば、2.6~2.8ppmにピークトップを有するピークが2つある場合等)は、熱可塑性樹脂に由来するピークと熱可塑性樹脂に含まれる不純物に由来するピークとが存在していることが考えられるため、他のピーク(例えば、熱可塑性樹脂の主鎖骨格由来のピーク等)との積分強度比等から熱可塑性樹脂に由来するピークを特定するか、中和滴定等により末端基量を定量し、それに合致するように各ピークを特定するか、熱可塑性樹脂を精製して不純物を除去し、熱可塑性樹脂由来のピークのみが見られるようにすることにより、熱可塑性樹脂に由来するピークをピークA2.6~2.8、ピークB5.2~5.8、ピークC1.9~2.0、ピークD8.0~8.1、ピークE2.4以上2.6未満の各ピークであると定めるものとする。
(連続繊維強化樹脂複合材料の形態)
連続繊維強化樹脂複合材料の形態は、特に制限されず、以下の種々の形態が挙げられる。例えば、連続強化繊維の織物や編み物、組紐、パイプ状のものと熱可塑性樹脂とを複合化した形態、一方向に引き揃えた連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを複合化した形態、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる糸を一方向に引き揃えて成形した形態、連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなる糸とを織物や編み物、組紐、パイプ状にして成形した形態等が挙げられる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、平板であってよく、連続強化繊維の層と熱可塑性樹脂の層とを含む積層体であってよい。例えば、連続強化繊維の長さ方向が平板の表面に略平行に配置されていてもよく、このとき、連続繊維強化樹脂複合材料における連続強化繊維の長さ方向に直行する断面は、連続繊維強化樹脂複合材料の厚さ方向断面としてよい。なお連続強化繊維の層とは、連続強化繊維(例えば、連続強化繊維基材)を含む層であり、連続強化繊維の内部に熱可塑性樹脂が含浸している層であってよい。
連続繊維強化樹脂複合材料の成形前の中間材料の形態としては、連続強化繊維と樹脂繊維との混繊糸、連続強化繊維の束の周囲を樹脂で被覆したコーティング糸、連続強化繊維に予め樹脂を含浸させテープ状にしたもの、連続強化繊維を樹脂のフィルムで挟んだもの、連続強化繊維に樹脂パウダーを付着させたもの、連続強化繊維の束を芯材としてその周囲を樹脂繊維で組紐としたもの、強化繊維の間に予め樹脂を含浸させたもの等が挙げられる。
(連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法)
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法は、特に制限されず、以下の種々の方法が挙げられる。
例えば、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する基材(例えば、連続強化繊維からなる基材、熱可塑性樹脂からなる基材)を、所望の複合材料に合わせて裁断又は賦形し、目的とする製品の厚みを考慮して必要個数積み重ね又は必要枚数積層させ、金型に金型形状に合わせてセットする。
基材の裁断は、1枚ずつ行ってもよいし、所望の枚数を重ねてから行ってもよい。生産性の観点からは、重ねた状態で裁断することが好ましい。裁断する方法は任意の方法でよく、例えば、ウォータージェット、刃プレス機、熱刃プレス機、レーザー、プロッター等が挙げられる。中でも、断面形状に優れ、更に、複数を重ねて裁断する際に端面を溶着することで取扱い性がよくなる熱刃プレス機が好ましい。適切な裁断形状は、トライアンドエラーを繰り返すことでも調整できるが、金型の形状にあわせてCAE(computer aided engineering)によるシミュレーションを行うことで設定することが好ましい。
基材の賦形は、任意の方法で行ってよく、例えば、シート状の形状に賦形してよい。
基材を金型にセットした後に金型を閉じて圧縮する。そして、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度に金型を温調して熱可塑性樹脂を溶融させ、賦形する。型締め圧力に特に規定はないが、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上である。また、ガス抜き等をするために一旦型締めをし、圧縮成形した後に一旦金型の型締め圧力を解除してもよい。圧縮成形の時間は、強度発現の観点からは、使用される熱可塑性樹脂が熱劣化しない範囲で長い方が好ましいが、生産性の観点からは、好ましくは2分以内、より好ましくは1分以内が適している。
連続繊維強化樹脂複合材料は、さらにハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填してハイブリッド複合材料としてもよい。ハイブリッド複合材料の製造工程においては、金型内に上記基材をセットして金型を閉じ、加圧し、所定の時間後に、更に所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填して成形し、熱可塑性樹脂と、所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物とを接合させることにより、ハイブリッド複合材料を製造してもよい。
所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、両熱可塑性樹脂間の界面強度に大きく影響する。所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、基材を金型内にセットして金型を閉じた後に金型温度が基材を構成する熱可塑性樹脂の融点以上又はガラス転移温度以上に昇温してから、30秒以内が好ましい。
所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填する時の金型温度は、ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物と接合する、基材を構成する熱可塑性樹脂の融点以上又はガラス転移温度以上であることが好ましい。より好ましくは、ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物と接合する、基材を構成する熱可塑性樹脂の融点+10℃以上又はガラス転移温度+10℃以上であり、更に好ましくは、融点+20℃以上又はガラス転移温度+20℃以上、更により好ましくは融点+30℃以上又はガラス転移温度+30℃以上である。
ハイブリッド複合材料において、基材を構成する熱可塑性樹脂と、射出成形により形成されたハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物との接合部分は、互いに混じり合った凹凸構造となっていることが好ましい。
金型温度を射出するハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物の融点以上とし、射出成形時の樹脂保圧を高く、例えば、1MPa以上とすることは界面強度を高める上で有効である。界面強度を高めるためには、上記保圧を5MPa以上とすることが好ましく、10MPa以上とすることがより好ましい。
また、保圧時間を長く、例えば5秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは金型温度が熱可塑性樹脂組成物の融点以下になるまでの間の時間保持することは、界面強度を高める観点から好ましい。
(射出成形用のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物)
ハイブリッド複合材料を製造するために用いる射出成形用のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物としては、一般の射出成形に使用される熱可塑性樹脂組成物であれば、特に限定されない。
ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミド系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等の一種又は二種以上を混合した混合物等が挙げられる。
ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物には、各種充填材が配合されていてもよい。ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物は、着色剤を含む、黒色の樹脂組成物としてよい。
各種充填材としては、上記連続強化繊維と同種の材料の不連続強化材料である短繊維、長繊維材料等が挙げられる。
不連続強化材料にガラス短繊維、長繊維を用いる場合、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する連続強化繊維に塗布される集束剤と同様のもの用いてもよい。
集束剤(サイジング剤)は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましい。シランカップリング剤、潤滑剤、結束剤の種類に関しては、後述の連続強化繊維の集束剤と同様のものが使用できる。
射出成形に用いるハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、接合する熱可塑性樹脂との界面強度の観点から、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する接合面の熱可塑性樹脂と類似のものが好ましく、同種類のものがより好ましい。具体的には、接合面の熱可塑性樹脂にポリアミド66を用いた場合には、射出成形用のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物の樹脂材料は、ポリアミド66が好ましい。
その他の方法として、基材を金型に設置してダブルベルトプレス機により圧縮する成形方法や、設置した基材の四方を囲むように型枠を設置し、ダブルベルトプレス機により加圧し成形する方法や、一つ又は複数の温度に設定した加熱用の圧縮成形機と、一つ又は複数の温度に設定した冷却用の圧縮成形機を用意し、基材を設置した金型を順番に、圧縮成形機に投入して成形する成形方法などが挙げられる。
(連続強化繊維)
連続強化繊維としては、通常の連続繊維強化樹脂複合材料に使用されるものを用いてよい。
連続強化繊維としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミックス繊維等が挙げられる。
機械的特性、熱的特性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維が好ましく、生産性の面からは、ガラス繊維が好ましい。
上記連続強化繊維は、1種単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂100質量部に対する連続強化繊維の含有量は、好ましくは90~525質量部であり、より好ましくは150~340質量部であり、さらに好ましくは200~300質量部である。
連続繊維強化樹脂複合材料中の連続強化繊維の体積含有率Vf(%)は、好ましくは30~70%であり、より好ましくは35~65%であり、さらに好ましくは40~60%である。
-集束剤-
連続強化繊維として、ガラス繊維を選択する場合、集束剤を用いてもよい。
集束剤(サイジング剤)は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる群から選択される1種以上を含むものであってよく、少なくとも結束剤又はシランカップリング剤を含むことが好ましく、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることがより好ましい。連続強化繊維の周りを被膜する樹脂と強い結合を作る集束剤であることにより、空隙率の少ない連続繊維強化樹脂複合材料を得ることができる。
集束剤は、使用される材料に対して外的に加えられてもよく、使用される材料に内的に含まれていてもよい。例えば、潤滑剤は、用いられる熱可塑性樹脂の市販品に含まれている場合がある。
--シランカップリング剤--
シランカップリング剤は、通常、ガラス繊維の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類、マレイン酸類等が挙げられる。熱可塑性樹脂としてポリアミドを用いる際には、ポリアミド樹脂の末端基であるカルボキシル基、アミノ基と結合しやすいものを選択することが好ましく、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類やマレイン酸類、エポキシシラン類が好ましい。
--潤滑剤--
潤滑剤は、ガラス繊維の開繊性向上に寄与する。
潤滑剤としては、シランカップリング剤及び結束剤を阻害しない限り、目的に応じた通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、以下に限定されるものではないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤等が挙げられる。
--結束剤--
結束剤は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。
結束剤としては、目的に応じたポリマー、連続繊維強化樹脂複合材料の主たる材料としての熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂が使用可能である。
結束剤としてのポリマーは、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。また、例えば、m-キシリレンジイソシアナート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン系樹脂も好適に使用される。
アクリル酸のホモポリマーとしては、重量平均分子量が1,000~90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000~25,000である。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーを構成する共重合性モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。共重合性モノマーとして、エステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩やグリシン塩等が挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20~90%とすることが好ましく、40~60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000~50,000の範囲が好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、複合材料とした際の特性向上の観点から50,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。結束剤として用いられる熱可塑性樹脂は、連続強化繊維の周囲を被覆する樹脂と同種の熱可塑性樹脂及び/又は変性熱可塑性樹脂であると、複合材料となった後、ガラス繊維と熱可塑性樹脂の接着性が向上し、好ましい。
熱可塑性樹脂としてポリアミドを用いる際には、結束剤としてはポリアミド樹脂と濡れ性のよい、又は表面張力の近い樹脂を用いることが好ましい。具体的には、例えば、ポリウレタン樹脂のエマルジョンやポリアミド樹脂のエマルジョンやその変性体を選択することができる。
更に、一層、連続強化繊維とそれを被覆する熱可塑性樹脂の接着性を向上させ、集束剤を水分散体としてガラス繊維に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、変性熱可塑性樹脂が好ましい。
ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
結束剤として用いられる変性熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、変性ポリアミド系樹脂、変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
結束剤としての変性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸及び/又はそのエステル体等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体であり、公知の方法で製造できる。オレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸及び/又そのエステル体とを共重合させたランダム共重合体でもよいし、オレフィンに不飽和カルボン酸をグラフトしたグラフト共重合体でもよい。
オレフィン系モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸、及びこれら不飽和カルボン酸のエステル化体(メチルエステル、エチルエステル等)等が挙げられ、これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オレフィン系モノマーと、当該オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合比率としては、共重合成分の合計質量を100質量%として、オレフィン系モノマー60~95質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー5~40質量%であることが好ましく、オレフィン系モノマー70~85質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー15~30質量%であることがより好ましい。オレフィン系モノマーが60質量%以上であれば、マトリックスとの親和性が良好であり、また、オレフィン系モノマーの質量%が95質量%以下であれば、変性ポリオレフィン系樹脂の水分散性が良好で、連続強化繊維への均一付与が行いやすい。
結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂は、共重合により導入したカルボキシル基等の変性基が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類が挙げられる。結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、5,000~200,000が好ましく、50,000~150,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から200,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる変性ポリアミド系樹脂とは、分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖や3級アミン成分等の親水基を導入した変性ポリアミド化合物であり、公知の方法で製造できる。
分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖を導入する場合は、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の一部又は全部をジアミン又はジカルボン酸に変性したものを共重合して製造される。3級アミン成分を導入する場合は、例えばアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、α-ジメチルアミノε-カプロラクタム等を共重合して製造される。
結束剤として用いられる変性ポリエステル系樹脂とは、ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合体で、かつ末端を含む分子骨格中に親水基を有する樹脂であり、公知の方法で製造できる。
親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシル基、これらの中和塩等が挙げられる。ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スルホテレフタル酸塩、5-スルホイソフタル酸塩、5-スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中で、変性ポリエステル系樹脂の耐熱性を向上させる観点から、全ポリカルボン酸成分の40~99モル%が芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。また、変性ポリエステル系樹脂を水分散液とする場合の乳化安定性の観点から、全ポリカルボン酸成分の1~10モル%がスルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリオールとしては、ジオール、3官能以上のポリオール等が挙げられる。
ジオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合比率としては、共重合成分の合計質量を100質量%として、ポリカルボン酸又はその無水物40~60質量%、ポリオール40~60質量%であることが好ましく、ポリカルボン酸又はその無水物45~55質量%、ポリオール45~55質量%がより好ましい。
変性ポリエステル系樹脂の重量平均分子量としては、3,000~100,000が好ましく、10,000~30,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から3,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から100,000以下が好ましい。
結束剤として用いる、ポリマー、熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
結束剤の全量を100質量%として、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩より選択された1種以上のポリマーを50質量%以上用いることが好ましく、60質量%以上用いることがより好ましい。
集束剤が、シランカップリング剤及び結束剤からなる場合、集束剤は、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤及び結束剤の合計質量として、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.2~2質量%、更に好ましくは0.2~1質量%付与して付着させる。ガラス繊維の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付与量が、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、糸の取扱い性の観点から3質量%以下であることが好ましい。
また、集束剤が、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる場合、集束剤は、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.2~2質量%、更に好ましくは0.2~1質量%付与して付着させる。ガラス繊維の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付与量が、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、糸の取扱い性の観点から3質量%以下であることが好ましい。
--ガラス繊維用の集束剤の組成--
連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、当該ガラス繊維の集束剤においては、それぞれ、シランカップリング剤を0.1~2質量%、潤滑剤を0.01~1質量%、結束剤を1~25質量%を含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整することが好ましい。
ガラス繊維用の集束剤におけるシランカップリング剤の配合量は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上と複合材料の機械的強度向上との観点から、0.1~2質量%が好ましく、より好ましくは0.1~1質量%、更に好ましくは0.2~0.5質量%である。
前記シランカップリング剤の反応性末端基はアミノ基との反応性が乏しいことが好ましく、アミノ基であることが特に好ましい。
ガラス繊維用の集束剤における潤滑剤の配合量は、充分な潤滑性を与えるという観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、界面接着強度向上と複合材料の機械的強度向上の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
ガラス繊維用の集束剤における結束剤の配合量は、ガラス繊維の集束性制御及び界面接着強度向上と複合材料の機械的強度向上との観点から、好ましくは1~25質量%、より好ましくは3~15質量%、更に好ましくは3~10質量%である。
--ガラス繊維用の集束剤の使用態様--
ガラス繊維用の集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液の形態とすることが好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する連続強化繊維としてのガラス繊維は、上述した集束剤を、公知のガラス繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維に付与して製造したガラス繊維を乾燥することによって連続的に得られる。
また、連続強化繊維として、炭素繊維を選択した場合も同様に、集束剤を用いてもよく、集束剤は、カップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましい。カップリング剤としては炭素繊維の表面に存在する水酸基と相性の良いもの、結束剤としては選択した熱可塑性樹脂と濡れ性が良いものや表面張力の近いもの、潤滑剤としてはカップリング剤と結束剤を阻害しないものを選択することができる。
炭素繊維に用いる集束剤の種類については、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、特開2015-101794号公報に記載のものを用いることができる。
その他の連続強化繊維を用いる場合、連続強化繊維の特性に応じ、ガラス繊維、炭素繊維に用いることが可能な集束剤の種類、付与量を適宜選択すればよく、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量とすることが好ましい。
-連続強化繊維の形状-
連続強化繊維は複数本のフィラメントからなるマルチフィラメントであり、単糸数は、取扱い性の観点から30~15,000本であることが好ましい。連続強化繊維の単糸径Rは、強度の観点、及び、取り扱い性の観点から2~30μmであることが好ましく、4~25μmであることがより好ましく、6~20μmであることが更に好ましく、8~18μmであることが最も好ましい。
連続強化繊維の単糸径R(μm)と密度D(g/cm)の積RDは、連続強化繊維の取り扱い性と複合材料の強度の観点から、好ましくは5~100μm・g/cm、より好ましくは10~50μm・g/cm、更に好ましくは15~45μm・g/cm、より更に好ましくは20~45μm・g/cmである。
密度Dは比重計により測定することができる。他方、単糸径R(μm)は、密度D(g/cm)と繊度(dtex)、単糸数(本)から、以下の式:
Figure 2023027671000001
により算出することができる。また、単糸径R(μm)は例えば、連続強化繊維単糸のSEM観察によって求めることができる。
連続強化繊維の積RDを所定の範囲とするには、市販で入手可能な連続強化繊維について、連続強化繊維の有する密度に応じて、繊度(dtex)及び単糸数(本)を適宜選択すればよい。例えば、連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、密度が約2.5g/cmであるから、単糸径が2~40μmのものを選べばよい。具体的には、ガラス繊維の単糸径が9μmである場合、繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、23となる。また、ガラス繊維の単糸径が17μmである場合、繊度11,500dtexで単糸数2,000本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、43となる。連続強化繊維として炭素繊維を用いる場合、密度が約1.8g/cmであるから、単糸径が2.8~55μmのものを選べばよい。具体的には、炭素繊維の単糸径が7μmである場合、繊度2,000dtexで単糸数3,000本の炭素繊維を選択することにより、積RDは、13となる。連続強化繊維としてアラミド繊維を用いる場合、密度が約1.45g/cmであるから、単糸径が3.4~68μmのものを選べばよい。具体的には、アラミド繊維の単糸径が12μmである場合、繊度1,670dtexで単糸数1,000本のアラミド繊維を選択することにより、積RDは、17となる。
連続強化繊維、例えば、ガラス繊維は、原料ガラスを計量、混合し、溶融炉で溶融ガラスとし、これを紡糸してガラスフィラメントとし、集束剤を塗布し、紡糸機を経て、ダイレクトワインドロービング(DWR)、ケーキ、撚りを入れたヤーン等の巻き取り形態として製造される。連続強化繊維はどのような形態でも構わないが、ヤーン、ケーキ、DWRに巻き取ってあると、樹脂を被覆させる工程での生産性、生産安定性が高まるため好ましい。生産性の観点からはDWRが最も好ましい。
連続強化繊維の形態は、特に制限されず、織物や編み物、組紐、パイプ状のもの、ノンクリンプファブリック、一方向材等、種々の形態が挙げられる。中でも、織物、ノンクリンプファブリック、一方向材の形態で好ましく用いられる。
(熱可塑性樹脂)
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂は、H-NMR測定において、2.6~2.8ppmにピークトップを有するピークa2.6~2.8と、5.2~5.8ppmにピークトップを有するピークb5.2~5.8とがあり、ピークa2.6~2.8の積分強度を1としたとき、ピークb5.2~5.8の積分強度が0.5~3.0であり、1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークが1本以下であることが好ましい。
上記ピークa2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークb5.2~5.8の積分強度は、1.0~2.0であることがより好ましく、1.1~1.4であることがさらに好ましい。
ピークa2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークb5.2~5.8の積分強度と1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークの数が上記範囲であると、連続繊維強化樹脂複合材料の吸水特性と流動性のバランスを向上させることができる。
ピークa2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークb5.2~5.8の積分強度を上記範囲に調整する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂のアミド基濃度を調整する方法が挙げられ、具体的には、熱可塑性樹脂1mol当たりのアミド基の濃度を、好ましくは80~300/molとし、より好ましくは90~200/molとするか、或いは、熱可塑性樹脂1g当たりのアミド基濃度を、好ましくは5.5~9.9mmol/g、より好ましくは6.5~9.0mmol/gとする。また、熱可塑性樹脂のアミド基濃度とアミノ末端基濃度との比率を調整する方法も挙げられ、アミド基濃度を、好ましくはアミノ末端基濃度の100~500倍とし、より好ましくは150~300倍とする。
また、1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークを1本以下に調整する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂を精製して不純物を除去する方法等が挙げられる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂は、H-NMR測定におけるピークa2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークb5.2~5.8の積分強度が、前記連続繊維強化樹脂複合材料のH-NMR測定におけるピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークB5.2~5.8の積分強度の0.8~1.2倍であることが好ましく、0.8~1.0倍であることがより好ましく、0.9~1.0倍であることがさらに好ましい。
ピークa2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークb5.2~5.8の積分強度が、ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークB5.2~5.8の積分強度に対して上記範囲であると、複合材料の製造の際に連続強化繊維と熱可塑性樹脂との反応により生じる熱可塑性樹脂のアミノ基末端の変化が少なく、吸水特性と流動性のバランスに優れた連続繊維強化樹脂複合材料となる傾向にある。ピークa2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークb5.2~5.8の積分強度が、ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークB5.2~5.8の積分強度よりも大きくなるほど、熱可塑性樹脂の分子量が減少して流動性が変化し、吸水性が増加した複合材料となる傾向にある。
上記ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークB5.2~5.8の積分強度に対するピークa2.6~2.8の積分強度を1としたときのピークb5.2~5.8の積分強度を上記範囲に調整する方法としては、例えば、カップリング剤をアミノ基を有するものにする方法等が挙げられる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂は、H-NMR測定において、8.0~8.1ppmにピークトップを有するピークd8.0~8.1と、2.4ppm以上2.6ppm未満にピークトップを有するピークe2.4以上2.6未満とがあり、前記熱可塑性樹脂の前記ピークd8.0~8.1の積分強度と前記ピークe2.4以上2.6未満の積分強度とのピークの和を1としたときの前記ピークb5.2~5.8の積分強度が、前記連続繊維強化樹脂複合材料の前記ピークD8.0~8.1の積分強度と前記ピークE2.4以上2.6未満の積分強度とのピークの和を1としたときの前記ピークB5.2~5.8の積分強度の0.2~0.9倍であることが好ましく、0.7~0.9倍であることがより好ましく、0.8~0.9倍であることがさらに好ましい。
ピークd8.0~8.1の積分強度とピークe2.4以上2.6未満の積分強度との和を1としたときのピークb5.2~5.8の積分強度が、ピークD8.0~8.1の積分強度とピークE2.4以上2.6未満の積分強度との和を1としたときのピークB5.2~5.8の積分強度に対して上記範囲であると、複合材料の製造の際に連続強化繊維と熱可塑性樹脂とが良好に結合して強度が向上するとともに、連続強化繊維と熱可塑性樹脂との隙間が低減されて吸水特性も向上する傾向にある。
ピークD8.0~8.1の積分強度とピークE2.4以上2.6未満の積分強度との和を1としたときのピークB5.2~5.8の積分強度に対するピークd8.0~8.1の積分強度とピークe2.4以上2.6未満の積分強度との和を1としたときのピークb5.2~5.8の積分強度を上記範囲に調整する方法としては、例えば、カップリング剤をアミノ基を有するものにする方法、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる熱可塑性樹脂のアミド基濃度と、アミド基濃度とアミノ基濃度のバランスを調整する方法、熱可塑性樹脂の分子量を調整する方法等が挙げられ、熱可塑性樹脂のアミド基濃度を大きくするほど、又は熱可塑性樹脂の分子量を大きくするほど、ピークD8.0~8.1の積分強度とピークE2.4以上2.6未満の積分強度との和を1としたときのピークB5.2~5.8の積分強度に対するピークd8.0~8.1の積分強度とピークe2.4以上2.6未満の積分強度との和を1としたときのピークb5.2~5.8の積分強度は大きくなる傾向にある。
なお、本開示で、熱可塑性樹脂のH-NMR測定は、重水素化硫酸と重水素化トリフルオロ酢酸とを質量比1:1で混合した溶媒に熱可塑性樹脂を溶解し、得られた溶液を核磁気共鳴分光法によってH-NMR測定をして得ることができ(特開2020-56773公報を参照)、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
核磁気共鳴装置及び積算回数としては、高分解能型の核磁気共鳴装置にて積算回数を512回とすることが好ましく、超伝導型のパルスフーリエ変換型で500MHzのものにて積算回数を512回とすることがより好ましい。
なお、上記ピークa2.6~2.8、ピークb5.2~5.8、ピークd8.0~8.1、ピークe2.4以上2.6未満のそれぞれについて、該当するピークが複数存在する場合(例えば、2.6~2.8ppmにピークトップを有するピークが2つある場合等)は、熱可塑性樹脂に由来するピークと熱可塑性樹脂に含まれる不純物に由来するピークとが存在していることが考えられるため、他のピーク(例えば、熱可塑性樹脂の主鎖骨格由来のピーク等)との積分強度比等から熱可塑性樹脂に由来するピークを特定するか、熱可塑性樹脂を精製して不純物を除去し、熱可塑性樹脂由来のピークのみが見られるようにすることにより、熱可塑性樹脂に由来するピークをピークa2.6~2.8、ピークb5.2~5.8、ピークd8.0~8.1、ピークe2.4以上2.6未満の各ピークであると定めるものとする。
熱可塑性樹脂は、数平均分子量(Mn)が、10000~35000であることが好ましく、10000~25000であることがより好ましく、12000~23000であることがさらに好ましい。数平均分子量(Mn)が上記範囲であると、ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたとき、ピークB5.2~5.8の積分強度が0.5~3.0となるように調整できる傾向にある。
なお、熱可塑性樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド612、ポリアミド6I等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテル系樹脂;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂;ポリウレタン系樹脂;アクリル系樹脂及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びアクリル系樹脂が、機械的物性、汎用性の観点からより好ましく、熱的物性の観点を加えるとポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が更に好ましい。また、繰り返し荷重負荷に対する耐久性の観点からポリアミド系樹脂がより更に好ましい。
-ポリエステル系樹脂-
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に-CO-O-(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。
ポリエステル系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、ホモポリエステルであってもよく、また、共重合ポリエステルであってもよい。
共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。
また、バイオマス資源由来の原料を用いたポリエステル系樹脂を用いることもでき、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
-ポリアミド系樹脂-
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に-CO-NH-(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、脂肪族系ポリアミド、芳香族系ポリアミド、全芳香族系ポリアミド等があげられる。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω-アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合体が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカンラクタムやドデカラクタムが挙げられる。
ω-アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの水による開環化合物であるω-アミノ脂肪酸が挙げられる。ラクタム又はω-アミノカルボン酸はそれぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
ジアミン(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2-メチルペンタンジアミンや2-エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p-フェニレンジアミンやm-フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。単量体としてのジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα-ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612等の脂肪族ポリアミド、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)等の半芳香族ポリアミド、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミド等が挙げられる。
共重合ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合体、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合体、並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2-メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合体が挙げられる。
[添加剤]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料には、必要に応じて添加剤を含有させてもよい。本実施形態の複合材料は、例えば、着色剤、劣化防止剤、酸化防止剤、耐候剤、金属不活性剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、防菌・防黴剤、防臭剤、導電性付与剤、分散剤、軟化剤、可塑剤、架橋剤、共架橋剤、加硫剤、加硫助剤、発泡剤、発泡助剤、難燃剤、制振剤、造核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤等の添加剤を含有してもよい。
添加剤の含有量は、複合材料100質量%に対して、3質量%以下としてよい。
(着色剤)
着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン、アルミ顔料、二酸化チタン、群青、シアニンブルー、シアニングリーン、キナクリドン、珪藻土、モノアゾ塩、ペリレン、ジスアゾ、縮合アゾ、イソインドリン、弁柄、ニッケルチタンイエロー、ジケトンピロロピロール、金属塩、ペリレンレッド、金属酸化物、バナジン酸ビスマス、コバルトグリーン、コバルトブルー、アンスラキノン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー等が挙げられる。中でも、黒色の着色剤が好ましく、カーボンブラック、ニグロシンがより好ましい。
(連続繊維強化樹脂複合材料の用途)
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、航空機、車、建設材料、ロボット等の構造材料用途に好適に使用することができる。
車用途においては、以下に限定されるものではないが、例えば、シャーシ/フレーム、足回り、駆動系部品、内装部品、外装部品、機能部品、その他部品に使用できる。
具体的には、ステアリング軸、マウント、サンルーフ、ステップ、スーフトリム、ドアトリム、トランク、ブートリッド、ボンネット、シートフレーム、シートバック、リトラクター、リタラクター支持ブラケット、クラッチ、ギア、プーリー、カム、アーゲー、弾性ビーム、バッフリング、ランプ、リフレクタ、グレージング、フロントエンドモジュール、バックドアインナー、ブレーキペダル、ハンドル、電装材、吸音材、ドア外装、内装パネル、インパネ、リアゲート、天井ハリ、シート、シート枠組み、ワイパー支柱、EPS(Electric Power Steering)、小型モーター、ヒートシンク、ECU(Engine Control Unit)ボックス、ECUハウジング、ステアリングギアボックスハウジング、プラスチックハウジング、EV(Electric Vehicle)モーター用筐体、ワイヤーハーネス、車載メーター、コンビネーションスイッチ、小型モーター、スプリング、ダンパー、ホイール、ホイールカバー、フレーム、サブフレーム、サイドフレーム、二輪フレーム、燃料タンク、オイルパン、インマニ、プロペラシャフト、駆動用モーター、モノコック、水素タンク、燃料電池の電極、パネル、フロアパネル、外板パネル、ドア、キャビン、ルーフ、フード、バルブ、EGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブ、可変バルブタイミングユニット、コネクティングロッド、シリンダボア、メンバー(エンジンマウンティング、フロントフロアクロス、フットウェルクロス、シートクロス、インナーサイド、リヤクロス、サスペンション、ピラーリーンフォース、フロントサイド、フロントパネル、アッパー、ダッシュパネルクロス、ステアリング)、トンネル、締結インサート、クラッシュボックス、クラッシュレール、コルゲート、ルーフレール、アッパボディ、サイドレール、ブレーディング、ドアサラウンドアッセンブリー、エアバッグ用部材、ボディーピラー、ダッシュツゥピラーガセット、サスペンジョンタワー、バンパー、ボディーピラーロワー、フロントボディーピラー、レインフォースメント(インパネ、レール、ルーフ、フロントボディーピラー、ルーフレール、ルーフサイドレール、ロッカー、ドアベルトライン、フロントフロアアンダー、フロントボディーピラーアッパー、フロントボディーピラーロワー、センターピラー、センターピラーヒンジ、ドアアウトサイドパネル)、サイドアウターパネル、フロントドアウインドゥフレーム、MICS(Minimum Intrusion Cabin System)バルク、トルクボックス、ラジエーターサポート、ラジエーターファン、ウォーターポンプ、燃料ポンプ、電子制御スロットルボディ、エンジン制御ECU、スターター、オルタネーター、マニホールド、トランスミッション、クラッチ、ダッシュパネル、ダッシュパネルインシュレータパッド、ドアサイドインパクトプロテクションビーム、バンパービーム、ドアビーム、バルクヘッド、アウタパッド、インナパッド、リヤシートロッド、ドアパネル、ドアトリムボドサブアッセンブリー、エネルギーアブソーバー(バンパー、衝撃吸収)、衝撃吸収体、衝撃吸収ガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ルーフサイドインナーガーニッシュ、樹脂リブ、サイドレールフロントスペーサー、サイドレールリアスペーサー、シートベルトプリテンショナー、エアバッグセンサー、アーム(サスペンション、ロアー、フードヒンジ)、サスペンションリンク、衝撃吸収ブラケット、フェンダーブラケット、インバーターブラケット、インバーターモジュール、フードインナーパネル、フードパネル、カウルルーバー、カウルトップアウターフロントパネル、カウルトップアウターパネル、フロアサイレンサー、ダンプシート、フードインシュレーター、フェンダーサイドパネルプロテクター、カウルインシュレーター、カウルトップベンチレータールーパー、シリンダーヘッドカバー、タイヤディフレクター、フェンダーサポート、ストラットタワーバー、ミッションセンタートンネル、フロアトンネル、ラジコアサポート、ラゲッジパネル、ラゲッジフロア、アクセルペダル、アクセルペダルベース等の部品として好適に使用することができる。
[複合材料の成形]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、さらに成形することができる。上記の方法としては、例えば、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を、所定の大きさに切りだし、赤外線ヒーターで加熱し、プレス成形機で加熱圧縮プレスする方法等が挙げられる。
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができることはいうまでもない。
まず、実施例、比較例で用いた測定方法等について説明する。
H-NMR測定]
各実施例・比較例で使用した熱可塑性樹脂、連続繊維強化樹脂複合材料について、以下のようにしてH-NMR測定を行った。
<混合溶媒の調製>
ガラス容器に重水素化硫酸(東京化成製、Sulfuric Acid-d2、98 atom% D)5gと重水素化トリフルオロ酢酸(東京化成製、Trifluoroacetic acid-d;TFA-d、99.5 atom% D)5gとを混合して、混合溶媒1を得た。
<溶解工程>
10mL容量のガラス製容器に、サンプル20mg及び混合溶媒1:1gを添加して、30分間振盪による攪拌を行い、不溶物の見られない溶液を作製した。
H-NMR測定>
上記溶解工程で作製したガラス製容器中の溶液を核磁気共鳴分光スペクトル測定用の5mmφチューブへ移し、500MHz-NMR装置(日本電子製、JEOL-ECZ500+Super Cool)を用いてH-NMRスペクトルを以下の条件に従い、測定した。
(測定条件)
共鳴周波数:500MHz
パルス幅:3.9μ秒
待ち時間:10.0秒
積算回数:512回
基準:3.04ppmの主鎖アミンのメチレン基プロトン、3.04ppmの主鎖アミンのメチレン基プロトンが検出されない場合は3.30ppmの主鎖アミンのメチレン基プロトン
温度:室温
[数平均分子量]
各実施例・比較例で使用した熱可塑性樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、HLC-8020;東ソー株式会社)により、ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒、ポリメチルメタクリレート分子量換算用標準サンプル(ポリマーラボラトリー社)を用いて測定した。なお、GPCカラムはTSK-GEL、GMHHR-M、及びG1000HHRを使用した。
[アミノ末端基濃度]
各実施例・比較例で使用した熱可塑性樹脂について、ポリマー末端に結合するアミノ末端量を、中和滴定により以下のとおり測定した。
熱可塑性樹脂4.0gをベンジルアルコール50mLに溶解し、得られた溶液を用い、0.1NのNaOHで滴定を行い、アミノ末端量(μ当量/g)を求めた。終点はフェノールフタレイン指示薬の変色から決定した。
[アミド基濃度]
各実施例・比較例で使用した熱可塑性樹脂の主鎖骨格の単位当たりのアミド基の数をA、式量をBとして、下記式により熱可塑性樹脂1mol当たりのアミド基濃度(/mol)及び熱可塑性樹脂1g当たりのアミド基濃度(mol/g)を求めた。但し、炭素の原子量を12、酸素の原子量を18、水素の原子量を1、窒素の原子量を14とした。
(熱可塑性樹脂1mol当たりのアミド基濃度)=A×Mn/B
(熱可塑性樹脂1g当たりのアミド基濃度)=A/B
[吸水特性]
連続繊維強化樹脂複合材料から長さ100mm、幅10mm、肉厚2mmの短冊状の試験片を切り出し、80℃の真空乾燥機で18時間以上乾燥した試験片を乾燥時の試験片とした。
また、連続繊維強化樹脂複合材料から長さ100mm、幅10mm、肉厚2mmの短冊状の試験片を切り出し、80℃の恒温水槽に18時間浸漬し、その後、80℃、70%RHの恒温恒湿槽に150時間投入した試験片を吸水時の試験片とした。
乾燥時及び吸水時の試験片について、インストロン万能試験機にて、3点曲げ用の治具を用い、スパン間を厚み×16(mm)に設定して、速度1mm/miで、23℃、50%RHの環境下で曲げ強度(MPa)を測定し、下記式により、吸水時の曲げ強度保持率(%)を求めた。
吸水時の曲げ強度保持率=(吸水時の曲げ強度/乾燥時の曲げ強度)×100
[流動性]
連続繊維強化樹脂複合材料から長さ100mm、幅100mm、肉厚2mmの短冊状の試験片を切り出し、150mm角、クリアランス1mmの温度センサを取り付けた金型の中央に設置し、最大型締め力50トンの油圧成形機(株式会社ショージ)の、熱可塑性樹脂の溶融温度+65℃に設定した加熱プレス成形機に投入して、温度をモニターしながら圧力5MPaでプレスを行い、熱可塑性樹脂の融点になってから30秒後に加熱プレス成形機から取り出し、冷却プレス機に投入して圧力5MPa、水冷で冷却した。
プレス後の試験片の長さ及び幅の平均について、◎(優れる):130mm以上、〇(良好):120mm以上130mm未満、△(可):110mm以上120mm未満、×(不可):110mm未満と評価した。
吸水時の曲げ強度保持率が50%以上、且つ流動性が◎又は〇である場合、吸水特性及び流動性のバランスに優れると判断した。
実施例、比較例で用いた材料は以下のとおりである。
[連続強化繊維]
(ガラス繊維)
GF1:繊度1.15g/mで単糸数2000本のガラス繊維100質量%に対し、集束剤を0.5質量%付着させたものを製造した。巻き取り形態はDWRであり、平均単糸径は約16μmとした。上記集束剤は、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903、信越化学工業株式会社製)1.9質量%、カラナウバワックス4.0質量%、及び共重合化合物(無水マレイン酸10質量%とメタクリル酸メチル90質量%を共重合させた、重量平均分子量が17000である共重合化合物)0.9質量%、となるように脱イオン水で調製することで作製した。カップリング剤であるγ-アミノプロピルトリメトキシシランは、反応性末端基として、アミノ基との反応性に乏しいアミノ末端基を有していた。
GF2:繊度1.15g/mで単糸数2000本のガラス繊維100質量%に対し、集束剤を0.5質量%付着させたものを製造した。巻き取り形態はDWRであり、平均単糸径は約16μmとした。上記集束剤は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学工業株式会社製)1.9質量%、カラナウバワックス4.0質量%、及び共重合化合物(無水マレイン酸10質量%とメタクリル酸メチル90質量%を共重合させた重量平均分子量が17000である共重合化合物)0.9質量%、となるように脱イオン水で調製することで作製した。カップリング剤である3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランは、反応性末端基として、アミノ基と反応性を有するエポキシ基を有していた。
[繊維クロスの製造方法]
レピア織機(織幅1m)を用い、上記ガラス繊維を経糸、緯糸として用いて製織することでガラスクロスを製造した。得られたガラスクロスの織形態は、平織、織密度は6.5本/25mm、目付は600g/mであった。
[熱可塑性樹脂]
樹脂1:ポリアミド66(数平均分子量:22000、アミノ末端基濃度:30μmol/g、1g当たりのアミド基濃度:8.8mmol/g、1mol当たりのアミド基濃度:195/mol)
樹脂2:ポリアミド6I(数平均分子量:11000、アミノ末端基濃度:56μmol/g、1g当たりのアミド基濃度:8.7mmol/g、1mol当たりのアミド基濃度:98/mol)
樹脂3:ポリアミド6(数平均分子量:19000、アミノ末端基濃度:26μmol/g、1g当たりのアミド基濃度:8.8mmol/g、1mol当たりのアミド基濃度:168/mol)
樹脂4:樹脂1と樹脂2を2:1の質量比でブレンドした。(数平均分子量:13000、アミノ末端基濃度:40μmol/g、1g当たりのアミド基濃度:8.7mmol/g、1mol当たりのアミド基濃度:163/mol)
樹脂5:ポリアミド612(数平均分子量:15000、アミノ末端基濃度:0μmol/g、1g当たりのアミド基濃度:8.8mmol/g、1mol当たりのアミド基濃度:168/mol)
樹脂6:ポリアミド12(数平均分子量:12000、アミノ末端基濃度:60μmol/g、1g当たりのアミド基濃度:10.2mmol/g、1mol当たりのアミド基濃度:125/mol)
樹脂7:ポリアミド1010(数平均分子量:20000、アミノ末端基濃度:10μmol/g、1g当たりのアミド基濃度:5.3mmol/g、1mol当たりのアミド基濃度:105/mol)
樹脂8:ポリアミド66(数平均分子量:34000、アミノ末端基濃度:17μmol/g、1g当たりのアミド基濃度:8.8mmol/g、1mol当たりのアミド基濃度:298/mol)
[熱可塑性樹脂フィルムの製造方法]
Tダイ押し出し成形機(株式会社創研製)を用いて成形することで熱可塑性樹脂フィルムを得た。フィルムの厚さは180μmであった。
[実施例1]
樹脂1を用いて、前記方法で熱可塑性樹脂フィルム1を得た。また、GF1を用いて、前記方法でガラスクロス1を得た
ガラスクロス1を5枚と熱可塑性樹脂フィルム1を6枚準備し、熱可塑性樹脂フィルム1が表面となるようにガラスクロス1と熱可塑性樹脂フィルム1とを交互に重ねて成形を行い、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。この時、熱可塑性樹脂の仕込み体積の割合は50%であった。
成形機として、連続圧縮成形機を使用した。上記ガラスクロス1と上記熱可塑性樹脂フィルム1とを上記のように重ねて成形機に設置し、成形機内の加熱ゾーンの温度を340℃、冷却ゾーンを水冷で温度調整し、圧力5MPa、ベルト速度0.5m/minで圧縮成形を行った。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性と、各H-NMRピークの測定結果を表1に示す。
[実施例2~6]
熱可塑性樹脂として表1に示す樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性と、各H-NMRピークの測定結果を表1に示す。
[比較例1、2]
熱可塑性樹脂として表1に示す樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性と、各H-NMRピークの測定結果を表1に示す。
[比較例3]
ガラス繊維としてGF2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性と、各H-NMRピークの測定結果を表1に示す。
[比較例4]
ポリアミド66をガラスクロスに含浸したBond Laminate製「Tepex dynalite 101」に関して、実施例1と同様の評価を行った。
各物性と、各H-NMRピークの測定結果を表1に示す。
Figure 2023027671000002
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、各種機械や自動車等の構造部品等、高レベルでの機械的物性が要求される材料の補強材として、また、熱可塑性樹脂組成物との複合成形体材料として、産業上の利用可能である。

Claims (7)

  1. 連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む連続繊維強化樹脂複合材料であり、
    前記連続繊維強化樹脂複合材料のH-NMR測定において、
    2.6~2.8ppmにピークトップを有するピークA2.6~2.8と、5.2~5.8ppmにピークトップを有するピークB5.2~5.8とがあり、前記ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたとき、前記ピークB5.2~5.8の積分強度が0.5~3.0であり、
    1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークが1本以下である
    ことを特徴とする、連続繊維強化樹脂複合材料。
  2. 前記1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークが、1.9~2.0ppmにピークトップを有するピークC1.9~2.0であり、
    前記ピークC1.9~2.0の積分強度を1としたとき、前記ピークA2.6~2.8の積分強度が1.0~3.0である、請求項1に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  3. 前記連続繊維強化樹脂複合材料のH-NMR測定において、8.0~8.1ppmにピークトップを有するピークD8.0~8.1と、2.4ppm以上2.6ppm未満にピークトップを有するピークE2.4以上2.6未満とがあり、前記ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたとき、前記ピークD8.0~8.1の積分強度と前記ピークE2.4以上2.6未満の積分強度との和が1.0~3.0である、請求項1又は2に記載の連続繊維強化樹脂複合材料 。
  4. 前記ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたとき、前記ピークE2.4以上2.6未満の積分強度が1.5~3.0である、請求項3に記載の連続繊維強化樹脂複合材料 。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法であり、
    前記熱可塑性樹脂のH-NMR測定において、
    2.6~2.8ppmにピークトップを有するピークa2.6~2.8と、5.2~5.8ppmにピークトップを有するピークb5.2~5.8とがあり、前記ピークa2.6~2.8の積分強度を1としたとき、前記ピークb5.2~5.8の積分強度が0.5~3.0であり、
    1.7~2.0ppmにピークトップを有するピークが1本以下である
    ことを特徴とする、連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂の前記ピークa2.6~2.8の積分強度を1としたときの前記ピークb5.2~5.8の積分強度が、前記連続繊維強化樹脂複合材料の前記ピークA2.6~2.8の積分強度を1としたときの前記ピークB5.2~5.8の積分強度の0.8~1.2倍である、請求項5に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  7. 前記連続繊維強化樹脂複合材料のH-NMR測定において、8.0~8.1ppmにピークトップを有するピークD8.0~8.1と、2.4ppm以上2.6ppm未満にピークトップを有するピークE2.4以上2.6未満とがあり、
    前記熱可塑性樹脂のH-NMR測定において、8.0~8.1ppmにピークトップを有するピークd8.0~8.1と、2.4ppm以上2.6ppm未満にピークトップを有するピークe2.4以上2.6未満とがあり、
    前記熱可塑性樹脂の前記ピークd8.0~8.1の積分強度と前記ピークe2.4以上2.6未満の積分強度との和を1としたときの前記ピークb5.2~5.8の積分強度が、前記連続繊維強化樹脂複合材料の前記ピークD8.0~8.1の積分強度と前記ピークE2.4以上2.6未満の積分強度との和を1としたときの前記ピークB5.2~5.8の積分強度の0.2~0.9倍である、請求項5又は6に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
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