JP2020201426A - プロジェクター - Google Patents
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Abstract
【課題】プロジェクターの冷却性能を向上させる場合、冷却手段が大型化し、プロジェクターが大型化する問題があった。【解決手段】本発明のプロジェクターの一つの態様において、冷却装置は、冷媒を生成する冷媒生成部と、生成された冷媒を冷却対象に向けて伝送する冷媒伝送部と、冷却対象に空気を送る冷却送風装置と、を有し、制御装置は、冷却送風装置と光源装置との少なくとも一方を制御する第1制御および第2制御を実行可能であり、かつ、プロジェクターの起動に関する情報に基づいて、第1制御と第2制御とのうちの一方をプロジェクターの起動時から実行し、第2制御において制御装置は、光源装置から射出される光の輝度を第1制御において光源装置から射出される光の輝度よりも小さくする輝度制御と、冷却送風装置の出力を第1制御における冷却送風装置の出力よりも大きくする出力制御と、のうちの少なくとも一方を実行することを特徴とする。【選択図】図10
Description
本発明は、プロジェクターに関する。
プロジェクターを冷却する手段として、例えば特許文献1に示すような送風装置を用いた空冷による冷却手段、および例えば特許文献2に示すような冷媒液を送るポンプと冷媒液を通す配管とを用いた液冷による冷却手段等が提案されている。
近年、プロジェクターの高輝度化等に伴って、冷却手段によって冷却される冷却対象の熱量が増加しており、冷却手段による冷却性能の向上が求められている。しかし、上述した空冷および液冷等の冷却手段において冷却性能を向上させる場合、冷却手段が大型化し、プロジェクターが大型化する問題がある。また、空冷の場合には、送風装置による騒音が増大する問題もある。
本発明のプロジェクターの一つの態様は、冷却対象を備えるプロジェクターであって、光を射出する光源装置と、前記光源装置からの光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、冷媒が気体へ変化することで前記冷却対象を冷却する冷却装置と、前記冷却装置と前記光源装置とのうちの少なくとも一方を制御する制御装置と、を備え、前記冷却装置は、前記冷媒を生成する冷媒生成部と、生成された前記冷媒を前記冷却対象に向けて伝送する冷媒伝送部と、前記冷却対象に空気を送る冷却送風装置と、を有し、前記制御装置は、前記冷却送風装置と前記光源装置との少なくとも一方を制御する第1制御および第2制御を実行可能であり、かつ、前記プロジェクターの起動に関する情報に基づいて、前記第1制御と前記第2制御とのうちの一方を前記プロジェクターの起動時から実行し、前記第2制御において前記制御装置は、前記光源装置から射出される光の輝度を前記第1制御において前記光源装置から射出される光の輝度よりも小さくする輝度制御と、前記冷却送風装置の出力を前記第1制御における前記冷却送風装置の出力よりも大きくする出力制御と、のうちの少なくとも一方を実行することを特徴とする。
前記第2制御において前記制御装置は、前記輝度制御と前記出力制御との両方を実行する構成としてもよい。
前記制御装置は、前記プロジェクターの起動時から前記第2制御を実行する場合、前記第2制御を終了した後に前記第1制御を実行する構成としてもよい。
前記制御装置は、前記プロジェクターの起動時から前記第2制御を実行する場合、前記第2制御の実行時間が所定時間以上である場合に、前記第2制御を終了する構成としてもよい。
前記冷却対象の温度を計測する温度センサーをさらに備え、前記制御装置は、前記プロジェクターの起動時から前記第2制御を実行する場合、前記温度センサーから得られた前記冷却対象の温度に基づいて前記第2制御を終了する構成としてもよい。
前記制御装置は、前記プロジェクターの起動時から前記第2制御を実行する場合、前記温度センサーから得られた前記冷却対象の温度が所定の変化率以上で低下し始めた場合に前記第2制御を終了する構成としてもよい。
前記制御装置は、前記第1制御を実行している間、前記温度センサーから得られた前記冷却対象の温度に基づいて、前記第1制御を終了し、前記第2制御を実行する構成としてもよい。
前記制御装置は、前記第1制御を実行している間、前記温度センサーから得られた前記冷却対象の温度が所定の温度以上である場合に、前記第1制御を終了し、前記第2制御を実行する構成としてもよい。
前記プロジェクターの起動に関する情報は、前記プロジェクターの起動回数を含み、前記制御装置は、前記プロジェクターが初めて起動された場合に、前記プロジェクターの起動時から前記第2制御を実行する構成としてもよい。
前記プロジェクターの起動に関する情報は、前記プロジェクターの電源がOFFにされていた期間の長さを含み、前記制御装置は、前記プロジェクターの電源がOFFにされていた期間の長さが所定の長さ以上である場合に、前記プロジェクターの起動時から前記第2制御を実行する構成としてもよい。
前記所定の長さは、1週間以上である構成としてもよい。
前記プロジェクターの起動時から前記第2制御が実行された場合、前記第2制御の実行時間は、前記プロジェクターの立ち上げ時間よりも長い構成としてもよい。
前記プロジェクターの起動時から前記第2制御が実行された場合、前記第2制御の実行時間は、5分以上、20分以下である構成としてもよい。
前記冷却対象は、前記光変調装置である構成としてもよい。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るプロジェクターについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
図1は、本実施形態のプロジェクター1を示す概略構成図である。図2は、本実施形態のプロジェクター1の一部を示す模式図である。図1に示すように、プロジェクター1は、光源装置2と、色分離光学系3と、光変調ユニット4Rと、光変調ユニット4Gと、光変調ユニット4Bと、光合成光学系5と、投射光学装置6と、を備える。光変調ユニット4Rは、光変調装置4RPを有する。光変調ユニット4Gは、光変調装置4GPを有する。光変調ユニット4Bは、光変調装置4BPを有する。
光源装置2は、略均一な照度分布を有するように調整された照明光WLを色分離光学系3に向けて射出する。光源装置2は、光源として、例えば、半導体レーザーを有する。色分離光学系3は、光源装置2からの照明光WLを赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離する。色分離光学系3は、第1のダイクロイックミラー7aと、第2のダイクロイックミラー7bと、第1の反射ミラー8aと、第2の反射ミラー8bと、第3の反射ミラー8cと、リレーレンズ8dと、を備える。
第1のダイクロイックミラー7aは、光源装置2から射出された照明光WLを、赤色光LRと、緑色光LGと青色光LBとが混合された光と、に分離する。第1のダイクロイックミラー7aは、赤色光LRを透過させるとともに、緑色光LGおよび青色光LBを反射する特性を有する。第2のダイクロイックミラー7bは、緑色光LGと青色光LBとが混合された光を緑色光LGと青色光LBとに分離する。第2のダイクロイックミラー7bは、緑色光LGを反射するとともに、青色光LBを透過させる特性を有する。
第1の反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置され、第1のダイクロイックミラー7aを透過した赤色光LRを光変調装置4RPに向けて反射する。第2の反射ミラー8bおよび第3の反射ミラー8cは、青色光LBの光路中に配置され、第2のダイクロイックミラー7bを透過した青色光LBを光変調装置4BPに導く。
光変調装置4RP、光変調装置4GP、および光変調装置4BPの各々は、液晶パネルから構成されている。光変調装置4RPは、光源装置2から射出された光のうち赤色光LRを画像信号に応じて変調する。光変調装置4GPは、光源装置2から射出された光のうち緑色光LGを画像信号に応じて変調する。光変調装置4BPは、光源装置2から射出された光のうち青色光LBを画像信号に応じて変調する。これにより、各光変調装置4RP,4GP,4BPは、各色光に対応した画像光を形成する。図示は省略するが、光変調装置4RP,4GP,4BPの各々の光入射側および光射出側には、偏光板が配置されている。
光変調装置4RPの光入射側には、光変調装置4RPに入射する赤色光LRを平行化するフィールドレンズ9Rが配置されている。光変調装置4GPの光入射側には、光変調装置4GPに入射する緑色光LGを平行化するフィールドレンズ9Gが配置されている。光変調装置4BPの光入射側には、光変調装置4BPに入射する青色光LBを平行化するフィールドレンズ9Bが配置されている。
光合成光学系5は、略立方体状のクロスダイクロイックプリズムから構成されている。光合成光学系5は、光変調装置4RP,4GP,4BPからの各色の画像光を合成する。光合成光学系5は、合成した画像光を投射光学装置6に向かって射出する。投射光学装置6は、投射レンズ群から構成されている。投射光学装置6は、光合成光学系5により合成された画像光、すなわち光変調装置4RP,4GP,4BPにより変調された光をスクリーンSCRに向かって拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大されたカラー画像(映像)が表示される。
プロジェクター1は、図2に示すように、冷却装置10をさらに備える。冷却装置10は、冷媒Wが気体へ変化することで、プロジェクター1に備えられた冷却対象を冷却する。本実施形態において冷媒Wは、例えば、液体の水である。そのため、以下の説明においては、冷媒Wが気体へ変化することを単に気化と呼ぶ場合がある。本実施形態において冷却対象は、光変調ユニット4R,4G,4Bを含む。すなわち、本実施形態において冷却対象は、光変調装置4RP,4GP,4BPを含む。
冷却装置10は、冷媒生成部20と、冷媒伝送部50と、を有する。冷媒生成部20は、冷媒Wを生成する部分である。冷媒伝送部50は、生成された冷媒Wを冷却対象に向けて伝送する部分である。冷媒伝送部50によって冷却対象、すなわち本実施形態では光変調ユニット4R,4G,4Bに送られた冷媒Wが気化することで冷却対象から熱を奪うことができ、冷却装置10は、冷却対象を冷却することができる。以下、各部について詳細に説明する。
図3は、本実施形態の冷媒生成部20を模式的に示す概略構成図である。冷媒生成部20は、図3に示すように、吸放湿部材40と、モーター(駆動部)24と、第1送風装置(冷却送風装置)60と、熱交換部30と、循環ダクト25と、循環ダクト26と、加熱部22と、第2送風装置23と、冷却ダクト21と、を有する。
図4は、吸放湿部材40を示す斜視図である。吸放湿部材40は、図4に示すように、回転軸Rを中心とした扁平の円柱状である。吸放湿部材40の中心には、回転軸Rを中心とする中心孔40cが形成されている。中心孔40cは、回転軸Rの軸方向に吸放湿部材40を貫通する。吸放湿部材40は、回転軸R周りに回転する。以下の説明においては、回転軸Rの軸方向を「回転軸方向DR」と呼び、適宜図においてDR軸で示す。
吸放湿部材40は、吸放湿部材40を回転軸方向DRに貫通する無数の貫通孔40bを有する。吸放湿部材40は、多孔質部材である。吸放湿部材40は、吸放湿性を有する。本実施形態において吸放湿部材40は、例えば、貫通孔40bを有する帯状の帯状部材40aを回転軸R周りに巻き、巻かれた帯状部材40aにおける外部に露出する面に吸放湿性を有する物質を塗布して作られている。なお、巻かれた帯状部材40aにおける外部に露出する面とは、吸放湿部材40の外表面、中心孔40cの内周面および貫通孔40bの内側面を含む。なお、吸放湿部材40は、全体が吸放湿性を有する物質から作られていてもよい。吸放湿性を有する物質としては、例えば、ゼオライトやシリカゲル等が挙げられる。
図3に示すモーター24の出力軸は、吸放湿部材40の中心孔40cに挿入されて固定されている。モーター24は、吸放湿部材40を回転軸R周りに回転させる。モーター24によって回転させられる吸放湿部材40の回転速度は、例えば、0.2rpm以上、5rpm以下程度である。
第1送風装置60は、例えば、プロジェクター1内に外部の空気を取り込む吸気ファンである。第1送風装置60は、第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分に空気AR1を送る。第1領域F1は、回転軸Rと直交する方向において、回転軸Rよりも一方側の領域である。一方、回転軸Rと直交する方向において、回転軸Rよりも他方側の領域、すなわち回転軸Rに対して第1領域F1と逆側の領域は、第2領域F2である。第1領域F1は、図3では回転軸Rよりも上側の領域である。第2領域F2は、図3では回転軸Rよりも下側の領域である。
第1送風装置60は、図2に示すように、冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bにも空気AR1を送る。すなわち、本実施形態において第1送風装置60は、冷却対象に空気AR1を送る冷却送風装置である。第1送風装置60は、空気AR1を送れることができるならば、特に限定されず、例えば、軸流ファンであっても、遠心ファンであってもよい。
熱交換部30は、冷媒Wが生成される部分である。図5は、熱交換部30を示す部分断面斜視図である。図5に示すように、熱交換部30は、流通部31と、第1蓋部32と、第2蓋部33と、を有する。
流通部31は、一方向に延びる管状の複数の配管部31aを有する。本実施形態において配管部31aが延びる一方向は、例えば、回転軸方向DRと直交する。配管部31aは、延びる一方向の両側に開口する。配管部31aの延びる一方向と直交する断面形状は、例えば、円形状である。なお、以下の説明においては、配管部31aが延びる一方向を「延伸方向DE」と呼び、適宜図においてDE軸で示す。上述した第1領域F1と第2領域F2とは、回転軸方向DRと直交する延伸方向DEにおいて、回転軸Rを基準として分けられている。
本実施形態において流通部31は、複数の配管部31aが回転軸方向DRに沿って並べられて構成された層が、回転軸方向DRおよび延伸方向DEの両方と直交する方向に沿って複数積層されて構成されている。なお、以下の説明においては、回転軸方向DRおよび延伸方向DEの両方と直交する方向を「厚さ方向DT」と呼び、適宜図においてDT軸で示す。本実施形態において、流通部31の厚さ方向DTの寸法は、例えば、流通部31の回転軸方向DRの寸法よりも小さく、延伸方向DEと直交する方向の流通部31の寸法のうちで最も小さい。
第1蓋部32は、流通部31における延伸方向DEの一方側(+DE側)の端部に接続されている。第1蓋部32は、回転軸方向DRに長い直方体箱状である。第1蓋部32の内部には、配管部31aの延伸方向DEの一端が開口している。図3に示すように、第1蓋部32の内部には、仕切部32aが設けられている。仕切部32aは、第1蓋部32の内部を回転軸方向DRに並ぶ第1空間S1と第2空間S2とに仕切っている。図3において、第1空間S1は、第2空間S2の右側(+DR側)に位置する。
第1蓋部32には、第1空間S1と循環ダクト26の内部とを繋ぐ連通孔32bが形成されている。第1蓋部32には、第2空間S2と循環ダクト25の内部とを繋ぐ連通孔32cが形成されている。
第2蓋部33は、流通部31における延伸方向DEの他方側(−DE側)の端部、すなわち流通部31に対して第1蓋部32が接続された側と逆側の端部に接続されている。図5に示すように、第2蓋部33は、回転軸方向DRに長い直方体箱状である。第2蓋部33の内部には、配管部31aの延伸方向DEの他端が開口している。第2蓋部33の内部は、第1蓋部32と異なり、仕切られていない。第2蓋部33の内部は、流通部31の配管部31aの内部を介して、第1蓋部32の内部のうち第1空間S1および第2空間S2のそれぞれと繋がっている。第2蓋部33は、冷媒伝送部50と接続されている。これにより、熱交換部30は、冷媒伝送部50と接続されている。なお、図5においては、第2蓋部33における延伸方向DEの他方側の壁を省略している。
循環ダクト26は、図3に示すように、回転軸方向DRにおいて、吸放湿部材40の一方側(+DR側)に配置されたダクトである。循環ダクト26は、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分に向かって、回転軸方向DRの他方側(−DR側)に開口する流入口を有する。循環ダクト26は、第1蓋部32の連通孔32bと繋がる流出口を有する。
循環ダクト25は、回転軸方向DRにおいて、吸放湿部材40の他方側(−DR側)に配置されたダクトである。循環ダクト25は、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分に向かって、回転軸方向DRの一方側(+DR側)に開口する流出口を有する。循環ダクト25は、第1蓋部32の連通孔32cと繋がる流入口を有する。
加熱部22は、加熱本体部22aを有する。加熱本体部22aは、循環ダクト25の内部に配置されている。加熱本体部22aは、回転軸方向DRにおいて、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分の他方側(−DR側)に配置されている。加熱本体部22aは、例えば、電気ヒーターである。加熱本体部22aは、循環ダクト25の内部の雰囲気(空気)を加熱する。本実施形態において加熱部22は、第2送風装置23を有する。
第2送風装置23は、循環ダクト26の内部に配置されている。第2送風装置23は、回転軸方向DRにおいて、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分の一方側(+DR側)に配置されている。第2送風装置23は、例えば、遠心ファンである。第2送風装置23は、回転軸方向DRの他方側(−DR側)から吸気した空気を、排気口23aから延伸方向DEの他方側(−DE側)に放出する。排気口23aは、第1蓋部32の連通孔32bに開口している。第2送風装置23は、連通孔32bを介して第1空間S1に空気を送る。
第2送風装置23から第1空間S1に放出される空気は、循環ダクト26の流入口を介して第2送風装置23の回転軸方向DRの他方側(−DR側)から吸気した空気であり、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を通過した空気である。すなわち、第2送風装置23は、第1領域F1と異なる第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分に空気を通過させて熱交換部30に送る。本実施形態において第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を通過する前の空気は、循環ダクト25の内部を流れている。そのため、加熱本体部22aは、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を通過する前の空気を加熱する。
このように、本実施形態において加熱部22は、加熱本体部22aによって加熱された空気を、第2送風装置23によって第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分に送ることで、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を加熱する。これにより、第2送風装置23は、吸放湿部材40における加熱部22によって加熱された部分の周囲の空気を熱交換部30に送る。
第2送風装置23から第1空間S1を介して熱交換部30に流入した空気は、複数の配管部31aのうち第1空間S1と繋がる配管部31aの内部を通って、第2蓋部33の内部に流入する。第2蓋部33の内部に流入した空気は、複数の配管部31aのうち第2空間S2と繋がる配管部31aの内部を通って、第2空間S2に流入し、連通孔32cから循環ダクト25の内部に流入する。循環ダクト25の内部に流入した空気は、加熱本体部22aによって加熱され、再び第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を通過して循環ダクト26の内部に流入し第2送風装置23に吸気される。
以上のように、本実施形態において冷媒生成部20は、第2送風装置23から放出された空気が循環する循環経路27を有する。循環経路27は、少なくとも循環ダクト25,26と熱交換部30とによって構成されている。循環経路27は、加熱本体部22aと吸放湿部材40と熱交換部30とを通る。吸放湿部材40と循環ダクト25,26との間には僅かに隙間が設けられているが、循環経路27は略密閉されており、循環経路27の内部に外部からの空気が流入することが抑制される。なお、以下の説明においては、第2送風装置23から放出され循環経路27内を循環する空気を空気AR2と呼ぶ。
冷却ダクト21は、回転軸方向DRにおいて、第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分の一方側(+DR側)に配置された流入口を有するダクトである。冷却ダクト21には、第1送風装置60から放出され第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分を通過した空気AR1が流入する。冷却ダクト21は、第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分の一方側の領域から熱交換部30に向かって延びている。
冷却ダクト21は、回転軸方向DRに延びる冷却通路部21aを有する。冷却通路部21aには、熱交換部30の流通部31が延伸方向DEに貫通して配置されている。これにより、冷却通路部21aの内部には、流通部31が配置されている。冷却通路部21aを通る空気AR1は、流通部31の外表面に吹き付けられ、流通部31を回転軸方向DRに通過する。これにより、流通部31は、空気AR1によって冷却される。すなわち、熱交換部30は、第1送風装置60から放出され、吸放湿部材40を通過した空気AR1によって冷却される。図3では、冷却通路部21aにおいて空気AR1は、右側から左側に流通部31を通過している。冷却通路部21aにおける回転軸方向DRの他方側(−DR側)の端部は、開口している。冷却通路部21aの開口は、例えば、冷却ダクト21の流出口である。
第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分に第1送風装置60から空気AR1が送られると、空気AR1に含まれる水蒸気が、第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分に吸湿される。水蒸気を吸湿した吸放湿部材40の部分は、モーター24によって吸放湿部材40が回転させられることで、第1領域F1から第2領域F2に移動する。そして、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分には、加熱本体部22aによって加熱された比較的温度の高い空気AR2が通る。これにより、吸放湿部材40に吸湿された水分が、気化して空気AR2に放湿される。
吸放湿部材40を通過することで空気AR1から吸湿した水蒸気を含んだ空気AR2は、第2送風装置23によって熱交換部30へと送られる。第1空間S1から熱交換部30へと流入した空気AR2は、流通部31の内部を流れる。より詳細には、空気AR2は、流通部31の配管部31aの内部を流れる。流通部31は、冷却ダクト21の冷却通路部21aを回転軸方向DRに沿って流れる空気AR1によって外部から冷却される。
流通部31が冷却されると、配管部31aの内部を流れる比較的温度の高い空気AR2が冷却されて、空気AR2に含まれていた水蒸気が凝縮して液体の水、すなわち冷媒Wになる。このようにして、熱交換部30は、冷却されることで熱交換部30に流入した空気AR2から冷媒Wを生成する。
本実施形態において冷媒伝送部50は、多孔質部材製であり、毛細管現象によって冷媒Wを伝送する。冷媒伝送部50の材質としては、例えば、ポリプロピレン、コットン、ポーラス金属等が挙げられる。冷媒伝送部50の材質は、冷媒伝送部50の表面張力を比較的大きくできる材質が好ましい。冷媒伝送部50は、図5に示すように、第1捕捉部51と、第2捕捉部52と、第3捕捉部53と、接続部54と、を有する。
第1捕捉部51は、第1蓋部32の内側面のうち延伸方向DEの一方側(+DE側)の縁部に固定されている。第1捕捉部51は、薄い帯状であり、第1蓋部32の縁部に沿って矩形枠状に成形されている。第2捕捉部52は、第2蓋部33の内側面のうち延伸方向DEの他方側(−DE側)の縁部に固定されている。第2捕捉部52は、薄い帯状であり、第2蓋部33の縁部に沿って矩形枠状に成形されている。
第3捕捉部53は、第1捕捉部51から配管部31aの内部を通って第2捕捉部52まで延びており、第1捕捉部51と第2捕捉部52とを接続している。第3捕捉部53は、延伸方向DEに延びた薄い帯状である。本実施形態において、第3捕捉部53は、図5に示すように、複数の配管部31aのうち1つの配管部31aの内部に配置されているが、これに限らない。第3捕捉部53は、複数の配管部31aのうち一部の配管部31aの内部に設けられていてもよいし、複数の配管部31aのうち全ての配管部31aの内部に設けられていてもよい。複数の配管部31aのうち一部の配管部31aの内部に設けられる場合、第3捕捉部53は、2つ以上の配管部31aの内部に設けられてもよい。
接続部54は、冷媒生成部20と冷却対象とを接続する部分である。本実施形態において接続部54は、第2捕捉部52に接続され、第2蓋部33の内部から第2蓋部33の外部に第2蓋部33の壁を貫通して突出している。図6に示すように、第2蓋部33の外部に突出した接続部54は、冷却対象である光変調ユニット4Gまで延びている。図6は、光変調ユニット4R,4G,4Bと光合成光学系5とを示す斜視図である。接続部54は、薄い帯状である。接続部54の幅は、例えば、第1捕捉部51の幅、第2捕捉部52の幅、および第3捕捉部53の幅よりも大きい。
次に、本実施形態における冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bについて、より詳細に説明する。以下の説明においては、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向Zを、適宜図においてZ軸で示す。投射光学装置6における最も光射出側の投射レンズの光軸AXと平行な方向、すなわち投射光学装置6の投射方向と平行な方向を「光軸方向X」と呼び、適宜図においてX軸で示す。光軸方向Xは、上下方向Zと直交する。また、光軸方向Xおよび上下方向Zの両方と直交する方向を「幅方向Y」と呼び、適宜図においてY軸で示す。
なお、上下方向Z、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
図7は、光変調ユニット4Gを光入射側から視た図である。図8は、光変調ユニット4Gを示す図であって、図7におけるVIII−VIII断面図である。
冷却対象である光変調ユニット4Rと光変調ユニット4Gと光変調ユニット4Bとは、図6に示すように、光合成光学系5の周りを囲んで配置されている。光変調ユニット4Rと光変調ユニット4Bとは、光合成光学系5を幅方向Yに挟んで互いに反対側に配置されている。光変調ユニット4Gは、光合成光学系5の光軸方向Xの光入射側(−X側)に配置されている。光変調ユニット4Rの構造と光変調ユニット4Gの構造と光変調ユニット4Bの構造とは、配置される位置および姿勢が異なる点を除いて同様であるため、以下の説明においては、代表して光変調ユニット4Gについてのみ説明する場合がある。
冷却対象である光変調ユニット4Rと光変調ユニット4Gと光変調ユニット4Bとは、図6に示すように、光合成光学系5の周りを囲んで配置されている。光変調ユニット4Rと光変調ユニット4Bとは、光合成光学系5を幅方向Yに挟んで互いに反対側に配置されている。光変調ユニット4Gは、光合成光学系5の光軸方向Xの光入射側(−X側)に配置されている。光変調ユニット4Rの構造と光変調ユニット4Gの構造と光変調ユニット4Bの構造とは、配置される位置および姿勢が異なる点を除いて同様であるため、以下の説明においては、代表して光変調ユニット4Gについてのみ説明する場合がある。
光変調ユニット4Gは、光変調装置4GPを保持する保持フレーム80を有する。保持フレーム80は、図6から図8に示すように、光変調装置4GPに光が入射する方向に扁平で上下方向Zに長い略直方体状である。光変調装置4GPの光が入射する方向は、例えば、光軸方向Xである。
保持フレーム80は、図8に示すように、保持フレーム80を光が入射する方向に貫通する貫通孔81を有する。貫通孔81の光入射側(−X側)の縁には、貫通孔81の幅が広くなる段差部83が設けられている。光変調装置4GPは、段差部83に嵌められて保持フレーム80に保持されている。図7に示すように、保持フレーム80の光入射側の面における上下方向Zの両側の部分には、挿入溝82a,82bが形成されている。
プロジェクター1は、図6から図8に示すように、冷却対象である光変調ユニット4Gに設けられた冷却促進部70をさらに備える。冷却促進部70は、冷媒保持部71と、固定部材72と、を有する。冷媒保持部71は、冷却対象である光変調ユニット4Gの保持フレーム80の面に取り付けられている。本実施形態では、冷媒保持部71は、保持フレーム80における光変調装置4GPの光入射側(−X側)の面に設けられている。冷媒保持部71は、冷媒Wを保持する多孔質部材製である。冷媒保持部71の材質としては、例えば、ポリプロピレン、コットン、ポーラス金属等が挙げられる。冷媒保持部71の材質は、例えば、冷媒伝送部50の材質と同じにできる。冷媒保持部71の材質は、冷媒保持部71の表面張力を比較的大きくできる材質が好ましい。
図9は、冷媒保持部71を示す図である。冷媒保持部71は、図9に示すように、矩形枠状の本体部71aと、本体部71aにおける上下方向Zの両側の端部に設けられた挿入部71b,71cと、を有する。本体部71aは、図8に示すように、保持フレーム80における光変調装置4GPの光入射側(−X側)の面の一部を覆っている。本体部71aにおける内縁側の部分は、光変調装置4GPの外縁部分を覆っている。挿入部71bは、折り曲げられて保持フレーム80の挿入溝82aに挿入されている。挿入部71cは、折り曲げられて保持フレーム80の挿入溝82bに挿入されている。
固定部材72は、冷媒保持部71を固定する部材である。固定部材72は、図6および図8に示すように、板状の部材である。固定部材72は、例えば、金属製である。固定部材72は、矩形枠状の枠部72aと、取付部72bと、挿入部72cと、を有する。枠部72aは、図7および図8に示すように、冷媒保持部71の外縁部を覆っている。保持フレーム80と冷媒保持部71と枠部72aとは、光変調ユニット4Gを通過する光の方向(光軸方向X)に積層されている。以下の説明においては、保持フレーム80と冷媒保持部71と枠部72aとが積層された方向を単に「積層方向」と呼ぶ。固定部材72は、枠部72aによって、保持フレーム80との間で冷媒保持部71を積層方向(光軸方向X)に挟んで固定している。
枠部72aの内縁は、冷媒保持部71の内縁よりも外側に設けられている。そのため、冷媒保持部71の一部、すなわち本実施形態では枠部72aよりも内側の部分は、積層方向の固定部材72側から視て、露出している。
取付部72bは、図6および図8に示すように、枠部72aの上下方向Zの両端部における幅方向Yの両端部にそれぞれ設けられている。取付部72bは、枠部72aから保持フレーム80側(+X側)に突出している。取付部72bは、保持フレーム80の側面に設けられた突起に係合されている。これにより、固定部材72は、保持フレーム80に固定されている。
挿入部72cは、枠部72aの上下方向Zの両端部に設けられている。挿入部72cは、枠部72aから保持フレーム80側(+X側)に突出している。挿入部72cは、保持フレーム80の挿入溝82a,82bに挿入されている。挿入部72cは、挿入溝82a,82bの内部において、冷媒保持部71の挿入部71b,71cを押さえている。
冷却促進部70は、複数の光変調ユニット4R,4G,4Bのそれぞれに設けられている。すなわち、冷媒保持部71と固定部材72とは、複数の光変調ユニット4R,4G,4Bのそれぞれに設けられている。図9に示すように、各光変調ユニット4R,4G,4Bのうち、光変調ユニット4Gに設けられた冷媒保持部71Gは、冷媒伝送部50と接続されている。より詳細には、冷媒保持部71Gの下端部には、冷媒伝送部50の接続部54が接続されている。
光変調ユニット4Bに取り付けられた冷媒保持部71Bおよび光変調ユニット4Rに取り付けられた冷媒保持部71Rは、接続部54が接続されていない点を除いて、光変調ユニット4Gに取り付けられた冷媒保持部71Gと同様である。
本実施形態においては、複数の光変調ユニット4R,4G,4Bに設けられた冷媒保持部71同士を互いに連結する多孔質部材製の連結部73a,73bが設けられている。本実施形態では、光変調ユニット4Gに取り付けられた冷媒保持部71Gの両側に、連結部73a,73bを介して、光変調ユニット4Bに取り付けられた冷媒保持部71Bと、光変調ユニット4Rに取り付けられた冷媒保持部71Rとが連結されている。
連結部73aは、光変調ユニット4Gに取り付けられた冷媒保持部71Gと光変調ユニット4Bに取り付けられた冷媒保持部71Bとを連結している。これにより、冷媒保持部71Bは、冷媒保持部71Gを介して冷媒伝送部50の接続部54と接続されている。図6に示すように、連結部73aには、連結部73aを覆う被覆部74が設けられている。被覆部74は、例えば、樹脂製のフィルム等である。
連結部73bは、光変調ユニット4Gに取り付けられた冷媒保持部71と光変調ユニット4Rに取り付けられた冷媒保持部71とを連結している。これにより、冷媒保持部71Rは、冷媒保持部71Gを介して冷媒伝送部50の接続部54と接続されている。図示は省略するが、連結部73bにも、連結部73aと同様に被覆部74が設けられている。
冷媒生成部20によって生成された冷媒Wは、冷媒伝送部50の接続部54によって、冷媒保持部71Gに伝送される。冷媒保持部71Gに伝送された冷媒Wは、連結部73aを介して冷媒保持部71Bに伝送され、かつ、連結部73bを介して冷媒保持部71Rに伝送される。このようにして、冷媒生成部20で生成された冷媒Wが、3つの光変調ユニット4R,4G,4Bに伝送される。そして、伝送され冷媒保持部71に保持された冷媒Wが気化することで、冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bが冷却される。より詳細には、冷媒保持部71に保持された冷媒Wが気化することで、冷媒保持部71が取り付けられた保持フレーム80が冷却され、保持フレーム80が冷却されることで、保持フレーム80が保持する光変調装置4RP,4GP,4BPが冷却される。これにより、冷却装置10によって、冷却対象である光変調装置4RP,4GP,4BPを冷却できる。
プロジェクター1は、図1および図2に示すように、冷却装置10と光源装置2とのうちの少なくとも一方を制御する制御装置90をさらに備える。本実施形態において制御装置90は、冷却装置10と光源装置2とのうちの両方を制御する。制御装置90は、冷却送風装置である第1送風装置60と光源装置2との少なくとも一方を制御する第1制御C1および第2制御C2を実行可能である。本実施形態において制御装置90は、第1制御C1および第2制御C2において、第1送風装置60と光源装置2との両方を制御する。
第1制御C1は、プロジェクター1の各部が適正に動作している場合に実行される制御である。本実施形態において制御装置90は、プロジェクター1の起動に関する情報が所定の条件を満たす場合を除いて、プロジェクター1が起動している間の全体において第1制御C1を実行する。すなわち、第1制御C1は、プロジェクター1の定常動作に相当する。
第2制御C2は、プロジェクター1の起動に関する情報が所定の条件を満たす場合に、プロジェクター1の起動時から或る程度の時間、第1制御C1の代わりに実行される制御である。すなわち、制御装置90は、プロジェクター1の起動に関する情報に基づいて、第1制御C1と第2制御C2とのうちの一方をプロジェクター1の起動時から実行する。
本実施形態においてプロジェクター1の起動に関する情報は、プロジェクター1の起動回数、およびプロジェクター1の電源がOFFにされていた期間の長さを含む。なお、プロジェクター1の起動に関する情報は、プロジェクター1が起動された際におけるプロジェクター1の外部環境の情報を含んでもよいし、プロジェクター1が起動された際におけるプロジェクター1の各部の各種パラメーターを含んでもよい。
本実施形態において制御装置90は、プロジェクター1が初めて起動された場合、およびプロジェクター1の電源がOFFにされていた期間の長さが所定の長さ以上である場合に、プロジェクター1の起動時から第2制御C2を実行する。すなわち、本実施形態において第1制御C1の代わりに第2制御C2が実行される所定の条件は、プロジェクター1が初めて起動されたこと、およびプロジェクター1の電源が所定の長さ以上OFFにされていた後にプロジェクター1が再度起動されたことを含む。
本実施形態においてプロジェクター1が初めて起動されたことは、例えば、光源装置2の累計点灯時間がゼロであることから検出できる。本実施形態においてプロジェクター1の電源がOFFにされていた期間の長さは、例えば、プロジェクター1に設けられた電波時計等によって、前回プロジェクター1の電源がOFFにされた日時と、今回プロジェクター1の電源がONにされた日時との差分を取ることにより得られる。所定の長さは、例えば、1週間以上である。
プロジェクター1が初めて起動された場合、冷媒生成部20では冷媒Wがまだ生成されていない。そのため、プロジェクター1が初めて起動された直後においては、冷媒Wが冷却対象に伝送されない。また、プロジェクター1の電源がOFFにされていた期間の長さが所定の長さ以上となると、前回の起動中にプロジェクター1において使用されずに残っていた冷媒Wが気化して無くなりやすい。そのため、プロジェクター1の電源が所定の長さ以上OFFにされていた後にプロジェクター1が再度起動された直後においては、冷媒Wが冷却対象に伝送されにくい。
このように、本実施形態のプロジェクター1の起動時において第1制御C1の代わりに第2制御C2が実行される所定の条件は、プロジェクター1の起動時において冷却装置10から冷却対象に冷媒Wを直ちに送れない、または送りにくい場合となる条件である。したがって、第2制御C2が実行されている際には、例えば、冷媒Wが冷却対象に送られず、冷媒Wの気化による冷却対象の冷却が行われない。一方、第1制御C1が実行されている際には、冷却装置10によって冷媒Wが冷却対象に送られ、冷媒Wが気化することで冷却対象が冷却される。
なお、第1制御C1および第2制御C2のいずれが実行される場合においても、第1送風装置60からの空気AR1は、冷却対象に送られる。第1制御C1においては、第1送風装置60から送られる空気AR1によって冷媒Wの気化が促されるとともに、第1送風装置60からの空気AR1によって冷却対象が直接的に冷却される。一方、第2制御C2においては、第1送風装置60からの空気AR1によってのみ、冷却対象が冷却される。
第2制御C2において制御装置90は、光源装置2から射出される光(照明光WL)の輝度を制御する輝度制御LCと、第1送風装置60の出力Vfを制御する出力制御OCと、のうちの少なくとも一方を実行する。本実施形態では、第2制御C2において制御装置90は、輝度制御LCと出力制御OCとの両方を実行する。
図10は、第2制御C2の輝度制御LCおよび出力制御OCにおける各パラメーターの変化の一例を示すグラフである。図10の最も上のグラフは、光源装置2から射出される光の輝度Lの時間変化を示すグラフである。図10の中央のグラフは、第1送風装置60の出力Vfの時間変化を示すグラフである。図10の最も下のグラフは、冷媒生成部20における冷媒Wの生成量WAの時間変化を示すグラフである。図10のグラフのうち輝度Lを示すグラフにおいて、縦軸は輝度Lを示し、横軸は時間tを示す。図10のグラフのうち出力Vfを示すグラフにおいて、縦軸は出力Vfを示し、横軸は時間tを示す。図10のグラフのうち生成量WAを示すグラフにおいて、縦軸は生成量WAを示し、横軸は時間tを示す。
図10のグラフのうち輝度Lを示すグラフおよび出力Vfを示すグラフにおいては、実線で第2制御C2における輝度Lおよび出力Vfの変化を示すとともに、二点鎖線で第1制御C1における輝度Lおよび出力Vfの変化を示している。出力Vfは、第1送風装置60に印加される電圧である。図10の各グラフにおいて、時間tがゼロとなる時点が、プロジェクター1を起動させた時点である。図10の生成量WAを示すグラフにおいては、プロジェクター1を起動させた時点、すなわち時間tがゼロの時点において冷媒Wの生成量WAがゼロである場合について示している。図10では、生成量WAが時間tと共に線形に増加する場合について示している。
第2制御C2における輝度制御LCは、図10に示すように、光源装置2から射出される光の輝度Lを第1制御C1において光源装置2から射出される光の輝度Lよりも小さくする制御である。図10の例では、輝度制御LCにおいて輝度Lは、プロジェクター1の起動から時刻T2までの間、値Laまで線形に上昇した後、時刻T2以降は値Laに維持される。一方、二点鎖線に示すように、第1制御C1において輝度Lは、プロジェクター1の起動から時刻T1までの間、値Laよりも大きい値Lbまで線形に上昇した後、時刻T1以降は値Lbに維持される。輝度制御LCにおける輝度Lの値Laは、例えば、第1制御C1における輝度Lの値Lbの50%以上、80%以下程度である。
輝度制御LCにおいて値Laまで上昇する際の輝度Lの変化の傾きは、第1制御C1において値Lbまで上昇する際の輝度Lの変化の傾きよりも小さい。そのため、輝度制御LCにおける輝度Lは、プロジェクター1の起動から輝度Lが値Laまで上昇するまでの間においても、第1制御C1における輝度Lよりも小さい。輝度制御LCにおいて輝度Lが値Laに到達する時刻T2は、第1制御C1において輝度Lが値Lbに到達する時刻T1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。図10では、例えば、時刻T2は、時刻T1よりも後の時刻である。
第2制御C2における出力制御OCは、第1送風装置60の出力Vfを第1制御C1における第1送風装置60の出力Vfよりも大きくする制御である。図10の例では、出力制御OCにおいて出力Vfは、第1制御C1において維持される出力Vfの値Vfaよりも大きい値Vfbに維持される。出力制御OCにおける出力Vfの値Vfbは、例えば、出力制御OCにおける出力Vfの値Vfaの110%以上、150%以下程度である。
次に、制御装置90による制御手順の一例について説明する。図11は、本実施形態の制御装置90の制御手順の一例を示すフローチャートである。
図11に示すように、プロジェクター1が起動された(ステップSt1)場合、制御装置90は、プロジェクター1が初めて起動されたか否かを判断する(ステップSt2)。プロジェクター1が初めて起動された場合(ステップSt2:YES)、制御装置90は、プロジェクター1の起動時から第2制御C2を実行する(ステップSt4)。
図11に示すように、プロジェクター1が起動された(ステップSt1)場合、制御装置90は、プロジェクター1が初めて起動されたか否かを判断する(ステップSt2)。プロジェクター1が初めて起動された場合(ステップSt2:YES)、制御装置90は、プロジェクター1の起動時から第2制御C2を実行する(ステップSt4)。
一方、プロジェクター1が2回目以降に起動された場合(ステップSt2:NO)、制御装置90は、プロジェクター1の電源がOFFにされていた期間が所定の長さ以上か否かを判断する(ステップSt3)。プロジェクター1の電源がOFFにされていた期間が所定の長さ以上だった場合(ステップSt3:YES)、制御装置90は、プロジェクター1の起動時から第2制御C2を実行する(ステップSt4)。一方、プロジェクター1の電源がOFFにされていた期間が所定の長さ未満だった場合(ステップSt3:NO)、制御装置90は、プロジェクター1の起動時から第1制御C1を実行する(ステップSt6)。
プロジェクター1の起動時から第2制御C2を実行する(ステップSt4)場合、制御装置90は、第2制御C2の実行時間tcが所定時間以上か否かを判断する(ステップSt5)。所定時間は、例えば、5分(min)以上、20分(min)以下である。第2制御C2の実行時間tcが所定時間未満の場合(ステップSt5:NO)、制御装置90は、第2制御C2を実行し続ける。一方、第2制御C2の実行時間tcが所定時間以上である場合(ステップSt5:YES)、制御装置90は、第2制御C2を終了し、第1制御C1を実行する(ステップSt6)。すなわち、本実施形態において制御装置90は、プロジェクター1の起動時から第2制御C2を実行する場合、第2制御C2の実行時間tcが所定時間以上となった場合に、第2制御C2を終了し、第2制御C2を終了した後に第1制御C1を実行する。
上記のようにして第2制御C2が終了されるため、本実施形態において第2制御C2の実行時間tcは、所定時間と同様に、例えば、5分(min)以上、20分(min)以下である。すなわち、図10では、第2制御C2の実行時間tcは、プロジェクター1の起動から時刻T3までの時間である。第2制御C2の実行時間tcは、プロジェクター1の立ち上げ時間よりも長い。プロジェクター1の立ち上げ時間とは、プロジェクター1を起動してからカラー画像(映像)を投射可能となるまでの時間である。光源装置2の光源が半導体レーザーである場合、プロジェクター1の立ち上げ時間は、例えば、10秒(s)程度である。光源装置2の光源が放電灯である場合、プロジェクター1の立ち上げ時間は、例えば、1分(min)程度である。
図10の例では、制御装置90は、時刻T3において第2制御C2を終了する。本実施形態では、例えば、第2制御C2を終了する時刻T3において冷媒Wの生成量WAが値WAaとなり、冷媒Wが冷媒伝送部50を介して冷却対象に到達する。本実施形態においては、第2制御C2が終了した後、移行期間Pを挟んで第1制御C1が開始される。移行期間Pにおいて輝度Lは、値Laから値Lbに線形に上昇する。移行期間Pにおいて出力Vfは、値Vfbから値Vfaに線形に下降する。
なお、図10では、輝度Lが値Lbになる時刻と出力Vfが値Vfaになる時刻とを共に時刻T4としているが、これに限られない。輝度Lが値Lbになる時刻と出力Vfが値Vfaになる時刻とは、互いに異なってもよい。
本実施形態によれば、冷却装置10は、冷媒生成部20で生成した冷媒Wを冷媒伝送部50によって冷却対象へと伝送し、吸熱反応である冷媒Wの気化を利用することで冷却対象から熱を奪って冷却対象を冷却することができる。冷媒Wの気化による冷却は、積極的に冷却対象から熱を奪えるため、空冷および液冷のように単に冷媒への伝熱によって冷却対象を冷却する場合に比べて、冷却性能に優れている。これにより、空冷および液冷と同じ冷却性能を得る場合に、空冷および液冷に比べて冷却装置10全体を小型化しやすい。
また、冷媒Wの気化による冷却の場合、気化する冷媒Wが冷却対象と接触する表面積を大きくすることで冷却性能を向上できる。そのため、冷却装置10による冷却性能を大きくしても、騒音が大きくなることを抑制できる。以上により、本実施形態によれば、冷却性能に優れ、かつ、小型で静粛性に優れた冷却装置10を備えたプロジェクター1が得られる。
また、本実施形態によれば、冷媒生成部20において冷媒Wを生成できるため、使用者が冷媒Wを補充する手間がなく、使用者の利便性を向上できる。また、冷媒生成部20によって、冷媒Wを必要なときに必要な分だけ生成することが調整可能であるため、貯蔵タンク等に冷媒Wを溜めておかなくてもよく、プロジェクター1の重量を軽くできる。
また、本実施形態によれば、吸放湿部材40によって第1送風装置60から送られる空気AR1に含まれた水蒸気を吸湿でき、吸放湿部材40によって吸湿した水分を第2送風装置23によって送られる空気AR2内に水蒸気として放湿できる。そして、熱交換部30によって、空気AR2に水蒸気として放湿された水分を凝縮させて冷媒Wを生成することができる。これにより、本実施形態によれば、プロジェクター1内の雰囲気中から冷媒Wを生成することができる。
また、本実施形態によれば、熱交換部30は、第1送風装置60から放出され、吸放湿部材40を通過した空気AR1によって冷却される。そのため、熱交換部30を冷却する冷却部を別途設ける必要がなく、プロジェクター1の部品点数が増加することを抑制できる。また、熱交換部30を冷却する冷却部として送風装置を別途設けるような場合に比べて、プロジェクター1から生じる騒音が大きくなることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、第1送風装置60は、冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bに空気AR1を送る冷却送風装置である。そのため、空気AR1によって光変調ユニット4R,4G,4Bに伝送された冷媒Wを気化させやすく、光変調ユニット4R,4G,4Bをより冷却することができる。また、冷却対象を冷却する冷却送風装置を、第1送風装置60の他に別途設ける必要がないため、プロジェクター1の部品点数が増加することを抑制でき、騒音が大きくなることを抑制できる。
また、上述したように、本実施形態では、プロジェクター1の内部に外部の空気を取り込む吸気ファンである第1送風装置60を利用して、冷却対象に送られた冷媒Wの気化を促進させる。そのため、第1送風装置60の出力を低くしても、冷却装置10が設けられていないときと同等の冷却性能を得ることが可能である。したがって、吸気ファンである第1送風装置60の出力を低くして、第1送風装置60から生じる騒音を低減することができ、プロジェクター1の静粛性をより向上できる。
また、上述したように、プロジェクター1が初めて起動された場合、およびプロジェクター1の電源がOFFにされていた期間の長さが所定の長さ以上である場合等においては、プロジェクター1の内部に冷媒Wが無く、プロジェクター1を起動した直後では、冷媒Wが冷却対象に送られにくい。そのため、プロジェクター1を起動してから冷媒Wが冷却対象に送られるまでに、ある程度時間が掛かる。これにより、冷媒Wが冷却対象に送られるようになるまでの間、冷却対象の冷却が第1送風装置60から送られる空気AR1による冷却のみとなり、冷却対象の冷却が不十分になる虞があった。
これに対して、本実施形態によれば、制御装置90は、プロジェクター1の起動に関する情報に基づいて、第1制御C1と第2制御C2とのうち一方をプロジェクター1の起動時から実行し、第2制御C2において制御装置90は、輝度制御LCと、出力制御OCと、のうちの少なくとも一方を実行する。
輝度制御LCが実行される場合、光源装置2から射出される光の輝度Lが、第1制御C1が実行される場合に比べて小さくなる。そのため、プロジェクター1内における発熱量が低下し、プロジェクター1に備えられた冷却対象の温度が、第1制御C1に比べて上昇しにくい。これにより、冷却対象に冷媒Wが送られない場合であっても、第2制御C2において輝度制御LCを実行することで、冷却対象の冷却が不十分となることを抑制できる。
一方、出力制御OCが実行される場合、冷却対象に空気AR1を送る第1送風装置60の出力Vfが、第1制御C1が実行される場合に比べて大きくなる。そのため、第1送風装置60から冷却対象に送られる空気AR1の量を多くできる。これにより、第1送風装置60による冷却対象の冷却度合いを向上できる。したがって、冷却対象に冷媒Wが送られない場合であっても、第2制御C2において出力制御OCを実行することで、冷却対象の冷却が不十分となることを抑制できる。
以上により、制御装置90は、プロジェクター1の起動に関する情報に基づいて、プロジェクター1の内部に冷媒Wが無い、またはほぼ無い状態であると判断した場合にプロジェクター1の起動時から第2制御C2を行うことで、冷媒Wが生成されて冷却対象に送られるようになるまでの間、冷却対象の冷却が不十分になることを抑制できる。したがって、プロジェクター1の信頼性を向上できる。
また、本実施形態によれば、第2制御C2において制御装置90は、輝度制御LCと出力制御OCとの両方を実行する。そのため、第2制御C2において、プロジェクター1内の発熱量を低下させて冷却対象の温度が上昇することを抑制しつつ、第1送風装置60から冷却対象に送られる空気AR1の量を増加できる。これにより、冷媒Wが冷却対象に送られない場合であっても、冷却対象の冷却が不十分になることをより抑制できる。したがって、プロジェクター1の信頼性をより向上できる。また、輝度制御LCが行われる分、出力制御OCにおいて第1送風装置60の出力Vfを大きくする程度を小さくしても、冷却対象の冷却が不十分になることを抑制できる。そのため、第1送風装置60の出力Vfを比較的小さく抑えることができ、第2制御C2の実行時においてプロジェクター1の騒音が大きくなることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、制御装置90は、プロジェクター1の起動時から第2制御C2を実行する場合、第2制御C2を終了した後に第1制御C1を実行する。そのため、冷媒Wが冷却対象に送られるようになった後において、第2制御C2を終了して第1制御C1を実行することで、冷媒Wの気化によって冷却対象を十分に冷却しつつ、光源装置2から射出される光の輝度Lを大きくし、かつ、第1送風装置60の出力Vfを小さくできる。したがって、プロジェクター1から投射されるカラー画像(映像)を明るくすることができ、使用者の利便性を向上できる。また、第1送風装置60に供給される電力を小さくでき、プロジェクター1の消費電力を小さくできる。また、第1送風装置60から生じる騒音を小さくできる。
また、本実施形態によれば、制御装置90は、プロジェクター1の起動時から第2制御C2を実行する場合、第2制御C2の実行時間tcが所定時間以上となった場合に、第2制御C2を終了する。そのため、冷媒Wがプロジェクター1内に無い状態から、冷媒Wが生成されて冷却対象に送られるようになるまでの時間を実験等によって予め求めておき、所定時間を当該求められた時間以上とすることで、好適なタイミングで第2制御C2を終了できる。図10の例では、冷媒Wの生成量WAが値WAaとなる時刻T3において、冷媒Wが冷却対象に到達する。そのため、時刻T3において第2制御C2を終了しても、時刻T3以降は、冷媒Wの気化によって冷却対象を好適に冷却できる。
また、本実施形態によれば、制御装置90は、プロジェクター1が初めて起動された場合に、プロジェクター1の起動時から第2制御C2を実行する。そのため、プロジェクター1が初めて起動された直後において、冷却対象に冷媒Wが送られなくても、冷却対象の冷却が不十分になることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、制御装置90は、プロジェクター1の電源がOFFにされていた期間の長さが所定の長さ以上だった場合に、プロジェクター1の起動時から第2制御C2を実行する。そのため、プロジェクター1を長期間使用せず、プロジェクター1内の冷媒Wが全て気化して無くなったような場合であっても、プロジェクター1の起動直後において、冷却対象の冷却が不十分になることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、上記の所定の長さは、1週間以上である。そのため、ある程度の頻度でプロジェクター1を使用していれば、プロジェクター1の起動時に第2制御C2が実行されず、プロジェクター1の起動直後において投射されるカラー画像(映像)の明るさが低下することを抑制できる。一方、プロジェクター1内の冷媒Wが無くなる程度にプロジェクター1が使用されなかった場合には、好適に第2制御C2を実行し、冷却対象の冷却が不十分になることを抑制できる。このように、所定の長さを1週間以上とすることで、使用者の利便性が損なわれることを抑制しつつ、好適に第2制御C2を実行することができる。
また、本実施形態によれば、プロジェクター1の起動時から第2制御C2が実行された場合、第2制御C2の実行時間tcは、プロジェクター1の立ち上げ時間よりも長い。そのため、第2制御C2の実行時間tcを十分に確保しやすい。これにより、プロジェクター1が起動されてから、冷媒Wが生成されて冷却対象に送られるようになるまでの間において、好適な長さで第2制御C2を実行できる。したがって、冷却対象の冷却が不十分になることをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、プロジェクター1の起動時から第2制御C2が実行された場合、第2制御C2の実行時間tcは、5分以上、20分以下である。ここで、冷媒Wを生成して冷却対象まで伝送するには、少なくとも数分以上必要な場合が多い。そのため、実行時間tcをこのような数値範囲にすることで、プロジェクター1が起動されてから、冷媒Wが生成されて冷却対象に送られるようになるまでの間において、より好適な長さで第2制御C2を実行できる。したがって、冷却対象の冷却が不十分になることをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、冷却対象は、光変調装置4RP,4GP,4BPである。そのため、光源装置2から射出される光の輝度Lを小さくすることで、冷却対象である光変調装置4RP,4GP,4BPの発熱を好適に小さくできる。したがって、冷却対象が光変調装置4RP,4GP,4BPである場合、第2制御C2において輝度制御LCを実行し、光源装置2から射出される光の輝度Lを小さくすることで、冷却対象の冷却が不十分になることをより好適に抑制できる。
また、例えば、冷媒生成部20において、第2送風装置23から熱交換部30に送られる空気AR2の湿度が比較的低い場合、熱交換部30が冷却されても、冷媒Wが生成されにくい場合がある。熱交換部30に送られる空気AR2の湿度は、例えば、プロジェクター1の外部の空気等が混ざり込むような場合に、低下する場合がある。
これに対して、本実施形態によれば、冷媒生成部20は、第2送風装置23から放出された空気AR2が循環する循環経路27を有する。そのため、循環経路27を略密閉することで循環経路27内にプロジェクター1の外部の空気が入ることを抑制でき、熱交換部30に送られる空気AR2の湿度を比較的高い状態に維持しやすい。したがって、熱交換部30を冷却することで、好適に冷媒Wを生成することができる。
また、本実施形態によれば、加熱部22は、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を通過する前の空気を加熱する加熱本体部22aと、第2送風装置23と、を有する。そのため、加熱部22は、第2送風装置23によって吸放湿部材40に空気AR2を送ることで、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を加熱することができる。これにより、加熱本体部22aを吸放湿部材40から離れた位置に配置しても、加熱部22によって吸放湿部材40を加熱することができる。したがって、加熱部22の構成の自由度を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、冷媒生成部20は、吸放湿部材40を回転させるモーター24を有する。そのため、吸放湿部材40を一定の速度で安定して回転させることができる。これにより、第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分に空気AR1から好適に水蒸気を吸湿させることができ、かつ、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分から空気AR2へと好適に水分を放湿させることができる。したがって、効率的に冷媒Wを生成できる。
また、本実施形態によれば、冷媒伝送部50は、毛細管現象によって冷媒Wを伝送する。そのため、冷媒Wを伝送するためにポンプ等の動力を別途用意する必要がない。これにより、プロジェクター1の部品点数が増加することを抑制でき、プロジェクター1をより小型・軽量化しやすい。
また、本実施形態によれば、冷媒伝送部50は、冷媒生成部20と冷却対象とを接続する多孔質部材製の接続部54を有する。そのため、冷媒Wを接続部54に吸収させて毛細管現象によって伝送することができる。
また、本実施形態によれば、冷媒伝送部50は、第2蓋部33の内部に設けられた第2捕捉部52を有する。第2捕捉部52は、接続部54と接続されている。そのため、第2蓋部33の内部に溜まった冷媒Wを第2捕捉部52で吸収して毛細管現象によって接続部54に伝送することができる。これにより、生成した冷媒Wを無駄なく冷却対象へと送りやすい。
また、本実施形態によれば、冷媒伝送部50は、第1蓋部32の内部に設けられた第1捕捉部51と、第1捕捉部51と第2捕捉部52とを接続する第3捕捉部53と、を有する。これにより、第1蓋部32の内部に溜まった冷媒Wを第1捕捉部51で吸収して、毛細管現象によって第3捕捉部53を介して第2捕捉部52に伝送することができる。したがって、第1蓋部32の内部に溜まった冷媒Wを第2捕捉部52から接続部54に伝送して、冷却対象に伝送することができる。そのため、生成した冷媒Wをより無駄なく冷却対象へと送りやすい。
また、本実施形態によれば、第3捕捉部53は、配管部31aの内部を通る。そのため、配管部31aの内部に溜まった冷媒Wを第3捕捉部53で吸収して、第2捕捉部52および接続部54を介して冷却対象へと伝送することができる。したがって、生成した冷媒Wをより無駄なく冷却対象へと送りやすい。
また、本実施形態によれば、接続部54の幅は、例えば、第1捕捉部51の幅、第2捕捉部52の幅、および第3捕捉部53の幅よりも大きい。そのため、接続部54の幅を比較的大きくしやすく、接続部54によって伝送できる冷媒Wの量を多くできる。したがって、冷媒伝送部50によって冷媒Wを冷却対象に送りやすく、冷却対象をより冷却しやすい。
また、一方で、第1捕捉部51の幅、第2捕捉部52の幅、および第3捕捉部53の幅を比較的小さくしやすい。そのため、第1捕捉部51と第2捕捉部52と第3捕捉部53とによって保持される冷媒Wの量を少なくできる。これにより、第1捕捉部51と第2捕捉部52と第3捕捉部53とによって保持されたまま、熱交換部30の内部に残る冷媒Wの量を少なくでき、生成した冷媒Wをより無駄なく冷却対象へと送りやすい。
また、本実施形態によれば、冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bに設けられ、冷媒Wを保持する冷媒保持部71が設けられる。そのため、光変調ユニット4R,4G,4Bに伝送された冷媒Wを、冷媒Wが気化するまで冷媒保持部71によって光変調ユニット4R,4G,4Bに対して保持しておくことができる。これにより、生成した冷媒Wを無駄なく利用しやすく、冷却装置10の冷却性能をより向上させることができる。
また、本実施形態によれば、冷媒保持部71は、冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bの面に取り付けられ、かつ、多孔質部材製である。そして、冷媒保持部71の少なくとも一部は、積層方向の冷媒保持部71側から視て、露出している。そのため、冷媒保持部71の露出した部分から冷媒Wを気化させやすく、冷却装置10の冷却性能をより向上させることができる。また、冷媒保持部71が多孔質部材製であるため、毛細管現象によって、冷媒保持部71が設けられた冷却対象の面上に均一に冷媒Wを行き渡らせやすく、より冷却対象を冷却しやすい。
また、例えば、接着剤によって冷媒保持部71を保持フレーム80に固定する場合、接着剤が冷媒保持部71に吸収されて、多孔質部材製である冷媒保持部71の孔が塞がれる場合がある。そのため、冷媒保持部71に冷媒Wが吸収されにくくなり、冷媒保持部71によって冷媒Wを保持しにくくなる場合がある。
これに対して、本実施形態によれば、冷媒保持部71を保持フレーム80との間で挟んで固定する固定部材72が設けられている。そのため、接着剤を使用することなく、冷媒保持部71を保持フレーム80に対して固定することができる。これにより、冷媒保持部71によって冷媒Wを保持しにくくなることを抑制できる。また、本実施形態では、固定部材72は金属製である。そのため、固定部材72は、熱伝導率が比較的高く、冷却されやすい。したがって、第1送風装置60からの空気AR1および冷媒Wの気化によって固定部材72の温度が低下しやすく、固定部材72と接触する冷却対象をより冷却しやすい。
また、本実施形態によれば、冷媒保持部71は、保持フレーム80における光変調装置4GPの光入射側の面に設けられている。そのため、冷媒保持部71から気化した冷媒Wの水蒸気が、光変調装置4GPから光合成光学系5に射出される光に影響を与えることを抑制できる。これにより、プロジェクター1から投射される画像にノイズが生じることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、冷媒保持部71は、複数設けられた光変調ユニット4R,4G,4Bにそれぞれ設けられ、複数の冷媒保持部71同士を互いに連結する連結部73a,73bが設けられている。そのため、冷媒伝送部50を1つの冷媒保持部71に接続させることで、他の冷媒保持部71にも冷媒Wを伝送することができる。これにより、プロジェクター1の内部における冷媒伝送部50の引き回しを簡単化できる。
また、本実施形態によれば、連結部73a,73bには、連結部73a,73bをそれぞれ覆う被覆部74が設けられている。そのため、連結部73a,73bを伝って移動する冷媒Wが連結部73a,73bにおいて気化することを抑制できる。これにより、冷媒Wが冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bの冷却に寄与せずに気化することを抑制でき、生成した冷媒Wが無駄になることを抑制できる。
なお、本実施形態においては、連結部73a,73bと同様に、接続部54が被覆されていてもよい。この構成によれば、冷却対象に伝送する間に冷媒Wが気化することを抑制できる。そのため、冷却対象に効率よく冷媒Wを伝送でき、かつ、生成した冷媒Wが無駄になることをより抑制できる。接続部54および連結部73a,73bは、例えば、チューブ等によって周囲を被覆されてもよい。また、接続部54および連結部73a,73bは、表面に気化を抑制するコーティング処理が施されてもよい。
なお、本実施形態においては、下記の構成および方法を採用することもできる。
制御装置は、プロジェクターの起動に関する情報に基づいて、第1制御と第2制御とのうちの一方をプロジェクターの起動時から実行するならば、プロジェクターの起動中においてどのような制御を行ってもよい。制御装置は、プロジェクターの起動時から第2制御を行う場合、第2制御が終了した後に、第1制御と異なる他の制御を行ってもよい。また、第2制御が終了した後、第1制御を実行する場合において、制御装置は、再び第2制御を実行してもよい。制御装置は、第2制御において、輝度制御と出力制御とのうち一方のみを実行してもよい。また、制御装置は、第2制御ごとに、第2制御において実行される制御を変更してもよい。
制御装置は、プロジェクターの起動に関する情報に基づいて、第1制御と第2制御とのうちの一方をプロジェクターの起動時から実行するならば、プロジェクターの起動中においてどのような制御を行ってもよい。制御装置は、プロジェクターの起動時から第2制御を行う場合、第2制御が終了した後に、第1制御と異なる他の制御を行ってもよい。また、第2制御が終了した後、第1制御を実行する場合において、制御装置は、再び第2制御を実行してもよい。制御装置は、第2制御において、輝度制御と出力制御とのうち一方のみを実行してもよい。また、制御装置は、第2制御ごとに、第2制御において実行される制御を変更してもよい。
プロジェクターは、図2に二点鎖線で示す温度センサー100を備えてもよい。温度センサー100は、冷却対象の温度を計測するセンサーである。図2において温度センサー100は、冷却対象である光変調装置4RP,4GP,4BPのそれぞれに設けられている。この構成において制御装置は、プロジェクターの起動時から第2制御を実行する場合、温度センサー100から得られた冷却対象の温度に基づいて第2制御を終了してもよい。ここで、第2制御を実行している際に、冷媒が冷却対象に送られる状態になると、冷媒の気化によっても冷却対象が冷却されるようになるため、冷却対象の温度が急激に低下するようになる。そのため、冷却対象の温度変化を温度センサー100で検出することで、冷却対象に冷媒が到達したことを検出できる。これにより、温度センサー100から得られた冷却対象の温度に基づいて第2制御を終了することで、好適なタイミングにおいて第2制御を終了させることができる。
また、この構成において制御装置は、プロジェクターの起動時から第2制御を実行する場合、温度センサー100から得られた冷却対象の温度が所定の変化率以上で低下し始めた場合に第2制御を終了してもよい。上述したように、第2制御の実行中に冷媒が冷却対象に到達して気化し始めると、冷却対象の温度は急激に低下する。そのため、温度センサー100によって、冷却対象の温度が所定の変化率以上で低下し始めたことを検出することで、冷却対象に冷媒が到達したことをより好適に検出できる。したがって、より好適なタイミングで第2制御を終了させることができる。
また、制御装置は、第1制御を実行している間、上述したような温度センサー100から得られた冷却対象の温度に基づいて、第1制御を終了し、第2制御を実行してもよい。具体的に制御装置は、第1制御を実行している間、温度センサー100から得られた冷却対象の温度が所定の温度以上である場合に、第1制御を終了し、第2制御を実行してもよい。この構成によれば、冷却対象の温度が所定の温度以上となった場合に、第2制御を実行して、冷却対象の温度を低くできる。そのため、プロジェクターの動作中において、例えば、冷却対象の冷却が不十分になることをより抑制できる。
加熱部は、上述した実施形態に限られない。加熱部は、吸放湿部材に接触して吸放湿部材を加熱する構成であってもよい。この場合、加熱部は、吸放湿部材を通過する前の空気を加熱しなくてもよい。
上述した実施形態において冷却送風装置は、冷媒生成部20に設けられた第1送風装置60としたが、これに限られない。冷却送風装置は、冷媒生成部20に設けられる送風装置の他に別途設けられていてもよい。
また、上述した実施形態において冷却対象は、光変調ユニットとしたが、これに限られない。冷却対象は、光変調装置と、光変調ユニットと、光源装置と、光源装置から射出された光の波長を変換する波長変換素子と、光源装置から射出された光を拡散する拡散素子と、光源装置から射出された光の偏光方向を変換する偏光変換素子とのうちの少なくとも一つを含んでもよい。この構成によれば、プロジェクターの各部を上述したのと同様に、冷却することができる。
また、上記実施形態において、透過型のプロジェクターに本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型のプロジェクターにも適用することも可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含む光変調装置が光を透過するタイプであることを意味する。「反射型」とは、光変調装置が光を反射するタイプであることを意味する。なお、光変調装置は、液晶パネル等に限られず、例えばマイクロミラーを用いた光変調装置であってもよい。
また、上記実施形態において、3つの光変調装置を用いたプロジェクターの例を挙げたが、本発明は、1つの光変調装置のみを用いたプロジェクター、4つ以上の光変調装置を用いたプロジェクターにも適用可能である。
また、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
1…プロジェクター、2…光源装置、4R,4G,4B…光変調ユニット(冷却対象)、4RP,4GP,4BP…光変調装置(冷却対象)、6…投射光学装置、10…冷却装置、20…冷媒生成部、50…冷媒伝送部、60…第1送風装置(冷却送風装置)、90…制御装置、100…温度センサー、C1…第1制御、C2…第2制御、L…輝度、LC…輝度制御、OC…出力制御、tc…実行時間、Vf…出力、W…冷媒
Claims (14)
- 冷却対象を備えるプロジェクターであって、
光を射出する光源装置と、
前記光源装置からの光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、
冷媒が気体へ変化することで前記冷却対象を冷却する冷却装置と、
前記冷却装置と前記光源装置とのうちの少なくとも一方を制御する制御装置と、
を備え、
前記冷却装置は、
前記冷媒を生成する冷媒生成部と、
生成された前記冷媒を前記冷却対象に向けて伝送する冷媒伝送部と、
前記冷却対象に空気を送る冷却送風装置と、
を有し、
前記制御装置は、前記冷却送風装置と前記光源装置との少なくとも一方を制御する第1制御および第2制御を実行可能であり、かつ、前記プロジェクターの起動に関する情報に基づいて、前記第1制御と前記第2制御とのうちの一方を前記プロジェクターの起動時から実行し、
前記第2制御において前記制御装置は、前記光源装置から射出される光の輝度を前記第1制御において前記光源装置から射出される光の輝度よりも小さくする輝度制御と、前記冷却送風装置の出力を前記第1制御における前記冷却送風装置の出力よりも大きくする出力制御と、のうちの少なくとも一方を実行することを特徴とするプロジェクター。 - 前記第2制御において前記制御装置は、前記輝度制御と前記出力制御との両方を実行する、請求項1に記載のプロジェクター。
- 前記制御装置は、前記プロジェクターの起動時から前記第2制御を実行する場合、前記第2制御を終了した後に前記第1制御を実行する、請求項1または2に記載のプロジェクター。
- 前記制御装置は、前記プロジェクターの起動時から前記第2制御を実行する場合、前記第2制御の実行時間が所定時間以上である場合に、前記第2制御を終了する、請求項3に記載のプロジェクター。
- 前記冷却対象の温度を計測する温度センサーをさらに備え、
前記制御装置は、前記プロジェクターの起動時から前記第2制御を実行する場合、前記温度センサーから得られた前記冷却対象の温度に基づいて前記第2制御を終了する、請求項3に記載のプロジェクター。 - 前記制御装置は、前記プロジェクターの起動時から前記第2制御を実行する場合、前記温度センサーから得られた前記冷却対象の温度が所定の変化率以上で低下し始めた場合に前記第2制御を終了する、請求項5に記載のプロジェクター。
- 前記制御装置は、前記第1制御を実行している間、前記温度センサーから得られた前記冷却対象の温度に基づいて、前記第1制御を終了し、前記第2制御を実行する、請求項5または6に記載のプロジェクター。
- 前記制御装置は、前記第1制御を実行している間、前記温度センサーから得られた前記冷却対象の温度が所定の温度以上である場合に、前記第1制御を終了し、前記第2制御を実行する、請求項7に記載のプロジェクター。
- 前記プロジェクターの起動に関する情報は、前記プロジェクターの起動回数を含み、
前記制御装置は、前記プロジェクターが初めて起動された場合に、前記プロジェクターの起動時から前記第2制御を実行する、請求項1から8のいずれか一項に記載のプロジェクター。 - 前記プロジェクターの起動に関する情報は、前記プロジェクターの電源がOFFにされていた期間の長さを含み、
前記制御装置は、前記プロジェクターの電源がOFFにされていた期間の長さが所定の長さ以上である場合に、前記プロジェクターの起動時から前記第2制御を実行する、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロジェクター。 - 前記所定の長さは、1週間以上である、請求項10に記載のプロジェクター。
- 前記プロジェクターの起動時から前記第2制御が実行された場合、前記第2制御の実行時間は、前記プロジェクターの立ち上げ時間よりも長い、請求項1から11のいずれか一項に記載のプロジェクター。
- 前記プロジェクターの起動時から前記第2制御が実行された場合、前記第2制御の実行時間は、5分以上、20分以下である、請求項12に記載のプロジェクター。
- 前記冷却対象は、前記光変調装置である、請求項1から13のいずれか一項に記載のプロジェクター。
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