JP4419646B2 - 光学装置およびプロジェクタ - Google Patents

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Description

本発明は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調素子と、この光変調素子を冷却する冷却装置とを備えた光学装置、および、この光学装置を備えたプロジェクタに関する。
従来から、会議、学会、展示会等でのプレゼンテーションや、家庭での映画鑑賞等にプロジェクタが用いられている。このようなプロジェクタは、光源と、この光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調素子と、この光変調素子の前段および後段に配置され、入射光束の光学変換を行う複数の光学部品とを備える光学装置を備え、この光学装置により形成した光学像を拡大投写する。
近年、プロジェクタの高輝度化および小型化が図られ、プロジェクタ内部に配置された光変調素子および光学部品の高温化が著しい。また、これら光変調素子および光学部品は、熱に弱く、熱劣化を起こしやすい。光変調素子および光学部品に熱劣化が生じた場合、光学像形成に悪影響を与え、プロジェクタの機能維持に支障をきたす場合がある。このため、従来では、ファン等によって冷却空気を送風する空冷式の冷却系が用いられることが一般的であった。しかしながら、空冷式では、放熱能力に限界があるとともに、送風量を確保するために、ファンを高速回転させたり、大型のファンを用いる必要があり、プロジェクタの低騒音化および小型化に対応できないという問題がある。このため、これら光変調素子および光学部品を効率良く冷却する他の冷却系が検討されてきた。
このような問題を解決する1つの冷却系として、内部に冷却媒体(冷媒液)を循環させ、発熱素子を冷却する冷却構造を具備した電子装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような冷却構造では、発熱素子であるCPUに水冷ジャケットを取り付け、この水冷ジャケット、放熱パイプおよびポンプをチューブによって接続し、ポンプによって内部に封入した冷却媒体を循環させてCPUを冷却する。このような冷却構造をプロジェクタの光学装置に採用し、光変調素子の熱を冷却すれば、液体は、空気に比べて比熱が大きく、熱伝達力が高いので、光変調素子を効率良く冷却できるだけでなく、ファンの回転音および風切音が発生しなくなるので、プロジェクタの低騒音化を実現することができる。
特開2003−124670号公報
特許文献1に記載の冷却構造をプロジェクタに採用して、光変調素子を効果的に冷却するには、光変調素子の光学像形成領域を冷却媒体によって冷却する必要がある。このような場合、光変調素子で光学像を形成する光束が冷却媒体を透過することとなる。ここで、冷却構造内を冷却媒体が長時間循環すると、冷却媒体に循環経路から不純物が混入したり、光変調装置の熱による冷却媒体の熱劣化が発生したりするため、冷却媒体が変色する場合がある。このような場合、変色した冷却媒体を光束が透過することとなるため、光変調素子で形成される光学像が劣化してしまうという問題がある。
本発明の目的は、光変調素子を効率良く冷却することができ、該光変調素子で形成される光学像の劣化を防ぐことができる光学装置を提供することである。
本発明の光学装置は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調素子と、この光変調素子の画像形成領域に応じた開口を備え、この光変調素子を保持する保持枠とを備えた光変調装置を具備する光学装置であって、前記光変調装置の光束入射側および/または光束射出側には、該光変調装置の画像形成領域に応じた開口が形成され、前記光変調素子を冷却する冷却媒体が封入される容器状の冷却媒体封入部と、前記冷却媒体封入部に収納され、冷却媒体が流通する配管と、前記配管を前記冷却媒体封入部に固定する固定部材とが設けられ、この冷却媒体封入部は、前記開口を含む空間に前記冷却媒体を密閉封入する第1冷却室と、前記開口を避けた位置に、前記第1冷却室とは区画して形成され、他の冷却媒体を前記冷却媒体封入部外部から導いて流通させる前記配管内部の空間の第2冷却室とを備え、前記保持枠には、前記冷却媒体封入部の外側に突出する突起が形成され、前記冷却媒体封入部の外側に被せられ、この突起と係合することにより、該冷却媒体封入部を前記保持枠に固定する固定具を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、光変調素子は冷却媒体封入部の第1冷却室に密閉封入された冷却媒体により冷却され、この冷却媒体は第2冷却室内を流通する他の冷却媒体により冷却される。ここで、光変調素子に入射する光束、または、光変調素子から射出された光束は、第1冷却室内の冷却媒体を透過することとなる。このため、第1冷却室内の冷却媒体は、循環せずに光変調素子を冷却することとなるので、冷却媒体に不純物が混入するなどして劣化することを抑えることができる。また、この冷却媒体は、第2冷却室内を循環する冷却媒体により冷却されるので、光変調素子を冷却する冷却媒体の温度上昇を抑えることができる。これにより、第1冷却室内の冷却媒体による光変調素子の冷却効率を向上できるだけでなく、該冷却媒体の熱劣化を防ぐことができる。従って、光変調素子の冷却を効率良く冷却できるだけでなく、光束が透過する冷却媒体の劣化を抑え、光変調素子によって形成される光学像の劣化を防ぐことができる。
また、第2冷却室内を流通する冷却媒体には、光束が透過されないので、第2冷却室内の冷却媒体は、光束透過性である必要はなく、また無色透明である必要が無い。従って、冷却媒体の選択範囲を広げることができるので、安価な冷却媒体を使用することができ、ひいては光学装置の製造コストを低減することができる。
また、第1冷却室および第2冷却室を確実に区画でき、かつ、冷却装置の構成を簡素化することができる。すなわち、第1冷却室内に第2冷却室となる配管を、光束が透過する開口を囲むように配置して、配管内に第2の冷却媒体を流通させることにより冷却媒体封入部を構成できる。
また、第2冷却室が配管内の空間として構成されているので、第2冷却室における冷却媒体の流通を良くすることができる。これにより、第2冷却室内での冷却媒体の停滞を防ぐことができ、第2冷却室の冷却媒体による第1冷却室の冷却媒体の冷却を効率良く行うことができる。
さらに、保持枠には、冷却媒体封入部の外側に突出する突起が形成され、冷却媒体封入部の外側に被せられ、この突起と係合することにより、該冷却媒体封入部を保持枠に固定する固定具を備えているため、保持枠の光束入射側または光束射出側に冷却媒体封入部を取り付けた後に、保持枠に形成された突起に係合するように固定部を取り付けることにより、冷却媒体封入部を保持枠に簡単に固定することができる。従って、光学装置の製造工程を簡略化することができる。
本発明では、前記配管は、熱伝導性材料から構成されることが好ましい。
本発明によれば、配管が熱伝導性材料であるため、第1冷却室内の冷却媒体を効果的に冷却することができ、ひいては、光変調素子を効果的に冷却することができる。
本発明では、前記配管は、前記開口部を囲むように配設されることが好ましい。
本発明によれば、第1冷却室内の冷却媒体と、配管との接触面積を拡大することができる。これによれば、第1冷却室内の冷却媒体の熱が配管に伝導され、この配管の熱を該配管内を流通する冷却媒体により冷却しやすくすることができる。従って、第1冷却室内の冷却媒体を一層効果的に冷却することができ、光変調素子を一層効率良く冷却することができる。
本発明の光学装置は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調素子と、この光変調素子の画像形成領域に応じた開口を備え、この光変調素子を保持する保持枠とを備えた光変調装置を具備する光学装置であって、前記光変調装置の光束入射側および/または光束射出側には、該光変調装置の画像形成領域に応じた開口と、前記開口を囲む隔壁とが形成され、前記光変調素子を冷却する冷却媒体が封入される容器状の冷却媒体封入部が設けられ、この冷却媒体封入部は、前記開口を含む空間に前記冷却媒体を密閉封入する第1冷却室と、前記開口を避けた位置に、前記第1冷却室とは前記隔壁によって区画して形成され、他の冷却媒体を前記冷却媒体封入部外部から導いて流通させる第2冷却室とを備え、前記保持枠には、前記冷却媒体封入部の外側に突出する突起が形成され、前記冷却媒体封入部の外側に被せられ、この突起と係合することにより、該冷却媒体封入部を前記保持枠に固定する固定具を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、光変調素子は冷却媒体封入部の第1冷却室に密閉封入された冷却媒体により冷却され、この冷却媒体は第2冷却室内を流通する他の冷却媒体により冷却される。ここで、光変調素子に入射する光束、または、光変調素子から射出された光束は、第1冷却室内の冷却媒体を透過することとなる。このため、第1冷却室内の冷却媒体は、循環せずに光変調素子を冷却することとなるので、冷却媒体に不純物が混入するなどして劣化することを抑えることができる。また、この冷却媒体は、第2冷却室内を循環する冷却媒体により冷却されるので、光変調素子を冷却する冷却媒体の温度上昇を抑えることができる。これにより、第1冷却室内の冷却媒体による光変調素子の冷却効率を向上できるだけでなく、該冷却媒体の熱劣化を防ぐことができる。従って、光変調素子の冷却を効率良く冷却できるだけでなく、光束が透過する冷却媒体の劣化を抑え、光変調素子によって形成される光学像の劣化を防ぐことができる。
また、第2冷却室内を流通する冷却媒体には、光束が透過されないので、第2冷却室内の冷却媒体は、光束透過性である必要はなく、また無色透明である必要が無い。従って、冷却媒体の選択範囲を広げることができるので、安価な冷却媒体を使用することができ、ひいては光学装置の製造コストを低減することができる。
また、光束が透過する開口を囲む隔壁により、第1冷却室および第2冷却室が区画され、この隔壁は熱伝導性材料から形成されているので、これらを冷却媒体封入部内に一体的に形成することができる。これにより、冷却媒体封入部の部品点数を削減でき、冷却媒体封入部の構成を簡素化することができる。また、第1冷却室および第2冷却室が、冷却媒体封入部内に一体的に形成されているので、これら第1冷却室および第2冷却室のいずれかを、冷却媒体封入部内に別部材として設ける必要が無い。このため、冷却媒体封入部の製造工程を簡素化することができる。
さらに、保持枠には、冷却媒体封入部の外側に突出する突起が形成され、冷却媒体封入部の外側に被せられ、この突起と係合することにより、該冷却媒体封入部を保持枠に固定する固定具を備えているため、保持枠の光束入射側または光束射出側に冷却媒体封入部を取り付けた後に、保持枠に形成された突起に係合するように固定部を取り付けることにより、冷却媒体封入部を保持枠に簡単に固定することができる。従って、光学装置の製造工程を簡略化することができる。
本発明では、前記隔壁の少なくとも一部には、該隔壁の内側および/または外側に突出する蛇行部が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、隔壁に形成された蛇行部により、隔壁と第1冷却室内の冷却媒体および第2冷却室の冷却媒体の少なくともいずれかとの接触面積を拡大することができる。これによれば、第1冷却室内の冷却媒体と、第2冷却室内の冷却媒体との、隔壁を介して行われる熱伝導を効果的に行うことができる。従って、第1冷却室内の冷却媒体の冷却を効率良く行うことができ、ひいては、光変調素子の冷却効率を一層向上することができる。
本発明では、前記冷却媒体封入部は、前記光変調装置の光束射出側および光束入射側の双方に設けられ、それぞれの冷却媒体封入部の第2冷却室を連絡する流路接続部材を備えていることが好ましい。
本発明によれば、それぞれの冷却装置は、光変調素子を光束入射側および光束射出側の両面から光変調素子を冷却することができる。これにより、光変調素子をより効果的に冷却することができる。また、光変調素子を、該光変調素子の両面から冷却することができるので、光変調素子における熱分布を均等にすることができる。従って、光変調素子の局所的な高温化を防ぐことができ、熱劣化を一層抑えられるとともに、製品寿命を延ばすことができる。
さらに、流路接続部材により、それぞれの冷却媒体封入部に設けられた第2冷却室間が接続されるので、第2冷却室を流通する冷却媒体の流通経路を統一することができ、光学装置の構成を簡素化することができる。
また、本発明のプロジェクタは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、前記光学像を拡大投写するプロジェクタであって、前述の光学装置を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前述の光学装置と略同じ効果を奏することができる。すなわち、冷却媒体封入部の第1冷却室に密閉封入された冷却媒体により、光学像を形成する光変調素子を冷却することができるとともに、この冷却媒体を、第2冷却室内を流通する別の冷却媒体によって冷却することができる。従って、光変調素子の冷却を効果的に行うことができる。
また、第1冷却室内の冷却媒体を冷却する第2冷却室内の冷却媒体には、光学像形成に利用される光束が透過されないので、第2冷却室内を流通する冷却媒体が変色した場合、および、流通過程における不純物の混入が発生した場合でも、形成される光学像に悪影響を与えることを防ぐことができる。
従って、光変調素子の冷却を効果的に行うことができるとともに、光学像の劣化を防ぐことができる。
〔1.第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)プロジェクタの構成
図1は、プロジェクタ1の概略構成を模式的に示す図である。
プロジェクタ1は、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、形成した光学像をスクリーン上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、外装ケース2と、冷却ユニット3と、光学ユニット4と、投射光学装置としての投射レンズ5とを備える。
なお、図1において、図示は省略するが、外装ケース2内において、冷却ユニット3、光学ユニット4、および投射レンズ5以外の空間には、電源ブロック、ランプ駆動回路等が配置されるものとする。
外装ケース2は、合成樹脂等から構成され、冷却ユニット3、光学ユニット4、および投射レンズ5を内部に収納配置する全体略直方体状に形成されている。この外装ケース2は、図示は省略するが、プロジェクタ1の天面、前面、背面、および側面をそれぞれ構成するアッパーケースと、プロジェクタ1の底面、前面、側面、および背面をそれぞれ構成するロアーケースとで構成され、前記アッパーケースおよび前記ロアーケースは互いにねじ等で固定されている。
なお、外装ケース2は、合成樹脂製に限らず、その他の材料にて形成してもよく、例えば、金属等により構成してもよい。
また、図示は省略するが、この外装ケース2には、冷却ユニット3によりプロジェクタ1外部から冷却空気を内部に導入するための吸気口、およびプロジェクタ1内部で温められた空気を排出するための排気口が形成されている。
さらに、この外装ケース2には、図1に示すように、投射レンズ5の側方で外装ケース2の角部分に位置し、光学ユニット4の後述する光学装置のラジエータを他の部材と隔離する隔壁21が形成されている。
冷却ユニット3は、プロジェクタ1内部に形成される冷却流路に冷却空気を送り込み、プロジェクタ1内で発生する熱を冷却する。この冷却ユニット3は、投射レンズ5の側方に位置し、外装ケース2に形成された図示しない吸気口からプロジェクタ1外部の冷却空気を内部に導入して光学ユニット4の後述する光学装置に冷却空気を吹き付けるシロッコファン31と、外装ケース2に形成された隔壁21内部に位置し、外装ケース2に形成された図示しない吸気口からプロジェクタ1外部の冷却空気を内部に導入して光学ユニット4の後述するラジエータに冷却空気を吹き付ける冷却ファンとしての軸流ファン32とを備える。
なお、この冷却ユニット3は、図示は省略するが、シロッコファン31および軸流ファン32の他、光学ユニット4の後述する光源装置、および図示しない電源ブロック、ランプ駆動回路等を冷却するための冷却ファンも有しているものとする。
光学ユニット4は、光源から射出された光束を、光学的に処理して画像情報に対応して光学像(カラー画像)を形成するユニットである。この光学ユニット4は、図1に示すように、外装ケース2の背面に沿って延出するとともに、外装ケース2の側面に沿って延出する平面視略L字形状を有している。なお、この光学ユニット4の詳細な構成については、後述する。
投射レンズ5は、複数のレンズが組み合わされた組レンズとして構成される。そして、この投射レンズ5は、光学ユニット4にて形成された光学像(カラー画像)を図示しないスクリーン上に拡大投射する。
(2)光学ユニットの詳細な構成
光学ユニット4は、図1に示すように、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、光学装置44と、これら光学部品41〜43、および、光学装置44の後述する光学装置本体45を収納配置する光学部品用筐体46とを備える。
インテグレータ照明光学系41は、光学装置44を構成する後述する液晶パネルの画像形成領域を略均一に照明するための光学系である。このインテグレータ照明光学系41は、図1に示すように、光源装置411と、第1レンズアレイ412と、第2レンズアレイ413と、偏光変換素子414と、重畳レンズ415とを備える。
光源装置411は、放射状の光線を射出する光源ランプ416と、この光源ランプ416から射出された放射光を反射するリフレクタ417とを備える。光源ランプ416としては、ハロゲンランプやメタルハライドランプ、高圧水銀ランプが多用される。また、リフレクタ417としては、図1では、放物面鏡を採用しているが、これに限らず、楕円面鏡で構成し、光束射出側に該楕円面鏡により反射された光束を平行光とする平行化凹レンズを採用した構成としてもよい。
第1レンズアレイ412は、光軸方向から見て略矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズは、光源装置411から射出される光束を、複数の部分光束に分割している。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様な構成を有しており、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を光学装置44の後述する液晶パネル上に結像させる機能を有している。
偏光変換素子414は、第2レンズアレイ413と重畳レンズ415との間に配置され、第2レンズアレイ413からの光を略1種類の偏光光に変換するものである。
具体的に、偏光変換素子414によって略1種類の偏光光に変換された各部分光は、重畳レンズ415によって最終的に光学装置44の後述する液晶パネル上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネルを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源装置411からの光の略半分を利用できない。このため、偏光変換素子414を用いることで、光源装置411からの射出光を略1種類の偏光光に変換し、光学装置44での光の利用効率を高めている。
色分離光学系42は、図1に示すように、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421,422によりインテグレータ照明光学系41から射出された複数の部分光束を、赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。
リレー光学系43は、図1に示すように、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432,434を備え、色分離光学系42で分離された赤色光を光学装置44の後述する赤色光用の液晶パネルまで導く機能を有している。
この際、色分離光学系42のダイクロイックミラー421では、インテグレータ照明光学系41から射出された光束の青色光成分が反射するとともに、赤色光成分と緑色光成分とが透過する。ダイクロイックミラー421によって反射した青色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ418を通って光学装置44の後述する青色光用の液晶パネルに達する。このフィールドレンズ418は、第2レンズアレイ413から射出された各部分光側をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の緑色光用、赤色光用の液晶パネルの光入射側に設けられたフィールドレンズ418も同様である。
ダイクロイックミラー421を透過した赤色光と緑色光のうちで、緑色光はダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ418を通って光学装置44の後述する緑色光用の液晶パネルに達する。一方、赤色光はダイクロイックミラー422を透過してリレー光学系43を通り、さらにフィールドレンズ418を通って光学装置44の後述する赤色光用の液晶パネルに達する。なお、赤色光にリレー光学系43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ418に伝えるためである。本実施形態においては赤色光の光路長が長いのでこのような構成とされているが青色光の光路長を長くする構成も考えられる。
光学装置44は、図1に示すように、光変調素子としての3枚の液晶パネル441(赤色光用の液晶パネルを441R、緑色光用の液晶パネルを441G、青色光用の液晶パネルを441Bとする)と、この液晶パネル441の光束入射側および光束射出側に配置される光学変換素子としての入射側偏光板442および射出側偏光板443と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム444とが一体的に形成されたものである。
なお、光学装置44は、具体的な構成は後述するが、液晶パネル441、入射側偏光板442、射出側偏光板443、およびクロスダイクロイックプリズム444等から構成される光学装置本体以外に、メインタンク、媒体圧送部、ラジエータおよび媒体循環部材を備える。
液晶パネル441は、ガラスなどからなる一対の図示しない基板に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有している。このうち、一方の基板は、液晶を駆動するための駆動基板であり、互いに平行に配列形成される複数のデータ線と、複数のデータ線と直交する方向に配列形成される複数の走査線と、走査線およびデータ線の交差に対応してマトリクス状に配列形成される画素電極と、TFT等のスイッチング素子とを有している。また、他方の基板は、前述の基板に対して所定間隔を空けて対向配置される対向基板であり、所定の電圧Vcomが印加される共通電極を有している。そして、これら一対の基板には、図示しない制御装置と電気的に接続し、前記走査線、前記データ線、前記スイッチング素子、および前記共通電極等に所定の駆動信号を出力するフレキシブルプリント基板441E(図5)が接続されている。このフレキシブルプリント基板441Eを介して前記制御装置から駆動信号を入力することで、所定の前記画素電極と前記共通電極との間に電圧が印加され、該画素電極および共通電極間に介在する液晶の配向状態が制御され、入射側偏光板442から射出された偏光光束の偏光方向が変調される。
入射側偏光板442は、偏光変換素子414で偏光方向が略一方向に揃えられた各色光が入射され、入射された光束のうち、偏光変換素子414で揃えられた光束の偏光軸と略同一方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。この入射側偏光板442は、例えば、サファイアガラスまたは水晶等の透光性基板上に光学変換膜としての図示しない視野角補正膜および偏光膜が貼付された構成を有している。
射出側偏光板443は、液晶パネル441から射出された光束のうち、入射側偏光板442における光束の透過軸と直交する偏光軸を有する光束のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。この射出側偏光板443は、入射側偏光板442と同様に、透光性基板上に図示しない視野角補正膜および偏光膜が貼付された構成を有している。
なお、上述した視野角補正膜は、液晶パネル441で形成される光学像の視野角を補正する機能を有するものであり、この視野角補正膜を配置することで投射画像の視野角が拡大されかつ、投射画像のコントラストが大幅に向上する。
クロスダイクロイックプリズム444は、射出側偏光板443から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム444は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。これら誘電体多層膜は、液晶パネル441R,441Bから射出され射出側偏光板443を介した色光を反射し、液晶パネル441Gから射出され射出側偏光板443を介した色光を透過する。このようにして、各液晶パネル441R,441G,441Bにて変調された各色光が合成されてカラー画像が形成される。
光学部品用筐体46は、例えば、金属製部材から構成され、図1に示すように、内部に所定の照明光軸Aが設定され、上述した光学部品41〜43、および光学装置44の後述する光学装置本体を照明光軸Aに対する所定位置に収納配置する。なお、光学部品用筐体46は、金属製部材に限らず、熱伝導性材料であればその他の材料にて構成してもよい。この光学部品用筐体46は、具体的な図示は省略するが、光学部品41〜43、および光学装置44の後述する光学装置本体を収納する容器状の部品収納部材と、部品収納部材の開口部分を閉塞する蓋状部材とで構成される。
このうち、部品収納部材は、光学部品用筐体46の底面、前面、および側面をそれぞれ構成する。
この部品収納部材において、底面には、光学装置44の液晶パネル441位置に対応して形成された図示しない3つの孔が形成されている。そして、冷却ユニット3のシロッコファン31によりプロジェクタ1外部から内部に導入された冷却空気は、シロッコファン31から吐出され、前記3つの孔を介して光学装置44の3つの液晶パネル441へと流通する。
(3)光学装置の構成
図2は、光学装置44を下方から見た斜視図である。
光学装置44は、図2に示すように、前述の液晶パネル441、入射側偏光板442、射出側偏光板443、およびクロスダイクロイックプリズム444がユニット化された光学装置本体45と、メインタンク445と、媒体圧送部446と、ラジエータ447と、複数の媒体循環部材448とを備える。
このうち、媒体循環部材448は、エチレングリコール溶液等の冷却媒体が内部に流通可能に構成されており、媒体循環部材448内部を冷却媒体が流通する際に、該冷却媒体の熱が放熱される。この媒体循環部材448は、本実施形態では、アルミニウム製の管状部材で構成されているが、銅、マグネシウムまたはチタン等の金属で構成してもよく、あるいは熱伝導性の合成樹脂およびゴム等の弾性体で構成してもよい。また、本実施形態では、冷却媒体として、透明性の非揮発性液体であるエチレングリコールを採用したが、他の液体を採用してもよい。
なお、光学装置本体45の構造は、後に詳述する。
メインタンク445は、図2に示すように、略円柱形状を有し、アルミニウム製の2つの容器状部材から構成され、2つの容器状部材の開口部分を互いに接続することで内部に冷却流体を一時的に蓄積する。
このメインタンク445の円柱軸方向略中央部分には、冷却媒体を内部に流入させる冷却媒体流入部445Aと、内部の冷却流体を外部に流出させる冷却媒体流出部445Bとが形成されている。これら冷却媒体流入部445Aおよび冷却媒体流出部445Bは、媒体循環部材448を介して、それぞれ媒体圧送部446およびラジエータ447に接続される。
媒体圧送部446は、具体的な図示は省略するが、例えば、略直方体状のアルミニウム製の中空部材内に羽根車が配置された構成を有する。この羽根車が、図示しない制御装置による制御の下で回転することにより、メインタンク445内の冷却媒体が媒体循環部材448を介して媒体圧送部446内に流入し、流入した冷却流体を媒体循環部材448を介して光学装置本体45に強制的に送出する。このため、媒体圧送部446には、媒体循環部材448を介して、メインタンク445から冷却媒体が流入する冷却媒体流入部446Aと、光学装置本体45に冷却媒体を流出させる冷却媒体流出部446Bとが形成されている。
このような構成では、媒体圧送部446は、前記羽根車の回転軸方向の厚み寸法を小さくすることができ、プロジェクタ1内部の空きスペースに配置することが可能となる。本実施形態では、媒体圧送部446は、投射レンズ5の下方に配置される。
ラジエータ447は、図1および図2に示すように、外装ケース2に形成された隔壁21内に配置され、光学装置本体45において各液晶パネル441等の冷却に供されて熱を帯びた冷却媒体の熱を放熱するものである。このラジエータ447は、図示を省略するが、媒体循環部材448を介して、光学装置本体45から冷却媒体が流入され、かつ、メインタンク445に該冷却媒体を導くアルミニウム製の管状部材と、この管状部材に熱伝導可能に接触する放熱用のフィン4471とを備えている。これにより、光学装置本体45での冷却に供され熱せられた冷却媒体の熱は、管状部材内を流通する際に、フィン4471に伝導される。ここで、フィン4471には、前述の軸流ファン32から冷却空気が送風されており、この冷却空気によりフィン4471が冷却される。これにより、冷却媒体を効果的に冷却することができる。
図3は、光学装置本体45を上方から見た斜視図である。
光学装置本体45は、図3に示すように、クロスダイクロイックプリズム444と、このクロスダイクロイックプリズム444上面に載置される中継部材451と、3つの光学変換装置6(赤色光を光学変換する光学変換装置6R、緑色光を光学変換する光学変換装置6G、青色光を光学変換する光学変換装置6B)と、これら光学変換装置6のそれぞれをクロスダイクロイックプリズム444の各光束入射面に固定する3つの光学変換装置保持体452と、クロスダイクロイックプリズム444が載置されるプリズム台座453とを備える。このうち、光学変換装置6(6R,6G,6B)は、液晶パネル441(441R,441G,441B)を保持する液晶パネル保持枠61と、入射側偏光板442および射出側偏光板443を保持するとともに、これら液晶パネル441、入射側偏光板442および射出側偏光板443を冷却する冷却装置62(62A,62B)が、固定具63により一体化された構造を有する。この光学変換装置6については、後に詳述する。
中継部材451は、具体的な図示は省略するが、アルミニウム製の中空部材である第1中継部451Aと第2中継部451Bとを組み合わせた構成を有している。
第1中継部451Aは、中継部材451の上部を構成し、媒体循環部材448を介して前述の媒体圧送部446に接続される1つの冷却媒体流入部451A1と、第1中継部451Aに流入された冷却媒体を光学変換装置6の冷却装置62(62B)に供給する3つの冷却媒体供給部451A2とを備えている。
第2中継部451Bは、中継部材451の下部を構成し、それぞれの光学変換装置6の冷却装置62(62A)から冷却媒体が流入する3つの冷却媒体流入部451B2と、媒体循環部材448を介して前述のラジエータ447と接続される図示しない冷却媒体排出部とを備えている。
これら第1中継部451Aおよび第2中継部451Bのそれぞれには、内部に冷却媒体が流通する流路が形成されている。すなわち、媒体圧送部446から圧送された冷却媒体は、第1中継部451Aに形成された冷却媒体流入部451A1から第1中継部451内に流入し、3つの冷却媒体供給部451A2のそれぞれから光学変換装置6の冷却装置62(62B)に供給される。また、冷却装置62での冷却に供された冷却媒体は、冷却装置62Aから第2中継部451Bに形成された冷却媒体流入部451B2を介して第2中継部451B内に流入し、冷却媒体排出部から媒体循環部材448を介してラジエータ447に送出される。
光学変換装置保持体452は、光学変換装置6をクロスダイクロイックプリズム444の光束入射面に固定するための熱伝導性材料により構成された略矩形の板状体である。この光学変換装置保持体452は、具体的な図示を省略するが、略中央に、光学変換装置6から射出された光束が透過する開口部が形成されている。また、光学変換装置保持体452の光束入射側の面には、その四隅部分に、凹部が形成されている。この凹部には、棒状のピンスペーサ454が、光学変換装置保持体452の光束入射側の面から面外方向に突出するように嵌合される。このピンスペーサ454は、後述する光学変換装置6の液晶パネル保持枠61に形成された孔612A(図5)に挿通され、光学変換装置6の位置決めがなされた後、ピンスペーサ454の先端部分に図示しないキャップが取り付けられ、該光学変換装置6を光学変換装置保持体452に保持させる。
プリズム台座453は、略X字状に延出した脚部453A1を有し、光学装置本体45を光学部品用筐体46に固定する本体固定部453Aと、この本体固定部453Aの略中央に略直方体形状に形成され、クロスダイクロイックプリズム444が載置される載置部453Bとから構成されている。
このうち、本体固定部453Aに形成された脚部453A1の先端部分には、略円形の孔453A2がそれぞれ形成されている。これらの孔453A2にねじ等の固定具が挿通され、この固定具が光学部品用筐体46に形成された図示しない孔に係合することにより、光学装置本体45が光学部品用筐体46に固定される。
載置部453Bの上面には、略中央に向かうにつれて盛り上がった図示しない膨出部が形成されており、この膨出部にクロスダイクロイックプリズム444が載置される。これにより、クロスダイクロイックプリズム444を紫外線硬化性または熱硬化性の接着剤等により固定する際に、クロスダイクロイックプリズム444の入射光束の光軸に対する傾き調整を容易にすることができる。
図4は、光学変換装置6の斜視図である。また、図5は、光学変換装置6の分解斜視図である。
光学変換装置6は、液晶パネル441、入射側偏光板442および射出側偏光板443を一体的に保持するとともに、これら光学部品441,442,443で発生した熱を冷却する。この光学変換装置6は、液晶パネル441を保持する液晶パネル保持枠61と、この液晶パネル保持枠61の光束入射側の面に取り付けられる冷却装置62Aと、同じく液晶パネル保持枠61の光束射出側の面に取り付けられる冷却装置62Bと、これら冷却装置62A,62Bを液晶パネル保持枠61に固定する2つの固定具63とを備えている。
なお、冷却装置62A,62Bの構造は後に詳述する。
液晶パネル保持枠61は、アルミニウム等の熱伝導性材料で構成された略H状部材であり、液晶パネル441と組み合わされることにより光変調装置を構成する。この液晶パネル保持枠61の内部には、液晶パネル441の外形寸法と略同じ大きさで形成された図示しない収納部が形成されている。この収納部は、液晶パネル保持枠61の背面側、すなわち、液晶パネル441を保持した場合の光束射出側に開口しており、この収納部の開口から液晶パネル441が収納部に嵌合され、該液晶パネル441は、液晶パネル保持枠61に保持される。このため、液晶パネル441の光束射出面は、液晶パネル保持枠61の背面側に露出することとなる。
また、液晶パネル保持枠61の前面、すなわち、液晶パネル441が保持された場合の光束入射側の面には、略中央に略矩形の開口部611が形成されている。この開口部611は、液晶パネル441に光束を入射させるための光束透過口であり、画像形成領域となる。この開口部611に、液晶パネル441の光束入射面が露出する。
液晶パネル保持枠61の四隅部分から、上方および下方に延出する延出部612のそれぞれには、液晶パネル保持枠61を光束の入射方向に貫通する孔612Aが形成されている。これらの孔612Aには、前述のピンスペーサ454が挿通される。
さらに、液晶パネル保持枠61の幅方向両側面の略中央には、固定具63が係合する係合部613が形成されている。これら係合部613のうち、一方の側面に形成された係合部613は、1つの係合突起613Aと、この係合突起613Aを挟むように形成された2つの係合突起613Bとを備え、他方の側面に形成された係合部613は、1つの係合突起613Bと、この係合突起613Bを挟むように形成された2つの係合突起613Aとを備えている。
係合突起613A,613Bは、それぞれ面外方向に突出する断面略三角形状の突起として形成されているが、それぞれの形成されている方向が異なる。すなわち、係合突起613Aは、液晶パネル保持枠61の光束射出側から光束入射側に向かうにしたがって、突出の高さ寸法が大きくなるように形成されている。逆に、係合突起613Bは、液晶パネル保持枠61の光束入射側から光束射出側に向かうにしたがって、突出の高さ寸法が大きくなるように形成されている。
固定具63は、断面略U字状の板状部材であり、前述のように、液晶パネル保持枠61に、冷却装置62A,62Bを固定するものである。この固定具63の略中央には、光束が透過する開口部631が形成され、また、幅方向の両端部には、面外方向に延出する延出部632,633が形成されている。
このうち、延出部632は、側面視略U字状に形成されており、それぞれの先端部分に開口部6321が形成されている。また、延出部633の先端部にも、開口部6331が形成されている。これら開口部6321,6331には、前述の液晶パネル保持枠61の係合部613に形成された係合突起613A,613Bのいずれかが嵌合される。
すなわち、固定具63が、液晶パネル保持枠61の光束入射側に取り付けられる冷却装置62Aを固定する場合には、それぞれの開口部6321,6331は、液晶パネル保持枠61に形成された係合部613それぞれの係合突起613Bが嵌合される。逆に、固定具63が、液晶パネル保持枠61の光束射出側に取り付けられる冷却装置62Bを固定する場合には、それぞれの開口部6321,6331は、それぞれの係合部613の係合突起613Aが嵌合される。これにより、液晶パネル保持枠61にそれぞれの固定具63を嵌合しやすくすることができるとともに、固定具63の嵌合を外れにくくすることができる。従って、固定具63により、冷却装置62A,62Bを液晶パネル保持枠61に確実に、かつ、簡単に固定することができる。
図6は、冷却装置62の斜視図であり、図7は、その分解斜視図である。また、図8は、冷却装置62の断面図である。
冷却装置62(62A,62B)は、液晶パネル保持枠61に固定され、該液晶パネル保持枠61内に収納された液晶パネル441を冷却する。また、冷却装置62(62A,62B)は、それぞれ入射側偏光板442および射出側偏光板443を保持するとともに、これらを冷却する。
このうち、冷却装置62Aは、図6〜図8に示すように、冷却媒体が封入される容器状の冷却媒体封入部621と、この冷却媒体封入部621内に収納され、冷却媒体が流通する略U字状の配管622と、この配管622を冷却媒体封入部621に固定する固定部材623とを備える。
冷却媒体封入部621は、液晶パネル保持枠61に当接され、内部に封入された冷却媒体により、液晶パネル441を冷却するものである。この冷却媒体封入部621内部には、冷却媒体が密閉封入される第1冷却室としての冷却室6211が形成されている。
また、冷却媒体封入部621の光束入射側および光束射出側には、液晶パネル保持枠61に収納される液晶パネル441に対応する位置に、光源装置411から射出された光束を該液晶パネル441の光束入射面に透過させる開口部621A,621Bが形成されている。
このうち、開口部621Aの周囲には、該開口部621Aを囲むように、一条の第1溝部621A1が形成され、この第1溝部621A1を囲むように、第1溝部621A1より深さ寸法の小さい第2溝部621A2が形成されている。
第1溝部621A1には、第1溝部621A1の形状に合わせて略矩形状に形成され、中央に光束透過のための開口が形成されたゴム等の弾性部材624が取り付けられる。また、第2溝部621A2には、弾性部材624に当接するように、入射側偏光板442が嵌合される。すなわち、この弾性部材624は、冷却媒体封入部621の冷却室6211に封入された冷却媒体が、開口部621Aから漏出しないためのパッキンである。
開口部621Bの周囲にも、図示を略すが、第1溝部621A1と同様の溝部が形成されている。この溝部には、弾性部材624が取り付けられるが、この弾性部材624は、液晶パネル441の光束入射面に当接される。これにより、冷却媒体封入部621の冷却室6211内に密閉封入された冷却媒体を液晶パネル441に直接接触させる際に、開口部621Bから該冷却媒体が漏出することを防ぐことができる。
冷却媒体封入部621の上面621Cには、配管622を有する固定部材623が固定される。この上面621Cの略中央には、配管622を冷却室6211内に収納するための開口部621C1が形成され、また、上面621Cの幅方向両端部には、それぞれ孔621C3が形成されている。
開口部621C1は、略矩形に形成され、冷却室6211と連通している。この開口部621C1には、内側に向かって図示しない段差が形成されている。この段差部分には、前述の弾性部材624と同様の弾性部材621C2が取り付けられる。これにより、開口部621C1から、冷却室6211内の冷却媒体が漏出しないようにすることができる。
また、2つの孔621C3は、固定部材623を上面621Cに固定する際に、ねじ625が螺合するためのねじ孔として構成されている。
固定部材623は、冷却媒体封入部621の上面621Cに該固定部材623の底面を当接させるようにして固定される。この際、固定部材623に設けられた配管622は、冷却媒体封入部621内部に形成された冷却室6211に収納される。
この配管622は、熱伝導性の略U字状の管状部材であり、内部に冷却媒体が流通しており、この配管622内部の空間622Aが本発明の第2冷却室に相当する。この配管622には、配管622内に冷却媒体を流入させる媒体流入部6221と、この媒体流入部6221から流入した冷却媒体が配管622内を流入した後に排出される媒体流出部6222とが形成されている。これら媒体流入部6221および媒体流出部6222は、固定部材623の上面623Aに露出している。
なお、配管622は、本実施形態では、銅製とされているが、アルミニウム、マグネシウムおよびチタン等の金属または合成樹脂等により形成してもよい。
また、固定部材623の上面623Aには、配管622の媒体流入部6221および媒体流出部6222に挟まれるように、冷却媒体封入部621の冷却室6211に冷却媒体を供給するための2つの媒体供給口6231が形成されている。これら媒体供給口6231には、それぞれキャップ6232が取り付けられる。すなわち、固定部材623が冷却媒体封入部621に固定され、冷却装置62が液晶パネル保持枠61に固定された後に、これら媒体供給口6231を介して冷却媒体が冷却室6211内に供給され、冷却室6211内が冷却媒体で充填された後に、該媒体供給口6231がキャップ6232によって封止される。
さらに、上面623Aの幅方向両端部には、それぞれ固定部材623を上下方向に貫通する孔6234が形成されている。これらの孔6234は、前述の冷却媒体封入部621の上面621Cに形成された孔621C3に螺合するねじ625が挿通される孔である。これにより、固定部材623が冷却媒体封入部621に固定される。
ここで、固定部材623が冷却媒体封入部621に固定される際に、この固定部材623に保持される配管622は、冷却媒体封入部621に形成された開口部621A,621Bから避けて配置される。すなわち、配管622は、開口部621Aから開口部621Bに透過する光束の光束透過領域を囲むように、冷却室6211内に収納される。これにより、配管622は、光束透過領域内に入らないように収納される。
このような冷却装置62Aでは、図8に示すように、冷却媒体封入部621の冷却室6211内に密閉封入された冷却媒体は、液晶パネル441の光束入射面および入射側偏光板442に直接接触するので、液晶パネル441および入射側偏光板442の冷却を効果的に行うことができる。ここで、液晶パネル441および入射側偏光板442の冷却に供され、熱を帯びた冷却媒体の熱は、同じく冷却室6211内に収納された熱伝導性の配管622に伝導される。この配管622には、媒体圧送部446から中継部材451を介して圧送される他の冷却媒体が、媒体流入部6221を介して矢印A1方向に流入する。この冷却媒体は、配管622内を矢印A2方向に流通しつつ、配管622に伝導された冷却室6211内の冷却媒体を冷却し、媒体流出部6222を介して矢印A3方向に排出される。
これにより、冷却室6211内の冷却媒体を、配管622内を流通する冷却媒体で冷却できるので、冷却室6211内の冷却媒体を低温に保つことができ、液晶パネル441の光束入射面および入射側偏光板442を効果的に冷却することができる。また、配管622は、冷却媒体封入部621の開口部621A,621Bを透過する光束透過領域を囲むように配置されているので、冷却室6211の冷却媒体との接触面積を拡大することができるとともに、配管622が光束透過領域内に入らないようにすることができる。従って、冷却室6211内の冷却媒体と、配管622内の冷却媒体の熱交換効率を向上することができるので、液晶パネル441および入射側偏光板442の冷却効率を一層向上することができる。
また、液晶パネル441および入射側偏光板442を冷却する冷却室6211内の冷却媒体は、密閉封入されており、冷却室6211内でのみ対流する。この冷却媒体は配管622内を流通する冷却媒体によって冷却されるが、この冷却媒体は、配管622内を流通するので、この冷却媒体に光束は透過されない。これによれば、配管622内を流通する冷却媒体が流通過程で熱劣化等による変色が発生した場合、および、冷却媒体に不純物が混入された場合であっても、光束が透過する冷却室6211内の冷却媒体と直接接触せず、また、光束も透過しないので、これらの冷却媒体の変色および不純物の混入が、液晶パネル441によって形成される光学像に影響を与えることを防ぐことができる。従って、冷却媒体の循環によって変色等が発生した場合でも、形成される光学像に影響を与えずに、安定した光学像の形成を行うことができる。
さらに、配管622内を流通する冷却媒体には、光学像形成に利用される光束が透過されないので、循環する冷却媒体は、無色透明である必要はない。このため、循環する冷却媒体の選択範囲を広げることができ、安価な冷却媒体を用いて、光学装置44の製造コストを低減させることができる。
液晶パネル保持枠61の光束射出側に固定される冷却装置62Bは、図6〜図8に示すように、光束入射側に固定される冷却装置62Aと同じ構成を備えるが、冷却装置62Aが入射側偏光板442を保持するのに対し、冷却装置62Bは射出側偏光板443を保持する点で異なる。
また、図4および図5に示すように、冷却装置62Bを構成する冷却媒体封入部621の射出側偏光板443が保持される開口部621Aとは反対側の開口部621Bは、液晶パネル441の光束射出面に接触するように配置される。この冷却装置62Bの冷却媒体封入部621内に密閉封入された冷却媒体は、液晶パネル441の光束射出面に直接接触し、液晶パネル441を冷却する。
このような冷却装置62Bにより、前述の冷却装置62Aと同様の効果を奏することができる。すなわち、液晶パネル441の光束射出面および射出側偏光板443を、冷却室6211内の冷却媒体により直接冷却することができる。また、これら液晶パネル441および射出側偏光板443の冷却に供され、熱せられた冷却媒体は、同じく冷却室6211に配置された配管622内を流通する他の冷却媒体により冷却される。これにより、冷却室6211内の冷却媒体を低温に保つことができ、液晶パネル441の光束射出面および射出側偏光板443を効率良く冷却することができる。さらに、この配管622は、冷却媒体封入部621の光束透過領域を避けて配置されており、かつ、配管622によって、配管622内を流通する冷却媒体と、冷却室6211内の冷却媒体とが区画されているので、流通する冷却媒体が変色等しても、液晶パネル441によって形成された光学像が劣化することを防ぐことができる。
ここで、図3に示すように、液晶パネル保持枠61の光束射出側の冷却装置62Bの媒体流入部6221は、中継部材451の第1中継部451Aに形成された冷却媒体供給部451A2と接続され、媒体流出部6222は、液晶パネル保持枠61の光束射出側の冷却装置62Aの媒体流入部6221に、流路接続部材としての媒体循環部材448により接続されている。また、冷却装置62Aの媒体流出部6222は、中継部材451の第2中継部451Bに形成された冷却媒体流入部451B2に媒体循環部材448を介して接続される。
すなわち、媒体圧送部446から圧送された冷却媒体は、中継部材451の第1中継部451Aに供給された後、第1中継部451Aの冷却媒体供給部451A2から液晶パネル441の光束射出側に配置された冷却装置62Bの媒体流入部6221に送出され、冷却装置62Bの配管622内を流通する。この際、冷却室6211内に密閉封入された冷却媒体を冷却しつつ、媒体流出部6222から媒体循環部材448を介して、液晶パネル441の光束入射側に配置された冷却装置62Aの媒体流入部6221に送出される。この媒体流入部6221に送出された冷却媒体は、冷却装置62Aの配管622内を流通して、冷却室6211内の冷却媒体を冷却しつつ媒体流出部6222から排出される。この媒体流出部6222は、中継部材451の第2中継部451Bに形成された図示しない冷却媒体流入部451B2に接続されているので、冷却装置62Aの媒体流出部6222から排出された冷却媒体は、冷却媒体流入部451B2を介して第2中継部451Bに送出される。この第2中継部451Bに送出された冷却媒体は、前述のように、図示しない冷却媒体排出部から媒体循環部材448を介してラジエータ447に送出される。
このように、媒体圧送部446から圧送された冷却媒体は、中継部材451を介して、冷却装置62Bに送出されるので、液晶パネル441および射出側偏光板443を効率良く冷却できる。ここで、入射側偏光板442および射出側偏光板443では、射出側偏光板443の方が高温化傾向が高い。このため、媒体圧送部446から圧送される冷却媒体を冷却装置62Bに最初に供給することにより、これらを効果的に冷却することができる。また、これにより射出側偏光板443の熱劣化を抑えることができるので、安定した光学像の形成を実施することができる。
〔2.第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るプロジェクタの光学装置について説明する。第2実施形態の光学装置は、前述の第1実施形態の光学装置と略同じ構成を備えるが、光学装置本体の光学変換装置の構造において相違点を有する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図9は、第2実施形態に係る光学装置本体45Aの斜視図である。
第2実施形態に係る光学装置44の光学装置本体45Aは、前述の第1実施形態で示した光学装置本体45が光学変換装置6を備えていたのに対し、光学変換装置7を備える点において相違点を有し、他の構造は、光学装置本体45と略同じである。すなわち、光学装置本体45Aは、図9に示すように、クロスダイクロイックプリズム444と、このクロスダイクロイックプリズム444に載置される中継部材451と、3つの光学変換装置7(赤色光を光学変換する光学変換装置7R、緑色光を光学変換する光学変換装置7G、青色光を光学変換する光学変換装置7B)と、これら光学変換装置7をクロスダイクロイックプリズム444の各光束入射面に取り付ける光学変換装置保持体452と、クロスダイクロイックプリズム444が載置固定されるプリズム台座453とを備える。
図10は、光学変換装置7の斜視図である。また、図11は、光学変換装置7の分解斜視図である。
光学変換装置7は、図10および図11に示すように、液晶パネル441を保持する液晶パネル保持枠61と、この液晶パネル保持枠61の光束入射側および光束射出側に配置される冷却装置72(72A,72B)と、これら冷却装置72(72A,72B)を液晶パネル保持枠61に固定する固定具63とを備えている。また、液晶パネル保持枠61の光束射出側に配置される冷却装置72Bの後述する媒体流出部と、光束入射側に配置される冷却装置72Aの媒体流入部とは、流路接続部材としての媒体循環部材448により接続されている。
図12は、冷却装置72の斜視図である。図13は、冷却装置72の分解斜視図である。また、図14は、冷却装置72を構成する冷却媒体封入部73の第1封入部材731の内部を示す斜視図である。
冷却装置72A,72Bは、前述のように、それぞれ液晶パネル保持枠61の光束入射側および光束射出側に固定具63によって固定され、該液晶パネル保持枠61内に収納された液晶パネル441をそれぞれ光束入射側および光束射出側から冷却する。また、冷却装置72A,72Bは、それぞれ入射側偏光板442および射出側偏光板443を保持し、これらを冷却する。
これら冷却装置72A,72Bは、図12〜図14に示すように、冷却媒体封入部73を備えている。
冷却媒体封入部73は、略矩形の容器状に形成され、内部に液晶パネル441および入射側偏光板442を冷却する冷却媒体が封入される。この冷却媒体封入部73は、一方の面、すなわち、光束入射側の面が開口した第1封入部材731と、この第1封入部材731の開口を閉塞する第2封入部材732とを備えている。
第1封入部材731は、図13および図14に示すように、略矩形の箱状体であり、アルミニウム等の金属で形成されている。この第1封入部材731には、第2封入部材732に対向する面およびこの面とは反対側の面に、それぞれ開口部7311,7312が形成されている。
このうち、開口部7311には、第2封入部732が当接固定され、閉塞される。
また、開口部7312は、液晶パネル保持枠61の開口部611から露出する液晶パネル441に対応した位置に形成されている。この開口部7312が形成された第1封入部材731外面における該開口部7312の周囲には、図示を省略するが、前述の冷却媒体封入部621の第1溝部621A1と同様の溝部が形成されており、この溝部に弾性部材624が取り付けられる。この弾性部材624は、冷却装置72Aを液晶パネル保持枠61に取り付ける際に、液晶パネル441の光束入射面に当接され、冷却装置72Bを液晶パネル保持枠61に取り付ける際に、液晶パネル441の光束射出面に当接される。
第1封入部材731内部には、波型の蛇行部7313Aを有する隔壁7313が形成されている。この隔壁7313は、開口部7312の周囲を囲むように第1封入部材731に一体的に形成されている。この隔壁7313によって区画される第1封入部材731の2つの空間のうち、内側の空間は、液晶パネル441と、入射側偏光板442または射出側偏光板443とを冷却する冷却媒体が密閉封入される第1冷却室731Aであり、外側の空間は、第1冷却室731A内の冷却媒体を冷却するために、媒体圧送部446から圧送される冷却媒体が流通する第2冷却室731Bとして構成されている。
ここで、この隔壁7313を第1封入部材731に一体的に形成したことにより、第1冷却室731Aおよび第2冷却室731Bを区画するのに新たな部材を設ける必要が無いので、冷却媒体封入部73の構造を簡略化することができる。
また、隔壁7313に形成され、内側および外側に向かって突出する蛇行部7313Aは、第1冷却室731A内に封入される冷却媒体および第2冷却室731B内を流通する冷却媒体と、隔壁7313との接触面積を拡大するためのものである。これにより、第1冷却室731A内の冷却媒体の熱が隔壁7313に伝導されやすくすることができ、また、第2冷却室731B内を流通する冷却媒体によって、隔壁7313を冷却しやすくすることができる。従って、蛇行部7313Aが形成されていることにより、冷却媒体との接触面積を拡大して、第1冷却室731A内の冷却媒体の冷却効率を向上することができる。これにより、第1冷却室731A内の冷却媒体による液晶パネル441と、入射側偏光板442または射出側偏光板443との冷却効率を向上することができる。
第1封入部材731の第2封入部材732と対向する面の四隅には、それぞれねじ孔7314が形成されている。これら4つのねじ孔7314には、第2封入部材732が介装された状態で、ねじ74が螺合する。
また、第1封入部材731の上面および下面には、第2冷却室731Bに冷却媒体を流通させる媒体流通部7315および媒体流通口7316が形成されている。このうち、媒体流通口7316には、媒体循環部材448が取り付けられ、冷却装置72A,72Bの媒体流通口7316間が接続される。
第2封入部材732は、図12および図13に示すように、第1封入部材731の外形形状に合わせて略矩形に形成され、第1封入部材731の開口部7311を閉塞する板状部材である。なお、この第2封入部材732の第1封入部材731に対向する面には、図示を省略するが、第1封入部材731の開口部7311の形状に合わせた段差が形成されており、この段差が開口部7311に嵌合される。なお、この嵌合部分は、パッキン等の封止部材を介して嵌合されている。また、第2封入部材732と、第1封入部材731に形成された隔壁7313の第2封入部材732に対向する面との間にも、パッキン等の封止部材が介装されており、隔壁7313によって区画される第1冷却室731A内の冷却媒体が、第2冷却室731Bに漏出しないようにされている。
この第2封入部材732の略中央には、第1封入部材731に形成された開口部7312に対応する位置に開口部732Aが形成されている。この開口部732Aの第1封入部材731とは反対側の面の周囲には、前述の冷却媒体封入部621の開口部621Aの周囲に形成された第1溝部621A1および第2溝部621A2と同様の第1溝部732A1および第2溝部732A2が形成されている。このうち、第1溝部732A1には、弾性部材624が取り付けられ、この弾性部材624に当接するように、第2溝部732A2に、冷却装置72Aでは入射側偏光板442が、また冷却装置72Bでは射出側偏光板443が取り付けられる。
これら第1溝部732A1および第2溝部732A2が形成された面の四隅には、前述のねじ74が挿通される孔7321が形成されている。このため、第1封入部材731に第2封入部材732が当接された状態で、これら孔7321を介してねじ74が第1封入部材731に形成されたねじ孔7314に螺合することにより、第1封入部材731と第2封入部材732とを固定することができる。
また、第1溝部732A1および第2溝部732A2が形成された第2封入部材732の面には、対角線上に2つの孔7322が形成されている。これら孔7322は、第1封入部材731に形成された第1冷却室731Aと連通し、該第1冷却室731A内に冷却媒体を供給するための孔である。従って、冷却装置72を液晶パネル保持枠61に固定した後、これら孔7322を介して冷却媒体を供給することにより、第1冷却室731A内が冷却媒体で充填され、この冷却媒体が、冷却装置72Aでは液晶パネル441の光束入射面および入射側偏光板442に接触し、冷却装置72Bでは液晶パネル441の光束射出面および射出側偏光板443に接触する。
なお、これら孔7322には、冷却媒体の供給後にキャップ75が取り付けられ、第1冷却室731Aに密閉封入された冷却媒体が漏出するのを防いでいる。
冷却装置72Bの媒体流通部7315は、図9に示すように、媒体圧送部446と接続された中継部材451の第1中継部451Aに形成された冷却媒体供給部451A2に接続されている。また、冷却装置72Bの媒体流通口7316は、図10および図11に示すように、冷却装置72Aの媒体流通口7316に媒体循環部材448を介して接続されている。さらに、冷却装置72Aの媒体流通部7315は、図9に示すように、中継部材451の第2中継部451Bに形成された冷却媒体流入部451B2と接続されている。
これにより、媒体圧送部446から圧送された冷却媒体は、中継部材451の第1中継部451Aを介して液晶パネル保持枠61の光束射出側に固定された冷却装置72Bの媒体流通部7315を介して第2冷却室731B内を流通して、媒体流通口7316に達する。この際、第1封入部材731に形成された隔壁7313には、液晶パネル441の光束射出面および射出側偏光板443を冷却した第1冷却室731A内の冷却媒体の熱が伝導されているので、隔壁7313に沿って第2冷却室731B内を流通する冷却媒体は、隔壁7313に伝導された熱を冷却することにより、第1冷却室731A内の冷却媒体を冷却する。
冷却装置72Bの媒体流通口7316に達した冷却媒体は、媒体循環部材448を介して、液晶パネル保持枠61の光束入射側に固定された冷却装置72Aの媒体流通口7316に送出される。冷却装置72Aの媒体流通口7316に送出された冷却媒体は、冷却装置72Bの場合とは逆向きに、隔壁7313に沿って第2冷却室731B内を流通して、液晶パネル441の光束入射面および入射側偏光板442を冷却して熱せられた第1冷却室731A内の冷却媒体を冷却しつつ媒体流通部7315に向かって流通する。この媒体流通部7315に達した冷却媒体は、中継部材451の第2中継部451Bを介してラジエータ447に向かって流通する。
これにより、前述の光学変換装置6の場合と同様に、液晶パネル保持枠61の光束射出側に固定された冷却装置72Bにはじめに冷却媒体が供給されるので、高温化傾向の高い液晶パネル441の光束射出面および射出側偏光板443を効果的に冷却することができる。従って、光学像形成を安定化することができるほか、これらの製品寿命を延ばすことができる。また、光学変換装置7における冷却媒体の流通経路を統一することができるので、光学装置44の構成を簡素化することができる。
このような冷却装置72A,72Bによれば、前述の冷却装置62A,62Bと略同じ効果を奏することができる。
すなわち、第1冷却室731A内に密閉封入された冷却媒体は、液晶パネル441と、入射側偏光板442または射出側偏光板443を冷却する。この際、これら光学部品441,442,443の冷却に供されて熱せられた冷却媒体は、第2冷却室731B内を流通する冷却媒体によって隔壁7313を介して冷却される。これによれば、第1冷却室731A内の冷却媒体を低温に保つことができるので、これら液晶パネル441、入射側偏光板442および射出側偏光板443を効率良く冷却することができる。
また、隔壁7313は、開口部7311を囲むように形成されているので、冷却媒体封入部73の光束透過領域内に、第2冷却室731B内を流通する冷却媒体が流入することがない。これによれば、光学装置44を流通する冷却媒体が劣化等により変色した場合、および、不純物等が混入した場合であっても、光学像の形成に利用される光束に影響しない。従って、冷却媒体の循環によって劣化した場合に、光学像が劣化することを防ぐことができる。
〔3.実施形態の変形〕
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記第2実施形態では、第1封入部材731に形成された隔壁7313は、波型の蛇行部7313Aを有するとしたが、本発明はこれに限らず、他の形状であってもよい。すなわち、第1冷却室731Aおよび第2冷却室731B内の冷却媒体と、隔壁7313との接触面積が拡大するような形状であればよい。また、このような蛇行部が形成されていない構成としてもよく、一部に蛇行部が形成された構成としてもよい。
図15は、第1封入部材731の変形である第1封入部材733を示す斜視図である。
第1封入部材733は、前述の第1封入部材731と同様に、第2封入部材732と組み合わされて冷却媒体封入部73を構成するものである。この第1封入部材733は、第1封入部材731と同様に、開口部7311,7312、隔壁7313、孔7314、媒体流通部7315および媒体流通口7316を備えている。また、隔壁7313によって区画される空間のうち、内側の空間は、第1冷却室731Aであり、外側の空間は第2冷却室731Bとして構成されている。
第1封入部材733に形成された隔壁7313には、第1封入部材731とは異なり、第1冷却室731Aおよび第2冷却室731Bに向かって突出する凹凸型の蛇行部7313Bが形成されている。この蛇行部7313Bは、波型形状に形成された隔壁7313の蛇行部7313Aと同様に、第1冷却室731A内に密閉封入された冷却媒体および第2冷却室731B内を流通する冷却媒体と、隔壁7313との接触面積を拡大するためのものである。これによれば、蛇行部7313Aと同様に、これら冷却媒体との接触面積が拡大するので、第1冷却室731A内の冷却媒体から隔壁7313への熱伝導効率を向上でき、また、隔壁7313に伝導された熱を、第2冷却室731B内を流通する冷却媒体により冷却しやすくすることができる。従って、第1冷却室731A内の冷却媒体を、第2冷却室731B内を流通する冷却媒体で効率良く冷却することができ、ひいては、液晶パネル441、入射側偏光板442および射出側偏光板443を効果的に冷却することができる。
前記第1実施形態では、配管622は、略U字状に形成されるとしたが、本発明はこれに限らず、冷却媒体封入部内を透過する光束透過領域を避けて配管が設けられる構造であれば、配管の形状は問わない。
図16は、第1封入部材731の変形である第1封入部材734の内部を示す正面図である。
第1封入部材734には、開口部7311,7312が形成されており、開口部7311を塞ぐように第2封入部材732が取り付けられることによって、冷却媒体封入部が形成され、内部に冷却媒体が密閉封入される第1冷却室734Aが形成される。
この第1封入部材734には、開口部7312の周囲をおよそ1周半囲むように銅製の配管7341がとぐろ状に配置されている。この配管7341の一方の端部には、外部から冷却媒体を配管7341内に流入させる媒体流入部7342が形成され、他方の端部には、該配管7341内を流通した冷却媒体を外部に送出する媒体流出部7343が形成されている。これら媒体流入部7342および媒体流出部7343は、第2封入部材7312に形成された図示しない開口部に連通している。すなわち、配管7341内は、冷却媒体が流通する第2冷却室734Bとされている。
なお、配管7341の開口部7312を囲む回数は適宜決めてよい。
このような構成の第1封入部材734では、液晶パネル441、入射側偏光板442および射出側偏光板443を冷却する第1冷却室743A内の冷却媒体は、第2冷却室734B内、すなわち配管7341内を流通する冷却媒体によって冷却される。ここで、配管7341は、光束が透過する開口部7312の周囲を囲むようにとぐろ状に配置されているので、第2冷却室734B内を流通する冷却媒体が光束透過領域に流入しない。これにより、第2冷却室734B内を流通する冷却媒体が劣化しても、光学像に影響を与えることを防ぐことができる。また、第2冷却室734Bを形成する配管7341はとぐろ状に配置されているので、配管7341と、第1冷却室の冷却媒体との接触面積を飛躍的に拡大することができる。従って、第1冷却室734A内の冷却媒体を、配管7341内を流通する冷却媒体で冷却しやすくすることができ、第1冷却室734A内の冷却媒体の冷却効率を向上して、液晶パネル441、入射側偏光板442および射出側偏光板443を効率良く冷却することができる。
前記各実施形態では、冷却媒体封入部621,73を備える冷却装置62,72は、液晶パネル保持枠61の光束入射側および光束射出側にそれぞれ固定されるとしたが、光束入射側および光束射出側のいずれか一方に設けられている構成でもよい。なお、液晶パネル保持枠61の光束入射側および光束射出側に冷却装置62,72をそれぞれ設ける構成とすれば、液晶パネル441を一層効果的に冷却することができる。
前記各実施形態では、中継部材451の第1中継部451Aに形成された冷却媒体供給部451A2は、液晶パネル保持枠61の光束射出側に配置固定された冷却装置62B,72Bの媒体流入部6221および媒体流通部7315に接続されるとしたが、光束入射側に配置固定された冷却装置62A,72Aに接続するようにしてもよい。なお、液晶パネル441の光束射出側は、光束入射側に比べて高温化傾向が高く、また、入射側偏光板442より射出側偏光板443の方が高温になりやすい。このため、光束射出側に設けられた冷却装置62B,72Bに冷却媒体をはじめに送出することにより、より温度の低い冷却媒体を液晶パネル441の光束射出面および射出側偏光板443の冷却に供することができる。従って、液晶パネル441の光束射出面および射出側偏光板443の冷却を一層効率良く行うことができ、光学像形成を安定化させることができる。
前記各実施形態では、配管622,7341は、銅およびアルミニウム等の金属製としたが、テフロン(登録商標)等の可撓性材料によって構成してもよい。この場合、可撓性材料によって構成され、冷却媒体が流通する配管を、第1冷却室を構成する冷却媒体封入部の少なくとも一部に巻き付けることによって、配管を第1冷却室に熱伝導可能に接触させ、第1冷却室内の冷却媒体を、配管内を流通する冷却媒体により冷却する構成としてもよい。この場合、冷却媒体封入部の内部構造を簡素化することができるとともに、光学装置44の組み立て後に、配管を取り付けることができるので、光学装置44の製造工程を簡素化することができる。
前記各実施形態では、冷却装置62,72は、液晶パネル保持枠61に固定具63によって固定されるとしたが、熱伝導性接着剤等により固定してもよい。なお、液晶パネル保持枠61に係合する固定具63により固定する構成とすれば、前述のように、該液晶パネル保持枠61に冷却装置62,72を簡単に固定することができる。
前記各実施形態では、冷却装置62,72は、液晶パネル441を冷却するとともに、それぞれの冷却装置62,72に保持される入射側偏光板442および射出側偏光板443を冷却するとしたが、少なくとも液晶パネル441を冷却するのであれば、必ずしもこれら入射側偏光板442および射出側偏光板443を保持・冷却する必要はない。なお、液晶パネル441とともに、これら入射側偏光板442および射出側偏光板443を同時に冷却する構成とすれば、液晶パネル441とともに高温化が著しい入射側偏光板442および射出側偏光板443を冷却して安定した光学像の形成を実現できるほか、熱劣化を抑え、製品寿命を延ばすことができる。また、新たに入射側偏光板442および射出側偏光板443を冷却する冷却構造を設ける必要がないので、光学装置44の構造を簡素化することができる。
前記各実施形態では、光学ユニット4が平面視略L字形状を有した構成を説明したが、これに限らず、例えば、平面視略U字形状を有した構成を採用してもよい。
前記各実施形態では、3つの液晶パネル441を用いたプロジェクタ1の例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記各実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の液晶パネルを用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。この場合においても、冷却装置62,72を液晶パネルの少なくとも一方の面に取り付けることにより、前述の効果を奏することができる。
前記各実施形態では、光変調素子として液晶パネルを用いていたが、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調素子を用いてもよい。この場合は、光束入射側および光束射出側の偏光板は省略できる。
前記各実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行なうフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明は、プロジェクタに利用できる。
本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示す模式図。 前記実施形態における光学装置を下方から見た斜視図。 前記実施形態における光学装置本体を上方から見た斜視図。 前記実施形態における光学変換装置を上方から見た斜視図。 前記実施形態における光学変換装置を示す分解斜視図。 前記実施形態における冷却装置を上方から見た斜視図。 前記実施形態における冷却装置を示す分解斜視図。 前記実施形態における冷却装置を示す断面図。 本発明の第2実施形態に係る光学装置本体を上方から見た斜視図。 前記実施形態における光学変換装置を示す斜視図。 前記実施形態における光学変換装置を示す分解斜視図。 前記実施形態における冷却装置を上方から見た斜視図。 前記実施形態における冷却装置を示す分解斜視図。 前記実施形態における第1封入部材の内部構成を示す斜視図。 前記実施形態の第1封入部材の変形を示す斜視図。 前記実施形態の第1封入部材の変形を示す正面図。
符号の説明
1…プロジェクタ、411…光源装置(光源)、44…光学装置、441…液晶パネル(光変調素子、光変調装置)、448…媒体循環部材(流路接続部材)、61…液晶パネル保持枠(保持枠)、611…開口部(開口)、613A,613B…係合突起(突起)、621,73…冷却媒体封入部、621A,621B…開口部(開口)、6211…冷却室(第1冷却室)、622…管状部材、622A…空間(第2冷却室)、63…固定具、731A…第1冷却室、731B…第2冷却室、7313…隔壁、7313A,7313B…蛇行部。

Claims (7)

  1. 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調素子と、この光変調素子の画像形成領域に応じた開口を備え、この光変調素子を保持する保持枠とを備えた光変調装置を具備する光学装置であって、
    前記光変調装置の光束入射側および/または光束射出側には、該光変調装置の画像形成領域に応じた開口が形成され、前記光変調素子を冷却する冷却媒体が封入される容器状の冷却媒体封入部と、前記冷却媒体封入部に収納され、冷却媒体が流通する配管と、前記配管を前記冷却媒体封入部に固定する固定部材とが設けられ、
    前記冷却媒体封入部は、前記開口を含む空間に前記冷却媒体を密閉封入する第1冷却室と、前記開口を避けた位置に、前記第1冷却室とは区画して形成され、他の冷却媒体を前記冷却媒体封入部外部から導いて流通させる前記配管内部の空間の第2冷却室とを備え
    前記保持枠には、前記冷却媒体封入部の外側に突出する突起が形成され、
    前記冷却媒体封入部の外側に被せられ、この突起と係合することにより、該冷却媒体封入部を前記保持枠に固定する固定具を備えていることを特徴とする光学装置。
  2. 請求項1に記載の光学装置において、
    前記配管は、熱伝導性材料から構成されることを特徴とする光学装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の光学装置において、
    前記配管は、前記開口部を囲むように配設されることを特徴とする光学装置。
  4. 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調素子と、この光変調素子の画像形成領域に応じた開口を備え、この光変調素子を保持する保持枠とを備えた光変調装置を具備する光学装置であって、
    前記光変調装置の光束入射側および/または光束射出側には、該光変調装置の画像形成領域に応じた開口と、前記開口を囲む隔壁とが形成され、前記光変調素子を冷却する冷却媒体が封入される容器状の冷却媒体封入部が設けられ、
    前記冷却媒体封入部は、熱伝導性材料から構成され、さらに、前記開口を含む空間に前記冷却媒体を密閉封入する第1冷却室と、前記開口を避けた位置に、前記第1冷却室とは前記隔壁によって区画して形成され、他の冷却媒体を前記冷却媒体封入部外部から導いて流通させる第2冷却室とを備え
    前記保持枠には、前記冷却媒体封入部の外側に突出する突起が形成され、
    前記冷却媒体封入部の外側に被せられ、この突起と係合することにより、該冷却媒体封入部を前記保持枠に固定する固定具を備えていることを特徴とする光学装置。
  5. 請求項4に記載の光学装置において、
    前記隔壁の少なくとも一部には、該隔壁の内側および/または外側に突出する蛇行部が形成されていることを特徴とする光学装置。
  6. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の光学装置において、
    前記冷却媒体封入部は、前記光変調装置の光束射出側および光束入射側の双方に設けられ、
    それぞれの冷却媒体封入部の第2冷却室を連絡する流路接続部材を備えていることを特徴とする光学装置。
  7. 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、前記光学像を拡大投写するプロジェクタであって、
    請求項1〜請求項のいずれかに記載の光学装置を備えることを特徴とするプロジェクタ。
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