JP4419646B2 - 光学装置およびプロジェクタ - Google Patents
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Description
また、第2冷却室内を流通する冷却媒体には、光束が透過されないので、第2冷却室内の冷却媒体は、光束透過性である必要はなく、また無色透明である必要が無い。従って、冷却媒体の選択範囲を広げることができるので、安価な冷却媒体を使用することができ、ひいては光学装置の製造コストを低減することができる。
また、第1冷却室および第2冷却室を確実に区画でき、かつ、冷却装置の構成を簡素化することができる。すなわち、第1冷却室内に第2冷却室となる配管を、光束が透過する開口を囲むように配置して、配管内に第2の冷却媒体を流通させることにより冷却媒体封入部を構成できる。
また、第2冷却室が配管内の空間として構成されているので、第2冷却室における冷却媒体の流通を良くすることができる。これにより、第2冷却室内での冷却媒体の停滞を防ぐことができ、第2冷却室の冷却媒体による第1冷却室の冷却媒体の冷却を効率良く行うことができる。
さらに、保持枠には、冷却媒体封入部の外側に突出する突起が形成され、冷却媒体封入部の外側に被せられ、この突起と係合することにより、該冷却媒体封入部を保持枠に固定する固定具を備えているため、保持枠の光束入射側または光束射出側に冷却媒体封入部を取り付けた後に、保持枠に形成された突起に係合するように固定部を取り付けることにより、冷却媒体封入部を保持枠に簡単に固定することができる。従って、光学装置の製造工程を簡略化することができる。
本発明によれば、配管が熱伝導性材料であるため、第1冷却室内の冷却媒体を効果的に冷却することができ、ひいては、光変調素子を効果的に冷却することができる。
本発明によれば、第1冷却室内の冷却媒体と、配管との接触面積を拡大することができる。これによれば、第1冷却室内の冷却媒体の熱が配管に伝導され、この配管の熱を該配管内を流通する冷却媒体により冷却しやすくすることができる。従って、第1冷却室内の冷却媒体を一層効果的に冷却することができ、光変調素子を一層効率良く冷却することができる。
本発明によれば、光変調素子は冷却媒体封入部の第1冷却室に密閉封入された冷却媒体により冷却され、この冷却媒体は第2冷却室内を流通する他の冷却媒体により冷却される。ここで、光変調素子に入射する光束、または、光変調素子から射出された光束は、第1冷却室内の冷却媒体を透過することとなる。このため、第1冷却室内の冷却媒体は、循環せずに光変調素子を冷却することとなるので、冷却媒体に不純物が混入するなどして劣化することを抑えることができる。また、この冷却媒体は、第2冷却室内を循環する冷却媒体により冷却されるので、光変調素子を冷却する冷却媒体の温度上昇を抑えることができる。これにより、第1冷却室内の冷却媒体による光変調素子の冷却効率を向上できるだけでなく、該冷却媒体の熱劣化を防ぐことができる。従って、光変調素子の冷却を効率良く冷却できるだけでなく、光束が透過する冷却媒体の劣化を抑え、光変調素子によって形成される光学像の劣化を防ぐことができる。
また、第2冷却室内を流通する冷却媒体には、光束が透過されないので、第2冷却室内の冷却媒体は、光束透過性である必要はなく、また無色透明である必要が無い。従って、冷却媒体の選択範囲を広げることができるので、安価な冷却媒体を使用することができ、ひいては光学装置の製造コストを低減することができる。
また、光束が透過する開口を囲む隔壁により、第1冷却室および第2冷却室が区画され、この隔壁は熱伝導性材料から形成されているので、これらを冷却媒体封入部内に一体的に形成することができる。これにより、冷却媒体封入部の部品点数を削減でき、冷却媒体封入部の構成を簡素化することができる。また、第1冷却室および第2冷却室が、冷却媒体封入部内に一体的に形成されているので、これら第1冷却室および第2冷却室のいずれかを、冷却媒体封入部内に別部材として設ける必要が無い。このため、冷却媒体封入部の製造工程を簡素化することができる。
さらに、保持枠には、冷却媒体封入部の外側に突出する突起が形成され、冷却媒体封入部の外側に被せられ、この突起と係合することにより、該冷却媒体封入部を保持枠に固定する固定具を備えているため、保持枠の光束入射側または光束射出側に冷却媒体封入部を取り付けた後に、保持枠に形成された突起に係合するように固定部を取り付けることにより、冷却媒体封入部を保持枠に簡単に固定することができる。従って、光学装置の製造工程を簡略化することができる。
本発明によれば、隔壁に形成された蛇行部により、隔壁と第1冷却室内の冷却媒体および第2冷却室の冷却媒体の少なくともいずれかとの接触面積を拡大することができる。これによれば、第1冷却室内の冷却媒体と、第2冷却室内の冷却媒体との、隔壁を介して行われる熱伝導を効果的に行うことができる。従って、第1冷却室内の冷却媒体の冷却を効率良く行うことができ、ひいては、光変調素子の冷却効率を一層向上することができる。
本発明によれば、それぞれの冷却装置は、光変調素子を光束入射側および光束射出側の両面から光変調素子を冷却することができる。これにより、光変調素子をより効果的に冷却することができる。また、光変調素子を、該光変調素子の両面から冷却することができるので、光変調素子における熱分布を均等にすることができる。従って、光変調素子の局所的な高温化を防ぐことができ、熱劣化を一層抑えられるとともに、製品寿命を延ばすことができる。
さらに、流路接続部材により、それぞれの冷却媒体封入部に設けられた第2冷却室間が接続されるので、第2冷却室を流通する冷却媒体の流通経路を統一することができ、光学装置の構成を簡素化することができる。
また、第1冷却室内の冷却媒体を冷却する第2冷却室内の冷却媒体には、光学像形成に利用される光束が透過されないので、第2冷却室内を流通する冷却媒体が変色した場合、および、流通過程における不純物の混入が発生した場合でも、形成される光学像に悪影響を与えることを防ぐことができる。
従って、光変調素子の冷却を効果的に行うことができるとともに、光学像の劣化を防ぐことができる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)プロジェクタの構成
図1は、プロジェクタ1の概略構成を模式的に示す図である。
プロジェクタ1は、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、形成した光学像をスクリーン上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、外装ケース2と、冷却ユニット3と、光学ユニット4と、投射光学装置としての投射レンズ5とを備える。
なお、図1において、図示は省略するが、外装ケース2内において、冷却ユニット3、光学ユニット4、および投射レンズ5以外の空間には、電源ブロック、ランプ駆動回路等が配置されるものとする。
なお、外装ケース2は、合成樹脂製に限らず、その他の材料にて形成してもよく、例えば、金属等により構成してもよい。
また、図示は省略するが、この外装ケース2には、冷却ユニット3によりプロジェクタ1外部から冷却空気を内部に導入するための吸気口、およびプロジェクタ1内部で温められた空気を排出するための排気口が形成されている。
さらに、この外装ケース2には、図1に示すように、投射レンズ5の側方で外装ケース2の角部分に位置し、光学ユニット4の後述する光学装置のラジエータを他の部材と隔離する隔壁21が形成されている。
なお、この冷却ユニット3は、図示は省略するが、シロッコファン31および軸流ファン32の他、光学ユニット4の後述する光源装置、および図示しない電源ブロック、ランプ駆動回路等を冷却するための冷却ファンも有しているものとする。
投射レンズ5は、複数のレンズが組み合わされた組レンズとして構成される。そして、この投射レンズ5は、光学ユニット4にて形成された光学像(カラー画像)を図示しないスクリーン上に拡大投射する。
光学ユニット4は、図1に示すように、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、光学装置44と、これら光学部品41〜43、および、光学装置44の後述する光学装置本体45を収納配置する光学部品用筐体46とを備える。
インテグレータ照明光学系41は、光学装置44を構成する後述する液晶パネルの画像形成領域を略均一に照明するための光学系である。このインテグレータ照明光学系41は、図1に示すように、光源装置411と、第1レンズアレイ412と、第2レンズアレイ413と、偏光変換素子414と、重畳レンズ415とを備える。
第1レンズアレイ412は、光軸方向から見て略矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズは、光源装置411から射出される光束を、複数の部分光束に分割している。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様な構成を有しており、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を光学装置44の後述する液晶パネル上に結像させる機能を有している。
具体的に、偏光変換素子414によって略1種類の偏光光に変換された各部分光は、重畳レンズ415によって最終的に光学装置44の後述する液晶パネル上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネルを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源装置411からの光の略半分を利用できない。このため、偏光変換素子414を用いることで、光源装置411からの射出光を略1種類の偏光光に変換し、光学装置44での光の利用効率を高めている。
リレー光学系43は、図1に示すように、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432,434を備え、色分離光学系42で分離された赤色光を光学装置44の後述する赤色光用の液晶パネルまで導く機能を有している。
なお、光学装置44は、具体的な構成は後述するが、液晶パネル441、入射側偏光板442、射出側偏光板443、およびクロスダイクロイックプリズム444等から構成される光学装置本体以外に、メインタンク、媒体圧送部、ラジエータおよび媒体循環部材を備える。
射出側偏光板443は、液晶パネル441から射出された光束のうち、入射側偏光板442における光束の透過軸と直交する偏光軸を有する光束のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。この射出側偏光板443は、入射側偏光板442と同様に、透光性基板上に図示しない視野角補正膜および偏光膜が貼付された構成を有している。
なお、上述した視野角補正膜は、液晶パネル441で形成される光学像の視野角を補正する機能を有するものであり、この視野角補正膜を配置することで投射画像の視野角が拡大されかつ、投射画像のコントラストが大幅に向上する。
このうち、部品収納部材は、光学部品用筐体46の底面、前面、および側面をそれぞれ構成する。
この部品収納部材において、底面には、光学装置44の液晶パネル441位置に対応して形成された図示しない3つの孔が形成されている。そして、冷却ユニット3のシロッコファン31によりプロジェクタ1外部から内部に導入された冷却空気は、シロッコファン31から吐出され、前記3つの孔を介して光学装置44の3つの液晶パネル441へと流通する。
図2は、光学装置44を下方から見た斜視図である。
光学装置44は、図2に示すように、前述の液晶パネル441、入射側偏光板442、射出側偏光板443、およびクロスダイクロイックプリズム444がユニット化された光学装置本体45と、メインタンク445と、媒体圧送部446と、ラジエータ447と、複数の媒体循環部材448とを備える。
このうち、媒体循環部材448は、エチレングリコール溶液等の冷却媒体が内部に流通可能に構成されており、媒体循環部材448内部を冷却媒体が流通する際に、該冷却媒体の熱が放熱される。この媒体循環部材448は、本実施形態では、アルミニウム製の管状部材で構成されているが、銅、マグネシウムまたはチタン等の金属で構成してもよく、あるいは熱伝導性の合成樹脂およびゴム等の弾性体で構成してもよい。また、本実施形態では、冷却媒体として、透明性の非揮発性液体であるエチレングリコールを採用したが、他の液体を採用してもよい。
なお、光学装置本体45の構造は、後に詳述する。
このメインタンク445の円柱軸方向略中央部分には、冷却媒体を内部に流入させる冷却媒体流入部445Aと、内部の冷却流体を外部に流出させる冷却媒体流出部445Bとが形成されている。これら冷却媒体流入部445Aおよび冷却媒体流出部445Bは、媒体循環部材448を介して、それぞれ媒体圧送部446およびラジエータ447に接続される。
このような構成では、媒体圧送部446は、前記羽根車の回転軸方向の厚み寸法を小さくすることができ、プロジェクタ1内部の空きスペースに配置することが可能となる。本実施形態では、媒体圧送部446は、投射レンズ5の下方に配置される。
光学装置本体45は、図3に示すように、クロスダイクロイックプリズム444と、このクロスダイクロイックプリズム444上面に載置される中継部材451と、3つの光学変換装置6(赤色光を光学変換する光学変換装置6R、緑色光を光学変換する光学変換装置6G、青色光を光学変換する光学変換装置6B)と、これら光学変換装置6のそれぞれをクロスダイクロイックプリズム444の各光束入射面に固定する3つの光学変換装置保持体452と、クロスダイクロイックプリズム444が載置されるプリズム台座453とを備える。このうち、光学変換装置6(6R,6G,6B)は、液晶パネル441(441R,441G,441B)を保持する液晶パネル保持枠61と、入射側偏光板442および射出側偏光板443を保持するとともに、これら液晶パネル441、入射側偏光板442および射出側偏光板443を冷却する冷却装置62(62A,62B)が、固定具63により一体化された構造を有する。この光学変換装置6については、後に詳述する。
第1中継部451Aは、中継部材451の上部を構成し、媒体循環部材448を介して前述の媒体圧送部446に接続される1つの冷却媒体流入部451A1と、第1中継部451Aに流入された冷却媒体を光学変換装置6の冷却装置62(62B)に供給する3つの冷却媒体供給部451A2とを備えている。
第2中継部451Bは、中継部材451の下部を構成し、それぞれの光学変換装置6の冷却装置62(62A)から冷却媒体が流入する3つの冷却媒体流入部451B2と、媒体循環部材448を介して前述のラジエータ447と接続される図示しない冷却媒体排出部とを備えている。
このうち、本体固定部453Aに形成された脚部453A1の先端部分には、略円形の孔453A2がそれぞれ形成されている。これらの孔453A2にねじ等の固定具が挿通され、この固定具が光学部品用筐体46に形成された図示しない孔に係合することにより、光学装置本体45が光学部品用筐体46に固定される。
載置部453Bの上面には、略中央に向かうにつれて盛り上がった図示しない膨出部が形成されており、この膨出部にクロスダイクロイックプリズム444が載置される。これにより、クロスダイクロイックプリズム444を紫外線硬化性または熱硬化性の接着剤等により固定する際に、クロスダイクロイックプリズム444の入射光束の光軸に対する傾き調整を容易にすることができる。
光学変換装置6は、液晶パネル441、入射側偏光板442および射出側偏光板443を一体的に保持するとともに、これら光学部品441,442,443で発生した熱を冷却する。この光学変換装置6は、液晶パネル441を保持する液晶パネル保持枠61と、この液晶パネル保持枠61の光束入射側の面に取り付けられる冷却装置62Aと、同じく液晶パネル保持枠61の光束射出側の面に取り付けられる冷却装置62Bと、これら冷却装置62A,62Bを液晶パネル保持枠61に固定する2つの固定具63とを備えている。
なお、冷却装置62A,62Bの構造は後に詳述する。
液晶パネル保持枠61の四隅部分から、上方および下方に延出する延出部612のそれぞれには、液晶パネル保持枠61を光束の入射方向に貫通する孔612Aが形成されている。これらの孔612Aには、前述のピンスペーサ454が挿通される。
このうち、延出部632は、側面視略U字状に形成されており、それぞれの先端部分に開口部6321が形成されている。また、延出部633の先端部にも、開口部6331が形成されている。これら開口部6321,6331には、前述の液晶パネル保持枠61の係合部613に形成された係合突起613A,613Bのいずれかが嵌合される。
冷却装置62(62A,62B)は、液晶パネル保持枠61に固定され、該液晶パネル保持枠61内に収納された液晶パネル441を冷却する。また、冷却装置62(62A,62B)は、それぞれ入射側偏光板442および射出側偏光板443を保持するとともに、これらを冷却する。
このうち、冷却装置62Aは、図6〜図8に示すように、冷却媒体が封入される容器状の冷却媒体封入部621と、この冷却媒体封入部621内に収納され、冷却媒体が流通する略U字状の配管622と、この配管622を冷却媒体封入部621に固定する固定部材623とを備える。
また、冷却媒体封入部621の光束入射側および光束射出側には、液晶パネル保持枠61に収納される液晶パネル441に対応する位置に、光源装置411から射出された光束を該液晶パネル441の光束入射面に透過させる開口部621A,621Bが形成されている。
第1溝部621A1には、第1溝部621A1の形状に合わせて略矩形状に形成され、中央に光束透過のための開口が形成されたゴム等の弾性部材624が取り付けられる。また、第2溝部621A2には、弾性部材624に当接するように、入射側偏光板442が嵌合される。すなわち、この弾性部材624は、冷却媒体封入部621の冷却室6211に封入された冷却媒体が、開口部621Aから漏出しないためのパッキンである。
開口部621C1は、略矩形に形成され、冷却室6211と連通している。この開口部621C1には、内側に向かって図示しない段差が形成されている。この段差部分には、前述の弾性部材624と同様の弾性部材621C2が取り付けられる。これにより、開口部621C1から、冷却室6211内の冷却媒体が漏出しないようにすることができる。
また、2つの孔621C3は、固定部材623を上面621Cに固定する際に、ねじ625が螺合するためのねじ孔として構成されている。
この配管622は、熱伝導性の略U字状の管状部材であり、内部に冷却媒体が流通しており、この配管622内部の空間622Aが本発明の第2冷却室に相当する。この配管622には、配管622内に冷却媒体を流入させる媒体流入部6221と、この媒体流入部6221から流入した冷却媒体が配管622内を流入した後に排出される媒体流出部6222とが形成されている。これら媒体流入部6221および媒体流出部6222は、固定部材623の上面623Aに露出している。
なお、配管622は、本実施形態では、銅製とされているが、アルミニウム、マグネシウムおよびチタン等の金属または合成樹脂等により形成してもよい。
これにより、冷却室6211内の冷却媒体を、配管622内を流通する冷却媒体で冷却できるので、冷却室6211内の冷却媒体を低温に保つことができ、液晶パネル441の光束入射面および入射側偏光板442を効果的に冷却することができる。また、配管622は、冷却媒体封入部621の開口部621A,621Bを透過する光束透過領域を囲むように配置されているので、冷却室6211の冷却媒体との接触面積を拡大することができるとともに、配管622が光束透過領域内に入らないようにすることができる。従って、冷却室6211内の冷却媒体と、配管622内の冷却媒体の熱交換効率を向上することができるので、液晶パネル441および入射側偏光板442の冷却効率を一層向上することができる。
また、図4および図5に示すように、冷却装置62Bを構成する冷却媒体封入部621の射出側偏光板443が保持される開口部621Aとは反対側の開口部621Bは、液晶パネル441の光束射出面に接触するように配置される。この冷却装置62Bの冷却媒体封入部621内に密閉封入された冷却媒体は、液晶パネル441の光束射出面に直接接触し、液晶パネル441を冷却する。
次に、本発明の第2実施形態に係るプロジェクタの光学装置について説明する。第2実施形態の光学装置は、前述の第1実施形態の光学装置と略同じ構成を備えるが、光学装置本体の光学変換装置の構造において相違点を有する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態に係る光学装置44の光学装置本体45Aは、前述の第1実施形態で示した光学装置本体45が光学変換装置6を備えていたのに対し、光学変換装置7を備える点において相違点を有し、他の構造は、光学装置本体45と略同じである。すなわち、光学装置本体45Aは、図9に示すように、クロスダイクロイックプリズム444と、このクロスダイクロイックプリズム444に載置される中継部材451と、3つの光学変換装置7(赤色光を光学変換する光学変換装置7R、緑色光を光学変換する光学変換装置7G、青色光を光学変換する光学変換装置7B)と、これら光学変換装置7をクロスダイクロイックプリズム444の各光束入射面に取り付ける光学変換装置保持体452と、クロスダイクロイックプリズム444が載置固定されるプリズム台座453とを備える。
光学変換装置7は、図10および図11に示すように、液晶パネル441を保持する液晶パネル保持枠61と、この液晶パネル保持枠61の光束入射側および光束射出側に配置される冷却装置72(72A,72B)と、これら冷却装置72(72A,72B)を液晶パネル保持枠61に固定する固定具63とを備えている。また、液晶パネル保持枠61の光束射出側に配置される冷却装置72Bの後述する媒体流出部と、光束入射側に配置される冷却装置72Aの媒体流入部とは、流路接続部材としての媒体循環部材448により接続されている。
冷却装置72A,72Bは、前述のように、それぞれ液晶パネル保持枠61の光束入射側および光束射出側に固定具63によって固定され、該液晶パネル保持枠61内に収納された液晶パネル441をそれぞれ光束入射側および光束射出側から冷却する。また、冷却装置72A,72Bは、それぞれ入射側偏光板442および射出側偏光板443を保持し、これらを冷却する。
これら冷却装置72A,72Bは、図12〜図14に示すように、冷却媒体封入部73を備えている。
第1封入部材731は、図13および図14に示すように、略矩形の箱状体であり、アルミニウム等の金属で形成されている。この第1封入部材731には、第2封入部材732に対向する面およびこの面とは反対側の面に、それぞれ開口部7311,7312が形成されている。
このうち、開口部7311には、第2封入部732が当接固定され、閉塞される。
また、開口部7312は、液晶パネル保持枠61の開口部611から露出する液晶パネル441に対応した位置に形成されている。この開口部7312が形成された第1封入部材731外面における該開口部7312の周囲には、図示を省略するが、前述の冷却媒体封入部621の第1溝部621A1と同様の溝部が形成されており、この溝部に弾性部材624が取り付けられる。この弾性部材624は、冷却装置72Aを液晶パネル保持枠61に取り付ける際に、液晶パネル441の光束入射面に当接され、冷却装置72Bを液晶パネル保持枠61に取り付ける際に、液晶パネル441の光束射出面に当接される。
ここで、この隔壁7313を第1封入部材731に一体的に形成したことにより、第1冷却室731Aおよび第2冷却室731Bを区画するのに新たな部材を設ける必要が無いので、冷却媒体封入部73の構造を簡略化することができる。
また、第1封入部材731の上面および下面には、第2冷却室731Bに冷却媒体を流通させる媒体流通部7315および媒体流通口7316が形成されている。このうち、媒体流通口7316には、媒体循環部材448が取り付けられ、冷却装置72A,72Bの媒体流通口7316間が接続される。
この第2封入部材732の略中央には、第1封入部材731に形成された開口部7312に対応する位置に開口部732Aが形成されている。この開口部732Aの第1封入部材731とは反対側の面の周囲には、前述の冷却媒体封入部621の開口部621Aの周囲に形成された第1溝部621A1および第2溝部621A2と同様の第1溝部732A1および第2溝部732A2が形成されている。このうち、第1溝部732A1には、弾性部材624が取り付けられ、この弾性部材624に当接するように、第2溝部732A2に、冷却装置72Aでは入射側偏光板442が、また冷却装置72Bでは射出側偏光板443が取り付けられる。
また、第1溝部732A1および第2溝部732A2が形成された第2封入部材732の面には、対角線上に2つの孔7322が形成されている。これら孔7322は、第1封入部材731に形成された第1冷却室731Aと連通し、該第1冷却室731A内に冷却媒体を供給するための孔である。従って、冷却装置72を液晶パネル保持枠61に固定した後、これら孔7322を介して冷却媒体を供給することにより、第1冷却室731A内が冷却媒体で充填され、この冷却媒体が、冷却装置72Aでは液晶パネル441の光束入射面および入射側偏光板442に接触し、冷却装置72Bでは液晶パネル441の光束射出面および射出側偏光板443に接触する。
なお、これら孔7322には、冷却媒体の供給後にキャップ75が取り付けられ、第1冷却室731Aに密閉封入された冷却媒体が漏出するのを防いでいる。
すなわち、第1冷却室731A内に密閉封入された冷却媒体は、液晶パネル441と、入射側偏光板442または射出側偏光板443を冷却する。この際、これら光学部品441,442,443の冷却に供されて熱せられた冷却媒体は、第2冷却室731B内を流通する冷却媒体によって隔壁7313を介して冷却される。これによれば、第1冷却室731A内の冷却媒体を低温に保つことができるので、これら液晶パネル441、入射側偏光板442および射出側偏光板443を効率良く冷却することができる。
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記第2実施形態では、第1封入部材731に形成された隔壁7313は、波型の蛇行部7313Aを有するとしたが、本発明はこれに限らず、他の形状であってもよい。すなわち、第1冷却室731Aおよび第2冷却室731B内の冷却媒体と、隔壁7313との接触面積が拡大するような形状であればよい。また、このような蛇行部が形成されていない構成としてもよく、一部に蛇行部が形成された構成としてもよい。
第1封入部材733は、前述の第1封入部材731と同様に、第2封入部材732と組み合わされて冷却媒体封入部73を構成するものである。この第1封入部材733は、第1封入部材731と同様に、開口部7311,7312、隔壁7313、孔7314、媒体流通部7315および媒体流通口7316を備えている。また、隔壁7313によって区画される空間のうち、内側の空間は、第1冷却室731Aであり、外側の空間は第2冷却室731Bとして構成されている。
第1封入部材734には、開口部7311,7312が形成されており、開口部7311を塞ぐように第2封入部材732が取り付けられることによって、冷却媒体封入部が形成され、内部に冷却媒体が密閉封入される第1冷却室734Aが形成される。
この第1封入部材734には、開口部7312の周囲をおよそ1周半囲むように銅製の配管7341がとぐろ状に配置されている。この配管7341の一方の端部には、外部から冷却媒体を配管7341内に流入させる媒体流入部7342が形成され、他方の端部には、該配管7341内を流通した冷却媒体を外部に送出する媒体流出部7343が形成されている。これら媒体流入部7342および媒体流出部7343は、第2封入部材7312に形成された図示しない開口部に連通している。すなわち、配管7341内は、冷却媒体が流通する第2冷却室734Bとされている。
なお、配管7341の開口部7312を囲む回数は適宜決めてよい。
前記各実施形態では、3つの液晶パネル441を用いたプロジェクタ1の例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記各実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の液晶パネルを用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。この場合においても、冷却装置62,72を液晶パネルの少なくとも一方の面に取り付けることにより、前述の効果を奏することができる。
前記各実施形態では、光変調素子として液晶パネルを用いていたが、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調素子を用いてもよい。この場合は、光束入射側および光束射出側の偏光板は省略できる。
前記各実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行なうフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (7)
- 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調素子と、この光変調素子の画像形成領域に応じた開口を備え、この光変調素子を保持する保持枠とを備えた光変調装置を具備する光学装置であって、
前記光変調装置の光束入射側および/または光束射出側には、該光変調装置の画像形成領域に応じた開口が形成され、前記光変調素子を冷却する冷却媒体が封入される容器状の冷却媒体封入部と、前記冷却媒体封入部に収納され、冷却媒体が流通する配管と、前記配管を前記冷却媒体封入部に固定する固定部材とが設けられ、
前記冷却媒体封入部は、前記開口を含む空間に前記冷却媒体を密閉封入する第1冷却室と、前記開口を避けた位置に、前記第1冷却室とは区画して形成され、他の冷却媒体を前記冷却媒体封入部外部から導いて流通させる前記配管内部の空間の第2冷却室とを備え、
前記保持枠には、前記冷却媒体封入部の外側に突出する突起が形成され、
前記冷却媒体封入部の外側に被せられ、この突起と係合することにより、該冷却媒体封入部を前記保持枠に固定する固定具を備えていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1に記載の光学装置において、
前記配管は、熱伝導性材料から構成されることを特徴とする光学装置。 - 請求項1または請求項2に記載の光学装置において、
前記配管は、前記開口部を囲むように配設されることを特徴とする光学装置。 - 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調素子と、この光変調素子の画像形成領域に応じた開口を備え、この光変調素子を保持する保持枠とを備えた光変調装置を具備する光学装置であって、
前記光変調装置の光束入射側および/または光束射出側には、該光変調装置の画像形成領域に応じた開口と、前記開口を囲む隔壁とが形成され、前記光変調素子を冷却する冷却媒体が封入される容器状の冷却媒体封入部が設けられ、
前記冷却媒体封入部は、熱伝導性材料から構成され、さらに、前記開口を含む空間に前記冷却媒体を密閉封入する第1冷却室と、前記開口を避けた位置に、前記第1冷却室とは前記隔壁によって区画して形成され、他の冷却媒体を前記冷却媒体封入部外部から導いて流通させる第2冷却室とを備え、
前記保持枠には、前記冷却媒体封入部の外側に突出する突起が形成され、
前記冷却媒体封入部の外側に被せられ、この突起と係合することにより、該冷却媒体封入部を前記保持枠に固定する固定具を備えていることを特徴とする光学装置。 - 請求項4に記載の光学装置において、
前記隔壁の少なくとも一部には、該隔壁の内側および/または外側に突出する蛇行部が形成されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光学装置において、
前記冷却媒体封入部は、前記光変調装置の光束射出側および光束入射側の双方に設けられ、
それぞれの冷却媒体封入部の第2冷却室を連絡する流路接続部材を備えていることを特徴とする光学装置。 - 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、前記光学像を拡大投写するプロジェクタであって、
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の光学装置を備えることを特徴とするプロジェクタ。
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