以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るプロジェクターについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態のプロジェクター1を示す概略構成図である。図2は、本実施形態のプロジェクター1の一部を示す模式図である。図1に示すように、プロジェクター1は、光源装置2と、色分離光学系3と、光変調ユニット4Rと、光変調ユニット4Gと、光変調ユニット4Bと、光合成光学系5と、投射光学装置6と、を備える。光変調ユニット4Rは、光変調装置4RPを有する。光変調ユニット4Gは、光変調装置4GPを有する。光変調ユニット4Bは、光変調装置4BPを有する。なお、図1におけるプロジェクター1の姿勢は、プロジェクター1がスクリーンSCR上に横長の画像を投射する姿勢であり、後述する基本姿勢に対応する。
光源装置2は、略均一な照度分布を有するように調整された照明光WLを色分離光学系3に向けて射出する。光源装置2は、光源として、例えば、半導体レーザーを有する。色分離光学系3は、光源装置2からの照明光WLを赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離する。色分離光学系3は、第1のダイクロイックミラー7aと、第2のダイクロイックミラー7bと、第1の反射ミラー8aと、第2の反射ミラー8bと、第3の反射ミラー8cと、リレーレンズ8dと、を備える。
第1のダイクロイックミラー7aは、光源装置2から射出された照明光WLを、赤色光LRと、緑色光LGと青色光LBとが混合された光と、に分離する。第1のダイクロイックミラー7aは、赤色光LRを透過させるとともに、緑色光LGおよび青色光LBを反射する特性を有する。第2のダイクロイックミラー7bは、緑色光LGと青色光LBとが混合された光を緑色光LGと青色光LBとに分離する。第2のダイクロイックミラー7bは、緑色光LGを反射するとともに、青色光LBを透過させる特性を有する。
第1の反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置され、第1のダイクロイックミラー7aを透過した赤色光LRを光変調装置4RPに向けて反射する。第2の反射ミラー8bおよび第3の反射ミラー8cは、青色光LBの光路中に配置され、第2のダイクロイックミラー7bを透過した青色光LBを光変調装置4BPに導く。
光変調装置4RP、光変調装置4GP、および光変調装置4BPの各々は、液晶パネルから構成されている。光変調装置4RPは、光源装置2からの光のうち赤色光LRを画像信号に応じて変調する。光変調装置4GPは、光源装置2からの光のうち緑色光LGを画像信号に応じて変調する。光変調装置4BPは、光源装置2からの光のうち青色光LBを画像信号に応じて変調する。これにより、各光変調装置4RP,4GP,4BPは、各色光に対応した画像光を形成する。図示は省略するが、光変調装置4RP,4GP,4BPの各々の光入射側および光射出側には、偏光板が配置されている。
光変調装置4RPの光入射側には、光変調装置4RPに入射する赤色光LRを平行化するフィールドレンズ9Rが配置されている。光変調装置4GPの光入射側には、光変調装置4GPに入射する緑色光LGを平行化するフィールドレンズ9Gが配置されている。光変調装置4BPの光入射側には、光変調装置4BPに入射する青色光LBを平行化するフィールドレンズ9Bが配置されている。
光合成光学系5は、略立方体状のクロスダイクロイックプリズムから構成されている。光合成光学系5は、光変調装置4RP,4GP,4BPからの各色の画像光を合成する。光合成光学系5は、合成した画像光を投射光学装置6に向かって射出する。投射光学装置6は、投射レンズ群から構成されている。投射光学装置6は、光合成光学系5により合成された画像光、すなわち光変調装置4RP,4GP,4BPにより変調された光をスクリーンSCRに向かって拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大されたカラー画像(映像)が表示される。
プロジェクター1は、図2に示すように、冷却装置10をさらに備える。冷却装置10は、冷媒W(図3参照)が気体へ変化することで、プロジェクター1に備えられた冷却対象を冷却する。本実施形態において冷媒Wは、例えば、液体の水である。そのため、以下の説明においては、冷媒Wが気体へ変化することを単に気化と呼ぶ場合がある。本実施形態において冷却対象は、光変調ユニット4R,4G,4Bを含む。
冷却装置10は、冷媒生成部20と、冷媒伝送部50と、を有する。冷媒生成部20は、冷媒Wを生成する部分である。冷媒伝送部50は、生成された冷媒Wを冷却対象に向けて伝送する部分である。冷媒伝送部50によって冷却対象(本実施形態では光変調ユニット4R,4G,4B)に送られた冷媒Wが気化することで冷却対象から熱を奪うことができ、冷却装置10は、冷却対象を冷却することができる。以下、各部について詳細に説明する。
図3は、本実施形態の冷媒生成部20を模式的に示す概略構成図である。冷媒生成部20は、図3に示すように、吸放湿部材40と、モーター24と、第1送風装置60と、熱交換部30と、循環ダクト25と、循環ダクト26と、加熱部22と、冷却ダクト21と、を有する。
図4は、吸放湿部材40を示す斜視図である。吸放湿部材40は、図4に示すように、回転軸Rを中心とした扁平の円柱状である。吸放湿部材40の中心には、回転軸Rを中心とする中心孔40cが形成されている。中心孔40cは、回転軸Rの軸方向に吸放湿部材40を貫通する。吸放湿部材40は、回転軸R周りに回転する。以下の説明においては、回転軸Rの軸方向を「回転軸方向DR」と呼び、適宜図においてDR軸で示す。
吸放湿部材40は、吸放湿部材40を回転軸方向DRに貫通する無数の貫通孔40bを有する。吸放湿部材40は、多孔質部材である。吸放湿部材40は、吸放湿性を有する。本実施形態において吸放湿部材40は、例えば、貫通孔40bを有する帯状の帯状部材40aを回転軸R周りに巻き、巻かれた帯状部材40aにおける外部に露出する面に吸放湿性を有する物質を塗布して作られている。なお、巻かれた帯状部材40aにおける外部に露出する面とは、吸放湿部材40の外表面、中心孔40cの内周面および貫通孔40bの内側面を含む。なお、吸放湿部材40は、全体が吸放湿性を有する物質から作られていてもよい。吸放湿性を有する物質としては、例えば、ゼオライト等が挙げられる。
図3に示すモーター24の出力軸は、吸放湿部材40の中心孔40cに挿入されて固定されている。モーター24は、吸放湿部材40を回転軸R周りに回転させる。モーター24によって回転させられる吸放湿部材40の回転速度は、例えば、1rpm以上、5rpm以下程度である。
第1送風装置60は、例えば、プロジェクター1内に外部の空気を取り込む吸気ファンである。第1送風装置60は、第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分に空気AR1を送る。第1領域F1は、回転軸Rと直交する方向において、回転軸Rよりも一方側(図3では上側)の領域である。一方、回転軸Rと直交する方向において、回転軸Rよりも他方側(図3では下側)の領域、すなわち第1領域F1と逆側の領域は、第2領域F2である。
第1送風装置60は、図2に示すように、冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bにも空気AR1を送る。第1送風装置60は、空気AR1を送ることができるならば、特に限定されず、例えば、軸流ファンであっても、遠心ファンであってもよい。
熱交換部30は、冷媒Wが生成される部分である。図5は、熱交換部30を示す部分断面斜視図である。図5に示すように、熱交換部30は、流通部31と、第1蓋部32と、第2蓋部33と、を有する。
流通部31は、所定方向に延びる管状の複数の配管部31aを有する。本実施形態において配管部31aが延びる所定方向は、例えば、回転軸方向DRと直交する。配管部31aは、延びる所定方向の両側に開口する。配管部31aの延びる所定方向と直交する断面形状は、例えば、円形状である。なお、以下の説明においては、配管部31aが延びる所定方向を「延伸方向(所定方向)DE」と呼び、適宜図においてDE軸で示す。上述した第1領域F1と第2領域F2とは、回転軸方向DRと直交する延伸方向DEにおいて、回転軸Rを基準として分けられている。
本実施形態において流通部31は、複数の配管部31aが回転軸方向DRに沿って並べられて構成された層が、回転軸方向DRおよび延伸方向DEの両方と直交する方向に沿って複数積層されて構成されている。なお、以下の説明においては、回転軸方向DRおよび延伸方向DEの両方と直交する方向を「厚さ方向DT」と呼び、適宜図においてDT軸で示す。本実施形態において、流通部31の厚さ方向DTの寸法は、例えば、流通部31の回転軸方向DRの寸法よりも小さく、延伸方向DEと直交する方向の流通部31の寸法のうちで最も小さい。なお、本明細書において、延伸方向DEと回転軸方向DRと厚さ方向DTとは、熱交換部30の姿勢を示す3次元直交座標系の各方向とする。
第1蓋部32は、流通部31における延伸方向DEの一方側(+DE側)の端部に接続されている。第1蓋部32は、回転軸方向DRに長い直方体箱状である。第1蓋部32の内部には、配管部31aの延伸方向DEの一端が開口している。図3に示すように、第1蓋部32の内部には、仕切部32aが設けられている。仕切部32aは、第1蓋部32の内部を回転軸方向DRに並ぶ第1空間S1と第2空間S2とに仕切っている。図3において、第1空間S1は、第2空間S2の右側(+DR側)に位置する。
第1蓋部32には、第1空間S1と循環ダクト26の内部とを繋ぐ連通孔32bが形成されている。第1蓋部32には、第2空間S2と循環ダクト25の内部とを繋ぐ連通孔32cが形成されている。
第2蓋部33は、流通部31における延伸方向DEの他方側(-DE側)の端部、すなわち第1蓋部32が接続された側と逆側の端部に接続されている。図5に示すように、第2蓋部33は、回転軸方向DRに長い直方体箱状である。第2蓋部33の内部には、配管部31aの延伸方向DEの他端が開口している。第2蓋部33の内部は、第1蓋部32と異なり、仕切られていない。第2蓋部33の内部は、流通部31の配管部31aの内部を介して、第1蓋部32の内部のうち第1空間S1および第2空間S2のそれぞれと繋がっている。第2蓋部33は、冷媒伝送部50と接続されている。これにより、熱交換部30は、冷媒伝送部50と接続されている。なお、図5においては、第2蓋部33における延伸方向DEの他方側の壁を省略している。
循環ダクト26は、図3に示すように、回転軸方向DRにおいて、吸放湿部材40の一方側(+DR側)に配置されたダクトである。循環ダクト26は、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分に向かって、回転軸方向DRの他方側(-DR側)に開口する流入口を有する。循環ダクト26は、第1蓋部32の連通孔32bと繋がる流出口を有する。
循環ダクト25は、回転軸方向DRにおいて、吸放湿部材40の他方側(-DR側)に配置されたダクトである。循環ダクト25は、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分に向かって、回転軸方向DRの一方側(+DR側)に開口する流出口を有する。循環ダクト25は、第1蓋部32の連通孔32cと繋がる流入口を有する。
加熱部22は、加熱本体部22aを有する。加熱本体部22aは、循環ダクト25の内部に配置されている。加熱本体部22aは、回転軸方向DRにおいて、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分の他方側(-DR側)に配置されている。加熱本体部22aは、例えば、電気ヒーターである。加熱本体部22aは、循環ダクト25の内部の雰囲気を加熱する。本実施形態において加熱部22は、第2送風装置23を有する。
第2送風装置23は、循環ダクト26の内部に配置されている。第2送風装置23は、回転軸方向DRにおいて、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分の一方側(+DR側)に配置されている。第2送風装置23は、例えば、遠心ファンである。第2送風装置23は、回転軸方向DRの他方側(-DR側)から吸気した空気を、排気口23aから延伸方向DEの他方側(-DE側)に放出する。排気口23aは、第1蓋部32の連通孔32bに開口している。第2送風装置23は、連通孔32bを介して第1空間S1に空気を送る。
第2送風装置23から第1空間S1に放出される空気は、循環ダクト26の流入口を介して第2送風装置23の回転軸方向DRの他方側(-DR側)から吸気した空気であり、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を通過した空気である。すなわち、第2送風装置23は、第1領域F1と異なる第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分に空気を通過させて熱交換部30に送る。本実施形態において第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を通過する前の空気は、循環ダクト25の内部を流れている。そのため、加熱本体部22aは、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を通過する前の空気を加熱する。
このように、本実施形態において加熱部22は、加熱本体部22aによって加熱された空気を、第2送風装置23によって第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分に送ることで、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を加熱する。これにより、第2送風装置23は、吸放湿部材40における加熱部22によって加熱された部分の周囲の空気を熱交換部30に送る。
第2送風装置23から第1空間S1を介して熱交換部30に流入した空気は、複数の配管部31aのうち第1空間S1と繋がる配管部31aの内部を通って、第2蓋部33の内部に流入する。第2蓋部33の内部に流入した空気は、複数の配管部31aのうち第2空間S2と繋がる配管部31aの内部を通って、第2空間S2に流入し、連通孔32cから循環ダクト25の内部に流入する。循環ダクト25の内部に流入した空気は、加熱本体部22aによって加熱され、再び第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を通過して循環ダクト26の内部に流入し第2送風装置23に吸気される。
以上のように、本実施形態において冷媒生成部20は、第2送風装置23から放出された空気が循環する循環経路27を有する。循環経路27は、少なくとも循環ダクト25,26と熱交換部30とによって構成されている。循環経路27は、加熱本体部22aと吸放湿部材40と熱交換部30とを通る。吸放湿部材40と循環ダクト25,26との間には僅かに隙間が設けられているが、循環経路27は略密閉されており、循環経路27の内部に外部からの空気が流入することが抑制される。なお、以下の説明においては、第2送風装置23から放出され循環経路27内を循環する空気を空気AR2と呼ぶ。
冷却ダクト21は、回転軸方向DRにおいて、第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分の一方側(+DR側)に配置された流入口を有するダクトである。冷却ダクト21には、第1送風装置60から放出され第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分を通過した空気AR1が流入する。冷却ダクト21は、第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分の一方側から熱交換部30に向かって延びている。
冷却ダクト21は、回転軸方向DRに延びる冷却通路部21aを有する。冷却通路部21aには、熱交換部30の流通部31が延伸方向DEに貫通して配置されている。これにより、冷却通路部21aの内部には、流通部31が配置されている。冷却通路部21aを通る空気AR1は、流通部31の外表面に吹き付けられ、流通部31を回転軸方向DRに通過する。これにより、流通部31は、空気AR1によって冷却される。すなわち、熱交換部30は、第1送風装置60から放出され、吸放湿部材40を通過した空気AR1によって冷却される。図3では、冷却通路部21aにおいて空気AR1は、右側から左側に流通部31を通過している。冷却通路部21aにおける回転軸方向DRの他方側(-DR側)の端部は、開口している。冷却通路部21aの開口は、例えば、冷却ダクト21の流出口である。
第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分に第1送風装置60から空気AR1が送られると、空気AR1に含まれる水蒸気が、第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分に吸湿される。水蒸気を吸湿した吸放湿部材40の部分は、モーター24によって吸放湿部材40が回転させられることで、第1領域F1から第2領域F2に移動する。そして、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分には、加熱本体部22aによって加熱された比較的温度の高い空気AR2が通る。これにより、吸放湿部材40に吸湿された水分が、気化して空気AR2に放湿される。
吸放湿部材40を通過することで空気AR1から吸湿した水蒸気を含んだ空気AR2は、第2送風装置23によって熱交換部30へと送られる。第1空間S1から熱交換部30へと流入した空気AR2は、流通部31の内部を流れる。より詳細には、空気AR2は、流通部31の配管部31aの内部を流れる。流通部31は、冷却ダクト21の冷却通路部21aを回転軸方向DRに沿って流れる空気AR1によって外部から冷却される。
流通部31が冷却されると、配管部31aの内部を流れる比較的温度の高い空気AR2が冷却されて、空気AR2に含まれていた水蒸気が凝縮して液体の水、すなわち冷媒Wになる。このようにして、流通部31(熱交換部30)は、冷却されることで流通部31(熱交換部30)に流入した空気AR2から冷媒Wを生成する。流通部31の内部で生成された冷媒Wは、熱交換部30の内部に貯留される。具体的には、生成された冷媒Wは、流通部31の内部、第1蓋部32の内部、および第2蓋部33の内部のうち、プロジェクター1の姿勢に応じて重力方向下側となる位置へ移動し、そこで貯留される。このため、熱交換部30、即ち流通部31、第1蓋部32および第2蓋部33は、冷媒Wが貯留される貯留部に相当する。
本実施形態において冷媒伝送部50は、多孔質部材製であり、毛細管現象によって冷媒Wを伝送する。冷媒伝送部50の材質としては、例えば、ポリプロピレン、コットン、ポーラス金属等が挙げられる。冷媒伝送部50の材質は、冷媒伝送部50の表面張力を比較的大きくできる材質が好ましい。冷媒伝送部50は、図5に示すように、第1捕捉部51と、第2捕捉部52と、第3捕捉部53と、接続部54と、を有する。
第1捕捉部51は、第1蓋部32の内側面のうち延伸方向DEの一方側(+DE側)の縁部に固定されている。第1捕捉部51は、薄い帯状であり、第1蓋部32の縁部に沿って矩形枠状に成形されている。第2捕捉部52は、第2蓋部33の内側面のうち延伸方向DEの他方側(-DE側)の縁部に固定されている。第2捕捉部52は、薄い帯状であり、第2蓋部33の縁部に沿って矩形枠状に成形されている。
第3捕捉部53は、第1捕捉部51から配管部31aの内部を通って第2捕捉部52まで延びており、第1捕捉部51と第2捕捉部52とを接続している。第3捕捉部53は、延伸方向DEに延びた薄い帯状である。
接続部54は、冷媒生成部20と冷却対象とを接続する部分である。本実施形態において接続部54は、第2捕捉部52に接続され、第2蓋部33の内部から第2蓋部33の外部に第2蓋部33の壁を貫通して突出している。第2蓋部33の外部に突出した接続部54は、冷却対象である光変調ユニット4Gまで延びている(図6参照)。接続部54は、薄い帯状である。接続部54の幅は、例えば、第1捕捉部51の幅、第2捕捉部52の幅、および第3捕捉部53の幅よりも大きい。
次に、本実施形態における冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bについて、より詳細に説明する。以下の説明においては、投射光学装置6における最も光射出側の投射レンズの光軸AXと平行な方向、すなわち投射光学装置6の投射方向と平行な方向を「光軸方向PX」と呼び、適宜図においてPX軸で示す。また、光軸方向PXと直交する方向のうちの一つを「高さ方向PZ」と呼び、適宜図においてPZ軸で示す。また、光軸方向PXおよび高さ方向PZの両方と直交する方向を「幅方向PY」と呼び、適宜図においてPY軸で示す。なお、本明細書において、光軸方向PXと幅方向PYと高さ方向PZとは、プロジェクター1の姿勢を示す3次元直交座標系の各方向とする。
なお、高さ方向PZは、プロジェクター1の姿勢が後述の基本姿勢である場合にプロジェクター1が投射する横長の画像の短辺方向に平行な方向である。また、幅方向PYは、プロジェクター1の姿勢が後述の基本姿勢である場合にプロジェクター1が投射する横長の画像の長辺方向に平行な方向である。
また、高さ方向PZおよび幅方向PYとは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
図6は、光変調ユニット4R,4G,4Bと光合成光学系5とを示す斜視図である。図7は、光変調ユニット4Gを光が入射する側から視た図である。図8は、光変調ユニット4Gを示す図であって、図7におけるVIII-VIII断面図である。
冷却対象である光変調ユニット4Rと光変調ユニット4Gと光変調ユニット4Bとは、図6に示すように、光合成光学系5の周りを囲んで配置されている。光変調ユニット4Rと光変調ユニット4Bとは、光合成光学系5を幅方向PYに挟んで互いに反対側に配置されている。光変調ユニット4Gは、光合成光学系5の光軸方向PXの光入射側(-PX側)に配置されている。光変調ユニット4Rの構造と光変調ユニット4Gの構造と光変調ユニット4Bの構造とは、配置される位置および姿勢が異なる点を除いて同様であるため、以下の説明においては、代表して光変調ユニット4Gについてのみ説明する場合がある。
光変調ユニット4Gは、光変調装置4GPを保持する保持フレーム80を有する。保持フレーム80は、図6から図8に示すように、光変調装置4GPに光が入射する方向に扁平で高さ方向PZに長い略直方体状である。光変調装置4GPの光が入射する方向は、例えば、光軸方向PXである。
保持フレーム80は、図8に示すように、保持フレーム80を光が入射する方向に貫通する貫通孔81を有する。貫通孔81の光が入射する側(図では-PX側)の縁には、貫通孔81の幅が広くなる段差部83が設けられている。光変調装置4GPは、段差部83に嵌められて保持フレーム80に保持されている。図7に示すように、保持フレーム80の光が入射する側の面における高さ方向PZの両側の部分には、挿入溝82a,82bが形成されている。
プロジェクター1は、図6から図8に示すように、冷却対象である光変調ユニット4Gに設けられた冷却促進部70をさらに備える。冷却促進部70は、冷媒保持部71と、固定部材72と、を有する。冷媒保持部71は、冷却対象である光変調ユニット4Gの保持フレーム80の面に取り付けられており、光変調ユニット4Gに接続されている。本実施形態では、冷媒保持部71は、保持フレーム80における光変調装置4GPに光が入射する側(-PX側)の面に設けられている。冷媒保持部71は、冷媒Wを保持する多孔質部材製である。冷媒保持部71の材質としては、例えば、ポリプロピレン、コットン、ポーラス金属等が挙げられる。冷媒保持部71の材質は、例えば、冷媒伝送部50の材質と同じにできる。冷媒保持部71の材質は、冷媒保持部71の表面張力を比較的大きくできる材質が好ましい。
図9は、冷媒保持部71を示す図である。冷媒保持部71は、図9に示すように、矩形枠状の本体部71aと、本体部71aにおける高さ方向PZの両側の端部に設けられた挿入部71b,71cと、を有する。本体部71aは、図8に示すように、保持フレーム80における光変調装置4GPに光が入射する側(-PX側)の面の一部を覆っている。本体部71aにおける内縁側の部分は、光変調装置4GPの外縁部分を覆っている。挿入部71bは、折り曲げられて保持フレーム80の挿入溝82aに挿入されている。挿入部71cは、折り曲げられて保持フレーム80の挿入溝82bに挿入されている。
固定部材72は、冷媒保持部71を固定する部材である。固定部材72は、図6および図8に示すように、板状の部材である。固定部材72は、例えば、金属製である。固定部材72は、矩形枠状の枠部72aと、取付部72bと、挿入部72cと、を有する。枠部72aは、図7および図8に示すように、冷媒保持部71の外縁部を覆っている。保持フレーム80と冷媒保持部71と枠部72aとは、光変調ユニット4Gを通過する光の方向(光軸方向PX)に積層されている。以下の説明においては、保持フレーム80と冷媒保持部71と枠部72aとが積層された方向を単に「積層方向」と呼ぶ。固定部材72は、枠部72aによって、保持フレーム80との間で冷媒保持部71を積層方向(光軸方向PX)に挟んで固定している。
枠部72aの内縁は、冷媒保持部71の内縁よりも外側に設けられている。そのため、冷媒保持部71の一部、すなわち本実施形態では枠部72aよりも内側の部分は、積層方向の固定部材72側から視て、露出している。
取付部72bは、図6および図8に示すように、枠部72aの高さ方向PZの両端部における幅方向PYの両端部にそれぞれ設けられている。取付部72bは、枠部72aから保持フレーム80側(+PX側)に突出している。取付部72bは、保持フレーム80の側面に設けられた突起に係合されている。これにより、固定部材72は、保持フレーム80に固定されている。
挿入部72cは、枠部72aの高さ方向PZの両端部に設けられている。挿入部72cは、枠部72aから保持フレーム80側(+PX側)に突出している。挿入部72cは、保持フレーム80の挿入溝82a,82bに挿入されている。挿入部72cは、挿入溝82a,82bの内部において、冷媒保持部71の挿入部71b,71cを押さえている。
冷却促進部70は、複数の光変調ユニット4R,4G,4Bのそれぞれに設けられている。すなわち、冷媒保持部71と固定部材72とは、複数の光変調ユニット4R,4G,4Bのそれぞれに設けられている。図9に示すように、各光変調ユニット4R,4G,4Bのうち、光変調ユニット4Gに設けられた冷媒保持部71Gは、冷媒伝送部50と接続されている。より詳細には、冷媒保持部71Gの下端部には、冷媒伝送部50の接続部54が接続されている。
光変調ユニット4Bに取り付けられた冷媒保持部71Bおよび光変調ユニット4Rに取り付けられた冷媒保持部71Rは、接続部54が接続されていない点を除いて、光変調ユニット4Gに取り付けられた冷媒保持部71Gと同様である。
本実施形態においては、複数の光変調ユニット4R,4G,4Bに設けられた冷媒保持部71同士を互いに連結する多孔質部材製の連結部73a,73bが設けられている。本実施形態では、光変調ユニット4Gに取り付けられた冷媒保持部71Gの両側に、連結部73a,73bを介して、光変調ユニット4Bに取り付けられた冷媒保持部71Bと、光変調ユニット4Rに取り付けられた冷媒保持部71Rとが連結されている。
連結部73aは、光変調ユニット4Gに取り付けられた冷媒保持部71Gと光変調ユニット4Bに取り付けられた冷媒保持部71Bとを連結している。これにより、冷媒保持部71Bは、冷媒保持部71Gを介して冷媒伝送部50(接続部54)と接続されている。図6に示すように、連結部73aには、連結部73aを覆う被覆部74が設けられている。被覆部74は、例えば、樹脂製のフィルム等である。
連結部73bは、光変調ユニット4Gに取り付けられた冷媒保持部71Gと光変調ユニット4Rに取り付けられた冷媒保持部71Rとを連結している。これにより、冷媒保持部71Rは、冷媒保持部71Gを介して冷媒伝送部50(接続部54)と接続されている。図示は省略するが、連結部73bにも、連結部73aと同様に被覆部74が設けられている。
冷媒生成部20によって生成された冷媒Wは、冷媒伝送部50の接続部54によって、冷媒保持部71Gに伝送される。冷媒保持部71Gに伝送された冷媒Wは、連結部73aを介して冷媒保持部71Bに伝送され、かつ、連結部73bを介して冷媒保持部71Rに伝送される。このようにして、冷媒生成部20で生成された冷媒Wが、3つの光変調ユニット4R,4G,4Bに伝送される。そして、伝送され冷媒保持部71に保持された冷媒Wが、光変調ユニット4R,4G,4Bからの熱を受けて気化することで、冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bが冷却される。
本実施形態によれば、冷却装置10は、冷媒生成部20で生成した冷媒Wを冷媒伝送部50によって冷却対象へと伝送し、吸熱反応である冷媒Wの気化を利用することで冷却対象から熱を奪って冷却対象を冷却することができる。冷媒Wの気化による冷却は、積極的に冷却対象から熱を奪えるため、空冷および液冷のように単に冷媒への伝熱によって冷却対象を冷却する場合に比べて、冷却性能に優れている。これにより、空冷および液冷と同じ冷却性能を得る場合に、空冷および液冷に比べて冷却装置10全体を小型化しやすい。
また、冷媒Wの気化による冷却の場合、気化する冷媒Wが冷却対象と接触する表面積を大きくすることで冷却性能を向上できる。そのため、冷却装置10による冷却性能を大きくしても、騒音が大きくなることを抑制できる。以上により、本実施形態によれば、冷却性能に優れ、かつ、小型で静粛性に優れた冷却装置10を備えたプロジェクター1が得られる。
また、本実施形態によれば、冷媒生成部20において冷媒Wを生成できるため、使用者が冷媒Wを補充する手間がなく、使用者の利便性を向上できる。
また、本実施形態によれば、吸放湿部材40によって第1送風装置60から送られる空気AR1に含まれた水蒸気を吸湿でき、吸放湿部材40によって吸湿した水分を第2送風装置23によって送られる空気AR2内に水蒸気として放湿できる。そして、第2送風装置23から送られた空気AR2が流入する熱交換部30の流通部31によって、空気AR2に水蒸気として放湿された水分を凝縮させて冷媒Wを生成することができる。これにより、本実施形態によれば、プロジェクター1内の雰囲気中から冷媒Wを生成することができる。
また、本実施形態によれば、冷媒伝送部50は、毛細管現象によって冷媒Wを伝送する。そのため、冷媒Wを伝送するためにポンプ等の動力を別途用意する必要がない。これにより、プロジェクター1の部品点数が増加することを抑制でき、プロジェクター1をより小型・軽量化しやすい。
また、本実施形態によれば、冷媒伝送部50は、冷媒生成部20と冷却対象とを接続する多孔質部材製の接続部54を有する。そのため、冷媒Wを接続部54に吸収させて毛細管現象によって伝送することができる。
また、本実施形態によれば、冷媒伝送部50は、第2蓋部33の内部に設けられた第2捕捉部52を有する。第2捕捉部52は、接続部54と接続されている。そのため、上述したようにして配管部31aから第2蓋部33の内部に流入し第2蓋部33の内部に溜まった冷媒Wを第2捕捉部52で吸収して毛細管現象によって接続部54に伝送することができる。これにより、冷媒Wをより冷媒伝送部50によって伝送しやすく、生成した冷媒Wを無駄なく冷却対象へと送りやすい。
また、本実施形態によれば、冷媒伝送部50は、第1蓋部32の内部に設けられた第1捕捉部51と、第1捕捉部51と第2捕捉部52とを接続する第3捕捉部53と、を有する。これにより、第1蓋部32の内部に溜まった冷媒Wを第1捕捉部51で吸収して、毛細管現象によって第3捕捉部53を介して第2捕捉部52に伝送することができる。したがって、第1蓋部32の内部に溜まった冷媒Wを第2捕捉部52から接続部54に伝送して、冷却対象に伝送することができる。そのため、生成した冷媒Wをより無駄なく冷却対象へと送りやすい。また、プロジェクター1の姿勢を変更した場合に、第1蓋部32と第2蓋部33とのいずれが重力方向下側に位置した状態になっても、冷媒Wを冷媒伝送部50によって好適に伝送することができる。
また、本実施形態によれば、第3捕捉部53は、配管部31aの内部を通る。そのため、配管部31aの内部に溜まった冷媒Wを第3捕捉部53で吸収して、第2捕捉部52および接続部54を介して冷却対象へと伝送することができる。したがって、生成した冷媒Wをより無駄なく冷却対象へと送りやすい。また、例えば、配管部31aの内部において冷媒Wが重力によって移動しにくい場合であっても、第3捕捉部53を介して配管部31aの内部から冷媒Wを伝送できる。したがって、配管部31aの内部に冷媒Wが滞留することをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、接続部54の幅は、例えば、第1捕捉部51の幅、第2捕捉部52の幅、および第3捕捉部53の幅よりも大きい。そのため、接続部54の幅を比較的大きくしやすく、接続部54によって伝送できる冷媒Wの量を多くできる。したがって、冷媒伝送部50によって冷媒Wを冷却対象に送りやすく、冷却対象をより冷却しやすい。
また、一方で、第1捕捉部51の幅、第2捕捉部52の幅、および第3捕捉部53の幅を比較的小さくしやすい。そのため、第1捕捉部51と第2捕捉部52と第3捕捉部53とによって保持される冷媒Wの量を少なくできる。これにより、第1捕捉部51と第2捕捉部52と第3捕捉部53とによって保持されたまま、熱交換部30の内部に残る冷媒Wの量を少なくでき、生成した冷媒Wをより無駄なく冷却対象へと送りやすい。
また、本実施形態によれば、熱交換部30は、第1送風装置60から放出され、吸放湿部材40を通過した空気AR1によって冷却される。そのため、熱交換部30を冷却する冷媒保持部を別途設ける必要がなく、プロジェクター1の部品点数が増加することを抑制できる。また、熱交換部30を冷却する冷媒保持部として送風装置を別途設けるような場合に比べて、プロジェクター1から生じる騒音が大きくなることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、第1送風装置60は、冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bに空気AR1を送る。そのため、空気AR1によって光変調ユニット4R,4G,4Bに伝送された冷媒Wを気化させやすく、光変調ユニット4R,4G,4Bをより冷却することができる。また、冷却対象を冷却する送風装置を別途設ける必要がないため、プロジェクター1の部品点数が増加することを抑制でき、騒音が大きくなることを抑制できる。
また、上述したように、本実施形態では、プロジェクター1の内部に外部の空気を取り込む吸気ファンである第1送風装置60を利用して、冷却対象に送られた冷媒Wの気化を促進させる。そのため、第1送風装置60の出力を低くしても、冷却装置10が設けられていないときと同等の冷却性能を得ることが可能である。したがって、吸気ファンである第1送風装置60の出力を低くして、第1送風装置60から生じる騒音を低減することができ、プロジェクター1の静粛性をより向上できる。
また、例えば、冷媒生成部20において、第2送風装置23から熱交換部30に送られる空気AR2の湿度が比較的低い場合、熱交換部30が冷却されても、冷媒Wが生成されにくい場合がある。熱交換部30に送られる空気AR2の湿度は、例えば、プロジェクター1の外部の空気等が混ざり込むような場合に、低下する場合がある。
これに対して、本実施形態によれば、冷媒生成部20は、第2送風装置23から放出された空気AR2が循環する循環経路27を有する。そのため、循環経路27を略密閉することで循環経路27内にプロジェクター1の外部の空気が入ることを抑制でき、熱交換部30に送られる空気AR2の湿度を比較的高い状態に維持しやすい。したがって、熱交換部30を冷却することで、好適に冷媒Wを生成することができる。
また、本実施形態によれば、加熱部22は、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を通過する前の空気を加熱する加熱本体部22aと、第2送風装置23と、を有する。そのため、加熱部22は、第2送風装置23によって吸放湿部材40に空気AR2を送ることで、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分を加熱することができる。これにより、加熱本体部22aを吸放湿部材40から離れた位置に配置しても、加熱部22によって吸放湿部材40を加熱することができる。したがって、加熱部22の構成の自由度を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、冷媒生成部20は、吸放湿部材40を回転させるモーター24を有する。そのため、吸放湿部材40を一定の速度で安定して回転させることができる。これにより、第1領域F1に位置する吸放湿部材40の部分に空気AR1から好適に水蒸気を吸湿させることができ、かつ、第2領域F2に位置する吸放湿部材40の部分から空気AR2へと好適に水分を放湿させることができる。したがって、効率的に冷媒Wを生成できる。
また、本実施形態によれば、冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bに接続されて、冷媒Wを保持する冷媒保持部71が設けられる。そのため、光変調ユニット4R,4G,4Bに伝送された冷媒Wを、冷媒Wが気化するまで冷媒保持部71によって光変調ユニット4R,4G,4Bに対して保持しておくことができる。これにより、生成した冷媒Wを無駄なく利用しやすく、冷却装置10の冷却性能をより向上させることができる。
また、本実施形態によれば、冷媒保持部71は、冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bの面に取り付けられ、かつ、多孔質部材製である。そして、冷媒保持部71の少なくとも一部は、積層方向の冷媒保持部71側から視て、露出している。そのため、冷媒保持部71の露出した部分から冷媒Wを気化させやすく、冷却装置10の冷却性能をより向上させることができる。また、冷媒保持部71が多孔質部材製であるため、毛細管現象によって、冷媒保持部71が設けられた冷却対象の面上に均一に冷媒Wを行き渡らせやすく、より冷却対象を冷却しやすい。
また、例えば、接着剤によって冷媒保持部71を保持フレーム80に固定する場合、接着剤が冷媒保持部71に吸収されて、多孔質部材製である冷媒保持部71の孔が塞がれる場合がある。そのため、冷媒保持部71に冷媒Wが吸収されにくくなり、冷媒保持部71によって冷媒Wを保持しにくくなる場合がある。
これに対して、本実施形態によれば、冷媒保持部71を保持フレーム80との間で挟んで固定する固定部材72が設けられている。そのため、接着剤を冷媒保持部71に付着させることなく、冷媒保持部71を保持フレーム80に対して固定することができる。これにより、冷媒保持部71によって冷媒Wを保持しにくくなることを抑制できる。また、本実施形態では、固定部材72は金属製である。そのため、固定部材72は、熱伝導率が比較的高く、冷却されやすい。したがって、第1送風装置60からの空気AR1および冷媒Wの気化によって固定部材72の温度が低下しやすく、固定部材72と接触する冷却対象をより冷却しやすい。
また、本実施形態によれば、冷媒保持部71は、保持フレーム80における光変調装置4GPに光が入射する側の面に設けられている。そのため、冷媒保持部71から気化した冷媒Wの水蒸気が、光変調装置4GPから光合成光学系5に射出される光に影響を与えることを抑制できる。これにより、プロジェクター1から投射される画像にノイズが生じることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、冷媒保持部71は、複数設けられた光変調ユニット4R,4G,4Bにそれぞれ設けられ、複数の冷媒保持部71同士を互いに連結する連結部73a,73bが設けられている。そのため、冷媒伝送部50を1つの冷媒保持部71に接続させることで、他の冷媒保持部71にも冷媒Wを伝送することができる。これにより、プロジェクター1の内部における冷媒伝送部50の引き回しを簡単化できる。
また、本実施形態によれば、連結部73a,73bには、連結部73aを覆う被覆部74が設けられている。そのため、連結部73a,73bを伝って移動する冷媒Wが連結部73a,73bにおいて気化することを抑制できる。これにより、冷媒Wが冷却対象である光変調ユニット4R,4G,4Bの冷却に寄与せずに気化することを抑制でき、生成した冷媒Wが無駄になることを抑制できる。
なお、本実施形態においては、連結部73a,73bと同様に、接続部54が被覆されていてもよい。この構成によれば、冷却対象に伝送する間に冷媒Wが気化することを抑制できる。そのため、冷却対象に効率よく冷媒Wを伝送でき、かつ、生成した冷媒Wが無駄になることをより抑制できる。接続部54および連結部73a,73bは、例えば、チューブ等によって周囲を被覆されてもよい。また、接続部54および連結部73a,73bは、表面に気化を抑制するコーティング処理が施されてもよい。
次に、プロジェクター1の内部における熱交換部30、冷却対象(光変調ユニット4R,4G,4B)および冷媒保持部71の位置関係について詳細に説明する。以下の説明においては、重力方向(鉛直方向)を「重力方向Z」と呼び、適宜図においてZ軸で示す。Z軸の正の側を「重力方向上側」とし、Z軸の負の側を「重力方向下側」とする。また、重力方向Zと直交する水平方向のうちの1つの方向を「左右方向Y」と呼び、適宜図においてY軸で示す。また、重力方向Zと直交する水平方向のうちの1つの方向であって、左右方向Yと直交する方向を「前後方向X」と呼び、適宜図においてX軸で示す。
図10から図14は、プロジェクター1の内部における熱交換部30、光変調ユニット4R,4G,4Bおよび冷媒保持部71の位置関係を示す図であり、これらを透過して示している。図10において、プロジェクター1は、例えば、床面Sfに設置される。図10において、プロジェクター1は、光軸方向PXが前後方向Xと平行で、幅方向PYが左右方向Yと平行で、かつ、高さ方向PZが重力方向Zと平行な姿勢である。
図10に示すように、プロジェクター1は、プロジェクター1の各部を収容する筐体90をさらに備える。筐体90は、直方体箱状であり、筐体90の各面は、光軸方向PX、幅方向PY、および高さ方向PZに沿って配置されている。筐体90は、床面Sfと対向する底面90aを有する。底面90aは、投射光学装置6の光軸AXと平行な光軸方向PXに沿った面である。底面90aは、高さ方向PZと直交する。図10においては、底面90aは、筐体90の重力方向下側の面であり、重力方向Zと直交する。図10の姿勢において、底面90aは、脚部91を介して床面Sfと対向する。なお、これ以降、図10に示す姿勢のことを「基本姿勢」とも呼ぶ。
図10において、熱交換部30は、光変調ユニット4R,4G,4Bおよび冷媒保持部71に対して幅方向PYの正側に、かつ、流通部31が幅方向PYに対して垂直な姿勢になるように配置されている。また、第1蓋部32および第2蓋部33は、ともに光軸方向PXと平行な姿勢で、かつ、第2蓋部33に対して第1蓋部32が重力方向上側になるように配置されている。熱交換部30、光変調ユニット4R,4G,4Bおよび冷媒保持部71を幅方向PYに対して垂直な仮想平面(第1の平面)に投影すると、熱交換部30は、光変調ユニット4R,4G,4Bおよび冷媒保持部71に対して、仮想平面に平行な光軸方向PXの正負両側、および仮想平面に平行で光軸方向PXに直交する高さ方向PZの正負両側にはみ出すように配置されている。
また、プロジェクター1は、図10に示す基本姿勢に限られず、図11から図14に示す各姿勢で設置される場合がある。図11から図14は、基本姿勢以外の姿勢で設置されたプロジェクター1を示す図である。
図11において、プロジェクター1の姿勢は、図10に示す基本姿勢に対して、プロジェクター1を、水平な幅方向PYと平行な軸周りに、幅方向PYの負側から見て反時計回りに90°回転させた姿勢である。図11においては、光軸方向PXが重力方向Zと平行で、かつ、幅方向PYが左右方向Yと平行で、かつ、高さ方向PZが前後方向Xと平行である。図11の姿勢において、プロジェクター1は、固定部材Bによって壁面Swに固定されており、筐体90の底面90aが、壁面Swに対向している。図11の姿勢において、プロジェクター1は、重力方向上側に画像を投射する。これ以降、図11の姿勢のことを「上向き姿勢」とも呼ぶ。
図12において、プロジェクター1の姿勢は、図10に示す基本姿勢に対して、水平な幅方向PYと平行な軸周りにプロジェクター1を180°回転させた姿勢である。言い換えれば、図11に示す上向き姿勢に対して、プロジェクター1を、水平な幅方向PYと平行な軸周りに、幅方向PYの負側から見て反時計回りに90°回転させた姿勢である。図12においては、基本姿勢と同様、光軸方向PXが前後方向Xと平行で、かつ、幅方向PYが左右方向Yと平行で、かつ、高さ方向PZが重力方向Zと平行である。図12の姿勢において、プロジェクター1は、固定部材Bによって天井面Scに固定されており、筐体90の底面90aが天井面Scに対向している。これ以降、図12の姿勢のことを「反転姿勢」とも呼ぶ。
図13において、プロジェクター1の姿勢は、図10に示す基本姿勢に対して、プロジェクター1を、水平な幅方向PYと平行な軸周りに、幅方向PYの負側から見て反時計回りに270°回転させた姿勢である。言い換えれば、図12に示す反転姿勢に対して、プロジェクター1を、水平な幅方向PYと平行な軸周りに、幅方向PYの負側から見て反時計回りに90°回転させた姿勢である。図13においては、上向き姿勢と同様、光軸方向PXが重力方向Zと平行で、かつ、幅方向PYが左右方向Yと平行で、かつ、高さ方向PZが前後方向Xと平行である。図13の姿勢において、プロジェクター1は、固定部材Bによって壁面Swに固定されており、筐体90の底面90aが、壁面Swに対向している。図13の姿勢においてプロジェクター1は、重力方向下側に画像を投射する。これ以降、図13の姿勢のことを「下向き姿勢」とも呼ぶ。
図14において、プロジェクター1の姿勢は、図10に示す基本姿勢に対して、プロジェクター1を、水平な光軸方向PXと平行な軸周りに、光軸方向PXの負側から見て反時計回りに90°回転させた姿勢である。図14においては、光軸方向PXが前後方向Xと平行で、かつ、幅方向PYが重力方向Zと平行で、かつ、高さ方向PZが左右方向Yと平行である。図14の姿勢において、プロジェクター1は、床面Sfに載置され、側面90bが床面Sfと対向している。基本姿勢において、プロジェクター1が横長の画像(重力方向Zよりも左右方向Yに長い画像)を投射する場合には、図14の姿勢では、プロジェクター1は、縦長の画像(左右方向Yよりも重力方向Zに長い画像)を投射する。これ以降、図14の姿勢のことを「垂直姿勢」とも呼ぶ。
図10に戻って、基本姿勢において、熱交換部30の内部で生成された冷媒Wは、重力により重力方向下側に移動する。図10に示すように、基本姿勢では、熱交換部30において第2蓋部33が重力方向下側に位置するため、生成された冷媒Wは、第2蓋部33に貯留される。そして、第2蓋部33は、貯留されている冷媒Wの界面Lwが、冷媒保持部71の重力方向最下部を通る水平面Lbに対して重力方向下側に位置するように構成されている。
図10に示す基本姿勢において、第2蓋部33に貯留されている冷媒Wの界面Lwが水平面Lbよりも重力方向上側に位置する場合、重力により過剰な冷媒Wが冷媒保持部71に伝送され、冷媒保持部71から漏れが生じることが考えられる。これに対して、本実施形態によれば、図10に示すように、基本姿勢において、冷媒Wの界面Lwは水平面Lbに対して重力方向下側に位置するため、冷媒Wの過剰な伝送を抑制できる。
また、図11に示すように、上向き姿勢では、熱交換部30において第1蓋部32と第2蓋部33における光軸方向PXの負側が重力方向下側に位置するため、生成された冷媒Wは、第1蓋部32と第2蓋部33における光軸方向PXの負側に貯留される。そして、第1蓋部32および第2蓋部33は、貯留されている冷媒Wの界面Lwが、冷媒保持部71の重力方向最下部を通る水平面Lbに対して重力方向下側に位置するように構成されている。このため、上向き姿勢においても、冷媒Wの過剰な伝送を抑制できる。
また、図12に示すように、反転姿勢では、熱交換部30において第1蓋部32が重力方向下側に位置するため、生成された冷媒Wは、第1蓋部32に貯留される。そして、第1蓋部32は、貯留されている冷媒Wの界面Lwが、冷媒保持部71の重力方向最下部を通る水平面Lbに対して重力方向下側に位置するように構成されている。このため、反転姿勢においても、冷媒Wの過剰な伝送を抑制できる。
また、図13に示すように、下向き姿勢では、熱交換部30において第1蓋部32と第2蓋部33における光軸方向PXの正側が重力方向下側に位置するため、生成された冷媒Wは、第1蓋部32と第2蓋部33における光軸方向PXの正側に貯留される。そして、第1蓋部32および第2蓋部33は、貯留されている冷媒Wの界面Lwが、冷媒保持部71の重力方向最下部を通る水平面Lbに対して重力方向下側に位置するように構成されている。このため、下向き姿勢においても、冷媒Wの過剰な伝送を抑制できる。
また、図14に示すように、垂直姿勢では、熱交換部30において第1蓋部32と第2蓋部33における幅方向PYの正側が重力方向下側に位置するため、生成された冷媒Wは、第1蓋部32と第2蓋部33における幅方向PYの正側に貯留される。そして、第1蓋部32および第2蓋部33は、貯留されている冷媒Wの界面Lwが、冷媒保持部71の重力方向最下部を通る水平面Lbに対して重力方向下側に位置するように構成されている。このため、垂直姿勢においても、冷媒Wの過剰な伝送を抑制できる。
本実施形態において、基本姿勢が第1の姿勢に対応する。また、上向き姿勢は、基本姿勢から、幅方向PYに平行な水平軸の周りに第1の回転方向に沿ってプロジェクター1を90°回転させた姿勢であり、第2の姿勢に対応する。本実施形態において、第1の回転方向は、幅方向PYの負側から見て反時計回りの回転方向である。また、反転姿勢は、上向き姿勢から、幅方向PYと平行な水平軸の周りに第1の回転方向に沿ってプロジェクター1をさらに90°回転させた姿勢であり、第3の姿勢に対応する。換言すると、第3の姿勢である反転姿勢は、第1の姿勢である基本姿勢から、幅方向PYに平行な水平軸の周りに第1の回転方向に沿ってプロジェクター1を180°回転させた姿勢である。
また、本実施形態において、下向き姿勢は、反転姿勢から、幅方向PYに平行な水平軸の周りに第1の回転方向に沿ってプロジェクター1をさらに90°回転させた姿勢であり、第4の姿勢に対応する。また、垂直姿勢は、基本姿勢から、光軸方向PXと平行な水平軸の周りにプロジェクター1を90°回転させた姿勢であり、第5の姿勢に対応する。また、幅方向PYに平行な水平軸が第1の水平軸に対応し、光軸方向PXに平行な水平軸が第2の水平軸に対応する。また、光軸方向PXが第1の方向に対応し、高さ方向PZが第2の方向に対応する。
本実施形態において、プロジェクター1を、基本姿勢から、光軸方向PXと平行な水平軸の周りに、光軸方向PXの負側から見て時計回りに90°回転させた姿勢(これ以降、「第2垂直姿勢」とも呼ぶ。)では、熱交換部30が冷媒保持部71に対して重力方向上側に位置してしまい、冷媒Wが過剰に供給される恐れがある。このため、取扱説明書等において、プロジェクター1を第2垂直姿勢で設置(使用)しないよう、ユーザーに案内されている。なお、第2垂直姿勢で床面Sfと対向する筐体90の側面90cに勾配や凹凸を設ける等、筐体90の形状を、第2垂直姿勢では安定した設置ができないような形状にすることが望ましい。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態のプロジェクター1について説明する。
第2実施形態は、第1実施形態に対して、光変調ユニット4R,4G,4Bおよび冷媒保持部71に対する熱交換部30の位置関係および姿勢が異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
図15から図19は、第2実施形態のプロジェクター1の内部における熱交換部30、光変調ユニット4R,4G,4Bおよび冷媒保持部71の位置関係を示す図であり、これらを透過して示している。図15に示すように、プロジェクター1は、筐体90の底面90aが床面Sfに対向する基本姿勢で設置されている。図15において、プロジェクター1は、光軸方向PXが前後方向Xと平行で、幅方向PYが左右方向Yと平行で、かつ、高さ方向PZが重力方向Zと平行な姿勢である。
本実施形態において、熱交換部30は、光変調ユニット4R,4G,4Bおよび冷媒保持部71に対して光軸方向PXの負側に、かつ、流通部31が光軸方向PXに対して垂直な姿勢になるように配置されている。また、第1蓋部32および第2蓋部33は、ともに幅方向PYと平行な姿勢で、かつ、第2蓋部33に対して第1蓋部32が重力方向上側になるように配置されている。熱交換部30、光変調ユニット4R,4G,4Bおよび冷媒保持部71を光軸方向PXに対して垂直な仮想平面(第1の平面)に投影すると、熱交換部30は、光変調ユニット4R,4G,4Bおよび冷媒保持部71に対して、仮想平面に平行な幅方向PYの正負両側、および仮想平面に平行で幅方向PYに直交する高さ方向PZの正負両側にはみ出すように配置されている。
また、本実施形態においても、プロジェクター1は、図15に示す基本姿勢に限られず、図16~図19に示す各姿勢で設置される場合がある。図16~図19は、基本姿勢以外の姿勢で設置されたプロジェクター1を示す図である。
図16において、プロジェクター1の姿勢は、図15に示す基本姿勢に対して、プロジェクター1を、水平な光軸方向PXと平行な軸周りに、光軸方向PXの負側から見て反時計回りに90°回転させた垂直姿勢である。図16においては、光軸方向PXが前後方向Xと平行で、かつ、幅方向PYが重力方向Zと平行で、かつ、高さ方向PZが左右方向Yと平行である。垂直姿勢において、プロジェクター1は、床面Sfに載置され、側面90bが床面Sfと対向している。
図17において、プロジェクター1の姿勢は、図15に示す基本姿勢に対して、水平な光軸方向PXと平行な軸周りにプロジェクター1を180°回転させた反転姿勢である。言い換えれば、図16に示す垂直姿勢に対して、プロジェクター1を、水平な光軸方向PXと平行な軸周りに、光軸方向PXの負側から見て反時計回りに90°回転させた姿勢である。図17においては、基本姿勢と同様、光軸方向PXが前後方向Xと平行で、かつ、幅方向PYが左右方向Yと平行で、かつ、高さ方向PZが重力方向Zと平行である。図17の姿勢において、プロジェクター1は、固定部材Bによって天井面Scに固定されており、筐体90の底面90aが天井面Scに対向している。
図18において、プロジェクター1の姿勢は、図15に示す基本姿勢に対して、プロジェクター1を、水平な光軸方向PXと平行な軸周りに、光軸方向PXの負側から見て反時計回りに270°回転させた第2垂直姿勢である。言い換えれば、図17に示す反転姿勢に対して、プロジェクター1を、水平な光軸方向PXと平行な軸周りに、光軸方向PXの負側から見て反時計回りに90°回転させた姿勢である。図18においては、垂直姿勢と同様、光軸方向PXが前後方向Xと平行で、かつ、幅方向PYが重力方向Zと平行で、かつ、高さ方向PZが左右方向Yと平行である。第2垂直姿勢において、プロジェクター1は、床面Sfに載置され、側面90bとは反対側の側面90cが床面Sfと対向している。
図19において、プロジェクター1の姿勢は、図15に示す基本姿勢に対して、プロジェクター1を、水平な幅方向PYと平行な軸周りに、幅方向PYの負側から見て反時計回りに90°回転させた上向き姿勢である。図19においては、光軸方向PXが重力方向Zと平行で、かつ、幅方向PYが左右方向Yと平行で、かつ、高さ方向PZが前後方向Xと平行である。図19の姿勢において、プロジェクター1は、固定部材Bによって壁面Swに固定されており、筐体90の底面90aが、壁面Swに対向している。
図15に戻って、基本姿勢において、熱交換部30の内部で生成された冷媒Wは、重力により重力方向下側に移動する。図15に示すように、基本姿勢では、熱交換部30において第2蓋部33が重力方向下側に位置するため、生成された冷媒Wは、第2蓋部33に貯留される。そして、第2蓋部33は、貯留されている冷媒Wの界面Lwが、冷媒保持部71の重力方向最下部を通る水平面Lbに対して重力方向下側に位置するように構成されている。このため、冷媒Wの過剰な伝送を抑制できる。
また、図16に示すように、垂直姿勢では、熱交換部30において第1蓋部32と第2蓋部33における幅方向PYの正側が重力方向下側に位置するため、生成された冷媒Wは、第1蓋部32と第2蓋部33における幅方向PYの正側に貯留される。そして、第1蓋部32および第2蓋部33は、貯留されている冷媒Wの界面Lwが、冷媒保持部71の重力方向最下部を通る水平面Lbに対して重力方向下側に位置するように構成されている。このため、垂直姿勢においても、冷媒Wの過剰な伝送を抑制できる。
また、図17に示すように、反転姿勢では、熱交換部30において第1蓋部32が重力方向下側に位置するため、生成された冷媒Wは、第1蓋部32に貯留される。そして、第1蓋部32は、貯留されている冷媒Wの界面Lwが、冷媒保持部71の重力方向最下部を通る水平面Lbに対して重力方向下側に位置するように構成されている。このため、反転姿勢においても、冷媒Wの過剰な伝送を抑制できる。
また、図18に示すように、第2垂直姿勢では、熱交換部30において第1蓋部32と第2蓋部33における幅方向PYの負側が重力方向下側に位置するため、生成された冷媒Wは、第1蓋部32と第2蓋部33における幅方向PYの負側に貯留される。そして、第1蓋部32および第2蓋部33は、貯留されている冷媒Wの界面Lwが、冷媒保持部71の重力方向最下部を通る水平面Lbに対して重力方向下側に位置するように構成されている。このため、第2垂直姿勢においても、冷媒Wの過剰な伝送を抑制できる。
また、図19に示すように、上向き姿勢では、熱交換部30において第1蓋部32と第2蓋部33における光軸方向PXの負側が重力方向下側に位置するため、生成された冷媒Wは、第1蓋部32と第2蓋部33における光軸方向PXの負側に貯留される。そして、第1蓋部32および第2蓋部33は、貯留されている冷媒Wの界面Lwが、冷媒保持部71の重力方向最下部を通る水平面Lbに対して重力方向下側に位置するように構成されている。このため、上向き姿勢においても、冷媒Wの過剰な伝送を抑制できる。
本実施形態において、基本姿勢が第1の姿勢に対応する。また、垂直姿勢は、基本姿勢から、光軸方向PXと平行な水平軸の周りに第1の回転方向に沿ってプロジェクター1を90°回転させた姿勢であり、第2の姿勢に対応する。本実施形態において、第1の回転方向は、光軸方向PXの負側から見て反時計回りの回転方向である。また、反転姿勢は、垂直姿勢から、光軸方向PXと平行な水平軸の周りに第1の回転方向に沿ってプロジェクター1をさらに90°回転させた姿勢であり、第3の姿勢に対応する。換言すると、第3の姿勢である反転姿勢は、第1の姿勢である基本姿勢から、光軸方向PXに平行な水平軸の周りに第1の回転方向に沿ってプロジェクター1を180°回転させた姿勢である。
また、本実施形態において、第2垂直姿勢は、反転姿勢から、光軸方向PXと平行な水平軸の周りに第1の回転方向に沿ってプロジェクター1をさらに90°回転させた姿勢であり、第4の姿勢に対応する。また、上向き姿勢は、基本姿勢から、光軸方向PXに垂直な幅方向PYに平行な水平軸の周りにプロジェクター1を90°回転させた姿勢であり、第5の姿勢に対応する。また、光軸方向PXに平行な水平軸が第1の水平軸に対応し、幅方向PYに平行な水平軸が第2の水平軸に対応する。また、幅方向PYが第1の方向に対応し、高さ方向PZが第2の方向に対応する。
また、本実施形態において、プロジェクター1を、基本姿勢から、光軸方向PXに垂直な幅方向PYに平行な水平軸の周りに、幅方向PYの負側から見て時計回りに90°回転させた下向き姿勢では、熱交換部30が冷媒保持部71に対して重力方向上側に位置してしまい、冷媒Wが過剰に供給される恐れがある。このため、取扱説明書等において、プロジェクター1を下向き姿勢で設置(使用)しないよう、ユーザーに案内されている。
(変形例)
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
上述した各実施形態では、プロジェクター1の光軸方向PXが、前後方向Xまたは重力方向Zと平行になるような姿勢でプロジェクター1を設置する例を示したが、プロジェクター1の設置姿勢は、これらに限定されない。例えば、図20に示すように、光軸方向PXが前後方向Xや重力方向Zに対して傾くような姿勢で設置された場合でも、貯留されている冷媒Wの界面Lwが、冷媒保持部71の重力方向最下部を通る水平面Lbに対して重力方向下側に位置するように構成されていれば、冷媒Wの過剰な伝送を抑制できる。
上述した第1実施形態では、基本姿勢、上向き姿勢、反転姿勢、下向き姿勢、垂直姿勢、第2垂直姿勢の6つの姿勢のうち、第2垂直姿勢を除く5つの姿勢で、冷媒Wの過剰な伝送を抑制可能になっている。また、第2実施形態では、下向き姿勢を除く5つの姿勢で冷媒Wの過剰な伝送を抑制可能になっている。このように、冷媒Wの過剰な伝送を抑制可能な姿勢は、熱交換部30の配置や姿勢に応じて適宜選択可能である。また、冷媒Wの過剰な伝送を、上記の6つの姿勢のうち、5つの姿勢で抑制できる態様に限定されず、2~4つの姿勢でのみ抑制可能な態様であってもよい。
流通部31の構成は、上述した各実施形態の構成に限られない。流通部31は、内部に冷媒Wが流通するならば、特に限定されない。流通部31は、例えば、箱状であってもよいし、多角筒状であってもよい。また、流通部31は、1つの配管部から構成されてもよい。また、流通部31の姿勢は、上述した各実施形態の構成に限られない。
また、筐体90の構成は、上述した各実施形態の構成に限られない。筐体90の形状は、特に限定されない。例えば、筐体90を構成する各面は、直交していなくてもよいし、曲面であってもよい。
また、冷媒生成部20の構成は、上述した各実施形態の構成に限られない。冷媒生成部20は、冷媒Wを生成できるならば、特に限定されない。例えば、冷媒生成部20は、熱電素子によってプロジェクター1の内部における空気中の水蒸気を凝縮させて冷媒Wを生成してもよい。また、例えば、冷媒生成部20は、水素電池等の燃料電池を有してもよい。この場合、例えば、プロジェクター1に電力を供給することで燃料電池から生成される水を冷媒Wとして利用することができる。また、冷媒Wは、冷却対象を冷却できるならば、特に限定されず、水以外であってもよい。また、生成される冷媒Wは、液体に限られず、例えば、固体であってもよい。この場合、冷却対象に伝送される間に液体に変化してもよいし、固体のまま冷却対象に伝送されてもよい。冷媒Wが固体のまま冷却対象に伝送された場合、冷媒Wは、直接気体へと昇華することで冷却対象を冷却してもよいし、液体に融解した後に気化して冷却対象を冷却してもよい。
また、第1捕捉部51、第2捕捉部52、第3捕捉部53の構成は、上述した各実施形態の構成に限られない。熱交換部30内の冷媒Wを冷媒伝送部50に伝送できるならば、特に限定されない。第1捕捉部51、第2捕捉部52、第3捕捉部53は、多孔質部材を配する代わりに熱交換部30の内壁に直接溝を形成する加工を施して表面張力を発現させてもよい。
また、冷媒伝送部50の構成は、上述した各実施形態の構成に限られない。冷媒伝送部50は、冷媒Wを冷却対象に伝送できるならば、特に限定されない。冷媒伝送部50は、冷媒Wを伝送するポンプとポンプによって伝送される冷媒Wが通る配管とを有してもよい。また、冷媒伝送部50は、例えば、重力を利用して冷却対象に冷媒を伝送してもよい。
また、冷却促進部70の構成は、上述した各実施形態の構成に限られない。冷却促進部70は、冷却対象に伝送された冷媒Wによる冷却対象の冷却を促進できるならば、特に限定されない。例えば、冷却促進部70の冷媒保持部71は、冷却対象の表面に加工等によって形成された微細な凹凸であってもよい。この場合、凹凸によって冷媒Wが保持される。また、冷媒保持部71は、冷却対象の表面に設けられた親水性コート等であってもよい。
また、加熱部22は、上述した構成に限られない。加熱部22は、吸放湿部材40に接触して吸放湿部材40を加熱する構成であってもよい。この場合、加熱部22は、吸放湿部材40を通過する前の空気を加熱しなくてもよい。
また、上述した各実施形態において冷却対象は、光変調ユニット4R,4G,4Bとしたが、これに限られない。冷却対象は、光変調装置4RP,4GP,4BPと、光変調ユニット4R,4G,4Bと、光源装置2と、光源装置2から射出された光の波長を変換する波長変換素子と、光源装置2から射出された光を拡散する拡散素子と、光源装置2から射出された光の偏光方向を変換する偏光変換素子とのうちの少なくとも一つを含んでもよい。この構成によれば、プロジェクター1の各部を上述したのと同様に、冷却することができる。
また、上記実施形態において、透過型のプロジェクター1に本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型のプロジェクター1にも適用することも可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含む光変調装置4RP,4GP,4BPが光を透過するタイプであることを意味する。「反射型」とは、光変調装置4RP,4GP,4BPが光を反射するタイプであることを意味する。なお、光変調装置4RP,4GP,4BPは、液晶パネル等に限られず、例えばマイクロミラーを用いた光変調装置であってもよい。
また、上記実施形態において、3つの光変調装置4RP,4GP,4BPを用いたプロジェクター1の例を挙げたが、本発明は、1つの光変調装置のみを用いたプロジェクター、4つ以上の光変調装置を用いたプロジェクター1にも適用可能である。
また、上記説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。