JP4096897B2 - 光学装置、光学装置の製造方法、およびプロジェクタ - Google Patents
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Description
このうち、光変調装置としては、例えば、1対の基板間に液晶等の電気光学材料が密閉封入されたアクティブマトリックス駆動方式の光変調素子が一般的に採用される。具体的に、この光変調素子を構成する1対の基板は、光束射出側に配置され、液晶に駆動電圧を印加するためのデータ線、走査線、スイッチング素子、画素電極等が形成された駆動基板と、光束入射側に配置され、共通電極、ブラックマスク等が形成された対向基板とで構成されている。
また、この光変調素子の光束入射側および光束射出側には所定の偏光軸を有する光束を透過させる入射側偏光板および射出側偏光板がそれぞれ配置される。
ここで、光源から射出された光束が光変調素子に照射された場合には、液晶層による光吸収とともに、駆動基板に形成されたデータ線および走査線や、対向基板に形成されたブラックマトリックス等による光吸収により、光変調素子の温度が上昇しやすい。また、光源から射出された光束、および光変調素子を透過した光束のうち、所定の偏光軸を有していない光束は、入射側偏光板および射出側偏光板によって吸収され、偏光板に熱が発生しやすい。
すなわち、特許文献1に記載の冷却装置は、光変調素子と光源側の偏光板とを離隔した状態でそれぞれ支持し、内部に冷却流体が充填される冷却室を備えている。また、この冷却室は、内部に冷却流体を流通可能なチューブ等によりラジエータおよび流体ポンプと連通接続されている。このため、内部の冷却流体は、チューブ等を介して冷却室〜ラジエータ〜流体ポンプ〜冷却室という流路を循環する。そして、このような構成により、光源から照射される光束により光変調素子および入射側偏光板に生じる熱を冷却流体に放熱させている。
また、冷却流体中継部は、例えば、冷却室外部から冷却室内部に向かう冷却流体、および、冷却室内部から冷却室外部に向かう冷却流体のいずれかを中継するように、一部材で構成してもよく、双方をそれぞれ中継するように、二部材で構成してもよい。
本発明では、光学装置を構成する複数の流体循環部材のうち、一端が光変調素子保持体の流入口および流出口にそれぞれ連通接続する少なくとも2つの流体循環部材は、その他端が光源から射出される光束の光軸方向に向けて突出するように形成されている。また、光学装置を構成する冷却流体中継部には、内部に向けて貫通する少なくとも2つの挿通孔が形成されている。このため、光学装置を組み立てる際には、冷却流体中継部の挿通孔に一端が光変調素子保持体に接続する流体循環部材の他端を挿通させた状態で、これら挿通孔と流体循環部材との挿通状態を変更することで、光変調素子保持体に保持される光変調素子の位置調整を実施できる。したがって、光変調素子保持体に接続する流体循環部材を折り曲げるなどする必要がなく、光源から射出される光束の光軸上の所定位置に光変調素子を容易に位置決めできる。
本発明では、光変調素子保持体は、一対の枠状部材および一対の透光性基板を含んで構成され、一対の枠状部材の内部にそれぞれ冷却室が形成されている。このうち、一対の枠状部材の双方には、各冷却室に連通する流入口および流出口がそれぞれ形成されている。そして、冷却流体中継部を構成する第1中継部および第2中継部には、それぞれ少なくとも2つずつの挿通孔が形成されている。このため、光変調素子保持体および冷却流体中継部は、少なくとも4つの流体循環部材にて接続されることとなり、冷却流体中継部に対する光変調素子保持体の支持状態を強固なものにすることができる。また、光学装置を組み立てる際でも、少なくとも4つの流体循環部材の他端と挿通孔との挿通状態の変更を容易に実施でき、冷却流体中継部に対して光変調素子保持体を安定して支持しつつ、光変調素子の位置決めをさらに容易に実施できる。
また、光変調素子の光束入射側および光束射出側にそれぞれ冷却室が形成されることとなるので、光変調素子の光束入射側および光束射出側の双方を冷却流体にて冷却でき、光変調素子を効率的に冷却できる。
さらに、冷却流体中継部は、第1中継部および第2中継部の2体構成であるので、光変調素子保持体の各冷却室において、上流から下流に向かう冷却流体の流通を円滑に実施でき、冷却流体の対流速度を速め、光変調素子をさらに効率的に冷却できる。
本発明では、一対の枠状部材は、平面視矩形形状を有する。そして、一対の枠状部材の双方にそれぞれ形成される流入口および流出口は、平面的に見て矩形形状の四隅位置近傍に配置される。このことにより、冷却流体中継部に対する光変調素子保持体の支持状態を4つの流体循環部材にてさらに安定して支持できるとともに、光変調素子の位置決めをさらに一層容易に実施できる。
また、流入口および流出口は、枠状部材における対向する各側端部の対角位置近傍にそれぞれ形成されているので、各冷却室全体に亘って冷却流体を対流させることができ、各冷却室内に冷却流体が滞留することがなく、光変調素子を効率的に冷却できる。
本発明では、光変調素子保持体を構成する一対の透光性基板押圧部材のうちいずれか一方の透光性基板押圧部材には、複数の孔を有する支持部が形成されている。このため、光学装置を組み立てた際には、光変調素子保持体と冷却流体中継部とを接続する流体循環部材が透光性基板押圧部材における支持部の複数の孔にそれぞれ挿通された状態となる。したがって、冷却流体中継部に対する光変調素子保持体の支持状態を強固なものとすることができ、外力の影響を緩和して冷却流体中継部に対する光変調素子保持体の位置ずれ、すなわち、光変調素子の位置ずれを回避できる。
また、支持部を有する透光性基板押圧部材により、光変調素子保持体と冷却流体中継部とを接続する流体循環部材に対する外力の影響を緩和できるので、冷却流体中継部の挿通孔と流体循環部材との接続状態、および、光変調素子保持体の流入口および流出口と流体循環部材との接続状態を良好にでき、これら接続部分からの冷却流体の漏れを防止できる。
ここで、光学変換素子としては、例えば、偏光板、位相差板、あるいは視野角補正板等を採用できる。
本発明によれば、光変調素子保持体を構成する透光性基板のうち少なくともいずれかの透光性基板は、光学変換素子を構成する透光性基板であるので、光変調素子のみならず、光学変換素子の位置決めも容易に実施できる。また、光源から射出された光束によって光学変換膜に生じる熱も、冷却室を対流する冷却流体に放熱できる。
本発明では、光学装置は、複数の孔を有する支持部材を備えている。このため、光学装置を組み立てた際には、光変調素子保持体と冷却流体中継部とを接続する流体循環部材が支持部材における複数の孔に挿通された状態となる。したがって、冷却流体中継部に対する光変調素子保持体の支持状態を強固なものとすることができ、外力の影響を緩和して冷却流体中継部に対する光変調素子保持体の位置ずれ、すなわち、光変調素子の位置ずれを回避できる。
また、支持部材により、光変調素子保持体と冷却流体中継部とを接続する流体循環部材に対する外力の影響を緩和できるので、冷却流体中継部の挿通孔と流体循環部材との接続状態、および、光変調素子保持体の流入口および流出口と流体循環部材との接続状態を良好にでき、これら接続部分からの冷却流体の漏れを防止できる。
本発明では、光学装置は、色合成光学装置を備える。そして、冷却流体中継部を構成する第1中継部および第2中継部は、色合成光学装置の複数の光束入射側端面に交差する端面にそれぞれ取り付けられる。また、第1中継部および第2中継部には、複数の光変調素子保持体に接続する各流体循環部材の他端をそれぞれ挿通可能とする挿通孔が形成されている。このことにより、複数の光変調素子保持体に対応して複数の冷却流体中継部を設ける必要がなく、複数の光変調素子保持体を支持する部材を共通化し、光学装置をコンパクトにまとめ、光学装置の小型化を図れる。
また、冷却流体中継部を共通化することで、ラジエータおよび流体ポンプ等の他の部材と接続する際でも、冷却流体中継部と前記他の部材とを流体循環部材にて接続すればよく、複数の光変調素子保持体と前記他の部材とを直接流体循環部材で接続する必要がない。このため、流体循環部材の引き回し作業を容易に実施できる。
さらに、光学装置を小型化することで、外力の影響を低減でき、複数の光変調素子の相互位置を良好に維持し、画素ずれのない良好な光学像を形成できる。
本発明では、光学装置の製造方法は、光変調装置組立工程と、光変調装置設置工程と、光束導入工程と、位置調整工程と、位置固定工程とを備えている。このことにより、位置調整工程にて光変調素子保持体に接続する流体循環部材を折り曲げなどすることなく、光源から射出される光束の光軸上の所定位置に光変調素子を容易に位置決めできる。また、位置固定工程にて、位置決めされた光変調素子保持体を冷却流体中継部に対して位置固定するとともに、挿通孔と少なくとも2つの流体循環部材との隙間を封止するので、光変調素子を所定位置に位置固定できるとともに、冷却流体中継部の挿通孔と流体循環部材との接続部分からの冷却流体の漏れのない良好な光学装置を製造できる。
本発明では、光学装置の製造方法は、冷却流体を充填しない状態で実施する。また、光学装置の製造方法は、光学像検出工程を備える。そして、位置調整工程では、冷却流体が充填された状態での冷却室内の冷却流体を通過する光路の長さと、冷却流体が充填されていない状態での冷却室内の空気を通過する光路の長さとの偏差分だけ、光学像検出装置を光軸に沿った方向にずらした状態で、光学像検出装置にて検出された光学像に基づいて光変調素子の位置調整を実施する。このことにより、冷却流体を充填しない状態で光学装置を製造しても、冷却流体を充填している状態での最適な位置に光変調素子を位置決めできる。したがって、光学装置を製造し、光変調素子保持体の冷却室、複数の流体循環部材、および冷却流体中継部の内部に冷却流体を充填した後、光変調素子保持体の位置を再度、調整する必要がない。
本発明によれば、プロジェクタは、光源装置、上述した光学装置、および投射光学装置を備えているので、上述した光学装置と同様の作用・効果を享受できる。
また、プロジェクタは、光変調素子を所定位置に良好に位置決めできる光学装置を備えているので、光源装置から射出された光束の光軸に対する光変調素子の位置がずれることがなく、不要な光がスクリーン上に投影されることがない。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクタの構成〕
図1は、プロジェクタ1の概略構成を模式的に示す図である。
プロジェクタ1は、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、形成した光学像をスクリーン上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、外装ケース2と、冷却ユニット3と、光学ユニット4と、投射光学装置としての投射レンズ5とを備える。
なお、図1において、図示は省略するが、外装ケース2内において、冷却ユニット3、光学ユニット4、および投射レンズ5以外の空間には、電源ブロック、ランプ駆動回路等が配置されるものとする。
なお、外装ケース2は、合成樹脂製に限らず、その他の材料にて形成してもよく、例えば、金属等により構成してもよい。
また、図示は省略するが、この外装ケース2には、冷却ユニット3によりプロジェクタ1外部から冷却空気を内部に導入するための吸気口、およびプロジェクタ1内部で温められた空気を排出するための排気口が形成されている。
さらに、この外装ケース2には、図1に示すように、投射レンズ5の側方で外装ケース2の角部分に位置し、光学ユニット4の後述する光学装置のラジエータを他の部材と隔離する隔壁21が形成されている。
なお、この冷却ユニット3は、図示は省略するが、シロッコファン31および軸流ファン32の他、光学ユニット4の後述する光源装置、および図示しない電源ブロック、ランプ駆動回路等を冷却するための冷却ファンも有しているものとする。
投射レンズ5は、複数のレンズが組み合わされた組レンズとして構成される。そして、この投射レンズ5は、光学ユニット4にて形成された光学像(カラー画像)を図示しないスクリーン上に拡大投射する。
光学ユニット4は、図1に示すように、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、光学装置44と、これら光学部品41〜43、および、光学装置44の後述する光学装置本体4404を収納配置する光学部品用筐体45とを備える。
インテグレータ照明光学系41は、光学装置44を構成する後述する液晶パネルの画像形成領域を略均一に照明するための光学系である。このインテグレータ照明光学系41は、図1に示すように、光源装置411と、第1レンズアレイ412と、第2レンズアレイ413と、偏光変換素子414と、重畳レンズ415とを備える。
第1レンズアレイ412は、光軸方向から見て略矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズは、光源装置411から射出される光束を、複数の部分光束に分割している。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様な構成を有しており、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を光学装置44の後述する液晶パネル上に結像させる機能を有している。
具体的に、偏光変換素子414によって略1種類の偏光光に変換された各部分光は、重畳レンズ415によって最終的に光学装置44の後述する液晶パネル上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネルを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源装置411からの光の略半分を利用できない。このため、偏光変換素子414を用いることで、光源装置411からの射出光を略1種類の偏光光に変換し、光学装置44での光の利用効率を高めている。
リレー光学系43は、図1に示すように、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432,434を備え、色分離光学系42で分離された赤色光を光学装置44の後述する赤色光用の液晶パネルまで導く機能を有している。
なお、光学装置44は、具体的な構成は後述するが、液晶パネル441、入射側偏光板442、射出側偏光板443、およびクロスダイクロイックプリズム444以外に、メインタンク、流体圧送部、冷却流体中継部、光変調素子保持体、ラジエータ、および流体循環部材を備える。
射出側偏光板443は、液晶パネル441から射出された光束のうち、入射側偏光板442における光束の透過軸と直交する偏光軸を有する光束のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。この射出側偏光板443は、入射側偏光板442と同様に、透光性基板443A(図6参照)上に図示しない視野角補正膜および偏光膜443B(図6参照)が貼付された構成を有している。
なお、上述した視野角補正膜は、液晶パネル441で形成される光学像の視野角を補正する機能を有するものであり、この視野角補正膜を配置することで投射画像の視野角が拡大されかつ、投射画像のコントラストが大幅に向上する。
このうち、部品収納部材は、光学部品用筐体45の底面、前面、および側面をそれぞれ構成する。
この部品収納部材において、底面には、光学装置44の液晶パネル441位置に対応して形成された図示しない3つの孔が形成されている。そして、冷却ユニット3のシロッコファン31によりプロジェクタ1外部から内部に導入された冷却空気は、シロッコファン31から吐出され、前記3つの孔を介して光学装置44の3つの液晶パネル441へと流通する。
図2は、光学装置44を下方側から見た斜視図である。
光学装置44は、図2に示すように、液晶パネル441、入射側偏光板442、射出側偏光板443、およびクロスダイクロイックプリズム444が一体化された光学装置本体440と、メインタンク445と、流体圧送部446と、ラジエータ447と、複数の流体循環部材448とを備える。
複数の流体循環部材448は、内部に冷却流体が対流可能にアルミニウム製の管状部材で構成され、冷却流体が循環可能に各部材440,445〜447を接続する。そして、循環する冷却流体により光学装置本体440を構成する液晶パネル441、入射側偏光板442、および射出側偏光板443に生じる熱を冷却する。
なお、本実施形態では、冷却流体として、透明性の非揮発性液体であるエチレングリコールを採用する。冷却流体としては、エチレングリコールに限らず、その他の液体を採用してもよい。
以下では、各部材440,445〜447を、循環する冷却流体の流路に沿って液晶パネル441に対する上流側から順に説明する。
図3は、メインタンク445の構造を示す図である。具体的に、図3(A)は、メインタンク445を上方から見た平面図である。また、図3(B)は、図3(A)におけるA-A線の断面図である。
メインタンク445は、略円柱形状を有し、アルミニウム製の2つの容器状部材から構成され、2つの容器状部材の開口部分を互いに接続することで内部に冷却流体を一時的に蓄積する。これら容器状部材は、例えば、シール溶接またはゴム等の弾性部材を介在させることで接続される。
これら冷却流体流入部445Aおよび冷却流体流出部445Bは、流体循環部材448の管径寸法よりも小さい管径寸法を有する略筒状部材から構成され、メインタンク445の内外に突出するように配置されている。そして、冷却流体流入部445Aの外側に突出した一端には、流体循環部材448の一端が接続され、該流体循環部材448を介して外部からの冷却流体がメインタンク445内部に流入する。また、冷却流体流出部445Bの外側に突出した一端にも、流体循環部材448の一端が接続され、該流体循環部材448を介してメインタンク445内部の冷却流体が外部へと流出する。
また、冷却流体流入部445Aおよび冷却流体流出部445Bの内側に突出した他端は、図3(A)に示すように、メインタンク445の円柱軸に向けて延出し、平面的に視て略直交するようにそれぞれ配置されている。このような構成により、冷却流体流入部445Aを介してメインタンク445内部に流入した冷却流体が、冷却流体流出部445Bを介して直ぐに外部に流出することを回避でき、流入した冷却流体をメインタンク445内部の冷却流体と混合させ、冷却流体の温度の均一化を図っている。
そして、このメインタンク445は、図1に示すように、光学部品用筐体45と外装ケース2の内側面とで形成される平面視三角形状の領域に配置される。この領域にメインタンク445を配置することで、外装ケース2内の収納効率の向上が図れ、プロジェクタ1が大型化することがない。
流体圧送部446は、メインタンク445内に蓄積された冷却流体を送入し、送入した冷却流体を外部に強制的に送出する。このため、流体圧送部446は、図2に示すように、メインタンク445の冷却流体流出部445Bに接続した流体循環部材448の他端と連通接続するとともに、外部に冷却流体を送出するために他の流体循環部材448の一端と連通接続している。
この流体圧送部446は、具体的な図示は省略するが、例えば、略直方体状のアルミニウム製の中空部材内に羽根車が配置された構成を有し、図示しない制御装置による制御の下、前記羽根車が回転することで、メインタンク445内に蓄積された冷却流体を流体循環部材448を介して強制的に送入し、送入した冷却流体を流体循環部材448を介して外部に強制的に送出する。このような構成では、流体圧送部446は、前記羽根車の回転軸方向の厚み寸法を小さくすることができ、プロジェクタ1内部の空きスペースに配置することが可能となる。本実施形態では、流体圧送部446は、投射レンズ5の下方に配置される。
図4は、光学装置本体440の概略構成を示す斜視図である。
図5は、光学装置本体440の概略構成を示す分解斜視図である。
光学装置本体440は、3つの液晶パネル441、3つの入射側偏光板442、3つの射出側偏光板443、およびクロスダイクロイックプリズム444の他、図4または図5に示すように、冷却流体中継部4401と、3つの光変調素子保持体4402とを備える。
冷却流体中継部4401は、アルミニウム製の中空部材で構成され、光変調素子保持体4402外部から内部へと向かう冷却流体、および、光変調素子保持体4402内部から外部へと向かう冷却流体を中継するものである。この冷却流体中継部4401は、図4または図5に示すように、第1中継部4403と、第2中継部4404とを備える。
第1中継部4403は、略直方体状のアルミニウム製の中空部材で構成され、流体圧送部446から強制的に送出された冷却流体を送入し、送入した冷却流体を3つの光変調素子保持体4402毎に分岐して送出する。また、この第1中継部4403は、クロスダイクロイックプリズム444の3つの光束入射側端面に交差する端面である下面に固定され、クロスダイクロイックプリズム444を支持するプリズム固定板としての機能も有する。
この第1中継部4403において、クロスダイクロイックプリズム444の光束射出側端面に対応する側面には、図4または図5に示すように、流体圧送部446から圧送された冷却流体を内部に流入させる冷却流体流入部4403Aが形成されている。この冷却流体流入部4403Aは、メインタンク445の冷却流体流入部445Aと同様に、流体循環部材448の管径寸法よりも小さい管径寸法を有する略筒状部材から構成され、図示は省略するが、第1中継部4403内外に突出するように配置されている。そして、冷却流体流入部4403Aの外側に突出した一端には、流体圧送部446に連通接続された流体循環部材448の他端が接続され、該流体循環部材448を介して流体圧送部446から圧送された冷却流体が第1中継部4403内部に流入する。
また、底面の四隅部分には、図2、図4または図5に示すように、該底面に沿って延出する腕部4403Bがそれぞれ形成されている。これら腕部4403Bの先端部分には、それぞれ孔4403B1が形成され、これら孔4403B1に図示しないねじを挿通し、光学部品用筐体45の底面に螺合することで、光学装置本体440が光学部品用筐体45に固定される。この際、第1中継部4403および光学部品用筐体45は、熱伝達可能に接続される。このように、第1中継部4403が光学部品用筐体45に熱伝達可能に接続されることで、循環する冷却流体〜第1中継部4403〜光学部品用筐体45への熱伝達経路を確保し、冷却流体の冷却効率を向上させ、ひいては、冷却流体による液晶パネル441、入射側偏光板442、および射出側偏光板443の冷却効率の向上を図れる。また、シロッコファン31の送風を光学部品用筐体45の底面に沿って流せば、循環する冷却流体の放熱面積を増加でき、さらに、冷却効率が高められる。
なお、図5では、B色光側の側面に形成された挿通孔4403Cのみが図示されているが、R色光側およびG色光側の側面にも2つの挿通孔がそれぞれ形成されているものとする。すなわち、第1中継部4403には、計6つの挿通孔4403Cが形成されている。
そして、各挿通孔4403Cに光変調素子保持体4402と連通接続した後述する2つの流体循環部材が挿通されることで、前記流体循環部材を介して第1中継部4403内の冷却流体が分岐されて流出し、各光変調素子保持体4402へと流通する。
さらに、この第1中継部4403において、上面の略中央部分には、具体的な図示は省略するが、球状の膨出部が形成されている。そして、この膨出部にクロスダイクロイックプリズム444の下面を当接させることで、第1中継部4403に対するクロスダイクロイックプリズム444のあおり方向の位置調整が可能となる。
なお、第2中継部4404の詳細な構造については、上述したように、光変調素子保持体4402の構造を説明した後に説明する。
3つの光変調素子保持体4402は、3つの液晶パネル441、3つの入射側偏光板442、および3つの射出側偏光板443をそれぞれ保持するとともに、内部に冷却流体が流入および流出し、該冷却流体により3つの液晶パネル441、3つの入射側偏光板442、および3つの射出側偏光板443をそれぞれ冷却する。なお、各光変調素子保持体4402は、同様の構成であり、以下では1つの光変調素子保持体4402のみを説明する。
図6は、光変調素子保持体4402の概略構成を示す分解斜視図である。
光変調素子保持体4402は、図6に示すように、一対の枠状部材4405,4406と、4つの弾性部材4407と、透光性基板押圧部材としての一対の偏光板固定部材4408A,4408Bと、支持枠体4409とを備える。
枠状部材4405は、略中央部分に液晶パネル441の画像形成領域に対応した矩形状の開口部4405Aを有する平面視略矩形状のアルミニウム製の枠体であり、枠状部材4406に対して光束入射側に配置され、液晶パネル441の光束入射側端面を支持するとともに、入射側偏光板442の光束射出側端面を支持する。
この枠状部材4405において、光束入射側端面には、図7に示すように、弾性部材4407の後述する第1弾性部材の形状に対応して矩形枠状の凹部4405Bが形成され、この凹部4405Bにて前記第1弾性部材を介して入射側偏光板442を支持する。そして、枠状部材4405が入射側偏光板442の光束射出側端面を支持することで、前記第1弾性部材、および入射側偏光板442の光束射出側端面にて、開口部4405Aにおける光束入射側が閉塞される。
また、開口部4405Aの周縁は、図7に示すように、光束射出側端面から光束入射側端面に向けて開口面積が大きくなるように、光束入射側の角部分が面取りされ、斜面4405A1を有している。
さらに、この光束入射側端面には、図7に示すように、開口部4405Aの上下側端部周縁に、凹部4405Bよりも深さ寸法の大きい凹部4405Cが形成されている。これら凹部4405Cのうち、上方側に位置する凹部4405Cの上方側の側壁は、光束入射側から見て左側から右側に向かうにしたがって開口部4405Aに近接するように曲面状に形成されている。また、下方側に位置する凹部4405Cの下方側の側壁は、光束入射側から見て右側から左側に向かうにしたがって開口部4405Aに近接するように曲面状に形成されている。
以上のように、液晶パネル441および入射側偏光板442により開口部4405Aの光束入射側および光束射出側が閉塞されると、枠状部材4405内部に冷却流体を封入可能とする冷却室が形成される。
このような構成により、光学装置本体440を組み立てた際には、第1中継部4403内部の冷却流体が流体循環部材448Aを介して枠状部材4405内部の冷却室に流入する。
さらに、この枠状部材4405において、左側端部略中央部分および右側端部略中央部分には、図6または図7に示すように、偏光板固定部材4408Aが係合するフック4405Gが形成されている。
そして、枠状部材4405と同様に、液晶パネル441および射出側偏光板443により開口部4406Aの光束入射側および光束射出側が閉塞されると、枠状部材4406内部に冷却流体を封入可能とする冷却室が形成される。
さらに、図示しない流出口には、枠状部材4405の流出口4405Eに接続した流体循環部材448Bと同様の形状を有する流体循環部材448Dの一端が例えば溶接等により接続されている。そして、この流体循環部材448Dを介して枠状部材4406における冷却室内部の冷却流体が外部に流出する。
このような構成により、一対の枠状部材4405,4406を組み立てた状態で、枠状部材4405の流入口4405Dおよび流出口4405Eを枠状部材4406に投影させた場合には、投影された流入口4405Dおよび流出口4405Eは、枠状部材4406において、図示しない流出口および流入口4406Dに対して対向する側端部の対向位置にそれぞれ配置されることとなる。
なお、弾性部材4407は、水分透過量の少ないブチルゴムまたはフッ素ゴム等を使用してもよい。
この支持枠体4409において、その略中央部分には、図6に示すように、液晶パネル441の対向基板441Dを嵌合可能な矩形状の開口部4409Aが形成され、液晶パネル441の対向基板441Dを開口部4409Aに嵌合させることで、支持枠体4409に対して液晶パネル441が位置決めされる。
また、開口部4409Aの周縁には、開口部4409Aに対向基板441Dを嵌合させた状態で駆動基板441Cを遊嵌状態で配置させるための段差部4409Bが形成されている。ここで、この段差部4409Bと支持枠体4409の光束入射側端面との間の寸法は、対向基板441Dの厚み寸法よりも小さく設定されており、開口部4409Aに対向基板441Dを嵌合させ、対向基板441Dの光束入射側端面と支持枠体4409の光束入射側端面とを略面一とした際には、段差部4409Bと駆動基板441Cとの間に隙間が形成される。そして、この隙間に、伸び率の高い接着剤を充填させることで、液晶パネルが支持枠体に対して位置決め固定される。
また、この段差部4409Bの上方側は、支持枠体4409の上方側端縁にかけて延出形成され、支持枠体4409に液晶パネル441を位置決め固定した状態では、該液晶パネル441のフレキシブルプリント基板441Eが折り曲げられることなく、上方側の段差部4409Bに配置される。
第2中継部4404は、図4または図5に示すように、略直方体状のアルミニウム製の中空部材で構成され、クロスダイクロイックプリズム444の3つの光束入射側端面に交差する端面である上面に固定される。そして、この第2中継部4404は、各光変調素子保持体4402から送出された冷却流体を一括して送入し、送入した冷却流体を外部に送出する。
この第2中継部4404において、クロスダイクロイックプリズム444の3つの光束入射側端面に対応する3つの側面には、図5に示すように、左右両端部側に位置し各光変調素子保持体4402と連通接続した2つの流体循環部材448B,448Dの他端を挿通可能とする挿通孔4404Aがそれぞれ形成されている。これら挿通孔4404Aは、第1中継部4403の挿通孔4403Cと同様に、流体循環部材448B,448Dの外周寸法よりも若干大きく形成されている。そして、光学装置本体440が組み立てられた状態では、挿通孔4404Aと流体循環部材448B,448Dとの隙間が、図4または図5に示すように、封止リング4404Cにより封止される。
なお、図5では、B色光側の側面に形成された挿通孔4404Aのみが図示されているが、R色光側およびG色光側の側面にも2つの挿通孔が形成されているものとする。すなわち、第2中継部4404には、計6つの挿通孔4404Aが形成されている。
そして、各挿通孔4404Aに流体循環部材448B,448Dの他端が挿通されることで、流体循環部材448B,448Dを介して各光変調素子保持体4402内の各冷却室から流出した冷却流体が第2中継部4404内部に一括して送入される。
また、この第2中継部4404において、クロスダイクロイックプリズム444の光束射出側端面に対応する側面には、図4または図5に示すように、内部の冷却流体を外部に流出させる冷却流体流出部4404Bが形成されている。この冷却流体流出部4404Bは、流体循環部材448の管径寸法よりも小さい管径寸法を有する略筒状部材から構成され、図示は省略するが、第2中継部4404内外に突出するように配置されている。そして、冷却流体流出部4404Bの外側に突出した端部には、流体循環部材448の一端が接続され、該流体循環部材448を介して第2中継部4404内部の冷却流体が外部へと流出する。
なお、上述した光学装置本体440の製造方法については、後述する。
図8は、ラジエータ447の構造、およびラジエータ447と軸流ファン32との配置関係を示す図である。具体的に、図8(A)は、ラジエータ447および軸流ファン32を上方から見た斜視図である。また、図8(B)は、ラジエータ447および軸流ファン32をラジエータ447側から見た平面図である。
ラジエータ447は、図1に示すように、外装ケース2に形成された隔壁21内に配置され、光学装置本体440において各液晶パネル441、各入射側偏光板442、および各射出側偏光板443にて温められた冷却流体の熱を放熱する。このラジエータ447は、図8に示すように、固定部4471と、管状部材4472と、複数のフィン4473とを備える。
固定部4471は、例えば、金属等の熱伝導性部材から構成され、図8(B)に示すように、平面視略コ字形状を有し、対向するコ字状端縁に管状部材4472が挿通可能に構成されている。また、この固定部4471は、コ字状内側面にて複数の放熱フィン4473を支持する。この固定部4471のコ字状先端部分には、外側に延出する延出部4471Aが形成され、該延出部4471Aの孔4471A1を介して図示しないねじを外装ケース2に螺合することでラジエータ447が外装ケース2に固定される。
次に、液晶パネル441、入射側偏光板442、および射出側偏光板443の冷却構造を説明する。
流体圧送部446が駆動することにより、流体循環部材448を介して、メインタンク445内の冷却流体が流体圧送部446内に送入されるとともに、流体圧送部446から第1中継部4403に送出される。
そして、第1中継部4403内に送入された冷却流体は、第1中継部4403の挿通孔4403Cから流体循環部材448A,448Cを介して3つの光変調素子保持体4402内の各冷却室内部へと流入する。
ここで、光源装置411から射出された光束により、液晶パネル441、入射側偏光板442、および射出側偏光板443に生じた熱は、各枠状部材4405,4406の各冷却室内の冷却流体に伝達される。
各冷却室内の冷却流体に伝達された熱は、冷却流体の流れにしたがって、下方から上方に向かい、各枠状部材4405,4406における凹部4405C,4406Cの上方側の側壁により、各流出口4405E側に導かれる。そして、各流出口4405Eと接続した流体循環部材448B,448Dを介して、第2中継部4404へと移動し、さらにラジエータ447へと移動する。温められた冷却流体がラジエータ447の管状部材4472を通過する際、該冷却流体の熱は、管状部材4472〜複数の放熱フィン4473に伝達される。そして、軸流ファン32から吐出される冷却空気により、複数の放熱フィン4473に伝達された熱が冷却される。
そして、ラジエータ447にて冷却された冷却流体は、ラジエータ447〜メインタンク445〜流体圧送部446〜第1中継部4403へと移動し、再度、各光変調素子保持体4402内部へと移動する。
次に、上述した光学装置本体440の製造方法を説明する。
図9は、光学装置本体440の製造方法を説明するフローチャートである。
なお、以下に示す光学装置本体440の製造方法では、冷却流体中継部4401内および光変調素子保持体4402内に冷却流体を充填しない状態で実施するものとする。
先ず、以下に示すように、各光変調素子保持体4402に、各液晶パネル441、各入射側偏光板442、および各射出側偏光板443を組み込む(処理S1:光変調装置組立工程)。なお、以下では、光変調素子保持体4402に液晶パネル441、入射側偏光板442、および射出側偏光板443を組み込んだものを、便宜的に「光変調装置」と呼称する。
具体的には、枠状部材4406における光束射出側端面に形成された凹部4406Bに第4弾性部材4407Dを取り付ける。そして、第4弾性部材4407Dの上に、射出側偏光板443を構成する透光性部材443Aを設置し、偏光板固定部材4408Bにて枠状部材4406に対して透光性部材443Aを押圧固定する。
この後、透光性部材443Aの光束射出側端面に、図示しない視野角補正膜の姿勢を調整しながら貼り付け、さらに、前記視野角補正膜の上に偏光膜443Bの姿勢を調整しながら貼り付ける。
前記視野角補正膜および偏光膜443Bの姿勢の調整としては、例えば、図示しない角度調整装置に、第4弾性部材4407D、透光性部材443A、および偏光板固定部材4408Bが取り付けられた枠状部材4406を設置する。そして、角度調整装置を構成する角度調整治具に偏光膜443Bを保持させるとともに、偏光膜443Bに光束を導入する。この後、偏光膜443B、前記視野角補正膜、透光性部材443A、および入射側偏光板442と略同一の偏光軸を有する図示しない基準偏光板を介した光束を検出する。そしてまた、検出した光束の照度が最も小さくなる位置となるように、前記角度調整治具を操作して偏光膜443Bの姿勢を調整し、透光性部材443Aに貼り付けられた前記視野角補正膜の上に、偏光膜443Bを貼り付ける。なお、前記視野角補正膜の姿勢の調整も略同様に実施できる。
具体的には、先ず、支持枠体4409に対して液晶パネル441を位置決め固定しておく。
そして、入射側ユニットを構成する枠状部材4405の光束射出側端面に形成された凹部4405Bに第2弾性部材4407Bを設置する。また、この第2弾性部材4407Bの上に、液晶パネル441を位置決め固定した支持枠体4409を凹部4405Bの側壁に合わせるように設置する。さらに、液晶パネル441の光束射出側端面に第3弾性部材4407Cを設置する。
この後、射出側ユニットを構成する枠状部材4406の光束入射側端面に形成された凹部4406Bに第3弾性部材4407Cが位置するように、入射側ユニットに対して射出側ユニットを設置し、枠状部材4405,4406の各接続部4405F,4406Fをねじ4406Hにより螺合する。
具体的に、先ず、図示しない位置出し装置内に、第1中継部4403を設置する。そして、第1中継部4403の図示しない膨出部に紫外線硬化型接着剤を塗布し、クロスダイクロイックプリズム444の下面を第1中継部4403の前記膨出部に当接させる。そして、紫外線硬化型接着剤が未硬化の状態で、第1中継部4403に対するクロスダイクロイックプリズム444の位置調整を実施する。
第1中継部4403に対するクロスダイクロイックプリズム444の位置調整としては、例えば、クロスダイクロイックプリズム444の上面をCCD等の光学像検出装置にて検出し、検出した画像に基づいて、クロスダイクロイックプリズム444の2つの誘電体多層膜にて形成される十字位置が所定の位置となるように位置調整する構成を採用できる。また、例えば、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射側端面から光束を導入し、光束射出側端面から射出される光束に基づいて、クロスダイクロイックプリズム444を位置調整する構成を採用してもよい。
次に、クロスダイクロイックプリズム444の上面に嫌気性の接着剤を塗布し、図示しない位置出し治具を用いて第2中継部4404をクロスダイクロイックプリズム444の上面に位置決めした状態で載置する。この後、上述した位置出し治具とともに、第1中継部4403、クロスダイクロイックプリズム444、および第2中継部4404を乾燥機内に放置し(例えば、65℃で15分間)、嫌気性の接着剤を硬化させる。
具体的に、先ず、図示しない姿勢調整装置内の所定位置にプリズムユニットを載置する。
また、各光変調装置を構成する枠状部材4405,4406に接続された流体循環部材448A,448B,448C,448Dの他端側に封止リング4403D,4404Cをそれぞれ設置した状態で、前記姿勢調整装置を構成する姿勢調整治具に各光変調装置を保持させる。
そして、前記姿勢調整治具を操作して各光変調装置を移動させ、プリズムユニットを構成する第1中継部4403の挿通孔4403C、および第2中継部4404の挿通孔4404Aに流体循環部材448A,448B,448C,448Dの他端側をそれぞれ挿通させる。
処理S4の後、入射側偏光板442、液晶パネル441G、射出側偏光板443、およびクロスダイクロイックプリズム444を介した光束を前記姿勢調整装置を構成する例えばCCD等の光学像検出装置に検出させる(処理S5:光学像検出工程)。
ここで、光変調素子保持体4402の各冷却室に冷却流体が充填されている状態で各冷却室を通過する光束の光路の長さは、光変調素子保持体4402の各冷却室に冷却流体が充填されていない状態で各冷却室を通過する光束の光路の長さに対して、短くなる。このため、先ず、光路の長さの偏差分だけ前記光学像検出装置を光軸方向にクロスダイクロイックプリズム444に近接させる。
そして、この状態で、G色光側の光変調装置を保持した前記姿勢調整治具を操作し、第1中継部4403および第2中継部4404の挿通孔4403C,4404Aに対する流体循環部材448A,448B,448C,448Dの挿通状態を変更させ、アライメント調整(光軸方向に直交するX軸方向およびY軸方向の調整、XY平面内での回転調整)、フォーカス調整(光軸方向の調整、X軸を中心とする回転調整、Y軸を中心とする回転調整)を行う。
そして、位置調整と固定が完了した液晶パネル441Gを基準として、液晶パネル441R,441Bに対しても上述した処理S4〜S7の処理を実施する(処理S8)。
なお、処理S4〜S8では、3つの光変調装置のうち、先ず、G色光側の光変調装置に対して実施した後、順次、他の光変調装置に対して実施していたが、これに限らず、3つの光変調装置に対して略同時に処理S4〜S7を実施してもよい。
また、一対の枠状部材4405,4406の双方の内部に冷却室が形成されるので、液晶パネル441の光束入射側および光束射出側の双方を冷却流体にて冷却でき、液晶パネル441を効率的に冷却できる。
さらにまた、一対の枠状部材4405,4406は、平面視矩形形状を有し、平面的に見て矩形形状の四隅位置近傍に各流入口4405D,4406D、各流出口4405Eが配置されるので、第1中継部4403および第2中継部4404に対する光変調素子保持体4402の支持状態を4つの流体循環部材448A〜448Dにてさらに安定して支持できるとともに、液晶パネル441の位置決めをさらに一層容易に実施できる。
また、各流入口4405D,4406Dおよび各流出口4405Eは、平面的に見て矩形形状の四隅位置近傍に形成されているので、各冷却室全体に亘って冷却流体を対流させることができ、各冷却室内に温められた冷却流体が滞留することがなく、液晶パネル441を効率的に冷却できる。
また、冷却流体中継部4401を構成する第1中継部4403および第2中継部4404は、クロスダイクロイックプリズム444の上下面にそれぞれ取り付けられ、3つの光変調素子保持体4402に接続する各4つの流体循環部材448A〜448Dに対応して、各6つの挿通孔4403C,4404Aを有しているので、3つの光変調素子保持体4402に対応して3つの冷却流体中継部4401を設ける必要がなく、3つの光変調素子保持体4402を支持する部材を共通化し、光学装置本体440をコンパクトにまとめ、光学装置本体440の小型化を図れる。
さらに、冷却流体中継部4401を3つの光変調素子保持体4402に対して共通化することで、メインタンク445、流体圧送部446、およびラジエータ447等の他の部材と接続する際でも、冷却流体中継部4401と前記他の部材とを接続すればよく、3つの光変調素子保持体4402と前記他の部材とを直接流体循環部材448で接続する必要がない。このため、流体循環部材448の引き回し作業を容易に実施でき、光学装置44の組み立て作業を容易に実施できる。
さらにまた、光学装置本体440を小型化することで、外力の影響を低減でき、3つの液晶パネル441R,441G,441Bの相互位置を良好に維持し、画素ずれのない良好な光学像を形成できる。
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施形態は、光学装置本体540を構成する枠状部材4406に対して射出側偏光板443を押圧固定する偏光板固定部材5408Bに、流体循環部材448A,448B,448C,448Dを支持する支持部5408B3を付加した点が前記第1実施形態と異なるのみである。その他の構造は、前記第1実施形態と同様のものとする。
透光性基板押圧部材としての偏光板固定部材5408Bは、枠状部材4406の光束射出側端面に形成された凹部4406Bに対して第4弾性部材4407Dを介して射出側偏光板443を押圧固定するとともに、流体循環部材448A,448B,448C,448Dを支持するものである。この偏光板固定部材5408Bの具体的な形状は、前記第1実施形態で説明した偏光板固定部材4408Bの形状と略同様であり、図10に示すように、偏光板固定部材4408Bの開口部4408B1、フック係合部4408B2に対応する開口部5408B1およびフック係合部5408B2を有している。
また、この偏光板固定部材5408Bにおいて、上端部角隅部分および下端部角隅部分には、それぞれ上下方向に突出する支持部5408B3が形成されている。
これら支持部5408B3は、枠状部材4405,4406に接続され光束射出側に突出する流体循環部材448A,448B,448C,448Dの他端側を支持する部分であり、流体循環部材448A,448B,448C,448Dをそれぞれ挿通可能とする孔5408B4を有している。
そして、光学装置本体540を組み立てた状態では、図11に示すように、偏光板固定部材5408Bにおける支持部5408B3の孔5408B4に流体循環部材448A,448B,448C,448Dがそれぞれ挿通され、偏光板固定部材5408Bの支持部5408B3に流体循環部材448A,448B,448C,448Dが支持された状態となる。
なお、液晶パネル441、入射側偏光板442、および射出側偏光板443の冷却構造、および、光学装置本体540の製造方法は、前記第1実施形態で説明した冷却構造および製造方法と略同様であるため、説明を省略する。
また、偏光板固定部材5408Bにより、光変調素子保持体4402と冷却流体中継部4401とを接続する流体循環部材448A〜448Dに対する外力の影響を緩和できるので、冷却流体中継部4401の各挿通孔4403C,4404Aと各流体循環部材448A〜448Dとの接続状態を良好にでき、これら接続部分からの冷却流体の漏れを良好に防止できる。
さらに、偏光板固定部材5408Bに、流体循環部材448A〜448Dを支持する支持部5408B3を形成することで、光変調素子保持体4402以外の他の部材にて流体循環部材448A〜448Dを支持する構造と比較して、部材を省略でき、光学装置本体440の小型化、および光学装置本体440の低コスト化を図れる。
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施形態は、光学装置本体640に、流体循環部材448A,448B,448C,448Dを支持する支持部材6410を付加した点が前記第1実施形態と異なるのみである。その他の構造は、前記第1実施形態と同様のものとする。
図13は、支持部材6410を有する光学装置本体640を組み立てた状態を示す斜視図である。
支持部材6410は、略矩形状の板体から構成され、3つの光変調素子保持体4402の光束射出側にそれぞれ貼り付けられる。
この支持部材6410において、略中央部分には、図12に示すように、入射側偏光板442、液晶パネル441、および射出側偏光板443を介した光束を透過させるための開口部6410Aが形成されている。
また、この支持部材6410において、上端部角隅部分および下端部角隅部分には、図12に示すように、それぞれ上下方向に突出する支持部6410Bが形成されている。
これら支持部6410Bは、枠状部材4405,4406に接続され光束射出側に突出する流体循環部材448A,448B,448C,448Dの他端側を支持する部分であり、流体循環部材448A,448B,448C,448Dをそれぞれ挿通可能とする孔6410B1を有している。
そして、光学装置本体640を組み立てた状態では、図13に示すように、支持部材6410における支持部6410Bの孔6410B1に流体循環部材448A,448B,448C,448Dがそれぞれ挿通され、支持部材6410の支持部6410Bに流体循環部材448A,448B,448C,448Dが支持された状態となる。
なお、液晶パネル441、入射側偏光板442、および射出側偏光板443の冷却構造、および、光学装置本体640の製造方法は、前記第1実施形態で説明した冷却構造および製造方法と略同様であるため、説明を省略する。
また、支持部材6410により、光変調素子保持体4402と冷却流体中継部4401とを接続する4つの流体循環部材448A〜448Dに対する外力の影響を緩和できるので、冷却流体中継部4401の挿通孔4403C,4404Aと流体循環部材448A〜448Dとの接続状態、および、光変調素子保持体4402の各流入口4405D,4406Dおよび各流出口4405Eと流体循環部材448A〜448Dとの接続状態を良好にでき、これら接続部分からの冷却流体の漏れを良好に防止できる。
さらに、支持部材6410は、簡単な構造で形成できるので、光学装置本体440の製造コストが増加することもない。
さらに、上述した第2、第3実施形態によれば、流体循環部材448A,448B,448C,448Dの取り付け角度を、偏光板固定部材5408B、または支持部材6410により規制して液晶パネル441のパネル面に対して直角に固定できる。
前記各実施形態では、一対の枠状部材4405,4406の双方の内部に冷却室がそれぞれ形成される構成を説明したが、これに限らない。例えば、枠状部材4405,4406のいずれか一方の内部に冷却室が形成される構成としてもよい。また、例えば、一対の枠状部材4405,4406に連通口を形成し、この連通口にて、一対の枠状部材4405,4406の双方の内部にそれぞれ形成される各冷却室を連通接続する構成としてもよい。
上述したような構成では、光変調素子保持体の流入口および流出口は、少なくとも1つずつ形成されていればよく、第1中継部4403および第2中継部4404の各側面には、流入口および流出口と連通接続する少なくとも2つの流体循環部材を挿通可能に少なくとも1つずつの挿通孔を形成すればよい。
また、光変調素子保持体4402は、内部の冷却流体に熱伝達可能に液晶パネル441を保持する構造であれば、いずれの構造でもよい。例えば、光変調素子保持体4402の内部の冷却室は、液晶パネル441の画像形成領域に応じた位置に形成されていたが、液晶パネル441の画像形成領域を除く位置に形成されていてもよい。
前記各実施形態では、一対の枠状部材4405,4406の外面に入射側偏光板442および射出側偏光板443を配置し、該入射側偏光板442および射出側偏光板443の透光性基板442A,443Aにて各冷却室を閉塞していたが、これに限らず、偏光膜が貼り付けられていないガラス等の透光性基板で各冷却室を閉塞してもよい。この際、入射側偏光板および射出側偏光板としては、前記実施形態で説明した吸収型偏光板ではなく、所定の偏光軸を有する光束を透過し、その他の偏光軸を有する光束を反射する反射型偏光板とすれば、入射側偏光板および射出側偏光板を冷却流体にて冷却しなくても、光源から射出される光束による温度上昇を抑制できる。
また、光学変換膜として偏光膜および視野角補正膜の双方を採用していたが、これに限らず、その他の光学変換膜を含めた構成としてもよく、これら光学変換膜のうち、いずれかのみを採用した構成としてもよい。
例えば、第1中継部4403から各光変調素子保持体4402に流通する流路中に弁を設け、該弁の位置を変更することで流路を狭めたり拡げたりする構成を採用してもよい。
また、例えば、第1中継部4403と各光変調素子保持体4402とを接続する各流体循環部材448A,448Cを各液晶パネル441R,441G,441Bに応じて異なる管径寸法とする構成を採用してもよい。
前記各実施形態では、3つの液晶パネル441を用いたプロジェクタ1の例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記各実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の液晶パネルを用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
前記各実施形態では、光変調素子として液晶パネルを用いていたが、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調素子を用いてもよい。この場合は、光束入射側および光束射出側の偏光板は省略できる。
前記各実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行なうフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (10)
- 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調素子を含んで構成される光学装置であって、
内部に冷却流体が封入される冷却室が形成され、前記冷却室内の冷却流体に対して熱伝達可能に前記光変調素子を保持する光変調素子保持体と、
前記光変調素子保持体の冷却室と連通接続され、前記冷却流体を前記冷却室外部に案内し、再度、前記冷却室内部に導く複数の流体循環部材と、
前記光源から射出された光束の光軸に対する所定位置に配置され、前記複数の流体循環部材を介して前記光変調素子保持体の前記冷却室外部から前記冷却室内部に向かう冷却流体、および/または前記光変調素子保持体の前記冷却室内部から前記冷却室外部に向かう冷却流体を中継する冷却流体中継部とを備え、
前記光変調素子保持体には、前記冷却流体を前記冷却室内部に流入させる流入口、および前記冷却室内部の前記冷却流体を前記冷却室外部に流出させる流出口が形成され、
前記複数の流体循環部材のうち、一端が前記流入口および前記流出口にそれぞれ連通接続する流体循環部材は、その他端が前記光源から射出される光束の光軸方向に向けて突出するように形成され、
前記冷却流体中継部には、内部に向けて貫通し、前記流入口および前記流出口にそれぞれ連通接続する各流体循環部材の他端をそれぞれ挿通可能とする挿通孔が形成されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1に記載の光学装置において、
前記冷却流体中継部は、前記光変調素子保持体の前記冷却室外部から前記冷却室内部に向かう冷却流体を中継する第1中継部と、前記光変調素子保持体の前記冷却室外部から前記冷却室内部に向かう冷却流体を中継する第2中継部とで構成され、
前記光変調素子保持体は、前記光変調素子の画像形成領域に応じてそれぞれ開口が形成され前記光変調素子を挟持する一対の枠状部材と、前記一対の枠状部材における対向する面と反対の面側にそれぞれ配置される一対の透光性基板とを含んで構成され、
前記冷却室は、前記一対の枠状部材における前記開口の前記対向する面側および前記対向する面と反対の面側が前記光変調素子および前記一対の透光性基板にてそれぞれ閉塞されることにより前記一対の枠状部材の双方の内部にそれぞれ形成され、
前記流入口は、当該光学装置を組み立てた状態で前記一対の枠状部材における前記第1中継部側の側端部にそれぞれ形成され、
前記流出口は、当該光学装置を組み立てた状態で前記一対の枠状部材における前記第2中継部側の側端部にそれぞれ形成され、
前記第1中継部および前記第2中継部には、内部に向けて貫通し、前記流入口および前記流出口にそれぞれ連通接続する前記各流体循環部材の他端をそれぞれ挿通可能とする挿通孔がそれぞれ形成されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項2に記載の光学装置において、
前記一対の枠状部材は、平面視矩形形状を有し、
前記流入口および前記流出口は、前記枠状部材における対向する各側端部の対角位置近傍にそれぞれ形成され、
前記一対の枠状部材を組み合わせた状態で、前記一対の枠状部材のうちいずれか一方の枠状部材における前記流入口および前記流出口を他方の枠状部材に投影させた場合、前記投影された前記流入口および前記流出口は、前記他方の枠状部材における前記流出口および前記流入口に対して前記他方の枠状部材における対向する側端部の対向位置にそれぞれ配置されることを特徴とする光学装置。 - 請求項2または請求項3に記載の光学装置において、
前記光変調素子保持体は、前記一対の透光性基板を前記一対の枠状部材に対してそれぞれ押圧固定する一対の透光性基板押圧部材を備え、
前記一対の透光性基板押圧部材のうちいずれか一方の透光性基板押圧部材には、前記流入口および前記流出口にそれぞれ連通接続する前記各流体循環部材の他端がそれぞれ挿通される複数の孔を有し前記各流体循環部材をそれぞれ支持する支持部が形成されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項2から請求項4のいずれかに記載の光学装置において、
入射した光束の光学特性を変換する少なくとも1つの光学変換素子を備え、
前記光学変換素子は、透光性基板と、前記透光性基板上に形成され、入射した光束の光学特性を変換する光学変換膜とで構成され、
前記光変調素子保持体を構成する透光性基板のうち少なくともいずれかの透光性基板は、前記光学変換素子を構成する透光性基板であることを特徴とする光学装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学装置において、
前記光変調素子保持体および前記冷却流体中継部の間に介在配置され、前記流入口および前記流出口にそれぞれ連通接続する前記各流体循環部材の他端がそれぞれ挿通される複数の孔を有し、前記各流体循環部材をそれぞれ支持する支持部材を備えていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の光学装置において、
前記光変調素子は、複数で構成され、
前記光変調素子保持体は、前記複数の光変調素子に対応して複数で構成され、
前記複数の光変調素子保持体がそれぞれ配置される複数の光束入射側端面を有し、前記複数の光変調素子にて変調された光束を合成する色合成光学装置を備え、
前記冷却流体中継部は、前記色合成光学装置における前記複数の光束入射側端面と交差する端面のうちいずれか一方の端面に取り付けられ内部の冷却流体を分岐して前記複数の光変調素子保持体の各冷却室内部に流入させる第1中継部と、前記色合成光学装置における前記複数の光束入射側端面と交差する端面のうちいずれか他方の端面に取り付けられ前記複数の光変調素子保持体の各冷却室内部から流出する前記冷却流体を一括して送入する第2中継部とで構成され、
前記第1中継部および前記第2中継部には、内部に向けて貫通し、前記複数の光変調素子保持体における各流入口および各流出口にそれぞれ連通接続する各流体循環部材の他端をそれぞれ挿通可能とする挿通孔がそれぞれ形成されていることを特徴とする光学装置。 - 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調素子と、内部に冷却流体を封入可能とする冷却室が形成され前記冷却室内の冷却流体に対して熱伝達可能に前記光変調素子を保持する光変調素子保持体と、前記光変調素子保持体の冷却室と連通接続され、前記冷却流体を前記冷却室外部に案内し再度前記冷却室内部に導く複数の流体循環部材とを含んで構成される光学装置を製造する光学装置の製造方法であって、
前記光学装置は、前記複数の流体循環部材を介して前記光変調素子保持体の前記冷却室外部から前記冷却室内部に向かう冷却流体、および/または前記光変調素子保持体の前記冷却室内部から前記冷却室外部に向かう冷却流体を中継する冷却流体中継部を備え、
前記複数の流体循環部材のうち、一端が前記光変調素子保持体の冷却室にそれぞれ連通接続する少なくとも2つの流体循環部材は、他端が前記光源から射出された光束の光軸方向に向けて突出するように形成され、
前記冷却流体中継部には、内部に向けて貫通し、前記少なくとも2つの流体循環部材の他端をそれぞれ挿通可能とする挿通孔が形成され、
当該光学装置の製造方法は、
前記光変調素子保持体に前記光変調素子を保持させる光変調装置組立工程と、
前記冷却流体中継部の前記挿通孔に前記光変調素子保持体に接続する前記少なくとも2つの流体循環部材の他端をそれぞれ挿通する光変調装置設置工程と、
前記光変調素子に対して光束を導入する光束導入工程と、
前記光変調素子に対して導入され前記光変調素子から射出される光束に基づいて、前記少なくとも2つの流体循環部材の他端と前記挿通孔との挿通状態を変更して、前記光源から射出される光束の光軸上の所定位置に前記光変調素子を位置調整する位置調整工程と、
前記挿通孔に対して前記少なくとも2つの流体循環部材を固定するとともに、前記挿通孔と前記少なくとも2つの流体循環部材との隙間を封止する位置固定工程とを備えていることを特徴とする光学装置の製造方法。 - 請求項8に記載の光学装置の製造方法において、
前記光変調素子保持体の前記冷却室、前記複数の流体循環部材、および前記冷却流体中継部の内部に前記冷却流体を封入しない状態で実施し、
前記光束導入工程にて導入され前記光変調素子から射出される光束を光学像検出装置に検出させる光学像検出工程を備え、
前記位置調整工程は、前記光変調素子保持体の前記冷却室に前記冷却流体を封入している場合での前記冷却室を通過する光束の光路の長さに対する、前記光変調素子保持体の前記冷却室に前記冷却流体を封入していない場合での前記冷却室を通過する光束の光路の長さの差分だけ、前記光学像検出装置を前記光軸に沿った方向にずらした状態で、前記光学像検出装置にて検出された光学像に基づいて前記光変調素子の位置調整を実施することを特徴とする光学装置の製造方法。 - 光源装置と、請求項1から請求項7のいずれかに記載の光学装置と、前記光学装置にて形成された光学像を拡大投射する投射光学装置とを備えていることを特徴とするプロジェクタ。
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