JP2020180319A - 溶融金属の脱硫方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スラグ−溶融金属間に電位差を付与するにあたり、消費電力を抑制した溶融金属の脱硫方法を提案する。【解決手段】直流電源を用い、溶融金属に接する電極を負極とし、溶融スラグのみに接する電極を正極として、該電極を通じて溶融スラグと溶融金属との間に電位差を付与する溶融金属の脱硫方法において、溶融金属中S濃度に応じて、S濃度が相対的に低い期間はS濃度が相対的に高い期間よりも前記電位差を増大させるように、電極間の電位差を変化させる溶融金属の脱硫方法。【選択図】図5

Description

本発明は、精錬容器内の溶融金属上に生成された溶融スラグを用いて、溶融金属の脱硫を行う方法であって、具体的には、スラグ−溶融金属間に電位差を付与する溶融金属の脱硫方法に関する。
近年、鋼材の高級化に伴い燐や硫黄の含有量低下の要求があり、溶鋼脱硫技術の向上による処理後到達硫黄濃度の低減技術の開発が進められている。特にサワー材と呼ばれる石油・天然ガスを含む環境下で用いられる鋼材は、硫化水素(HS)による水素脆化のため、鋼表面に露出した非金属介在物(以下、介在物)を起点として硫化物応力割れ(Sulfide Stress Ctacking、以下、これをSSCと略す)を起こすことが知られており、その対策として介在物を形成する不純物である酸素や窒素、硫黄を低減する必要がある。サワー材は、今後需要の拡大が見込まれていることから、生産性を低下させずに処理後到達硫黄濃度を低減させる技術開発が必須である。
従来から、到達硫黄濃度を低減させるため、スラグ改質や溶鋼の再酸化防止などの手段でスラグの脱硫能(以下、「S分配比」という)を向上させ、平衡硫黄濃度を低下する取り組みや、生産性の観点から脱硫速度を増加させるために鋼浴の攪拌動力密度の増加などの取り組みが行われているが、生産性の限界から規格として安定的に工程生産できるSの成品濃度規格は現状6〜12ppm程度が実情である。
上記状況を鑑みて、電気エネルギーを利用した脱硫反応の加速に関する研究が、古くから行なわれている。非特許文献1には、反応速度を電気化学的に取り扱い、脱硫反応([S]+2e-→(S2-))がカソード反応であることから、鋼浴の電位をスラグより下げることで脱硫反応が加速するという概念が報告されている。
非特許文献1に基づき、その後種々の研究がおこなわれている。しかしながら、電極反応の知見でいうところの「分極曲線」と呼ばれる、平衡状態からのずれ(過電圧(V))と反応速度を電流として観測した値(電流密度(A/m))は、スラグ中のO2−の活量が実測できないことから計算ができず、理論的に必要な電力を算出するのは現時点で不可能であることが問題点であり、工業的に実用化できた例はない。
たとえば、特許文献1には、ダクタイル鋳鉄溶湯の鋳込み過程における球状化阻害及び鋳込温度低下を防止可能な処理方法として、直流エレクトロスラグシステムを用い、ダクタイル鋳鉄溶湯を極力大気中酸素から遮断した状態で溶融アルカリ性スラグと溶湯の間に電位差を付与する技術が開示されている。
また、特許文献2には、製鋼スラグからPやSを除去する技術として、溶鉄上の溶融スラグ内に浸漬させた主電極(陽極:正極)と炉底電極(陰極:負極)に直流通電する方法が開示されている。
特表2011−516265号公報 特開平11−302719号公報
徳田昌則、日本金属学会報、15(1976)、p379−
しかしながら、上記のようにして、スラグ−溶融金属間に電位差を付与する従来の技術には、以下のような問題点がある。
特許文献1に開示の技術は、精錬容器中の溶融金属に浸漬した負極と、溶融金属上の溶融スラグ中に浸漬させた正極と、を通じて電流を印加する点は上述の非特許文献1に近い装置構成である。しかしながら、その電気当量は溶鉄1トン、1時間あたり20〜50ファラデー(F)とされており、溶鉄1トンの電流値(A)に換算し直すと536〜1340(A)となり、工業用低電圧装置は一般に20〜70(V)であるから電源容量は「溶鉄1トンあたり」約11〜94(kVA)と計算される。1回の処理で「250〜350トン」を処理する現在の鉄鋼精錬には、特許文献1の手法は非常に大きな電力を必要とすることになり実用的ではない問題がある。
特許文献2に開示の技術は、スラグ中の酸素イオン濃度を下げる原理を説明しているが、スラグ中のSは、通常、硫黄酸化物(SOx)ではなく、CaSなど金属硫化物として存在している。したがって、特許文献2では、単に、製鋼スラグおよびスクラップ鉄を溶融するための熱源として通電加熱し、溶融スラグと溶鉄とのS分配比によって、製鋼スラグ中のSを除去しようとするものであって、Sの電気化学的反応は考慮されていない。また、鉄浴に着目すると、特許文献2に開示の技術は、溶融スラグから鉄浴へのSの移動、いわゆる復硫を促進する技術であり、鉄浴からの脱硫促進を目的とするものではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電気化学的方法により溶融金属中のSを溶融スラグ中に移行させるにあたり、消費電力を抑えつつ効果的に脱硫速度を向上させ、脱硫反応を促進させる方法を提案することを目的とする。
上記課題を有利に解決する本発明の溶融金属の脱硫方法は、直流電源を用い、溶融金属に接する電極を負極とし、溶融スラグのみに接する電極を正極として、該電極を通じて上記溶融スラグと上記溶融金属との間に電位差を付与する溶融金属の脱硫方法において、上記溶融金属中S濃度に応じて、S濃度が相対的に低い期間はS濃度が相対的に高い期間よりも前記電位差が増大するように、上記電極間の電位差を変化させることを特徴とする。
なお、本発明にかかる溶融金属の脱硫方法は、上記溶融金属が、温度:1500℃以上、Al濃度:0.005〜0.20質量%の溶鋼であり、溶鋼温度をT(K)、溶鋼中S濃度を[S](質量%)としたとき、上記正極に対する上記負極の電位E(V)が下記(1)式を満たすことがより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
E≧(1.93×10-4ln[S]−4.18×10-3)T+4.5 ・・・(1)
また、本発明にかかる溶融金属の脱硫方法は、上記正極に対する上記負極の電位E(V)が下記(2)式を満たすことがより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
E≦(1.93×10-4ln[S]−4.18×10-3)T+9.7 ・・・(2)
本発明によれば、少ない消費電力で溶融金属の平衡硫黄濃度および酸素濃度を著しく低下させることができ、脱硫反応速度を増加させることで処理後到達硫黄濃度を効率的に低下させることができる。
実験装置の概要を示す模式図である。 実験装置での溶鋼中のS濃度[S](質量%)と正極に対する負極の電位E(V)との関係に与える電流の影響を示すグラフである。 実験装置での溶鋼中のS濃度[S](質量%)と脱硫速度(質量ppm/min)との関係に与える電流の影響を示すグラフである。 実験装置での溶鋼中のAl濃度[Al](質量%)とO濃度[O](質量ppm)との関係に与える電流の影響を示すグラフである。 本発明の実施に好適に用いられる装置の概要を示す模式図である。 本発明の一実施形態にかかる電位印加パターンの概要図である。
発明者らは図1に示す実験装置を用いて、本発明の原理を確認した。図1に示すように、まず水平面の断面積が0.018(m)の円柱型MgO坩堝1中に工業用純鉄を装入し、るつぼの周りをラミング材2で埋め込み、誘導溶解炉3を用いて、C濃度を0.05質量%未満、S濃度を50質量ppm程度となるように成分調整した。溶鋼4の総量が10kgとなるように溶解した後、溶鋼4上に、質量基準で、(%CaO):42.9、(%Al):35.8、(%SiO):2.9および(%MgO):17.1なる成分組成のフラックスを投入しCaO−SiO−Al系溶融スラグ5を得た。実験中は、溶鋼温度を1580〜1650℃の範囲に維持した。スラグ中には黒鉛電極6(正極)を、溶鋼中にはC含有耐火物であるMgO−C煉瓦7(負極)を挿入し、両電極間に直流安定化電源8を用いて1A〜5A(本条件では1Aの電流は、電流密度で55A/mに相当する。)の定電流印加を行った。そして、溶鋼中硫黄濃度[S](質量%)と、スラグおよび溶鋼の間の応答電位E(V)の時間変化を調査した。
誘導溶解炉3の開口部は耐熱ボード9をかぶせて塞いだ。脱硫処理中に溶鋼中の酸素活量が上昇しないように、適時酸素濃度を測定し、[O]:10質量ppm未満となるようにAlを投入して脱酸を行った。なお、溶鋼中のAl濃度範囲は、本実験においては0.005〜0.20質量%の範囲であった。
図2に実験装置での溶鋼中のS濃度[S](質量%)と正極に対する負極の電位E(V)との関係に与える電流の影響を示す。図2から、黒鉛電極6(正極)に対するMgO−C煉瓦7(負極)の定電流電位E(V)は、いずれの電流値においても溶鋼中S濃度の低下に伴って低くなる(電位差|E|が増大する)ことが分かる。
図3に実験装置での溶鋼中のS濃度[S](質量%)と脱硫速度との関係に与える電流の影響を示す。また、図4に同時に測定した、溶鋼中のAl濃度[Al](質量%)とO濃度[O](質量ppm)との関係に与える電流の影響を示す。同じS濃度における脱硫速度は、図3に示すように、電流印加なし(×印)よりも、印加電流をIave=1A(○印)から4A(●印)へと増加させるにつれ、増加したが、印加電流Iave=5A(▲印)においては印加電流Iave=4A以上の増加は認められなかった。また、この時のAl濃度と酸素濃度の関係は、図4に示すように、電流印加なし(×印)よりも、印加電流をIave=1A(○印)から4A(●印)へと増加させるにつれ、同一Al濃度における酸素濃度が低下したが、印加電流Iave=5Aにおいては印加電流Iave=4A以上の酸素濃度低下が認められず、本実験のAl濃度範囲(0.005〜0.20質量%)においては、Al濃度が低下しても酸素濃度[O]:1質量ppm程度で推移した。
上述の傾向はバブリングランスによる撹拌と組み合わせても、溶鋼温度を変えても存在することを発明者は確認している。
本発明の脱硫促進効果、酸素濃度低減効果については十分に解明できてはいないが、以下のような仮説が考えられる。まず、脱硫反応については、溶融スラグ−溶融金属間に溶融金属側の電位がスラグ側に対して低くなるように電位差を付与したとき、電気化学ポテンシャルの付与により脱硫反応[S]+(O2-)=(S2-)+[O]の平衡定数Kが変化し、平衡S濃度が低下する。平衡S濃度及び酸素濃度はスラグと溶融金属間の電位差が大きくなるほど低下する。ここで、脱硫反応速度が1次式、すわなち、処理時間をt(s)、みかけの反応速度定数をk(s-1)、平衡S濃度を[S](質量%)としたとき脱硫速度は−d[S]/dt=k([S]−[S])であることから、平衡S濃度の低下による脱硫速度(−d[S]/dt)の増加代は平衡S濃度が低くなるにしたがって減少していく。本実験において、印加電流Iave=4AとIave=5Aで脱硫速度に大差が見られないのは、上述の理由であると考えられる。
このときのS濃度に応じた必要電位差は、理論的に言えば自然対数eとしてlog[S](=ln[S])と溶鋼温度T(K)の関数であらわされる。図2に示すように、本実験結果をもとに、電位差のばらつきの下限をE=(1.93×10-4ln[S]−4.18×10-3)T+9.7(破線)、電位差のばらつきの上限をE=(1.93×10-4ln[S]−4.18×10-3)T+4.5(一点鎖線)と定めた。したがって、正極に対する負極電位がE−(1.93×10-4ln[S]−4.18×10-3)T>9.7であればスラグ−溶融金属間への電位差付与により脱硫速度を上げる余地があり、E−(1.93×10-4ln[S]−4.18×10-3)T<4.5であれば脱硫速度上昇代が少なく、必要以上の電力となってしまうことを整理できた。
次に酸素濃度抑制効果について検討する。脱硫反応と同様、電気化学ポテンシャルの付与により脱酸反応2[Al]+3[O]=(Al)の平衡定数Kが変化し、平衡酸素濃度が低下する。電気化学におけるネルンストの式が適用可能と仮定して計算される印加電流Iave=4A時の平衡酸素濃度(図4中のE=−6Vの一点鎖線)はAl濃度0.005〜0.20質量%の範囲では限りなくゼロに近づく。この時の酸素活量実測値は0.8〜1ppm程度と十分に小さく、さらに大きな電位差をスラグ−溶融金属間に印加せずとも酸素濃度を低く抑えることが可能であると考えられる。印加電流Iave=5Aの時の電位差は、上述のE−(1.93×10-4ln[S]−4.18×10-3)T<4.5の範囲であり、脱硫速度の上昇代も小さい。
上記検討と実験結果から、脱硫および脱酸を促進させる際に必要なスラグ−溶融金属間の電位差には最適範囲があることを見出した。スラグ側に浸漬させる正極に対し溶融金属中に浸漬させる負極がとるべき電位E(V)は、溶鋼中S濃度[S](質量%)と溶鋼温度T(K)を用いて、下記(1)式の関係にある時、過剰な電力を費やすことなく、脱硫反応を促進することができることが分かった。
E≧(1.93×10-4ln[S]−4.18×10-3)T+4.5 ・・・(1)
また、下記(2)式の関係にある時、十分な脱硫促進効果が得られることが分かった。
E≦(1.93×10-4ln[S]−4.18×10-3)T+9.7 ・・・(2)
以上の調査から、本発明を効果的に実施する脱硫方法は下記の通りであることを発見した。
すなわち、図5に示すように、溶融金属10が装入された溶鋼鍋やるつぼなどの精錬反応容器11に溶融スラグ12を形成させる。この際、交流アークなどの使用によりスラグを加熱させて溶融させてもよい。溶融スラグ12には導電性物質13からなる電極が溶融スラグ12中にのみ浸漬されるようにし、正極とする。
この正極の浸漬方法は様々であるが、たとえば黒鉛含有電極を用いて、回路の抵抗を見ながら浸漬位置を決定したり、スラグよりも比重の小さな物質を浮きのようにしたりして投入するなどの方法が考えられる。
溶融金属10中に浸漬させる負極は、例えば不活性ガス(ArやN等)を吹き込んで溶融金属10を撹拌するために浴中に浸漬される撹拌ランス14の芯金部分、もしくはメタルの湯面下まで施工された黒鉛含有耐火物煉瓦15などが考えられる。
正極および負極を直流安定化電源16に導線17を通じて接続し、溶融金属中のS濃度に応じて、S濃度が相対的に低い期間はS濃度が相対的に高い期間よりも電位差|E|を増大させるように電極間の電位差を変化させる。
溶融金属10が溶鋼である場合、正極13に対して負極14または15の電位Eを4.5≦E−(1.93×10-4ln[S]−4.18×10-3)T≦9.7の範囲となるように電極間の電位差|E|を変化させる。電位差を付与させる際には、S濃度に応じて複数区間に分け、処理中の電位差を、上記範囲を満たすように区間内で一定として印加してもよいが、実績から計算されるみかけの脱硫反応速度定数k(s-1)を用いて溶鋼中S濃度の経時変化を計算し、計算S濃度に応じて経過時間ごとに電位差を変化させる方法がより好ましく、定電流印加により電位差を直流電源内の内部抵抗変化により自動的に調整する方法がさらに好ましい。
本発明は、脱硫反応を促進させるために、撹拌ランス14または鍋底に配置されたポーラスプラグ18からArやNなどの不活性ガスを吹き込むバブリング撹拌と併用してもよいが、その場合はバブリングによるガス浮上点を避けるように正極13の位置を決定するのが望ましい。これは、バブリングによる浴面変動で正極13と溶融金属10が一時的に接触し、回路のショートもしくはショート抑止のため接触の度に電位差を著しく小さくしなければならないためである。
(スラグ組成の適用範囲と好適範囲)
脱硫処理に用いるスラグの成分は、一般的に使用されるCaOやAl、SiOに加え、精錬容器の耐火物損耗を抑えるために飽和MgO濃度以上のMgO源を添加したCaO−Al−SiO−MgO系スラグが好ましい。前記溶融スラグ中のX成分の質量百分率をそれぞれ(%X)としたとき、(%CaO)/{(%Al)×(%SiO)}が0.2以上0.4以下(ただし(%SiO)≦20質量%)とすることが好ましい。この範囲外であっても、たとえば(%CaO)=50質量%、(%SiO)=50質量%のような組成であっても脱硫促進効果を発現し得ることを発明者らは確認している。さらに好ましくは、CaO−Al−SiO3元系状態図を用いて、処理温度と造滓材添加前のスラグ組成から、添加後の計算スラグ組成がCaO飽和域に限りなく近いような完全液相領域となるように造滓剤を添加し、処理途中のスラグ分析結果を見ながら前記組成を保つように造滓剤をコントロールすることが好ましい。これは、後述する電位印加停止後の復硫を防止するのにあたり、スラグを迅速に固化させることが可能となるからである。無論、CaO−Al2元系やCaO−Al−CaF3元系のようにスラグの成分が変わった際も、CaO飽和域に限りなく近いような完全液相領域となるように調整するのが好ましいことは変わらず、またこのような成分組成の調整は、熱力学ソフトなどを用いて容易に行うことが可能である。
脱硫処理を終え、スラグ−溶融金属間への電位差付与を停止する場合、目標S濃度に応じたスラグのS分配比が確保されていない場合、復硫を生じる可能性がある。この対策として、目標S濃度を平衡S濃度以上となるようにスラグの組成を調整してスラグのS分配比を確保するか、電位差付与停止前にCaOなどの副原料の添加または吹き込みによりスラグ組成をCaO飽和側にするなどしてスラグ側物質移動係数を低下させること、すなわち意図的にスラグを固化させるという方法が考えられる。このスラグ組成の調整は熱力学的に決定可能であるので、当業者であれば容易に調整が可能である。
本発明を、溶鋼の脱硫設備(LF:レードルファーネス)に適用した。精錬容器には溶鋼鍋を用い、溶鋼量280tに対し交流アークによりCaO−Al−SiO−MgO系スラグ5〜20kg/溶鋼−tを溶解した。その後、溶融スラグに浸漬する正極には黒鉛電極を用い、回路の抵抗を見ながら電極の高さを調整してスラグ中に浸漬させ、抵抗が0になった(≒溶融金属に接触した)高さから1段階電極高さを上げてスラグ中にのみ浸漬されていることを確認した。溶鋼に浸漬する負極には攪拌ランスの芯金部分を用い、正極がスラグに浸漬されているのを確認したのちに攪拌ランスを溶鋼に浸漬し、Arを2000NL/min(2Nm/min)で吹き込みながら、溶融スラグ−溶鋼間に電位差を付与しつつ脱硫処理を行った。
LF到着直後のサンプリングにより、脱硫処理前の溶鋼成分は、X成分の質量%濃度を[%X]と表す時、[%C]<0.05、[%Si]<0.03、[%Mn]<0.03、[%P]<0.020および[%Sol.Al]<0.12%であり、造滓材としてAl、石灰、カルシウムアルミネートを上添加したのち交流アークによりスラグを溶解した。スラグ組成はCaO−Al−SiO系スラグで前記好適範囲外と好適範囲内双方の組成をテストした。ここでスラグの組成は質量基準で(%CaO)>(%Al)>(%SiO)である。
電位印加のパターンは、図6に示すように、S濃度が相対的に低い期間においてS濃度が相対的に高い期間よりも前記電位差(|E|(V))を増大させるものを含む、複数の水準を用意し、変化させた。電位印加パターンを作成する際、処理時間に対するS濃度はみかけの反応速度定数と初期S濃度から推定した値を使用した。水準1は、脱硫処理時に電位を印加しないケース(比較例)、水準2は、脱硫処理時に電位印加を行うが、上記(2)式で求まる電位差の範囲の下限を割るように電位を増加させながら印加したケース(発明例)、水準3は上記(1)式で求まる電位差の範囲の上限を超えるように電位を増加させながら印加したケース(発明例)である。一方、水準4は、一部期間が前記範囲の下限を割るものの、S濃度に応じて前半(高濃度)よりも後半(低濃度)の電位差を前記下限以上となるように定電位を印加したケース、水準5は電位差が上記(1)および(2)式で求まる電位差の範囲に全期間収まるように定電位を印加したケース、水準6は、推定S濃度に応じて電位差を上記範囲の上限近くでリニアに変化させたケースである。
脱硫処理は、スラグ溶解後にスラグおよび溶鋼の分析を行ってスラグ組成及び脱硫処理前のS濃度を確認し、必要に応じて前記スラグ組成を満たすように調整した後、撹拌ランスから前記方法でAr吹き込みを行いながら電位印加を10および20min行った後に溶鋼の再サンプリングを行い、30min処理後のサンプルとともにS濃度を確認した。
Figure 2020180319
Figure 2020180319
表1および2に、本発明の適用有無での脱硫成績およびAlロス量の変化を示した。ここでAlロス量は、電位を印加しない試験条件1および7の脱硫処理終了時のAl濃度の減少量を1として基準とし、それに対する割合を示している。本発明例はいずれも比較例に対して同一時間に対する処理後Sが低減される効果が確認できるが、S濃度に対しリニアに電位差を変更する水準6を採用した試験条件6および12が最も処理後S濃度が低下し、かつAlロス量も小さい。一方、本発明の好適範囲上限超えの電位差を付与した試験条件3および9と到達S濃度およびAlロス量に大差がない。つまり、試験条件3および9は、脱硫及び脱酸促進効果に対して過剰な電力を供給していることになるため、消費電力抑制の観点からも本発明例の範囲で電位差を調整することが望ましいことが分かる。
本発明により、消費電力を抑えながら同一処理時間あたりの到達S濃度を低減させることが可能であり、また脱硫時に投入する脱酸用Alの低減によって生産コストの低減を図ることができる。なお、上記例では溶鋼を中心に説明したが、溶銑ほかの金属にも適用可能である。
1 MgO坩堝
2 ラミング材
3 誘導溶解炉
4 溶鋼
5 溶融スラグ
6 黒鉛電極
7 MgO-C煉瓦
8 直流安定化電源
9 耐熱ボード
10 溶融金属
11 精錬反応容器
12 溶融スラグ
13 黒鉛含有物質
14 撹拌ランス
15 黒鉛含有耐火物煉瓦
16 直流安定化電源
17 導線
18 ポーラスプラグ

Claims (3)

  1. 直流電源を用い、溶融金属に接する電極を負極とし、溶融スラグのみに接する電極を正極として、該電極を通じて前記溶融スラグと前記溶融金属との間に電位差を付与する溶融金属の脱硫方法において、前記溶融金属中S濃度に応じて、S濃度が相対的に低い期間はS濃度が相対的に高い期間よりも前記電位差が増大するように、前記電極間の電位差を変化させることを特徴とする溶融金属の脱硫方法。
  2. 前記溶融金属が、温度:1500℃以上、Al濃度:0.005〜0.20質量%の溶鋼であり、溶鋼温度をT(K)、溶鋼中S濃度を[S](質量%)としたとき、前記正極に対する前記負極の電位E(V)が下記(1)式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の溶融金属の脱硫方法。
    E≧(1.93×10-4ln[S]−4.18×10-3)T+4.5 ・・・(1)
  3. 前記正極に対する前記負極の電位E(V)が下記(2)式を満たすことを特徴とする請求項2に記載の溶融金属の脱硫方法。
    E≦(1.93×10-4ln[S]−4.18×10-3)T+9.7 ・・・(2)
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