JP2006206957A - マンガン系合金鉄製造時に発生するスラグからのマンガン回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶融還元製錬によりフェロマンガン或いはシリコマンガンを製造する際に発生するスラグを製鋼工程で使用するに当たり、当該スラグ中のマンガン酸化物を極めて高い還元率で還元することが可能な回収方法を提供する。
【解決手段】 溶融還元製錬によってフェロマンガン或いはシリコマンガンを製造する際に発生したスラグからマンガンを回収する方法であって、製鋼工程の取鍋精錬炉1で溶鋼9を不活性ガス雰囲気下で精錬する際に、溶鋼上に添加されている前記スラグ10を溶融させ、前記スラグ中のマンガン酸化物を還元して溶鋼中に回収する。その際に、前記スラグを、取鍋精錬炉における溶鋼の精錬開始前か精錬途中で添加することが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶融還元製錬によってフェロマンガン或いはシリコマンガンのマンガン系合金鉄を製造する際に発生する、マンガンを含有したスラグからマンガンを回収する方法に関し、詳しくは、前記スラグを、製鋼工場の取鍋精錬炉で溶鋼を精錬する際に副原料として使用し、スラグ中のマンガン酸化物を還元して溶鋼中に回収する方法に関するものである。
鋼の溶製工程で鋼中のマンガン成分調整のために使用されるフェロマンガン及びシリコマンガンは、電気炉或いは溶鉱炉などの工業炉に、還元剤及び熱源としての炭材や生石灰などの造滓材などとともに装入された、マンガン鉱石などのマンガン酸化物が、加熱されて溶融し還元されて製造される。この製錬方法は溶融還元製錬方法と呼ばれている。
溶融還元製錬によってフェロマンガンを製造する際に副生されるスラグの化学成分は、およそ、T.Mn:10〜50質量%(以下、「%」と表示する)、SiO2 :10〜50%、CaO:10〜40%、MgO:1〜10%、Al2 3 :5〜15%である。また、溶融還元製錬によるシリコマンガン製造時に副生されるスラグの化学成分も、フェロマンガン製造時に副生されるスラグの化学成分と類似し、その化学成分は、およそ、T.Mn:5〜50%、SiO2 :10〜70%、CaO:10〜50%、MgO:1〜10%、Al2 3 :2〜15%である。ここで、T.MnとはトータルMnであり、スラグ中の全てのマンガン酸化物(MnO、Mn34 、Mn23 など)のマンガン分の合計値である。
このフェロマンガン或いはシリコマンガンの製造時に副生するスラグは、上記のように高濃度のマンガン分を含有するにも拘わらず、従来、その多くが埋め立て処理などの廃棄処分がなされており、一部が煉瓦の着色剤や焼結副原料などに再利用されているのみで、有効な再利用とはほど遠い状況であった。
有効利用を拡大すべく、特許文献1、特許文献2及び特許文献3には、フェロマンガン製造時に副生されるスラグから、マンガンを回収する技術が提案されている。しかし、これらは全て、スラグ中のマンガンをフェロマンガンとして回収する技術であり、工業的にはすでにフェロマンガンが効率良く還元された後に生成するスラグから、同一組成のフェロマンガンを更に回収するには、強還元雰囲気にするなどして還元率を上げる対策を採る必要があるため、それなりに製造コストが嵩張り、副生スラグの再利用を拡大させるほどの影響は及ぼしていない。
一方、鉄鋼業の製鋼工程、具体的には溶銑の転炉脱炭精錬では、少ない炉内スラグ量で脱炭吹錬する所謂スラグレス吹錬において、マンガン系合金鉄の代替としてマンガン鉱石を転炉内に添加し、溶銑中の炭素によってマンガン鉱石を還元して溶鋼中にマンガンを歩留まらせる方法が実施されている。但し、この技術はマンガン含有量の高いマンガン鉱石を使用したもので、マンガン鉱石よりもマンガンの含有量が低い、マンガン系合金鉄製造時の副生スラグを利用したものではない。しかし、この技術に倣って、特許文献4及び特許文献5には、それぞれフェロマンガン製造時及びシリコマンガン製造時に副生するスラグを、転炉における溶銑の脱炭精錬に使用し、スラグ中のマンガンを還元して溶鋼中に回収する方法が提案されている。
特開昭52−75607号公報 特開昭60−200949号公報 特開昭58−34159号公報 特開2000−297313号公報 特開2000−328124号公報
鉄鋼業の製鋼工程において、フェロマンガン或いはシリコマンガンの製造時に副生するスラグを有効活用することが可能となれば、粗鋼生産量に応じた大量の当該スラグが消費されることになり、資源の有効活用がなされ、高価なマンガン系合金鉄の使用量が削減されるのみならず、埋め立て処理などの廃棄処分されるスラグの発生量を削減することが可能となる。埋め立て処理地は益々少なくなっていくことから、環境保全からも望ましいことである。
この観点から、上記特許文献4及び特許文献5を検討すると、特許文献4及び特許文献5では、溶銑の脱炭精錬、つまり酸化精錬においてフェロマンガン或いはシリコマンガンの製造時に副生するスラグを使用しており、これらスラグは造滓材の代替としてはそれなりに機能するものと推定されるが、これらスラグからのマンガンの回収は極めて困難であり、マンガン回収は副次的といわざるを得ない。何故なら、フェロマンガン或いはシリコマンガンの製造時に副生されるスラグ中のマンガンは酸化物の形態であり、マンガン酸化物から金属マンガンを回収するためには還元反応が必要であり、酸化精錬である溶銑の脱炭精錬では、還元反応は、溶銑中の炭素濃度が高い期間即ち精錬の初期段階に限られるからである。実際、特許文献4の実施例に示す結果では、溶鋼トン当たり6kg(以下「kg/t」と記す)のフェロマンガン製錬時の副生スラグを添加した場合でも、成分調整用として使用するフェロマンガンの削減量は高々1.2kg/t程度であり、フェロマンガン製錬時の副生スラグからのマンガン回収は決して十分とはいえない。
このようなことから、フェロマンガン及びシリコマンガンの製造時に副生するスラグの製鋼工程での利用も進まず、従前どおり埋め立て処理の行われているのが実態であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶融還元製錬によりフェロマンガン或いはシリコマンガンを製造する際に発生するスラグを製鋼工程で使用するに当たり、当該スラグ中のマンガン酸化物を極めて高い還元率で還元することが可能であり、その結果、成分調整用のフェロマンガン或いはシリコマンガンの使用量を大幅に削減することが可能な、マンガン系合金鉄製造時に発生するスラグからのマンガン回収方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係るマンガン系合金鉄製造時に発生するスラグからのマンガン回収方法は、溶融還元製錬によってフェロマンガン或いはシリコマンガンを製造する際に発生したスラグからマンガンを回収する方法であって、製鋼工程の取鍋精錬炉で溶鋼を不活性ガス雰囲気下で精錬する際に、溶鋼上に添加されている前記スラグを溶融させ、前記スラグ中のマンガン酸化物を還元して溶鋼中に回収することを特徴とするものである。
第2の発明に係るマンガン系合金鉄製造時に発生するスラグからのマンガン回収方法は、第1の発明において、前記スラグを、取鍋精錬炉における溶鋼の精錬開始前か精錬途中で溶鋼上に添加することを特徴とするものである。
本発明によれば、取鍋精錬炉で溶鋼を不活性ガス雰囲気下で精錬する際に、マンガン系合金鉄製造時に発生するスラグを溶鋼の上に滞留させ、溶融して溶鋼を精錬するので、スラグ中のMnO濃度が1〜2%程度になるまで前記スラグは還元されて、マンガン系合金鉄製造時に発生するスラグをマンガン系合金鉄の代替として有効活用することが可能となる。その結果、成分調整用のフェロマンガン、シリコマンガンなどのマンガン系合金鉄の使用量を削減することが可能となり、製鋼工程におけるマンガン系合金鉄のコストを大幅に削減することが達成されるのみならず、埋め立て処理されるスラグの量を大幅に削減することが達成されるなど、工業上有益な効果がもたらされる。
以下、本発明を具体的に説明する。本発明では、溶融還元製錬によってフェロマンガン或いはシリコマンガンを製造する際に発生したスラグを、製鋼工場の取鍋精錬炉で溶鋼を不活性ガス雰囲気下で精錬する場合に副原料として使用する。
溶鋼を取鍋精錬炉で精錬するに先立ち、先ず、電気炉或いは転炉を用いて溶鋼を溶製し、所定の炭素濃度に溶製された溶鋼を取鍋に出鋼する。電気炉或いは転炉からの出鋼時、炭素以外の溶鋼の成分を調整せずに、つまり成分調整のための合金鉄や金属Alなどを添加せずに次工程の取鍋精錬炉に払い出し、取鍋精錬炉で成分調整を実施するようにしても構わないが、フェロマンガン製造時或いはシリコマンガン製造時の副生スラグからマンガンを効率良く回収するためには、溶鋼成分のうちのシリコン及びアルミニウムなどの強脱酸成分に関しては、鋼材の成分規格上から要求される成分濃度の半分程度までの濃度を確保するように、出鋼時に合金鉄や金属Alなどを添加することが好ましい。このようにすることで、溶鋼の酸化度(以下、「酸素ポテンシャル」と記す)、並びに、溶鋼上に残留するスラグの酸素ポテンシャルが低下し、その後の取鍋精錬炉におけるマンガン回収が効率的に行われるからである。
次いで、取鍋に収容された溶鋼を取鍋精錬炉に搬入する。取鍋精錬炉は、取鍋に収容された溶鋼を、不活性ガス雰囲気下など、ガス雰囲気を調整しながら精錬する機能を有する精錬炉であり、通常、溶鋼を加熱する機能も備えている。但し、本発明を実施する上では加熱機能は必ずしも必要ではない。また、当然ながら、酸化性ガス雰囲気であっても精錬することができる。このような取鍋精錬炉の例を図1に示す。
図1に示すように、取鍋精錬炉1は、水冷構造の上蓋2と、上蓋2を貫通して配置される電極4と、電極4を把持すると同時に電極4に電力を供給するための電極把持装置3とを備えている。電極4は、電極把持装置3を介して電源(図示せず)と連結しており、電源から電力を供給することで各電極4の先端間でアークを発生し、発生するアーク熱で溶鋼9は加熱される。また、電極把持装置3を昇降させることで電極4が取鍋6の内部を上下に移動する構造になっている。上蓋2には原料投入シュート5が設けられ、原料投入シュート5の上方に配置された複数のホッパー(図示せず)に収容される各種合金鉄、金属Alなどの各種金属、生石灰や合成フラックスなどの各種造滓材、及び、溶融還元製錬によってフェロマンガン或いはシリコマンガンを製造した際に発生するスラグが、原料投入シュート5を介して取鍋6の内部に投入されるようになっている。尚、本発明では、溶融還元製錬によってフェロマンガン或いはシリコマンガンを製造した際に発生するスラグをまとめて「マンガンスラグ」と称し、これらを個別に表示する場合には、フェロマンガン製造時に発生するスラグを「Fe−Mnスラグ」と称し、シリコマンガン製造時に発生するスラグを「Si−Mnスラグ」と称する。
溶鋼9を収容した取鍋6を上蓋2の直下に配置し、取鍋6を上昇させる、或いは、上蓋2を下降させることにより、取鍋6の上端部と上蓋2との間隙を極力なくし、この状態で、取鍋6の底部の内張り耐火物7に嵌合させて配置したポーラス煉瓦8から、Arなどの不活性ガスを溶鋼9に吹き込む。これにより、取鍋6と上蓋2とで囲まれた空間は不活性ガス雰囲気となり、溶鋼9を不活性ガス雰囲気下で精錬することが可能となる。ポーラス煉瓦8から吹き込まれる不活性ガスは、溶鋼9を攪拌するための攪拌用ガスとしての役割も担っている。上蓋2には、取鍋6から溶鋼9及びスラグ10の試料を採取するための採取孔(図示せず)や、溶鋼9の酸素ポテンシャルを計測するための計測孔(図示せず)が設置されている。尚、ポーラス煉瓦8を設置する代わりに上蓋2を貫通させて浸漬ランスを設け、浸漬ランスから不活性ガスを吹き込むようにしてもよく、また、雰囲気調整のための不活性ガスを吹き込むための供給孔を上蓋2に設置してもよい。窒素ガスも非酸化性ガスであり、不活性ガスとして使用可能であるが、窒素ガスは溶鋼9に溶解して溶鋼9の窒素濃度が上昇する。それゆえ、窒素ガスは使用しないことが好ましい。
このように構成される取鍋精錬炉1において、不活性ガス雰囲気で行う精錬を実施する際に、マンガン系合金鉄製造時の副生スラグであるマンガンスラグを溶鋼9の上に添加してスラグ10を形成させ、ポーラス煉瓦8からArなどの不活性ガスを吹き込んで溶鋼9を精錬する。マンガンスラグの投入と同時或いは前後に造滓材を添加し、マンガンスラグと造滓材とでスラグ10を形成させてもよい。取鍋精錬炉1において不活性ガス雰囲気で行う精錬としては、溶鋼9の成分調整のための精錬、溶鋼9の成分と温度とを調整するための精錬、溶鋼9を脱硫処理するための精錬などがあり、これら精錬を実施する際にマンガンスラグを造滓材として使用し、これらの精錬に併せてマンガンスラグからのマンガン回収を進行させることが好ましい。当然ながら、マンガンスラグからのマンガン回収のみを行っても構わない。尚、何れの場合も、マンガンスラグの投入に前後して取鍋精錬炉1における精錬の初期段階に、鋼材の成分規格上から要求される成分濃度程度までシリコン、アルミニウムなどの強脱酸材で溶鋼9を脱酸しておく。
温度調整のために溶鋼9を加熱する際には、通常、電極4の先端をスラグ10に浸漬させて行っており、マンガンスラグを、このスラグ10を形成するための造滓材の代替として使用してもよく、また、通常使用する造滓剤を別途添加した上で、更にマンガンスラグを添加してスラグ10を形成してもよい。溶鋼9を加熱しないで成分調整のみ実施する場合には、基本的には造滓材を添加する必要はないが、マンガンスラグを添加して形成されるスラグ10による溶鋼温度の降下分を見積もって出鋼することで、この場合にもマンガンスラグを添加することができる。溶鋼9の脱硫処理の場合には、脱硫能の高いスラグを形成する必要があり、マンガンスラグは塩基度が低く、マンガンスラグのみでは高い脱硫率は期待できないので、この場合には、所定の造滓材を添加した上で、脱硫能を阻害しない範囲でマンガンスラグを添加し、脱硫能に優れた所望の組成のスラグ10を形成すればよい。脱硫処理の場合には、添加された造滓材は、脱硫反応を促進させるために電極4から供給されるアーク熱によって加熱され、溶融したスラグ10を形成するのが一般的である。
形成されたスラグ10は、溶鋼9から受ける熱により、或いは、電極4から供給されるアーク熱によって溶融し、ポーラス煉瓦8から吹き込まれ不活性ガスによって溶鋼9と激しく攪拌される。スラグ10は、マンガンスラグに含まれる所謂低級酸化物であるマンガン酸化物を多量に含有していることから酸素ポテンシャルが高く、一方、溶鋼9は、シリコンまたはアルミニウムによって脱酸されていることから酸素ポテンシャルが低く、酸素ポテンシャルの高い溶融したスラグ10と、酸素ポテンシャルの低い溶鋼9とが接触することで、溶鋼9と溶融状態のスラグ10とが熱力学的な平衡関係を維持するべく、溶鋼9に含有される、マンガンよりも酸素親和力の強いシリコン、アルミニウム、炭素と、スラグ10に含有されるマンガン酸化物との反応、つまりマンガン酸化物の還元反応が進行する。溶鋼中にチタン、ジルコニウムなどのマンガンよりも酸素親和力の強い成分が含まれる場合には、これらの成分もマンガン酸化物の還元反応に寄与する。還元されて生成したマンガンは溶鋼9に移行し、溶鋼9に回収される。不活性ガスの吹き込みによって溶鋼9とスラグ10とは攪拌・混合し、この還元反応は迅速に進行する。マンガンよりも酸素親和力の強いシリコン、アルミニウム、炭素などは、マンガンの還元反応により酸化して減少するので、その減少分を補う必要はある。
本発明者等は、上記のような取鍋精錬炉1における不活性ガス雰囲気下での精錬では、溶鋼9がシリコン脱酸鋼であっても、スラグ10のT.Fe濃度は1%程度、MnO濃度は1〜2%程度まで低下することを確認している。更に、溶鋼9がアルミニウム脱酸鋼の場合には、スラグ10のT.Fe濃度+MnO濃度は1%未満になり、更にマンガンの回収率が向上することを確認している。因みに、転炉における溶銑の脱炭精錬では転炉内スラグのT.Feは、10〜20%であり、特許文献4及び特許文献5におけるマンガン回収率が低い理由は、転炉内スラグの酸素ポテンシャルが高いことが主因である。尚、T.Feとは、トータルFeであり、スラグ中の全ての鉄酸化物(FeO、Fe34 など)の鉄分の合計値である。
マンガンスラグの投入時期は、取鍋精錬処理の前半、極力早い時期に投入することが望ましい。投入時期が遅れると、マンガンスラグの還元反応も遅れるため、溶鋼9のマンガン濃度上昇が不安定になり、マンガン成分の調整が難しくなるからである。即ち、マンガンスラグの還元反応が十分進まないうちに取鍋精錬工程が終了する場合も発生し、マンガンの回収不足或いは取鍋精錬終了後に規格の上限値以上に上昇してしまう恐れがあるからである。この観点から、溶鋼9を取鍋精錬炉1で処理する前の電気炉または転炉からの出鋼直後、或いは取鍋精錬炉1への搬送中に添加してもよい。要は、マンガンスラグを可能な限り早く取鍋6の溶鋼湯面上に均一に分散させることが、電極4の折損防止やマンガンスラグの早期溶融の観点から望ましい。
マンガンスラグのサイズは、合金鉄や造滓材を投入する場合と同一の原料投入装置を使用するので、取鍋精錬炉1で使用する合金鉄や造滓材と同等であることが好ましい。また、大きくなり過ぎると溶融速度が遅くなるので、この点からも好ましくない。
この技術を実施した場合、合金鉄の価格(国際価格)によってもその効果金額が変動するので、合金鉄の価格を指標にしたテーブルなどを準備し、効果金額を確認した上で実施することが好ましい。更に留意する点としては、マンガンスラグの保存、保管状況によっては水分が多くなる場合もあり、溶鋼中の水素濃度のピックアップ原因にもなる。従って、製造鋼種の品質評価を事前に確認し、適用する鋼種を選定しておくことも肝要である。
上記に説明したように、本発明によれば、取鍋精錬炉において、溶鋼を不活性ガス雰囲気下で精錬する際に、マンガンスラグを造滓材の代替などとして溶鋼の上に添加・滞留させて溶鋼を精錬するので、生成するスラグのMnO濃度が1〜2%程度になるまでマンガンスラグは還元され、マンガンスラグをマンガン系合金鉄の代替として有効に活用することが可能となる。その結果、成分調整用のフェロマンガン、シリコマンガンなどのマンガン系合金鉄の使用量を削減することができ、製鋼工程におけるマンガン系合金鉄のコストを削減することが達成されるのみならず、埋め立て処理されるマンガンスラグの量を大幅に削減することが達成される。
150トン容量の取鍋を処理する、図1に示す取鍋精錬炉を用い、電気炉から出鋼された普通鋼の成分及び温度調整をするべく、フェロシリコン、シリコマンガンなどの合金鉄及びCaO系の造滓材とともに、フェロマンガン製造時に副生されたFe−Mnスラブを投入して、図2に示す工程で精錬を行った。使用したFe−Mnスラグの化学成分は、MnO:34%、SiO2 :26%,CaO:19%,Al23 :8%、MgO:3%であり、Fe−Mnスラグの投入量を、1チャージ当たり300kg(発明例1)と、800kg(発明例2)の2水準で実施した。Fe−Mnスラグの投入時期は、図2に示すように、取鍋精錬炉での処理開始から10分以内の精錬初期とした。
溶鋼の成分規格は、炭素濃度が0.07〜0.18%、マンガン濃度が0.40〜0.80%であるため、表1に示すFe−Mnスラグ投入早見表に基づき、Fe−Mnスラグ、フェロシリコン、及びシリコマンガンの投入を行った。
Figure 2006206957
図3に、Fe−MnスラグとCaO系造滓材とで形成されたスラグから精錬中に分析用試料を採取し、そのスラグのMnO濃度を分析した結果と、スラグ中のMnO濃度から求めたFe−Mnスラグの還元率とを併せて示す。図3の横軸に示す参考1及び参考2は、それぞれ図2の参考成分(1)及び参考成分(2)に対応する。図3に示すように、精錬終了時には、Fe−Mnスラグ中のマンガン酸化物の還元率はほぼ100%に近い値まで上昇した。その結果、表2に示すように、比較例として示した現状の精錬に比べて、成分調整用のシリコマンガンの使用量を大幅に削減することができた。
Figure 2006206957
実施例1で使用したFe−Mnスラグの代わりに、シリコマンガン製造時に副生されたSi−Mnスラブを、1チャージ当たり300kg(発明例3)と、800kg(発明例4)の2水準で投入して、実施例1と同様の精錬を実施した。使用したSi−Mnスラグの化学成分は、MnO:15%、SiO2 :40%,CaO:40%,Al23 :3%、MgO:2%であった。
実施例1と同様に、Si−Mnスラグを使用した場合もSi−Mnスラグ中のマンガン酸化物の還元率は高く、その結果、表3に示すように、比較例として示した現状の精錬に比べて、成分調整用のシリコマンガンの使用量を大幅に削減することができた。
Figure 2006206957
取鍋精錬炉の例を示す図である。 実施例1における精錬工程を示す図である。 実施例1におけるスラグ中のMnO濃度の変化と、Fe−Mnスラグの還元率の変化とを併せて示す図である。
符号の説明
1 取鍋精錬炉
2 上蓋
3 電極把持装置
4 電極
5 原料投入シュート
6 取鍋
7 内張り耐火物
8 ポーラス煉瓦
9 溶鋼
10 スラグ

Claims (2)

  1. 溶融還元製錬によってフェロマンガン或いはシリコマンガンを製造する際に発生したスラグからマンガンを回収する方法であって、製鋼工程の取鍋精錬炉で溶鋼を不活性ガス雰囲気下で精錬する際に、溶鋼上に添加されている前記スラグを溶融させ、前記スラグ中のマンガン酸化物を還元して溶鋼中に回収することを特徴とする、マンガン系合金鉄製造時に発生するスラグからのマンガン回収方法。
  2. 前記スラグを、取鍋精錬炉における溶鋼の精錬開始前か精錬途中で溶鋼上に添加することを特徴とする、請求項1に記載のマンガン系合金鉄製造時に発生するスラグからのマンガン回収方法。
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