JP2002030330A - 真空精錬炉における溶鋼の加熱方法 - Google Patents

真空精錬炉における溶鋼の加熱方法

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JP2002030330A
JP2002030330A JP2000354273A JP2000354273A JP2002030330A JP 2002030330 A JP2002030330 A JP 2002030330A JP 2000354273 A JP2000354273 A JP 2000354273A JP 2000354273 A JP2000354273 A JP 2000354273A JP 2002030330 A JP2002030330 A JP 2002030330A
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oxygen
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Takeshi Murai
剛 村井
Eiju Matsuno
英寿 松野
Atsushi Watanabe
敦 渡辺
Eiji Sakurai
栄司 櫻井
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空精錬炉で処理中の溶鋼を酸素でAlを燃
焼させて加熱・昇温する際に、溶鋼の清浄性を損なうこ
となく、且つ、極低炭素鋼のような炭素濃度が低く抑え
られた鋼も炭素含有量を増加させることなく加熱・昇温
する。 【解決手段】 真空精錬炉1にて精錬されている溶鋼3
に、酸素又は酸素含有ガスと共に、金属Al又は金属A
lを含有するフラックスを吹き付け又は吹き込む。その
際、溶鋼の清浄性確保の観点から、金属Alを含有する
フラックスとしてCaOを含有するフラックスを用いる
こと、金属Al又は金属Alを含有するフラックスの吹
き付け又は吹き込みと同時にCaOを含有するフラック
スを溶鋼へ添加すること、更に、金属Alの添加量に対
してCaOの添加量を質量比で0.9〜5.0の範囲と
することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空精錬炉で処理
中の溶鋼を酸素によるAlの燃焼熱で加熱・昇温する方
法に関し、詳しくは、溶鋼の清浄性を損なわずにAlの
燃焼熱で溶鋼を加熱する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の鉄鋼材料の高機能化及び高品質化
への要求の高まりから、燐、硫黄等の不純物元素や、脱
酸生成物、転炉スラグ、及びモールドパウダー等を起源
とする酸化物系非金属介在物を可能な限り低減すること
が要望されている。RH真空脱ガス装置等の二次精錬炉
においては、このような溶鋼の高純度化の処理を行うに
当たり、処理時間が延長して溶鋼温度の低下が問題とな
ることがある。この温度低下を補償するために、前工程
の転炉での出鋼温度を上昇させると、転炉炉体耐火物の
損耗が激しくなり、転炉炉体耐火物の原単位上昇という
弊害をもたらす。
【0003】そのため、従来から真空精錬炉において溶
鋼を加熱する手段が数多く提案されている。例えば、特
開平5−287359号公報には、RH真空脱ガス装置
の真空槽内に設けた上吹きランスから、予めAl又はA
l含有還元剤が添加された、真空槽内の溶鋼浴面に向け
て、酸素若しくは酸化性ガスを吹き付け、添加したAl
を酸素若しくは酸化性ガスで燃焼させて溶鋼を加熱・昇
温する方法が開示されている。
【0004】又、特開平9−53109号公報には、A
lを含む溶鋼に、酸化性ガスと共にCaOを主体とする
フラックスを吹き付け又は吹き込んで、生成するAl2
3をCaOに吸着させて無害化する方法が開示されて
いる。
【0005】更に、特開平7−76716号公報には、
RH真空脱ガス装置の真空槽内溶鋼の上方位置から、酸
素あるいは酸素含有ガスと共に炭素含有粉体を溶鋼浴面
に吹き付け、浴面直上で前記炭素含有粉体を燃焼させ、
この燃焼熱により溶鋼を加熱・昇温する方法が開示され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術には以下の問題点がある。即ち、特開平5−28
7359号公報及び特開平9−53109号公報に開示
された方法では、予め溶鋼中に添加したAlを酸素若し
くは酸化性ガスで燃焼させるので、これら酸化性ガスを
溶鋼に吹き付けた際に、溶鋼中のAlのみならず、溶鋼
中のMnや溶鋼自体をも酸化し、生成したMnO及びF
eO等の低級酸化物は溶鋼中で還元しきれずに取鍋内の
スラグに移行し、これら低級酸化物は精錬工程の後工程
である鋳造工程において溶鋼中のAlと反応して溶鋼中
にAl23 を生成させ、溶鋼の清浄性を劣化させる。
【0007】又、特開平7−76716号公報に開示さ
れた方法では、炭素含有粉体を吹き付けるために、溶鋼
の炭素濃度が増加する虞があり、極低炭素鋼のような炭
素濃度が低く抑えられた鋼種には適用することができな
い。
【0008】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、真空精錬炉で処理中の溶鋼を
酸素でAlを燃焼させて加熱・昇温する方法において、
溶鋼の清浄性を損なうことなく加熱することが可能であ
り、且つ、極低炭素鋼のような炭素濃度が低く抑えられ
たアルミキルド鋼にも適用することが可能な溶鋼の加熱
方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明による真空精
錬炉における溶鋼の加熱方法は、真空精錬炉にて精錬さ
れている溶鋼に、酸素又は酸素含有ガスと共に金属Al
を吹き付け又は吹き込むことを特徴とするものである。
【0010】第2の発明による真空精錬炉における溶鋼
の加熱方法は、真空精錬炉にて精錬されている溶鋼に、
酸素又は酸素含有ガスと共に金属Alを含有するフラッ
クスを吹き付け又は吹き込むことを特徴とするものであ
る。
【0011】第3の発明による真空精錬炉における溶鋼
の加熱方法は、第2の発明において、Alを含有するフ
ラックスがCaOを含有していることを特徴とするもの
である。
【0012】第4の発明による真空精錬炉における溶鋼
の加熱方法は、第1の発明乃至第3の発明の何れかにお
いて、金属Al又は金属Alを含有するフラックスの吹
き付け又は吹き込みの際に、CaOを含有するフラック
スを同時に溶鋼へ添加することを特徴とするものであ
る。
【0013】第5の発明による真空精錬炉における溶鋼
の加熱方法は、第3の発明又は第4の発明において、金
属Alの添加量に対してCaOの添加量を質量比で0.
9〜5.0の範囲とすることを特徴とするものである。
【0014】本発明では、酸素又は酸素含有ガスと共に
金属Al又は金属Alを含有するフラックスを同時に溶
鋼に吹き付け又は吹き込む。溶鋼は、酸素又は酸素含有
ガス中の酸素とAlとの酸化反応熱により加熱される。
その際、酸素が当たる溶鋼浴面は、同時に吹き付け又は
吹き込まれた金属Alにより、常にAl濃度が高く保た
れるため、仮に溶鋼等が酸化されて低級酸化物が生成し
ても、Alによって即時に還元されるため、取鍋内のス
ラグが低級酸化物により汚染されることはない。その結
果、鋳造工程等の真空精錬の後工程において、スラグに
よる溶鋼の再酸化を低位に保つことが可能となり、溶鋼
清浄性の劣化を防止することができる。
【0015】金属Alを含有するフラックスを添加した
場合、換言すれば金属Alと同時にフラックスを添加し
た場合には、酸化性ガスとの反応や低級酸化物の還元に
より生成したAl23 が同時に添加したフラックスに
吸着されるので、生成するAl23 による清浄性の劣
化も防止される。
【0016】特に、Alを含有するフラックスがCaO
を含有する場合、及び、CaOを含有するフラックス
を、金属Al又は金属Alを含有するフラックスと同時
に添加した場合には、生成したAl23 はCaOと反
応して低融点のCaO−Al23 化合物となり、Al2
3 系介在物の無害化が促進され、溶鋼の清浄性が向
上する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づき説明
する。図1は、真空精錬炉として本発明で用いたRH真
空脱ガス装置の縦断面概略図である。
【0018】図1に示すように、RH真空脱ガス装置1
は、上部槽6及び下部槽7からなる真空槽5と、下部槽
7の下部に設けた上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9と
で、その基部が構成されており、上部槽6には、真空槽
5内に合金やフラックス等の原料を供給するための原料
投入口11、及び排気装置(図示せず)と接続し、真空
槽5内を排気する際のガス排出流路となるダクト12が
設けられ、又、上昇側浸漬管8にはAr吹き込み管10
が設けられている。Ar吹き込み管10からは環流用A
rが上昇側浸漬管8内に吹き込まれる構造となってい
る。
【0019】上部槽6には上下動可能な水冷型の上吹き
ランス13が上部槽6の天蓋を貫通して設置されてい
る。又、取鍋2と真空槽5の側壁との間隙を昇降して溶
鋼3に浸漬し、その先端14aが上昇側浸漬管8の直下
に位置することができるようになっているインジェクシ
ョンランス14が設置されている。更に、下部槽7に
は、下部槽7内の溶鋼3の湯面下を貫通する羽口15が
設置されている。
【0020】上吹きランス13からは、酸素又は酸素含
有ガスと共に金属Al又は金属Alを含有するフラック
スが真空槽5内の溶鋼湯面に吹き付けられ、又、インジ
ェクションランス14、及び羽口15からは、酸素又は
酸素含有ガスと共に金属Al又は金属Alを含有するフ
ラックスが真空槽5内を通る溶鋼3中に吹き込まれる構
造となっている。上吹きランス13、インジェクション
ランス14、及び羽口15からは、酸素又は酸素含有ガ
スを単独で吹き込むことも、更に、不活性ガスを搬送ガ
スとして用いれば、金属Al又は金属Alを含有するフ
ラックス、更にはCaOを含有するフラックスを単独で
添加することも可能である。
【0021】尚、図1のRH真空脱ガス装置1では、酸
素又は酸素含有ガスと共に金属Al又は金属Alを含有
するフラックスの吹き込みを可能とする設備として、上
吹きランス13、インジェクションランス14、及び羽
口15の3種の設備が設置されているが、本発明を実施
するために、これらの全てを備える必要はなく、この内
の1種以上の設備を有していれば、本発明を実施するこ
とができる。
【0022】このような構成のRH真空脱ガス装置1に
おける本発明の適用方法を以下に説明する。先ず、転炉
や電気炉等で精錬して溶鋼3を得て、取鍋2に出鋼し、
溶鋼3を収納する取鍋2を真空槽5の直下に搬送する。
取鍋2内には転炉や電気炉での精錬で発生したスラグ4
が一部混入し、溶鋼3の湯面を覆っている。尚、スラグ
4による溶鋼3の酸化を防止して、より清浄性の優れた
鋼を製造するために、出鋼後、取鍋2内のスラグ4中に
金属Al、Al灰等の脱酸剤又はCaO系のフラックス
を添加し、スラグ4中のFeO、MnO等の低級酸化物
を予め還元しておくことが好ましい。
【0023】次いで、昇降装置(図示せず)にて取鍋2
を上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋
2内の溶鋼3に浸漬させる。そして、Ar吹き込み管1
0から上昇側浸漬管8内にArを吹き込むと共に、真空
槽5内を排気装置にて排気して真空槽5内を減圧する。
真空槽5内が減圧されると、取鍋2内の溶鋼3は、Ar
吹き込み管10から吹き込まれるArと共に上昇側浸漬
管8を上昇して真空槽5内に流入し、その後、下降側浸
漬管9を介して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成し
てRH真空脱ガス精錬が施される。
【0024】処理する溶鋼3の用途に基づき、脱水素、
脱炭等のRH真空脱ガス精錬を施した後、溶鋼3が未脱
酸状態であれば、溶鋼3を脱酸するために必要な量の金
属Alを原料投入口11から溶鋼3に添加して溶鋼3を
脱酸した後、溶鋼3の加熱が必要である場合には、本発
明による溶鋼加熱を以下に記載するように実施する。
【0025】上吹きランス13、インジェクション1
4、及び羽口15の1種以上から、溶鋼3の温度上昇に
必要な量の酸素又は酸素含有ガスと、金属Al又は金属
Alを含有するフラックスとを、同時に溶鋼3に吹き付
け又は吹き込む。その際、吹き込む酸素の溶鋼3への歩
留まりは、RH真空脱ガス装置1の形状、設備の寸法の
他、その時の精錬条件によっても変化するため、種々の
条件で予め測定しておく必要がある。又、金属Al又は
金属Alを含有するフラックスの添加量は、添加するA
l純分が温度上昇に必要な量の酸素とAl23 を生成
する量論比に従うようにすれば良い。但し、上吹きラン
ス13を介して添加する場合には、金属Alが排気用の
ダクト12に排ガスと共に吸引される可能性があるた
め、溶鋼3への添加歩留まりを予め測定しておく必要が
ある。加熱時間は、真空槽5及び取鍋2からの放熱を少
なくするために、数分間程度の短時間で行うことが望ま
しい。
【0026】金属Alを含有するフラックス、即ち、金
属Alと共に添加するフラックスとしては、CaO系、
SiO2 系、CaO−SiO2 系、MgO−SiO2
等を使用することができるが、前述したように、生成す
るAl23 と低融点化合物を形成するCaO系フラッ
クスを使用することが好ましい。
【0027】又、生成するAl23 を低融点化させる
ために、金属Al又は金属Alを含有するフラックスの
添加と同時に、CaOを含有するフラックスを溶鋼3に
添加しても良い。CaOを含有するフラックスは、原料
投入口11や、金属Al又は金属Alを含有するフラッ
クスを添加していない、上吹きランス13、インジェク
ション14、又は羽口15から添加することができる。
ここで、CaOを含有するフラックスとは、主成分がC
aOであるフラックスであり、従って、その含有量は問
わない。
【0028】更に、低融点化合物を容易に生成させるた
めに、金属Alの添加量に対してCaOの添加量が質量
比で0.9〜5.0の範囲となるように、CaOの添加
量を調整することが好ましい。即ち、金属Alを含むフ
ラックスのみを添加する場合には、フラックス中の金属
Alに対するCaOの質量比を0.9から5.0に予め
調整しておけば良く、又、金属Al若しくは金属Alを
含有するフラックスと同時に、CaOを含有するフラッ
クスを添加する場合には、金属Alの添加量に対して、
添加するCaOの総量が0.9〜5.0の範囲となるよ
うに、CaOを含有するフラックスの添加量を調整すれ
ば良い。
【0029】加熱処理終了後、加熱処理時に発生したA
23 を浮上・除去させるために、溶鋼3を数分間程
度環流させることが好ましい。尚、C、Si、Mn、A
l等の成分を調整する必要がある場合には、この環流時
に同時に行えば良い。その後、真空槽5を大気圧に戻し
てRH真空脱ガス精錬を終了し、次工程の連続鋳造設備
や普通造塊設備等の鋳造設備に取鍋2を搬出して溶鋼3
を鋳造する。
【0030】このようにして溶鋼3を加熱することで、
酸素とAlとの反応が効率的に起こり、取鍋2内のスラ
グ4を低級酸化物で汚染することなく、目標温度まで溶
鋼3を加熱することが可能となる。
【0031】尚、上記説明では真空精錬炉としてRH真
空脱ガス装置1を用いた場合について説明したが、本発
明はRH真空脱ガス装置1に限るものではなく、DH真
空脱ガス装置やVAD装置等の真空精錬炉に適用するこ
とができる。
【0032】
【実施例】[実施例1]図1に示すRH真空脱ガス装置
を用い、上吹きランスから酸素と共に金属Alを吹き付
けた実施例1を以下に説明する。対象とした溶鋼は、高
炉から出銑された溶銑を転炉精錬して取鍋に出鋼したも
ので、溶鋼の炭素濃度は0.04質量%、転炉からの出
鋼量は250トンであり、未脱酸の状態でRH真空脱ガ
ス装置に搬送した。
【0033】取鍋内スラグの組成はCaO−SiO2
Al23 −MgO系であり、出鋼後、CaOを主成分
とするスラグ改質剤を取鍋内に添加して、スラグのT.
FeとMnOの合計濃度を4質量%以下に調整した。
尚、T.Feとはスラグ中の全ての鉄酸化物(FeOや
Fe23 )の鉄分の合計値である。
【0034】環流用Ar流量を3000Nl/min、
真空槽内の圧力を66.7〜266.6Pa(0.5〜
2torr)まで減圧して所定時間真空脱炭精錬を行っ
た後、溶鋼中の溶解酸素濃度を酸素プローブにて測定
し、溶解酸素濃度に基づいて算出した所定量の金属Al
を原料投入口から添加して溶鋼を脱酸した。
【0035】金属Alの添加直後から、溶鋼を環流させ
つつ、上吹きランスから50000Nl/minの酸素
と、80kg/minの金属Alとを溶鋼に吹き付け、
溶鋼を加熱した。酸素の吹き付け量及び金属Alの投入
量は予め求めた歩留まりに基づき決定した。具体的に
は、酸素の歩留まりを60%、金属Alの歩留まりを1
00%とした。そして、酸素と金属Alとを3分間吹き
付けて加熱処理を終了し、その後、溶鋼の成分調整を行
い、RH真空脱ガス精錬を終了した。その際、加熱処理
の前後に取鍋内のスラグを採取して低級酸化物の濃度変
化を調査した。
【0036】又、比較のために、金属Alによる溶鋼の
脱酸までは上記と同一の方法で処理し、加熱に必要な金
属Alも金属Alによる脱酸時に添加して、その後上吹
きランスから酸素のみを吹き付けた場合(比較例1)
と、上吹きランスから酸素を吹き付けると共に原料投入
口から加熱に必要な金属Alを添加した場合(比較例
2)も実施した。この場合、酸素吹き付け量は実施例1
と同一である。比較例1、2においても加熱処理の前後
に取鍋内のスラグを採取して低級酸化物の濃度変化を調
査した。
【0037】図2は、このようにして調査した実施例1
及び比較例1、2における取鍋内スラグの低級酸化物の
濃度変化を示す図である。図2に示すように、スラグの
T.FeとMnOの合計濃度の加熱処理前後における増
加量は、本発明による実施例1では0.5質量%以下で
あり低く抑えられているが、比較例1では2.5〜3.
5質量%、比較例2では1.5〜2.0質量%であり、
比較例では何れも大幅に増加した。又、図には示さない
が実施例1、比較例1、及び比較例2のどれにおいて
も、溶鋼の温度上昇は同等であった。
【0038】以上説明したように、本発明による溶鋼の
加熱方法を用いることで、Alを予め溶鋼に添加した
り、又は、酸素の当たらない位置にAlを添加した場合
に比べ、吹き付けられる酸素の当たる位置の溶鋼中Al
濃度が高く保持され、取鍋内スラグ中の低級酸化物の濃
度上昇を抑えることが可能であることが分かった。
【0039】[実施例2]図1に示すRH真空脱ガス装
置を用い、上吹きランスから酸素と共に、金属Alを4
0質量%含有し、CaOを60質量%含有するフラック
スを吹き付けた実施例2を以下に説明する。対象とした
溶鋼は、高炉から出銑された溶銑を転炉精錬して取鍋に
出鋼したもので、溶鋼の炭素濃度は0.04質量%、転
炉からの出鋼量は250トンであり、未脱酸の状態でR
H真空脱ガス装置に搬送した。
【0040】取鍋内スラグの組成はCaO−SiO2
Al23 −MgO系であり、出鋼後、CaOを主成分
とするスラグ改質剤を取鍋内に添加して、スラグのT.
FeとMnOの合計濃度を4質量%以下に調整した。
【0041】環流用Ar流量を3000Nl/min、
真空槽内の圧力を66.7〜266.6Pa(0.5〜
2torr)まで減圧して所定時間真空脱炭精錬を行っ
た後、溶鋼中の溶解酸素濃度を酸素プローブにて測定
し、溶解酸素濃度に基づいて算出した所定量の金属Al
を原料投入口から添加して溶鋼を脱酸した。
【0042】金属Alの添加直後から、溶鋼を環流させ
つつ、上吹きランスから酸素を50000Nl/min
で溶鋼に吹き付けながら、この酸素と共に、40質量%
の金属Alと60質量%のCaOを含有するフラックス
を200kg/minで溶鋼に吹き付け、溶鋼を加熱し
た。酸素の吹き付け量及び金属Alの投入量は予め求め
た歩留まりに基づき決定した。具体的には、酸素の歩留
まりを60%、金属Alの歩留まりを100%とした。
そして、3分間吹き付けて加熱処理を終了し、その後、
溶鋼の成分調整を行い、RH真空脱ガス精錬を終了し
た。その際、加熱処理の前後に取鍋内のスラグを採取し
て低級酸化物の濃度変化を調査した。
【0043】又、比較のために、金属Alによる溶鋼の
脱酸までは上記と同一の方法で処理し、加熱に必要な金
属Alも金属Alによる脱酸時に添加して、その後上吹
きランスから酸素のみを吹き付けた場合(比較例3)
と、加熱に必要な金属Alも金属Alによる脱酸時に添
加して、その後上吹きランスから酸素と共にCaOを1
20kg/minで吹き付けた場合(比較例4)も実施
した。この場合、酸素吹き付け量は実施例2と同一であ
る。比較例3、4においても加熱処理の前後に取鍋内の
スラグを採取して低級酸化物の濃度変化を調査した。
【0044】図3は、このようにして調査した実施例2
及び比較例3、4における取鍋内スラグの低級酸化物の
濃度変化を示す図である。図3において、符号●は実施
例2、符号○は比較例3、符号◇は比較例4を表してい
る。図3に示すように、スラグのT.FeとMnOの合
計濃度の加熱処理前後における増加量は、本発明による
実施例2では低く抑えられているが、比較例3及び比較
例4では大幅に増加した。又、図には示さないが実施例
2、比較例3、及び比較例4のどれにおいても、溶鋼の
温度上昇は同等であった。
【0045】以上から、本発明による溶鋼の加熱方法を
用いることで、取鍋内スラグ中の低級酸化物の濃度上昇
を抑えることが可能であることが分かった。
【0046】[実施例3]図1に示すRH真空脱ガス装
置を用い、上吹きランスから酸素と共に金属Alを吹き
付け、同時に、原料投入口からCaOを90質量%含有
するフラックスを添加した実施例3を以下に説明する。
対象とした溶鋼は、高炉から出銑された溶銑を転炉精錬
して取鍋に出鋼したもので、溶鋼の炭素濃度は0.04
質量%、転炉からの出鋼量は250トンであり、未脱酸
の状態でRH真空脱ガス装置に搬送した。
【0047】取鍋内スラグの組成はCaO−SiO2
Al23 −MgO系であり、出鋼後、CaOを主成分
とするスラグ改質剤を取鍋内に添加して、スラグのT.
FeとMnOの合計濃度を4質量%以下に調整した。
【0048】環流用Ar流量を3000Nl/min、
真空槽内の圧力を67〜267Pa(0.5〜2tor
r)まで減圧して所定時間真空脱炭精錬を行った後、溶
鋼中の溶解酸素濃度を酸素プローブにて測定し、溶解酸
素濃度に基づいて算出した所定量の金属Alを原料投入
口から添加して溶鋼を脱酸した。
【0049】金属Alの添加直後から、溶鋼を環流させ
つつ、上吹きランスから酸素を50000Nl/min
で溶鋼に吹き付けながら、この酸素と共に金属Alを8
0kg/minで溶鋼に吹き付け、溶鋼を加熱した。
又、酸素の吹き付け開始とほぼ同時期から、原料投入口
からCaOを90質量%含有するフラックスを120k
g/minで溶鋼に添加した。酸素の吹き付け量、金属
Alの投入量、及びCaO含有フラックスの添加量は、
予め求めた歩留まりに基づき決定した。具体的には、酸
素の歩留まりを60%、金属Alの歩留まりを100%
とし、又、CaO含有フラックスの歩留まりは、スラグ
の量及び組成に基づくマスバランスから100%とし
た。因みに、この場合の金属Alの添加量に対するCa
Oの添加量の質量比は1.35(=120×0.9/8
0)である。
【0050】そして、3分間で加熱処理を終了し、その
後、溶鋼の成分調整を行い、RH真空脱ガス精錬を終了
した。その際、加熱処理の前後に取鍋内のスラグを採取
して低級酸化物の濃度変化を調査した。
【0051】又、比較のために、金属Alによる溶鋼の
脱酸までは上記と同一の方法で処理し、加熱に必要な金
属Alも金属Alによる脱酸時に添加して、その後上吹
きランスから酸素のみを吹き付けた場合(比較例5)
と、加熱に必要な金属Alも金属Alによる脱酸時に添
加して、その後上吹きランスから酸素と共にCaOを1
50kg/minで吹き付けた場合(比較例6)も実施
した。この場合、酸素吹き付け量は実施例3と同一であ
る。比較例5、6においても加熱処理の前後に取鍋内の
スラグを採取して低級酸化物の濃度変化を調査した。
【0052】図4は、このようにして調査した実施例3
及び比較例5、6における取鍋内スラグの低級酸化物の
濃度変化を示す図である。図4において、符号●は実施
例3、符号○は比較例5、符号◇は比較例6を表してい
る。図4に示すように、スラグのT.FeとMnOの合
計濃度の加熱処理前後における増加量は、本発明による
実施例3では低く抑えられているが、比較例5及び比較
例6では大幅に増加した。又、図には示さないが実施例
3、比較例5、及び比較例6のどれにおいても、溶鋼の
温度上昇は同等であった。
【0053】以上から、本発明による溶鋼の加熱方法を
用いることで、取鍋内スラグ中の低級酸化物の濃度上昇
を抑えることが可能であることが分かった。
【0054】[実施例4]図1に示すRH真空脱ガス装
置を用い、Al添加量に対するCaO添加量の質量比を
変更し、溶鋼の清浄性に及ぼすCaO添加量の影響を調
査した。試験は、次の2通りの方法で実施した。1つの
方法は、フラックス中のCaOの配合量を変えて、フラ
ックス中の金属AlとCaOとの比率を変化させた以外
は実施例2と同一方法で行ない、他の方法は、CaOを
90質量%含有するフラックスの添加速度を変化させた
以外は実施例3と同一方法で行った。
【0055】溶鋼の清浄性は、RH真空脱ガス装置で精
錬した溶鋼を連続鋳造機にてスラブ鋳片に鋳造し、熱間
圧延及び冷間圧延を経て、薄鋼板製品とし、薄鋼板製品
における介在物性表面欠陥の発生率を指数化した製品欠
陥指数で評価した。製品欠陥指数が低いほど、清浄性が
高いことを表している。尚、この実施例において、RH
真空脱ガス精錬終了時の取鍋内スラグのT.FeとMn
Oの合計濃度は2.0〜3.8質量%であった。
【0056】図5は、このようにして調査したAl添加
量に対するCaO添加量の質量比(CaO添加量/Al
添加量)と薄鋼板での製品欠陥指数との関係を示す図で
ある。図5から明らかなように、Al添加量に対するC
aO添加量の質量比(CaO添加量/Al添加量)が
0.9〜5.0の範囲では欠陥発生率が低位に抑えられ
ており、CaOを添加することによりAl23 系介在
物の無害化も可能であることが分かった。
【0057】
【発明の効果】本発明では、真空精錬炉にて精錬されて
いる溶鋼に酸素又は酸素含有ガスと共に金属Al又は金
属Alを含有するフラックスを吹き付け又は吹き込むの
で、酸素とAlとの反応が効率的に起こり、取鍋内のス
ラグを低級酸化物で汚染することなく溶鋼を加熱するこ
とができる。又、発熱源がAlであるので、極低炭素鋼
のような炭素濃度が低く抑えられたアルミキルド鋼にも
適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いたRH真空脱ガス装置の縦断面概
略図である。
【図2】実施例1における加熱処理前後のスラグ中低級
酸化物の濃度変化を示す図である。
【図3】実施例2における加熱処理前後のスラグ中低級
酸化物の濃度変化を示す図である。
【図4】実施例3における加熱処理前後のスラグ中低級
酸化物の濃度変化を示す図である。
【図5】実施例4においてAl添加量に対するCaO添
加量の質量比と製品欠陥指数との関係を調査した結果を
示す図である。
【符号の説明】
1 RH真空脱ガス装置 2 取鍋 3 溶鋼 4 スラグ 5 真空槽 6 上部槽 7 下部槽 8 上昇側浸漬管 9 下降側浸漬管 10 Ar吹き込み管 13 上吹きランス 14 インジェクションランス 15 羽口
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C21C 7/04 C21C 7/04 B 7/072 7/072 S (72)発明者 渡辺 敦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 櫻井 栄司 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K013 AA07 AA09 BA14 CA04 CB03 CD07 CE01 CE02 CE04 CE07 DA10 DA12 DA14 EA03 EA19

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空精錬炉にて精錬されている溶鋼に、
    酸素又は酸素含有ガスと共に金属Alを吹き付け又は吹
    き込むことを特徴とする真空精錬炉における溶鋼の加熱
    方法。
  2. 【請求項2】 真空精錬炉にて精錬されている溶鋼に、
    酸素又は酸素含有ガスと共に金属Alを含有するフラッ
    クスを吹き付け又は吹き込むことを特徴とする真空精錬
    炉における溶鋼の加熱方法。
  3. 【請求項3】 金属Alを含有するフラックスがCaO
    を含有していることを特徴とする請求項2に記載の真空
    精錬炉における溶鋼の加熱方法。
  4. 【請求項4】 金属Al又は金属Alを含有するフラッ
    クスの吹き付け又は吹き込みの際に、CaOを含有する
    フラックスを同時に溶鋼へ添加することを特徴とする請
    求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の真空精錬炉に
    おける溶鋼の加熱方法。
  5. 【請求項5】 金属Alの添加量に対してCaOの添加
    量を質量比で0.9〜5.0の範囲とすることを特徴と
    する請求項3又は請求項4に記載の真空精錬炉における
    溶鋼の加熱方法。
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