JP5621618B2 - マンガン含有低炭素鋼の溶製方法 - Google Patents

マンガン含有低炭素鋼の溶製方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶鋼に真空脱ガス設備における減圧下での脱炭精錬を施してマンガンを含有する低炭素鋼(以下、「マンガン含有低炭素鋼」と記す)を溶製する方法に関し、詳しくは、前記脱炭精錬時に溶鋼成分調整用のマンガン源及び脱炭用の酸素源としてマンガン鉱石を添加してマンガン含有低炭素鋼を溶製する方法に関する。
マンガン(Mn)は、鋼中に添加することにより、鋼材料の強度が向上する、或いは、不可避的不純物として鋼中に残留する硫黄と反応してMnSを形成し、有害なFeSの生成を防止して鋼材料における硫黄の影響を抑制するなどの利点があることから、鋼材料の大半はマンガンを含有している。近年では、構造物の軽量化を目的として、高い引張強さと高い加工性とを両立させた低炭素・高マンガン鋼が開発され、ラインパイプ用鋼板や自動車用鋼板などとして広く使用されている。ここで、低炭素・高マンガン鋼とは、炭素濃度が0.05質量%以下で、マンガン濃度が0.5質量%以上の鋼のことである。
製鋼精錬工程において、溶鋼中のマンガン濃度を調整するために用いるマンガン源としては、マンガン鉱石、フェロマンガン(炭素含有量に応じて高炭素フェロマンガン、中炭素フェロマンガン、低炭素フェロマンガンの3種類がある)、シリコマンガン、金属マンガンなどが一般的である。これらのなかで、マンガン鉱石が最も安価であるが、マンガン鉱石以外のなかでは、炭素含有量が低くなるほど高価となる。従って、マンガンを含有する鋼を溶製する場合に、マンガン鉱石や高炭素フェロマンガンなどの安価なマンガン源の使用量が増加するほど、製造コストは低下する。但し、安価マンガン源の使用量の増加に比例して溶鋼中の炭素濃度が高くなる。マンガン鉱石は炭素を含有しないが、溶鋼中の炭素によって還元されてマンガン鉱石中のマンガンが溶鋼中に移行することから、溶鋼中の炭素濃度が高いほど還元される。
炭素含有量が0.003質量%以下であるマンガン含有極低炭素鋼は、本来、炭素含有量が少ない。また、低炭素・高マンガン鋼は、マンガン含有量が多いにも拘わらず炭素含有量が少ない。従って、これらの鋼種では、炭素濃度の成分上の規定から安価マンガン源を多量に使用することはできず、その使用量は限られた範囲となる。
ところで、マンガン含有極低炭素鋼や低炭素・高マンガン鋼などのマンガン含有低炭素鋼は、転炉における大気圧下での脱炭精錬のみで溶製されることはなく、炭素濃度の成分上の規格や安価マンガン源の使用量拡大のために、転炉精錬後の溶鋼に更に真空脱ガス設備における減圧下での脱炭精錬(「真空脱炭精錬」ともいう)が施されて溶製されている。この減圧下での脱炭精錬では、溶鋼中の溶存酸素が脱炭用の主たる酸素源として使用されるが、その量は限られることから、マンガン鉱石を酸素源として減圧下の溶鋼に添加する技術が提案されている。添加したマンガン鉱石は溶鋼中の炭素によって還元され、還元により生成するマンガンは溶鋼中に移行することから、酸素源として添加したマンガン鉱石は、溶鋼成分調整用のマンガン源としても機能し、マンガン鉱石の添加量が多くなれば安価マンガン源の使用量が増大する。
例えば、特許文献1には、予備脱珪・脱燐した溶銑を転炉にて[C]量:0.15〜0.5質量%の範囲内の溶鋼まで脱炭吹錬するとともに、続いて真空脱ガス設備中に装入した前記溶鋼にマンガン鉱石を添加して[C]量:0.1質量%以下にまで脱炭して低炭素・高マンガン鋼を溶製する方法が提案されている。
特許文献2には、RH真空脱ガス装置の真空槽内の溶鋼に、該真空槽の側壁に設けたノズルを通じ、不活性ガスを搬送用ガスとしてマンガン鉱石粉体を真空槽内の溶鋼中に吹込み、マンガン鉱石中の酸素により溶鋼の脱炭を行うとともに溶鋼中のマンガン濃度を高めることを特徴とする高マンガン鋼の溶製方法が提案されている。
また、特許文献3には、転炉及びRH真空槽を用いてC含有量≦30ppm、S含有量≦20ppmの無方向性電磁鋼板材を溶製するにあたり、転炉出鋼後の溶鋼をRH真空槽内でマンガン酸化物粉を搬送用ガスとともに溶鋼表面に向けて上吹きすることにより脱炭処理を行い、次いで、脱酸剤を添加し溶鋼を脱酸するとともに所定のAl含有量に調整した後、更にRH真空槽にて脱硫剤を上吹きすることにより脱硫処理を行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板材の溶製方法が提案されている。
特許文献1〜3によれば、脱炭用の酸素源として添加したマンガン鉱石は還元されてマンガン鉱石中のマンガンが溶鋼中に移行することから、安価マンガン源であるマンガン鉱石の使用量を増大することができ、マンガン含有低炭素鋼の製造コストが低減されるとしている。尚、特許文献3の比較例には、安価マンガン源によって溶鋼中に持ち込まれた炭素を、真空槽内の溶鋼に酸素ガスを供給しながら真空脱炭精錬することによって除去する方法も記載されているが、この真空脱炭精錬方法では、溶鋼中のマンガンの酸化ロスが大きく、安価マンガン源の使用量は増加しないどころか逆に低下する。
特開昭63−293109号公報 特開平1−92312号公報 特開平5−239534号公報
しかしながら、上記の特許文献1〜3には、以下の問題点がある。
即ち、マンガン鉱石を真空脱ガス設備での脱炭処理中に添加した場合には、マンガン鉱石の顕熱のみならず、マンガン鉱石の分解に伴う分解熱によって、溶鋼温度の低下が生じる。溶鋼温度を補償するためには、真空脱ガス設備での処理前に溶鋼温度を上昇させておく、或いは、真空脱ガス設備において溶鋼中に金属Alを添加し、添加した金属Alを酸素ガスで燃焼させ、この燃焼熱で溶鋼を昇温するなどの対策を採る必要があるが、脱ガス精錬処理前の溶鋼温度の上昇は、前工程での製造コストの上昇や耐火物への影響が大きく、また、金属Alの燃焼による昇熱は、金属Alが高価であること及び昇熱によって溶鋼中に生じるAl23による溶鋼の清浄性悪化などの弊害が大きい。つまり、従来、真空脱ガス設備における脱炭処理中でのマンガン鉱石の添加は、製造コストの上昇や鋼品質への悪影響などの影響が避けられない。
上記特許文献1〜3は、このマンガン鉱石の添加による溶鋼温度への影響やその対応策について、何ら記載していない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、RH真空脱ガス装置などの真空脱ガス設備における減圧下での脱炭精錬時に、マンガン鉱石を添加してマンガン含有低炭素鋼を溶製するにあたり、マンガン鉱石に含有される酸素によって脱炭反応を促進させるのみならず、マンガン鉱石の添加による溶鋼温度の低下を抑えることができると同時に、マンガン鉱石中のマンガンを高い歩留りで溶鋼中に回収することのできる、マンガン含有低炭素鋼の溶製方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、RH真空脱ガス装置でマンガン含有低炭素鋼を減圧下で脱炭精錬する際に、真空槽内への酸素ガス供給の有無、この酸素ガスによる真空槽内での二次燃焼率、真空槽内へのマンガン鉱石供給の有無などの条件を種々変更し、そのときの溶鋼中の炭素及びマンガンの挙動、並びに、そのときの溶鋼温度の挙動を調査した。
その結果、真空槽内への酸素ガスの供給方法に応じて、溶鋼中のマンガンの挙動及び溶鋼温度の挙動が異なることを見出した。即ち、先ず第1に、マンガンの酸化ロスは、マンガン鉱石中のマンガンであれ、また溶鋼中のマンガンであれ、真空槽内の溶鋼に酸素ガスを供給して行う脱炭精錬(「送酸脱炭精錬」と呼ぶ)においてのみ生じ、酸素ガスを供給しないで真空槽内の高真空雰囲気下での溶鋼中の溶存酸素と溶鋼中の炭素の反応による脱炭精錬(「環流脱炭精錬」という)では生じないことを確認した。但し、環流脱炭精錬のみでは、マンガン鉱石添加による溶鋼温度の低下は避けられず、また、脱炭反応速度も促進されない。また、第2に、脱炭精錬中に酸素ガスを供給する送酸脱炭精錬であっても、真空槽内の二次燃焼率が50〜90%の範囲となるように、供給する酸素ガスの供給パターンを最適化することにより、マンガンの酸化ロスが少なく、換言すれば、マンガンの歩留りが高く、溶鋼温度の低下も少ない条件で、マンガン鉱石添加による脱炭促進効果が得られることを確認した。尚、脱炭反応により生成するCOガスが、真空槽内に供給される酸素ガスによって更に燃焼してCO2ガスとなることを二次燃焼と定義し、二次燃焼率は、真空槽内の雰囲気のCOガス濃度(容積%)及びCO2ガス濃度(容積%)から、「(CO2ガス濃度(容積%))×100/(COガス濃度(容積%)+CO2ガス濃度(容積%))」の式によって求められる。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1) 真空脱ガス設備の真空槽に配置した酸素ガス供給ランスを介して真空槽内に酸素ガスを供給しながら前記真空槽内の溶鋼に減圧下での脱炭精錬を施してマンガン含有低炭素鋼を溶製するにあたり、前記真空槽内の溶鋼にマンガン鉱石を添加するともに、前記脱炭反応で生じるCOガスを、二次燃焼率が50〜90%の範囲内になるように前記酸素ガス供給ランスから供給する酸素ガスによって真空槽内で二次燃焼させることを特徴とする、マンガン含有低炭素鋼の溶製方法。
本発明によれば、真空脱ガス設備における減圧下での脱炭精錬時にマンガン鉱石を添加してマンガン含有低炭素鋼を溶製するにあたり、脱炭反応により生成するCOガスを真空槽内での二次燃焼率が50〜90%の範囲になるように二次燃焼させるので、マンガン鉱石に含有される酸素によって脱炭反応が促進されるのみならず、マンガン鉱石中のマンガンを高い歩留りで溶鋼中に回収することができるとともに、マンガン鉱石添加による溶鋼温度の低下を抑制することができ、マンガン含有低炭素鋼の溶製コストを従来に比較して大幅に低減することが実現される。
本発明を実施する際に用いるRH真空脱ガス装置の概略縦断面図である。 二次燃焼率と真空脱炭精錬中の溶鋼温度の変化量との関係を示す図である。 二次燃焼率とマンガン鉱石中のマンガンの溶鋼中への回収歩留りとの関係を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
高炉から出銑された溶銑を溶銑鍋やトピードカーなどの溶銑搬送用容器で受銑し、次工程の脱炭精錬を行う転炉に搬送する。通常、この搬送途中で、溶銑に対して脱硫処理や脱燐処理などの溶銑予備処理が施されており、本発明においては、マンガン含有低炭素鋼の成分規格上からは溶銑予備処理が必要でない場合でも、安価なマンガン源としてマンガン鉱石を転炉内に添加し、転炉脱炭精錬におけるマンガン鉱石の歩留りを上昇させるために、溶銑予備処理、特に脱燐処理を実施することが好ましい。
転炉精錬は、マンガン源としてマンガン鉱石を添加しつつ、必要に応じて少量の生石灰などを造滓剤として用い、酸素ガスを上吹きまたは底吹きして大気圧下で溶銑の脱炭精錬を行う。この場合に、脱炭精錬終了後、転炉から取鍋などの溶鋼搬送容器への出鋼時に高炭素フェロマンガンなどの安価なマンガン系合金鉄をマンガン源として溶鋼に添加しても構わない。尚、次工程は、真空脱ガス設備での真空脱炭精錬であるので、出鋼時、溶鋼にはAl及びSiを添加せず、つまり、Al及びSiによる脱酸を実施せずに溶鋼を未脱酸状態のまま真空脱ガス設備に搬送する。
マンガン鉱石や高炭素フェロマンガンなどの安価なマンガン源を使用することにより、出鋼後の溶鋼中の炭素濃度は必然的に高くなるが、それでも、出鋼時にマンガン系合金鉄を添加する場合も含め、出鋼後の溶鋼中の炭素濃度を0.2質量%以下に抑えることが好ましい。溶鋼の炭素濃度が0.2質量%を超えると、次工程の真空脱ガス設備における真空脱炭処理に長時間を費やし、真空脱ガス設備の生産性の低下のみならず、真空脱炭処理時間の延長による温度補償として出鋼時の溶鋼温度を高くする必要が生じ、これに起因する鉄歩留りの低下や耐火物損耗量の増大などによって製造コストが上昇するので好ましくない。
次いで、この溶鋼をRH真空脱ガス装置またはDH真空脱ガス装置、VOD炉などの真空脱ガス設備に搬送し、溶鋼に対して真空脱ガス精錬を実施する。この真空脱ガス設備の代表的な設備はRH真空脱ガス装置であり、以下、真空脱ガス設備としてRH真空脱ガス装置を用いた例で説明する。図1に、本発明を実施する際に用いるRH真空脱ガス装置の概略縦断面図を示す。
図1において、1はRH真空脱ガス装置、2は取鍋、3は溶鋼、4はスラグ、5は真空槽、6は上部槽、7は下部槽、8は上昇側浸漬管、9は下降側浸漬管、10は環流用ガス吹き込み管、11はダクト、12は原料投入口、13は酸素ガス供給ランス、14は、ガス成分分析計であり、真空槽5は上部槽6と下部槽7とから構成され、また、酸素ガス供給ランス13は真空槽5の内部を上下移動が可能となっており、この酸素ガス供給ランス13の先端(下端)から、酸素ガスが真空槽5の内部の溶鋼3の湯面に向けて吹き付けられるようになっている。酸素ガス供給ランス13の先端と真空槽5の内部の溶鋼湯面との距離(「ランス高さ」という)を大きくする、及び、酸素ガス供給ランス13から供給する酸素ガス流量を少なくすると、溶鋼湯面に到達する酸素ガス量が少なくなり、脱炭反応によって生成するCOガスと反応する比率が増加して真空槽内での二次燃焼率が高くなる。この二次燃焼率は、ガス成分分析計14による排ガス成分のCO2ガス及びCOガスの分析値から、「(CO2ガス濃度(容積%))×100/(COガス濃度(容積%)+CO2ガス濃度(容積%))」なる式から求めることができる。
RH真空脱ガス装置1では、取鍋2を昇降装置(図示せず)にて上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋内の溶鋼3に浸漬させる。そして、環流用ガス吹き込み管10から上昇側浸漬管8の内部に環流用Arガスを吹き込むとともに、真空槽5の内部をダクト11に連結される排気装置(図示せず)にて排気して真空槽5の内部を減圧する。真空槽5の内部が減圧されると、取鍋内の溶鋼3は、環流用ガス吹き込み管10から吹き込まれるArガスによるガスリフト効果によって、Arガスとともに上昇側浸漬管8を上昇して真空槽5の内部に流入し、その後、下降側浸漬管9を経由して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。
溶鋼3の環流が形成されて溶鋼3が真空槽5の内部に流れ込むと、真空槽5の内部は減圧された状態であり、且つ、溶鋼3は未脱酸状態で溶存酸素を含有するので、溶鋼中の溶存酸素と溶鋼中の炭素との反応(C+O→CO)、つまり脱炭反応が起こり、溶鋼3に含まれる炭素はCOガスとなって排ガスとともに真空槽5からダクト11を介して排出され、溶鋼3に真空脱炭精錬が施される。
この真空脱炭精錬の開始に前後して、酸素ガス供給ランス13から酸素ガス(工業用純酸素)の供給を開始する。酸素ガス供給ランス13からの酸素ガス供給の開始以降、真空槽内の二次燃焼率が50〜90%の範囲内の任意の値となるように、ガス成分分析計14による排ガス成分のCO2ガス及びCOガスの分析値を確認しながら、酸素ガス供給ランス13のランス高さ及び酸素ガス供給ランス13からの酸素ガス供給流量を調整する。
過去の実績に基づき、真空槽内の二次燃焼率が50〜90%の範囲内の任意の値となるように、溶製対象の鋼種毎に、酸素ガス供給ランス13のランス高さ及び酸素ガス供給ランス13からの酸素ガス供給流量を自動的に制御するようにしても構わない。この場合も、ガス成分分析計14による排ガス成分のCO2ガス及びCOガスの分析値から二次燃焼率を確認し、排ガス分析値から求められる二次燃焼率が50〜90%の範囲を外れる場合には、手動介入して所定の値になるように修正すればよい。当然ではあるが、酸素ガス供給ランス13から供給される酸素ガスの一部は溶鋼3に溶解して溶存酸素を上昇させ、溶鋼3の脱炭反応を促進させる。
また、真空脱炭精錬が開始されたなら、真空槽内の溶鋼3にマンガン鉱石を添加する。このマンガン鉱石の添加開始時期は、真空槽内の二次燃焼率が50〜90%の範囲内の任意の値となった以降であることが好ましいが、マンガン鉱石は溶鋼中の炭素と反応するものであることから、溶鋼中の炭素濃度が高い時期ほど望ましく、つまり真空脱炭精錬のなるべく早い時期が望ましく、従って、マンガン鉱石の添加開始直後は二次燃焼率が50〜90%の範囲内でなくとも構わない。但し、本願発明の効果を享受するためには、マンガン鉱石の添加から真空脱炭精錬の終了までの期間の70%以上の期間で真空槽内の二次燃焼率を50〜90%の範囲内に制御することが必要である。真空槽内へのマンガン鉱石の添加は、原料投入口12から行うことができるが、酸素ガス供給ランス13を多重管構造とし、このような酸素ガス供給ランス13から搬送用ガスとともに粉体のマンガン鉱石を吹き付け添加することもできる。添加するマンガン鉱石のサイズは、添加方法に応じて設定すればよい。
添加されたマンガン鉱石中の酸素は溶鋼中の炭素を除去するための酸素として機能し、溶鋼3の脱炭反応が促進される。また、マンガン鉱石中のマンガンは、マンガン鉱石中の酸素が除去されることで金属マンガンとなり、溶鋼中に移行して溶鋼3のマンガン濃度が上昇する。また、真空槽内の二次燃焼率を50〜90%とするので、二次燃焼熱によって真空槽内の溶鋼3及び真空槽5が加熱され、マンガン鉱石添加による溶鋼温度の低下が抑制される。
このようにして真空脱炭精錬を所定時間継続し、溶鋼3の炭素濃度が成分規格値以下の所定の値以下となったなら、酸素ガス供給ランス13からの酸素ガスの供給を停止すると同時に、原料投入口12から溶鋼3にAlなどの強脱酸剤を添加して溶鋼3を脱酸処理する。Alなどの強脱酸剤の添加により溶鋼3の溶存酸素濃度は急激に低下して、真空脱炭精錬が終了する。
真空脱炭処理の終了後、要求される溶鋼温度に対して、溶鋼温度が低い場合には、原料投入口12から真空槽内の溶鋼3にAlを添加し、酸素ガス供給ランス13から溶鋼湯面に酸素ガスを吹き付けて溶鋼中のAlを燃焼させ、このAlの燃焼熱を利用して溶鋼温度を上昇させる。更にその後、数分間程度の環流を継続し、必要に応じて、Al、Si、Mn、Ni、Cr、Cu、Nb、Tiなどの成分調整剤を原料投入口12から溶鋼3に投入して溶鋼3の成分を調整する。その後、真空槽5の内部を大気圧に戻してRH真空脱ガス精錬を終了し、マンガン含有低炭素鋼を溶製する。
以上説明したように、本発明によれば、真空脱ガス設備における減圧下での脱炭精錬時にマンガン鉱石を添加してマンガン含有低炭素鋼を溶製するにあたり、脱炭反応により生成するCOガスを真空槽内での二次燃焼率が50〜90%の範囲になるように二次燃焼させるので、マンガン鉱石に含有される酸素によって脱炭反応が促進されるのみならず、マンガン鉱石中のマンガンを高い歩留りで溶鋼中に回収することが実現されるとともに、マンガン鉱石添加による溶鋼温度の低下を抑制することが実現される。
尚、上記説明では真空脱ガス設備としてRH真空脱ガス装置1を例として説明したが、上記に準じて実施することにより、DH真空脱ガス装置やVOD炉などの他の真空脱ガス設備にも本発明を適用することができる。また、溶鋼3の温度補償のために、酸素ガス供給ランス13にバーナー機能を持たせ、このバーナーでの燃焼を行いながら真空脱炭精錬を行うようにすることもできる。
高炉から出銑された溶銑に対して脱硫処理、脱燐処理の溶銑予備処理を施し、この溶銑を用いて転炉脱炭精錬して溶鋼を溶製し、次いで、得られた溶鋼をRH真空脱ガス装置で真空脱炭精錬してマンガン含有低炭素鋼を溶製する試験(試験番号1〜13)を実施した。全ての試験で、転炉にてマンガン源としてマンガン鉱石を添加して溶鋼中マンガン濃度を上昇させ、得られた350トンの溶鋼を未脱酸のまま取鍋に出鋼した。出鋼時の溶鋼成分は、炭素濃度が0.050〜0.090質量%、珪素濃度が0.05質量%以下、マンガン濃度が0.10〜0.85質量%、燐濃度が0.03質量%以下、硫黄濃度が0.003質量%以下であった。この溶鋼をRH真空脱ガス装置に搬送し、真空脱炭精錬の条件を種々変更してマンガン含有極低炭素鋼を溶製した。RH真空脱ガス装置への到着時の溶鋼中酸素濃度は、0.03〜0.07質量%であった。
RH真空脱ガス装置では、環流用Arガス流量を1500NL/min、送酸脱炭精錬時の真空槽の到達真空度を6.7〜40kPaとした。RH真空脱ガス装置での真空脱炭精錬開始後、直ちに原料投入口を通して真空槽内にマンガン鉱石を添加し、酸素ガス供給ランスからの酸素ガスの供給パターンを変更しながら真空脱炭精錬を行った。そのときの真空槽内の二次燃焼率をガス成分分析計による分析値により求めた。尚、使用したマンガン鉱石は、マンガン含有量が約55質量%であり、その粒度は5〜20mmである。RH真空脱ガス装置でのマンガン鉱石の添加量は、1チャージあたり1000kgの一定として実験を行った。RH真空脱ガス精錬処理後の目標溶鋼中炭素濃度は0.002〜0.003質量%、目標マンガン濃度は、0.5〜1.0質量%である。真空脱炭精錬終了後の溶鋼成分でマンガン濃度が不足する場合には、金属マンガンを用いて成分調整を行った。
表1に、各試験操業におけるRH真空脱ガス精錬前の溶鋼成分、真空脱炭精錬後の溶鋼成分、真空脱炭精錬中の真空槽内での二次燃焼率、真空脱炭精錬中の溶鋼温度の変化量、真空脱炭精錬後のマンガン鉱石中のマンガンの溶鋼中への回収歩留りを示す。尚、表1において、溶鋼温度の変化量がプラス(+)の値は、溶鋼温度が上昇したことを表し、逆にマイナス(−)の値は、溶鋼温度が降下したことを表しており、また、表1の備考欄には、本発明の範囲の試験は「本発明例」と表示し、それ以外は「比較例」と表示している。
Figure 0005621618
試験番号1〜6は、真空脱炭精錬中の二次燃焼率が50〜90%の範囲内となるように、酸素ガス供給パターンを変更した試験であり、試験番号7、8は、真空脱炭精錬中の二次燃焼率を90%より大きくした試験、試験番号9〜13は、真空脱炭精錬中の二次燃焼率を50%未満とした試験である。表1に示す二次燃焼率と真空脱炭精錬中の溶鋼温度の変化量との関係を図2に、二次燃焼率とマンガン鉱石中のマンガンの溶鋼中への回収歩留りとの関係を図3示す。
表1及び図2に示すように、二次燃焼率が50%以上である試験番号1〜8では、真空脱炭精錬中での溶鋼温度の低下が抑制され、むしろ溶鋼温度が上昇した。一方、二次燃焼率が50%未満である試験番号9〜13では、真空脱炭精錬中に溶鋼温度の低下が確認できた。二次燃焼率を50%以上とすることにより、着熱効率が高くなり、マンガン鉱石添加による溶鋼温度の低下が抑制されたと考えられる。
更に、表1及び図3から、二次燃焼率が50%以上90%以下の範囲では、マンガン鉱石中のマンガンの溶鋼中への回収歩留りは80%以上であり高いマンガン歩留りが得られているのに対し、試験番号7〜13では、マンガン鉱石中のマンガンの溶鋼中への回収歩留りは60%未満と低い結果であった。二次燃焼率が50%未満の場合には、送酸脱炭精錬による酸素ガスの供給によって、マンガンの酸化に寄与する酸素量が増加し、マンガンの酸化ロスが大きくなったと考えられる。また、二次燃焼率が90%を超える場合には、火点(酸素ガスの溶鋼湯面への衝突面)における溶鋼温度の上昇が著しくなり、火点でのマンガン蒸発によりマンガンロスが増加したのではないかと推定される。
このように、本発明により、真空脱ガス設備での送酸脱炭精錬時にマンガン鉱石を真空槽内に添加する場合には、真空槽内の二次燃焼率を50〜90%の範囲となるように酸素ガスの供給パターンを制御することによって、マンガン鉱石添加による溶鋼温度低下を抑制しつつ、真空脱炭精錬での脱炭速度を増加することが可能となり、更に、添加したマンガン鉱石のマンガンを高い歩留りで溶鋼中に回収することができ、より効率の良い真空脱炭精錬、並びにマンガン鉱石添加を実施することが可能であることが確認できた。
1 RH真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 スラグ
5 真空槽
6 上部槽
7 下部槽
8 上昇側浸漬管
9 下降側浸漬管
10 環流用ガス吹き込み管
11 ダクト
12 原料投入口
13 酸素ガス供給ランス
14 ガス成分分析計

Claims (1)

  1. 真空脱ガス設備の真空槽に配置した酸素ガス供給ランスを介して真空槽内に酸素ガスを供給しながら前記真空槽内の溶鋼に減圧下での脱炭精錬を施してマンガン含有低炭素鋼を溶製するにあたり、前記真空槽内の溶鋼にマンガン鉱石を添加するともに、前記脱炭反応で生じるCOガスを、二次燃焼率が50〜90%の範囲内になるように、前記真空槽から排出される排ガスを分析するガス成分分析計による排ガス成分のCO 2 ガス及びCOガスの分析値を確認しながら、前記酸素ガス供給ランスのランス高さ及び前記酸素ガス供給ランスからの酸素ガス供給流量を調整しつつ、前記酸素ガス供給ランスから供給する酸素ガスによって真空槽内で二次燃焼させることを特徴とする、マンガン含有低炭素鋼の溶製方法。
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