JP2009114491A - Rh真空脱ガス装置による溶鋼の精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 RH真空脱ガス装置を用いてAlレス極低炭素鋼を溶製するに当たり、スラグ及び脱酸生成物によるRH真空脱ガス装置の耐火物の溶損を防止することができ、その結果、RH真空脱ガス装置の生産性を向上させ、製造コストを従来に比較して大幅に低減することのできる精錬方法を提供する。
【解決手段】 未脱酸状態の溶鋼3をRH真空脱ガス装置1により真空脱炭処理し、その後、脱酸用Si源をRH真空槽5内の溶鋼に添加して脱酸処理し、Al含有量が0.001質量%以下であるAlレス極低炭素鋼をRH真空脱ガス装置で溶製する、RH真空脱ガス装置による溶鋼の精錬方法であって、真空脱炭処理末期の脱酸用Si源の投入前、脱酸用Si源の投入と同時、脱酸用Si源の投入後、のうちの少なくとも何れか1つの時期に、RH真空槽内の溶鋼にMgOを主成分とするフラックス16を添加する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、RH真空脱ガス装置による溶鋼の精錬方法に関し、詳しくは、Alが含有されない鋼を精錬する際の耐火物の溶損を防止することのできる精錬方法に関するものである。
溶鋼を溶製するに当たり、RH真空脱ガス装置は、溶鋼の脱炭処理、脱硫処理、脱水素処理、脱窒素処理、或いは、鋼中介在物の低減化処理として広く利用され、高級鋼の溶製においては欠くことのできない設備として使用されている。特に近年、自動車外装用鋼板、缶用鋼板、家庭電化製品用鋼板など、多くの用途に使用されている薄鋼板の加工性向上の観点から、薄鋼板用の鋼が、炭素含有量が0.01〜0.1質量%の低炭素鋼から、真空脱炭処理でなければ到達できない、炭素含有量が0.01質量%以下の範囲の極低炭素鋼に転換されつつあり、RH真空脱ガス装置の必要性は増加の一途である。尚、真空脱炭処理とは、雰囲気圧力が大気圧よりも低い状態で行われる脱炭精錬である。
このRH真空脱ガス装置は、耐火物で施工された2本の浸漬管を有し、この浸漬管を取鍋内に収容された溶鋼中に浸漬させて溶鋼に脱ガス精錬を施すが、取鍋内の溶鋼上にはスラグが存在し、また高速で溶鋼を環流させるので、浸漬管や還流管などのRH真空脱ガス装置を構成する耐火物はスラグ及び溶鋼流によって溶損或いは損傷する。従って、耐火物吹付けなどの補修を繰り返し実施するが、補修では修復できなくなった時点で新品と交換される。
RH真空脱ガス装置で精錬する鋼は様々であり、Alが含有されない鋼(「Alレス鋼」とも記す)も存在する。Alレス鋼のうちで極低炭素鋼(「Alレス極低炭素鋼」という)の場合には、RH真空脱ガス装置での精錬が必須となる。Alレス極低炭素鋼としては、例えば、炭化物や窒化物の生成を嫌う鋼種などがある。
Alレス鋼では、酸化物低減効果の大きいAlを脱酸剤として使用できないことから、Alよりも酸素との親和力の弱いSiを脱酸剤として用いざるを得ず、従って、Alキルド鋼に比較して、溶鋼のみならず溶鋼上に存在するスラグも酸素ポテンシャルが高い状態となる。つまり、Alレス鋼の精錬過程で形成されるスラグは、酸素ポテンシャルを高める成分であるFeOやMnOの濃度が高く且つそれによりスラグ自体が液状化することから、耐火物に対する反応性に富むと同時に、耐火物の損耗防止のために黒鉛含有耐火物などに添加される酸化防止剤の酸化を促進することになる。
また、脱酸生成物が酸性酸化物であるSiO2 であり、一方、RH真空脱ガス装置を構成する耐火物が中性酸化物であるAl23 や塩基性酸化物であるMgOであるので、脱酸生成物のSiO2 とAl23耐火物及びMgO耐火物とが反応して低融点化合物を形成し、Alキルド鋼に比較して耐火物の溶損が進行する。
従って、Alレス極低炭素鋼をRH真空脱ガス装置にて精錬すると、浸漬管のみならず環流管の溶損が進行し、特に、スラグと接触する部位である浸漬管の外周が激しく溶損するという問題が発生する。そのために、Alレス極低炭素鋼をRH真空脱ガス装置で処理する場合には、1チャージの処理毎にMgO吹付け補修などの補修作業を浸漬管に対して行う必要があり、RH真空脱ガス装置の生産性を損ねる原因の1つとなっていた。
ところで、RH真空脱ガス装置で溶鋼を精錬する際に、RH真空槽内の溶鋼に精錬用フラックスを投入する精錬が多数行われている。
例えば、特許文献1には、未脱酸溶鋼をRH真空脱ガス装置により脱炭した後、脱酸処理を行う極低炭素鋼の溶製方法において、RH真空脱ガス装置での環流開始後、直ちに、マグネシアクリンカーなどのMgOを主成分とするフラックスをRH真空槽内の溶鋼に添加し、その後、目標炭素濃度以下となるまで引き続き脱炭処理を行い、更に脱酸用合金を添加して脱酸処理を行うことを特徴とする、高清浄度極低炭素鋼の溶製技術が提案されている。特許文献1によれば、未脱酸溶鋼と取鍋内スラグとの間にMgO富化層が形成され、未脱酸溶鋼とスラグとの反応が防止されて、清浄鋼の溶製が可能になるとしている。しかしながらこの技術は、溶鋼とスラグとの反応を抑制する技術であり、Alレス極低炭素鋼をRH真空脱ガス装置で処理する際の上記問題点を解決する手段とは成り得ない。
また、特許文献2には、不活性ガスを搬送用ガスとしてCaO、CaF2 、及びMgOと、その他不可避的成分からなり、MgOが10〜60質量%で、{質量%CaF2/(質量%CaO+質量%CaF2 )}×100=20〜80%からなる第1のフラックスを浸漬管直下の溶鋼中に吹き込むとともに、これらの吹き込み前、及びまたは、吹き込み後に、{質量%CaF2/(質量%CaO+質量%CaF2 )}×100=20%以下であり、CaO及びCaF2 を主成分として残部が不可避成分である第2のフラックスを不活性ガスとともに浸漬管直下の溶鋼中に吹き込み、RH真空槽内において溶鋼を脱硫処理する技術が提案されている。特許文献2によれば、MgOを脱硫剤に添加するので、RH真空脱ガス装置を構成するMgO系耐火物のCaF2による溶損を抑制することができるとしている。しかしながら、特許文献2は、CaF2 を含有する脱硫剤による耐火物の溶損を防止する技術であり、このような脱硫剤を使用しない精錬である、Alレス極低炭素鋼のRH真空脱ガス精錬における上記問題点を解決する手段とは成り得ない。
特開平6−116623号公報 特開昭62−196317号公報
上記説明のように、RH真空脱ガス装置によりAlレス極低炭素鋼を溶製するに当たり、スラグや脱酸生成物によるRH真空脱ガス装置の耐火物の溶損を防止する技術が切望されているにも拘わらず、従来、有効な手段はなく、やむなくAlレス極低炭素鋼をRH真空脱ガス装置で処理する毎に浸漬管の補修を行っており、RH真空脱ガス装置の生産性を低下させるのみならず、製造コストの上昇をもたらしていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、RH真空脱ガス装置を用いてAlレス極低炭素鋼を溶製するに当たり、スラグ及び脱酸生成物によるRH真空脱ガス装置の耐火物の溶損を防止することができ、その結果、RH真空脱ガス装置の生産性を向上させ、製造コストを従来に比較して大幅に低減することのできる、RH真空脱ガス装置による溶鋼の精錬方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係るRH真空脱ガス装置による溶鋼の精錬方法は、未脱酸溶鋼をRH真空脱ガス装置により真空脱炭処理し、その後、脱酸用Si源をRH真空槽内の溶鋼に添加して脱酸処理し、Al含有量が0.001質量%以下であるAlレス極低炭素鋼をRH真空脱ガス装置で溶製する、RH真空脱ガス装置による溶鋼の精錬方法であって、真空脱炭処理末期の脱酸用Si源の投入前、脱酸用Si源の投入と同時、脱酸用Si源の投入後、のうちの少なくとも何れか1つの時期に、RH真空槽内の溶鋼にMgOを主成分とするフラックスを添加することを特徴とするものである。
本発明によれば、Al含有量が0.001質量%以下であるAlレス極低炭素鋼をRH真空脱ガス装置にて精錬する際に、脱酸用Si源の投入前、脱酸用Si源の投入と同時、脱酸用Si源の投入後、のうちの少なくとも何れか1つの時期に、RH真空槽内の溶鋼にMgOを主成分とするフラックスを添加するので、脱酸用Si源の投入により生成する脱酸生成物のSiO2 はMgOを主成分とするフラックスと接触し、MgOと反応してMgO粒子の表面に化合物を形成し、MgO粒子に吸収されてしまう。その結果、環流管の内壁並びに浸漬管の内壁及び外壁のSiO2による溶損が防止される。また、MgOを主成分とするフラックスは、環流する溶鋼とともにRH真空槽から取鍋内に流出し、最終的には取鍋内のスラグに吸収されるので、スラグの融点が上昇することによるスラグの耐火物に対する反応性の低下と、スラグが十分に高濃度のMgOを含有することによるスラグへのMgOの溶出の抑制効果と、によって、スラグと接触する浸漬管外周の溶損を抑制することが可能となる。その結果、Alレス極低炭素鋼の処理毎に浸漬管の補修を行う必要がなくなり、RH真空脱ガス装置の生産性が向上して製造コストの削減が達成される。
以下、本発明を具体的に説明する。尚、本発明で対象とするAlレス極低炭素鋼とは、C含有量が0.003質量%以下、Al含有量が0.001質量%以下であるSi脱酸鋼であり、その他の成分として必要に応じてMnなどを含有する鋼である。
高炉から出銑された溶銑をトーピードカーや溶銑鍋などの溶銑保持・搬送用容器で受銑し、次工程の転炉に搬送する。この搬送途中で、溶銑に対して予備脱硫処理や予備脱燐処理などの溶銑予備処理を施すことが一般的であり、本発明においても、Alレス極低炭素鋼の成分組成に応じて、溶銑予備処理を実施する。つまり、Alレス極低炭素鋼のS含有量やP含有量に低いレベルが要求される場合には、予備脱硫処理や予備脱燐処理を実施する。予備脱硫処理や予備脱燐処理は、慣用の処理方法を用いればよい。
この溶銑を転炉に装入し、上吹き酸素或いは底吹き酸素などによって、先ず、大気圧下で脱炭精錬する。この転炉における溶銑の脱炭精錬は、生石灰やドロマイトなどを媒溶剤として用いた通常の精錬を実施する。転炉における脱炭精錬終了時の溶鋼中C濃度は、0.02〜0.06質量%とすることが好ましい。0.02質量%未満まで脱炭精錬した場合には、Fe及び溶鋼中Mnの酸化が著しくなり、Fe及びMnの歩留まりが低下して製造コストの上昇を招くので好ましくない。一方、脱炭精錬終了時の溶鋼中C濃度が0.06質量%を超える場合には、次工程のRH真空脱ガス装置における脱炭精錬の負担が重くなり、処理時間が延長するなどして製造コストの上昇を招くので好ましくない。
転炉での脱炭精錬の終了後、脱炭精錬によって得られた溶鋼を転炉から取鍋に出鋼する。出鋼末期、溶鋼に巻き込まれて転炉内のスラグの一部が取鍋内に流出し、取鍋内の溶鋼上に留まる。極低炭素鋼を製造する際、極低炭素鋼の清浄性を高めるために一般的に行われているスラグ改質を、本発明においても実施することができる。つまり、出鋼中または出鋼直後に取鍋内にCaO源を添加したり、出鋼後、取鍋内のスラグに金属Alなどの脱酸剤を添加したりしても構わない。スラグ中のCaO含有量を高めることで、スラグの融点が上昇し、スラグの液状化が抑制され、耐火物に対する反応性が低下する。また、CaOを添加する或いは脱酸剤を添加することで、スラグ中のFeOやMnOの濃度が低下し、スラグの酸素ポテンシャルの低下に伴って黒鉛含有耐火物中の酸化防止剤の酸化が抑制される。
本発明では、次工程のRH真空脱ガス装置において真空脱炭処理を実施するので、溶鋼の酸素ポテンシャルは高いほど好ましく、従って、出鋼時には、Al、Siなどの強脱酸剤として機能する成分は添加しない。また、添加しても真空脱炭処理中に酸化してしまい、Alレス極低炭素鋼の必要成分であったとしても溶鋼中には残らず、再度の添加が必要になり無意味である。Mnも脱酸剤として機能するので、出鋼時には添加しないことが好ましい。その他、Alレス極低炭素鋼で必要とする成分であっても、減圧下での脱炭精錬において酸化ロスする成分は添加する意味がないので添加しない。
次いで、溶鋼を収容した取鍋をRH真空脱ガス装置に搬送し、RH真空脱ガス装置において真空脱ガス精錬を実施する。図1に、本発明を実施する際に用いたRH真空脱ガス装置の例を縦断面概略図で示す。
図1に示すように、RH真空脱ガス装置1は、上部槽6及び下部槽7からなるRH真空槽5と、下部槽7の下部に設けられた上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9とを備え、上部槽6には、排気装置(図示せず)と接続するダクト11と、原料投入口12と、RH真空槽5の内部を上下方向に移動可能な上吹きランス13と、MgOを主成分とするフラックス(以下、「含MgOフラックス」と記す)16を収容するホッパー14と、が備えられ、また、上昇側浸漬管8には環流用ガス吹き込み管10が設けられている。環流用ガス吹き込み管10からは環流用ガスとしてArガスが上昇側浸漬管8の内部に吹き込まれる構造となっている。上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9と連結する、下部槽7の円筒状の部位は、環流管7aと呼ばれている。
ホッパー14は、上部槽6に開口するシュート15と接続されており、ホッパー14内の含MgOフラックス16は、シュート15を介してRH真空槽5の内部に投入されるように構成されている。また、上吹きランス13は、酸素ガスをRH真空槽5の内部の溶鋼3に向かって吹き付けることができるように構成されている。当然ながら希ガスのみを吹き込んだり、希ガスと酸素ガスとの混合ガスを吹き込んだりすることもできるように構成されている。上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9は、厚みの略中央部に芯金(図示せず)を有し、その両側にAl23 質耐火物或いはMgO質耐火物が施工された構造であり、このAl23 質耐火物或いはMgO質耐火物の最外面には吹付け施工などによるMgO質不定形耐火物のコーティング層が形成されている。
この構成のRH真空脱ガス装置1において、先ず、取鍋2をRH真空槽5の直下に搬送し、取鍋2を昇降装置(図示せず)によって上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋2に収容された溶鋼3に浸漬させる。溶鋼3の上にはスラグ4が存在する。次いで、環流用ガス吹き込み管10から上昇側浸漬管8の内部にArガスを環流用ガスとして吹き込むとともに、RH真空槽5の内部をダクト11に連結される排気装置にて排気してRH真空槽5の内部を減圧する。RH真空槽5の内部が減圧されると、取鍋2に収容された溶鋼3は、環流用ガス吹き込み管10から吹き込まれるArガスとともにガスリフト効果によって上昇側浸漬管8を上昇してRH真空槽5の内部に流入し、その後、下降側浸漬管9を介して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。
RH真空槽5の内部が減圧雰囲気になると、RH真空槽5の内部雰囲気のCOガス分圧が大気圧下で実施した転炉脱炭精錬時に比べて大幅に小さくなり、従って、溶鋼3がRH真空槽5の内部の減圧雰囲気に曝されると、溶鋼中のCと溶存酸素との反応が発生する。つまり、脱炭反応が発生し、溶鋼3に含まれるCはCOガスとなって排ガスとともにRH真空槽5からダクト11を介して排出され、溶鋼3に真空脱炭処理が施される。この場合に、溶鋼3の溶存酸素が不足するなどの理由で脱炭反応が遅延する場合には、上吹きランス13からRH真空槽5の内部の溶鋼3に向かって酸素ガス或いは酸素ガスと希ガスとの混合ガスを吹き付けて、脱炭反応を促進させることもできる。
このようにして真空脱炭処理を継続し、溶鋼3のC含有量が0.003質量%以下の所定の値となったなら、原料投入口12から溶鋼3にFe−Siなどの脱酸用Si源を添加して溶鋼3を脱酸処理して、真空脱炭処理を終了するが、本発明においては、脱酸用Si源の投入前、脱酸用Si源の投入と同時、脱酸用Si源の投入後、の3つの時期のうちの少なくとも何れか1つの時期に、ホッパー14に収容された含MgOフラックス16を、シュート15を介してRH真空槽5を還流する溶鋼3に投入する。これらの投入時期のうちで最も効果が顕著なのは脱酸用Si源の投入前であり、従って、この時期に投入することが最も望ましい。
使用する含MgOフラックス16の粒径は、5〜10mmが好ましい。粒径が5mm未満では、ダクト11に連結される排気装置によって吸引されてしまい、一方、粒径が10mmを越えると質量に対する表面積が小さくなり、反応性が劣化するからである。また、含MgOフラックス16としては、成分、サイズなどからマグネシアクリンカーが好適である。含MgOフラックス16の投入量は、溶鋼トン当たり1〜5kg程度、好ましくは2〜3kgとすればよい。
脱酸用Si源の添加により溶鋼3の溶存酸素は急激に減少し、それに伴って脱炭反応が終了する。そして、脱酸用Si源の添加後も更に数分間程度の環流を継続し、その後、Alレス極低炭素鋼の成分組成に応じて、Si、Mn、Ni、Cr、Cu、Nb、Ti、V、Bなどの成分調整剤を原料投入口12から溶鋼3に投入して溶鋼3の成分を調整する。成分調整後、RH真空槽5の内部を大気圧に戻してRH真空脱ガス精錬を終了する。
このように、本発明では、Alレス極低炭素鋼をRH真空脱ガス装置1にて精錬する際に、脱酸用Si源の投入前、脱酸用Si源の投入と同時、脱酸用Si源の投入後、のうちの少なくとも何れか1つの時期に、RH真空槽5を環流している溶鋼3に含MgOフラックス16を添加するので、脱酸用Si源の投入により生成する脱酸生成物のSiO2 は含MgOフラックス16と接触し、MgOと反応して含MgOフラックス16の表面に化合物を形成し、含MgOフラックス16の粒子に吸収されてしまう。その結果、環流管7aの内壁、並びに、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9の内壁及び外壁のSiO2による溶損が防止される。
また、含MgOフラックス16は、環流する溶鋼3とともにRH真空槽5から取鍋2に流出し、最終的には取鍋内のスラグ4に吸収されるので、スラグ4の融点が上昇することによるスラグ4の耐火物に対する反応性の低下と、スラグ4が十分に高濃度のMgOを含有することによるスラグ4へのMgOの溶出の抑制効果と、によって、スラグ4と接触する浸漬管外周の溶損を抑制することが可能となる。その結果、Alレス極低炭素鋼の処理毎に上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9の補修を行う必要がなくなり、RH真空脱ガス装置1の生産性が向上して製造コストの削減が達成される。
以下、C含有量が0.0024質量%以下、Al含有量が0.001質量%以下、Si含有量が0.4〜0.7質量%、Mn含有量が0.1〜0.3質量%、S含有量が0.003質量%以下であるAlレス極低炭素鋼を、本発明を適用して溶製した例を説明する。尚、用いたRH真空脱ガス装置の上昇側浸漬管及び下降側浸漬管は、ともにAl23 質耐火物で施工され、溶損の進行に応じてその表面にMgO質不定形耐火物が吹付け補修されている。
高炉から出銑された溶銑をトーピードカーにて受銑し、受銑した溶銑をトーピードカーから取鍋型の転炉装入鍋に移し、この転炉装入鍋にCaO系脱硫剤を添加するとともに回転する攪拌羽根を浸漬させて溶銑と脱硫剤とを攪拌し、予備脱硫処理を実施した。その後、溶銑を転炉に装入して溶銑の脱炭精錬を実施した。転炉出鋼時の溶鋼成分は、C:0.04〜0.05質量%、Si:トレース、Mn:0.12〜0.15質量%、P:0.002〜0.03質量%、S:0.002質量%で、溶鋼温度は1670〜1670℃であった。
転炉での脱炭精錬終了後、転炉から取鍋への出鋼時に、スラグ改質剤として粒径が20mm以下の生石灰(CaO)を溶鋼トン当たり3.0kg取鍋内に添加した。その後、取鍋を、前述した図1に示すRH真空脱ガス装置に搬送して、先ず、真空脱炭処理を実施した。真空脱炭処理によって溶鋼中C含有量が0.001質量%に到達した時点で、10mmの篩目を通り、5mmの篩目を通過しなかったマグネシアクリンカーをホッパーからRH真空槽内に投入し、次いで、原料投入口から脱酸用Si源であるFe−Si合金を投入し、更にその直後、再度前記マグネシアクリンカーを投入し、その後更に数分間の還流を継続した後、Fe−Si合金及びFe−Mn合金を投入して成分を最終調整し、RH真空脱ガス精錬を終了した。マグネシアクリンカーの投入量は、チャージ当たり400kg(2kg/t)及び800kg(4kg/t)の2水準とし、脱酸用Si源の投入前後で2等分して投入した。
RH真空脱ガス精錬後、上昇側浸漬管及び下降側浸漬管の溶損状況をCCDカメラの画像に基づき解析した。
その結果、これらの浸漬管の外壁の溶損状況から判断して補修を実施しなくても当該Alレス極低炭素鋼を連続して5チャージ処理可能であることが確認できた。また、環流管及び浸漬管の内壁の溶損も少ないことが確認できた。これに対して、マグネシアクリンカーをRH真空槽内に投入しなかった従来の場合には、上昇側浸漬管及び下降側浸漬管ともに溶損が激しく、当該Alレス極低炭素鋼の処理毎に上昇側浸漬管及び下降側浸漬管の補修を必要としており、本発明によってこれらの浸漬管の溶損が大幅に抑制されることが確認できた。
本発明を実施する際に用いたRH真空脱ガス装置の縦断面概略図である。
符号の説明
1 RH真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 スラグ
5 RH真空槽
6 上部槽
7 下部槽
7a 環流管
8 上昇側浸漬管
9 下降側浸漬管
10 環流用ガス吹き込み管
11 ダクト
12 原料投入口
13 上吹きランス
14 ホッパー
15 シュート
16 含MgOフラックス

Claims (1)

  1. 未脱酸溶鋼をRH真空脱ガス装置により真空脱炭処理し、その後、脱酸用Si源をRH真空槽内の溶鋼に添加して脱酸処理し、Al含有量が0.001質量%以下であるAlレス極低炭素鋼をRH真空脱ガス装置で溶製する、RH真空脱ガス装置による溶鋼の精錬方法であって、真空脱炭処理末期の脱酸用Si源の投入前、脱酸用Si源の投入と同時、脱酸用Si源の投入後、のうちの少なくとも何れか1つの時期に、RH真空槽内の溶鋼にMgOを主成分とするフラックスを添加することを特徴とする、RH真空脱ガス装置による溶鋼の精錬方法。
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