JPH0849012A - 取鍋耐火物の溶損抑制方法 - Google Patents

取鍋耐火物の溶損抑制方法

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JPH0849012A
JPH0849012A JP18363094A JP18363094A JPH0849012A JP H0849012 A JPH0849012 A JP H0849012A JP 18363094 A JP18363094 A JP 18363094A JP 18363094 A JP18363094 A JP 18363094A JP H0849012 A JPH0849012 A JP H0849012A
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refractory
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JP18363094A
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Eizo Maeda
榮造 前田
Etsuro Udagawa
悦郎 宇田川
Yasuo Imaida
泰夫 今飯田
Daichi Nakazawa
大地 中澤
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】従来のスラグコントロール法に比べ、取鍋内の
スラグへのMgO含有耐火物の溶出し抑制に優れた取鍋
耐火物の溶損抑制方法を提供することを目的としてい
る。 【構成】取鍋内の溶融スラグにMgOを主成分とする物
質を添加して取鍋に内張したMgO含有耐火物の溶損速
度を抑制する方法において、上記物質添加後の溶融スラ
グがある関係式を満足するように、上記物質を添加す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、取鍋耐火物の寿命を延
長するため、取鍋使用中に、その内部に存在する溶融ス
ラグの組成を調整する方法に関し、特に、取鍋に内張し
たMgO含有耐火物の上記溶融スラグへの溶出を抑制
し、該耐火物の溶損を防止する技術に係わる。
【0002】
【従来の技術】一般に、金属精錬で使用される溶鋼取鍋
(以下、単に取鍋という)に内張される耐火レンガ、不
定形耐火物等は、その取鍋の使用に際し、受湯した溶融
金属によって高温に熱せられるばかりでなく、溶融状態
にあるスラグ(以下、単にスラグという)、粉塵、ガス
等と接して溶損する。そのため、製鋼分野の技術者は、
取鍋耐火物の寿命が延長すれば、耐火物コストの低減が
達成できることに着眼し、従来より種々の寿命延長対策
を研究、開発してきた。なお、取鍋の使用とは、溶鋼を
受けて保持し、多の工程まで搬送するだけの場合と、受
けた溶鋼をその取鍋の中で精錬する場合がある。本願で
は、この両者とも取鍋処理ということにし、一回の取鍋
使用を1チャージと表現する。
【0003】ところで、今までの研究、開発成果を大別
すると、取鍋耐火物の寿命延長方法は、(1)耐火物の
材質自体を改善する方法と、(2)耐火物の使用条件を
変更する方法とになる。そのうち、本願とカテゴリーが
同じであるものは、(2)の使用条件を変更する方法で
あるので、その内容を以下に説明する。まず、特開昭6
1−232284号公報は、高アルミナ質耐火レンガ等
を内張した取鍋の寿命向上方法を開示した。それは、A
23 :20〜30%、FeO<3%、MgO:7〜
20%、CaO/SiO2 :1.5〜2.5となるよう
な特殊組成のスラグを作り、このスラグを取鍋の使用前
に予め上記内張り耐火物表面に塗布し、所謂スラグコー
ティングするものであり、この付着スラグの優れた耐侵
食性を利用して上記耐火物の溶損を防止するものであ
る。勿論、このスラグコーティング法は、コーティング
するスラグ組成を内張する耐火物(例えば、MgO系耐
火物等)に応じて変更しさえすれば、使用目的が異なる
種々の取鍋に適用できる。
【0004】しかしながら、スラグコーティング法は、
耐火物の溶損を防止する上で優れているが、同じ取鍋で
繰り返し適用すると、取鍋内壁に該コーティングスラグ
が蓄積し所謂ビルドアップするので、取鍋容積が減り、
それを壊さないと取鍋が使用できなくなるという問題が
ある。また、最近のように高清浄度鋼の製造要求が多く
なると、コーティングしたスラグは、かえって溶鋼中へ
の不純物成分移行の源になるという問題もあった。
【0005】一方、取鍋耐火物の損傷原因の主体が化学
的なものである場合には、上記(2)の耐火物の使用条
件を変更する方法の一つとして、取鍋内部に存在するス
ラグの組成を調整して該取鍋耐火物を保護し、その寿命
を延ばす方法(通称、スラグコントロール法という)も
知られている。この方法の原理は、溶液中への溶質の溶
解は、溶液中の溶質の濃度を上げておけば抑制され、さ
らに、溶質濃度を飽和濃度以上にすれば、溶出は完全に
抑えられるという一般に良く知られている溶液論に基づ
いている。すなわち、スラグを溶液に、内張耐火物を溶
質に置き換えて具体的に説明すると、取鍋耐火物にMg
O含有耐火物を使用した場合、その溶出を抑制するため
には、あらかじめスラグ中のMgO濃度を上げておけば
良く、また、MgO濃度を飽和濃度以上にしておけば溶
出が完全に抑えられることになる。
【0006】このスラグコントロール法を利用した公開
技術としては、例えば、特開昭53−42144号公報
に開示されたものがある。それは、溶融金属の受湯前
に、取鍋の内張耐火物の主成分に該当する成分を増加さ
せたスラグで、上記同様予め内張耐火物をコーティング
することに加え、溶融金属の受湯に際し、該溶融金属に
随伴するスラグに前記内張耐火物の主成分に該当する成
分を増加させる所謂スラグコントロールを併用する方法
である。
【0007】しかしながら、このスラグコントロール法
は現在まだ十分に効果を上げているとは言えない。その
理由は、スラグ(通常、SiO2 −CaO−Al23
系)に溶質(MgO含有耐火物の場合は、MgO)を加
えたスラグに対して入手可能な状態図が不備で、MgO
の飽和濃度がどの程度なのか解らない。また、スラグ組
成と耐火物組成に関する直接的な状態図も使用可能なも
のはないので、適当に状態図を推定して飽和濃度を予想
するに留まっていた。そのため、このスラグコントロー
ル法を利用する場合、推定で求めた量を添加するにとど
まり、きめ細かい耐火物の溶出管理にまでは至っていな
かったのである。さらに、推定で求めた量のMgOを主
成分とする物質(以下、MgO源)の添加では、十分な
成果が上げられなかったため、該スラグコントロール法
はあまり利用されてこなかったのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
を鑑み、従来のスラグコントロール法に比べ、取鍋内の
スラグへのMgO含有耐火物の溶出し抑制に優れた取鍋
耐火物の溶損抑制方法を提供することを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため、製鋼分野で使用するMgO含有耐火物を内
張した取鍋の使用に際して、溶湯と共存するスラグに添
加するMgO源の量を、正確に決める関係式の導出に着
眼した。そして、鋭意実験、研究を繰り返し、その関係
式を得ることに成功し、本発明を創案した。
【0010】すなわち、本発明は、取鍋内の溶融スラグ
にMgOを主成分とする物質を添加して取鍋に内張した
MgO含有耐火物の溶損速度を抑制する方法において、
上記MgOを主成分とする物質添加後の溶融スラグが、
次式を満足するように、上記MgOを主成分とする物質
を添加することを特徴とする取鍋耐火物の溶損抑制方法
である。
【0011】 %MgO=0.2×%SiO2 −0.6×%CaO+A ・・・(1)式 ただし、55≧A≧30 ここで、 %MgO ;添加後の溶融スラグ中のMgO量(重量
%) %SiO2 ;添加後の溶融スラグ中のSiO2 量(重量
%) %CaO ;添加後の溶融スラグ中のCaO量(重量
%) A ;MgO成分の添加量に対する係数 また、本発明は、上記取鍋が、溶鋼のVOD真空処理に
用いるものであることを特徴とする請求項1記載の取鍋
耐火物の溶損抑制方法である。さらに、取鍋の使用管理
に関して、本発明は、請求項1〜2の取鍋耐火物の溶損
抑制方法を実施するチャージ数を過去の累積チャージ数
の70%以上で、且つ上記方法を実施しないチャージが
連続して3チャージ続けないように取鍋を使用すること
を特徴とする取鍋耐火物の溶損抑制方法である。
【0012】
【作用】本発明では、取鍋内の溶融スラグにMgOを主
成分とする物質を添加して取鍋に内張したMgO含有耐
火物の溶損速度を抑制する方法において、上記MgOを
主成分とする物質添加後の溶融スラグが、次式を満足す
るように、上記MgOを主成分とする物質を添加するよ
うにしたので、取鍋に内張したMgO含有耐火物は溶融
スラグと同じ組成を有するようになる。その結果、Mg
O含有耐火物の溶融スラグへの溶損速度は著しく遅くな
り、該取鍋耐火物の寿命が延長できるようになった。
【0013】 %MgO=0.2×%SiO2 −0.6×%CaO+A ・・・(1)式 ただし、55≧A≧30 ここで、 %MgO ;添加後の溶融スラグ中のMgO量(重量
%) %SiO2 ;添加後の溶融スラグ中のSiO2 量(重量
%) %CaO ;添加後の溶融スラグ中のCaO量(重量
%) A ;MgO成分の添加量に対する係数 また、本発明では、請求項1〜2の取鍋耐火物の溶損抑
制方法を実施するチャージ数を過去の累積チャージ数の
70%以上で、且つ上記方法を実施しないチャージが連
続して3チャージ続けないように取鍋を使用することに
よって、取鍋の溶損抑制をしつつ、取鍋処理管理の合理
化も図っている。
【0014】以下に、本発明の内容に関する重要事項を
補足する。まず、前述したように、(1)式は、発明者
の多くの実験結果を整理して求めたものであるが、その
使用に際しAの範囲を30〜55に限定した理由は、図
1により明らかである。つまり、30以下であるとスラ
グへのMgO含有耐火物の溶出抑制効果が十分でなく、
好ましくは35以上であり、さらに好ましくは40以上
である。一方、Aが55以上になると、現実問題として
添加したMgO源が過剰で溶け残り、スラグの流動性を
阻害するため、以後の取鍋精錬において問題を起こすこ
とがある。また、その量以上のMgO源を添加しても溶
出抑制の効果は向上せず、有効に使われないため、経済
的に有利でない。好ましくは、Aが50以下である。な
お、図1は、スラグライン部にマグクロれんがを内張し
た取鍋に溶鋼を受鋼して、VOD真空処理装置で複数チ
ャージ処理した際の溶損速度を、前記(1)式のAで整
理したものである。
【0015】次に、本発明を適用する取鍋に内張するM
gO含有耐火物とは、MgOを主成分とする耐火物で、
マグネシア質、マグネシア・ドロマイト質、ドロマイト
質、マグネシア・ライム質、マグ・クロ質、マグネシア
・スピネル質、マグネシア・アルミナ質、マグネシア・
ジルコニア質、マグネシア・ジルコン質等の煉瓦、流し
込み材などの耐火物をさす。
【0016】一方、溶融スラグの組成を調整するのため
に添加するMgO源としては、MgOを主成分とするも
のであれば特に特定するものではないが、例えばMgO
の粉末あるいは顆粒、MgOクリンカー、軽焼ドロマイ
ト、マグネシアスピネル粉末、マグドロクリンカー等が
利用できる。また、一度取鍋に使用したMgO含有耐火
物を適当な粒度に粉砕したものも利用できる。いずれの
場合も、滓化の速度が速いものほど、添加の効果は大き
くなる。なお、MgO源が滓化するためにはある一定時
間が必要であるため、MgO源の添加時期は、なるべく
はやい時期であることが望ましい。その意味では、溶鋼
取鍋での受鋼時が一つの望ましい時期である。また、V
OD処理、AOD処理、LF処理等の二次精錬を行う時
は、投入されるフラックス成分によって取鍋内のスラグ
組成が変化するので、MgO源をフラックスと同時に投
入することが好ましい。投入方法は特に限定されない
が、取鍋内の溶鋼及びスラグに上置きしてもよく、フラ
ックスなどと同時に溶鋼中にインジェクションしても良
く、滓化状況に応じて、いくつかに分割して投入するこ
ともできる。
【0017】本発明では、処理対象とする取鍋を特に限
定しないが、本発明に係る溶損抑制方法によるMgO源
の添加効果は、スラグによる溶損が著しい取鍋で特に顕
著に現れる。その例としては、VOD処理、AOD処
理、LF処理等の二次精錬に用いる取鍋がある。これら
の処理では、処理時の温度が高く、かつ、ガス吹きなど
によってスラグが攪拌され、内張耐火物の所謂スラグラ
イン部が大きく溶損されるからである。一方、普通鋼、
あるいは特殊鋼を受湯する取鍋においても、上記スラグ
ライン部はスラグにより溶損されるので、この溶損の抑
制にも本発明は有効である。
【0018】MgO源の投入量を具体的に調整する手順
は以下の通りである。まず、本発明の適用対象となる受
鋼時の随伴スラグの組成を調べる。次いで、該スラグ組
成中のSiO2 量とCaO量から本発明に係る(1)式
を基に、最終目標となるスラグのMgO量が計算され
る。その計算結果と受鋼時の該スラグのMgO量、添加
MgO源に含まれるMgO量並びに他の成分の量に基づ
いてMgO源の添加量を計算する。(1)式を満たす量
のMgO源を投入すれば、耐火物中のMgO成分がスラ
グへ溶出する前に、添加したMgO源がスラグに溶解す
るため、耐火物の溶損が抑制されるのである。
【0019】上記計算で利用するスラグ組成の決め方と
しては、本発明では以下に示す種々の方法が選択できる
が、それぞれ長所、短所があるので、取鍋処理の内容に
最も都合の良い方法を選択すれば良い。 1)各チャージ毎の測定値で決定する方法 まず、各チャージごとにスラグの組成分析を行い、次い
でこの分析値をもとに(1)式のMgO%を計算で求め
る。その際、転炉または電気炉の吹き止め後のスラグ、
取鍋スラグなどを直接サンプリングし、それを分析した
スラグ組成が利用できる。具体的には、吹き止め後のス
ラグ組成が分かれば、吹き止めスラグの取鍋への流出量
及び副原料の組成と量から取鍋内でのスラグ組成と量が
計算される。また、取鍋スラグを直接分析すれば、スラ
グ組成が直接判明する。その後、MgOを含む投入原料
の組成は分かっているので、上記で得たスラグ組成と量
を基に該MgOを含む投入原料の必要量が計算され、そ
の値により実際の投入を行えば良い。
【0020】但し、本方法には、直接的で正確であると
いう利点があるが、迅速なスラグ組成の分析が必須であ
り、分析コストがかさむ欠点もある。 (2)対象取鍋処理における一般的な操業条件での値を
用いる方法 直接的なスラグ組成の代わりに、対象取鍋処理の過去の
実績に基づく平均スラグ組成、または対象取鍋の使用計
画に基づくスラグ組成によって投入MgO量を決める方
法である。本方法は最も簡便であるが、しかし鋼種毎の
スラグ組成が著しく変化する場合(チャージ内容が頻繁
に代わる場合)、実効が上がらない欠点がある。 (3)直近50〜100チャージの平均値を用いる方法 上述の欠点を補うために、直近50〜100チャージの
スラグ組成の平均値をもとのスラグの組成として投入M
gO量を計算する方法である。 (4)同一鋼種の取鍋処理時における値を用いて投入M
gO量を求める方法 対象取鍋で精錬される各鋼種毎の平均スラグ組成を用い
て投入MgO量を求める方法である。一般的には、鋼種
が決まれば操業条件が決り、それによってスラグ組成は
ほぼ一定している。この値を予め求めておけば簡単に投
入MgO量が計算される。この場合、鋼種ごとの最適投
入量が決まるため、きめ細かいスラグ組成管理が可能と
なる。また、この場合でも、スラグ組成はある程度の範
囲で変化するので、直接的な分析による方法(1)に比
べると実効は小さくなる。
【0021】また、本発明に係るMgO源投入による取
鍋耐火物の溶損抑制方法は、取鍋を使用する全チャージ
に適用し、溶損量の管理値を満たすことが最も効果が大
きく望ましい。ただし、種々の理由で、これを完全に達
成することは実操業では難しいことがある。実操業にお
いては、今までの経験からMgO源投入量の管理値を満
たさないMgO投入量となるチャージが多少あっても、
取鍋耐火物の溶損が実操業上は余り問題にならない。そ
こで、過去の実績を調査し、MgO源投入を、累積チャ
ージ数の70%以上において行えば、それで十分に取鍋
耐火物の保護効果を得ることができることが判明したの
で、この溶損管理方法も本発明に含めるものとした。実
用上は、累積チャージに対して80%以上において管理
値(本発明に基づくMgO源の投入量)とすることが安
全であり、望ましいことである。なお、本発明に係る取
鍋耐火物の溶損抑制方法の実施を連続して3チャージ実
施しないと、それによって取鍋耐火物の溶損は著しく進
行するので、上記溶損管理に基づく発明では、連続して
3チャージ本発明を実施しないことがないようにしてい
る。また、各チャージは、取鍋処理条件によって耐火物
の溶損速度が著しく異なる場合があるが、特に溶損速度
の大きいチャージに本発明に係るMgO源添加による取
鍋耐火物の溶損抑制方法を適用することが有効である。
【0022】
【実施例】
実施例1 スラグライン部にマグクロれんが(MgO 65重量
%、Al23 10重量%、Fe23 6重量%、C
23 17重量%)を内張りした50トン/1チャー
ジの溶鋼処理能力のある取鍋で極低炭素溶鋼を受け、V
OD真空処理装置内で複数チャージの脱炭処理を行っ
た。その処理に際して、本発明に係る取鍋耐火物の溶損
抑制方法を適用し、各チャージの処理終了毎に内張した
マグクロれんがの損傷速度を測定した。処理時の最高溶
鋼温度は約1750℃であり、損傷の主因は、耐火物の
溶損である。
【0023】MgO源としてMgOクリンカー(MgO
95重量%、CaO 1重量%、SiO2 0.3重
量%)を用い、その添加量は前記した手順で求めたが、
(1)式におけるAは42とし、過去の標準的な操業に
おける平均的なスラグ組成データをもとに決定した。そ
して、その投入時期はフラックスの投入と同時とした。
【0024】その結果、各チャージでのマグクロれんが
の平均損傷速度は9mm/チャージであった。一方、従
来処理、すなわちスラグの状態図を推定し、それに基づ
き投入MgOクリンカー量を決定した場合の損傷速度は
平均で25mm/チャージであった。その際、推定した
スラグ組成を(1)式にあてはめると、Aの値は23で
あった。
【0025】さらに、(1)式において、Aを65とし
て過去の標準的な操業における平均的なスラグ組成をも
とに、MgOクリンカー量を決定した場合も実施した
が、その場合の平均損傷速度は8mm/チャージとなっ
た。しかし、この場合、真空処理中に溶鋼の脱炭不良が
発生するという問題を起こしたので、(1)式でAを6
5とするのは、本発明に係る取鍋耐火物の溶損抑制方法
ではないことが確認できた。
【0026】実施例2 溶鋼処理能力250トン/1チャージの取鍋に普通鋼を
入れ、該取鍋の上に電気アーク加熱装置を配置して所謂
LF処理を10チャージ行った。使用した取鍋のスラグ
ライン部にはマグネシア・カーボン質れんが(MgO
87重量%、C13重量%)を内張し、該LF処理での
本発明の効果を確認した。MgOクリンカーの投入量
は、実施例1と同様に、過去の標準的な操業における平
均的なスラグ組成を元に、(1)式のAを41として決
定し、その投入時期は受鋼時とした。その結果、マグネ
シア・カーボン質れんがの損傷速度は平均3.4mm/
チャージにまで減少した。
【0027】一方、実施例2と同じ従来処理の場合、該
平均損傷速度は10mm/チャージであった。この際、
推定状態図に基づいたスラグ組成を(1)式にあてはめ
ると、Aの値は26であった。 実施例3 230トン普通鋼用取鍋のスラグライン部にマグネシア
・カーボンれんが(MgO 87重量%、C 13重量
%)を内張りして、本発明に係る取鍋耐火物の溶損抑制
方法を適用したチャージを30回行い、該マグネシア・
カーボンれんがの平均的な損傷速度を測定した。受鋼時
の溶鋼温度は1605℃から1710℃の範囲にあり、
平均は1634℃であった。この場合の損傷の主因は、
耐火物の溶損であった。
【0028】なお、MgO源としては、実施例1と同一
のMgOクリンカーを用い、その添加量は前記した手順
で求めたが、(1)式におけるAは45とし、過去の鋼
種毎の平均的なスラグ組成データをもとに決定した。そ
して、投入時期はいずれも受鋼時とした。また、操業と
の関係で(1)式を満足できない場合が発生したが、こ
れを全チャージの14%に抑え、かつ満足しない場合が
連続しないようにした(満足したチャージは86%)。
その結果、スラグライン部でのマグネシア・カーボンれ
んがの平均的な損傷速度は0.44mm/チャージとな
った。
【0029】一方、実施例3と同じ従来処理の場合、該
平均損傷速度は1.1mm/チャージであった。この
際、推定状態図に基づいたスラグ組成を(1)式にあて
はめると、Aの値は22であった。その際、実施例3と
同様にMgOクリンカーを投入したが、(1)式を満足
できないチャージが全体の39%(満足チャージは61
%)となり、該平均溶損速度は0.76mm/チャージ
であった。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、Mg
O含有耐火物を内張りした取鍋で溶鋼を処理しても、該
溶鋼に随伴するスラグに該MgO含有耐火物の溶出を抑
制することができるようになった。その結果、取鍋耐火
物の寿命が大幅に延長され、取鍋精錬での耐火物コスト
を大幅に削減することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る取鍋耐火物の溶損抑制方法の実施
効果を確認した図であり、溶損速度と(1)式の係数A
との関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今飯田 泰夫 千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社鉄鋼開発・生産本部千葉製鉄所内 (72)発明者 中澤 大地 千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社鉄鋼開発・生産本部千葉製鉄所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取鍋内の溶融スラグにMgOを主成分と
    する物質を添加して取鍋に内張したMgO含有耐火物の
    溶損速度を抑制する方法において、 上記MgOを主成分とする物質添加後の溶融スラグが、
    次式を満足するように、上記MgOを主成分とする物質
    を添加することを特徴とする取鍋耐火物の溶損抑制方
    法。 %MgO=0.2×%SiO2 −0.6×%CaO+A ・・・(1)式 ただし、55≧A≧30 ここで、 %MgO ;添加後の溶融スラグ中のMgO量(重量
    %) %SiO2 ;添加後の溶融スラグ中のSiO2 量(重量
    %) %CaO ;添加後の溶融スラグ中のCaO量(重量
    %) A ;MgO成分の添加量に対する係数
  2. 【請求項2】 上記取鍋が、溶鋼のVOD真空処理に用
    いるものであることを特徴とする請求項1記載の取鍋耐
    火物の溶損抑制方法。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2の取鍋耐火物の溶損抑制方
    法を実施するチャージ数を過去の累積チャージ数の70
    %以上で、且つ上記方法を実施しないチャージが連続し
    て3チャージ続けないように取鍋を使用することを特徴
    とする取鍋耐火物の溶損抑制方法。
JP18363094A 1994-08-04 1994-08-04 取鍋耐火物の溶損抑制方法 Pending JPH0849012A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006257519A (ja) * 2005-03-18 2006-09-28 Nippon Steel Corp 耐火物の保護方法
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