JP6028750B2 - マンガン含有低炭素鋼の溶製方法 - Google Patents

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本発明は、取鍋内の溶鋼に、真空脱ガス設備における減圧下での脱炭精錬を施してマンガンを含有する低炭素鋼(以下、「マンガン含有低炭素鋼」と記す)を溶製する方法に関し、詳しくは、前記脱炭精錬時に溶鋼成分調整用のマンガン源及び脱炭用の酸素源としてマンガン鉱石を添加してマンガン含有低炭素鋼を溶製する方法に関する。
マンガン(Mn)は、鋼中に添加することにより、鉄鋼材料の強度が向上する、或いは、不可避的不純物として鋼中に残留する硫黄(S)と反応して硫化マンガン(MnS)を形成し、有害な硫化鉄(FeS)の生成を防止して鉄鋼材料における硫黄の影響を抑制するなどの利点があることから、鉄鋼材料の大半はマンガンを含有している。近年では、構造物の軽量化を目的として、高い引張強さと高い加工性とを両立させた低炭素・高マンガン鋼が開発され、ラインパイプ用鋼板や自動車用鋼板などとして広く使用されている。ここで、低炭素・高マンガン鋼とは、炭素含有量が0.05質量%以下で、マンガン含有量が0.5質量%以上の鋼のことである。
ところで、マンガン含有極低炭素鋼(炭素含有量が0.003質量%以下)や低炭素・高マンガン鋼などのマンガン含有低炭素鋼は、転炉における大気圧下での脱炭精錬のみで溶製されることはなく、炭素含有量の成分上の規格や安価マンガン源の使用量拡大のために、転炉での脱炭精錬で溶製された溶鋼に、更に真空脱ガス設備における減圧下での脱炭精錬(「真空脱炭精錬」ともいう)が施されている。
この減圧下での脱炭精錬では、溶鋼中の溶存酸素が脱炭用の主たる酸素源として使用されるが、その量は限られることから、減圧下での脱炭精錬で、マンガン鉱石を酸素源として溶鋼に添加する技術が幾つか提案されている。尚、添加したマンガン鉱石は溶鋼中の炭素によって還元され、還元によって生成するマンガンは溶鋼中に移行する。つまり、酸素源として添加したマンガン鉱石は、溶鋼成分調整用のマンガン源としても機能しており、マンガン鉱石の添加量が多くなれば安価マンガン源の使用量が増大することになる。
例えば、特許文献1には、真空脱ガス設備の真空槽内の溶鋼に減圧下での脱炭精錬を施してマンガン含有低炭素鋼を溶製するにあたり、マンガン鉱石添加前の溶鋼中炭素濃度に応じた所定量のマンガン鉱石を脱炭精錬中に添加して、マンガン含有低炭素鋼を溶製する方法が提案されている。
また、特許文献2には、先ず、真空槽内の未脱酸の溶鋼に上吹きランスを介して酸素ガスを供給して減圧下での脱炭精錬を施し、その後、上吹きランスからの酸素ガスの供給を停止し、真空槽内の未脱酸の溶鋼にフェロマンガンとマンガン鉱石とを、フェロマンガンに含有される炭素質量をマンガン鉱石に含有される酸素質量で除した値が0.5〜1.0となる割合で添加し、マンガン鉱石に含有される酸素を使用して、溶鋼中炭素濃度が溶製対象のマンガン含有低炭素鋼の炭素濃度の範囲内となるまで減圧下での脱炭精錬を行い、その後、溶鋼に金属アルミニウムを添加してアルミニウム脱酸し、マンガン含有低炭素鋼を溶製する方法が提案されている。
特許文献1、2によれば、脱炭用の酸素源として添加したマンガン鉱石は溶鋼中の炭素によって還元され、マンガン鉱石中のマンガンが溶鋼中に移行することから、酸素源として添加したマンガン鉱石は、溶鋼成分調整用のマンガン源としても機能し、安価マンガン源であるマンガン鉱石の使用量を増大することができ、マンガン含有低炭素鋼の製造コストを従来に比較して大幅に削減することができるとしている。
特開2012−153941号公報 特開2013−124385号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
即ち、減圧下での脱炭精錬における酸素源としての効果を期待して、マンガン鉱石を添加する場合には、マンガン鉱石を真空槽内に単に添加すれば十分であるというものではなく、添加したマンガン鉱石が還元されなければ、つまり、マンガン鉱石中のマンガン酸化物が還元されなければ、酸素源としての効果も、マンガン源としての効果も得られない。マンガン鉱石の種類は多岐にわたっており、マンガン鉱石の種類により含有するマンガン質量、不純物質量、酸素質量は異なる。
減圧下での脱炭精錬では、マンガン鉱石は溶鋼中の炭素によって還元されることから、マンガン鉱石の添加量は、添加するマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素質量に応じて設定すべきであるが、特許文献1及び特許文献2は、マンガン鉱石中のマンガン化合物を形成している酸素質量を考慮していない。つまり、溶鋼中の炭素質量に対してマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素質量が不足したり過剰になったりして、マンガン化合物を効率的に還元することができなくなる。特許文献2では、マンガン鉱石の酸素質量を考慮しているが、特許文献2で規定している酸素質量は、マンガン酸化物以外の酸化物(Al23、MgO、SiO2、CaO、FeO、Fe23、P25など)を形成している酸素質量も含んでおり、マンガン酸化物を形成している酸素質量ではない。そのため、使用するマンガン鉱石の種類が変化した際に、マンガン鉱石添加による効果を十分に得られない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、RH真空脱ガス装置などの真空脱ガス設備における減圧下での脱炭精錬時に、マンガン鉱石を添加してマンガン含有低炭素鋼を溶製するにあたり、マンガン鉱石に含有される酸素によって脱炭反応を促進させるのみならず、マンガン鉱石中のマンガンを高い歩留りで溶鋼中に回収することのできる、マンガン含有低炭素鋼の溶製方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]真空脱ガス設備の真空槽内の未脱酸状態の溶鋼に減圧下での脱炭精錬を施すマンガン含有低炭素鋼の溶製方法であって、前記脱炭精錬中に、前記溶鋼にマンガン鉱石を添加し、マンガン鉱石に含有される酸素で溶鋼中の炭素を脱炭すると同時に、マンガン鉱石中のマンガンを合金成分として溶鋼中に回収するにあたり、前記マンガン鉱石を、当該マンガン鉱石の添加量が脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度及びマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度に対して下記の(1)式の関係を満足する範囲内となるように添加することを特徴とする、マンガン含有低炭素鋼の溶製方法。
0.20≦(4/3)×10×[%C]/(ηO×0.01×WMn)≦5.0 …(1)
但し、(1)式において、[%C]は、脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度(質量%)、ηOは、マンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度(質量%)、WMnは、マンガン鉱石の添加量(kg/溶鋼−ton)である。
[2]真空脱ガス設備の真空槽内の未脱酸状態の溶鋼に減圧下での脱炭精錬を施すマンガン含有低炭素鋼の溶製方法であって、前記脱炭精錬中に、前記溶鋼に、マンガン鉱石と同時に炭素源を添加する、または、炭素源を添加した後にマンガン鉱石を添加し、マンガン鉱石に含有される酸素で溶鋼中の炭素を脱炭すると同時に、マンガン鉱石中のマンガンを合金成分として溶鋼中に回収するにあたり、前記マンガン鉱石を、当該マンガン鉱石の添加量が脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度、前記炭素源中の炭素濃度、前記炭素源の添加量及びマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度に対して下記の(2)式の関係を満足する範囲内となるように添加することを特徴とする、マンガン含有低炭素鋼の溶製方法。
0.20≦(4/3)×(10×[%C]+ηC×0.01×WC)/(ηO×0.01×WMn)≦5.0 …(2)
但し、(2)式において、[%C]は、脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度(質量%)、ηCは、炭素源中の炭素濃度(質量%)、WCは、炭素源の添加量(kg/溶鋼−ton)、ηOは、マンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度(質量%)、WMnは、マンガン鉱石の添加量(kg/溶鋼−ton)である。
[3]前記真空脱ガス設備は真空槽内の溶鋼に酸素ガスを供給するためのランスを備えており、前記マンガン鉱石の添加が完了した以降に、前記ランスから真空槽内の溶鋼に酸素ガスを供給して酸素ガスによる減圧下での脱炭精錬を行うことを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載のマンガン含有低炭素鋼の溶製方法。
本発明によれば、真空脱ガス設備における減圧下での脱炭精錬を施してマンガン含有低炭素鋼を溶製する際に、マンガン源として安価なマンガン鉱石を利用し、且つ、マンガン鉱石の添加量を、溶鋼中の炭素濃度及びマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度に応じて最適化する、更に減圧下での脱炭精錬時に炭素源を添加した場合には、炭素源の炭素濃度及び添加量をも考慮して最適化するので、マンガン鉱石に含有される酸素によって脱炭反応が促進されるのみならず、マンガン鉱石中のマンガンを高い歩留りで鋼中に回収することが実現される。その結果、高価な電解マンガンの使用量を削減することが可能となり、マンガン含有低炭素鋼の製造コストを従来に比較して大幅に削減することが達成される。
(3)式で算出される値とマンガン鉱石中のマンガンの溶鋼への回収歩留りとの関係を示す図である。 本発明を実施する際に用いるRH真空脱ガス装置の概略縦断面図である。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者らは、真空脱ガス設備における減圧下での脱炭精錬を施してマンガン含有低炭素鋼を溶製する際に、マンガン鉱石を添加した減圧下での脱炭精錬時に、マンガン鉱石に含有される酸素によって脱炭反応を促進させるのみならず、マンガン鉱石中のマンガンを高い歩留りで溶鋼中に回収することを目的として、RH真空脱ガス装置を用いてマンガン含有低炭素鋼を溶製する試験を行った。ここで、本発明におけるマンガン含有低炭素鋼とは、マンガン含有極低炭素鋼や低炭素・高マンガン鋼などであり、炭素濃度が0.05質量%以下で、マンガン濃度が0.10質量%以上の鋼のことである。
具体的には、マンガン鉱石を添加した減圧下での脱炭精錬によってマンガン含有低炭素鋼を溶製する際に、マンガン鉱石添加前の溶鋼中炭素濃度つまり脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度、添加する炭素源の種類、炭素源の添加量、使用するマンガン鉱石の種類及びマンガン鉱石の添加量を変化させた試験を行い、マンガン鉱石添加による溶鋼中の炭素及びマンガンの挙動を調査した。試験では、炭素源を添加しない場合も行った。
試験結果を解析するにあたり、マンガン鉱石に含有される酸素によって脱炭反応を促進させるのみならず、マンガン鉱石中のマンガンを高い歩留りで溶鋼中に回収するためには、炭素源の添加により加炭される炭素を含めた溶鋼中の炭素質量とマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素質量とのマスバランスが影響すると考え、下記の(3)式で定められる、溶鋼中の炭素質量とマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素質量とのマスバランスと、マンガン鉱石中のマンガンの溶鋼への回収歩留りとの関係を調査した。
f(M.B)=(4/3)×(10×[%C]+ηC×0.01×WC)/(ηO×0.01×WMn) …(3)
但し、(3)式において、f(M.B)は、溶鋼中の炭素質量とマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素質量とのマスバランス、[%C]は、脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度(質量%)、ηCは、添加した炭素源中の炭素濃度(質量%)、WCは、炭素源の添加量(kg/溶鋼−ton)、ηOは、マンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度(質量%)、WMnは、マンガン鉱石の添加量(kg/溶鋼−ton)である。ここで、添加した炭素源中の炭素濃度(ηC)と炭素源の添加量(WC)との積が、添加した炭素源中の炭素質量に相当し、マンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度(ηO)とマンガン鉱石の添加量(WMn)との積が、マンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素質量に相当する。
図1に、上記試験において得られた、(3)式で算出される値とマンガン鉱石中のマンガンの溶鋼への回収歩留りとの関係を示す。ここで、マンガン鉱石中のマンガンの溶鋼への回収歩留りは、「100×[溶鋼に回収されたマンガン質量]/[マンガン鉱石中のマンガン質量]」で算出される値である。溶鋼に回収されたマンガン質量は、マンガン鉱石添加前後の溶鋼中マンガン濃度から求めることができる。
図1に示すように、(3)式の値が0.20以上であれば、溶鋼中の炭素及び炭素源から溶鋼中に移行した炭素によってマンガン鉱石が還元され、マンガン鉱石中のマンガンの溶鋼への回収歩留りが30%以上になることが確認できた。換言すれば、この場合には、溶鋼中に存在していた炭素及び炭素源から溶鋼中に移行した炭素は、マンガン鉱石中の酸素で効率良く脱炭されることになる。また、(3)式の値が0.30以上になると、マンガン鉱石中のマンガンの溶鋼への回収歩留りは60%以上確保されることから、(3)式の値が0.30以上となるようにすることが好ましい。
一方、(3)式の値が5.0を超えると、マンガン鉱石中のマンガンの溶鋼への回収歩留りは60%以上が確保されるが、溶鋼中に存在していた炭素質量或いは炭素源から溶鋼中に移行した炭素質量に対して、マンガン鉱石からの酸素の供給量が不足して脱炭速度が低下し、目標の脱炭精錬時間に対して5分間以上余分に費やした試験も認められた。つまり、(3)式の値が5.0を超えると、脱炭精錬時間が延長することから、真空脱ガス設備の生産性の観点から好ましくないことがわかった。
即ち、減圧下での脱炭精錬で炭素源を添加しない場合には、脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度、添加するマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度及びマンガン鉱石の添加量が、下記(1)式の関係を満たすことで、マンガン鉱石の添加量が過剰にならず、また不足することもなく、マンガン鉱石の還元が円滑に進行し、脱炭速度の促進及び溶鋼中のマンガン濃度の増加が得られることを知見した。
0.20≦(4/3)×10×[%C]/(ηO×0.01×WMn)≦5.0 …(1)
但し、(1)式において、[%C]は、脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度(質量%)、ηOは、マンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度(質量%)、WMnは、マンガン鉱石の添加量(kg/溶鋼−ton)である。
また、マンガン鉱石を添加する前の溶鋼中の炭素濃度が低く、そのままではマンガン鉱石の添加量が少なくなってしまう場合には、マンガン鉱石の添加と同時に或いはマンガン鉱石を添加する前に、炭素源を真空槽内の溶鋼に添加して溶鋼を加炭することで、溶鋼中の炭素濃度が確保され、脱炭速度の促進及び溶鋼中のマンガン濃度の増加が得られることを知見した。
この場合には、脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度、炭素源中の炭素濃度、炭素源の添加量、添加するマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度、及び、マンガン鉱石の添加量が、下記(2)式の関係を満たすことで、マンガン鉱石の添加量に対して溶鋼中の炭素濃度が過剰にならず、また不足することもなく、マンガン鉱石の還元が円滑に進行し、脱炭速度の促進及び溶鋼中のマンガン濃度の増加が得られることを知見した。
0.20≦(4/3)×(10×[%C]+ηC×0.01×WC)/(ηO×0.01×WMn)≦5.0 …(2)
但し、(2)式において、[%C]は、脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度(質量%)、ηCは、炭素源中の炭素濃度(質量%)、WCは、炭素源の添加量(kg/溶鋼−ton)、ηOは、マンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度(質量%)、WMnは、マンガン鉱石の添加量(kg/溶鋼−ton)である。尚、(2)式で炭素源の添加量(WC)がゼロの場合に(1)式と一致する。従って、炭素源の添加の有無に拘わらず、(2)式を満足するように、マンガン鉱石の添加量(WMn)を決めればよい。
マンガン酸化物には、MnO、Mn23、MnO2などの形態があり、マンガン鉱石中のマンガン酸化物を形態別に定量分析すれば、マンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度(ηO)を定量分析できるが、マンガン鉱石中のマンガン含有量の分析値からはマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度(ηO)を定量することはできない。そこで、マンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度(ηO)を定量する際に、下記の(4)式を用いることが好ましい。
ηO=ηO1−ηO2 …(4)
但し、(4)式において、ηO1は、マンガン鉱石中の全酸素濃度(質量%)、ηO2は、マンガン鉱石中のマンガン以外の酸化物(Al23、MgO、SiO2、CaO、FeO、Fe23、P25など)を形成している酸素濃度(質量%)の合計値である。
(4)式は、マンガン鉱石に含有される不純物成分は酸化物の形態で含有されることから、マンガン鉱石中の全酸素濃度を分析し、且つ、マンガン鉱石に含有される不純物成分を分析することで、マンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度(ηO)を間接的に求めるというものである。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、真空脱ガス設備の真空槽内の未脱酸状態の溶鋼に減圧下での脱炭精錬を施してマンガン含有低炭素鋼を溶製する際に、減圧下での脱炭精錬で炭素源を添加しない場合には、脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度及びマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度に対して上記(1)式を満足するように、減圧下での脱炭精錬中にマンガン鉱石を溶鋼に添加し、また、減圧下での脱炭精錬で炭素源を添加する場合には、脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度、炭素源中の炭素濃度、炭素源の添加量及びマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度に対して上記(2)式を満足するように、減圧下での脱炭精錬中にマンガン鉱石を溶鋼に添加することを必須条件とする。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
高炉から出銑された溶銑を溶銑鍋やトピードカーなどの溶銑搬送用容器で受銑し、次工程の脱炭精錬を行う転炉に搬送する。通常、この搬送途中で、溶銑に対して脱硫処理や脱燐処理などの溶銑予備処理が施されており、本発明においては、マンガン含有低炭素鋼の成分規格上からは溶銑予備処理が必要でない場合でも、安価なマンガン源としてマンガン鉱石を転炉内に添加し、転炉脱炭精錬におけるマンガン鉱石の歩留りを上昇させるために、溶銑予備処理、特に脱燐処理を実施することが好ましい。
転炉精錬は、マンガン源としてマンガン鉱石を添加しつつ、必要に応じて少量の生石灰などを造滓剤として用い、酸素ガスを上吹きまたは底吹きして大気圧下で溶銑の脱炭精錬を行う。この場合に、脱炭精錬終了後、転炉から取鍋などの溶鋼搬送容器への出鋼時に高炭素フェロマンガンなどの安価なマンガン系合金鉄をマンガン源として溶鋼に添加しても構わない。尚、次工程は、真空脱ガス設備での真空脱炭精錬(減圧下での脱炭精錬)であるので、出鋼時、溶鋼にはアルミニウム(Al)及び珪素(Si)を添加せず、つまり、アルミニウム及び珪素による脱酸を実施せずに、溶鋼を未脱酸状態のまま真空脱ガス設備に搬送する。
マンガン鉱石や高炭素フェロマンガンなどの安価なマンガン源を使用することにより、出鋼後の溶鋼中の炭素濃度は必然的に高くなるが、それでも、出鋼時にマンガン系合金鉄を添加する場合も含め、出鋼後の溶鋼中の炭素濃度を0.2質量%以下に抑えることが好ましい。溶鋼の炭素濃度が0.2質量%を超えると、次工程の真空脱ガス設備における真空脱炭処理に長時間を費やし、真空脱ガス設備の生産性の低下のみならず、真空脱炭処理時間の延長による温度補償として出鋼時の溶鋼温度を高くする必要が生じ、これに起因する鉄歩留りの低下や耐火物損耗量の増大などによって製造コストが上昇するので好ましくない。
次いで、この溶鋼をRH真空脱ガス装置またはDH真空脱ガス装置、VOD炉などの真空脱ガス設備に搬送し、溶鋼に対して真空脱ガス精錬を実施する。この真空脱ガス設備の代表的な設備はRH真空脱ガス装置であり、以下、真空脱ガス設備としてRH真空脱ガス装置を用いた例で説明する。図2に、本発明を実施する際に用いるRH真空脱ガス装置の概略縦断面図を示す。
図2において、1はRH真空脱ガス装置、2は取鍋、3は溶鋼、4はスラグ、5は真空槽、6は上部槽、7は下部槽、8は上昇側浸漬管、9は下降側浸漬管、10は環流用ガス吹き込み管、11はダクト、12は原料投入口、13は上吹きランスであり、真空槽5は上部槽6と下部槽7とから構成され、また、上吹きランス13は真空槽5の内部を上下移動が可能となっており、この上吹きランス13の先端(下端)から、酸素ガスが真空槽5の内部の溶鋼3の湯面に向けて吹き付けられるようになっている。
RH真空脱ガス装置1では、取鍋2を昇降装置(図示せず)にて上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋内の溶鋼3に浸漬させる。そして、環流用ガス吹き込み管10から上昇側浸漬管8の内部に環流用アルゴンガスを吹き込むとともに、真空槽5の内部をダクト11に連結される排気装置(図示せず)にて排気して真空槽5の内部を減圧する。真空槽5の内部が減圧されると、取鍋内の溶鋼3は、環流用ガス吹き込み管10から吹き込まれるアルゴンガスによるガスリフト効果によって、アルゴンガスとともに上昇側浸漬管8を上昇して真空槽5の内部に流入し、その後、下降側浸漬管9を経由して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。
溶鋼3の環流が形成されて溶鋼3が真空槽5の内部に流れ込むと、真空槽5の内部は減圧された状態であり、且つ、溶鋼3は未脱酸状態で溶存酸素を含有するので、溶鋼中の溶存酸素と溶鋼中の炭素との反応(C+O→CO)、つまり脱炭反応が起こり、溶鋼3に含まれる炭素はCOガスとなって排ガスとともに真空槽5からダクト11を介して排出され、溶鋼3に真空脱炭精錬が施される。
真空脱炭精錬が開始されたなら、真空槽内の溶鋼3にマンガン鉱石を添加する。このマンガン鉱石は溶鋼中の炭素と反応するものであることから、マンガン鉱石の添加開始時期は、溶鋼中の炭素濃度が高い時期ほど望ましく、つまり真空脱炭精錬のなるべく早い時期が望ましく、従って、マンガン鉱石は、真空脱炭精錬が開始されたなら直ちに添加することが好ましい。真空槽内へのマンガン鉱石の添加は、原料投入口12から行うことができるが、上吹きランス13を多重管構造とし、このような上吹きランス13から搬送用ガスとともに粉体のマンガン鉱石を吹き付け添加することもできる。添加するマンガン鉱石のサイズは、添加方法に応じて設定すればよい。
マンガン鉱石の添加の際は、マンガン鉱石の添加量が(1)式の範囲内となるように、脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度及びマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度に応じて調整する。
この場合に、マンガン鉱石を添加する前の溶鋼中の炭素濃度が低く、そのままではマンガン鉱石の添加量が少なくなってしまう場合には、マンガン鉱石の添加と同時、或いはマンガン鉱石を添加する前に、炭素源を真空槽内の溶鋼3に添加して加炭し、溶鋼中の炭素濃度を確保することが好ましい。
炭素源を添加する場合には、マンガン鉱石の添加量が(2)式の範囲内となるように、脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度、炭素源中の炭素濃度、炭素源の添加量及びマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度に応じて調整する。
使用する炭素源としては、コークス、無煙炭、山西炭などの炭素質物質、または、高炭素フェロマンガン、低炭素フェロマンガンなどの安価なマンガン系合金鉄などがあり、溶鋼成分に応じて使用する炭素源を決めることができる。つまり、マンガンを含有する溶鋼3を溶製することから、溶製する溶鋼3のマンガン濃度規格が高い場合には、マンガン系合金鉄を用いることが有効である。炭素源の添加は、原料投入口12から行う。
真空脱炭精錬におけるマンガン鉱石の添加量は、0.5kg/溶鋼−ton以上5kg/溶鋼−ton以下が好ましい。マンガン鉱石の添加量が0.5kg/溶鋼−ton未満では、添加量が少なすぎて、酸素源としての効果も、また、マンガン源としての効果も十分に得られない。一方、マンガン鉱石の添加量が5kg/溶鋼−tonを超えると、熱ロスが大きくなり、熱補償のために却って製造コストが高くなる。また、マンガン鉱石添加時の溶鋼3の温度は1580℃以上1650℃以下の範囲が好ましい。溶鋼温度が低すぎるとマンガン鉱石が溶融せず、逆に、高すぎるとマンガンが蒸発によってロスする。
真空脱炭精錬は、溶存酸素が溶鋼中炭素濃度に比較して化学量論的に大量に存在する場合には、上吹きランス13から酸素ガスを供給しなくても、溶存酸素と酸素源として添加するマンガン鉱石とで、溶鋼3を目標値まで脱炭することができる。しかし、溶存酸素は脱炭反応の進行に伴って減少し、脱炭反応速度が徐々に低下するので、これを防止して脱炭反応速度を促進させるために、上吹きランス13から酸素ガスを供給して溶存酸素濃度を高め、真空脱炭精錬を行うことが好ましい。
但し、上吹きランス13からの酸素ガスの供給は、真空脱炭精錬中に連続して行う必要はなく、マンガン鉱石中のマンガンの溶鋼3への回収歩留りを向上させるために、マンガン鉱石の添加が完了した後に行うことが好ましく、また、脱炭速度が低下する真空脱炭精錬の末期のみとするなどとしても構わない。添加されたマンガン鉱石中の酸素は溶鋼中の炭素を除去するための酸素源として機能し、溶鋼3の脱炭反応が促進される。一方、マンガン鉱石中のマンガンは、マンガン鉱石中の酸素が除去されることで金属マンガンとなり、溶鋼中に移行して溶鋼3のマンガン濃度が上昇する。
このようにして真空脱炭精錬を所定時間継続し、溶鋼3の炭素濃度が成分規格値以下の所定の値となったなら、原料投入口12から溶鋼3に金属アルミニウムなどの強脱酸剤を添加して溶鋼3を脱酸処理する。上吹きランス13から酸素ガスを供給していた場合には、金属アルミニウムなどの強脱酸剤の添加に前後して上吹きランス13からの酸素ガスの供給を停止する。金属アルミニウムなどの強脱酸剤の添加により溶鋼3の溶存酸素濃度は急激に低下して、真空脱炭精錬が終了する。
真空脱炭処理の終了後、要求される溶鋼温度に対して、溶鋼温度が低い場合には、原料投入口12から真空槽内の溶鋼3に金属アルミニウムを添加し、上吹きランス13から溶鋼湯面に酸素ガスを吹き付けて溶鋼中のアルミニウムを燃焼させ、このアルミニウムの燃焼熱を利用して溶鋼温度を上昇させる。更にその後、数分間程度の環流を継続し、必要に応じて、アルミニウム、珪素、マンガン、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)などの成分調整剤を原料投入口12から溶鋼3に投入して溶鋼3の成分を調整する。その後、真空槽5の内部を大気圧に戻してRH真空脱ガス精錬を終了し、マンガン含有低炭素鋼を溶製する。
以上説明したように、本発明によれば、真空脱ガス設備における減圧下での脱炭精錬を施してマンガン含有低炭素鋼を溶製する際に、マンガン源として安価なマンガン鉱石を利用し、且つ、マンガン鉱石の添加量を、溶鋼中の炭素濃度及びマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度に応じて最適化する、更に減圧下での脱炭精錬時に炭素源を添加した場合には、炭素源中の炭素濃度及び炭素源の添加量をも考慮して最適化するので、マンガン鉱石に含有される酸素によって脱炭反応が促進されるのみならず、マンガン鉱石中のマンガンを高い歩留りで鋼中に回収することができ、その結果、高価な電解マンガンの使用量を削減することが可能となり、マンガン含有低炭素鋼の製造コストを従来に比較して大幅に削減することが達成される。
尚、上記説明では真空脱ガス設備としてRH真空脱ガス装置1を例として説明したが、上記に準じて実施することにより、DH真空脱ガス装置やVOD炉などの他の真空脱ガス設備にも本発明を適用することができる。
高炉から出銑された溶銑に対して脱硫処理、脱燐処理の溶銑予備処理を施し、この溶銑を用いて転炉脱炭精錬して溶鋼を溶製し、次いで、得られた溶鋼をRH真空脱ガス装置で真空脱炭精錬してマンガン含有低炭素鋼を溶製する試験(試験番号1〜16)を実施した。一部の試験では、転炉にてマンガン源としてマンガン鉱石を添加して溶鋼中マンガン濃度を上昇させ、得られた350トンの溶鋼を未脱酸のまま取鍋に出鋼した。出鋼時の溶鋼成分は、炭素濃度が0.01〜0.07質量%、珪素濃度が0.05質量%以下、マンガン濃度が0.08〜0.17質量%、燐濃度が0.03質量%以下、硫黄濃度が0.003質量%以下であった。
転炉から取鍋へ出鋼した溶鋼をRH真空脱ガス装置に搬送し、真空脱炭精錬の処理条件を種々変更してマンガン含有極低炭素鋼を溶製した。RH真空脱ガス装置への到着時の溶鋼中の溶存酸素濃度は、0.03〜0.08質量%であった。
RH真空脱ガス装置では、全ての試験で、環流用アルゴンガス流量を1500NL/min、上吹きランスからの酸素ガス供給流量(送酸速度)を3000Nm3/hr、酸素ガス供給時の上吹きランスのランス高さ(ランス先端と真空槽内溶鋼湯面との距離)を5m一定とし、上吹きランスからの酸素ガス供給による真空脱炭精錬時の真空槽の到達真空度は6.7〜40kPaとした。
RH真空脱ガス装置での真空脱炭精錬開始直後、一部の試験では炭素源として、マンガン系合金鉄(高炭素フェロマンガン(FMnH)、低炭素フェロマンガン(FMnL))及びコークスを添加した。高炭素フェロマンガン、低炭素フェロマンガン及びコークスの炭素含有量は、それぞれ、高炭素フェロマンガンが6.7質量%、低炭素フェロマンガンが1.0質量%、コークスが99質量%であった。また、マンガン系合金鉄のマンガン含有量は、いずれも約75質量%であった。
RH脱ガス精錬終了後の目標溶鋼中炭素濃度は、0.003質量%以下、目標マンガン濃度は、0.12〜0.72質量%である。真空脱炭精錬終了後の溶鋼成分でマンガン濃度が不足する場合には、電解マンガンを用いて成分調整を行った。
表1に、使用したマンガン鉱石A〜Cの組成、並びに、マンガン鉱石中の全酸素濃度(ηO1)、マンガン鉱石中のマンガン以外の酸化物(Al23、MgO、SiO2、CaO、FeO、Fe23、P25)を形成している酸素濃度の合計値(ηO2)、及び、(4)式から算出されるマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成している酸素濃度(ηO)を示す。使用したマンガン鉱石のマンガン含有量(表1のTotal.Mn)は、37.8〜56.3質量%であり、マンガン鉱石の粒度は1〜20mmであった。
Figure 0006028750
また、表2に各試験操業における溶鋼条件、添加した炭素源の種類及び添加量、使用したマンガン鉱石の種類及び添加量、(3)式の値(炭素源を添加しない試験は、炭素源の添加量(WC)=0として計算)、上吹きランスからの酸素ガス供給(送酸)の、マンガン鉱石添加に対する時期(タイミング)、真空脱炭精錬での脱炭速度、真空脱炭精錬後のマンガン鉱石中マンガンの溶鋼中への回収歩留りなどを示す。ここで、真空脱炭精錬での脱炭速度とは、真空脱ガス精錬前から真空脱炭精錬終了までの脱炭量を真空脱炭精錬時間で除算した値である。炭素源の添加量は、0.2〜9.2kg/溶鋼−ton、マンガン鉱石の添加量は0.5〜9.1kg/溶鋼−tonであり、原料投入口を通して真空槽内にそれぞれ添加した。この操業方法では、マンガン鉱石添加前の溶鋼成分は、RH真空脱ガス装置での精錬前の溶鋼成分と一致する。尚、表2の備考欄には、本発明の範囲の試験は「本発明例」と表示し、それ以外は「比較例」と表示している。
Figure 0006028750
表2に示すように、真空脱炭精錬時のマンガン鉱石添加量が(1)式及び(2)式の範囲を満足する試験番号1〜10(本発明例)では、真空脱炭精錬での脱炭速度が0.0062〜0.0083質量%/minであり、マンガン鉱石添加量が(1)式及び(2)式の範囲を満足しない試験番号11〜16(比較例)に比べて高く、また、マンガン鉱石中マンガンの溶鋼への回収歩留りも61.6%以上であり、比較例に対して高くなっていた。これは、マンガン鉱石中のマンガン酸化物が溶鋼中の炭素で還元されることによって酸素源として機能し、脱炭速度を向上させた効果であると考えられる。
また、本発明例のなかでも、マンガン鉱石の添加完了後に上吹きランスから送酸して真空脱炭精錬を行った試験9、10では、マンガンの溶鋼への回収歩留りはそれぞれ78.7%、77.8%となり、マンガン鉱石の添加が完了する前に送酸を実施した試験1〜8に比べて高い回収歩留りが得られた。
一方、(3)式の値が5.0を超えた試験番号12、14、16では、マンガンの溶鋼への回収歩留りは本発明例と比較して遜色ないものの、溶鋼中に炭素が過剰に存在し、マンガン鉱石からの酸素の供給量が不足し、その結果、脱炭速度が他の試験に比較して大幅に低下し、真空脱炭精錬時間が延長した。
また、(3)式の値が0.20未満である試験番号11、13、15では、溶鋼中のマンガン鉱石を還元する炭素質量が添加したマンガン鉱石中のマンガン酸化物を形成している酸素質量(酸素濃度(ηO)とマンガン鉱石の添加量(WMn)との積)よりも少なかったために、マンガン鉱石が還元されず、マンガンの溶鋼への回収歩留り及び脱炭速度がともに低位であった。
1 RH真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 スラグ
5 真空槽
6 上部槽
7 下部槽
8 上昇側浸漬管
9 下降側浸漬管
10 環流用ガス吹き込み管
11 ダクト
12 原料投入口
13 上吹きランス

Claims (3)

  1. 真空槽内の溶鋼に酸素ガスを供給するためのランスを備えている真空脱ガス設備の真空槽内の未脱酸状態の溶鋼に減圧下での脱炭精錬を施すマンガン含有低炭素鋼の溶製方法であって、
    前記脱炭精錬中に、前記溶鋼にマンガン鉱石を添加し、マンガン鉱石に含有される酸素で溶鋼中の炭素を脱炭すると同時に、マンガン鉱石中のマンガンを合金成分として溶鋼中に回収するにあたり、
    前記マンガン鉱石を、当該マンガン鉱石の添加量が脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度及びマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度に対して下記の(1)式の関係を満足する範囲内となるように添加し、
    前記マンガン鉱石の添加が完了した以降に、前記ランスから真空槽内の溶鋼に酸素ガスを供給して酸素ガスによる減圧下での脱炭精錬を行うことを特徴とする、マンガン含有低炭素鋼の溶製方法。
    0.20≦(4/3)×10×[%C]/(ηO×0.01×WMn)≦5.0 …(1)
    但し、(1)式において、[%C]は、脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度(質量%)、ηOは、マンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度(質量%)、WMnは、マンガン鉱石の添加量(kg/溶鋼−ton)である。
  2. 真空脱ガス設備の真空槽内の未脱酸状態の溶鋼に減圧下での脱炭精錬を施すマンガン含有低炭素鋼の溶製方法であって、
    前記脱炭精錬中に、前記溶鋼に、マンガン鉱石と同時に炭素源を添加する、または、炭素源を添加した後にマンガン鉱石を添加し、マンガン鉱石に含有される酸素で溶鋼中の炭素を脱炭すると同時に、マンガン鉱石中のマンガンを合金成分として溶鋼中に回収するにあたり、
    前記マンガン鉱石を、当該マンガン鉱石の添加量が脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度、前記炭素源中の炭素濃度、前記炭素源の添加量及びマンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度に対して下記の(2)式の関係を満足する範囲内となるように添加することを特徴とする、マンガン含有低炭素鋼の溶製方法。
    0.20≦(4/3)×(10×[%C]+ηC×0.01×WC)/(ηO×0.01×WMn)≦5.0 …(2)
    但し、(2)式において、[%C]は、脱ガス精錬開始前の溶鋼中炭素濃度(質量%)、ηCは、炭素源中の炭素濃度(質量%)、WCは、炭素源の添加量(kg/溶鋼−ton)、ηOは、マンガン鉱石中のマンガン化合物を形成する酸素濃度(質量%)、WMnは、マンガン鉱石の添加量(kg/溶鋼−ton)である。
  3. 前記真空脱ガス設備は真空槽内の溶鋼に酸素ガスを供給するためのランスを備えており、前記マンガン鉱石の添加が完了した以降に、前記ランスから真空槽内の溶鋼に酸素ガスを供給して酸素ガスによる減圧下での脱炭精錬を行うことを特徴とする、請求項2に記載のマンガン含有低炭素鋼の溶製方法。
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