JPWO2018155334A1 - 鋼の溶製方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2017年2月21日に、日本に出願された特願2017−029645号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
そこで、従来より、ノズルの加熱やノズル等の溶鋼経路へのArガスの吹き込みを実施することにより、アルミナや地金の付着を抑制する技術が実施されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
(1)本発明の一態様は、MnとTiを含有するAlキルド鋼からなる鋼の溶製方法であって、転炉において一次精錬を行う一次精錬工程と、前記転炉から処理炉に溶鋼を移送し、前記処理炉において、前記溶鋼にAl原料、Mn原料、及びTi原料を供給して成分組成を調整する二次精錬工程と、を備え、前記二次精錬工程では、前記処理炉内の前記溶鋼に対し、前記Al原料の供給を行い、その後、前記Mn原料の供給及び前記Ti原料の供給をこの順又は同時に行う、又は、前記処理炉内の前記溶鋼に対し、前記Al原料の供給及び前記Mn原料の供給をこの順又は同時に行い、その後、前記Ti原料の供給を行う。
(3)上記(2)に記載の鋼の溶製方法では、前記Al原料の供給を完了してから30秒以上経過後に前記Mn原料の供給を開始してもよい。
(4)上記(2)又は(3)に記載の鋼の溶製方法では、前記二次精錬工程において、前記Al原料の供給を行い、その後、前記Mn原料の供給及び前記Ti原料の供給をこの順に行ってもよい。
(5)上記(4)に記載の鋼の溶製方法では、前記Mn原料の供給を完了してから30秒以上経過後に前記Ti原料の供給を開始してもよい。
(6)上記(2)〜(5)のいずれか一項に記載の鋼の溶製方法では、前記Al原料を前記溶鋼に供給する際の前記溶鋼中の酸素が質量比で150ppm以上であってもよい。
(8)上記(7)に記載の鋼の溶製方法では、前記Mn原料の供給を完了してから30秒以上経過後に前記Ti原料の供給を開始してもよい。
(10)上記(9)に記載の鋼の溶製方法では、前記Al原料の供給の開始1分前から前記Al原料の供給の終了1分後までの期間、前記Mn原料の供給の開始1分前から前記Mn原料の供給の終了1分後までの期間、及び、前記Ti原料の供給の開始1分前から、前記Ti原料の供給の終了1分後までの期間においては、前記酸素の吹き込みを行わなくてもよい。
(11)上記(1)〜(10)のいずれか一項に記載の鋼の溶製方法では、前記二次精錬工程の完了時の溶鋼が、質量比で、C:0.0013%以上0.040%以下、Al:0.01%以上0.10%以下、Mn:0.20%以上3.00%以下、Ti:0.004%以上0.100%以下、を含有してもよい。
上記(4)に記載の鋼の溶製方法によれば、処理炉内の溶鋼上において、Mn原料とAl原料との共存が回避されるだけでなく、Mn原料とTi原料との共存も回避されるため、MnとAlの複合酸化物(MnO・Al2O3)、及び、MnとTiの複合酸化物(MnO・TiOX)の生成を抑制することができる。従って、溶鋼経路の閉塞を更に抑制することが可能となる。
上記(5)に記載の鋼の溶製方法によれば、供給したMn原料が溶鋼中に溶解して均一に分散した状態でTi原料が供給される。これにより、処理炉内の溶鋼上において、Mn原料とTi原料との共存がより確実に回避され、MnとTiの複合酸化物(MnO・TiOX)の生成を更に抑制することが可能となる。
また、(6)に記載された方法のように、溶鋼中酸素が質量比で150ppm以上の高い状態であっても、上述の溶製方法によれば、Al原料を供給してAl原料が溶融した後にMn原料を供給するため、Al原料の供給により溶鋼中の酸素含有量を十分に低減することが可能となるため、MnとAlの複合酸化物(MnO・Al2O3)の生成を抑制することが可能となる。従って、Mn及びTiを含むAlキルド鋼を連続鋳造した場合であっても、溶鋼経路の閉塞を抑制でき、安定した鋳造を行うことが可能となる。
上記(8)に記載の鋼の溶製方法によれば、供給したMn原料が溶鋼中に溶解して均一に分散した状態でTi原料が供給される。これにより、処理炉内の溶鋼上においてMn原料とTi原料との共存がより確実に回避され、MnとTiの複合酸化物(MnO・TiOX)の生成を更に抑制することが可能となる。
上記(10)に記載の鋼の溶製方法によれば、酸素吹き込み直後の酸素濃度の高い溶鋼にTi,Al,Mnの供給と同時に酸素の吹き込みを実施しないため、Alの酸化物、Mnの酸化物、及びTiの酸化物が過剰に生成してしまうことを防ぐことができる。なお、従来は、処理炉において酸素の吹き込みを行うと介在物が増加する懸念があるため、転炉の吹止温度を高く設定し、処理炉における酸素の吹き込みの実施を制限していたが、上述のように酸素の吹き込みのタイミングを適正化することで、処理炉において溶鋼温度を上昇させることが可能となる。よって、転炉の吹止温度を必要以上に高く設定する必要はなく、エネルギーコストの削減を図ることもできる。
上記(11)に記載の鋼の溶製方法によれば、二次精錬工程の完了時に、質量比で、C:0.0013% 以上%以上0.040%以下、Al:0.01%以上0.10%以下、Mn:0.20%以上3.00%以下、Ti:0.004%以上0.100%以下、を含有する溶鋼を得ることができる。
また、MnとAlの複合酸化物(MnO・Al2O3)、及び、MnとTiの複合酸化物(MnO・TiOX)は融点が低く、溶鋼中では固液二相共存状態又は液相状態の介在物として存在するが、これらの複合酸化物は、MnOがAlやTiにより還元されてAlとTiの複合酸化物(Al2O3・TiOX)となると、融点が高くなり、溶鋼経路の閉塞の要因となる、との知見を得た。
以下、本発明の第一実施形態に係る鋼の溶製方法について説明する。
本実施形態に係る鋼の溶製方法は、MnとTiを含有するAlキルド鋼からなる鋼の溶製方法であり、一次精錬工程と二次精錬工程とを有する。
従って、二次精錬工程の完了時の溶鋼は、質量比で、C:0.0013%以上0.040%以下、Al:0.01%以上0.10%以下、Mn:0.20%以上3.00%以下、Ti:0.004%以上0.100%以下、を含有するように成分が調整される。
好ましくは、二次精錬工程の完了時の溶鋼は、質量比で、C:0.0032%以上0.040%以下、Al:0.01%以上0.10%以下、Mn:0.20%以上3.00%以下、Ti:0.004%以上0.100%以下、を含有するように成分が調整される。
この処理炉10は、図1に示すように、真空槽11と、真空槽11内のガスを外部に排出する排気部12と、溶鋼を真空槽11内に吸い上げる吸上管13と、真空槽11内の溶鋼を排出する排出管15と、真空槽11内の溶鋼に対して原料(添加材)を供給する元素供給部17と、を備えている。なお、吸上管13には、不活性ガス(本実施形態ではArガス)を導入する不活性ガス導入手段14が配設されている。
尚、本実施形態に係る鋼の溶製方法においては、Mn原料の供給とTi原料の供給は、この順に行ってもよく、同時に行ってもよい。
すなわち、処理炉内の溶鋼中には、例えばMnOやAl2O3が単独で存在することになり、添加されるTiによってMnOが還元されても、高融点のAlとTiの複合酸化物(Al2O3・TiOX)が生成せず、溶鋼経路の閉塞を抑制することが可能となる。これにより、予定した連々鋳回数を安定して実施することが可能となる。
通常、酸素含有量が質量比で150ppm以上である溶鋼に対してAl原料とMn原料を用いて二次精錬を行うと、MnとAlの複合酸化物(MnO・Al2O3)が生成しやすい。しかしながら、本実施形態に係る鋼の溶製方法によれば、Al原料を供給してAl原料が溶融した後にMn原料を供給するため、Al原料の供給により溶鋼中の酸素含有量を十分に低減することが可能となる。従って、Al原料を溶鋼に供給する際の溶鋼の酸素含有量が質量比で150ppm以上であっても、MnとAlの複合酸化物(MnO・Al2O3)の生成を抑制することが可能となる。従って、Mn及びTiを含むAlキルド鋼を連続鋳造した場合であっても、溶鋼経路の閉塞を抑制でき、安定した鋳造を行うことが可能となる。
なお、Al原料を真空槽11内の溶鋼に供給してから1分以上経過した後にMn原料を供給することが更に好ましい。
酸素の吹き込みを行う場合には、供給したTi、Al、Mnの酸化を抑制し、過剰なTi酸化物、Al酸化物、Mn酸化物が生成することを抑制するために、Al原料、Mn原料、Ti原料の供給タイミングと酸素ガスの吹き込みタイミングとを1分以上ずらすことが好ましい。
換言すると、図2に示すように、Al原料供給の開始1分前からAl原料供給の終了1分後までの期間、Mn原料供給の開始1分前からMn原料供給の終了1分後までの期間、及び、Ti原料供給の開始1分前からTi原料供給の終了1分後までの期間においては、酸素の吹き込みを実施しないことが好ましい。
これにより、その後にTiを添加しても、高融点のAlとTiの複合酸化物(Al2O3・TiOX)の生成が抑制され、溶鋼経路の閉塞が発生しにくくなり、予定された連々鋳回数を安定して実施することが可能となる。また、介在物の巻き込みを抑制することができ、高品質な鋳片を製造することができる。
また、酸素の吹き込みを行うことにより、真空槽11内の溶鋼を昇温することができることから、転炉の吹止温度を必要以上に高く設定する必要はなく、エネルギーコストの削減を図ることができる。
この場合、Mn原料を供給してMn原料が溶融した後にTi原料が供給されるため、処理炉内の溶鋼上において、Mn原料とTi原料との共存が回避される。従って、MnとTiの複合酸化物(MnO・TiOX)の生成も抑制することができる。
このMnとTiの複合酸化物(MnO・TiOX)は、溶鋼中のAlによって還元されることにより、AlとTiの複合酸化物(Al2O3・TiOX)を生成するため、MnとAlの複合酸化物(MnO・Al2O3)と同様にノズル等の溶鋼経路の内壁に付着し、溶鋼経路の閉塞の原因となる。
従って、MnとAlの複合酸化物(MnO・Al2O3)の生成とMnとTiの複合酸化物(MnO・TiOX)の生成を共に回避することにより、溶鋼経路の閉塞をより確実に防ぐことが可能となる。
以下、本発明の第二実施形態に係る鋼の溶製方法について説明する。
本実施形態に係る鋼の溶製方法は、二次精錬工程において、処理炉内の溶鋼に対しAl原料、Mn原料、及びTi原料を供給する順序が第一実施形態と異なるものであり、以下においては第一実施形態の説明と重複する説明は省略する。
尚、本実施形態に係る鋼の溶製方法においては、Al原料の供給とMn原料の供給は、この順に行ってもよく、同時に行ってもよい。
すなわち、処理炉内の溶鋼中には、例えばMnOやTiOXが単独で存在することになり、溶鋼中に含まれるAlによってMnOが還元されても、高融点のAlとTiの複合酸化物(Al2O3・TiOX)が生成せず、溶鋼経路の閉塞を抑制することが可能となる。これにより、予定した連々鋳回数を安定して実施することが可能となる。
好ましくは、Mn原料を真空槽11内の溶鋼に供給してから1分以上経過した後にTi原料を供給することが好ましい。
これにより、高融点のAlとTiの複合酸化物(Al2O3・TiOX)の生成が抑制され、溶鋼経路の閉塞が発生しにくくなり、予定された連々鋳回数を安定して実施することが可能となる。また、介在物の巻き込みを抑制することができ、高品質な鋳片を製造することができる。
例えば、本実施形態では、真空槽で構成された処理炉を用いるものとして説明したが、これに限定されることはなく、二次精錬を実施する処理炉であれば、本発明を適用することができる。
表1に示す範囲の組成の溶鋼を用いて、垂直曲げ型連続鋳造機(以下、連鋳機)により鋳造してスラブを製造した。なお、表1の鋼種2は極低炭材であり、転炉では未脱酸出鋼しており、RHで脱炭処理後、Al原料の供給、及び、Mn原料の供給を行う前の溶鋼中酸素は約500ppmであった。
A:8連々鋳において、いずれのチャージでもノズル閉塞の傾向が見られなかったケース
B:8連々鋳において、1チャージのみでノズル閉塞の傾向が見られたケース
C:8連々鋳において、2チャージのみでノズル閉塞の傾向が見られたケース
D:8連々鋳において、3チャージ以上でノズル閉塞の傾向が見られたケース(比較例)
E:8連々鋳において、ノズル閉塞が発生したケース(比較例)
「ノズル閉塞の傾向が見られたケース」とは、鋳造開始前の付着物のないノズル断面積に対する、鋳造完了後の付着物を含むノズル断面積の割合が95%以下となったケースを意味し、「ノズル閉塞が発生したケース」とは、鋳造開始前の付着物のないノズル断面積に対する鋳造完了後の付着物を含むノズル断面積の割合が75%以下となったケースを意味する。
11:真空槽
12:排気部
13:吸上管
14:不活性ガス導入手段
15:排出管
17:元素供給部
Claims (11)
- MnとTiを含有するAlキルド鋼からなる鋼の溶製方法であって、
転炉において一次精錬を行う一次精錬工程と、
前記転炉から処理炉に溶鋼を移送し、前記処理炉において、前記溶鋼にAl原料、Mn原料、及びTi原料を供給して成分組成を調整する二次精錬工程と、
を備え、
前記二次精錬工程では、
前記処理炉内の前記溶鋼に対し、前記Al原料の供給を行い、その後、前記Mn原料の供給及び前記Ti原料の供給をこの順又は同時に行う、又は、
前記処理炉内の前記溶鋼に対し、前記Al原料の供給及び前記Mn原料の供給をこの順又は同時に行い、その後、前記Ti原料の供給を行う
ことを特徴とする鋼の溶製方法。 - 前記二次精錬工程では、
前記Al原料の供給を行い、その後、前記Mn原料の供給及び前記Ti原料の供給をこの順又は同時に行う
ことを特徴とする請求項1に記載の鋼の溶製方法。 - 前記Al原料の供給を完了してから30秒以上経過後に前記Mn原料の供給を開始する
ことを特徴とする請求項2に記載の鋼の溶製方法。 - 前記二次精錬工程では、
前記Al原料の供給を行い、その後、前記Mn原料の供給及び前記Ti原料の供給をこの順に行う
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の鋼の溶製方法。 - 前記Mn原料の供給を完了してから30秒以上経過後に前記Ti原料の供給を開始する
ことを特徴とする請求項4に記載の鋼の溶製方法。 - 前記Al原料を前記溶鋼に供給する際の前記溶鋼中の酸素が質量比で150ppm以上である
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の鋼の溶製方法。 - 前記二次精錬工程では、
前記Al原料の供給及び前記Mn原料の供給をこの順又は同時に行い、その後、前記Ti原料の供給を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の鋼の溶製方法。 - 前記Mn原料の供給を完了してから30秒以上経過後に前記Ti原料の供給を開始する
ことを特徴とする請求項7に記載の鋼の溶製方法。 - 前記二次精錬工程において酸素の吹き込みを行う
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の鋼の溶製方法。 - 前記Al原料の供給の開始1分前から前記Al原料の供給の終了1分後までの期間、前記Mn原料の供給の開始1分前から前記Mn原料の供給の終了1分後までの期間、及び、前記Ti原料の供給の開始1分前から、前記Ti原料の供給の終了1分後までの期間においては、前記酸素の吹き込みを行わない
ことを特徴とする請求項9に記載の鋼の溶製方法。 - 前記二次精錬工程の完了時の前記溶鋼が、質量比で、
C:0.0013%以上0.040%以下、
Al:0.01%以上0.10%以下、
Mn:0.20%以上3.00%以下、
Ti:0.004%以上0.100%以下、
を含有する
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の鋼の溶製方法。
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