JP2011202274A - 鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板ならびにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面性状が良好で優れたプレス成形性を有する鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で,C:0.0005%以上0.010%未満,Si:0.40%以下,Mn:2.50%以下,P:0.10%以下,S:0.010%未満,sol.Al:0.0050%未満,N:0.005%以下,sol.Ti:0.20%以下、Nb:0.010%以上0.20%以下及びO:0.015%以下であると共に,sol.Ti:0.003%以上又はSi:0.020%超であり、更にsol.TiおよびNbの含有量が、CおよびNの含有量と特定の関係式を満足する化学組成を有し、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量がTiO2換算で50.0質量%以上でありNb酸化物の含有量がNbO換算で1.0質量%未満であることを特徴とする鋼板。
【選択図】図1

Description

本発明は、プレス加工等により様々な形状に成形して利用される、鋼板ならびに溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛合金めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以下、これらの鋼板を「溶融亜鉛めっき鋼板」と総称する。)とそれらの製造方法に関する。特に、本発明は、プレス成形性に優れ、表面性状の良好な、鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板ならびにそれらの製造方法に関する。
産業技術分野が高度に分業化した今日、各技術分野において用いられる材料には、特殊かつ高度な性能が要求されている。例えば、プレス成形して使用される冷延鋼板についても、プレス形状の多様化に伴い、より優れた成形性が必要とされている。特に、自動車用鋼板に関しては、地球環境への配慮から、車体を軽量化して燃費を向上させるために、薄肉高成形性冷延鋼板の需要が著しく高まってきている。プレス成形においては、使用される鋼板の厚さが薄いほど、割れやしわが発生しやすくなるため、より深絞り性や延性に優れた鋼板が必要とされる。
これまでに、深絞り用冷延鋼板として、極低炭素鋼にTiを添加した、いわゆるTi−IF鋼板について多くの提案がなされてきている。Ti添加極低炭素冷延鋼板では、鋼中のC、NがTiCやTiNとして析出固定されるために、焼鈍時に深絞り性に好ましい再結晶集合組織が形成され、優れた成形性を得ることができる。しかし、Ti添加極低炭素冷延鋼板を素材として、溶融亜鉛めっきを施すと、めっき表面に筋状の模様が発生し、外観を損ねる場合がある。この筋模様は、圧延方向に沿うめっき層の凹凸ムラにより、めっき表面に色調差が生じて認識されるものである。この凹凸の程度によっては、塗装後にも認められるため、例えばルーフ、フード、ドアのアウターパネルやサイドアウターパネル等といった美麗な外観が要求される自動車外板パネルにおいては、重大な欠陥となり忌避される。
Ti添加極低炭素溶融亜鉛めっき鋼板の筋模様を抑制する方法に関しては、いくつかの提案がなされている。例えば、特許文献1には、Ti含有量に応じて熱間圧延前のスラブ加熱温度を低下させ、地鉄表層部の結晶粒径または集合組織を均一化することにより、筋ムラを防止する技術が開示されている。しかし、スラブ加熱温度が低いと、熱間圧延の温度域が低下し、鋼板の変形抵抗が増す。このため、広幅材の圧延ができなくなるなど、製造上の問題が生じる。
特許文献2には、Caを添加してサルファイド系介在物を他の複合介在物に変化させることにより、筋模様を防止する方法が開示されている。しかし、Caは高価であり歩留まりも悪いため、製造コストの上昇を招き、また、発錆の原因となる場合もある。
特許文献3には、熱延仕上げ終了温度を高め、焼鈍後に未再結晶組織を残さないようにすることにより、筋模様を防止する方法が、特許文献4には、同じく熱延仕上げ終了温度を高めることにより、焼鈍後の集合組織を制御し、筋模様を抑制する方法が開示されている。しかし、これらのように熱延仕上げ温度を高くする方法は、スケール疵の発生を招くために、好ましくない。
また、特許文献5には、めっきの凹凸化を防ぐために、Ti量を低減し、機械特性を確保するためにNbを含有させる技術が開示されている。しかし、Nb量の増加により再結晶温度が上昇するため、高温で焼鈍する必要がある。その結果、生産性が損なわれるばかりか、表面疵が発生しやすくなる。
Ti−Nb添加極低炭素冷延鋼板の製造技術に関しては、特許文献6、7に、酸可溶性Al(sol.Al)量を低減することにより再結晶温度を低下させる方法が開示されている。
特開平7−228944号公報 特開平5−9549号公報 特開2001−342522号公報 特開平10−18011号公報 特開平3−180429号公報 特開昭62−30822号公報 特開平10−226843号公報
上述の特許文献6において開示される技術は、溶鋼の脱酸をAlによって行い、残存するsol.Alを微量に抑え、再結晶温度を低下させる方法である。しかし、脱酸不足が生じやすく鋼中の気泡に起因する表面欠陥が避けられず、自動車外装用鋼板に適用できるだけの表面性状を得ることができない。
特許文献7において開示される技術は、溶鋼の脱酸をTiによって行い、sol.Alを極微量とする方法である。この方法には、Alキルド鋼でしばしば問題となる、アルミナクラスターに起因する表面欠陥の発生を防止できるという利点もある。しかし、本発明者らが検討を重ねた結果、Ti脱酸によってTi−Nb極低炭素冷延鋼板を製造した場合、再結晶温度はAl脱酸で製造した場合よりも低くなるが、深絞り性の指標であるランクフォード値(r値)は良好でないときがあることが判明した。
本発明は、そのような問題点を解決するためになされたものであり、さらに具体的にはその課題は、優れたプレス成形性を有する鋼板を提供すること、ならびに、筋模様がなく表面性状が良好で、かつ、優れたプレス成形性を有する、溶融亜鉛めっき鋼板を提供することである。
本発明者らは、主としてTiまたは主としてTiとAlとを用いて脱酸した極低炭素冷延鋼板の機械特性および表面性状に及ぼす添加元素および介在物組成の影響について詳細な調査を行った。なお、本明細書において、鋼成分の含有量および介在物組成の含有量はすべて質量%で表示する。
(1)第1の調査
第1の調査における一連の供試鋼は、質量%で、C:0.010%未満、Si:0.020%以下、Mn:2.50%以下、P:0.10%以下、S:0.004%、sol.Al:0.002%未満、N:0.005%以下、sol.Ti:0.10%以下、Nb:0.20%以下、O:0.015%以下、B:0.0020%以下、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有するものであった。
このような化学組成を有する鋼片を、1250℃に加熱した後、910℃以上の温度範囲で熱間圧延し、650℃で巻き取り、得られた熱延鋼板を酸洗し、82.5%の圧延率で板厚0.7mmまで冷間圧延した。連続溶融亜鉛めっきシミュレーターを用いて、冷延鋼板を850℃まで加熱し50秒間保持した後、冷却し、溶融亜鉛めっきし、合金化処理して溶融亜鉛めっき鋼板を得た。
得られた鋼板に対して次の調査を行った。
(1)熱間圧延後の鋼板中に存在する酸化物系介在物を、エネルギー分散型X線検出器(EDS)を備えた走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、圧延方向に平行な縦断面から観察し、引張特性との関係を調査した。この調査において観察された酸化物系介在物は、Ti酸化物、Al酸化物、Nb酸化物、Mn酸化物およびSi酸化物、さらに不純物元素の酸化物からなるものであった。なお、鋼片と溶融亜鉛めっき鋼板との間で鋼の化学組成および酸化物系介在物の組成に事実上の差異は認められなかった。
(2)溶融亜鉛めっき鋼板から、圧延方向、圧延方向から45°方向および圧延方向と直交する方向から引張試験片を採取して引張試験を行った。
(3)溶融亜鉛めっき鋼板の表面を目視観察し、筋模様の有無を調査した。
これらの調査により、次の(A)ないし(C)のような結果を得た。
(A)図1は、NbOとsol.Ti量の関係を示すグラフである。NbOは、酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量(質量%)を意味し、sol.Ti量は酸可溶性のTi量(質量%)を意味する。同図に示されるように、sol.Tiの増加に伴いNbOが低下することが分かる。
(B)図2は、平均r値と、(Ti/48+Nb/93)/(C/12+N/14)(以下、この式から得られる値を「A値」とも記す。)との関係を示すグラフである。ここで、Tiは下記式(2)から、Nは下記式(3)または(5)から、それぞれ与えられる値である。また、平均r値は、圧延方向のr値(r0°値)、圧延方向と45°をなす方向のr値(r45°値)、圧延方向と直行する方向のr値(r90°値)を用いて、下記式(6)から求めた。
Ti=max[sol.Ti−(48/14)×N,0] (2)
=max[N−(14/48)×sol.Ti,0] (3)
=max[N−(14/48)×sol.Ti−(14/11)×B,0] (5)
ここで、各式中の元素記号は、鋼中での各元素の含有量を質量%にて表したものであり、max[ ]は[ ]内の引数の最大値を返す関数である。
平均r値=(r0°値+2×r45°値+r90°値)/4 (6)
図面中の●印はNbOが1.0%未満であったことを、▲印はNbOが1.0%以上であったことを示す。同図に示されるように、平均r値はA値の増加に伴い上昇するが、NbOが1.0%未満である場合には、NbOが1.0%以上である場合よりも平均r値の上昇が速く、到達する平均r値も高くなることが分かる。
この理由は明らかではないが、次のように推測される。
(a)NbOが1.0%未満である酸化物系介在物は、形状が微細な球状または塊状である。このような酸化物系介在物は結晶粒の粒成長を抑制し、その結果、熱延鋼板が細粒化する。
(b)NbOが1.0%未満である酸化物系介在物はオーステナイトからフェライトへの変態を促進させ、熱延鋼板を細粒化させる。
(c)NbOが1.0%未満である酸化物系介在物は再結晶を促進させる。
(d)これらの結果、深絞り性に好ましい再結晶集合組織が形成される。
(C)sol.Ti量が多いほど、溶融亜鉛めっき鋼板表面に筋模様が発生し、表面性状が劣化する。この理由は明らかではないが、sol.Ti量が多いと、熱延工程で、鋼板表面近傍にTi析出物が不均一に生成し、溶融亜鉛めっき前の母材鋼板表面の結晶粒径が不均一となり、粒径のバラツキが亜鉛めっきの筋模様に反映されるためと推定される。
以上の結果から次の知見が得られた。すなわち、sol.Tiを一定量以上含有させて、酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量を低下させることにより、主としてTiまたは主としてTiとAlとを用いて脱酸した極低炭素冷延鋼板において高いr値を安定して得ることが可能である。また、sol.Tiを過度に含有させずNb含有量を高めることにより、高r値の確保と筋模様のない良好な表面性状の確保を両立させることが可能である。
(2)第2の調査
第2の調査における一連の供試鋼は、質量%で、C:0.010%未満、Si:0.10%以下、Mn:2.50%以下、P:0.10%以下、S:0.004%、sol.Al:0.002%未満、N:0.005%以下、sol.Ti:0.10%以下、Nb:0.20%以下、O:0.015%以下、B:0.0020%以下、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有するものであった。
このような化学組成を有する鋼片に対して第1の調査における製造方法と同じ製造方法を実施して、溶融亜鉛めっき鋼板を得た。
熱間圧延後の鋼板中に存在する酸化物系介在物と引張特性との関係の調査、溶融亜鉛めっき鋼板から採取した引張試験片についての引張試験、および溶融亜鉛めっき鋼板の表面観察を、第1の調査と同じ手法により行った。なお、鋼片と溶融亜鉛めっき鋼板との間で鋼の化学組成および酸化物系介在物の組成に事実上の差異は認められなかった。
これらの調査により、次の(A)ないし(C)のような結果を得た。
(A)図3は、NbOとSi量の関係を示すグラフである。NbOは、酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量(質量%)を意味し、Si量は鋼中のSi含有量(質量%)を意味する。同図に示されるように、Si量の増加に伴いNbOが低下することが分かる。
なお、図1はsol.Ti含有量(酸可溶性のTi量を意味する。)が0.0030%未満であるものについてのグラフである。
(B)図4は、平均r値と、A値との関係を示すグラフである。ここで、Ti、Nおよび平均r値は、第1の調査と同じく、上記式(2)、(3)、(5)および(6)に基づき規定されるものである。
図面中の●印はNbOが1.0%未満であったことを、▲印はNbOが1.0%以上であったことを示す。図4に示されるように、平均r値はA値の増加に伴い上昇するが、NbOが1.0%未満である場合には、NbOが1.0%以上である場合よりも平均r値の上昇が速く、到達する平均r値レベルも高くなることが分かる。この傾向は第1の調査の結果と同様であり(図2参照。)、その理由も同様であると推測される。
(C)第1の調査の結果と同様に、sol.Ti量が多いほど、溶融亜鉛めっき鋼板表面に筋模様が発生し、表面性状が劣化する。
以上の結果から次の知見が得られた。すなわち、鋼中にSiを一定量以上含有させて、酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量を低下させることにより、主としてTiまたは主としてTiとAlとを用いて脱酸した極低炭素冷延鋼板において高いr値を安定して得ることが可能である。また、sol.Tiを過度に含有させずNb含有量を高めることにより、高r値の確保と筋模様のない良好な表面性状の確保を両立させることが可能である。
(3)第3の調査
第3の調査における一連の供試鋼は、質量%で、C:0.010%未満、Si:0.10%以下、Mn:2.50%以下、P:0.10%以下、S:0.004%、sol.Al:0.002%未満、N:0.005%以下、sol.Ti:0.10%以下、Nb:0.20%以下、O:0.015%以下、B:0.0020%以下、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有するものであった。
このような化学組成を有する鋼片に対して第1の調査における製造方法と同じ製造方法を実施して、溶融亜鉛めっき鋼板を得た。
熱間圧延後の鋼板中に存在する酸化物系介在物と引張特性との関係の調査、溶融亜鉛めっき鋼板から採取した引張試験片についての引張試験、および溶融亜鉛めっき鋼板の表面観察を、第1の調査と同じ手法により行った。なお、鋼片と溶融亜鉛めっき鋼板との間で鋼の化学組成および酸化物系介在物の組成に事実上の差異は認められなかった。
これらの予備試験の結果、次の(A)ないし(D)のような知見を得た。
(A)図5は、NbOとsol.Ti量の関係を示すグラフである。NbOは、酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量(質量%)を意味し、sol.Ti量は酸可溶性のTi量(質量%)を意味する。同図に示されるように、sol.Tiの増加に伴いNbOが低下することが分かる。
(B)図6は、平均r値と、A値との関係を示すグラフである。ここで、ここで、Ti、Nおよび平均r値は、第1の調査と同じく、上記式(2)、(3)、(5)および(6)に基づき規定されるものである。
図面中の●印はsol.Ti量が0.003%以上でありSi量が0.020%超であり、NbOが1.0%未満であったことを、▲印はNbOが1.0%以上であったことを示す。同図に示されるように、平均r値はA値の増加に伴い上昇するが、NbOが1.0%未満である場合には、1.0%以上である場合よりも平均r値の上昇が速く、到達する平均r値レベルも高くなることが分かる。この傾向は第1の調査の結果と同様であり(図2参照。)、その理由も同様であると推測される。
(C)Si量が多いほど平均r値が上昇する。この理由は明らかではないが、Siが多いほど、NbOが1.0%未満である酸化物系介在物が熱延鋼板を細粒化する効果が増すためと推定される。
(D)第1の調査の結果と同様に、sol.Ti量が多いほど、溶融亜鉛めっき鋼板表面に筋模様が発生し、表面性状が劣化する。
以上の結果から次の知見が得られた。すなわち、sol.Tiを一定量以上含有させて、酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量を低下させることにより、主としてTiまたは主としてTiとAlとを用いて脱酸した極低炭素冷延鋼板において高いr値を安定して得ることが可能であり、この知見は第1の調査の結果と同じである。また、sol.Tiを過度に含有させずSiおよびNb含有量を高めることにより、高r値の確保と筋模様のない良好な表面性状の確保を両立させることが可能である。
以上の知見に基づき完成された本発明は次のとおりである。
本発明は、一態様として、質量%で、C:0.0005%以上0.010%未満、Si:0.40%以下、Mn:2.50%以下、P:0.10%以下、S:0.010%未満、sol.Al:0.0050%未満、N:0.005%以下、sol.Ti:0.20%以下(但し、溶融亜鉛めっき鋼板の場合は0.020%以下)、Nb:0.010%以上0.20%以下およびO:0.015%以下であるとともに、sol.Ti:0.003%以上またはSi:0.020%超であり、さらにsol.TiおよびNbの含有量が下記式(1)〜(3)を満足する化学組成を有し、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量がTiO換算で50.0質量%以上でありNb酸化物の含有量がNbO換算で1.0質量%未満であることを特徴とする鋼板を提供する。
1.0<(Ti/48+Nb/93)/(C/12+N/14) (1)
Ti=max[sol.Ti−(48/14)×N,0] (2)
=max[N−(14/48)×sol.Ti,0] (3)
ここで、各式中の元素記号は、鋼中での各元素の含有量を質量%にて表したものであり、max[ ]は[ ]内の引数の最大値を返す関数である。
上記化学組成が、質量%で、sol.Ti:0.003%以上およびSi:0.020%超であり、さらに前記式(1)に代えて下記式(4)を満足することが好ましい。
0.4<(Ti/48+Nb/93)/(C/12+N/14) (4)
すなわち、この場合における鋼板の化学組成は、質量%で、C:0.0005%以上0.010%未満、Si:0.020%超0.40%以下、Mn:2.50%以下、P:0.10%以下、S:0.010%未満、sol.Al:0.0050%未満、N:0.005%以下、sol.Ti:0.003%以上0.020%以下、Nb:0.010%以上0.20%以下およびO:0.015%以下であり、さらにsol.TiおよびNbの含有量が上記式(2)〜(4)を満足するものである。
上記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、B:0.0002%以上0.0020%以下を含有し、かつ、前記式(3)に代えて下記式(5)を満足するものであることが好ましい。
=max[N−(14/48)×sol.Ti−(14/11)×B,0] (5)
ここで、式中の元素記号は、鋼中での各元素の含有量を質量%にて表したものであり、max[ ]は[ ]内の引数の最大値を返す関数である。
上記化学組成が、Feの一部に代えて、Cr、Mo、WおよびNiからなる群から選択される1種または2種以上を、合計で2.0質量%以下含有するものであることが好ましい。
上記鋼板の表面には、耐食性の向上等を目的としてめっき層を備えさせて表面処理鋼板としてもよい。めっき層は電気めっき層であってもよく溶融めっき層であってもよい。電気めっき層としては、電気亜鉛めっき、電気Zn−Ni合金めっき等が例示される。溶融めっき層としては、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっき、溶融Zn−Al合金めっき、溶融Zn−Al−Mg合金めっき、溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき等が例示される。
上記鋼板の表面には、溶融亜鉛めっき層を備えさせて溶融亜鉛めっき鋼板とすることが特に好ましい。ここで、「溶融亜鉛めっき」とは、溶融亜鉛めっきのみならず、溶融亜鉛合金めっきまたは合金化溶融亜鉛めっきを意味する。
本発明は、別の一態様として、真空脱ガス装置を用いて脱炭精錬した溶鋼にTiを添加し、連続鋳造して上記の本発明に係る化学組成および酸化物系介在物組成を有する鋼塊とし、該鋼塊を熱間圧延し、冷間圧延し、再結晶焼鈍を行うことを特徴とする鋼板の製造方法を提供する。
本発明は、また別の一態様として、真空脱ガス装置を用いて脱炭精錬した溶鋼にAlを添加して溶存酸素濃度を0.003質量%以上に制御した後、さらにTiを添加し、連続鋳造して上記の本発明に係る化学組成および酸化物系介在物組成を有する鋼塊とし、該鋼塊を熱間圧延し、冷間圧延し、再結晶焼鈍を行うことを特徴とする鋼板の製造方法を提供する。
上記鋼板の製造方法においては、熱間圧延に際して、Ar点以上の温度域で圧延を完了し、圧延完了後0.8秒間以内に800℃以下の温度域まで冷却することが好ましい。また、再結晶焼鈍後に溶融亜鉛めっき処理を行うことが好ましい。
本発明によれば、プレス成形などの加工に適用できる十分な成形性を有する鋼板、さらには、鋼板表面に筋模様等の表面欠陥が発生しない溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。また、この鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板は、大規模製鉄所における大量生産工程においても、安定して製造することが可能となる。本発明は自動車の車体軽量化を通じて地球環境問題の解決に寄与できるなど産業の発展に寄与するところ大である。
第1の調査における酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量(NbO)と鋼のsol.Tiの含有量の関係を示すグラフである。 第1の調査における平均r値とA値との関係を示すグラフである。 第2の調査における酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量(NbO)と鋼中のSi含有量の関係を示すグラフである。 第2の調査における平均r値とA値との関係を示すグラフである。 第3の調査における酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量(NbO)と鋼中のsol.Tiの含有量の関係を示すグラフである 第3の調査における平均r値とA値との関係を示すグラフである。
本発明に係る鋼板における鋼成分の化学組成および介在物組成、ならびにその鋼板を効率的・安定的に製造しうる製造方法における製鋼、圧延、溶融亜鉛めっき条件等について以下に詳述する。
1.鋼の化学組成
C:0.0005%以上0.010%未満
C含有量が0.010%以上になると、鋼板の延性および深絞り性が著しく損なわれる。一方、過度に極低炭素化することは、製鋼コストの上昇を伴うだけでなく、NbCの析出が不十分となり、固溶Cが残存し、深絞り性の劣化を招く。したがって、含有量の範囲を0.0005%以上0.010%未満とする。望ましい範囲は、0.0010%以上0.0040%未満であり、さらに望ましい範囲は、0.0010%以上0.0030%以下である。
Si:0.40%以下(下限はsol.Ti含有量の下限およびA値の下限との関係で設定される。)
Siは、一般に鋼中に不可避的に含有される元素である。しかし、鋼板を強化する作用を有するので、鋼板を強化する目的で、0.40%以下の範囲で含有させることができる。0.40%を超えると、鋼板のめっき性が著しく低下するなどの不具合が生じやすくなる。
Siの含有量の下限はsol.Ti含有量の下限およびA値の下限との関係で決定される。sol.Ti含有量が0.003%以上かつA値が1.0超の場合には、Si含有量の下限は特に限定されない。sol.Tiを0.003%以上含有し、かつA値を1.0超とすることにより、優れた鋼板の深絞り性を確保することができるからである。この場合、鋼板を強化する目的でSiを含有させる場合には、Si含有量を0.003%以上とすることが好ましく、0.005%超とすることがさらに好ましい。また、より一層良好なめっき性を確保する観点からは、Si含有量を0.030%未満とすることが好ましく、0.020%未満とすることがさらに好ましい。
一方、sol.Ti含有量の下限を限定せずかつA値が1.0超の場合や、sol.Ti含有量が0.003%以上かつA値の下限を0.4超とする場合には、Si含有量の下限を0.020%超とする。Si含有量を0.020%超とすることにより、酸化物系介在物中のNb酸化物の含有率の低下や、Tiを用いた脱酸工程を経て製造された熱延板の組織の微細化がもたらされ、鋼板の深絞り性を高めることが実現される。この場合、Si含有量は0.030%超とすることが好ましく、0.035%超とすることがさらに好ましい。また、めっき性の観点からは、Si含有量は0.20%未満とすることが好ましく、0.10%未満とすることがさらに好ましい。
Mn:2.50%以下
Mnは、不純物であるSと結合してMnSを形成し、Sの弊害を抑制するほか、鋼板を強化する作用を有する。一方、過度に含有させると延性および深絞り性が劣化するので、含有量の上限を2.50%とする。好ましい範囲は、0.05%以上1.00%未満であり、さらに好ましい範囲は、0.15%超0.50%未満である。また、めっき性の観点からはMnの含有量は少ないほど好ましい。具体的には、上限を0.31%未満とすることが好ましく、0.28%未満とすることがさらに好ましい。
P:0.10%以下
Pは、一般的には鋼中に不可避的に含有される不純物であるが、深絞り性を損なうことなく鋼板を強化する作用を有する有用な元素でもあるので、積極的に含有させてもよい。しかし、過度に含有させると耐二次加工脆性が極端に劣化するので、0.10%以下とする。好ましい範囲は0.005%以上0.050%未満である。さらに好ましい範囲は0.010%以上0.015%未満であり、最も好ましい範囲は0.010%以上0.013%未満である。
S:0.010%未満
Sは鋼中に不可避的に含有される不純物であり、粒界に偏析して鋼を脆化させるため、Sの含有量は少ないほど好ましく、0.010%未満とする。好ましい上限は0.008%未満である。さらに好ましい上限は0.006%未満であり、最も好ましい上限は0.005%未満である。ただし、Sの含有量を過度に低下させることは、製造コストの上昇を招くため、0.001%を超えて含有させることが望ましく、0.003%を超えて含有させることはさらに望ましい。
sol.Al:0.0050%未満
鋼中Alは、分析時に使用する酸に溶解しない酸化物等の形態と、酸に溶解する窒化物等や固溶の形態があり、酸可溶性のAl含有量をsol.Alと表記する。sol.Al量は溶鋼段階での溶解Al量と関連付けられるため、鋼の脱酸に強く影響する。本発明ではTi酸化物を50.0%以上含む酸化物系介在物の分散を必要とし、Alはこれを阻害する。このため、sol.Alの含有量を0.0050%未満とする。好ましい上限は0.0030%未満である。一方、Al自体は、溶鋼の製造工程で予備脱酸や温度調整に使用できるので、sol.Alを0.0002%以上含有させることが好ましい。さらに好ましい範囲は0.0005%以上0.0020%未満である。
N:0.005%以下
Nは、鋼中に不可避的に含有される元素であり、含有量の増加は延性、深絞り性および耐常温時効性を劣化させるため、0.005%以下とする。好ましい範囲は0.003%以下である。ただし、過度に極低窒素化することは、製鋼コストの上昇を伴うだけでなく、窒化物の析出が不十分となる。この場合には固溶Nが残存し、深絞り性の劣化を招く。したがって、Nの含有量を0.001%以上とすることが望ましい。
sol.Ti:0.20%以下(下限はSi含有量の下限およびA値の下限との関係で設定される。)かつ上記式(1)、(2)および(3)、または上記式(4)、(2)および(3)を満たすこと
鋼中Tiは、分析時に使用する酸に溶解しない酸化物等の形態と、酸に溶解する炭窒化物等や固溶の形態があり、酸可溶性のTi含有量をsol.Tiと表記する。
sol.Tiは本発明における重要な構成成分であり、溶融亜鉛めっき鋼板表面に筋模様が発生することを防止するために、溶融亜鉛めっき鋼板の場合にはsol.Ti含有量の上限を0.020%以下とする。溶融亜鉛めっきを施さない鋼板の場合には、筋模様発生防止という観点からはsol.Ti含有量の上限を限定する必要はない。しかし、sol.Ti含有量が過剰となると、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が高くなり、連続鋳造工程において浸漬ノズルが閉塞する可能性が高くなり、また、表面疵が発生する可能性も高くなる。したがって、溶融亜鉛めっきを施さない鋼板の場合には、sol.Ti含有量の上限を0.20%以下とする。好ましい上限は0.10%以下であり、さらに好ましい上限は0.020%以下である。
また、鋼中のC、NをTiC、TiN等として固定し、深絞り性を向上させる作用を有するので、上記式(1)、(2)および(3)、または上記式(4)、(2)および(3)を満たす範囲で含有させる。
sol.Tiの含有量の下限は、Si含有量の下限およびA値の下限との関係で設定される。Si含有量が0.020%超かつA値が1.0超の場合には、Ti含有量の下限は特に設定されない。Siを0.020%超含有し、かつA値を1.0超とすることにより、優れた鋼板の深絞り性を確保することができるからである。この場合、溶融亜鉛めっき鋼板表面に筋模様が発生することをより確実に防止する観点から、sol.Ti含有量を0.015%以下とすることが好ましく、0.004%未満とすることがさらに好ましい。
一方、Si含有量の下限を限定せずかつA値が1.0超の場合や、Si含有量が0.020%超かつA値の下限を0.4超とする場合には、sol.Ti含有量を0.003%以上とする。sol.Ti含有量を0.003%以上とすることで、酸化物系介在物中のNb酸化物の含有率が低下し、鋼板の深絞り性を高めることが実現される。この場合、sol.Ti含有量は0.004%超とすることが好ましく、0.008%超とすることがさらに好ましい。また、溶融亜鉛めっき鋼板表面に筋模様が発生することを防止する観点からは、sol.Ti含有量は0.015%以下とすることが好ましく、0.012%未満とすることがさらに好ましい。
なお、Si含有量およびsol.Ti含有量について説明したように、A値の下限は、Si含有量の下限およびsol.Ti含有量の下限との関係で設定される。Si含有量が0.020%超かつsol.Ti含有量が0.003%以上の場合には、A値の下限は0.4超とすればよい。Siを0.020%超含有し、かつsol.Tiを0.003%以上含有することにより、優れた鋼板の深絞り性をある程度確保することができるからである。一方、sol.Ti含有量が0.003%以上でありかつSi含有量の下限を限定しない場合や、sol.Ti含有量の下限を限定せずかつSi含有量が0.020%超の場合には、A値の下限は1.0超とする。A値の下限は1.0超とすることで、鋼板の深絞り性を高めることが実現される。
Nb:0.010%以上0.20%以下かつ上記式(1)、(2)および(3)、または上記式(4)、(2)および(3)を満たすこと
Nbは、本発明における重要な構成成分である。鋼中のCをNbCとして固定するとともに熱延板の組織を微細化し、深絞り性に好ましい再結晶集合組織を発達させる作用をNbは有する。Nbは、Tiのように溶融亜鉛めっき鋼板表面に筋模様の発生をもたらすことがないので、筋模様の発生を伴うことなく深絞り性を向上させることができる。Nb含有量が少ないと、上記作用による所望の効果が十分に得られず、深絞り性が損なわれる。したがって、0.010%以上であり、かつ、上記式(1)、(2)および(3)、または上記式(4)、(2)および(3)を満たす範囲で含有させる。好ましい含有量の下限は、0.026%以上である。一方、Nb含有量が過剰となると、再結晶温度が上昇しすぎて深絞り性が劣化するので、0.20%以下とする。好ましいのは、A値を1.0超10.0未満とすることである。さらに好ましいのは、A値を2.0超5.0未満とすることである。
O:0.015%以下
O含有量が0.015%を超えると、酸化物系介在物の生成量が多くなりすぎ、表面疵が発生しやすくなる。このため、O含有量は0.015%以下とする。好ましい範囲は、0.010%未満である。一方、Ti酸化物の含有率が50.0%以上でありNb酸化物の含有量が1.0%未満である酸化物系介在物を適正量生成させ、深絞り性を向上させるには、Oを0.0020%以上含有させることが好ましい。Oを0.0030%以上含有させるとさらに好ましい。
B:必要に応じ、0.0002%以上0.0020%以下
Bは、結晶粒界に偏析して粒界を強化し、耐二次加工脆性を向上させる効果を有するので、0.0002%以上含有させても良い。一方、含有量が0.0020%を上回ると、再結晶温度が上昇して、深絞り性が劣化する。したがって、0.0002%以上0.0020%以下とする。好ましい範囲は、0.0003%超0.0010%未満である。
Bを含有させる場合には、Nは上記式(3)に代えて、下記式(5)に示されるBを含む式に基づき算出される。
=max[N−(14/48)×sol.Ti−(14/11)×B,0] (5)
Cr、Mo、WおよびNiからなる群から選択される1種以上:必要に応じ、合計で2.0%以下
これらの元素は、鋼板を強化する作用を有するので、必要に応じて1種または2種以上含有させても良い。ただし、含有量の合計が2.0%を超えると延性が著しく劣化する。したがって、合計の含有量を2.0%以下とする。なお、鋼板を強化する作用を確実に発
揮させるには合計の含有量を0.05%以上とすることが好ましい。
本実施の形態の溶融亜鉛めっき鋼板は、以上の鋼組成を有する。
2.介在物組成
(1)酸化物系介在物
本発明に係る鋼板は、酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量が1.0%未満であり、Ti酸化物の含有量が50.0%以上であることとする。
ここで、「酸化物系介在物」とは、溶鋼に含まれる元素が脱酸工程などにおいて酸化反応することによって生じたものであり、耐火物剥離等で含有されるマクロ介在物は含まない。酸化物系介在物の組成は、Nb、Ti、Al、SiおよびMnの酸化物を主体とし、このほか、不可避的に含有される不純物を含む。なお、不可避的不純物としては、Mg、Caの酸化物や、次に説明するEDSによる測定ではFe相と不可分なFe酸化物が挙げられる。
この酸化物系介在物の組成は次のようにして測定する。
鋼板の任意の位置から試験片を採取し、鋼板の圧延方向に平行な縦断面を研磨した後、SEMを用いて長径1μm以上の酸化物系介在物を観察し、EDSを用いて、Feを除く上記元素について定量分析を行う。得られた各元素の原子数比に基づいて、検出された各元素について予め規定された化学量論組成の酸化物換算の化学組成(単位:質量%)を求める。ここで、介在物を構成する主要元素についての化学量論組成の酸化物は次のとおりである。
Ti:TiO、Nb:NbO、Al:Al、Si:SiO、Mn:MnO。
また、不純物元素についての化学量論組成の酸化物は次のとおりである。
Mg:MgO、Ca:CaO。
この化学組成の測定を複数の酸化物系介在物に対して行い、その平均値をその鋼板における酸化物系介在物の含有量とする。測定する酸化物系介在物の数は10個以上とし、測定数は多いほど好ましい。
なお、縦断面のSEM観察は、鋼板表面に溶融亜鉛めっき層を施した溶融亜鉛めっき鋼板の場合には、溶融亜鉛めっき層の影響を避け鋼板のバルク特性をより正確に評価できるように、鋼板とめっき層との境界から板厚の1/4以上内側の位置で行い、溶融亜鉛めっきを施さない鋼板の場合には、鋼板表面の影響を避け鋼板のバルク特性をより正確に評価できるように、鋼板表面から板厚の1/4以上内側の位置で行う。また、EDSによる元素分析を行う酸化物系介在物の領域は、酸化物系介在物上に析出するMnS等の影響を避けるためにSEM像において酸化物系介在物の中央部を含む範囲とする。なお、平均的な組成を求めるために酸化物系介在物の面積の1/4以上の範囲とすることが好ましい。
(2)Nb酸化物
鋼板の酸化物系介在物に含まれるNb酸化物には、NbOやNbO等の存在形態が考えられるが、Nb酸化物の含有量は、上記のようにSEM/EDSを用いて元素分析し、NbOに換算して求める。
本発明に係る鋼板の酸化物系介在物に含まれるNb酸化物の含有量は1.0%未満とする。これは、Tiを用いた脱酸工程を経て製造された冷延鋼板の深絞り性を安定して向上させるためである。深絞り性向上のためにはNb酸化物の含有量は低いほど良い。しかしながら、0.1%未満にまで低下させるためには、Tiを多量に添加する必要がある。この場合、溶融亜鉛めっき鋼板とした場合に溶融亜鉛めっき鋼板表面に筋模様が発生しやすくなる。したがって、Nb酸化物の含有量の下限を0.1%以上とすることが好ましい。
(3)Ti酸化物
鋼板の酸化物系介在物に含まれるTi酸化物の含有量は、Nb酸化物の含有量と同様にSEM/EDSを用いて元素分析し、TiOに換算して求める。
本発明に係る鋼板の酸化物系介在物に含まれるTi酸化物の含有量は50.0%以上とする。Ti酸化物の含有量が50.0%を下回ると、酸化物系介在物が、圧延中に伸展した形状を呈する。このため、深絞り性が損なわれるばかりか、個々の酸化物系介在物がクラスター化する傾向を示し、表面疵が発生しやすくなる。Ti酸化物の含有量を60.0%以上とすることが好ましい。
一方、Ti酸化物の含有量が過度に高くなると、溶鋼段階で液相を含まない状態となり、連続鋳造工程において浸漬ノズルの閉塞が起こりやすくなる。したがって、Ti酸化物の含有量を95.0%未満とすることが好ましい。90.0%未満とするとさらに好ましい。
(4)その他の酸化物
大規模製鉄所の大量生産工程で、本発明に係る鋼板を製造する場合は、酸化物系介在物に、Nb酸化物、Ti酸化物以外の酸化物が含有されうる。具体的には、Al酸化物が例示される。溶鋼にTiを添加する前に、予備的にAlを添加し鋼中酸素を部分的に除去することは、生産性および製造安定性の向上のために好ましい。しかしながら、このAl添加によってAl酸化物が鋼中に生成するようになる。酸化物系介在物におけるAl酸化物の含有量の範囲は特に限定されない。Al添加による生産性および製造安定性の向上という利点を享受するためにはAl酸化物の含有量を3.0%以上とすることが好ましい。一方、多量に含有されると、Ti酸化物の含有量が低下して深絞り性が損なわれたり、浸漬ノズルの閉塞が起こりやすくなったりする。したがって、Al酸化物の含有量は35.0%未満であることが好ましい。さらに好ましいAl酸化物の含有量は5.0%以上30.0%未満である。
また、SiやMnを含有させる場合には、酸化物系介在物にSi酸化物やMn酸化物が含有される。酸化物系介在物におけるこれらの酸化物の含有量は特に限定されない。しかしながら、Si酸化物が多量に含有されると、酸化物系介在物が圧延中に伸展した形状を呈し、深絞り性が損なわれることがある。したがって、Si酸化物の含有量を1.0%未満とすることが好ましい。また、Mn酸化物は、浸漬ノズルの閉塞を防止する効果があるため、2.0%以上含有させることが好ましい。しかし、多量に含有させると、Mn酸化物と親和力の強いSi酸化物の含有量が増加し、深絞り性が損なわれる。したがって、Mn酸化物の含有量の上限を25.0%未満とすることが好ましい。
上記のAl、SiおよびMn酸化物の含有量は、上記のようにSEM/EDSを用いて元素分析し、Al、SiOおよびMnOに換算して求める。
本実施の形態の鋼板は、以上の酸化物系介在物組成を有する。
3.製造方法
本発明に係る鋼板は、上記の化学組成を有し、酸化物系介在物について上記の関係が満足できるのであれば、いかなる製造方法により製造されてもよい。ただし、以下の製造方法を採用することによって、本発明に係る鋼板をより効率的かつ安定的に製造することが実現される。
(1)製鋼、連続鋳造
本発明に係る製造方法においては、製鋼工程では、転炉などの製鋼炉で粗脱炭した後、RH装置等の真空脱ガス装置で真空脱炭処理を行う。続いて、Ti以外の元素の成分調整を行い、その後、TiまたはTi合金を添加して脱酸処理し、連続鋳造する。TiまたはTi合金を添加して脱酸処理するのは、鋼板中に、Ti酸化物の含有量が50.0%以上でありNb酸化物の含有量が1.0%未満である酸化物系介在物を分散させ、鋼板の深絞り性を向上させるのに必要なためである。
大規模製鉄所の大量生産工程において生産性や製造安定性を向上させるためには、Tiを添加する前にAlを添加して、予備的な脱酸処理や温度調整をすることが好ましい。ただし、Alによる脱酸を併用する場合には、最終的にTiを添加する前の溶存酸素濃度を0.003%以上とする必要がある。
溶存酸素濃度が0.003%未満であると、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が低下して深絞り性が損なわれる。また、溶鋼段階での酸化物系介在物中においてAl酸化物の含有量が高くなりすぎ、連続鋳造時に浸漬ノズルの閉塞が生じる場合がある。
一方、溶存酸素濃度が高すぎると、脱酸に要するTiまたはTi合金の添加量が過度に多くなる。このため、鋼の清浄度が悪化し、表面疵も発生しやすくなる。したがって、最終的にTiを添加する前の溶存酸素濃度の上限を0.018%とすることが好ましい。
連続鋳造工程では、介在物に起因する表面欠陥の発生を抑制するために、鋳型内にて電磁攪拌等の外部付加的な流動を溶鋼に生じさせることが好ましい。
(2)熱間圧延
連続鋳造によって得られた鋼塊を再加熱するか、または連続鋳造後の高温の鋼塊をそのまま、もしくは補助加熱を行ってから、熱間圧延を行う。鋼塊は、表面性状を良好に保つために、加熱前に冷間または温間で表面手入れすることが好ましい。加熱温度が低いと、圧延荷重が増大して圧延が困難となるため、加熱温度を1150℃超にすることが好ましい。
熱間圧延の条件は特に限定されない。オーステナイト低温域で仕上げ圧延を行って熱延鋼板の結晶粒を微細化し、焼鈍時に深絞り性に好ましい再結晶集合組織を発達させるために、Ar点以上(Ar点+100℃)以下の温度範囲で最終圧下を行うことが好ましい。890℃以上920℃未満で最終圧下を行えばさらに好ましい。また、スケール性の表面欠陥を抑制するために、仕上げ圧延開始温度と仕上げ圧延終了温度との差を100℃以上とすることが好ましい。
なお、仕上げ圧延をこれらの温度範囲で行うために、粗圧延と仕上げ圧延との間で粗圧延材を加熱してもよい。この際、粗圧延材の後端が先端よりも高温となるように加熱して、仕上げ圧延の開始時における粗圧延材の全長にわたる温度の変動を140℃以下に抑制することが好ましい。これにより、コイル内の製品特性の均一性が向上する。
粗圧延材の加熱は、例えば粗圧延機と仕上げ圧延機との間にソレノイド式誘導加熱装置を設けておき、この誘導加熱装置の上流側における長手方向の温度分布等に基づいて加熱昇温量を制御することが、例示される。
熱間圧延を終了した後に鋼板を冷却してコイル状に巻取る。巻取り温度が過度に高いとスケールの生成による歩留まりの低下を招くため、700℃未満で巻取ることが望ましい。一方、巻取り後にTiおよびNbの炭窒化物を十分に析出させ、深絞り性に好ましい再結晶集合組織を発達させるために、巻取り温度の下限を610℃超とすることが好ましい。
熱延鋼板の結晶粒をさらに微細化し、鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板のプレス成形性、めっき性および耐二次加工脆性を向上させるためには、仕上げ圧延完了後、0.8秒間以内に800℃以下の温度域まで急冷することが好ましい。これにより、圧延によりオーステナイトに導入された加工歪の解放が抑制され、加工歪を駆動力としてオーステナイトが変態し、熱延鋼板の結晶粒が微細化する。さらに好ましくは、圧延完了後0.4秒間以内に800℃以下の温度域まで急冷することであり、特に好ましくは、圧延完了後0.2秒間以内に800℃以下の温度域まで急冷することである。また、加工歪の解放は、急冷中の平均冷却速度が速いほど抑制されるので、急冷中の平均冷却速度を200℃/s以上とすることが好ましく、これにより、熱延鋼板の組織を一層微細化することができる。急冷中の平均冷却速度を400℃/s以上とすればさらに好ましく、600℃/s以上とすれば特に好ましい。なお、圧延完了から急冷を開始するまでの時間および、その間の冷却速度は、特に規定する必要がない。
急冷を行う設備は特に規定されないが、工業的には水量密度の高い水スプレー装置を用いることが好適であり、圧延板搬送ローラーの間に水スプレーヘッダーを配置し、圧延板の上下から十分な水量密度の高圧水を噴射する方法が例示される。
(3)冷間圧延、焼鈍、めっき
冷間圧延は、酸洗等により脱スケールした後に、常法に従って行われる。冷間圧延後に行われる再結晶焼鈍によって深絞り性に好ましい再結晶集合組織を発達させるために、圧下率を70%以上とすることが好ましい。圧下率が過度に高くなると、圧延設備への負荷が高まり、生産性の低下を招く。したがって、圧下率は90%未満とし、最終板厚を0.40mm以上とすることが好ましい。さらに好ましい圧下率は85%未満である。
冷間圧延された鋼板は、必要に応じて公知の方法に従って脱脂などの処理が施され、再結晶焼鈍される。再結晶焼鈍時の加熱速度が速すぎると、フェライトが細粒化して延性の劣化を招く。このため、均熱温度までの加熱速度は60℃/s未満とすることが好ましい。また、焼鈍温度がAc点以上となると、深絞り性に好ましい再結晶集合組織が変態により減少するので、焼鈍温度の上限をAc点未満とすることが好ましい。なお、再結晶焼鈍は、連続焼鈍、箱焼鈍、連続溶融亜鉛めっき工程におけるめっき前の焼鈍処理のいずれでもよい。また、再結晶焼鈍後に調質圧延を行ってもよい。
焼鈍後に溶融亜鉛めっき処理を行う場合には、常法にしたがって行う。この場合、高い生産性および高い耐食性の観点からは、連続溶融亜鉛めっき装置で再結晶焼鈍およびめっきを行い、さらに、合金化処理を施すことが好ましい。また、めっき前またはめっき後に調質圧延を行ってもよい。
かくして、本実施の形態により製造される鋼板は、例えばプレス成形等の加工に適用できる十分な成形性を有し、溶融亜鉛めっき鋼板である場合には、さらに筋模様のない優れた表面性状を有する。このため、この鋼板は、自動車部品用、特に自動車外板パネル用として好適に用いることができる。
本発明を、実施例を参照しながらより具体的に説明する。なお、以下の実施例においては本発明が好適態様である冷延鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板である場合について説明するが、本発明は冷延鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板ならびにそれらの製造方法に限定されるものではなく、溶融亜鉛めっき処理を他の種類のめっき処理に代替したりすることができる。
(実施例1)
実験用真空溶解炉を用いて、表1に示される化学組成を有する鋼を溶解し、鋳造した。これらの鋼塊を熱間鍛造により厚さ20mmの鋼片とし、電気加熱炉を用いて1250℃に加熱し、30分間保持した。鋼片を炉から抽出した後、実験用熱間圧延機を用いて、910℃以上の温度範囲で熱間圧延し、厚さ4mmの熱延鋼板を得た。熱間圧延後、直ちに水スプレー冷却により650℃まで冷却してこれを巻取り温度とし、同温度に保持された電気加熱炉中に装入して30分間保持した後、20℃/hの冷却速度で炉冷却して巻取り後の徐冷処理とした。得られた鋼板を酸洗して冷間圧延母材とし、圧下率82.5%で冷間圧延し、厚さ0.7mmの冷延鋼板を得た。連続溶融亜鉛めっきシミュレーターを用いて、得られた冷延鋼板の一部を、20℃/sの加熱速度で850℃まで加熱し50秒間保持した後、460℃まで冷却し、溶融亜鉛浴に3秒間浸漬して溶融亜鉛めっきを行った。めっき後、500℃で20秒間保持する合金化処理を施し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得た。また、連続焼鈍シミュレーターを用いて、得られた冷延鋼板の一部を、10℃/sの加熱速度で850℃まで加熱し30秒間保持した後冷却し、冷延鋼板(以下の説明においては、焼鈍後の冷延鋼板を冷間圧延ままの冷延鋼板と区別するために「冷延焼鈍鋼板」という。)を得た。
Figure 2011202274
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板および冷延焼鈍鋼板から、SEM観察用試験片を採取し、圧延方向に平行な縦断面を研磨した後SEMを用いて観察した。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合は鋼板母材とめっき層との界面から板厚の1/4以上内側の範囲に、冷延焼鈍鋼板の場合は鋼板表面から板厚の1/4以上内側の範囲に、それぞれ存在する長径1μm以上の酸化物系介在物を無作為に10個ないし20個選び、SEMに備え付けられたEDSで元素分析し、化学量論組成を仮定して酸化物量に換算し、酸化物系介在物の平均組成を求めた。
降伏応力(YS)、引張強度(TS)および全伸びは、得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板および冷延焼鈍鋼板に伸び率1.0%の調質圧延を施した後、圧延方向からJIS5号引張試験片を採取し、引張試験を行うことにより求めた。r値は、圧延方向(0°方向)、圧延方向と45°をなす方向(45°方向)、および圧延方向と直行する方向(90°方向)から採取したJIS5号引張試験片に引張試験を行い、0°方向のr値(r0°値)、45°方向のr値(r45°値)、90°方向のr値(r90°値)を用いて、上記式(6)に基づき平均r値を求めた。
表面性状は、得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板および冷延焼鈍鋼板の表面を目視にて観察し、筋模様や表面疵の発生の有無により評価した。
表2に酸化物系介在物の組成分析および性能評価結果を示した。本発明が規定する範囲内の鋼板についての試験結果(試番1〜9、17、18、21)は、いずれも、表面性状は良好であり、また、平均r値は1.90以上であり良好な深絞り性を示した。
Figure 2011202274
鋼組成または酸化物系介在物組成が、本発明の規定する範囲から外れる鋼(鋼F、G、H、I、J、L、N)を用いて製造された鋼板の試験結果(試番10〜16、19、20、22)は、表面性状および平均r値のいずれか、または双方が劣っていた。具体的には、鋼Fを用いた試験(試番10、11)は、前述の式 (1)を満たさないため平均r値が低い。鋼G、Hを用いた試験(試番12〜14)は鋼中のSi含有量およびsol.Ti含有量が少なく、酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量が多いために平均r値が低い。鋼J、L、Nを用いた試験(試番16、19、20、22)は鋼中のsol.Al含有量が多く、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が少ないために平均r値が低い。鋼I、Nを用いた試験(試番15、22)は鋼中のsol.Ti含有量が多すぎるために、めっき表面に筋模様が発生し表面性状が悪い。
(実施例2)
溶鋼290tonを転炉で脱炭精錬し、その未脱酸溶鋼を収容した取鍋をRH装置へ移送し、RH装置で真空脱炭を行った。真空脱炭が終了した後、未脱酸溶鋼の予備脱酸と溶鋼の昇温操作を兼ねてAlを添加した。Al添加後に真空槽内の溶鋼に酸素を38Nm/minで供給して適宜酸化反応による溶鋼への熱付与を実施した。その後溶鋼に酸素濃度が含有される状態で既に含有されている濃度を勘案してTi以外の各種合金を添加調整し、最後にTiを添加調整し、表3に示される化学組成になるように調整した。Alキルド鋼(鋼T、U)では、この工程でAlを0.04%以上含有する状態として、その後Tiを添加し化学組成を調整した。
Figure 2011202274
これらの精錬実施後、溶鋼を収容した取鍋を連続鋳造機に搬送し、幅960〜1200mm、厚さ250mmのスラブ形状の鋳片を得た。この連続鋳造工程では、浸漬ノズル上部に設置された溶鋼流量を制御するスライディングゲートの開度変化を確認し、ノズル閉塞の状況を評価した。
得られた鋳片を表面手入れしてから、表4に示される条件で加熱し、常法にしたがって熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延して冷延鋼板を得た。続いて、得られた冷延鋼板の一部を連続溶融亜鉛めっき設備にて焼鈍し、溶融亜鉛めっきし、合金化処理した。その後、伸び率1.0%で調質圧延を施し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得た。なお、一部の鋼板では、溶融亜鉛めっき後の合金化処理を省略し、溶融亜鉛めっき鋼板とした。また、冷延鋼板の一部を連続焼鈍設備にて焼鈍し、伸び率1.0%で調質圧延を施し、冷延焼鈍鋼板を得た。
Figure 2011202274
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板もしくは溶融亜鉛めっき鋼板または冷延焼鈍鋼板から、SEM観察用試験片を採取し、圧延方向に平行な縦断面を研磨した後SEMを用いて観察した。合金化溶融亜鉛めっき鋼板または溶融亜鉛めっき鋼板の場合は鋼板母材とめっき層との界面から板厚の1/4以上内側の範囲に、冷延焼鈍鋼板の場合は鋼板表面から板厚の1/4以上内側の範囲に、それぞれ存在する長径1μm以上の酸化物系介在物を無作為に10個ないし20個選び、SEMに備え付けられたEDSで元素分析し、化学量論組成を仮定して酸化物量に換算し、酸化物系介在物の平均組成を求めた。
降伏応力(YS)、引張強度(TS)および全伸びは、圧延方向からJIS5号引張試験片を採取し、引張試験を行うことにより求めた。r値は、圧延方向(0°方向)、圧延方向と45°をなす方向(45°方向)、および圧延方向と直行する方向(90°方向)から採取したJIS5号引張試験片に引張試験を行い、0°方向のr値(r0°値)、45°方向のr値(r45°値)、90°方向のr値(r90°値)を用いて、上記式(5)に基づき平均r値を求めた。
表面性状は、得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板または溶融亜鉛めっき鋼板または冷延焼鈍鋼板の表面を目視にて観察し、筋模様およびヘゲ、スリバー等の表面疵発生の有無により評価した。
表5に酸化物系介在物の組成分析および性能評価結果を示した。本発明が規定する範囲内の鋼板についての試験結果(試番23〜30)は、いずれも、表面性状は良好であり、また、平均r値は1.80以上であり良好な深絞り性を示した。
Figure 2011202274
鋼組成および酸化物系介在物組成が、本発明の規定する範囲から外れる鋼(鋼T、U、W)を用いて製造された鋼板の試験結果(試番31〜33、36、37)は、表面性状とr値のいずれか、または双方が劣っていた。
具体的には、鋼Tを用いた試験(試番31、32)は、鋼中のsol.Al含有量が多く、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が少ないために平均r値が低い。鋼Uを用いた試験(試番33)は、鋼中のsol.Al含有量が多く、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が少ないために平均r値が低く、また、鋼中のsol.Ti含有量が多いために、めっき表面に筋模様が発生し表面性状が悪い。鋼Wを用いた試験(試番36、37)は、鋼中のO含有量が多いために、スリバー疵が発生し、表面性状が悪い。
試番34、35は、鋼組成は、本発明の規定する範囲内であるが、Ti調整前の溶存酸素濃度が低く、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が少ないために平均r値が低かった。また、スリバー疵が発生し、表面性状が不良であった。さらに、連続鋳造工程におけるスライディングノズルの開度上昇が大きく、安定した多数回の連続鋳造が困難であった。
(実施例3)
実験用真空溶解炉を用いて、表6に示される化学組成を有する鋼を溶解し、鋳造した。以下、実施例1と同じ製造方法を実施して合金化溶融亜鉛めっき鋼板および冷延焼鈍鋼板を得た。
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板および冷延焼鈍鋼板に対して、実施例1と同じ評価を行った。
Figure 2011202274
表7に酸化物系介在物の組成分析および性能評価結果を示した。本発明が規定する範囲内の鋼板についての試験結果(試番101、102、105、108、109、112、113)は、いずれも、表面性状は良好であり、また、平均r値は1.90以上であり良好な深絞り性を示した。
Figure 2011202274
鋼組成または酸化物系介在物組成が、本発明の規定する範囲から外れる鋼(鋼AC、AD、AF、AG、AI、AK)を用いて製造された鋼板の試験結果(試番103、104、106、107、110、111、114)は、表面性状と平均r値のいずれかが劣っていた。
具体的には、鋼AC、ADを用いた試験(試番103、104)は鋼中のSi含有量およびsol.Ti含有量が少なく、酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量が多いために平均r値が低い。鋼AF、AKを用いた試験(試番106、114)は鋼中のsol.Al含有量が多く、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が少ないために平均r値が低い。鋼AGを用いた試験(試番107)は鋼中のsol.Ti含有量が多すぎるために、めっき表面に筋模様が発生し表面性状が悪い。鋼AIを用いた試験(試番110、111)は、上記式(1)を満たさないため平均r値が低い。
(実施例4)
溶鋼290tonを転炉で脱炭精錬し、その未脱酸溶鋼を収容した取鍋をRH装置へ移送し、RH装置で真空脱炭を行った。真空脱炭が終了した後、未脱酸溶鋼の予備脱酸と溶鋼の昇温操作を兼ねてAlを添加した。Al添加後に真空槽内の溶鋼に酸素を38Nm/minで供給して適宜酸化反応による溶鋼への熱付与を実施した。その後溶鋼に酸素濃度が含有される状態で既に含有されている濃度を勘案してTi以外の各種合金を添加調整し、最後にTiを添加調整し、表8に示される化学組成になるように調整した。Alキルド鋼(鋼AP、AQ)では、この工程でAlを0.04%以上含有する状態として、その後Tiを添加し化学組成を調整した。
Figure 2011202274
これらの精錬実施後、溶鋼を収容した取鍋を連続鋳造機に搬送し、幅960〜1200mm、厚さ250mmのスラブ形状の鋳片を得た。この連続鋳造工程では、浸漬ノズル上部に設置された溶鋼流量を制御するスライディングゲートの開度変化を確認し、ノズル閉塞の状況を評価した。
得られた鋳片を表面手入れしてから、表9に示される条件で加熱し、常法にしたがって熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延した。続いて、冷延鋼板の一部を連続溶融亜鉛めっき設備にて焼鈍し、溶融亜鉛めっきし、合金化処理した。その後、伸び率1.0%で調質圧延を施し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得た。なお、一部の鋼板では、溶融亜鉛めっき後の合金化処理を省略し、溶融亜鉛めっき鋼板とした。また、冷延鋼板の一部を連続焼鈍設備にて焼鈍し、伸び率1.0%で調質圧延を施し、冷延焼鈍鋼板を得た。
Figure 2011202274
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板もしくは溶融亜鉛めっき鋼板または冷延焼鈍鋼板に対して、実施例2と同じ評価を行った。
表10に酸化物系介在物の組成分析および性能評価結果を示した。本発明が規定する範囲内の鋼板についての試験結果(試番115〜119)は、いずれも、表面性状は良好であり、また、平均r値は1.80以上であり良好な深絞り性を示した。
Figure 2011202274
鋼組成および酸化物系介在物組成が、本発明の規定する範囲から外れる鋼(鋼AP、AQ、AS)を用いて製造された鋼板の試験結果(試番120、121、123)は、表面性状と平均r値のいずれか、または双方が劣っていた。
具体的には、鋼APを用いた試験(試番120)は、鋼中のsol.Al含有量が多く、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が少ないためにr値が低い。鋼AQを用いた試験(試番121)は、鋼中のsol.Al含有量が多く、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が少ないために平均r値が低く、また、鋼中のsol.Ti量が多いために、めっき表面に筋模様が発生し表面性状が悪い。鋼ASを用いた試験(試番123)は、鋼中のO含有量が多いために、スリバー疵が発生し、表面性状が悪い。
試番122は、鋼組成は、本発明の規定する範囲内であるが、Ti調整前の溶存酸素濃度が低く、酸化物系介在物中のTi含有量が少ないためにr値が低かった。また、スリバー疵が発生し、表面性状が不良であった。さらに、連続鋳造工程におけるスライディングノズルの開度上昇が大きく、このため多数回の連続鋳造を安定的に行うことが困難であった。
(実施例5)
実験用真空溶解炉を用いて、表11に示される化学組成を有する鋼を溶解し、鋳造した。以下、実施例1と同じ製造方法を実施して合金化溶融亜鉛めっき鋼板および冷延焼鈍鋼板を得た。
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板および冷延焼鈍鋼板に対して、実施例1と同じ評価を行った。
Figure 2011202274
表12に酸化物系介在物の組成分析および性能評価結果を示した。本発明が規定する範囲内の鋼板についての試験結果(試番201〜203、206、207、210、213)は、いずれも、表面性状は良好であり、また、平均r値は1.90以上であり良好な深絞り性を示した。
Figure 2011202274
鋼組成または酸化物系介在物組成が、本発明の規定する範囲から外れる鋼(鋼BC、BF、BG、BI、BJ)を用いて製造された鋼板の試験結果(試番204、205、208、209、211、212)は、表面性状と平均r値のいずれかが劣っていた。
具体的には、鋼BCを用いた試験(試番204、205)は、上記式(1)を満たさないため平均r値が低い。鋼BF、BGを用いた試験(試番208、209)は鋼中のSi含有量およびsol.Ti含有量が少なく、酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量が多いために平均r値が低い。鋼BIを用いた試験(試番211)は鋼中のsol.Al含有量が多く、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が少ないために平均r値が低い。鋼BJを用いた試験(試番212)は鋼中のsol.Ti含有量が多すぎるために、めっき表面に筋模様が発生し表面性状が悪い。
(実施例6)
溶鋼290tonを転炉で脱炭精錬し、その未脱酸溶鋼を収容した取鍋をRH装置へ移送し、RH装置で真空脱炭を行った。真空脱炭が終了した後、未脱酸溶鋼の予備脱酸と溶鋼の昇温操作を兼ねてAlを添加した。Al添加後に真空槽内の溶鋼に酸素を38Nm3/minで供給して適宜酸化反応による溶鋼への熱付与を実施した。その後溶鋼に酸素濃度が含有される状態で既に含有されている濃度を勘案してTi以外の各種合金を添加調整し、最後にTiを添加調整し、表13に示される化学組成になるように調整した。Alキルド鋼(鋼BP、BQ)では、この工程でAlを0.04%以上含有する状態として、その後Tiを添加し化学組成を調整した。
Figure 2011202274
これらの精錬実施後、溶鋼を収容した取鍋を連続鋳造機に搬送し、幅960〜1200mm、厚さ250mmのスラブ形状の鋳片を得た。この連続鋳造工程では、浸漬ノズル上部に設置された溶鋼流量を制御するスライディングゲートの開度変化を確認し、ノズル閉塞の状況を評価した。
得られた鋳片を表面手入れしてから、表14に示される条件で加熱し、常法にしたがって熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延した。続いて、連続溶融亜鉛めっき設備にて冷延鋼板を焼鈍し、溶融亜鉛めっきし、合金化処理した。その後、伸び率1.0%で調質圧延を施し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得た。なお、一部の鋼板では、溶融亜鉛めっき後の合金化処理を省略し、溶融亜鉛めっき鋼板とした。
Figure 2011202274
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板または溶融亜鉛めっき鋼板に対して、実施例2と同じ評価を行った。
表15に酸化物系介在物の組成分析および性能評価結果を示した。本発明が規定する範囲内の鋼板についての試験結果(試番214〜217)は、いずれも、表面性状は良好であり、また、平均r値は1.80以上であり良好な深絞り性を示した。
Figure 2011202274
鋼組成および酸化物系介在物組成が、本発明の規定する範囲から外れる鋼(鋼BP、BQ、BS)を用いて製造された鋼板の試験結果(試番218、219、221)は、表面性状と平均r値のいずれか、または双方が劣っていた。
具体的には、鋼BPを用いた試験(試番218)は、鋼中のsol.Al含有量が多く、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が少ないために平均r値が低い。鋼BQを用いた試験(試番219)は、鋼中のsol.Al含有量が多く、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が少ないために平均r値が低く、また、鋼中のsol.Ti量が多いために、めっき表面に筋模様が発生し表面性状が悪い。鋼BSを用いた試験(試番221)は、鋼中のO含有量が多いために、スリバー疵が発生し、表面性状が悪い。
試番220は、鋼組成は本発明の規定する範囲内であるが、Ti調整前の溶存酸素濃度が低く、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が少ないために平均r値が低かった。また、スリバー疵が発生し、表面性状が不良であった。さらに、連続鋳造工程におけるスライディングノズルの開度上昇が大きく、多数回の連続鋳造を安定的に行うことが困難であった。
(実施例7)
実験用真空溶解炉を用いて、表16に示される化学組成を有する鋼を溶解し、鋳造した。これらの鋼塊を、熱間鍛造により厚さ40mmの鋼片とし、電気加熱炉を用いて1250℃に加熱し、60分間保持した。鋼片を炉から抽出した後、実験用熱間圧延機を用いて、表17に示される条件で熱間圧延を行った。
Figure 2011202274
Figure 2011202274
具体的には、仕上温度を900〜910℃として圧延を行い、厚さ3.5mmに仕上げた。仕上温度はいずれの条件においてもAr点以上であった。熱間圧延完了後、水スプレーを使用して種々の冷却条件で750〜770℃まで冷却し、5〜10秒間放冷した後、60℃/sの冷却速度で650℃まで冷却してこれを巻取温度とし、同温度に保持された電気加熱炉中に装入して30分間保持した後、20℃/hの冷却速度で室温まで炉冷却して巻取後の徐冷処理とした。
得られた鋼板を酸洗して冷間圧延母材とし、圧下率80%で冷間圧延を施し、厚さ0.7mmの冷延鋼板を得た。連続溶融亜鉛めっきシミュレーターを用いて、得られた冷延鋼板の一部を、20℃/sの加熱速度で850℃まで加熱し50秒間保持した後、460℃まで冷却し、溶融亜鉛浴に3秒間浸漬して溶融亜鉛めっきを行った。めっき後、500℃で20秒間保持する合金化処理を施し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得た。また、連続焼鈍シミュレーターを用いて、得られた冷延鋼板の一部を、10℃/sの加熱速度で850℃まで加熱し30秒間保持した後冷却し、冷延焼鈍鋼板を得た。
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板および冷延焼鈍鋼板に対して、実施例1と同じ評価を行った。
表18に酸化物系介在物の組成分析および性能評価結果を示した。
Figure 2011202274
本発明が規定する範囲内の鋼板についての試験結果(試番301〜304、309〜318)は、いずれも、表面性状は良好であり、また、平均r値は1.90以上であり良好な深絞り性を示した。
本発明が規定する範囲内の鋼板を、熱間圧延直後に0.8秒間以内に800℃以下の温度域まで冷却を行うことにより製造した試験結果(試番301、303、309〜313、315、317)は、平均r値が2.10以上であり、特に良好な深絞り性を示した。
鋼組成または酸化物系介在物組成が、本発明の規定する範囲から外れる鋼(鋼CC、CI)を用いて製造された鋼板の試験結果(試番305〜308、319〜322)は、表面性状と平均r値のいずれかが劣っていた。
具体的には、鋼CCを用いた試験(試番305〜308)は鋼中のSi含有量およびsol.Ti含有量が少なく、酸化物系介在物中のNb酸化物の含有量が多いために平均r値が低い。鋼CIを用いた試験(試番319〜322)は鋼中のsol.Al含有量が多く、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量が少ないために平均r値が低い。鋼CIを用いた試験(試番319、320)は鋼中のsol.Ti含有量が多すぎるために、めっき表面に筋模様が発生し表面性状が悪い。
以上詳述したとおり、本発明によれば、プレス成形などの加工に適用できる十分な成形性を有する鋼板、さらには、筋模様や表面疵のない優れた表面性状を有する溶融亜鉛めっき鋼板が、製造可能である。本発明は自動車の車体軽量化を通じて地球環境問題の解決に寄与できるなど産業の発展に寄与するところ大である。

Claims (10)

  1. 質量%で、C:0.0005%以上0.010%未満、Si:0.40%以下、Mn:2.50%以下、P:0.10%以下、S:0.010%未満、sol.Al:0.0050%未満、N:0.005%以下、sol.Ti:0.20%以下、Nb:0.010%以上0.20%以下およびO:0.015%以下であるとともに、sol.Ti:0.003%以上またはSi:0.020%超であり、さらにsol.TiおよびNbの含有量が下記式(1)〜(3)を満足する化学組成を有し、酸化物系介在物中のTi酸化物の含有量がTiO換算で50.0質量%以上でありNb酸化物の含有量がNbO換算で1.0質量%未満であることを特徴とする鋼板。
    1.0<(Ti/48+Nb/93)/(C/12+N/14) (1)
    Ti=max[sol.Ti−(48/14)×N,0] (2)
    =max[N−(14/48)×sol.Ti,0] (3)
    ここで、各式中の元素記号は、鋼中での各元素の含有量を質量%にて表したものであり、max[ ]は[ ]内の引数の最大値を返す関数である。
  2. 前記化学組成が、質量%で、sol.Ti:0.003%以上およびSi:0.020%超であり、さらに前記式(1)に代えて下記式(4)を満足することを特徴とする請求項1に記載の鋼板。
    0.4<(Ti/48+Nb/93)/(C/12+N/14) (4)
  3. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、B:0.0002%以上0.0020%以下を含有し、かつ、前記式(3)に代えて下記式(5)を満足するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板。
    =max[N−(14/48)×sol.Ti−(14/11)×B,0] (5)
    ここで、式中の元素記号は、鋼中での各元素の含有量を質量%にて表したものであり、max[ ]は[ ]内の引数の最大値を返す関数である。
  4. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、Cr、Mo、WおよびNiからなる群から選択される1種または2種以上を、合計で2.0質量%以下含有するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の鋼板。
  5. 前記化学組成が、sol.Ti:0.020%以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の鋼板。
  6. 請求項5に記載の鋼板の表面に溶融亜鉛めっき層を備えることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板。
  7. 真空脱ガス装置を用いて脱炭精錬した溶鋼にTiを添加し、連続鋳造して請求項1ないし5のいずれかに記載の化学組成および酸化物系介在物組成を有する鋼塊とし、該鋼塊を熱間圧延し、冷間圧延し、再結晶焼鈍することを特徴とする鋼板の製造方法。
  8. 真空脱ガス装置を用いて脱炭精錬した溶鋼にAlを添加して溶存酸素濃度を0.003質量%以上に制御した後、さらにTiを添加し、連続鋳造して請求項1ないし5のいずれかに記載の化学組成および酸化物系介在物組成を有する鋼塊とし、該鋼塊を熱間圧延し、冷間圧延し、再結晶焼鈍することを特徴とする鋼板の製造方法。
  9. 請求項7または8に記載の鋼板の製造方法において、前記熱間圧延に際して、Ar点以上の温度域で圧延を完了し、圧延完了後0.8秒間以内に800℃以下の温度域まで冷却することを特徴とする鋼板の製造方法。
  10. 請求項7ないし9に記載の鋼板の製造方法において、前記鋼塊が請求項5に記載の化学組成を有し、前記再結晶焼鈍後に溶融亜鉛めっき処理を行うことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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