JP6323688B2 - 溶鋼の脱硫方法 - Google Patents

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Description

本発明は、CaOとAlとの混合粉(プレミックスフラックス)を用いる溶鋼の脱硫方法に関するものである。
近年、鉄鋼の分野では、高付加価値化や鉄鋼材料の用途拡大という要請から材料特性の向上を目的とした高純度鋼溶製技術への関心が高まっている。こうした関心に応えられる技術として、その1つに鋼の極低硫化技術がある。一般に、溶鉄の脱硫は、溶銑段階と溶鋼段階とで行われるが、特に、高級電磁鋼板やラインパイプ用鋼等の極低硫鋼については、溶鋼段階での脱硫が必須となる。
極低硫鋼のような高純度鋼を精錬する方法については、従来、様々な提案がなされている。例えば、取鍋内で脱硫剤をインジェクションする方法や、脱硫剤を添加したのち溶鋼を攪拌する方法などがよく知られているが、転炉出鋼から脱ガス処理までの間で、特別な工程を経ることになるため、溶鋼温度の低下やコストの上昇、生産性の低下などの問題が指摘されていた。こうした問題を解決する方法の1つとして、従来、二次精錬技術を簡素化するべく、RH真空脱ガス装置に脱硫機能を持たせる試みがなされている。
RH真空脱ガス装置を使って脱硫を行なう方法としては、真空槽に設けられた合金鉄添加口から脱硫剤を添加する方法などがある。この方法は、投入した脱硫剤が排気系へ吸引されるなどの影響により、脱硫剤の歩留りが悪いという欠点がある。また、排気系への吸引を防止するために、脱硫剤の粒度を大きくすることもできるが、この場合は、反応界面積の低下を招き、反応効率の面から不利である。一方、脱硫剤の歩留りを向上させる方法として、真空槽内の溶鋼中に浸漬したノズルからキャリアガスと共に脱硫剤をインジェクションする方法(特許文献1等)の提案もある。しかし、この方法は、ノズルのメンテナンスが必要でコストがかかること、またノズル浸漬による温度降下も問題となっている。しかも、脱硫剤をインジェクションしていない間も粉体吹込み口から溶鋼が侵入しないようにガスを流し続けておく必要があり、コストおよび真空度維持の点で問題がある。
これらの問題を解決するための方法として、上吹きランスを備えるRH真空脱ガス装置の真空槽内の浴面上に、該上吹きランスから脱硫剤をキャリアガスと共に吹き付ける(投射する)ことによって、溶鋼の脱硫を行なう方法(例えば、特許文献2)がある。この技術の場合、脱硫剤の滓化を促進させるため、CaO−CaF系フラックスが用いられることが多く、脱硫率を向上させるためには、CaF含有量の高い脱硫剤の使用が不可欠である。ただし、CaF含有量の高い脱硫剤の使用は、環境上の問題が発生するだけではなく、溶融したCaO−CaFによって取鍋や真空槽内面、環流浸漬管の耐火物の溶損が生じ、寿命が短かいという問題があった。
このような問題を回避するための方法として、CaFを含有しない高CaOフラックス(フッ素レス脱硫剤)を用いる溶製方法(例えば、特許文献3)の提案がある。しかし、この方法は、使用する高CaOフラックスの融点が高いため、事前に溶融処理(プリメルト)したものでなければ、溶鋼温度レベルにおいてフラックスを十分に溶融させることができない。さらに、CaFを使用しないフッ素レス脱硫剤を確実に溶融させる方法として、上吹きランスから燃料ガスや酸素ガスと共に脱硫剤と同時に噴出して、その脱硫剤をバーナー火炎を介して加熱した後、鋼浴面に到達させる方法が特許文献4や特許文献5に開示されている。しかし、これらの文献には、粉体(脱硫剤)を火炎内で確実に溶融させるのに好適なフラックスの組成、燃料ガスとキャリアArガス流量の最適な割合、ランス高さ等については十分に検討していないのが実情である。
特開昭61−130413号公報 特開平5−311231号公報 特開2003-129122号公報 特開平7−41826号公報 特開2012−172213号公報
発明者らは、従来技術が抱えている前記課題の解決に向けて鋭意検討を重ねた。その結果、真空脱ガス処理の段階で用いる前述したフッ素レス脱硫剤の場合、CaOの割合が高いほど脱硫能力は向上するものの、一方で、CaOの割合が高いほどフラックスの融点が上昇し、そのために溶鋼中に侵入した後も速やかな溶解が阻害されて脱硫が遅滞して脱硫効果が低下するということが分った。
そこで、本発明は、真空脱ガス処理段階でのフッ素レス脱硫剤を用いて脱硫を行なうに場合でも、高い脱硫効率を実現できる新規な溶鋼の脱硫方法を提案することを目的とする。
前記目的の実現に向けた研究の中で、発明者らは、溶鋼を各種の真空脱ガス設備を使って減圧下で脱硫する際、上吹きランスから高CaO脱硫剤を供給してそのランス先端部において火炎を形成させ、その火炎で該脱硫剤を加熱溶融させてから溶鋼中に添加することで、融点の高いCaO脱硫剤であっても、脱硫の遅滞を招くことなく、高い効率での溶鋼の脱硫が実現できることを見い出した。
このような知見の下に開発した本発明の構成の特徴は、多孔上吹きランスの酸素含有ガスが通る中心通路の先端部において該酸素含有ガス噴出流のまわりに供給される燃料ガスとによってバーナー火炎を形成させ、そのバーナー火炎にて、後で詳述する本発明に特有の脱硫剤を加熱しつつ真空槽内溶鋼浴面に上吹き添加することにある。
即ち、本発明は、真空脱ガス設備に配設された上吹きランス先端部で形成されるバーナー火炎にて当該ランスを通じて供給される粉体(脱硫剤)を加熱し、この粉体を脱ガス槽内の溶鋼の浴面上に吹き付けて溶鋼の精錬を行なう際に、
前記粉体としては、CaF を含有していない、CaOおよびAlの組成が下記(1)式を満たす石灰系脱硫剤であって、CaO粉とAl粉とが予め混合されて混合物の形態をとるプレミックスフラックスを用い
そのプレミックスフラックスをバーナー火炎を介して鋼浴面上に吹き付けるに当たっては、バーナーから供給される熱量(F×Q)とキャリアガス流量(G)とが下記(2)式の条件を満足するように吹き付け、かつ、
該キャリアガス流量(G)(Nm /h)については、粉体投射速度(W)(kg/min)との関係において、W/G≦50を満足するように調整することを特徴とする溶鋼の脱硫方法である。

1.2≦(CaO)/(Al)≦4.0・・・(1)
(CaO):石灰系脱硫剤中に含まれるCaOの量(kg)
(Al):石灰系脱硫剤中に含まれるAlの量(kg)
10≦F×Q/G≦130・・・(2)
F:燃料ガス流量(Nm /h)
Q:単位ガス量あたりの熱量(MJ/Nm
G:キャリアガス流量(Nm /h)
なお、本発明においては、さらに下記の手段を採用することがより好ましい。
)前記上吹きランスの先端から真空槽内の溶鋼浴面までの距離であるランス高さを3〜10mにすること
)溶鋼浴面上へのプレミックスフラックスの吹き付けに先立ち、真空脱ガス槽内溶鋼にMgOを投入すること。
前記真空槽内の真空度を50torr以下に調整すること。
前記のような構成からなる本発明によれば、CaOの割合が高い石灰系脱硫剤の混合粉(プレミックスフラックス)を、上吹きランスのバーナー火炎とともに真空脱ガス設備の鋼浴面に吹き付けて脱硫処理するので、従来のようにCaFを含んだフラックスを使用せずとも、高い効率での溶鋼の脱硫を行なうことができる。
特に、本発明によれば、CaFなどのフッ化物を使用しないため、取鍋の耐火物、或いは溶鋼と接触する真空脱ガス設備の耐火物の溶損を抑制することが可能になると同時に、処理後のスラグにはフッ素が含有されないため、製鋼スラグの有効利用という観点で頗る有効な脱硫処理の方法を提案できる。
図は、RH真空脱ガス装置の概要を示す断面図である。
図1は、本発明において用いる、代表的な真空脱ガス設備であるRH真空脱ガス装置の例を示す断面図である。例示したRH真空脱ガス装置は、主として溶鋼2を貯留する取鍋1と、溶鋼の脱ガスを行なう脱ガス部とで構成されており、その脱ガス部は、下部が取鍋内の溶鋼中に浸漬される真空槽4と、この槽に接続される排気設備とで構成されている。そして、真空槽4は、下部が一対の浸漬管5、6にて構成されており、その上部には排気設備に繋がる排気口8が設けられている。真空槽4の上部にはまた、合金や媒溶剤等の副原料を添加するための投入口9が設けられており、その頂部には、酸素ガスや燃料ガスとともに脱硫剤(以下、「脱硫フラックス」ともいう)を吹込むための多孔構造の水冷上吹きランス10が上方より上下動可能に配設されている。さらに、前記浸漬管の一方(吸上げ側)には、Arガス等の不活性ガスを導入するためのガス吹込み管7が接続されている。
前記RH真空脱ガス装置の操業に当たっては、まず、前記2本の浸漬管5、6を取鍋1内の溶鋼2中に浸漬させ、その後、真空槽4内を排気設備により真空排気して溶鋼2を浸漬管5を介して真空槽4内に吸い揚げて導入する。このとき、前記ガス吹込み管7から浸漬管5内に不活性ガスを供給すると、その不活性ガスの上昇にともなって、取鍋内溶鋼2も浸漬管5内を上昇する。真空槽4内に達した溶鋼は、その後、浸漬管6を介して取鍋1内に向けて降下し、このようして溶鋼の脱ガス環流処理が行なわれる。
前述したRH真空脱ガス装置では、溶鋼2の脱ガスと同時に、前記上吹きランス10から、燃料ガスと共に燃焼用酸素含有ガスとを供給することにより、ランス先端部にバーナー火炎を形成させながら、粉体用キャリアガス介して特定の粉体(脱硫剤)を供給することにより、脱硫処理を行なうことができる。
以下、前記RH脱ガス装置を使って脱硫精錬を行なう方法についてさらに具体的に説明する。高炉から出銑された溶銑は、まず溶銑鍋やトーピードカーなどの溶銑保持・搬送用容器に受銑した後、次工程の脱炭精錬を行なう転炉に搬送される。その搬送途中で、溶銑に対して脱硫処理(溶銑脱硫)を施される。一般には、そうした脱硫溶銑を転炉において脱炭精錬した後、転炉から取鍋に出鋼する。その後、転炉から出鋼された溶鋼は、RH真空脱ガス装置(これはDH真空脱ガス装置やVOD炉であってもよい)に搬送し、このRH真空脱ガス装置において所定の真空精錬と脱硫処理とが施される。この場合、使用する溶鋼としては、高炉から出銑された溶銑を転炉で脱炭精錬した溶鋼だけに限られるものではなく、鉄スクラップなどを電気炉で溶解して精錬した溶鋼であってもよい。
前記RH真空脱ガス装置による脱硫精錬は以下のようにして実施する。先ず、溶鋼2を収納する取鍋1を真空槽4の直下に搬送する。なお、この取鍋1の内部には転炉や電気炉などの精錬時に発生したスラグ3が一部混入しており、溶鋼2の浴面を覆っている。次いで、前記取鍋1を昇降装置(図示せず)によって上昇させて、取鍋1に収容された溶鋼2中に上昇側浸漬管5および下降側浸漬管6を浸漬させる。そして、環流用ガス吹込み管7からは、前記上昇側浸漬管5の内部にArガスを環流用ガスとして吹き込むと共に、真空槽4の内部をダクト8に連結される排気装置にて排気することにより、真空槽4の内部を減圧する。そして、前記真空槽4の内部が減圧されると、取鍋1に収容された溶鋼2は、環流用ガス吹込み管7から吹き込まれるArガスと共に浸漬管5を上昇して真空槽4の内部に流入し、その後、下降側の浸漬管6を介して取鍋1に戻る流れ、所謂、環流を形成してRH真空脱ガス精錬が行なわれる。
このRH真空脱ガス装置による精錬に際しては、脱硫処理に先立ち溶鋼2中に原料投入口9などから金属Alなどを添加し、溶鋼2のAl濃度を0.03〜0.2mass%程度に調整した上で、前記上吹きランス10から搬送用ガスと共に粉状の石灰系脱硫フラックスを、前記真空槽4の内部の溶鋼2に向けて吹き付けて添加(「投射」ともいう)し、溶鋼2に脱硫処理を施す。
その脱硫処理においては、前記脱硫フラックスの効果的な溶解を担保するため、前記バーナー火炎の調整が重要となる。即ち、バーナー火炎からの真空槽4内鋼浴面への熱の供給に関する着熱率を考慮することが重要である。ここで、その着熱率(%)は、溶鋼への入熱量とバーナー燃焼時の総熱量の割合から求められる。
なお、「溶鋼への入熱量」は、バーナー燃焼前後での取鍋内溶鋼温度の上昇量および取鍋内溶鋼重量から求める。
即ち、本発明においては、脱硫フラックスを、バーナー火炎を介して真空槽内の鋼浴面上に吹き付けるに際し、前記バーナーから供給される熱量(F×Q)とキャリアガス流量(G)とが下記式(2)の条件
10≦F×Q/G≦130・・・(2)
F:燃料ガス流量(Nm/h)
Q:単位ガス量あたりの熱量(MJ/Nm
G:キャリアガス流量(Nm /h)
を満足することが好ましい。
その理由は、前記(2)式の(F×Q/G)が10(MJ/Nm 未満では、キャリアガスの流量が多すぎるため、火炎の温度が低下してしまうためであり、一方、130(MJ/Nm 超では、燃料ガス流量が少なすぎて粉体を安定して供給できないからである。
また、本発明の好ましい実施形態においては、粉体の安定供給という観点から、G:キャリアガス流量(Nm /h)、W:粉体投射速度(kg/min)の比を、W/G≦50程度に調整する。また、この脱硫処理時の真空度はより高くすることが好ましい。その理由は、上吹きランス10からの噴出ガス速度の減衰が少なくなるため、搬送用ガス流量を一定とした場合でも、噴出ガスの溶鋼2の浴面におけるガス動圧が高くなり、脱硫剤の歩留まり向上および投射位置での反応促進の観点から有利となるからである。従って、真空槽4の真空度は50torr(66.7hPa)以下にすることが好ましく、高真空までの排気が可能であるならば、10torr(13.3hPa)以下にすることが望ましい。
本発明においては、使用する脱硫フラックスの構成が重要である。その脱硫フラックスとしては、CaOとAlの比率が下記式(1)
1.2≦(CaO)/(Al)≦4.0・・・(1)
を満たし、かつCaFを含有していないプレミックスフラックスを用いることが好適である。
このプレミックスフラックスというのは、従来の所謂、CaO粉およびAl粉の混合物を予め加熱溶融し、固化させた後に粉砕処理して得られるプリメルトフラックスとは区別されるものであり、所謂、CaO粉とAl粉との単なる混合物の形態をとる点に第1の特徴がある。なお、従来から用いられているプリメルトフラックスは、本発明で採用するプレミックスフラックスに比べて高価である。
本発明で用いる脱硫用プレミックスフラックスの第2の特徴は、CaFを含有していない点にある。これは耐火物の溶損を極力防止するためとプレミックスフラックスのコストを安価に保つために必要なことである。
前記脱硫用プレミックスフラックス中のCaOとAlの濃度比率は、1.2よりも小さくなると、脱硫能が乏しくなるため好ましくない。一方、フラックス中のCaOとAlの濃度比率が4.0よりも高い場合には、脱硫用フラックスの融点が高くなり、バーナー火炎内でも溶融しないため、溶鋼中に侵入した後も速やかに溶解しないので脱硫が遅滞し、好ましくない。
本発明で用いる前記脱硫用プレミックスフラックスは、反応効率の観点から粒径1mm未満、望ましくは粒径150μm未満の大きさものが質量比率が90%以上であるものが好ましい。一方、排気系に吸引される量を少なくするという観点からは微粉成分は少ない方が望ましく、従って、粒径10μm未満の大きさのものが質量比率で10%未満であるのが好ましく、粒径50μm未満の大きさものが質量比率で10%未満の大きさであるものがより好ましい。
なお、前記脱硫用プレミックスフラックス中には不純物として5mass%までのSiOが含有は許容される。それは、この量よりもSiOが多いと、脱硫能が低下するので好ましくない。
さらに、本発明においては、脱硫時の溶鋼の酸素ポテンシャルを低位に維持するとともに、脱硫後の復硫を効果的に防止するために、RH真空脱ガス装置にて脱硫用プレミックスフラックスを吹き付け(添加)前に、真空脱ガス槽において還流溶鋼中にMgOを投入することが好ましい。なお、MgOの投入方法としては、真空脱ガス槽の上部に設けられた副原料投入シュートから投入する方法、或いは脱硫用プレミックスフラックスを投射する上吹きランスから投射する方法のどちらであっても構わないが、排気系への吸引量を少なくし、塊状のマグネシアクリンカーなども使用できる点からは、前者の方法を採用することが好ましい。
このMgOは、RH真空脱ガス装置の下降管から溶鋼流に随伴されて取鍋内の溶鋼に入り、溶鋼中を浮上して、取鍋内溶鋼の浴面上に滞留するスラグと溶鋼との間に高融点のバリア層を形成する。このバリア層によって取鍋スラグ中のFeOやMnOなどの酸化性成分による溶鋼の再酸化が防止され、脱硫に好適な低酸素ポテンシャルの雰囲気を維持することができるとともに、復硫も防止できる。
鋼浴面上に投入する前記MgO源としては、マグネシアクリンカーのほかマグネシア系耐火物屑などが使用できる。上記効果を発揮させるための好ましいMgOの投入量は、溶鋼トン当たり1kg(以下「kg/t」と記す)以上、より好ましくは1.5kg/t以上である。但し、多量に投入すると溶鋼の温度降下を招くので、好ましくは上限を5kg/tとし、より好ましくは3kg/tとする。
また、前記上吹きランス10は、例えば、ランスの軸中心に設けられた、酸素含有ガス用中心通路と、その中心通路の外環状通路内を燃料ガスが流れかつそれらの先端部において、酸素含有ガスと燃料ガスとが合流することで火炎を形成する形式の同心多重管形の上吹きランス、もしくは、ランスの軸中心に設けられた、溶鋼に吹き付ける酸素含有ガスが通る中心通路の先端において燃料ガスが直接合流するような上吹きランスなどを用いることができる。
本発明においては、溶鋼2をRH真空脱ガス装置1などの真空脱ガス設備で精錬する際に、必要に応じて先ず真空脱炭処理やAl添加と酸素供給による昇熱処理を行なう。その後、溶鋼2中のAl濃度を合金剤の添加により調整すると同時に溶鋼温度も調整する。次いで、バーナー火炎中に、前記石灰系脱硫剤(プレミックスフラックス)を該溶鋼2浴面へ投射して脱硫処理すると共に、溶鋼を浸漬管4、5中を環流させながら合金成分の確認・調整を行って真空精錬を終了する。その結果、高い脱硫率で安定して真空脱ガス設備において溶鋼2を脱硫処理することができる。なお、前記の説明は真空脱ガス設備としてRH真空脱ガス装置を使用した例で説明したが、本発明ではRH真空脱ガス装置だけに限るものではなく、上吹きランスを有するDH真空脱ガス装置、VOD設備、VAD設備などでも上記の説明に沿って実施することができる。
(実施例1)
本発明をRH真空脱ガス装置に適応して実施した例である。この実施例では、約300tの溶鋼をRH真空脱ガス処理装置を用いて精錬を行った。なお、RH真空脱ガス処理前の溶鋼組成は、[C]=0.02〜0.1mass%、[S]=0.0030〜0.0033mass%、温度=1600〜1650℃であった。
脱炭処理を行った後、必要に応じて、温度測定を行い、フラックス添加前に必要な温度が確保できているかどうかを確認した。この時に必要な温度とは、処理予定時間経過による温度低下と脱硫剤添加による温度低下を考慮して、処理装置や処理条件毎に決められる温度である。温度不足の場合には、合金鉄投入口からAlを添加し、酸素付加によるAl昇熱処理を行った。その後、溶鋼中へ脱酸目的および成分調整用の金属Alを添加した後、真空槽の上から挿入したランスの先端を浴面から6m程度の位置で固定し、燃料としてLNGと、燃焼用ガスとして酸素を供給することにより、バーナー火炎を生成させ、Arガスをキャリアガスとして、CaO−Alのプリメルトフラックスもしくはプレミックスフラックスをそれぞれ150kg/min.で1.2t投射して脱硫処理を行ない、低硫鋼([S]≦0.0024mass%)が溶製できるか評価した。
その結果を表1に示す。表1中において、No.1〜9はプレミックスフラックス、No.10〜18はプリメルトフラックスを使用した。操業はLNG:400Nm/h、酸素:920Nm/h、キャリアArガス:500Nm/hで一定とし、脱硫剤のCaOとAlの比率を0.9〜4.6まで変化させた。この実施例においては、石灰系脱硫剤として500μm以下、平均粒径100μm程度のものを用いた。
Figure 0006323688
表1に示す結果から、以下のことが判明した。なお、表中において、脱硫処理後の[S]濃度が0.0024mass%以下の試験は「○」つまり「良」、それ以外の試験は「×」つまり「不良」として表示した。
試験No.8、9、17、18は、脱硫剤を加熱することなく副原料投入口(図1の8)から真空槽内へ添加した例であり、脱硫処理後の[S]は0.0029mass%で、ほとんど脱硫されていなかった。これは、高CaOフラックスが溶鋼中に侵入しても速やかに溶解せずに、脱硫が遅滞してしまったためであると考えられる。
これに対して、No.1〜7は、脱硫剤を上吹きランスの先端に形成した火炎で加熱して溶鋼浴に上吹き添加した例である。No.2〜6、11〜15では、脱硫処理後の[S]は目標の[S]濃度である0.0024mass%以下まで脱硫できていた。これは、プリメルトフラックス、プレミックスフラックスのいずれにおいても、バーナーの火炎中で粉体が溶融し、溶鋼に到達したためであると考えられる。
また、(CaO)/(Al)の値が1.2よりも小さいNo.1、10では、目標の[S]濃度まで脱硫できなかった。これは、脱硫剤中のCaOの比率が低いために脱硫能が低下してしまったと考えられる。また、(CaO)/(Al)の値が4より大きいNo.7、16でも目標の[S]濃度まで脱硫できなかった。これは、脱硫剤中のCaOの割合が高すぎるため、脱硫剤が火炎内でも溶鋼中に侵入後も溶解せず、脱硫が遅滞してしまったことが原因であると考えられる。
脱硫剤のコストは、プリメルトフラックスよりもプレミックスフラックスの方が安価であり、プレミックスフラックスを用いることで低硫鋼([S]≦0.0024mass%を安価に溶製することができた。
(実施例2)
さらに、この実施例では、LNG流量、酸素、キャリアArガス流量を変更した試験を行った。粉体添加速度、ランス高さ、真空度などの処理条件は実施例1と同条件である。また、脱硫剤はプレミックスフラックスを用い、(CaO)/(Al)の値は2.1で一定とした。
Figure 0006323688
表に示す結果から、以下のことが分った。
なお、粉体(脱硫剤)の安定供給の可否を粉体を所定量供給できた場合は「○」、粉体を所定量供給できなかった場合は「×」として表示した。なお、着熱率は下記式により計算した。
着熱率(%)=溶鋼への入熱量/バーナー燃焼の総熱量×100(%)
ここで「溶鋼への入熱量」は、バーナー燃焼前後での取鍋内溶鋼温度の上昇量および取鍋内溶鋼重量から求めた。
まず、No.19〜23いずれの試験においても脱硫処理後の[S]濃度は目標の0.0024mass%以下であった。
F×Q/Gの値が(2)式の範囲を満たしているNo.20〜22では、着熱率は80%台と高位であり、かつ粉体を所定量供給することができた。F×Q/Gの値が130(MJ/Nm 以上のNo.19では所定量供給することができなかった。これは、粉体のキャリアArガス流量が少なかったため、粉体が配管途中で詰まってしまったことが原因であると考えられる。一方、バーナーから供給される熱量とキャリアガス流量の比(F×Q/G)の値が10(MJ/Nm 以下であるNo.23では、着熱率が60%台と低位であった。これは、燃料の発熱量に対してキャリアArガス流量が多すぎたために、火炎の温度が低下してしまったことが原因であると考えられる。
(実施例3)
ランス高さを変更する試験を行なった。粉体添加速度、真空度などの処理条件は実施例1、2と同条件である。また、脱硫剤はプレミックスフラックスを用い、(CaO)/(Al)の値は2.1で一定、F×Q/Gの値は42で一定とした。
Figure 0006323688
表3に示す結果から以下のことが分った。
なお、脱硫剤の添加歩留、溶鋼中のAlロス量はそれぞれ下記式により計算した。
脱硫剤の添加歩留(%)=
溶鋼中に歩留った脱硫剤の量/脱硫剤の全添加量×100
ここで「溶鋼中に歩留った脱硫剤の量」は、脱硫処理前後での取鍋内スラグ厚みの増加量、取鍋内スラグの組成変化(Total Ca濃度の増加量)から求める。
溶鋼中のAlロス量(kg/t)=
{脱硫処理前の溶鋼中Al濃度(mass%)−脱硫処理後の溶鋼中Al濃度(mass%)}×10
まず、No.24〜33いずれの試験においても脱硫処理後の[S]濃度は目標の0.0024mass%以下であった。また、粉体を所定量供給することができ、着熱率も80%以上と高位であった。ランス高さが3〜10mであったNo.25〜32では粉体の添加歩留は90%以上と高位であり、溶鋼中のAlロス量も0.2kg/t以下と少なかった。ランス高さが11mであるNo.33では粉体の添加歩留が低下し、90%以下の添加歩留であった。一方、ランス高さが2mであるNo.24では、溶鋼中のAlの酸化ロス量が0.41kg/tと多かった。これは、燃料を燃焼させるためにバーナから供給している酸素が、ランス高さが低く反応距離が短いために、燃料と反応しないまま溶鋼に到達し、溶鋼のAlと反応したことが原因であると考えられる。
以上の結果から、本発明に適合する条件でランス先端のバーナーに火炎を形成し、もって脱硫剤を加熱・溶融して上吹き添加することにより、高効率で溶鋼の脱硫を行なうことができる。
前述した溶鋼の脱硫(精錬)の方法は、石灰系脱硫剤、バーナー火炎条件、その他の精錬条件の変更を特徴とするものであるが、これは他の技術の組み合わせ、併用による各種の作用・効果を期待する製鋼精錬の方法への適用が可能である。
1 取鍋
2 溶鋼
3 スラグ
4 真空槽
5 上昇側浸漬管
6 下降側浸漬管
7 環流用ガス吹込み管
8 ダクト
9 原料投入口
10 上吹きランス

Claims (4)

  1. 真空脱ガス設備に配設された上吹きランス先端部で形成されるバーナー火炎にて当該ランスを通じて供給される粉体を加熱し、この粉体を真空槽内の溶鋼の浴面上に吹き付けて溶鋼の精錬を行なう際に、
    前記粉体としては、CaF を含有していない、CaOおよびAlの組成が下記(1)式を満たす石灰系脱硫剤であって、CaO粉とAl粉とが予め混合されて混合物の形態をとるプレミックスフラックスを用い
    そのプレミックスフラックスをバーナー火炎を介して鋼浴面上に吹き付けるに当たっては、バーナーから供給される熱量(F×Q)とキャリアガス流量(G)とが下記(2)式の条件を満足するように吹き付け、かつ、
    該キャリアガス流量(G)(Nm /h)については、粉体投射速度(W)(kg/min)との関係において、W/G≦50を満足するように調整することを特徴とする溶鋼の脱硫方法。

    1.2≦(CaO)/(Al)≦4.0・・・(1)
    (CaO):石灰系脱硫剤中に含まれるCaOの量(kg)
    (Al):石灰系脱硫剤中に含まれるAlの量(kg)
    10≦F×Q/G≦130・・・(2)
    F:燃料ガス流量(Nm /h)
    Q:単位ガス量あたりの熱量(MJ/Nm
    G:キャリアガス流量(Nm /h)
  2. 前記上吹きランスの先端から真空槽内の溶鋼浴面までの距離であるランス高さを3〜10mにすることを特徴とする請求項に記載の溶鋼の脱硫方法。
  3. 溶鋼浴面上へのプレミックスフラックスの吹き付けに先立ち、真空脱ガス槽内溶鋼にMgOを投入することを特徴とする請求項1または2に記載の溶鋼の脱硫方法。
  4. 前記真空槽内の真空度を50torr以下に調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の溶鋼の脱硫方法。
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