JP6281708B2 - 溶鋼の脱硫方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶鋼の脱硫方法に関し、特に、真空脱ガス設備において脱硫剤鉱粉体を用いて脱硫する溶鋼の脱硫方法に関する。
近年、鋼は、高付加価値化および用途の拡大に伴って材料特性の向上が求められており、高純度鋼溶製の要求が高まっている。このような要求に応えるために、近年、溶鉄は極低硫化に向かっている。溶鉄の脱硫は、一般的に、溶銑段階での脱硫処理と溶鋼段階での脱硫処理とがある。そのうち、高級電磁鋼板やラインパイプ用鋼等に用いられている極低硫鋼は、溶鋼段階での脱硫処理が有効である。
従来、極低硫鋼のような高純度鋼を溶鋼段階で脱硫処理する方法について、様々な提案がある。例えば、取鍋内で脱硫剤をインジェクションする方法や、脱硫剤を添加した後に溶鋼を攪拌する方法などが知られている。これらの方法は、転炉出鋼から脱ガス処理までの間に特別な処理が必要となるため、溶鋼温度の低下やコストの大幅な上昇さらには生産性の低下の問題がある。従来、これらの問題を解決するために、例えばRH真空脱ガス装置に脱硫機能を持たせる試みがなされている。
RH真空脱ガス装置での代替的な脱硫方法は、この装置の真空槽に設けられた添加口から脱硫剤を添加する方法である。しかし、この方法は、投入した脱硫剤がRH真空脱ガス装置の排気系へ吸引されるなどのため、脱硫剤添加の歩留りが悪くなるという問題がある。そこで、排気系への脱硫剤の吸引を防止するために、脱硫剤の粒度を大きくする方法が考えられたが、この場合、溶鋼と脱硫剤との反応界面積の低下を招き、反応効率の面で不利となる問題がある。
その他、脱硫剤添加の歩留りを向上させるため、RH真空脱ガス装置の真空槽内で、溶鋼中に浸漬したノズルからキャリアガスと共に脱硫剤をインジェクションする方法がある(特許文献1)。しかし、この方法は、ノズルのメンテナンスが必要であり、コストがかかることや、ノズル浸漬による温度降下等の問題がある。また、この方法は、脱硫剤をインジェクションしていない間に粉体吹込み口から溶鋼が侵入しないように、常にガスを流しておく必要があり、コストおよび真空度維持の点で問題がある。
前述の問題を解決する方法として、従来、RH真空脱ガス装置の真空槽内における溶鋼の鋼浴面上に、上吹きランスを使って脱硫剤を吹き付ける(投射する)ことによって溶鋼の脱硫を行う方法がある(特許文献2)。この脱硫方法においては、脱硫剤の滓化促進のためCaO−CaF系フラックスが用いられることが多く、脱硫率を向上させるためには、CaFの含有量が高い脱硫剤を使用することが望ましい。しかし、CaFの含有量が高い脱硫剤を使用する場合、環境上の問題があるだけではなく、溶融したCaO−CaF系フラックスによって、取鍋や真空槽内面さらには環流浸漬管の耐火物の著しい溶損を招き、設備寿命が短くなるという問題がある。
そこで、近年では、CaFを用いない脱硫剤として、CaOとAlの混合物を溶融したのち冷却し破砕して得られるCaO−Al系のフラックス(プリメルトフラックス)が提案されている(特許文献3)。しかし、プリメルトラックスは、非常に高価であるため、処理コストが高くなるという問題がある他、CaO−CaF系フラックスと同様に、取鍋や真空槽内面環流浸漬管の耐火物の著しい溶損を招きやすく、設備寿命が短くなるという問題がある。
さらに、CaO−CaF系フラックスの溶融を促進させる方法、CaF含有量の少ない脱硫剤を使用する方法、あるいはCaFを使用しない脱硫剤の溶融方法としては、燃料ガスと酸素ガスを脱硫剤と同時に噴出することにより、脱硫剤をバーナー火炎にて加熱して、鋼浴面に到達させる方法がある(特許文献4)。これらの方法は、粉体を燃料ガスと酸素ガスと共に噴出させてランスの下方においてバーナー火炎にて加熱しながら、該粉体(脱硫剤)を鋼浴面に向けて噴出させ、溶鋼浴中に到達させる技術である。
しかし、これらの方法の場合、真空下でバーナー火炎の体積が膨張し放熱して火炎温度が低下するため、大気下よりも粉体の加熱が困難になると予想される。そのため、単にフラックスをバーナー火炎内を通過させただけでは十分な加熱が行われない。その結果、この方法では、CaFの使用量を減少させてもある程度の脱硫率の向上は見込めるが、CaFを全く含まない脱硫剤(フラックス)を用いた場合には、著しい脱硫効率の向上は見込めない。
特開昭61−130413号公報 特開平5−311231号公報 特開昭55−24925号公報 特開平7−41826号公報
本発明の目的は、CaFを含まない脱硫剤を用いて、効果的に脱硫することができる溶鋼の脱硫方法を提案することにある。
発明者らは、上記目的を達成すべく種々の試験研究を重ねた。その結果、以下で述べるような脱硫剤含有粉体を上吹きランスのバーナー火炎にて加熱してから鋼浴面に吹き付ける脱硫する方法において、特に該脱酸剤添加粉体の構成を最適化すれば、効率的な(脱硫効率の高い)溶鋼の脱硫ができることを見出した。
即ち、本発明は、上吹きランスのバーナーを使って加熱した脱硫剤含有粉体を、脱ガス槽内の溶鋼浴面上に吹き付けることにより、真空脱ガス設備において脱硫する方法において、石灰系脱硫剤と金属含有粉とからなる脱硫剤含有粉体を、下記式を満たすように吹き付け添加することを特徴とする溶鋼の脱硫方法である:
0.25≦(CaO)/{(MO1)+(MO2)}≦2.0
ここで、(CaO):石灰系脱硫剤中に含まれるCaOの量(kg)、(MO1):金属含有粉中の金属M(Caを除く)が完全に酸化された場合の酸化物の量(kg)、(MO2):金属含有粉中に含有されていた金属Mの酸化物の量(kg)、である。
なお、本発明の上記の構成において、
(1)前記金属含有粉は、金属Al含有アルミドロス、CaSi粉末、CaAl粉末、FeSi粉末のいずれか1種の粉末またはこれらの混合粉からなる金属含有粉であること、
(2)前記石灰系脱硫剤は、石灰、軽焼ドロマイト、焼成ドロマイトのいずれか1種またはこれらの混合物であること、
(3)前記脱硫剤含有粉体の溶鋼浴面への投射は、0.1〜1.5(kg/min・t)の速度で行うこと、
(4)前記脱ガス槽内の真空度は、50torr以下とすること、
(5) 前記脱硫剤含有粉体の粒径がともに1.0mm以下であること、
がより好ましい解決手段になるものと考えられる。
前記のように構成される本発明によれば、高温のバーナー火炎とともに前記脱硫剤含有粉体を、真空脱ガス設備で精錬されている減圧下の溶鋼の鋼浴面に投射して脱硫処理するので、CaFなどのフッ化物やカルシウムアルミネートなどのプリメルトフラックスを使用しなくとも、高い脱硫効率で溶鋼の脱硫が可能になる。しかも、本発明によれば、CaFなどのフッ化物やプリメルトフラックスを使用しないため、取鍋の耐火物、あるいは溶鋼と接触する真空脱ガス設備の耐火物の溶損を抑制することができると共に、処理後のスラグにはフッ素が含有していないため、スラグの事後処理が容易になる。さらに、本発明によれば、高価なカルシウムアルミネート脱硫剤を使用するよりも脱硫処理を低いコストで行なうことができる。
本発明を実施する際に用いたRH真空脱ガス装置の例を示す図である。 本発明における金属酸化物に対するCaOの比(CaO)/{(MO1)+(MO2)}と脱硫指数との関係を示すグラフである。
本発明において、RH真空脱ガス装置の上吹きランス先端にあるバーナーの燃焼火炎とともに脱硫剤含有粉体を噴射し、これを鋼浴面に吹き付けることによって、脱硫効率を高めるためには、真空下で燃焼状態にあるバーナー火炎の温度が重要である。しかし、前述したとおり、真空下では、バーナー火炎の体積は膨張し、放熱が大きくなることにより、火炎温度も低下してしまう。そこで、本発明では、真空下での火炎温度を高温化するために、使用する脱硫剤含有粉体として、石灰系脱硫剤とともに金属および/または金属酸化物の粉を含有した物質(以下、「金属含有粉」という)を用いることにした。このことにより、バーナー火炎温度を増加させることができ、CaFやプリメルトフラックスを用いることなく、脱硫効率を高めることができることが判った。
前記金属含有粉としては、金属Alやその酸化物を含有しているアルミドロス、粉体状の合金であるCaSi粉末、CaAl粉末、FeSi粉末などを用いることができる。また、石灰系脱硫剤としては、石灰(CaO)、ドロマイト(CaO−MgO系)などを用いることができる。このような金属含有粉と石炭系脱硫剤とからなる粉体を用いれば、バーナーの火炎温度を上げさせることができ、該粉体は降温の火炎中で確実に加熱溶融させることができる。その理由は、上記金属含有粉は、火炎中で酸化されて酸化物となるとき発熱反応を起こして、CaOと共に溶融物を形成するためである。なお、石炭系脱硫剤としては、CaO単体でも特に問題はない。
本発明において、これらの石灰系脱硫剤と金属含有粉とを含有した脱硫剤含有粉体を、上吹きランス下端部のバーナー火炎を用いて加熱し鋼浴面に噴射した場合、前述のようにバーナー火炎温度が上がり、脱硫反応が促進される。特に、金属含有粉を含有しない脱硫剤含有粉体と、金属含有粉を含有する脱硫剤含有粉体とを、真空下でバーナーにより燃焼させて火炎温度を測定したところ、金属含有粉の量が増加するにつれて、火炎温度が増加することもわかった。
さらに、石灰系脱硫剤と金属含有粉とからなる脱硫剤含有粉体のそれぞれの混合比率を変化させて、真空下での脱硫挙動を調査したところ、金属含有粉の割合が少なすぎても多すぎても効果が得られないことがわかった。即ち、金属含有粉の割合が少なすぎる場合には、火炎の温度が上がらず、金属含有粉の割合が多すぎる場合には、火炎の温度は上がるが脱硫率が悪化することもわかった。この原因について詳しく調査したところ、石灰に対する石灰以外の金属酸化物の割合が増加することに起因することがわかった。
本発明において、石灰系脱硫剤と金属含有粉とをバーナー火炎で加熱して投射する研究を進めた結果、石灰系脱硫剤と金属含有粉とからなる脱硫剤含有粉体中に含まれる金属含有粉が、火炎中で酸化されることにより生成する酸化物の量とCaOの比が重量であることを見出した。具体的には、(CaO):石灰系脱硫剤中に含まれるCaOの量(kg)、(MO1):金属含有粉中の金属M(Caを除く)が完全に酸化された場合の酸化物の量(kg)、(MO2):金属含有粉中に含有されていた金属Mの酸化物の量(kg)、と定義した際に、金属酸化物に対するCaOの比:(CaO)/{(MO1)+(MO2)}を0.25〜2.0の範囲とすることにより、脱硫効率が向上することが判った。
実際に、100Torrの真空下でバーナーを燃焼させ、金属含有粉を用いなかった場合と、金属含有粉を用いた場合について、バーナー火炎温度を測定したところ、金属含有粉を用いなかった場合には1200℃であったが、金属含有粉を増加させていき、金属酸化物に対するCaOの比:(CaO)/{(MO1)+(MO2)}が2.0以下にした場合には、1800〜2200℃の火炎温度が得られていた。このことから、金属含有粉の量を増加させた場合、金属酸化物に対するCaOの比:(CaO)/{(MO1)+(MO2)}が2.0以下の範囲で火炎温度が増加し、フラックスが火炎中で加熱され、脱硫が促進されたと考えられる。しかし、さらに金属含有粉を増加させていき、金属酸化物に対するCaOの比:(CaO)/{(MO1)+(MO2)}を0.25未満とした場合には、金属酸化物に対するCaOの割合が低くなりすぎて、脱硫能力が低下した。
通常、高炉から出銑された溶銑は、溶銑鍋やトーピードカーなどの溶銑保持・搬送用容器で受銑し、次工程の脱炭精錬を行う転炉に搬送される。その搬送途中で、溶銑に対して脱硫処理を施す。次に、この溶銑を転炉において脱炭精錬して得た溶鋼は、転炉から取鍋に出鋼される。次いで、出鋼された溶鋼は、RH真空脱ガス装置、DH真空脱ガス装置、あるいはVOD炉などの真空脱ガス設備に搬送され、この真空脱ガス設備において所定の真空精錬と脱硫処理とが施される。この場合、使用する溶鋼としては、高炉から出銑された溶銑を転炉で脱炭精錬した溶鋼に限るものではなく、鉄スクラップなどを電気炉で溶解して精錬した溶鋼であってもよい。
真空脱ガス設備の代表的な設備はRH真空脱ガス装置である。以下、真空脱ガス設備としてRH真空脱ガス装置を用いて精錬する例で、本発明を説明する。
図1は、本発明を実施する際に用いるRH真空脱ガス装置の一例を示す断面図である。この図に示すように、RH真空脱ガス装置は、真空槽4と、上昇側浸漬管5及び下降側浸漬管6とを備えている。また、真空槽4には、排気装置(図示せず)と接続するダクト8と、原料投入口9と、真空槽4の内部を上下方向に移動可能な上吹きランス10とが配設されている。さらに、上昇側浸漬管5には、環流用ガス吹き込み管7が設けられている。そして、環流用ガス吹き込み管7からは環流用ガスとしてArガスが上昇側浸漬管5の内部に吹き込まれる構造となっている。
本発明において脱硫は、前記RH真空脱ガス装置において、本発明に係る脱硫方法を以下のようにして実施される。先ず、溶鋼2を収容した取鍋1を真空槽4の直下に搬送する。取鍋1の内部には転炉や電気炉などにおける精錬で発生したスラグ3が一部混入し、溶鋼2の湯面を覆っている。次いで、取鍋1を昇降装置(図示せず)によって上昇させ、上昇側浸漬管5及び下降側浸漬管6を取鍋1に収容された溶鋼2に浸漬させる。そして、環流用ガス吹き込み管7から上昇側浸漬管5の内部にArガスを環流用ガスとして吹き込むと共に、真空槽4の内部をダクト8に連結される排気装置にて排気して真空槽4の内部を減圧する。真空槽4の内部が減圧されると、取鍋1に収容された溶鋼2は、環流用ガス吹き込み管7から吹き込まれるArガスと共に上昇側浸漬管5を上昇して真空槽4の内部に流入し、その後、下降側浸漬管6を介して取鍋1に戻る流れ、所謂、環流を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。
本発明では、このRH真空脱ガス精錬中に、脱硫処理の前に予め溶鋼2に原料投入口9などから金属Alなどの金属粉を添加し、溶鋼2のAl濃度を0.03〜0.4mass%程度とした上で上吹きランス10から搬送用ガスと共に粉状の石灰系脱硫剤と金属含有粉とを、真空槽4の内部の溶鋼2に向けて吹き付けて添加(以下、「投射」ともいう)し、溶鋼3の脱硫処理を行う。本発明で必須の、石灰系脱硫剤と金属含有粉とからなる脱硫剤含有粉体の投射の速度は、脱硫効率を高める観点から、0.1〜1.5kg/min・tの範囲、望ましくは0.1〜1.0kg/min・tの範囲とすることが好ましい。脱硫剤は、バーナー火炎の熱を溶鋼へ着熱させるための熱媒体として機能するため、0.1kg/min・t未満では、バーナー火炎の熱を溶鋼へ十分に着熱することができず、一方1.5kg/min・tを超えるとバーナーの熱に対して脱硫剤量が多くなりすぎ、バーナー火炎中での脱硫剤の加熱が不十分となり、高い脱硫効率を得られなくなるからである。
脱硫処理の際に、真空槽4の真空度を高くすると、上吹きランス10からの噴出ガス速度の減衰が少なくなる。そのため、搬送用ガス流量を一定とした場合でも、噴出ガスの溶鋼2の浴面におけるガス動圧が高くなり、脱硫剤の歩留まり向上及び投射位置での反応促進の観点から有利である。従って、真空槽4の真空度は50torr(66.7hPa)以下にすることが好ましく、高真空までの排気が可能であるならば、10torr(13.3hPa)以下にすることが望ましい。
本発明において使用する石灰系脱硫剤としては、石灰(CaO)、軽焼ドロマイト(生ドロマイトを1000〜1300℃で加熱焼成したもの)、焼成ドロマイト、及びこれらの混合物などを用いることができる。金属含有粉としては、金属Alを含有する物質として安価に入手できることが可能なアルミドロス粉末(金属Alを10〜50mass%程度含有する)、アルミニウム融液をガスでアトマイズして得られるアトマイズAl粉末やアルミニウム合金を研磨・切削する際に発生する切削粉などを用いることもできる。また、製鋼工程にて使用される粉体状の合金であるCaSi粉末、CaAl粉末、FeSi粉末などでもよい。この場合、投射して添加することから金属粉を含有する物質も粉末である必要がある。石灰系脱硫剤及び金属含有粉とからなる脱硫剤含有粉体は、それぞれの粒子ともに1.0mm以下の粒径であることが望ましい。これらの石灰系脱硫剤と金属含有粉とは、事前に混合した状態でひとつのホッパーから供給してもよいし、別々のホッパーから同時に切り出しても良い。
本発明において、溶鋼2をRH真空脱ガス装置などの真空脱ガス設備で精錬する際、必要に応じて先ず真空脱炭処理やAl添加と酸素供給による昇熱処理を行ない、その後、合金成分の添加により溶鋼2のAl濃度を調整すると同時に溶鋼温度を調整し、次いで、バーナー火炎と共に、前記石灰系脱硫剤と金属含有粉とからなる脱硫剤含有粉体を溶鋼2の表面へ投射して脱硫処理し、その後、環流しながら合金成分を確認ぢ調整を行なって真空精錬を終了する。その結果、高い脱硫率で安定して溶鋼2を真空脱ガス設備において脱硫処理することが達成される。
なお、上記説明は真空脱ガス設備としてRH真空脱ガス装置を使用した例で説明したが、本発明はRH真空脱ガス装置に限るものではなく、上吹きランスを有するならば、DH真空脱ガス装置、VOD設備、VAD設備などにも上記説明に沿って実施することができることはいうまでもない。
<実施例1>
RH真空脱ガス装置に本発明を適応した例として、約350tの溶鋼を上記の真空脱ガス処理装置を用いて精錬を行った。なお、RH真空脱ガス処理前の溶鋼組成は、[C]=0.02〜0.1mass%、[S]=0.0025〜0.005mass%、溶鋼温度=1600〜1650℃であった。
脱炭処理を行った後、温度測定を行い、脱硫フラックス(脱硫剤含有粉体)添加前に必要な温度が確保できているかを確認した。ここで必要な温度とは、処理予定時間経過による温度低下と脱硫剤添加による温度低下を考慮して、処理装置や処理条件毎に決められる温度である。温度不足の場合には、合金鉄投入口からAlを添加し、酸素付加によるAl昇熱処理を行った。その後、溶鋼中へ脱酸目的および成分調整用の金属Alを添加した後、真空槽の上から挿入したランスの先端を浴面から6mの位置で固定し、燃料としてLNG240Nm/hr.と燃焼用ガスとして酸素580Nm/hr.とを供給することにより、バーナー火炎を生成させ、Arガスをキャリアガスとして、事前に混合した石灰系脱硫剤と金属含有粉とからなる脱硫剤含有粉体を100kg/min.で投射することにより脱硫処理を行った。
この実施例においては、石灰系脱硫剤として、焼成石灰(CaO含有率:98mass%)を2.7kg/t、金属含有粉として、アルミドロス粉末2.0kg/tを用いた。アルミドロス粉末の組成は、金属Al粉:30mass%、Alの酸化物(Al):50mass%のものを用いた。この場合では、アルミドロスの酸化物の合計量{(MO1)+(MO2)}は、2.13kg/tとなり、金属酸化物に対するCaOの比(CaO)/{(MO1)+(MO2)}は、1.24であった。焼成石灰とアルミドロス粉末の粒径は、どちらも1mm以下であり、平均粒径200μm程度である。
比較例として、上記のフラックスを、バーナー火炎の生成の無い状態で投射した(比較例1)。また、焼成石灰(CaO含有率:98mass%)2.7kg/tとアルミナ粉末2.13kg/tとを事前混合したフラックスを、バーナー火炎と共に投射した(比較例2)。さらに、焼成石灰(CaO含有率:98mass%)2.7kg/tとアルミナ粉末2.13kg/tとの混合品プリメルトフラックスを、バーナー火炎有り(比較例3)、および、バーナー火炎無しで投射した(比較例4)。なお、比較例1〜4の金属酸化物に対するCaOの比(CaO)/{(MO1)+(MO2)}はすべて1.24であり、実施例1と同じとなるように配合した。また、バーナー火炎有りの場合の処理条件(燃料および酸素供給速度)、粉体添加速度は、すべて実施例1と同条件とした。
実施例1および比較例1〜4の方法に従って脱硫処理を行った際に得られた脱硫指数は、以下の表1に示すとおりであった。ここで、脱硫指数とは、プリメルトフラックスをバーナー点火なしで投射した場合(比較例4)の脱硫率を1とした指数を用いて示している。
Figure 0006281708
実施例1では、プリメルトフラックスをバーナー無しで投射した処理(比較例4)と同レベル以上の脱硫指数が得られていた。プリメルトフラックスをバーナー有りで投射しても(比較例3)、脱硫能力に差は生じなかった。一方、比較例3、4では、連続処理数(耐火物の補修なしに連続で処理が行えた処理数)が、それぞれ2、3チャージと非常に少なかった。プリメルトフラックスを用いた場合には、耐火物へのダメージが大きかったものと思われる。一方、プレミックス品を用いた実施例1と比較例1、2では、連続処理数が8〜10チャージと多くなっていた。しかし、金属粉含有物質を用いてバーナー火炎がなかった比較例1と、バーナー火炎有りでも金属粉を含有していなかった比較例2では、脱硫指数がそれぞれ0.4、0.5と脱硫が著しく悪化していた。
また、焼成石灰の代わりに軽焼ドロマイト、焼成ドロマイトを用いた実験も行った。ドロマイト中のCaO含有量が62mass%のものを用いたため、石灰系脱硫剤の添加量を4.35kg/t添加したところ、焼成石灰を用いた場合と同等の効果が確認できた。
<実施例2>
実施例2として、石炭系脱硫剤と金属含有粉とを含む脱硫剤含有粉体の種類、組成、添加量を変化させ、脱硫処理を行った。石灰系脱硫剤としては焼成石灰を使用した。焼成石灰のCaO含有率は、98mass%である。金属含有粉としては、アルミドロス粉末とFeSi粉末を用いた。アルミドロス粉末は、含有する金属粉と金属酸化物との含有率が異なる2種類のものを用いた。石灰系脱硫剤と金属含有粉とは、事前に混合し(プレミックス)単一のホッパーから供給した。このプレミックスフラックスをバーナー火炎とともに投射した。バーナー燃焼条件(燃料および酸素供給速度)、粉体添加速度、ランス高さなどの処理条件は実施例1と同条件であった。
金属含有粉の種類、組成、石灰系脱硫剤と金属含有粉とからなる脱硫剤含有粉体の添加量、それぞれの場合の金属酸化物に対するCaOの比(CaO)/{(MO1)+(MO2)}と脱硫指数との関係を表2、および、図2に示す。なお、脱硫指数は、実施例1と同じく、プリメルトフラックスをバーナー点火なしで投射した場合(比較例4)の脱硫率を1とした指数とした。
Figure 0006281708
表2および図2の結果から以下のことがわかる。金属酸化物に対するCaOの比(CaO)/{(MO1)+(MO2)}を、0.25〜2.0とした実施例2〜14の場合には、脱硫指数が1.0以上であるのに対し、金属酸化物に対するCaOの比(CaO)/{(MO1)+(MO2)}が0.25未満、もしくは、2.0を超える場合には、脱硫指数が0.5以下と著しく悪化していた。なお、いずれの場合も耐火物の溶損の程度は低く、耐火物の補修を行うことなく、10回以上の連続処理を行うことができた。
また、FeSi粉末の代わりにCaSi粉末、CaAl粉末を用いた実験も行ったが、FeSi粉末を用いた場合と同様の効果が確認できた。
<実施例3>
実施例3として、脱硫剤含有粉体の溶鋼浴面への投射速度を変化させ、脱硫処理を行った。石灰系脱硫剤としては焼成石灰を、金属含有粉としては、アルミドロス粉末を用いた。用いた石灰系脱硫剤、アルミドロス粉末、バーナー燃焼条件(燃料および酸素供給速度)、粉体添加速度、ランス高さなどの処理条件は実施例1と同条件であった。事前に混合した石灰系脱硫剤と金属含有粉とからなる脱硫剤含有粉体の投射速度を30〜530kg/min.で投射することにより脱硫処理を行った。
投射速度と脱硫指数との関係を表3に示す。なお、脱硫指数は、実施例1と同じく、プリメルトフラックスをバーナー点火なしで投射した場合(比較例4)の脱硫率を1とした指数とした。
Figure 0006281708
実施例3では、いずれの処理においてもプリメルトフラックスをバーナー無しで投射した処理(比較例4)と同レベル以上の脱硫指数が得られていた。特に、投射速度を35〜500kg/minとした場合に、より高い脱硫指数が得られていた。このことから、投射速度を0.10〜0.50kg/min・tの範囲で処理をした場合には、より高い脱硫能が得られることがわかった。
以上の結果から、石灰系脱硫剤と金属含有粉とからなる脱硫剤含有粉体を、金属酸化物に対するCaOの比(CaO)/{(MO1)+(MO2)}が0.25〜2.0となるように金属含有粉を配合したフラックスをバーナー火炎とともに投射することにより、プリメルトフラックスを用いない場合でも、プリメルトフラックスと同等の脱硫効果が得られ、耐火物への影響が少なく、連続処理数が増加できることがわかり、溶鋼脱硫への優位性が確認できた。
本発明の溶鋼の脱硫方法は、CaFなどのフッ化物やカルシウムアルミネートなどのプリメルトフラックスを使用せずとも、高い脱硫効率で溶鋼を脱硫処理することができるので、簡単な方法で脱硫効率の高い溶鋼を得ることを目的とする種々の脱硫処理に適用可能である。
1 取鍋
2 溶鋼
3 スラグ
4 真空槽
5 上昇側浸漬管
6 下降側浸漬管
7 環流用ガス吹き込み管
8 ダクト
9 原料投入口
10 上吹きランス

Claims (6)

  1. 上吹きランスのバーナーを使って加熱した脱硫剤含有粉体を、脱ガス槽内の溶鋼浴面上に吹き付けることにより、真空脱ガス設備において脱硫する方法において、石灰系脱硫剤と金属含有粉とからなる脱硫剤含有粉体を、下記式を満たすように吹き付け添加するとともに、金属含有粉中の金属含有率を15wt%以上とすることを特徴とする溶鋼の脱硫方法:
    0.25≦(CaO)/{(MO1)+(MO2)}≦2.0
    ここで、(CaO):石灰系脱硫剤中に含まれるCaOの量(kg)、
    (MO1):金属含有粉中の金属M(Caを除く)が完全に酸化された場合の
    酸化物の量(kg)、
    (MO2):金属含有粉中に含有されていた金属Mの酸化物の量(kg)、
    である。
  2. 前記金属含有粉は、金属Al含有アルミドロス、CaSi粉末、CaAl粉末、FeSi粉末のいずれか1種の粉末またはこれらの混合粉からなる金属含有粉であることを特徴とする請求項1に記載の溶鋼の脱硫方法。
  3. 前記石灰系脱硫剤は、石灰、軽焼ドロマイト、焼成ドロマイトのいずれか1種またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶鋼の脱硫方法。
  4. 前記脱硫剤含有粉体の溶鋼浴面への投射は、0.1〜1.5(kg/min・t)の速度で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶鋼の脱硫方法。
  5. 前記脱ガス槽内の真空度は、50torr以下とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶鋼の脱硫方法。
  6. 前記脱硫剤含有粉体の粒径がともに1.0mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶鋼の脱硫方法。
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