JP3370349B2 - 高清浄度極低炭素鋼の溶製方法 - Google Patents
高清浄度極低炭素鋼の溶製方法Info
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- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
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- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、RH真空脱ガス装置
を用いた極低炭素鋼、中でも清浄度の高い極低炭素鋼を
溶製する方法に関し、特に、効率の良い脱酸処理を実現
しようとするものである。 【0002】 【従来の技術】RH真空脱ガス装置を用いた溶製例のう
ち特開昭53−92320 号公報には、真空槽内の溶鋼の浴面
に、フラックス粉を吹きつけて溶鋼浴表面に塩基度の高
いスラグ層を形成し、鋼中の酸素濃度を低下する技術に
ついて提案している。しかしながら、この開示の方法に
は、鋼中酸素の低減に重要な取鍋スラグの組成に関する
記載がなく、高清浄度の極低炭素鋼の溶製に適用するこ
とは難しい。 【0003】また、特開平3−183722号公報には、脱酸
処理後にMgO を主成分とする添加物を真空槽の上部から
添加し、溶鋼表面とスラグ層との間に介在させて溶鋼の
酸化を防止し、高清浄度の鋼を溶製する方法が開示され
ている。しかしながら、この開示の方法にあっては、真
空槽で添加する添加物の粒度が小さい場合、上記添加物
が真空ポンプからの排気とともに排出される一方、粒度
が大きいと下降管から溶鋼中に導入されてもすぐに下降
管近傍に浮上し、スラグ−メタル界面を効果的に遮断す
ることができないため、鋼中酸素濃度を低減させること
が実現し難いという問題があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記したRH真空脱ガ
ス装置でフラックス処理を行う従来の手法は、フラック
スが溶鋼顕熱を奪って温度降下を引き起こすため、効率
の良い処理は実現できないという共通する大きな問題を
抱えていた。なお、この温度降下を補償するために、処
理開始時の溶鋼温度を上昇させておくことは、RH真空
脱ガス処理の前工程で用いる転炉の耐火物の負荷を増加
するため好ましくない。 【0005】そこで、この発明は上記各従来技術が抱え
ている諸問題を解消し、清浄度の高い極低炭素鋼を効率
よく安価に量産し得る方法について提案することを目的
とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の目的を成就するに
は、スラグによる溶鋼の再酸化を防止することが肝要で
ある。従って、RH真空脱ガス処理に供する取鍋内溶鋼
における浴面上スラグの組成が非常に重要であることが
新たに判明した。ちなみに、従来技術として掲げた特開
昭53−92320 号及び特開平3−183722号各公報には、ス
ラグ組成に関する記載は見当たらない。発明者らは、こ
のスラグ組成を適切な範囲とすることで、従来法に比べ
て効率の高い処理が、再酸化などの溶鋼汚染の危惧を招
くことなしに実現されることを確認し、この発明を完成
するに到った。 【0007】すなわちこの発明は、RH真空脱ガス装置
にて極低炭素鋼を溶製するに際し、まず、精錬炉で脱炭
した溶鋼を取鍋内に収容し、その取鍋内浴面上に、出鋼
中もしくは出鋼後に還元剤を添加することによって、Fe
O およびMnO の合計濃度が5wt%以下となるように調整
されたスラグを形成し、ついで、その取鍋にRH真空脱
ガス装置を設置したのち、該装置の真空槽内に導入した
溶鋼浴面上に、少なくともRH真空脱ガス処理の一部の
期間にわたり、上吹きランスから酸化性ガスを吹きつけ
て脱炭し、次いで脱炭後の溶鋼にAlを添加して脱酸し、
その後、真空槽内溶鋼浴面に対して上記上吹きランスか
らArガスをキャリアガスとして、CaOを50wt%以上含
有するフラックス粉を溶鋼1t当たり3kg以上吹きつけ
溶鋼を環流させてRH処理を終了することを特徴とする
高清浄度極低炭素鋼の溶製方法である。 【0008】 【作用】次に、この発明の方法の手順について説明す
る。まず転炉などの精錬炉での精錬を経た溶鋼を取鍋へ
出鋼中または出鋼後に、そのスラグにAlなどの還元剤を
添加し、スラグ成分を(FeO )+(MnO )≦5%に調整
することが、スラグからの再酸化を防止する上で肝要で
ある。 【0009】すなわち、図1にスラグ中のFeO およびMn
O の合計濃度とRH真空脱ガス処理後の酸素濃度との関
係を示すように、スラグ中のFeO およびMnO の合計濃度
が5%をこえるとRH真空脱ガス処理後の酸素濃度が急
激に上昇することがわかる。この理由は、スラグ中のFe
O およびMnO とCaOを50wt%以上含有するフラックス粉
体との滓化が急速に進行してしまって、フラックスによ
るスラグ−メタル界面の遮断ができずに再酸化が進行す
るためであると考えられる。 【0010】次に、浴面上のスラグ組成を、精錬炉から
の溶鋼出鋼中もしくは受鋼後の取鍋中で調整した取鍋
に、RH真空脱ガス装置を設置し、RH真空脱ガス装置
の真空槽に配置した上吹きランスから、真空槽内の鋼浴
面に酸素または酸素を含む酸化性ガスを、少なくともR
H真空脱ガス処理の一部の期間にわたり吹付ける。次い
で、RH真空脱ガス処理の終了後に溶鋼へAlを添加し、
引き続き、溶鋼浴面に対し上記上吹きランスから、CaO
を50%以上含有するフラックス粉を溶鋼1t当たり3kg
以上吹きつける。 【0011】この処理において、上吹きランスからは真
空槽内の鋼浴面に酸化性ガスを吹きつけることによって
溶鋼の昇温をはかり、取鍋出鋼前の溶鋼温度を大幅に上
昇させることなしに、RH真空脱ガス処理におけるフラ
ックスの大量吹き込みを実現する。このフラックスは鋼
中介在物の浮上を促進することから、鋼清浄度の極低炭
素鋼の溶製が可能となる。 【0012】また、CaO を50%以上含有するフラックス
粉を溶鋼1t当たり3kg以上で吹きつける理由は、スラ
グ−メタル界面をフラックスによって完全に遮断するた
めであり、溶鋼1t当たりの吹きつけ量が3kg未満で
は、RH真空脱ガス処理後の酸素濃度が低下しない不利
を招く結果となる。 【0013】さらに、上吹きランスから酸化性ガスまた
はフラックスを吹き込むため、浸漬ランスによる吹き込
みのように、使用していないときにパージガスを流す必
要がなく、RH真空脱ガス処理中の温度降下を最小限に
抑えることができる。 【0014】 【実施例】転炉で吹錬し吹止め時のC含有量を0.03〜0.
05%および溶鋼温度を1635〜1650℃とした、溶鋼 280t
を取鍋に出鋼した。取鍋内に流入した転炉スラグに、40
%のAlを含むアルミナを主成分とする還元材を添加し、
スラグ中のFeO 及びMnO の合計濃度を5%以下に調整し
た。 【0015】その後、図2に示すように、取鍋1にRH
真空脱ガス装置の浸漬管2を溶鋼3中に挿入し、排気口
4から排気を行って真空槽5内に溶鋼を導入した。次い
で、浸漬管2から溶鋼中にArガスを吹き込み、リフトポ
ンプの原理を利用して溶鋼を還流させて脱ガス処理を行
った。このRH真空脱ガス処理開始2分後に、真空槽の
上から下へ垂直に挿入した上吹きランス6からO2 ガス
を35Nm3/min で120 〜280Nm3吹きつけた。RH処理開始
から20分間は脱炭を行い、次に、Alを添加して脱酸を行
って鋼中Al濃度を50×10-3%に調整した。その後、さら
に下降した上吹きランス6からArガスをキャリアガスと
して、CaO 粉7を100 〜150kg/min の吹きつけ速度で供
給した。このCaO 粉7の吹きつけ後3〜5分間溶鋼を還
流させてRH処理を終了した。 【0016】ここで、図3にCaO からなるフラックス粉
7の供給量とRH処理後の鋼中全酸素量との関係を示す
ように、CaO 粉供給量が溶鋼1t当たり3kg未満では酸
素濃度が低下しないため、鋼中全酸素量を15ppm 以下の
高清浄度鋼を安定して溶製するには、溶鋼1t当たり3
kg以上のフラックスを必要とすることがわかる。 【0017】さらに、RH処理中に上吹きランスからO
2 ガスを吹きつけることによって、RH処理前の溶鋼温
度を大幅に上昇させることなしに、大量のフラックスを
供給できた。すなわち、図4に、O2 ガスを180Nm3上吹
きした後フラックスを3.3kg/t 上吹きした場合、および
O2 ガスの上吹きを行わずにフラックスを2.5kg/t 上吹
きした場合の脱炭処理中における溶鋼温度の変化を示し
たが、この図に示すように、フラックスの吹きつけに先
立ちO2 ガスを上吹きすることにより、リムド処理中の
2次燃焼による真空槽内溶鋼温度が上昇し、処理中の温
度降下速度を小さくできることがわかる。RH処理前の
溶鋼温度を同一としてO2 ガスの上吹きがない場合は、
溶鋼温度が低くなるためフラックス量も少なくなってし
まった。 【0018】また、上記した実施例、すなわち、取鍋ス
ラグの成分調整およびフラックス吹き込みを実施した場
合の比較として、取鍋スラグの成分調整{(FeO )+
(MnO)≦5%}のみを実施した場合とフラックス吹き
込み(3kg/t)のみを実施した場合におけるRH処理後
の鋼中全酸素量について、図5に示す。同図から、この
発明に従う各処理の組み合わせによって、初めて高清浄
度の極低炭素鋼が得られることがわかる。 【0019】なお、上記例ではCaO からなるフラックス
粉を用いたが、CaO は少なくとも50%含有していれば所
望の効果が得られるため、CaO の他にMgO などを含有す
ることは可能である。 【0020】 【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
清浄度の高い極低炭素鋼を、RH処理前の精錬工程での
負荷を増すことなしに、効率良く大量生産することがで
きる。
を用いた極低炭素鋼、中でも清浄度の高い極低炭素鋼を
溶製する方法に関し、特に、効率の良い脱酸処理を実現
しようとするものである。 【0002】 【従来の技術】RH真空脱ガス装置を用いた溶製例のう
ち特開昭53−92320 号公報には、真空槽内の溶鋼の浴面
に、フラックス粉を吹きつけて溶鋼浴表面に塩基度の高
いスラグ層を形成し、鋼中の酸素濃度を低下する技術に
ついて提案している。しかしながら、この開示の方法に
は、鋼中酸素の低減に重要な取鍋スラグの組成に関する
記載がなく、高清浄度の極低炭素鋼の溶製に適用するこ
とは難しい。 【0003】また、特開平3−183722号公報には、脱酸
処理後にMgO を主成分とする添加物を真空槽の上部から
添加し、溶鋼表面とスラグ層との間に介在させて溶鋼の
酸化を防止し、高清浄度の鋼を溶製する方法が開示され
ている。しかしながら、この開示の方法にあっては、真
空槽で添加する添加物の粒度が小さい場合、上記添加物
が真空ポンプからの排気とともに排出される一方、粒度
が大きいと下降管から溶鋼中に導入されてもすぐに下降
管近傍に浮上し、スラグ−メタル界面を効果的に遮断す
ることができないため、鋼中酸素濃度を低減させること
が実現し難いという問題があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記したRH真空脱ガ
ス装置でフラックス処理を行う従来の手法は、フラック
スが溶鋼顕熱を奪って温度降下を引き起こすため、効率
の良い処理は実現できないという共通する大きな問題を
抱えていた。なお、この温度降下を補償するために、処
理開始時の溶鋼温度を上昇させておくことは、RH真空
脱ガス処理の前工程で用いる転炉の耐火物の負荷を増加
するため好ましくない。 【0005】そこで、この発明は上記各従来技術が抱え
ている諸問題を解消し、清浄度の高い極低炭素鋼を効率
よく安価に量産し得る方法について提案することを目的
とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の目的を成就するに
は、スラグによる溶鋼の再酸化を防止することが肝要で
ある。従って、RH真空脱ガス処理に供する取鍋内溶鋼
における浴面上スラグの組成が非常に重要であることが
新たに判明した。ちなみに、従来技術として掲げた特開
昭53−92320 号及び特開平3−183722号各公報には、ス
ラグ組成に関する記載は見当たらない。発明者らは、こ
のスラグ組成を適切な範囲とすることで、従来法に比べ
て効率の高い処理が、再酸化などの溶鋼汚染の危惧を招
くことなしに実現されることを確認し、この発明を完成
するに到った。 【0007】すなわちこの発明は、RH真空脱ガス装置
にて極低炭素鋼を溶製するに際し、まず、精錬炉で脱炭
した溶鋼を取鍋内に収容し、その取鍋内浴面上に、出鋼
中もしくは出鋼後に還元剤を添加することによって、Fe
O およびMnO の合計濃度が5wt%以下となるように調整
されたスラグを形成し、ついで、その取鍋にRH真空脱
ガス装置を設置したのち、該装置の真空槽内に導入した
溶鋼浴面上に、少なくともRH真空脱ガス処理の一部の
期間にわたり、上吹きランスから酸化性ガスを吹きつけ
て脱炭し、次いで脱炭後の溶鋼にAlを添加して脱酸し、
その後、真空槽内溶鋼浴面に対して上記上吹きランスか
らArガスをキャリアガスとして、CaOを50wt%以上含
有するフラックス粉を溶鋼1t当たり3kg以上吹きつけ
溶鋼を環流させてRH処理を終了することを特徴とする
高清浄度極低炭素鋼の溶製方法である。 【0008】 【作用】次に、この発明の方法の手順について説明す
る。まず転炉などの精錬炉での精錬を経た溶鋼を取鍋へ
出鋼中または出鋼後に、そのスラグにAlなどの還元剤を
添加し、スラグ成分を(FeO )+(MnO )≦5%に調整
することが、スラグからの再酸化を防止する上で肝要で
ある。 【0009】すなわち、図1にスラグ中のFeO およびMn
O の合計濃度とRH真空脱ガス処理後の酸素濃度との関
係を示すように、スラグ中のFeO およびMnO の合計濃度
が5%をこえるとRH真空脱ガス処理後の酸素濃度が急
激に上昇することがわかる。この理由は、スラグ中のFe
O およびMnO とCaOを50wt%以上含有するフラックス粉
体との滓化が急速に進行してしまって、フラックスによ
るスラグ−メタル界面の遮断ができずに再酸化が進行す
るためであると考えられる。 【0010】次に、浴面上のスラグ組成を、精錬炉から
の溶鋼出鋼中もしくは受鋼後の取鍋中で調整した取鍋
に、RH真空脱ガス装置を設置し、RH真空脱ガス装置
の真空槽に配置した上吹きランスから、真空槽内の鋼浴
面に酸素または酸素を含む酸化性ガスを、少なくともR
H真空脱ガス処理の一部の期間にわたり吹付ける。次い
で、RH真空脱ガス処理の終了後に溶鋼へAlを添加し、
引き続き、溶鋼浴面に対し上記上吹きランスから、CaO
を50%以上含有するフラックス粉を溶鋼1t当たり3kg
以上吹きつける。 【0011】この処理において、上吹きランスからは真
空槽内の鋼浴面に酸化性ガスを吹きつけることによって
溶鋼の昇温をはかり、取鍋出鋼前の溶鋼温度を大幅に上
昇させることなしに、RH真空脱ガス処理におけるフラ
ックスの大量吹き込みを実現する。このフラックスは鋼
中介在物の浮上を促進することから、鋼清浄度の極低炭
素鋼の溶製が可能となる。 【0012】また、CaO を50%以上含有するフラックス
粉を溶鋼1t当たり3kg以上で吹きつける理由は、スラ
グ−メタル界面をフラックスによって完全に遮断するた
めであり、溶鋼1t当たりの吹きつけ量が3kg未満で
は、RH真空脱ガス処理後の酸素濃度が低下しない不利
を招く結果となる。 【0013】さらに、上吹きランスから酸化性ガスまた
はフラックスを吹き込むため、浸漬ランスによる吹き込
みのように、使用していないときにパージガスを流す必
要がなく、RH真空脱ガス処理中の温度降下を最小限に
抑えることができる。 【0014】 【実施例】転炉で吹錬し吹止め時のC含有量を0.03〜0.
05%および溶鋼温度を1635〜1650℃とした、溶鋼 280t
を取鍋に出鋼した。取鍋内に流入した転炉スラグに、40
%のAlを含むアルミナを主成分とする還元材を添加し、
スラグ中のFeO 及びMnO の合計濃度を5%以下に調整し
た。 【0015】その後、図2に示すように、取鍋1にRH
真空脱ガス装置の浸漬管2を溶鋼3中に挿入し、排気口
4から排気を行って真空槽5内に溶鋼を導入した。次い
で、浸漬管2から溶鋼中にArガスを吹き込み、リフトポ
ンプの原理を利用して溶鋼を還流させて脱ガス処理を行
った。このRH真空脱ガス処理開始2分後に、真空槽の
上から下へ垂直に挿入した上吹きランス6からO2 ガス
を35Nm3/min で120 〜280Nm3吹きつけた。RH処理開始
から20分間は脱炭を行い、次に、Alを添加して脱酸を行
って鋼中Al濃度を50×10-3%に調整した。その後、さら
に下降した上吹きランス6からArガスをキャリアガスと
して、CaO 粉7を100 〜150kg/min の吹きつけ速度で供
給した。このCaO 粉7の吹きつけ後3〜5分間溶鋼を還
流させてRH処理を終了した。 【0016】ここで、図3にCaO からなるフラックス粉
7の供給量とRH処理後の鋼中全酸素量との関係を示す
ように、CaO 粉供給量が溶鋼1t当たり3kg未満では酸
素濃度が低下しないため、鋼中全酸素量を15ppm 以下の
高清浄度鋼を安定して溶製するには、溶鋼1t当たり3
kg以上のフラックスを必要とすることがわかる。 【0017】さらに、RH処理中に上吹きランスからO
2 ガスを吹きつけることによって、RH処理前の溶鋼温
度を大幅に上昇させることなしに、大量のフラックスを
供給できた。すなわち、図4に、O2 ガスを180Nm3上吹
きした後フラックスを3.3kg/t 上吹きした場合、および
O2 ガスの上吹きを行わずにフラックスを2.5kg/t 上吹
きした場合の脱炭処理中における溶鋼温度の変化を示し
たが、この図に示すように、フラックスの吹きつけに先
立ちO2 ガスを上吹きすることにより、リムド処理中の
2次燃焼による真空槽内溶鋼温度が上昇し、処理中の温
度降下速度を小さくできることがわかる。RH処理前の
溶鋼温度を同一としてO2 ガスの上吹きがない場合は、
溶鋼温度が低くなるためフラックス量も少なくなってし
まった。 【0018】また、上記した実施例、すなわち、取鍋ス
ラグの成分調整およびフラックス吹き込みを実施した場
合の比較として、取鍋スラグの成分調整{(FeO )+
(MnO)≦5%}のみを実施した場合とフラックス吹き
込み(3kg/t)のみを実施した場合におけるRH処理後
の鋼中全酸素量について、図5に示す。同図から、この
発明に従う各処理の組み合わせによって、初めて高清浄
度の極低炭素鋼が得られることがわかる。 【0019】なお、上記例ではCaO からなるフラックス
粉を用いたが、CaO は少なくとも50%含有していれば所
望の効果が得られるため、CaO の他にMgO などを含有す
ることは可能である。 【0020】 【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
清浄度の高い極低炭素鋼を、RH処理前の精錬工程での
負荷を増すことなしに、効率良く大量生産することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(FeO )+(MnO )とRH処理後鋼中全酸素量
との関係を示すグラフである。 【図2】RH処理を示す模式図である。 【図3】フラックス量とRH処理後鋼中全酸素量との関
係を示すグラフである。 【図4】溶鋼温度に及ぼす酸化性ガス吹きつけの影響を
示すグラフである。 【図5】各種処理とRH処理後鋼中全酸素量との関係を
示すグラフである。 【符号の説明】 1 取鍋 2 浸漬管 3 溶鋼 4 排気口 5 真空槽 6 上吹きランス 7 フラックス粉
との関係を示すグラフである。 【図2】RH処理を示す模式図である。 【図3】フラックス量とRH処理後鋼中全酸素量との関
係を示すグラフである。 【図4】溶鋼温度に及ぼす酸化性ガス吹きつけの影響を
示すグラフである。 【図5】各種処理とRH処理後鋼中全酸素量との関係を
示すグラフである。 【符号の説明】 1 取鍋 2 浸漬管 3 溶鋼 4 排気口 5 真空槽 6 上吹きランス 7 フラックス粉
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フロントページの続き
(72)発明者 大宮 茂
岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な
し) 川崎製鉄株式会社 水島製鉄所内
(56)参考文献 特開 平2−277711(JP,A)
特開 昭50−36307(JP,A)
特開 平5−230516(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C21C 7/00 - 7/10
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 RH真空脱ガス装置にて極低炭素鋼を溶
製するに際し、まず、精錬炉で脱炭した溶鋼を取鍋内に
収容し、その取鍋内浴面上に、出鋼中もしくは出鋼後に
還元剤を添加することによって、FeO およびMnO の合計
濃度が5wt%以下となるように調整されたスラグを形成
し、ついで、その取鍋にRH真空脱ガス装置を設置した
のち、該装置の真空槽内に導入した溶鋼浴面上に、少な
くともRH真空脱ガス処理の一部の期間にわたり、上吹
きランスから酸化性ガスを吹きつけて脱炭し、次いで脱
炭後の溶鋼にAlを添加して脱酸し、その後、真空槽内溶
鋼浴面に対して上記上吹きランスからArガスをキャリ
アガスとして、CaO を50wt%以上含有するフラックス粉
を溶鋼1t当たり3kg以上吹きつけ溶鋼を環流させてR
H処理を終了することを特徴とする高清浄度極低炭素鋼
の溶製方法。
Priority Applications (8)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03945492A JP3370349B2 (ja) | 1992-02-26 | 1992-02-26 | 高清浄度極低炭素鋼の溶製方法 |
US07/993,388 US5304231A (en) | 1991-12-24 | 1992-12-18 | Method of refining of high purity steel |
EP92121682A EP0548868B1 (en) | 1991-12-24 | 1992-12-21 | Method of refining of high purity steel |
DE69227014T DE69227014T2 (de) | 1991-12-24 | 1992-12-21 | Verfahren zum Raffinieren von sehr reinem Stahl |
KR1019920025275A KR960009168B1 (ko) | 1991-12-24 | 1992-12-23 | 고순도 강의 용제방법(溶劑方法) |
BR9205155A BR9205155A (pt) | 1991-12-24 | 1992-12-23 | Metodo de refino de um aco de alta pureza |
CA002086193A CA2086193C (en) | 1991-12-24 | 1992-12-23 | Method of refining of high purity steel |
CN92115273A CN1061381C (zh) | 1991-12-24 | 1992-12-24 | 精炼高纯度钢的方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03945492A JP3370349B2 (ja) | 1992-02-26 | 1992-02-26 | 高清浄度極低炭素鋼の溶製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05239537A JPH05239537A (ja) | 1993-09-17 |
JP3370349B2 true JP3370349B2 (ja) | 2003-01-27 |
Family
ID=12553494
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03945492A Expired - Fee Related JP3370349B2 (ja) | 1991-12-24 | 1992-02-26 | 高清浄度極低炭素鋼の溶製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3370349B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000129338A (ja) * | 1998-10-22 | 2000-05-09 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 清浄性に優れた極低炭素鋼の溶製方法 |
JP4013505B2 (ja) * | 2000-11-27 | 2007-11-28 | 住友金属工業株式会社 | 極低炭素薄鋼板とその製造方法 |
KR100434735B1 (ko) * | 2002-08-27 | 2004-06-07 | 주식회사 포스코 | 인함유 극저탄소강 제조방법 |
-
1992
- 1992-02-26 JP JP03945492A patent/JP3370349B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH05239537A (ja) | 1993-09-17 |
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