JP6780695B2 - 極低硫低窒素鋼の溶製方法 - Google Patents

極低硫低窒素鋼の溶製方法 Download PDF

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本発明は、極低硫低窒素鋼の溶製方法に関する。
鋼中の硫黄(S)量は、鋼材の特性に種々の悪影響を及ぼすことがあるため、硫黄濃度の低い低硫鋼はその特性を生かした様々な用途に用いられている。硫黄濃度が5ppm以下と極めて低い極低硫鋼の製造時には、LF処理に代表される電極加熱装置を用いた取鍋精錬を経由して硫黄濃度の低い溶鋼が溶製される。このような取鍋精錬炉による脱硫反応では、スラグ−メタル反応を用いるため、ガス等による溶鋼の撹拌を行なうことによるスラグ−メタル反応促進が必要となる。しかし、大気圧下で強撹拌を行う場合、ガス−メタル反応も促進されるため、大気中の窒素(N)が溶鋼に吸収され、溶鋼の窒素濃度が上昇する現象である窒素ピックアップが不可避な問題となる。
このような問題に対して、取鍋精錬における窒素の溶鋼への吸収を防止するための、低窒素鋼の溶製方法が種々検討されている(例えば、特許文献1〜3)。
特開2008−266759号公報 特開2004−211120号公報 特開2016−183385号公報
例えば、特許文献1には、取鍋精錬炉(LF)から発生するダスト濃度の経時変化を観測し、集塵量を適正に制御することにより炉内へのインプット大気を低減させて窒素のピックアップを抑制する方法が開示されている。しかし、集塵を実施している以上、炉内の雰囲気は負圧であるため、窒素のピックアップが起こるのに変わりは無く、例えば30ppm以下の窒素濃度の溶製は困難である。
また、特許文献2には、取鍋精錬炉の処理の後工程である真空脱ガスで脱窒を行ない、25ppm以下の窒素濃度の溶鋼を溶製する方法が開示されている。しかし、真空脱ガスでの脱窒を前提とした処理では、取鍋精錬処理終了時の窒素濃度に応じて、脱窒処理時間の延長が必要となり、連続鋳造の操業とのマッチングが困難なものとなる。また、真空脱ガスでの脱窒を前提とした処理では、真空脱ガス装置での溶鋼温度補償には一般的に気体酸素を用いた酸化精錬が行われるため、スラグ中硫黄の復硫が起こり、例えば硫黄濃度を5ppm以下にすることが困難になるという問題がある。
さらに、特許文献3には、取鍋精錬前に溶鋼を未脱酸状態にすることにより、表面活性元素である酸素を溶鋼表面に偏在させ窒素のピックアップを低減させるという技術が開示されている。しかし、脱硫反応は、以下の(1)式により溶存酸素を低減させることにより進行することから、取鍋精錬で脱硫反応を起こすためには脱酸反応が必須となる。このため、未脱酸である期間分、取鍋精錬処理の時間を延長しなければならなく、連続鋳造とマッチングさせることが困難となる。
[S]+(CaO) → (CaS)+[O] ・・・(1)
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、溶鋼の硫黄濃度を5ppm以下、かつ窒素濃度を30ppm以下とする極低硫低窒素鋼の溶製方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、取鍋精錬装置を用いて脱硫処理を行う取鍋精錬工程を含む極低硫低窒素鋼の溶製方法であって、取鍋精錬工程を行う前に、溶鋼のアルミニウム濃度を0.020mass%以上0.080mass%以下とし、上記溶鋼を用いて上記取鍋精錬工程を行うことを特徴とする極低硫低窒素鋼の溶製方法が提供される。
本発明の一態様によれば、溶鋼の硫黄濃度を5ppm以下、かつ窒素濃度を30ppm以下とする極低硫低窒素鋼の溶製方法が提供される。
本発明の一実施形態における精錬処理の処理プロセスを示す説明図である。 実施例における、取鍋精錬工程の処理時間と溶鋼の窒素濃度との関係とを示すグラフである。 実施例における、溶鋼のアルミニウム濃度と窒素ピックアップとの関係とを示すグラフである。 実施例における、溶鋼のアルミニウム濃度と脱硫速度との関係とを示すグラフである。
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するように、本発明の実施形態を例示して多くの特定の細部について説明する。しかしながら、かかる特定の細部の説明がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。また、図面は、簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<極低硫低窒素鋼の溶製方法>
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る極低硫低窒素鋼の溶製方法を説明する。本実施形態では、はじめに、図1(A)に示すように、転炉型精錬炉1を用いて脱炭処理が行われる(脱炭工程)。脱炭工程では、転炉型精錬炉1にて溶銑を酸化精錬することで、溶銑中の炭素を酸化除去し、炭素濃度の低い溶鋼2を溶製する。溶銑は、転炉型精錬炉1や他の予備処理設備にて、脱珪処理、脱燐処理及び脱硫処理が施されてもよい。また、脱炭工程では、脱炭処理が終了した後、転炉型精錬炉1を傾動させることで、転炉型精錬炉1に収容された溶鋼2を、転炉型精錬炉1の下方に配された取鍋3に移注する。
脱炭工程の後、図1(B)に示すように、溶鋼2が収容された取鍋3が真空脱ガス装置4へ送られ、真空脱ガス装置4によって溶鋼2の脱ガス処理が行われる(脱ガス工程)。真空脱ガス装置4は、RH式脱ガス装置である。脱ガス工程では、脱炭処理が施された溶鋼2を、真空脱ガス装置4の減圧された真空槽41内で環流させながら減圧処理することで、溶鋼2の窒素等のガス成分を除去する脱ガス処理が行われる。また、この脱ガス処理では、ガス成分の除去に加えて、溶鋼2のさらなる脱炭や各種成分の調整が行われる。脱ガス工程での溶鋼2の脱炭は、溶鋼2が未脱酸の状態で還流を伴う減圧処理を行うことで、溶鋼2の脱炭が進行する。溶鋼2が未脱酸の状態とは、溶鋼2の溶存酸素濃度が充分に高い状態をいう。なお、脱ガス工程において、未脱酸の状態の溶鋼2に減圧処理を施すことを、リムド処理ともいう。また、脱ガス工程のリムド処理において、真空槽41内に配された上吹きランス42から、真空槽41内の溶鋼2の浴面に酸素ガスを吹き付けることで脱炭反応を促進させてもよい。さらに、脱ガス工程では、真空下での環流や酸素ガスの噴射によるリムド処理によって炭素濃度が目標上限濃度以下となると、真空槽内41の溶鋼2にアルミニウム(Al)が添加され、脱酸処理が行われる。なお、炭素濃度を極低炭といわれる低濃度にする必要がある場合には、リムド処理後の炭素濃度を0.01mass%以下とする必要がある。脱ガス工程では、次工程の精錬処理開始時、つまり脱ガス工程終了後の溶鋼2のアルミニウム濃度が、0.020mass%以上0.080mass%以下、より好ましくは0.050mass%以上0.070mass%以下となるように、アルミニウムの添加が行われる。脱ガス工程にて、アルミニウムを添加することにより、アルミニウム添加後の減圧処理において脱窒が進行し、より低い窒素濃度の状態で次工程の取鍋精錬工程を実施することができる。このため、取鍋精錬工程後の窒素濃度を低くすることができる。
脱ガス工程の後、図1(C)に示すように、溶鋼2が収容された取鍋3が取鍋精錬炉5へと送られ、取鍋精錬炉5にて溶鋼2の脱硫処理が行われる(取鍋精錬工程)。取鍋精錬炉5は、LF等の電極過熱式の精錬炉である。取鍋精錬工程では、まず、脱硫に適したスラグを形成するため、取鍋3にCaOやSiO等の成分を含む造滓材が添加される。この際、造滓材の添加の前に、脱炭工程で発生したスラグの少なくとも一部を取鍋3から除去する除滓処理が行われてもよい。次いで、取鍋精錬炉5にて、取鍋3の底部から撹拌用のガス(例えば、Ar等の不活性ガス)を吹き込み、溶鋼2を撹拌させながら、電極に電流を流してアーク加熱をする。アーク加熱が行われる際、はじめに、添加した造滓材が加熱によって溶融してスラグが形成される(スラグ溶融期)。そして、形成されたスラグと溶鋼2とが反応することで、溶鋼2の脱硫反応が促進される(脱硫期)。その後、目標とする硫黄濃度及び温度となるまで、溶鋼2の撹拌及び加熱が行われる(脱硫+昇熱期)ことで、取鍋精錬工程が終了する。
本実施形態では、取鍋精錬工程の精錬処理開始時における、溶鋼2のアルミニウム濃度を0.020mass%以上0.080mass%以下、より好ましくは0.050mass%以上0.070mass%以下とする。取鍋精錬工程では、スラグ−メタル反応を促進させるために、ガスを用いた溶鋼2の撹拌を行う。また、脱硫処理は大気圧下で行われるため、メタル−ガス反応も進行する。特に、取鍋精錬工程の初期のスラグ溶融期では、溶鋼2の浴面が溶融スラグで十分に覆われていない状態で、攪拌用のガスにより溶鋼2が強攪拌されるため、溶鋼2が大気に晒され、酸素と窒素とそれぞれ反応する。このとき、溶鋼2は大気中の酸素によって酸化されるため、アルミニウム濃度が大きく低下する。この低下量は、0.040mass%以上0.060mass%以下程度となる。本実施形態の取鍋精錬工程では、精錬処理開始時における溶鋼2のアルミニウム濃度を0.080mass%以下、好ましくは0.070mass%以下とすることにより、スラグ溶融期において、界面活性元素である酸素が溶鋼2に溶存した状態となる。界面活性元素が溶鋼2に充分に溶存している場合、界面で接触する窒素の溶鋼2への吸収が抑えられるため、スラグ溶融期における溶鋼2の窒素ピックアップを抑制することができる。特に、酸素は、溶鋼2中の濃度の変化が、溶鋼2の表面張力へ及ぼす影響が大きい元素の一つであるため、効果的に窒素ピックアップを抑制することができる。そして、造滓材が溶融し溶融スラグが浴面に充分に形成された後の脱硫期及び脱硫+昇熱期では、アークの溶鋼2への衝突点(アークスポット)において、メタル−ガス反応が主に進行する。このアークスポットでは、溶鋼2は局所的に酸化されて、アルミニウム濃度も局所的に低下する。このため、窒素の溶鋼2への吸収が生じにくいレベルまで溶鋼2に酸素が溶存した状態となって、効果的に溶鋼2の窒素ピックアップを抑制することができる。また、取鍋精錬工程の精錬処理開始時における、溶鋼2のアルミニウム濃度を0.020mass%以上、好ましくは0.050mass%以上とすることにより、脱硫処理に必要な程度まで溶鋼2の酸素濃度を低減することができる。特に、スラグ溶融期においては、上述のように大気との接触によって溶鋼2が酸化されるが、この酸化が起こっても、脱硫処理が可能な程度に溶鋼2の酸素濃度を低減することができる。なお、溶融スラグが浴面に充分に形成された後の脱硫期及び脱硫+昇熱期では、目標とする取鍋精錬処理後の溶鋼2の成分組成に応じて、溶鋼2にアルミニウムを添加してもよい。この場合、上述のようにメタル−ガス反応は酸素リッチなアークスポットで主に起きるため、アルミニウム添加後の溶鋼2のアルミニウム濃度は、0.080mass%超であってもよい。
以上の、脱炭工程、取鍋精錬工程及び脱ガス工程を経ることで、硫黄濃度が5ppm以下、かつ窒素濃度が30ppm以下の極低硫低窒素鋼を溶製することができる。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態において、脱炭工程において転炉型精錬炉1から取鍋3へ溶鋼2を移注する際、あるいは取鍋精錬工程において、溶製の目標とする成分に応じて、各種の合金鉄や副原料を溶鋼2に添加してもよい。
また、上記実施形態において、脱炭工程の後、脱ガス工程と取鍋精錬工程とを順に行うとしたが、本発明はかかる例に限定されない。一般的な極低硫低窒素鋼のように、脱炭工程の後、取鍋精錬工程と脱ガス工程とを順に行うようにしてもよい。この場合、脱炭工程において、溶鋼2を転炉型精錬炉1から取鍋3に移注する際に、取鍋3内にアルミニウムを投入することで、取鍋精錬工程の精錬処理開始時における溶鋼2のアルミニウム濃度を上記範囲内となるように調整する。また、上記実施形態のように、脱炭工程と脱ガス工程と取鍋精錬工程とを順に行った後、さらに脱ガス工程を行うようにしてもよい。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係る極低硫低窒素鋼の溶製方法は、取鍋精錬炉5を用いて脱硫処理を行う取鍋精錬工程を含む極低硫低窒素鋼の溶製方法であって、取鍋精錬工程の精錬処理開始時における、溶鋼2のアルミニウム濃度を0.020mass%以上0.080mass%以下とし、溶鋼2を用いて取鍋精錬工程を行う。
上記(1)の構成によれば、取鍋精錬工程において、窒素ピックアップを抑制しながらも脱硫を行うできるようになるため、溶鋼2の硫黄濃度を5ppm以下、かつ窒素濃度を30ppm以下とすることができる。
(2)上記(1)の構成において、取鍋精錬工程の精錬処理開始時における、溶鋼2のアルミニウム濃度を0.050mass%以上とする。
上記(2)の構成によれば、より高い脱硫効率を得ることができるようになる。
(3)上記(1)または(2)の構成において、取鍋精錬工程を行う前に、溶鋼2のアルミニウム濃度を0.070mass%以下とする。
上記(3)の構成によれば、窒素ピックアップをより抑制することができるようになる。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの構成において、取鍋精錬工程の前に、真空脱ガス装置4にて溶鋼2に脱ガス処理を施す脱ガス工程をさらに含み、脱ガス工程では、取鍋精錬工程の精錬処理開始時における溶鋼2のアルミニウム濃度を調整する。
上記(4)の構成によれば、取鍋精錬工程で精錬処理を完了するような特殊な精錬工程において、窒素ピックアップを抑制しながらも脱硫を行うことができる。例えば、精錬処理の最終工程が取鍋精錬工程となるプロセスでは、最終工程において脱窒処理を行うことができない。また、従来の溶製方法では、取鍋精錬処理において窒素ピックアップが発生しやすいものとなる。このため、脱ガス処理の後に取鍋精錬を行うプロセスにおいては、窒素濃度の低い溶鋼を溶製することが特に困難であった。しかし、上記(4)の構成によれば、このような処理プロセスにおいても精錬処理終了時の窒素濃度を低減することができるようになる。
(5)上記(4)の構成において、脱ガス工程では、未脱酸の状態の溶鋼2に減圧処理を施すリムド処理を行うことで、炭素濃度が0.01mass%以下となるまで溶鋼2を脱炭し、その後、溶鋼2にアルミニウムを添加する。
上記(5)の構成によれば、炭素濃度、硫黄濃度及び窒素濃度が低い溶鋼を溶製することができる。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかの構成において、取鍋精錬工程の後に、真空脱ガス装置4にて溶鋼2に脱ガス処理を施す脱ガス工程をさらに含む。
上記(6)の構成によれば、一般的な精錬処理によって溶製される極低硫低窒素鋼において、窒素ピックアップを抑制しながらも脱硫を行うことができる。また、窒素ピックアップが抑制されることにより、脱窒処理のために処理時間を延長する必要がなくなる。
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、表1に示される成分(炭素(C)濃度、硫黄濃度及び窒素濃度)の溶鋼2を溶製するにあたり、取鍋精錬工程前の溶鋼アルミニウム濃度が窒素ピックアップ量に及ぼす影響について確認をした。実施例では、まず、脱炭工程として、予め溶銑予備処理により脱燐及び脱硫処理した200tの溶銑を転炉型精錬炉1にて脱炭処理した。次いで、真空脱ガス工程として、真空脱ガス装置4にて溶鋼2をさらに脱炭処理し、脱炭反応終了後にアルミニウムを添加し、次工程である取鍋精錬工程の精錬処理開始時におけるアルミニウム濃度が所定の濃度となるように調整をした。実施例では、表1に示すように、取鍋精錬工程の精錬処理開始時におけるアルミニウム濃度が、0.020mass%以上0.080mass%以下とした条件(条件1)、0.080mass%超とした条件(条件2)の2条件とした。さらに、取鍋精錬工程として、取鍋精錬炉5にて脱硫を含む精錬処理を行った。この際、脱ガス工程後の取鍋3内のスラグを除滓し、造滓材を添加した後、取鍋精錬炉5にて精錬処理を行った。また、取鍋精錬工程では、精錬処理開始のタイミング、脱硫期がおよそ終了するタイミング、精錬処理終了のタイミングで溶鋼サンプルを採取し、窒素濃度を分析した。
Figure 0006780695
図2に、取鍋精錬工程における溶鋼2の窒素濃度の推移を示す。図2のグラフにおいて、横軸に対する期間A1がスラグ溶融期、期間A2が脱硫期、期間A3が脱硫+昇熱期である。なお、実施例では、条件1及び条件2について、取鍋精錬工程が行われる前の溶鋼2中のアルミニウム濃度が異なる2条件でそれぞれ調査を行った。また、取鍋精錬工程を行う前における溶鋼2のアルミニウム濃度と、取鍋精錬工程の処理後半となる、脱硫+昇熱期における窒素ピックアップ量とを、表2に示す。
Figure 0006780695
図2に示すように、条件1では、処理後半における窒素ピックアップが0.08ppm/min以下となることが確認された。一方、条件2では、処理後半における窒素ピックアップが0.24ppm/min以上となり、条件1に比べて窒素ピックアップが多くなり、問題となることが確認された。さらに、条件1では、処理終了時の窒素濃度が30ppm以下となったのに対して、条件2では、処理終了時の窒素濃度が30ppm超となることが確認された。
また、取鍋精錬工程の処理後半における窒素ピックアップと、取鍋精錬工程の精錬処理開始時における溶鋼2のアルミニウム濃度との関係を、図3に示す。図3に示すように、取鍋精錬工程前の溶鋼2のアルミニウム濃度の増加にともなって、窒素ピックアップ量が増加することが確認できた。さらに、条件2では、平均の窒素ピックアップが0.31ppm/minだったのに対して、条件1では、0.00ppm/minとなり、窒素ピックアップが大幅に抑制することができることが確認できた。
さらに、本発明者らは、取鍋精錬工程を行う前のアルミニウム濃度が脱硫効率に与える影響を調査した。図4に、取鍋精錬工程を行う前のアルミニウム濃度と脱硫速度との関係を示す。図4における脱硫速度は、処理開始時から脱硫期後半までの硫黄濃度の変化量として求めた。図4から分かるように、取鍋精錬工程を行う前の溶鋼2のアルミニウム濃度を0.020mass%以上とすることにより、取鍋精錬炉5での脱硫処理における通常の処理時間内で脱硫処理できることが確認できた。さらに、取鍋精錬工程を行う前の溶鋼2のアルミニウム濃度を0.050mass%以上とすることにより、より高い脱硫速度が得られることが確認できた。なお、図3及び図4に示す結果において、各プロットが示す、取鍋精錬工程を行う前のアルミニウム濃度、窒素ピックアップ及び脱硫速度は、下記の表3となる。
Figure 0006780695
1 転炉型精錬炉
2 溶鋼
3 取鍋
4 真空脱ガス装置
41 真空槽
42 上吹きランス
5 取鍋精錬炉

Claims (6)

  1. 取鍋精錬装置を用いて脱硫処理を行う取鍋精錬工程を含む極低硫低窒素鋼の溶製方法であって、
    取鍋精錬工程の精錬処理開始時の、溶鋼のアルミニウム濃度を0.020mass%以上0.080mass%以下とし、
    前記溶鋼を用いて前記取鍋精錬工程を行うことを特徴とする極低硫低窒素鋼の溶製方法。
  2. 前記取鍋精錬工程の精錬処理開始時の、前記溶鋼のアルミニウム濃度を0.050mass%以上とすることを特徴とする請求項1に記載の極低硫低窒素鋼の溶製方法。
  3. 前記取鍋精錬工程の精錬処理開始時の、前記溶鋼のアルミニウム濃度を0.070mass%以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の極低硫低窒素鋼の溶製方法。
  4. 前記取鍋精錬工程の前に、真空脱ガス装置にて前記溶鋼に脱ガス処理を施す脱ガス工程をさらに含み、
    前記脱ガス工程では、前記溶鋼にアルミニウムを添加することで、前記取鍋精錬工程の精錬処理開始時における前記溶鋼のアルミニウム濃度を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の極低硫低窒素鋼の溶製方法。
  5. 前記脱ガス工程では、未脱酸の状態の前記溶鋼に減圧処理を施すリムド処理を行うことで、炭素濃度が0.01mass%以下となるまで前記溶鋼を脱炭し、その後、前記溶鋼に前記アルミニウムを添加することを特徴とする請求項4に記載の極低硫低窒素鋼の溶製方法。
  6. 前記取鍋精錬工程の後に、真空脱ガス装置にて前記溶鋼に脱ガス処理を施す脱ガス工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の極低硫低窒素鋼の溶製方法。
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