JP5063966B2 - 溶鋼の製造方法 - Google Patents

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本発明は、転炉を用いて脱Si脱P予備処理と脱C精錬を同一転炉にて実施し、その後アーク加熱手段を具備した取鍋精錬装置にて脱S処理を行う精錬方法に関するものである。
高炉で製造される溶銑はSi,P,Sなど不純物を多く含み、鋼材製品を製造するに際しては転炉、RHなどの精錬工程を経由することで、不純物を除去し清浄化することが一般的な製鉄プロセスとして確立されている。最近は溶銑段階で不純物を除去する溶銑予備処理法の導入が進み、転炉での脱C吹錬前にトーピードカーや転炉において脱Si、脱P、脱S処理することが一般化されてきている。
特にPについては、温度レベルの低い溶銑段階での脱Pが効率的であることから、溶銑予備処理工程にて先行脱Pすることが一般的に行われるようになった。この場合、精錬容器はトーピードカー方式、取鍋方式、あるいは脱炭を行う炉とは別の転炉を使用する方式等があり、いずれもCaO、酸化鉄等のフラックスを上方添加あるいはインジェクション方式にて投入し、ガスバブリング攪拌あるいは酸素の上吹を併用して実施されている。
例えば、特許文献1に示される「溶銑の脱燐・脱硫方法」では、溶銑予備処理炉で酸素上吹を行いつつCaO系フラックスをキャリヤガスと共に溶銑中へ吹き込んで処理後スラグ塩基度が2.0以上、酸化鉄含有量が15%以下となる様に溶銑脱燐を行い、その後上吹酸素を停止してスラグの強制除滓を行うことなく脱硫材を吹き込んで脱硫処理することを特徴とする溶銑脱燐・脱硫方法が開示されている。
さらに特許文献2に示される「製鋼方法」では上底吹転炉を2基利用し、一方を脱燐炉、他方を脱炭炉とし、溶銑を脱燐炉に注入し溶銑脱燐処理後得られた脱燐溶銑を脱炭炉に注銑して脱炭精錬を行う製鋼方法が開示されている。
特許文献3に示される「転炉精錬方法」では、従来指向して来た脱珪脱燐炉と脱炭炉とを分割した精錬プロセスから、同一転炉にて脱珪、脱燐精錬を行った後、一旦精錬を中断してスラグを排出する中間排滓工程をもうけ、排滓終了後脱炭精錬を連続的に行う製鋼方法が開示されている。
また、特許文献4には、取鍋電極加熱装置(LF)により、溶鋼段階で脱S処理する技術が開示されている。
以上のように、溶銑に含まれるSi,P,Sの不純物を除去して清浄化する多くの技術が開発され、実機化されて来たが、溶銑予備処理によって溶銑温度が低下し熱裕度が不足する、或いは特に脱P能力が十分に安定しないなどの課題があり、溶銑から溶鋼を製造する一貫工程において最適なものとなっていない。
特開昭58−16007号公報 特開昭63−195209号公報 特開平7−18319号公報 特開平6−145764号公報
転炉における脱炭工程の効率化、生産性向上を図るため、また、Si、Pは温度レベルが低い方が脱Si脱P効率が良いことから、脱Si、脱P、脱Sの各処理は、転炉での脱炭処理前の溶銑段階で行われるのが一般的である。
通常、溶銑脱S処理では、特許文献1に記載されているとおり、酸素を使用せず、また、加熱しないために、処理時間に伴って溶銑温度が低下する。
脱P処理を精錬容器としてトーピードカー方式、取鍋方式、または転炉方式で行うと、低P化の工程能力だけ見ると比較的低い到達P含有レベルを達成することはできるものの、トーピードカー方式、取鍋方式では処理時間が長く転炉に溶銑を装入するまでの温度低下が大きく、特許文献2で開示された転炉方式でも処理後の溶銑払出し、別転炉への再装入による温度低下が避けられない。
このように、溶銑予備処理での脱S、脱P炉と脱C炉とを分割した精錬での脱Pは、溶銑温度の低下をもたらし、さらに脱P処理に伴い、溶銑中のSi,C濃度が低下し、次工程での脱C精錬時の熱裕度低下を引き起こす。脱C精錬工程の熱裕度不足は、冷鉄源の使用制限、FeSiなどの昇熱材の使用、溶鋼中Cの吹き下げ、鉄の酸化ロスなど、精錬制御のばらつき、コスト悪化、スラグ量の増大、二次精錬RH工程でのAl昇熱増などの悪影響を引き起こす。特に冷鉄源の使用制限が必要な場合は、溶銑使用量が増大するため生産障害につながることから、熱裕度確保のため溶銑予備処理適用比率低減を余儀無くされ、転炉の生産性への影響と、P、S成分工程能力影響も発生する。
一方、特許文献3に開示された同一転炉にて脱Si、脱P、排滓、脱Cを連続的に行う方法においては、熱裕度の改善は図られるものの、脱P後のスラグ排出を十分に安定して行うことが困難であることから脱P工程能力の観点から課題がある。
また、いずれのプロセスについても特殊鋼など特に合金鉄の添加量が多くて転炉の吹止温度の高い場合、P工程能力に支障が発生し、低P化が困難となる。
尚、特許文献4には、転炉で脱C処理した後の溶鋼段階での脱S処理技術が開示されているが、一次精錬(溶銑予備処理および脱C処理)との効果的な連係については何ら開示していない。
本発明は以上の実情を鑑み、従来の溶銑での分割精錬プロセスにより達成された脱P、脱S工程能力を維持しつつ、大幅な熱裕度の向上をもたらし冷鉄源の多量使用を可能とする、溶銑から溶鋼を製造する一貫工程において最適な精錬方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するため、高炉から出銑された溶銑から連続鋳造に供する溶鋼に精錬する際、脱Si、脱P、脱Sの各処理を他の処理工程と効果的に連続化、或いは集約化することを基本的特徴とするものであり、要旨は以下のとおりである。
[1]溶銑から連続鋳造に供する溶鋼を製造する方法であって、高炉から出銑された溶銑をそのまま転炉に装入し、冷鉄源を配合して溶銑比を83.1%以下とし、以降の精錬については、脱Si脱P処理を行った後、排滓を行い、その後同一転炉で、引き続き脱C処理を行い、吹き止め温度を1660℃以下とし、溶鋼を取鍋に出鋼してアーク加熱取鍋精錬装置で昇温を施し、脱Si脱Pは、前記転炉に装入した一連の工程の中でのみ行い、脱S処理は、前記アーク加熱取鍋精錬装置でのみ行うことを特徴とする溶鋼の製造方法。
[2]溶銑から連続鋳造に供する溶鋼を製造する方法であって、下記の(1)〜(5)の一連の工程を順に行うことを特徴とする上記[1]記載の溶鋼の製造方法。
(1)溶銑を転炉に装入し、該装入した溶銑に脱Si処理および脱P処理を施す工程
(2)上記(1)の工程で生成したスラグのみを排出し、溶銑を転炉内に残留させる工程
(3)転炉内に残留させた溶銑に脱C処理を施し、吹き止め温度を1660℃以下にして吹き止め溶鋼中P濃度を上記(1)の工程終了時の溶銑中P濃度以下に抑制し、取鍋に出鋼する工程
(4)出鋼中または出鋼後の溶鋼に、Alを添加して脱酸処理を施す工程
(5)Alを添加して脱酸処理を施した溶鋼に、アーク加熱取鍋精錬装置により、昇温を施すと共に、脱S処理を施す工程
[3]溶銑から連続鋳造に供する溶鋼を製造する方法であって、下記の(1)〜(6)の一連の工程を順に行うことを特徴とする上記[1]記載の溶鋼の製造方法。
(1)溶銑を転炉に装入し、該装入した溶銑に脱Si処理および脱P処理を施す工程
(2)上記(1)の工程で生成したスラグのみを排出し、溶銑を転炉内に残留させる工程
(3)転炉内に残留した溶銑に脱C処理を施し、吹き止め温度を1660℃以下にして吹き止め溶鋼中P濃度を上記(1)の工程終了時の溶銑中P濃度以下に抑制し、取鍋に出鋼する工程
(4)出鋼中または出鋼後の溶鋼に、Alを添加して脱酸処理を施す工程
(5)Alを添加して脱酸処理を施した溶鋼に、アーク加熱取鍋精錬装置により、昇温を施すと共に、脱S処理を施す工程
(6)昇温および脱S処理した溶鋼に真空脱ガス処理を施す工程
[4]脱C処理の吹き止め%Cを0.07%以上とすることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の溶鋼の製造方法。
[5]上記(4)の工程と(5)の工程の間に、溶鋼上のスラグを排出する工程を介在させることを特徴とする上記[2]乃至[4]のいずれかに記載の溶鋼の製造方法。
[6]真空脱ガス処理では、Al添加による昇熱を行わないことを特徴とする上記[2]記載の溶鋼の製造方法。
本発明によれば、従来熱ロスが大きく適用に制約のあった溶銑予備処理工程を合理化することが可能となり、従来並みの脱P、脱S工程能力を維持しつつ熱裕度の大幅な向上によるスクラップなどの冷鉄源の使用拡大を可能とすることで溶銑使用量を削減でき、さらに転炉でのC吹き下げの抑制、RHでのAl昇熱回避が可能で溶鋼清浄度など品質の大幅な改善なども期待でき非常に有用な発明である。
溶銑の脱Si、脱P、脱S処理は、鋼材の清浄度向上に効果をもたらすものの、一方で溶銑温度の低下などの熱ロスを伴うため、冷鉄源の使用量制約などが発生し、生産量が必要な場合は、溶銑予備処理の適用を低減せざるを得ず、低P、低S化工程能力の低下、スラグボリュームの増大などの問題が発生する。
熱裕度改善対策として、溶銑脱Si、脱P工程を脱C工程と同一の転炉に集約する方法も提案されているものの、脱P後のスラグを常に安定して十分に除去することが困難であり、低P化との両立は困難である。
本発明者らは、脱C処理と同一の転炉を利用した溶銑脱Si、脱P処理工程能力を分割精錬プロセス並に維持しつつ、課題である溶銑の熱裕度を改善するべく開発に当たった。
本発明者らは、冶金原理に基づき、溶湯温度の低減が脱P反応促進に有効であること、また脱S反応は溶湯温度の高い、溶鋼段階で行うことが有利であることに注目した。すなわち、一次精錬工程での脱C工程においても吹止温度を低温とし、二次精錬で昇温しつつ脱S処理を高温で行うことを検討した。
同一転炉にて脱Si、脱P、排滓、脱Cを連続的に行う方法において、従来、高い吹き止め温度で脱C処理を終了すると、温度の上昇に伴って、転炉内に残留した脱Pスラグから溶鋼へPが移動し、脱C処理中に溶鋼中Pが上昇する現象が見られた。これに対し、本発明においては、出鋼後にアーク加熱取鍋精錬装置で溶鋼を昇温し、それに伴って脱C処理後の吹き止め温度を低下することとした。脱C吹錬後の吹き止め温度の上限を制限し、通常より20℃〜40℃低減することにより、脱P後の排滓が十分でなくても、脱C吹錬前に添加した造滓材によるスラグへのP還元効率が向上し、排滓前の溶湯P量を維持、乃至は低減できる。その結果本発明は、脱C吹錬前にトーピードカーまたは別の転炉を利用して脱P処理する分割精錬並の脱P工程能力を維持できる。また、吹き止め温度を低下した分だけ、溶鋼製造における熱裕度が向上する。
従来、脱C工程でのP上昇防止、及び熱源確保を目的として、脱C吹錬時の溶鋼中Cの吹き下げが行われていた。本発明においては、脱C処理後温度を低下したことにより、脱C工程でPの上昇がなくなるので、P上昇防止のための溶鋼中Cの吹き下げを行う必要がない。また、熱裕度が向上し、熱源確保のための脱C吹錬時の溶鋼中Cの吹き下げを行う必要もなくなる。溶鋼中Cの吹き下げは溶鋼中の酸素濃度の上昇をもたらし、脱酸処理によるアルミナ介在物の増加などの問題につながることから、転炉でのC吹き下げは極力抑制することが効果的である。
脱C吹錬後の溶鋼温度の上限を制限するには、溶銑を転炉に装入するときに装入する冷鉄源量を増加させることなどにより達成できる。
次に転炉出鋼後の二次精錬工程では、低減した溶鋼温度の昇温が必要となるが、Alと気体酸素の酸化反応熱を利用する昇温方法ではアルミナ介在物の生成を増大させ溶鋼の清浄度低下につながることから、LFなどのアーク加熱装置を使った昇温を組み合わせる必要がある。LF処理では溶融スラグの電気抵抗加熱を行うことから、スラグ組成を高塩基度、低酸化度に制御することで極めて容易に短時間で脱S処理を行うことができ、溶銑脱S処理以上の脱S工程能力が確保される。
本発明は、脱S処理をアーク加熱取鍋精錬装置で行うこととし、転炉装入前の溶銑では脱S処理を行わない。従来は、溶銑脱S処理によって溶銑温度が低下していたが、溶銑脱S処理を行わないこととしたので、転炉装入時の溶銑温度を上昇することができ、この点でも溶鋼の製造における熱裕度を向上させることができた。即ち、転炉装入溶銑温度の上昇と脱C処理後吹き止め温度低下の両面から、溶鋼の製造における熱裕度の向上を実現することができた。
ところでLFでの脱S処理に先立ち、溶鋼中の溶存酸素はAlを添加し脱酸処理を行うことで効果的な脱S処理を行うことができる。脱酸による不可避的に発生するアルミナ介在物については他の介在物と共にLF処理中に浮上分離され、清浄化が図られる。
LFでの精錬効率をさらに高めるためにはLF処理前に除滓を行うことが有効である。
さらにLF処理後の温度を高めに制御することで次工程でRH処理を行う場合は、RHでのAl昇熱を行わないで処理が可能となり、アルミナ生成による介在物品質の悪化を回避できる。
LFは加熱手段の他に攪拌手段も有しているが、LFの他に加熱攪拌手段を有しているASEA−SKFやVADも採用できる。
図1(a)に、本発明の、高炉から出銑された溶銑をそのまま転炉へ装入してからLF処理するまでの一連の処理フローの概念図を示す。
図1(b)に、本発明の、高炉から出銑された溶銑をそのまま転炉へ装入してからLF処理後、RH処理するまでの一連の処理フローの概念図を示す。
ところで通常高炉から出銑された溶銑は通常、Si≦1.0%、P≦0.150%、S≦0.030%程度であり、この成分範囲であれば、未処理の状態でそのまま転炉に装入することが可能である
また、図2に示すとおり、吹止温度は低温ほど低P化に有利であるが、脱P工程能力の確保または次工程である二次精錬での昇熱負荷を考慮して1660℃以下とする
次に、転炉の吹止Cは低くなるにつれ溶鋼中酸素濃度の上昇、スラグ中T.Feの上昇により脱Pに有利な条件となるが、図3に示すとおり、低C領域では急激に酸素濃度が上昇し、酸化物系介在物や気泡性欠陥を生成することから、吹止Cは0.07%未満を回避することが望ましい。本発明は、吹き止め温度の低下により、熱裕度の向上と脱C処理時の低P化を実現し、吹き止めC0.07%以上を可能とした。
本プロセスの適用により、従来の分割精錬プロセスの溶銑予備処理により低下していた溶銑温度を大幅に上昇させることが可能となること、さらに二次精錬でアーク加熱取鍋精錬(例えばLF)を適用することで転炉の吹止温度を大幅に低減可能であることから、多大な熱裕度向上が可能となりかつ脱P、脱S、さらにはアルミナ介在物品質工程能力も従来並以上となる。脱Siは、脱C処理前の溶銑での処理で必要十分であり、脱C処理以降での特別な処理は必要ない。
以下実施例により、さらに詳述する。
表1、2に示す発明例1、2は、高炉から出銑された溶銑をそのまま転炉に装入してからRH処理するまでの一連の処理フローにより溶鋼を製造した発明例である。溶銑の転炉装入温度は1400℃を超えており、多量の冷鉄源を使用することができ、脱C吹止温度を1660℃以下に制限したことにより、吹止Pは低位安定している。また、SもLF処理により十分に除去されている。
Figure 0005063966
Figure 0005063966
表3に示す参考例は、さらに清浄化させるために、転炉装入に先立ってトーピードカー(以下、TPCと表記)にて脱Si、脱P、脱Sの処理を行った後、転炉に装入し、以降は発明例1、2と同様の処理フローを実施した発明例である。LF処理後の溶鋼P量、S量は発明例1、2よりさらに低減し、より高清浄な溶鋼製造が可能となることが確認された。
さらにいずれの発明例においてもRH工程ではAl昇熱を回避できることから、溶鋼中のアルミナ介在物の低減などの付帯効果も得られた。
Figure 0005063966
表4に示す比較例1は、図4に示す、TPCにて脱S処理した後、上吹き転炉を2基利用し、一方を脱Si脱P炉とし、他方を脱C炉として処理し、その後、LF処理を行わない従来例である。脱Pおよび脱Sの工程能力は優れているものの、TPCでの脱S処理、および転炉で脱Si脱P処理後の溶銑払い出し別転炉への装入により、溶銑温度が低く、冷鉄源は多量に使用できず制限される。
Figure 0005063966
表5に示す比較例2は、図5に示す、TPCにて脱S、脱Si、脱Pの処理を行い、転炉では脱C処理のみ行い、その後、LF処理を行わない従来例である。溶銑温度が比較例1よりも低下し、冷鉄源の使用量はさらに制限される。
Figure 0005063966
比較例1、2の溶銑予備処理では、転炉装入温度は低下し、吹止温度も高いことから転炉で溶解できる冷鉄源量は制限される。特殊鋼など合金鉄を大量に溶解する場合、溶解に必要な顕熱を全て転炉だけで補償すると吹止温度が大幅に上昇し、冷鉄源使用量の抑制、転炉耐火物寿命低下、歩留低下などの多大な悪影響が発生するため、通常は二次精錬で負荷分担するのが一般的でRHなどでのAlと酸素の反応熱を利用した昇熱が広く行われている。比較例はRHで温度補償が必要となり、Al昇熱を行ったため、アルミナ生成による溶鋼清浄度への影響も懸念される。
表6に示す比較例3は、TPCにて脱S処理を行い、同一転炉で脱Si脱P後排滓して引続き脱C処理を行い、その後、LF処理を行わない従来例である。TPCでの脱S処理および転炉吹止温度高によって冷鉄源使用量は制約される。また、同一転炉で脱Pおよび脱Cを行うため、脱P後の排滓を行ったものの十分でなく炉内のスラグ付着など脱C期へのPのキャリーオーバーが発生し、脱P維持のために脱C期でC吹き下げが発生し、それに伴い溶鋼中溶存酸素が大幅に上昇しており、脱酸後のアルミナ生成量が増大し、介在物品質影響も懸念される。
Figure 0005063966
本発明の一連の処理フローを説明する概念図であり、(a)はLF処理までのもの、(b)はRH処理までのものである。 転炉での脱C処理における吹止温度と吹止Pとの関係を示す図である。 転炉での脱C処理における吹止C%と溶鋼中酸素濃度との関係を示す図である。 従来の、TPCで脱S処理し、転炉で脱Si、脱P処理した後、溶銑を別転炉に移し替えて脱C処理する一連の処理フローを説明する概念図である。 従来の、TPCで脱Si、脱P、脱S処理し、転炉で脱C処理する一連の処理フローを説明する概念図である。

Claims (6)

  1. 溶銑から連続鋳造に供する溶鋼を製造する方法であって、高炉から出銑された溶銑をそのまま転炉に装入し、冷鉄源を配合して溶銑比を83.1%以下とし、以降の精錬については、脱Si脱P処理を行った後、排滓を行い、その後同一転炉で、引き続き脱C処理を行い、吹き止め温度を1660℃以下とし、溶鋼を取鍋に出鋼してアーク加熱取鍋精錬装置で昇温を施し、脱Si脱Pは、前記転炉に装入した一連の工程の中でのみ行い、脱S処理は、前記アーク加熱取鍋精錬装置でのみ行うことを特徴とする溶鋼の製造方法。
  2. 溶銑から連続鋳造に供する溶鋼を製造する方法であって、下記の(1)〜(5)の一連の工程を順に行うことを特徴とする請求項1記載の溶鋼の製造方法。
    (1)溶銑を転炉に装入し、該装入した溶銑に脱Si処理および脱P処理を施す工程
    (2)上記(1)の工程で生成したスラグのみを排出し、溶銑を転炉内に残留させる工程
    (3)転炉内に残留させた溶銑に脱C処理を施し、吹き止め温度を1660℃以下にして吹き止め溶鋼中P濃度を上記(1)の工程終了時の溶銑中P濃度以下に抑制し、取鍋に出鋼する工程
    (4)出鋼中または出鋼後の溶鋼に、Alを添加して脱酸処理を施す工程
    (5)Alを添加して脱酸処理を施した溶鋼に、アーク加熱取鍋精錬装置により、昇温を施すと共に、脱S処理を施す工程
  3. 溶銑から連続鋳造に供する溶鋼を製造する方法であって、下記の(1)〜(6)の一連の工程を順に行うことを特徴とする請求項1記載の溶鋼の製造方法。
    (1)溶銑を転炉に装入し、該装入した溶銑に脱Si処理および脱P処理を施す工程
    (2)上記(1)の工程で生成したスラグのみを排出し、溶銑を転炉内に残留させる工程
    (3)転炉内に残留した溶銑に脱C処理を施し、吹き止め温度を1660℃以下にして吹き止め溶鋼中P濃度を上記(1)の工程終了時の溶銑中P濃度以下に抑制し、取鍋に出鋼する工程
    (4)出鋼中または出鋼後の溶鋼に、Alを添加して脱酸処理を施す工程
    (5)Alを添加して脱酸処理を施した溶鋼に、アーク加熱取鍋精錬装置により、昇温を施すと共に、脱S処理を施す工程
    (6)昇温および脱S処理した溶鋼に真空脱ガス処理を施す工程
  4. 脱C処理の吹き止め%Cを0.07%以上とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の溶鋼の製造方法。
  5. 上記(4)の工程と(5)の工程の間に、溶鋼上のスラグを排出する工程を介在させることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の溶鋼の製造方法。
  6. 真空脱ガス処理では、Al添加による昇熱を行わないことを特徴とする請求項3記載の溶鋼の製造方法。
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