JP3915386B2 - 清浄鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、清浄性に優れた鋼の製造方法に関し、詳しくは、取鍋等の溶鋼保持容器に収容された溶鋼の清浄性を高める方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄鋼材料の高機能化及び高品質化への要求の高まりから、鋼中の不純物元素を極限まで低減することが望まれており、溶鋼段階での鋼の高純度化及び高清浄度化のための技術が必要とされている。鋼中の不純物元素の1つである酸素は、鋼中に酸化物として存在した場合、鋼板における欠陥の原因となる。
【0003】
鋼の精錬段階において、鋼中に酸化物を生成させる要因の1つとして、取鍋等の溶鋼保持容器に収容された溶鋼と溶鋼上に浮遊するスラグとの反応、即ち、スラグ中のFeOやMnO等の低級酸化物による溶鋼の再酸化が挙げられており、こうした背景からスラグによる溶鋼の再酸化を防止する対策が実施されている。
【0004】
従来、この対策は溶鋼保持容器内のスラグにAl等の脱酸剤(還元剤とも云う)を添加し、スラグを還元する方法が採られている。例えば、特開平2−30711号公報には、精錬炉から取鍋への出鋼直後、未脱酸状態の溶鋼上で浮遊するスラグ上に脱酸剤を添加してスラグ中のFeOを還元する方法が開示され、特開平2−93017号公報には、RH真空脱ガス装置における真空脱炭処理後に取鍋内スラグにAlを添加してスラグ中のFeOを還元する方法が開示され、又、特開平7−34117号公報には、出鋼中若しくは出鋼直後に取鍋内スラグにスラグ還元に必要な量の一部の脱酸剤を添加し、真空脱ガス精錬中に残りの脱酸剤を取鍋内スラグに添加する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特開平2−30711号公報に開示された方法では、溶鋼が脱酸されるまでは溶鋼中の溶解酸素によりスラグが酸化されて、スラグ中に新たに低級酸化物が形成され、溶鋼が脱酸されるまでにスラグの酸素ポテンシャルが上昇してしまうので、溶鋼が脱酸された後のスラグによる再酸化を防止できないという問題点がある。多量の脱酸剤を添加すれば、この問題点は解消されるが、その場合には脱酸剤の原単位が悪化するという新たな問題点が生ずる。
【0006】
又、特開平2−93017号公報及び特開平7−34117号公報に開示された方法では、真空脱ガス精錬中にスラグ還元用の脱酸剤を添加する際に、スラグ中の低級酸化物濃度が不明であるため、添加する脱酸剤が不足する場合には、スラグの還元が十分に行われず、一方、添加する脱酸剤が過剰の場合には、スラグの還元用に添加した脱酸剤が溶鋼中に歩留まり、溶鋼中のAl濃度の調整が困難になるという問題点がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、取鍋等の溶鋼保持容器に収容された溶鋼のスラグによる再酸化を防止し、酸化物系介在物が極めて少ない高清浄鋼を安定して製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。そして、溶鋼をAlで脱酸した後に溶鋼とスラグとを強制的に攪拌すれば、溶鋼中のAlとスラグ中のFeO等の鉄酸化物とが反応するので、スラグ中のT.Fe濃度は迅速に減少し、それ以降の溶鋼のスラグによる再酸化が防止されるであろうと考えた。尚、T.Feとはスラグ中の全ての鉄酸化物(FeOやFe23 )の鉄分の合計値である。
【0009】
そこで、RH真空脱ガス装置を用いた精錬において、溶鋼の真空脱炭処理終了後に、溶鋼中の溶解酸素に対応し、溶鋼を脱酸するために必要な量の金属Alと、鋼の成分規格に必要な量の金属Alとを溶鋼に添加し、金属Alの添加直後に溶鋼中に浸漬させたランスからArを溶鋼中に吹き込み、溶鋼とスラグとを強制的に攪拌させた。これにより溶鋼中のAlとスラグ中の鉄酸化物とが反応して、スラグのT.Feは迅速に低下することが分かった。その際、溶鋼中のAl濃度はその分低下するので、低下した分を追加補充した。
【0010】
以上のことから、Alで脱酸された溶鋼にスラグを還元するために必要な量のAlを添加し、その後、溶鋼へ不活性ガスを吹き込み、溶鋼とスラグとを強制的に攪拌すれば、溶鋼中のAlでスラグ中の鉄酸化物を迅速且つ十分に低減でき、溶鋼のスラグによる再酸化が防止可能であるとの知見を得た。
【0011】
しかし、スラグを還元するために必要なAl量は、スラグ中のT.Fe濃度に依存しており、従って、Alを過剰に添加すればスラグ還元用に添加したAlが溶鋼中に歩留まり、溶鋼中のAl濃度の調整が困難になり、一方、添加するAlが不足する場合にはスラグの還元が十分に行われない。そこで、溶鋼をAlにより脱酸した後、その溶鋼上に存在するスラグのT.Fe濃度を測定し、測定したT.Fe濃度に応じて添加する金属Al量を決めれば、過不足なく金属Alを添加することができるとの知見を得た。
【0012】
本発明は、これらの知見に基づきなされたもので、第1の発明による清浄鋼の製造方法は、溶鋼をAlにより脱酸した後、この溶鋼上に存在するスラグのT.Fe濃度を測定し、測定したT.Fe濃度と溶鋼上に存在するスラグ量とで算出される下記の(1)を満足する範囲のAlを溶鋼へ添加し、次いで、不活性ガス吹き込みにより溶鋼とスラグとを攪拌することを特徴とするものである。
【0013】
(%T.Fe)Ws/400 ≦QAl≦ (%T.Fe)Ws/300……(1)
但し、(1)式において、(%T.Fe)はスラグ中のT.Fe濃度(質量%)、Wsは溶鋼上に存在するスラグ量(kg/ton-steel)、QAlはAl添加量(kg/ton-steel)を表すものである。
【0014】
第2の発明による清浄鋼の製造方法は、第1の発明による清浄鋼の製造方法をRH真空脱ガス装置を用いて実施し、不活性ガス吹き込みによる溶鋼とスラグとの攪拌後に、RH真空脱ガス装置の真空槽と溶鋼保持容器との間で溶鋼を環流させることを特徴とするものである。
【0015】
第3の発明による清浄鋼の製造方法は、第1の発明又は第2の発明において、固体電解質を用いた酸素センサーにより、スラグのT.Fe濃度を測定することを特徴とするものである。
【0016】
スラグ中の鉄酸化物をAlにより還元する反応は、下記の(2)式に示すように、3個のFe原子と2個のAl原子とが反応して還元反応が行われる。
【0017】
3FeO + 2Al → 3Fe + 2Al2O3……(2)
従って、スラグ中の全ての鉄酸化物をAlにより還元する場合には、スラグ中のT.Fe濃度(質量%)と、溶鋼上に存在するスラグ量Ws(kg/ton-steel)と、スラグ還元用のAl添加量QAl(kg/ton-steel)との間には、Fe及びAlの原子量から化学量論的に下記の(3)式が成立する。尚、(3)式の左辺はスラグ中の酸素量と添加するAl量との比を表している。
【0018】
(%T.Fe)Ws / QAl = 310……(3)
それ故、(3)式の左辺に示す[(%T.Fe)Ws/QAl]の比(以下「酸素/Al比」と記す)が310を越える場合には、添加するAlが不足する状態を表し、一方、酸素/Al比が310よりも小さくなる場合には、添加するAlが過剰である状態を表すことになる。
【0019】
そこで、Al脱酸された溶鋼上に存在するスラグのT.Fe濃度及びスラグの質量を測定すると共に、スラグ還元用のAl添加量を種々変更して酸素/Al比を変更し、薄鋼板における酸化物系介在物による欠陥発生率に及ぼす酸素/Al比の影響を調査した。
【0020】
その結果、酸素/Al比が大きくなるほど薄鋼板における欠陥発生率は増加するが、酸素/Al比が400以下であれば、スラグによる溶鋼の再酸化は清浄性への影響がほとんどないレベルまで低減し、欠陥発生率は目標とする範囲に収まることが分かった。一方、酸素/Al比が300未満では、溶鋼の清浄性の改善効果は飽和して変わらずに、過剰に添加されるAlが無駄になると共に、溶鋼のAl濃度が増加して成分規格を越える場合が発生することが分かった。Alは高価であり、酸素/Al比が300未満の過剰のAl添加は製造コストの上昇を招くのみである。
【0021】
従って、本発明では酸素/Al比が300〜400の範囲となるように、即ち、上記の(1)式を満足する範囲でスラグ還元用のAl添加量を設定することにした。
【0022】
その際、還元用Al添加後に行う、溶鋼への不活性ガス吹き込みによる溶鋼とスラグとの攪拌は、RH真空脱ガス装置における精錬中に行うことが好ましい。RH真空脱ガス装置における精錬では、取鍋と真空槽との間を環流する溶鋼流により溶鋼は激しく攪拌されているため、スラグ還元により生成したAl23 の浮上分離が促進され、溶鋼の清浄性を迅速に高めることができる。
【0023】
又、スラグのT.Fe濃度の測定は、オンラインでの迅速測定が可能であるので、固体電解質を用いた酸素センサーにより行うことが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面を参照して説明する。図1は、本発明で用いたRH真空脱ガス装置の縦断面概略図である。
【0025】
図1に示すように、RH真空脱ガス装置1は、上部槽6及び下部槽7からなる真空槽5と、下部槽7の下部に設けられた上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9とで、その主たる設備が構成されており、上部槽6には、真空槽5内に合金やフラックス等の原料を供給するための原料投入口11と、排気装置(図示せず)と接続し、真空槽5内を排気する際のガス排出流路となるダクト12とが設けられ、又、上昇側浸漬管8にはAr吹き込み管10が設けられている。Ar吹き込み管10からは環流用Arが上昇側浸漬管8内に吹き込まれる構造となっている。
【0026】
更に、真空槽5の側壁と取鍋2との間隙を昇降し、取鍋2内の溶鋼3に浸漬可能なランス13が設置されており、ランス13からはArや窒素等の不活性ガスが溶鋼3中に吹き込まれる構造となっている。
【0027】
このような構成のRH真空脱ガス装置1における本発明の適用方法を以下に説明する。先ず、転炉や電気炉等で精錬して溶鋼3を得て、取鍋2に出鋼し、溶鋼3を収納する取鍋2を真空槽5の直下に搬送する。取鍋2内には転炉や電気炉での精錬で発生したスラグ4が一部混入し、溶鋼3の湯面を覆っている。
【0028】
次いで、昇降装置(図示せず)にて取鍋2を上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋2内の溶鋼3に浸漬させる。そして、Ar吹き込み管10から上昇側浸漬管8内にArを吹き込むと共に、真空槽5内を排気装置にて排気して真空槽5内を減圧する。真空槽5内が減圧されると、取鍋2内の溶鋼3は、Ar吹き込み管10から吹き込まれるArと共に上昇側浸漬管8を上昇して真空槽5内に流入し、その後、下降側浸漬管9を介して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。
【0029】
真空脱炭処理のような、溶鋼3が未脱酸の状態で行うことが必要な精錬を最初に施した後、原料投入口11を介して溶鋼3に金属AlやAl−Fe合金等を添加し、溶鋼3をAlにより脱酸する。この場合の金属AlやAl−Fe合金等の投入量は、溶鋼3中の溶解酸素を脱酸するために必要な量と製品成分規格を満足するために必要な量との合計量を添加する。溶鋼3中の溶解酸素量は、例えば固体電解質を用いた酸素センサー等により測定することができるが、操業条件に基づく経験から推定しても良い。
【0030】
一方、溶鋼3がRH真空脱ガス装置1における精錬の前に脱酸されており、未脱酸の状態で処理する必要がない場合には、溶鋼3のAl濃度を測定又は推定し、必要ならば、製品成分規格を満足するために必要な量の金属AlやAl−Fe合金等を、原料投入口11を介して溶鋼3に添加する。溶鋼3中のAl濃度は、溶鋼3から採取した分析用試料等から測定することや、溶鋼用酸素センサー等にて測定する溶鋼中の酸素活量から推定することができる。
【0031】
このようにして、金属AlやAl−Fe合金等の添加により溶鋼3がAlにより脱酸されたなら、スラグ4中のT.Fe濃度(%T.Fe)を測定する。前述したように、T.Fe濃度の測定には固体電解質を用いた酸素センサーを用いることが好ましい。この場合、酸素センサーによりスラグ4の酸素ポテンシャルを測定し、酸素ポテンシャルとT.Fe濃度との検量線を予め作成しておくことで、瞬時にスラグ4のT.Fe濃度を測定することができる。
【0032】
又、取鍋2内のスラグ4の質量を測定する。スラグ4の質量は、スラグ4の厚みの測定又は溶鋼3を覆うスラグ4の面積率の目視測定等により測定することができる。取鍋2内に収容された溶鋼量から、溶鋼トン当たりのスラグ量(Ws)を求める。尚、スラグ4の質量測定は、Al脱酸後に行う必然性はなく、Al脱酸の前に予め測定しても良い。又、溶鋼量は転炉等から取鍋への出鋼時に取鍋を秤量することで把握できる。
【0033】
このようにして測定したスラグ4のT.Fe濃度(%T.Fe)とスラグ量(Ws)とを前述の(1)式に代入し、スラグ4の還元に必要なAlの添加量(QAl)の範囲を設定する。そして、(1)式の範囲内の任意のAl添加量(QAl)を決め、決定した添加量(QAl)に基づき金属AlやAl−Fe合金等をスラグ4の還元用として原料投入口11から溶鋼3に添加する。その際、金属AlやAl−Fe合金等のAl含有量に応じて、添加するAl純分量が決定した添加量(QAl)と等しくなるようにする。
【0034】
スラグ還元用Alの添加に前後して、溶鋼3に浸漬させたランス13から不活性ガスを吹き込み、溶鋼3とスラグ4とを強制的に攪拌する。この攪拌により、溶鋼3中のAlとスラグ4中の鉄酸化物との反応が起こり、スラグ4中のT.Fe濃度は3%以下まで低下し、それ以降のスラグ4による溶鋼3の再酸化を抑制することができる。この攪拌は、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を溶鋼3より引き上げてから行うことが操業面からは操作し易い。
【0035】
ランス13からの不活性ガス吹き込み終了後、発生したAl23 を浮上・分離させるために、溶鋼3を数分間程度環流させることが好ましい。尚、C、Si、Mn等の成分を調整する必要がある場合には、この環流時に同時に行えば良い。その後、真空槽5を大気圧に戻してRH真空脱ガス精錬を終了し、次工程の連続鋳造設備や普通造塊設備等の鋳造設備に取鍋2を搬出して溶鋼3を鋳造する。
【0036】
このようにして溶鋼3及びスラグ4を処理することで、溶鋼3に過剰なAlを添加することなく、スラグ4のT.Fe濃度を迅速に且つ安定して低くすることができ、その結果、溶鋼3のスラグ4による再酸化が抑制され、酸化物系介在物が極めて少ない高清浄鋼を安定して製造することが可能となる。
【0037】
尚、上記説明ではRH真空脱ガス装置1を用いて本発明を実施したが、本発明はこれに限るものではなく、取鍋2内に収容された溶鋼3に金属AlやAl−Fe合金等を添加する設備と、取鍋2内に収容された溶鋼3とスラグ4とを不活性ガス吹き込みにより攪拌する設備があれば、どのような設備であっても本発明を実施することができる。
【0038】
【実施例】
炭素濃度が0.02〜0.06質量%である約250トンの溶鋼を転炉から取鍋に未脱酸状態のまま出鋼し、図1に示すRH真空脱ガス装置に搬送して精錬した。RH真空脱ガス装置では、先ず真空脱炭処理し、次いで、溶鋼中の溶解酸素量を酸素センサーで測定して、溶解酸素を脱酸するために必要な金属Al量と製品成分規格(0.02〜0.04質量%)を満足するために必要な金属Al量との合計量を添加した。
【0039】
その後、環流用Ar流量を3000Nl/min、真空槽内の圧力を66〜266Pa(0.5〜2torr)の状態に維持したまま、取鍋の周方向4箇所に設置したランスを取鍋内の溶鋼に浸漬させ、これらのランスからArを吹き込んで溶鋼とスラグとを攪拌しつつ、スラグ還元用の金属Alを溶鋼に添加した。その際、取鍋内のスラグのT.Fe濃度を酸素センサーにより測定し、酸素/Al比が280〜440の範囲となるように金属Al量を調整して添加し、溶鋼の清浄性に及ぼす酸素/Al比の影響を調査した。取鍋内のスラグ量(Ws)は全ての試験において8kg/ton-steelに調整した。取鍋内スラグの組成はCaO−SiO2 −Al23 −MgO系であった。
【0040】
スラグ還元用金属Alの投入後、約2分間ランスによる溶鋼とスラグとの攪拌を続け、ランスからのAr吹き込みの停止後、更に1分間溶鋼を環流させてRH真空脱ガス装置による精錬を終了した。この環流中、必要に応じて溶鋼の成分調整を行った。以下、この精錬方法を製法1と呼ぶ。
【0041】
その後、連続鋳造機にてスラブ鋳片に鋳造し、熱間圧延及び冷間圧延を経て、薄鋼板製品とし、薄鋼板製品における酸化物系介在物による表面欠陥の発生率を調査した。溶鋼の清浄性は、この表面欠陥の発生率を指数化した製品欠陥指数で評価した。製品欠陥指数が低いほど、清浄性が高いことを表しており、本発明では製品欠陥指数が0.5以下を清浄性に優れると評価した。
【0042】
又、比較のために、転炉出鋼直後にスラグ還元用の金属Alを取鍋内のスラグ上に添加し、その後、RH真空脱ガス装置にて真空脱炭処理し、次いで金属Alを添加して溶鋼を脱酸する方法、即ち、溶鋼とスラグとを強制的に攪拌することなく単に転炉出鋼直後に金属Alをスラグ上に添加する方法(製法2と呼ぶ)で製造した鋳片も薄鋼板に圧延し、薄鋼板製品における酸化物系介在物による表面欠陥の発生率を調査した。
【0043】
更に、RH真空脱ガス装置におけるAlによる溶鋼の脱酸までは製法1と同一な方法で精錬し、溶鋼の脱酸後にスラグ還元用の金属Alを取鍋内のスラグ上に添加するのみとし、溶鋼とスラグとを強制的に攪拌することなく製造する方法(製法3と呼ぶ)で製造した鋳片も薄鋼板に圧延し、薄鋼板製品における酸化物系介在物による表面欠陥の発生率を調査した。
【0044】
表1に各試験における試験条件及び試験結果を示し、又、図2に酸素/Al比と製品欠陥指数との関係を製法1、製法2、及び製法3で分別して示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003915386
【0046】
表1及び図2に示すように、製法1で製造した薄鋼板においても酸素/Al比が400を越えると、製品欠陥指数が0.5を越えて清浄性が劣化することが分かった。又、酸素/Al比が300未満になると、製品欠陥指数は低く、清浄性の点からは全く問題なかったが、溶鋼のAl濃度が増加するので成分調整に配慮する必要があった。酸素/Al比が300〜400の範囲では清浄性が高く、又、溶鋼のAl濃度を調整する必要が全くなかった。一方、製法2及び製法3で製造した薄鋼板では、酸素/Al比の値に関わらず製品欠陥指数が高く、清浄性が良いとは必ずしも云えなかった。尚、表1の備考欄には、本発明の範囲内で製造した試験は実施例と表示し、製法1による製造方法でも金属Alの添加量が本発明の範囲を外れた試験は比較例と表示し、製法2及び製法3により製造した試験は従来例と表示した。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、スラグ還元用Alをスラグ中のT.Fe濃度に応じて添加し、且つ、スラグ還元用Alの添加後に溶鋼とスラグとを強制的に攪拌するので、溶鋼に過剰なAlを添加することなく、スラグのT.Fe濃度を安定して低くすることができ、その結果、溶鋼のスラグによる再酸化が抑制され、酸化物系介在物が極めて少ない高清浄鋼を安定して製造することが可能となり、工業上有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いたRH真空脱ガス装置の縦断面概略図である。
【図2】酸素/Al比と製品欠陥指数との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 RH真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 スラグ
5 真空槽
6 上部槽
7 下部槽
8 上昇側浸漬管
9 下降側浸漬管
10 Ar吹き込み管
11 原料投入口
12 ダクト
13 ランス

Claims (3)

  1. 溶鋼をAlにより脱酸した後、この溶鋼上に存在するスラグのT.Fe濃度を測定し、測定したT.Fe濃度と溶鋼上に存在するスラグ量とで算出される下記の(1)を満足する範囲のAlを溶鋼へ添加し、次いで、不活性ガス吹き込みにより溶鋼とスラグとを攪拌することを特徴とする清浄鋼の製造方法。
    (%T.Fe)Ws/400 ≦QAl≦ (%T.Fe)Ws/300……(1)
    但し、(1)式において各符号は以下を表すものである。
    (%T.Fe):スラグ中のT.Fe濃度(質量%)
    Ws:溶鋼上に存在するスラグ量(kg/ton-steel)
    QAl:Al添加量(kg/ton-steel)
  2. 請求項1に記載の清浄鋼の製造方法をRH真空脱ガス装置を用いて実施し、不活性ガス吹き込みによる溶鋼とスラグとの攪拌後に、RH真空脱ガス装置の真空槽と溶鋼保持容器との間で溶鋼を環流させることを特徴とする清浄鋼の製造方法。
  3. 固体電解質を用いた酸素センサーにより、スラグのT.Fe濃度を測定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の清浄鋼の製造方法。
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