JP2007169717A - 真空脱ガス設備における脱炭終点判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 真空脱ガス設備を用いて溶鋼の真空脱炭精錬を行う際に、比較的簡単な方法でありながら、真空脱炭精錬の終点を精度良く判定することができ、過度の脱炭精錬を防止することが可能となる脱炭終点判定方法を提供する。
【解決手段】 真空脱ガス設備1を用いて減圧下で溶鋼3の脱炭精錬を行うに当たり、予め、溶鋼中の炭素濃度と溶鋼中の溶存酸素濃度と真空脱ガス設備から排出される排ガス中のCOガス濃度との3者の関係を求め、精錬中に計測される溶鋼中の溶存酸素濃度と排ガス中のCOガス濃度とから、前記3者の関係に基づいて推定される溶鋼中炭素濃度が目標とする炭素濃度になった時点を、脱炭精錬の終了時点と判定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、RH真空脱ガス装置などの真空脱ガス設備において溶鋼の脱炭精錬を行う際に、脱炭精錬の終了時点を精度良く判定する方法に関するものである。
薄鋼板鋼材の連続焼鈍処理化に伴う鋼成分の極低炭素化に代表されるように、近年、溶鋼段階における減圧下での脱炭精錬(「真空脱炭精錬」ともいう)の必要性が益々増大しており、また、鋼材の高級化に伴って脱ガス精錬を必須とする鋼種の比率も従来に比べて増大している。このような背景から、RH真空脱ガス装置に代表される真空脱ガス設備においては、より迅速に且つ確実に脱炭精錬を行い、大量の溶鋼を処理することが従来にも増して要求されるようになった。
真空脱ガス設備における脱炭精錬を迅速且つ確実に行うためには、刻一刻変化する脱炭精錬中の溶鋼の炭素濃度を確実に把握することが極めて重要となる。溶鋼の炭素濃度が確実に把握されない場合には、溶鋼の炭素濃度が目的とする濃度になっているにも拘わらず脱炭精錬を継続したり、目的とする濃度まで炭素濃度が低下せずに再度の脱炭精錬が必要になったりして、脱炭精錬の遅延を招くことになる。溶鋼から分析用試料を採取して炭素を化学分析すれば炭素濃度を正確に把握することはできるが、化学分析には数分の時間が必要で、脱炭精錬が終了した後にも分析結果の判明するまで待つ必要があり、精錬の迅速化には寄与しない。
そのため、真空脱ガス装置における脱炭精錬を迅速且つ確実に行う手段として以下のような方法が提案されている。
特許文献1には、真空脱ガス槽から排出される排ガス中のCOガス濃度、CO2 ガス濃度及び排ガスの流量から、排ガスにより排出された炭素量を求め、求めた炭素量を脱炭精錬前及び脱炭精錬中に溶鋼から採取した分析用試料の炭素分析値を用いて修正しながら、炭素の物質収支に基づき溶鋼中の炭素濃度を推定する方法が開示されている。
特許文献2には、真空脱炭期の溶鋼炭素含有量を操業条件の関数として予め定量化し、これらの定量化された関係式を用いて、真空脱炭に必要な酸素量及び処理時間を求める方法が開示されている。
特許文献3には、真空脱ガス槽のガス中のCOガス濃度を検出し、このCOガス濃度と溶鋼中の炭素濃度との相関関係から溶鋼中の炭素濃度を推定しながら脱炭精錬する方法が開示されている。
特許文献4には、脱炭反応速度式と排ガス中のCOガス物質収支式とを連立させて、脱炭反応速度別に溶鋼中炭素濃度が20ppm以下となる排ガス中のCOガス濃度と脱炭処理時間との関係を予め求めておき、操業中の排ガス中のCOガス濃度と脱炭処理時間との関係が求めた関係式を満足した時点を脱炭処理の終了とする方法が開示されている。
特許文献5には、排ガスの流量と排ガス中のCO濃度及びCO2 濃度とに基づいて算出される脱炭速度が一定値以下となった時点で、溶鋼温度、溶鋼中酸素濃度、真空槽内圧力、不活性ガスによる溶鋼環流用ガス流量、排ガス流量及び排ガス中のCO濃度、CO2濃度などの操業中の操業データと、過去の脱炭処理による溶鋼中炭素濃度実績から求めた補正係数と、によって操業中の溶鋼中炭素濃度を推定し、その炭素濃度推定値が目標値に達した時点で溶鋼の脱炭処理を終了する方法が提案されている。
特開昭59−185720号公報 特開昭61−195913号公報 特開平1−222018号公報 特開平3−180424号公報 特開平9−202913号公報
しかしながら、上記従来技術に以下の問題点がある。即ち、特許文献1の方法では、脱炭量を積分して求めるために、計測誤差の累積が避けられない欠点があり、脱炭量の最終判定において必要な精度を得ることができないという欠点がある。また、炭素の物質収支を終始測定する必要があることから測定装置が多岐に亘り、設備費が高くなるという欠点もある。特許文献2の方法では、排ガス情報などの操業条件の変化を制御条件に取り入れていないので、つまり所謂スタティック(静的)制御であることから、操業条件が変化した場合には満足な終点制御が行えないという欠点がある。
特許文献3の方法では、排ガス中のCOガス濃度だけから溶鋼中炭素濃度を推定しており、本発明者等の研究結果では、溶鋼中炭素濃度は排ガス中のCOガス濃度のみならず、溶鋼中に溶解している酸素の濃度(以下、「溶存酸素濃度」と記す)にも依存することが判明しており、従って、溶鋼中炭素濃度の判定精度が十分に高いとはいえないという欠点がある。特許文献4の方法では、特許文献3と同様に、炭素濃度の推定に排ガス中のCOガス濃度のみを着目しており、炭素濃度の推定精度に問題がある。
特許文献5の方法では、排ガスの物質収支に基づいて脱炭速度を求める必要があり、特許文献1と同様に、設備費が高くなるという欠点がある。また、多岐に亘る操業データを予め解析する必要があり、炭素濃度の推定精度は高いものの、極めて煩雑な計算を余儀なくされる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、真空脱ガス設備を用いて溶鋼の真空脱炭精錬を行う際に、比較的簡単な方法でありながら、真空脱炭精錬の終点を精度良く判定することができ、過度の脱炭精錬を防止することが可能となる脱炭終点判定方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る真空脱ガス設備における脱炭終点判定方法は、真空脱ガス設備を用いて減圧下で溶鋼の脱炭精錬を行うに当たり、予め、溶鋼中の炭素濃度と溶鋼中の溶存酸素濃度と真空脱ガス設備から排出される排ガス中のCOガス濃度との3者の関係を求め、精錬中に計測される溶鋼中の溶存酸素濃度と排ガス中のCOガス濃度とから、前記3者の関係に基づいて推定される溶鋼中炭素濃度が目標とする炭素濃度になった時点を、脱炭精錬の終了時点と判定することを特徴とするものである。
第2の発明に係る真空脱ガス設備における脱炭終点判定方法は、真空脱ガス設備を用いて減圧下で溶鋼の脱炭精錬を行うに当たり、予め、溶鋼中の炭素濃度と溶鋼中の溶存酸素濃度と真空脱ガス設備から排出される排ガス中のCOガス濃度との3者の関係を求め、脱炭精錬で到達すべき目標とする目標炭素濃度値ごとに、該目標炭素濃度値を達成するための溶鋼中溶存酸素濃度と排ガス中COガス濃度との2者の関係を前記3者の関係に基づいて定めておき、精錬中に計測される溶鋼中の溶存酸素濃度及び排ガス中のCOガス濃度がともに前記2者の関係を満足する状態になった時点を、脱炭精錬の終了時点と判定することを特徴とするものである。
第3の発明に係る真空脱ガス設備における脱炭終点判定方法は、第2の発明において、前記目標炭素濃度値を達成するための溶鋼中溶存酸素濃度と排ガス中COガス濃度との2者の関係として、溶鋼中溶存酸素濃度に対応して排ガス中COガス濃度の閾値を定め、精錬中に計測される排ガス中のCOガス濃度が、溶鋼中の溶存酸素濃度に応じて設定した前記閾値以下となった時点を、脱炭精錬の終了時点と判定することを特徴とするものである。
本発明によれば、真空脱炭精錬における溶鋼中の炭素濃度を溶鋼中の溶存酸素濃度と排ガス中のCOガス濃度とから推定するので、炭素の物質収支を測定するなどの計算の必要がなく、比較的簡素な設備で脱炭精錬の終点を判定することができる。また、溶鋼中の溶存酸素濃度は酸素濃淡電池を用いたプローブで瞬時に計測することができ、排ガス中のCOガス濃度は連続測定ができるので、迅速に終点を判定することができる。その結果、過度の脱炭精錬が未然に防止され、脱炭精錬時間の短縮による真空脱ガス設備における処理量の拡大や、溶鋼中炭素濃度のバラツキの低減による製品品質の均一化などが達成され、工業上有益な効果がもたらされる。
以下、本発明を具体的に説明する。
先ず、高炉から出銑された溶銑を溶銑鍋やトーピードカーなどの溶銑保持・搬送用容器で受銑し、次工程の大気下での脱炭精錬を行う転炉に搬送する。この搬送途中で溶銑に対して脱燐処理或いは脱硫処理などの溶銑予備処理を施すこともできる。この溶銑を転炉において酸素ガスの上吹き、底吹き或いは上底吹きにより脱炭精錬し、得られた溶鋼を転炉から取鍋に出鋼する。次いで、この溶鋼を、RH真空脱ガス装置、DH真空脱ガス装置、或いはVOD装置など、大気圧よりも減圧した雰囲気下において溶鋼を精錬することのできる真空脱ガス設備に搬送し、真空脱炭精錬を実施する。この場合、使用する溶鋼としては、高炉から出銑された溶銑を転炉で脱炭精錬した溶鋼に限るものではなく、鉄スクラップなどを電気炉で溶解して精錬した溶鋼であってもよい。
真空脱炭精錬は、溶鋼中の炭素と溶鋼中の溶存酸素とが反応(C+O=CO)して起こることから、溶鋼中の溶存酸素濃度が高いほど真空脱炭の反応速度が速くなる。そのため、転炉或いは電気炉で脱炭精錬した後の溶鋼にAlやSiなどの脱酸剤を添加せず、未脱酸状態のまま真空脱ガス設備に搬送することが好ましい。
溶鋼を処理する真空脱ガス設備の代表的な設備はRH真空脱ガス装置であり、以下、真空脱ガス設備としてRH真空脱ガス装置を用いて溶鋼を真空脱炭精錬する例で本発明を説明する。先ず、RH真空脱ガス装置について説明する。図1に、本発明を実施する際に用いたRH真空脱ガス装置の概略断面図を示す。
図1に示すように、RH真空脱ガス装置1は、上部槽6及び下部槽7からなる真空槽5と、下部槽7の下部に設けられた上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9とを備え、上部槽6には、排気装置(図示せず)と接続するダクト11と、原料投入口12と、真空槽5の内部を上下方向に移動可能な上吹きランス13とが備えられ、また、上昇側浸漬管8には環流用ガス吹込管10が設けられている。環流用ガス吹込管10からは環流用ガスとしてArガスが上昇側浸漬管8の内部に吹き込まれる構造となっている。上吹きランス13は、その先端に設置されたラバールノズル(図示せず)から真空槽5を環流する溶鋼3に向けて酸素ガス、空気、酸素富化空気、Arガスで希釈した酸素ガスなどの酸素含有ガスを吹き付けて溶鋼3の溶存酸素濃度を高め、真空脱炭精錬を促進させるための装置であるが、上吹きランス13が設置されていなくても溶鋼3の真空脱炭精錬を行うことができることから、本発明を実施する上では、必ずしも必要な装置ではない。
ダクト11には、排ガスの組成を分析する排ガス組成分析計16が設けられ、環流用ガス吹込管10には、環流用ガスとしてのArガス流量を計測する環流用ガス流量計17が設けられ、また、上吹きランス13へのガス供給径路には、上吹きされる酸素含有ガスの供給量を計測する上吹きガス流量計18が設けられている。また更に、RH真空脱ガス装置1には、取鍋2に収容された溶鋼3の溶存酸素濃度を計測するための酸素プローブ15が設置されている。酸素プローブ15は、酸素濃淡電池によって溶存酸素を計測する慣用の装置であり、計測時は溶鋼3に浸漬され、非計測時は溶鋼3の上方で待機する。酸素プローブ15、排ガス組成分析計16、環流用ガス流量計17及び上吹きガス流量計18の計測値は、制御装置14に入力されている。
このように構成されるRH真空脱ガス装置1において、先ず、溶鋼3を収納する取鍋2を真空槽5の直下に搬送し、取鍋2を昇降装置(図示せず)によって上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋2に収容された溶鋼3に浸漬させる。次いで、環流用ガス吹込管10から上昇側浸漬管8の内部にArガスを環流用ガスとして吹き込むとともに、真空槽5の内部をダクト11に連結される排気装置にて排気して真空槽5の内部を減圧する。真空槽5の内部が減圧されると、取鍋2に収容された溶鋼3は、環流用ガス吹込管10から吹き込まれるArガスとともに上昇側浸漬管8を上昇して真空槽5の内部に流入し、その後、下降側浸漬管9を介して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。取鍋2の内部には転炉や電気炉などの前工程の精錬で発生したスラグ4が一部混入し、溶鋼3の湯面を覆っている。
溶鋼3の環流が始まり、溶鋼3が真空槽5の内部に流入すると、真空槽5の内部の圧力は大気圧よりも低いので、溶鋼中の炭素と酸素との平衡状態は、大気圧の場合に比べて炭素濃度及び溶存酸素濃度の積が小さくなる方向に移り、溶鋼3が未脱酸の状態であることから、溶鋼中の炭素と溶存酸素との反応つまり脱炭反応が進行する。その際、溶鋼中の溶存酸素を高めるために、上吹きランス13から酸素含有ガスを真空槽5の内部を還流する溶鋼3に向けて吹き付けてもよい。尚、溶鋼3がAlなどによって脱酸されている場合には、溶存酸素が極めて少なく、脱炭反応が起こらないので、上吹きランス13から酸素含有ガスを溶鋼3に吹き付け、Alなどの脱酸剤を酸化除去し、更に、少なくとも100ppm以上の溶存酸素を確保する必要がある。
このようにして溶鋼3の環流を継続することで真空脱炭精錬が進行し、真空脱炭精錬によって発生したCOガスは排ガスとともにダクト11を経由して排気される。この排ガス中のCOガス濃度を、真空脱炭精錬中、排ガス組成分析計16によって計測する。計測したCOガス濃度は制御装置14に入力される。真空脱炭精錬中の排ガスを構成する主たるガス種は、環流用のArガスと脱炭反応によって発生するCOガスであり、更に、上吹きランス13から酸素含有ガスの吹き込みのある場合には、脱炭反応に寄与しなかった酸素含有ガスが追加される。従って、脱炭反応速度が同一であっても、つまり単位時間当たりのCOガス発生量が同一であっても、環流用のArガス流量及び上吹きランス13からの酸素含有ガスの供給流量に応じて、排ガス中のCOガス濃度は変化することから、制御装置14は、排ガス組成分析計16から入力されるCOガス濃度を記憶すると同時に、その時点で環流用ガス流量計17から入力される環流用Arガス流量及び上吹きガス流量計18から入力される酸素含有ガス流量を記憶する。
また、真空脱炭精錬中に、酸素プローブ15を溶鋼3に浸漬させて溶鋼中の溶存酸素濃度を計測する。計測した溶存酸素濃度は制御装置14に入力される。
制御装置14は、入力されたこれらの計測データのなかから環流用Arガス流量及び上吹き酸素含有ガス流量に基づいて操業条件を決定し、操業条件を決定した上で、測定される溶存酸素濃度と排ガス中のCOガス濃度とに基づいて脱炭精錬の終点を判定する。具体的には以下のようにして脱炭精錬の終点を判定する。
図2は、上吹きランス13からの酸素含有ガスの吹き込みがなく、環流用Arガス流量を2000NL/分としたときの溶鋼中炭素濃度と溶鋼中溶存酸素濃度と排ガス中のCOガス濃度との3者の関係を求めた結果を示す図である。前述したように、環流用Arガス流量及び上吹き酸素含有ガス流量によって排ガス中のCOガス濃度は変化するので、図2に示すような3者の関係を示す図を、環流用Arガス流量及び上吹き酸素含有ガス流量を種々変更した操業条件で予め求めておき、環流用ガス流量計17及び上吹きガス流量計18から入力される計測値に基づき、3者の関係を求めるべく操業条件を決定し、決定した操業条件に該当する、図2に示すような3者の関係を示す図を選定する。
図2において、符号□は、溶鋼中炭素濃度が10ppmのときの溶存酸素濃度と排ガス中COガス濃度との関係を表し、符号●は、溶鋼中炭素濃度が12ppmのときの溶存酸素濃度と排ガス中COガス濃度との関係を表し、符号○は、溶鋼中炭素濃度が15ppmのときの溶存酸素濃度と排ガス中COガス濃度との関係を表している。図2に示すように、溶鋼中炭素濃度が10ppmのときの溶存酸素濃度と排ガス中COガス濃度との2者の関係をみると、全ての測定データは一点鎖線で示す階段状の線よりも排ガス中のCOガス濃度が高い範囲側に存在し、従って、真空脱炭精錬終了時点に到達すべき溶鋼中炭素濃度の目標炭素濃度値を10ppm以下とする場合には、溶存酸素濃度と排ガス中COガス濃度との2者の関係において、一点鎖線で示す階段状の線を閾値とし、精錬中に計測される排ガス中のCOガス濃度が、溶存酸素濃度に応じて設定される閾値と同等或いは閾値よりも低くなった時点を脱炭終了と判定すれば、溶鋼中の炭素濃度は10ppm以下になり、真空脱炭精錬の到達目標値を達成することになる。
同様に、階段状の破線は、溶鋼中炭素濃度が12ppmのときの溶存酸素濃度と排ガス中COガス濃度との2者の関係を表し、階段状の実線は、溶鋼中炭素濃度が15ppmのときの溶存酸素濃度と排ガス中COガス濃度との2者の関係を表している。つまり、真空脱炭精錬終了時点の溶鋼中炭素濃度の目標炭素濃度値が12ppm以下の場合には、溶存酸素濃度と排ガス中COガス濃度との2者の関係において、破線で示す階段状の線を閾値として、精錬中に計測される排ガス中のCOガス濃度が、溶存酸素濃度に応じて設定される閾値と同等或いは閾値よりも低くなった時点を脱炭終了と判定することができ、また、真空脱炭精錬終了時点の溶鋼中炭素濃度の目標炭素濃度値が15ppm以下の場合には、溶存酸素濃度と排ガス中COガス濃度との2者の関係において、実線で示す階段状の線を閾値として、精錬中に計測される排ガス中のCOガス濃度が、溶存酸素濃度に応じて設定される閾値と同等或いは閾値よりも低くなった時点を脱炭終了と判定することができる。尚、真空脱炭精錬の終点近傍では、脱炭速度が低下して溶存酸素濃度の変化量が少なくなることから、酸素プローブ15による溶存酸素濃度の計測回数は多くとも2回で十分であり、通常は経験上予想される終点の数分前の1回で十分である。
このようにして目標炭素濃度値に応じて脱炭精錬の終了を判定する。脱炭精錬の終了判定後は、必要に応じてAl、Siなどの脱酸剤を原料投入口12から添加して溶鋼3を脱酸し、更に合金鉄などの合金剤を原料投入口12から添加して鋼成分を調整して、真空脱ガス精錬を終了する。処理終了後の溶鋼3は連続鋳造機などに搬送して鋳造する。
以上説明したように、本発明によれば、真空脱炭精錬における溶鋼中の炭素濃度を溶鋼中の溶存酸素濃度と排ガス中のCOガス濃度とから推定するので、炭素の物質収支を測定するなどの計算の必要がなく、比較的簡素な設備で脱炭精錬の終点を判定することができる。また、溶鋼中の溶存酸素濃度は酸素濃淡電池を用いた酸素プローブ15で瞬時に計測することができ、排ガス中のCOガス濃度は排ガス組成分析計16により連続測定ができるので、迅速に終点を判定することができる。
尚、上記説明はRH真空脱ガス装置1における真空脱炭精錬を例として説明したが、本発明は上記説明に限るものではなく、他の脱ガス設備を用いた真空脱炭精錬においても上記に沿って本発明を実施することができる。
転炉から出鋼された、炭素濃度が0.02〜0.06質量%の約250トンの未脱酸溶鋼を本発明に係る脱炭終点判断方法を適用して、図1に示すRH真空脱ガス装置により脱炭精錬した本発明例について説明する。
この場合の真空脱炭処理条件は、真空脱ガス槽内の到達真空度を60〜270Pa、環流用Arガス流量を2000NL/min、上吹きランスから酸素ガスを供給する場合は脱炭精錬処理時間の1/2が経過する時点までとし、それ以降は上吹きランスからの酸素ガスの供給は停止した。この条件下で、予め溶鋼中炭素濃度と溶鋼中溶存酸素濃度と排ガス中のCOガス濃度との3者の関係を求めた。その結果、環流用Arガス流量が2000NL/minの条件であることから、前述した図2に示す関係と同一の関係が得られた。そこで、鋼成分の炭素濃度の規格値(20ppm以下、25ppm以下、30ppm以下の3水準)ごとに、真空脱炭精錬終了から連続鋳造終了までの炭素濃度のピックアップを考慮して、真空脱炭精錬終了時の溶鋼中炭素濃度の目標炭素濃度値を定め、定めた目標炭素濃度値ごとに、溶存酸素濃度に応じて排ガス中のCOガス濃度の閾値を設定した。具体的な目標炭素濃度値は、炭素濃度の規格値が20ppm以下のときは10ppm、炭素濃度の規格値が25ppm以下のときは12ppm、炭素濃度の規格値が30ppm以下のときは15ppmとした。表1に、鋼成分の炭素濃度の規格値ごとに設定した目標炭素濃度値及びこの目標炭素を確保するための排ガス中のCOガス濃度の閾値を示す。
Figure 2007169717
この条件で真空脱炭精錬の終点を判定した結果、排ガス中の炭素の物質収支に基づいて終点を判定する従来の方法に比べて、真空脱炭精錬時間を平均値で約3.7分短縮することができた。真空脱炭精錬の処理時間は従来20〜25分程度であり、本発明により従来の処理時間に対して15%以上の時間短縮が達成された。
本発明を実施する際に用いたRH真空脱ガス装置の概略断面図である。 環流用Arガス流量を2000L/分としたときの溶鋼中炭素濃度と溶鋼中溶存酸素濃度と排ガス中のCOガス濃度との3者の関係を求めた結果を示す図である。
符号の説明
1 RH真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 スラグ
5 真空槽
6 上部槽
7 下部槽
8 上昇側浸漬管
9 下降側浸漬管
10 環流用ガス吹込管
11 ダクト
12 原料投入口
13 上吹きランス
14 制御装置
15 酸素プローブ
16 排ガス組成分析計
17 環流用ガス流量計
18 上吹きガス流量計

Claims (3)

  1. 真空脱ガス設備を用いて減圧下で溶鋼の脱炭精錬を行うに当たり、予め、溶鋼中の炭素濃度と溶鋼中の溶存酸素濃度と真空脱ガス設備から排出される排ガス中のCOガス濃度との3者の関係を求め、精錬中に計測される溶鋼中の溶存酸素濃度と排ガス中のCOガス濃度とから、前記3者の関係に基づいて推定される溶鋼中炭素濃度が目標とする炭素濃度になった時点を、脱炭精錬の終了時点と判定することを特徴とする、真空脱ガス設備における脱炭終点判定方法。
  2. 真空脱ガス設備を用いて減圧下で溶鋼の脱炭精錬を行うに当たり、予め、溶鋼中の炭素濃度と溶鋼中の溶存酸素濃度と真空脱ガス設備から排出される排ガス中のCOガス濃度との3者の関係を求め、脱炭精錬で到達すべき目標とする目標炭素濃度値ごとに、該目標炭素濃度値を達成するための溶鋼中溶存酸素濃度と排ガス中COガス濃度との2者の関係を前記3者の関係に基づいて定めておき、精錬中に計測される溶鋼中の溶存酸素濃度及び排ガス中のCOガス濃度がともに前記2者の関係を満足する状態になった時点を、脱炭精錬の終了時点と判定することを特徴とする、真空脱ガス設備における脱炭終点判定方法。
  3. 前記目標炭素濃度値を達成するための溶鋼中溶存酸素濃度と排ガス中COガス濃度との2者の関係として、溶鋼中溶存酸素濃度に対応して排ガス中COガス濃度の閾値を定め、精錬中に計測される排ガス中のCOガス濃度が、溶鋼中の溶存酸素濃度に応じて設定した前記閾値以下となった時点を、脱炭精錬の終了時点と判定することを特徴とする、請求項2に記載の真空脱ガス設備における脱炭終点判定方法。
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