JP5836187B2 - 真空脱ガス処理方法 - Google Patents
真空脱ガス処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5836187B2 JP5836187B2 JP2012096732A JP2012096732A JP5836187B2 JP 5836187 B2 JP5836187 B2 JP 5836187B2 JP 2012096732 A JP2012096732 A JP 2012096732A JP 2012096732 A JP2012096732 A JP 2012096732A JP 5836187 B2 JP5836187 B2 JP 5836187B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- molten steel
- gas
- nitrogen
- treatment
- vacuum degassing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
特許文献1では、一本の浸漬管を取鍋内の溶鋼に浸漬して、前記取鍋の底部から不活性ガスを吹き込みながら行う処理において、溶鋼の脱炭と脱ガス工程の少なくとも一部で窒素含有ガスを吹き込むことにより、溶鋼の窒素濃度を高めている。
特許文献3では、RH真空槽内における溶鋼中の窒素含有量の予測モデルを作成し、前記予測モデルからArガスおよびN2 ガスのうちのいずれか1つからなる還流ガスによる還流処理を所定流量および所定時間継続して実施し、次いで、前記予測モデルによって決定した溶鋼中の窒素含有量を変化させないN2 ガス比によってArガスおよびN2 ガスからなる還流ガスによる還流処理を実施している。
特許文献5では、RH真空槽にて脱ガスの促進を目的に気体を吹き込みバブリングする方法において、鋼中活量酸素量が200 ppm 以上の状態にて窒素含有ガスを吹き込んでいる。この他に、真空脱ガス処理に関する技術が特許文献6〜8に開示されている。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、介在物の低減、脱水素を促進しながら窒素の濃度を精度よく調整することができる真空脱ガス処理方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、真空脱ガス処理を前半処理と後半処理とを分けて処理することにより[C]≧0.03質量%以上の鋼を製造するに際し、
前半処理では、前記真空脱ガス処理での圧力を300Pa以下すると共に、アルゴンガス単
独或いはアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガスを吹き込んで溶鋼を15分以上還流しつつ窒素を除く成分を調整することとし、前記アルゴンガスの流量を5L/(min・ton)以上とし、溶鋼に吹き込むガスの流量の上限値を20L/(min・ton)以下とし、溶鋼中の[H]が2ppm以下で且つフリー酸素濃度[O]fが14ppm以下となった時点で後半処理に移行することとし、後半処理では、前記真空脱ガス処理での圧力を300Pa以下に維持すると共に、窒素ガス単独或いは混合ガスで溶鋼を還流することとし、窒素ガスの流量は、前半処理でサンプリングした溶鋼中の窒素濃度の分析値に基づいて決定することを特徴とする。
図1は、真空脱ガス処理を行う真空脱ガス装置の全体図を示したものである。
まず、真空脱ガス装置について詳しく説明する。
図1に示すように、真空脱ガス装置(RH装置)1は、溶鋼2が装入される取鍋3と、真空状態となって溶鋼2内の脱ガスを行う真空槽4とを有している。真空槽4の下部には、取鍋3内の溶鋼2に浸漬させる2本の浸漬管5、5が設けられており、この浸漬管5、5の一方には不活性ガスを吹き込む吹き込み口6(図2参照)が設けられている。真空槽4の上部には、当該真空槽4のガスを排気する排気口7が設けられている。
以下、本発明の真空脱ガス処理について説明する。
合金に含まれる元素によって窒素が除去されてしまったり、逆に、窒素が増加することがあり、後半処理における溶鋼中の窒素濃度[N]の挙動が不安定になる。つまり、後半処理の成分調整を実施した場合は、前半処理で調整した溶鋼の窒素濃度[N]が変化し、最終的な窒素濃度を目的の濃度に調整することが難しくなる。このようなことから、上述したように、本発明の真空脱ガス処理では、前半処理にて窒素を除く成分調整等を行うこととし、その後、後半処理にて溶鋼の窒素濃度の調整を行うこととしている。
真空脱ガス処理の前半処理では、真空脱ガス処理における真空槽4内の圧力を300Pa以下としている。真空槽4内の真空度を高めると(真空槽4内の圧力を低くする)、溶鋼2は還流可能な高さまで上昇し、溶鋼2の脱ガス、成分調整及び介在物除去が促進される。このようなことから、前半処理では、真空槽4内の圧力を300Pa以下として高い真空状態で処理を行うこととしており、250Pa以下であることが望ましく、さらに200Pa以下であることが望ましい。
1)真空槽4内の圧力:300Pa以下
2)還流時間:15分以上
3)アルゴンガスの流量を5L/(min・ton)以上
4)ガスの流量の上限値を20L/(min・ton)以下
さて、真空脱ガス処理の後半処理でも真空脱ガス処理での圧力(真空槽4内の圧力)を
300Pa以下に維持することとしている。
後半処理においては、溶鋼2の窒素濃度を正確に調整するため、まず、事前に前半処理時の溶鋼2を採取しておき、前半処理時の溶鋼2の窒素濃度の分析を行う。そして、前半処理でサンプリングした溶鋼2中の窒素濃度の分析値に基づいて、後半処理における窒素ガスの流量を求めることとしている。なお、前半処理を行ったときの溶鋼のサンプリングは、複数回行ってもよいが、窒素ガスを求めるために採用する分析値は、後半処理に最も近い時点でサンプリングした値を用いる。
次に、窒素ガスの流量等を求める(取鍋−真空槽内の物質収支モデル)について説明する。なお、窒素ガスを求めるためのモデルは下記に示したものに限定されない。
このモデル式を過程するに際しては、図2に示す<1>〜<4>に示す4つの反応サイト(反応領域)での脱窒及び加窒(吸窒)を考慮している。なお、図2において「丸印内に1」〜「丸印内に4」と記載されている文字は、本文中では<1>〜<4>と表記する。
さて、溶鋼還流用窒素気泡界面における加窒速度や脱窒速度もアルゴンガスと同様に表すことができるが、気泡内の窒素圧力は、窒素の吹き込み位置から真空槽内浴表面に向かうにしたがって小さくなるため、加窒速度や脱窒速度が異なる。
即ち、溶鋼還流用の窒素ガス気泡界面における加窒速度や脱窒速度RN2は、式[7]のように表すことができる。
R:気体定数である。なお、PN2,Sは、槽内真空度PVと同じであり、PN2,S=PVとする。また、[N]e,Ar:Ar気泡界面において平衡する[H](%)も同様に式[9]より求めるが、Ar気泡内の窒素分圧PN2,Arは0となるので、結果、[N]e,Ar=0である。
真空槽内体積VVは、真空度によって変わるが、300Pa以下の範囲ではほぼ一定とし、実施例あるいは比較例で用いたRHの形状から3m3とした。また、取鍋内体積は、処理する全溶鋼重量;W(t)から、真空槽内に吸い上げられた重量を差し引いて求めた。すなわち、VL=1000・W/ρFe-VVである。
表4〜7は、本発明の真空脱ガス処理方法を行った実施例と、本発明とは異なる処理を行った比較例とをまとめたものである。
[実施条件について]
[C]が0.03〜0.8質量%になるまで転炉にて脱炭した後、真空脱ガス処理を行った。或いは、[C]が0.03〜0.8質量%になるまで転炉にて脱炭すると共に、脱炭後の溶鋼をLF装置などの取鍋精錬装置にて成分調整を行い、その後、真空脱ガス処理を行った。即ち、実施例及び比較例とも、[C]≧0.03質量%以上の鋼を製造するものを対象とした(処理後の実績溶鋼成分の欄)。
真空脱ガス処理では、前半処理から後半処理に移行する前に、前半処理の間に溶鋼のサンプルを採取して溶鋼中[N]を実測した。[N]の実測値の分析は、φ8mm×50mmの円柱棒の溶鋼のサンプル(20g程度)を採取し、不活性ガス搬送-融解熱伝導度法(JIS G 1228)に基づいて行った。
後半処理に移行する直前の[N]値(=[N]12)は、前半処理中の[N]の実測値(=[N]1)と、前半処理で還流しているガス種とその流量、および後半処理に移行するまでの時間等を用いてモデル式から計算した(後半処理移行直線の[N]モデル計算値の欄)。この[N]12を用いて、真空脱ガス処理後の目標値(=[N]aim)にする必要な攪拌用ガスの流量及び攪拌時間をモデル式から計算し(後半処理の欄)、計算した値を後半処理におけるガスの流量及び攪拌時間に適用した。
[評価について]
真空脱ガス処理後は、介在物個数、[H]及び[N]の測定を実施して評価を行った。介在物個数の測定は、φ25mm×8mm厚の円柱ディスクとなる溶鋼のサンプルを採取し、そのサンプルの研磨面2〜2.5cm2をEPMAで観察して最大径が5μm以上の介在物の個数を計測した。介在物の計測の対象は、Al2O3+MgO+CaO+SiO2の合計(濃度の合計)が90%以上のものを対象にした。
低下することが示されている。また、特許第4718359号公報には、同様に対象とする介在物は異なるものの、20個/cm2を超えると、伸線加工性が低下することが示されている。したがって、介在物を20個/cm2以下にする必要がる。望ましくは、15個/cm2以下である。
次に、本発明の真空脱ガス処理方法を用いて、溶鋼の真空脱ガス処理を行った結果を実施例として述べる。
実施例では、前半処理において、真空脱ガス処理での圧力を300Pa以下とし、アルゴンガス単独或いは混合ガスを吹き込んで溶鋼を還流する還流時間を15分以上とした。処理開始からサンプリングまでの時間と、[N]分析用サンプリングから後半処理に移行するまでの時間とを合計した値が、溶鋼の還流時間である。また。前半処理では、アルゴンガスの流量を5L/(min・ton)以上、溶鋼に吹き込むガスの流量の上限値を20L/(min・ton)以下とした。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 溶鋼
3 取鍋
4 真空槽
5 浸漬管
6 吹き込み口
7 排気口
Claims (1)
- 真空脱ガス処理を前半処理と後半処理とを分けて処理することにより[C]≧0.03質量%以上の鋼を製造するに際し、
前半処理では、前記真空脱ガス処理での圧力を300Pa以下すると共に、アルゴンガス単独或いはアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガスを吹き込んで溶鋼を15分以上還流しつつ窒素を除く成分を調整することとし、前記アルゴンガスの流量を5L/(min・ton)以上とし、溶鋼に吹き込むガスの流量の上限値を20L/(min・ton)以下とし、
溶鋼中の[H]が2ppm以下で且つフリー酸素濃度[O]fが14ppm以下となった時点で後半処理に移行することとし、
後半処理では、前記真空脱ガス処理での圧力を300Pa以下に維持すると共に、窒素ガス単独或いは混合ガスで溶鋼を還流することとし、窒素ガスの流量は、前半処理でサンプリングした溶鋼中の窒素濃度の分析値に基づいて決定することを特徴とする真空脱ガス処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012096732A JP5836187B2 (ja) | 2012-04-20 | 2012-04-20 | 真空脱ガス処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012096732A JP5836187B2 (ja) | 2012-04-20 | 2012-04-20 | 真空脱ガス処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013224461A JP2013224461A (ja) | 2013-10-31 |
JP5836187B2 true JP5836187B2 (ja) | 2015-12-24 |
Family
ID=49594708
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012096732A Expired - Fee Related JP5836187B2 (ja) | 2012-04-20 | 2012-04-20 | 真空脱ガス処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5836187B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3139155B1 (en) | 2014-07-09 | 2019-05-01 | JFE Steel Corporation | Method for analyzing nitrogen in metal samples, device for analyzing nitrogen in metal samples, method for adjusting nitrogen concentration in molten steel, and steel production method |
JP6838419B2 (ja) * | 2017-02-15 | 2021-03-03 | 日本製鉄株式会社 | 高窒素低酸素鋼の溶製方法 |
KR102103392B1 (ko) * | 2017-12-15 | 2020-04-22 | 주식회사 포스코 | 정련방법 및 강재 |
CN108823357B (zh) * | 2018-07-09 | 2021-04-30 | 上海宽量节能环保技术有限公司 | 一种基于柔性机械真空泵组的脱气系统的脱气方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6428319A (en) * | 1987-07-24 | 1989-01-30 | Nippon Kokan Kk | Production of nitrogen-containing steel |
JPH08100211A (ja) * | 1994-09-30 | 1996-04-16 | Nkk Corp | Rh真空脱ガス設備における窒素制御方法 |
JP2000119730A (ja) * | 1998-10-08 | 2000-04-25 | Nippon Steel Corp | 溶鋼の減圧精錬方法 |
-
2012
- 2012-04-20 JP JP2012096732A patent/JP5836187B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013224461A (ja) | 2013-10-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5397154B2 (ja) | 高強度・高耐食性油井管用鋼材の溶製方法 | |
JP5974962B2 (ja) | 耐HIC特性に優れたCaを添加したアルミキルド鋼材の製造方法及び溶鋼のCa添加処理方法 | |
JP5803815B2 (ja) | 軸受鋼鋼材の溶製方法 | |
JP5836187B2 (ja) | 真空脱ガス処理方法 | |
CN108624811B (zh) | 一种大厚壁抗酸耐蚀管线钢及其生产方法 | |
JP2014005520A (ja) | 浸炭軸受鋼鋼材の溶製方法 | |
JP2006063351A (ja) | 耐水素誘起割れ性に優れた高強度鋼板および製造方法、並びにラインパイプ用鋼管 | |
JP5904237B2 (ja) | 高窒素鋼の溶製方法 | |
JP5740881B2 (ja) | 圧延軸受鋼鋼材 | |
JP2013185250A (ja) | 高周波焼入れ用鋼材 | |
KR20170093965A (ko) | 내수소유기균열성이 우수한 강판 및 라인 파이프용 강관 | |
JP2008240126A (ja) | ステンレス溶鋼の精錬方法 | |
KR101365525B1 (ko) | 2상 스테인리스강 및 2상 스테인리스강의 aod 정련방법 | |
JP2018131651A (ja) | 高窒素低酸素鋼の溶製方法 | |
JP5087840B2 (ja) | 真空脱ガス設備における脱炭終点判定方法 | |
KR101207099B1 (ko) | 고크롬 저탄소 스테인리스강의 제조방법 | |
KR101434540B1 (ko) | 강의 정련 방법 | |
JP2020002413A (ja) | 鋼の製造方法 | |
US20170175212A1 (en) | Argon oxygen decarburization refining method for molten austenitic stainless steel | |
JP4686917B2 (ja) | 真空脱ガス設備における溶鋼の溶製方法 | |
KR101388065B1 (ko) | 극저탄소강 제조 시 rh 탈탄 효율 향상 방법 | |
KR101674756B1 (ko) | 페라이트계 스테인리스 강의 vod 정련방법 | |
JP5433941B2 (ja) | 高清浄度軸受鋼の溶製方法 | |
JP2023160452A (ja) | 高清浄窒素含有鋼の溶製方法、および、その溶製方法で製造された窒素含有鋼 | |
KR20140002898A (ko) | 용강의 온도 예측방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140901 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20151021 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20151027 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20151102 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5836187 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |