JP2023174044A - 低炭素鋼の溶製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】脱炭処理時間の短縮に適切なタイミングでOBを開始する低炭素鋼の溶製方法を提供する。【解決手段】減圧可能な精錬装置を用いて溶鋼の脱炭処理を行う際に前記精錬装置内の溶鋼に酸素ガスを吹付ける低炭素鋼の溶製方法であって、脱炭処理前の溶鋼中フリー酸素濃度と吹き付ける溶鋼1tonあたりの酸素ガス流量に応じて決まる減圧開始からの所定経過時間に酸素ガスの吹付けを開始することを特徴とする、低炭素鋼の溶製方法。減圧開始からの所定経過時間TOB(秒)が(1)式を満足する。k×QO2×Oini+C1≦TOB≦k×QO2×Oini+C2・・・(1)ただし、350≦Oini≦700の範囲k:調整係数、C1、C2:調整切片QO2:吹き付ける酸素ガス流量(Nm3/(ton・h))Oini:脱炭処理前の溶鋼中フリー酸素濃度(ppm)【選択図】図1

Description

本発明は、低炭素鋼の溶製方法に関するものであり、特に、RH真空脱ガス装置に代表される環流型真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法に関するものである。
自動車用の外板等に用いられる低炭素鋼(例えば、C濃度:0.0050%以下)を溶製する際、RH真空脱ガス装置(以下「RH」という。)に代表される還流型真空脱ガス装置を用いて、溶鋼を減圧雰囲気に晒して溶鋼に溶け込んだCをCOガスとして系外に排出することで所定のC濃度まで脱炭する、いわゆる真空脱炭処理が行われる。真空脱炭処理を行う場合、工業的には短時間で所定の温度、成分、清浄度を満たすことが求められ、脱炭時間の短縮は製造コストに直結する課題である。
この際、脱炭時間に大きく影響する因子は真空槽内の圧力と溶鋼中フリー酸素濃度であり、非特許文献1によれば、溶鋼中のCとフリー酸素の濃度積に比例するCO分圧を高めることに加え、雰囲気圧力を下げることで単位時間あたりの脱炭量すなわち脱炭速度を高めることができる。例えば、特許文献1では、処理溶鋼量1トン当たりの排気量を、真空槽内の圧力が300torrでは70kg/Hr・ton以上、200torrでは40kg/Hr・ton以上、100torrでは25kg/Hr・ton以上、50torrでは12kg/Hr・ton以上、10torrでは10kg/Hr・ton以上に制御する手法が開示されている。
一方、CO分圧を高めるため、転炉もしくは電気炉等で溶製した溶鋼を脱酸せず、溶鋼中フリー酸素濃度が高い未脱酸状態で真空脱炭処理することで、迅速な脱炭処理が行われている。例えば転炉出鋼後のC濃度が0.0350質量%から0.0050質量%まで脱炭する場合、原子量から考えると、最低でも脱炭するC濃度0.030質量%に相当する0.040質量%以上のフリー酸素濃度が必要である。ただし、真空脱炭処理中は溶鋼中のCとフリー酸素が反応してCOガスとして排出され、Cと同時にフリー酸素も減少するため、処理の進行に伴ってCO分圧が減少し、脱炭速度が低下する。したがって、脱炭の進行に伴う脱炭速度の低下を抑制するためには、脱炭中に所定のフリー酸素濃度以上に保っておくことが必要である。例えば、特許文献2では、減圧下脱炭処理するに際し、処理開始から0.0030%到達までの間、鋼中の溶解酸素を0.040%以上に制御する手法が開示されている。
溶鋼中のフリー酸素濃度を高める手段として、真空脱炭を行う際には真空槽内に設置したランスから溶鋼に酸素ガスを供給する操作(Oxygen Blowing、以下OBと呼ぶ)が行われることが多い。RHでOBすると、真空槽内の雰囲気中には、溶鋼還流用のArガスに、供給した酸素ガスおよび脱炭によって発生するCOガスが加わる。反応性の高いCOガスが大量に発生するような状況で真空槽内圧力を下げる場合、スチームエゼクターと呼ばれる減圧装置が用いられることが多いが、真空槽内の発生ガス量が増大すると減圧する際の減圧装置の負荷も増大し、減圧速度が低下する。このため、OBを実施すると、溶鋼中CO分圧増大によって脱炭速度が改善する効果と、真空槽内の圧力低下速度が低減する負の効果の両面があることが分かる。一般的には、真空層内の圧力低下速度が低減する影響よりも脱炭速度が改善する効果が大きく、脱炭初期にOBして脱炭速度を高めることが多い。これは、真空槽内の圧力が下がりきった状態では、同じ酸素量を上吹きした場合の着酸効率が低く、処理初期の真空槽内の圧力が下がりきっていない状態でOBしたほうが上吹き酸素の利用効率も高いこと、さらに、処理初期のフリー酸素濃度が低位であった場合にOBのタイミングが遅くなると、フリー酸素濃度不足に伴って脱炭速度が下がることもあるためである。例えば、特許文献3では、真空槽内の設定真空度が50torr以上の範囲で、脱ガス処理すると共に真空槽内溶鉄へ酸素含有ガスを供給し、脱炭速度を最大に維持する過程を設ける手法が開示されている。
特開2000-178635号公報 特開昭63-190113号公報 特開平4-176812号公報 特開2021-152191号公報
樋口善彦ら著「RH真空脱炭に及ぼす[C],[O]と真空度の影響」:鉄と鋼、84(1998)、709.
OBすることによって溶鋼中のフリー酸素濃度を高められることから、脱炭速度を改善する目的だけであれば、所定のC濃度になるまでOBしてフリー酸素濃度を高位維持すれば良い。しかしながら、脱炭処理した後はAlを添加してフリー酸素を低減し、Alキルド鋼として溶製される場合が多い。このため、過度にOBした場合、フリー酸素を所定の値以下に低減するのに必要なAl添加量が増大することに加え、生成するAlも多くなることから、生成したAlの一部が非金属介在物として溶鋼中に残留し、溶鋼の清浄性が悪化することになる。一般的に、フリー酸素濃度は脱炭速度が低下しない範囲内で調整され、OB量はRH処理前のC濃度および溶鋼温度に応じて決定される。
しかしながら、先行技術ではフリー酸素の下限を示したり、脱ガス処理中に酸素ガスを供給する記載はあるものの、どのタイミングでOBを開始すれば最も早く所定のC濃度に到達するのかが分からず、脱炭に要する時間を最も短くするには至っていない状況である。
そこで、本発明は、脱炭処理時間の短縮に適切なタイミングでOBを開始する低炭素鋼の溶製方法を提供することを目的とする。
OBを実施する際、ランスから吹き付けた酸素ガスの一部が溶鋼中に供給され、残りは雰囲気中に排出される。OBする際の溶鋼への酸素供給速度、すなわち単位溶鋼、単位時間当たりのフリー酸素濃度の増加速度は、溶鋼上部に設置した酸素供給用のランス高さ、酸素流量、雰囲気圧力の影響を受けるが、同じ酸素ガス供給条件、すなわちランス高さ、酸素流量、雰囲気圧力が同じであれば、溶鋼中酸素濃度が低いほど溶鋼表面の酸素濃度との濃度差が大きくなることから、ランスから吹き付けた酸素ガスのうちで溶鋼に供給される比率(着酸効率)が増大し、溶鋼への酸素供給速度が高くなる。真空脱炭中は時間経過とともに溶鋼中の酸素がCと反応し、COガスとして系外排出されていくことから、同じ酸素ガス供給条件で同じ量の酸素を溶鋼上に吹き付ける場合では、脱炭がある程度進んだ後でOBする方が溶鋼へ供給される酸素量が多くなり、同じC濃度まで脱炭された後の溶鋼中の酸素濃度自体は高くなる。
このことに加え、OBに伴う真空槽内への酸素ガス供給や、脱炭速度、すなわちCO発生速度に応じて真空槽内の排気挙動が変わる。すなわち、RHで真空脱炭する際、同じ量の酸素をOBする場合であっても、OB開始タイミングによって所定のC濃度まで脱炭するのに要する時間は異なることになる。
本発明者らは実操業における真空脱炭前のフリー酸素濃度、OBによって供給する酸素量、OB開始タイミングについて調査した結果、真空脱炭前の溶鋼中フリー酸素濃度が高い条件では、処理開始してすぐにOBを開始するよりも、ある程度脱炭が進んでからOBを開始したほうが、所定のC濃度に達するまでの時間が短いことを知見した。一方、真空脱炭前のフリー酸素濃度が低い条件では、OB開始が遅くなるほど脱炭時間も長くなることが判明した。このことをもとに鋭意検討した結果、真空脱炭前のフリー酸素濃度と吹き付ける溶鋼1tonあたりの酸素ガス流量に応じてOB開始タイミングを調整することで、脱炭速度を改善できることが判明した。
どのタイミングでOBを開始すれば最も脱炭時間を短縮できるかの課題に対する、具体的な手段は下記の通りである。
(A)減圧可能な精錬装置を用いて溶鋼の脱炭処理を行う際に前記精錬装置内の溶鋼に酸素ガスを吹付ける低炭素鋼の溶製方法であって、脱炭処理前の溶鋼中フリー酸素濃度と吹き付ける溶鋼1tonあたりの酸素ガス流量に応じて決まる減圧開始からの所定経過時間に酸素ガスの吹付けを開始することを特徴とする、低炭素鋼の溶製方法。
(B)前記減圧開始からの所定経過時間が(1)式を満足することを特徴とする、(A)に記載の低炭素鋼の溶製方法。
k×QO2×Oini+C≦TOB≦k×QO2×Oini+C ・・・(1)
ただし、350≦Oini≦700の範囲
k:調整係数、C、C:調整切片
O2:吹き付ける溶鋼1tonあたりの酸素ガス流量(Nm/(ton・h))
ini:脱炭処理前の溶鋼中フリー酸素濃度(ppm)
OB:減圧開始からの所定経過時間(秒)
本発明を適用することで、真空脱炭前のフリー酸素濃度に応じて、脱炭時間が最短になるOB開始タイミングを決定できる。このため、処理時間の短縮によって得られる、蒸気、耐火物、昇熱用の合金といった多くのコストを削減できる。
RH処理中のCO分圧と槽内圧力の変化挙動
[本発明における用語の定義]
低炭素鋼とは、C濃度が0.0050%以下である鋼を指す。低炭素鋼を溶製するには、転炉や電気炉等の製鋼炉(一次精錬炉)で溶製した溶鋼を取鍋に受鋼し、RHといった減圧可能な精錬装置を用いて脱炭処理することで所定のC濃度に調整することができる。
脱炭処理とは、RHといった減圧可能な真空槽を具備する精錬装置を使って、溶鋼を減圧処理し、溶鋼中からCをCOガスとして取り除く処理を指す。溶鋼中のCおよびO(フリー酸素)濃度が高いほど、減圧処理する際の脱炭速度が速いことから、製鋼炉から出鋼する際にAl等の脱酸剤を添加しない、いわゆる未脱酸鋼の状態で処理することが多い。
フリー酸素濃度とは、溶鋼中に溶解している酸素濃度を指す。
酸素ガスの吹付け(OB)とは、RH等の設備で脱炭処理を行う際に、溶鋼中のフリー酸素濃度を高めることを目的として、真空槽内に具備したランスを介して、真空槽内の溶鋼に対して上方から酸素ガスを吹付けて供給する操作を指す。酸素ガスの吹付けは、脱炭処理中であっても実施できる。溶鋼中のフリー酸素濃度は、酸素濃淡電池の原理を使った酸素センサーを使って脱炭処理中であっても測定できる。
OBする際の着酸効率とは、供給した酸素ガス量に対して、実際に溶鋼に供給された酸素量の比率を指す。着酸効率は、OB中の溶鋼中のフリー酸素濃度に影響を受け、フリー酸素濃度が低いほど着酸効率は良い。減圧処理中は脱炭反応が進み、フリー酸素も低減していくことから、同じ酸素量を吹き付けるのであれば、脱炭末期に近いほどOBの着酸効率が良くなる。
[本発明に係る溶鋼組成]
本発明では製鋼炉で溶製した鋼を未脱酸状態で取鍋に出鋼し、RH等の減圧可能な真空槽を具備する装置で減圧処理することを想定しており、処理前の溶鋼中のC濃度は0.02%(200ppm)から0.07%(700ppm)程度、フリー酸素濃度は0.03%(300ppm)から0.08%(800ppm)程度である。CおよびOの他、脱酸力の弱いMn、Siが含まれる場合がある。また、不可避的不純物として、P、S、N、その他元素が含まれる場合がある。
[本発明における脱炭処理方法]
本発明は、RH等の減圧可能な真空槽を具備する精錬装置で、取鍋内の溶鋼を真空槽中において減圧処理し、溶鋼中のC濃度を0.005%(50ppm)以下まで減少させる、低炭素鋼の溶製が対象である。以下、RHを使った脱炭処理方法を記載する。
減圧処理する前の溶鋼は、転炉や電気炉等の製鋼炉で溶製することができる。製鋼炉で溶製した溶鋼は取鍋に出鋼され、取鍋に入った状態でRHまで搬送される。出鋼する際、合金を添加することもできるが、脱炭速度を高めるためにはAl等の脱酸剤を添加せず、未脱酸状態で出鋼することが望ましい。また、出鋼後の溶鋼から採取したサンプルを分析し、RH処理前のC濃度を知ることができる。同時に、溶鋼温度、フリー酸素濃度を知ることができる。
RHまで搬送された取鍋内の溶鋼に、浸漬管を浸漬し、真空槽内を減圧するとともに、片側の浸漬管から不活性ガスを流すことで、真空槽内と取鍋内の間で溶鋼を循環させる、還流を開始させる。この時、溶鋼中のCとフリー酸素(O)の濃度積に平衡定数を乗じることで求まる溶鋼中のCOガス分圧PCOに対して、真空槽内の圧力Pが低くなると、溶鋼中に溶解しきれなくなったCがOと反応してCOガスとなり気相側に排出され、真空槽内上部から排気され、脱炭反応が進む。脱炭反応はC+O=COの反応によって生じているため、1molのC(12g)に対して、Oは16gが反応する。このため、脱炭反応の進行とともに、溶鋼中のフリー酸素濃度も減少する。本発明では減少したフリー酸素濃度を高めるために、脱炭処理中にOBを行う。Cが所定濃度以下まで低減した後は、溶鋼にAlを添加してフリー酸素をさらに低減し、脱炭反応を停止させる。一般的に、脱炭時間は10分から20分程度である。
[減圧手順]
一般的に、工業的なRHでは、真空槽内の圧力を、真空ポンプ、スチームエゼクター、ブースターポンプを用いて下げていく。各設備は、適用可能圧力範囲が設定されており、真空槽内の圧力に応じて、用いる減圧装置を切り替えていく。この時、真空層内の圧力が目安としている圧力まで下がったことを確認し、自動的、もしくは手動で減圧装置を切り替えていくが、排気が遅い場合は、目安の値まで槽内圧力が下がるのを待つことになる。真空槽内でのガス発生量が多いと圧力低下速度が低下する。OBのタイミングによっては、ガス発生量に対して排気が追い付かず、減圧装置の切り替えタイミングが大幅に遅くなり脱炭処理時間が長くなる場合も生じることになるため、OBタイミングの最適化が重要となる。
[OBで吹き付ける酸素量]
脱炭中に溶鋼中フリー酸素濃度が低減すると、脱炭反応速度も低下する。そのため、脱炭反応中にフリー酸素濃度が低下する場合は、真空槽上部からランスを介して酸素ガスを吹き付ける、すなわち、OBすることで、フリー酸素濃度を高めることができる。
まず、脱炭末期までに脱炭するC濃度をもとにCOとして排出されるフリー酸素濃度を算出する。脱炭終了時におけるフリー酸素濃度が400ppm程度であれば、脱炭終了時まで脱炭速度を維持できるので好ましい。脱炭開始時のフリー酸素濃度とOBで供給する酸素濃度の合計が、脱炭で消費されるフリー酸素濃度と脱炭速度を維持するのに必要なフリー酸素濃度(400ppm程度)の合計と一致するように、OBでの着酸効率を考慮して、OBで吹き付ける酸素量(Nm)を決めることができる。
[OBタイミング最適化の考え方]
図1にRHで減圧処理した際の取鍋内の溶鋼のCO分圧と槽内圧力の経時変化を示す。非特許文献1に記載されているように、真空脱炭速度は、溶鋼中のCとOの濃度積に平衡定数を乗じることで求まるCO分圧と、雰囲気圧力(槽内圧力)との差分によって決まる。図1において、横軸が処理時間、実線が取鍋内の溶鋼中のCとOの濃度積から求めたCO分圧、破線が槽内圧力である。槽内圧力がCO分圧よりも低くなると脱炭が開始する。処理開始直後にCO分圧よりも槽内圧力が低い状況でCO分圧が下がらないのは、槽内圧力が十分に下がっておらず、環流量がまだ少ないため、取鍋内の溶鋼全体としては脱炭がほとんど進まないことを示す。CO分圧、槽内圧力いずれも、圧力の低下とともに傾きが減少する。実線(CO分圧)の傾きが特に変化している点は、脱炭現象の開始、OBの開始と終了、Al添加による脱酸を表している。破線(槽内圧力)の傾きが特に変化している点は、脱炭開始やOBの開始と終了による発生ガス量の変化、減圧装置の切り替えを表している。脱炭が進んでCおよびフリー酸素濃度が減少することに伴い、CO分圧が低下する。また、槽内圧力の低下に伴い、真空ポンプ、スチームエゼクター、ブースターポンプと減圧装置を切り替えていく。OBすると、溶鋼中フリー酸素濃度が高くなる、あるいはフリー酸素濃度の低下速度が遅くなることから、CO分圧は高めに偏移あるいは低下速度が遅くなる。また、真空槽内に吹き込んだ酸素ガスと脱炭により発生したCOガスにより槽内圧力の減少挙動が変わる。脱炭速度はCO分圧と槽内圧力の差によって決まるため、OB開始タイミングが異なると、脱炭挙動にも影響が及ぶ。具体的には、OBタイミングが早過ぎる場合、脱炭初期の排気が阻害されることで槽内圧力の低下が遅れ、脱炭速度が落ちる可能性が生じる。OBタイミングが遅過ぎる場合、OBするまでOBの効果が得られずCO濃度積の低下が抑制されなくなることから、トータルの脱炭速度が落ちる。このため、溶鋼の条件に応じて、最適なOBタイミングが存在する。
低炭素鋼を溶製する場合、製鋼炉で溶製した未脱酸鋼をRHで処理することから、RH処理前の溶鋼中Cおよびフリー酸素濃度は調整できず一定ではない。しかしながら、RHでの脱炭終了時のC濃度は規格成分に応じて概ね一定値となることに加え、フリー酸素濃度は脱炭終了時に400ppm程度になるようにOB量を調整する。したがって、脱炭終了時タイミングから逆算すると、処理前のCおよびフリー酸素濃度が異なっていても、規格成分が同じであれば、OBが終了したタイミングから脱炭終了時までのCおよびフリー酸素濃度挙動は概ね同じようになる。
この時、初期フリー酸素濃度が同じであれば、初期C濃度が低い場合脱炭に必要な酸素量が少ないのでのOB量は少なく、初期C濃度が高い場合脱炭に必要な酸素量が多いためにOB量は多くなる。
前述したように、OB開始タイミングは、早すぎると初期の脱炭が速く進行するものの、排気負荷が大きくなり減圧装置の切り替えタイミングが遅れることで、総脱炭時間が延びる。一方、OB開始タイミングが遅いと、処理初期の排気負荷は小さく、減圧装置の切り替えタイミングの遅れは生じないものの、CO分圧を高めることによる脱炭速度増大の効果を受ける時間が短くなることで、総脱炭時間が延びる。このため、操業条件に応じて、最適なOB開始タイミングが存在することが分かる。各操業条件における最適OB開始タイミングを検討したところ、OB時の酸素ガス流量が同じであれば、OB開始タイミングはC濃度の関わらず、処理前フリー酸素濃度によって決まることが分かった。これは、最適OB開始タイミングが、処理初期の排気負荷に影響するCOガス生成量およびOB酸素流量を増大させるタイミングと、脱炭速度を増大させるためにフリー酸素を高めるタイミングのバランスで概ね決まり、初期C濃度の違いによるCOガスガス生成量の変化、および、脱炭速度の増大幅の影響が小さいことに起因すると考えられる。
OB時に吹き付ける酸素ガス流量が大きい場合、単位時間当たりの着酸量も増えることから、OB時間自体は短くなる。このため、酸素ガス流量が大きい条件では、OB終了時のCおよびフリー酸素濃度が概ね同じであれば、OB時間が短くなる分、OB開始タイミングが後にずれる。OB時に吹き付ける酸素ガスは全量が溶鋼と反応する訳ではなく、吹き付けた酸素ガスの一部は溶鋼と反応せず(着酸せず)に槽内雰囲気中に排出される。
以上より、酸素ガスを吹き付ける条件で脱炭処理を行うにあたり、処理時間が最短になるOB開始タイミングTOB(秒)は、調整係数k、酸素ガス流量QO2(Nm/(ton・h))、処理前フリー酸素Oini(ppm)および調整切片C、Cで構成される(1)式で与えられる。
k×QO2×Oini+C≦TOB≦k×QO2×Oini+C ・・・(1)
脱炭終了時のC濃度およびフリー酸素濃度から考えると、OB終了時のC濃度、フリー酸素濃度を同じ値に調整にする場合、酸素ガス流量QO2、処理前フリー酸素濃度Oiniが大きい場合は、OB開始は遅くても良い。このため、(1)式において、酸素ガス流量QO2、処理前フリー酸素Oiniは、OB開始タイミングに対して正の相関、すなわち、両者が大きい値であった場合、OB開始タイミングTOBは遅く算出されることになる。
(1)式における調整係数kは着酸効率を含むパラメータである。kは、酸素ガス流量、処理前フリー酸素およびOB開始タイミングを変えて複数回脱炭処理を行った実績から、同じ処理前フリー酸素条件において最も処理時間が短くなったOB開始タイミングの領域を抽出し、両者の関係からその傾きを抽出することで決定できる。
また、(1)式における右辺、左辺の末尾の調整切片C、Cは、処理後フリー酸素濃度に紐づいた値であり、上述したkを算出した際の関係の切片として決定できる。
本発明を適用する範囲は、処理前フリー酸素濃度が350ppm以上、700ppm以下の範囲とする。処理前フリー酸素濃度が350ppm未満である場合、処理前C濃度も高いことが多く、OBおよび脱炭が通常よりも長くなり、本発明を適用するまでも無く処理開始直後にOBを開始すれば良い。また、OB時の酸素ガスの吹付け量が溶鋼1tonあたり0.55Nmよりも多くなる条件においても、操業のバラつきが大きく、通常の脱炭処理とは異なる場合が多いことから、本発明の適用範囲外とする。一方、処理前フリー酸素濃度が700ppmを超える場合、処理前C濃度にもよるが、OBする必要がない場合が多くなることから、この条件も本発明の適用範囲外とする。
また、脱炭終了後のC濃度が0.0050%よりも高い場合、OB開始タイミングを最適化することに伴う処理時間短縮の効果よりも、高炭素領域での脱炭時の取鍋内混合遅れに伴うC濃度のバラつきの影響が大きく、明確な処理時間短縮効果が得られないことから、脱炭終了後のC濃度が0.0050%以下である場合に本発明の良好な効果を奏することができる。
以上の検討を踏まえ、本発明では、実生産設備を用いて最も効率的な脱炭挙動となるOB開始タイミングを鋭意探索した結果、脱炭処理前の溶鋼中フリー酸素濃度、および、吹き付ける酸素ガス流量に応じて決まる、減圧開始からの所定経過時間後にOBを開始させる手法を見出すに至った。また、そのOB開始タイミングを見出し、その範囲を明確にすることで本発明を完成するに至った。さらに、本発明を適用可能な酸素吹付け量の上限、脱炭後のC濃度を明確にした。
まず、本発明における(1)式中の調整係数k、調整切片C、Cを決めることを目的に、転炉で一次精錬処理を行い、未脱酸出鋼した450ton規模の溶鋼を取鍋で受鋼し、RHにて脱炭処理を行った。溶鋼温度は1600℃から1620℃の範囲である。処理前フリー酸素を400ppm、処理前Cを350ppmとした条件、処理前フリー酸素を600ppm、初期Cを300ppmとした条件において、OB開始タイミングを、還流開始60秒後から360秒後まで変え、脱炭終了([C]=25ppm到達)までの時間を比較した。なお、溶製した鋼種はC濃度の上限が30ppmの鋼種であり、特許文献4に記載の手法を用いて脱炭末期の溶鋼中のC濃度を推定し、C濃度(計算値)が20ppmまで低下したタイミングでAlを添加し、脱炭を終了させた。また、Al添加する前のタイミングで、溶鋼中のフリー酸素濃度は400ppmとなるように、処理前フリー酸素濃度に応じて、着酸効率をも考慮し、OBで吹き付ける酸素量(Nm)を表1に示すように調整した。OB時の酸素ガス流量は、2500Nm/hである。正確な脱炭時間を比較するため、溶製後のC分析値から、非特許文献1に記載された手法を用いて、C濃度が25ppmに達した時間を算出した。結果を表1に示す。同一の処理前フリー酸素、処理前C、OB酸素量であっても、OB開始タイミングが異なるとC濃度が25ppmに達した時間は異なり、最適OB開始タイミングが存在していることが分かる。同様の予備試験を、OB時の酸素ガス流量を2000、3000Nm/hの条件で繰り返し調査し、これらの結果を元に、(1)式中のk:調整係数は0.108と決定された。また、本結果から、切片はC=-150およびC=-120と決定された。
Figure 2023174044000002
転炉で一次精錬処理を行い、未脱酸出鋼した450ton規模の溶鋼を取鍋で受鋼し、RHにて脱炭処理を行った。RH処理前のC濃度は0.02%(200ppm)から0.06%(600ppm)、フリー酸素濃度は0.035%(350ppm)から0.070%(700ppm)の範囲であり、溶鋼温度は1600℃から1620℃の範囲である。RHまで搬送した取鍋内の溶鋼に真空槽と繋がった2本足の浸漬管を浸漬し、真空槽内を減圧するとともに片側の浸漬管からArガスを導入し、溶鋼を還流させた。
OB開始タイミングを、処理開始60~360秒の間でオペレータに任せて設定した条件(=比較例)と、(1)式を使って求めたTOBで示した範囲で設定した条件(=発明例)で、C濃度が25ppmに達するまでの時間を比較した結果を表2に示す。OB開始タイミングを除き、処理条件は比較例、発明例で同じである。比較例ではC濃度が25ppmに達するまでの時間の平均が15.6分であったのに対し、発明例では15.2分であり、平均0.4分の処理時間短縮効果が得られていることが分かる。以上の結果から、本発明の方法を用いて減圧処理することで、低炭素鋼を効率的に製造できることは明らかである。
Figure 2023174044000003

Claims (2)

  1. 減圧可能な精錬装置を用いて溶鋼の脱炭処理を行う際に前記精錬装置内の溶鋼に酸素ガスを吹付ける低炭素鋼の溶製方法であって、脱炭処理前の溶鋼中フリー酸素濃度と吹き付ける溶鋼1tonあたりの酸素ガス流量に応じて決まる減圧開始からの所定経過時間に酸素ガスの吹付けを開始することを特徴とする、低炭素鋼の溶製方法。
  2. 前記減圧開始からの所定経過時間が(1)式を満足することを特徴とする、
    請求項1に記載の低炭素鋼の溶製方法。
    k×QO2×Oini+C≦TOB≦k×QO2×Oini+C ・・・(1)
    ただし、350≦Oini≦700の範囲
    k:調整係数、C、C:調整切片
    O2:吹き付ける溶鋼1tonあたりの酸素ガス流量(Nm/(ton・h))
    ini:脱炭処理前の溶鋼中フリー酸素濃度(ppm)
    OB:減圧開始からの所定経過時間(秒)
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