JPH11269515A - 高炉における溶銑脱硫装置 - Google Patents

高炉における溶銑脱硫装置

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JPH11269515A
JPH11269515A JP8959398A JP8959398A JPH11269515A JP H11269515 A JPH11269515 A JP H11269515A JP 8959398 A JP8959398 A JP 8959398A JP 8959398 A JP8959398 A JP 8959398A JP H11269515 A JPH11269515 A JP H11269515A
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blast furnace
hot metal
electrode
slag
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JP8959398A
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Takashi Orimoto
隆 折本
Masaaki Naito
誠章 内藤
Nobuo Sano
信雄 佐野
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Nippon Steel Corp
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、高炉内おいて、脱硫反応を促進さ
せ、溶銑中の硫黄含有量を減少させるための装置を提供
するものである。 【解決手段】 高炉炉床部のスラグ存在部該当位置に、
炉壁煉瓦内を通して電極を配設し、該電極の先端を炉壁
内側近傍に埋設すると共に、他端を炉壁外側の鉄皮と接
続し、一方高炉出銑口より出銑する溶銑を受ける出銑樋
の溶銑存在部該当位置に電極の先端を配設し、他端を高
炉炉体の鉄皮と直接または間接的に接続し、該電極、溶
銑存在部、スラグ存在部とからなる電気回路を形成した
高炉における溶銑脱硫装置。 【効果】 極めて簡単な構成により、高炉操業中絶えず
溶銑中の硫黄含有量の低減化を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉内において、
脱硫反応を促進させ、溶銑中の硫黄含有量を減少させる
ための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近時、製鋼工程における生産コストの低
減を図るために、溶銑中の硫黄含有量を少なくすること
が要求され、そのため高炉内において、溶銑の脱硫を行
うことが行われるようになった。このような事情から、
溶銑の脱硫を行うために種々の発明が提示されている。
例えば、マグネシウムを含浸させた粉末状の石炭もしく
はコークスを送風羽口または下部炉壁に設けた複数個の
吹込口からガスあるいは液体燃料とともに高炉内に吹込
んで溶銑の脱硫を行う溶銑の脱硫方法(特開昭52−1
09418号公報)、高炉羽口もしくは羽口近傍から、
ホウ素系化合物原料を高炉湯溜部に吹込む高炉操業方法
(特開昭61−99607号公報)があり、また、高炉
内に鉱石とコークスとを交互に層状として装入し、羽口
からの熱風吹込みにより前記鉱石を予熱、還元、軟化、
溶融せしめて出銑するに当たり、前記コークス中にCa
O系またはMgO系造滓を添加する低S高炉操業方法
(特公昭63−65729号公報)、その他、数多くの
方法が提案されている。
【0003】さらに、高炉外では、運搬車上に装備され
た回転可能な容器に溶銑を満たし、前記運搬車を運行さ
せながら前記容器を連続的に回転せしめる溶銑の脱硫法
(特開昭53−28015号公報)、高炉から流出する
溶銑を溶銑鍋に導くための出銑樋を通って流れる溶銑の
表面に少なくとも1本のランスから、キャリアガスによ
って溶銑中に含有されている硫黄を除去するためのフラ
ックスとして、融点が1200℃以下の石灰石粉と螢石
粉との混合物、または、焼石灰粉と石灰石粉と螢石粉と
の混合物を溶銑中に吹き込む出銑樋の途中において溶銑
中の硫黄を除去する方法(特開昭63−317607号
公報)がある。
【0004】ところで、溶銑中の硫黄含有量を低下させ
るためには、スラグ中のFeOを下げると脱硫が行われ
ることが知られている。高炉炉床の酸素分圧は以下の式
からスラグ中のFeO濃度の2乗に比例する。 Fe(l)+1/2O2 =FeO(l) ΔGo =−238072+48.84T〔J/mol〕 ∴PO2=(γFeO ・xFeO /aFe2・exp(−57
269/T+11.75)
【0005】一方、平衡S分配比と酸素分圧の関係は、
スラグの脱硫能であるサルファイドキャパシティを用い
て、以下の式で表される。 平衡(%S)/〔%S〕=CS ・fS ・(PO2-1/2
exp(−15047/T+2.23)
【0006】ここで、γFeO 、CS 、fS はスラグ組成
(高炉スラグではCaO、SiO2、Al23 、Mg
O)と温度から決まり、aFeは溶銑組成と温度から決ま
る。したがって、これらが一定の条件下では平衡S分配
比はスラグ中のFeO濃度に反比例する。以上から、ス
ラグ中のFeO濃度の低下により平衡S分配比が増大
し、その結果、脱硫率が向上する。ここで、それぞれの
記号は以下を表す。 ΔGo :標準自由エネルギー変化〔J/mol〕 PO2 :酸素分圧〔atm〕 γFeO :スラグ中FeOの活量係数〔−〕 xFeO :スラグ中FeOのモル分率〔−〕 aFe:溶銑中Feの活量〔−〕 (%S):スラグ中のS濃度〔%〕 〔%S〕:溶銑中のS濃度〔%〕 CS :サルファイドキャパシティ〔−〕 fS :溶銑中Sの活量係数〔−〕 T:絶対温度〔K〕
【0007】このためには、燃料比を上げて高炉内温度
を高めること、または焼結鉱の還元率を高める等の処置
を施さなければならず、高炉操業上の大きな負担とな
る。また炉外での脱硫では、脱硫用設備の設置に伴うコ
スト高、その他種々の問題を含んでおり、いずれも決定
的な方法とはいえないものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、高炉内
でスラグ中のFeOを低減させれば、溶銑中に含有され
る硫黄(S)が低下することが知られていたので、本発
明者らはこの点に着目し、種々の研究・検討を重ねた結
果、スラグ中のFeOを低減させ溶銑の脱硫率を向上さ
せるための極めて有効な手段を開発することに成功し
た。
【0009】すなわち、高炉内におけるスラグ中のFe
O還元反応は、 C+FeO(in slag)=CO(g)+Fe であるが、これは、3相(溶銑、スラグ、ガス)間の不
均一反応であるため、反応速度は遅い。ここで、電気化
学的方法による還元促進について考察すると、 アノード:CO(g)+O2-(in slag)=CO2 (g)+2e ・・・・2相(スラグ、ガス) カソード:Fe2+(in slag)+2e- =Fe ・・・・2相(溶銑、スラグ) となり、反応速度は速くなるものと考えられる。このと
き、上記の反応により、スラグ中のFeOは低下するの
で溶銑中の脱硫が行われることになる。
【0010】そこで本発明者らは、上記事項を容易に行
うための手段として、特願平10−30350号「高炉
における溶銑脱硫装置」(以下、先願発明と記す)を開
発し、既に出願済みである。先願発明の概要を記すと、
「高炉炉床の炉壁煉瓦部において、高炉炉床の溶銑貯留
部該当位置と、該溶銑上のスラグ存在部該当位置に、そ
れぞれ炉壁煉瓦内を通して電極を配設し、該電極の先端
を炉壁内側近傍に埋設すると共に、他端を炉壁外側の鉄
皮と接続し、該電極、溶銑貯留部、スラグ存在部とから
なる電気回路を形成した高炉における溶銑脱硫装置」に
ある。これを図5に示すと、図において、1は高炉炉床
部、2は溶銑貯留部、3はその上方に位置するスラグ存
在部分、4は炉床部を構成するカーボン煉瓦積み部、5
は煉瓦積み部を覆う鉄皮、6は前記煉瓦積み4内を通し
て埋設されている電極であり、その先端7は、前記カー
ボン煉瓦4の炉内側近傍に位置し、また他端8は鉄皮5
と接続している。
【0011】しかして、本発明者らの開発した先願発明
を実施したところ、かなりの効果を得ることができた。
しかし溶銑について高炉内の溶銑貯留部のみを対象とし
ていたのでは、出銑時に溶銑貯留部が漸次低下して行
き、予想される溶銑貯留部該当位置の電極(後述する耐
火性を有する電流良導体を含む)から外れる惧があるこ
とが判明した。このような事態は高炉の稼動期間が長期
に亘り、高炉炉底耐火物の侵食が増大してくるとその事
実が顕著に表れてくる。また、現在稼動中の高炉に本発
明を適用する場合、炉床煉瓦を掘削して電極を配置する
ことは非常に危険がともなう。
【0012】このような事態に対処すべく本発明者ら
は、その現象についてさらなる検討を重ねたところ、現
状の高炉操業下においては、高炉が大型化すると共に高
炉操業技術の向上に伴い出銑量が増大してきており、出
銑については、高炉が有する複数個の出銑口のうち何れ
かが常時開口されている状態にあり、殆ど連続的な出銑
作業を行っていることに着目した。そこで高炉炉内の溶
銑貯留部該当位置に代え、高炉出銑口より出銑する溶銑
を受ける出銑樋の溶銑存在部該当位置に電極を配置すれ
ば、上記した高炉内における溶銑貯留レベルが低下して
も、溶銑存在該当位置に電極を配置することができ、前
記した不都合な状態を回避できることに思い至った。本
発明は、上記のような見解を基にして、簡易な手段によ
り、前述したような従来技術における問題点の解決を図
ったものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
とするところは、下記手段を実施するところにある。 (1) 高炉炉床部のスラグ存在部該当位置に、炉壁煉
瓦内を通して電極を配設し、該電極の先端を炉壁内側近
傍に埋設すると共に、他端を炉壁外側の鉄皮と接続し、
一方高炉出銑口より出銑する溶銑を受ける出銑樋の溶銑
存在部該当位置に電極の先端を配設し、他端を高炉炉体
の鉄皮と直接または間接的に接続し、該電極、溶銑存在
部、スラグ存在部とからなる電気回路を形成したことを
特徴とする高炉における溶銑脱硫装置。 (2) 前記高炉出銑樋の溶銑存在部該当位置に設置す
る電極は、該出銑樋の底部壁または下部側壁の耐火物に
埋設したことを特徴とする(1)記載の高炉における溶
銑脱硫装置。
【0014】(3) 前記高炉出銑樋の溶銑存在部該当
位置に設置する電極は、該出銑樋を跨いで設けた電極保
持体によって吊下支持したことを特徴とする(1)記載
の高炉における溶銑脱硫装置。 (4) 前記高炉出銑樋の溶銑存在部該当位置および高
炉炉床のスラグ存在該当位置の耐火物に埋設した電極の
先端は、壁内側に露出させたことを特徴とする(1)ま
たは(2)記載の高炉における溶銑脱硫装置。 (5) 前記高炉出銑樋の溶銑存在部該当位置および高
炉炉床のスラグ存在該当位置に設置する電極は、溶銑ま
たはスラグと接する先端部に耐火性を有する電流良導体
を取付けたことを特徴とする(1)ないし(3)のいず
れかに記載の高炉における溶銑脱硫装置。
【0015】(6) 前記高炉出銑樋の溶銑存在部該当
位置に設置する電極は、高炉の各出銑口に対応して設け
たことを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかに記
載の高炉における溶銑脱硫装置。 (7) 前記高炉出銑樋の溶銑存在部該当位置に設置す
る電極は、高炉の各出銑口に対応しかつ、溶銑流出方向
に複数個配設したことを特徴とする(1)ないし(6)
のいずれかに記載の高炉における溶銑脱硫装置。 (8) 前記高炉出銑樋および高炉炉壁内側に設置する
耐火性を有する電流良導体として電気比抵抗10-4Ω・
cm以下の耐火性材料を用いることを特徴とする(5)
記載の高炉における溶銑脱硫装置。 (9) 高炉炉床部の最下部に溶銑と接する電極または
電流良導体を設置したことを特徴とする(1)記載の高
炉における溶銑脱硫装置。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について添付図面に
より説明する。図1は本発明の基本的構成を示す要部を
説明する側断面図であり、図2は図1におけるA〜A′
断面拡大図である。図1および図2において、1は高
炉、2は高炉内での溶銑貯留部、3は溶銑貯留部2の上
方に位置するスラグ存在部分、4は炉床部を構成するカ
ーボン煉瓦積み部、5は煉瓦積み部を覆う鉄皮、6bは
前記煉瓦積み4内を通して埋設されている電極で、その
先端7bは、前記カーボン煉瓦4の炉内側近傍にあり、
また他端8bは鉄皮5と接続している。15は高炉出銑
口10より出銑する溶銑を受ける出銑樋11の溶銑存在
部、6aは前記出銑樋11の側壁12耐火物内を通して
埋設されている電極で、その先端7aは、前記出銑樋1
1の耐火物側壁内近傍にあり、また他端8aは高炉鉄皮
5と直接的または間接的に接続している。
【0017】通常高炉の炉頂から装入された鉄鉱石は、
該鉄鉱石と交互に装入されたコークスと、高炉の下部に
設けた羽口から吹き込まれた熱風により加熱されて還元
し、溶銑となって高炉炉床部1の溶銑貯留部2に貯留さ
れ、同時にスラグは、該溶銑貯留部2の溶銑上にスラグ
存在部3として貯留される。しかして、高炉炉床部1の
溶銑貯留部2に貯留された溶銑は、複数個の高炉出銑口
10のうち何れかから順次出銑され、溶銑は殆ど連続的
に溶銑を受ける出銑樋11内を流れている状態にある。
【0018】そこで、本発明では、前記のように高炉炉
床部1の溶銑貯留部2の上方のスラグ存在部分3に該当
する位置の炉壁カーボン煉瓦4に電極6bを配設し、そ
の先端を該カーボン煉瓦4の炉壁内側近傍に埋設させ、
さらに該電極6bの他端8bをカーボン煉瓦4の外側で
炉床部を覆う鉄皮5に接続する。一方高炉出銑樋11の
溶銑存在部分15に該当する位置の側壁内に電極6aを
配設し、その先端を該出銑樋11の側壁12内近傍に埋
設させ、さらに該電極6aの他端8aを該出銑樋11の
耐火物を外側より包み込んでいるケーシング14に接続
する。該ケーシング14は出銑口10近傍において高炉
炉体の鉄皮5に接触している。
【0019】本発明ではこのような構成をとるので、出
銑樋11の溶銑存在部15に導通する電極6a、該溶銑
存在部15を流出する銑鉄、高炉内スラグ存在部分3、
該スラグ存在部3に導通する電極6bによって電気回路
が構成される。このような状態にあっては銑鉄とスラグ
の間で電池が形成されて電流が流れるので、該電流によ
り溶銑貯留部2の銑鉄およびスラグ存在部3のスラグに
それぞれ、前記した電気化学的反応が行われ、スラグお
よびガス間、スラグおよび銑鉄間においてFeOの還元
が行われFeOが低下する。従って、結果的に溶銑中の
脱硫が行われることになる。
【0020】本発明のような構成をとることにより、前
述のアノード反応とカソード反応を起こすことが可能と
なる。このとき、系全体の反応である下記の反応による
起電力は、次式で表すことができる。 FeO(l)+CO(g)=Fe(l)+CO2 (g) ΔGo =−45857+38.82T〔J/mol〕 E=−(ΔGo +RT・In(aFe・PCO2 /(aFeO
・PCO)))/(2F)
【0021】ここで、それぞれの記号は以下を表す。 ΔGo :標準自由エネルギー変化〔J/mol〕 PCO :CO分圧〔atm〕 PCO2 :CO2 分圧〔atm〕 aFe :溶銑中Feの活量〔−〕 aFeO :スラグ中FeOの活量〔−〕 R:気体定数(8,314)〔J/mol/K〕 T:絶対温度〔K〕 F:ファラデー定数(96500)〔C/mol〕 還元反応が起こるとき、上式に従ってスラグと溶銑間に
起電力が生じ、その結果、スラグと溶銑を電気的に短絡
することにより電流が流れる。
【0022】以下本発明を実際の高炉に適用するに当た
っての具体的装置例について説明する。電気回路を形成
させるための電極6の材質としては、高炉炉体のカーボ
ン煉瓦および出銑樋を形成する耐火物と反応しない金
属、または、反応しても安定な炭化物を生成し電気良導
体である金属が用いられる。炉床稼動面の温度を溶銑の
凝固温度である1150℃と考え、この温度でも液相を
生成しない、Cr、Co、Mn、Mo、Nb、Ni、
W、Zr、Ti、Siといった金属単体やこれらの合金
が望ましい。また、電極を稼動面まで差し込まない条件
であれば鉄または鉄合金を用いてもよい。電極の断面形
状は特に限定されないが円形で直径10mm程度でよ
い。
【0023】さらにスラグ存在部については、図3に示
す如く炉床部カーボン煉瓦4に埋設する電極6の数は、
炉周方向に数多く配設する方が電気化学反応領域を増大
させるので好ましい。また高炉炉床全領域で反応が行わ
れる方が望ましいが、高炉炉床部にはスラグ組成に類似
した組成を有する炉芯部が存在し、溶銑はその底部と外
周部に貯留された状態にあり、反応領域が高炉炉壁の内
周面近傍であったとしても、反応領域が狭くその効果が
薄いということはなく、また、炉内の溶銑は種々の外部
からの要因により流動しており、それ程反応領域を限定
的に考える必要はない。
【0024】従って、実操業においては高炉の規模(高
炉炉床径)にもよるが3000m3クラスの高炉であれ
ば4〜12本位が適当で、それ以上増しても脱硫効果の
格段の上昇は望めない。また、炉壁および出銑樋11内
側近傍に臨ませた電極6はその先端を内面に露出させ、
直接溶銑またはスラグと接触させると、電気回路として
は電気抵抗部分が少なくて好ましい。
【0025】スラグ存在部3のスラグと接する電極6b
の取付位置は、スラグ存在部位置のレベルが種々の要因
によって上・下に変動する(例えば出銑および出滓のた
め)ので、高レベルから低レベル位置まで垂直方向で変
動する全領域をカバーしなければならない。そこで通常
の高炉操業において予測される最低レベルと最高レベル
の2本は少なくとも必要とする。その間にも適宜本数の
電極6bを配設するならば、スラグレベルが如何に変動
しようと、何れかの電極6bがスラグ層と接触し、電流
の流れが確保でき、電気化学反応が継続できるので、垂
直方向で3〜6本程度の電極6bを配設すればよい。
【0026】また溶銑に接する電極6aは、高炉出銑樋
11の溶銑存在部15すなわち、溶銑流出部に設ける必
要があり、絶えず溶銑と接触していなければならないの
で、該出銑樋の側壁12下部かまたは、出銑樋底部壁1
3に設置する必要がある。勿論、電極6を配設する出銑
樋11は高炉の各出銑口の数に対応してその数だけ設け
ることは当然のことであり、また電極数は溶銑流出方向
に複数設けた方が何れかの電極6が何らかの障害により
溶銑との接触が妨げられ、電流の流れが不通になる事態
が発生するとも限らないので、好ましい態様である。さ
らに、高炉操業上連続出銑作業を中断することもあるの
で、溶銑に接する電極6aは図3に示したように高炉炉
床部の最低位置にも配設して置くのが望ましい。
【0027】さらにまた、図4に示す如く炉壁内側近傍
および出銑樋の下部側壁または/および底部壁に臨ませ
た電極6は、その先端部と接して耐熱性を有する電流の
良導体9を設置することによって、電極自体の溶損を防
止することができ、電極直前に異物(電流不良導体)が
存在することがあっても、設置された該電流良導体9の
面積が広いので電流の流れには支障をきたさない効果を
有する。この電流良導体9は図示しないが出銑樋11に
おいても下部側壁または底部壁に設置することにより、
同様の効果を得ることができる。この電流良導体9とし
て電気比抵抗が10-4Ω・cm以下の耐熱材料が望まし
く、例えば黒鉛質材料の異方性を利用すれば、層面方向
で5×10-5Ω・cm程度の電流良導体9が可能であ
る。もちろん、前述の電極材質と同じものを用いても構
わない。
【0028】前記電流良導体9を高炉炉床部に設置する
場合は、それぞれ約幅500mm、厚さ20mm、長さ
(深さ)1500mm程度の板状に形成し、この電流良
導体9を高炉炉床部において垂直方向に配設するなら
ば、炉床煉瓦4が溶銑、スラグ等によって浸蝕を受け、
該電流良導体9が同時に溶損してもスラグと接触する適
当な面積は確保できるので好都合である。また、この板
状電流良導体9を水平方向で連結し、炉床内壁に沿って
環状に複数の電極埋設個所を連絡して帯状に設置するな
らば、炉床部に存在するスラグの外周部全領域を覆うこ
とができ、一部の電極が何らかの原因により断線または
電流の流れが不良状態となっても、他の電極でカバーす
ることができるので、電流の流れを保つ意味から有効な
手段となり得る。
【0029】なお、出銑樋11に設置する場合は、前記
電流良導体9の長さを出銑樋11の外殻耐火物の厚みに
応じて短くする必要がある。さらに、出銑樋11におい
ても溶銑存在部15に該当する位置に略水平方向に前記
板状電流良導体9を電極6bに接して設置するならば、
前記と同様の理由で同様の効果を得ることが期待でき
る。
【0030】前記高炉炉床部の煉瓦4に埋設する電極6
は、高炉操業中に高炉外壁側より設置するには、鉄皮5
および煉瓦4への加工(穿孔)を行わなければならず、
該電極の取付位置が溶銑等の高熱物体が存在する部位で
あるため、極めて危険(高熱物体の流出)な作業となる
ので、実際には大きな困難を伴う。従って電極6の配設
は高炉炉床煉瓦築造時または高炉改修煉瓦積みに、予め
配設して置くのが実用的である。
【0031】配設に当たっては煉瓦4への加工を必要と
しないブロック煉瓦間の目地部を利用し、目地に沿って
設置するのが望ましい。なお電極6の取付位置はそのレ
ベルを確保することが大切であり、炉床部煉瓦が溶銑、
溶滓により浸食されても、初期レベルと同一レベルに電
極6が存在するよう考慮する必要がある。
【0032】出銑樋11に電極6aまたは電流良導体9
を設置する場合は、出銑樋11の築造時または改修時に
例えば側壁12の耐火物中に埋設した一端をケーシング
14と接続せしめておけばよく、出銑樋11の改修毎に
その作業を実施する。
【0033】なお、出銑樋11の側壁等への電極6aま
たは電流良導体9の取付けが煩雑となる惧れがあるとき
は、図2に示すような電極保持体17を出銑樋11を跨
いで設け、該電極保持体17から電極6aを吊下し、出
銑樋11を流れる溶銑中に浸漬して溶銑と電極6aとの
接触を図り電気回路を構成することも可能である。この
場合は電極保持体を配設する位置としては、溶銑、溶滓
を分離するスキンマー16の後方の溶滓を取り除いた溶
銑流の方が電極6aが溶滓により溶損されるのを回避す
る意味合から好ましい。電極6aは高炉鉄皮4と直接接
続してもよく、または出銑樋11のケーシング14に接
続し、間接的に鉄皮4と接触せしめてもよい。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
極めて簡単な構成により、高炉操業中絶えず溶銑中の硫
黄含有量の低減化を図ることができ、実用上極めて有効
な脱硫装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要部断面の概要を示す図
【図2】図1のA〜A′断面図
【図3】本発明の高炉炉床部について概要を示す図
【図4】高炉炉床部に電流良導体を用いた場合の例を示
す図
【図5】先願発明の要部の概要を示す図
【符号の説明】
1 高炉の炉床部 2 溶銑貯留部 3 スラグ存在部 4 炉床煉瓦 5 鉄皮 6 電極 7 先端 8 他端 9 耐熱性電流良導体 10 高炉出銑口 11 出銑樋 12 樋側壁 13 樋底壁 14 ケーシング 15 溶銑存在部 16 スキンマー 17 電極保持体

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉炉床部のスラグ存在部該当位置に、
    炉壁煉瓦内を通して電極を配設し、該電極の先端を炉壁
    内側近傍に埋設すると共に、他端を炉壁外側の鉄皮と接
    続し、一方高炉出銑口より出銑する溶銑を受ける出銑樋
    の溶銑存在部該当位置に電極の先端を配設し、他端を高
    炉炉体の鉄皮と直接または間接的に接続し、該電極、溶
    銑存在部、スラグ存在部とからなる電気回路を形成した
    ことを特徴とする高炉における溶銑脱硫装置。
  2. 【請求項2】 前記高炉出銑樋の溶銑存在部該当位置に
    設置する電極は、該出銑樋の底部壁または下部側壁の耐
    火物に埋設したことを特徴とする請求項1記載の高炉に
    おける溶銑脱硫装置。
  3. 【請求項3】 前記高炉出銑樋の溶銑存在部該当位置に
    設置する電極は、該出銑樋を跨いで設けた電極保持体に
    よって吊下支持したことを特徴とする請求項1記載の高
    炉における溶銑脱硫装置。
  4. 【請求項4】 前記高炉出銑樋の溶銑存在部該当位置お
    よび高炉炉床のスラグ存在該当位置の耐火物に埋設した
    電極の先端は、壁内側に露出させたことを特徴とする請
    求項1または請求項2記載の高炉における溶銑脱硫装
    置。
  5. 【請求項5】 前記高炉出銑樋の溶銑存在部該当位置お
    よび高炉炉床のスラグ存在該当位置に設置する電極は、
    溶銑またはスラグと接する先端部に耐火性を有する電流
    良導体を取付けたことを特徴とする請求項1ないし請求
    項3のいずれかに記載の高炉における溶銑脱硫装置。
  6. 【請求項6】 前記高炉出銑樋の溶銑存在部該当位置に
    設置する電極は、高炉の各出銑口に対応して設けたこと
    を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載
    の高炉における溶銑脱硫装置。
  7. 【請求項7】 前記高炉出銑樋の溶銑存在部該当位置に
    設置する電極は、高炉の各出銑口に対応しかつ、溶銑流
    出方向に複数個配設したことを特徴とする請求項1ない
    し請求項6のいずれかに記載の高炉における溶銑脱硫装
    置。
  8. 【請求項8】 前記高炉出銑樋および高炉炉壁内側に設
    置する耐火性を有する電流良導体として電気比抵抗10
    -4Ω・cm以下の耐火性材料を用いることを特徴とする
    請求項5記載の高炉における溶銑脱硫装置。
  9. 【請求項9】 高炉炉床部の最下部に溶銑と接する電極
    または電流良導体を設置したことを特徴とする請求項1
    記載の高炉における溶銑脱硫装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210138721A (ko) * 2019-04-24 2021-11-19 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 용융 금속의 탈황 방법

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