JP4077533B2 - 金属溶解方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属溶解方法に関し、詳しくは鉄、銅、アルミニウム等のスクラップや、地金等の金属原料を酸素あるいは酸素富化空気を支燃性ガスとした酸素バーナーで連続的に溶解し、アーク加熱で保温する金属溶解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属資源のリサイクルに伴うスクラップ金属の溶融には、通常炭素電極を備えた電気炉が使用されているが、電気エネルギーを利用しているため、コストが高いという問題がある。
このため、酸素あるいは、酸素富化空気を支燃性ガスとする酸素バーナーで化石燃料を燃焼させ、その燃焼熱で鉄、銅、アルミニウム等のスクラップや地金を溶解させる溶解炉が開発されている。このような酸素バーナーを利用した溶解炉は、例えば、特開昭56−501810号公報、特開平1−215919号公報、同2−93012号公報、同5−271804号公報、同5−271807号公報等に記載されている。
これらの溶解炉は、酸素バーナーで金属原料を予熱する溶解部に金属原料を予熱する予熱部を備えており、溶解部からの排気熱を予熱部での金属原料の予熱に利用することができ、総合的な燃料の利用効率を向上させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの溶解炉を用いて金属を溶解するには、金属原料を予熱部に装入し、この金属原料が溶解部において溶解されたところで、運転を停止し、溶解部からの溶湯の出湯を行う。
しかし、溶解チャージごとに原料を間欠的に装入して予熱を行う方式では、溶解の進行とともに予熱部内の原料は減少し、予熱効果が低下することになり、燃焼排ガスのエネルギーを十分に利用しているとはいえなかった。
本発明は、必要な時期に1溶解分の溶湯を払い出すという従来の工程を活かしつつ、予熱部内に金属原料を連続的に投入して、予熱部に原料を常に所定量以上充填することが可能で、投入した熱エネルギーを効率よく金属原料の予熱に利用することができ、熱効率の向上、生産性の向上などが図れる金属溶解方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の金属溶解方法は、 金属原料を予熱する予熱部と、該予熱部から降下した金属原料を酸素バーナーの火炎を用いて溶解する溶解部と、該溶解部と前記予熱部の間に溶解部と予熱部よりも小さな内径をもつ縮径部と、前記溶解部から流下した溶湯を保持する保持部と、前記保持部にアークを発生させる加熱手段が設けられ、
前記保持部に溶融スラグ発泡材を投入する発泡材投入口が設けられ、
前記予熱部に前記保持部からのCOガスを燃焼させる酸素または空気を供給する供給口が設けられた金属溶解炉を用い、
前記予熱部に金属原料と造滓材を混合して装入し、前記溶解部でこの金属原料と造滓材を溶解し、生成した溶湯と溶融スラグを前記保持部に流下させ、
前記保持部内に溶融スラグ発泡材を投入して溶融スラグとの反応によりCOガスを発生させ、前記溶湯上に形成された溶融スラグを発泡させ、この発泡スラグ中にアークを形成しつつアーク加熱を行い、
発生したCOガスを前記予熱部に導き、酸素または空気を予熱部に供給して、前記COガスを前記予熱部内で燃焼させることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される金属溶解炉は、溶解部と保持部とを一体に形成し、酸素バーナーの燃焼火炎で鉄原料を溶解し、生成した溶湯を保持部に流すように構成され、保持部ではアーク加熱により溶湯の溶融状態を保持するものである。
この金属溶解炉では、溶解部で生成した溶湯を保持部に流すことにより、予熱部に原料を連続的に導入することが可能となる。そして金属溶解炉の運転中は、予熱部と縮径部に金属原料を、溶解部と保持部に溶湯を常に存在させることができ、溶解部と保持部で生じる熱を金属原料の予熱に効果的に利用できるので、熱効率が向上する。
これに対し、保持部を設置せず溶解部のみで所定量の溶湯を溶製し、溶解部から溶湯を出湯する場合には、予熱部および縮径部内に原料が存在しない時期が生じ、この間予熱部および縮径部での熱回収を行えなくなるので、この分だけ熱損失を生じることになる。
【0006】
さらに、この金属溶解炉における保持部では、加熱効率のよいアーク加熱によって、溶湯の溶解状態を保持する。ここで溶湯の保温にアーク加熱を用いる理由は、酸素バーナーを用いた場合に比べて着熱効率が高いためである。例えば、溶湯面が平面である場合に、酸素バーナーでの溶湯の着熱効率は最大10%であるのに対し、アーク加熱での溶湯の着熱効率は最大30%である。また溶融スラグをフォーミングさせる場合では、酸素バーナーでの溶湯の着熱効率は最大20〜30%であるのに対し、アーク加熱での溶湯の着熱効率は最大60%である。
保持部でのアーク加熱は、通常の電気炉などに用いる場合と同様に、アーク電極を用いて構成すればよい。
また、本発明では、予熱部に金属原料と造滓材を混合して装入し、前記溶解部でこの金属原料と造滓材を溶解し、生成した溶湯と溶融スラグを前記保持部に流下させ、前記保持部内に溶融スラグ発泡材を投入して溶融スラグとの反応によりCOガスを発生させ、前記溶湯上に形成された溶融スラグを発泡させ、この発泡スラグ中にアークを形成しつつアーク加熱を行い、発生したCOガスを前記予熱部に導き、酸素または空気を予熱部に供給して、前記COガスを前記予熱部内で燃焼させる。
これにより、 保持部内で溶融スラグをフォーミングさせ、フォーミングスラグ中でアーク加熱することにより、保持部内でのアーク加熱に使用する電力は、溶融スラグをフォーミングしない場合に比べて減少する。また溶融スラグのフォーミング操作に加えて、予熱部内で前記COガスを二次燃焼した場合には、溶解部のバーナーの重油使用量が減少し、かつ生産性も向上する。
【0007】
以下、本発明を図面を参照してさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の方法を好適に実施するための金属溶解炉の一例を示す縦断面図である。
この溶解炉は、酸素または酸素富化空気を支燃性ガスとした酸素バーナー1…の燃焼熱で、鉄、銅、アルミニウム等のスクラップや地金等の金属原料2…を溶解再生するためのものであって、下部に溶解部3を、上部に予熱部4を一体的に連結し、この溶解部3と予熱部4の間に縮径部5を設け、さらに溶湯の保持目的のためのアーク電極6および出湯口7を備えた保持部8を溶融流路9を介して溶解部3に連設したものである。
【0008】
溶解部3は、その周壁上部3aは縮径部に向けて内径が漸減して傘状面(コーン状面)を形成している。予熱部4はおおむね円筒状に形成されていて、その周壁下部4aは縮径部に向けて内径が漸減してコーン状となっている。また予熱部4の上部開口には排気口10aを有する蓋体10が着脱可能に装着されている。
上記縮径部5は、予熱部4から、溶解部3での原料の溶解につれて溶解部3に降下する金属原料2の降下量を制御するために設けられているもので、溶解部3および予熱部4の内径よりも小さな内径で形成されている。
縮径部5を設けることにより、金属原料2の降下速度を溶解速度とは別個に制御することができる。
すなわち縮径部5がないと金属原料2の降下速度は、溶解部3での溶解速度により一義的に定まってしまうために、いわゆる熱流比の最適化ができず定常操業が困難になる。特に本発明のように連続的に金属原料を溶解する場合には、溶解が比較的長時間にわたり定常的に行われなければならないので、本発明のように縮径部5を設けることはさらに有効である。
ここで溶解部周壁上部3aと予熱部周壁下部4aが垂直に近くなると溶解炉全体の高さが高くなり、また水平に近くなるとデッドスペースを生じて熱効率が低下する。したがって通常は、水平線に対して溶解部周壁上部3aは20〜60度程度、予熱部周壁下部4aは20〜70度程度に設定するのが望ましい。
縮径部に隣接する溶解部周壁上部2aと予熱部周壁下部3aは、縦断面図において直線状となるコーン状面であることが好ましい。これらの部分を断面が弧を描くような曲面で構成することも可能であるが、耐火物を内張して形成する炉の場合は耐火物の内張作業が面倒になる。
【0009】
上記縮径部5の大きさは、炉の処理能力や酸素バーナー1の能力、金属原料2の種類、溶解部3および予熱部4の大きさなどによって適当に設定することが可能であるが、通常は、予熱部4の断面積が縮径部5の断面積の1.4−5倍の範囲になるように設定することが好ましい。予熱部4の断面積を縮径部5の断面積の1.4倍未満とすると、金属原料の降下量が多くなり過ぎて縮径部5を設けた効果が得られにくくなる。逆に予熱部4の断面積が縮径部5の断面積の5倍を越える場合には、金属原料2が落下しにくくなって絞りすぎの傾向となる。
このように、適当な大きさの縮径部5を介して溶解部3の上方に予熱部4を設けられているので、予熱部4から溶解部3に降下する金属原料2の降下量を最適な状態に制御することができ、酸素バーナー1のみで金属原料2の効率よい予熱ができる。
【0010】
酸素バーナー1は、必要な溶解能力に応じて1本ないし複数本が溶解部3周壁に設けられた挿入孔3bに挿入されて設置されており、その取付位置は、溶解部3の大きさなどに応じて炉壁の垂直部あるいは溶解部周壁上部3aの適当な位置に設定することができる。 また、溶解部3内に投入された金属原料2を溶解部3の底部全体で迅速に溶解し、再凝固させずに、溶湯流路9を通して保持部8に溶湯11を流出させることができるように、溶解部3の周囲に複数本の酸素バーナー1…が、その火炎噴出方向を溶解部3の底部に向けて設けられており、図示しない経路から重油や微粉炭等の燃料と支燃性ガスとがそれぞれ導入されるようになっている。さらに酸素バーナー1…には、図示しない制御部が接続されていて、バーナー燃焼量を制御できるようになっている。
なお溶解部3の酸素バーナー1…の燃料としては重油以外の灯油などの液体燃料をはじめとして、プロパン、ブタン等のガス燃料や、微粉炭等の固体燃料を用いることが可能であり、支燃性ガスの酸素も、高純度のものから純度80%以上の比較的低純度のものまで使用することができる。
【0011】
前記保持部8は、溶解部3底面が下方に傾斜して延設された溶湯流路9を介して溶解部3より低い位置に形成されている。このような構成により溶解部3で生成した溶湯11が溶湯流路9を介して自然に落下するようになっている。
保持部8の形状は、一般的な保持炉と同様に、円筒状、方形状等で形成され、保持部底部の出湯口7には該出湯口7を開閉する栓体7aが設けられている。そして保持部5上面からアーク電極6が挿入されている。
アーク電極6としては、通常の電気炉で用いられるものが使用できる。このアーク電極6により、溶解部3から溶湯流路9を介して流入した溶湯11の昇温を行うことができる。さらに、このアーク電極6によって各種成分、例えばカーボン、シリコン、マンガン添加時の熱補償、成分調整時の加熱などをアーク加熱で行うことができる。
さらに、保持部8に発泡材投入口12が設けられている。また、予熱部4の炉壁に、保持部8で発生したガス(主としてCOガス)を燃焼させるための酸素または空気の供給ノ ズル13…が設けられている。
さらに、保持部8の底部あるいは底部近傍にアルゴンガスなどの不活性ガスを吹き込む攪拌用ノズルを設置してもよい(図示せず)。
【0012】
ついで、本発明の金属の溶解方法を説明する。
この溶解方法では、上記構成の金属溶解炉を用いて金属を溶解する。
まず、溶解炉全体の耐火物を保護するために溶解部3の酸素バーナー1…を燃焼させ、耐火物の昇熱が完了次第、酸素バーナー…を消火させるとともに、予熱部4の上部開口から金属原料2を投入する。
この金属原料2を投下した時点で、金属原料2の一部は縮径部5を通過して溶解部3へ落下し、残りは予熱部4に残存するが、予熱部4に残存する金属原料2の容積が、溶解部3へ落下した金属原料2の容積の0.4〜3倍となるようにすることが好ましく、0.5〜2倍となるようにすることがより好ましい。
予熱部4にある金属原料2の容積が溶解部3に降下した金属原料2の容積の0.5倍を下回る場合は、金属原料2の大部分を予熱を経ずに直接溶解させることになり、逆に予熱部4にある金属原料2の容積が溶解部3に降下した金属原料2の容積の2倍を越える場合は、投入した熱エネルギーの大部分が予熱に消費されることになるため、いずれの場合も熱効率が低下する傾向となる。
【0013】
ついで酸素バーナー1…を点火して、溶解部3に降下した金属原料2を溶解するとともに、溶解に伴って生じる高温の排気ガスを縮径部5を通って予熱部4に上昇させ、この熱で予熱部4にある金属原料2を予熱する。ここでさらに縮径部5の存在により、予熱部4から溶解部3への金属原料2の降下速度を、溶解部3での金属原料2の溶解速度に近い値に制御することができるので、金属原料2の予熱および溶解が滞りなく行われる。
この状態で金属原料2の溶解を進行させ、溶湯11が保持部8に流出する段階になった時点で、保持部8のアーク電極6によりアーク加熱を行う。一方予熱部4に所定量の金属原料2が常に充填されるように適宜金属原料2の装入を行う。こうして保持部8に投じた熱エネルギーは、保持部8での溶湯の保温に加えて、溶湯流路9、溶解部3、縮径部5を経由して予熱部4での金属原料2の予熱に利用される。
そして、保持部8内に溶湯11が蓄積された時点で、保持部8内に所定量の溶湯11を残すようにして出湯する。そしてさらに同様の操作を繰り返して、金属溶解を行う。
【0014】
このように、図1に示した金属溶解炉は、前記予熱部4に連続的に原料を装入するとともに溶解部3で溶解した溶湯を連続的に保持部8に流出させ、保持部8からは所定量の溶湯11を間欠的に出湯することができる。これにより保持部8から、溶湯流路9、溶解部3、縮径部5、予熱部4にいたるまで常に適当量の金属原料2または溶湯11が存在する状態を維持できる。
したがって、必要な時期に1溶解分の溶湯11を払い出すという従来の工程を活かしつつ、新しい金属原料2を連続的に予熱して効率的に熱回収を行うことができ、その結果、熱効率がよく生産性のよい金属溶解が実現される。
【0015】
このような金属溶解方法では、保持部5に溶湯流路9を介して流入する溶湯11が、保持部5内に設けられているアーク電極6によりアーク加熱されるとき、このアーク電極6先端は、溶湯11表面の上方にあり、アークの熱エネルギーの損失が問題になる場合がある。
【0016】
そのため、上記発泡材投入ランス12より、溶融スラグと反応してガス(主としてCOガス)を発生させるスラグ発泡材を投入して、保持部8内で溶湯層14と分離してその上面に形成される溶融スラグ層15をフォーミングさせる。
保持部8で溶湯層14の上に生じる溶融スラグ層15をフォーミングすることにより、溶融スラグの見かけ上の体積が増し、少量の溶融スラグでも、アークを覆うことができ、熱損失を低減化することが可能である。
アークを溶融スラグ層15で覆うための方法としては、溶融スラグをフォーミングさせずに溶融スラグそのものの体積を増量させる方法も考えられるが、この方法では、溶融スラグ形成のための造滓材の必要量、およびこれを溶解するための熱エネルギーが増大し、製造コストが上昇するので好ましくない。
【0017】
図1に示した金属溶解炉を用いて、保持部で溶融スラグのフォーミングを行いつつ金属を溶解するには、まず、溶融スラグを発生させるために、金属原料2に石灰(CaO)を主体としたフラックスなどの造滓材(図示せず)を、30〜40重量%程度混合して装入する。以下、金属原料2の予熱から溶解までは、先に説明した通りである。
そして、溶解部3から保持部8に溶湯が流入した時点で、保持部8内に発泡材投入ランス12を介して、炭材などの発泡材を投入する。炭材を投入した場合は、溶融スラグ中の鉄酸化物などの還元成分と炭材とが連続的に反応し、主としてCOガスを発生させる。さらに、保持部8に攪拌用ノズルを設けた場合には、この攪拌用ノズルからアルゴンガスなどの不活性ガスを吹き込む。
こうしてCOガスなどの発生ガスが、溶融スラグをフォーミングさせ、溶融スラグの見かけ上の体積が増すため、少量の溶融スラグでもアークを溶融スラグ層15中に浸漬させることができる。このため、熱交換効率が向上し、溶融スラグ層15を介しての間接的な溶湯の昇温を効率よく行うことができ、保持部8内の溶湯の保温が効率よく行える。
前記炭材としては、粉状、粒状のコークス等を使用することができ、その添加量は溶融金属トン当たり1〜10kgの範囲が適当であり、添加量が少ないと十分なフォーミング状態が得られず、逆に添加量が多すぎると、炭材のコストが上昇することになる。
【0018】
さらに溶融スラグのフォーミングで発生させる高温のCOガスは、保持部8から溶融流路9、溶解部3、縮径部5を通って上昇して、予熱部4に達し、予熱部4内の原料を予熱し、排気口10aから排出されることになる。
しかしながら、この排COガスは多大なガス潜熱を含んでおり、さらに利用可能な熱エネルギーを残したまま、系外に排出していることになる。そこで、この排COガスのガス潜熱を有効に利用するために、予熱部4の炉壁より酸素または空気を供給ノズル13…を介して予熱部4内部に供給して、予熱部内4でCOガスを燃焼(以下、二次燃焼ともいう)させる。
その結果、このCOガス燃焼で生じた熱を、予熱部4内の原料に着熱させることができるので、排COガスの熱エネルギーをさらに有効に回収できるだけでなく、予熱部4内でCOガスを燃焼させることにより、原料に着熱した分、炉耐火物への熱負担が低減することになり、炉構造上も有利となる。ここで予熱部4内へ吹き込む酸素または空気を均一に混合させるためには、これらの供給ノズル13…は、予熱部4の周方向で複数本、高さ方向で複数段設けることが好ましい。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1〜3)
図1に示す構造の溶解炉を用いて鉄(ヘビー屑)を溶解した。溶解炉の溶解部の大きさは全高70cm、内径90cmで、水平面に対して30度の傾斜角度の天井面を有している。この溶解部には重油を燃料とし、純酸素を支燃性ガスとする酸素バーナーを水平面に対して40度の傾斜角で3本配置した。溶解部と保持部間の溶湯流路の断面は20cm角、長さ70cmとした。保持部は全高105cm、内径60cmで、アーク加熱(3相交流)するとともに、底部近傍に高純度アルゴンガスを吹き込む攪拌用ノズルを3本設置した。
【0020】
最初に溶解炉全体の耐火物を保護するために溶解部の酸素バーナーを燃焼させ、耐火物の昇熱が完了次第、バーナーを消火させるとともに予熱部上部の開口から1トンの原料を装入し、保持部にはあらかじめ所定量の溶湯を残した状態で、酸素バーナーを燃焼させて運転を開始した。
溶解部の3本の酸素バーナーには、バーナー1本当たり重油毎時15〜20リットルを供給し、酸素は酸素比が1になるように毎時30〜40Nm3を供給した。溶解が進行し、溶湯が保持部に流出する段階になった時点で保持部のアーク加熱を開始した。さらに保持部の3本の攪拌用ノズルから保持部内の溶湯中に高純度アルゴンガスを合計で毎時約2Nm3の流量で吹き込んだ。
さらに溶解が進行して、予熱部内の装入原料レベルが下がるに従って、予熱部上部から連続的に追加原料を装入した。そして保持部内に約1630℃の溶湯が約1.3トン溜まった時点で、保持部から溶湯を1トン取鍋に出湯し、保持部内に0.3トン残した。この出湯時の溶湯は炭素含有量0.05〜0.12%の低炭素溶鋼の成分であった。また排ガスの温度は、予熱部上部で650℃以下であった。
【0021】
このように金属原料を連続的に溶解し、一定量ずつ繰り返し出湯する運転を行うと、運転開始時から1回目の出湯まで要した時間より、2回目以降からの出湯時間間隔が短縮されるとともに、燃料原単位も低下し、およそ3サイクル以降で出湯間隔時間および燃料原単位がほぼ一定値になった。
【0022】
(実施例2,3)
実施例1と同様にして、酸素バーナーに供給する重油の流量を変化させて溶解に要する時間、燃料原単位、生産性を測定した。その結果を表1に示す。
【0023】
(比較例1〜3)
保持部を設けずに溶解部、予熱部およびその間の縮径部からなる溶解炉を使用してヘビー屑1トンを溶解した。溶解部その他の各部の大きさ、形状は実施例1のものと略同一とした。酸素バーナーは、溶解部に3本設置し、各バーナー当たり毎時25〜35リットルの重油を供給するとともに酸素比が1になるように毎時50〜70Nm3の酸素を供給し、全量を溶解し、約1630℃まで昇温して出湯した。酸素バーナーに供給する重油の流量を変化させて溶解に要する時間、燃料原単位、生産性を測定した。その結果を併せて表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1の結果より、上記構成の保持部を設けた溶解炉(実施例)を用いることにより、保持部を設けない溶解炉(比較例)を用いた場合に比べて、重油使用量が約30%少なくても、同一生産性を得られることがわかる。保持部でのアーク加熱に要する消費熱量は、溶解部と併せた消費熱量全体の1/5以下に過ぎないので、この電力消費を考慮しても、同一の重油使用量において、実施例では比較例に対し生産性が約30%向上していることになる。
【0026】
(実施例4〜6)
保持部内での溶融スラグのフォーミングおよび予熱部内のCOガスの二次燃焼の効果を調べた。溶解炉は実施例1〜3で用いたものと同様な溶解炉を用いた。保持部内の溶湯温度を1630℃に保持し、保持部内に炭材等を添加し、保持部内のスラグをフォーミングさせた場合(実施例4)、このフォーミングに加えてさらに予熱部で二次燃焼を追加した場合(実施例5)、これらの操作を実施しなかった場合(実施例6)について、各バーナーの重油使用量と生産性を比較した。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
保持部内で溶融スラグをフォーミングさせ、フォーミングスラグ中でアーク加熱することにより、保持部内でのアーク加熱に使用する電力は、溶融スラグをフォーミングしない場合に比べて約50%減少していることがわかる。また溶融スラグのフォーミング操作に加えて、予熱部内で排ガスを二次燃焼した場合には、溶解部のバーナーの重油使用量が減少し、かつ生産性も向上していることがわかる。
したがって、保持部内の溶融スラグに炭材等を添加し、スラグをフォーミングさせ、フォーミングされたスラグ中でアーク加熱を行い、かつ予熱部内の排ガスを予熱部内へ酸素または空気により二次燃焼させることにより、溶解部バーナーの燃料使用量の削減および生産性の向上を達成できることがわかる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、必要な時期に1溶解分の溶湯を出湯させるいう従来の工程を活かしつつ、連続的に原料を追加して予熱部に常に金属原料が充填することができるので、効率的な予熱が可能となり、結果として熱効率がよく生産性のよい金属溶解炉および金属溶解方法を提供できる。
また、金属原料の溶解および保持において、生じる高温の排ガスを原料の予熱に効率よく利用することができ、溶解に必要な燃料や酸素の使用量を大幅に削減することができ、生産性の向上も図れる。そして炉の耐火物の消耗や、冷却水、ガスなどの使用原単位の削減も可能になる。また溶解炉本体や集塵機等の排ガス処理装置の容量も少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金属溶解炉の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…酸素バーナー、2…金属原料、3…溶解部、4…予熱部、5…縮径部、6…アーク電極、7…出湯口、8…保持部、9…溶湯流路、11…溶湯、12…発泡材投入口、14…溶湯層、15…溶融スラグ層
Claims (1)
- 金属原料を予熱する予熱部と、該予熱部から降下した金属原料を酸素バーナーの火炎を用いて溶解する溶解部と、該溶解部と前記予熱部の間に溶解部と予熱部よりも小さな内径をもつ縮径部と、前記溶解部から流下した溶湯を保持する保持部と、前記保持部にアークを発生させる加熱手段が設けられ、
前記保持部に溶融スラグ発泡材を投入する発泡材投入口が設けられ、
前記予熱部に前記保持部からのCOガスを燃焼させる酸素または空気を供給する供給口が設けられた金属溶解炉を用い、
前記予熱部に金属原料と造滓材を混合して装入し、前記溶解部でこの金属原料と造滓材を溶解し、生成した溶湯と溶融スラグを前記保持部に流下させ、
前記保持部内に溶融スラグ発泡材を投入して溶融スラグとの反応によりCOガスを発生させ、前記溶湯上に形成された溶融スラグを発泡させ、この発泡スラグ中にアークを形成しつつアーク加熱を行い、
発生したCOガスを前記予熱部に導き、酸素または空気を予熱部に供給して、前記COガスを前記予熱部内で燃焼させることを特徴とする金属溶解方法。
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