JP2020169272A - ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂及びその製造方法並びに成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルムに成形したときの引張弾性率が優れるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂、及びその製造方法、並びに成形品を提供する。【解決手段】実質的に下記式(1)の繰り返し構造からなるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂であって、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を用いて、射出成形により下記ノッチ付き試験片を成形し、180℃、48時間熱処理後の前記ノッチ付き試験片の、ASTM D256に準拠して測定されるアイゾット衝撃値が300J/m以上である。[化1]【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂及びその製造方法並びに成形品に関する。
下記式(1−1)
Figure 2020169272
で示される繰り返し単位を有するポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の成形体は、耐熱性、耐衝撃性、耐溶剤性などに優れている。また、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、一般に、分子量が高くなるほど、得られる成形体の耐熱性及び耐衝撃性が向上することも知られている。
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニルと、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物とを、炭酸カリウムの存在下、非プロトン性極性溶媒中で重合させる方法が特許文献1〜3等に報告されている。
特開2004−107606号公報 特開2004−263154号公報 特表2002−525406号公報
耐熱性、耐衝撃性、耐溶剤性などに優れるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の成形体は、高温雰囲気下で使用される用途への適用が期待される。しかし、従来のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂をフィルムに成形したときの引張弾性率は十分ではなく、フィルムに成形したときの引張弾性率において、より優れるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂が求められている。
本発明の目的は、フィルムに成形したときの引張弾性率が優れるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂、及びその製造方法、並びに成形品を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1] 実質的に下記式(1)の繰り返し構造からなるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂であって、
前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を用いて、射出成形により下記ノッチ付き試験片を成形し、180℃、48時間熱処理後の前記ノッチ付き試験片の、ASTM D256に準拠して測定されるアイゾット衝撃値が300J/m以上である、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂。
Figure 2020169272
〔式中、nは1以上の整数を示す。〕
<ノッチ付き試験片>
長さ :63.5±2.0mm
厚さ :3.2mm
幅 :12.6mm
残り幅:9.9mm
[2] 非プロトン性極性溶媒中、窒素雰囲気下で、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物と4,4’−ジヒドロキシビフェニルとの重縮合反応により、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を製造する方法であって、
前記窒素雰囲気に導入する窒素ガス中の酸素濃度が1000ppm以下である、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法。
[3] 前記[1]に記載のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を含む成形品。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、フィルムに成形したときの引張弾性率に優れる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<<ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂>>
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、実質的に下記式(1)の繰り返し構造からなる。
Figure 2020169272
〔式中、nは1以上の整数を示す。〕
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、例えば、下記式(1−2)、式(1−3)又は式(1−4)で示すことができる。末端がハロゲン原子の下記式(1−2)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−2)は、末端がフェノール性水酸基の下記式(1−3)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−3)や、末端がメトキシ基の下記式(1−4)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−4)よりも、熱分解温度が高く、着色しにくく、熱安定性に優れる。
Figure 2020169272
〔式中、X及びXはそれぞれ独立にハロゲン原子を示し、nは1以上の整数を示す。〕
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を用いて、射出成形により前記ノッチ付き試験片を成形し、180℃、48時間熱処理後の前記ノッチ付き試験片の、ASTM D256に準拠して測定されるアイゾット衝撃値が300J/m以上である。前記アイゾット衝撃値は、後述の<射出成形機によるアイゾット試験片の作製>に記述される方法で作製されたノッチ付き試験片について、180℃のオーブンに入れて48時間放置した後、ASTM D256に準拠して、後述の<射出成形試験片の耐衝撃性試験>によって測定されるものである。
前記アイゾット衝撃値は、重縮合反応において、窒素雰囲気に導入する窒素ガス中の酸素濃度を1000ppm以下に調整することにより、300J/m以上に制御することができる。前記アイゾット衝撃値は、320J/m以上であることが好ましく、340J/m以上であることがより好ましく、380J/m以上であることが特に好ましい。ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、前記アイゾット衝撃値が下限値以上であることにより、フィルムに成形したときの引張弾性率が優れるものとすることができる。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、沸点が100℃以上400℃以下である非プロトン性極性溶媒を含むことが好ましく、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の総質量に対して非プロトン性極性溶媒を10ppm以上2500ppm以下含むことが好ましく、50ppm以上2000ppm以下含むことがより好ましく、100ppm以上1600ppm以下含むことが特に好ましい。これにより、引張弾性率等の機械的強度に優れ、耐衝撃性に優れ、かつ、熱アニールの前後で耐衝撃性の変化が少ない、すなわち、熱老化しにくい成形品を提供可能なポリビフェニルエーテルスルホン樹脂とすることができる。非プロトン性極性溶媒としては、後述する例を挙げることができる。また、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られるプレスフィルムの引張強度を高める観点から、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の総質量に対して非プロトン性極性溶媒の含有量を1600ppm以下とすることが好ましく、100ppm以上1600ppm以下がより好ましく、500ppm以上1500ppm以下がさらに好ましい。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の還元粘度(RV)は、0.35以上0.65以下が好ましく、0.40以上0.60以下がより好ましく、0.45以上0.55以下が特に好ましい。前記下限値以上であることで、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を用いて得られる成形品の機械的強度を優れるものとすることができ、前記上限値以下であることにより、成形加工性の好ましいものとすることができる。ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の還元粘度(RV)は、後述する方法により測定することができる。
<<ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法>>
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法は、非プロトン性極性溶媒中、窒素雰囲気下で、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物と4,4’−ジヒドロキシビフェニルとの重縮合反応により、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を製造する方法である。
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法に用いられる4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物は、下記式(2)で示される化合物である。
Figure 2020169272
〔式中、XおよびXはそれぞれ独立にハロゲン原子を示す。〕
式(2)中、XおよびXで示されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。かかる4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物としては、例えば4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジブロモジフェニルスルホンなどが挙げられる。
本発明に用いられる4,4’−ジヒドロキシビフェニルは、式(3)で示される化合物である。
Figure 2020169272
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法は、例えば、アルカリ金属炭酸塩を用いて、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)を過剰として重縮合したとき、下記反応式(4)で示すことができる。
Figure 2020169272
〔式中、XおよびXは前記と同じ意味を示し、Mはアルカリ金属を表し、nは1以上の整数を示す。〕
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法においては、前記窒素雰囲気に導入する窒素ガス中の酸素濃度が1000ppm以下である。前記酸素濃度は800ppm以下であることが好ましく、600ppm以下であることがより好ましく、400ppm以下であることが特に好ましい。前記酸素濃度が前記上限値以下であることにより、得られるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂中に、副生成物を生じるおそれが低くなり、結果、フィルムに成形したときの引張弾性率が優れるものとなると考えられる。
前記酸素濃度の下限については特に限定はないが、150ppmであってもよく、100ppmであってもよく、80ppmであってもよい。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法においては、前記重縮合反応により得られるべきポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の計算上の質量A、及び前記非プロトン性極性溶媒の仕込み質量Bが、下記式(5)を満たすことが好ましい。
35≦A×100/(A+B)≦52 (5)
4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の仕込みモル数が4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)の仕込みモル数以上の場合、前記重縮合反応により得られる、前記式(1−2)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−2)の計算上の質量Aは、前記反応式(4)において、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の仕込み質量と、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)の仕込み質量との和から、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)の仕込み質量の2倍のモル数に相当するハロゲン化水素(HX、HX)の質量を差し引いた量として求めることができる。
4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の仕込みモル数が4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)の仕込みモル数未満の場合、前記反応式(4)と同様な重縮合反応により、前記式(1−3)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−3)が得られる。更に、当該ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−3)にハロゲン化メチルを反応させて、前記式(1−4)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−4)が得られる。前記重縮合反応により得られる、前記式(1−3)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−3)及び前記式(1−4)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−4)の計算上の質量Aは、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の仕込み質量と、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)の仕込み質量との和から、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の仕込み質量の2倍のモル数に相当するハロゲン化水素(HX、HX)の質量を差し引いた量として求めることができる。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法において、[A×100÷(A+B)]で規定される重合濃度は、35%以上52%以下であることが好ましい。前記重合濃度は、47%以下が好ましく、46%以下がより好ましい。重合濃度が前記上限値以下であることにより、熱アニールの前後で耐衝撃性の低下が少ないポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の成形品とすることができる。前記重合濃度は、37%以上が好ましく、39%以上がより好ましく、41%以上が特に好ましい。重合濃度が前記下限値以上であることにより、短時間で効率よく重縮合反応をさせることができる。
前記重縮合反応は、非プロトン性極性溶媒中で行われるものの、均一系の反応ではなくスラリーの状態での反応である。そのため、反応生成物のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂のポリマー分子間の構造は、[A×100÷(A+B)]で規定される重合濃度が異なると、質量平均分子量Mw及び多分散度Mw/Mnが同じであっても、ポリマー分子の絡み合いが異なるものができると考えられる。そして、耐衝撃性に優れ、かつ、熱アニールの前後で耐衝撃性の変化が少ない、すなわち、熱老化しにくい成形品を提供可能なポリビフェニルエーテルスルホン樹脂とすることができると考えられる。
4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の使用量としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)1モルに対して、通常、0.95〜1.05モル倍、好ましくは0.96〜0.98または1.02〜1.04モル倍程度である。0.95倍以上1.05モル倍以下であると、得られるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の分子量が高くなる傾向にあることから好ましい。
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法においては、塩基触媒として、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩を用いることができる。例えば、アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられ、アルカリ金属重炭酸塩としては、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられ、通常は炭酸カリウムが用いられる。
また、塩基触媒には、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩の粉末を使用することが好ましい。
アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩の使用量は、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)1モルに対し、通常、1モル倍以上1.2モル倍以下であるが、1.01モル倍以上1.15モル倍以下であってもよく、1.02モル倍以上1.15モル倍以下であってもよい。
本発明で用いられる非プロトン性極性溶媒としては、スルホン系溶媒、アミド系溶媒やラクトン系溶媒、スルホキシド系溶媒、有機リン系溶媒、セロソルブ系溶媒等が挙げられる。スルホン系溶媒としては、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン等が挙げられる。アミド系溶媒としては、N、N−ジメチルアセトアミド、N-メチル−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジエチルホルムアミド、N、N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、ジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。ラクトン系溶媒としては、γ−ブチルラクトン、β−ブチルラクトン等が挙げられる。スルホキシド系溶媒としては、ジメチルスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド等が挙げられる。有機リン系溶媒としては、テトラメチルホスホリックアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等が挙げられる。セロソルブ系溶媒としては、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等が挙げられる。
本発明で用いられる非プロトン性極性溶媒としては、スルホン系溶媒が好ましく、ジフェニルスルホンがより好ましい。
重縮合反応の温度は、180℃〜300℃が好ましく、240℃〜300℃がより好ましい。240℃以上では、重合の反応速度が向上する傾向にあることから好ましく、また、300℃以下であると、得られるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の分子量分散が低下する傾向にあることから好ましい。重縮合反応の所要時間としては、通常、3〜20時間程度であり、生産効率の向上およびポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の熱アニール後の耐衝撃性の変化を抑制する観点から、5〜10時間であることが好ましい。
かくして重縮合反応が進行するが、反応後の反応混合物からポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得るには、例えば反応後の反応混合物を固化し、粉末としたのち、溶媒で洗浄すればよい。反応後の反応混合物を固化するには、冷却すればよく、室温程度まで冷却することで固化することができる。固化した反応混合物を粉末とするには、反応混合物を粉砕すればよい。洗浄に用いる溶媒としては、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を溶解することなく、重合にて生成するアルカリ金属ハロゲン化物などのアルカリ金属塩、及び非プロトン性極性溶媒を溶解し得る溶媒が用いられ、例えば水や、アセトン、メチルエチルケトンなどの脂肪族ケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの脂肪族アルコール又はこれらの混合溶媒などを用いることができる。
<<成形品>>
本発明の成形品は、前記本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を含む。本発明の成形品の形状は、パウダー形状であってもよく、ペレット形状であってもよく、フィルム又はシートであってもよく、押し出し成形された長尺の成形品であってもよく、射出成形品であってもよい。前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を、例えば、熱プレスすることでフィルム又はシートとして得ることができ、押し出し成形することで長尺の成形品として得ることができ、T−ダイ成形することでフィルムを成形することができ、ブロー成形することで各種の容器類、建材、スポーツ用品等の中空品を成形することができ、射出成形することで射出成形品として得ることができる。射出成形品は、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を、例えば、金型温度を120〜180℃で、樹脂の溶融温度を330〜380℃で、一般的な射出成形機を用いて射出成形して製造することができる。本発明の成形品は、前記本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を用いているので、機械的強度、特に、引張弾性率において、優れるものとすることができる。
(射出成形試験片のアイゾット衝撃値)
本発明の成形品として、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から、後述の<射出成形機によるアイゾット試験片の作製>に記述される方法で作製されたノッチ付き試験片(以下、射出成形試験片と称する)のアイゾット衝撃値を、400〜1800J/mとすることができ、450〜1500J/mとすることができ、500〜1300J/mとすることができ、560〜1000J/mとすることができる。
本発明の成形品として、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から、後述の<射出成形機によるアイゾット試験片の作製>に記述される方法で作製されたノッチ付き試験片(すなわち、射出成形試験片)を、180℃のオーブンに入れて48時間放置の熱アニール後のアイゾット衝撃値は、300〜750J/mであってもよく、310〜700J/mであることが好ましく、320〜650J/mであることがより好ましく、330〜600J/mであることが特に好ましい。
本発明の成形品として、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から、後述の<射出成形機によるアイゾット試験片の作製>に記述される方法で作製されたノッチ付き試験片(すなわち、射出成形試験片)を、180℃のオーブンに入れて72時間放置の熱アニール後のアイゾット衝撃値は、250〜750J/mであってもよく、280〜700J/mであることが好ましく、300〜650J/mであることがより好ましく、330〜600J/mであることが特に好ましい。
射出成形試験片のアイゾット衝撃値[J/m]は、後述の<射出成形機によるアイゾット試験片の作製>に記述される方法で作製された63.5±2.0mm、厚さ3.2mm 、幅12.6mm、残り幅9.9mm 、中央部に先端半径0.25mm、深さ2.7mmのノッチを有する試験片について、ASTM D256に準拠して、後述の<射出成形試験片の耐衝撃性試験>によって測定されるものである。
(プレス成形試験片のアイゾット衝撃値)
本発明の成形品として、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られるプレス成形試験片のアイゾット衝撃値を、200〜2000J/mとすることができ、400〜1700J/mとすることができ、600〜1500J/mとすることができ、900〜1300J/mとすることができる。
本発明の成形品として、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られるプレス成形試験片を、180℃のオーブンに入れて48時間放置の熱アニール後のアイゾット衝撃値も、200〜2000J/mとすることができ、400〜1700J/mとすることができ、600〜1500J/mとすることができ、900〜1300J/mとすることができる。
プレス成形試験片のアイゾット衝撃値[J/m]は、後述の<プレス成形によるアイゾット試験片の作製>に記述される方法で作製された長さ70mm、幅15mm、残り幅12.5mm 、厚さ2.8mm 、先端半径0.25mm、深さ2.5mmのノッチを有する試験片について、ASTM D256に準拠して、後述の<プレス成形試験片の耐衝撃性試験>によって測定されるものである。
(プレスフィルムの引張弾性率)
本発明の成形品として、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られるプレスフィルムの引張弾性率として、1.5〜4.5GPaとすることができ、1.8〜3.5GPaとすることができ、2.1〜2.5GPaとすることができる。本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂をフィルムに成形したときの引張弾性率が優れる。
また、本願発明の成形品として、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られるプレスフィルムの引張強度として、70〜90MPaとすることができ、70〜80MPaとすることができる。本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂をフィルムに成形したときの引張強度を高い値で維持することができる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の還元粘度(RV)の算出>
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂約1gをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、その容量を1dLとした。このポリビフェニルエーテルスルホン樹脂溶液を300メッシュの金網でろ過した。オストワルド型粘度管を用いて、この樹脂溶液の流下時間(t)を、25℃で測定した。また、同じオストワルド型粘度管を用いて、溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミドの流下時間(t0)を、25℃で測定した。樹脂溶液の流下時間(t)と、N,N−ジメチルホルムアミドの流下時間(t0)とから、下式に基づいて比粘性率(ηr)を算出した。この比粘性率(ηr)を、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の濃度(c)(単位:g/dL)で割ることにより、芳香族ポリスルホンの還元粘度(RV)、(単位:dL/g)を算出した。
ηr=(η−η0)/η0
RV=ηr/c
<残留ジフェニルスルホン量の測定>
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂約1gを精秤し、アセトン:メタノール=6mL:4mLの混合溶媒に加えた。1時間室温で撹拌して樹脂粒子中のジフェニルスルホンを混合溶媒に抽出し、混合溶媒中のジフェニルスルホンをガスクロマトグラフにて定量した。
<射出成形機によるアイゾット試験片の作製>
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を、2軸押出機(PCM30,(株)池貝)を用いて、シリンダー温度360℃で造粒し、目的組成物からなるペレットを作製した。得られたペレットを、射出成形機(PS40E5ASE,日精樹脂工業(株))を用い、シリンダー温度375℃、金型温度150℃、射出速度60mm/秒の条件において射出成形をすることで、長さ63.2mm、厚さ3.2mm 、幅12.6mm、残り幅9.9mm 、中央部に先端半径0.25mm、深さ2.7mmのノッチを有する試験片(以下、射出成形試験片と称する)を成形した。
<射出成形試験片の耐衝撃性試験>
射出成形試験片を用いて、アイゾット衝撃値[J/m]を測定した。
さらに射出成形試験片を180℃のオーブンに入れて48時間放置したもの、72時間放置したものを準備し、これらを熱アニール後の射出成形試験片として、同じく、ASTM D256に準拠してアイゾット衝撃値[J/m]を測定した。なお、測定はそれぞれ5サンプルについて行い、平均値をアイゾット衝撃値として求めた。このとき、5サンプルのうち、脆性破壊したものの数を記録した。
<プレス成形によるアイゾット試験片の作製>
測定対象のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を厚さ3mmのSUS製のスペーサーの空隙部分に配置して、一対のアルミニウム製平板で挟んだ。さらに、全体を一対の鋼製平板で挟んで、熱プレス機にて、305℃で13分間予熱した後、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂が融着し、SUS製スペーサーと同じ厚さにするのに十分な圧力で、2分間加熱圧縮した。次いで、25℃に設定した冷却プレス機にて冷却することにより、厚さ2.8mmの板として得た。得られた成形板を長さ70mm、幅15mm、残り幅12.5mm 、厚さ2.8mm 、先端半径0.25mm、深さ2.5mmのノッチを有する試験片(以下、プレス成形試験片と称する)に切削した。
<プレス成形試験片の耐衝撃性試験>
プレス成形試験片を用いて、ASTM D256に準拠してアイゾット衝撃値[J/m]を測定した。さらにプレス成形試験片を180℃のオーブンに入れて48時間放置し、これを熱アニール後のプレス成形試験片として、同じく、ASTM D256に準拠してアイゾット衝撃値[J/m]を測定した。なお、測定はそれぞれ3サンプルについて行い、平均値をアイゾット衝撃値として求めた。
<プレスフィルムの作製>
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂及びアルミニウム製スペーサーを一対のアルミニウム製平板で挟んだ。さらに、全体を一対の鋼製平板で挟んで、熱プレス機にて、305℃で13分間予熱した後、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂が融着し、アルミニウム製スペーサーと同じ厚さにするのに十分な圧力で、2分間加熱圧縮した。次いで、25℃に設定した冷却プレス機にて冷却することにより、厚さ約0.2mmのプレスフィルムとしての成形品を作製した。
<プレスフィルムの引張試験>
JIS K7127(プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法)に準拠し、ダンベル型試験片を用い、試験速度5mm/分で行った。上述のプレスフィルムとしての成形品の23℃、湿度50%の雰囲気下における、引張弾性率(単位:GPa)、引張強度(MPa)を測定した。なお、測定はそれぞれ3または2サンプルについて行い、平均値を求めた。
<ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造>
[実施例1]
撹拌機、窒素導入管、温度計、及び先端に受器を付したコンデンサーを備えた重合槽内で、ビフェノール100.0質量部(1モル比)、ビス(4−クロロフェニル)スルホン157.3質量部(1.020モル比)、及びジフェニルスルホン304.0質量部を混合し、系内に酸素濃度100ppmの窒素ガスを流しながら180℃まで昇温した。得られた混合溶液に、炭酸カリウム77.9質量部(1.050モル比)を添加した後、290℃まで徐々に昇温し、290℃でさらに3.5時間反応させた。重合濃度は、42%であった。次いで、得られた反応混合溶液を、室温まで冷却して固化させ、細かく粉砕した後、温水及び、アセトンとメタノールとの混合溶媒を用いて、デカンテーション及びろ過することで数回洗浄した。得られた固体を、150℃で加熱乾燥させることで、実施例1のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。
実施例1のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を用いて上述の方法で射出成形試験片を作製し、上述の方法で射出成形試験片の耐衝撃性試験を実施した。また、実施例1のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を用いて上述の方法でプレスフィルムを作製し、プレスフィルムの引張試験を実施した。表2に、射出成形試験片の耐衝撃性試験、及びプレスフィルムの引張試験の測定結果を示す。
[実施例2]
ビス(4−クロロフェニル)スルホンを159.4質量部(1.034モル比)、ジフェニルスルホン307.8質量部、重合濃度42%、290℃での反応時間が8時間であること以外は、実施例1と同様の条件で、実施例2のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。表2に、射出成形試験片の耐衝撃性試験、及びプレスフィルムの引張試験の測定結果を示す。
[実施例3]
ジフェニルスルホンを260.8質量部、重合濃度46%、290℃での反応時間が7時間であること以外は、実施例1と同様の条件で、実施例3のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。表2に、射出成形試験片の耐衝撃性試験、及びプレスフィルムの引張試験の測定結果を示す。
[実施例4]
酸素濃度600ppmの窒素ガスを用い、ジフェニルスルホンを260.8質量部、重合濃度46%、290℃での反応時間が7時間であること以外は、実施例1と同様の条件で、実施例4のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、重残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。表2に、射出成形試験片の耐衝撃性試験、及びプレスフィルムの引張試験の測定結果を示す。
[比較例1]
撹拌機、窒素導入管、温度計、及び先端に受器を付したコンデンサーを備えた重合槽内で、ビフェノール100.0質量部(1モル比)、ビス(4−クロロフェニル)スルホン157.3質量部(1.020モル比)、及びジフェニルスルホン260.8質量部を混合し、系内に酸素濃度2300ppmの窒素ガスを流しながら180℃まで昇温した。得られた混合溶液に、炭酸カリウム77.9質量部(1.050モル比)を添加した後、290℃まで徐々に昇温し、290℃でさらに6時間反応させた。重合濃度は46%であった。次いで、得られた反応混合溶液を、室温まで冷却して固化させ、細かく粉砕した後、温水及び、アセトンとメタノールとの混合溶媒を用いて、デカンテーション及びろ過することで数回洗浄した。得られた固体を、150℃で加熱乾燥させることで、比較例1のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。表2に、射出成形試験片の耐衝撃性試験、及びプレスフィルムの引張試験の測定結果を示す。
[比較例2]
撹拌機、窒素導入管、温度計、及び先端に受器を付したコンデンサーを備えた重合槽内で、ビフェノール100.0質量部(1モル比)、ビス(4−クロロフェニル)スルホン159.0質量部(1.031モル比)、及びジフェニルスルホン308.5質量部を混合し、系内に酸素濃度6400ppmの窒素ガスを流しながら180℃まで昇温した。得られた混合溶液に、炭酸カリウム76.4質量部(1.029モル比)を添加した後、290℃まで徐々に昇温し、290℃でさらに4.5時間反応させた。重合濃度は42%であった。次いで、得られた反応混合溶液を、室温まで冷却して固化させ、細かく粉砕した後、温水及び、アセトンとメタノールとの混合溶媒を用いて、デカンテーション及びろ過することで数回洗浄した。得られた固体を、150℃で加熱乾燥させることで、比較例2のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。
[比較例3]
ジフェニルスルホンを308.9質量部、炭酸カリウムを76.1質量部(1.025モル比)、重合濃度42%、290℃での反応時間が4時間であること以外は、比較例2と同様の条件で、比較例3のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。
Figure 2020169272
Figure 2020169272
窒素雰囲気に導入する窒素ガス中の酸素濃度が1000ppmを超える条件で製造した、比較例のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、熱アニール前の試験片では、プレス成形試験片においても、射出成形試験片においても、実施例のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂と同程度の耐衝撃性を有するにも拘らず、熱アニール後の試験片では、実施例のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂に比べて耐衝撃性が劣り、熱アニール後は、耐衝撃性の著しい低下が認められ、フィルムに成形したときの引張弾性率は劣るものであった。
これに対して、窒素雰囲気に導入する窒素ガス中の酸素濃度が1000ppm以下の条件で製造した、実施例1〜4のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、射出成形によりノッチ付き試験片を成形し、180℃、48時間熱処理後の前記ノッチ付き試験片の、ASTM D256に準拠して測定されるアイゾット衝撃値が300J/m以上であり、それらのポリビフェニルエーテルスルホン樹脂をフィルムに成形したときの引張弾性率は、非常に優れるものであった。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られる成形品は、耐衝撃性に優れ、かつ、熱アニールの前後で耐衝撃性の変化が少ない、すなわち、熱老化しにくいものであり、かつ、フィルムに成形したときの引張弾性率が、非常に優れるものである。かかる成形品は、電気・電子材料、自動車部品、医療材料、耐熱塗料、分離膜、樹脂継手など幅広い用途、特に、高温雰囲気下での使用が想定される様々な用途への利用が期待できる。

Claims (3)

  1. 実質的に下記式(1)の繰り返し構造からなるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂であって、
    前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を用いて、射出成形により下記ノッチ付き試験片を成形し、180℃、48時間熱処理後の前記ノッチ付き試験片の、ASTM D256に準拠して測定されるアイゾット衝撃値が300J/m以上である、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂。
    Figure 2020169272
    〔式中、nは1以上の整数を示す。〕
    <ノッチ付き試験片>
    長さ :63.5±2.0mm
    厚さ :3.2mm
    幅 :12.6mm
    残り幅:9.9mm
  2. 非プロトン性極性溶媒中、窒素雰囲気下で、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物と4,4’−ジヒドロキシビフェニルとの重縮合反応により、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を製造する方法であって、
    前記窒素雰囲気に導入する窒素ガス中の酸素濃度が1000ppm以下である、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法。
  3. 請求項1に記載のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を含む成形品。
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