JP2020169272A - ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂及びその製造方法並びに成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 実質的に下記式(1)の繰り返し構造からなるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂であって、
前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を用いて、射出成形により下記ノッチ付き試験片を成形し、180℃、48時間熱処理後の前記ノッチ付き試験片の、ASTM D256に準拠して測定されるアイゾット衝撃値が300J/m以上である、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂。
<ノッチ付き試験片>
長さ :63.5±2.0mm
厚さ :3.2mm
幅 :12.6mm
残り幅:9.9mm
前記窒素雰囲気に導入する窒素ガス中の酸素濃度が1000ppm以下である、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法。
[3] 前記[1]に記載のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を含む成形品。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、実質的に下記式(1)の繰り返し構造からなる。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法は、非プロトン性極性溶媒中、窒素雰囲気下で、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物と4,4’−ジヒドロキシビフェニルとの重縮合反応により、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を製造する方法である。
35≦A×100/(A+B)≦52 (5)
アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩の使用量は、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)1モルに対し、通常、1モル倍以上1.2モル倍以下であるが、1.01モル倍以上1.15モル倍以下であってもよく、1.02モル倍以上1.15モル倍以下であってもよい。
本発明で用いられる非プロトン性極性溶媒としては、スルホン系溶媒が好ましく、ジフェニルスルホンがより好ましい。
本発明の成形品は、前記本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を含む。本発明の成形品の形状は、パウダー形状であってもよく、ペレット形状であってもよく、フィルム又はシートであってもよく、押し出し成形された長尺の成形品であってもよく、射出成形品であってもよい。前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を、例えば、熱プレスすることでフィルム又はシートとして得ることができ、押し出し成形することで長尺の成形品として得ることができ、T−ダイ成形することでフィルムを成形することができ、ブロー成形することで各種の容器類、建材、スポーツ用品等の中空品を成形することができ、射出成形することで射出成形品として得ることができる。射出成形品は、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を、例えば、金型温度を120〜180℃で、樹脂の溶融温度を330〜380℃で、一般的な射出成形機を用いて射出成形して製造することができる。本発明の成形品は、前記本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を用いているので、機械的強度、特に、引張弾性率において、優れるものとすることができる。
本発明の成形品として、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から、後述の<射出成形機によるアイゾット試験片の作製>に記述される方法で作製されたノッチ付き試験片(以下、射出成形試験片と称する)のアイゾット衝撃値を、400〜1800J/mとすることができ、450〜1500J/mとすることができ、500〜1300J/mとすることができ、560〜1000J/mとすることができる。
本発明の成形品として、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られるプレス成形試験片のアイゾット衝撃値を、200〜2000J/mとすることができ、400〜1700J/mとすることができ、600〜1500J/mとすることができ、900〜1300J/mとすることができる。
本発明の成形品として、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られるプレスフィルムの引張弾性率として、1.5〜4.5GPaとすることができ、1.8〜3.5GPaとすることができ、2.1〜2.5GPaとすることができる。本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂をフィルムに成形したときの引張弾性率が優れる。
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂約1gをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、その容量を1dLとした。このポリビフェニルエーテルスルホン樹脂溶液を300メッシュの金網でろ過した。オストワルド型粘度管を用いて、この樹脂溶液の流下時間(t)を、25℃で測定した。また、同じオストワルド型粘度管を用いて、溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミドの流下時間(t0)を、25℃で測定した。樹脂溶液の流下時間(t)と、N,N−ジメチルホルムアミドの流下時間(t0)とから、下式に基づいて比粘性率(ηr)を算出した。この比粘性率(ηr)を、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の濃度(c)(単位:g/dL)で割ることにより、芳香族ポリスルホンの還元粘度(RV)、(単位:dL/g)を算出した。
ηr=(η−η0)/η0
RV=ηr/c
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂約1gを精秤し、アセトン:メタノール=6mL:4mLの混合溶媒に加えた。1時間室温で撹拌して樹脂粒子中のジフェニルスルホンを混合溶媒に抽出し、混合溶媒中のジフェニルスルホンをガスクロマトグラフにて定量した。
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を、2軸押出機(PCM30,(株)池貝)を用いて、シリンダー温度360℃で造粒し、目的組成物からなるペレットを作製した。得られたペレットを、射出成形機(PS40E5ASE,日精樹脂工業(株))を用い、シリンダー温度375℃、金型温度150℃、射出速度60mm/秒の条件において射出成形をすることで、長さ63.2mm、厚さ3.2mm 、幅12.6mm、残り幅9.9mm 、中央部に先端半径0.25mm、深さ2.7mmのノッチを有する試験片(以下、射出成形試験片と称する)を成形した。
射出成形試験片を用いて、アイゾット衝撃値[J/m]を測定した。
さらに射出成形試験片を180℃のオーブンに入れて48時間放置したもの、72時間放置したものを準備し、これらを熱アニール後の射出成形試験片として、同じく、ASTM D256に準拠してアイゾット衝撃値[J/m]を測定した。なお、測定はそれぞれ5サンプルについて行い、平均値をアイゾット衝撃値として求めた。このとき、5サンプルのうち、脆性破壊したものの数を記録した。
測定対象のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を厚さ3mmのSUS製のスペーサーの空隙部分に配置して、一対のアルミニウム製平板で挟んだ。さらに、全体を一対の鋼製平板で挟んで、熱プレス機にて、305℃で13分間予熱した後、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂が融着し、SUS製スペーサーと同じ厚さにするのに十分な圧力で、2分間加熱圧縮した。次いで、25℃に設定した冷却プレス機にて冷却することにより、厚さ2.8mmの板として得た。得られた成形板を長さ70mm、幅15mm、残り幅12.5mm 、厚さ2.8mm 、先端半径0.25mm、深さ2.5mmのノッチを有する試験片(以下、プレス成形試験片と称する)に切削した。
プレス成形試験片を用いて、ASTM D256に準拠してアイゾット衝撃値[J/m]を測定した。さらにプレス成形試験片を180℃のオーブンに入れて48時間放置し、これを熱アニール後のプレス成形試験片として、同じく、ASTM D256に準拠してアイゾット衝撃値[J/m]を測定した。なお、測定はそれぞれ3サンプルについて行い、平均値をアイゾット衝撃値として求めた。
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂及びアルミニウム製スペーサーを一対のアルミニウム製平板で挟んだ。さらに、全体を一対の鋼製平板で挟んで、熱プレス機にて、305℃で13分間予熱した後、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂が融着し、アルミニウム製スペーサーと同じ厚さにするのに十分な圧力で、2分間加熱圧縮した。次いで、25℃に設定した冷却プレス機にて冷却することにより、厚さ約0.2mmのプレスフィルムとしての成形品を作製した。
JIS K7127(プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法)に準拠し、ダンベル型試験片を用い、試験速度5mm/分で行った。上述のプレスフィルムとしての成形品の23℃、湿度50%の雰囲気下における、引張弾性率(単位:GPa)、引張強度(MPa)を測定した。なお、測定はそれぞれ3または2サンプルについて行い、平均値を求めた。
[実施例1]
撹拌機、窒素導入管、温度計、及び先端に受器を付したコンデンサーを備えた重合槽内で、ビフェノール100.0質量部(1モル比)、ビス(4−クロロフェニル)スルホン157.3質量部(1.020モル比)、及びジフェニルスルホン304.0質量部を混合し、系内に酸素濃度100ppmの窒素ガスを流しながら180℃まで昇温した。得られた混合溶液に、炭酸カリウム77.9質量部(1.050モル比)を添加した後、290℃まで徐々に昇温し、290℃でさらに3.5時間反応させた。重合濃度は、42%であった。次いで、得られた反応混合溶液を、室温まで冷却して固化させ、細かく粉砕した後、温水及び、アセトンとメタノールとの混合溶媒を用いて、デカンテーション及びろ過することで数回洗浄した。得られた固体を、150℃で加熱乾燥させることで、実施例1のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。
ビス(4−クロロフェニル)スルホンを159.4質量部(1.034モル比)、ジフェニルスルホン307.8質量部、重合濃度42%、290℃での反応時間が8時間であること以外は、実施例1と同様の条件で、実施例2のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。表2に、射出成形試験片の耐衝撃性試験、及びプレスフィルムの引張試験の測定結果を示す。
ジフェニルスルホンを260.8質量部、重合濃度46%、290℃での反応時間が7時間であること以外は、実施例1と同様の条件で、実施例3のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。表2に、射出成形試験片の耐衝撃性試験、及びプレスフィルムの引張試験の測定結果を示す。
酸素濃度600ppmの窒素ガスを用い、ジフェニルスルホンを260.8質量部、重合濃度46%、290℃での反応時間が7時間であること以外は、実施例1と同様の条件で、実施例4のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、重残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。表2に、射出成形試験片の耐衝撃性試験、及びプレスフィルムの引張試験の測定結果を示す。
撹拌機、窒素導入管、温度計、及び先端に受器を付したコンデンサーを備えた重合槽内で、ビフェノール100.0質量部(1モル比)、ビス(4−クロロフェニル)スルホン157.3質量部(1.020モル比)、及びジフェニルスルホン260.8質量部を混合し、系内に酸素濃度2300ppmの窒素ガスを流しながら180℃まで昇温した。得られた混合溶液に、炭酸カリウム77.9質量部(1.050モル比)を添加した後、290℃まで徐々に昇温し、290℃でさらに6時間反応させた。重合濃度は46%であった。次いで、得られた反応混合溶液を、室温まで冷却して固化させ、細かく粉砕した後、温水及び、アセトンとメタノールとの混合溶媒を用いて、デカンテーション及びろ過することで数回洗浄した。得られた固体を、150℃で加熱乾燥させることで、比較例1のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。表2に、射出成形試験片の耐衝撃性試験、及びプレスフィルムの引張試験の測定結果を示す。
撹拌機、窒素導入管、温度計、及び先端に受器を付したコンデンサーを備えた重合槽内で、ビフェノール100.0質量部(1モル比)、ビス(4−クロロフェニル)スルホン159.0質量部(1.031モル比)、及びジフェニルスルホン308.5質量部を混合し、系内に酸素濃度6400ppmの窒素ガスを流しながら180℃まで昇温した。得られた混合溶液に、炭酸カリウム76.4質量部(1.029モル比)を添加した後、290℃まで徐々に昇温し、290℃でさらに4.5時間反応させた。重合濃度は42%であった。次いで、得られた反応混合溶液を、室温まで冷却して固化させ、細かく粉砕した後、温水及び、アセトンとメタノールとの混合溶媒を用いて、デカンテーション及びろ過することで数回洗浄した。得られた固体を、150℃で加熱乾燥させることで、比較例2のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。
ジフェニルスルホンを308.9質量部、炭酸カリウムを76.1質量部(1.025モル比)、重合濃度42%、290℃での反応時間が4時間であること以外は、比較例2と同様の条件で、比較例3のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に、窒素ガス中の酸素濃度と共に、残留ジフェニルスルホン量、還元粘度(RV)、プレス成形試験片の耐衝撃性試験の測定結果を示す。
Claims (3)
- 非プロトン性極性溶媒中、窒素雰囲気下で、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物と4,4’−ジヒドロキシビフェニルとの重縮合反応により、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を製造する方法であって、
前記窒素雰囲気に導入する窒素ガス中の酸素濃度が1000ppm以下である、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法。 - 請求項1に記載のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を含む成形品。
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