JP2010095614A - ポリエーテルエーテルケトンの製法 - Google Patents

ポリエーテルエーテルケトンの製法 Download PDF

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Abstract

【課題】 スルホランを重合溶媒として使用したポリエーテルエーテルケトンの製法において、炭酸カリウムと炭酸ナトリウムを併用することが必須であり、操作が煩雑であった。
【解決手段】 ポリエーテルエーテルケトンを製造する方法であって、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表される化合物との重合反応を、スルホランを含む重合溶媒中、300℃未満の温度で、単独のアルカリ金属炭酸塩、または単独のアルカリ金属炭酸水素塩の存在下で行うことを特徴とする、ポリエーテルエーテルケトンの製造方法。
X−Ar−C(=O)−Ar−X (2)
RO−Ar−OR (3)
式中、Arはp−フェニレン基などを表す。Xはハロゲン原子を表す。Rは、同一又は異なった、種々の有機基を表す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、成形性に優れたポリエーテルエーテルケトンの製法に関する。
ポリエーテルエーテルケトンは、非常に高い耐熱性を有する熱可塑性樹脂であり、さらに耐薬品性や難燃性に優れ、高度の機械的強度や寸法安定性を備えたスーパーエンジニアリングプラスチックの1種である。当該重合体は、これらの優れた特性のために、自動車部品用途として使用されており、特にエンジン部品の性能向上と軽量化を図るために金属製のエンジン部品を代替する材料としての利用が知られている。さらには、電線の絶縁被覆や、電気・電子関連部品、鉛フリーはんだ素材や、電子回路基板、薬品、溶剤、腐食性ガス製造ラインの部品での利用も知られている。
当該重合体の製造方法としては種々知られているが、工業的な製造法としては、ヒドロキノンと、両端にフッ素等のハロゲン基を有するベンゾフェノンとを、塩基の存在下に求核置換反応させて重合させる方法が最も一般的である。このような方法においては、性質の良好なポリエーテルエーテルケトンを得るために、ジフェニルスルホンを重合溶媒として使用することが広く知られている。この点については特許文献1〜4等を参照することができる。
特に特許文献2では、強靱なポリエーテルエーテルケトンを得るために、ハイドロキノンと4,4′−ジフルオロベンゾフェノンとの反応において、重合溶媒としてジフェニルスルホンを用い、塩基として炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩を用いることが記載されている。このような手法は現在知られている最も優秀かつ効率的な方法である。現在ポリエーテルエーテルケトンは、主にビクトレックス社から商品名PEEKとして市販されているが、これら市販品も、前記文献の開示内容に沿って、重合溶媒としてジフェニルスルホンを使用して製造されているものである。
最も優れた重合溶媒として知られていたジフェニルスルホンを使用してポリエーテルエーテルケトン樹脂を製造する場合には、以下の欠点があった。
(1)重合を十分に進行させるために重合系の温度を300℃以上という極めて高温にまで上昇させる必要があるために、製造時に必要なエネルギーが莫大であり、生産コストの上昇につながっていた。
(2)ジフェニルスルホンは水に対して不溶性で、かつ高沸点(379℃)であるために、重合後に重合体とジフェニルスルホンを分離して重合体を精製するために、有機溶剤を用いたジフェニルスルホンの分離工程、及び水による精製工程が必要であった。特に、有機溶剤での分離工程では、例えばアセトンやエタノールを使用して何度も(一般には8〜10回)抽出作業を行って、溶剤のジフェニルスルホンを完全に除去する必要があった。このため、樹脂の分離に時間がかかり、また、大量の有機溶剤を消費するため、生産コストが上昇する原因になっていた。
(3)さらに、このように煩雑な分離工程、及び水による精製工程を行っても、重合反応時の塩基に由来するアルカリ金属イオンが不純物として、製品の樹脂に混入することを回避することができなかった。この点は、高純度品が特に要求されている電気・電子関連部品に関わる用途への適用を制限することとなっていた。
ジフェニルスルホンの代わりにスルホランも重合溶媒として使用することは可能であるが、特許文献2の3欄14〜20行では、スルホラン中では、ヒドロキノンと4,4′−ジハロベンゾフェノンから、重合体を強靱するのに十分な高分子量の重合体を得ることはできない、と記載され、この点を裏付ける11欄の例7では、重合溶媒としてスルホランを、塩基として水酸化カリウムを用いた場合には、最も好適な条件下でも、開示された発明に従った重合体を得ることはできず、低分子量で色の悪い非常に脆弱な重合体が得られた旨が記載されている。すなわち、従来、スルホランを重合溶媒として使用した場合には、特性の優れたポリエーテルエーテルケトン樹脂は得られないものと認識されていた。
しかし特許文献5にはスルホランを重合溶媒として使用し、反応系に4,4’−ジフルオロベンゾフェノンとヒドロキノンとを順次入れ、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンのモル使用量がヒドロキノンに対して0.1〜1%過量であり、体系の固形分が15〜30%であり、さらに有機溶剤質量10〜20%のキシレンを入れた後に攪拌を開始し、加熱して昇温させ、体系の温度が75〜85℃に上昇したら、ヒドロキノンのモル数に対して1〜5%過量のK2CO3およびNa2CO3アルカリ金属炭酸塩の混合塩を加え、その中で、K2CO3のモル数が混合塩の総モル数の10〜90%を占めており、引き続き昇温して、温度が230〜260℃になったら恒温で1〜3時間反応した後、反応を停止し、反応生成物を冷水中に入れ、冷却、凝固後、粉砕して濾過し、固体生成物を無イオン水で溶剤および副生成物塩が全部除去されるまで繰り返し煮沸し、さらに精製後の粉末物質を加熱乾燥装置において加熱乾燥すれば、フッ素末端基のポリエーテルエーテルケトン樹脂が得られることが記載されている。この手法ではK2CO3およびNa2CO3アルカリ金属炭酸塩の混合塩が必須要件として使用されている。この方法では、反応により副生してくるフッ化ナトリウムはフッ化カリウムより水への溶解度が劣るため、フッ化ナトリウムを充分に除去することが出来ず、高純度が要求される用途への使用の制限があった。また2種類のアルカリ金属炭酸塩を必須とするため、操作が煩雑であった。
米国特許4,176,222号明細書 米国特許4,320,224号明細書 米国特許4,711,945号明細書 米国特許5,116,933号明細書 中国特許出願公開第1817927号明細書
本発明は、上記現状に鑑み、単独のアルカリ金属炭酸塩、またはアルカリ金属炭酸水素塩存在下、スルホランを重合溶媒として使用したポリエーテルエーテルケトンの製法を提供することを目的とする。
本発明者らは、通常はK2CO3およびNa2CO3アルカリ金属炭酸塩の混合塩が必須とされるスルホランを重合溶媒に使用したポリエーテルエーテルケトンの製造において、特許文献5の教示に反してスルホランを重合溶媒として使用した場合でも、まったく意外なことに単独のアルカリ金属炭酸塩、またはアルカリ金属炭酸水素塩のみの存在下で、ポリエーテルエーテルケトンを製造できることを見出した。
すなわち本発明の第1は、主鎖にアリーレン基を含むポリエーテルエーテルケトンを製造する方法であって、下記式(2)で表される4,4′−ジハロベンゾフェノン類と、下記式(3)で表されるヒドロキノン類との重合反応を、スルホランを含む重合溶媒中、300℃未満の温度で、単独のアルカリ金属炭酸塩、または単独のアルカリ金属炭酸水素塩の存在下で行うことを特徴とする、ポリエーテルエーテルケトンの製造方法に関する。
X−Ar−C(=O)−Ar−X (2)
RO−Ar−OR (3)
式中、Arは、同一又は異なって、置換又は無置換のp−フェニレン基を表す。Xはハロゲン原子を表す。Rは、同一又は異なって、水素原子、R′−基、R′C(O)−基、R′OC(O)−基、R′3Si−基、又はR′2NC(O)−基を表す。ここでR′は、同一又は異なって、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。
本発明は以下の効果を奏するものである。
(1)単独のアルカリ金属炭酸塩、または単独のアルカリ金属炭酸水素塩のみで重合が進行することにより、操作が簡便となり、さらにスルホランを重合溶媒として使用することにより精製工程において多量の有機溶媒を使用することなく高純度のポリエーテルエーテルケトン系樹脂が得られる。
(2)単独のアルカリ金属炭酸塩として、水への溶解性の高い炭酸カリウムのみを使用することにより、水洗などの精製工程により、より高純度のポリエーテルエーテルケトン系樹脂が簡便に得られる。
本発明の製造方法
本発明の製造方法によれば、主鎖にアリーレン基を含むポリエーテルエーテルケトンを製造するに際し、下記式(2)で表される4,4′−ジハロベンゾフェノン類と、下記式(3)で表されるヒドロキノン類との重合反応を、スルホランを含む重合溶媒中、300℃未満の温度で、単独のアルカリ金属炭酸塩、またはアルカリ金属炭酸水素塩の存在下で行う。
X−Ar−C(=O)−Ar−X (2)
RO−Ar−OR (3)
式中、Arは、同一又は異なって、置換又は無置換のp−フェニレン基を表す。Xはハロゲン原子を表す。Rは、同一又は異なって、水素原子、R′−基、R′C(O)−基、R′OC(O)−基、R′3Si−基、又はR′2NC(O)−基を表す。ここでR′は、同一又は異なって、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。
式(2)で表される4,4′−ジハロベンゾフェノン類としては、例えば、4,4′−ジフルオロベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられるが、Arが無置換のp−フェニレン基、Xがフッ素原子である4,4′−ジフルオロベンゾフェノンが好ましい。式(3)で表されるヒドロキノン類としては、Arが無置換のp−フェニレン基、Rが水素原子であるp−ヒドロキノンが好ましい。
また、式(2)で表される4,4′−ジハロベンゾフェノン類とともに、下記式(4)で表される4,4′−ジハロジフェニルスルホン類や、下記式(5)で表されるビス−1,4−(4−ハロベンゾイル)ベンゼンを共重合させることもできる。式(3)で表されるヒドロキノン類とともに、下記式(6)で表されるビスフェノール類を共重合させることもできる。
X−Ar−SO2−Ar−X (4)
X−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−Ar−X (5)
RO−Ar−A−Ar−OR (6)
式中、Ar、X、及びRは上述のとおりである。Aは、直接結合、酸素原子、硫黄原子、−SO2−、−CO−、又は2価の炭化水素基を表す。
式(4)で表される4,4′−ジハロジフェニルスルホン類としては特に限定されないが、例えば、4,4′−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4′−ジクロロジフェニルスルホン等が挙げられる。式(5)で表されるビス−1,4−(4−ハロベンゾイル)ベンゼンとしては特に限定されないが、例えば、ビス−1,4−(4−フルオロベンゾイル)ベンゼン、ビス−1,4−(4−クロロベンゾイル)ベンゼン等が挙げられる。式(6)で表されるビスフェノールとしては特に限定されないが、例えば、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
4,4′−ジハロベンゾフェノン類(2)と、ヒドロキノン類(3)とのモル比を調整することによって、重合体末端に導入される基の種類(フッ素原子等のハロゲン原子、又は水酸基等の−OR基)や、分子量を調整することができる。すなわち、4,4′−ジハロベンゾフェノン類(2)のモル数がより多い場合には、フッ素原子等のハロゲン原子が(おそらく)末端に導入され、ヒドロキノン類(3)のモル数がより多い場合には、水酸基等の−OR基が末端に導入される。また、両者のモルの差が小さい(すなわちモル比か1:1に近い)ほど、重合体の分子量は大きくなり、モル差が大きくなると、重合体の分子量は小さくなる。末端にフッ素原子等のハロゲン原子を導入する場合には、通常、両者のモル比は1.1:1〜1.0001:1の範囲内に調整される。すなわち、通常、ヒドロキノン類(3)に対して4,4′−ジハロベンゾフェノン類(2)が0.01〜10モル%多く、好ましくは0.1〜5モル%、より好ましくは0.1〜1モル%である。一方、末端に水酸基等の−OR基を導入する場合には、通常、両者のモル比は1:1.1〜1:1.0001の範囲内に調整される。すなわち、通常、4,4′−ジハロベンゾフェノン類(2)に対してヒドロキノン類(3)が0.01〜10モル%多く、好ましくは0.1〜5モル%、より好ましくは0.1〜1モル%である。
ただし、4,4′−ジハロジフェニルスルホン類(4)、ビス−1,4−(4−ハロベンゾイル)ベンゼン(5)、及び/又はビスフェノール類(6)を共重合する場合には、4,4′−ジハロベンゾフェノン類(2)の量は4,4′−ジハロジフェニルスルホン類(4)及びビス−1,4−(4−ハロベンゾイル)ベンゼン(5)の量を含み、ヒドロキノン類(3)の量はビスフェノール類(6)の量を含む。
当該製法は、塩基による求核置換反応に基づいた重縮合によって達成されるものであり、当該塩基としては、単独のアルカリ金属炭酸塩、またはアルカリ金属炭酸水素塩を使用する。アルカリ金属炭酸塩の具体例としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等が挙げられるが、なかでも、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。アルカリ金属炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム等が挙げられるが、なかでも、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが好ましい。アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩は、1種類のみを使用するが、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩以外に他の塩基を併用してもよい。当該他の塩基としては特に限定されないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、アルキル化リチウム、リチウムアルミニウムハライド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムハイドライド、ナトリウムアルコキサイド、カリウムアルコキサイド、フォスファゼン塩基、Verkade塩基等が挙げられる。
塩基は、通常、モル基準でヒドロキノン類(3)よりも多く使用されるが、ヒドロキノン類(3)に対して50モル%以下の範囲で多いことが好ましく、40モル%以下の範囲がより好ましく、1〜30%の範囲が特に好ましい。
前記重縮合反応は有機溶媒中で行うものであるが、本発明の製法では有機溶媒としてスルホランを含む重合溶媒を用いる。当該重合溶媒はスルホラン単独であってもよいが、スルホランに加えて、他の重合溶媒(例えばジフェニルスルホン)を、発明の効果が達成できる範囲において含むものであってもよい。ここで、スルホランを含む重合溶媒は、実質的にスルホランのみからなる重合溶媒であることが好ましく、具体的にはスルホランが90重量%以上を占める重合溶媒が好ましく、スルホランが95重量%以上を占める重合溶媒がより好ましい。
スルホランを含む重合溶媒は、系の固形分が90重量%以下となるような量で使用すればよい。好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは15〜30重量%である。
また本発明のポリエーテルエーテルケトンの製造方法では、スルホラン以外の溶媒として本発明を妨げるものでなければ併用してもよいが、通常、重合溶媒中のスルホラン含有量は、80重量%〜100重量%であるが、好ましくは90重量%〜100重量%、さらに好ましくは95重量%〜100重量%である。
本反応では水が副生するので、当該副生した水や、スルホラン等の原料に含まれる水を除去しながら反応を進行させるのが好ましい。系中の水を共沸によって効率よく除去するために、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の共沸溶媒を反応系に添加してもよい。
本反応は系を加熱することによって進行する。具体的な反応温度としては、系の還流温度以下であればよく、通常300℃未満、好ましくは200℃〜280℃の範囲、より好ましくは230〜280℃の範囲である。この温度を維持することによって反応が効率よく進行する。なお、従来法で重合溶媒として主にジフェニルスルホンを用いる場合には、反応温度を300℃以上、具体的に320〜340℃程度にする必要がある。
反応の具体的な手順を説明する。まず、スルホランを含む重合溶媒、ヒドロキノン類、ビスフェノール類、及び任意にキシレンを混合し、攪拌下で、好ましくは230℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは75〜85℃に加熱することによって各成分を均一化する。その後、塩基を加え、さらに攪拌下で加熱して還流温度以下で反応を進行させる。また、塩基は反応初期の段階で添加しておいてもよい。
反応時間は特に限定されず、所望の粘度又は分子量を考慮して適宜設定すればよいが、通常、24時間以下であり、好ましくは12時間以下であり、より好ましくは6時間以下、特に好ましくは1〜3時間である。
4,4′−ジハロベンゾフェノン類(2)よりもヒドロキノン類(3)のモル数が多い場合には、必要に応じて、当該反応後に、ハロベンゾフェノンを添加することにより、末端にハロゲン原子や水酸基を持たないポリエーテルエーテルケトンを得ることができる。ハロベンゾフェノンとしては、例えば、4−フルオロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン等が挙げられる。ハロベンゾフェノンの使用量は過剰分のヒドロキノン類(3)に対して10モル倍以下、好ましくは約2モル倍である。反応温度は上記と同じである。反応時間は特に限定されないが、通常、6時間以下、好ましくは0.2〜1時間である。
前記反応は加熱の停止により終了することができる。
溶媒のスルホランは水溶性の溶媒であるので、反応後の反応液と水を含む溶剤を混合することによって、生成物の重合体と重合溶媒とを容易に分離することができる。さらに、水を含む溶剤での洗浄を繰り返すことによって、塩基に起因する副生物たるアルカリ金属塩(例えばフッ化ナトリウムや、フッ化カリウム)を除去することができるので、生成物たるポリエーテルエーテルケトンを簡単に精製することができる。すなわち、本発明の製法では重合溶媒の分離、及び重合体の精製を、水を含む溶剤を用いて実施することができる。なお、ここで、重合溶媒の分離とは、重合溶媒と生成物たる重合体とを分離することをいい、重合体の精製とは、重合体に含まれるアルカリ金属塩等の不純物含量を低減することをいう。
本発明の製法においてスルホランを含む重合溶媒の分離、及び重合体の精製を行うにあたっては、水を含む溶剤を用いる。当該溶剤は水単独であってもよいが、水に加えて、他の溶剤、例えばメタノールや、エタノール等の水溶性溶媒等を、発明の効果が達成できる範囲において含むものであってもよい。ここで、水を含む溶剤は、実質的に水のみからなる溶剤であることが好ましく、具体的には水が90重量%以上を占める溶剤が好ましく、水が95重量%以上を占める溶剤がより好ましい。
水を含む溶剤による分離・精製工程は具体的には以下のようにして実施することができる。まず、反応終了後の反応液を冷水中に入れ急速に冷却し、凝固した樹脂を粉砕して濾過する。得られた固体に対して脱イオン水を添加し、必要に応じて加熱(好ましくは煮沸)して、混入している副生物の塩やスルホランを除去することによって精製を行う。得られた重合体を最後に加熱乾燥装置で乾燥することによって、精製された重合体を得ることができる。
本発明の重合体
本発明のポリエーテルエーテルケトンとは、主鎖にアリーレン基を含み、エーテル結合を2つとケトン基を1つ有する繰り返し単位から構成される重合体である。そのような繰り返し単位としては、代表的なものとして下記式(1)で表されるものが挙げられる。
−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar−O− (1)
式中、Arは、同一又は異なって、置換又は無置換のp−フェニレン基を表す。
フェニル環上の置換基としては特に限定されないが、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
一単位中に含まれるArはすべて同一であってもよいし、異なるものであってもよいが、すべてのArが無置換のp−フェニレン基を表すことが好ましい。
本発明のポリエーテルエーテルケトンとしては、1種類の繰り返し単位から構成される単独重合体であってもよいし、2種類以上の繰り返し単位から構成される共重合体であってもよい。好ましくは、前記式(1)で表される繰り返し単位1種類から構成される単独重合体である。
また、前記式(1)で表される繰り返し単位と、これ以外の繰り返し単位との共重合体であってもよい。当該他の繰り返し単位としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar−A−Ar−O−
−Ar−C(=O)−Ar−O−
−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar−A−Ar−O−
−Ar−SO2−Ar−O−Ar−O−
−Ar−SO2−Ar−O−Ar−A−Ar−O−
ここで、Ar、及びAは前述のとおりである。
原料たるモノマーの構成比を調整することによって、前記重合体の末端を、フッ素原子等のハロゲン原子とすることもできるし、水酸基等の−OR基とすることもできる。一般にはフッ素原子が重合体末端にあることが好ましい。しかしながら、モノマーの構成比から末端がフッ素原子になると予測されるべき場合においても、本発明の重合体では末端にフッ素原子が導入されていない可能性がある。また、別途、末端封止剤を反応させることにより、ハロゲン末端や−OR末端を、フェニル基等の不活性置換基に置き換えることもできる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
温度計、窒素ガス導入管、凝縮水分離器及び攪拌器が取り付けられた三つ口反応器にスルホラン(住友精化社製 スルホランSG)164g、4,4′−ジフルオロベンゾフェノン22.15g(0.1015mol、ヒドロキノンの使用量0.10molに対して1モル%過量)、ヒドロキノン11.01g(0.100mol)を加えた。その後、攪拌、加熱し、温度が80℃に上昇したら、K2CO313.96g(0.101mol)を加えた。さらに引き続き昇温し、温度が180℃に上昇したところより、水が水分離器中に回収され始めた。水を回収しながら、系内の温度を加熱により上昇させ、温度が265℃になったら恒温を保持した。265℃で4時間持続した後に加熱を停止し放冷した。充分に冷却して得られた固体混合物を、粉砕機で粉砕し得られた粉末材料にイオン交換水400mLを加え、三つ口反応器において1時間煮沸してから濾過し、新たに水400mLで洗い流した。以上の煮沸及び濾過の工程を合計4度繰り返した。
精製後の粉末材料を、真空乾燥装置において120℃で12時間加熱乾燥し、水分含有量を0.5%より低くして粉末状のポリエーテルエーテルケトンを得た。
実施例2
温度計、窒素ガス導入管、凝縮水分離器及び攪拌器が取り付けられた三つ口反応器にスルホラン(住友精化社製 スルホランSG)164g、4,4′−ジフルオロベンゾフェノン22.15g(0.1015mol、ヒドロキノンの使用量0.10molに対して1モル%過量)、ヒドロキノン11.01g(0.100mol)を加えた。その後、攪拌、加熱し、温度が80℃に上昇したら、Na2CO311.66g(0.110mol)を加えた。さらに引き続き昇温し、温度が180℃に上昇したところより、水が水分離器中に回収され始めた。水を回収しながら、系内の温度を加熱により上昇させ、温度が265℃になったら恒温を2時間保持した。265℃での恒温保持後、系内の温度を275℃に上げ、恒温を5時間持続した後に加熱を停止し放冷した。充分に冷却して得られた固体混合物を、粉砕機で粉砕し得られた粉末材料にイオン交換水400mLを加え、三つ口反応器において1時間煮沸してから濾過し、新たに水400mLで洗い流した。以上の煮沸及び濾過の工程を合計4度繰り返した。
精製後の粉末材料を、真空乾燥装置において120℃で12時間加熱乾燥し、水分含有量を0.5%より低くして粉末状のポリエーテルエーテルケトンを得た。
比較例1
温度計、窒素ガス導入管、凝縮水分離器及び攪拌器が取り付けられた三つ口反応器にスルホラン(住友精化社製 スルホランSG)164g、4,4′−ジフルオロベンゾフェノン22.15g(0.1015mol、ヒドロキノンの使用量0.10molに対して1モル%過量)、ヒドロキノン11.01g(0.100mol)を加えた。その後、攪拌、加熱し、温度が80℃に上昇したら、K2CO36.98g(0.0505mol)およびNa2CO35.35g(0.0505mol)を加えた。さらに引き続き昇温し、温度が180℃に上昇したところより、水が水分離器中に回収され始めた。水を回収しながら、系内の温度を加熱により上昇させ、温度が230℃になったら恒温を2時間保持した。230℃での恒温保持後、系内の温度を265℃に上げ、恒温を4時間持続した後に加熱を停止し放冷した。充分に冷却して得られた固体混合物を、粉砕機で粉砕し得られた粉末材料にイオン交換水400mLを加え、三つ口反応器において1時間煮沸してから濾過し、新たに水400mLで洗い流した。以上の煮沸及び濾過の工程を合計4度繰り返した。
精製後の粉末材料を、真空乾燥装置において120℃で12時間加熱乾燥し、水分含有量を0.5%より低くして粉末状のポリエーテルエーテルケトンを得た。
〔溶液粘度及びメルトフローレイトの測定〕
(i)溶液粘度
ISO1628−1:1998の5.1、又はISO3105:1994の表B4に記載のサイズ番号1C(毛細管直径0.77mm)のウベローデ形粘度計を用いて、25℃で0.1g/dLの95%濃硫酸溶液、及び95%濃硫酸について流出時間を測定し、得られた値を以下の式に代入して求めた。
溶液粘度ηi=ln(t/t0)/c
t:95%濃硫酸溶液の流出時間(秒)
t0:95%濃硫酸の流出時間(秒)
c:溶液濃度、すなわち0.1g/dL
(ii)メルトフローレイト(MFR)
ISO1133(JIS K 7210)に準じた機器(東洋精機製作所社製メルトインデクサーS−01)に、約8g程度の重合体を充填した後、所定温度で5分間保持した後、400℃で2.16kg荷重を当該重合体にかけることによって、10分間に押し出された当該重合体の量を測定した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2010095614
表1で示したように、単独のアルカリ金属塩を使用した実施例1、2は、アルカリ金属塩を2種使用した比較例1と比べ、同等レベルの溶液粘度、また同等以上の流動特性を示すポリエーテルエーテルケトンが得られた。

Claims (2)

  1. 主鎖にアリーレン基を含むポリエーテルエーテルケトンを製造する方法であって、
    下記式(2)で表される4,4′−ジハロベンゾフェノン類と、下記式(3)で表されるヒドロキノン類との重合反応を、スルホランを含む重合溶媒中、300℃未満の温度で、単独のアルカリ金属炭酸塩、または単独のアルカリ金属炭酸水素塩の存在下で行うことを特徴とする、ポリエーテルエーテルケトンの製造方法。
    X−Ar−C(=O)−Ar−X (2)
    RO−Ar−OR (3)
    式中、Arは、同一又は異なって、置換又は無置換のp−フェニレン基を表す。Xはハロゲン原子を表す。Rは、同一又は異なって、水素原子、R′−基、R′C(O)−基、R′OC(O)−基、R′3Si−基、又はR′2NC(O)−基を表す。ここでR′は、同一又は異なって、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。
  2. 単独のアルカリ金属炭酸塩、または単独のアルカリ金属炭酸水素塩が、炭酸カリウム、または炭酸ナトリウムである請求項1に記載のポリエーテルエーテルケトンの製造方法。
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