JP2020152914A - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】低ロス性及び耐摩耗性を高度に両立することができるゴム組成物を提供する。【解決手段】本発明のゴム組成物は、2種以上のポリマー成分を含むゴム成分とシリカを含有するフィラーとを含み、前記ゴム成分はtanδ温度分散曲線のピーク温度が異なる2つ以上のポリマー相に分離しており、前記2つ以上のポリマー相のうちのtanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相のtanδ温度分散曲線のピーク温度が−110〜−20℃で、tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相のtanδ温度分散曲線のピーク温度が−10〜10℃であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記フィラーの配合量が30〜130質量部であり、前記フィラーのうちの30質量%以上が前記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相に存在し、前記フィラーは平均凝集塊面積が2100nm2以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関する。
近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求が強まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。従来、タイヤの転がり抵抗を減少させる手法として、タイヤ構造を最適化する手法も検討されてきたが、タイヤに適用するゴム組成物について、tanδが低く(以下、「低ロス性」という。)、低発熱性の優れたものを用いることも、現在一般的な手法として行われている。
このような発熱性の低いゴム組成物を得る方法として、カーボンブラックやシリカ等の充填剤の減量、又は大粒径のカーボンブラックの使用等が考えられるが、いずれの方法でも、ゴム組成物の補強性、耐摩耗性及び湿潤路面でのグリップ性の低下が避けられない。
そこで、例えば、ガラス転移温度(Tg)の異なるゴムをブレンドして、タイヤの耐摩耗性を損なうことなく、ウェットグリップ性能と低転がり抵抗性能とのバランスに優れたタイヤの製造に使用するのに適したタイヤトレッド用ゴム組成物を提供する検討がなされている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−27313号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたゴム組成物を用いる場合、ゴム組成物の低ロス性及び耐摩耗性を高度に両立することができないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、低ロス性及び耐摩耗性を高度に両立することができるゴム組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、低ロス性及び耐摩耗性を高度に両立させたタイヤを提供することにある。
すなわち、本発明のゴム組成物は、2種以上のポリマー成分を含むゴム成分と、少なくともシリカを含有するフィラーとを含むゴム組成物であって、前記ゴム成分は、tanδ温度分散曲線のピーク温度が異なる2つ以上のポリマー相に分離しており、前記2つ以上のポリマー相のうちのtanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相のtanδ温度分散曲線のピーク温度が、−110〜−20℃であり、前記2つ以上のポリマー相のうちのtanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相のtanδ温度分散曲線のピーク温度が、−10〜10℃であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記フィラーの配合量が30〜130質量部であり、前記フィラーのうちの30質量%以上が、前記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相に存在し、前記フィラーは、平均凝集塊面積が2100nm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、低ロス性及び耐摩耗性を高度に両立することができるゴム組成物を提供できる。また、本発明によれば、低ロス性及び耐摩耗性を高度に両立させたタイヤを提供できる。
図1は、本発明に従った一実施形態のゴム組成物におけるゴム成分のtanδの温度分散曲線を示すグラフであり、ピークが2つの曲線を示す。 図2は、本発明に従った他の実施形態のゴム組成物におけるゴム成分のtanδの温度分散曲線を示すグラフであり、ピークが3つの曲線を示す。 フィラーの分配状態を示す原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)写真であって、実施例1で調製したゴム組成物の写真である。 フィラーの分配状態を示す原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)写真であって、比較例1で調製したゴム組成物の写真である。 フィラーの分配状態を示す原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)写真であって、比較例2で調製したゴム組成物の写真である。
(ゴム組成物)
以下に、本発明のゴム組成物について、一実施形態を詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、少なくとも、ゴム成分と、フィラーとを含み、さらに必要に応じて、その他の成分を含む。
<ゴム成分>
上記ゴム成分は、少なくとも2種類以上のポリマー成分からなり、各ポリマー成分を配合した後には、配合物のtanδ温度分散曲線のピーク温度が異なる2つ以上のポリマー相に分離する。
各ポリマー相は複数のポリマーが混じり合ったものでも良いし、単独のポリマーから成るものでも構わない。
また、配合物のtanδ温度分散曲線のピーク温度が異なる2つ以上のポリマー相に分離しさえすれば、各ポリマー成分の種類は問わない。
例えば、A、B、Cの3種類のポリマーを配合した場合、AとBが相溶し、CがAとBに非相溶である場合や、AとBとCどれもが非相溶であっても構わないが、A、B、Cが全て相溶し、2つのポリマー相が形成されない状態となる場合は好ましくない。
斯かるゴム成分のtanδの温度分散曲線は、例えば、図1、図2に示すように、2つ以上のピークを有する。
なお、ゴム成分のtanδの温度分散曲線は、例えば、東洋精機粘弾性スペクトロメータを用いて、歪み1%、周波数52Hzの条件で測定することができる。
後述する実施例1〜5のゴム組成物のゴム成分についても、上記図1に示すように2つのピークを有する。
<<tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相>>
上記2つ以上のポリマー相のうちのtanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相のtanδ温度分散曲線のピーク温度としては、−110〜−20℃である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、−80℃〜−20℃が好ましく、−60℃〜−30℃がより好ましい。
上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が、−110℃未満であると、wet性能が著しく悪化してしまい、−20℃超であると、低温でのゴム弾性が著しく悪化してしまう。一方、好ましい範囲内又はより好ましい範囲内であると、wet性能及び低温でのゴム弾性のバランスの点で、良好である。
上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相のドメイン周囲長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25μm/μm以上が好ましい。
上記ドメイン周囲長が、好ましい範囲であると、優れた耐破壊特性を実現できる点で有利である。
なお、「tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相のドメイン周囲長」は、ポリマー相の界面の長さを意味し、上述した例では、AFMより得られた画像を3値化後、フィラーに相当する部分を抜き出し、残ったポリマー相界面の長さを合計した値である。一つのポリマー相にフィラーが入っている場合は抜けた部分を埋め、フィラーが2種のポリマー成分(ポリマー相)の境界面にある場合は抜けた状態のままで算出する。
上記ゴム成分に対する上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相を構成するポリマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜90質量%が好ましい。
上記含有量が、好ましい範囲であると、より優れた低ロス性及び耐摩耗性を得ることができる点で有利である。
上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相は、変性ポリマーを含有することが好ましい。マスターバッチを作製しなくとも、低ロス性及び耐摩耗性を高度に両立することができるからである。
また、変性ポリマーを用いた上で、さらにマスターバッチ化する場合、より高度に低ロス性及び耐摩耗性の向上効果が期待される。
上記変性ポリマーにおける変性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述するフィラーに対して相互作用性を有する変性官能基、などが好適に挙げられる。フィラーに対する相互作用性を高めて、低ロス性及び耐摩耗性を高度に両立することができるからである。
本明細書において、「tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相は変性ポリマーを含有する」とは、tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相が、全て変性ポリマーで構成されていることのみならず、変性ポリマーと無変性ポリマーの混合物で構成されていることも含むことを意味する。
ここで、「フィラーに対して相互作用性を有する変性官能基」とは、該官能基とフィラー(例えば、シリカ)表面の間で共有結合を形成するか、又は、共有結合よりも弱い分子間力(イオン−双極子相互作用、双極子−双極子相互作用、水素結合、ファンデルワールス力等といった分子間に働く電磁気学的な力)を形成することが可能な官能基のことである。上記フィラー(例えば、シリカ)との親和性の高い官能基としては、特に制限はなく、例えば、含窒素官能基、含ケイ素官能基、含酸素官能基、などが好適に挙げられる。
前記変性ポリマーにおける変性官能基は、前記フィラーに対して相互作用性を有する変性官能基であることが好ましく、該変性官能基が、含窒素官能基、含ケイ素官能基又は含酸素官能基であることがより好ましい。より確実に、低ロス性及び耐摩耗性を高度に両立することができるためである。
上記変性ポリマーにおける変性率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30〜100%が好ましく、50〜100%がより好ましい。
上記変性ポリマーにおける変性率が、好ましい範囲又はより好ましい範囲内であると、より確実に、低ロス性及び耐摩耗性を高度に両立することができるためである。
なお、「変性ポリマーにおける変性率」は、例えば、変性官能基がアミノ基である場合、下記の方法により測定される。
変性ポリマーをトルエンに溶解した後、大量のメタノール中で沈殿させることにより変性ポリマーに結合していないアミノ基含有化合物をゴムから分離した後、乾燥する。本処理を施したポリマーを試料として、JIS K7237に記載された「全アミン価試験方法」により全アミノ基含有量を定量する。続けて、上記処理したポリマーを試料として「アセチルアセトンブロックド法」により第2アミノ基および第3アミノ基の含有量を定量する。試料を溶解させる溶媒にはo−ニトロトルエンを使用、アセチルアセトンを添加し、過塩素酸酢酸溶液で電位差滴定を行う。全アミノ基含有量から第2アミノ基および第3アミノ基の含有量を引いて第1アミノ基含有量を求め、分析に使用したポリマー重量を割ることでポリマーに結合した第1アミノ基含有量を求める。
また、第3アミノ基含有量は、該ポリマーをトルエンに溶解した後、大量のメタノール中で沈殿させることにより変性ポリマーに結合していないアミノ基含有化合物をゴムから分離した後、乾燥する。本処理を施したポリマーを試料として、「アセチル化法」により第3アミノ基含有量を定量する。試料を溶解させる溶媒として、o−ニトロトルエン+酢酸を使用、ギ酸無水酢酸混合溶液を添加し、過塩素酸酢酸溶液で電位差滴定を行う。第3アミノ基含有量を分析に使用したポリマー重量を割り返すことによりポリマーに結合した第3アミノ基含有量を求める。
上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相を構成するポリマーは、全単量体成分に対し、80〜100質量%のジエン系単量体と、0〜20質量%の芳香族ビニル化合物とを重合してなる、重合体又は共重合体であることが好ましい。より優れた低ロス性及び耐摩耗性を実現できるためである。
さらに、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相を構成するポリマーは、変性重合体(即ち、「ジエン系単量体と芳香族ビニル化合物との共重合体の変性体」又は「ジエン系単量体の単独重合体の変性体」)であることが好ましい。上記ゴム組成物の低ロス性及び耐摩耗性をより向上できるためである。
また、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相を構成するポリマーの重合に用いられるジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン化合物が挙げられ、これらの中でも、ポリマー相のtanδ温度分散曲線のピーク温度の調整が容易な点で、1,3−ブタジエンが特に好ましい。これら共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相を構成するポリマーの重合に用いられる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、などが挙げられる。これらの中でも、ポリマー相のtanδ温度分散曲線のピーク温度の調整が容易な点で、スチレンが特に好ましい。これら芳香族ビニル化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ジエン系単量体が1,3−ブタジエンであることがより好ましく、前記芳香族ビニル化合物がスチレンであることがより好ましい。より優れた低ロス性及び耐摩耗性を実現できるためである。
なお、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相を構成するポリマーを得るための重合方法としては、アニオン重合、配位重合及び乳化重合のいずれでもよい。上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相に含有され得る変性重合体を得るための変性剤は、アニオン重合又は配位重合の重合活性末端と反応する変性剤であってもよいし、重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分であってもよい。また、乳化重合において、変性剤がモノマーとして共重合されてもよい。
なお、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相を構成するポリマーの分子量は、特に限定はされないが、ピーク分子量を5万以上とすることで良好な耐破壊特性が得られ、70万以下とすることで良好な加工性が得られる。さらに、高度に耐破壊特性及び耐摩耗性と加工性を両立するためには、10〜35万のピーク分子量であることが望ましい。上記ピーク分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算のピーク分子量(Mp)とする。
さらに、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相を構成するポリマーの上記ゴム成分中における含有率は、10質量%以上であることが好ましい。上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相を構成するポリマーの上記ゴム成分中における含有率が10質量%未満では、充填剤の分散性を改良する効果が小さく、ゴム組成物の低ロス性及び耐摩耗性を改善する効果が小さいためである。
ここで、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相に含有され得る変性重合体を得る際の変性に用いられる変性剤について説明する。
上記変性剤は、フィラー(例えば、シリカ)に対して相互作用性を有する官能基を含む変性剤であることが好ましく、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1つの原子を有する変性剤であることがより好ましく、ケイ素原子と酸素原子、又はケイ素原子と窒素原子を一分子中に有する変性剤であることが特に好ましく、ケイ素原子と酸素原子と窒素原子を一分子中に有する変性剤であることが最も好ましい。
上記フィラー(例えば、シリカ)に対して高い親和性を有する観点から上記変性剤は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
そして、当該アルコキシシラン化合物については、特に限定はされないものの、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物であることがより好ましい。
Figure 2020152914
(式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、aは0〜2の整数であり、ORが複数ある場合、複数のORはたがいに同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトンは含まれない。)
ここで、上記一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、例えば、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトリジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、などが挙げられる。
これらの中でも、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好適である。これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記フィラー(シリカ)に対して高い親和性を有する観点から、上記変性剤は、ヒドロカルビルオキシシラン化合物であってもよい。
そして、当該ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
Figure 2020152914
上記一般式(II)中、n1+n2+n3+n4=4(但し、n2は1〜4の整数であり、n1、n3及びn4は0〜3の整数である)であり、Aは、飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、(チオ)イソシアナート基(イソシアナート基又はチオイソシアナート基を示す。以下、同様。)、(チオ)エポキシ基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル基、炭酸ジヒドロカルビルエステル基、ニトリル基、ピリジン基、(チオ)ケトン基、(チオ)アルデヒド基、アミド基、(チオ)カルボン酸エステル基、(チオ)カルボン酸エステルの金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化合物残基、並びに加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基又はメルカプト基の中から選択される少なくとも1種の官能基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、Aは、Siと結合して環状構造を形成する二価の基であってもよく、R21は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、n1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R23は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、又は、ヨウ素)であり、n3が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R22は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、n2が2以上の場合には、互いに同一もしくは異なっていてもよく、或いは、一緒になって環を形成しており、R24は、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
上記加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基又は上記加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
なお、本発明において、「炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基」とは、「炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基もしくは炭素数3〜20の一価の脂環式炭化水素基」をいう。二価の炭化水素基の場合も同様である。
上記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物の具体例としては、〔N,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)〕(メチル)(ジエトキシ)シランが好適に挙げられる。
さらに、上記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
Figure 2020152914
上記一般式(III)中、p1+p2+p3=2(但し、p2は1〜2の整数であり、p1及びp3は0〜1の整数である)であり、Aは、NRa(Raは、一価の炭化水素基、加水分解性基又は含窒素有機基である。加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。)、或いは、硫黄であり、R25は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R27は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、又は、ヨウ素)であり、R26は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又は含窒素有機基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、p2が2の場合には、互いに同一もしくは異なり、或いは、一緒になって環を形成しており、R28は、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
さらに、上記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(IV)又は(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
Figure 2020152914
上記一般式(IV)中、q1+q2=3(但し、q1は0〜2の整数であり、q2は1〜3の整数である)であり、R31は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R32及びR33はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R34は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていてもよく、R35は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
Figure 2020152914
上記一般式(V)中、r1+r2=3(但し、r1は1〜3の整数であり、r2は0〜2の整数である)であり、R36は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R37はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R38は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていてもよい。
また、上記変性剤が、下記一般式(VI)又は(VII)で表される2つ以上の窒素原子を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
Figure 2020152914
上記一般式(VI)中、TMSはトリメチルシリル基であり、R40はトリメチルシリル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R41は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R42は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
Figure 2020152914
上記一般式(VII)中、TMSはトリメチルシリル基であり、R43及びR44はそれぞれ独立して炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R45は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、複数のR45は、同一でも異なっていてもよい。
また、上記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(VIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
Figure 2020152914
上記一般式(VIII)中、r1+r2=3(但し、r1は0〜2の整数であり、r2は1〜3の整数である)であり、TMSはトリメチルシリル基であり、R46は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R47及びR48はそれぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。複数のR47又はR48は、同一でも異なっていてもよい。
さらに、上記変性剤が、下記一般式(IX)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
Figure 2020152914
上記一般式(IX)中、Xはハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、又は、ヨウ素)であり、R49は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R50及びR51はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、又は、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であるか、或いは、R50及びR51は結合して二価の有機基を形成しており、R52及びR53はそれぞれ独立してハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、又は、ヨウ素)、ヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。R50及びR51としては、加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
また、上記変性剤が、下記一般式(X)〜(XIII)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 2020152914
Figure 2020152914
Figure 2020152914
Figure 2020152914
ここで、式X〜XIIIに含まれる記号U、Vはそれぞれ0〜2かつ、U+V=2を満たす整数である。また、式X〜XIII中のR5492は同一でも異なっていても良く、炭素数1から20の2価の脂肪族若しくは、脂環式炭化水素または、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基である。また、式XIII中のα、βは0〜5の整数である。
また、式X〜XIIを満たす化合物の中でも、特に、N1,N1,N7−テトラメチル−4−((トリメトキシシリル)メチル)−1,7へプタン、2−((ヘキシル−ジメトキシシリル)メチル)−N1,N1,N3,N3−2−ペンタメチルプロパン−1,3−ジアミン、N1−(3−(ジメチルアミノ)プロピル−N3,N3−ジメチル−N1−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)プロパン−1,3−ジアミン、4−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N1,N1,N7,N7−テトラメチル−4−((トリメトキシシリル)メチル)へプタン−1,7−ジアミン、が好ましく、
式XIIIを満たす化合物の中でも、特に、N,N−ジメチル−2−(3−(ジメトキシメチルシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−2−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N−ジメチル−2−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N−ジメチル−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロパン−1−アミンが好ましい。
以上の一般式(II)〜(XIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相に含有され得る変性重合体がアニオン重合により製造される場合の変性剤として用いられることが好ましい。
また、一般式(II)〜(XIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
また、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相に含有され得る変性重合体をアニオン重合によって得る場合に好適な変性剤としては、具体的には、3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)−1−ビニルベンゼン、3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、3,4−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、2−シアノピリジン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及び1―メチル−2−ピロリドンから選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
さらに、上記変性剤は、アニオン重合における重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分であることが好ましい。
このリチウムアミド化合物としては、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド及びリチウムメチルフェネチルアミドから選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好適に例示される。例えば、リチウムヘキサメチレンイミドのアミド部分となる変性剤はヘキサメチレンイミンであり、リチウムピロリジドのアミド部分となる変性剤はピロリジンであり、リチウムピぺリジドのアミド部分となる変性剤はピペリジンである。
また、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相に含有され得る変性重合体を配位重合によって得る場合に好適な変性剤としては、2−シアノピリジン及び3,4−ジトリメチルシリルオキシベンズアルデヒドから選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく挙げられる。
さらに、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相に含有され得る変性重合体を乳化重合によって得る場合に好適な変性剤としては、3,4−ジトリメチルシリルオキシベンズアルデヒド及び4−ヘキサメチレンイミノアルキルスチレンから選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく挙げられる。これらの乳化重合において好ましく用いられる変性剤は、窒素原子及び/又はケイ素原子を含むモノマーとして、乳化重合時に共重合されることが好ましい。
なお、本発明のゴム組成物において、上記ゴム成分は、さらに、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン共重合体等を含有することができる。
上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相に含有され得る変性重合体の一例を説明する。
まず、スチレンと1,3−ブタジエンとの共重合体(ミクロ構造:スチレン10質量%/1,3−ブタジエン由来のビニル結合量40質量%、ベース分子量(ポリスチレン換算):180,000)である低ピーク温度主鎖骨格を作製し、末端を負イオンとした状態で、[N,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)](メチル)(ジエトキシ)シラン(APMDEOS)を用いて変性化して、APMDEOS変性ポリマー(変性率:70%、重量平均分子量(Mw):200,000)を得た。
<<tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相>>
上記2つ以上のポリマー相のうちのtanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相のtanδ温度分散曲線のピーク温度としては、−10〜10℃である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が、−10℃未満であると、wet性能が著しく悪化してしまい、10℃超であると、ロス性能が悪化してしまう。
上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相は、tanδ温度分散曲線のピーク温度が−10〜10℃である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、無変性ポリマーからなることが好ましい。上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相が、無変性ポリマーからなり、且つ、前述のtanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相が、変性ポリマーを含有することがさらに好ましい。より優れた低ロス性及び耐摩耗性を得ることができるためである。
さらに、前記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相は変性ポリマーを含有し、前記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相は無変性ポリマーからなることが好ましい。より優れた低ロス性及び耐摩耗性を得ることができるためである。
また、tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相と、tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相の温度差としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃以上が好ましい。前記温度差が30℃未満であると、互いに相溶し、分配による性能向上効果が出なくなってしまうからである。
ここで、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相を構成するポリマーは、ジエン系共重合体であってもよい。その中でも、ジエン系単量体と芳香族ビニル化合物との共重合体が好ましく、全単量体成分に対し、50〜80質量%のジエン系単量体と、20〜50質量%の芳香族ビニル化合物とを重合してなる、共重合体であることがより好ましい。
また、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相を構成するポリマーの重合に用いられるジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン化合物が挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエンが特に好ましい。これら共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、単量体としての上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、などが挙げられる。これらの中でも、スチレンが特に好ましい。これら芳香族ビニル化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相を構成するポリマーを得るための重合方法としては、アニオン重合、配位重合及び乳化重合のいずれでもよい。
なお、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相を構成するポリマーの分子量は、特に限定はされないが、ピーク分子量を5万以上とすることで良好な耐破壊特性及び耐摩耗性が得られ、70万以下とすることで良好な加工性が得られる。さらに、高度に耐破壊特性及び耐摩耗性と加工性を両立するためには、10〜35万のピーク分子量であることが望ましい。上記ピーク分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算のピーク分子量(Mp)とする。
<フィラー>
上記フィラーとしては、少なくともシリカを含有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ単独、シリカとカーボンブラックとの混合物、などが挙げられる。これらの中でも、シリカ単独が好ましい。
上記ゴム成分100質量部に対する上記フィラーの配合量としては、30〜130質量部である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記配合量が、30質量部未満であると、十分な耐摩耗性が得られず、130質量部超であると、十分な低ロス性が得られない。
上記フィラーのうち上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相に存在する割合(「低ピーク温度ポリマー相へのフィラー分配率」ということもある)としては、30質量%以上である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記割合が、30質量%未満であると、十分な低ロス性及び耐摩耗性が得られない。
なお、「tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相に存在するフィラー」は、ミクロトームにより切削された試料の平滑面をAFM(ASYLUM RESEARCH社製MFP−3D)を用いて、測定範囲2μm×2μmで測定される。例えば、2種のポリマー成分が2相に分かれた系を測定する場合には、得られたAFM画像をヒストグラムにより2種のポリマー成分とフィラー部分に3値化像に変換して得られた3値化像に基づき、2種のポリマー成分それぞれに含まれるフィラー面積を求め、フィラー総量からフィラーの分配率を算出する。フィラーが2種のポリマー成分の境界面にある場合は、各ポリマー成分とフィラーの3つが接している2点を結び、フィラーの面積を分割する。
上記フィラーの平均凝集塊面積としては、2100nm以下である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記平均凝集塊面積が2100nm超であると、十分な低ロス性が得られない。
なお、「フィラーの平均凝集塊面積」は、FIB−SEMより、測定範囲4μm×4μmで得られた画像よりフィラー部分の凝集塊面積を求め、フィラー部分の全表面積と凝集塊の個数から、単位面積(2μm×2μm)あたりのフィラー部分の平均凝集塊面積を数平均(相加平均)により算出する。算出に当たり、画像の端(辺)に接している粒子はカウントせず、20ピクセル以下の粒子は、ノイズと見做しカウントしない。
<<シリカ>>
上記フィラーに対する上記シリカの含有率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜100質量%が好ましい。
上記シリカの含有率が好ましい範囲内であると、ゴム組成物の補強効果を高め、破壊特性及び耐摩耗性を向上させることが可能となるからである。
また、上記シリカの種類については特に限定はされず、一般グレードのシリカから、表面処理を施した特殊シリカまで、用途に応じて使用でき、例えば加工性、機械強度及び耐摩耗性をより向上できる点からは、湿式シリカを用いることが好ましい。
<<カーボンブラック>>
上記カーボンブラックについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましく、HAF、ISAF、SAFグレードのものがさらに好ましい。
また、前記カーボンブラックの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<その他の成分>
本発明のゴム組成物は、上述したゴム成分及びフィラーの他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、シランカップリング剤、加硫促進剤(例えば、ステアリン酸)、加硫促進助剤(例えば、亜鉛華)、加硫剤(例えば、硫黄)、軟化剤(例えば、オイル)、ワックス等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤は、市販品を好適に使用することができる。本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分に、フィラーと、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
(タイヤ)
本発明のタイヤは、前記ゴム組成物をトレッド部材に用いることを特徴とする。前記ゴム組成物をトレッド部材、特にトレッドゴムに用いたタイヤは、低ロス性及び耐摩耗性を高度に両立することができる。なお、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物をトレッド部材のいずれかに用いること以外は、特に制限は無く、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
以下の手順に従って、変性重合体A〜C、低tanδピーク温度無変性重合体、及び高tanδピーク温度無変性重合体を製造した。なお、各重合体における、変性官能基の位置、変性剤の種類、変性率(%)、tanδ温度分散曲線のピーク温度(℃)については、表1に示す。
なお、変性率(%)については、下記の方法により算出した。
変性ポリマーをトルエンに溶解した後、大量のメタノール中で沈殿させることにより変性ポリマーに結合していないアミノ基含有化合物をゴムから分離した後、乾燥した。本処理を施したポリマーを試料として、JIS K7237に記載された「全アミン価試験方法」により全アミノ基含有量を定量した。続けて、上記処理したポリマーを試料として「アセチルアセトンブロックド法」により第2アミノ基および第3アミノ基の含有量を定量した。試料を溶解させる溶媒にはo−ニトロトルエンを使用、アセチルアセトンを添加し、過塩素酸酢酸溶液で電位差滴定を行った。全アミノ基含有量から第2アミノ基および第3アミノ基の含有量を引いて第1アミノ基含有量を求め、分析に使用したポリマー重量を割ることでポリマーに結合した第1アミノ基含有量を求めた。
また、第3アミノ基含有量は、該ポリマーをトルエンに溶解した後、大量のメタノール中で沈殿させることにより変性ポリマーに結合していないアミノ基含有化合物をゴムから分離した後、乾燥した。本処理を施したポリマーを試料として、「アセチル化法」により第3アミノ基含有量を定量した。試料を溶解させる溶媒として、o−ニトロトルエン+酢酸を使用、ギ酸無水酢酸混合溶液を添加し、過塩素酸酢酸溶液で電位差滴定を行った。第3アミノ基含有量を分析に使用したポリマー重量を割り返すことによりポリマーに結合した第3アミノ基含有量を求めた。
(変性重合体Aの製造)
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5g及びスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6ミリモルを加え、0.8ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、〔N,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)〕(メチル)(ジエトキシ)シランを0.72ミリモル添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体Aを得た。
また、得られたポリマーのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ゲル浸透クロマトグラフィーにより得られたポリスチレン換算ピーク分子量が200,000であった。
(変性重合体Bの製造)
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5g及びスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6ミリモルを加え、0.8ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンを0.72ミリモル添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体Bを得た。
また、得られたポリマーのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ゲル浸透クロマトグラフィーにより得られたポリスチレン換算ピーク分子量が200,000であった。
(変性重合体Cの製造)
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5g及びスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6ミリモルを加え、0.8ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、〔N,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)〕(メチル)(ジエトキシ)シランを0.36ミリモル添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体Cを得た。
また、得られたポリマーのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ゲル浸透クロマトグラフィーにより得られたポリスチレン換算ピーク分子量が200,000であった。
(変性重合体Dの製造)
変性重合体Aの製造において、「1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5g及びスチレン7.5gになるように加える」代わりに、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン66.8g(スチレンは0g)になるように加えたこと以外は、変性重合体Aの製造と同様にして、変性重合体Dを得た。
また、得られたポリマーのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が0質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が30%、ゲル浸透クロマトグラフィーにより得られたポリスチレン換算ピーク分子量が200,000であった。
(変性重合体Eの製造)
変性重合体Aの製造において、「〔N,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)〕(メチル)(ジエトキシ)シランを0.72ミリモル添加する」代わりに、〔N,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)〕(メチル)(ジエトキシ)シランを0.48ミリモル添加したこと以外は、変性重合体Aの製造と同様にして、変性重合体Eを得た。
また、得られたポリマーのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ゲル浸透クロマトグラフィーにより得られたポリスチレン換算ピーク分子量が200,000であった。
(低tanδピーク温度無変性重合体の製造)
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5g及びスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6ミリモルを加え、0.8ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
また、得られたポリマーのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ゲル浸透クロマトグラフィーにより得られたポリスチレン換算ピーク分子量が200,000であった。
(高tanδピーク温度無変性重合体の製造)
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45g及びスチレン30gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6ミリモルを加え、0.6ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で3.0時間重合を行った。
Figure 2020152914
<実施例1〜5及び比較例1〜2>
上述の表1における変性重合体A〜E、低tanδピーク温度無変性重合体、高tanδピーク温度無変性重合体を用いて、表2に示す配合処方のゴム組成物を調製し、実施例及び比較例の各サンプルを得た。
実施例及び比較例の各サンプルについて、(1)tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相へのフィラー分配率(質量%)、(2)フィラーの平均凝集塊面積(nm)、(3)tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相のドメイン周囲長(μm/4μm)、(4)低ロス性(tanδ)、(5)耐摩耗性、(6)破壊応力について評価を行った。
(1)tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相へのフィラー分配率(質量%)
ミクロトームにより切削された試料の平滑面をAFM(ASYLUM RESEARCH社製MFP−3D)を用いて、測定範囲2μm×2μmで測定した。得られた画像をヒストグラムより2種のポリマー成分とフィラー部分に3値化像に変換して得られた3値化像に基づき、2種のポリマー成分それぞれに含まれるフィラー面積を求め、フィラー総量からフィラーの分配率を算出した。フィラーが2種のポリマー成分の境界面にある場合は、各ポリマー成分とフィラーの3つが接している2点を結び、フィラーの面積を分割した。結果を表2に示す。
(2)フィラーの平均凝集塊面積(nm
フィラーの平均凝集塊面積は、例えば、FIB−SEMより、測定範囲4μm×4μmで得られた画像よりフィラー部分の凝集塊面積を求め、フィラー部分の全凝集塊表面積と凝集塊の個数から、単位面積(2μm×2μm)あたりのフィラー部分の平均凝集塊面積を数平均(相加平均)により算出した。算出に当たり、画像の端(辺)に接している粒子はカウントせず、20ピクセル以下の粒子は、ノイズと見做しカウントしなかった。結果を表2に示す。
(3)tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相のドメイン周囲長(μm/μm
ドメイン周囲長とは、ポリマー相の界面の長さを意味し、AFMより得られた画像を3値化後、フィラーに相当する部分を抜き出し、残ったポリマー相界面の長さを合計した値である。一つのポリマー相にフィラーが入っている場合は抜けた部分を埋め、フィラーが2種のポリマー成分(ポリマー相)の境界面にある場合は抜けた状態のままで算出した。結果を表2に示す。
(4)低ロス性(tanδ)
各サンプルに対して、損失正接(tanδ)を粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を用い、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzの条件で測定した。得られたtanδの値は、比較例1の値を100としたときの指数として表示した。結果を表2に示す。なお、低ロス性の指数値は、小さい程低ロス性に優れることを示す。
(5)耐摩耗性
各サンプルについて、ランボーン式摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%での摩耗量を測定した。
得られた摩耗量の値は、その逆数をとり、比較例1の値を100としたときの指数として表示した。結果を表2に示す。指数値が大きい程摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れる。
(6)破壊応力
各サンプルについて、JIS−K6251に準拠して室温で引張試験を行い、加硫したゴム組成物の破壊応力を測定し、比較例1の値を100としたときの指数として表示した。結果を表2に示す。なお、破壊応力の指数値は、大きいほど破壊応力に優れる。
Figure 2020152914
表2中に各配合成分の数値は、ゴム成分100質量部に対する質量部である。
※1:プロセスオイル、A/O MIX、三共油化工業製
※2:ニップシールAQ、東ソーシリカ製
※3:ビス−[γ−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、Si69、エボニックデグッサ製
※4:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
※5:ジベンゾチアジルジスルフィド(略号:MBTS)、ノクセラーDM−P、大内新興化学工業製
※6:ジフェニルグアニジン(略号:DPG)、ノクセラーD、大内新興化学工業製
※7:N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(略号:TBBS)、サンセラーNS−G
表2の結果から、tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相のtanδ温度分散曲線のピーク温度が−110〜−20℃であり、tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相のtanδ温度分散曲線のピーク温度が−10〜10℃であり、ゴム成分100質量部に対するフィラーの配合量が30〜130質量部であり、tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマーへのフィラー分配率が30質量%以上であり、フィラーの平均凝集塊面積が2100nm以下である実施例1〜5のゴム組成物のサンプルは、比較例1及び2のゴム組成物のサンプルに比べて、低ロス性(tanδ)及び耐摩耗性を高度に両立できることが分かった。
なお、図3は、フィラーの分配状態を示す原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)写真であり、図3Aが実施例1で調製したゴム組成物の写真であり、図3Bが比較例1で調製したゴム組成物の写真であり、図3Cが比較例2で調製したゴム組成物の写真である。
本発明によれば、低ロス性及び耐摩耗性を高度に両立することができるゴム組成物を提供でき、また、かかるゴム組成物をトレッド部材に用いることで、低ロス性及び耐摩耗性が高度に両立されたタイヤを提供することができる。

Claims (9)

  1. 2種以上のポリマー成分を含むゴム成分と、少なくともシリカを含有するフィラーとを含むゴム組成物であって、
    前記ゴム成分は、tanδ温度分散曲線のピーク温度が異なる2つ以上のポリマー相に分離しており、
    前記2つ以上のポリマー相のうちのtanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相のtanδ温度分散曲線のピーク温度が、−110〜−20℃であり、
    前記2つ以上のポリマー相のうちのtanδ温度分散曲線のピーク温度が最も高いポリマー相のtanδ温度分散曲線のピーク温度が、−10〜10℃であり、
    前記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相は、変性ポリマーを含有し、
    前記変性ポリマーにおける変性官能基は、前記フィラーに対して相互作用性を有する変性官能基であり、
    前記ゴム成分100質量部に対する前記フィラーの配合量が30〜130質量部であり、
    前記フィラーのうちの30質量%以上が、前記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相に存在し、
    前記フィラーは、平均凝集塊面積が2100nm以下であることを特徴とする、ゴム組成物。
  2. 前記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相は、ドメイン周囲長が25μm/μm以上である、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分に対する前記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相を構成するポリマーの含有量は、50〜90質量%である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記変性官能基が、含窒素官能基、含ケイ素官能基又は含酸素官能基である、請求項1に記載のゴム組成物。
  5. 前記変性ポリマーにおける変性率は、30〜100%である、請求項1又は4に記載のゴム組成物。
  6. 前記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相は、全単量体成分に対し、80〜100質量%のジエン系単量体と、0〜20質量%の芳香族ビニル化合物とを重合してなる、重合体又は共重合体からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  7. 前記ジエン系単量体が1,3−ブタジエンである、請求項6に記載のゴム組成物。
  8. 前記芳香族ビニル化合物がスチレンである、請求項6又は7に記載のゴム組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴム組成物をトレッド部材に用いたことを特徴とする、タイヤ。
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