JP2004168904A - 共役ジオレフィン共重合ゴム、該共重合ゴムの製造方法、ゴム組成物およびタイヤ - Google Patents
共役ジオレフィン共重合ゴム、該共重合ゴムの製造方法、ゴム組成物およびタイヤ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】配合する充填剤の種類および組合せによらず、加工性に優れるとともに、加硫処理を施して加硫ゴムとしたときに、ウエットスキッド特性、低ヒステリシスロス性、耐摩耗性、破壊強度のバランスに優れ、特にグリップ性能、耐摩耗性、低転がり抵抗性のバランスを兼ね備えた高性能タイヤ、競技用タイヤのトレッド用材料やサイドウォール部材として有用な共役ジオレフィン共重合ゴムを提供すること。
【解決手段】共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の共重合ゴムであって、共重合体鎖に結合した第1級アミノ基とアルコキシシリル基とを有し、かつガラス転移点(Tg)が−25℃を超え、さらに重量平均分子量が15万〜200万である共役ジオレフィン共重合ゴム。
【選択図】 なし
【解決手段】共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の共重合ゴムであって、共重合体鎖に結合した第1級アミノ基とアルコキシシリル基とを有し、かつガラス転移点(Tg)が−25℃を超え、さらに重量平均分子量が15万〜200万である共役ジオレフィン共重合ゴム。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共役ジオレフィン共重合ゴム、その製造方法、ゴム組成物およびタイヤに関する。さらに詳しくは、グリップ性能、耐摩耗性、低転がり抵抗性のバランスを兼ね備えた高性能タイヤ、競技用タイヤのトレッドを与えることができる共役ジオレフィン共重合ゴム、その製造方法、ゴム組成物およびタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車に対する低燃費化要求に伴い、タイヤ用ゴム材料として転がり抵抗が小さく、耐摩耗性、破壊特性に優れ、さらにウエットスキッド抵抗に代表される操縦安定性をも兼ね備えた共役ジオレフィン系ゴムが望まれている。
【0003】
タイヤの転がり抵抗を低減するためには、加硫ゴムのヒステリシスロスを小さくすればよく、加硫ゴムの評価指標としては50〜80℃の反撥弾性、50〜80℃のtanδ、グッドリッチ発熱などが用いられる。50〜80℃の反撥弾性が大きいか、50〜80℃のtanδあるいはグッドリッチ発熱が小さいゴム材料が好ましい。
【0004】
ヒステリシスロスの小さいゴム材料としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴムまたはポリブタジエンゴムなどが知られているが、これらはウエットスキッド抵抗性が小さいという問題がある。
【0005】
ウエットスキッド抵抗を損なうことなくヒステリシスロスを低減する方法として、炭化水素溶媒中で有機リチウム開始剤で重合された種々の構造のスチレン−ブタジエン共重合体の重合体末端に官能基を導入する方法が提案されている。重合体末端をスズ化合物で変性またはカップリングして得られるスチレン−ブタジエン共重合体[特許文献1(特開昭57−55912号公報)]、重合体末端をイソシアナート化合物などで変性したスチレン−ブタジエン共重合体が知られている[特許文献2(特開昭61−141741号公報)]。これらの変性重合体は、特にカーボンブラックを補強剤として配合した組成物において、ウエットスキッド抵抗を損なうことなくヒステリシスロスを低減し、さらに耐摩耗性、破壊特性に優れるという効果を発現する。
【0006】
一方、最近タイヤ用ゴム材料として、補強剤にシリカあるいはシリカとカーボンブラックの混合物を配合したゴム組成物を使用する方法が提案されている。シリカあるいはシリカとカーボンブラックの混合物を配合したタイヤトレッドは転がり抵抗が小さく、ウエットスキッド抵抗に代表される操縦安定性能は良いが、その反面、加硫物の引っ張り強度や耐摩耗性が低いという問題がある。上記の変性スチレン−ブタジエン共重合体はカーボンブラックを補強剤とする組成物においては、耐摩耗性、破壊特性に優れたタイヤ用ゴム材料となるが、シリカを補強剤として使用した組成物においてその改良効果は小さい。
【0007】
シリカあるいはシリカとカーボンブラックの混合物を配合した加硫物の引っ張り強度や耐摩耗性を改良する目的で、シリカと親和性のある官能基を導入した重合体を含むゴム組成物が提案されている。特許文献3(特公昭49−36957号公報)には、シリコンテトラハライドやトリハロシランなどを反応させて重合体を生成する方法が提案されている。また、特許文献4(特公昭52−5071号公報)にはハロゲン化シラン化合物で変性された重合体を製造する方法が開示されている。さらにまた、特許文献5(特開平1−188501号公報)にはアルキルシリル基、特許文献6(特開平5−230286号公報)にはハロゲン化シリル基が導入されたジエン系ゴムが開示されている。また、特許文献7(特開平7−233217号公報)には、第3級アミノ基とアルコキシシリル基が導入されたジエン系ゴムが開示されている。
【0008】
シリカあるいはシリカとカーボンブラックの混合物を配合した組成物に、これらの変性重合体を使用することで、ある程度の物性改良は見られるものの、未だ加硫物の引っ張り強度や耐摩耗性の改善は十分ではなく、また特にシリカとカーボンブラックの混合物を配合するときのカーボンブラックの比率向上に伴いヒステリシスロスの低減も十分ではなかった。また一般に、シリカ配合組成物はカーボンブラック配合組成物に対して加工性に劣り、そのため加工コストが高いという問題があった。上記したシリカと親和性のある官能基を導入した重合体を使用すると、さらにその加工性が悪化する傾向にあり好ましくなかった。
【0009】
従来知られている変性重合体は、主にカーボンブラック配合に適したものとシリカ配合物に適したものに類別され、タイヤなどを製造するときにはその補強剤の種類を変更すると、使用するゴムを選択しなおす必要があった。さらに、シリカとカーボンブラックの混合物を配合するときには、いずれの変性重合体を使用してもその効果は、シリカとカーボンブラックの混合比に相関して増加あるいは低減していた。
【0010】
また、カーボンブラック配合においてもシリカ配合においても、効果的な変性重合体として、アミノ基の導入された重合体が考えられる。カーボンブラック配合については(1)リチウムアミド開始剤を用いて重合末端にアミノ基が導入された重合体[特許文献8〜12(特開昭59−38209号、特公平5−1298号、特開平6−279515号、特開平6−199923号、特開平7−53616号の各公報)]、(2)有機リチウム開始剤で重合された種々の構造のスチレン−ブタジエン共重合体の重合体末端を尿素化合物特許文献13(特開昭61−27338号公報)]、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物[特許文献14〜15(特開昭58−162604号公報および特開昭58−189203号公報)]、ラクタム化合物[特許文献16(特開昭61−43402号公報)]などの含窒素化合物で変性して得られる重合体が提案されている。また、シリカ配合用重合体として、特許文献17〜19(特開平1−101344号公報、特開昭64−22940号公報および特開平9−71687号公報)にアミノ基が導入されたジエン系ゴムが提案されている。
【0011】
【特許文献1】
特開昭57−55912号公報
【特許文献2】
特開昭61−141741号公報
【特許文献3】
特公昭49−36957号公報
【特許文献4】
特公昭52−5071号公報
【特許文献5】
特開平1−188501号公報
【特許文献6】
特開平5−230286号公報
【特許文献7】
特開平7−233217号公報
【特許文献8】
特開昭59−38209号公報
【特許文献9】
特公平5−1298号公報
【特許文献10】
特開平6−279515号公報
【特許文献11】
特開平6−199923号公報
【特許文献12】
特開平7−53616号公報
【特許文献13】
特開昭61−27338号公報
【特許文献14】
特開昭58−162604号公報
【特許文献15】
特開昭58−189203号公報
【特許文献16】
特開昭61−43402号公報
【特許文献17】
特開平1−101344号公報
【特許文献18】
特開昭64−22940号公報
【特許文献19】
特開平9−71687号公報
【0012】
これらの方法で得られた重合体は、カーボンブラック配合・シリカ配合のそれぞれの配合において、種々の物性の改良をある程度までは達成した。しかしながら、上記文献では、主に重合体にアミノ基を導入する方法を詳細に述べており、重合体そのものの構造と各性能の関係については、一般的な事項以上には言及されていなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、新規な共役ジオレフィン共重合ゴムを提供することにある。本発明の他の目的は、カーボンブラック配合・シリカ配合のいずれの配合においても良好な加工性を有し、耐摩耗性、破壊特性を損なうことなく低ヒステリシスロス性、ウエットスキッド特性が同時に改良されるかあるいはウエットスキッド特性を損なうことなく、低ヒステリシスロス性、耐摩耗性および破壊特性が同時にバランスよく改良され、特にグリップ性能、耐摩耗性、低転がり抵抗性のバランスを兼ね備えた高性能タイヤ、競技用タイヤのトレッドを与えることができる共役ジオレフィン共重合ゴムを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムを製造する工業的に有利な方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムを含有する上記の如き諸特性を有するゴム組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本発明のゴム組成物をタイヤトレッド部材またはサイドウォール部材に用いたタイヤを提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の共重合ゴムであって、共重合体鎖に結合した第1級アミノ基とアルコキシシリル基とを有し、かつガラス転移点(Tg)が−25℃以下を超え、さらに重量平均分子量が15万〜200万であることを特徴とする共役ジオレフィン共重合ゴムによって達成される。
なお、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムは、芳香族ビニル化合物の重合単位の含有量が共重合ゴムの30重量%を超え、共役ジオレフィンの重合単位の含有量が共重合ゴムの70重量%以下であり、共重合可能な第3モノマーの重合単位の含有量が共重合ゴムの0重量%以上25重量%未満であり、そして、ビニル結合含有量が共役ジオレフィンの重合単位の50モル%を超えるものが望ましい。
【0015】
本発明の上記目的および利点は、第2に、炭化水素溶媒中で、有機アルカリ金属および有機アルカリ土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を開始剤として用いて、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物をアニオン重合させた後、その重合活性末端と下記式(3)
【0016】
【化7】
【0017】
ここで、R1は炭素数1〜12のアルキレン基であり、R2およびR3は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基であり、R4,R5およびR6は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基であるかあるいはそれらの2つは互いに結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって環を形成してもよく、gは1〜2の整数であり、そしてfは1〜10の整数である、
または下記式(4)
【0018】
【化8】
【0019】
ここで、R1,R2,R3,R4,R5およびR6の定義は上記式(3)に同じであり、そしてeは1〜2の整数である、
で表される少なくとも1つのアミノ基含有アルコキシシラン化合物を反応させ、しかる後加水分解することを特徴とする本発明の上記共役ジオレフィン共重合ゴムを製造する方法(以下、第1製造法という)によって達成される。
【0020】
本発明の上記目的および利点は、第3に、炭化水素溶媒中で、下記式(5)
(R4R5R6Si)2−N−R1−Li (5)
ここで、R1,R4,R5およびR6の定義は、上記式(3)に同じである、
または下記式(6)
【0021】
【化9】
【0022】
ここで、R1の定義は上記式(3)に同じであり、R7およびR8は、各々独立に水素または炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基であり、そしてdは1〜7の整数である、
で表されるリチウムアミド開始剤を用いて、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物をアニオン重合させた後、その重合活性末端と
下記式(7)
【0023】
【化10】
【0024】
ここで、R2およびR3の定義は上記式(3)に同じであり、Xはハロゲン原子であり、cは0〜2の整数であり、そしてbは1〜4の整数である、ただしc+bは2〜4の整数である、
で表されるアルコキシシラン化合物を反応させ、しかる後、加水分解することを特徴とする本発明の上記共役ジオレフィン共重合ゴムを製造する方法(以下、第2製造法という)によって達成される。
【0025】
本発明の上記目的および利点は、第4に、本発明の上記共重合ゴム100重量部に対し、伸展油10〜100重量部を含有することを特徴とする油展共重合ゴムによって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第5に、本発明の上記共重合ゴムを全ゴム成分の30重量%以上で含有する全ゴム成分100重量部に対し、フィラーを20〜120重量部含有するゴム組成物によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、最後に、本発明の上記ゴム組成物をトレッド部材またはサイドウォール部材に用いたタイヤによって達成される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳述する。
本発明の共重合ゴムは、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを共重合して得られた共重合体であって、第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有することを特徴としている。
【0027】
共重合ゴムに結合する第1級アミノ基の含有量は、好ましくは0.5〜200mmol/kg・共重合ゴムポリマーである。同含有量は、さらに好ましくは1〜100mmol/kg・共重合ゴムポリマーであり、特に好ましくは2〜50mmol/kg・共重合ゴムポリマーである。ここで,共重合ゴムポリマーとは、製造時または製造後、添加される老化防止剤などの添加剤を含まないポリマーのみの重量を意味する。
【0028】
第1級アミノ基は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制してヒステリシスロス特性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
【0029】
また、ポリマー鎖に結合する第1級アミノ基の数が200mmol/kg・共重合ゴムポリマーを超えると、カーボンブラックやシリカなどの補強剤との相互作用が高くなりすぎて、配合粘度が向上して加工性が悪化する。一方、第1級アミノ基の数が0.5mmol/kg・共重合ゴムポリマー未満では、第1級アミノ基を導入した効果が発現し難くなる。すなわち、得られる共重合ゴムのヒステリシスロス特性、耐摩耗性、破壊特性の改良が十分ではなく、好ましくない。
【0030】
また、共重合ゴムに結合するアルコキシシリル基の含有量は、好ましくは0.5〜200mmol/kg・共重合ゴムポリマーである。同含有量は、さらに好ましくは1〜100mmol/kg・共重合ゴムポリマーであり、特に好ましくは2〜50mmol/kg・共重合ゴムポリマーである。
【0031】
アルコキシシリル基は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制してヒステリシスロス特性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
【0032】
また、ポリマー鎖に結合するアルコキシシリル基の数が200mmol/kg・共重合ゴムポリマーを超えると、カーボンブラックやシリカなどの補強剤との相互作用が高くなりすぎて、配合粘度が向上して加工性が悪化する。一方、アルコキシシリル基の数が0.5mmol/kg・共重合ゴムポリマー未満では、アルコキシシリル基を導入した効果が発現しなくなる。すなわち、得られる共重合ゴムのヒステリシスロス特性、耐摩耗性、破壊特性の改良が十分ではなく、好ましくない。
【0033】
本発明の共重合ゴムは、第1製造法によれば、炭化水素溶媒中で、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを、有機アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を重合開始剤としてアニオン重合せしめ、重合が実質的に完了した時点で、保護された1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物を添加してリビング重合鎖末端に反応せしめ、次いで脱保護(加水分解)することにより製造することができる。本製造法であれば、(1)一段反応で容易に第1級アミノ基とアルコキシシリル基を同時に導入することができ、(2)高い導入率を得ることが可能である。
【0034】
保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物としては、例えば下記式(3)または下記式(4)
【0035】
【化11】
【0036】
【化12】
【0037】
で表される化合物を挙げることができる。
【0038】
上記式(3)において、R1の炭素数1〜12のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基およびプロピレン基を挙げることができる。
【0039】
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基およびプロピル基を挙げることができる。
【0040】
アリール基としては、例えばフェニル基、トルイル基およびナフチル基を挙げることができる。
【0041】
また、R4,R5およびR6の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって形成する環は、4〜7員環であることができる。
【0042】
また、アミノ基の保護基としては、アルキルシリル基を挙げることができる。アルキルシリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基およびエチルメチルフェニルシリル基を挙げることができる。
【0043】
保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物としては、例えばN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシランおよびN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシランなどを挙げることができ、好ましくは、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランまたは1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンである
【0044】
リビング重合鎖末端、例えば
【0045】
P− Li+
【0046】
とN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシランの反応は、下記反応式
【0047】
【化13】
【0048】
で表すことができる。なお、Pは、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の共重合体鎖を示している。
【0049】
同様に、リビング重合体鎖末端と1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンとの反応は、下記式
【0050】
【化14】
【0051】
で表すことができる。また、上記シラシクロペンタンは2分子のリビング重合体鎖末端と反応することができ、そのときには下記反応式
【0052】
【化15】
【0053】
で表すことができる。
【0054】
また、本発明の共重合ゴムは、第2製造法によれば、炭化水素溶媒中で、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物を、下記式(5)
(R4R5R6Si)2−N−R1−Li (5)
ここで、R1,R4,R5およびR6の定義は、上記式(3)に同じである、
または下記式(6)
【0055】
【化16】
【0056】
ここで、R1の定義は上記式(3)に同じであり、R7およびR8は、各々独立に水素または炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基であり、そしてdは1〜7の整数である、
で表されるリチウムアミド開始剤を用いて、アニオン重合せしめ、重合が実質的に完了した時点で、下記式(7)
【0057】
【化17】
【0058】
ここで、R2およびR3の定義は上記式(3)に同じであり、Xはハロゲン原子であり、cは0〜2の整数であり、そしてbは1〜4の整数である、ただしc+bは2〜4の整数である、
で表されるアルコキシシラン化合物を添加してリビング重合鎖末端に反応せしめ次いで脱保護(加水分解)せしめることにより製造することができる。
【0059】
本発明の共重合ゴムは、上記反応例から理解できるとおり、
下記式(1)
【0060】
【化18】
【0061】
ここで、Pは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物との共重合体鎖であり、R1は炭素数1〜12のアルキレン基であり、R2およびR3は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基であり、nは1〜2の整数であり、mは1〜2の整数であり、そしてkは1〜2の整数である、ただしn+m+kは3〜4の整数である、
または下記式(2)
【0062】
【化19】
【0063】
ここで、P,R1,R2およびR3の定義は上記式(1)に同じであり、jは1〜3の整数であり、そしてhは1〜3の整数である、ただしj+hは2〜4の整数である、
で表されるものが好ましい。
【0064】
本発明の共重合ゴムは、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物および場合により共重合可能な第3モノマーとを共重合して得られた共重合体であって、上記のとおり、第1級アミノ基およびアルコキシシリル基を有していることを特徴とする。
【0065】
本発明で使用する共役ジオレフィンとしては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよびこれらの混合物などが好ましく用いられる。共役ジオレフィンの使用量は、通常、全単量体中に70重量%以下、好ましくは50〜70重量%である。
【0066】
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、tert−ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、2−t−ブチルスチレン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、ビニルピリジンおよびこれらの混合物などを挙げることができる。
これらのうち、スチレンが特に好ましい。
芳香族ビニル化合物の使用量は、通常、全単量体中に30重量%を超え、好ましくは50重量%以下である。
【0067】
また、第3モノマーとしては、例えばアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチルおよびアクリル酸ヒドロキシエチルを挙げることができる。
第3モノマーの使用量は、通常、全単量体中に25重量%未満、好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0068】
本発明の共重合ゴムは、芳香族ビニル化合物の重合単位の含有量が共重合ゴムの30重量%を超え、共役ジオレフィンの重合単位の含有量が共重合ゴムの70重量%以下であり、共重合可能な第3モノマーの重合単位の含有量が共重合ゴムの0重量%以上25重量%未満であり、そして、ビニル結合含有量が共役ジオレフィンの重合単位の50モル%を超えるものが望ましい(以下、第1共重合ゴムということがある)。第1共重合ゴムは、高性能タイヤや競技用タイヤとして有用である。
【0069】
本発明の上記第1共重合ゴムにあっては、重合体鎖中に結合した結合芳香族ビニル化合物の含量は、共重合ゴムに基づいて、上記のとおり30重量%を超え、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは45重量%以下である。結合芳香族ビニル化合物の含量が30重量%以下では、グリップ性能、ウエットスキッド特性、耐摩耗性が悪化する。なお、50重量%を超えるとヒステリシスロスが大きくなる。
【0070】
また、共役ジオレフィンの重合単位の含有量は、70重量%以下、好ましくは50〜70重量%であり、さらに好ましくは55〜70重量%である。
さらに、本発明の第1共重合ゴムにおける第3モノマーの使用量は、25重量%未満、好ましくは15重量%以下である。
【0071】
さらにまた、共役ジオレフィンの重合単位におけるビニル結合(1,2−結合および/または3,4−結合)含量は、本発明の第1共重合ゴムにあっては、共役ジオレフィンの重合単位に基づいて、50モル%を超え、好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは50モル%を超え、60モル%以下である。ビニル結合含量が50モル%以下では、ヒステリシスロスとウエットスキッド特性のバランスが悪化する。また、通常の芳香族ビニル化合物と共役ジオレフィンの共重合体の合成法で、90モル%を超えることは困難である。
【0072】
次に、第1製造法について説明する。
本発明の共重合ゴムを得るための、重合反応および保護された1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物との反応は、通常、0〜120℃の温度範囲で行われ、一定温度条件下でも上昇温度条件下でもよい。保護された第1級アミノ基を脱保護させるための加水分解は、80〜150℃、好ましくは90〜120℃の温度範囲で、保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物の2倍モル以上の水もしくは酸性水などを添加し、10分間以上、好ましくは30分間以上反応させることにより行われる。重合方式は、バッチ重合方式または連続重合方式のいずれでもよい。
【0073】
重合に使用される有機アルカリ金属および有機アルカリ土類金属の開始剤の例としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、1,4−ジリチオブタンなどのアルキレンジリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、リチウムナフタレン、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、n−ブチルマグネシウム、n−ヘキシルマグネシウム、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウムなどが挙げられる。
【0074】
また、上記開始剤としての有機アルカリ金属は、第2級アミン化合物または第3級アミン化合物との反応生成物として共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の共重合に使用することができる。上記第2級アミン化合物または第3級アミン化合物と反応させる有機アルカリ金属としては、有機リチウム化合物が好ましい。より好ましくは、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムが用いられる。
【0075】
有機アルカリ金属と反応させる第2級アミン化合物の例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジアリルアミン、モルホリン、ピペラジン、2,6−ジメチルモルホリン、2,6−ジメチルピペラジン、1−エチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1−ベンジルピペラジン、ピペリジン、3,3−ジメチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、1−メチル−4−(メチルアミノ)ピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、アゼチジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、5−ベンジルオキシインドール、3−アザスピロ[5,5]ウンデカン、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、カルバゾールなどが挙げられる。
【0076】
また、有機アルカリ金属と反応させる第3級アミン化合物の例としては、N,N−ジメチル−o−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン、ベンジルジプロピルアミン、ベンジルジブチルアミン、(o−メチルベンジル)ジメチルアミン、(m−メチルベンジル)ジメチルアミン、(p−メチルベンジル)ジメチルアミン、N,N−テトラメチレン−o−トルイジン、N,N−ヘプタメチレン−o−トルイジン、N,N−ヘキサメチレン−o−トルイジン、N,N−トリメチレンベンジルアミン、N,N−テトラメチレンベンジルアミン、N,N−ヘキサメチレンベンジルアミン、N,N−テトラメチレン(o−メチルベンジル)アミン、N,N−テトラメチレン(p−メチルベンジル)アミン、N,N−ヘキサメチレン(o−メチルベンジル)アミン、N,N−ヘキサメチレン(p−メチルベンジル)アミンなどが挙げられる。
【0077】
また、重合には、必要に応じて、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2,2−(ビステトラヒドロフルフリル)プロパン、ビステトラヒドロフルフリルホルマール、テトラヒドロフルフリルアルコールのメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのブチルエーテル、α−メトキシテトラヒドロフラン、ジメトキシベンゼン、ジメトキシエタンなどのエーテル化合物および/またはトリエチルアミン、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、N,N−ジエチルエタノールアミンのメチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのエチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのブチルエーテルなどの第3級アミン化合物を、重合系中に添加して、共役ジオレフィン共重合ゴムの共役ジオレフィン部分のミクロ構造(ビニル結合含量)を調整することができる。
【0078】
本発明の共重合ゴムを重合する際に使用される炭化水素溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。これらのうちシクロヘキサン、ヘプタンが好ましい。
【0079】
本発明で使用される開始剤の反応性を向上させようとする場合、あるいは重合体中に導入される芳香族ビニル化合物をランダムに配列するかまたは芳香族ビニル化合物の単連鎖を付与させようとする場合に、重合開始剤とともにカリウム化合物を添加してもよい。重合開始剤とともに添加されるカリウム化合物としては、例えばカリウムイソプロポキシド、カリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−アミロキシド、カリウム−n−ヘプタオキシド、カリウムベンジルオキシド、カリウムフェノキシドに代表されるカリウムアルコキシド、カリウムフェノキシド;イソバレリアン酸、カプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレイン酸、安息香酸、フタル酸、2−エチルヘキサン酸などのカリウム塩;ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸などの有機スルホン酸のカリウム塩;亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジラウリルなどの、有機亜リン酸部分エステルのカリウム塩などが用いられる。
【0080】
これらのカリウム化合物は、開始剤のアルカリ金属1グラム原子当量あたり、0.005〜0.5モルの量で添加できる。0.005モル未満では、カリウム化合物の添加効果(開始剤の反応性向上、芳香族ビニル化合物のランダム化または単連鎖付与)が現れず、一方0.5モルを超えると、重合活性が低下し、生産性を大幅に低下させることになるとともに、重合体末端を官能基で変性する反応を行なう際の変性効率が低下する。
【0081】
なお、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムは、GPCで測定される分子量分布がポリモーダル型でも、あるいは、該分子量分布がモノモーダル型で、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.3〜4.0であってもよい。
以下、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムについて、ポリモーダル型とモノモーダル型について、それぞれ、分けて説明する。
【0082】
本発明の共重合ゴムは、GPCで測定される分子量分布が多峰性(ポリモーダル型)であることを一方の特徴とする。分子量分布が単峰性(モノモーダル型)で分子量分布が狭い(Mw/Mnが1.3未満)と、補強剤やその他の配合剤と配合したときの粘度が高くなり、加工性が悪化する。配合物の加工性の悪化は、加工コストを高くするのみならず、補強剤やその他の配合剤の分散不良を引き起こし、配合物の物性低下につながる。配合物の粘度を低下させる目的で、生ゴムの分子量を低下させると、低ヒステリシスロス性が悪化するとともに、ゴムの粘着性が高くなりハンドリングが悪くなり、またコールドフローが大きくなって貯蔵安定性が悪化する。また、分子量分布が単峰性(モノモーダル型)で分子量分布が広いと(Mw/Mnが4.0を超える)、低分子量成分が増加して、低ヒステリシスロス性能・耐摩耗性能が悪化する。
【0083】
本発明の共重合ゴムのGPCで測定される分子量分布を多峰性(ポリモーダル型)にする方法には特に限定されないが、例えば以下の方法がある。
方法(1):共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを共重合したのち、重合転化率が90%〜100%になった時点で、式(3),(4)に示すカップリング剤に加えて、他の官能性の特定のカップリング剤を添加して、該カップリング剤と一部の重合体の活性末端とを反応させて分子量をジャンプさせる。カップリング剤の添加量を調節することで分子量をジャンプさせた重合体と、特定カップリンッグ剤と反応しない重合体との量をコントロールして、分子量分布を多峰性にすることができる。
方法(2):共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを共重合させる際、少量の多官能性モノマーを存在させておく。多官能性性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、ジ−iso−プロペニルベンゼンなどが挙げられ、その添加量は、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の合計100重量部に対し、0.001〜10重量部、好ましくは0.003〜3重量部である。
方法(3):共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを共重合させる際に、重合転化率が50%以下の時点で、重合活性末端の一部を失活させうる試薬(いわゆる重合停止剤)を添加する。失活していない重合末端は、さらに残ったモノマーを重合するので、失活した重合体より分子量が増大し、分子量分布が多峰性となる。
【0084】
これらのうち、方法(1)のカップリング剤を添加する方法が、重合体の物性面からも、生産性の面からも好ましい。重合転化率が90%〜100%になった時点で、重合活性末端に反応させる特定のカップリング剤としては、後記する(a)イソシアナート化合物および/またはイソチオシアナート化合物、(b)アミド化合物および/またはイミド化合物、(c)ピリジル置換ケトン化合物および/またはピリジル置換ビニル化合物、(d)ケイ素化合物、(e)エステル化合物、(f)ケトン化合物ならびに(g)スズ化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0085】
他方、本発明の共重合ゴムは、GPCで測定される分子量分布が、単峰性(モノモーダル型)で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.3〜4.0、好ましくは1.5〜3.0、さらに好ましくは1.5〜2.5であってもよい。
【0086】
分子量分布が単峰性(モノモーダル型)である場合、分子量分布が狭い(Mw/Mnが1.3未満)と、補強剤やその他の配合剤と配合したときの粘度が高くなり、加工性が悪化する。配合物の加工性の悪化は、加工コストを高くするのみならず、補強剤やその他の配合剤の分散不良を引き起こし、配合物の物性低下につながる。配合物の粘度を低下させようとして、生ゴムの分子量を低下させると、配合物の低ロス性が悪化するとともに、ゴムの粘着性が高くなりハンドリングが悪く、またコールドフローが大きくなって貯蔵安定性が悪化する。
【0087】
本発明の共重合ゴムの分子量分布を、単峰性(モノモーダル型)で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnを1.3〜4.0にする方法は特に限定されないが、例えば以下の方法がある。
【0088】
(方法1):重合系中に溶剤、モノマー、上記重合開始剤、必要に応じてエーテル化合物、3級アミン化合物を連続的にチャージしながら重合する[連続重合方式]。
(方法2):あらかじめ重合系中に溶剤、重合開始剤、必要に応じてエーテル化合物、3級アミン化合物を仕込んでおき、モノマーのみを連続的または断続的ににチャージして重合させる方法[モノマー連続添加方式]。
【0089】
上記モノモーダル型の共役ジオレフィン共重合ゴムにおいても、全共重合体鎖の少なくとも5%以上で50%を超えない重合体鎖の重合終了末端が、後記(a)イソシアナート化合物および/またはイソチオシアナート化合物、(b)アミド化合物および/またはイミド化合物、(c)ピリジル置換ケトン化合物および/またはピリジル置換ビニル化合物、(d)ケイ素化合物、(e)エステル化合物、(f)ケトン化合物ならびに(g)スズ化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(カップリング剤)によって変性もしくはカップリングさせていることが、重合体の物性面(たとえばヒステリシスロスを低減させる、あるいは耐摩耗性・破壊強度を良好にする)からも、生産性の面からも好ましい。
なお、分子量分布の広いモノモーダル型の本発明の共重合ゴムを重合終了前にカップリングしても、分子量分布が広いために、ポリモーダル型とはならず、モノモーダル型を維持する。
【0090】
このように、本発明で使用されるアミノ基含有アルコキシシラン化合物と併用して上記カップリング剤を添加することも可能である。上記カップリング剤の具体例は、以下のとおりである。
【0091】
すなわち、アミノ基含有アルコキシシラン化合物と併用して、重合活性末端に反応させるカップリング剤としては、(a)イソシアナート化合物および/またはイソチオシアナート化合物、(b)アミド化合物および/またはイミド化合物、(c)ピリジル置換ケトン化合物および/またはピリジル置換ビニル化合物、(d)ケイ素化合物、(e)エステル化合物、(f)ケトン化合物ならびに(g)スズ化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0092】
これらの化合物のうち、(a)成分であるイソシアナート化合物またはチオイソシアナート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメリックタイプのジフェニルメタンジイソシアナート(C−MDI)、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、1,3,5−ベンゼントリイソシアナート、フェニル−1,4−ジイソチオシアナートなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0093】
(b)成分であるアミド化合物またはイミド化合物の具体例としては、コハク酸アミド、フタル酸アミド、N,N,N’,N’−テトラメチルフタル酸アミド、オキサミド、N,N,N’,N’−テトラメチルオキサミドなどのアミド化合物、コハク酸イミド、N−メチルコハクイミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミドなどのイミド化合物を好ましいものとして挙げることができる。
【0094】
(c)成分であるピリジル置換ケトン化合物またはピリジル置換ビニル化合物の具体例としては、ジベンゾイルピリジン、ジアセチルピリジン、ジビニルピリジンなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0095】
(d)成分であるケイ素化合物の具体例としては、ジブチルジクロロケイ素、メチルトリクロロケイ素、メチルジクロロケイ素、テトラクロロケイ素、トリエトキシメチルシラン、トリフェノキシメチルシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、4,5−エポキシヘプチルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイドなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0096】
(e)成分であるエステル化合物の具体例は、アジピン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル、グルタル酸ジエチル、マレイン酸ジエチルなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0097】
(f)成分であるケトン化合物の具体例としては、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラエチル(4,4’−ジアミノ)−ベンゾフェノン、N,N−ジメチル−1−アミノベンゾキノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノベンゾキノン、N,N−ジメチル−1−アミノアントラキノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノアントラキノンなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0098】
(g)成分であるスズ化合物の具体例としては、テトラクロロスズ、テトラブロムスズ、トリクロロブチルスズ、トリクロロメチルスズ、トリクロロオクチルスズ、ジブロムジメチルスズ、ジクロロジメチルスズ、ジクロロジブチルスズ、ジクロロジオクチルスズ、1,2−ビス(トリクロロスタニル)エタン、1,2−ビス(メチルジクロロスタニルエタン)、1,4−ビス(トリクロロスタニル)ブタン、1,4−ビス(メチルジクロロスタニル)ブタン、エチルスズトリステアレート、ブチルスズトリスオクタノエート、ブチルスズトリスステアレート、ブチルスズトリスラウレート、ジブチルスズビスオクタノエート、ジブチルスズビスステアレート、ジブチルスズビスラウレートなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0099】
アミノ基含有アルコキシシラン化合物と併用して、重合活性末端に反応させるこれらの化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を併用して用いることもできる。
【0100】
上記カップリング剤の使用量は、開始剤のアルカリ金属1グラム原子当量あたり、0.05〜50モル、好ましくは0.1〜30モルの量で添加できる。0.05モル未満では、得られるゴム組成物の物性が劣り、またコールドフローが大きくなって貯蔵安定性が悪化する。一方、50モルを超えると、本発明の共重合ゴムを得るために必要な式(3),(4)に記載の化合物の反応率が低下し、期待する性能が得られない。
なお、上記カップリング剤による全共重合体鎖におけるカップリング率は、通常、5%以上、好ましくは10〜35%である。
【0101】
次に、本発明の第2製造法について説明する。
本発明の共重合ゴムを得るための、第1級アミノ基が保護されたリチウムアミド開始剤による重合反応、およびアルコキシシラン化合物との反応は、通常、0〜120℃の温度範囲で行われ、一定温度条件下でも上昇温度条件下でもよい。保護された第1級アミノ基を脱保護させるための加水分解は、80〜150℃、好ましくは90〜120℃の温度範囲で、第1級アミノ基が保護されたリチウムアミド開始剤の2倍モル以上の水もしくは酸性水などを添加し、10分間以上、好ましくは30分間以上反応させることにより行われる。重合方式は、バッチ重合方式または連続重合方式のいずれでもよい。
【0102】
なお、第2製造法について、ここに記載のない事項は、第1製造法について記載した事項がそのままあるいは当業者に自明の変更を加えて適用されると理解されるべきである。
【0103】
上記式(5)で表されるリチウムアミド開始剤としては、例えば3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−1−プロピルリチウム、3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−2−メチル−1−プロピルリチウム、3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−2,2−ジメチル−1−プロピルリチウム、4−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−1−ブチルリチウム、5−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−1−ペンチルリチウム、8−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−1−オクチルリチウムを挙げることができる。
また、上記式(6)で表されるリチウムアミド開始剤としては、例えば3−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−プロピルリチウム、2−メチル−3−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−プロピルリチウム、2,2−ジメチル−3−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−プロピルリチウム、4−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−ブチルリチウム、6−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−ヘキシルリチウムを挙げることができる。
【0104】
また、上記リチウムアミド開始剤は、対応するハライドと有機リチウム化合物を炭化水素溶媒中で反応させた合成体を使用してもよい。なお、ハライドと有機リチウムの反応は、重合リアクターと別の反応容器にて予め実施してもよい。
【0105】
上記リチウムアミド開始剤に対応するハライドとしては、下記式(8)
(R4R5R6Si)2−N−R1−X (8)
ここで、R1、R4、R5およびR6の定義は、上記式(3)に同じである、Xはハロゲン原子である、
または下記式(9)
【0106】
【化20】
【0107】
ここで、R1の定義は上記式(3)に同じであり、R7,R8は、各々独立に水素または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基であり、dは1〜7の整数である、
を挙げることができる。
【0108】
さらに、上記式(7)で表されるアルコキシシラン化合物としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラトルイロキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、アリルトリフェノキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリプロポキシクロロシラン、トリブトキシクロロシラン、トリフェノキシクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ジプロポキシジクロロシラン、ジフェノキシジクロロシランを挙げることができる。
【0109】
以上のようにして得られる本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムのガラス転移点(Tg)は、−25℃を超え、好ましくは−23℃〜+10℃、さらに好ましくは−20℃〜+5℃である。ここで、ガラス転移点は、ASTM D3418にしたがって求めた値である。本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムのガラス転移温度を−25℃を超えるものとすることにより、高ガラス転移点を有するものとなり、得られるタイヤ用ゴム組成物のグリップ性能が向上する。通常の共役ジオレフィン共重合ゴムも、高ガラス転移点化により、グリップ性能は向上するが、一方、耐摩耗性や低転がり抵抗性が悪化する。しかしながら、本発明の共重合ゴムは、上記のように、「1級アミノ基とアルコキシシリル基」で変性されているので、ゴム/フィラーとの相互作用の向上で、耐摩耗性も向上し、さらに低転がり抵抗性も改良され、その結果、高性能タイヤや競技用タイヤとして有用である。
ここで、上記共重合ゴムのガラス転移温度を−25℃を超えるものとするには、芳香族ビニル化合物の重合単位の含有量、および共役ジオレフィンの重合単位におけるビニル結合含量により、容易に調整することができる。
【0110】
また、本発明で得られる共重合ゴムの重量平均分子量は、15万〜200万、好ましくは15万〜170万である。15万未満では、得られるゴム組成物の破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性などが充分ではなく、一方、200万を超えると、加工性に劣り、また混練り時のフィラー分散性が悪化し、破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性、ウエットスキッド性が悪化する。
【0111】
なお、本発明で得られる共重合ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は20〜200の範囲であることが好ましく、20未満では破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性が悪化し、一方、200を超えると加工性が低下する。また、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が100を超えた重合体もそのままでは加工性に劣り好ましくないが、芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどの伸展油や重量平均分子量が15万以下の液状ポリマーを添加することで、ムーニー粘度を100以下に下げて、加工上問題なく使用できるようにすることもできる。用いられる伸展油としては、ジエン系ゴムに通常用いられる伸展油や軟化剤であれば特に制限されないが、鉱物油系の伸展油が好ましく用いられる。一般的に、鉱物油の伸展油は、芳香族系オイル、脂環族系オイル、および脂肪族系オイルの混合物であり、これらの量割合によって芳香族系(アロマティック系)、脂環族系(ナフテン系)、脂肪族系(パラフィン系)と分類されており、いずれのものも使用することができる。伸展油としては、好ましくは粘度比重恒数(または粘度比重定数という。以下、V.G.C.と略す。)で0.790〜1.100、好ましくは0.790〜1.049、さらに好ましくはV.G.C.が0.790〜0.999、特に好ましくはV.G.C.が0.790〜0.949のものである。なかでも、粘度比重恒数(V.G.C.値)が0.900〜1.049の芳香族系鉱物油(アロマティックオイル)および0.800〜0.899の脂肪族系鉱物油(ナフテニックオイル)が、低ヒステリシスロス性/ウェットスキッド抵抗の点から好ましく用いられる。
【0112】
このうち、上記粘度比重恒数を満たすアロマティック系伸展油としては、出光興産(株)製の、ダイアナプロセスオイルAC−12,AC460,AH−16,AH−58、エクソンモービル(有)製の、モービルゾールK,同22,同130、日鉱共石(株)製の、共石プロセスX50,X100,X140、シェル化学(株)製の、レゾックスNo.3、デュートレックス729UK、日石三菱(株)〔旧日本石油(株)〕製の、コウモレックス200,300,500,700、エクソンモービル(有)製の、エッソプロセスオイル110,同120、日石三菱(株)〔旧三菱石油(株)〕製の、三菱34ヘビープロセス油、三菱44ヘビープロセス油、三菱38ヘビープロセス油、三菱39ヘビープロセス油などが挙げられる。
【0113】
また、上記粘度比重恒数を満たすナフテン系伸展油としては、出光興産(株)製の、ダイアナプロセスオイルNS−24,NS−100,NM−26,NM−280,NP−24、エクソンモービル(有)製のナプレックス38、富士興産(株)製の、フッコールFLEX#1060N,#1150N,#1400N,#2040N,#2050N、日鉱共石(株)製の、共石プロセスR25,R50,R200,R1000、シェル化学(株)製の、シェルフレックス371JY,同371N,同451,同N−40,同22,同22R,同32R,同100R,同100S,同100SA,同220RS,同220S,同260,同320R,同680、日石三菱(株)〔旧日本石油(株)〕製のコウモレックス2号プロセスオイル、エクソンモービル(有)製の、エッソプロセスオイルL−2,同765、日石三菱(株)〔旧三菱石油(株)〕製の三菱20ライトプロセス油などが挙げられる。
【0114】
さらに、上記粘度比重恒数を満たすパラフィン系伸展油としては、出光興産(株)製の、ダイアナプロセスオイルPW−90,PW−380,PS−32,PS−90,PS−430、富士興産(株)製の、フッコールプロセスP−100,P−200,P−300,P400,P−500、日鉱共石(株)製の、共石プロセスP−200,P−300,P−500,共石EPT750,同1000,共石プロセスS90、シェル化学(株)製の、ルブレックス26,同100,同460、エクソンモービル(有)製の、エッソプロセスオイル815,同845,同B−1、エクソンモービル(有)製のナプレックス32、日石三菱(株)〔旧三菱石油(株)〕製の三菱10ライトプロセス油などが挙げられる。
【0115】
このように、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムが伸展油によって油展されていることにより、カーボンブラック、シリカなどの充填剤を該共重合ゴムに均一に微分散させることが可能になり、加工性、加硫物の諸特性を著しく向上させることができる。また、これにより、驚くべきことに、得られる油展共重合ゴムや加硫物の機械的強度、特に耐摩耗性を向上させることができる。
【0116】
本発明に用いられる伸展油の配合量は、共役ジオレフィン共重合ゴム100重量部に対して、10〜100量部、好ましくは15〜90重量部である。10重量部未満では、耐摩耗性向上効果や加工性に乏しく、一方、100重量部を超えると、著しく軟質化し加工性に劣る。
【0117】
油展方法としては特に制限はなく、例えば、上記共重合ゴムの重合溶液に伸展油を添加し、溶液状態で混合する方法を挙げることができる。この方法は、操作上、共重合ゴムと伸展油とを混合する過程を省略することができ、両者の混合均一性に優れる点から好ましい。重合溶液に伸展油を添加する場合は、重合の終了後、例えば、末端変性剤の添加後または重合停止剤の添加後が好ましい。有機溶剤を含む重合体溶液中に、伸展油を必要量添加して、溶液状態でよく混合する(第1工程)。次に、▲1▼伸展油を含む重合体溶液中にスチームを吹き込むスチームストリッピング法によってクラムを得るか、あるいは▲2▼伸展油を含む重合体溶液をエクストルーダー、デボラチライザーなどの手段により、直接、脱溶剤を行なって、油展1,2−ポリブタジエンと溶剤とを分離する(第2工程)。得られた未乾燥の油展共重合ゴムは、必要に応じて、真空乾燥機、熱風乾燥機やロールなどにより乾燥し(第3工程)、目的とする油展共重合ゴムを単離することができる。
また、油展方法として、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムと伸展油とを溶融状態でブレンドして、油展共重合ゴムを調製することもできる。この場合、ブレンド方法としては、単軸押し出し機、二軸押し出し機、バンバリー、ロール、ニーダー、プラストミルなどが採用され、溶融混練温度は50〜200℃が好適である。
【0118】
かくて、本発明によれば、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴム100重量部に対し、伸展油10〜100重量部を含有する油展共重合ゴムが好ましく提供される。
【0119】
本発明で得られた共重合ゴムを含有した重合反応溶液は、通常の溶液重合法について用いられる方法、例えば、溶液状態で安定剤などを添加した後、必要に応じて、上記のように芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどの伸展油や重量平均分子量が15万以下の液状ポリマー(あるいは上記液状ポリマーの溶液)を添加して、直接乾燥法やスチームストリッピング法によってゴムと溶剤とを分離して洗滌し、真空乾燥機、熱風乾燥機やロールなどにより乾燥し、目的の本発明の共重合ゴムを単離することができる。
【0120】
本発明の共重合ゴムは、単独でまたは天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、乳化重合スチレンブタジエンゴムなどとブレンドし、カーボンブラック、シリカなどの補強剤および各種配合剤と、ロール、バンバリーミキサーによって混練りしたのち、硫黄、加硫促進剤などを添加して、トレッド、サイドウォール、カーカスなどのタイヤ用ゴムをはじめ、ベルト、防振ゴムその他の工業用品に使用することができる。
【0121】
本発明の共重合ゴムを、タイヤ、特にタイヤトレッドに使用する場合に充填される補強材としては、例えばカーボンブラック、シリカなどのフィラーが挙げられる。
【0122】
特に、加硫物を効果的に補強して、良好な耐摩耗性、破壊強度を期待するときには、カーボンブラックが好適に使用される。フィラーの充填量は、全ゴム成分100重量部に対し、好ましくは20〜120重量部、より好ましくは30〜110重量部である。カーボンブラックとしては、ファーネス法により製造されたものであって、窒素吸着比表面積が50〜200m2/g、DBP吸油量が80〜200ml/100gのカーボンブラックが好ましく、FEF、HAF、ISAF、SAFクラスのものが好ましく使用でき、特に高凝集タイプのものが好ましい。
【0123】
また特に、低燃費タイヤ用途においては、加硫物のヒステリシスロスを低下させて良好な転がり抵抗を与えるとともに、ウエットスキッド抵抗を向上させる目的においては、シリカの使用が好ましい。シリカとしては、湿式法シリカ、乾式法シリカ、合成けい酸塩シリカのいずれのものも使用できる。補強効果の高いのは粒子系の小さいシリカであり、小粒子・高凝集タイプ(高表面積、高吸油性)のものがゴムへの分散性が良好で、物性および加工性の面で特に好ましい。また、高分散型(High Dispersible Type)のシリカを使用することも、ゴムへの分散性を良好化し、物性、加工性の面で好ましい。シリカの平均粒子径は一次粒子径で5〜60μm、特に10〜35μmが好ましい。このシリカの充填量は、全ゴム成分100重量部に対して、好ましくは20〜120重量部、より好ましくは30〜110重量部である。
【0124】
さらに、シリカを充填剤に使用する際、その補強効果を高める目的で、公知の各種シランカップリング剤を使用することができる。シランカップリング剤とは、分子中にアルコキシシリル基などのシリカ表面と反応可能な構成成分とポリスルフィド、メルカプト基、エポキシ基などの、ゴム、特に炭素−炭素二重結合と反応可能な構成成分を併せ持った化合物を指す。例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドおよび3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが、シランカップリング剤としてよく知られている。
なお、フィラーとして、シリカを用いる場合、フィラー中の少なくとも1重量部をシリカとし、さらにこのシリカに対してシランカップリング剤を0.5〜20重量%含有させることが望ましい。このようにすると、シリカの分散性が向上し、またシリカとゴムとの結合比率が向上するので、破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性が改良されるという効果が得られる。
【0125】
また、カーボンブラックとシリカとを、全ゴム成分100重量部に対し20〜120重量部の範囲内で組み合わせて使用することで、良好な摩耗耗性、破壊強度と優れた低ヒステリシス性能、ウエットグリップ性能のバランスを両立させることもできる。
【0126】
また、本発明の共重合ゴムにカーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラー(Dual Phase Filler)を配合することにより、カーボンブラックとシリカを併用したときと同様な優れた利点を得ることができる。
【0127】
カーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーは、カーボンブラックの表面に、シリカを化学結合させた、いわゆるシリカ・コーティング・カーボンブラックであり、キャボット社から商品名CRX2000、CRX2002、CRX2006として販売されている。
カーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーの配合量は、ゴム成分の合計100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜95重量部である。
【0128】
本発明では、カーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーをそれ以外の充填剤と併用して使用することができる。併用できる充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムを挙げることができるが、これらに制限はない。なかでもカーボンブラック、シリカが好ましい。
これらの併用できる充填剤は、ゴム成分の合計量100重量部に対して、好ましくは3〜100重量部、特には5〜95重量部配合することが好ましい。
【0129】
一方、上記油展共重合ゴムを用いて、ゴム組成物を調製する場合には、上記油展共重合ゴムを全ゴム成分に対して30重量%以上含有させるとともに、フィラーとして、全ゴム成分100重量部当たりカーボンブラックを2〜100重量部および/またはシリカを30〜100重量部を含有させ、そしてシリカを含有させる場合、シリカに対し、シランカップリング剤を5〜20重量%含有させることが好ましい。このようにすると、このようにすると、シリカの分散性が向上し、またシリカとゴムとの結合比率が向上するので、破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性が改良されるという効果が得られる。
また、上記油展共重合ゴムを用いて、ゴム組成物を調製する場合には、該油展共重合ゴムを全ゴム成分に対し30重量%以上含有させるとともに、フィラーとして、全ゴム成分100重量部あたり、
(イ)カーボンブラックおよびシリカをこれらの合計量として30〜100重量部、
(ロ)カーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーを30〜100重量部、または
(ハ)カーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーとカーボンブラックおよび/またはシリカをこれらの合計量として30〜100重量部、
含有させ、そしてシリカおよび/またはカーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーの合計量に対し、シランカップリング剤を5〜20重量%含有させる、ことも好ましい態様である。このようにすると、シリカの分散性が向上し、またシリカとゴムとの結合比率が向上するので、破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性が改良されるという効果が得られる。
【0130】
本発明の共重合ゴム〔油展共重合ゴムを含む〕を使用して得られるゴム組成物の混練り方法は、特に限定されないが、フィラーにシリカを含む場合は、シリカによる補強が十分になされ、加硫ゴムの物性をより向上させる目的で、下記方法で混練りすることもできる。
【0131】
本発明の共重合ゴム〔油展共重合ゴムを含む〕、シリカ、シランカップリング剤、亜鉛華および加硫剤を含有するゴム組成物の混練り方法としては、(a)共重合ゴムにシリカを配合し、混練りして第1ゴム配合物を調製し、その後、該第1ゴム配合物にシランカップリング剤を配合し、混練りして第2ゴム配合物を調製し、次いで、該第2ゴム配合物に亜鉛華および加硫剤を配合し、混練りする方法、または、(b)共重合ゴムにシリカを配合し、混練りして第1ゴム配合物を調製し、その後、該第1ゴム配合物にシランカップリング剤を配合して混練りし、更に亜鉛華を配合し、混練りを継続して第2ゴム配合物を調製し、次いで、該第2ゴム配合物に加硫剤を配合し、混練りする方法を挙げることができる。
【0132】
上記混練り方法であれば、共重合ゴムとシリカを混練りする際にシランカップリング剤が共存しないため、混練り温度を170〜180℃程度まで高めることができ、本発明の共重合ゴムとシリカとの反応性が高まるので、性能が向上する。
【0133】
なお、本発明のゴム組成物には、加硫剤を、全ゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜6重量部の範囲で用いることができる。
【0134】
加硫剤としては、代表的には硫黄を、また、その他に硫黄含有化合物、過酸化物などを挙げることができる。
【0135】
また、加硫剤と併用してスルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系などの加硫促進剤を必要に応じた量用いてもよい。さらに、亜鉛華、加硫助剤、老化防止剤、加工助剤などを必要に応じた量用いてもよい。
【0136】
さらに、本発明の共重合ゴムを使用して得られるゴム組成物の各種配合剤は、特に限定されないが、混練り時の加工性改良、あるいはウェットスキッド特性、低ヒステリシスロス性、耐摩耗性のバランスを更に向上させる目的で、他の伸展油や通常のゴム組成物に配合される加硫剤、加硫促進剤、亜鉛華、老化防止剤、スコーチ防止剤、タッキファイァー、他の充填剤などの各種の配合剤のほか、下記相溶化剤を混練り時に添加することもできる。
【0137】
好ましい相溶化剤は、エポキシ基含有化合物、カルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物、ケトン化合物、エーテル化合物、アルデヒド化合物、水酸基含有化合物およびアミノ基含有化合物から選択される有機化合物であるか、またはアルコキシシラン化合物、シロキサン化合物およびアミノシラン化合物から選択されるシリコーン化合物である。
【0138】
相溶化剤の有機化合物の具体例として、下記の化合物が挙げられる。
エポキシ基含有化合物:ブチルグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、酸化プロピレン、ネオペンチルグリコールシグリシジルエーテル、エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸エステルなど。
カルボン酸化合物:アジピン酸、オクチル酸、メタクリル酸など。
【0139】
カルボン酸エステル化合物:アクリル酸エステル、アクリル酸ジエチレン、メタクリル酸エチル、オルト酢酸エステル、アセト酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、ジメチルカーボネート、p−ヒドロキシフェニル酢酸、ポリエステル系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤など。
ケトン化合物:メチルシクロヘキサノン、アセチルアセトンなど。
エーテル化合物:イソプロピルエーテル、ジブチルエーテルなど。
アルデヒド化合物:ウンデシレンアルデヒド、デシルアルデヒド、バニリン、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、クミンアルデヒドなど。
アミノ基含有化合物:n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、イソプロパノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、エチレンイミン、ヘキサメチレンジアミン、3−ラウリルオキシプロピルアミン、アミノフェノール、アニリン、3−イソプロポキシアニリン、フェニレンジアミン、アミノピリジン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、塩酸エチルアミン、塩酸−n−ブチルアミンなど。
水酸基含有化合物:イソプロピルアルコール、ブタノール、オクタノール、オクタンジオール、エチレングリコール、メチルシクロヘキサノール、2−メルカプトエタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1−オクタデカノール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリエチレングリコールなど。
なかでも、エポキシ基含有化合物、アミノ基含有化合物、水酸基含有化合物が好ましい。
【0140】
相溶化剤のシリコーン化合物の具体例としては、
アルコキシシラン化合物:トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなど。
シロキサン化合物:ジメチルシロキサンオリゴマー、シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有シリコーンオイルなど。
アミノシラン化合物:ヘキサメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、アニリトリメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、トリエチルアミノシランなど、なかでもシラザン化合物、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシランが好ましい。
【0141】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。
なお、実施例中の各種の測定は下記の方法に拠った。
(1)共役ジオレフィン部分のビニル結合含量
270MHz1H−NMRによって求めた。
(2)結合スチレン含量
270MHz1H−NMRによって求めた。
(3)ガラス転移温度
ASTM D3418に従って求めた。
(4)重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー社製、HLC−8120GPC)を用いて、ポリスチレン換算で求めた。
(5)ムーニー粘度(ML1+4,100℃)
JIS K6300に従って、Lローター、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃で求めた。
【0142】
(6)第1級アミノ基含量(mmol/kg)
まず、重合体をトルエンに溶解した後、大量のメタノール中で沈殿させることにより共重合ゴムに結合していないアミノ基含有化合物をゴムから分離した後、乾燥した。本処理を施した共重合ゴムを試料として、JIS K7237に記載された「全アミン価試験方法」により全アミノ基含有量を定量した。続けて、上記処理を施した共重合ゴムを試料として「アセチルアセトンブロックド法」により第2+第3アミノ基含有量を定量した。試料を溶解させる溶媒には、o−ニトロトルエンを使用、アセチルアセトンを添加し、過塩素酸の酢酸溶液で電位差滴定を行った。全アミノ基含有量から第2+第3アミノ基含有量を引いて第1アミノ基含有量(mmol)を求め、分析に使用したポリマー重量を割り返すことで重合体に結合した第1級アミノ基含有量(mmol/kg)を求めた。
(7)アルコキシシリル基含量(mmol/kg)
赤外吸収スペクトルにより、Si−C結合に起因する1,160cm−1の吸収量により求めた。
【0143】
(8)加硫ゴムの物性評価
共重合ゴムを用い、表5に示す配合処方に従って、250ccラボプラストミルで混練りしたのち、145℃で所定時間、加硫を行った加硫ゴムを用いて下記(イ)〜(ハ)の各種測定を行った。
(イ)摩擦係数μ:摩擦係数μは、日邦産業社製のD.F.テスター(ダイナミック・フリクション・テスター)を使用し、ASTM E1911に従って測定した。速度60km/h時の摩擦係数μを指数で表示し、数値が大きいほど、グリップ性が高く、良好である。
(ロ) tanδ(50℃)、tanδ(0℃):tanδ(50℃)は、米国レオメトリックス社製の動的スペクトロメーターを使用し、引張動歪1%、周波数10Hz、50℃の条件で測定した。指数で表示し、数値が大きいほど、転がり抵抗が小さく、良好である。tanδ(0℃)は、同機器を使用し、引張動歪0.1%、周波数10Hz、0℃で測定した。指数で表示し、数値が大きいほど、ウエットスキッド抵抗性が大きく良好である。
(ハ)ランボーン摩耗指数:ランボーン型摩耗試験機を用い、スリップ率が25%の摩耗量で表し、また、測定温度は室温とした。指数が大きいほど、耐摩耗性は良好である。
(ニ)硬度: JIS K6253に従って測定した。指数で表示し、数値が大きいほど、低温(23℃)時の硬度が低く、走行初期のグリップ性が高く良好である。
【0144】
実施例1(共重合ゴムAの合成、およびその評価)
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,500g、テトラヒドロフラン62.5g、スチレン175g、1,3−ブタジエン315g、ジビニルベンゼン0.05gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム330mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は90℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、1,3−ブタジエンを10g追加し、さらに5分重合させた後、四塩化スズ60mgを加えて5分間反応を行い、続けてN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1,255mgを加えて15分間反応を行った。反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールによりゴムを乾燥し、共重合ゴムを得た。この共重合ゴムを共重合ゴムAとする。得られた共重合ゴムAの組成および物性を表3に示す。
共重合ゴムAを用いて、表5に示す配合処方Iにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表6に実施例3として示す。
【0145】
実施例2(共重合ゴムBの合成、およびその評価)
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,500g、テトラヒドロフラン100g、スチレン200g、1,3−ブタジエン290g、ジビニルベンゼン0.05gを仕込んだ。反内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム330mgを添加して重合を開始した。
重合は、断熱条件で実施し、最高温度は90℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン10gを追加し、さらに5分重合させた後、四塩化スズ60mgを加えて5分間反応を行い、続けてN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1,255mgを加えて15分間反応を行った。反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールによりゴムを乾燥し、共重合ゴムBを得た。得られた共重合ゴムBの組成および物性を表3に示す。
共重合ゴムBを用いて、表5に示す配合処方Iにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表6に実施例4として示す。
【0146】
比較例1〜2(共重合ゴムC,Dの合成、およびその評価)
実施例1、2において、ジビニルベンゼンは添加せず、添加剤を四塩化スズ270mgのみに変更したこと以外は、実施例1、2と同様にして、共重合ゴムC,Dを得た。得られた共重合ゴムC,Dの組成および物性を表4に示す。
共重合ゴムC,Dを用いて、表5に示す配合処方Iにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表6に比較例7、8として示す。
【0147】
比較例3(共重合ゴムEの合成、およびその評価)
実施例2において、ジビニルベンゼンは添加せず、添加剤をメチルトリフェノキシシラン1,330mgに変更したこと以外は、実施例2と同様にして、共重合ゴムEを得た。得られた共重合ゴムEの組成および物性を表4に示す。
共重合ゴムEを用いて、表5に示す配合処方Iにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表6に比較例9として示す。
【0148】
比較例4(共重合ゴムFの合成、およびその評価)
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,500g、テトラヒドロフラン25g、スチレン100g、1,3−ブタジエン390g、ジビニルベンゼン0.05g を仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム330mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は90℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン10gを追加し、さらに5分重合させた後、四塩化スズ60mgを加えて5分間反応を行い、続けてN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1,255mgを加えて15分間反応を行った。反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールによりゴムを乾燥し、共重合ゴムJを得た。得られた共重合ゴムJの組成および物性を表4に示す。
共重合ゴムFを用いて、表5に示す配合処方Iにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表6に比較例10として示す。
【0149】
実施例5〜6
共重合ゴムA,Bを用いて、表5に示す配合処方IIにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表7に実施例5,6として示す。
【0150】
比較例12〜14
共重合ゴムD〜Fを用いて、表5に示す配合処方IIにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表7に比較例12〜14として示す。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
【0153】
【表3】
【0154】
【表4】
【0155】
【表5】
【0156】
【表6】
【0157】
【表7】
【0158】
表6〜7の結果より以下のことが分かる。
表6のシリカとカーボンブラックを併用した配合での評価結果より、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムを用いた実施例3,4は、比較例7、8に比べ、良好なグリップ性能(摩擦係数μ)を有し、耐摩耗性を損なうことなく、ウェットスキッド特性(0℃におけるtanδ)、低ヒステリシスロス性(50℃におけるtanδ)が高水準にバランスされている。このことは、表7のカーボンブラック配合(実施例5,6、比較例11,12)においても同様である。
一方、アルコキシシリル基のみを有する共役ジオレフィン共重合ゴムEを用いた比較例9,13の場合、諸物性の改良効果が小さく、特にカーボン配合では改良効果がない。また、第1級アミノ基とアルコキシシリル基とを有しガラス転移点(Tg)が−25℃以下である共役ジオレフィン共重合ゴムFを用いた比較例10,14においても、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムにおける諸物性の改良には及んでいない。
【0159】
【発明の効果】
本発明によれば、配合する充填剤の種類および組合せによらず、加工性に優れるとともに、加硫処理を施して加硫ゴムとしたときに、ウエットスキッド特性、低ヒステリシスロス性、耐摩耗性、破壊強度のバランスに優れ、特にグリップ性能、耐摩耗性、低転がり抵抗性のバランスを兼ね備えた高性能タイヤ、競技用タイヤのトレッド用材料やサイドウォール部材として有用な共役ジオレフィン共重合ゴムおよびその製造方法、ゴム組成物、タイヤを提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、共役ジオレフィン共重合ゴム、その製造方法、ゴム組成物およびタイヤに関する。さらに詳しくは、グリップ性能、耐摩耗性、低転がり抵抗性のバランスを兼ね備えた高性能タイヤ、競技用タイヤのトレッドを与えることができる共役ジオレフィン共重合ゴム、その製造方法、ゴム組成物およびタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車に対する低燃費化要求に伴い、タイヤ用ゴム材料として転がり抵抗が小さく、耐摩耗性、破壊特性に優れ、さらにウエットスキッド抵抗に代表される操縦安定性をも兼ね備えた共役ジオレフィン系ゴムが望まれている。
【0003】
タイヤの転がり抵抗を低減するためには、加硫ゴムのヒステリシスロスを小さくすればよく、加硫ゴムの評価指標としては50〜80℃の反撥弾性、50〜80℃のtanδ、グッドリッチ発熱などが用いられる。50〜80℃の反撥弾性が大きいか、50〜80℃のtanδあるいはグッドリッチ発熱が小さいゴム材料が好ましい。
【0004】
ヒステリシスロスの小さいゴム材料としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴムまたはポリブタジエンゴムなどが知られているが、これらはウエットスキッド抵抗性が小さいという問題がある。
【0005】
ウエットスキッド抵抗を損なうことなくヒステリシスロスを低減する方法として、炭化水素溶媒中で有機リチウム開始剤で重合された種々の構造のスチレン−ブタジエン共重合体の重合体末端に官能基を導入する方法が提案されている。重合体末端をスズ化合物で変性またはカップリングして得られるスチレン−ブタジエン共重合体[特許文献1(特開昭57−55912号公報)]、重合体末端をイソシアナート化合物などで変性したスチレン−ブタジエン共重合体が知られている[特許文献2(特開昭61−141741号公報)]。これらの変性重合体は、特にカーボンブラックを補強剤として配合した組成物において、ウエットスキッド抵抗を損なうことなくヒステリシスロスを低減し、さらに耐摩耗性、破壊特性に優れるという効果を発現する。
【0006】
一方、最近タイヤ用ゴム材料として、補強剤にシリカあるいはシリカとカーボンブラックの混合物を配合したゴム組成物を使用する方法が提案されている。シリカあるいはシリカとカーボンブラックの混合物を配合したタイヤトレッドは転がり抵抗が小さく、ウエットスキッド抵抗に代表される操縦安定性能は良いが、その反面、加硫物の引っ張り強度や耐摩耗性が低いという問題がある。上記の変性スチレン−ブタジエン共重合体はカーボンブラックを補強剤とする組成物においては、耐摩耗性、破壊特性に優れたタイヤ用ゴム材料となるが、シリカを補強剤として使用した組成物においてその改良効果は小さい。
【0007】
シリカあるいはシリカとカーボンブラックの混合物を配合した加硫物の引っ張り強度や耐摩耗性を改良する目的で、シリカと親和性のある官能基を導入した重合体を含むゴム組成物が提案されている。特許文献3(特公昭49−36957号公報)には、シリコンテトラハライドやトリハロシランなどを反応させて重合体を生成する方法が提案されている。また、特許文献4(特公昭52−5071号公報)にはハロゲン化シラン化合物で変性された重合体を製造する方法が開示されている。さらにまた、特許文献5(特開平1−188501号公報)にはアルキルシリル基、特許文献6(特開平5−230286号公報)にはハロゲン化シリル基が導入されたジエン系ゴムが開示されている。また、特許文献7(特開平7−233217号公報)には、第3級アミノ基とアルコキシシリル基が導入されたジエン系ゴムが開示されている。
【0008】
シリカあるいはシリカとカーボンブラックの混合物を配合した組成物に、これらの変性重合体を使用することで、ある程度の物性改良は見られるものの、未だ加硫物の引っ張り強度や耐摩耗性の改善は十分ではなく、また特にシリカとカーボンブラックの混合物を配合するときのカーボンブラックの比率向上に伴いヒステリシスロスの低減も十分ではなかった。また一般に、シリカ配合組成物はカーボンブラック配合組成物に対して加工性に劣り、そのため加工コストが高いという問題があった。上記したシリカと親和性のある官能基を導入した重合体を使用すると、さらにその加工性が悪化する傾向にあり好ましくなかった。
【0009】
従来知られている変性重合体は、主にカーボンブラック配合に適したものとシリカ配合物に適したものに類別され、タイヤなどを製造するときにはその補強剤の種類を変更すると、使用するゴムを選択しなおす必要があった。さらに、シリカとカーボンブラックの混合物を配合するときには、いずれの変性重合体を使用してもその効果は、シリカとカーボンブラックの混合比に相関して増加あるいは低減していた。
【0010】
また、カーボンブラック配合においてもシリカ配合においても、効果的な変性重合体として、アミノ基の導入された重合体が考えられる。カーボンブラック配合については(1)リチウムアミド開始剤を用いて重合末端にアミノ基が導入された重合体[特許文献8〜12(特開昭59−38209号、特公平5−1298号、特開平6−279515号、特開平6−199923号、特開平7−53616号の各公報)]、(2)有機リチウム開始剤で重合された種々の構造のスチレン−ブタジエン共重合体の重合体末端を尿素化合物特許文献13(特開昭61−27338号公報)]、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物[特許文献14〜15(特開昭58−162604号公報および特開昭58−189203号公報)]、ラクタム化合物[特許文献16(特開昭61−43402号公報)]などの含窒素化合物で変性して得られる重合体が提案されている。また、シリカ配合用重合体として、特許文献17〜19(特開平1−101344号公報、特開昭64−22940号公報および特開平9−71687号公報)にアミノ基が導入されたジエン系ゴムが提案されている。
【0011】
【特許文献1】
特開昭57−55912号公報
【特許文献2】
特開昭61−141741号公報
【特許文献3】
特公昭49−36957号公報
【特許文献4】
特公昭52−5071号公報
【特許文献5】
特開平1−188501号公報
【特許文献6】
特開平5−230286号公報
【特許文献7】
特開平7−233217号公報
【特許文献8】
特開昭59−38209号公報
【特許文献9】
特公平5−1298号公報
【特許文献10】
特開平6−279515号公報
【特許文献11】
特開平6−199923号公報
【特許文献12】
特開平7−53616号公報
【特許文献13】
特開昭61−27338号公報
【特許文献14】
特開昭58−162604号公報
【特許文献15】
特開昭58−189203号公報
【特許文献16】
特開昭61−43402号公報
【特許文献17】
特開平1−101344号公報
【特許文献18】
特開昭64−22940号公報
【特許文献19】
特開平9−71687号公報
【0012】
これらの方法で得られた重合体は、カーボンブラック配合・シリカ配合のそれぞれの配合において、種々の物性の改良をある程度までは達成した。しかしながら、上記文献では、主に重合体にアミノ基を導入する方法を詳細に述べており、重合体そのものの構造と各性能の関係については、一般的な事項以上には言及されていなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、新規な共役ジオレフィン共重合ゴムを提供することにある。本発明の他の目的は、カーボンブラック配合・シリカ配合のいずれの配合においても良好な加工性を有し、耐摩耗性、破壊特性を損なうことなく低ヒステリシスロス性、ウエットスキッド特性が同時に改良されるかあるいはウエットスキッド特性を損なうことなく、低ヒステリシスロス性、耐摩耗性および破壊特性が同時にバランスよく改良され、特にグリップ性能、耐摩耗性、低転がり抵抗性のバランスを兼ね備えた高性能タイヤ、競技用タイヤのトレッドを与えることができる共役ジオレフィン共重合ゴムを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムを製造する工業的に有利な方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムを含有する上記の如き諸特性を有するゴム組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本発明のゴム組成物をタイヤトレッド部材またはサイドウォール部材に用いたタイヤを提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の共重合ゴムであって、共重合体鎖に結合した第1級アミノ基とアルコキシシリル基とを有し、かつガラス転移点(Tg)が−25℃以下を超え、さらに重量平均分子量が15万〜200万であることを特徴とする共役ジオレフィン共重合ゴムによって達成される。
なお、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムは、芳香族ビニル化合物の重合単位の含有量が共重合ゴムの30重量%を超え、共役ジオレフィンの重合単位の含有量が共重合ゴムの70重量%以下であり、共重合可能な第3モノマーの重合単位の含有量が共重合ゴムの0重量%以上25重量%未満であり、そして、ビニル結合含有量が共役ジオレフィンの重合単位の50モル%を超えるものが望ましい。
【0015】
本発明の上記目的および利点は、第2に、炭化水素溶媒中で、有機アルカリ金属および有機アルカリ土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を開始剤として用いて、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物をアニオン重合させた後、その重合活性末端と下記式(3)
【0016】
【化7】
【0017】
ここで、R1は炭素数1〜12のアルキレン基であり、R2およびR3は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基であり、R4,R5およびR6は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基であるかあるいはそれらの2つは互いに結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって環を形成してもよく、gは1〜2の整数であり、そしてfは1〜10の整数である、
または下記式(4)
【0018】
【化8】
【0019】
ここで、R1,R2,R3,R4,R5およびR6の定義は上記式(3)に同じであり、そしてeは1〜2の整数である、
で表される少なくとも1つのアミノ基含有アルコキシシラン化合物を反応させ、しかる後加水分解することを特徴とする本発明の上記共役ジオレフィン共重合ゴムを製造する方法(以下、第1製造法という)によって達成される。
【0020】
本発明の上記目的および利点は、第3に、炭化水素溶媒中で、下記式(5)
(R4R5R6Si)2−N−R1−Li (5)
ここで、R1,R4,R5およびR6の定義は、上記式(3)に同じである、
または下記式(6)
【0021】
【化9】
【0022】
ここで、R1の定義は上記式(3)に同じであり、R7およびR8は、各々独立に水素または炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基であり、そしてdは1〜7の整数である、
で表されるリチウムアミド開始剤を用いて、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物をアニオン重合させた後、その重合活性末端と
下記式(7)
【0023】
【化10】
【0024】
ここで、R2およびR3の定義は上記式(3)に同じであり、Xはハロゲン原子であり、cは0〜2の整数であり、そしてbは1〜4の整数である、ただしc+bは2〜4の整数である、
で表されるアルコキシシラン化合物を反応させ、しかる後、加水分解することを特徴とする本発明の上記共役ジオレフィン共重合ゴムを製造する方法(以下、第2製造法という)によって達成される。
【0025】
本発明の上記目的および利点は、第4に、本発明の上記共重合ゴム100重量部に対し、伸展油10〜100重量部を含有することを特徴とする油展共重合ゴムによって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第5に、本発明の上記共重合ゴムを全ゴム成分の30重量%以上で含有する全ゴム成分100重量部に対し、フィラーを20〜120重量部含有するゴム組成物によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、最後に、本発明の上記ゴム組成物をトレッド部材またはサイドウォール部材に用いたタイヤによって達成される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳述する。
本発明の共重合ゴムは、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを共重合して得られた共重合体であって、第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有することを特徴としている。
【0027】
共重合ゴムに結合する第1級アミノ基の含有量は、好ましくは0.5〜200mmol/kg・共重合ゴムポリマーである。同含有量は、さらに好ましくは1〜100mmol/kg・共重合ゴムポリマーであり、特に好ましくは2〜50mmol/kg・共重合ゴムポリマーである。ここで,共重合ゴムポリマーとは、製造時または製造後、添加される老化防止剤などの添加剤を含まないポリマーのみの重量を意味する。
【0028】
第1級アミノ基は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制してヒステリシスロス特性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
【0029】
また、ポリマー鎖に結合する第1級アミノ基の数が200mmol/kg・共重合ゴムポリマーを超えると、カーボンブラックやシリカなどの補強剤との相互作用が高くなりすぎて、配合粘度が向上して加工性が悪化する。一方、第1級アミノ基の数が0.5mmol/kg・共重合ゴムポリマー未満では、第1級アミノ基を導入した効果が発現し難くなる。すなわち、得られる共重合ゴムのヒステリシスロス特性、耐摩耗性、破壊特性の改良が十分ではなく、好ましくない。
【0030】
また、共重合ゴムに結合するアルコキシシリル基の含有量は、好ましくは0.5〜200mmol/kg・共重合ゴムポリマーである。同含有量は、さらに好ましくは1〜100mmol/kg・共重合ゴムポリマーであり、特に好ましくは2〜50mmol/kg・共重合ゴムポリマーである。
【0031】
アルコキシシリル基は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制してヒステリシスロス特性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
【0032】
また、ポリマー鎖に結合するアルコキシシリル基の数が200mmol/kg・共重合ゴムポリマーを超えると、カーボンブラックやシリカなどの補強剤との相互作用が高くなりすぎて、配合粘度が向上して加工性が悪化する。一方、アルコキシシリル基の数が0.5mmol/kg・共重合ゴムポリマー未満では、アルコキシシリル基を導入した効果が発現しなくなる。すなわち、得られる共重合ゴムのヒステリシスロス特性、耐摩耗性、破壊特性の改良が十分ではなく、好ましくない。
【0033】
本発明の共重合ゴムは、第1製造法によれば、炭化水素溶媒中で、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを、有機アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を重合開始剤としてアニオン重合せしめ、重合が実質的に完了した時点で、保護された1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物を添加してリビング重合鎖末端に反応せしめ、次いで脱保護(加水分解)することにより製造することができる。本製造法であれば、(1)一段反応で容易に第1級アミノ基とアルコキシシリル基を同時に導入することができ、(2)高い導入率を得ることが可能である。
【0034】
保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物としては、例えば下記式(3)または下記式(4)
【0035】
【化11】
【0036】
【化12】
【0037】
で表される化合物を挙げることができる。
【0038】
上記式(3)において、R1の炭素数1〜12のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基およびプロピレン基を挙げることができる。
【0039】
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基およびプロピル基を挙げることができる。
【0040】
アリール基としては、例えばフェニル基、トルイル基およびナフチル基を挙げることができる。
【0041】
また、R4,R5およびR6の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって形成する環は、4〜7員環であることができる。
【0042】
また、アミノ基の保護基としては、アルキルシリル基を挙げることができる。アルキルシリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基およびエチルメチルフェニルシリル基を挙げることができる。
【0043】
保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物としては、例えばN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシランおよびN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシランなどを挙げることができ、好ましくは、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランまたは1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンである
【0044】
リビング重合鎖末端、例えば
【0045】
P− Li+
【0046】
とN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシランの反応は、下記反応式
【0047】
【化13】
【0048】
で表すことができる。なお、Pは、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の共重合体鎖を示している。
【0049】
同様に、リビング重合体鎖末端と1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンとの反応は、下記式
【0050】
【化14】
【0051】
で表すことができる。また、上記シラシクロペンタンは2分子のリビング重合体鎖末端と反応することができ、そのときには下記反応式
【0052】
【化15】
【0053】
で表すことができる。
【0054】
また、本発明の共重合ゴムは、第2製造法によれば、炭化水素溶媒中で、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物を、下記式(5)
(R4R5R6Si)2−N−R1−Li (5)
ここで、R1,R4,R5およびR6の定義は、上記式(3)に同じである、
または下記式(6)
【0055】
【化16】
【0056】
ここで、R1の定義は上記式(3)に同じであり、R7およびR8は、各々独立に水素または炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基であり、そしてdは1〜7の整数である、
で表されるリチウムアミド開始剤を用いて、アニオン重合せしめ、重合が実質的に完了した時点で、下記式(7)
【0057】
【化17】
【0058】
ここで、R2およびR3の定義は上記式(3)に同じであり、Xはハロゲン原子であり、cは0〜2の整数であり、そしてbは1〜4の整数である、ただしc+bは2〜4の整数である、
で表されるアルコキシシラン化合物を添加してリビング重合鎖末端に反応せしめ次いで脱保護(加水分解)せしめることにより製造することができる。
【0059】
本発明の共重合ゴムは、上記反応例から理解できるとおり、
下記式(1)
【0060】
【化18】
【0061】
ここで、Pは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物との共重合体鎖であり、R1は炭素数1〜12のアルキレン基であり、R2およびR3は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基であり、nは1〜2の整数であり、mは1〜2の整数であり、そしてkは1〜2の整数である、ただしn+m+kは3〜4の整数である、
または下記式(2)
【0062】
【化19】
【0063】
ここで、P,R1,R2およびR3の定義は上記式(1)に同じであり、jは1〜3の整数であり、そしてhは1〜3の整数である、ただしj+hは2〜4の整数である、
で表されるものが好ましい。
【0064】
本発明の共重合ゴムは、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物および場合により共重合可能な第3モノマーとを共重合して得られた共重合体であって、上記のとおり、第1級アミノ基およびアルコキシシリル基を有していることを特徴とする。
【0065】
本発明で使用する共役ジオレフィンとしては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよびこれらの混合物などが好ましく用いられる。共役ジオレフィンの使用量は、通常、全単量体中に70重量%以下、好ましくは50〜70重量%である。
【0066】
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、tert−ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、2−t−ブチルスチレン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、ビニルピリジンおよびこれらの混合物などを挙げることができる。
これらのうち、スチレンが特に好ましい。
芳香族ビニル化合物の使用量は、通常、全単量体中に30重量%を超え、好ましくは50重量%以下である。
【0067】
また、第3モノマーとしては、例えばアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチルおよびアクリル酸ヒドロキシエチルを挙げることができる。
第3モノマーの使用量は、通常、全単量体中に25重量%未満、好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0068】
本発明の共重合ゴムは、芳香族ビニル化合物の重合単位の含有量が共重合ゴムの30重量%を超え、共役ジオレフィンの重合単位の含有量が共重合ゴムの70重量%以下であり、共重合可能な第3モノマーの重合単位の含有量が共重合ゴムの0重量%以上25重量%未満であり、そして、ビニル結合含有量が共役ジオレフィンの重合単位の50モル%を超えるものが望ましい(以下、第1共重合ゴムということがある)。第1共重合ゴムは、高性能タイヤや競技用タイヤとして有用である。
【0069】
本発明の上記第1共重合ゴムにあっては、重合体鎖中に結合した結合芳香族ビニル化合物の含量は、共重合ゴムに基づいて、上記のとおり30重量%を超え、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは45重量%以下である。結合芳香族ビニル化合物の含量が30重量%以下では、グリップ性能、ウエットスキッド特性、耐摩耗性が悪化する。なお、50重量%を超えるとヒステリシスロスが大きくなる。
【0070】
また、共役ジオレフィンの重合単位の含有量は、70重量%以下、好ましくは50〜70重量%であり、さらに好ましくは55〜70重量%である。
さらに、本発明の第1共重合ゴムにおける第3モノマーの使用量は、25重量%未満、好ましくは15重量%以下である。
【0071】
さらにまた、共役ジオレフィンの重合単位におけるビニル結合(1,2−結合および/または3,4−結合)含量は、本発明の第1共重合ゴムにあっては、共役ジオレフィンの重合単位に基づいて、50モル%を超え、好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは50モル%を超え、60モル%以下である。ビニル結合含量が50モル%以下では、ヒステリシスロスとウエットスキッド特性のバランスが悪化する。また、通常の芳香族ビニル化合物と共役ジオレフィンの共重合体の合成法で、90モル%を超えることは困難である。
【0072】
次に、第1製造法について説明する。
本発明の共重合ゴムを得るための、重合反応および保護された1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物との反応は、通常、0〜120℃の温度範囲で行われ、一定温度条件下でも上昇温度条件下でもよい。保護された第1級アミノ基を脱保護させるための加水分解は、80〜150℃、好ましくは90〜120℃の温度範囲で、保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物の2倍モル以上の水もしくは酸性水などを添加し、10分間以上、好ましくは30分間以上反応させることにより行われる。重合方式は、バッチ重合方式または連続重合方式のいずれでもよい。
【0073】
重合に使用される有機アルカリ金属および有機アルカリ土類金属の開始剤の例としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、1,4−ジリチオブタンなどのアルキレンジリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、リチウムナフタレン、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、n−ブチルマグネシウム、n−ヘキシルマグネシウム、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウムなどが挙げられる。
【0074】
また、上記開始剤としての有機アルカリ金属は、第2級アミン化合物または第3級アミン化合物との反応生成物として共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の共重合に使用することができる。上記第2級アミン化合物または第3級アミン化合物と反応させる有機アルカリ金属としては、有機リチウム化合物が好ましい。より好ましくは、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムが用いられる。
【0075】
有機アルカリ金属と反応させる第2級アミン化合物の例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジアリルアミン、モルホリン、ピペラジン、2,6−ジメチルモルホリン、2,6−ジメチルピペラジン、1−エチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1−ベンジルピペラジン、ピペリジン、3,3−ジメチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、1−メチル−4−(メチルアミノ)ピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、アゼチジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、5−ベンジルオキシインドール、3−アザスピロ[5,5]ウンデカン、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、カルバゾールなどが挙げられる。
【0076】
また、有機アルカリ金属と反応させる第3級アミン化合物の例としては、N,N−ジメチル−o−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン、ベンジルジプロピルアミン、ベンジルジブチルアミン、(o−メチルベンジル)ジメチルアミン、(m−メチルベンジル)ジメチルアミン、(p−メチルベンジル)ジメチルアミン、N,N−テトラメチレン−o−トルイジン、N,N−ヘプタメチレン−o−トルイジン、N,N−ヘキサメチレン−o−トルイジン、N,N−トリメチレンベンジルアミン、N,N−テトラメチレンベンジルアミン、N,N−ヘキサメチレンベンジルアミン、N,N−テトラメチレン(o−メチルベンジル)アミン、N,N−テトラメチレン(p−メチルベンジル)アミン、N,N−ヘキサメチレン(o−メチルベンジル)アミン、N,N−ヘキサメチレン(p−メチルベンジル)アミンなどが挙げられる。
【0077】
また、重合には、必要に応じて、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2,2−(ビステトラヒドロフルフリル)プロパン、ビステトラヒドロフルフリルホルマール、テトラヒドロフルフリルアルコールのメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのブチルエーテル、α−メトキシテトラヒドロフラン、ジメトキシベンゼン、ジメトキシエタンなどのエーテル化合物および/またはトリエチルアミン、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、N,N−ジエチルエタノールアミンのメチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのエチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのブチルエーテルなどの第3級アミン化合物を、重合系中に添加して、共役ジオレフィン共重合ゴムの共役ジオレフィン部分のミクロ構造(ビニル結合含量)を調整することができる。
【0078】
本発明の共重合ゴムを重合する際に使用される炭化水素溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。これらのうちシクロヘキサン、ヘプタンが好ましい。
【0079】
本発明で使用される開始剤の反応性を向上させようとする場合、あるいは重合体中に導入される芳香族ビニル化合物をランダムに配列するかまたは芳香族ビニル化合物の単連鎖を付与させようとする場合に、重合開始剤とともにカリウム化合物を添加してもよい。重合開始剤とともに添加されるカリウム化合物としては、例えばカリウムイソプロポキシド、カリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−アミロキシド、カリウム−n−ヘプタオキシド、カリウムベンジルオキシド、カリウムフェノキシドに代表されるカリウムアルコキシド、カリウムフェノキシド;イソバレリアン酸、カプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレイン酸、安息香酸、フタル酸、2−エチルヘキサン酸などのカリウム塩;ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸などの有機スルホン酸のカリウム塩;亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジラウリルなどの、有機亜リン酸部分エステルのカリウム塩などが用いられる。
【0080】
これらのカリウム化合物は、開始剤のアルカリ金属1グラム原子当量あたり、0.005〜0.5モルの量で添加できる。0.005モル未満では、カリウム化合物の添加効果(開始剤の反応性向上、芳香族ビニル化合物のランダム化または単連鎖付与)が現れず、一方0.5モルを超えると、重合活性が低下し、生産性を大幅に低下させることになるとともに、重合体末端を官能基で変性する反応を行なう際の変性効率が低下する。
【0081】
なお、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムは、GPCで測定される分子量分布がポリモーダル型でも、あるいは、該分子量分布がモノモーダル型で、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.3〜4.0であってもよい。
以下、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムについて、ポリモーダル型とモノモーダル型について、それぞれ、分けて説明する。
【0082】
本発明の共重合ゴムは、GPCで測定される分子量分布が多峰性(ポリモーダル型)であることを一方の特徴とする。分子量分布が単峰性(モノモーダル型)で分子量分布が狭い(Mw/Mnが1.3未満)と、補強剤やその他の配合剤と配合したときの粘度が高くなり、加工性が悪化する。配合物の加工性の悪化は、加工コストを高くするのみならず、補強剤やその他の配合剤の分散不良を引き起こし、配合物の物性低下につながる。配合物の粘度を低下させる目的で、生ゴムの分子量を低下させると、低ヒステリシスロス性が悪化するとともに、ゴムの粘着性が高くなりハンドリングが悪くなり、またコールドフローが大きくなって貯蔵安定性が悪化する。また、分子量分布が単峰性(モノモーダル型)で分子量分布が広いと(Mw/Mnが4.0を超える)、低分子量成分が増加して、低ヒステリシスロス性能・耐摩耗性能が悪化する。
【0083】
本発明の共重合ゴムのGPCで測定される分子量分布を多峰性(ポリモーダル型)にする方法には特に限定されないが、例えば以下の方法がある。
方法(1):共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを共重合したのち、重合転化率が90%〜100%になった時点で、式(3),(4)に示すカップリング剤に加えて、他の官能性の特定のカップリング剤を添加して、該カップリング剤と一部の重合体の活性末端とを反応させて分子量をジャンプさせる。カップリング剤の添加量を調節することで分子量をジャンプさせた重合体と、特定カップリンッグ剤と反応しない重合体との量をコントロールして、分子量分布を多峰性にすることができる。
方法(2):共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを共重合させる際、少量の多官能性モノマーを存在させておく。多官能性性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、ジ−iso−プロペニルベンゼンなどが挙げられ、その添加量は、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の合計100重量部に対し、0.001〜10重量部、好ましくは0.003〜3重量部である。
方法(3):共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを共重合させる際に、重合転化率が50%以下の時点で、重合活性末端の一部を失活させうる試薬(いわゆる重合停止剤)を添加する。失活していない重合末端は、さらに残ったモノマーを重合するので、失活した重合体より分子量が増大し、分子量分布が多峰性となる。
【0084】
これらのうち、方法(1)のカップリング剤を添加する方法が、重合体の物性面からも、生産性の面からも好ましい。重合転化率が90%〜100%になった時点で、重合活性末端に反応させる特定のカップリング剤としては、後記する(a)イソシアナート化合物および/またはイソチオシアナート化合物、(b)アミド化合物および/またはイミド化合物、(c)ピリジル置換ケトン化合物および/またはピリジル置換ビニル化合物、(d)ケイ素化合物、(e)エステル化合物、(f)ケトン化合物ならびに(g)スズ化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0085】
他方、本発明の共重合ゴムは、GPCで測定される分子量分布が、単峰性(モノモーダル型)で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.3〜4.0、好ましくは1.5〜3.0、さらに好ましくは1.5〜2.5であってもよい。
【0086】
分子量分布が単峰性(モノモーダル型)である場合、分子量分布が狭い(Mw/Mnが1.3未満)と、補強剤やその他の配合剤と配合したときの粘度が高くなり、加工性が悪化する。配合物の加工性の悪化は、加工コストを高くするのみならず、補強剤やその他の配合剤の分散不良を引き起こし、配合物の物性低下につながる。配合物の粘度を低下させようとして、生ゴムの分子量を低下させると、配合物の低ロス性が悪化するとともに、ゴムの粘着性が高くなりハンドリングが悪く、またコールドフローが大きくなって貯蔵安定性が悪化する。
【0087】
本発明の共重合ゴムの分子量分布を、単峰性(モノモーダル型)で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnを1.3〜4.0にする方法は特に限定されないが、例えば以下の方法がある。
【0088】
(方法1):重合系中に溶剤、モノマー、上記重合開始剤、必要に応じてエーテル化合物、3級アミン化合物を連続的にチャージしながら重合する[連続重合方式]。
(方法2):あらかじめ重合系中に溶剤、重合開始剤、必要に応じてエーテル化合物、3級アミン化合物を仕込んでおき、モノマーのみを連続的または断続的ににチャージして重合させる方法[モノマー連続添加方式]。
【0089】
上記モノモーダル型の共役ジオレフィン共重合ゴムにおいても、全共重合体鎖の少なくとも5%以上で50%を超えない重合体鎖の重合終了末端が、後記(a)イソシアナート化合物および/またはイソチオシアナート化合物、(b)アミド化合物および/またはイミド化合物、(c)ピリジル置換ケトン化合物および/またはピリジル置換ビニル化合物、(d)ケイ素化合物、(e)エステル化合物、(f)ケトン化合物ならびに(g)スズ化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(カップリング剤)によって変性もしくはカップリングさせていることが、重合体の物性面(たとえばヒステリシスロスを低減させる、あるいは耐摩耗性・破壊強度を良好にする)からも、生産性の面からも好ましい。
なお、分子量分布の広いモノモーダル型の本発明の共重合ゴムを重合終了前にカップリングしても、分子量分布が広いために、ポリモーダル型とはならず、モノモーダル型を維持する。
【0090】
このように、本発明で使用されるアミノ基含有アルコキシシラン化合物と併用して上記カップリング剤を添加することも可能である。上記カップリング剤の具体例は、以下のとおりである。
【0091】
すなわち、アミノ基含有アルコキシシラン化合物と併用して、重合活性末端に反応させるカップリング剤としては、(a)イソシアナート化合物および/またはイソチオシアナート化合物、(b)アミド化合物および/またはイミド化合物、(c)ピリジル置換ケトン化合物および/またはピリジル置換ビニル化合物、(d)ケイ素化合物、(e)エステル化合物、(f)ケトン化合物ならびに(g)スズ化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0092】
これらの化合物のうち、(a)成分であるイソシアナート化合物またはチオイソシアナート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメリックタイプのジフェニルメタンジイソシアナート(C−MDI)、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、1,3,5−ベンゼントリイソシアナート、フェニル−1,4−ジイソチオシアナートなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0093】
(b)成分であるアミド化合物またはイミド化合物の具体例としては、コハク酸アミド、フタル酸アミド、N,N,N’,N’−テトラメチルフタル酸アミド、オキサミド、N,N,N’,N’−テトラメチルオキサミドなどのアミド化合物、コハク酸イミド、N−メチルコハクイミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミドなどのイミド化合物を好ましいものとして挙げることができる。
【0094】
(c)成分であるピリジル置換ケトン化合物またはピリジル置換ビニル化合物の具体例としては、ジベンゾイルピリジン、ジアセチルピリジン、ジビニルピリジンなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0095】
(d)成分であるケイ素化合物の具体例としては、ジブチルジクロロケイ素、メチルトリクロロケイ素、メチルジクロロケイ素、テトラクロロケイ素、トリエトキシメチルシラン、トリフェノキシメチルシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、4,5−エポキシヘプチルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイドなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0096】
(e)成分であるエステル化合物の具体例は、アジピン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル、グルタル酸ジエチル、マレイン酸ジエチルなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0097】
(f)成分であるケトン化合物の具体例としては、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラエチル(4,4’−ジアミノ)−ベンゾフェノン、N,N−ジメチル−1−アミノベンゾキノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノベンゾキノン、N,N−ジメチル−1−アミノアントラキノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノアントラキノンなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0098】
(g)成分であるスズ化合物の具体例としては、テトラクロロスズ、テトラブロムスズ、トリクロロブチルスズ、トリクロロメチルスズ、トリクロロオクチルスズ、ジブロムジメチルスズ、ジクロロジメチルスズ、ジクロロジブチルスズ、ジクロロジオクチルスズ、1,2−ビス(トリクロロスタニル)エタン、1,2−ビス(メチルジクロロスタニルエタン)、1,4−ビス(トリクロロスタニル)ブタン、1,4−ビス(メチルジクロロスタニル)ブタン、エチルスズトリステアレート、ブチルスズトリスオクタノエート、ブチルスズトリスステアレート、ブチルスズトリスラウレート、ジブチルスズビスオクタノエート、ジブチルスズビスステアレート、ジブチルスズビスラウレートなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0099】
アミノ基含有アルコキシシラン化合物と併用して、重合活性末端に反応させるこれらの化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を併用して用いることもできる。
【0100】
上記カップリング剤の使用量は、開始剤のアルカリ金属1グラム原子当量あたり、0.05〜50モル、好ましくは0.1〜30モルの量で添加できる。0.05モル未満では、得られるゴム組成物の物性が劣り、またコールドフローが大きくなって貯蔵安定性が悪化する。一方、50モルを超えると、本発明の共重合ゴムを得るために必要な式(3),(4)に記載の化合物の反応率が低下し、期待する性能が得られない。
なお、上記カップリング剤による全共重合体鎖におけるカップリング率は、通常、5%以上、好ましくは10〜35%である。
【0101】
次に、本発明の第2製造法について説明する。
本発明の共重合ゴムを得るための、第1級アミノ基が保護されたリチウムアミド開始剤による重合反応、およびアルコキシシラン化合物との反応は、通常、0〜120℃の温度範囲で行われ、一定温度条件下でも上昇温度条件下でもよい。保護された第1級アミノ基を脱保護させるための加水分解は、80〜150℃、好ましくは90〜120℃の温度範囲で、第1級アミノ基が保護されたリチウムアミド開始剤の2倍モル以上の水もしくは酸性水などを添加し、10分間以上、好ましくは30分間以上反応させることにより行われる。重合方式は、バッチ重合方式または連続重合方式のいずれでもよい。
【0102】
なお、第2製造法について、ここに記載のない事項は、第1製造法について記載した事項がそのままあるいは当業者に自明の変更を加えて適用されると理解されるべきである。
【0103】
上記式(5)で表されるリチウムアミド開始剤としては、例えば3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−1−プロピルリチウム、3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−2−メチル−1−プロピルリチウム、3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−2,2−ジメチル−1−プロピルリチウム、4−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−1−ブチルリチウム、5−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−1−ペンチルリチウム、8−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]−1−オクチルリチウムを挙げることができる。
また、上記式(6)で表されるリチウムアミド開始剤としては、例えば3−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−プロピルリチウム、2−メチル−3−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−プロピルリチウム、2,2−ジメチル−3−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−プロピルリチウム、4−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−ブチルリチウム、6−(2,2,5,5,−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン)−1−ヘキシルリチウムを挙げることができる。
【0104】
また、上記リチウムアミド開始剤は、対応するハライドと有機リチウム化合物を炭化水素溶媒中で反応させた合成体を使用してもよい。なお、ハライドと有機リチウムの反応は、重合リアクターと別の反応容器にて予め実施してもよい。
【0105】
上記リチウムアミド開始剤に対応するハライドとしては、下記式(8)
(R4R5R6Si)2−N−R1−X (8)
ここで、R1、R4、R5およびR6の定義は、上記式(3)に同じである、Xはハロゲン原子である、
または下記式(9)
【0106】
【化20】
【0107】
ここで、R1の定義は上記式(3)に同じであり、R7,R8は、各々独立に水素または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基であり、dは1〜7の整数である、
を挙げることができる。
【0108】
さらに、上記式(7)で表されるアルコキシシラン化合物としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラトルイロキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、アリルトリフェノキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリプロポキシクロロシラン、トリブトキシクロロシラン、トリフェノキシクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ジプロポキシジクロロシラン、ジフェノキシジクロロシランを挙げることができる。
【0109】
以上のようにして得られる本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムのガラス転移点(Tg)は、−25℃を超え、好ましくは−23℃〜+10℃、さらに好ましくは−20℃〜+5℃である。ここで、ガラス転移点は、ASTM D3418にしたがって求めた値である。本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムのガラス転移温度を−25℃を超えるものとすることにより、高ガラス転移点を有するものとなり、得られるタイヤ用ゴム組成物のグリップ性能が向上する。通常の共役ジオレフィン共重合ゴムも、高ガラス転移点化により、グリップ性能は向上するが、一方、耐摩耗性や低転がり抵抗性が悪化する。しかしながら、本発明の共重合ゴムは、上記のように、「1級アミノ基とアルコキシシリル基」で変性されているので、ゴム/フィラーとの相互作用の向上で、耐摩耗性も向上し、さらに低転がり抵抗性も改良され、その結果、高性能タイヤや競技用タイヤとして有用である。
ここで、上記共重合ゴムのガラス転移温度を−25℃を超えるものとするには、芳香族ビニル化合物の重合単位の含有量、および共役ジオレフィンの重合単位におけるビニル結合含量により、容易に調整することができる。
【0110】
また、本発明で得られる共重合ゴムの重量平均分子量は、15万〜200万、好ましくは15万〜170万である。15万未満では、得られるゴム組成物の破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性などが充分ではなく、一方、200万を超えると、加工性に劣り、また混練り時のフィラー分散性が悪化し、破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性、ウエットスキッド性が悪化する。
【0111】
なお、本発明で得られる共重合ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は20〜200の範囲であることが好ましく、20未満では破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性が悪化し、一方、200を超えると加工性が低下する。また、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が100を超えた重合体もそのままでは加工性に劣り好ましくないが、芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどの伸展油や重量平均分子量が15万以下の液状ポリマーを添加することで、ムーニー粘度を100以下に下げて、加工上問題なく使用できるようにすることもできる。用いられる伸展油としては、ジエン系ゴムに通常用いられる伸展油や軟化剤であれば特に制限されないが、鉱物油系の伸展油が好ましく用いられる。一般的に、鉱物油の伸展油は、芳香族系オイル、脂環族系オイル、および脂肪族系オイルの混合物であり、これらの量割合によって芳香族系(アロマティック系)、脂環族系(ナフテン系)、脂肪族系(パラフィン系)と分類されており、いずれのものも使用することができる。伸展油としては、好ましくは粘度比重恒数(または粘度比重定数という。以下、V.G.C.と略す。)で0.790〜1.100、好ましくは0.790〜1.049、さらに好ましくはV.G.C.が0.790〜0.999、特に好ましくはV.G.C.が0.790〜0.949のものである。なかでも、粘度比重恒数(V.G.C.値)が0.900〜1.049の芳香族系鉱物油(アロマティックオイル)および0.800〜0.899の脂肪族系鉱物油(ナフテニックオイル)が、低ヒステリシスロス性/ウェットスキッド抵抗の点から好ましく用いられる。
【0112】
このうち、上記粘度比重恒数を満たすアロマティック系伸展油としては、出光興産(株)製の、ダイアナプロセスオイルAC−12,AC460,AH−16,AH−58、エクソンモービル(有)製の、モービルゾールK,同22,同130、日鉱共石(株)製の、共石プロセスX50,X100,X140、シェル化学(株)製の、レゾックスNo.3、デュートレックス729UK、日石三菱(株)〔旧日本石油(株)〕製の、コウモレックス200,300,500,700、エクソンモービル(有)製の、エッソプロセスオイル110,同120、日石三菱(株)〔旧三菱石油(株)〕製の、三菱34ヘビープロセス油、三菱44ヘビープロセス油、三菱38ヘビープロセス油、三菱39ヘビープロセス油などが挙げられる。
【0113】
また、上記粘度比重恒数を満たすナフテン系伸展油としては、出光興産(株)製の、ダイアナプロセスオイルNS−24,NS−100,NM−26,NM−280,NP−24、エクソンモービル(有)製のナプレックス38、富士興産(株)製の、フッコールFLEX#1060N,#1150N,#1400N,#2040N,#2050N、日鉱共石(株)製の、共石プロセスR25,R50,R200,R1000、シェル化学(株)製の、シェルフレックス371JY,同371N,同451,同N−40,同22,同22R,同32R,同100R,同100S,同100SA,同220RS,同220S,同260,同320R,同680、日石三菱(株)〔旧日本石油(株)〕製のコウモレックス2号プロセスオイル、エクソンモービル(有)製の、エッソプロセスオイルL−2,同765、日石三菱(株)〔旧三菱石油(株)〕製の三菱20ライトプロセス油などが挙げられる。
【0114】
さらに、上記粘度比重恒数を満たすパラフィン系伸展油としては、出光興産(株)製の、ダイアナプロセスオイルPW−90,PW−380,PS−32,PS−90,PS−430、富士興産(株)製の、フッコールプロセスP−100,P−200,P−300,P400,P−500、日鉱共石(株)製の、共石プロセスP−200,P−300,P−500,共石EPT750,同1000,共石プロセスS90、シェル化学(株)製の、ルブレックス26,同100,同460、エクソンモービル(有)製の、エッソプロセスオイル815,同845,同B−1、エクソンモービル(有)製のナプレックス32、日石三菱(株)〔旧三菱石油(株)〕製の三菱10ライトプロセス油などが挙げられる。
【0115】
このように、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムが伸展油によって油展されていることにより、カーボンブラック、シリカなどの充填剤を該共重合ゴムに均一に微分散させることが可能になり、加工性、加硫物の諸特性を著しく向上させることができる。また、これにより、驚くべきことに、得られる油展共重合ゴムや加硫物の機械的強度、特に耐摩耗性を向上させることができる。
【0116】
本発明に用いられる伸展油の配合量は、共役ジオレフィン共重合ゴム100重量部に対して、10〜100量部、好ましくは15〜90重量部である。10重量部未満では、耐摩耗性向上効果や加工性に乏しく、一方、100重量部を超えると、著しく軟質化し加工性に劣る。
【0117】
油展方法としては特に制限はなく、例えば、上記共重合ゴムの重合溶液に伸展油を添加し、溶液状態で混合する方法を挙げることができる。この方法は、操作上、共重合ゴムと伸展油とを混合する過程を省略することができ、両者の混合均一性に優れる点から好ましい。重合溶液に伸展油を添加する場合は、重合の終了後、例えば、末端変性剤の添加後または重合停止剤の添加後が好ましい。有機溶剤を含む重合体溶液中に、伸展油を必要量添加して、溶液状態でよく混合する(第1工程)。次に、▲1▼伸展油を含む重合体溶液中にスチームを吹き込むスチームストリッピング法によってクラムを得るか、あるいは▲2▼伸展油を含む重合体溶液をエクストルーダー、デボラチライザーなどの手段により、直接、脱溶剤を行なって、油展1,2−ポリブタジエンと溶剤とを分離する(第2工程)。得られた未乾燥の油展共重合ゴムは、必要に応じて、真空乾燥機、熱風乾燥機やロールなどにより乾燥し(第3工程)、目的とする油展共重合ゴムを単離することができる。
また、油展方法として、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムと伸展油とを溶融状態でブレンドして、油展共重合ゴムを調製することもできる。この場合、ブレンド方法としては、単軸押し出し機、二軸押し出し機、バンバリー、ロール、ニーダー、プラストミルなどが採用され、溶融混練温度は50〜200℃が好適である。
【0118】
かくて、本発明によれば、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴム100重量部に対し、伸展油10〜100重量部を含有する油展共重合ゴムが好ましく提供される。
【0119】
本発明で得られた共重合ゴムを含有した重合反応溶液は、通常の溶液重合法について用いられる方法、例えば、溶液状態で安定剤などを添加した後、必要に応じて、上記のように芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどの伸展油や重量平均分子量が15万以下の液状ポリマー(あるいは上記液状ポリマーの溶液)を添加して、直接乾燥法やスチームストリッピング法によってゴムと溶剤とを分離して洗滌し、真空乾燥機、熱風乾燥機やロールなどにより乾燥し、目的の本発明の共重合ゴムを単離することができる。
【0120】
本発明の共重合ゴムは、単独でまたは天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、乳化重合スチレンブタジエンゴムなどとブレンドし、カーボンブラック、シリカなどの補強剤および各種配合剤と、ロール、バンバリーミキサーによって混練りしたのち、硫黄、加硫促進剤などを添加して、トレッド、サイドウォール、カーカスなどのタイヤ用ゴムをはじめ、ベルト、防振ゴムその他の工業用品に使用することができる。
【0121】
本発明の共重合ゴムを、タイヤ、特にタイヤトレッドに使用する場合に充填される補強材としては、例えばカーボンブラック、シリカなどのフィラーが挙げられる。
【0122】
特に、加硫物を効果的に補強して、良好な耐摩耗性、破壊強度を期待するときには、カーボンブラックが好適に使用される。フィラーの充填量は、全ゴム成分100重量部に対し、好ましくは20〜120重量部、より好ましくは30〜110重量部である。カーボンブラックとしては、ファーネス法により製造されたものであって、窒素吸着比表面積が50〜200m2/g、DBP吸油量が80〜200ml/100gのカーボンブラックが好ましく、FEF、HAF、ISAF、SAFクラスのものが好ましく使用でき、特に高凝集タイプのものが好ましい。
【0123】
また特に、低燃費タイヤ用途においては、加硫物のヒステリシスロスを低下させて良好な転がり抵抗を与えるとともに、ウエットスキッド抵抗を向上させる目的においては、シリカの使用が好ましい。シリカとしては、湿式法シリカ、乾式法シリカ、合成けい酸塩シリカのいずれのものも使用できる。補強効果の高いのは粒子系の小さいシリカであり、小粒子・高凝集タイプ(高表面積、高吸油性)のものがゴムへの分散性が良好で、物性および加工性の面で特に好ましい。また、高分散型(High Dispersible Type)のシリカを使用することも、ゴムへの分散性を良好化し、物性、加工性の面で好ましい。シリカの平均粒子径は一次粒子径で5〜60μm、特に10〜35μmが好ましい。このシリカの充填量は、全ゴム成分100重量部に対して、好ましくは20〜120重量部、より好ましくは30〜110重量部である。
【0124】
さらに、シリカを充填剤に使用する際、その補強効果を高める目的で、公知の各種シランカップリング剤を使用することができる。シランカップリング剤とは、分子中にアルコキシシリル基などのシリカ表面と反応可能な構成成分とポリスルフィド、メルカプト基、エポキシ基などの、ゴム、特に炭素−炭素二重結合と反応可能な構成成分を併せ持った化合物を指す。例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドおよび3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが、シランカップリング剤としてよく知られている。
なお、フィラーとして、シリカを用いる場合、フィラー中の少なくとも1重量部をシリカとし、さらにこのシリカに対してシランカップリング剤を0.5〜20重量%含有させることが望ましい。このようにすると、シリカの分散性が向上し、またシリカとゴムとの結合比率が向上するので、破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性が改良されるという効果が得られる。
【0125】
また、カーボンブラックとシリカとを、全ゴム成分100重量部に対し20〜120重量部の範囲内で組み合わせて使用することで、良好な摩耗耗性、破壊強度と優れた低ヒステリシス性能、ウエットグリップ性能のバランスを両立させることもできる。
【0126】
また、本発明の共重合ゴムにカーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラー(Dual Phase Filler)を配合することにより、カーボンブラックとシリカを併用したときと同様な優れた利点を得ることができる。
【0127】
カーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーは、カーボンブラックの表面に、シリカを化学結合させた、いわゆるシリカ・コーティング・カーボンブラックであり、キャボット社から商品名CRX2000、CRX2002、CRX2006として販売されている。
カーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーの配合量は、ゴム成分の合計100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜95重量部である。
【0128】
本発明では、カーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーをそれ以外の充填剤と併用して使用することができる。併用できる充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムを挙げることができるが、これらに制限はない。なかでもカーボンブラック、シリカが好ましい。
これらの併用できる充填剤は、ゴム成分の合計量100重量部に対して、好ましくは3〜100重量部、特には5〜95重量部配合することが好ましい。
【0129】
一方、上記油展共重合ゴムを用いて、ゴム組成物を調製する場合には、上記油展共重合ゴムを全ゴム成分に対して30重量%以上含有させるとともに、フィラーとして、全ゴム成分100重量部当たりカーボンブラックを2〜100重量部および/またはシリカを30〜100重量部を含有させ、そしてシリカを含有させる場合、シリカに対し、シランカップリング剤を5〜20重量%含有させることが好ましい。このようにすると、このようにすると、シリカの分散性が向上し、またシリカとゴムとの結合比率が向上するので、破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性が改良されるという効果が得られる。
また、上記油展共重合ゴムを用いて、ゴム組成物を調製する場合には、該油展共重合ゴムを全ゴム成分に対し30重量%以上含有させるとともに、フィラーとして、全ゴム成分100重量部あたり、
(イ)カーボンブラックおよびシリカをこれらの合計量として30〜100重量部、
(ロ)カーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーを30〜100重量部、または
(ハ)カーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーとカーボンブラックおよび/またはシリカをこれらの合計量として30〜100重量部、
含有させ、そしてシリカおよび/またはカーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーの合計量に対し、シランカップリング剤を5〜20重量%含有させる、ことも好ましい態様である。このようにすると、シリカの分散性が向上し、またシリカとゴムとの結合比率が向上するので、破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性が改良されるという効果が得られる。
【0130】
本発明の共重合ゴム〔油展共重合ゴムを含む〕を使用して得られるゴム組成物の混練り方法は、特に限定されないが、フィラーにシリカを含む場合は、シリカによる補強が十分になされ、加硫ゴムの物性をより向上させる目的で、下記方法で混練りすることもできる。
【0131】
本発明の共重合ゴム〔油展共重合ゴムを含む〕、シリカ、シランカップリング剤、亜鉛華および加硫剤を含有するゴム組成物の混練り方法としては、(a)共重合ゴムにシリカを配合し、混練りして第1ゴム配合物を調製し、その後、該第1ゴム配合物にシランカップリング剤を配合し、混練りして第2ゴム配合物を調製し、次いで、該第2ゴム配合物に亜鉛華および加硫剤を配合し、混練りする方法、または、(b)共重合ゴムにシリカを配合し、混練りして第1ゴム配合物を調製し、その後、該第1ゴム配合物にシランカップリング剤を配合して混練りし、更に亜鉛華を配合し、混練りを継続して第2ゴム配合物を調製し、次いで、該第2ゴム配合物に加硫剤を配合し、混練りする方法を挙げることができる。
【0132】
上記混練り方法であれば、共重合ゴムとシリカを混練りする際にシランカップリング剤が共存しないため、混練り温度を170〜180℃程度まで高めることができ、本発明の共重合ゴムとシリカとの反応性が高まるので、性能が向上する。
【0133】
なお、本発明のゴム組成物には、加硫剤を、全ゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜6重量部の範囲で用いることができる。
【0134】
加硫剤としては、代表的には硫黄を、また、その他に硫黄含有化合物、過酸化物などを挙げることができる。
【0135】
また、加硫剤と併用してスルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系などの加硫促進剤を必要に応じた量用いてもよい。さらに、亜鉛華、加硫助剤、老化防止剤、加工助剤などを必要に応じた量用いてもよい。
【0136】
さらに、本発明の共重合ゴムを使用して得られるゴム組成物の各種配合剤は、特に限定されないが、混練り時の加工性改良、あるいはウェットスキッド特性、低ヒステリシスロス性、耐摩耗性のバランスを更に向上させる目的で、他の伸展油や通常のゴム組成物に配合される加硫剤、加硫促進剤、亜鉛華、老化防止剤、スコーチ防止剤、タッキファイァー、他の充填剤などの各種の配合剤のほか、下記相溶化剤を混練り時に添加することもできる。
【0137】
好ましい相溶化剤は、エポキシ基含有化合物、カルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物、ケトン化合物、エーテル化合物、アルデヒド化合物、水酸基含有化合物およびアミノ基含有化合物から選択される有機化合物であるか、またはアルコキシシラン化合物、シロキサン化合物およびアミノシラン化合物から選択されるシリコーン化合物である。
【0138】
相溶化剤の有機化合物の具体例として、下記の化合物が挙げられる。
エポキシ基含有化合物:ブチルグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、酸化プロピレン、ネオペンチルグリコールシグリシジルエーテル、エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸エステルなど。
カルボン酸化合物:アジピン酸、オクチル酸、メタクリル酸など。
【0139】
カルボン酸エステル化合物:アクリル酸エステル、アクリル酸ジエチレン、メタクリル酸エチル、オルト酢酸エステル、アセト酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、ジメチルカーボネート、p−ヒドロキシフェニル酢酸、ポリエステル系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤など。
ケトン化合物:メチルシクロヘキサノン、アセチルアセトンなど。
エーテル化合物:イソプロピルエーテル、ジブチルエーテルなど。
アルデヒド化合物:ウンデシレンアルデヒド、デシルアルデヒド、バニリン、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、クミンアルデヒドなど。
アミノ基含有化合物:n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、イソプロパノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、エチレンイミン、ヘキサメチレンジアミン、3−ラウリルオキシプロピルアミン、アミノフェノール、アニリン、3−イソプロポキシアニリン、フェニレンジアミン、アミノピリジン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、塩酸エチルアミン、塩酸−n−ブチルアミンなど。
水酸基含有化合物:イソプロピルアルコール、ブタノール、オクタノール、オクタンジオール、エチレングリコール、メチルシクロヘキサノール、2−メルカプトエタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1−オクタデカノール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリエチレングリコールなど。
なかでも、エポキシ基含有化合物、アミノ基含有化合物、水酸基含有化合物が好ましい。
【0140】
相溶化剤のシリコーン化合物の具体例としては、
アルコキシシラン化合物:トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなど。
シロキサン化合物:ジメチルシロキサンオリゴマー、シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有シリコーンオイルなど。
アミノシラン化合物:ヘキサメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、アニリトリメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、トリエチルアミノシランなど、なかでもシラザン化合物、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシランが好ましい。
【0141】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。
なお、実施例中の各種の測定は下記の方法に拠った。
(1)共役ジオレフィン部分のビニル結合含量
270MHz1H−NMRによって求めた。
(2)結合スチレン含量
270MHz1H−NMRによって求めた。
(3)ガラス転移温度
ASTM D3418に従って求めた。
(4)重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー社製、HLC−8120GPC)を用いて、ポリスチレン換算で求めた。
(5)ムーニー粘度(ML1+4,100℃)
JIS K6300に従って、Lローター、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃で求めた。
【0142】
(6)第1級アミノ基含量(mmol/kg)
まず、重合体をトルエンに溶解した後、大量のメタノール中で沈殿させることにより共重合ゴムに結合していないアミノ基含有化合物をゴムから分離した後、乾燥した。本処理を施した共重合ゴムを試料として、JIS K7237に記載された「全アミン価試験方法」により全アミノ基含有量を定量した。続けて、上記処理を施した共重合ゴムを試料として「アセチルアセトンブロックド法」により第2+第3アミノ基含有量を定量した。試料を溶解させる溶媒には、o−ニトロトルエンを使用、アセチルアセトンを添加し、過塩素酸の酢酸溶液で電位差滴定を行った。全アミノ基含有量から第2+第3アミノ基含有量を引いて第1アミノ基含有量(mmol)を求め、分析に使用したポリマー重量を割り返すことで重合体に結合した第1級アミノ基含有量(mmol/kg)を求めた。
(7)アルコキシシリル基含量(mmol/kg)
赤外吸収スペクトルにより、Si−C結合に起因する1,160cm−1の吸収量により求めた。
【0143】
(8)加硫ゴムの物性評価
共重合ゴムを用い、表5に示す配合処方に従って、250ccラボプラストミルで混練りしたのち、145℃で所定時間、加硫を行った加硫ゴムを用いて下記(イ)〜(ハ)の各種測定を行った。
(イ)摩擦係数μ:摩擦係数μは、日邦産業社製のD.F.テスター(ダイナミック・フリクション・テスター)を使用し、ASTM E1911に従って測定した。速度60km/h時の摩擦係数μを指数で表示し、数値が大きいほど、グリップ性が高く、良好である。
(ロ) tanδ(50℃)、tanδ(0℃):tanδ(50℃)は、米国レオメトリックス社製の動的スペクトロメーターを使用し、引張動歪1%、周波数10Hz、50℃の条件で測定した。指数で表示し、数値が大きいほど、転がり抵抗が小さく、良好である。tanδ(0℃)は、同機器を使用し、引張動歪0.1%、周波数10Hz、0℃で測定した。指数で表示し、数値が大きいほど、ウエットスキッド抵抗性が大きく良好である。
(ハ)ランボーン摩耗指数:ランボーン型摩耗試験機を用い、スリップ率が25%の摩耗量で表し、また、測定温度は室温とした。指数が大きいほど、耐摩耗性は良好である。
(ニ)硬度: JIS K6253に従って測定した。指数で表示し、数値が大きいほど、低温(23℃)時の硬度が低く、走行初期のグリップ性が高く良好である。
【0144】
実施例1(共重合ゴムAの合成、およびその評価)
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,500g、テトラヒドロフラン62.5g、スチレン175g、1,3−ブタジエン315g、ジビニルベンゼン0.05gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム330mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は90℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、1,3−ブタジエンを10g追加し、さらに5分重合させた後、四塩化スズ60mgを加えて5分間反応を行い、続けてN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1,255mgを加えて15分間反応を行った。反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールによりゴムを乾燥し、共重合ゴムを得た。この共重合ゴムを共重合ゴムAとする。得られた共重合ゴムAの組成および物性を表3に示す。
共重合ゴムAを用いて、表5に示す配合処方Iにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表6に実施例3として示す。
【0145】
実施例2(共重合ゴムBの合成、およびその評価)
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,500g、テトラヒドロフラン100g、スチレン200g、1,3−ブタジエン290g、ジビニルベンゼン0.05gを仕込んだ。反内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム330mgを添加して重合を開始した。
重合は、断熱条件で実施し、最高温度は90℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン10gを追加し、さらに5分重合させた後、四塩化スズ60mgを加えて5分間反応を行い、続けてN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1,255mgを加えて15分間反応を行った。反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールによりゴムを乾燥し、共重合ゴムBを得た。得られた共重合ゴムBの組成および物性を表3に示す。
共重合ゴムBを用いて、表5に示す配合処方Iにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表6に実施例4として示す。
【0146】
比較例1〜2(共重合ゴムC,Dの合成、およびその評価)
実施例1、2において、ジビニルベンゼンは添加せず、添加剤を四塩化スズ270mgのみに変更したこと以外は、実施例1、2と同様にして、共重合ゴムC,Dを得た。得られた共重合ゴムC,Dの組成および物性を表4に示す。
共重合ゴムC,Dを用いて、表5に示す配合処方Iにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表6に比較例7、8として示す。
【0147】
比較例3(共重合ゴムEの合成、およびその評価)
実施例2において、ジビニルベンゼンは添加せず、添加剤をメチルトリフェノキシシラン1,330mgに変更したこと以外は、実施例2と同様にして、共重合ゴムEを得た。得られた共重合ゴムEの組成および物性を表4に示す。
共重合ゴムEを用いて、表5に示す配合処方Iにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表6に比較例9として示す。
【0148】
比較例4(共重合ゴムFの合成、およびその評価)
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,500g、テトラヒドロフラン25g、スチレン100g、1,3−ブタジエン390g、ジビニルベンゼン0.05g を仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム330mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は90℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン10gを追加し、さらに5分重合させた後、四塩化スズ60mgを加えて5分間反応を行い、続けてN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1,255mgを加えて15分間反応を行った。反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールによりゴムを乾燥し、共重合ゴムJを得た。得られた共重合ゴムJの組成および物性を表4に示す。
共重合ゴムFを用いて、表5に示す配合処方Iにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表6に比較例10として示す。
【0149】
実施例5〜6
共重合ゴムA,Bを用いて、表5に示す配合処方IIにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表7に実施例5,6として示す。
【0150】
比較例12〜14
共重合ゴムD〜Fを用いて、表5に示す配合処方IIにより調製した配合ゴムを加硫して、物性評価を行った。その結果を表7に比較例12〜14として示す。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
【0153】
【表3】
【0154】
【表4】
【0155】
【表5】
【0156】
【表6】
【0157】
【表7】
【0158】
表6〜7の結果より以下のことが分かる。
表6のシリカとカーボンブラックを併用した配合での評価結果より、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムを用いた実施例3,4は、比較例7、8に比べ、良好なグリップ性能(摩擦係数μ)を有し、耐摩耗性を損なうことなく、ウェットスキッド特性(0℃におけるtanδ)、低ヒステリシスロス性(50℃におけるtanδ)が高水準にバランスされている。このことは、表7のカーボンブラック配合(実施例5,6、比較例11,12)においても同様である。
一方、アルコキシシリル基のみを有する共役ジオレフィン共重合ゴムEを用いた比較例9,13の場合、諸物性の改良効果が小さく、特にカーボン配合では改良効果がない。また、第1級アミノ基とアルコキシシリル基とを有しガラス転移点(Tg)が−25℃以下である共役ジオレフィン共重合ゴムFを用いた比較例10,14においても、本発明の共役ジオレフィン共重合ゴムにおける諸物性の改良には及んでいない。
【0159】
【発明の効果】
本発明によれば、配合する充填剤の種類および組合せによらず、加工性に優れるとともに、加硫処理を施して加硫ゴムとしたときに、ウエットスキッド特性、低ヒステリシスロス性、耐摩耗性、破壊強度のバランスに優れ、特にグリップ性能、耐摩耗性、低転がり抵抗性のバランスを兼ね備えた高性能タイヤ、競技用タイヤのトレッド用材料やサイドウォール部材として有用な共役ジオレフィン共重合ゴムおよびその製造方法、ゴム組成物、タイヤを提供することができる。
Claims (12)
- 共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の共重合ゴムであって、共重合体鎖に結合した第1級アミノ基とアルコキシシリル基とを有し、かつガラス転移点(Tg)が−25℃を超え、さらに重量平均分子量が15万〜200万であることを特徴とする共役ジオレフィン共重合ゴム。
- 芳香族ビニル化合物の重合単位の含有量が共重合ゴムの30重量%を超え、共役ジオレフィンの重合単位の含有量が共重合ゴムの70重量%以下であり、共重合可能な第3モノマーの重合単位の含有量が共重合ゴムの0重量%以上25重量%未満であり、そして、ビニル結合含有量が共役ジオレフィンの重合単位の50モル%を超える請求項1に記載の共役ジオレフィン共重合ゴム。
- 第1級アミノ基の含有量が0.5〜200mmol/kg・共重合ゴムポリマーであり、そしてアルコキシシリル基の含有量が0.5〜200mmol/kg・共重合ゴムポリマーである請求項1または2に記載の共役ジオレフィン共重合ゴム。
- 共重合体鎖に結合した第1級アミノ基とアルコキシシリル基とを有する共重合ゴムが、下記式(1)
または下記式(2)
で表される請求項1〜3のいずれかに記載の共役ジオレフィン共重合ゴム。 - 炭化水素溶媒中で、有機アルカリ金属および有機アルカリ土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を開始剤として用いて、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物をアニオン重合させた後、その重合活性末端と下記式(3)
または下記式(4)
で表される少なくとも1つのアミノ基含有アルコキシシラン化合物を反応させ、しかる後、加水分解することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の共役ジオレフィン共重合ゴムを製造する方法。 - 上記アミノ基含有アルコキシシラン化合物が、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、またはN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、または1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンである請求項5に記載の方法。
- 炭化水素溶媒中で、下記式(5)
(R4R5R6Si)2−N−R1−Li (5)
ここで、R1の定義は上記式(1)に同じであり、R4,R5およびR6の定義は、上記式(3)に同じである、
または下記式(6)
で表されるリチウムアミド開始剤を用いて、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物をアニオン重合させた後、その重合活性末端と
で表されるアルコキシシラン化合物を反応させ、しかる後加水分解することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の共役ジオレフィン共重合ゴムを製造する方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の共役ジオレフィン共重合ゴム100重量部に対し、伸展油を10〜100重量部を含有していることを特徴とする油展共重合ゴム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の共役ジオレフィン共重合ゴムが全ゴム成分の30重量%以上を占める全ゴム成分100重量部に対し、フィラーを20〜120重量部を含有してなることを特徴とするゴム組成物。
- 上記フィラーの少なくとも1重量部がシリカであり、さらにシリカに対してシランカップリング剤を0.5〜20重量%含有する請求項9に記載のゴム組成物。
- 請求項9または10に記載のゴム組成物をトレッド部材またはサイドウォール部材に用いたタイヤ 。
- 高性能タイヤまたは競技用タイヤである請求項11記載のタイヤ。
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