JP2019001845A - トレッド用ゴム組成物、トレッド部材、およびタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ウェットグリップ性能に優れたトレッド用ゴム組成物、トレッド部材及びタイヤを提供する。
【解決手段】ジエン系重合体を含有するゴム成分を含む未加硫ゴム組成物を加硫した、連続相2と1相以上の非連続相4とを有するトレッド用ゴム組成物であって、充填剤6及び液状ポリマーを含み、充填剤6及び液状ポリマーが連続相2に局在し、2連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg1と、非連続相4を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg2が、Tg1>Tg2である。
【選択図】図1
【解決手段】ジエン系重合体を含有するゴム成分を含む未加硫ゴム組成物を加硫した、連続相2と1相以上の非連続相4とを有するトレッド用ゴム組成物であって、充填剤6及び液状ポリマーを含み、充填剤6及び液状ポリマーが連続相2に局在し、2連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg1と、非連続相4を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg2が、Tg1>Tg2である。
【選択図】図1
Description
本発明は、トレッド用ゴム組成物、トレッド部材、およびタイヤに関する。
タイヤ用ゴム組成物では、ゴムの補強の観点からカーボンブラックが用いられている。
近年、タイヤ用ゴム組成物に広く一般的に配合されるカーボンブラックに代え、シリカを配合することによりウェットグリップ性能が向上することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
近年、タイヤ用ゴム組成物に広く一般的に配合されるカーボンブラックに代え、シリカを配合することによりウェットグリップ性能が向上することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、ガラス転移温度(Tg)の異なるゴムをブレンドして、ウェットグリップ性能を向上する検討もなされている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、上記開示の技術をもってしても、依然としてゴム組成物のウェットグリップ性能には改善の余地があった。
本発明は、ウェットグリップ性能に優れたトレッド用ゴム組成物、トレッド部材、及びタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ウェットグリップ性能に優れたトレッド用ゴム組成物、トレッド部材、及びタイヤを提供することを目的とする。
<1> ジエン系重合体を含有するゴム成分を含む未加硫ゴム組成物を加硫した、連続相と1相以上の非連続相とを有するトレッド用ゴム組成物であって、充填剤及び液状ポリマーを含み、該充填剤及び該液状ポリマーが該連続相に局在し、該連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg1と、該非連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg2が、Tg1>Tg2であるである。
<2> 前記連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg1と、前記非連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg2が、Tg1−Tg2≧20℃を満たす<1>に記載のトレッド用ゴム組成物である。
<3> 前記非連続相のドメイン径が50〜500nmである<1>または<2>に記載のトレッド用ゴム組成物である。
<4> 全充填剤のうち前記連続相に含まれる充填剤の質量が、全ジエン系重合体のうち連続相に含まれるジエン系重合体の質量よりも多い<1>〜<3>のいずれか1つに記載のトレッド用ゴム組成物である。
<5> 前記液状ポリマー全質量中、前記連続相に含まれる前記液状ポリマーの量が50質量%を超え100質量%以下である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のトレッド用ゴム組成物である。
<6> <1>〜<5>のいずれか1つに記載のトレッド用ゴム組成物を用いたトレッド部材である。
<7> <6>に記載のトレッド部材を用いたタイヤである
本発明によれば、ウェットグリップ性能に優れたトレッド用ゴム組成物、トレッド部材、及びタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
なお、本発明において、単に「ゴム組成物」と称するときは、加硫済みのゴム組成物を意味し、加硫前のゴム組成物は「未加硫ゴム組成物」と称する。更に、トレッド用ゴム組成物を単に「ゴム組成物」と称することがある。
本発明において、「ゴム成分」とは、少なくともジエン系重合体を含有し、充填剤を含有しない(充填剤の含有量が0質量%である)成分である。ゴム成分には、ジエン系重合体のほか、必要に応じて、ワックス、老化防止剤、亜鉛華合物、硫黄等を含んでいてもよい。ゴム成分は未加硫ゴム組成物に含まれ、加硫済みのゴム組成物には含まれない。
未加硫ゴム組成物は、ゴム成分と充填剤とからなる。
なお、本発明において、単に「ゴム組成物」と称するときは、加硫済みのゴム組成物を意味し、加硫前のゴム組成物は「未加硫ゴム組成物」と称する。更に、トレッド用ゴム組成物を単に「ゴム組成物」と称することがある。
本発明において、「ゴム成分」とは、少なくともジエン系重合体を含有し、充填剤を含有しない(充填剤の含有量が0質量%である)成分である。ゴム成分には、ジエン系重合体のほか、必要に応じて、ワックス、老化防止剤、亜鉛華合物、硫黄等を含んでいてもよい。ゴム成分は未加硫ゴム組成物に含まれ、加硫済みのゴム組成物には含まれない。
未加硫ゴム組成物は、ゴム成分と充填剤とからなる。
<トレッド用ゴム組成物>
本発明のトレッド用ゴム組成物は、ジエン系重合体を含有するゴム成分を含む未加硫ゴム組成物を加硫した、連続相と1相以上の非連続相とを有するトレッド用ゴム組成物であって、充填剤及び液状ポリマーを含み、該充填剤及び該液状ポリマーが該連続相に局在し、該連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg1と、該非連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg2が、Tg1>Tg2の関係にある。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、ジエン系重合体を含有するゴム成分を含む未加硫ゴム組成物を加硫した、連続相と1相以上の非連続相とを有するトレッド用ゴム組成物であって、充填剤及び液状ポリマーを含み、該充填剤及び該液状ポリマーが該連続相に局在し、該連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg1と、該非連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg2が、Tg1>Tg2の関係にある。
本発明のゴム組成物の相構造の一例を、図1に示す模式図により説明する。
本発明のゴム組成物は、非相溶のゴム組成物を含み、図1に示すように、互いに相溶しない連続相2と非連続相4とが、海(連続相2)−島(非連続相4)構造をなしている。非連続相4は、連続相2中に分散していることから、分散相と称することがある。
本発明のゴム組成物は、充填剤6及び液状ポリマー(図示せず)を含み、充填剤6及び液状ポリマーが連続相2に局在している。
更に、連続相2を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg1と、非連続相4を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg2が、Tg1>Tg2である。すなわち、連続相2を構成するゴム成分は、非連続相4を構成するゴム成分よりも硬いため、本発明のゴム組成物は、硬い連続相2の中に、ミクロの柔らかい非連続相4を含む構造を有する。
本発明のゴム組成物は、非相溶のゴム組成物を含み、図1に示すように、互いに相溶しない連続相2と非連続相4とが、海(連続相2)−島(非連続相4)構造をなしている。非連続相4は、連続相2中に分散していることから、分散相と称することがある。
本発明のゴム組成物は、充填剤6及び液状ポリマー(図示せず)を含み、充填剤6及び液状ポリマーが連続相2に局在している。
更に、連続相2を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg1と、非連続相4を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg2が、Tg1>Tg2である。すなわち、連続相2を構成するゴム成分は、非連続相4を構成するゴム成分よりも硬いため、本発明のゴム組成物は、硬い連続相2の中に、ミクロの柔らかい非連続相4を含む構造を有する。
トレッド用ゴム組成物が、硬−柔の海島構造を有することで、歪みが大きくなり、ウェットグリップ性能が向上すると考えられる。
ここで、「連続相2に局在」とは、充填剤6においては、全充填剤のうち連続相2中の充填剤の量の割合が、全ジエン系重合体のうち連続相2中のジエン系重合体の割合よりも多いことを意味する。また、液状ポリマーにおいては、本発明のゴム組成物に含まれる液状ポリマー全質量中、連続相2に含まれる液状ポリマーの量が、非連続相4に含まれる液状ポリマーの量よりも多いことを意味する。
以下、符号を省略して説明する。
ここで、「連続相2に局在」とは、充填剤6においては、全充填剤のうち連続相2中の充填剤の量の割合が、全ジエン系重合体のうち連続相2中のジエン系重合体の割合よりも多いことを意味する。また、液状ポリマーにおいては、本発明のゴム組成物に含まれる液状ポリマー全質量中、連続相2に含まれる液状ポリマーの量が、非連続相4に含まれる液状ポリマーの量よりも多いことを意味する。
以下、符号を省略して説明する。
非連続相のドメイン径は、50〜500nmであることが好ましい。
非連続相のドメイン径が50nm以上あることで、歪のかかる島部分の領域が確保され、ウェットグリップ性能が向上し易い。一方、非連続相のドメイン径が500nm以下であることで、ゴム組成物全体の硬さを維持し易い。
ゴム組成物全体の強度を維持しつつ、ウェットグリップ性能をより向上する観点から、非連続相のドメイン径は、80〜400nmであることがより好ましく、100〜300nmであることが更に好ましい。
非連続相のドメイン径が50nm以上あることで、歪のかかる島部分の領域が確保され、ウェットグリップ性能が向上し易い。一方、非連続相のドメイン径が500nm以下であることで、ゴム組成物全体の硬さを維持し易い。
ゴム組成物全体の強度を維持しつつ、ウェットグリップ性能をより向上する観点から、非連続相のドメイン径は、80〜400nmであることがより好ましく、100〜300nmであることが更に好ましい。
非連続相のドメイン径(領域幅)は、各相を構成するゴム組成物を、ミクロトームにより切削して試料を得、得られた試料の平滑面を、原子間力顕微鏡により観察することにより測定することができる。
原子間力顕微鏡により得られた画像を3値化後、ドメインが円形の場合は、円の直径をドメイン径として測定し、ドメインがまだら模様などの不定形の場合は、各ドメインの長手方向(一つのドメイン中の端間の直線距離が最も長い方向)と直交する方向の当該ドメインの最大の長さをドメイン径として測定する。
原子間力顕微鏡により得られた画像を3値化後、ドメインが円形の場合は、円の直径をドメイン径として測定し、ドメインがまだら模様などの不定形の場合は、各ドメインの長手方向(一つのドメイン中の端間の直線距離が最も長い方向)と直交する方向の当該ドメインの最大の長さをドメイン径として測定する。
ここで、本発明のゴム組成物は充填剤を含んでいる。原子間力顕微鏡により得られた画像において、非連続相と連続相との境界線上に充填剤が存在する場合は、次のように非連続相の範囲を判断する。
非連続相から充填剤部分を抜き出した範囲を非連続相の範囲と判断する。一方、非連続相の境界線の内側に充填剤が含まれている場合は、充填剤の存在を考慮せずに、非連続相と連続相との境界線の、非連続相内を非連続相の範囲として、ドメイン径を測定する。
更に、非連続相は、ドメイン径が5μm以上となるドメインを含まないことが好ましい。
非連続相から充填剤部分を抜き出した範囲を非連続相の範囲と判断する。一方、非連続相の境界線の内側に充填剤が含まれている場合は、充填剤の存在を考慮せずに、非連続相と連続相との境界線の、非連続相内を非連続相の範囲として、ドメイン径を測定する。
更に、非連続相は、ドメイン径が5μm以上となるドメインを含まないことが好ましい。
原子間力顕微鏡は、例えばASYLUM RESEARCH社製MFP−3Dを用いることができる。
具体的には、0℃で固定台に固定した試料の平滑面を、カンチレバーを用いて押し込みながら走査する。
試料の平滑面のうち、どこが連続相で、どこが非連続相であるかの区別は、各相を構成するゴム組成物を、ミクロトームにより切削して試料を得、得られた試料の平滑面を、原子間力顕微鏡により観察し、原子間力顕微鏡の3値化した画像観察により、全体にわたってドメインが繋がっている相を連続相、そうでない相を非連続相として判断することができる。
具体的には、0℃で固定台に固定した試料の平滑面を、カンチレバーを用いて押し込みながら走査する。
試料の平滑面のうち、どこが連続相で、どこが非連続相であるかの区別は、各相を構成するゴム組成物を、ミクロトームにより切削して試料を得、得られた試料の平滑面を、原子間力顕微鏡により観察し、原子間力顕微鏡の3値化した画像観察により、全体にわたってドメインが繋がっている相を連続相、そうでない相を非連続相として判断することができる。
〔ゴム成分〕
本発明のゴム組成物は、ゴム成分を含む未加硫ゴム組成物を加硫した加硫ゴム組成物であり、連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg1と、非連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg2は、Tg1>Tg2の関係を有する。
なお、「連続相を構成するゴム成分」とは、連続相を構成するゴム組成物が未加硫ゴム組成物であるときに、当該未加硫ゴム組成物に含まれるゴム成分である。同様に、「非連続相を構成するゴム成分」とは、非連続相を構成するゴム組成物が未加硫ゴム組成物であるときに、当該未加硫ゴム組成物に含まれるゴム成分である。
以下、連続相を構成するゴム成分を「ゴム成分R1」と称することがあり、非連続相を構成するゴム成分を「ゴム成分R2」と称することがある。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分を含む未加硫ゴム組成物を加硫した加硫ゴム組成物であり、連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg1と、非連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg2は、Tg1>Tg2の関係を有する。
なお、「連続相を構成するゴム成分」とは、連続相を構成するゴム組成物が未加硫ゴム組成物であるときに、当該未加硫ゴム組成物に含まれるゴム成分である。同様に、「非連続相を構成するゴム成分」とは、非連続相を構成するゴム組成物が未加硫ゴム組成物であるときに、当該未加硫ゴム組成物に含まれるゴム成分である。
以下、連続相を構成するゴム成分を「ゴム成分R1」と称することがあり、非連続相を構成するゴム成分を「ゴム成分R2」と称することがある。
ゴム成分R1とゴム成分R2とが、ガラス転移温度(Tg)において、上記関係を有することで、加硫後のゴム組成物の連続相と非連続相とが、硬−柔の関係を有し、ウェットグリップ性能に優れる。
更に、ゴム組成物の連続相と非連続相の硬−柔差をより大きくし、ウェットグリップ性能をより向上する観点から、連続相を構成するゴム成分R1のガラス転移温度Tg1と、非連続相を構成するゴム成分R2のガラス転移温度Tg2は、Tg1−Tg2≧20℃を満たすことが好ましい。「Tg1−Tg2」をΔTgと称することがある。
ウェットグリップ性能をより向上する観点から、ΔTgは70℃以下であることが好ましく、30〜65℃であることがより好ましく、40〜61℃であることが更に好ましい。
更に、ゴム組成物の連続相と非連続相の硬−柔差をより大きくし、ウェットグリップ性能をより向上する観点から、連続相を構成するゴム成分R1のガラス転移温度Tg1と、非連続相を構成するゴム成分R2のガラス転移温度Tg2は、Tg1−Tg2≧20℃を満たすことが好ましい。「Tg1−Tg2」をΔTgと称することがある。
ウェットグリップ性能をより向上する観点から、ΔTgは70℃以下であることが好ましく、30〜65℃であることがより好ましく、40〜61℃であることが更に好ましい。
ゴム成分は、ジエン系重合体を含有する。
ジエン系重合体は、ジエン系モノマーの単独重合体であってもよいし、ジエン系モノマーと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
ジエン系重合体としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)及びこれらを変性したもの等が挙げられる。
連続相を構成するゴム成分R1と非連続相を構成するゴム成分R2とは、互いにサブミクロンオーダーで非相溶であり、未加硫ゴム組成物を調製する際に、ゴム成分R1とゴム成分R2とを混合すると相分離する。ゴム成分R1とR2は、互いにサブミクロンオーダーで非相溶であればよく、肉眼での観察で相溶していてもよい。サブミクロンオーダーで非相溶であることを観察するためには、例えば、FIB/SEMを用いて、ゴム組成物の4μm×4μmの領域を観察し、染色具合の違いがあれば非相溶と判断する方法が挙げられる。
ジエン系重合体は、ジエン系モノマーの単独重合体であってもよいし、ジエン系モノマーと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
ジエン系重合体としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)及びこれらを変性したもの等が挙げられる。
連続相を構成するゴム成分R1と非連続相を構成するゴム成分R2とは、互いにサブミクロンオーダーで非相溶であり、未加硫ゴム組成物を調製する際に、ゴム成分R1とゴム成分R2とを混合すると相分離する。ゴム成分R1とR2は、互いにサブミクロンオーダーで非相溶であればよく、肉眼での観察で相溶していてもよい。サブミクロンオーダーで非相溶であることを観察するためには、例えば、FIB/SEMを用いて、ゴム組成物の4μm×4μmの領域を観察し、染色具合の違いがあれば非相溶と判断する方法が挙げられる。
また、互いに相溶しないゴム成分を選択する手法の一例として、ゴム成分の溶解性パラメータ(SP値;Solubility Parameter)の差を用いることが挙げられる。SP値の差が大きいほど、互いに相溶しないゴム成分といえ、通常、未加硫ゴム組成物中の含有量が50体積%を超えるゴム成分が連続相となる。
SP値差は、ゴム成分R1のSP値(SP1)と、ゴム成分R2のSP値(SP2)との差(|SP1−SP2|)が0.15以上であることが好ましい。
ゴム成分のSP値は、Fedors法に従って算出することができる。
SP値差は、ゴム成分R1のSP値(SP1)と、ゴム成分R2のSP値(SP2)との差(|SP1−SP2|)が0.15以上であることが好ましい。
ゴム成分のSP値は、Fedors法に従って算出することができる。
(連続相を構成するゴム成分R1)
ゴム成分R1としては、未加硫ゴム組成物に含み得るゴム成分として挙げた成分であって、非連続相を構成するゴム成分R2のガラス転移温度Tg2よりも高いガラス転移温度Tg1を有するものであれば、特に制限されず、1種であってもよいし2種以上を用いてもよい。
ただし、ゴム成分R1中、2種以上のジエン系重合体を用いる場合は互いに相溶し、かつ非連続相を構成するゴム成分R2中のジエン系重合体とは非相溶のジエン系重合体を用いる。ゴム成分R2中のジエン系重合体が2種以上のジエン系重合体であるときは、ゴム成分R1中のジエン系重合体のいずれもが、ゴム成分R2中のジエン系重合体のいずれにも非相溶であるジエン系重合体を用いる。
ゴム成分R1としては、未加硫ゴム組成物に含み得るゴム成分として挙げた成分であって、非連続相を構成するゴム成分R2のガラス転移温度Tg2よりも高いガラス転移温度Tg1を有するものであれば、特に制限されず、1種であってもよいし2種以上を用いてもよい。
ただし、ゴム成分R1中、2種以上のジエン系重合体を用いる場合は互いに相溶し、かつ非連続相を構成するゴム成分R2中のジエン系重合体とは非相溶のジエン系重合体を用いる。ゴム成分R2中のジエン系重合体が2種以上のジエン系重合体であるときは、ゴム成分R1中のジエン系重合体のいずれもが、ゴム成分R2中のジエン系重合体のいずれにも非相溶であるジエン系重合体を用いる。
連続相は、非連続相よりも硬い相であることが好ましいことから、ゴム成分R1のガラス転移温度Tg1は−70〜−10℃であることが好ましく、−65〜−15℃であることがより好ましく、−64〜−20℃であることが更に好ましい。
なお、ゴム成分R1、後述するゴム成分R2及び液状ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。例えば、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計を用いて、5〜10℃/minの掃引速度の条件で測定することができる。
なお、ゴム成分R1、後述するゴム成分R2及び液状ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。例えば、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計を用いて、5〜10℃/minの掃引速度の条件で測定することができる。
本発明のゴム組成物は、液状ポリマーが連続相に局在し、液状ポリマーは連続相を柔らかくする作用を有することから、連続相を補強し、強度を上げるため、充填剤は連続相に局在する。
充填剤を連続相に局在させる手法としては、ゴム成分と充填剤との極性を利用したり、ゴム成分として、充填剤に対して相互作用性を有する変性官能基を有するゴム成分(変性ゴム成分という)を用いることが挙げられる。中でも、連続相に存在する充填剤の割合を高める観点から、ジエン系重合体として変性ジエン系重合体を用いることが好ましい。
充填剤を連続相に局在させる手法としては、ゴム成分と充填剤との極性を利用したり、ゴム成分として、充填剤に対して相互作用性を有する変性官能基を有するゴム成分(変性ゴム成分という)を用いることが挙げられる。中でも、連続相に存在する充填剤の割合を高める観点から、ジエン系重合体として変性ジエン系重合体を用いることが好ましい。
変性ジエン系重合体における変性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。変性官能基としては、例えば、後述する充填剤に対して相互作用性を有する変性官能基などが好適に挙げられる。充填剤に対する相互作用性を高めて、充填剤を連続相に局在し易くする。
ここで、「充填剤に対して相互作用性を有する変性官能基」とは、変性官能基と充填剤(例えば、シリカ)表面との間で、例えば、共有結合;分子間力(イオン−双極子相互作用、双極子−双極子相互作用、水素結合、ファンデルワールス力などの分子間力)を形成することが可能な官能基を意味する。充填剤(例えば、シリカ)との相互作用性の高い変性官能基としては、特に制限はなく、例えば、含窒素官能基、含ケイ素官能基、含酸素官能基などが好適に挙げられる。
ここで、「充填剤に対して相互作用性を有する変性官能基」とは、変性官能基と充填剤(例えば、シリカ)表面との間で、例えば、共有結合;分子間力(イオン−双極子相互作用、双極子−双極子相互作用、水素結合、ファンデルワールス力などの分子間力)を形成することが可能な官能基を意味する。充填剤(例えば、シリカ)との相互作用性の高い変性官能基としては、特に制限はなく、例えば、含窒素官能基、含ケイ素官能基、含酸素官能基などが好適に挙げられる。
変性ジエン系重合体を得るための変性剤としては、上述した変性官能基を有する公知の変性剤から適宜選択して用いることができる。
変性剤は、ケイ素原子、窒素原子および酸素原子から選ばれる少なくとも1つの原子を有する変性剤であることが好ましい。
充填剤(例えば、シリカ)に対して高い相互作用性を有するため、変性剤は、アルコキシシラン化合物、ヒドロカルビルオキシシラン化合物およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
上記アルコキシシラン化合物は、特に限定されないが、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物であることがより好ましい。
R1 a−Si−(OR2)4−a ・・・ (I)
一般式(I)中、R1およびR2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、aは0〜2の整数であり、OR2が複数ある場合、各OR2は互いに同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトンは含まれない。
R1 a−Si−(OR2)4−a ・・・ (I)
一般式(I)中、R1およびR2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、aは0〜2の整数であり、OR2が複数ある場合、各OR2は互いに同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトンは含まれない。
一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−トリエトキシシリル−1−プロパンアミン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトリジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好適である。アルコキシシラン化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
一般式(II)中、n1+n2+n3+n4=4(但し、n2は1〜4の整数であり、n1、n3およびn4は0〜3の整数である)であり、A1は、飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、(チオ)イソシアナート基、(チオ)エポキシ基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル基、炭酸ジヒドロカルビルエステル基、ニトリル基、ピリジン基、(チオ)ケトン基、(チオ)アルデヒド基、アミド基、(チオ)カルボン酸エステル基、(チオ)カルボン酸エステルの金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化合物残基、並びに加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基またはメルカプト基の中から選択される少なくとも1種の官能基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、A1は、Siと結合して環状構造を形成する二価の基であってもよく、R21は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、n1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R23は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基またはハロゲン原子であり、n3が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R22は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、いずれも窒素原子および/またはケイ素原子を含有していてもよく、n2が2以上の場合には、互いに同一もしくは異なっていてもよく、あるいは、一緒になって環を形成しており、R24は、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基または加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基として、トリメチルシリル基またはtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
一般式(III)中、p1+p2+p3=2(但し、p2は1〜2の整数であり、p1およびp3は0〜1の整数である)であり、A2は、NRa(Raは、一価の炭化水素基、加水分解性基または含窒素有機基である)、あるいは、硫黄であり、R25は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R27は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基またはハロゲン原子であり、R26は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基または含窒素有機基であり、いずれも窒素原子および/またはケイ素原子を含有していてもよく、p2が2の場合には、互いに同一でも異なっていてもよく、あるいは、一緒になって環を形成しており、R28は、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。加水分解性基として、トリメチルシリル基またはtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(IV)または(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
一般式(IV)中、q1+q2=3(但し、q1は0〜2の整数であり、q2は1〜3の整数である)であり、R31は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R32およびR33はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R34は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていてもよく、R35は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
一般式(V)中、r1+r2=3(但し、r1は1〜3の整数であり、r2は0〜2の整数である)であり、R36は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R37はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R38は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていてもよい。
一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(VI)または(VII)で表される2つ以上の窒素原子を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。これにより充填剤が連続相に局在し易くなり、低発熱性能とウェットグリップ性能をより向上することができる。
一般式(VI)中、TMSはトリメチルシリル基であり、R40はトリメチルシリル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R41は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R42は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
一般式(VII)中、TMSはトリメチルシリル基であり、R43およびR44はそれぞれ独立して炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R45は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、各R45は、同一でも異なっていてもよい。
一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(VIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
一般式(VIII)中、r1+r2=3(但し、r1は0〜2の整数であり、r2は1〜3の整数である)であり、TMSはトリメチルシリル基であり、R46は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R47およびR48はそれぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。複数のR47またはR48は、同一でも異なっていてもよい。
一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(IX)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
一般式(IX)中、Xはハロゲン原子であり、R49は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R50およびR51はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であるか、あるいは、R50およびR51は結合して二価の有機基を形成しており、R52およびR53はそれぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。R50およびR51としては、加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基として、トリメチルシリル基またはtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(X)〜(XIII)で表される構造を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
一般式(X)〜(XIII)中、記号U、Vはそれぞれ0〜2かつU+V=2を満たす整数である。一般式(X)〜(XIII)中のR54〜R56、R60〜R66、R68〜R76、R79、R80、R82、R83、及びR85〜R91は同一でも異なっていても良く、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。一般式(X)〜(XIII)中のR57〜R59、R67、R71、R77、R78、R81、R84、及びR92は同一でも異なっていても良く、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。一般式(XIII)中のαおよびβは0〜5の整数である。
一般式(X)〜(XII)の化合物の中でも、N1,N1,N7−テトラメチル−4−((トリメトキシシリル)メチル)−1,7へプタン、2−((ヘキシル−ジメトキシシリル)メチル)−N1,N1,N3,N3−2−ペンタメチルプロパン−1,3−ジアミン、N1−(3−(ジメチルアミノ)プロピル−N3,N3−ジメチル−N1−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)プロパン−1,3−ジアミン、4−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N1,N1,N7,N7−テトラメチル−4−((トリメトキシシリル)メチル)へプタン−1,7−ジアミンが好ましい。
一般式(XIII)の化合物の中でも、N,N−ジメチル−2−(3−(ジメトキシメチルシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−2−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N−ジメチル−2−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N−ジメチル−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロパン−1−アミンが好ましい。
上記一般式(II)〜(XIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、ゴム成分R1の変性剤として用いることが好ましいが、ゴム成分R2及び任意のその他のゴム成分又はポリマー成分の変性剤として用いてもよい。
一般式(II)〜(XIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
変性ゴムをアニオン重合によって得る場合に好適な変性剤としては、例えば、3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)−1−ビニルベンゼン、3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、3,4−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、2−シアノピリジン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよび1−メチル−2−ピロリドンから選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
上記変性剤は、アニオン重合における重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分であることが好ましい。このようなリチウムアミド化合物としては、例えば、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミドおよびこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、リチウムヘキサメチレンイミドのアミド部分となる変性剤はヘキサメチレンイミンであり、リチウムピロリジドのアミド部分となる変性剤はピロリジンであり、リチウムピペリジドのアミド部分となる変性剤はピペリジンである。
変性ジエン系重合体を配位重合によって得る場合に好適な変性剤としては、例えば、2−シアノピリジンおよび3,4−ジトリメチルシリルオキシベンズアルデヒドから選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
変性ジエン系重合体を乳化重合によって得る場合に好適な変性剤としては、例えば、3,4−ジトリメチルシリルオキシベンズアルデヒドおよび4−ヘキサメチレンイミノアルキルスチレンから選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。乳化重合において好ましく用いられるこれらの変性剤は、窒素原子および/またはケイ素原子を含むモノマーとして、乳化重合時に共重合されることが好ましい。
変性ジエン系重合体における変性率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。変性率は、例えば、30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。これにより、充填剤(特に、シリカ)が連続相により選択的に存在するようになり、低発熱性能とウェットグリップ性能を向上することができる。
ゴム成分R1としての変性ジエン系重合体の一例を説明する。
まず、スチレンと1,3−ブタジエンとの共重合体(ミクロ構造:スチレン10質量%/1,3−ブタジエン由来のビニル結合量40質量%、ベース分子量(ポリスチレン換算):180,000)であるポリマーを作製し、末端をアニオンとした状態で、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミンを用いて変性して、変性ゴム成分(変性率:70%、重量平均分子量(Mw):200,000)を得る。
まず、スチレンと1,3−ブタジエンとの共重合体(ミクロ構造:スチレン10質量%/1,3−ブタジエン由来のビニル結合量40質量%、ベース分子量(ポリスチレン換算):180,000)であるポリマーを作製し、末端をアニオンとした状態で、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミンを用いて変性して、変性ゴム成分(変性率:70%、重量平均分子量(Mw):200,000)を得る。
(非連続相を構成するゴム成分R2)
ゴム成分R2としては、未加硫ゴム組成物に含み得るゴム成分として挙げた成分であって、連続相を構成するゴム成分R1のガラス転移温度Tg1より小さなガラス転移温度Tg2を有するものであれば、特に制限されず、1種であってもよいし2種以上を用いてもよい。
ただし、ゴム成分R2中、2種以上のジエン系重合体(変性ジエン系重合体を含む;以下同じ)を用いる場合は互いに相溶し、かつ連続相を構成するゴム成分R1中のジエン系重合体とは非相溶のジエン系重合体を用いる。ゴム成分R1中のジエン系重合体が2種以上のジエン系重合体であるときは、ゴム成分R2中のジエン系重合体のいずれもが、ゴム成分R1中のジエン系重合体のいずれにも非相溶であるジエン系重合体を用いる。
非連続相は、連続相よりも柔らかい相であることが好ましいことから、ゴム成分R2のガラス転移温度Tg2は−110〜−60℃であることが好ましく、−100〜−65℃であることがより好ましく、−100〜−67℃であることが更に好ましい。
ゴム成分R2としては、未加硫ゴム組成物に含み得るゴム成分として挙げた成分であって、連続相を構成するゴム成分R1のガラス転移温度Tg1より小さなガラス転移温度Tg2を有するものであれば、特に制限されず、1種であってもよいし2種以上を用いてもよい。
ただし、ゴム成分R2中、2種以上のジエン系重合体(変性ジエン系重合体を含む;以下同じ)を用いる場合は互いに相溶し、かつ連続相を構成するゴム成分R1中のジエン系重合体とは非相溶のジエン系重合体を用いる。ゴム成分R1中のジエン系重合体が2種以上のジエン系重合体であるときは、ゴム成分R2中のジエン系重合体のいずれもが、ゴム成分R1中のジエン系重合体のいずれにも非相溶であるジエン系重合体を用いる。
非連続相は、連続相よりも柔らかい相であることが好ましいことから、ゴム成分R2のガラス転移温度Tg2は−110〜−60℃であることが好ましく、−100〜−65℃であることがより好ましく、−100〜−67℃であることが更に好ましい。
本発明のゴム組成物では、連続相を構成するゴム成分R1のガラス転移温度Tg1と、非連続相を構成するゴム成分R2のガラス転移温度Tg2を、Tg1>Tg2の関係とし易く、ゴム組成物のウェットグリップ性能をより向上する観点から、ゴム成分R1が、変性ジエン系重合体を含み、ゴム成分R2が、天然ゴム、イソプレンゴムまたはブタジエンのジエン系重合体を含むことが好ましい。
〔液状ポリマー〕
本発明におけるゴム成分は、液状ポリマーを含む。
液状ポリマーは、少なくとも連続相に局在し、更に非連続相に含まれていてもよいし、非連続相に含まれていなくてもよい。液状ポリマーが連続相に局在することで、連続相に柔軟性を持たせ、ゴム組成物のウェットグリップ性能を向上することができる。
「液状ポリマーが連続相に局在している」とは、本発明のゴム組成物に含まれる液状ポリマー全質量中、連続相に含まれる液状ポリマーの量が、非連続相に含まれる液状ポリマーの量よりも多いことを意味する。液状ポリマー全質量中、連続相に含まれる液状ポリマーの量(液状ポリマーの連続相への局在度合)は50質量%を超え100質量%以下であることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
本発明におけるゴム成分は、液状ポリマーを含む。
液状ポリマーは、少なくとも連続相に局在し、更に非連続相に含まれていてもよいし、非連続相に含まれていなくてもよい。液状ポリマーが連続相に局在することで、連続相に柔軟性を持たせ、ゴム組成物のウェットグリップ性能を向上することができる。
「液状ポリマーが連続相に局在している」とは、本発明のゴム組成物に含まれる液状ポリマー全質量中、連続相に含まれる液状ポリマーの量が、非連続相に含まれる液状ポリマーの量よりも多いことを意味する。液状ポリマー全質量中、連続相に含まれる液状ポリマーの量(液状ポリマーの連続相への局在度合)は50質量%を超え100質量%以下であることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
液状ポリマーの非連続相への局在度合(分配率)は、例えば、ゴム成分について、DSCから測定したガラス転移温度(Tg)のシフト温度量から求めることができる。液状ポリマー添加後のゴム成分のガラス転移温度(Tg)を用い、FOXの式から各相に含まれる液状ポリマーの重量を算出する。
本発明のゴム組成物中の液状ポリマーの含有量は、未加硫ゴム組成物の中の全ジエン系重合体100質量部に対して、5〜50質量部となる量であることが好ましく、15〜45質量部となる量であることがより好ましい。
液状ポリマーは、特に制限されず、例えば、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、液状スチレン−ブタジエン共重合体等のジエン系液状ポリマー、液状ポリブテン、液状シリコーンポリマー、シラン系液状ポリマー等が挙げられる。
液状ポリマーは、市販品を用いてもよく、例えば、サートマー社製のRicon100〔液状SBR(ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマー)、数平均分子量=4500、ブタジエン部分のビニル結合含量=70%、結合スチレン含量=28質量%〕、Ricon134〔液状BR(1,4−ポリブタジエン構造)、数平均分子量=8000、ブタジエン部分のビニル結合含量=28質量%〕、Ricon142〔液状BR(1,4−ポリブタジエン構造)、数平均分子量=3900、結合スチレン含量=0質量%、ブタジエン部分のビニル結合含量=55%、25℃において液状のポリブタジエン〕、Ricon150〔液状BR(1,4−ポリブタジエン構造)、数平均分子量=3900、ブタジエン部分のビニル結合含量=70質量%〕、Ricon154〔液状BR(1,3−ブタジエンホモポリマー)、数平均分子量=5200〕、Ricon181〔液状SBR(ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマー)、数平均分子量=3200、ブタジエン部分のビニル結合含量=30%、結合スチレン含量=28質量%〕などが挙げられる。
液状ポリマーは、市販品を用いてもよく、例えば、サートマー社製のRicon100〔液状SBR(ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマー)、数平均分子量=4500、ブタジエン部分のビニル結合含量=70%、結合スチレン含量=28質量%〕、Ricon134〔液状BR(1,4−ポリブタジエン構造)、数平均分子量=8000、ブタジエン部分のビニル結合含量=28質量%〕、Ricon142〔液状BR(1,4−ポリブタジエン構造)、数平均分子量=3900、結合スチレン含量=0質量%、ブタジエン部分のビニル結合含量=55%、25℃において液状のポリブタジエン〕、Ricon150〔液状BR(1,4−ポリブタジエン構造)、数平均分子量=3900、ブタジエン部分のビニル結合含量=70質量%〕、Ricon154〔液状BR(1,3−ブタジエンホモポリマー)、数平均分子量=5200〕、Ricon181〔液状SBR(ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマー)、数平均分子量=3200、ブタジエン部分のビニル結合含量=30%、結合スチレン含量=28質量%〕などが挙げられる。
液状ポリマーは、ゴム組成物の連続相をより柔らかくする観点から、ガラス転移温度(Tg)が−100〜20℃であり、数平均分子量(Mn)が1,000〜50,000である高分子化合物であることが好ましい。液状ポリマーのガラス転移温度は−100〜0℃であることがより好ましく、−100〜−20℃であることが更に好ましい。液状ポリマーの数平均分子量は3,000〜30,000であることがより好ましく、5,000〜20,000であることが更に好ましい。
使用する液状ポリマーは1種類であっても2種類以上であってもよい。
使用する液状ポリマーは1種類であっても2種類以上であってもよい。
液状ポリマーを連続相に局在させる方法は特に制限されないが、例えば、未加硫ゴム組成物を調製するときに、連続相を構成するゴム成分R1のSP値に近いSP値を有する液状ポリマーを用いればよい。具体的には、ゴム成分R1のSP値(SP1)と液状ポリマーのSP値(SP4)との差(|SP1−SP4|)が0.15未満となる液状ポリマーを選択すればよい。
〔樹脂〕
本発明におけるゴム成分は、樹脂を含んでいてもよい。
樹脂は、連続相と非連続相のいずれか一方に含まれていてもよいし、両方に含まれていてもよいが、連続相をより硬く、非連続相をより柔らかくして、ゴム組成物の低発熱性能とウェットグリップ性能をより向上する観点から、樹脂は、連続相に含まれていることが好ましい。
また、本発明のゴム組成物中の樹脂の含有量は、未加硫ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して、0〜30質量部となる量とすることができ、25質量部以下となる量であることが好ましい。
本発明におけるゴム成分は、樹脂を含んでいてもよい。
樹脂は、連続相と非連続相のいずれか一方に含まれていてもよいし、両方に含まれていてもよいが、連続相をより硬く、非連続相をより柔らかくして、ゴム組成物の低発熱性能とウェットグリップ性能をより向上する観点から、樹脂は、連続相に含まれていることが好ましい。
また、本発明のゴム組成物中の樹脂の含有量は、未加硫ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して、0〜30質量部となる量とすることができ、25質量部以下となる量であることが好ましい。
樹脂としては、例えば、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性石油樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂等を挙げることができる。
樹脂は、ゴム組成物の連続相の弾性率をより高める観点から、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上であり、数平均分子量(Mn)が5,000以下である高分子化合物であることが好ましい。
使用する樹脂は1種類であっても2種類以上であってもよい。
樹脂は、ゴム組成物の連続相の弾性率をより高める観点から、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上であり、数平均分子量(Mn)が5,000以下である高分子化合物であることが好ましい。
使用する樹脂は1種類であっても2種類以上であってもよい。
ロジン変性石油樹脂としては、大社松精油社のハイロジンS;
芳香族炭化水素樹脂C9樹脂としては、新日本石油化学社のネオポリマーL90、ネオポリマー120、ネオポリマーE130、ネオポリマー140、ネオポリマー170S、日石ネオレジンD−145;
脂肪族炭化水素樹脂C5樹脂としては、トーネックス社のESCOREZ1102、三井化学社のハイレッツT500X;
脂環族系炭化水素樹脂としては、日本ゼオン社のクイントン1500、クイントン1700、クイントン1525L;
テルペンフェノール樹脂としては、ヤスハラケミカル社のYSポリスターT80、YS90L、YSポリスターT115、YSポリスターU115、マイティエースG125等を挙げることができる。
また、C5C9樹脂として、東燃化学社のT−REZのRシリーズ、例えばRD104等を用いることもできる。
芳香族炭化水素樹脂C9樹脂としては、新日本石油化学社のネオポリマーL90、ネオポリマー120、ネオポリマーE130、ネオポリマー140、ネオポリマー170S、日石ネオレジンD−145;
脂肪族炭化水素樹脂C5樹脂としては、トーネックス社のESCOREZ1102、三井化学社のハイレッツT500X;
脂環族系炭化水素樹脂としては、日本ゼオン社のクイントン1500、クイントン1700、クイントン1525L;
テルペンフェノール樹脂としては、ヤスハラケミカル社のYSポリスターT80、YS90L、YSポリスターT115、YSポリスターU115、マイティエースG125等を挙げることができる。
また、C5C9樹脂として、東燃化学社のT−REZのRシリーズ、例えばRD104等を用いることもできる。
樹脂を連続相に含ませる方法は特に制限されないが、例えば、未加硫ゴム組成物を調製するときに、連続相を構成するゴム成分R1のSP値に近いSP値を有する樹脂を用いればよい。具体的には、ゴム成分R1のSP値(SP1)と樹脂のSP値(SP3)との差(|SP1−SP3|)が0.15未満となる樹脂を選択すればよい。
〔充填剤〕
本発明のゴム組成物は、充填剤を含む。
充填剤は、少なくとも連続相に局在し、更に非連続相に含まれていてもよいし、非連続相に含まれていなくてもよい。連続相をより硬く、非連続相をより柔らかくして、ゴム組成物のウェットグリップ性能をより向上する観点から、充填剤は、非連続相に含まれていないことが好ましい。
「充填剤が連続相に局在している」とは、全充填剤のうち前記連続相に含まれる充填剤の質量(充填剤の連続相への局在度合)が、全ジエン系重合体のうち連続相に含まれるジエン系重合体の質量よりも多いことを意味する。このことは、下記式により表される。
Xfiller(連続相)=Sfiller(連続相)/[Sfiller(連続相)+Sfiller(非連続相)]>Mジエン系重合体(連続相)/[Mジエン系重合体(連続相)+Mジエン系重合体(非連続相)]
上記式において、
Xfiller(連続相)は充填剤の連続相への局在度合、
Sfiller(連続相)は連続相に含まれる充填剤面積(AFMから測定)、
Sfiller(非連続相)は非連続相に含まれる充填剤面積(AFMから測定)、
Mジエン系重合体(連続相)は連続相に含まれるジエン系重合体の質量、
Mジエン系重合体(非連続相)は非連続相に含まれるジエン系重合体の質量を、それぞれ表す。
充填剤の連続相への局在度合は、全ジエン系重合体のうち連続相中のジエン系重合体の質量×1.1以上」であることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、充填剤を含む。
充填剤は、少なくとも連続相に局在し、更に非連続相に含まれていてもよいし、非連続相に含まれていなくてもよい。連続相をより硬く、非連続相をより柔らかくして、ゴム組成物のウェットグリップ性能をより向上する観点から、充填剤は、非連続相に含まれていないことが好ましい。
「充填剤が連続相に局在している」とは、全充填剤のうち前記連続相に含まれる充填剤の質量(充填剤の連続相への局在度合)が、全ジエン系重合体のうち連続相に含まれるジエン系重合体の質量よりも多いことを意味する。このことは、下記式により表される。
Xfiller(連続相)=Sfiller(連続相)/[Sfiller(連続相)+Sfiller(非連続相)]>Mジエン系重合体(連続相)/[Mジエン系重合体(連続相)+Mジエン系重合体(非連続相)]
上記式において、
Xfiller(連続相)は充填剤の連続相への局在度合、
Sfiller(連続相)は連続相に含まれる充填剤面積(AFMから測定)、
Sfiller(非連続相)は非連続相に含まれる充填剤面積(AFMから測定)、
Mジエン系重合体(連続相)は連続相に含まれるジエン系重合体の質量、
Mジエン系重合体(非連続相)は非連続相に含まれるジエン系重合体の質量を、それぞれ表す。
充填剤の連続相への局在度合は、全ジエン系重合体のうち連続相中のジエン系重合体の質量×1.1以上」であることが好ましい。
充填剤の連続相への局在度合(分配率;質量%)は、例えば、ミクロトームにより切削された試料の平滑面を、低温(例えば、0℃)にした原子間力顕微鏡(例えば、ASYLUM RESEARCH社製MFP−3D)を用いて、測定範囲2μm×2μmで測定することにより求めることができる。
2成分に分かれた系を測定する場合、ゴム組成物の2μm×2μmの領域を観察し、得られた画像をヒストグラムより、弾性率の違いから2種のゴム成分と充填剤部分とに3値化し、2種の各ゴム成分の相に含まれる充填剤面積を求め、測定領域内の充填剤総量から連続相に存在する充填剤の割合を算出する。
充填剤が2種のゴム成分の境界面にある場合は、各ゴム成分と充填剤との3成分が接している2点を結び、充填剤の面積を分割する。
2成分に分かれた系を測定する場合、ゴム組成物の2μm×2μmの領域を観察し、得られた画像をヒストグラムより、弾性率の違いから2種のゴム成分と充填剤部分とに3値化し、2種の各ゴム成分の相に含まれる充填剤面積を求め、測定領域内の充填剤総量から連続相に存在する充填剤の割合を算出する。
充填剤が2種のゴム成分の境界面にある場合は、各ゴム成分と充填剤との3成分が接している2点を結び、充填剤の面積を分割する。
また、本発明のゴム組成物中の充填剤の含有量は、未加硫ゴム組成物のゴム成分中の全ジエン系重合体100質量部に対して、70〜130質量部となる量であることが好ましく、80〜120質量部となる量であることがより好ましい。
充填剤は、特に制限されず、例えば、ゴム組成物を補強する補強性充填剤が用いられる。補強性充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック等が挙げられ、シリカ及びカーボンブラックのいずれか一方を単独で用いてもよいし、シリカ及びカーボンブラックの両方を用いてもよい。
充填剤の平均凝集塊面積は、特に限定されないが、2100nm2以下であることが好ましく、1800nm2以下であることがより好ましい。これにより、低発熱性能およびウェットグリップ性能を両立し易い。
充填剤の平均凝集塊面積は、特に限定されないが、2100nm2以下であることが好ましく、1800nm2以下であることがより好ましい。これにより、低発熱性能およびウェットグリップ性能を両立し易い。
充填剤の平均凝集塊面積は、例えば、FIB−SEMより、測定範囲4μm×4μmで得られた画像よりフィラー部分の凝集塊面積を求め、フィラー部分の全凝集塊表面積と凝集塊の個数から、単位面積(2μm×2μm)あたりのフィラー部分の平均凝集塊面積を数平均(相加平均)により算出することができる。算出に当たり、画像の端(辺)に接している粒子はカウン卜せず、20ピクセル以下の粒子は、ノイズと見做しカウントしない。
(シリカ)
シリカは特に限定されず、一般グレードのシリカ、シランカップリング剤などで表面処理を施した特殊シリカなど、用途に応じて使用することができる。シリカは、例えば、湿式シリカを用いることが好ましい。
シリカは特に限定されず、一般グレードのシリカ、シランカップリング剤などで表面処理を施した特殊シリカなど、用途に応じて使用することができる。シリカは、例えば、湿式シリカを用いることが好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。カーボンブラックは、例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましく、HAF、ISAF、SAFグレードのものがより好ましい。
カーボンブラックは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。カーボンブラックは、例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましく、HAF、ISAF、SAFグレードのものがより好ましい。
〔その他の成分〕
本発明におけるゴム成分は、ゴム工業界で通常使用される配合剤(充填剤を除く)を適宜選択して配合することができる。このような配合剤としては、例えば、老化防止剤、シランカップリング剤、ステアリン酸等の加硫促進剤、亜鉛華等の加硫促進助剤、硫黄等の加硫剤等が挙げられる。配合剤は、市販品を好適に使用することができる。
なお、ゴム組成物の過度の軟化を抑制する観点から、未加硫ゴム組成物は、プロセスオイル等の軟化剤を含まないことが好ましい。
本発明におけるゴム成分は、ゴム工業界で通常使用される配合剤(充填剤を除く)を適宜選択して配合することができる。このような配合剤としては、例えば、老化防止剤、シランカップリング剤、ステアリン酸等の加硫促進剤、亜鉛華等の加硫促進助剤、硫黄等の加硫剤等が挙げられる。配合剤は、市販品を好適に使用することができる。
なお、ゴム組成物の過度の軟化を抑制する観点から、未加硫ゴム組成物は、プロセスオイル等の軟化剤を含まないことが好ましい。
<トレッド用ゴム組成物の調製方法>
本発明のゴム組成物の調製方法は、特に限定されず、未加硫ゴム組成物を、公知の加硫方法で加硫することで、ゴム組成物を得ることができる。
また、本発明のゴム組成物の原料となる未加硫ゴム組成物の調製方法は、特に限定されず、公知の未加硫ゴム組成物の調製方法を用いることができる。
本発明のゴム組成物の調製方法は、特に限定されず、未加硫ゴム組成物を、公知の加硫方法で加硫することで、ゴム組成物を得ることができる。
また、本発明のゴム組成物の原料となる未加硫ゴム組成物の調製方法は、特に限定されず、公知の未加硫ゴム組成物の調製方法を用いることができる。
未加硫ゴム組成物の調製方法としては、例えば、
(a)連続相を構成するゴム成分R1中のジエン系重合体と、非連続相を構成するゴム成分2中のジエン系重合体とを、別々に混練りし、両者を混合する方法;
(b)連続相を構成するゴム成分R1中のジエン系重合体と、非連続相を構成するゴム成分2中のジエン系重合体とを、同時に混合し、混練する方法等が挙げられる。
(a)連続相を構成するゴム成分R1中のジエン系重合体と、非連続相を構成するゴム成分2中のジエン系重合体とを、別々に混練りし、両者を混合する方法;
(b)連続相を構成するゴム成分R1中のジエン系重合体と、非連続相を構成するゴム成分2中のジエン系重合体とを、同時に混合し、混練する方法等が挙げられる。
未加硫ゴム組成物の構成成分のうち、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、加硫促進剤、硫黄等の、ジエン系重合体を加硫し、またジエン系重合体の加硫を促進する成分を成分Cという。未加硫ゴム組成物の構成成分のうち、成分Cとジエン系重合体を除く成分を成分Dという。
(a)の方法としては、より具体的には、
(a1)ゴム成分R1中のジエン系重合体と、充填剤と、液状ポリマーと、その他連続相を構成するのに必要な成分D(D1)とを混練りして未加硫ゴム組成物1を得、別途、ゴム成分R2中のジエン系重合体と、非連続相を構成するのに必要な成分D(D2)とを混練りして未加硫ゴム組成物2を得、それぞれを混練りし、最後に成分Cを加えて混練りする方法;
(a2)ゴム成分R1中のジエン系重合体と、充填剤と、液状ポリマーと、その他連続相を構成するのに必要な成分D(D1)とを混練りして未加硫ゴム組成物1を得、次いで、ゴム成分R2中のジエン系重合体と、非連続相を構成するのに必要な成分D(D1)とを加えて混練りし、最後に成分Cを加えて混練りする方法等が挙げられる。
(a)の方法としては、より具体的には、
(a1)ゴム成分R1中のジエン系重合体と、充填剤と、液状ポリマーと、その他連続相を構成するのに必要な成分D(D1)とを混練りして未加硫ゴム組成物1を得、別途、ゴム成分R2中のジエン系重合体と、非連続相を構成するのに必要な成分D(D2)とを混練りして未加硫ゴム組成物2を得、それぞれを混練りし、最後に成分Cを加えて混練りする方法;
(a2)ゴム成分R1中のジエン系重合体と、充填剤と、液状ポリマーと、その他連続相を構成するのに必要な成分D(D1)とを混練りして未加硫ゴム組成物1を得、次いで、ゴム成分R2中のジエン系重合体と、非連続相を構成するのに必要な成分D(D1)とを加えて混練りし、最後に成分Cを加えて混練りする方法等が挙げられる。
(b)の方法としては、より具体的には、ゴム成分R1中のジエン系重合体及びゴム成分R2中のジエン系重合体、並びに充填剤と、液状ポリマーと、その他連続相を構成するのに必要な成分(D1及びD2)を混練りし、次いで成分Cを混練する方法が挙げられる。
成分D1としては、充填剤及び液状ポリマーの他に、樹脂及びその他の成分が挙げられ、充填剤、液状ポリマー、及びその他の成分を含むことが好ましい。各成分の含有量は、連続相を構成するゴム組成物中の含有量として説明した量とすればよい。
成分D2としては、充填剤、樹脂、液状ポリマー及びその他の成分が挙げられ、その他の成分を含むことが好ましい。各成分の含有量は、非連続相を構成するゴム組成物中の含有量として説明した量とすればよい。
成分D2としては、充填剤、樹脂、液状ポリマー及びその他の成分が挙げられ、その他の成分を含むことが好ましい。各成分の含有量は、非連続相を構成するゴム組成物中の含有量として説明した量とすればよい。
以上の中でも、(b)による方法でゴム成分等を混練りし、ゴム組成物を調製することが好ましい。(b)の方法を用いることで、非連続相のドメイン径を50〜500nmとし易くなる。また、(b)の方法を用いることで、ドメイン径が5μm以上となるドメインを含みにくくなる。
ゴム成分中のジエン系重合体に、充填剤と、液状ポリマーと、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより、各未加硫ゴム組成物を調製することができる。
<トレッド部材、タイヤ>
本発明のトレッド部材は、既述の本発明のトレッド用ゴム組成物を用いてなる。また、本発明のタイヤは、本発明のトレッド部材を用いてなる。
これにより、トレッド部材及びタイヤは、ウェットグリップ性能に優れる。トレッド部材としては、例えば、トレッドゴムが挙げられるがこれに限定されない。
本発明のタイヤは、本発明のトレッド用ゴム組成物をトレッド部材のいずれかに用いること以外は、特に制限はなく、常法に従って製造することができる。
本発明のトレッド部材は、既述の本発明のトレッド用ゴム組成物を用いてなる。また、本発明のタイヤは、本発明のトレッド部材を用いてなる。
これにより、トレッド部材及びタイヤは、ウェットグリップ性能に優れる。トレッド部材としては、例えば、トレッドゴムが挙げられるがこれに限定されない。
本発明のタイヤは、本発明のトレッド用ゴム組成物をトレッド部材のいずれかに用いること以外は、特に制限はなく、常法に従って製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
実施例で用いた材料の詳細は以下のとおりである。
〔変性剤〕
変性剤1:N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミン、一般式(IV)のヒドロカルビルオキシシラン化合物に相当
変性剤2:N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−トリエトキシシリル−1−プロパンアミン、一般式(V)のヒドロカルビルオキシシラン化合物に相当
〔変性剤〕
変性剤1:N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミン、一般式(IV)のヒドロカルビルオキシシラン化合物に相当
変性剤2:N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−トリエトキシシリル−1−プロパンアミン、一般式(V)のヒドロカルビルオキシシラン化合物に相当
〔液状ポリマー〕
液状ポリマーA:Ricon134〔液状BR(1,4−ポリブタジエン構造)、サートマー社製、数平均分子量=8000、ブタジエン部分のビニル結合含量=28%〕
液状ポリマーB:Ricon181〔液状SBR1(ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマー)、数平均分子量=3200、ブタジエン部分のビニル結合含量=30%、結合スチレン含量=28質量%〕
液状ポリマーC:Ricon100〔液状SBR2(ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマー)、数平均分子量=4500、ブタジエン部分のビニル結合含量=70%、結合スチレン含量=28質量%〕
液状ポリマーA:Ricon134〔液状BR(1,4−ポリブタジエン構造)、サートマー社製、数平均分子量=8000、ブタジエン部分のビニル結合含量=28%〕
液状ポリマーB:Ricon181〔液状SBR1(ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマー)、数平均分子量=3200、ブタジエン部分のビニル結合含量=30%、結合スチレン含量=28質量%〕
液状ポリマーC:Ricon100〔液状SBR2(ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマー)、数平均分子量=4500、ブタジエン部分のビニル結合含量=70%、結合スチレン含量=28質量%〕
〔充填剤〕
シリカ:東ソー・シリカ株式会社製の商品名NipSil AQ
カーボンブラック:旭カーボン株式会社、#80
シリカ:東ソー・シリカ株式会社製の商品名NipSil AQ
カーボンブラック:旭カーボン株式会社、#80
〔各種成分〕
シランカップリング剤:信越化学工業社、ABC−856
老化防止剤:住友化学社、アンチゲン6C
ワックス:精工化学社、サンタイトA
ステアリン酸:日油社、桐印ステアリン酸
亜鉛華:ハクスイテック社、酸化亜鉛2種
硫黄:細井化学工業社、HK200−5
加硫促進剤:住友化学社、ソクシノールD−G
シランカップリング剤:信越化学工業社、ABC−856
老化防止剤:住友化学社、アンチゲン6C
ワックス:精工化学社、サンタイトA
ステアリン酸:日油社、桐印ステアリン酸
亜鉛華:ハクスイテック社、酸化亜鉛2種
硫黄:細井化学工業社、HK200−5
加硫促進剤:住友化学社、ソクシノールD−G
〔ジエン系重合体〕
実施例及び比較例で用いたジエン系重合体は、以下の方法で合成し、又は下記製品を用いた。
実施例及び比較例で用いたジエン系重合体は、以下の方法で合成し、又は下記製品を用いた。
(ジエン系重合体B:変性低Tg−SBR)
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5gおよびスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤として変性剤1を0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行ない、ジエン系重合体Bを得た。示差走査熱量測定によりガラス転移温度を測定したところ、−62℃であった。
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5gおよびスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤として変性剤1を0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行ない、ジエン系重合体Bを得た。示差走査熱量測定によりガラス転移温度を測定したところ、−62℃であった。
(ジエン系重合体A:無変性低Tg−SBR)
ゴム成分Bの合成において、重合反応までを行い、変性反応を行わず、イソプロピルアルコール(IPA)で停止反応を行った以外は、ジエン系重合体Bの重合反応と同様にして、ジエン系重合体Aを得た。得られたジエン系重合体Aのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ピーク分子量が200,000であった。示差走査熱量測定によりガラス転移温度を測定したところ、−62℃であった。
ゴム成分Bの合成において、重合反応までを行い、変性反応を行わず、イソプロピルアルコール(IPA)で停止反応を行った以外は、ジエン系重合体Bの重合反応と同様にして、ジエン系重合体Aを得た。得られたジエン系重合体Aのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ピーク分子量が200,000であった。示差走査熱量測定によりガラス転移温度を測定したところ、−62℃であった。
(ジエン系重合体D:変性高Tg−SBR)
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45gおよびスチレン30gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.16mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤として変性剤2を0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行ない、ジエン系重合体Dを得た。示差走査熱量測定によりガラス転移温度を測定したところ、−32℃であった。
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45gおよびスチレン30gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.16mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤として変性剤2を0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行ない、ジエン系重合体Dを得た。示差走査熱量測定によりガラス転移温度を測定したところ、−32℃であった。
ジエン系重合体C:JSR社製、JSR 0202(無変性高Tg−SBR、Tg=−23℃)
ジエン系重合体E:宇部興産社製、UBE 150(BR、Tg=−95℃)
ジエン系重合体F:TSR20(NR、Tg=−70℃)
ジエン系重合体E:宇部興産社製、UBE 150(BR、Tg=−95℃)
ジエン系重合体F:TSR20(NR、Tg=−70℃)
<実施例1〜13、比較例1〜6>
〔トレッド用ゴム組成物の製造〕
表1及び2に示す成分のうち、酸化亜鉛(亜鉛華)、老化防止剤、ワックス、加硫促進剤、硫黄以外の成分について、表1及び2に示す配合に基づき、バンバリーミキサーを用いて開始温度100C、回転速度70rpmで5分間混練りした。その後、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、加硫促進剤、硫黄を、表1及び2に示す配合に基づき最終練り工程にて混練りし、未加硫ゴム組成物を調製した。
得られた各未加硫ゴム組成物を160C、20分で加硫してトレッド用ゴム組成物を製造した。
なお、表1及び2に示す各成分の量の単位は、特に示さない限り「質量部」である。
〔トレッド用ゴム組成物の製造〕
表1及び2に示す成分のうち、酸化亜鉛(亜鉛華)、老化防止剤、ワックス、加硫促進剤、硫黄以外の成分について、表1及び2に示す配合に基づき、バンバリーミキサーを用いて開始温度100C、回転速度70rpmで5分間混練りした。その後、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、加硫促進剤、硫黄を、表1及び2に示す配合に基づき最終練り工程にて混練りし、未加硫ゴム組成物を調製した。
得られた各未加硫ゴム組成物を160C、20分で加硫してトレッド用ゴム組成物を製造した。
なお、表1及び2に示す各成分の量の単位は、特に示さない限り「質量部」である。
〔物性測定〕
製造した各ゴム組成物について、以下の(1)〜(5)の測定を行った。
(1)連続相を構成するゴム成分のTg(Tg1)
(2)非連続相を構成するゴム成分のTg(Tg2)の測定
(3)充填剤の連続相への局在度合
(4)液状ポリマーの連続相への局在度合
(5)5μm以上のドメイン有無の確認
製造した各ゴム組成物について、以下の(1)〜(5)の測定を行った。
(1)連続相を構成するゴム成分のTg(Tg1)
(2)非連続相を構成するゴム成分のTg(Tg2)の測定
(3)充填剤の連続相への局在度合
(4)液状ポリマーの連続相への局在度合
(5)5μm以上のドメイン有無の確認
(1)〜(5)の測定は、上述した方法により行った。また、(1)及び(2)の結果に基づき各相のゴム成分のTg差(Tg1−Tg2)を算出した。
また、各ゴム組成物について、ウェットグリップ性能を評価した。
また、各ゴム組成物について、ウェットグリップ性能を評価した。
〔ウェットグリップ性能の評価〕
室温でブリティッシュ・ポータブル・スキッド・テスター(BPST)にて、湿潤コンクリート路面上を各ゴム組成物の試験片でこすって測定した際の抵抗値を測定し、比較例4を100として指数表示した。指数値は大きい程、抵抗値が大きく、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
室温でブリティッシュ・ポータブル・スキッド・テスター(BPST)にて、湿潤コンクリート路面上を各ゴム組成物の試験片でこすって測定した際の抵抗値を測定し、比較例4を100として指数表示した。指数値は大きい程、抵抗値が大きく、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
表1及び2に示すように、充填剤及び該液状ポリマーが連続相に局在し、連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg1と、非連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg2が、Tg1>Tg2である実施例のトレッド用ゴム組成物は、ウェットグリップ性能に優れることがわかった。従って、このようなトレッド用ゴム組成物を用いたトレッド部材及びタイヤは、ウェットグリップ性能に優れると考えられる。
本発明によれば、ウェットグリップ性能に優れたトレッド用ゴム組成物を提供することができる。また、本発明によれば、ウェットグリップ性能に優れたトレッド部材及びタイヤを提供することができる。
2 連続相
4 非連続相
6 充填剤
4 非連続相
6 充填剤
Claims (7)
- ジエン系重合体を含有するゴム成分を含む未加硫ゴム組成物を加硫した、連続相と1相以上の非連続相とを有するトレッド用ゴム組成物であって、
充填剤及び液状ポリマーを含み、該充填剤及び該液状ポリマーが該連続相に局在し、該連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg1と、該非連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg2が、Tg1>Tg2であるトレッド用ゴム組成物。 - 前記連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg1と、前記非連続相を構成するゴム成分のガラス転移温度Tg2が、Tg1−Tg2≧20℃を満たす請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
- 前記非連続相のドメイン径が50〜500nmである請求項1又は2に記載のトレッド用ゴム組成物。
- 全充填剤のうち前記連続相に含まれる充填剤の質量が、全ジエン系重合体のうち連続相に含まれるジエン系重合体の質量よりも多い請求項1〜3のいずれか1項に記載のトレッド用ゴム組成物。
- 前記液状ポリマー全質量中、前記連続相に含まれる前記液状ポリマーの量が50質量%を超え100質量%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のトレッド用ゴム組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のトレッド用ゴム組成物を用いたトレッド部材。
- 請求項6に記載のトレッド部材を用いたタイヤ。
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JP2017115285A JP2019001845A (ja) | 2017-06-12 | 2017-06-12 | トレッド用ゴム組成物、トレッド部材、およびタイヤ |
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JP2017115285A JP2019001845A (ja) | 2017-06-12 | 2017-06-12 | トレッド用ゴム組成物、トレッド部材、およびタイヤ |
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Cited By (3)
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US20210252912A1 (en) * | 2018-08-20 | 2021-08-19 | The Yokohama Rubber Co., Ltd. | Pneumatic tire |
WO2022254750A1 (ja) * | 2021-05-31 | 2022-12-08 | 株式会社ブリヂストン | ゴム組成物及びタイヤ |
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-
2017
- 2017-06-12 JP JP2017115285A patent/JP2019001845A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20210252912A1 (en) * | 2018-08-20 | 2021-08-19 | The Yokohama Rubber Co., Ltd. | Pneumatic tire |
US12017479B2 (en) * | 2018-08-20 | 2024-06-25 | he Yokohama Rubber Co., LTD. | Pneumatic tire |
WO2022254750A1 (ja) * | 2021-05-31 | 2022-12-08 | 株式会社ブリヂストン | ゴム組成物及びタイヤ |
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