JP2020125565A - 紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロジン系のサイズ剤組成物とアルミニウム化合物とのプレミックス液をパルプに添加する場合においても、十分なサイズ効果を得られる紙の製造方法を提供する。【解決手段】ロジン系物質(A)、疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)を含有し、上記(A)成分を上記(B)成分により水中に分散させ、安定化させたサイズ剤組成物(C)と多価金属塩(D)を連続的に混合しながらパルプスラリーに添加することを特徴とする紙の製造方法であって、上記(A)成分が、ジヒドロアガト酸を1〜15質量%含有し、上記(B)成分が、(b−1)アニオン性モノマーを含む特定の組成のモノマー用いて得られた重合物であって、(b−1)中のスルホン酸系モノマー:カルボン酸系モノマー=0〜0.5:1(モル比)であることを特徴とする紙の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、紙の製造方法に関わり、更に詳しくは、ジヒドロアガト酸を含有したロジン類を含むサイズ剤組成物と多価金属塩が添加されたパルプスラリーを抄紙する紙の製造方法に関する。
製紙業界では、紙質の向上、抄紙系のクローズド化及び製紙原料として炭酸カルシウムを含んだ古紙や損紙を使用することに伴う諸問題を抱えているばかりでなく、生産性向上のため抄紙機はより高速化が求められ、従来のサイズ剤では紙のサイズ度が十分とはいえない傾向になりつつある。
サイズ剤をパルプスラリーに添加する場合、パルプに対するサイズ剤の定着率を向上させるため、硫酸アルミニウムなどのアルミニウム化合物を添加することも、よく知られている。
紙の製造において、ロジン系のサイズ剤とアルミニウム化合物とのプレミックスを添加することが、提案されており、また、そのプレミックスに更に、カチオン性ポリアクリルアミドなどを同時に添加することが、提案されている(特許文献1、2、3参照。)。
しかしながら、特許文献1、2、3に記載されるようにプレミックス液をパルプに添加する方法は、ロジンサイズ剤とアルミニウム塩が凝集や破壊を起こし十分なサイズ効果が得られない場合がある。
特開平2−6680号公報 特開2017−8463号公報 特開2018−172810号公報
本発明は、ロジン系のサイズ剤組成物とアルミニウム化合物とのプレミックス液をパルプに添加する場合においても、十分なサイズ効果を得られる紙の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のアクリルアミド系ポリマー及び/又はメタアクリルアミド系ポリマーにより、ジヒドロアガト酸を含有するロジン系物質を分散させたサイズ剤組成物を用いることで前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(1)ロジン系物質(A)を疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)により水中に分散させ安定化させたサイズ剤組成物(C)と、多価金属塩(D)とを連続的に混合しながらパルプスラリーに添加することを特徴とする紙の製造方法であって、
前記(A)成分が、ジヒドロアガト酸を1〜15質量%含有し、
前記(B)成分が、
(b−1)アニオン性モノマー 3〜18モル%
(b−2)疎水性モノマー 5〜10モル%
(b−3)(メタ)アクリルアミド 72〜92モル%
である組成のモノマーを用いて得られた重合物であり、
前記(b−1)アニオン性モノマーがスルホン酸系モノマーを含まずカルボン酸系モノマーを含むことまたはスルホン酸系モノマーとカルボン酸系モノマーのモル比が、スルホン酸系モノマー:カルボン酸系モノマー=0〜0.5:1であることを特徴とする紙の製造方法、
(2)多価金属塩(D)が、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムの群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、前記(1)に記載の紙の製造方法、
(3)ロジン系物質(A)のうち、ロジンエステルを10〜50質量%含有することを特徴とする、前記(1)に記載の紙の製造方法、
である。
本発明の紙の製造方法によれば、ロジン系サイズ剤組成物を過度に凝集させることなく、ロジン系サイズ剤組成物と多価金属塩との間にイオン結合させることができ、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の紙の製造方法においては、ロジン系物質(A)を疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)により水中に分散させ安定化させたサイズ剤組成物(C)と、多価金属塩(D)とを連続的に混合しながらパルプスラリーに添加する。
ロジン系物質(A)としては、ロジン類、ロジン誘導体が挙げられるが、本発明ではジヒドロアガト酸を1質量%〜15質量%、好ましくは、2〜10質量%含有している必要がある。ジヒドロアガト酸はロジン系物質(A)に含まれていれば良く、ロジン類、ロジン誘導体のいずれに含まれていても構わず、従って後述するロジン誘導体製造時に変性されていても構わない。ロジン系物質は多価金属との塩を形成することで疎水性が強くなり、サイズ性能が向上することが知られている(例:ロジン-アルミニウム塩の形成)が、ジヒドロアガト酸は、下記の構造式に示す通りカルボキシル基を2つ持つため、ロジン系物質の近傍に多価金属塩を保持する効果があり、ロジン-アルミニウム塩の形成を促し、サイズ度を向上させる効果があると考えられる。ジヒドロアガト酸が1質量%より少ない場合は、多価金属塩の保持能力が小さくサイズ度が十分に向上せず、15質量%より多い場合は乳化分散が困難になると共に、サイズ剤組成物と多価金属塩との過剰な塩の形成が起こり、サイズ剤組成物の凝集等が起き、サイズ性能が低下する。
Figure 2020125565
ジヒドロアガト酸は、ラオス、カンボジア、ベトナム、マレーシア、インドネシア等に広く分布するメルクシ松(学術名 Pinus merkusii)から産出されるガムロジンに含まれており、公知の方法、例えば、特開昭51−131899号公報の記載の方法により抽出して用いることができる。
ロジン類としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンが挙げられ、これらは単独又は任意の少なくとも2種の混合物として用いることができる。
ロジン誘導体としては、不飽和カルボン酸変性ロジン、ロジンエステル、不飽和カルボン酸変性ロジンエステル、あるいは、ロジン変性フェノール、ロジン類や不飽和カルボン酸で変性したロジン類のカルボキシル基を還元したロジンアルコールなどが挙げられる。
不飽和カルボン酸変性ロジンとは、前述のロジン類に対して1〜20重量%、好ましくは3〜18重量%の不飽和カルボン酸を付加反応させたものを言う(以下、不飽和カルボン酸変性ロジンを強化ロジンと略することがある。)。不飽和カルボン酸としては、具体的にはフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等のα,β−不飽和二塩基性カルボン酸及びその無水物、アクリル酸及びメタクリル酸等のα,β−不飽和一塩基性カルボン酸が挙げられる。これらは単独又は少なくとも2種併用でき、公知の方法で反応させることができる。
ロジンエステルは、前記したロジン類と、アルコール、フェノール、エポキシ化合物等とのエステル化反応によって得られるエステル化物であり、部分エステル化物も含む。アルコールとしては、3価以上(3価より小さくない)の多価アルコールが使用でき、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール等を例示できる。フェノールとしては2価以上(2価より小さくない)の多価フェノールが使用でき、例えばヒドロキノン、ピロガロール、ビスフェノールA等を例示できる。エポキシ化合物はオキシラン環を有する化合物であり、例えばグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を例示できる。これらのアルコール、フェノール、エポキシ化合物等は各類少なくとも1種又は任意の少なくとも2つの類の各類少なくとも1種を組み合わせて使用できる。
ロジン系物質(A)としてロジンエステルを用いる場合は、用いる抄紙系のpHに応じてその含有量を調整するが、ロジン成分の溶出抑制と乳化性の観点から、ロジン系物質(A)のうちロジンエステルを10〜50質量%とすることが好ましい。ロジンエステルは、抄紙pH6.0〜9.0の中性〜アルカリ域において、ロジン類等の酸基を有するロジン成分の溶出を抑制する効果を持つため、優れたサイズ効果を得ることができる。一方、ロジンエステルはロジン類に比べてサイズ効果への寄与が少ないため、酸基を有するロジン成分の溶出リスクが少ない抄紙pH4.0〜6.0の酸性抄造では、配合しない方が効率的である。
疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)は、(b−1)アニオン性モノマー、(b−2)疎水性モノマー、(b−3)(メタ)アクリルアミドを含むモノマー混合物の重合物であり、(b−1)/(b−2)/(b−3)=3〜18/5〜10/72〜92モル%である必要がある。前記範囲外であると、得られる疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)が有するロジン系物質(A)の乳化分散力が不十分となる。また乳化分散力があったとしても、サイズ性の改善効果が低いものとなる。
(b−1)アニオン性モノマーは、少なくとも1つの酸基を有するモノマーであればよく、カルボン酸系モノマー、スルホン酸系モノマー、リン酸系モノマー、及びこれらの塩が挙げられる。
カルボン酸系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの一塩基性カルボン酸モノマー;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の多塩基性カルボン酸モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の多塩基性カルボン酸モノマーの無水物が挙げられる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸、イタコン酸が好ましい。
スルホン酸系モノマーとしては、例えばスチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプロピル、(メタ)アリルスルホン酸等のスルホン酸系モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルの硫酸エステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルの硫酸エステル等の硫酸エステル系モノマーが挙げられる。これらのなかでも、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸が好ましい。
(b−1)アニオン性モノマーは1種単独で、又は2種以上組み合わせて使用できる。(b−1)成分の割合は、疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)を構成するモノマーの総モル和の3〜18モル%である必要があり、好ましくは、5〜13モル%である。(b−1)成分の割合が3モル%より少ないと、(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)と多価金属の塩形成量が少ないためにパルプへの定着が低下し、十分なサイズ性が得られない、また(b−1)成分の割合が18モル%より多いと、多価金属と過剰な塩を形成してしまい、サイズ剤組成物(C)の凝集等が起き、サイズ性能が低下する。
疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)は、ロジン系物質(A)の周りを覆う形でロジン系物質(A)を水中に分散させている。ここで、(B)成分と多価金属が塩を形成することでサイズ剤組成物(C)の表面がカチオン化され、アニオン性を持つパルプに効率よく定着し、サイズ性能が向上する。本発明においては、分散安定性への寄与が大きいスルホン酸系モノマーとサイズ剤エマルションのパルプへの定着性に対する寄与が大きいカルボン酸系モノマーのバランスの観点から、アニオン性モノマー(b−1)は、スルホン酸系モノマーを含まずカルボン酸系モノマーを含むかスルホン酸系モノマーとカルボン酸系モノマーのモル比が、スルホン酸系モノマー:カルボン酸系モノマー=0〜0.5:1である必要がある。その他のアニオン性モノマーは必要に応じて併用することもできる。
疎水性モノマー(b−2)は、20℃における水100gに対する溶解度が7g以下であるモノマーであればよい。疎水性モノマー(b−2)としては、例えば、アクリル酸メチル(6.0g/水100g、以下水100gに溶解するモノマーのg数値のみ記載)、メタクリル酸メチル(1.0)、アクリル酸ブチル(0.14)、メタクリル酸ブチル(0.1以下)、アクリル酸エチル(1.5)、メタクリル酸エチル(5.6)、アクリル酸ブチル(0.1)、アクリル酸2−エチルヘキシル(0.1以下)、メタクリル酸2−エチルヘキシル(0.1以下)、アクリル酸シクロヘキシル(0.1以下)、メタクリル酸シクロヘキシル(0.1以下)等の炭素数1〜20のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン(0.1以下)、α−メチルスチレン(0.1以下)等のスチレン類;酢酸ビニル(2.5)等のカルボン酸ビニルエステル類;塩化ビニル(0.60)、などが挙げられる。これらの中でも、特に炭素数1〜12のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステルが乳化分散力の点で好ましい。
(b−2)成分の割合は、疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)を構成するモノマーの総モル和の5〜10モル%である必要があり、好ましくは、7〜10モル%である。(b−2)成分の割合が5〜10モル%の範囲にあることで、ロジン系物質(A)の分散性に優れたサイズ剤組成物(C)を得ることができる。
(メタ)アクリルアミド(b−3)としては、アクリルアミド、メタアクリルアミドが挙げられる。(b−3)成分の割合は、疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)を構成するモノマーの総モル和の72〜92モル%である必要があり、好ましくは、75〜88モル%である。(b−3)成分の割合が72〜92モル%の範囲にあることで、ロジン系物質(A)の分散性に優れたサイズ剤組成物(C)を得ることができる。
本発明においては、本願発明の効果を阻害しない限りにおいて、前記成分(b−1)〜(b−3)以外の他のモノマーを用いることができる。他のモノマーとしては、例えば、カチオン性モノマー、ノニオン性モノマー、架橋性モノマーが挙げられる。
カチオン性モノマーとしては、具体的には、アミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、アミノヒドロキシルアルキルビニルエーテル、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ジアリルアミン等や更にはこれらの第4級アンモニウム塩、ノニオン性モノマーとしてヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニルホルムアミド等が挙げられる。これらは1種単独または少なくとも2種以上を用いることができるが、疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)を構成するモノマーの総モル和100モル%に対して多くても10モル%以下であることが好ましい。
架橋性モノマーとしては、ラジカル重合性官能基を2つ以上有する多官能モノマーであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、メチレンビスアクリルアミド等の多官能(メタ)アクリルアミド類、ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヘキサエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロー1,3,5−トリアジン等の多官能(メタ)アクリレート類、ジビニルベンゼン等の芳香族ポリビニル化合物が挙げられる。これらは1種単独または少なくとも2種以上を用いることができるが、疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)を構成するモノマーの総モル和100モル%に対して多くても5モル%以下であることが好ましく、1モル%以下であることがより好ましい。
本発明においては分子量を調整する目的で、連鎖移動剤を用いても構わない。連鎖移動剤としては、メルカプタン化合物が挙げられ、具体的には、2−メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプトグリコール、チオグリセリン、システアミン塩酸塩、メルカプトプロピオン酸(塩)、チオグリコール酸(塩)、チオ酢酸(塩)、チオリンゴ酸、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、メルカプトプロピオン酸n-オクチル等のメルカプトプロピオン酸エステル類、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、チオグリコール酸n-オクチル等のチオグリコール酸エステル類、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、チオフェノール、ナフタレンチオール、トルエンチオール、トリメチロールプロパン−トリス(β−チオプロピオネート)等のメルカプタン類が挙げられる。また、αメチルスチレンの不飽和二量体である、2, 4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテンも連鎖移動剤として用いることができる。これら連鎖移動剤は、1種単独または少なくとも2種以上を用いることができるが、2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)を構成するモノマーの総モル和100モル%に対して多くても5モル%以下であることが好ましい。
疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)の製造方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の各種公知の方法を採用でき、前記モノマーを共重合させることにより得られる。溶液重合による場合には、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルイソブチルケトン等の溶媒を使用できる。乳化重合方法で使用する乳化剤としては特に制限はされず各種アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、反応性界面活性剤を使用できる。また、前記重合で使用する重合開始剤としては特に限定はされず、過硫酸塩類、過酸化物、アゾ化合物、レドックス系開始剤などの各種のものを使用できる。
本発明のサイズ剤組成物(C)の調製方法は特に限定されないが、例えば特公昭54−36242号公報に記載されているような、ロジン系物質(A)を予め油溶性の溶剤に溶かした溶液と前記(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)及び水を混合し、ホモジナイザー処理した後、溶剤を留去し、水中油型エマルションを製造するいわゆる溶剤法、特公昭53−32380号公報に記載されているような、溶融したロジン系物資(A)を高温高圧下で前記(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)と水とを混合し、ホモジナイザーを通して水中油型エマルションを製造するいわゆるメカニカル法、特開昭52−77206号公報に記載されているような、溶融したロジン系物質(A)に前記(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)と一部の水とを高圧下で混合した後、さらに水を加えて油中水型エマルションを形成し、その後反転水を添加して水中油型エマルションに相転移させるいわゆる転相法が用いられる。また、特開平10−226981号公報に記載されているような高剪断型回転式乳化分散機を用いて水中油型エマルションを形成するメカニカル法も用いられる。
本発明のサイズ剤組成物(C)における前記(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)の含有量は特に限定されないが、全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%が更に好ましい。サイズ剤組成物(C)における前記(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)の含有量を全固形分に対して1〜15質量%にすることで、分散性に優れるサイズ剤組成物(C)が得られ、サイズ剤組成物(C)に多価金属塩(D)を連続的に混合しながらパルプスラリーに添加することでサイズ性に優れる紙の製造方法となる。
これらの方法でサイズ剤組成物(C)を調製するにあたり、各種低分子界面活性剤、特開昭61−108796号公報、特開昭63−120198号公報、特開平2−177534号公報、特開平10−245795号公報、特開2001−155690号等に記載の高分子系乳化分散剤、及びカゼイン、レシチン、ポリビニルアルコール、カチオン性、アニオン性あるいは両性などの各種変性澱粉、カチオン性のアクリルアミド系ポリマーなどの保護コロイドを組み合わせて使用してもよい。
本発明のサイズ剤組成物(C)の25℃におけるB型粘度計により測定される粘度は、好ましくは100mPa・s以下、さらに好ましくは60mPa・s以下である。本発明のサイズ剤組成物(C)の平均粒子径(重量基準粒径分布における累積50%径)は好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.3〜0.6μmである。平均粒子径がこの範囲にあれば保存中の沈殿物の発生が生じ難く、機械的安定性に優れ、皮張りし難いため好ましい。本発明における平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置マイクロトラックMT3300EXII(マイクロトラックベル製)で測定したものである。
本発明のサイズ剤組成物(C)のΖpは−60mV以上−30mV未満が好ましく、−50mV以上−40mV未満が更に好ましい。Zpがこの範囲にあれば保存中の沈殿物の発生が生じ難く、また多価金属塩(D)と連続的に混合した際のサイズ剤組成物(C)の角な凝集が起きにくく、サイズ性が優れるため好ましい。本発明におけるZpは、サイズ剤組成物(C)を1mMのKClを含むイオン交換水で100ppmに希釈した液をゼータ電位・粒子径・分子量測定装置ゼータサイザーナノZSP(マルバーン製)にて測定したものである。
多価金属塩(D)はアニオン性を有するサイズ剤組成物(C)とイオン結合し、サイズ剤組成物(C)にカチオン性を付与してパルプに定着させるための定着剤であって、例えば、ポリ塩化アルミニウム、酸化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの水溶性アルミニウム化合物の他に亜鉛や鉄由来の化合物が挙げられる。これら多価金属塩(D)は単独使用または2種類以上併用することができる。多価金属塩(D)としては、取扱い性、コスト性および入手容易性から、好ましくは硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムであり、より好ましくはポリ塩化アルミニウムである。また、ポリ塩化アルミニウムの塩基度に制限はなく、各種ポリ塩化アルミニウムを用いることができる。
多価金属塩(D)は、好ましくは、多価金属塩(D)が溶媒に溶解されてなる溶液、または多価金属塩(D)が分散媒に分散されてなる分散液として調製される。溶媒また分散媒としては、例えば水、アルコール類などが挙げられ、好ましくは水である。多価金属塩(D)の溶液または分散液は、多価金属塩と溶媒または分散媒とを公知の方法で混合することにより、得ることができる。
パルプスラリー添加する工程では、上記サイズ剤組成物(C)と多価金属塩(D)を連続的に混合する。
サイズ剤組成物(C)と多価金属塩(D)との連続的な混合において、多価金属塩(D)の使用量はサイズ剤組成物(C)中のロジン系物質(A)の固形質量に対して、アルミナ(Al)への質量換算で0.0016倍以上0.8倍以下、好ましくは0.008倍以上0.16倍以下である。
サイズ剤組成物(C)と多価金属塩(D)との連続的な混合において、混合順番、混合方法などの特別な制約はなく、各種公知の方法を適宜選択することができる。例えば、攪拌機を有する容器に(C)と(D)を連続的に添加して貯留させ、容器内で混合しつつ連続的に混合液を採取する方法や、(C)と(D)の流れを配管で合流部に導いた後、静止型混合器(株式会社ノリタケカンパニーリミテド製スタティックミキサー、株式会社東レエンジニアリング製ハイミキサー等)を通過させる際の乱流により混合する方法、漏斗状の容器の上部に(C)と(D)を連続的に供給し、容器内の液の衝突により混合を行い、容器下部から混合液を得る方法などが挙げられる。
本発明のサイズ剤組成物(C)と多価金属塩(D)を連続的に混合しながらパルプスラリーに添加するサイジング方法は、例えば抄造時のウエット・エンド部に添加することにより実施される。具体的には、本発明のサイズ剤組成物(C)と多価金属塩(D)の混合物をパルプの水性分散液にそのパルプの乾燥重量に対して0.02〜10固形分質量%、好ましくは0.05〜5固形分質量%添加する。その添加時のパルプスラリーのpHは4.0〜9.0の酸性ないしアルカリ性の領域で用いられる。
上述の通り、本発明においては(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)と多価金属塩(D)との塩形成によるサイズ剤組成物(C)のパルプへの定着性向上、およびロジン系物質(A)中のジヒドロアガト酸の含有によるロジン−多価金属塩の効率的な形成の相乗効果により、優れたサイズ性能を発揮する。
本発明の紙の製造方法を適用して得られる紙は特に制限されず、各種の紙及び板紙に適用できる。紙の種類としては、PPC用紙、インクジェット用紙、レーザープリンター用紙、フォーム用紙、熱転写紙、感熱記録原紙、感圧記録原紙等の記録用紙または原紙、アート紙、キャストコート紙、上質コート紙等のコート原紙、クラフト紙、純白ロール紙等の包装用紙、その他、ノート用紙、書籍用紙、印刷用紙、新聞用紙、写真用印画紙等の各種紙(洋紙)、マニラボール、白ボール、チップボール等の紙器用板紙及びライナー、石膏ボード原紙等の板紙があげられる。
上記種々の紙又は板紙を製造するにあたって、パルプ原料としては、クラフトパルプあるいはサルファイトパルプなどの晒あるいは未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パルプあるいはサーモメカニカルパルプなどの晒あるいは未晒高収率パルプ、新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙あるいは脱墨古紙などの古紙パルプのいずれも使用することができる。
填料、染料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤などの添加物も、各々の紙種に要求される物性を発現するために、必要に応じて使用してよい。填料としては、主として重質又は軽質炭酸カルシウムが使用されるが、クレー、タルクも使用され、これらは併用しても良い。乾燥紙力向上剤としては、アニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉等が挙げられ、これらは単独あるいは併用しても良い。湿潤紙力向上剤としては、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられ、これらは単独あるいはアニオン性ポリアクリルアミドと併用しても良い。歩留り向上剤としては、アニオン性又はカチオン性高分子量ポリアクリルアミド、シリカゾルとカチオン化澱粉の併用、ベントナイトとカチオン性高分子量ポリアクリルアミドの併用等が挙げられる。また、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、キャレンダーなどで、澱粉、ポリビニルアルコール、染料、コーティングカラー、表面サイズ剤、防滑剤などを必要に応じて塗布しても良い。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下における部及び%は特記しない限りすべて質量基準である。
<ジヒドロアガト酸(DHAA)の製造例> (製造例1)
ベトナム産ガムロジン(VGR)2000部をトルエン4000部に溶解し、室温で炭酸水素ナトリウム飽和水溶液1000部を用いて4回抽出した。ついで水層(抽出液)を希塩酸で中和し遊離した樹脂酸をヘキサン1000部で抽出したのちヘキサンを留去、対流式電機乾燥器にて150℃30分間乾燥して酸価307のジヒドロアガト酸(DHAA)128部を得た。
<ロジン不飽和カルボン酸強化物(強化ロジン)の製造例> (製造例2)
窒素雰囲気下の攪拌機付き容器内にて、ジヒドロアガト酸を含有しない中国産ガムロジン(CGR)80部と、ジヒドロアガト酸を15質量%含有するインドネシア酸ガムロジン(IGR)10部を180℃に昇温して溶融混合した後、撹拌下で無水マレイン酸10部を徐々に加えて200℃に昇温し、同温度で3時間加熱して強化反応を行い、ジヒドロアガト酸を1.5質量%含む、強化ロジン(A-1)を得た。
(製造例3〜7)
ロジン類の種類、製造例1のジヒドロアガト酸、および強化反応に使用する不飽和カルボン酸の量を表1のように変えた以外は、同様にして強化ロジン(A−2)〜(A−6)を得た。
(比較製造例1〜6)
ロジン類の種類、製造例1のジヒドロアガト酸、および強化反応に使用する不飽和カルボン酸の量を表1のように変えた以外は、同様にして強化ロジン(RA−1)〜(RA−6)を得た。
Figure 2020125565
表中の略号は以下のとおり。
CGR:中国産ガムロジン(ジヒドロアガト酸不含有)
IGR:インドネシア産ガムロジン(ジヒドロアガト酸を15質量%含有)
TOR:トール油ロジン(ジヒドロアガト酸不含有)
DHAA:製造例1で単離したジヒドロアガト酸
FA:フマル酸
MAn:無水マレイン酸
<ロジンエステルの製造例> (製造例8)
攪拌機、温度計、窒素導入管、分水器及び冷却器を備えたフラスコに、ロジン類として中国産ガムロジン600部と、アルコールとしてグリセリン56部を仕込み、窒素気流下270℃まで加熱し、攪拌下、同温度で15時間反応させ、酸価13のロジンエステル(E−1)を得た。
(製造例9、10)
ロジン類として、製造例8で使用したグリセリン及び中国産ガムロジンの他に、インドネシア産ガムロジンあるいはトール油ロジンを表2記載の量で併用した以外は、製造例8と同様にして酸価13のロジンエステル(E−2)、(E−3)を得た。
Figure 2020125565
表中の略号は以下のとおり。
CGR:中国産ガムロジン(ジヒドロアガト酸不含有)
IGR:インドネシア産ガムロジン(ジヒドロアガト酸を15質量%含有)
TOR:トール油ロジン(ジヒドロアガト酸不含有)
<(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)の合成例> (合成例1)
攪拌機、温度計および窒素ガス導入管を備えたフラスコに25℃撹拌下で窒素雰囲気下、開始剤を含めた全仕込み量が1000質量部、重合濃度(モノマー濃度)が28.4質量%となるように、表3に示すモノマーと連鎖移動剤、300質量部のイソプロピルアルコール、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の酸基を全量中和するのに要する量の25%水酸化ナトリウム水溶液、およびイオン交換水を仕込んで60℃に昇温した。その後、開始剤として対モノマー0.7モル%のアゾイソブチロニトリル(AIBN)を添加して重合反応を開始し、80℃で5時間反応させた。次いでイソプロピルアルコールを留去し、冷却後、水を390部加え、室温まで冷却することにより、(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B−1)を得た。
(合成例2〜11)
モノマー、連鎖移動剤の種類や量を表3記載のように変更した以外は合成例1と同様にして、(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B−2)〜(B−11)を得た。
(比較合成例1〜4)
モノマー、連鎖移動剤の種類や量を表3記載のように変更した以外は合成例1と同様にして、比較用(メタ)アクリルアミド系ポリマー(RB−1)〜(RB−4)を得た。
(比較合成例5)
合成例1と同様の反応容器に、25℃撹拌下で窒素雰囲気下、スチレン(St)3.39部、メタクリル酸n−ブチル(BMA)3.39部、50%アクリルアミド水溶液(50%AAm)13.56部、メタクリル酸(MAA)3.39部、4−メチル−2,4−ジフェニル−1−ペンテン(MSD)0.46部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.39部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDS)0.04部、過硫酸アンモニウム(APS)1.09部仕込み、固形分濃度が20.5%となるよう水64.41部を加えて攪拌混合し、90℃で3時間加熱した。ついで70℃まで冷却し、メタクリル酸のアニオン当量に対して1.0当量となり、固形分濃度が20%となるよう25%水酸化ナトリウム水溶液(25%NaOH)7.83部および水2.06部を徐々に滴下し、30分間攪拌した後室温まで冷却することにより比較用(メタ)アクリルアミド系ポリマー(RB−5)を得た。この比較用(メタ)アクリルアミド系ポリマー(RB−5)の組成を表3に示す。
(比較合成例6)
合成例1と同様の反応容器に、25℃撹拌下で窒素雰囲気下、イタコン酸(IA)7.24部、スチレンスルホン酸ソーダ(NaSS)6.88部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)2.05部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)13.10部、メタリルスルホン酸ソーダ(SMAS)5.28部、50%アクリルアミド水溶液(50%AAm)127.4部、ヘキサエチレングリコールジアクリレート(HEGDA)1.74部、並びにイオン交換水156.3部、及びイソプロピルアルコール250部を仕込み、50℃まで昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム(APS)を2.20部加え、80℃まで昇温し、3時間保持した。次いでイソプロピルアルコール(IPA)を留去し、イオン交換水を加えることにより、比較用(メタ)アクリルアミド系ポリマー(RB−6)を得た。この比較用(メタ)アクリルアミド系ポリマー(RB−6)の組成を表3に示す。
Figure 2020125565
表中の略号は以下のとおり。
IA:イタコン酸
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
NaSS:スチレンスルホン酸ナトリウム
AMPS:アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
SMAS:メタリルスルホン酸ソーダ
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
IBMA:メタクリル酸イソブチル
LMA:メタクリル酸ラウリル
St:スチレン
BMA:メタクリル酸n−ブチル
AAm:アクリルアミド
MPAO:メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル
NDM:n−ドデシルメルカプタン
MET:2−メルカプトエタノール
MSD:2, 4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン
HEGDA:ヘキサエチレングリコールジアクリレート
<サイズ剤組成物(C)の製造例 −弱酸性ロジンサイズ剤−>
(製造例11)
ロジン系物質(A)として、前記製造例1で得られた強化ロジン(A−1)75部と製造例8で得られたロジンエステル化物(E−1)25部を約170℃に加熱熔融した。そこへ攪拌しながら、(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B−1)を固形分6部となるよう添加して混合し、さらに熱水を加えながら転相させ、油中水型のエマルションとし、これにさらに熱水を素早く添加して安定な水中油型エマルションとした後、室温まで冷却した。得られたサイズ剤組成物(C−1)の固形分は50.7%、平均粒子径は0.34μmであった。平均粒子径はメジアン径であり、レーザー回折/散乱式粒度分布装置マイクロトラックMT3300EXII(マイクロトラックベル製)で測定した。以下、粒子径の測定条件は同様にして行った。このサイズ剤組成物(C−1)の性状を表4に示す。
(製造例12〜24)
ロジン系物質(A)、(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)を表4記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、サイズ剤組成物(C−2)〜(C−14)を得た。これらサイズ剤組成物の性状を表4に示す。
(比較製造例7〜14)
ロジン系物質(A)、(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)を表4記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、比較用サイズ剤組成物(RC−1)〜(RC−8)を得た。これら比較用サイズ剤組成物の性状を表4に示す。
Figure 2020125565
(サイズ効果試験1 −弱酸性板紙条件−)
380カナディアン・スタンダード・フリーネスまで叩解した段ボール古紙を2.5%のスラリーとし、これに対パルプ1.5%(絶乾重量基準)の硫酸バンド、対パルプ0.1%(絶乾重量基準)のPAM紙力剤(星光PMC株式会社製;DS4409)を添加した。次いで、対パルプ0.3%(絶乾重量基準)の製造例11〜24及び比較製造例7〜14で得られたサイズ剤組成物(C)および、多価金属塩(D)として硫酸バンドまたはポリ塩化アルミニウム(PAC)を表5のように調製し、(C),(D)各々の所定量を連続的に混合しながら添加した後、pH6.2の希釈水でパルプ濃度0.25%まで希釈した。その後、希釈したパルプスラリーをノーブルアンドウッド抄紙機で、坪量65g/mとなるように抄紙した。なお、この時の抄紙pHは6.2であった。湿紙の乾燥は、ドラムドライヤーを用いて100℃で80秒間の条件で行った。得られたサイジング紙を恒温恒湿(23℃、55%相対湿度)環境下で24時間調湿した後の試験紙の120秒コブ(Cobb)サイズ度を測定した。結果を表6及び表7に示す。
120秒コブ(Cobb):JISP−8140に準拠する。数値が小さいほど、サイズ効果に優れることを示す。
Figure 2020125565
Figure 2020125565
Figure 2020125565
<サイズ剤組成物(C)の製造例 −中性ロジンサイズ剤−>
(製造例25〜27)
ロジン系物質(A)、(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)を表8記載のように変更した以外は実施例11と同様にして、サイズ剤組成物(C−15)〜(C−17)を得た。これらサイズ剤組成物の性状を表8に示す。
Figure 2020125565
(サイズ効果試験2 −中性上質紙条件−)
380カナディアン・スタンダード・フリーネスまで叩解したパルプ(広葉樹対針葉樹のパルプ比が9対1である混合パルプ)を2.5%のスラリーとし、これに対パルプ2%(絶乾重量基準)の炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP121S)を添加した。これに、対パルプ1%(絶乾重量基準)の硫酸バンド、対パルプ0.5%(絶乾重量基準)のカチオン化デンプン(日本エヌエスシー社製;Cato304)及を添加した。次いで対パルプ0.4%(絶乾重量基準)の製造例25〜27で得られたサイズ剤組成物(C)および、多価金属塩(D)として硫酸バンドまたはポリ塩化アルミニウム(PAC)を表5のように調製し、(C),(D)各々の所定量を連続的に混合しながら添加した後、pH7.5の希釈水でパルプ濃度0.25%まで希釈した。その後、希釈したパルプスラリーに対パルプ8%(絶乾重量基準)の炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP121S)、対パルプ0.01%の歩留り向上剤(ハイモ社製;NR12MLS)を添加し、ノーブルアンドウッド抄紙機で、坪量65g/mとなるように抄紙した。なお、この時の抄紙pHは7.5であった。湿紙の乾燥は、ドラムドライヤーを用いて100℃で80秒間の条件で行った。得られたサイジング紙を恒温恒湿(23℃、55%相対湿度)環境下で24時間調湿した後の試験紙のステキヒトサイズ度を測定した。結果を表9及び表10に示す。
(ステキヒトサイズ度)
約4cm角の試験片を2%チオシアン酸アンモニウム溶液上に浮かべると同時に、1%塩化第二鉄溶液をピペットで試験片上に1滴落とす。その後、両方の液が試験片の上下より浸透し、両液が接触した時に赤色の呈色反応による斑点が生じる。試験片が液体と接触してから斑点が3個現れるまでの時間(秒)を測定する。
Figure 2020125565
Figure 2020125565
<サイズ剤組成物(C)の製造例 −酸性ロジンサイズ剤−>
(製造例28〜29、比較製造例15〜18)
ロジン系物質(A)、(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)を表11記載のように変更した以外は実施例11と同様にして、サイズ剤組成物(C−18)、(C−19)および(RC−9)〜(RC−12)を得た。これら(比較用)サイズ剤組成物の性状を表11に示す。
Figure 2020125565
(サイズ効果試験3 −酸性板紙条件−)
380カナディアン・スタンダード・フリーネスまで叩解した段ボール古紙を2.5%のスラリーとし、これに対パルプ1.5%(絶乾重量基準)の硫酸バンド、対パルプ0.1%(絶乾重量基準)のPAM紙力剤(星光PMC株式会社製;DS4409)を添加した。次いで、対パルプ0.2%(絶乾重量基準)の製造例28、29及び比較製造例15〜18で得られたサイズ剤組成物(C)および、多価金属塩(D)として硫酸バンドまたはポリ塩化アルミニウム(PAC)を表5記載のように調製し、(C),(D)各々の所定量を連続的に混合しながら添加した後、pH4.5の希釈水でパルプ濃度0.25%まで希釈した。その後、希釈したパルプスラリーをノーブルアンドウッド抄紙機で、坪量65g/mとなるように抄紙した。なお、この時の抄紙pHは4.5であった。湿紙の乾燥は、ドラムドライヤーを用いて100℃で80秒間の条件で行った。得られたサイジング紙を恒温恒湿(23℃、55%相対湿度)環境下で24時間調湿した後の試験紙の120秒コブ(Cobb)サイズ度を測定した。結果を表12及び表13に示す。120秒コブ(Cobb):JISP−8140に準拠する。数値が小さいほど、サイズ効果に優れることを示す。
Figure 2020125565
Figure 2020125565
実施例1〜11および比較例1〜6から、(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)が本発明の条件を満足する場合に、サイズ性に優れることが分かる。
また、実施例2、12〜14および比較例7、8から、ロジン系物質(A)中のジヒドロアガト酸の量が本発明の条件を満足する場合に、サイズ性に優れることが分かる。
実施例15〜17の比較から、ロジンエステルの原料ロジンの種別に関わらず上記効果が認められることが確認できる。
実施例18〜19および比較例9〜12から、酸性ロジンサイズ剤においても同様のサイズ効果への影響が確認できる。

Claims (3)

  1. ロジン系物質(A)を疎水性基およびイオン性基を有する(メタ)アクリルアミド系ポリマー(B)により水中に分散させ安定化させたサイズ剤組成物(C)と、多価金属塩(D)とを連続的に混合しながらパルプスラリーに添加することを特徴とする紙の製造方法であって、
    前記(A)成分が、ジヒドロアガト酸を1〜15質量%含有し、
    前記(B)成分が、
    (b−1)アニオン性モノマー 3〜18モル%
    (b−2)疎水性モノマー 5〜10モル%
    (b−3)(メタ)アクリルアミド 72〜92モル%
    である組成のモノマーを用いて得られた重合物であり、
    前記(b−1)アニオン性モノマーがスルホン酸系モノマーを含まずカルボン酸系モノマーを含むことまたはスルホン酸系モノマーとカルボン酸系モノマーのモル比が、スルホン酸系モノマー:カルボン酸系モノマー=0〜0.5:1であることを特徴とする紙の製造方法。
  2. 多価金属塩(D)が、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムの群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の紙の製造方法。
  3. ロジン系物質(A)のうち、ロジンエステルを10〜50質量%含有することを特徴とする、請求項1に記載の紙の製造方法。
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