JP4385431B2 - 製紙用カチオン性エマルションサイズ剤、その製造方法、サイジング方法及びサイジングされた紙 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ロジン系物質と石油樹脂系物質の混合物からなるサイズ成分をpH調整剤を用いてカチオン性共重合体で乳化分散させて得られるカチオン性の製紙用エマルションサイズ剤に関するものである。本発明のサイズ剤は、酸性域から中性域まで安定なサイズ効果を発現し、特に抄紙系にアルカリ性物質が混入した場合の高pH域で従来のサイズ剤では得られなかった効果を発揮する。本発明は、また、石油樹脂系物質を共重合させたカチオン性分散剤とpH調整剤を用いてロジン系物質と石油樹脂系物質の混合物を水中に安定的に分散させることによるサイズ剤の製造方法、このサイズ剤を用いたサイジング方法およびこのサイズ剤を含有する紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製紙業界では、生産性の向上によるマシンの高速化、抄紙系のクローズド化、環境保全を考えた古紙や損紙の再利用などが進み、サイジングコントロールが難しくなってきている。このような条件によって抄紙pHが中性域に近づく中で、従来までの酸性域と同等以上のサイズ効果を発現するサイズ剤の要望が高まりつつある。
【0003】
このような中で、サイズ剤は、原料として強化ロジンを主成分としたまま、溶液型(アルカリケン化型)から水分散型(エマルション型)に移行しつつある。しかし、これらのエマルションサイズ剤は、ロジン類およびα,β−不飽和多塩基酸を付加させた強化ロジン類を、アニオン性の界面活性剤やカルボキシル基を持つ重合性モノマーを原料として調製したアニオン性ポリマーで乳化分散させたエマルションサイズ剤であり、製紙用の填料としてあるいは古紙由来の炭酸カルシウムやパルプスラリー中に残るアルカリ性物質により、抄紙系のpHが中性域に近づくにつれサイズ剤として有効ではなくなってくる。
【0004】
中性域対応のサイズ剤としては、特開昭62−223393および特開昭62−250297でロジン物質をグリセリン等の多価アルコール類でエステルとした物質により、炭酸カルシウムに起因する高pHでもサイズ効果を発現する中性抄紙用サイズ剤として提案されている。しかし、製品のイオン状態は分散剤にカルボキシル基が存在するためにアニオン性であり、抄紙系で添加される硫酸バンドへの依存性が大きく、アルカリ性物質の増量による高pH域では、サイズ発現は大きく低下する。
【0005】
カチオン性のロジン系サイズ剤としては、特開平3−174092にアニオン性のロジンエマルションサイズ剤を、カチオン性ポリマーおよびカチオン性澱粉と(メタ)アクリルアミド系ポリマーを介してカチオン性に転換させたサイズ剤が提案されている。また、特開平3−227481には、ロジン系樹脂をカチオン性モノマー、アニオン性モノマー、疎水性モノマーおよび(メタ)アクリルアミドからなる共重合体で乳化して得られるサイズ剤が提案されている。しかし、いずれもアニオン性のロジンエマルションをベースに用いるかアニオン性のモノマーを含む両性の分散剤を用いてロジン系の樹脂を乳化しており、中性域でのサイズ効果発現および製品の安定性の面で十分ではない。
【0006】
ロジン系物質に石油樹脂系物質を配合する公知の例としては、特開平6−330496や特開平7−109360があるが、いずれもアニオン性の分散剤ポリマーを用いて乳化したエマルションサイズ剤である。これらのサイズ剤では中性域でのサイズ効果発現に硫酸バンドによるところが大きく、十分な効果が得られない。また、特開平7−258994では、ロジン類や石油樹脂類の混合物をアニオン性モノマー含有の分散剤とカチオン化した樹脂により乳化分散させる方法が提案されているが、カチオン性のロジン系エマルションサイズ剤としての製品安定性やその中性域でのサイズ効果は十分ではない。
【0007】
硫酸バンドを必要としない中性域〜アルカリ性域のサイズ剤としては、アルキルケテンダイマー(AKD)やアルケニル無水コハク酸(ASA)が周知である。しかし、抄紙系での汚れの問題、前者においてはサイズ発現までの時間(サイズ効果の立ち上がり)、紙の滑り性などの問題、後者においては水に分散させた直後に添加しなければ効果が失活するなどの問題が指摘されている。また、ロジン系サイズ剤に比べコストが高いという問題があり、使用される条件は限定されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、抄紙系にアルカリ性物質が混入し抄紙pHが高くなった場合や添加する硫酸バンドを減量した擬似中性域で、従来のロジンエマルションサイズ剤のような効果の低下を生ずることなく優れたサイズ効果を発現し、かつ製品安定性の良好なサイズ剤を提供することにある。
【0009】
本発明の目的は、また、そのような特徴を有するサイズ剤の製造方法、このサイズ剤によるサイジング方法及びこのサイズ剤を含有する紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を解決すべく新たなサイズ剤の検討を行った結果、ロジン系物質と石油樹脂系物質を混合し、pH調整剤とエマルションの乳化分散および安定性に有効な石油樹脂系物質を共重合させたカチオン性分散剤ポリマーを用いることにより、上記の問題が解決されて、従来のロジンエマルションサイズ剤では見られなかったサイズ効果を発現する製紙用エマルションサイズ剤が得られることを見出した。
【0011】
斯くして、本発明によれば、ロジン系物質と石油樹脂系物質の混合物を、pH調整剤により乳化時のpHを2〜5に調整し、カチオン性共重合体を分散剤として用いて水中に乳化分散させてなるカチオン性の製紙用エマルションサイズ剤およびその製造方法が提供される。
【0012】
本発明によれば、また、この特徴あるカチオン性エマルションサイズ剤を紙の製造工程においてパルプスラリー内に添加するサイジング方法およびそのようにして製造される紙が提供される。
【0013】
本発明のエマルションサイズ剤に用いるロジン系物質としては、ウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジンなどのロジンを1種あるいは2種以上の混合物として用いることができる。そして、これらのロジンの水素化されたもの、重合化されたもの、不均化されたもの、エステル化されたもの、ホルムアルデヒドなどで変性されたもの、さらにはα,β−不飽和多塩基酸を付加させた強化ロジンの1種あるいは2種以上の混合物でもよい。
【0014】
また、強化ロジンは、ロジン類とα,β−不飽和多塩基酸とを180〜260℃程度の温度で加熱して得られる。使用するα,β−不飽和多塩基酸としては、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、これらの無水物およびこれらの混合物が挙げられ、特にフマル酸、マレイン酸および無水マレイン酸が好ましい。
【0015】
本発明で用いる石油樹脂とは、石油精製で副生するナフサ分解油のC5およびC9成分の単独重合物あるいは共重合物、およびこれらの混合物である。一般に入手できる石油樹脂は、軟化点および数平均分子量が広範囲であり、いずれも乳化し、エマルション化は可能であるが、サイズ効果発現に有効な石油樹脂は、軟化点が50℃〜120℃で数平均分子量が700〜1200のものに限定される。樹脂成分としては、C5およびC9成分から調製される混合物あるいは共重合物が好ましい。
【0016】
石油樹脂系物質とは、石油樹脂単体か石油樹脂とα,β−不飽和多塩基酸とを150〜270℃程度の温度で加熱して得られる付加物である。使用するα,β−不飽和多塩基酸としては、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、これらの無水物およびこれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、石油樹脂単体か、あるいは該石油樹脂にフマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸を付加させたものである。
【0017】
サイズ剤の主成分であるロジン系物質と石油樹脂系物質の混合物は、それぞれの物質を任意の割合で混合することができる。原材料コストや多様な抄紙条件に対して好ましい混合割合は、ロジン系物質20〜80重量%と石油樹脂系物質80〜20重量%である。とくに好ましい混合割合は、ロジン系物質30〜75重量%と石油樹脂系物質70〜25重量%である。
【0018】
本発明で分散剤として用いるカチオン性共重合体は、ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたは(メタ)アクリル酸アミドモノマーであるカチオン性モノマーと、製品化されたエマルションの安定性に必須であり効果発現に有効な石油樹脂系物質と、スチレン類や(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー等の疎水性モノマーから構成される。そしてカチオン性モノマーは、アミド基を酸塩化物とした3級アミンでも、更に4級化剤によって部分的にあるいは完全に4級化したアミンでもよい。
【0019】
前記共重合体のカチオン性モノマーは、分散剤をカチオン性とすることでエマルションサイズ剤をカチオン化し、エマルションサイズ剤のパルプへの自己定着性を付与し、優れたサイズ効果を発現するのに寄与する。カチオン性モノマーとしては、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(1)やN,N−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド(2)が挙げられる。(1)の例としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、(2)の例としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0020】
更に、このカチオン性モノマーは、有機酸または無機酸による酸塩化物や4級化剤による部分あるいは完全4級化物であってもよい。4級化反応は、重合前にモノマーに対して行うことができ、また重合して得られた共重合体にも行うことができる。4級化剤としては、アルキルハライド、ベンジルハライド、グリシジルエーテル化合物、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリン、モノクロル酢酸などを用いることができる。
【0021】
前記共重合体の石油樹脂系物質は、分散剤である共重合体の中に疎水性物質として存在することで、サイズ剤主成分であるロジン系物質と石油樹脂系物質の混合物を水中に安定なエマルションとするために樹脂と分散剤間で有効に機能する。この分散剤は、一般の疎水性モノマーであるスチレンなどを用いた分散剤に比べて更にサイズ剤樹脂との親和性を高め、安定なエマルションとするものであり、石油樹脂系物質は、その中で有効に機能しており、カチオン性共重合体には必須物質である。また、エマルションサイズ剤が使用され、紙中に定着した場合にもこの石油樹脂系物質の存在が、その疎水性により、サイズ性発現に更に有効となる。共重合体に使用する石油樹脂系物質は、とくに限定はされないが、よりサイズ性に有効であるためには、50〜120℃の軟化点および700〜1200の数平均分子量を有する石油樹脂単体、あるいは該石油樹脂にα,β−不飽和多塩基酸を付加させたものであることが好ましい。
【0022】
前記共重合体の疎水性モノマーは、共重合体中の石油樹脂系物質と同じ役割を担い、サイズ剤主成分であるロジン系物質と石油樹脂系物質の混合物を水中に安定なエマルションとする目的で使用される。また、カチオン性共重合体が乳化分散剤として機能するためやカチオン性共重合体自体が安定的に存在するためにも必須である。疎水性モノマーとしては、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルニトリル、アクリルビニルエーテル、ビニルエステル類、炭素数6〜22のα−オレフィンなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。好ましくは、スチレン類および(メタ)アクリル酸アクリルエステルである。
【0023】
スチレン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンが挙げられる。
【0024】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル類は、下記一般式
【0025】
【化1】
[式中、R1はHまたはメチル基であり、R2は炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基、シクロヘキシル基、フェニル基またはベンジル基である。]で表示することができ、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどである。
【0026】
前記共重合体を構成するモノマーの重量%は、カチオン性モノマーが25〜75重量%、石油樹脂系物質が5〜50重量%、疎水性モノマーが20〜70重量%の範囲である。好ましくは、カチオン性モノマーが30〜65重量%、石油樹脂系物質が10〜40重量%、疎水性モノマーが25〜60重量%の範囲である。各モノマーの重量割合が上記の範囲からはずれた場合には、安定なカチオン性共重合体が得られないか、安定なカチオン性エマルションサイズ剤が得られないか、または、サイズ効果が不十分となる。例えば、カチオン性モノマーが25重量%以下では、エマルションサイズ剤のカチオン性が不足し、自己定着性が低下し、サイズ効果が不充分となる。また、石油樹脂系物質が50重量%以上では、共重合体が不安定で部分的に凝集物を発生し、分散剤として使用しても分散能力が低く、安定なエマルションサイズ剤が得られない。
【0027】
前記共重合体の重合方法は、イソプロピルアルコール等を溶媒に用いた溶液重合、界面活性剤にノニオン性またはカチオン性あるいは反応型のカチオン性乳化剤を用いた乳化重合、または懸濁重合などの公知の方法で得られる。
【0028】
前記共重合体の重合時に使用する重合開始剤は、方法に応じて、過酸化物、過硫酸塩類、アゾ化合物などが選択される。必要に応じて、共重合体の分子量を調整するイソプロピルアルコールやメルカプタン類のような連鎖移動剤を使用してもよい。
【0029】
分散剤として用いるカチオン性共重合体の使用量は、サイズ剤主成分であるロジン系物質および石油樹脂系物質の混合物に対して、固形分換算で1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%である。1重量%以下では、乳化分散力が不十分で安定なエマルションが得られない。20重量%を越えると、分散剤のエマルションサイズ剤成分に占める割合が多くなり、サイズ効果が低下する。また、エマルションサイズ剤の発泡性増大につながる。
【0030】
本発明におけるpH調整剤は、カルボキシル基を持つロジン系物質および石油樹脂系物質をカチオン性共重合体で水中に乳化分散させるために、およびエマルション化した後の製品安定性をより良好にするために、使用するものであり、乳化時のpHを2〜5に調整する量を使用する。
【0031】
pH調整剤の使用は、カチオン性共重合体を用いてロジン系物質および石油樹脂系物質を乳化する際の凝集物の発生を軽減し、得られたエマルションサイズ剤の沈殿物の発生を少なくする。すなわちこのpH調整剤は、エマルションサイズ剤の製品安定性をより向上させ、安定的にサイズ効果を発現させるものである。
【0032】
pH調整剤としては、塩酸、硫酸などのような無機酸、蟻酸、酢酸などのような有機酸、およびこれらの塩類が挙げられる。よりよい製品安定性を得るには、特に硫酸または硫酸アルミニウムが好ましい。
【0033】
本発明のエマルションサイズ剤は、溶剤にサイズ剤成分を溶かし、分散剤、pH調整剤および水を添加して高圧乳化を行い、溶剤を留去する溶剤法;高温加圧下で混合後、高圧乳化を行う高圧乳化法;溶融させたサイズ剤成分に分散剤およびpH調整剤の水溶液を滴下し、油中水滴型から水中油滴型にする相反転法などにより得ることができる。
【0034】
以上のようにして得られるエマルションサイズ剤は、固形分30〜55%の範囲、pHが2〜5の範囲、粘度が300mPa・S以下のものである。
【0035】
本発明のカチオン性エマルションサイズ剤は、製品の安定性、機械的安定性、高温安定性、凍結復元性などに優れており、酸性から中性の抄造域において、原料パルプの処理や古紙等から由来するアルカリ性物質に影響されず、広いpH領域で安定的にサイズ効果を発現するものである。とくに、水酸化ナトリウムや炭酸カルシウムなどのようなアルカリによる影響下において、およびサイズ剤の定着剤に使用される硫酸バンドが減量された状況下において、有効に機能するものである。
【0036】
本発明のカチオン性エマルションサイズ剤は、酸性および中性でのサイジング時に使用でき、パルプスラリーに添加する際、必要に応じて各種填料、澱粉、紙力増強剤、濾水歩留剤などのような製紙用薬品を使用することができる。
【0037】
本発明のカチオン性エマルションサイズ剤は、印刷用紙、PPC用紙、中質紙、コート原紙、新聞用紙、感熱紙、感圧紙、ライナー、白板紙、中芯、紙管原紙などのような、いずれの酸性紙及び中性紙にも使用することができ、このサイズ剤により製造された酸性紙および中性紙は、従来のサイズ剤では得られなかった優れたサイズ性を示す。
【0038】
【実施例】
つぎに、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、各例中の部および%は重量基準である。
【0039】
製造例1(強化ロジンR−1の製造)
ガムロジン880部を210℃に加熱溶融させて、無水マレイン酸120部を徐々に添加し、添加終了後、230℃で5時間付加反応を行い、マレイン化12%ガムロジン(R−1)を得た。
【0040】
製造例2(強化ロジンR−2の製造)
トール油ロジン910部を210℃に加熱溶融させて、フマル酸90部を徐々に添加し、添加終了後、250℃で6時間付加反応を行い、フマル化9%トール油ロジン(R−2)を得た。
【0041】
製造例3(変成石油樹脂M−1の製造)
石油樹脂950部を200℃に加熱溶融させて、無水マレイン酸50部を徐々に添加し、添加終了後、230℃で3時間付加反応を行い、マレイン化5%石油樹脂(M−1)を得た。
【0042】
製造例4(分散剤T−1〜5およびT−9〜11の製造)
1Lセパラブルフラスコに撹拌機、冷却器、温度計および窒素導入管を備え付け、表1に示す分散剤T−1〜5およびT−9〜11の分散剤組成の割合でカチオン性モノマー、石油樹脂および疎水性モノマーとイソプロピルアルコール35部およびアゾビスイソブチロニトリル1.0部を仕込み、窒素雰囲気下、90℃で5時間重合させた。更に90%酢酸43部と水200部を加え、80℃で1時間かけてカチオン部を3級酢酸塩とした。更にエピクロルヒドリン35部と水160部を加え、80℃で2時間かけて4級化反応を行った。次いで、イソプロピルアルコールを留去し、水を加え、表1に示す物性の共重合体分散剤(T−1〜5およびT−9〜11)を得た。
【0043】
製造例5(分散剤T−6〜8およびT−12〜14の製造)
製造例4と同じ反応装置を用いて、表1に示す分散剤T−6〜8およびT−12〜14の分散剤組成の割合でカチオン性モノマー、石油樹脂および疎水性モノマーを仕込んだ。次いで過硫酸アンモニウム1.5部、カチオン性の反応性界面活性剤4.0部および重合濃度25%になる水を仕込み、窒素下雰囲気、90℃で4時間重合させ、表1に示す物性の共重合体分散剤(T−6〜8およびT−12〜14)を得た。
【0044】
製造例6(分散剤T−15の製造)
製造例4と同じ反応装置を用いて、表1に示す分散剤T−15の分散剤組成の割合で疎水性モノマーとアニオン性モノマーを仕込んだ。次いで過硫酸アンモニウム2.0部、アニオン性の反応性界面活性剤5.0部および水236.0部を仕込み、窒素雰囲気下、90℃で5時間重合させた。更に水酸化ナトリウム27.0部と水173.0部を仕込み、80℃で2時間かけて中和反応を行い、表1に示す物性の共重合体分散剤(T−15)を得た。
【0045】
【表1】
実施例1〜6(エマルションサイズ剤の製造)
表2に示す実施例1〜6のサイズ剤樹脂の割合で強化ロジンと石油樹脂系物質を500mlセパラブルフラスコに仕込み、トルエン80部に溶解し、表2に示す各分散剤(T−1〜6)をサイズ剤樹脂に対して固形分で8%添加した。更に水を分散剤から持ち込まれる量と合わせて150部となるよう添加した。この混合溶液がpH3になる所定量の硫酸アルミニウムを添加し、撹拌混合後、マントンゴーリン乳化機に25MPaで2回通した。次いで得られた乳化物からトルエンおよび所定量の水を50℃で減圧蒸留し、表2に示す物性のエマルションサイズ剤(実施例1〜6)を得た。
【0046】
実施例7および8(エマルションサイズ剤の製造)
表2に示す実施例7および8のサイズ剤樹脂の割合で強化ロジンと石油樹脂系物質を500mlセパラブルフラスコに仕込み、ベンゼン100部に溶解し、表2に示す各分散剤(T−7および8)をサイズ剤樹脂に対して固形分で10%添加した。更に水を分散剤から持ち込まれる量と合わせて200部となるよう添加した。この混合溶液がpH3になる所定量の硫酸を添加し、撹拌混合後、マントンゴーリン乳化機に30MPaで2回通した。次いで得られた乳化物からベンゼンおよび所定量の水を50℃で減圧蒸留し、表2に示す物性のエマルションサイズ剤(実施例7および8)を得た。
【0047】
実施例9および10(エマルションサイズ剤の製造)
表2に示す実施例9および10のサイズ剤樹脂の割合で強化ロジンと石油樹脂系物質を500mlオートクレーブに仕込み、表2に示す分散剤(T−3)をサイズ剤樹脂に対して固形分で5%添加した。更に硫酸にてpH2.5に調製した水を分散剤から持ち込まれる量と合わせて105部となるよう添加した。この混合溶液を撹拌混合しながら150℃まで加熱し、マントンゴーリン乳化機に35MPaで2回通し、急冷し、表2に示す物性のエマルションサイズ剤(実施例9および10)を得た。
【0048】
比較例1〜11(エマルションサイズ剤の製造)
表2に示す比較例1〜11のサイズ剤樹脂の割合で強化ロジンと石油樹脂系物質あるいはエステル化ロジンを用いて、表2に示す各分散剤(T3およびT−9〜15)により、実施例1〜6と同じ製造方法及び部数にて表2に示す物性のエマルションサイズ剤(比較例1〜11)を得た。なお、比較例11については、pH調整剤である硫酸アルミニウムは用いなかった。
【0049】
【表2】
サイズ効果試験1
各設定条件中の%は、対パルプの添加率である。原料パルプにLBKPを用いて、400CSFに叩解し、乾燥重量が2.5%になるよう水を加え、パルプスラリーを調製し、25℃に保温した。このパルプスラリーを撹拌しながら硫酸バンド1.0%を添加し、目的とするスラリーpH(pH6.0、7.0)になるよう1%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、エマルションサイズ剤を0.2%または0.3%添加した。次いで工業用水(pH7)で希釈し、TAPPIスタンダードマシーンにより坪量60g/m2のシートを作製した。このシートを乾燥用プレートおよびリングを用いて、油圧プレス機にて圧力410kPaで2回プレスして脱水し、105〜110℃にコントロールした乾燥機にて30分間乾燥後、温度20℃、湿度65%に調整した部屋で一晩調湿して試験シートを得た。この試験シートについてJIS.P−8122ステキヒトサイズ度試験法によりサイズ度(秒)を測定した。この結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
サイズ効果試験2
原料パルプにLBKPとDIP(LBKP/DIP=7:3・380CSF)を用いて、サイズ効果試験1と同様の方法にて、撹拌しながら炭酸カルシウム15.0%、硫酸バンド1.0%、エマルションサイズ剤0.2%または0.3%添加した。更にパルプスラリーを乾燥重量0.23%になるよう工業用水を加え、カチオン性高分子歩留剤DCK−3(ミサワセラミックス(株)製)を0.015%添加し、サイズ効果試験1と同様に試験シートを作製し、サイズ度を測定した。この結果を表4に示す。
【0051】
【表4】
機械的安定性試験
20℃に調整したエマルションサイズ剤50gをマーロン安定度試験機の測定容器内に採り、荷重195N、回転速度1000r.p.m.の条件で機械的シェアーに5分間かけた。容器内のエマルションサイズ剤中および機器に付着した凝集および沈殿物を200メッシュの金網でろ過し、供試したエマルションサイズ剤の固形分に対する析出した凝集および沈殿物の固形分量を百分率で表した。この結果を表5に示す。
【0052】
高温安定性試験
エマルションサイズ剤100gを密閉ガラス容器に入れ、恒温器内で50℃で保存する。1ヶ月間放置後、状態を観察する。この結果を表5に示す。
【0053】
凍結復元性試験
エマルションサイズ剤30gをガラス容器に入れ、冷凍機内で一昼夜保存し、完全に凍結させる。凍結したエマルションサイズ剤を取り出し、室温(20〜25℃)で解凍し、復元状態を観察する。この結果を表5に示す。
【0054】
【表5】
Claims (6)
- ロジン系物質と石油樹脂系物質の混合物(A)を、カチオン性モノマーと石油樹脂系物質と疎水性モノマーからなるカチオン性共重合体の分散剤(B)を用いて水中に乳化分散させて得られるカチオン性の製紙用エマルシヨンサイズ剤であって、該分散剤(B)がカチオン性モノマーとしてのジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたは(メタ)アクリル酸アミドモノマー25〜75重量%と、石油樹脂系物質5〜50重量%と、疎水性モノマー20〜70重量%からなる共重合体であることを特徴とする製紙用エマルションサイズ剤。
- 混合物(A)に使用する石油樹脂系物質が50〜120℃の軟化点および700〜1200の数平均分子量を有する石油樹脂単体あるいは、この石油樹脂にα,β−不飽和多塩基酸を付加させたものである請求項1に記載の製紙用エマルションサイズ剤。
- 分散剤(B)の含有量がロジン系物質と石油樹脂系物質の混合物(A)に対して、固形分換算で1〜20重量%である請求項1又は2に記載の製紙用エマルションサイズ剤。
- ロジン系物質と石油樹脂系物質の混合物(A)を分散剤(B)を用いて乳化する際、無機酸、有機酸およびこれらの塩類いずれかの単独または、2種以上からなるpH調整剤を用いて、乳化時にpHを2〜5に調整し、水中に安定的に乳化分散させる請求項1〜3のいずれかに記載の製紙用エマルションサイズ剤の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載されたカチオン性の製紙用エマルションサイズ剤を用いることを特徴とする紙のサイジング方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載されたカチオン性の製紙用エマルションサイズ剤を含有する紙。
Priority Applications (1)
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