JP2020083117A - 車両前部構造 - Google Patents

Abstract

【課題】接触時における歩行者の脚への荷重を適切なものにする。【解決手段】グリル開口１２が形成されたバンパパネル１０の後方に位置し、バンパパネル１０の上部に後方から対向するグリルステー５０と、前記グリルステー５０の後部を覆うように配置されるステーカバー５２と、を含み、グリルステー５０は、後方部５０６の断面積が前方部５０２に比べ小さくなっており、前方部５０２と後方部５０６の境に段部５０８を有し、ステーカバー５２の前端は段部５０８の後面に対向するように配置される。【選択図】図１

Description

本発明は、バンパパネルの後方にグリルステーを配置する車両前部構造に関する。

特許文献１には、フロントバンパであって、バンパ上部とバンパ下部に衝撃吸収材を設けるものが示されている。特に、バンパ下部に設ける下側吸収材の衝撃に対する強度をバンパ上部に設ける上側吸収材に比べて大きくしている。これによって、車両前部が歩行者と接触した際に、歩行者の脛部を強く押してすくい上げることができ、歩行者の膝への衝撃を低減できるとしている。

特開２００１−２７７９６４号公報

ここで、特許文献１では、車両の前部が傾斜しており、前端部の高さが比較的小さい車を前提としている。一方、車両によってはフロントグリルが比較的大きく車両前端の高さが高いものもある。このような車両前端部の形状では、接触した際に歩行者の脚に掛かる力が異なる。従って、車両の形状に応じて、接触時における歩行者の脚への荷重を適切なものにしたいという要求がある。

本発明に係る車両前部構造は、フロントグリルが形成されたバンパパネルの後方に位置し、前記バンパパネルの上部に後方から対向するグリルステーと、前記グリルステーの後部を覆うように配置されるステーカバーと、を含み、前記グリルステーは、後方部の断面積が前方部に比べ小さくなっており、前記前方部と前記後方部の境に段部を有し、前記ステーカバーの前端は前記段部の後面に対向するように配置される。

前記バンパパネルの後方にはラジエータサポートが位置し、前記ラジエータサポートの上部から前記グリル開口の上方の前記バンパパネルに向けてダクト上壁が伸びており、前記ダクト上壁の前端は前記バンパパネルの後面において後方に突出するように形成された当て面に対向するとよい。

前記ステーカバーは、グリルブラケットを介し前記ラジエータサポートに固定され、前記ステーカバー、前記ダクト上壁および前記グリルブラケットが共締め固定されるとよい。

前記グリルステーは、ボックス形状であるとよい。

本発明によれば、車両前面の上部における衝突に対する対抗力を比較的大きくすることで、接触時における歩行者の脚への荷重を適切なものにできる。

車両前部構造を示す図である。 グリルステーの構成を示す図である。 ステーカバーの構成を示す図である。 グリルブラケットの構成を示す図である。 グリルステーの固定構造を示す図である。 ステーカバーと、グリルブラケットの固定部の構造を示す図である。 ラジエータサポートを前方から見た図である。 ラジエータサポートの前方にロアバンパリンフォース、アッパバンパリンフォースを取り付けた状態を示す図である。 ラジエータサポートにサポート建柱とロアバンパリンフォース、アッパバンパリンフォースの取り付けた状態を示す図である。 バンパパネルを前から見た図である。 グリルステーを板状として、ステーカバー、当て面を省略した構成を比較例の構成として示す図である。

以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、ここに記載される実施形態に限定されるものではない。

「全体構成」
図１は、車両前部構造を示す図であり、実施形態において特徴となる要部を取り出して示している。

車両の前面を構成するバンパパネル１０は、全体として四角形状である。バンパパネル１０には、比較的大きな下グリル開口１２、比較的小さな上グリル開口１４が設けられており、ここから空気が前部空間（エンジンルーム）に進入する。下グリル開口１２の下には、下バンパ１６が設けられ、下グリル開口１２と上グリル開口１４の間に上バンパ１８が設けられる。

下バンパ１６の後方には、衝撃吸収材からなるロアショックアブソーバ２０が配置され、その後方にロアバンパリンフォース２４が配置される。ロアバンパリンフォース２４は、例えば、鋼材からなる四角パイプ状の骨格材であって、車幅方向に伸びる。

上バンパ１８の後方には、衝撃吸収材からなるアッパショックアブソーバ２２が配置され、その後方にアッパバンパリンフォース２６が配置される。アッパバンパリンフォース２６も、車幅方向に伸びる四角パイプ状の骨格材である。

下バンパ１６の下側には、アンダーカバー２８の前端が接続される。アンダーカバー２８は、下バンパ１６から後方に向かって伸び、エンジンルームの前部の下部を覆う。

下グリル開口１２の下側には、後方に向けて伸びる４方ダクト３０の下壁３０ａが配置されている。

バンパパネル１０の上端には、ボデー前端部３２が接続されており、このボデー前端部３２の上にフロントフード３４の前端部が配置される。フロントフード３４はボデー前端部３２に対し開閉可能である。

バンパパネル１０の後方には、ラジエータサポート４０が配置されている。ラジエータサポート４０の後方には、コンデンサ４２、ラジエータ４４が配置される。コンデンサ４２はエアコンの冷媒を冷却し、ラジエータ４４はエンジン冷却水を冷却する。ラジエータサポート４０は、全体として四角枠状であり、車幅方向の中央付近に高さ方向に伸びるセンタサポート４０ａを有する。

４方ダクト３０は、下グリル開口１２および上グリル開口１４から進入してくる空気をラジエータ４４に導くものであり、４方の壁材を含み、この例では下壁３０ａは、ロアショックアブソーバ２０の上面を構成している。

バンパパネル１０の後方であって、アッパショックアブソーバ２２の上方には、４方ダクト３０のダクト上壁３０ｂが配置されている。また、ダクト上壁３０ｂの上には、グリルステー５０が設けられ、グリルステー５０の後部を覆ってステーカバー５２が設けられる。ステーカバー５２と、ダクト上壁３０ｂは、その下側に位置するグリルブラケット５４と共締め固定され、グリルブラケット５４の後端がラジエータサポート４０に固定される。

なお、ロアバンパリンフォース２４、アッパバンパリンフォース２６、ラジエータサポート４０などの骨格部材、ボデー前端部３２、フロントフード３４などのボデーは鋼材で構成することが好ましく、その他部材は樹脂で構成することが好ましい。

「グリルステー」
図２は、グリルステー５０の構成を示す図である。前方部５０２は、前方に向けて断面積が拡大しており、前面５０４は、バンパパネル１０の背面に沿って位置する。前方部５０２は、内部が中空のボックス形状である。後方部５０６は、直方体状であり、前方部５０２に比べて断面積が小さくなっている。そこで、前方部５０２と後方部５０６の境には、段部５０８が形成されている。なお、前方部５０２の下面には複数のフィン５１０が形成されており、グリルステー５０の車両前後方向の強度を大きくしている。

「ステーカバー」
図３は、ステーカバー５２の構成を示す図である。ステーカバー５２は、カバー本体５２２が全体として四角筒状であって、上面には後方からスリット５２４が形成されている。また、下面からは２本のボルト軸５２８が下方に向けて伸びている。そして、カバー本体５２２の前方端には周辺に向けて広がるフランジ部５２６が設けられる。ステーカバー５２は、グリルステー５０の後方部５０６を内部に収容することができ、フランジ部５２６の前面が、グリルステー５０の段部５０８の後面に対向して当接する。

「グリルブラケット」
図４は、グリルブラケット５４の構成を示す図である。車両前後方向から見て逆Ｌ字型のブラケット本体５４２を有し、このブラケット本体５４２は、上片５４２ａと側片５４２ｂを含む。そして、側片５４２ｂは、上片５４２ａよりも後方に伸びており、その後方端にはフランジ部５４４が設けられている。この例では、フランジ部５４４は、側方および上方に伸びるように形成されている。また、上片５４２ａには、ステーカバー５２のボルト軸５２８が貫通する穴（図示省略）が設けられている。

「グリルステーの固定構造」
図５は、グリルステー５０の固定構造を示す図である。グリルステー５０の後方部５０６はステーカバー５２のカバー本体５２２内に収容される。グリルステー５０の段部５０８の後面は、ステーカバー５２のフランジ部５２６と前後方向でラップしており両者が対向する。ボルト軸５２８は、ダクト上壁３０ｂ、グリルブラケット５４の上片５４２ａを貫通し、その先端側にナット５３０が螺合される。従って、ステーカバー５２とグリルブラケット５４がダクト上壁３０ｂを挟んで締め付け固定される。また、グリルブラケット５４の後端のフランジ部５４４は、ラジエータサポート４０から伸びるブラケット４６に固定される。ブラケット４６は、他端がラジエータサポート４０のセンタサポート４０ａに固定されても、車両幅方向に伸びる上サポート４０ｄに固定されてもよい。

図６は、ステーカバー５２と、グリルブラケット５４の固定部の構造を示す図である。このように、ボルト軸５２８がダクト上壁３０ｂとグリルブラケット５４の上片５４２ａを貫通し、先端にナット５３０が螺合される。

また、ダクト上壁３０ｂの先端３０ｅは、バンパパネル１０の裏面に設けられた裏面材１０ａに設けた後方突出部の当て面１０ｂに対向している。従って、バンパパネル１０が後方に向けて変形した時には、当て面１０ｂにダクト上壁３０ｂの先端３０ｅが当たる。

「ラジエータサポート、バンパリンフォース」
図７は、ラジエータサポート４０を前方から見た図である。このように、車幅方向の中心において上下方向に伸びるセンタサポート４０ａの他に、上部において車幅方向に伸びる上サポート４０ｄと、両サイドで上下方向に伸びるサイドサポート４０ｂ，４０ｃと下サポート４０ｅが設けられ、全体として四角枠状になっている。また、サイドサポート４０ｂ、４０ｃの外側には、上サポート４０ｄと、下サポート４０ｅの両端を接続し上下方向に伸びるサポート建柱４８ａ，４８ｂが設けられている。ラジエータサポート４０の上下方向の強度はこのサポート建柱４８ａ，４８ｂによって得られ、サイドサポート４０ｂ、４０ｃは他部品の取り付けのための部材として機能すればよい。サポート建柱４８ａ，４８ｂには、後方から伸びてくる車両骨格部材であるサイドメンバの前端が後方から取り付けられる。

図８は、ラジエータサポート４０の前方にロアバンパリンフォース２４、アッパバンパリンフォース２６を取り付けた状態を示す図である。このように、サポート建柱４８ａ，４８ｂの下部には、前方に伸びる支持材６０がそれぞれ設けられ、その先端にロアバンパリンフォース２４の両端が固定される。また、サポート建柱４８ａ，４８ｂの上部には、前方に伸びる支持材６２がそれぞれ設けられ、その先端にアッパバンパリンフォース２６の両端が固定される。

ロアバンパリンフォース２４の前面を覆うようにロアショックアブソーバ２０が設けられ、アッパバンパリンフォース２６の前面を覆うようにアッパショックアブソーバ２２が設けられる。

さらに、ラジエータサポート４０の上サポート４０ｄ、サイドサポート４０ｂ，４０ｃの前方には、ダクト上壁３０ｂと側壁３０ｃ，３０ｄが配置されている。

図９は、サポート建柱４８とロアバンパリンフォース２４、アッパバンパリンフォース２６の取り付け状態を示す図である。このようにサポート建柱４８の前方に支持材６０，６２が設けられ、その先端にロアバンパリンフォース２４、アッパバンパリンフォース２６が取り付けられ、その前方にロアショックアブソーバ２０、アッパショックアブソーバ２２がそれぞれ設けられる。

「バンパパネル」
図１０は、バンパパネル１０を前から見た図である。このように、バンパパネル１０は車幅方向に広がる全体として長方形のパネルであり、両側部および上部が後方に向けて伸びている。そして、中央上部付近の背面側にグリルステー５０が配置され、その下に当て面１０ｂが位置する。図においては、これらを模式的に示してある。

「衝突時の変形」
図１１には、衝突時の車両前部の変形、脚７０が破線で示されている。歩行者の脚７０は、脛部７０ａと腿部７０ｂからなり、膝部分にじん帯７０ｃが位置する。車両前部が脚７０に衝突すると、車両前部のロアショックアブソーバ２０と、アッパショックアブソーバ２２が衝撃に対抗する。

本実施形態では、アッパショックアブソーバ２２の上方であってバンパパネル１０の裏面側にボックス形状のグリルステー５０が配置されている。従って、バンパパネル１０の上部が後方に向けて移動した場合には、バンパパネル１０の裏面がグリルステー５０にぶつかる。グリルステー５０の後ろ側には、グリルブラケット５４によってラジエータサポート４０に固定されるステーカバー５２が位置している。そして、ステーカバー５２の前端はグリルステー５０の段部後面に対向している。従って、グリルステー５０が後方に移動しようとするとステーカバー５２がそれに対抗する。従って、グリルステー５０がバンパパネル１０の後方への移動に対抗する。

さらに、ダクト上壁３０ｂもグリルブラケット５４によりラジエータサポート４０に固定されている。従って、バンパパネル１０が後方に移動しようとした際に、当て面１０ｂがダクト上壁３０ｂの先端３０ｅとぶつかることで、バンパパネル１０の後方への移動量が低減される。

また、アンダーカバー２８は、後方に向けて一旦下方に折れ曲がり、その後上方に向けて折れ曲がっている。そして、この上方に向けての折れ曲がり部分が車幅方向に伸びる稜線２８ａとなる。従って、下バンパ１６が後方に移動した際に、アンダーカバー２８は、稜線２８ａを起点としてその前方が上方に向けて上凸に折れ曲がる。そして、この上凸の頂点となる位置にロアバンパリンフォース２４が位置する。このため、アンダーカバー２８の折れ曲がりを抑制して、下バンパ１６の後方移動に対抗する力を大きくすることができる。なお、稜線２８ａの部分について補強し、稜線２８ａを起点とした変形を助長することも好適である。

図１１は、グリルステー５０を板状として、ステーカバー５２、当て面１０ｂを省略した構成を比較例の構成として示す図である。なお、この図においても、脚７０、変形後の形状を破線で示してある。

このような構成では、上バンパ１８の上方におけるバンパパネル１０を支持する力が小さく、腿部７０ｂ、脛部７０ａが離れる方向に対する対抗力が弱くなる。すなわち、グリルステー５０の締結部が破断したり、上凸折れして、バンパパネル１０は後方に大きく移動する。また、アンダーカバー２８も上凸折れし、上方には妨げるものがないため、下方についても後方への移動量は比較的大きくなる。従って、歩行者のじん帯７０ｃを広げる方向の力が大きくなる。

本実施形態の車両は、その前面が比較的鉛直方向に近く、その高さが高い。従って、脚７０の全体に車両前面が衝突する。そこで、歩行者の脚７０に対し、足が前方上方に移動するような回転を与えることができない。従って、バンパパネル１０の上部においてもある程度の対抗力を付与し、腿部７０ｂの後方への侵入を比較的少なくして、じん帯７０ｃに対する引っ張り力を低減することが好適である。

１０ バンパパネル、１０ａ 裏面材、１０ｂ 当て面、１２ 下グリル開口、１４ 上グリル開口、１６ 下バンパ、１８ 上バンパ、２０ ロアショックアブソーバ、２２ アッパショックアブソーバ、２４ ロアバンパリンフォース、２６ アッパバンパリンフォース、２８ アンダーカバー、２８ａ 稜線、３０ ４方ダクト、３０ａ 下壁、３０ｂ ダクト上壁、３０ｃ，３０ｄ 側壁、３０ｅ 先端、３２ ボデー前端部、３４ フロントフード、４０ ラジエータサポート、４０ａ センタサポート、４０ｂ，４０ｃ サイドサポート、４０ｄ 上サポート、４０ｅ 下サポート、４２ コンデンサ、４４ ラジエータ、４６ ブラケット、４８（４８ａ，４８ｂ） サポート建柱、５０ グリルステー、５２ ステーカバー、５４ グリルブラケット、６０，６２ 支持材、７０ 脚、７０ａ 脛部、７０ｂ 腿部、７０ｃ じん帯、５０２ 前方部、５０４ 前面、５０６ 後方部、５０８ 段部、５１０ フィン、５２２ カバー本体、５２４ スリット、５２６ フランジ部、５２８ ボルト軸、５３０ ナット、５４２ ブラケット本体、５４２ａ 上片、５４２ｂ 側片、５４４ フランジ部。

Claims (4)

1. グリル開口が形成されたバンパパネルの後方に位置し、前記バンパパネルの上部に後方から対向するグリルステーと、
   前記グリルステーの後部を覆うように配置されるステーカバーと、
   を含み、
   前記グリルステーは、後方部の断面積が前方部に比べ小さくなっており、前記前方部と前記後方部の境に段部を有し、前記ステーカバーの前端は前記段部の後面に対向するように配置される、
   車両前部構造。
2. 請求項１に記載の車両前部構造であって、
   前記バンパパネルの後方にはラジエータサポートが位置し、前記ラジエータサポートの上部から前記グリル開口の上方の前記バンパパネルに向けてダクト上壁が伸びており、前記ダクト上壁の前端は前記バンパパネルの後面において後方に突出するように形成された当て面に対向する、
   車両前部構造。
3. 請求項２に記載の車両前部構造であって、
   前記ステーカバーは、グリルブラケットを介し前記ラジエータサポートに固定され、
   前記ステーカバー、前記ダクト上壁および前記グリルブラケットが共締め固定される、
   車両前部構造。
4. 請求項１〜３のいずれか１つに記載の車両前部構造であって、
   前記グリルステーは、ボックス形状である、
   車両前部構造。