JP2020056223A - 仮設橋の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】地中に打ち込んだ支持杭10の杭頭を設計高さ11に切断し、各支持柱20の端部に継手ソケット30を取り付けて門型を呈する下部工ユニット50を地組みし、継手ソケット30を既設の支持杭10に外装して下部工ユニット50を既設の支持杭10に延設し、支持杭10の施工誤差を修正するように、継手ソケット30と支持杭10との周面間に形成された調整隙間を調整することで、支持柱20を正規の位置に立設する。
【選択図】図2
Description
支持杭と支持柱の接合手段としては現場での全周溶接が知られているが、作業が大掛かりとなる等の理由から特許文献1〜4に開示されているような筒状の継手ソケットを用いた種々の機械式接合方法が提案されている。
特許文献2には上下の鋼管の外径より大径の内径を有する継手ソケットを使用し、上下の鋼管の突合せ部に跨って外装した継手ソケットと上下の鋼管との間に複数の貫通ボルトを貫通して螺着した後に、継手ソケットと上下の鋼管の周面間に形成される隙間内に接着剤を充填して固着する接合方法が開示されている。
特許文献3には上下の鋼管の外径より大径の内径を有する分割式の継手ソケットと、継手ソケットを締付ける複数組のバンド材と、継手ソケットトと上下の鋼管の周面間の隙間内に介装する硬質ゴム製で環状を呈する一対のスペーサとを使用し、間にスペーサを介装して上下の鋼管に分割した半筒状のソケットを外装した後にバンド材を締め付けて上下の鋼管の接合部を可撓可能に接合した接合方法が開示されている。
特許文献4には継手ソケットを使用せずに、上下の鋼管の端部同士を直接インロー嵌合させ、重合させた嵌合部に複数の貫通ボルトを螺着して一体化した接合方法が開示されている。
<1>河川敷等では鉛直性を保ち正規の高さに支持杭を打ち込むことは至難であることから、支持杭の上部が正規位置からずれたり傾倒して打ち込まれたりする場合がある。
打込み後の支持杭に水平方向のずれや傾倒を生じた場合、従来の継手ソケットではこれらの施工誤差を吸収することができない。
<2>特許文献2,4の接合方法にあっては、面倒なボルト穴の位置合わせを行いながら多数のボルトを取り付けなければならず、接合作業に多くの時間と労力を要して作業性が悪く工費も高くつく。
<3>分割式の継手ソケットとバンド材と硬質ゴム製のスペーサを使用した特許文献3の接合技術は接合部の変位を許容した接合構造であり、接合部を変位不能に接合することができない。
<4>特許文献1〜4に開示された接合方法は、各支持杭に対して支持柱を個別に接合した後に、支持柱等にガセットを現場溶接してブレス材を後付けしている。
そのため、全体工期が長期化し、施工コストも嵩むといった問題がある。
<5>製造環境の整った工場等で複数の支持柱間にブレス材を取り付けて下部工をユニット化し、現場搬入した下部工ユニットを現場の支持杭に搭載して組み立てできれば、施工性を改善することができる。
この方法は設計寸法に合わせて下部工ユニットを工場で事前に製作しておいても、現場の支持杭に施工誤差が生じていると正確な組み付けができない。
支持杭の現場寸法に合わせて下部工ユニットを工場で個別製作する方法も考えられるが、この方法は下部工ユニットの製作コストが嵩むだけでなく、下部工ユニットを現場搬入するまでの待ち時間が長くなって施工性が悪いだけでなく工期も長期化する。
<1>支持杭の施工誤差の影響を受けずに効率よく施工できて、大幅な工期の短縮を図ること。
<2>現場における高所作業を減らして作業の安全性を確保できること。
本発明では地組みする下部工ユニットの各支持柱の端部に継手ソケットを組み付けておくことで、地組した下部工ユニットの単位で組付けできて施工性を改善できると共に、支持杭の施工誤差の影響を受けずに下部工ユニットを設計位置に立設することができる。
本発明の他の形態において、前記継手ソケットは、支持柱および支持杭の突合せ部に跨って外装可能な筒状の異径筒本体と、異径筒本体に螺着され、支持杭または支持柱の外周面を押圧可能な複数の調整固定ボルトとを具備する。前記異径筒本体は支持杭に外装可能な下筒と、支持柱に外装可能な上筒と、同軸線上に位置させた前記下筒と上筒の境界部に介装した棚板とを有する。異径に形成された少なくとも前記下筒と上筒の何れか一方と、前記支持柱または支持杭の周面間に調整間隙が形成され、前記支持杭の上端と支持柱の下端の間に棚板が介在することで前記継手ソケットが位置決めされ、前記複数の調整固定ボルトを出し入れして調整間隙の範囲で調整された支持柱の水平位置と立設角度を保持する。
本発明の他の形態において、前記継手ソケットの下筒の内径が上筒の内径より大きい寸法関係にある。
本発明の他の形態において、前記継手ソケットの上筒は支持柱に内接可能な寸法関係でもよい。
本発明の他の形態において、前記下部工ユニットが複数の支持柱と、複数の支持柱の頭部間に架設した桁材と、複数の支持柱の側面間に架設したブレス材とを含む。
本発明の他の形態において、前記継手ソケットと支持杭の外周面の間または前記継手ソケットと支持柱の外周面との間を複数の引張材を介して連結して補強ししてもよい。
本発明の他の形態において、前記支持杭が鋼管、コラム材、またはH形鋼の何れか一種であり、前記支持柱が鋼管、コラム材、またはH形鋼の何れか一種であり、前記支持杭または支持柱が同種鋼材の組み合わせまたは異種鋼材の組み合せである。
<1>地組みする下部工ユニットの支持柱の端部に継手ソケットを組み付けておくことで支持杭の施工誤差の影響を受けずに施工できるうえに、地組した下部工をユニット化して組付けできるので大幅な工期の短縮を図ることができる。
<2>下部工を現場でユニット化して地組するので、現場における高所作業を減らして作業の安全性が向上する。
<3>継手ソケットに螺着した固定調整ボルトを正逆転操作するだけの簡単な作業で以て、支持杭の施工誤差を吸収して上位の支持柱を正規位置に立設することができる。
<4>支持杭や支持柱にボルトを貫通させずに強固に接合できるので、従来と比べて現場における作業性を大幅に改善できて経済的に接合することができる。
<5>継手ソケットと突き合せた支持杭と支持柱の外周面間を複数の引張材で連結することで、継手ソケットに対する支持杭と支持柱の抜け出し防止効果が高くなるだけでなく、引張材が接合部の引張と曲げの強度部材として機能するため、接合部における引張耐力と曲げ耐力が格段に向上する。
<6>継手ソケットは、公知の鋼管だけでなくコラム材やH形鋼等の公知の各種鋼材に適用できて汎用性に富む。
図1,2を参照して説明すると、本発明は先行して地中に支持杭10を打ち込む工程と、支持杭10の杭頭を設計高さに切断する工程と、複数の支持柱20,20と、複数の支持柱20,20の頭部間に架設した桁材51と、複数の支持柱20,20の側面間に架設したブレス材52とを含む門型を呈する下部工ユニット50を現場近くで地組(陸組)する工程と、下部工ユニット50を地組みする際に、各支持柱20の下部に機械式接合手段である筒状の継手ソケット30を組み付ける工程と、吊り上げた下部工ユニット50の継手ソケット30を既設の支持杭10に外装して既設の支持杭10に支持柱20を延設する工程と、既設の支持杭10から反力を得て支持杭10の施工誤差を修正し得るように、継手ソケット30と支持杭10との周面間の隙間調整を行う工程とを少なくとも備える。
以降に施工で使用する主要な資材について詳しく説明する。
本例では支持杭10と支持柱20が同種同径の鋼管である形態について説明する。
図4,5を参照して説明すると、継手ソケット30は支持杭10と支持柱20の突合せ部に跨って外装可能な異径の異径筒本体35と、異径筒本体35の周面に螺着した複数の固定調整ボルト34,36とを具備する。
異径筒本体35は支持杭10の上部に第1調整間隙G1を介して外装可能な下筒31と、支持柱20の下部に第2調整間隙G2を介して外装可能な上筒32と、同軸線上に位置させた両筒31,32の境界部に介装して一体化した棚板33とからなる。
本例では下筒31と上筒32はそれぞれ異径の鋼管で形成されている。
棚板33は支持杭10と支持柱20の突合せ端の間に介装する鋼製の板材であり、径差のある両筒31,32を荷重伝達可能に両筒31,32と一体化されている。
棚板33の形状は図示した円環形に限定されず円板形でもよい。
棚板33は支持杭10と支持柱20の突合せ端の間に介装可能なように、両筒31,32の内方に向けて水平に張り出していればよい。
継手ソケット30の下筒31と上筒32を支持杭10と支持柱20にそれぞれ外装するだけであれば、下筒31の内径D1と上筒32の内径D2を支持杭10及び支持柱20の径d1,径d2より大きい同一径すればよい。
本例では支持杭10の施工誤差(水平方向の誤差、傾倒誤差)を継手ソケット30に吸収させるために、下筒31の内径D1と上筒32の内径D2を同一径とせずに異径の組み合せとし、少なくとも下筒31または上筒32の何れか一方と、支持杭10または支持柱20の何れか一方の周面間に調整間隙を形成するようにした。
本例では下筒31と支持杭10との周面間に第1調整間隙G1を形成すると共に、上筒32と支持柱20との周面間に第2調整間隙G2を形成した形態について説明する。
更に本例では第2調整間隙G2に対して第1調整間隙G1が大きくなるように、下筒31の内径D1を上筒32の内径D2より大きい(D1>D2)寸法関係にしてある。
第1調整間隙G1は支持杭10の施工誤差(水平位置と傾倒)を吸収して調整(修正)するための隙間である。
支持杭10の水平位置の変位量は第1調整間隙G1に比例する。
支持杭10の立設角度の変位量は第1調整間隙G1に比例し、下筒31の全長に反比例する。
したがって、想定される支持杭10の施工誤差を吸収し得るように第1調整間隙G1と下筒31の全長は適宜変更可能である。
第2調整間隙G2は支持杭10と支持柱20の接合後において支持柱20の水平位置と傾倒を微調整するための隙間である。
支持柱20の水平位置の変位量は第2調整間隙G2に比例する。
支持柱20の角度の変位量は第2調整間隙G2に比例し、上筒32の全長に反比例する。
複数の固定調整ボルト34,36は異径筒本体35と協働して支持杭10と支持柱20の水平位置と角度を調整する機能と、調整を終えた支持杭10と支持柱20の位置を保持する機能(位置決め機能)を有している。
複数の固定調整ボルト34,36は支持杭10や支持柱20を貫通しないので、支持杭10や支持柱20にボルト孔を開設する等の特別な加工は一切不要である。
各筒31,32に周方向に向けて等間隔に螺着する各調整固定ボルト34,36の本数は3本以上であればよく、継手ソケット30に求められる曲げ耐力等を考慮して適宜本数を選択する。
更に各調整固定ボルト34,36の螺着位置は各筒31,32の上部と下部に限定されず、その上下部間の周面に追加して設けてもよい。
本例では各筒31,32の外周面に溶接等で固着したナット31a,32aに各調整固定ボルト34,36を螺着した形態を示すが、各筒31,32にネジ穴を直接形成して各調整固定ボルト34,36を螺着するようにしてもよい。
図5(D)に示すように、各調整固定ボルト34,36としてボルト軸の先端にボルト軸より大形の当板37を付設したボルトを使用してもよい。当板37を付設した調整固定ボルト34,36を使用すると、支持杭10や支持柱20との間の固定力を増大できて調整固定ボルト34,36の使用本数を低減できる。
図1,2,6を参照しながら仮設橋の具体的な施工方法について説明する。
図2(A)に示すように地中に間隔を隔てて複数の支持杭10を所定の深さまで打ち込む。
地質に応じてバイブロ機やダウンザホールドリル機を使用して支持杭10を打込みむことは公知である。
支持杭10の打込みにあたり、杭頭の高さを正規位置より数10cm程度高い位置に位置させる。
支持杭10の正確な鉛直性を保ったまま打込むことは至難である。
図6(A)は打設予定の鉛直線に対して角度θだけ傾いて支持杭10が打ち込まれた場合を示している。
杭頭を修正するために支持杭10の上部を破線で示した杭頭の設計高さ11に沿って水平に切除する。
図1を参照して説明すると、地表に寝かせた複数の支持柱20,20の頭部間に桁材51を架設すると共に、複数の支持柱20,20の側面間にブレス材52(水平繋ぎ材とクロスブレス)を架設して下部工ユニット50を地組する。
各支持柱20の一端に上筒32を外装して継手ソケット30を一体に組み付ける。
図6(B)は支持柱20の一端に継手ソケット30を組み付けた形態を示していて、棚板33が支持柱20の一端に当接するまで上筒32を差し込み、複数の固定調整ボルト36を締付けて継手ソケット30を分離不能に組み付ける。
図2(B)は門型を呈する下部工ユニット50を既設の支持杭20の真上にクレーンで吊り上げた状態を示し、図2(C)は継手ソケット30の下筒31を支持杭10の上部に外装した状態を示している。
図6(B),(C)はこのときの継手ソケット30と支持杭1との関係を示している。
継手ソケット30の棚板33が支持杭10の端面に当接することで、支持柱20の降下が規制されて、支持杭10の上部に支持柱20が延設される。
支持杭10の上端と支持柱20の下端の間に棚板33を介在させることで、支持杭10と支持柱20の間に跨って外装した継手ソケット30を位置決めできる。
本発明では以下に説明する継手ソケット30による簡単な修正操作を行うことで接合した既設の支持杭10の施工誤差を吸収して支持柱20を正規位置に立設することができる。
支持杭10の上部位置が正規位置から水平にずれているときは、下筒31に螺着した複数の固定調整ボルト34を正逆転操作して継手ソケット30を修正方向に向けて変位させる。
継手ソケット30は既設の支持杭10から反力を得て任意の方向へ向けて変位が可能である。
複数の固定調整ボルト34の先端を支持杭10の外周面に当接させた押圧操作と、他側の固定調整ボルト34の後退操作を行いながら、固定調整ボルト34の押圧反力で以て継手ソケット30全体を修正方向へ向けて水平移動させる。
上筒32に内挿された支持柱20は継手ソケット30に追従して修正方向へ向けて水平に移動する。
支持杭10が正規の鉛直線に対して角度θだけ傾斜している場合は、下筒31に螺着した上位と下位の固定調整ボルト34を正逆方向に回転操作して継手ソケット30と共に支持柱20の角度を鉛直に修正する。
下筒31と支持杭10との周面間に形成される第1調整間隙G1の範囲内において、継手ソケット30及び支持柱20の水平位置と角度を修正することができる。
説明の便宜上、支持杭10に対する継手ソケット30の水平位置と角度調整を個別に分けて説明したが、実際はこれらの作業を並行して行う。
支持杭10に対する継手ソケット30の水平位置と角度の修正を終えたら、すべての固定調整ボルト34を締付けて支持杭10と下筒31との間を変位不能に剛結する。
第1調整間隙G1の範囲内において支持柱20の調整量が不足するときは、継手ソケット30の上筒32に螺着した複数の固定調整ボルト36を正逆方向に回転操作して支持柱20の水平位置と角度を微調整する。
継手ソケット30は下筒31と複数の固定調整ボルト34によって支持杭10の上部に変位不能に固定されているので、支持杭10と継手ソケット30から押圧反力を得て、第2調整間隙G2の範囲内において支持柱20の水平位置と角度を微調整できる。
支持柱20の水平位置と立設角度の修正を終えたら、すべての固定調整ボルト36を締付けて支持柱20と上筒32との間を変位不能に剛結する。
継手ソケット30を使用して支持杭10と支持柱20との間の接合をすべて完了した後に、支持柱20をクレーン等から切り離す。
このように支持杭10と支持柱20の突合せ部に跨って継手ソケット30を外装した後に、複数の固定調整ボルト36を回転操作するだけの簡単な作業で以て、支持杭10の施工誤差を吸収して支持柱20を正規位置に立設することができる。
したがって、従来の接合構造と比較して現場における作業性を大幅に改善できて経済的に接合することができる。
図3を参照して説明すると、仮設橋の橋軸方向に沿って複数の下部工ユニット50を構築する。
橋軸方向に沿って位置する複数の下部工ユニット50,50の上部間に梁桁61を掛け渡し、梁桁61上に複数の覆工板62を敷設して上部工60を構築する。
なお、仮設橋を解体する場合には、継手ソケット30の固定調整ボルト34,36を緩めるだけの簡単な操作で支持杭10と支持柱20の接合を解除して下部工ユニット50をユニット単位で解体できる。また撤去した継手ソケット30は再使用が可能である。
図6(C)を参照しながら継手ソケット30を使用して接合した支持杭10と支持柱20の接合部の特性について説明する。
支持杭10と支持柱20の接合部には上部工50の重量による圧縮軸力が常に作用している。
相対向する支持杭10の上端と支持柱20の下端の対向面の間には継手ソケット30の棚板33の上下面が接面した状態で介装してあるため、圧縮軸力は棚板33を通じて支持杭10と支持柱20の相互間で伝達し合い、複数の固定調整ボルト34,36に直接作用することはない。
圧縮軸力が常時作用する支持杭10と支持柱20の接合部に曲げ力が作用すると、継手ソケット30の強度が曲げ力に抵抗する。
具体的には、固定調整ボルト34,36と異径筒本体35を通じて支持杭10と支持柱20との間で曲げ力が伝達可能であり、継手ソケット30の強度が曲げ力に抵抗する。
両筒31,32の周面に均等な間隔で螺着した複数の固定調整ボルト34,36が両筒31,32の外周面に当接して両筒31,32の自由変形を拘束するので、異径筒本体35に曲げ力が加わっても両筒31,32の円形が保持される。
このように接合部に圧縮軸力が作用する条件下において、継手ソケット30を通じて曲げ力の伝達が可能であるから合理的で簡易な接合構造が得られる。
継手ソケット30aは、支持杭10の上部に第1調整間隙G1を介して外装可能な下筒31と、支持柱20の下部に外装可能な上筒32と、両筒31,32の境界部に介装して一体化した棚板33とを具備する。
上筒32の内径D2は支持柱20の径d2と同径か僅かに大径に形成してあって、上筒32に支持柱20の下部を内接させて収容可能な寸法関係になっている。
下筒31の内径D1は上筒32の内径D2より大きい(D1>D2)寸法関係にあり、第1調整間隙G1の範囲内において継手ソケット30及び支持柱20の水平位置と角度を修正することについては先の実施例1と同様である。
本実施例2にあっては先の実施例1の効果にくわえて、上筒32の固定調整ボルト36を省略できるので、継手ソケット30aの製作コストを削減できる。
以下に支持杭10と支持柱20を構成する他の鋼材の組み合せについて例示する。
図8(A)は鋼管製の支持杭10に対して支持柱20が断面矩形を呈するコラム材を適用した異種鋼材の組み合わせを示している。
本例の接合では断面円形の下筒31と断面矩形の上筒32と両筒31,32の間に介装した棚板33とを具備した継手ソケット30cを使用する。
継手ソケット30cの上筒32に収容させた支持柱20は図示した複数の固定調整ボルト36で固定してもよいし、固定調整ボルト36を用いずに上筒32に内接させて接合してもよい。
図8(B)は鋼管製の支持杭10に対して支持柱20がH形鋼である異種鋼材の組み合わせを示している。
本例の接合には図8(A)と同様の継手ソケット30bを使用する。
継手ソケット30bの上筒32に収容させた支持柱20は図示した複数の固定調整ボルト36で固定してもよいし、固定調整ボルト36を用いずに上筒32に内接させて接合しもよい。
上筒32に収容させた支持柱20を複数の固定調整ボルト36で固定する場合、H形鋼のフランジとウェブの間に形成させた凹部空間内に同空間と同形のスペーサ21,21を収容させると、上筒32の四方に設けた複数の固定調整ボルト36を用いてH形鋼製の支持柱20の水平位置と角度を調整することができる。
図9(A)は鋼管製の支持柱20に対して支持杭10が断面矩形を呈するコラム材を適用した異種鋼材の組み合わせを示している。
本例の接合には断面矩形の下筒31と断面円形の上筒32と両筒31,32の間に介装した棚板33とを具備した継手ソケット30cを使用する。
継手ソケット30cの下筒31に収容させた支持杭10は図示した複数の固定調整ボルト34で固定してもよいし、固定調整ボルト34を用いずに下筒31に内接させて接合してもよい。
図9(B)は鋼管製の支持柱20に対して支持杭10にH形鋼を適用した異種鋼材の組み合わせを示している。
本例の接合には先の継手ソケット30cを使用して、断面矩形の下筒31をH形鋼製の支持杭20に外装すると共に、円形断面を呈する上筒32に鋼管製の支持柱20を内挿している。
本実施例3にあっては、支持杭10及び支持柱20の組み合せが鋼管以外のコラム材またはH形鋼の同種または異種の鋼材を組み合せであっても、支持杭10または支持柱20の断面形に応じて下筒31または上筒32の断面形を変更した継手ソケット30a〜30cを使い分けることで、支持杭10の立設誤差を修正して支持柱20を接合できて汎用性に富む。
引張材40は継手ソケット30の下筒31と支持杭10と外周面の間、及び継手ソケット30の上筒31と支持柱20の外周面の間を軸方向に連結する引張強度の高い棒状またはロープ状の緊張材である。
継手ソケット30の下筒31と上筒32の外周面には周方向に向けた筒側ブラケット31b,32bが突設してあり、支持杭10及び支持柱20の外周面にも軸方向に向けたブラケット12,21が突設してある。
軸方向に配列されて対をなすブラケット12,31bの間と、ブラケット21,32bの間にはそれぞれ引張材40が架け渡して連結されている。
各軸方向に配置した一対の引張材40,40を1組とし、図外の間隙調整手段と干渉しないように、継手ソケット30の円周方向に沿って2組以上の引張材40が等間隔に配設されている。
おねじを形成した各連結ボルト41の両端部が各ブラケット12,21及び筒側ブラケット31b,32bに夫々開設したボルト孔又はスリットに貫通し、各連結ボルト41の端部にナット42を螺着して締付けることで継手ソケット30の下筒31と支持杭10と外周面の間、及び継手ソケット30の上筒31と支持柱20の外周面の間に複数の引張材40を張設することができる。
継手ソケット30と突き合せた支持杭10と支持柱20の接合部の間に複数組の引張材40を張設して連結した本実施例にあっては、既述した実施例の効果にくわえて、継手ソケット30に対して支持杭10と支持柱20の抜け出し防止効果が高くなるだけでなく、引張材40が接合部の引張と曲げの強度部材として機能するため、接合部における引張耐力と曲げ耐力が格段に向上する。
本例では継手ソケット30を構成する下筒31と上筒32の外周面と、支持杭10と支持柱20の外周面との間にそれぞれ引張材40を配設した形態について説明するが、継手ソケット30の上筒32と支持柱20の外周面間に引張材40を配設する形態でもよい。
上筒32と支持柱20の外周面間のみに引張材40を配置すれば、下部工ユニット50の吊り込み時における継手ソケット30の落下防止効果が高くなる。
20・・・支持柱
30・・・継手ソケット
30a〜30c・・・継手ソケット
31・・・継手ソケットの下筒
32・・・継手ソケットの上筒
33・・・継手ソケットの棚板
34・・・下筒の固定調整ボルト
35・・・異径筒本体
36・・・上筒の固定調整ボルト
40・・・引張材
41・・・連結ボルト
42・・・ナット
50・・・下部工ユニット
51・・・桁材
52・・・ブレス材
60・・・上部工
61・・・梁桁
62・・・覆工板
D1・・・第1調整間隙
D2・・・第2調整間隙
Claims (7)
- 支持杭の上部に支持柱を延設して構築する仮設橋の施工方法であって、
地中に複数の支持杭を打ち込む工程と、
前記支持杭の杭頭を設計高さに切断する工程と、
複数の支持柱を含む門型を呈する下部工ユニットを地組みする工程と、
前記下部工ユニットを地組みする際に、各支持柱の端部に筒状の継手ソケットを外装して組み付ける工程と、
吊り上げた下部工ユニットの継手ソケットを既設の支持杭に外装して既設の支持杭に支持柱を延設する工程と、
支持杭の施工誤差を修正するように、既設の支持杭から反力を得て継手ソケットと支持杭との周面間に形成された調整隙間を調整する工程とを少なくとも備え、
前記した各工程を繰り返して仮設橋を構築することを特徴とする、
仮設橋の施工方法。 - 前記継手ソケットは、支持柱および支持杭の突合せ部に跨って外装可能な筒状の異径筒本体と、異径筒本体に螺着され、支持杭または支持柱の外周面を押圧可能な複数の調整固定ボルトとを具備し、前記異径筒本体は支持杭に外装可能な下筒と、支持柱に外装可能な上筒と、同軸線上に位置させた前記下筒と上筒の境界部に介装した棚板とを有し、異径に形成された少なくとも前記下筒と上筒の何れか一方と、前記支持柱または支持杭の周面間に調整間隙が形成され、前記支持杭の上端と支持柱の下端の間に棚板が介在することで前記継手ソケットが位置決めされ、前記複数の調整固定ボルトを出し入れして調整間隙の範囲で調整された支持柱の水平位置と立設角度を保持することを特徴とする、請求項1に記載の仮設橋の施工方法。
- 前記継手ソケットの下筒の内径が上筒の内径より大きい寸法関係にあることを特徴とする、請求項2に記載の仮設橋の施工方法。
- 前記継手ソケットの上筒が支持柱に内接可能な寸法関係にあることを特徴とする、請求項2に記載の仮設橋の施工方法。
- 前記下部工ユニットが複数の支持柱と、複数の支持柱の頭部間に架設した桁材と、複数の支持柱の側面間に架設したブレス材とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の仮設橋の施工方法。
- 前記継手ソケットと支持杭の外周面の間または前記継手ソケットと支持柱の外周面との間を複数の引張材を介して連結して補強したことを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の仮設橋の施工方法。
- 前記支持杭が鋼管、コラム材、またはH形鋼の何れか一種であり、前記支持柱が鋼管、コラム材、またはH形鋼の何れか一種であり、前記支持杭または支持柱が同種鋼材の組み合わせまたは異種鋼材の組み合せであることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載の仮設橋の施工方法。
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