JP2020034630A - 画像形成方法及び印刷画像 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、紙媒体のみならずプラスチックフィルム等の熱耐性の低い記録媒体に対しても、加飾表現を有する画像を必要な部分に形成する画像形成方法及び印刷画像であり、特に、同一の粉体でミラー調・パール調からグリッター調まで再現できる画像形成方法及び印刷画像を提供することである。【解決手段】本発明の画像形成方法は、記録媒体と、その上に配置される光軟化化合物を含有した層とで構成される画像を形成する画像形成方法であって、前記画像に粉体を付着させるための粉体供給工程と前記画像を溶融又は軟化させるための光照射工程とを有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成方法及び印刷画像に関する。より詳しくは、紙媒体のみならずプラスチックフィルム等の熱耐性の低い記録媒体に対しても、加飾表現を有する画像を必要な部分に形成する画像形成方法等に関し、特に、同一の粉体でミラー調・パール調からグリッター調まで再現できる画像形成方法等に関する。
近年、オンデマンド印刷市場において、特色印刷、高付加価値印刷の需要が高まっている。中でも、メタリック印刷やパール印刷等に関する要望は特に大きく、多種多様な検討が行われてきた。ここで、メタリック印刷とは金属光沢を有する画像の印刷をいい、パール印刷とは真珠光沢を有する画像の印刷をいう。
その方法の一つとして、トナーを接着層として利用し、金属箔、樹脂箔を転写する方法が検討されてきた。例えば、特許文献1では、トナー画像を形成し、トナー部にのみ転写箔を接着する方法が提案されている。この方法では、画像の一部のみに箔を転写する場合、残りの箔はすべて無駄になるという問題があった。また、ミラー調とグリッター調など複数のメタリック表現を印刷する場合、それぞれ別の箔を用意する必要があった。
一方で、トナー中に光輝性顔料を添加する検討も行われてきた。例えば、特許文献2では、光輝性顔料をトナーに含有させることで、必要な部分にのみメタリック画像を形成する方法が提案されている。しかし、この方法では、要求されるメタリック感やパール感には到達していない。
さらに別法として、例えば、特許文献3では、トナー画像に塗料粉末を付着させることでメタリック画像を形成することが提案されている。しかし、この方法では、複数の加飾表現を同一の粉体で達成することは困難であった。すなわち、複数の異なる質感を有する光沢画像を形成するためには、異なる種類の塗料粉末を用いる必要があった。したがって、特許文献3の技術では、光沢画像の形成において、同一の塗料粉末で、質感の異なる複数の加飾表現を達成することは困難であった。
特開平01−200985号公報 特開2014−157249号公報 特開2013−178452号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、紙媒体のみならずプラスチックフィルム等の熱耐性の低い記録媒体に対しても、加飾表現を有する画像を必要な部分に形成する画像形成方法及び印刷画像であり、特に、同一の粉体でミラー調・パール調からグリッター調まで再現できる画像形成方法等を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、記録媒体と、その上に配置される光軟化化合物を含有した層とで構成されている画像に、さらに粉体を供給する工程と前記画像を溶融させるための光照射工程とを含む画像形成方法によって、紙媒体のみならずプラスチックフィルム等の熱耐性の低い記録媒体に対しても、加飾表現を有する画像を必要な部分に形成する画像形成方法及び印刷画像であり、特に、同一の粉体でミラー調・パール調からグリッター調まで再現できる画像形成方法が得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.記録媒体と、その上に配置される光軟化化合物を含有した層とで構成される画像を形成する画像形成方法であって、
前記画像に粉体を付着させるための粉体供給工程と前記画像を溶融又は軟化させるための光照射工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
2.前記光軟化化合物が、光異性化化合物であることを特徴とする第1項に記載の画像形成方法。
3.前記光軟化化合物が、光吸収により結合が開裂される化合物であることを特徴とする第1項に記載の画像形成方法。
4.前記画像が、あらかじめ定着された画像であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
5.前記画像を溶融又は軟化させるための光照射工程の後に、前記画像を摺擦する工程を有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
6.前記画像を溶融又は軟化させるための光照射工程の後に、さらに溶融状態にある前記画像を定着させる工程を有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
7.前記画像を定着させる工程が、光照射工程であることを特徴とする第6項に記載の画像形成方法。
8.前記粉体が、非球形粒子の粉体であることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
9.前記粉体が、扁平状粒子の粉体であることを特徴とする第8項に記載の画像形成方法。
10.前記粉体の厚さが、0.2〜3.0μmの範囲内であることを特徴とする第1項から第9項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
11.前記粉体が、金属粉又は金属酸化物粉であることを特徴とする第1項から第10項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
12.前記粉体が、熱応答性材料であることを特徴とする第1項から第10項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
13.前記記録媒体が、樹脂製フィルムであることを特徴とする第1項から第12項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
14.前記光照射工程において、光量を制御することを特徴とする第1項から第13項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
15.前記光照射工程において、光量を制御し、一の記録媒体上の異なる部分に異なる光量の光を照射することによって、一の記録媒体上に粉体の付着状態が異なる複数の部分を作製することを特徴とする第1項から第14項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
16.記録媒体と、その上に配置されている少なくとも光軟化化合物を含有した層とで構成された画像を有する印刷画像であって、
前記画像が粉体を有することを特徴とする印刷画像。
本発明の上記手段により、紙媒体のみならずプラスチックフィルム等の熱耐性の低い記録媒体に対しても、加飾表現を有する画像を必要な部分に形成する画像形成方法及び印刷画像であり、特に、同一の粉体でミラー調・パール調からグリッター調まで再現できる画像形成方法等及び印刷画像を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明における光軟化化合物とは、光吸収により分子構造を変化させることで溶融又は軟化する化合物であるため、溶融又は軟化させる際に特段の加熱工程を必要としないことが特徴である。したがって、トナーにこれらの光軟化化合物を含有することで、光照射によりトナー画像を大幅に高温加熱することなく、供給された各種光沢を発現する粉体を付着させることが可能になる。つまり、光照射による部分的な加飾表現に加えて、熱耐性の低い記録媒体(フィルム等)への加飾や熱耐性の低い粉体(熱膨張マイクロカプセル等)の加飾も可能となると推察される。
また、本発明の画像形成方法では、光吸収により溶融又は軟化する光軟化化合物含有層(すなわち、画像)に対して光を照射することにより、当該画像を溶融又は軟化させる。この際、当該画像に付着された粉体の配向は、画像表面の状態(軟らかさ)に依存して変化する。したがって、本発明では、光の照射量(光量)に依存して、画像表面の状態を制御することにより、粉体の配向を制御することができ、粉体による質感、特に反射特性を種々変更できる。よって、光の照射量、照射範囲を制御することにより、同一の粉体で異なる質感の光沢感を有する画像を形成することができる。
また、光照射により加飾の質感及び加飾範囲を制御することができるため、例えば前記特許文献1及び前記特許文献2等の技術のように、異なる質感の光沢感を付与するために箔体やトナーを変更する必要がない。よって、本発明によれば、異なる質感の光沢感を有する画像を簡便な方法で形成することができ、また、画像形成装置の構成や制御が簡便になる。
さらに、本発明の画像形成方法では、光照射により画像表面の状態を制御するため、加飾部分(粉体を付着する部分)と非加飾部分(粉体を付着しない部分)とを微細に作り分けることができる。加えて、一つの画像上において、画像表面の状態を微細に、かつ連続的に変化させることも可能となるため、より表現力に優れた画像形成が可能となるという利点も有する。
本発明の実施例に係る画像形成方法を説明するための模式図 本発明の他の実施例に係る画像形成方法を説明するための模式図 本発明の他の実施例に係る画像形成方法を説明するための模式図 比較例の実施例に係る画像形成方法を説明するための模式図
本発明の画像形成方法は、記録媒体と、その上に配置される光軟化化合物を含有した層とで構成される画像を形成する画像形成方法であって、前記画像に粉体を付着させるための粉体供給工程と前記画像を溶融又は軟化させるための光照射工程とを有することを特徴とする。この特徴は、下記実施態様に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記光軟化化合物が、光異性化化合物であること、また光吸収により結合が開裂される化合物であることが、光吸収により分子構造を変化させることで溶融又は軟化でき、当該光軟化化合物は光吸収に伴う分子構造変化により溶融又は軟化するため、溶融又は軟化させる際に加熱工程を必要とせず、さらに化合物自身も大幅な発熱が見られないため、耐熱性の低い記録媒体や、熱耐性の低い粉体の加飾も可能とする観点から、好ましい。
前記光軟化化合物を含有した層で構成されている画像が、あらかじめ定着された画像であることが好ましく、前記画像を溶融させるための光照射工程の後に、前記画像を摺擦する工程を有し、さらに溶融状態にある前記画像を光照射により定着させる工程を有することが、あらかじめ加飾したい画像部位に選択的に光照射でき、さらに画像を溶融状態にして、供給された金属光沢を発現する粉体を付着させやすくする観点から好ましい。また、粉体が供給された画像を摺擦したり、必要であれば光照射により定着させることが、前記画像に所望な加飾表現や金属光沢を均一に発現させる観点から、好ましい。
前記粉体が、非球形粒子の粉体であること、中でも扁平状粒子の粉体であり、厚さが、0.2〜3.0μmの範囲内であることが、光照射量に応じて前記画像に所望の金属光沢を発現させる観点から、好ましい。
また、前記粉体が、金属粉又は金属酸化物粉であることや、熱応答性材料であることが、前記画像に所望の金属光沢や加飾表現(例えばエンボスなど)を発現させる観点から、好ましい。
また、耐熱性の低い記録媒体まで本発明の画像形成法を適用拡大できる観点から、前記記録媒体が、樹脂製フィルムであることも、好ましい。
また、前記光照射工程において、光量を制御することが好ましく、光量を制御することによって、画像表面の状態を制御して粉体の配向を制御することができ、粉体による反射特性を種々変更できる。よって、光の照射量、照射範囲を制御することにより、同一の粉体で異なる質感の光沢感を有する画像を形成することができる。
さらに、一の記録媒体上の異なる部分に異なる光量を照射することによって、一の記録媒体上に粉体の付着状態が異なる複数の部分を作製することができ、一の記録媒体上に異なる質感の画像を得ることが可能となる。
本発明の印刷画像は、記録媒体と、その上に配置されている少なくとも光軟化化合物を含有した層とで構成された画像を有する印刷画像であって、前記画像にさらに粉体が付着され、ミラー調・パール調、又はグリッター調、若しくはその中間調の画像を再現した印刷画像であることを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の画像形成方法の概要≫
本発明の画像形成方法は、記録媒体と、その上に配置される光軟化化合物を含有した層とで構成される画像を形成する画像形成方法であって、前記画像にさらに粉体を付着させるための粉体供給工程と前記画像を溶融又は軟化させるための光照射工程とを有することを特徴とする。
本発明における光軟化化合物とは、光吸収により分子構造を変化させることで溶融又は軟化する化合物であることを指す。前記光軟化化合物は低分子化物と高分子化合物のどちらでもよく、光吸収の停止又は外部刺激により元の状態(又は元の状態に近い状態)に戻る。このような光軟化化合物の報告例は少ないが、例えば異性化化合物であるアゾベンゼン誘導体、アゾベンゼン含有高分子化合物及びスチルベン誘導体、又光吸収により架橋構造を開裂させるヘキサアリールイミダゾール基分岐鎖を有する高分子化合物などの報告がされている。
これらの光軟化化合物は光吸収に伴う分子構造変化により溶融又は軟化するため、溶融又は軟化させる際に特段の加熱工程を必要としないことが特徴である。したがって、例えば、トナーにこれらの光軟化化合物を含有することで、光照射によりトナー画像を大幅に高温加熱することなく溶融し、供給された金属光沢を発現する粉体を当該溶融した画像に付着させることが可能になる。つまり、光照射による部分的な加飾表現に加えて、熱耐性の低い記録媒体(フィルム等)への加飾や熱耐性の低い粉体(熱膨張マイクロカプセル等)の加飾も可能となる。
本発明でいう「溶融又は軟化」とは、「溶融」は外力なしで系が変形するような状態をいい、「軟化」は系の温度がガラス転移温度(Tg)よりも高い状態、すなわち少ない外力により系が変形するような状態をいう。
本発明に係る上記画像は、乾式及び湿式の電子写真やインクジェットなどの公知の画像形成方法によって形成することが可能である。中でも、上記画像は、電子写真によって形成されたものであることが好ましい。
以下、本発明の画像形成方法の構成について説明する。
1.画像形成方法
本発明の画像形成方法は、記録媒体と、その上に配置される光軟化化合物を含有した層とで構成される画像を形成する画像形成方法であって、前記画像に粉体を付着させるための粉体供給工程と前記画像を溶融又は軟化させるための光照射工程とを有することを特徴とする。以下、「光軟化化合物を含有した層」は「光軟化化合物含有層」ともいう。
〔1〕記録媒体
本発明の画像形成方法において、本発明に係る画像は、記録媒体と、その上に配置される光軟化化合物を含有した層とで構成されている。
記録媒体としては、特に制限されず、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙又はコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙等の紙類;ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の樹脂製フィルム;布などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、記録媒体の色は特に限定されず、種々の色の記録媒体を使用することができる。
一方で、記録媒体は、光照射工程で照射される光に対して耐性(すなわち、耐光性)を有するものが好ましい。なお、「耐光性」とは、光、特に紫外光の照射前と後とで、記録媒体の表面状態の変化、化学変化、物理的変化のいずれもが小さいことを意味する。
〔2〕光軟化化合物
本発明に係る光軟化化合物としては、好ましくは、光異性化化合物であるアゾベンゼン誘導体、アゾベンゼン含有高分子化合物及びスチルベン誘導体、又は光吸収により架橋構造を開裂させるヘキサアリールイミダゾール基分岐鎖を有する高分子化合物等が挙げられる。中でも前記アゾベンゼン誘導体、アゾベンゼン含有高分子化合物及びヘキサアリールイミダゾール基分岐鎖を有する高分子化合物であることが好ましい。
〔2.1〕アゾベンゼン誘導体
本発明に係る光軟化化合物は、下記一般式(1)で表されるアゾベンゼン誘導体を含むことが好ましい(以下、本発明ではアゾベンゼン誘導体1ともいう。)。
Figure 2020034630
(R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される基である。R〜R10の少なくとも3つは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される基である。この際、R〜Rの少なくとも1つは、炭素数1〜18のアルキル基又はアルコキシ基である。R〜R10の少なくとも1つは、炭素数1〜18のアルキル基又はアルコキシ基である。)
上記構造を有するアゾベンゼン誘導体を含む光軟化化合物は、光照射により溶融又は軟化速度が向上し、画像の定着性に優れる。
アゾベンゼン化合物は、光を吸収し固体状態から溶融又は軟化(光相転移)する材料であることが知られており、アゾベンゼン化合物の光相転移は、シス−トランス異性化により結晶構造が崩れることで生じていると考えられる。アゾベンゼン化合物は、一般的に分子間のπ−π相互作用が強いため、光相転移が結晶構造の極最表面でしか生じない。
一方、本発明に係る光軟化化合物であるアゾベンゼン誘導体は、2個のベンゼン環がそれぞれ独立してアルキル基又はアルコキシ基で置換されている。アルキル基やアルコキシ基は熱運動性を有するため、本発明に係るアゾベンゼン誘導体は、アゾベンゼン部のπ−π相互作用が支配的な周期構造中に、アルキル基やアルコキシ基の熱運動によって等方的に乱れた構造が共存する特異的な結晶構造を形成する。そのため、局所でシス−トランス異性化反応が進行しアゾベンゼン部のπ−π相互作用が低減すると、系全体で連鎖的に等方的な溶融又は軟化を生じる。加えて、本発明に係るアゾベンゼン誘導体は、アゾベンゼンの少なくとも3つの水素原子がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される基で置換された構造を有している。かような構造とすることで、シス−トランス異性化に有利に作用する格子欠陥の生成や自由体積の発現、π−π相互作用の低減等が生じる。ゆえに、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、速い速度で溶融又は軟化する。したがって、本発明に係る光軟化化合物は、光照射による溶融又は軟化速度が向上し、より小さいエネルギーで画像の定着性を向上させることが可能となる。
上記一般式(1)中、R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される基である。R〜R10の少なくとも3つは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される基である。この際、R〜Rの少なくとも1つは、炭素数1〜18のアルキル基又はアルコキシ基であり、かつ、R〜R10の少なくとも1つは、炭素数1〜18のアルキル基又はアルコキシ基である。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソアミル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、tert−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、1−メチルデシル基、1−ヘキシルヘプチル基などの分枝状のアルキル基;が挙げられる。
アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基などの直鎖状のアルコキシ基:イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、4−メチル−2−ペンチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−プロピルペンチルオキシ基、2,2−ジメチルヘプチルオキシ基、2,6−ジメチル−4−ヘプチルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、1−メチルデシルオキシ基、1−ヘキシルヘプチルオキシ基などの分枝状のアルコキシ基;が挙げられる。
ハロゲン基は、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)又はヨード基(−I)を指す。
上記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基又はアルコキシ基であることが好ましい。中でも、画像の定着性のさらなる向上の観点から、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルコキシ基であることが好ましい。このように、2個のベンゼン環のパラ位に炭素数1〜18のアルキル基又はアルコキシ基を有することで、分子の熱運動性が増加し、上記のように系全体で連鎖的に当方的な溶融又は軟化が生じやすくなる。
この際、R及びRで用いられる炭素数1〜18のアルキル基又はアルコキシ基は、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよいが、光相転移が生じやすい棒状分子の構造を構成する観点から、直鎖状であることが好ましい。
中でも、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数6〜12のアルキル基又はアルコキシ基であることが好ましい。R及びRが上記炭素数範囲内のアルキル基又はアルコキシ基であれば、高い熱運動性を有しながらも、分子間に働くアルキル−アルキル相互作用が比較的弱い。ゆえに、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、光照射による溶融又は軟化速度及び画像の定着性がさらに向上する。
なお、R及びRは、同一であっても異なってもよいが、合成の容易さから、同一であることが好ましい。
上記一般式(1)中、R〜R及びR〜R10のうち少なくとも1つは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される基(以下、単に置換基とも称する)である。かような構造を有することで、シス−トランス異性化に有利に作用する格子欠陥の生成や自由体積の発現、π−π相互作用の低減が生じる。ゆえに、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、光照射による溶融又は軟化速度及び画像の定着性がさらに向上する。中でも、シス−トランス異性化に必要な自由体積の確保の観点から、R〜R及びR〜R10のうち少なくとも1つは分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基又はハロゲン基であることが好ましく、画像の定着性のさらなる向上の観点から、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
上記一般式(1)中、R〜R及びR〜R10における置換基の数は、好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜6である。中でも、アゾベンゼン誘導体の融点を下げすぎず、トナーの耐熱保管性をさらに高める観点から、さらに好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1〜3である。
〜R及びR〜R10において置換基が存在する位置は、特に制限されないが、上記一般式(1)のR、R、R及びR(言い換えれば、Rのオルト位及びRのオルト位)のいずれかに置換基が少なくとも存在することが好ましく、上記一般式(1)のR、R、R及びRのいずれかにメチル基が少なくとも存在することがより好ましい。かような構造を有するアゾベンゼン誘導体は、光照射による溶融又は軟化速度がより向上するため画像の定着性が向上し、また融点が適度に高くなることから、トナーの耐熱保管性も向上する。
本発明に係るアゾベンゼン誘導体は、例えば、4,4’−ジヘキシルアゾベンゼン、4,4’−ジオクチルアゾベンゼン、4,4’−ジデシルアゾベンゼン、4,4’−ジドデシルアゾベンゼン、4,4’−ジヘキサデシルアゾベンゼン等の一般式(1)のR及びRが同一の炭素数1〜18のアルキル基である4,4’−ジアルキルアゾベンゼン;又は4,4’−ビス(ヘキシルオキシ)アゾベンゼン、4,4’−ビス(オクチルオキシ)アゾベンゼン、4,4’−ビス(ドデシルオキシ)アゾベンゼン、4,4’−ビス(ヘキサデシルオキシ)アゾベンゼン等の一般式(1)のR及びRが同一の炭素数1〜18のアルコキシ基である4,4’−ビス(アルコキシ)アゾベンゼンにおいて、ベンゼン環に付加する水素原子がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される基で一置換、二置換又は三置換されている化合物であることが好ましい。より具体的には、下記に例示されるアゾベンゼン誘導体(1)〜(12)が挙げられる。
Figure 2020034630
当該アゾベンゼン誘導体の合成方法は、特に制限されず、従来公知の合成方法を適用することができる。
例えば、下記反応式Aのように、4−アミノフェノールと亜硝酸ナトリウムとを冷却下で反応させてジアゾニウム塩を生成し、これとo−クレゾールとを反応させて中間体Aを合成したのち(第1段階)、中間体Aに対してn−ブロモヘキサンを作用させることにより、上記アゾベンゼン誘導体(1)を得ることができる。
Figure 2020034630
上記反応式Aにおいて、使用する原料(4−アミノフェノール、o−クレゾール及び/又はn−ブロモヘキサン)を他の化合物に変更することで、一般式(1)のR及びRがアルコキシ基であるアゾベンゼン誘導体を得ることができる。当業者であれば、上記変更を適宜行い、所望のアゾベンゼン誘導体を合成することができる。また、上記の製造方法であれば、非対称な構造を有するアゾベンゼン誘導体を容易に得ることができる。
例えば、下記反応式Bのように、o−クレゾール及びn−ブロモヘキサンを2−ブロモフェノール及びn−ブロモドデカンにそれぞれ変更することで、アゾベンゼン誘導体(4)を得ることができる。
Figure 2020034630
又は、例えば、下記反応式Cのように、p−ヘキシルアニリンに対して酸化剤である二酸化マンガンを反応させて、4,4’−ジヘキシルアゾベンゼンを合成したのち、N−ブロモスクシンイミドを反応させ、メチルボロン酸をPd触媒及び塩基存在下で反応させることでアゾベンゼン誘導体(6)を得ることができる。
Figure 2020034630
これらのアゾベンゼン誘導体は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。
〔2.2〕アゾベンゼン含有高分子化合物
本発明において、重合性基を有するアゾベンゼン誘導体を重合させて得られるアゾベンゼン含有高分子化合物(以下、本発明ではアゾベンゼン誘導体2ともいう。)を用いることが好ましい。当該重合性基を有するアゾベンゼン誘導体としては、下記一般式(2)で表される構造を有する重合性基を有するアゾベンゼン誘導体が好適である。
下記一般式(2)中、重合性基の例としては、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、及びビニル基糖が挙げられる。中でも、重合性基としては(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基を意味する。
1分子中に含まれる重合性基の数は、一つであってもよいし、二つ以上であってもよい。特に低い光照射エネルギー量であっても、溶融しやすい高分子化合物が得られやすい観点では、重合性基を有するアゾベンゼン誘導体の1分子中に含まれる重合性基の数は一つであること、すなわち単官能の重合性モノマーであることが好ましい。
Figure 2020034630
(式中、R11は水素原子又はメチル基である。R12は炭素原子数1〜12の直鎖状のアルキル基である。R13は、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基である。)
12である炭素原子数1〜12の直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基などが例示される。
また、R13である前記炭素原子数1〜4のアルキル基、及び炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、一般式(1)において説明した炭素原子数が1〜4のアルキル基、及び炭素原子数が1〜4のアルコキシ基とそれぞれ同義である。
13は炭素鎖が長すぎる基であったり、相互作用しやすい基であったりすると、高分子化合物において、異なる分子のR13同士が絡み合いやすくなったり、相互作用しやすくなったりし、光異性化が生じにくくなる場合がある。そのような不具合を回避する観点から、R13は、炭素鎖が比較的短い基であるか、相互作用しにくい基であることが好ましく、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。
前記アゾベンゼン含有高分子化合物の数平均分子量Mnは、特に制限されるものではないが、例えば2000〜100000であることが好ましく、3000〜75000であることがより好ましく、4000〜50000であることがさらに好ましい。前記数平均分子量Mnは、後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
重合性基を有するアゾベンゼン誘導体を重合させて得られるアゾベンゼン含有高分子化合物の具体例としては、下記(13)〜(20)の化合物が例示される。但し、これに限定されるものではない。
Figure 2020034630
〔2.3〕ヘキサアリールイミダゾール基分岐鎖を有する高分子化合物
本発明では、後述する一般式(3)で表される構造を有する高分子化合物を光軟化化合物として好ましく用いることができる。当該高分子化合物は、光吸収によって結合が開裂される化合物である。
前記高分子化合物は、分岐構造を有する前駆体高分子を架橋してなり、当該前駆体高分子は、末端にのみトリフェニルイミダゾール基を有する分岐鎖を少なくとも1つ有することが特徴である。架橋高分子は、このトリフェニルイミダゾール基同士の結合によって、分子間で架橋した構造を有するものである。
ここで、前駆体高分子は、例えば5〜50℃の温度において流動性を有する、すなわち液体状態の化合物であり、これが分子間で架橋することによって非流動性である固体の架橋高分子が得られる。
そして、当該架橋高分子に紫外線照射を行うことによって、前記トリフェニルイミダゾール基における架橋(共有結合)が開裂し、固体状態から液体状態に変化し得ることを特徴とする。さらに、当該紫外線照射を停止し室温(例えば20〜25℃)で放置することによって、自発的に再度架橋が形成されて、固体状態の架橋高分子に戻ることができる。かかる現象を利用して、架橋高分子の流動性を紫外線照射によって可逆的に制御することができる。
なお、本発明において、「紫外線照射により固体状態から液体状態へ変化する架橋高分子」とは、次のような方法により、目視で溶融又は軟化が確認される架橋高分子を指す。すなわち、固体状態の架橋高分子をスライドガラス上に載せ、最大発光波長が365nmのLED光源を用いて、光量が10J/cmとなるように架橋高分子へ紫外線を照射した後、目視で観察する方法である。
本発明で用いられる紫外線の波長範囲は、好ましくは10〜480nmの範囲であり、より好ましくは300〜480nmの範囲であり、さらに好ましくは300〜420nmである。
本発明で用いられる前駆体高分子の主鎖を構成する骨格高分子は、常温で溶融又は軟化する状態であるものが用いられる。かかる骨格高分子としては、当該技術分野において公知のものを用いることができ、例えば、ポリアクリレート構造、ポリメタクリレート構造、ポリスチレン構造、ポリエチレン構造、ポリアミド構造、ポリエステル構造、ポリウレタン構造、又はポリシロキサン構造を有するものを用いることができる。好ましくは、ポリアクリレート構造又はポリシロキサン構造であり、より好ましくはポリ(アルキルアクリレート)構造又はポリジメチルシロキサン(PDMS)構造である。また、前駆体高分子は分岐構造を有するものであり、好ましくは4分岐構造を有する。4分岐構造を有することにより、トリフェニルイミダゾール基の導入や他の置換基の導入など分子設計の自由度が増し、架橋高分子の3次元構造を制御しやすくなる。したがって、固体状態での画像強度や液体状態での流動性を制御することができるという利点が得られる。
本発明で用いられる前駆体高分子は、常温で流動性を有する液体状態であるという観点から、好ましくは1000〜500000、より好ましくは3000〜100000の範囲の数平均分子量(Mn)を有する。なお、前駆体高分子の数平均分子量(Mn)は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
本発明で用いられる前駆体高分子は、末端にのみトリフェニルイミダゾール基を有する分岐鎖を少なくとも一つ有する。当該トリフェニルイミダゾール基は、2,4,5−トリフェニルイミダゾール基であり、以下の構造を有する。
Figure 2020034630
当該トリフェニルイミダゾール基における各フェニル基は、それぞれ独立して、1〜5の同一又は異なる置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、例えば、ハロゲン原子、それぞれ置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、アリール基、スルホ基、カルボキシ基、エステル基、アミド基からなる群より選択される置換基が挙げられる。本明細書中において、「アルキル基」は直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせからなる脂肪族炭化水素基のいずれであってもよい。アルキル基の炭素数は特に制限されないが、例えば炭素数1〜20個、炭素数3〜15個、炭素数5〜10個である。本明細書中において、「アリール基」は単環式又は縮合多環式の芳香族炭化水素基のいずれであってもよく、環構成原子としてヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子など)を1個以上含む芳香族複素環であってもよい。この場合、これを「ヘテロアリール基」又は「ヘテロ芳香族基」と呼ぶ場合もある。アリール基が単環及び縮合環のいずれであっても、全ての可能な位置で結合しうる。
当該トリフェニルイミダゾール基は、上記前駆体高分子が有する分岐鎖の少なくとも一つの末端に導入されるが、2以上の分岐鎖の末端に導入されることが好ましい。例えば、4分岐構造を有するポリアクリレートの場合には、四つの分岐鎖のそれぞれの末端にトリフェニルイミダゾール基が導入されることが好ましい。かかるトリフェニルイミダゾール基の数は、架橋高分子における所望の物性等に応じて変更することができる。
本発明の効果をより得やすいという観点から、本発明に用いられる前駆体高分子としては、下記一般式(3)で表される前駆体高分子が好ましく挙げられる。
Figure 2020034630
(式中、Rはカルボン酸エステル基であり、nは2〜200の整数である。四つの分岐鎖はいずれも同じ構造を有する。)
上記Rは、カルボン酸エステル基である。当該カルボン酸エステル基の例としては、例えば、メトキシカルボニル基(−COOCH)、エトキシカルボニル基(−COOC)、n−ブトキシカルボニル基(−COO(n−C))、n−ヘキシルオキシカルボニル基(−COO(n−C13))が挙げられ、好ましくはn−ブトキシカルボニル基(−COO(n−C))である。
nは2〜200の整数であり、好ましくは2〜20の整数である。
なお、上記一般式(3)中の四つの分岐鎖はいずれも同じ構造を有している(R及びnが四つの分岐鎖で同一である。)が、本発明で用いられる前駆体高分子は、必ずしも全ての分岐鎖(ポリアクリレート鎖)の末端にトリフェニルイミダゾール基を有する必要はない。また、分岐鎖(ポリアクリレート鎖)の長さ、すなわちnの値も各分岐鎖において必ずしも同一である必要はなく、異なるものとすることもできる。
上記一般式(3)で表される4分岐構造を有するポリアクリレートを前駆体高分子として用い、例えば、紫外線照射により、トリフェニルイミダゾール基において分子間で架橋した架橋高分子は、下記化学式(A)で表される構造を有する。
Figure 2020034630
上記化学式(A)中、R及びnは、一般式(3)と同様の定義である。
本発明に係る架橋高分子は、単独でも又は2種以上組み合わせても使用することができる。
〔2.4〕熱応答性材料
本発明に係る熱応答性材料とは、熱により形状や色等を変化させる材料のことをいう。
熱応答性材料の例としては、積水化学(株)製のアドバンセル、オランダAkzoNovel(株)製のエクスパンセル、松本油脂製薬(株)製のマツモトマイクロスフェアー、クレハ(株)製のクレハマイクロスフェアー、サクラクレパス社製のサクラTCカラー等が挙げられ、本発明において使用することができるが、これらに限定されるものではない。
〔3〕熱可塑性樹脂
前記光軟化化合物を含有した層は、他に結着樹脂として樹脂を含むことが好ましい。また、樹脂以外にも、着色剤、分散剤、界面活性剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤等の他の成分を含んでいてもよい。
樹脂は、光により軟化又は可塑化するものであればよい。かような樹脂として、例えば、光照射により生じる熱によって可塑化する熱可塑性樹脂や、光照射によって生じる熱によって溶融する熱溶融性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有する公知の樹脂を用いることができ、特に制限されない。また、熱溶融性樹脂は、熱溶融性を有する公知の樹脂を用いることができ、特に制限されない。
熱可塑性樹脂又は熱溶融性樹脂の例としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、オレフィン樹脂(環状オレフィン樹脂を含む)、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂など)、ポリスルホン樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ポリビニルエステル樹脂(ポリ酢酸ビニルなど)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリビニルアルコール樹脂及びこれらの誘導体樹脂、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴムなど)などが挙げられる。上記熱可塑性樹脂及び熱溶融性樹脂は、単独でも又は2種以上組み合わせても使用することができる。なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を示すものである。
熱可塑性樹脂及び熱溶融性樹脂は、共重合体であってもよい。熱可塑性樹脂が共重合体である場合の共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体のいずれでもよい。
また、熱可塑性樹脂及び熱溶融性樹脂としては、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。これらの熱可塑性樹脂及び熱溶融性樹脂を合成するための重合方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、高圧ラジカル重合法、中低圧重合法、溶液重合法、スラリー重合法、塊状重合法、乳化重合法、気相重合法等を挙げることができる。また、重合時に使用するラジカル重合開始剤や触媒も特に制限はなく、例えば、アゾ系又はジアゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤といったラジカル重合開始剤;過酸化物触媒、チーグラー−ナッタ触媒、メタロセン触媒といった重合触媒;等を用いることができる。
光照射工程における光軟化化合物含有層の表面状態を制御しやすいという観点から、熱可塑性樹脂及び熱溶融性樹脂は、上述の樹脂の中でも、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいると好ましく、スチレンアクリル樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
本発明でいうスチレン−アクリル樹脂とは、少なくともスチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを用いて、重合を行うことにより形成されるものである。ここで、スチレン単量体とは、CH=CH−Cの構造式で表されるスチレンの他、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものも含まれる。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体とは、エステル結合を有する官能基を側鎖に有するものである。具体的には、CH=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステル単量体の他、CH=C(CH)COOR(Rはアルキル基)で表されるメタクリル酸エステル単量体などのビニル系エステル化合物が含まれる。
また、スチレン−アクリル樹脂には、上述したスチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体のみで形成された共重合体の他に、一般のビニル単量体(オレフィン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、N−ビニル化合物類など)をさらに用いて形成される共重合体も含まれる。
さらに、スチレン−アクリル樹脂には、スチレン単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体及びその他の一般のビニル単量体の他、多官能性ビニル単量体や、側鎖にイオン性解離基(カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基など)を有するビニル単量体を用いて形成される共重合体も含まれる。かようなビニル単量体の例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などがある。
ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸成分)と、2価以上のアルコール(多価アルコール成分)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂である。なお、ポリエステル樹脂は、非晶性であってもよいし結晶性であってもよい。
多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分の価数としては、好ましくはそれぞれ2〜3であり、特に好ましくはそれぞれ2であるため、特に好ましい形態として価数がそれぞれ2である場合(すなわち、ジカルボン酸成分、ジオール成分)について説明する。
ジカルボン酸成分としては、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;メチレンコハク酸、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸、ドデセニルコハク酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−フェニ
レン二酢酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸などの不飽和芳香族ジカルボン酸;などが挙げられ、また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。ジカルボン酸成分は、単独でも又は2種以上混合して用いてもよい。
その他、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸、及び上記のカルボン酸化合物の無水物、あるいは炭素数1〜3のアルキルエステルなども用いることができる。
ジオール成分としては、たとえば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの飽和脂肪族ジオール;2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,4−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオール、3−ブチン−1,4−ジオール、9−オクタデセン−7,12−ジオールなどの不飽和脂肪族ジオール;ビスフェノールA、ビス
フェノールFなどのビスフェノール類、及びこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などの芳香族ジオールが挙げられ、また、これらの誘導体を用いることもできる。ジオール成分は、単独でも又は2種以上混合して用いてもよい。
ポリエステル樹脂の製造方法は特に制限されず、たとえば公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分を重縮合する(エステル化する)方法が挙げられる。
光軟化化合物含有層に含まれる前記樹脂の重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは2000〜1000000であり、より好ましくは5000〜100000であり、特に好ましくは10000〜50000である。
(重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn))
測定対象となる樹脂を、濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブレンフィルターを用いて濾過し、得られた溶液をGPC測定用のサンプルとして用いた。GPC測定条件は、下記に示すGPC分析条件を採用し、サンプル中に含まれる樹脂の重量平均分子量又は数平均分子量を測定した。
〈GPC測定条件〉
GPC装置として「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー株式会社製)」を用い、カラムとして「TSKgel、SuperHM−H(東ソー株式会社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いた。分析は、流速0.6mL/min、サンプル注入量10μL、測定温度40℃、RI検出器を用いて行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。なお、試料解析におけるデータ収集間隔は300msとした。
光軟化化合物含有層中における樹脂の含有量は特に制限されないが、光照射工程において光軟化化合物含有層の表面を軟化させ、光軟化化合物含有層の表面状態を制御しやすくするという観点から、光軟化化合物含有層の総質量に対して、0〜95質量%の範囲であると好ましく、0〜50質量%の範囲であるとより好ましく、5〜50質量%の範囲であるとさらに好ましく、10〜50質量%の範囲であると特に好ましい。
一方、光軟化化合物含有層が樹脂と共に他の成分(例えば、着色剤、離型剤等)を含む場合、当該他の成分の含有量は特に制限されないが、光照射工程において光軟化化合物含有層の表面を溶融又は軟化させ、光軟化化合物含有層の表面状態を制御しやすくするという観点から、光軟化化合物含有層の総質量に対して3〜40質量%であると好ましく、5〜20質量%であるとより好ましい。
上記他の成分としての着色剤は、特に制限されず、公知の染料及び顔料を用いることができる。かような着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラックなど;C.I.ソルベントイエロー19、同44などの染料;C.I.ピグメントイエロー14、同17などの顔料;C.I.ソルベントレッド1、同49などの染料;C.I.ピグメントレッド5、同122などの顔料;C.I.ソルベントブルー25、同36などの染料;C.I.ピグメントブルー1、同7などの顔料が挙げられるが、これらに制限されない。
また、上記他の成分としての離型剤は、特に制限されず、公知の離型剤を用いることができる。かような離型剤としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス;マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス;パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス;ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス;カルナウバワックス、モンタンワックス、ベヘニルベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1、18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス;エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックス等が挙げられるが、これらに制限されない。
光軟化化合物含有層の厚さは特に制限されないが、例えば、1〜100μmであると好ましく、1〜50μmであるとより好ましい。光軟化化合物含有層の厚さが上記範囲であると、粉体の配向をより制御しやすくなり、質感の調節が容易となる。
〔4〕粉体
本発明の画像形成方法において、粉体は、加飾の目的や、所期の質感に応じて適宜選択することができる。ここで、粉体とは粒子の集合体をいい、最終的な画像においても粉体としての状態で残存する物質をいう。
〔4.1〕粉体の詳細
光軟化化合物含有層上に供給される粉体の形状、大きさは特に制限されず、所期の質感を達成するために適切な形状及び大きさを選択することが好ましい。
粉体は、形状の観点から、球形(球形粉体)又は非球形(非球形粉体)に大別される。ここで、「球形粉体」とは、その断面形状又は投影形状の平均円形度が0.970以上である粉体をいう(上限:1.000)。なお、当該平均円形度は、「Wadellの式」にしたがい求めることができるが、例えば、以下のフロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(Sysmex社製)を用いて測定した値であってもよい。具体的には、粉体を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−3000」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数4000個の適正濃度で測定を行う。円形度は下記式で計算される。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
したがって、「非球形粉体」は、球形粉体以外の粉体であり、その断面形状又は投影形状の平均円形度が0.970未満である粉体をいう。
中でも、粉体の配向を制御することにより所期の質感(特に、ミラー調・パール調からグリッター調まで)を達成するという観点から、粉体の形状は、非球形であることが好ましい。すなわち、粉体が非球形粉体を含むことが好ましい。さらに同様の観点から、上記非球形粉体は、扁平状粉体(すなわち、扁平な形状を有する粒子)を含むとより好ましい。ここで、「扁平状」又は「扁平な形状」とは、当該粉体(粒子)における最大長さを長径L、当該長径Lに直交する方向における最大長さを短径l、上記長径Lに直交する方向の最少長さを厚さt、とするときに、厚さtに対する短径lの比率(l/t)が5以上である形状であることをいう。「扁平状」及び「扁平な形状」の用語には、例えば、フレーク状、鱗片状、板状、薄片状等と称される形状が包含される。
上記扁平状粉体の平均厚さは特に制限されないが、当該粉体の配向の制御による、光沢の質感の調節を行いやすくするという観点から、0.2〜10μmであることが好ましく、0.2〜3.0μmであることがより好ましい。
上記平均厚さを0.2μm以上とすることで、良好な配向状態を形成することができる。具体的には、扁平状粉体の扁平な面(すなわち、上記長径L方向及び上記短径l方向を含む平面)が光軟化化合物含有層表面に対して沿った形態となるように制御しやすくなる。一方、上記平均厚さを10μm以下とすることで、形成される最終画像が摩擦された際、光軟化化合物含有層からの粉体の脱落を抑制することができる。
粉体の平均粒径(粉体が非球形粉体である場合には、直線距離で最も長い部分の長さの平均値)は、0.5〜1000μmであると好ましく、1〜500μmであるとより好ましく、5〜100μmであると特に好ましい。かような範囲であれば、十分な光沢を有する画像において、ミラー調・パール調(乱反射の少ない金属光沢)からグリッター調(乱反射の多い金属光沢)といった幅広い質感を発現させることができる。また、粉体の平均粒径が小さいほど、ミラー調・パール調の質感を、粉体の平均粒径が大きいほど、グリッター調の質感を表現することができる。
上記粉体の平均厚さは、任意に100個の粉体粒子について測定した厚さの平均値であり、上記粉体の平均粒径は、任意に100個の粉体粒子について測定した粒径の平均値である。また、個々の粉体粒子の厚さ、粒径(長径、短径を含む)は、例えば、走査型電子顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)観察により測定できる。また、扁平状粉体の長径、短径及び厚さの値は、上記方法により測定された値の平均値を採用する。
粉体の材料は、特に限定されず、例えば、樹脂、ガラス、金属、金属酸化物等の種々の材料を用いることができる。なかでも、粉体は、金属又は金属酸化物を含むことが好ましい。金属又は金属酸化物を含んでいると、十分な光沢を有する画像において、ミラー調・パール調(乱反射の少ない金属光沢)からグリッター調(乱反射の多い金属光沢)といった幅広い質感を発現させることができる。
また、粉体を構成する材料は、1種単独であってもよいし、2種以上であってもよい。粉体が2種以上の材料を含む場合は、均一に分散されている形態であってもよいし、一方の材料に他の材料が積層されてなる(被覆されてなる)形態であってもよい。かような形態として、例えば、樹脂やガラス等からなる基材(コア)に対して金属及又は金属酸化物からなる被膜(シェル)が積層した形態;金属又は金属酸化物からなる基材(コア)に対して樹脂やガラス等からなる被膜(シェル)が積層した形態;などが挙げられるが、これらに限定されない。
上記粉体は、合成品であってもよいし市販品であってもよい。非球形粉体の例としては、メタシャイン(登録商標)(日本板硝子株式会社)、サンシャインベビー クロムパウダー、オーロラパウダー、パールパウダー(以上株式会社GGコーポレーション)、ICEGEL ミラーメタルパウダー(株式会社TAT)、ピカエース(登録商標) MCシャインダスト、エフェクトC(株式会社クラチ)、プリジェル(登録商標) マジックパウダー、ミラーシリーズ(有限会社プリアンファ)、Bonnail(登録商標)シャインパウダー(株式会社ケイズプランイング)、エルジーneo(登録商標)(尾池工業株式会社)等が挙げられる。また、球形粉体の例としては、高精度ユニビーズ(登録商標)(ユニチカ株式会社)、ファインスフィア(登録商標)(日本電気硝子製)等が挙げられる。
なお、光軟化化合物含有層上に供給される粉体は、1種のみであってもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
〔4.2〕粉体供給工程
(1)粉体供給工程は、記録媒体上にあらかじめ粉体を供給する場合や、前記記録媒体上に形成された上記光軟化化合物含有層上に粉体を供給する場合のどちらでも適宜選択される。粉体の供給方法は特に制限されず、粉体供給工程において用いられる粉体供給手段としては、粉体の性状に応じて公知の装置を用いることができる。例えば、特開2013−178452号公報(上記特許文献3)に記載された粉末供給手段を、本発明に係る粉体供給手段として用いることができる。また、本発明の一形態に係る粉体供給手段は、図1〜図3に示すような、粉体収容部11及び粉体供給ローラー12を備えた粉体供給装置10であってもよい。
粉体の供給方法のさらに具体的な例として、粉体が絶縁性粉体である場合には、正又は負に帯電させた絶縁性粉体を、粉体収容部11から導電性の粉体供給ローラー(導電性ローラー)12へ供給し、当該導電性ローラーによって担持搬送される上記絶縁性粉体を光軟化化合物含有層上に供給する方法が挙げられる。すなわち、粉体が絶縁性粉体である場合には、粉体収容部11及び導電性の粉体供給ローラー(導電性ローラー)12を有する粉体供給装置(粉体供給手段)10を用いることが好ましい。
また、粉体の供給方法の他の具体的な例として、粉体が磁性粉体である場合には、磁性粉体を、粉体収容部11から磁性を有する粉体供給ローラー(マグネットローラー)12へ供給し、当該マグネットローラーによって担持搬送される磁性粉体を光軟化化合物含有層上に供給する方法が挙げられる。すなわち、粉体が磁性粉体である場合には、粉体収容部11及び磁性を有する粉体供給ローラー(マグネットローラー)12を有する粉体供給装置(粉体供給手段)10を用いることが好ましい。
光軟化化合物含有層に対して供給される粉体の量は、特に制限されず、所期の質感を表現できる量であれば特に制限されない。
粉体は、光軟化化合物含有層上にのみ選択的に供給されてもよいし、光軟化化合物含有層上のみならず、光軟化化合物含有層が形成されていない部分も含む記録媒体表面の全体に対して供給されてもよい。さらに、光軟化化合物含有層上において光が照射される部分(すなわち、光沢性を付与する部分)のみに粉体を供給してもよいし、光が照射される部分のみならず、光が照射されない部分も含む光軟化化合物含有層表面の全体に対して供給されてもよい。
本発明の一形態に係る画像形成方法では、光照射工程により、光が照射された部分の光軟化化合物含有層のみが軟化し、当該部分に対して選択的に粉体を付着させることができる。したがって、光が照射されない部分には粉体が付着しないため、光沢性を付与する部分以外に粉体が供給されても、容易に粉体を除去又は回収することができる。
〔5〕光照射工程
本発明の画像形成方法においては、光軟化化合物含有層に光照射を行い、当該光軟化化合物含有層を溶融又は軟化状態にすることを特徴とする。
光照射工程は、上記粉体供給工程の前又は後に行われる。光照射工程では、光軟化化合物含有層に対して光を照射して光軟化化合物含有層を溶融又は軟化させる。
本工程では、粉体を付着させるため、光軟化化合物含有層の表面の近傍を軟化させることができれば十分であることから、光軟化化合物含有層の表面側(記録媒体とは反対側)から光を照射することが好ましい。
光軟化化合物含有層に照射される光は、少なくとも光軟化化合物含有層の表面を軟化させることができるものであれば特に制限されず、紫外光、可視光、赤外光等を用いることができる。なかでも、取り扱いが容易で、光軟化化合物含有層を十分な速度で軟化させることができるという観点から紫外光を用いることが好ましい。すなわち、光照射工程において照射する光は、紫外光であることが好ましい。本発明で用いられる紫外光の波長範囲は、好ましくは10〜480nmの範囲であり、より好ましくは300〜480nmの範囲であり、さらに好ましくは300〜420nmである。
照射する光の量(光照射エネルギーの総量、本発明では光量という。)は、特に制限されず、所期の質感を有する光沢画像を形成するために適宜調節される。このとき、光量が大きくなるほど光軟化化合物含有層表面が溶融又は軟化しやすいことから、光軟化化合物含有層に付着する粉体の配向が不規則となり、光の反射分布が広がる傾向がある。その結果、乱反射の多いグリッター調の質感を表現しやすくなる。一方、光量が小さくなるほど光軟化化合物含有層表面が溶融又は軟化する程度が小さくなることから、光軟化化合物含有層上の粉体は、光軟化化合物含有層表面に沿うように配向しやすくなり、光の反射分布が狭くなる傾向がある。その結果、乱反射の少ないパール調やミラー調の質感を表現しやすくなる。
効率よく所期の質感(特に、ミラー調・パール調からグリッター調まで)を達成するため、粉体の配向を制御しやすくするという観点から、照射する光量は、例えば、0.01〜100J/cmであると好ましく、0.1〜50J/cmであるとより好ましく、0.5〜15J/cmであると特に好ましい。
上記のように、光照射工程では、所期の質感を得るために、光量を制御することが好ましい。換言すると、本発明の画像形成方法は、光量を制御することにより、同一粉体を用いて非常に幅広い質感を表現することができる。このような光量の制御は、例えば、光の強度、照射時間、光源から光軟化化合物含有層までの距離などを適宜調節することにより行うことができる。
照射される光の強度(照度)は、上記光量と同様に、所期の質感を達成するために適宜調節される。効率よく所期の質感(特に、ミラー調・パール調からグリッター調まで)を達成するため、粉体の配向を制御しやすくするという観点から、照射する光の強度(照度)は、適宜選択される。
光の照射時間は特に制限されず、光源から光軟化化合物含有層までの距離などは特に制限されないで調整される。
上記光量の制御には、一の光軟化化合物含有層中において、光量を段階的に又は連続的に変化させることが含まれうる。すなわち、光照射工程は、光軟化化合物含有層上の部分ごとに異なる光量で光を照射することを含むことが好ましい。例えば、一の光軟化化合物含有層において、段階的に光量を変化させる場合、ある部分はパール調の質感が形成され、他の部分はグリッター調の質感が形成されるといったように、部分ごとに異なる質感を形成できる。このように、本発明の画像形成方法によれば、光量を変化させることにより、ワンパスで複数の質感を形成することができるという利点がある。
また、上記光量の制御には、一の光軟化化合物含有層に対して部分的に光を照射することも含まれうる。このように、一の光軟化化合物含有層に対して部分的に光を照射することで、光沢を付与したい部分と、そうでない部分とを、効率よく作り分けることができる。
光照射工程において用いられる光照射手段としては、特に制限されず、公知の装置を用いることができる。図1〜図3に示されるように、本発明に係る光照射手段としての光照射装置20は、記録媒体の搬送方向に対して、粉体供給装置(粉体供給手段)10の前に備えられていてもよいし、粉体供給装置(粉体供給手段)10の後に備えられていてもよい。これらの装置の配設順序は、粉体供給工程及び光照射工程の行われる順序に応じて、適宜決定される。
光を照射する光照射手段としての光照射装置20(本明細書中、「光源」とも称することがある)は、光軟化化合物含有層を軟化させる光を照射できるものであれば、特に制限されない。例えば、発光ダイオード(LED)ランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ハロゲンランプ、水銀−キセノンランプ、カーボンアークランプ、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、YAGレーザー、又は色素レーザーが挙げられる。なかでも、LEDランプ及びレーザーが好ましい。
光の照射は、光軟化化合物含有層が形成された記録媒体を静置した状態で行ってもよいし、移動させながら行ってもよい。記録媒体を移動させながら光を照射する方法としては、例えば、記録媒体をベルトコンベア等の搬送手段によって移動させながら光を照射する方法が挙げられ、生産性、記録媒体へのダメージの抑制、記録媒体上の光軟化化合物含有層の溶融又は軟化状態等から適宜調整される。
また、光の照射は、1回であってもよいし、2回以上行ってもよい。すなわち、光軟化化合物含有層上のある部分に対し、1回のみ光を照射する形態であってもよいし、2回以上光を照射する形態であってもよい。ただし、複数回光の照射を行った場合、同じ光量であっても、軟化させた光軟化化合物含有層が硬化してしまうことがあるため、光の照射回数は1回であることが好ましい。
〔6〕摺擦工程
本発明の画像形成方法は、上記粉体供給工程及び上記光照射工程に加え、さらに、粉体が供給された光軟化化合物含有層を摺擦する摺擦工程を含むことが好ましい。ミラー調・パール調(乱反射の少ない金属光沢)からグリッター調(乱反射の多い金属光沢)といった幅広い質感を発現させるという観点から、すなわち、質感の制御範囲を広くするという観点から、本発明の一形態に係る画像形成方法は、摺擦工程をさらに含んでいることが好ましい。なお、「質感の制御範囲が広い」とは、具体的には、画像からの反射光(受光)角度の分布を測定して得られるピークの半値幅の値や、画像の光沢度の値をそれぞれ広い範囲にわたって制御できることをいう。例えば、上記半値幅が5〜20°である場合と、10〜15°である場合とでは、前者の方が質感の制御幅が広いと言える。
(反射光の分布測定)
入射角度20°における反射光(受光)角度を測定する反射測定を、変角光度計「GP−5」(株式会社村上色彩技術研究所)を用いて、−10〜50°の受光角度の範囲で行い、ピークの半値幅を求めることができる。
摺擦工程は、粉体が付着した状態にある光軟化化合物含有層を、粉体の上から摺擦する工程であり、前記粉体供給工程及び前記光照射工程の後に行われる。ここで、「摺擦」とは、摺擦手段(摺擦部材)が記録媒体上の光軟化化合物含有層の表面に接触しながら、当該表面に沿って、上記光軟化化合物含有層に対して相対的に移動することをいう。
このように粉体が付着した状態にある光軟化化合物含有層を、粉体の上から摺擦することにより、光軟化化合物含有層の表面に対して粉体の配向を揃えることができる。より具体的には、摺擦することにより、光軟化化合物含有層表面に対する粉体の角度が揃いやすくなるため、乱反射の少ないミラー調やパール調といった所期の質感を容易に形成することができる。特に、粉体が扁平状粉体である場合、扁平な面が光軟化化合物含有層表面に沿うように配向を整えられるため、乱反射の少ないミラー調やパール調といった所期の質感の形成がより容易となる。
したがって、本発明の画像形成方法は、粉体供給工程及び光照射工程の後に、粉体が供給された光軟化化合物含有層を摺擦する摺擦工程をさらに含むことが好ましい。
また、上記「摺擦」は、光軟化化合物含有層(粉体が付着した光軟化化合物含有層)の押圧を伴うことが好ましい。すなわち、摺擦工程では、粉体が供給された光軟化化合物含有層を摺擦すると共に、押圧することを含むことが好ましい。光軟化化合物含有層を押圧することにより、粉体の一部が光軟化化合物含有層の内部に押し込まれるため、光軟化化合物含有層に対する粉体の接着を強くすることができる。よって、最終的に形成される光沢画像の強度を向上させられることに加え、形成される光沢画像におけるミラー調やパール調などの所期の外観を明瞭にすることができる。ここで、「押圧」とは、光軟化化合物含有層の表面に対して交差する方向(例えば垂直方向)に光軟化化合物含有層の表面を押すことをいう。
摺擦工程は、粉体が付着した光軟化化合物含有層を、摺擦手段を用いて摺擦することにより行う。具体的には、摺擦工程は、粉体が付着した光軟化化合物含有層に対し、摺擦手段としての摺擦部材を接触させ、当該光軟化化合物含有層に対して摺擦部材を相対的に移動させることにより行う。このとき、摺擦部材を移動させる方向は特に制限されず、一方向のみであってもよいし、往復運動させてもよいし、さらに多数の方向であってもよい。ただし、粉体の配向を制御しやすく、乱反射の少ないミラー調やパール調といった質感を形成するためには、摺動部材の移動方向は、一方向のみであることが好ましい。
制御工程では、上記のように、ミラー調・パール調からグリッター調といった幅広い質感を発現させる目的から、摺擦条件を制御することが好ましい。この時、摺擦条件とは、摺擦速度(光軟化化合物含有層表面に対する摺擦部材の摺擦部分の相対速度)、押圧力などが含まれる。また、以下で説明するように、摺擦部材として回転部材を用いる場合には、摺擦条件として、回転速度を制御することが好ましい。
摺擦工程において、光軟化化合物含有層表面に対する摺擦部材の摺擦部分の相対的な速度は、特に制限されないが、5〜500mm/秒の範囲であることが好ましい。5mm/秒以上であると、光軟化化合物含有層の表面に対して粉体の配向を十分に添わせることができる。また、500mm/秒以下であると光軟化化合物含有層に対し、十分に粉体を付着させることができ、最終的に形成される光沢画像におけるミラー調やパール調などの所期の外観を明瞭にすることができる。
また、摺擦工程において、光軟化化合物含有層の表面に対する摺擦部材の摺擦部分の接触幅は、特に制限されないが、光軟化化合物含有層の表面に付着する粉体の所期の配向性及び記録媒体の搬送性という観点から、1〜200mmの範囲であることが好ましい。1mm以上であると、摺擦部分が光軟化化合物含有層の表面に沿って移動する際に粉体の向きのばらつきを抑制でき、光軟化化合物含有層に付着する粉体の配向を十分に制御することができる。また、200mm以下であると、安定して容易に記録媒体の搬送を行うことができる。なお、「接触幅」とは、光軟化化合物含有層に対する摺擦部材の摺擦部分の移動方向の長さをいう。
また、摺擦と共に押圧を行う場合、押圧力は、特に制限されないが、光軟化化合物含有層の表面に対して1〜30kPaの範囲であることが好ましい。1kPa以上であると、光軟化化合物含有層に対する粉体の付着強度を十分に得ることができる。また、30kPa以下であると、記録媒体上に形成された光軟化化合物含有層を安定して保持することができる。
摺擦工程において用いられる摺擦手段としては特に制限されず、公知の装置を用いることができる。図1〜図3に示されるように、本発明の一形態に係る摺擦手段としての摺擦部材30は、記録媒体の搬送方向に対して、粉体供給装置(粉体供給手段)10の後に、又は、光照射装置(光照射手段)20の後に備えられうる。これらの装置の配設順序は、各工程が行われる順序に応じて、適宜決定される。
摺擦手段に備えられる摺擦部材としては、例えば、図1〜図3に示すような回転部材であってもよいし、往復運動する部材や、固定されている部材のような非回転部材であってもよい。より具体的には、摺擦部材は、水平な表面を有する光軟化化合物含有層の表面に接して水平方向に、当該表面に対して相対的に移動可能な部材であってもよいし、光軟化化合物含有層の表面に接する回転自在なローラー(回転ローラー)であってもよい。中でも、作業効率の観点から、摺擦部材は、回転部材であると好ましく、回転自在なローラー(回転ローラー)であるとより好ましい。
摺擦部材として回転部材(特に、回転ローラー)を用いる場合、その回転速度は特に制限されない。
上記摺擦部材は、光軟化化合物含有層を押圧しながら、その表面が上記光軟化化合物含有層の表面に対して相対的に移動自在に構成されることが好ましい。摺擦部材によって押圧を行う場合、例えば、搬送されている記録媒体(光軟化化合物含有層が形成された記録媒体)を、固定された摺擦部材で押圧することによって押圧を行ってもよい。又は、上記押圧は、記録媒体の搬送方向と同じ方向に回転し、且つ記録媒体の搬送速度よりも遅い速度で回転するローラーで摺擦することによって押圧を行ってもよいし、又は、記録媒体の搬送方向とは逆の方向に回転するローラーで摺擦することによって行ってもよいし、又は、記録媒体の搬送方向に対してその回転軸が斜めとなる向きに配置された回転自在なローラーで摺擦することによって押圧を行ってもよいし、又は、光軟化化合物含有層の表面上を往復運動する部材で摺擦することによって押圧を行ってもよい。
よって、摺擦部材は、光軟化化合物含有層の表面を押圧しながら記録媒体に対して相対的に異なる方向へ移動自在に構成されていることが好ましい。
また、上記摺擦部材は、柔軟性を有することが好ましい。摺擦部材の柔軟性は、例えば、摺擦時に、光軟化化合物含有層の表面の形状に追従可能な程度に摺擦部材の表面が変形する程度の柔らかさであることが好ましい。すなわち、摺擦部材は、変形追従性を有していることが好ましい。このような柔軟性を有する摺擦部材としては、例えば、スポンジ、ブラシ等が挙げられるがこれらに制限されない。
〔7〕その他の工程
本発明の画像形成方法は、上記粉体供給工程及び光照射工程並びに任意で行われる摺擦工程に加え、例えば、光軟化化合物含有層形成工程、粉末除去工程、追い刷り印刷工程等、その他の工程を含んでいてもよい。
〔7.1〕光軟化化合物含有層形成工程
本発明の画像形成方法は、粉体供給工程及び光照射工程の前に、光軟化化合物含有層形成工程をさらに含んでいてもよい。
光軟化化合物含有層形成工程では、記録媒体上に光軟化化合物含有層を形成する。記録媒体上に光軟化化合物含有層を形成する方法については、特に制限されない。例えば、光により軟化する化合物、樹脂及び任意で含まれる他の成分(例えば、着色剤等)を適当な溶媒に溶解させて得た溶液を、記録媒体の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。この場合、光軟化化合物含有層の塗布は、一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート等の方法により行うことができる。
また、上記光軟化化合物含有層は、インクジェット方式や、電子写真方式といった印刷方式で記録媒体上に印刷された画像であってもよい。インクジェット方式及び電子写真方式による画像の形成は、それぞれ公知の画像形成装置によって行うことができる。
本発明の効果をより得られやすいという観点から、光軟化化合物含有層は、電子写真方式によって形成された画像であることが好ましい。電子写真方式では、感光体表面の静電潜像パターンへトナー粒子を付着させてトナー画像を形成し、当該トナー画像を紙などの記録媒体に転写する。ここで、トナー画像を形成するトナー粒子は、一般に、結着樹脂としての熱可塑性樹脂を含む。よって、電子写真方式で形成された画像(トナー画像)は、光照射工程にて照射される光により軟化又は溶融しやすいことから、本発明の効果をより顕著に発揮することができると考えられる。
さらに、本発明の画像形成方法において、上記光軟化化合物含有層は、記録媒体上に定着される前の画像(未定着画像)であってもよいし、定着された画像(定着画像)であってもよい。光軟化化合物含有層の表面に粉体を付着しやすく、十分に光沢性を有する画像を形成しやすいという観点から、光軟化化合物含有層は、記録媒体上に定着された定着画像であることが好ましい。すなわち、本発明の画像形成方法は、粉体供給工程及び光照射工程の前に、定着画像形成工程をさらに含んでいることが好ましい。定着画像は、その表面が均一に平滑に整えられているため、光軟化化合物含有層中への粉体の埋没が抑制され、光沢性の高い画像を形成することができる。また、粉体の埋没を抑制しつつ光軟化化合物含有層の表面に粉体を付着することができるため、多量の粉体を使用する必要がなく、経済性の観点からも好ましい。
定着画像形成工程は、公知の定着画像形成装置、特には、電子写真方式を利用した画像形成装置によって行うことができる。定着画像形成方法の一例として、トナー画像が転写された記録媒体に、定着手段にて熱及び圧力を加え、記録媒体上のトナー画像を記録媒体上に定着させる方法が採用されうる。当該方法により形成されるトナー画像を光軟化化合物含有層として、本発明の一形態に係る画像形成方法を行うことにより、上述のように、光軟化化合物含有層中への粉体の埋没が抑制でき、光沢性に優れた画像を形成することができる。
〔7.2〕粉体除去工程
本発明の画像形成方法は、粉体供給工程及び光照射工程の後、又は必要に応じて行われる摺擦工程の後に、粉体除去工程をさらに含んでいてもよい。粉体除去工程では、光軟化化合物含有層に付着しなかった粉体を記録媒体上から除去する。このとき、記録媒体上から除去された粉体を回収して再利用してもよい。すなわち、本発明の画像形成方法は、粉体供給工程及び光照射工程の後、又は必要に応じて行われる摺擦工程の後、光軟化化合物含有層に付着しなかった粉体を記録媒体上から回収する、粉体回収工程をさらに含んでいてもよい。このように、加飾に用いられなかった余分な粉体を回収することは、経済性の観点及び環境負荷の軽減の観点から好ましい。
粉体の除去又は回収方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。例えば、刷毛やブラシ等の部材で掻きとる方法、粘着テープ等の粘着部材で除去する方法、粉体を吸引又は吸着することができる集粉器等の公知の器械で吸引する方法等が挙げられる。このように、粉体の除去又は回収工程を行うための粉体除去手段(部材)又は粉体回収手段(部材)としては、上述のように、刷毛やブラシ等の部材、粉体に対して粘着性を有する粘着部材、粉体を吸引する吸引部材を有する集粉器等を用いることができる。また、粉体が磁性粉末である場合には、マグネット部材を有する集粉器を用いてもよい。
〔7.3〕追い刷り印刷工程
本発明の画像形成方法は、粉体供給工程及び光照射工程の後、又は必要に応じて行われる摺擦工程及び/又は粉体除去工程の後に、追い刷り印刷工程をさらに含んでいてもよい。追い刷り印刷工程では、粉体の付着した光軟化化合物含有層(すなわち、すでに加飾の施された光沢画像)を有する記録媒体上に、さらに画像を形成する。追い刷り印刷方法については、特に制限されず、公知の手法を用いることができ、例えば、インクジェット方式や、電子写真方式といった印刷方式を用いることができる。また、追い刷り印刷工程を行うための追い刷り印刷手段としては、公知の装置を用いることができる。印刷物の付加価値をさらに向上させるという観点からは、追い刷り印刷工程をさらに行うことが好ましい。
〔7.4〕定着工程
本発明の画像形成方法は、粉体供給工程及び光照射工程の後、又は必要に応じて行われる摺擦工程、粉体除去工程及び/又は追い刷り印刷工程の後に、必要であれば定着工程を設けることも好ましい。
例えば、光軟化化合物がアゾベンゼン誘導体であればUV照射による溶融又は軟化後、熱又は可視光を与えて再硬化するために定着装置が必要な一方で、トリフェニルイミダゾール高分子は光照射を停止することで自然に硬化するため定着装置は必要でない。
当該定着工程は特に制限されるものではなく、公知の定着画像形成装置、特には、電子写真方式を利用した画像形成装置によって行うことができる。定着画像形成方法の一例として、トナー画像が転写された記録媒体に、定着手段にて熱及び圧力を加え、記録媒体上のトナー画像を記録媒体上に定着させる方法が採用されうる。当該方法により形成されるトナー画像を光軟化化合物含有層として、本発明の一形態に係る画像形成方法を行うことにより、上述のように、光軟化化合物含有層中への粉体の埋没が抑制でき、光沢性に優れた画像を形成することができる。
さらには、当該定着工程は光照射によって定着させることも好ましい。光照射は前述の方法、装置を用いることができ、その照射条件は適宜調整されうるものである。
〔8〕各工程の順序
本発明の画像形成方法は、粉体供給工程及び光照射工程を含み、これらの各工程の順序は特に制限されない。すなわち光照射工程は、粉体供給工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。
〔8.1〕粉体供給工程の後に光照射工程を行う画像形成方法
本発明の画像形成方法は、粉体供給工程の後に光照射工程を行ってもよい。光照射工程によって光軟化化合物含有層を溶融又は軟化させた後に光軟化化合物含有層上に粉体を供給すると、光軟化化合物含有層の溶融又は軟化から粉体の供給までの間に、光軟化化合物含有層が硬化し、粉体が光軟化化合物含有層に付着しにくくなることがある。したがって、光照射工程を先に行う場合には、光軟化化合物含有層に対して照射する光量を比較的大きくする必要がある。これに対し、粉体供給工程を先に行うことにより、光軟化化合物含有層上に粉体がある状態で光が照射されて光軟化化合物含有層が溶融又は軟化されるため、溶融又は軟化光量を最小限とすることができる。また、光溶融又は軟化化合物含有層上の粉体に対して光照射されることで当該粉体もまた加熱されるため、効率よく樹脂を溶融又は軟化させることができるという利点もある。さらに、粉体供給工程から光照射工程までの間の時間が長くなっても加飾部分を形成することができるため、プロセス速度を高速にする必要もない。したがって、エネルギー効率の観点からは、上記の順で各工程を行うことが好ましい。
〔8.2〕光照射工程の後に粉体供給工程を行う画像形成方法
本発明の画像形成方法は、光照射工程の後に粉体供給工程を行ってもよい。
光軟化化合物含有層上に粉体が付着された状態で光を照射すると、光照射により生じる熱が粉体によって拡散することがある。これに対し、光照射工程を先に行うことにより、このような熱拡散を抑制することができ、光沢を付与する部分の端部をより明瞭に形成することができる。すなわち、光沢を付与する部分のエッジをシャープに形成することができる。また、粉体に対して光照射を行わないため、例えば耐光性の低い粉体であっても使用でき、種々の粉体を用いることができる。したがって、より多様な質感の画像を形成することができる。
〔8.3〕好ましい形態
上述のように、本発明の画像形成方法は、上記粉体供給工程及び光照射工程の後に、摺擦工程をさらに行うことが好ましい。したがって、本発明に係る画像形成方法の好ましい一形態は、粉体供給工程と、光照射工程と、摺擦工程と、この順に行うことを含む。また、本発明の画像形成方法の他の好ましい一形態は、光照射工程と、粉体供給工程と、摺擦工程と、をこの順に行うことを含む。
また、上述のように、これらの工程の前に、光軟化化合物含有層形成工程を行うと好ましく、当該光軟化化合物含有層形成工程は、定着画像形成工程であることが好ましい。すなわち、本発明の画像形成方法の好ましい一形態は、定着画像形成工程と、粉体供給工程と、光照射工程と、摺擦工程と、をこの順に行うことを含む。また、本発明の画像形成方法の他の好ましい一形態は、定着画像形成工程と、光照射工程と、粉体供給工程と、摺擦工程と、をこの順に行うことを含む。
さらに、上述のように、上記の工程の後、さらに粉体除去工程及、追い刷り印刷工程及び/又は定着工程を行ってもよい。
〔9〕画像形成装置
本発明の画像形成方法を行うための画像形成装置は、記録媒体上に形成され、光により溶融又は軟化する光軟化化合物含有層上に粉体を供給する粉体供給手段、及び上記光軟化化合物含有層に対して光を照射する光照射手段を有していることが好ましい。さらに、上記画像形成装置は、必要に応じて、粉体が供給された光軟化化合物含有層(粉体が付着した光軟化化合物含有層)を摺擦する摺擦手段、光軟化化合物含有層に付着しなかった粉体を記録媒体上から除去する粉体除去手段(好ましくは、粉体回収手段)、及び粉体の付着した光軟化化合物含有層(すなわち、すでに加飾の施された光沢画像)を有する記録媒体上に、さらに画像を形成する画像形成手段(追い刷り印刷手段)及び前記画像を定着する手段をさらに有していることが好ましい。これら摺擦手段、粉体除去手段(好ましくは粉体回収手段)、画像形成手段(追い刷り印刷手段)及び定着手段は、単独で、又は2種以上を組み合わせて画像形成装置に備えられうる。なかでも、画像形成装置が上記画像形成手段(追い刷り印刷手段)をさらに有していると、高い付加価値を有する画像の生産性を高めるという観点から好ましい。
なお、上記の粉体供給手段、光照射手段、摺擦手段、粉体除去手段(粉体回収手段)、画像形成手段(追い刷り印刷手段)及び定着手段等の具体的な説明は、上記各工程に係る説明に記載のとおりである。
また、上記の画像形成装置は、前述した定着画像形成装置が設けられている筐体と同じ筐体内に設けられていてもよいし、定着画像形成装置が設けられている筐体の外部に設けられていてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
[トナーの作製]
[アゾベンゼン誘導体1の合成]
4−アミノフェノール(6.54g、60mmol)に2.4N塩酸75mLを加えた後、0℃で冷却撹拌しながら、亜硝酸ナトリウム(4.98g、72mmol)を蒸留水6mLに溶解した溶液を加え、0℃で60分間撹拌を続けた。この溶液に、o−クレゾール(6.48g、60mmol)と20%水酸化ナトリウム水溶液24mLの混合溶液を加え20時間撹拌した。析出した沈殿を濾過し、固形物を水で洗浄した。得られた固体を、酢酸エチルとヘキサンの混合液を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、アセトンとヘキサンの混合溶媒により再結晶することにより中間体A(構造は前記反応式Aを参照)を得た。この中間体A(2.28g、10mmol)にDMF100mL、1−ブロモヘキサン(9.9g、60mmol)、炭酸カリウム(6.9g、50mmol)を加え、80℃で2時間撹拌した後、室温で20時間撹拌を続けた。溶媒を減圧留去後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物を酢酸エチルとヘキサンの混合液を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、下記アゾベンゼン誘導体1を得た。
Figure 2020034630
[スチレンアクリル樹脂粒子分散液1の調製]
スチレン201質量部、n−ブチルアクリレート117質量部、及びメタクリル酸18.3質量部を混合し、このモノマー混合液を撹拌しつつ80℃に加温し、ベヘン酸ベヘニル172質量部を徐々に添加して溶解した。
次いで、アニオン性界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸3質量部を純水1182質量部に溶解してなる界面活性剤水溶液を80℃に加温し、上記モノマー混合液を加えて、高速撹拌を行い、モノマー分散液を調製した。
撹拌装置、冷却管、温度センサー、及び窒素導入管を備えた重合装置に純水867.5質量部を投入し、窒素気流下で撹拌を行いながら内温を80℃にした。この重合装置に上記モノマー分散液を投入し、さらに過硫酸カリウム8.55質量部を純水162.5質量部に溶解した重合開始剤水溶液を投入した。
重合開始剤水溶液投入後、n−オクチルメルカプタン5.2質量部を35分間かけて添加し、さらに80℃で重合を2時間行った。次に、過硫酸カリウム9.96質量部を純水189.3質量部に溶解した重合開始剤水溶液を添加し、スチレン366.1質量部、n−ブチルアクリレート179.1質量部、及びn−オクチルメルカプタン7.2質量部を混合したモノマー溶液を1時間かけて滴下した。モノマー溶液を滴下した後、2時間重合処理を続けた後、室温(25℃)まで冷却し、結着樹脂粒子であるスチレンアクリル樹脂粒子を含む分散液1を調製した。
<トナー1の作製>
(アゾベンゼン誘導体粒子分散液1の調製)
ジクロロメタン80質量部と、上記アゾベンゼン誘導体1 20質量部とを50℃で加熱しながら混合撹拌し、アゾベンゼン誘導体1を含む液を得た。この液100質量部に、50℃に温めた蒸留水99.5質量部と、20質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.5質量部との混合液を添加した。その後、シャフトジェネレーター18Fを備えるホモジナイザー(ハイドルフ社製)により16000rpmで20分間撹拌して乳化させ、アゾベンゼン誘導体乳化液1を得た。
得られたアゾベンゼン誘導体乳化液1をセパラブルフラスコへ投入し、窒素を気相中へ送気しながら40℃で90分間加熱撹拌して有機溶媒を除去して、アゾベンゼン誘導体粒子分散液1を得た。アゾベンゼン誘導体粒子分散液中のアゾベンゼン誘導体粒子の粒径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、質量平均粒径で145nmであった。
(凝集・融着)
上記で作製したスチレンアクリル樹脂粒子分散液1を固形分換算で574質量部、アゾベンゼン誘導体粒子分散液1を固形分換算で216質量部、イオン交換水900質量部を、撹拌装置、温度センサー、及び冷却管を装着した反応装置に投入した。容器内の温度を30℃に保持して、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を撹拌下、10分間かけて滴下した後、昇温を開始し、この系を60分間かけて70℃まで昇温し、70℃を保持したま粒子成長反応を継続した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター株式会社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメジアン径(d50)が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。70℃で1時間撹拌した後、さらに昇温を行い、75℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させた。その後、30℃まで冷却することにより、トナー粒子の分散液を得た。
上記で得られたトナー粒子の分散液を遠心分離機で固液分離し、トナー粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(株式会社セイシン企業製)」に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥して、トナー粒子を作製した。
得られたトナー粒子に、疎水性シリカ(数平均一次粒径:12nm)1質量%、及び疎水性チタニア(数平均一次粒径:20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(登録商標)を用いて混合することにより、トナー1を作製した。
得られたトナー1の体積基準のメジアン径(d50)を、「コールターカウンター3(ベックマン・コールター株式会社製)」を用いて測定したところ7.2μmであった。
<トナー2の作製>
[アゾベンゼン誘導体2の合成]
<アゾベンゼン誘導体モノマー1の合成>
300mLの3頭コルベンにおいて、亜硝酸ナトリウム6.44g(0.933mol)を水20mLに溶解させて、内温が0℃となるまで冷却した。これに、p−トルイジン5g(0.047mol)と0.2Nの塩酸水溶液23gを、内温が5℃以下でゆっくり滴下した。滴下後、内温を保ちながら30分間撹拌した。
得られた溶液に、フェノール5.71g(0.06mol)、水酸化ナトリウム2.43g(0.06mol)及び炭酸ナトリウム6.43g(0.06mol)を水20mLに溶かした溶液を、内温5℃以下を保ちながらゆっくり滴下し、黄色結晶を析出させた。滴下終了後、内温を保ちながら30分間撹拌した後、ろ過し、冷水で洗浄して、オレンジ色の結晶を得た。これを乾燥させた後、シリカゲルカラム(酢酸エチル/へプタン=1/4)にて精製して、9.7g(収率97.9%)の目的物1(4−(p−トルイルジアゼニル)フェノール)を得た。
Figure 2020034630
200mL4頭コルベンにおいて、得られた目的物1(4−(p−トルイルジアゼニル)フェノール)5g(0.024mol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)25mLに溶解させた。これに、炭酸カリウム4.88g(0.035mol)を加え、30℃に保ちながら30分間撹拌した。これに、ヨウ化カリウム10.2mg(0.06mmol)、6−クロロ−1−ヘキサノール3.54g(0.026mol)を添加し、110℃で3時間反応した。これを、室温まで冷却し、650gの氷に添加した後、ろ過した。結晶を水400mLに分散させ、一晩撹拌して洗浄し、ろ過して乾燥させた。
エタノールにて再結晶を行い、6.41g(収率87.1%)のオレンジ色の結晶(目的物2;6−(4−(p−トルイルアゼニル)フェノキシ)ヘキサン−1−オール))を得た。
Figure 2020034630
100mL4頭フラスコに、得られた目的物2(6−(4−(p−トルイルアゼニル)フェノキシ)ヘキサン−1−オール)3g(0.001mol)、トリエチルアミン1.34mL(0.001mol)及びジクロロメタン30mLを投入した。この時、原料は分散状態であった。内温を0℃に保ちながら、アクリル酸クロライド1.04g(0.011mol)をジクロロメタン10mLに溶かした溶液を、内温を0〜5℃を保ちながら滴下した。滴下していくと、原料は溶解した。
滴下終了後、反応液を室温に戻して撹拌を5時間行った。反応終了後、ジクロロメタンを濃縮して除去し、酢酸エチルに溶解して、希塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥させた後、濃縮した。得られたオレンジ結晶をシリカゲルカラム(酢酸エチル/へプタン=1/5)にて精製し、2.87g(51.4%)のアゾベンゼン誘導体モノマー1を得た。
Figure 2020034630
<アゾベンゼン誘導体2の合成>
100mL4頭フラスコにおいて、上記得られたアゾベンゼン誘導体モノマー1を1.5g(4.096mmоl)、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾアートを5mg(0.023mmоl)及び2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)を、1mg(0.006mmоl)、アニソール4mLに溶解させた。そして、凍結脱気によりアルゴンガス雰囲気にした後、75℃に昇温し、48時間撹拌することで重合させた。ポリマー溶液に、メタノール40mLを徐々に滴下した後、テトラヒドロフラン(THF)を加えて、未反応のアゾベンゼン誘導体モノマー1を除去した。分取したポリマー溶液は、40℃の真空乾燥炉内にて24時間乾燥させて、アゾベンゼン誘導体2を得た。アゾベンゼン誘導体2の数平均分子量Mnは、9600であった。
また、前記アゾベンゼン誘導体粒子分散液1と同様にアゾベンゼン誘導体粒子分散液中のアゾベンゼン誘導体粒子の粒径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、質量平均粒径で145nmであった。
Figure 2020034630
次いで、トナー1の作製において、アゾベンゼン誘導体1の代わりに、上記得られたアゾベンゼン誘導体2を用いた以外は同様にしてトナー2を作製した。
<トナー3の作製>
(スチレンアクリル樹脂を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液1の調製)
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とし、スチレン480質量部、n−ブチルアクリレート250質量部、メタクリル酸68.0質量部、及びn−オクチル−3−メルカプトプロピオネート16.0質量部よりなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、スチレンアクリル樹脂粒子(1a)を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1A)を調製した。
(第2段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水800質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、上記で得られたスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1A)260質量部、スチレン245質量部、n−ブチルアクリレート120質量部、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート1.5質量部、離型剤であるパラフィンワックス「HNP−11」(日本精蝋株式会社製)67質量部を90℃にて溶解させた重合性単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX(登録商標)」(エム・テクニック株式会社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、スチレンアクリル樹脂粒子(1b)を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1B)を調製した。
(第3段重合)
上記で得られたスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1B)に過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、次いで、82℃の温度条件下で、スチレン435質量部、n−ブチルアクリレート130質量部、メタクリル酸33質量部及びn−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部からなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却しスチレンアクリル樹脂1を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液1を得た。また、スチレンアクリル樹脂1のガラス転移温度(Tg)を測定したところ、45℃であった。
(ヘキサアリールイミダゾール基分岐鎖を有する高分子化合物(A)分散液の調製)
ジクロロメタン80質量部と下記化合物(A)20質量部とを50℃で加熱しながら混合撹拌し、当該化合物を含む溶液を得た。得られた溶液100質量部に、50℃に温めた蒸留水99.5質量部と、20質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.5質量部との混合液を添加した。その後、シャフトジェネレーター18Fを備えるホモジナイザー(ハイドルフ社製)により16000rpmで20分間撹拌して乳化させ、化合物(A)の乳化液を得た。
得られた化合物(A)の乳化液をセパラブルフラスコへ投入し、窒素を気相中へ送気しながら40℃で90分間加熱撹拌して有機溶媒を除去して、化合物(A)粒子分散液を得た。化合物(A)粒子分散液中の化合物(A)粒子の粒径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、質量平均粒径で172nmであった。
Figure 2020034630
(凝集・融着)
上記で調製したスチレンアクリル樹脂粒子分散液1を固形分換算で214質量部、化合物(A)粒子分散液を固形分換算で576質量部、イオン交換水900質量部を、撹拌装置、温度センサー、及び冷却管を装着した反応装置に投入した。容器内の温度を30℃に保持して、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を撹拌下、10分間かけて滴下した後、昇温を開始し、この系を60分間かけて70℃まで昇温し、70℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター株式会社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径(d50)が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。70℃で1時間撹拌した後、さらに昇温を行い、75℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させた。その後、30℃まで冷却することにより、トナー粒子の分散液を得た。
上記で得られたトナー粒子の分散液を遠心分離機で固液分離し、トナー粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(株式会社セイシン企業製)」に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥して、トナー粒子を作製した。
得られたトナー粒子に、疎水性シリカ(数平均一次粒径:12nm)1質量%、及び疎水性チタニア(数平均一次粒径:20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(登録商標)を用いて混合することにより、トナー3を作製した。
トナー3の体積基準のメジアン径(d50)(トナーの平均粒径)を、「コールターカウンター3(ベックマン・コールター株式会社製)」を用いて測定したところ、9.7μmであった。また、トナー3のガラス転移温度(Tg)は45℃であった。
<トナー4の作製>
上記トナー1の作製において、アゾベンゼン誘導体1を用いなかった以外は同様にして、アゾベンゼン誘導体を含有しないトナー4を作製した。
<実施例1>
コニカミノルタ社製JペーパーA4を記録媒体とし、AccurioPressC2060を改造したものを出力機として用い、トナー1を用いて2cm×2cmの正方形パッチの定着画像を得た。
前記定着画像を図1で示す装置にセットし、右に移動させながら日本板硝子社製メタシャイン2025PS(形状:フレーク状、厚さ:1μm、平均粒径25μm、成分:銀/ガラス、表I中、2025PSと表記)を散布し、次に光照射装置1(光源:発光波長が365nm±10nmのLED光源)によって9J/cmの光を照射し、スポンジローラーで摺擦した。さらに光照射装置2(光源:発行波長が505nm±10nmのLED光源)によって20J/cmの光量の光を照射後、刷毛によってパウダーを除去した。得られた画像は、パール調の画像であった。同様に、光照射によって10J/cmの光量の光を照射した場合はパール調とグリッター調の中間の画像が得られ、11J/cmの光を照射した場合はグリッター調の画像が得られた。以上のように光の照射エネルギーを変更することで、パール調からグリッター調まで制御可能であった。
<実施例2>
1パスにて一枚の画像上に加飾状態の異なる複数の部位を作製した。
コニカミノルタ社製JペーパーA4を記録媒体とし、AccurioPressC2060を改造したものを出力機として用い、A4用紙のほぼ全面(19cm×27cm)にトナー1のベタ画像の定着画像を得た。
ベタ画像の定着画像を図1で示す装置にセットし、右に移動させながら、ベタ画像上に日本板硝子社製メタシャイン2025PSを散布し、次に光照射位置通過時には、光照射装置1(光源:発光波長が365nm±10nmのLED光源)によって、光量を9J/cm、10J/cm、及び11J/cmと変化させて光を照射し、次に摺擦位置に移動し、スポンジローラーで摺擦した。さらに光照射装置2(光源:発行波長が505nm±10nmのLED光源)によって20J/cmの光量の光を照射後、刷毛によってパウダーを除去した。得られた画像には、照射光量の3段階異なる部分が作成され、その画像を観察したところ、パール調からグリッター調まで制御可能であった。
<実施例3>
コニカミノルタ社製JペーパーA4を記録媒体とし、AccurioPressC2060を改造したものを出力機として用い、トナー1を用いて2cm×2cmの正方形パッチの定着画像を得た。
前記定着画像を図2で示す装置にセットし、光照射装置1(光源:発光波長が365nm±10nmのLED光源)によって、光照射しトナーを溶融又は軟化させてから、日本板硝子社製メタシャイン2025PSを散布し、次に摺擦位置に移動し、スポンジローラーで摺擦した。さらに光照射装置2(光源:発行波長が505nm±10nmのLED光源)によって20J/cmの光量の光を照射後、刷毛によってパウダーを除去した。得られた画像は、パール調の画像であった。同様に、光照射によって10J/cmの光量の光を照射した場合はパール調とグリッター調の中間の画像が得られ、11J/cmの光量の光を照射した場合はグリッター調の画像が得られた。以上のように光の照射エネルギーを変更することで、パール調からグリッター調まで制御可能であった。
<実施例4>
トナー1をトナー2に変更した以外は実施例1と同様に行ったところ、光の照射エネルギーを変更することで、実施例1と同様にパール調からグリッター調まで制御可能であった。
<実施例5>
トナー1をトナー3に変更し、図1で示す装置を図3で示す装置に変更した以外は実施例1と同様に行ったところ、光の照射エネルギーを変更することで、実施例1と同様にミラー調からグリッター調まで制御可能であった。
<実施例6>
実施例1において、粉体である日本板硝子社製メタシャイン2025PSを、松本油脂製薬株式会社製マツモトマイクロスフェアーF−35D(平均粒子径5〜50μmの熱膨張性マイクロカプセル、表I中、F−35Dと表記)に変更し、光照射装置1(光源:発光波長が365nm±10nmのLED光源)によって、10J/cmの光量の光を照射した以外は実施例1と同様に行ったところ、エンボス調の画像が得られた。
<実施例7>
実施例1において、コニカミノルタ社製JペーパーA4を厚さ57μmの二軸延伸ポリプロピレン(PP)フィルムに変更した以外は同様に行ったところ、光の照射エネルギーを変更することで、パール調からグリッター調まで制御可能であった。
<比較例1>
実施例1において、図1で示す装置を図4で示す光照射装置を有しない装置に変更した以外は実施例1と同様に行った。
<比較例2>
実施例1において、トナー1をアゾベンゼン誘導体を含有しないトナー4に変更した以外は実施例1と同様に行った。
≪評価≫
(メタリック感評価)
前記画像を5人の被験者が目視によってメタリック感(ミラー調・パール調、グリッター調又はその中間調)を感じるか否か、またその色調も観察した。実施例6については、同様に被験者が画像表面の状態を観察した。
(金属光沢画像の定着率(隠ぺい率))
得られた画像について「JKワイパー(登録商標)」(日本製紙クレシア株式会社製)で50kPaの圧力をかけて10回こすり、劣化試験とした。劣化試験後の画像を、キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−6000を用いて倍率100倍で写真を撮影し、株式会社ニレコ製LUSEX−APにて二値化処理を行った。次いで、粉体による粉体供給領域に対する隠ぺい率を算出した。定着性の評価における剥がれ率は、下記式(a)に基づいて算出した。
式(a)記録媒体と粉体との間での剥がれ率=100−(劣化試験後の粉体による粉体供給領域に対する隠ぺい率/摺擦工程後の粉体による粉体供給領域に対する隠ぺい率)
上記剥がれ率が5%以上である場合を合格とした。より好ましくは40%以上である。
以上の実施例、比較例の構成、及び評価結果をまとめて、表Iに示す。
Figure 2020034630
表Iの結果から、本発明の画像形成方法によって、同一の粉体を用いても、光照射量を変化させることで、ミラー調・パール調からグリッター調まで再現できることが確認された。また、実施例2から、同一画像中において異なる質感の加飾表現(すなわち、ミラー調・パール調からグリッター調まで)を達成することができた。さらに、紙媒体のみならずプラスチックフィルム等の熱耐性の低い記録媒体に対しても、同様な加飾表現(すなわち、ミラー調・パール調からグリッター調まで)を達成することができた。
また、実施例6から、熱応答性材料を用いることにより、エンボス調の加飾表現も実現できることが確認された。
1 記録媒体
2 定着画像(光軟化化合物含有層)
10 粉体供給装置(粉体供給手段)
11 粉体収容部
12 粉体供給ローラー
20−1 光照射装置(光照射手段)
20−2 光照射装置(光照射手段)
30 摺擦部材(摺擦手段)
P 粉体

Claims (16)

  1. 記録媒体と、その上に配置される光軟化化合物を含有した層とで構成される画像を形成する画像形成方法であって、
    前記画像に粉体を付着させるための粉体供給工程と前記画像を溶融又は軟化させるための光照射工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記光軟化化合物が、光異性化化合物であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記光軟化化合物が、光吸収により結合が開裂される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  4. 前記画像が、あらかじめ定着された画像であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  5. 前記画像を溶融又は軟化させるための光照射工程の後に、前記画像を摺擦する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  6. 前記画像を溶融又は軟化させるための光照射工程の後に、さらに溶融状態にある前記画像を定着させる工程を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  7. 前記画像を定着させる工程が、光照射工程であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
  8. 前記粉体が、非球形粒子の粉体であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  9. 前記粉体が、扁平状粒子の粉体であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
  10. 前記粉体の厚さが、0.2〜3.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  11. 前記粉体が、金属粉又は金属酸化物粉であることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  12. 前記粉体が、熱応答性材料であることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  13. 前記記録媒体が、樹脂製フィルムであることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  14. 前記光照射工程において、光量を制御することを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  15. 前記光照射工程において、光量を制御し、一の記録媒体上の異なる部分に異なる光量の光を照射することによって、一の記録媒体上に粉体の付着状態が異なる複数の部分を作製することを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  16. 記録媒体と、その上に配置されている少なくとも光軟化化合物を含有した層とで構成された画像を有する印刷画像であって、
    前記画像が粉体を有することを特徴とする印刷画像。
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