JP7180286B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成方法に関する。
近年、オンデマンド印刷市場において、特色印刷、高付加価値印刷の需要が高まっている。なかでも、メタリック印刷やパール印刷に関する要望は特に大きく、光沢感(例えば、メタリック感、パール調)等の質感を付与することができる印刷技術について、多種多様な検討が行われてきた。
その方法の一つとして、トナーを接着層として利用し、金属箔、樹脂箔といった箔体を転写する方法が検討されてきた。たとえば、特許文献1では、トナー画像を形成し、トナー画像部にのみ転写箔を接着する技術が提案されている。この方法では、画像の一部のみに選択的に箔体を転写する場合、転写されない部分の箔体はすべて破棄され、経済上好ましくないという問題があった。また、ミラー調およびグリッター調の組み合わせなど、複数の異なる光沢感を有する光沢画像を印刷する場合、それぞれの質感に合わせ、複数種類の箔体を準備する必要があった。
一方、トナー中に光輝性顔料を添加する技術に関する検討も行われてきた。たとえば、特許文献2では、光輝性顔料を含むトナー粒子を用いることで、必要な画像部分にのみ光輝性を付与し、金属様の質感を有する画像を形成する技術が提案されている。
さらに、上記の各方法とは異なる方法として、記録媒体上に形成された樹脂層に加飾粉体を付着させることにより、金属様の加飾画像を形成する技術が提案されている(特許文献3)。かような技術によれば、十分なメタリック感やパール感を、必要な部分にのみ効率的に付与することができる。
特開平1-200985号公報 特開2014-157249号公報 特開2013-178452号公報
しかし、特許文献2に記載された技術においては、所望の質感を発現することが難しかった。
また、特許文献3に記載された技術においては、省エネルギーの観点から、低温の加熱処理あるいは加熱処理なしで、加飾粉体を固定化できることが望ましい。しかし、この要望を満たそうとすると、加飾画像に外力を加えた際に、加飾粉体が脱離してしまう(画像耐久性に乏しい)という問題があった。
そこで、本発明の目的は、低温下で加飾粉体を固定化でき、所望の質感(光沢感等)を発現し、かつ画像耐久性に優れた加飾画像を形成することができる手段を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を積み重ねた結果、記録媒体上に形成された樹脂層と、加飾粉体と、を含む画像を形成することを有し、樹脂層がポリエステル樹脂を含有する画像形成方法により、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、低温下(例えば85℃未満)で加飾粉体を固定化でき、所望の質感(光沢感等)を発現し、かつ画像耐久性に優れた加飾画像を形成することができる手段が提供される。
本発明の実施例に係る画像形成方法を説明するための図である。 本発明の他の実施例に係る画像形成方法を説明するための図である。 本発明の他の実施例に係る画像形成方法を説明するための図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。さらに、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは、「アクリルおよび/またはメタクリル」を示すものである。
本発明の一実施形態に係る画像形成方法は、記録媒体上に形成された樹脂層と、加飾粉体と、を含む画像を形成することを有し、樹脂層がポリエステル樹脂を含有する。かような画像形成方法によれば、低温下(例えば85℃未満)で加飾粉体を固定化でき、所望の質感(光沢感等)を発現し、かつ画像耐久性に優れた加飾画像を形成することができる。
本発明の一形態に係る画像形成方法により、上記効果が得られる理由の詳細は不明であ
るが、以下のメカニズムによるものと考えられる。ただし、下記メカニズムは推測による
ものであり、その正誤が本形態の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
特許文献2に記載された技術においては、所望の質感を発現することが難しかった。特許文献2の技術では、トナー中に光輝性顔料を添加しているが、光輝性顔料がトナー中に埋没しやすいためであると考えられる。
特許文献3に記載された技術においては、省エネルギーの観点から、低温の加熱処理あるいは加熱処理なしで、加飾粉体を固定化できることが望ましい。そこで、本発明者らは、この要望を満たすために、低分子量のビニル樹脂を樹脂層の主成分として用い、加飾画像の形成を試みた。その結果、得られた加飾画像が、外力を加えた際に加飾粉体が脱離してしまう問題があることを見出した(後述の比較例1-2)。低分子量のビニル樹脂は機械的強度に乏しいため、これを用いて形成される加飾画像は、外力を加えられた際に樹脂層が耐えられず、加飾粉体が加飾画像から取れやすくなり、画像耐久性が低下したと考えられる。
一方、本発明の一実施形態に係る画像形成方法では、記録媒体上にポリエステル樹脂を含む樹脂層を形成し、当該樹脂層と加飾粉体とで画像を形成する。ポリエステル樹脂は、樹脂中にカルボン酸基や水酸基などの極性基を多く有するため、分子中および分子間で水素結合することにより、低分子量化しても機械的強度を有する樹脂層を形成できる。ゆえに、外力による樹脂層の破壊を抑制することができる。また、ポリエステル樹脂は、樹脂中に水酸基などの極性基を有するため、記録媒体(特に紙)と高い親和性を有し、樹脂層と記録媒体との接着性が良好となる。ゆえに、外力により樹脂層が記録媒体から剥離するのを抑制することができる。加えて、ポリエステル樹脂は、トナーを構成するビニル樹脂として一般的に用いられるスチレンアクリル樹脂よりも熱伝導率が高く、さらに、記録媒体と高い密着性を有することにより、記録媒体と樹脂層との間で効率的に熱が伝わりやすい。また、ポリエステル樹脂は脱水縮合反応により得られ、ビニル樹脂よりも分子量分布が広いため、同じ平均分子量のビニル樹脂よりも低分子量成分量が多くなる。これらの理由により、低温の加熱処理でも樹脂層は軟化し、その柔軟性ゆえに加飾粉体に追従しやすくなる。ゆえに、ポリエステル樹脂を樹脂層に用いることで、低温下でも加飾粉体を高い接着面積で固定化することができる。これらの作用により、樹脂層の低温軟化性が向上して低温下で加飾粉体を固定化でき(低温定着性が良好となり)、かつ得られる加飾画像は外力を加えても加飾粉体が脱離しにくくなる(画像耐久性が良好となる)。さらに、本発明の画像形成方法では、樹脂中に加飾粉体が埋没し過ぎるのを抑制することができる。ゆえに、所望の質感(光沢感)を有する加飾画像を得ることができる。
<樹脂層>
樹脂層は、記録媒体上に形成され、ポリエステル樹脂を含む。樹脂層は、ポリエステル樹脂以外にも、他の樹脂、着色剤、離型剤、荷電制御剤、外添剤、分散剤、界面活性剤、可塑剤、酸化防止剤等の他の成分を含んでいてもよい。ここで、「記録媒体上に形成する」とは、記録媒体上に直接形成されてもよいし、記録媒体上に他の層(例えば加飾粉体を有する層)を介して形成されてもよいことを意味する。
以下、樹脂層の各構成成分について説明する。
[ポリエステル樹脂]
(非晶性ポリエステル樹脂)
本発明の画像形成方法において、樹脂層は非晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂を含有することで、柔軟性と機械的強度を有する樹脂層を形成できるため、低温定着性および画像耐久性の両立の面で有利となる。
非晶性ポリエステル樹脂とは、2価以上のカルボン酸成分(多価カルボン酸成分)と、2価以上のアルコール成分(多価アルコール成分)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、明確な融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。この際、ガラス転移温度(Tg)が、30~80℃であることが好ましく、特に40~65℃であることが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、実施例に記載の示差走査熱量測定(DSC)を行うことによって確認できる。また、結晶性ポリエステル樹脂を構成する単量体とは異なるため、たとえば、NMR等の分析によっても結晶性ポリエステル樹脂と区別することができる。
非晶性ポリエステル樹脂については特に制限はなく、本技術分野における従来公知の非晶性ポリエステル樹脂が用いられうる。
≪多価カルボン酸成分≫
非晶性ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸成分としては、不飽和脂肪族多価カルボン酸または/および芳香族多価カルボン酸を用いることが好ましく、機械的強度が良好な樹脂層を形成でき、画像耐久性が一層向上することから、芳香族多価カルボン酸を用いることがより好ましい。なお、非晶性ポリエステル樹脂を形成することができるのであれば、飽和脂肪族多価カルボン酸を併用してもよい。
不飽和脂肪族多価カルボン酸としては、たとえば、メチレンコハク酸、フマル酸、マレイン酸、3-ヘキセンジオイック酸、3-オクテンジオイック酸、炭素数1~20のアルキル基または炭素数2~20のアルケニル基で置換されたコハク酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸:3-ブテン-1,2,3-トリカルボン酸、4-ペンテン-1,2,4-トリカルボン酸、アコニット酸などの不飽和脂肪族トリカルボン酸;4-ペンテン-1,2,3,4-テトラカルボン酸などの不飽和脂肪族テトラカルボン酸などが挙げられ、また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。炭素数1~20のアルキル基または炭素数2~20のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸、デセニルコハク酸等が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。中でも、本発明の効果を一層向上させる観点から、不飽和脂肪族多価カルボン酸は、フマル酸およびドデセニルコハク酸の少なくとも一方であることが好ましい。
芳香族多価カルボン酸としては、たとえば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、t-ブチルイソフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p-フェニレン二酢酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸)、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、ヘミメリット酸などの芳香族トリカルボン酸;ピロメリット酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸;メリト酸などの芳香族ヘキサカルボン酸などが挙げられ、また、これらの低級アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル等)や酸無水物を用いることもできる。中でも、本発明の効果を一層向上させる観点から、芳香族多価カルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸ならびにこれらの低級アルキルエステルおよび酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
飽和脂肪族多価カルボン酸の例としては、後述の結晶性ポリエステル樹脂の項で挙げた多価カルボン酸成分のうち、飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、中でもアジピン酸が好ましい。
≪多価アルコール成分≫
非晶性ポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分としては、芳香族多価アルコールまたは/および脂肪族多価アルコールを用いることが好ましい。
芳香族多価アルコールとしては、たとえば、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールF(ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジエチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、および1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなどのビスフェノール化合物およびこれらのアルキレンオキサイド付加物、1,3,5-ベンゼントリオール、1,2,4-ベンゼントリオール、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられ、また、これらの誘導体を用いることもできる。中でも、本発明の効果を一層向上させる観点から、芳香族多価アルコールは、ビスフェノールAおよびこれらのアルキレンオキサイド付加物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。ここで、アルキレンオキサイド付加物としては、例えば、(ポリ)エチレンオキサイド付加物、(ポリ)プロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
脂肪族多価アルコールは、飽和、不飽和のいずれであってもよい。飽和脂肪族多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオールネオペンチルグリコール、などが挙げられる。不飽和脂肪族多価アルコールとしては、たとえば、2-ブテン-1,4-ジオール、3-ブテン-1,4-ジオール、2-ブチン-1,4-ジオール、3-ブチン-1,4-ジオール、9-オクタデセン-7,12-ジオールなどの不飽和脂肪族ジオールが挙げられる。また、上記飽和脂肪族多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。さらに、これらの誘導体を用いることもできる。中でも、本発明の効果を一層向上させる観点から、脂肪族多価アルコールは、飽和脂肪族多価アルコールであることが好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
多価アルコール成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
≪非晶性ポリエステル樹脂の製造方法≫
非晶性ポリエステル樹脂の製造方法は特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸成分および多価アルコール成分を重縮合する(エステル化する)ことにより当該樹脂を製造することができる。
製造の際に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等の第2族元素を含む化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;およびアミン化合物等が挙げられる。入手容易性等を考慮すると、酸化ジブチルスズ、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ、これらの塩や、テトラブトキシチタネート(オルトチタン酸テトラブチル、Ti(O-nBu))、テトライソプロピルチタネート(チタンテトライソプロポキシド)、テトラメチルチタネートなどを用いることが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重縮合(エステル化)の温度は、特に限定されるものではないが、150~250℃であることが好ましい。また、重縮合(エステル化)の時間も、特に限定されるものではないが、0.5~15時間であることが好ましい。重縮合中には、必要に応じて反応系内を減圧してもよい。
≪非晶性ポリエステル樹脂の分子量≫
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)の下限は、好ましくは4,000以上であり、より好ましくは6,000以上であり、さらにより好ましくは8,000以上である。上記範囲内であれば、樹脂層の機械的強度が確保され、加飾粉体が剥がれにくくなり、画像耐久性が良好となる。また、樹脂層が過度に軟化して、加飾粉体が樹脂層中に埋没し、加飾画像の質感(メタリック感等)が低下するのをより抑制できる。さらに、環境耐久性(高湿環境保管後の画像耐久性)を一層向上させる観点から、好ましくは10,000以上であり、より好ましくは20,000以上であり、さらに好ましくは30,000以上である。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)の上限は、好ましくは250,000以下であり、より好ましくは200,000以下であり、さらに好ましくは150,000以下であり、さらにより好ましくは100,000以下であり、特に好ましくは70,000以下である。上記範囲内であれば、樹脂層がより低温で軟化して、より低温下で加飾粉体を固定化しやすくなる。また、上記範囲内であれば、樹脂層が記録媒体(特に紙)の繊維にしみこみやすくなり、樹脂層と記録媒体との密着性を確保でき、樹脂層が剥がれにくくなる。また、樹脂層に加飾粉体がめり込みやすくなり、接着面積が大きくなるため、加飾粉体が剥がれにくくなる。ゆえに、画像耐久性が良好となる。加えて、上記範囲内であれば、加飾画像の質感(メタリック感等)も良好となる。
なお、本明細書中、各樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値を採用するものとする。具体的には、装置「HLC-8120GPC」(東ソー株式会社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ-M3連」(東ソー株式会社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/分で流す。測定試料(樹脂)は、濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させる。当該溶液の調製は、超音波分散機を用いて、室温にて5分間処理を行うことにより行う。次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出する。単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成された検量線に基づいて、測定試料の分子量分布を算出する。上記検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
≪非晶性ポリエステル樹脂の酸価≫
非晶性ポリエステル樹脂の酸価の下限は、好ましくは0.5mgKOH/g以上であり、より好ましくは2mgKOH/g以上であり、さらに好ましくは5mgKOH/g以上であり、さらにより好ましくは10mgKOH/g以上であり、特に好ましくは15mgKOH/g以上である。上記範囲内であれば、樹脂層および加飾粉体間の接着性や、樹脂層および記録媒体間の親和性に優れるため、画像耐久性が良好となる。
非晶性ポリエステル樹脂の酸価の上限は、好ましくは35mgKOH/g以下であり、より好ましくは30mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは25mgKOH/g以下であり、さらにより好ましくは20mgKOH/g以下である。上記範囲内であれば、高湿下において樹脂層が吸湿して過度に軟化し、粉体が剥がれやすくなってしまうことを抑制できる。ゆえに、湿度の影響によって画像耐久性が変動するのを抑えることができる。また、後述する乳化分散によって非晶性ポリエステル樹脂分散液を調製する場合に、乳化粒子を容易に得やすい。
本明細書において、非晶性ポリエステル樹脂の酸価は、当該樹脂1g中に存在するカルボキシ基を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数(mgKOH/g)である。具体的には、JIS K0070-1992に準じ、下記の方法により決定される。
(1)試薬の準備
(a)フェノールフタレイン溶液
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mLに溶解し、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
(b)水酸化カリウム溶液
特級水酸化カリウム7gを5mLのイオン交換水に溶解し、エチルアルコール(95vol%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。
(c)水酸化カリウム溶液のファクター
水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1mol/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。
(d)塩酸溶液
前記0.1mol/L塩酸は、JIS K8001-1998に準じて調製されたものを用いる。
(2)操作
(a)本試験
試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン:エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。
次いで、指示薬として、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒続いたときとする。
(b)空試験
試料を用いない(すなわち、トルエン:エタノール(2:1)の混合液のみとする)以外は、同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して酸価を算出する。
A=[(C-D)×f×5.611]/S
ここで、
A:酸価(mgKOH/g)
C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)
D:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)
f:0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
5.611:水酸化カリウムのモル質量56.11(g/mol)×(1/10)
S:試料の質量(g)。
非晶性ポリエステル樹脂の含有量の下限は、樹脂層の全樹脂量に対して、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上であり、さらにより好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは70質量%以上である。上記範囲内であれば、より低温下で加飾粉体を固定化することができる(低温定着性が向上する)。また、樹脂層と加飾粉体との間や、樹脂層と記録媒体との間での密着性が良好となり、画像耐久性が良好となる。さらに、加飾画像の質感(メタリック感)も良好となる。
また、非晶性ポリエステル樹脂の含有量の上限は、樹脂層の全樹脂量に対して、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは97質量%以下であり、さらにより好ましくは95質量%以下であり、特に好ましくは90質量%以下である。上記範囲内であれば、低温定着性、質感または/および画像耐久性が一層向上する。
(結晶性ポリエステル樹脂)
本発明に係る画像形成方法において、樹脂層は、上記非晶性ポリエステル樹脂の他に、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを併用することで、樹脂層がより低温で軟化しやすくなり、より低温下で加飾粉体を固定化することができる。また、樹脂層および加飾粉体間の密着性がさらに向上し、画像耐久性がさらに向上する。
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂であって、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、実施例に記載の示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/minで測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
結晶性ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸成分および多価アルコール成分の価数としては、好ましくはそれぞれ2~3であり、特に好ましくはそれぞれ2であるため、価数がそれぞれ2である場合、すなわち、ジカルボン酸成分、ジオール成分について説明する。
≪ジカルボン酸成分≫
ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましく、芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。脂肪族ジカルボン酸としては、直鎖型のものを用いることが好ましい。直鎖型のものを用いることによって、結晶性が向上するという利点がある。ジカルボン酸成分は、1種類のものに限定されるものではなく、2種類以上を混合して用いてもよい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,11-ウンデカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸(テトラデカン二酸)、1,13-トリデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,16-ヘキサデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸などが挙げられる。
上記の脂肪族ジカルボン酸の中でも、本発明の効果が得られやすいことから、炭素数6~14の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素数8~14の脂肪族ジカルボン酸がより好ましく、炭素数8~12の脂肪族ジカルボン酸がさらにより好ましい。ここで、炭素数は、カルボキシル炭素を含まないものとする。
脂肪族ジカルボン酸と共に用いることのできる芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、t-ブチルイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、入手容易性および乳化容易性の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、t-ブチルイソフタル酸を用いることが好ましい。
その他、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、および上記のカルボン酸化合物の無水物あるいは炭素数1~3のアルキルエステルなども用いうる。
結晶性ポリエステル樹脂を形成するためのジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸の含有量が50構成モル%以上が好ましく、より好ましくは70構成モル%以上であり、さらに好ましくは80構成モル%以上であり、特に好ましくは100構成モル%である。上記範囲内であれば、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を十分に確保することができる。
≪ジオール酸成分≫
ジオール成分としては、脂肪族ジオールを用いることが好ましく、必要に応じて脂肪族ジオール以外のジオールを含有させてもよい。脂肪族ジオールとしては、直鎖型のものを用いることが好ましい。直鎖型のものを用いることによって、結晶性が向上するという利点がある。ジオール成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオールネオペンチルグリコール、などが挙げられる。
ジオール成分としては、脂肪族ジオールの中でも、炭素数2~12の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数3~8の脂肪族ジオールがより好ましい。
必要に応じて用いられる脂肪族ジオール以外のジオールとしては、二重結合を有するジオール、スルホン酸基を有するジオールなどが挙げられ、具体的には、二重結合を有するジオールとしては、例えば、1,4-ブテンジオール、2-ブテン-1,4-ジオール、3-ブテン-1,6-ジオール、4-ブテン-1,8-ジオールなどが挙げられる。また、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上の多価アルコールなどが挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂を形成するためのジオール成分としては、脂肪族ジオールの含有量が50構成モル%以上とされることが好ましく、より好ましくは70構成モル%以上であり、さらに好ましくは80構成モル%以上であり、特に好ましくは100構成モル%である。上記範囲内であれば、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を確保することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法は特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸および多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより製造することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒としては、上記非晶性ポリエステル樹脂の製造方法で用いられる触媒と同様である。
重合温度は特に限定されるものではないが、150~250℃であることが好ましい。また、重合時間は特に限定されるものではないが、0.5~10時間とすると好ましい。重合中には、必要に応じて反応系内を減圧してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは4,000~50,000であり、さらにより好ましくは5,000~30,000であり、特に好ましくは10,000~20,000である。上記範囲内であれば、本発明の効果が一層向上する。
結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、50~80℃であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の融点は、吸熱ピークのピークトップの温度を示し、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて示差走査熱量分析によってDSC測定された値である。具体的には、測定試料(結晶性ポリエステル樹脂)1.0mgを、アルミニウム製パン(KITNo.B0143013)に封入し、これを「ダイヤモンドDSC」のサンプルホルダーにセットし、測定温度0~200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、加熱-冷却-加熱の温度制御を行い、その2度目の加熱におけるデータを基に解析される。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量の下限は、樹脂層の全樹脂量に対して、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、さらにより好ましくは4質量%以上であり、特に好ましくは5質量%以上である。上記範囲内であれば、樹脂層がより低温で軟化するため、より低温下で粉体を固定化することができる(すなわち、低温定着性が良好となる)。また、樹脂層および加飾粉体間における接着性が良好となり、画像耐久性が良好となる。また、加飾画像の質感も良好となる
また、結晶性ポリエステル樹脂の含有量の上限は、樹脂層の全樹脂量に対して、好ましくは50質量%未満であり、より好ましくは40質量%未満であり、さらにより好ましくは35質量%未満であり、特に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であれば、樹脂層の過度な可塑化による粉体の埋没によって、加飾画像の質感(メタリック感等)が低下することを抑制できる。また、トナーを用いて樹脂層を形成する場合には、トナーの製造性や帯電性の点でも好ましい。
すなわち、本発明の好ましい一実施形態においては、樹脂層が非晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含有し、結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、前記樹脂層の全樹脂量に対して5~30質量%である。
樹脂層が非晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含有する場合において、両樹脂の質量比(非晶性ポリエステル樹脂:結晶性ポリエステル樹脂)は、好ましくは99:1~60:40であり、より好ましくは97:3~65:35であり、さらにより好ましくは95:5~70:30であり、特に好ましくは90:10~70:30である。上記範囲内であれば、低温定着性、質感または/および画像耐久性が一層向上する。
≪ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂≫
結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル重合セグメントと、結晶性ポリエステル樹脂以外の重合セグメント(以下、「その他の重合セグメント」とも称する)とが化学的に結合した樹脂(以下、「ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂」または「ハイブリッド樹脂」とも称する)であってもよい。
ハイブリッド樹脂の結合形態は、特に限定されない。例えば、ハイブリッド樹脂は、結晶性ポリエステル重合セグメントおよびその他の重合セグメントを有するブロック共重合した形態(ブロック共重合体)であってもよいし、結晶性ポリエステル重合セグメントによる側鎖が、その他の重合セグメントによる主鎖に結合した形態(グラフト共重合体)であってもよいし、また、その逆であってもよい。
結晶性ポリエステル重合セグメントは、上記した結晶性ポリエステル樹脂と同様であり、同様の多価カルボン酸と、多価アルコールとの重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂に由来する部分である。
結晶性ポリエステル重合セグメントの含有量は、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂の全量に対して、70~98質量%であることが好ましい。
その他の重合セグメントを構成する樹脂成分は特に制限されないが、例えば、アクリル酸エステル重合セグメント、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル重合セグメント、エチレン-酢酸ビニル重合セグメント、スチレンアクリル重合セグメント、ウレタン重合セグメント、ウレア重合セグメントなどが挙げられ、中でもスチレン-(メタ)アクリル酸エステル重合セグメント(スチレンアクリル重合セグメント)が好ましい。スチレンアクリル重合セグメントは、少なくともスチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを付加重合させて形成されるものである。スチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例は、下記と同様である。
その他の重合セグメントの含有量は、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂の全量に対して、2~30質量%であることが好ましい。
ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、優れた低温定着性および優れた光沢の制御性・安定性が得られるという観点から、3,000~100,000であると好ましく、4,000~50,000であるとより好ましく、5,000~30,000であると特に好ましい。また、数平均分子量(Mn)は、3,000~100,000であると好ましく、4,000~50,000であるとより好ましく、5,000~20,000であると特に好ましい。
ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂の製造方法は、上記結晶性ポリエステル重合セグメントとその他の重合セグメントとを化学結合させた構造の重合体を形成することが可能な方法であれば、特に制限されるものではないが、例えば以下に示す方法が挙げられる。
(a)その他の重合セグメントを予め重合しておき、当該その他の重合セグメントの存在下で結晶性ポリエステル重合セグメントを形成する重合反応を行ってハイブリッド樹脂を製造する方法:
(b)結晶性ポリエステル重合セグメントとその他の重合セグメントとをそれぞれ形成しておき、これらを結合させてハイブリッド樹脂を製造する方法。
[その他の樹脂]
本発明の画像形成方法において、樹脂層には、ポリエステル樹脂以外の樹脂(以下、単に「その他の樹脂」とも称する)が含まれていてもよく、その具体例としては、スチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、オレフィン樹脂(環状オレフィン樹脂を含む)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂など)、ポリスルホン樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ポリビニルエステル樹脂(ポリ酢酸ビニルなど)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリビニルアルコール樹脂およびこれらの誘導体樹脂、ゴムまたはエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエンゴム、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴムなど)などが挙げられる。これらは、単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。
その他の樹脂は、共重合体であってもよく、共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体のいずれでもよい。
その他の樹脂のガラス転移温度は、30~80℃であることが好ましく、特に40~65℃であることが好ましい。
その他の樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは4,000~70,000であり、さらにより好ましくは5,000~50,000である。
その他の樹脂の含有量は、樹脂層の全樹脂量に対して、好ましくは60質量%未満であり、より好ましくは50質量%未満であり、さらに好ましくは40質量%未満であり、さらにより好ましくは20質量%未満であり、特に好ましくは10質量%未満であり、最も好ましくは1質量%未満である(下限:0質量%)。上記範囲内であれば、本発明の効果が確保される。
その他の樹脂は、合成品であっても市販品であってもよい。その他の樹脂の合成方法は特に制限されず、高圧ラジカル重合法、中低圧重合法、溶液重合法、スラリー重合法、塊状重合法、乳化重合法、気相重合法等の公知の重合方法を用いることができる。また、重合時に使用するラジカル重合開始剤や触媒も特に制限はなく、例えば、アゾ系またはジアゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤といったラジカル重合開始剤;過酸化物触媒、チーグラー-ナッタ触媒、メタロセン触媒といった重合触媒;等を用いることができる。乳化重合法の場合は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等の水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。
本発明の画像形成方法において、後述の軟化工程を行う場合には、樹脂層の表面状態を制御しやすいという観点から、その他の樹脂は、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂およびスチレンアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、スチレンアクリル樹脂がより好ましい。
(スチレンアクリル樹脂)
本明細書中、スチレンアクリル樹脂は、スチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを共重合して得られる樹脂である。
スチレン単量体には、CH=CH-Cの構造式で表されるスチレンの他、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものも含まれる。具体的には、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体には、エステル結合を有する官能基を側鎖に有するものである。具体的には、CH=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステル単量体の他、CH=C(CH)COOR(Rはアルキル基)で表されるメタクリル酸エステル単量体などのビニル系エステル化合物が含まれる。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
また、スチレンアクリル樹脂には、上述したスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体のみで形成された共重合体の他に、一般のビニル単量体(オレフィン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、N-ビニル化合物類など)をさらに用いて形成される共重合体も含まれる。
さらに、スチレンアクリル樹脂には、スチレン単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体およびその他の一般のビニル単量体の他、多官能性ビニル単量体や、側鎖にイオン性解離基(カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基など)を有するビニル単量体を用いて形成される共重合体も含まれる。かようなビニル単量体の例としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などがある。
樹脂層における樹脂の含有量(すなわち、ポリエステル樹脂およびその他の樹脂の合計含有量)は、特に制限されないが、軟化工程において樹脂層の表面を軟化させ、樹脂層の表面状態を制御しやすくするという観点から、60~100質量%であると好ましく、75~95質量%であるとより好ましい。
[着色剤]
樹脂層に含まれてもよい着色剤としては、公知の着色剤が挙げられる。具体的には、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185;C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222;C.I.ピグメントブルー15:3;カーボンブラック、磁性体、チタンブラック;などが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。磁性体としては、例えば鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これら強磁性金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金などが挙げられる。熱処理することにより強磁性を示す合金としては、例えばマンガン-銅-アルミニウム、マンガン-銅-スズなどのホイスラー合金、二酸化クロムなどが挙げられる。着色剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
樹脂層における着色剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、樹脂層の全樹脂量(ポリエステル樹脂およびその他の樹脂の合計量)100質量部に対して、好ましくは0.5~20質量部であり、より好ましくは1~10質量部であり、さらにより好ましくは2~9質量部である。
[離型剤]
樹脂層に含まれてもよい離型剤は、特に制限されず、公知の離型剤を用いることができる。かような離型剤としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス;マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス;パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス;ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス;カルナウバワックス、モンタンワックス、ベヘニルベヘネート(ベヘン酸ベヘニル)、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス;エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックス等が挙げられるが、これらに制限されない。
樹脂層における離型剤の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に制限されないが、樹脂層の全樹脂量100質量部に対して、好ましくは1~30質量部であり、より好ましくは2~20質量部である。
[荷電制御剤]
樹脂層に含まれてもよい荷電制御剤は、特に制限されず、公知の荷電制御剤を用いることができる。
樹脂層における荷電制御剤の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に制限されないが、樹脂層の全樹脂量100質量部に対して、好ましくは0.01~30質量部であり、より好ましくは0.1~10質量部である。
[外添剤]
樹脂層に含まれてもよい外添剤としては、公知の金属酸化物粒子が挙げられる。例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子、および酸化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独でもまたは2種以上を併用してもよい。また、スチレン、メタクリル酸メチルなどの単独重合体やこれらの共重合体等の有機微粒子を外添剤として使用してもよい。また、樹脂層に含まれてもよい外添剤としては、滑剤も挙げられる。例えば、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
樹脂層における外添剤の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に制限されないが、樹脂層の全樹脂量100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは1~5質量部である。
[樹脂層の形成方法]
記録媒体上に樹脂層を形成する方法については、特に制限されない。たとえば、上記の樹脂層構成成分を適当な溶媒に溶解させて得た溶液を、記録媒体の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。この場合、樹脂層の塗布は、一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート等の方法により行うことができる。
また、上記樹脂層は、インクジェット方式や、電子写真方式といった印刷方式で記録媒体上に印刷された画像であってもよい。インクジェット方式および電子写真方式による画像の形成は、それぞれ公知の画像形成装置によって行うことができる。
本発明の効果をより得られやすいという観点から、樹脂層は、電子写真方式によって形成された画像であると好ましい。電子写真方式では、樹脂層構成成分を含むトナー粒子を製造し、該トナー粒子を感光体表面の静電潜像パターンに付着させてトナー像を形成し、当該トナー像を紙などの記録媒体に転写する。
以下では、トナー粒子の製造方法について説明する。
(トナー粒子の製造方法)
トナー粒子(以下、単に「トナー」とも称する)の製造方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。これらの中でも、粒径の均一性、形状の制御性、コア-シェル構造形成の容易性の観点からは、乳化凝集法を採用することが好ましい。
乳化凝集法は、界面活性剤や分散安定剤によって分散された樹脂の粒子(以下、「樹脂粒子」ともいう)の分散液を、着色剤の粒子などのトナー粒子構成成分の分散液と混合し、凝集剤を添加することによって所望のトナーの粒径となるまで凝集させ、その後または凝集と同時に、樹脂粒子間の融着を行い、形状制御を行うことにより、トナー粒子を形成する方法である。
トナー粒子中に内添剤を含有させる場合は、樹脂粒子が内添剤(例えば、離型剤、着色剤等)を含有したものとしてもよく、また、別途内添剤(例えば、離型剤、着色剤等)のみよりなる内添剤粒子の分散液を調製し、当該内添剤粒子を、樹脂粒子を凝集させる際に、共に凝集させてもよい。
また、乳化凝集法によってはコア-シェル構造を有するトナー粒子を得ることもでき、具体的にコア-シェル構造を有するトナー粒子は、先ず、コア粒子用の樹脂粒子と着色剤とを凝集(、融着)させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル部用の樹脂粒子を添加して、コア粒子表面にシェル部用の樹脂粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル部を形成することにより得ることができる。
乳化凝集法によりトナーを製造する場合、好ましい実施形態によるトナーの製造方法は、(a)樹脂層構成成分(ポリエステル樹脂等)をそれぞれ水系媒体に分散させて分散液を調製する工程(以下、「分散液調製工程」とも称する)と、(b)上記(a)で得られた各分散液を混合し、上記樹脂粒子を凝集・融着させる工程(以下、「凝集・融着工程」とも称する)と、を含む。
以下、各工程(a)および(b)、ならびにこれらの工程以外に任意で行われる各工程(c)~(e)について詳述する。
(a)分散液調製工程
工程(a)は、ポリエステル樹脂の分散液調製工程、および必要に応じて、その他の樹脂の分散液調製工程、着色剤分散液調製工程、離型剤分散液調製工程などを含む。
以下、各分散液を調製する工程を説明する。
(a-1)ポリエステル樹脂分散液調製工程
ポリエステル樹脂分散液調製工程は、上記のポリエステル樹脂(非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂)を合成し、該ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させてポリエステル樹脂粒子の分散液を調製する工程である。なお、ポリエステル樹脂の製造方法は上述したとおりであるため、詳細を割愛する。
ポリエステル樹脂分散液の調製方法としては、例えば、溶剤を用いることなく、水系媒体中において分散処理を行う方法、ポリエステル樹脂を溶剤に溶解させて溶液とし、当該溶液に水系媒体を添加した後、脱溶剤処理を行う方法などが挙げられる。本発明においては後者の方法が好ましい。後者の方法において使用される溶剤は、特に制限されず、例えば、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン等が挙げられる。
ここで、「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものをいい、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶剤を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶剤を使用することが好ましい。好ましくは、水系媒体として水のみを使用する。
ポリエステル樹脂はカルボキシル基を含む場合がある。よって、カルボキシル基をイオン解離させて、ポリエステル樹脂を水相に安定かつ円滑に乳化させて乳化を円滑に進めるために、アンモニア、水酸化ナトリウムなどを添加してもよい。
さらに、水系媒体中には、分散安定剤が溶解されていてもよく、また油滴の分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤や樹脂粒子などが添加されていてもよい。
分散安定剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、リン酸三カルシウムなどのように酸やアルカリに可溶性のものを使用することが好ましく、または環境面の視点からは、酵素により分解可能なものを使用することが好ましい。
界面活性剤としては、公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。
また、分散安定性の向上のための樹脂粒子としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリスチレン-アクリロニトリル樹脂粒子などが挙げられる。
このような上記分散処理は、機械的エネルギーを利用して行うことができ、分散機としては、特に限定されるものではなく、ホモジナイザー、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、高圧衝撃式分散機アルティマイザーなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂分散液におけるポリエステル樹脂粒子の平均粒径は、体積基準のメジアン径として、好ましくは60~1000nmであり、より好ましくは80~500nmであり、さらにより好ましくは100~250nmである。体積基準のメジアン径(D50)は、マイクロトラックUPA-150(日機装株式会社製)にて測定される値である。
ポリエステル樹脂分散液におけるポリエステル樹脂粒子の含有量は、分散液100質量%に対して10~50質量%の範囲とすることが好ましく、15~40質量%の範囲がより好ましい。上記範囲内であれば、粒度分布の広がりを抑制することができる。
(a-2)その他の樹脂の分散液調製工程
ここでは、「その他の樹脂」としてスチレンアクリル樹脂を例に挙げ、分散液調製工程を説明する。
スチレンアクリル樹脂分散液調製工程は、スチレンアクリル樹脂を合成し、該スチレンアクリル樹脂を水系媒体中に分散させてスチレンアクリル樹脂粒子の分散液を調製する工程である。
スチレンアクリル樹脂を水系媒体中に分散させる方法としては、特に制限されないが、例えば、スチレンアクリル樹脂を得るための単量体からスチレンアクリル樹脂粒子を形成し、当該スチレンアクリル樹脂粒子の水系分散液を調製する方法が好ましい。
本方法においては、スチレンアクリル樹脂を得るための単量体を重合開始剤と共に水系媒体中に添加して重合する。当該水系媒体は上記(a-1)で説明した通りであり、この水系媒体中には、分散安定性を向上させる目的で、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン-2-ドデシルエーテル硫酸ナトリウム等の界面活性剤や樹脂粒子などが添加されていてもよい。
重合開始剤としては、水溶性重合開始剤を用いることができる。水溶性重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性ラジカル重合開始剤を好適に用いることができる。
本方法においては、スチレンアクリル樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン;n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、ステアリル-3-メルカプトプロピオネートなどのメルカプトプロピオン酸;およびスチレンダイマーなどを用いることができる。これらは一種単独であるいは二種以上組み合わせて用いることができる。
なお、方法(I)では、スチレンアクリル樹脂を得るための単量体からスチレンアクリル樹脂粒子を形成する際に、前記単量体とともに離型剤を分散させることにより、スチレンアクリル樹脂粒子中に離型剤を含有させてもよい。また、多段階の重合反応によりスチレンアクリル樹脂粒子の分散液を調製してもよい。
スチレンアクリル樹脂分散液におけるスチレンアクリル樹脂粒子の粒径は、体積基準のメジアン径で、好ましくは60~1000nmであり、より好ましくは80~500nmであり、さらにより好ましくは100~250nmである。体積基準のメジアン径(D50)は、マイクロトラックUPA-150(日機装株式会社製)にて測定される値である。
スチレンアクリル樹脂分散液におけるスチレンアクリル樹脂粒子の含有量は、5~50質量%が好ましく、より好ましくは10~40質量%である。このような範囲であると、粒度分布の広がりを抑制することができる。
(a-3)着色剤分散液調製工程/離型剤分散液調製工程
着色剤分散液調製工程は、着色剤を水系媒体中に分散させて着色剤粒子の分散液を調製する工程である。また、離型剤分散液調製工程は、離型剤を水系媒体中に分散させて離型剤粒子の分散液を調製する工程である。
当該水系媒体は上記(a-1)で説明した通りであり、この水系媒体中には、分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤や樹脂粒子などが添加されていてもよい。
着色剤/離型剤の分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができ、このような分散機としては、特に限定されるものではなく、上記(a-1)において説明したものを用いることができる。
(b)凝集・融着工程
この凝集・融着工程は、水系媒体中で前述のポリエステル樹脂粒子、および必要に応じて、その他の樹脂粒子と、着色剤粒子と、更に必要に応じて離型剤粒子とを凝集させ、凝集させると同時にこれら粒子を融着させ、トナー母体粒子を得る工程である。
この工程では、上記(a)で得た各分散液を混合する。ここで、各分散液の配合量を調節することで、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、その他の樹脂の含有割合が好ましい範囲に制御することができる。
次に、アルカリ金属塩、第2族元素を含む塩、アルミニウム塩等を凝集剤として添加した後、樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱して凝集を進行させ、同時に樹脂粒子同士を融着させる。次に、凝集した粒子の大きさが目標の大きさになった時に、食塩水等の塩を添加して凝集を停止させる。
凝集工程においては、凝集用分散液の温度を一定時間、好ましくは体積基準のメジアン径が4.5~7.0μmになるまで保持(熟成)することにより、融着を継続させることが肝要である。また、熟成中の粒子の平均円形度を測定し、好ましくは0.920~1.000になるまで熟成工程(結晶熟成工程ともいう)を行うことが好ましい。
(c)冷却工程
この冷却工程は、上記のトナー母体粒子の分散液を冷却処理する工程である。冷却処理における冷却速度は、特に制限されないが、0.2~20℃/分が好ましい。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
(d)濾過、洗浄、乾燥工程
濾過工程では、トナー母体粒子の分散液からトナー母体粒子を濾別する。濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェなどを使用して行う減圧濾過法、フィルタープレスなどを使用して行う濾過法などがあり、特に限定されるものではない。
次いで、洗浄工程で洗浄することにより濾別されたトナー母体粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や凝集剤などの付着物を除去する。洗浄処理は、濾液の電気伝導度が、例えば5~20μS/cmレベルになるまで水洗処理を行うものである。
乾燥工程では、洗浄処理されたトナー母体粒子に乾燥処理が施される。この乾燥工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等公知の乾燥機が挙げられ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機等を使用することも可能である。乾燥処理されたトナー母体粒子に含有される水分量は、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下である。
また、乾燥処理されたトナー母体粒子同士が弱い粒子間引力で凝集している場合には、解砕処理を行ってもよい。解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー(登録商標)、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(e)外添剤処理工程
この工程は、乾燥処理したトナー母体粒子表面へ必要に応じて外添剤を添加、混合してトナー粒子を作製する工程である。外添剤の添加により、トナー粒子の流動性、帯電性、クリーニング性等が向上するため、樹脂層の形成を円滑に行うことができる。
(現像剤)
上記のようにして得られたトナー粒子は、磁性または非磁性の1成分磁性トナーとして使用することもできる。またキャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。
2成分現像剤を使用する場合、2成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子を用いることが好ましい。
キャリアとしては、さらに磁性粒子の表面を樹脂等の被覆剤で被覆したコートキャリア、またはバインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散した分散型キャリア等用いてもよい。被覆用の樹脂組成としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン樹脂、シクロヘキシルメタクリレート-メチルメタクリレート共重合体、スチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、シリコーン樹脂、エステル樹脂あるいはフッ素樹脂などが用いられる。また、分散型キャリアを構成するための樹脂(バインダー樹脂)としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂など使用することができる。
キャリアの体積基準のメジアン径(体積平均粒径)は、15~100μmが好ましく、25~80μmがより好ましい。キャリアの体積基準のメジアン径(d50)は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)等により測定することができる。
[樹脂層の特性]
記録媒体上に形成される樹脂層の厚さは、加飾粉体が保持されるのであれば、特に制限されないが、例えば3~20μmである。樹脂層の厚さは、均一であってもよいし、不均一であってもよい。樹脂層の厚みの目安として、例えば、樹脂層がトナーにより形成される場合(樹脂層がトナー像である場合)、トナーの付着量が、0.1g/m~25.0g/mであると好ましく、1.0g/m~20.0g/mであるとより好ましい。
<加飾粉体>
本発明の一形態に係る画像形成方法において、加飾粉体(本明細書中、単に「粉体」とも称する)は、加飾の目的や、所期の質感に応じて適宜選択することができる。
樹脂層に供給される粉体の形状、大きさは特に制限されず、所期の質感を達成するために適切な形状および大きさを選択することが好ましい。
粉体は、形状の観点から、球形(球形粉体)、非球形(非球形粉体)に大別される。ここで、「球形粉体」とは、その断面形状または投影形状の平均円形度が0.970以上である粉体をいう(上限:1.000)。なお、当該平均円形度は、公知の方法によって求めることができる。また、「非球形粉体」は、球形粉体以外の粉体であり、その断面形状または投影形状の平均円形度が0.970未満である粉体をいう。非球形粉体の平均円形度の下限は特に制限されないが、0.001以上であると好ましい。
なかでも、粉体の配向を制御することにより所期の質感(特に、ミラー調・パール調・マット調からグリッター調・グロス調まで)が得られることから、粉体の形状は、非球形であると好ましい。すなわち、加飾粉体は非球形粉体を含むと好ましい。このとき、粉体の全量に対する非球形粉体の含有量は多いほど好ましい。具体的には、粉体の総質量に対する非球形粉体の含有量が50~100質量%であると好ましく、70~100質量%であるとより好ましい。さらに同様の観点から、上記非球形粉体は、扁平状粉体(すなわち、扁平な形状を有する粒子)を含むとより好ましい。このとき、非球形粉体の全量に対する扁平状粉体の含有量は多いほど好ましい。具体的には、非球形粉体の総質量に対する扁平状粉体の含有量が50~100質量%であると好ましく、70~100質量%であるとより好ましい。ここで、「扁平状」または「扁平な形状」とは、当該粉体(粒子)における最大長さを長径L、当該長径Lに直交する方向における最大長さを短径l、上記長径Lに直交する方向の最少長さを厚みt、とするときに、厚みtに対する短径lの比率(l/t)が5以上である形状であることをいう。「扁平状」および「扁平な形状」の用語には、例えば、フレーク状、鱗片状、板状、薄片状等と称される形状が包含される。
加飾粉体の粒径(粉体が非球形粉体である場合には、直線距離で最も長い部分の長さ)は、0.5~1000μmであると好ましく、1~500μmであるとより好ましく、1~150μmであると特に好ましい。上記範囲内であれば、樹脂層に良好に固定化され、かつ加飾画像の質感も良好となる。
加飾粉体の粒径(長径、短径を含む)は、例えば、走査型電子顕微鏡観察により測定できる。また、扁平状粉体の長径、短径および厚みの値は、上記方法により測定された値の平均値を採用する。
加飾粉体の材料は、特に限定されず、例えば、樹脂、ガラス、金属、金属酸化物等の種々の材料を用いることができる。なかでも、粉体は、金属および金属酸化物の少なくとも一方を含むと好ましく、金属を含むことがより好ましい。金属を含むと、加飾画像のメタリック感を良好に発現することができる。加飾粉体を構成する材料は、1種単独であってもよいし、2種以上であってもよい。粉体が2種以上の材料を含む場合は、均一に分散されている形態であってもよいし、一方の材料に他の材料が積層されてなる(被覆されてなる)形態であってもよい。かような形態として、例えば、樹脂やガラス等からなる基材(コア)に対して金属および/または金属酸化物からなる被膜(シェル)が積層した形態;金属および/または金属酸化物からなる基材(コア)に対して樹脂やガラス等からなる被膜(シェル)が積層した形態;などが挙げられるが、これらに限定されない。
加飾粉体は、合成品であってもよいし市販品であってもよい。非球形粉体の例としては、メタシャイン(登録商標)(日本板硝子株式会社)、サンシャインベビー クロムパウダー、オーロラパウダー、パールパウダー(株式会社GGコーポレーション)、ICEGEL ミラーメタルパウダー(株式会社TAT)、ピカエース(登録商標) MCシャインダスト、エフェクトC(株式会社クラチ)、プリジェル(登録商標) マジックパウダー、ミラーシリーズ(有限会社プリアンファ)、Bonnail(登録商標)シャインパウダー(株式会社ケイズプランイング)、エルジーneo(登録商標)(尾池工業株式会社)、UBS-0010E(ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。また、球形粉体の例としては、高精度ユニビーズ(登録商標)(ユニチカ株式会社)、ファインスフィア(登録商標)(日本電気硝子製)等が挙げられる。
本発明の画像形成方法において使用される加飾粉体は、1種のみであってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
<記録媒体>
本発明の一形態に係る画像形成方法において使用される記録媒体としては、特に制限されず、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙またはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙等の紙類;ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等のプラスチックフィルム;布などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、記録媒体の色は特に限定されず、種々の色の記録媒体を使用することができる。
本発明の画像形成方法において、加熱を伴う軟化工程を有する場合には、記録媒体は、耐熱性を有するものであると好ましい。このような記録媒体を用いることにより、樹脂層および粉体が安定的に保持され、得られる加飾画像の耐久性が向上する。なお、「耐熱性」とは、軟化工程において到達する最も高い記録媒体の表面温度に対し、記録媒体の表面状態の変化、化学変化、物理的変化のいずれもが小さいことを意味する。
<画像形成方法>
本発明に係る画像形成方法は、好ましくは、(I)記録媒体上に加飾粉体を供給する粉体供給工程(以下、単に「粉体供給工程」とも称する)と、(II)記録媒体上に形成された樹脂層を軟化させる軟化工程(以下、単に「軟化工程」とも称する)とを有する。(II)軟化工程は、上記(I)粉体供給工程の前に行われてもよいし、後に行われてもよいし、また、同時に行われてもよい。
本発明の一形態に係る画像形成方法は、上記(I)粉体供給工程および(II)軟化工程に加え、任意で(III)加飾粉体が供給された樹脂層を摺擦する摺擦工程(以下、単に「摺擦工程」とも称する)をさらに含んでいてもよい。
以下、各工程について説明する。
[(I)粉体供給工程]
粉体供給工程では、記録媒体上に加飾粉体を供給する。ここで、「記録媒体上に加飾粉体を供給する」とは、記録媒体の直上に加飾粉体を供給する形態または記録媒体上に形成された他の層(例えば樹脂層)上に加飾粉体を供給する形態のいずれであってもよいことを意味する。中でも、少量の加飾粉体の使用で良好な質感を発現できることから、粉体供給工程では、記録媒体上に形成された樹脂層上に加飾粉体を供給することが好ましい。
粉体供給工程では、記録媒体上に加飾粉体を供給する。粉体の供給方法は特に制限されない。粉体供給工程において用いられる粉体供給手段としては、粉体の性状に応じて公知の装置を用いることができる。例えば、特開2013-178452号公報(上記特許文献3)に記載された粉末供給手段を、本発明に係る粉体供給手段として用いることができる。また、本発明の一形態に係る粉体供給手段は、図1~図3に示すような、粉体収容部11および粉体供給ローラー12を備えた粉体供給装置10であってもよい。
記録媒体に対して供給される加飾粉体の量は、特に制限されず、所望の質感を発現できる量であれば特に制限されない。
記録媒体上に形成された樹脂層上に加飾粉体を供給する場合において、加飾粉体は、樹脂層が形成された部分にのみ選択的に供給されてもよいし、当該樹脂層が形成された部分のみならず、樹脂層が形成されていない部分も含む記録媒体表面の全体に対して供給されてもよい。さらに、樹脂層表面の一部に粉体を供給してもよいし、樹脂層表面の全体に供給されてもよい。
[(II)軟化工程]
軟化工程は、上記(I)粉体供給工程の前に行われてもよいし、上記(I)粉体供給工程の後に行われてもよいし、上記(I)粉体供給工程と同時に行われてもよい。軟化工程では、例えば、樹脂層を加熱する、樹脂層に対して光を照射する等により、樹脂層を軟化(溶融)させる。中でも、樹脂層全体を均一に軟化でき、作業が容易であることから、軟化工程は、樹脂層を加熱することを有することが好ましい。
樹脂層の加熱温度の上限は、省エネルギーの観点から、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、85℃以下がさらにより好ましい。また、樹脂層の加熱温度の下限は、樹脂層を速やかに軟化させる観点から、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらにより好ましい。また、樹脂層の加熱時間は、特に制限されないが、樹脂層を適度に軟化させる観点から、10秒~5分程度が好ましい。
軟化工程において用いられる加熱手段としては、特に制限されず、公知の装置を用いることができる。図1~図3に示されるように、本発明の一形態に係る加熱手段としての加熱装置20は、記録媒体の搬送方向に対して、粉体供給装置(粉体供給手段)10の前に備えられていてもよいし、粉体供給装置(粉体供給手段)10の後に備えられていてもよい。これらの装置の配設順序は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程の行われる順序に応じて、適宜決定される。また、粉体の供給と加熱を同時に実施できる設備を備えた装置を用いることにより、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程を同時に行うことができる。
加熱手段としての加熱装置20(以下、「熱源」とも称する)は、樹脂層を軟化させる程度に加熱できるものであればよく、例えば、赤外線ランプ、ニクロム線、プレート状ヒーター、熱風等が挙げられる。
軟化工程において、加熱手段、記録媒体および樹脂層の配置は特に制限されない。すなわち、例えば図1~図3では記録媒体1の樹脂層2が形成される面とは反対の面側に加熱装置20が配置されているが、記録媒体の樹脂層が形成される面側に加熱装置が配置されてもよい。
加熱は、樹脂層が形成された記録媒体を静置した状態で行ってもよいし、移動させながら行ってもよい。記録媒体を移動させながら加熱する方法としては、例えば、記録媒体をベルトコンベア等の搬送手段によって移動させながら加熱する方法が挙げられる。このとき、記録媒体の移動(搬送)速度は特に制限されない。生産性および所望の質感の得やすさなど考慮して、適宜設定することができる。
[(III)摺擦工程]
本発明の一形態に係る画像形成方法は、上記(I)粉体供給工程および上記(II)軟化工程の後に、加飾粉体が供給された樹脂層を摺擦する摺擦工程を含むことが好ましい。摺擦工程を行うことにより、加飾粉体と樹脂層の接着性が向上し、加飾粉体が剥がれにくくなるため、画像耐久性および環境耐久性が向上する。また、余分な加飾粉体を取り除くことができる。さらに、樹脂層に対する加飾粉体の配向状態を均一にし、面内の光沢を均一にできるため、高いメタリック感が得られる。ここで、「摺擦」とは、摺擦手段(摺擦部材)が記録媒体上の樹脂層の表面に接触しながら、当該表面に沿って、上記樹脂層に対して相対的に移動することをいう。
また、上記「摺擦」は、樹脂層(加飾粉体が付着した樹脂層)の押圧を伴うことが好ましい。すなわち、摺擦工程では、粉体が供給された樹脂層を摺擦すると共に、押圧することを含むと好ましい。樹脂層を押圧することにより、粉体の一部が樹脂層の内部に押し込まれるため、樹脂層に対する粉体の接着を強くすることができる。よって、最終的に形成される光沢画像の強度を向上させられることに加え、形成される光沢画像におけるミラー調、パール調やマット調などの所期の外観を明瞭にすることができる。ここで、「押圧」とは、樹脂層の表面に対して交差する方向(例えば垂直方向)に樹脂層の表面を押すことをいう。
摺擦工程は、粉体が付着した樹脂層を、摺擦手段を用いて摺擦することにより行う。具体的には、摺擦工程は、加飾粉体が付着した樹脂層に対し、摺擦手段としての摺擦部材を接触させ、当該樹脂層に対して摺擦部材を相対的に移動させることにより行う。このとき、摺擦部材を移動させる方向は特に制限されず、一方向のみであってもよいし、往復運動させてもよいし、さらに多数の方向であってもよい。ただし、粉体の配向を制御しやすく、乱反射の少ないミラー調、パール調やマット調といった質感を形成する観点では、摺動部材の移動方向は、一方向のみであると好ましい。
摺擦と共に押圧を行う場合、押圧力は、特に制限されないが、樹脂層の表面に対して1~30kPaであると好ましい。1kPa以上であると、樹脂層に対する粉体の付着強度を十分に得ることができ、画像耐久性が良好となる。また、30kPa以下であると、記録媒体上に形成された樹脂層を安定して保持することができ、画像耐久性が良好となる。
摺擦工程において用いられる摺擦手段としては特に制限されず、公知の装置を用いることができる。図2~図3に示されるように、本発明の一形態に係る摺擦手段としての摺擦部材30は、記録媒体の搬送方向に対して、粉体供給装置(粉体供給手段)10の後に、または、加熱装置(加熱手段)20の後に備えられうる。これらの装置の配設順序は、各工程が行われる順序に応じて、適宜決定される。
摺擦手段に備えられる摺擦部材としては、例えば、図2~図3に示すような回転部材であってもよいし、往復運動する部材や、固定されている部材のような非回転部材であってもよい。より具体的には、摺擦部材は、水平な表面を有する樹脂層の表面に接して水平方向に、当該表面に対して相対的に移動可能な部材であってもよいし、樹脂層の表面に接する回転自在なローラー(回転ローラー)であってもよい。なかでも、作業効率の観点から、摺擦部材は、回転部材であると好ましく、回転自在なローラー(回転ローラー)であるとより好ましい。
上記摺擦部材は、樹脂層を押圧しながら、その表面が上記樹脂層の表面に対して相対的に移動自在に構成されると好ましい。摺擦部材によって押圧を行う場合、例えば、搬送されている記録媒体(樹脂層が形成された記録媒体)を、固定された摺擦部材で押圧することによって押圧を行ってもよい。あるいは、上記押圧は、記録媒体の搬送方向と同じ方向に回転し、且つ記録媒体の搬送速度よりも遅い速度で回転するローラーで摺擦することによって押圧を行ってもよいし、あるいは、記録媒体の搬送方向とは逆の方向に回転するローラーで摺擦することによって行ってもよいし、あるいは、記録媒体の搬送方向に対してその回転軸が斜めとなる向きに配置された回転自在なローラーで摺擦することによって押圧を行ってもよいし、あるいは、樹脂層の表面上を往復運動する部材で摺擦することによって押圧を行ってもよい。
よって、摺擦部材は、樹脂層の表面を押圧しながら記録媒体に対して相対的に異なる方向へ移動自在に構成されていると好ましい。
また、上記摺擦部材は、柔軟性を有することが好ましい。摺擦部材の柔軟性は、例えば、摺擦時に、樹脂層の表面の形状に追従可能な程度に摺擦部材の表面が変形する程度の柔らかさであると好ましい。すなわち、摺擦部材は、変形追従性を有していると好ましい。このような柔軟性を有する摺擦部材としては、例えば、スポンジ、ブラシ等が挙げられるがこれらに制限されない。
本発明の一形態に係る画像形成方法は、上記(I)粉体供給工程および(II)軟化工程ならびに任意で行われる(III)摺擦工程に加え、例えば、樹脂層形成工程、粉末除去工程、追い刷り印刷工程等の工程を含んでいてもよい。
[樹脂層形成工程]
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程の前に、樹脂層形成工程をさらに含んでいてもよい。
樹脂層形成工程では、記録媒体上に樹脂層を形成する。樹脂層の形成方法については、上述したとおりである。
さらに、本発明の一形態に係る画像形成方法において、上記樹脂層は、記録媒体上に定着される前の画像(未定着画像)であってもよいし、定着された画像(定着画像)であってもよい。樹脂層の表面に粉体を配置しやすく、十分に光沢性を有する画像を形成しやすいという観点から、樹脂層は、記録媒体上に定着された定着画像であると好ましい。すなわち、本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程の前に、定着画像形成工程をさらに含んでいると好ましい。定着画像は、その表面が均一に平滑に整えられているため、樹脂層中への加飾粉体の埋没が抑制され、質感の良好な加飾画像を得ることができる。また、加飾粉体の埋没を抑制しつつ、樹脂層の表面に加飾粉体を配置することができるため、多量の加飾粉体を使用する必要がなく、経済性の観点からも好ましい。
定着画像形成工程は、公知の定着画像形成装置、特には、電子写真方式を利用した画像形成装置によって行うことができる。定着画像形成方法の一例として、トナー像が転写された記録媒体に、定着手段にて熱および圧力を加え、記録媒体上のトナー像を記録媒体上に定着させる方法が採用されうる。当該方法により形成されるトナー像を樹脂層として、本発明の一形態に係る画像形成方法を行うことにより、上述のように、樹脂層中への加飾粉体の埋没が抑制でき、質感の良好な加飾画像を得ることができる。
[粉体除去工程]
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程の後、ならびに必要に応じて行われる(III)摺擦工程の後に、粉体除去工程をさらに含んでいてもよい。粉体除去工程では、樹脂層に付着しなかった加飾粉体を記録媒体上から除去する。このとき、記録媒体上から除去された加飾粉体を回収して再利用してもよい。すなわち、本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程の後、または必要に応じて行われる(III)摺擦工程の後、樹脂層に付着しなかった加飾粉体を記録媒体上から回収する、粉体回収工程をさらに含んでいてもよい。このように、加飾に用いられなかった余分な加飾粉体を回収することは、経済性の観点および環境負荷の軽減の観点から好ましい。
加飾粉体の除去または回収方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。例えば、刷毛やブラシ等の部材で掻きとる方法、粘着テープ等の粘着部材で除去する方法、粉体を吸引または吸着することができる集粉器等の公知の器械で吸引する方法等が挙げられる。このように、粉体の除去または回収工程を行うための粉体除去手段(部材)または粉体回収手段(部材)としては、上述のように、刷毛やブラシ等の部材、粉体に対して粘着性を有する粘着部材、粉体を吸引する吸引部材を有する集粉器等を用いることができる。また、粉体が磁性粉末である場合には、マグネット部材を有する集粉器を用いてもよい。
[追い刷り印刷工程]
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程の後、ならびに必要に応じて行われる(III)摺擦工程および/または粉体除去工程の後に、追い刷り印刷工程をさらに含んでいてもよい。追い刷り印刷工程では、粉体の付着した樹脂層(すなわち粉体加飾画像)を有する記録媒体上に、さらに画像を形成する。追い刷り印刷方法については、特に制限されず、公知の手法を用いることができ、たとえば、インクジェット方式や、電子写真方式といった印刷方式を用いることができる。また、追い刷り印刷工程を行うための追い刷り印刷手段としては、公知の装置を用いることができる。追い刷り印刷工程をさらに有することで、多様な付加価値を有する印刷物を得ることができ、多様なニーズに応えることができるため、有用である。
[各工程の順序]
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程を含み、これらの各工程の順序は特に制限されない。すなわち(II)軟化工程は、(I)粉体供給工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよいし、また、同時に行ってもよい。
((I)粉体供給工程の後に(II)軟化工程を行う画像形成方法)
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程の後に(II)軟化工程を行ってもよい。(II)軟化工程によって樹脂層を軟化させた後に樹脂層上に粉体を供給すると、樹脂層の軟化から粉体の供給までの間に、樹脂層が硬化し、加飾粉体が樹脂層に付着しにくくなることがある。したがって、(II)軟化工程を先に行う場合には、樹脂層の加熱温度を高くする必要がある。これに対し、(I)粉体供給工程を先に行うことにより、樹脂層上に加飾粉体がある状態で加熱されて樹脂層が軟化するため、加熱を最小限とすることができる。さらに、(I)粉体供給工程から(II)軟化工程までの間の時間が長くなっても加飾部分を形成することができるため、プロセス速度を高速にする必要もない。したがって、エネルギー効率の観点からは、上記の順で各工程を行うことが好ましい。
((II)軟化工程の後に(I)粉体供給工程を行う画像形成方法)
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(II)軟化工程の後に(I)粉体供給工程を行ってもよい。樹脂層上に加飾粉体が配置された状態で加熱すると、熱が加飾粉体によって拡散することがある。これに対し、(II)軟化工程を先に行うことにより、このような熱拡散を抑制することができ、光沢を付与する部分の端部をより明瞭に形成することができる。すなわち、光沢を付与する部分のエッジをシャープに形成することができる。
((I)粉体供給工程および(II)軟化工程を同時に行う画像形成方法)
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程を同時に行ってもよい。具体的には、樹脂層に加飾粉体を供給する位置に対して、少なくとも粉体が供給されている間に加熱する手法を用いてもよい。本形態では、少なくとも(I)粉体供給工程が行われている間に(II)軟化工程が行われていればよく、例えば、(I)粉体供給工程の開始直前に(II)軟化工程が開始され、(I)粉体供給工程の終了と共に(II)軟化工程を終了する形態であってもよい。また、(II)軟化工程は、(I)粉体供給工程の終了直後に終了してもよい。
このように、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程を同時に行う形態とすることで、エネルギー(熱)の損失を少なくすることができ、光沢を付与する部分のエッジをシャープに形成することができるという利点がある。
(好ましい形態)
上述のように、本発明に係る画像形成方法は、上記(I)および(II)の工程の後に、(III)摺擦工程をさらに行うと好ましい。したがって、本発明に係る画像形成方法の好ましい一形態は、(I)粉体供給工程と、(II)軟化工程と、(III)摺擦工程と、この順に行うことを含む。また、本発明に係る画像形成方法の他の好ましい一形態は、(II)軟化工程と、(I)粉体供給工程と、(III)摺擦工程と、をこの順に行うことを含む。さらに、本発明に係る画像形成方法の他の好ましい一形態は、(I)粉体供給工程と、(II)軟化工程と、を同時に行った後、(III)摺擦工程をさらに行うことを含む。
また、上述のように、これらの(I)~(III)の工程の前に、樹脂層形成工程を行うと好ましく、当該樹脂層形成工程は、定着画像形成工程であると好ましい。すなわち、本発明に係る画像形成方法の好ましい一形態は、定着画像形成工程と、(I)粉体供給工程と、(II)軟化工程と、(III)摺擦工程と、をこの順に行うことを含む。また、本発明に係る画像形成方法の他の好ましい一形態は、定着画像形成工程と、(II)軟化工程と、(I)粉体供給工程と、(III)摺擦工程と、をこの順に行うことを含む。さらに、本発明に係る画像形成方法の他の好ましい一形態は、定着画像形成工程の後、(I)粉体供給工程と、(II)軟化工程と、を同時に行い、その後、(III)摺擦工程をさらに行うことを含む。
さらに、上述のように、上記(I)~(III)の工程の後、さらに粉体除去工程(好ましくは、粉体回収工程)および/または追い刷り印刷工程を行ってもよい。
<画像形成装置>
本発明の一形態に係る画像形成方法を行うための画像形成装置は、記録媒体上に加飾粉体を供給する粉体供給手段、および記録媒体上に形成された樹脂層を加熱するための加熱手段を有していると好ましい。また、本発明の一形態に係る画像形成方法を行うための画像形成装置は、記録媒体上に加飾粉体を供給すると共に加熱する、粉体供給および加熱手段を有していてもよい。さらに、上記画像形成装置は、必要に応じて、加飾粉体が供給された樹脂層(粉体が付着した樹脂層)を摺擦する摺擦手段、樹脂層に付着しなかった加飾粉体を記録媒体上から除去する粉体除去手段(好ましくは、粉体回収手段)、および加飾粉体の付着した樹脂層(すなわち、すでに加飾の施された光沢画像)を有する記録媒体上に、さらに画像を形成する画像形成手段(追い刷り印刷手段)をさらに有していると好ましい。これら摺擦手段、粉体除去手段(好ましくは粉体回収手段)、画像形成手段(追い刷り印刷手段)は、単独で、または2種以上を組み合わせて画像形成装置に備えられうる。なかでも、画像形成装置が上記画像形成手段(追い刷り印刷手段)をさらに有していると、高い付加価値を有する画像の生産性を高めるという観点から好ましい。
なお、上記の粉体供給手段、加熱手段、摺擦手段、粉体除去手段(粉体回収手段)、画像形成手段(追い刷り印刷手段)等の具体的な説明は、上記各工程に係る説明に記載の通りである。
また、上記の画像形成装置は、前述した定着画像形成装置が設けられている筐体と同じ筐体内に設けられていてもよいし、定着画像形成装置が設けられている筐体の外部に設けられていてもよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、実施例中において特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。なお、各樹脂の重量平均分子量および酸価は、上述した方法により測定した。また、各樹脂のガラス転移温度は、下記方法により測定した。また、各樹脂は、製造後、温度20℃、湿度50%RHの環境に保管し、製造日から2週間以内に物性を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、「DSC7000X」(株式会社 日立ハイテクサイエンス製)を用いて測定した。まず、測定試料(樹脂)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、「DSC7000X」のサンプルホルダーにセットした。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。そして、昇温速度10℃/分で0℃から200℃まで昇温することによってDSC曲線を得た。得られたDSC曲線における第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度(Tg)とした。
<非晶性ポリエステル樹脂分散液の調製>
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1)の調製]
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物
(BPA-EO) :15モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物
(BPA-PO) :85モル部
・テレフタル酸(TPA) :55モル部
・フマル酸(FA) :35モル部
・トリメリット酸(TMA) :10モル部
撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、フマル酸およびトリメリット酸以外の上記モノマーを投入し、さらに、触媒としてジオクチル酸錫0.5モル部を投入した。窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃に降温して、フマル酸およびトリメリット酸を加え、1時間反応させた。温度を220℃まで5時間かけて昇温し、10kPaの圧力下で所望の分子量になるまで重合させ、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂(a1)を得た。非晶性ポリエステル樹脂(a1)は、重量平均分子量が29,000、酸価は18.1mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は55℃であった。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂(a1)200質量部と、メチルエチルケトン100質量部と、イソプロピルアルコール35質量部と、10質量%アンモニア水溶液7.0質量部とをセパラブルフラスコに入れ、十分に混合、溶解した後、40℃で加熱撹拌しながら、送液ポンプを用いてイオン交換水を送液速度8g/分で滴下し、送液量が580質量部になったところで滴下を止めた。その後減圧下で溶剤除去を行い、非晶性ポリエステル樹脂分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が25質量%となるように調整し、非晶性ポリエステル樹脂(a1)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1)を調製した。この分散液中の樹脂粒子の体積基準のメジアン径(D50)を、マイクロトラックUPA-150(日機装株式会社製)にて測定したところ、156nmであった。
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A2)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂(a1)の作製において、モノマーを下記表1の組成に変更した以外は同様にして、非晶性ポリエステル樹脂(a2)を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂(a2)の重量平均分子量は5,400、酸価は24.6mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は52℃であった。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1)の調製と同様の方法にて、非晶性ポリエステル樹脂(a2)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A2)を調製した。
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A3)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂(a1)の作製において、モノマーを下記表1の組成に変更した以外は同様の方法で非晶性ポリエステル樹脂(a3)を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂(a3)の重量平均分子量は8,700、酸価は24.4mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は53℃であった。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1)の調製と同様の方法にて、非晶性ポリエステル樹脂(a3)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A3)を調製した。
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A4)の調製]
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物
(BPA-EO) :20モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物
(BPA-PO) :80モル部
・テレフタル酸(TPA) :55モル部
・フマル酸(FA) :30モル部
・n-ドデセニルコハク酸(DDSA) :5モル部
・トリメリット酸(TMA) :10モル部
非晶性ポリエステル樹脂(a1)の作製において、モノマーを上記の組成に変更した以外は同様の方法で非晶性ポリエステル樹脂(a4)を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂(a4)の重量平均分子量は67,000、酸価は23.9mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は56℃であった。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1)の調製と同様の方法にて、非晶性ポリエステル樹脂(a4)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A4)を調製した。
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A5)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂(a1)の作製において、モノマーを下記表1の組成に変更した以外は同様の方法で非晶性ポリエステル樹脂(a5)を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂(a5)の重量平均分子量は145,000、酸価は24.2mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1)の調製と同様の方法にて、非晶性ポリエステル樹脂(a5)の粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A5)を調製した。
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A6)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂(a1)の作製において、非晶性ポリエステル樹脂(a1)の反応終了時にテレフタル酸ジメチル(DMT)5モル部を添加し、非晶性ポリエステル樹脂(a6)を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂(a6)の重量平均分子量は68,000、酸価は6.1mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は56℃であった。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1)の調製と同様の方法にて、非晶性ポリエステル樹脂(a6)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A6)を調製した。
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A7)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂(a6)の作製において、テレフタル酸ジメチル10モル部を添加したこと以外は同様の方法で非晶性ポリエステル樹脂(a7)を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂(a7)の重量平均分子量は142,000、酸価は5.8mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1)の調製と同様の方法にて、非晶性ポリエステル樹脂(a7)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A7)を調製した。
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A8)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂(a6)の作製において、テレフタル酸ジメチル12モル部を添加したこと以外は同様の方法で非晶性ポリエステル樹脂(a8)を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂(a8)の重量平均分子量は172,000、酸価は5.7mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は58℃であった。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1)の調製と同様の方法にて、非晶性ポリエステル樹脂(a8)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A8)を調製した。
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A9)の調製]
(非晶性ポリエステル樹脂(a9)の合成)
・ポリオキシエチレン(2,2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
(BPA-PEO) :30モル部
・ポリオキシプロピレン(2,2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
(BPA-PPO) :125モル部
・イソフタル酸(IPA) :14モル部
・フマル酸(FA) :40モル部
・n-ドデセニルコハク酸(DDSA) :40モル部
・トリメリット酸(TMA) :6モル部
加熱乾燥した二口フラスコに、トリメリット酸以外の上記モノマーを仕込んだ。ついで、触媒としてジブチル錫オキサイド0.7モル部を入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150~230℃で約12時間共縮重合反応させ、その後、トリメリット酸を反応終了時に添加した。210~250℃で徐々に減圧して、非晶性ポリエステル樹脂(a9)を合成した。得られた非晶性ポリエステル樹脂(a9)の重量平均分子量は29,200、酸価は23.9KOHmg/g、ガラス転移温度(Tg)は55℃であった。
次いで、撹拌装置、温度計を具備した5Lのセパラブルフラスコにメチルエチルケトン175質量部、イソプロパノール70質量部を投入し、混合溶剤とした後、上記の非晶性ポリエステル樹脂(a9)350質量部を徐々に投入し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)で撹拌しながら40℃に加熱し、完全に溶解させ油相を得た。この撹拌されている油相に10%NHOH水溶液9.6質量部を滴下し、更にイオン交換水を滴下して転相乳化させた。ついでエバポレータで減圧しながら脱溶剤を実施し、固形分濃度30質量%の非晶性ポリエステル樹脂(a9)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A9)を得た。該分散液中の樹脂粒子の体積平均粒径は、マイクロトラックUPA-150(日機装株式会社製)により測定される体積基準のメジアン径で、180nmであった。
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A10)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂(a9)の作製において、モノマーを下記表1の組成に変更した以外は同様の方法で非晶性ポリエステル樹脂(a10)を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂(a10)の重量平均分子量は31,000、酸価は26.0mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は55℃であった。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A9)の調製と同様の方法にて、非晶性ポリエステル樹脂(a10)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A10)を調製した。
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A11)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂(a9)の作製において、イソフタル酸をテレフタル酸47モル部に変更し、反応終了時にテレフタル酸ジメチル3モル部を添加して非晶性ポリエステル樹脂(a11)を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂(a11)の重量平均分子量は11,000、酸価は5.4mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は54℃であった。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A9)の調製と同様の方法にて、非晶性ポリエステル樹脂(a11)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A11)を調製した。
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A12)の調製]
・ネオペンチルグリコール :60モル部
・エチレングリコール :60モル部
・テレフタル酸 :40モル部
・イソフタル酸 :55モル部
・アジピン酸 :5モル部
・無水トリメリット酸 :2.5モル部
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、無水トリメリット酸以外の上記モノマーを仕込んだ。反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、触媒としてチタンテトライソプロポキシド0.5モル部を添加し、窒素ガス気流下にて4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応した後、1.3kPa~4kPa(10mmHg~30mmHg)の減圧下にて4時間反応させた。その後、無水トリメリット酸2.5モル部を追加して、常圧下、180℃にて2時間反応させ、更に8kPaにて反応させることにより非晶性ポリエステル樹脂(a12)を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂(a12)の重量平均分子量は33,000、酸価は9.6mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は55℃であった。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A9)の調製と同様の方法にて、非晶性ポリエステル樹脂(a12)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A12)を調製した。
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A13)の調製]
・プロピレングリコール :200モル部
・テレフタル酸 :85モル部
・アジピン酸 :15モル部
非晶性ポリエステル樹脂(a12)の作製において、モノマーを上記の組成に変更した以外は同様の方法で非晶性ポリエステル樹脂(a13)を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂(a13)の重量平均分子量は22000、酸価は0.9mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は55℃であった。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A9)の調製と同様の方法にて、非晶性ポリエステル樹脂(a13)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A13)を調製した。
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(A14)の調製]
・アジピン酸ジメチル:28モル部
・テレフタル酸ジメチル:116モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物:68モル部
・エチレングリコール:11モル部
・テトラブトキシチタネート(触媒):0.01モル部
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した後、160℃で7時間共縮重合反応させ、その後、1.3kPa(10torr)まで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し4時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸4モル部を加え、再度1.3kPa(10torr)まで徐々に減圧し220℃で1時間保持することにより、非晶性ポリエステル樹脂(a14)を合成した。得られた非晶性ポリエステル樹脂(a14)の重量平均分子量は32,000、酸価は11.4mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は64℃であった。
次に、下記成分を1000mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーターにより撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに90rpmで撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより、非晶性ポリエステル樹脂(a14)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液(A14)(固形分濃度:30質量%)を得た。樹脂粒子分散液の体積平均粒径は、162nmであった:
・非晶性ポリエステル樹脂(a14):160質量部
・酢酸エチル:233質量部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1質量部。
下記表1に、製造した非晶性ポリエステル樹脂の組成および物性を示す。表1中、各略称は以下のとおりである:
BPA-EO:ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物
BPA-PO:ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物
BPA-PEO:ビスフェノールAポリオキシエチレン付加物
BPA-PPO:ビスフェノールAポリオキシプロピレン付加物
NPG:ネオペンチルグリコール
EG:エチレングリコール
PG:プロピレングリコール
TPA:テレフタル酸
DMT:テレフタル酸ジメチル
IPA:イソフタル酸
TMA:トリメリット酸
ATMA:無水トリメリット酸
FA:フマル酸
DDSA:n-ドデセニルコハク酸
APA:アジピン酸
DMA:アジピン酸ジメチル。
Figure 0007180286000001
<結晶性ポリエステル樹脂分散液の調製>
[結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製]
・ドデカン二酸200質量部
・1,6-ヘキサンジオール102質量部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー及び精留塔を備えた反応容器に、上記モノマーを仕込み、反応系の温度を1時間かけて190℃に上昇させ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてTi(O-nBu)を0.3質量部投入し、更に、生成される水を留去しながら反応系の温度を150℃から6時間かけて240℃に上昇させ、更に、240℃に維持した状態で6時間脱水縮合反応を継続して重合反応を行うことにより、非ハイブリッド型の結晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)は、重量平均分子量(Mw)が14,500、融点(Tm)が70℃であった。
次いで、得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)72質量部をメチルエチルケトン72質量部に、70℃で30分撹拌し溶解させた。次に、この溶液を撹拌しながら、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.5質量部を添加した。次いで、イオン交換水250質量部にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを濃度が1質量%になるよう溶解させた水溶液を70分にわたり滴下した。次いで、この乳化液を70℃で保温したまま、ダイヤフラム式真空ポンプ「V-700」(BUCHI社製)を使用し、15kPa(150mbar)の減圧下で3時間撹拌することで、メチルエチルケトンを蒸留除去し、結晶性ポリエステル樹脂(1)による粒子が分散された結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を調製した。結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)に含まれる粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定器「LA-750(HORIBA製)」にて測定した結果、132nmであった。
[結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)の調製]
両反応性モノマーを含む、スチレンアクリル重合セグメント(StAc)の原料モノマー及びラジカル重合開始剤を滴下ロートに入れた:
スチレン 8.2質量部
n-ブチルアクリレート 2.7質量部
アクリル酸 0.5質量部
重合開始剤(ジ-t-ブチルパーオキサイド) 1.7質量部。
また、下記の結晶性ポリエステル重合セグメント(CPES)の原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた:
ドデカン二酸 250質量部
1,6-ヘキサンジオール 128質量部
次いで、撹拌下でスチレンアクリル重合セグメント(StAc)の原料モノマーを90分かけて滴下し、60分間熟成を行ったのち、減圧下(8kPa)にて未反応の付加重合モノマーを除去した。なお、このとき除去されたモノマー量は、上記の原料モノマーに対してごく微量であった。その後、エステル化触媒としてTi(O-nBu)を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、更に減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。次いで、200℃まで冷却した後、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることにより、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(2)を得た。得られたハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(2)は、重量平均分子量(Mw)が18,900、融点(Tm)が69℃であった。
次いで、結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(1)を、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(2)に変更した以外は同様にして、結晶性ポリエステル樹脂(2)の粒子が分散された結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)を調製した。
<スチレンアクリル樹脂分散液の調製>
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン-2-ドデシルエーテル硫酸ナトリウム5質量部と、イオン交換水3000質量部とを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を75℃に昇温させた。
昇温後、過硫酸カリウム(KPS)3質量部をイオン交換水100質量部に溶解させたものを添加し、液温を75℃とした後、
・スチレン(St) :568質量部
・n-ブチルアクリレート(BA) :164質量部
・メタクリル酸(MAA) :68質量部
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、75℃において3時間にわたって加熱、撹拌することによって重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子(a1)の分散液を調製した。
(2)第2段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン-2-ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、70℃に加熱後、
・樹脂粒子(a1)分散液 :72質量部(固形分換算)
・スチレン(St) :201質量部
・n-ブチルアクリレート(BA) :93質量部
・メタクリル酸(MAA) :20質量部
・n-オクチルメルカプタン :4.2質量部
・ベヘン酸ベヘニル(離型剤) :100質量部
70℃に昇温した単量体混合液にベヘン酸ベヘニルを添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、1時間混合、分散させて、乳化粒子(油滴)を含有する分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム(KPS)5質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を75℃において1時間にわたって加熱、撹拌することによって重合(第2段重合)を行い、これにより樹脂粒子(a2)の分散液を調製した。
(3)第3段重合
樹脂粒子(a2)の分散液に過硫酸カリウム(KPS)5質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下において、
・スチレン(St) :354質量部
・n-ブチルアクリレート(BA) :126質量部
・メタクリル酸(MAA) :33質量部
・n-オクチルメルカプタン :8.4質量部
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合(第3段重合)を行い、その後、28℃まで冷却することにより、体積基準のメジアン径(d50)が168nmである、水系媒体中に離型剤を含有したスチレンアクリル樹脂粒子が分散されたスチレンアクリル樹脂分散液(1)(固形分濃度27質量%)を調製した。得られたスチレンアクリル樹脂の重量平均分子量は30,000、ガラス転移温度(Tg)は53℃であった。
<着色剤分散液(1)の調製>
ドデシル硫酸ナトリウム90.0質量部をイオン交換水1600.0質量部に添加した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420.0質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤分散液(1)を調製した。得られた着色剤分散液(1)について、着色剤粒子の平均粒径(体積基準のメジアン粒径)は115nmであった。なお、着色剤粒子の体積基準のメジアン径は、「MICROTRAC UPA-150」(HONEYWELL社製)を用いて測定した。
<光輝性顔料の調製>
内径30cm、長さ35cmのボールミル内に、アトマイズドアルミニウム粉(平均粒径15μm)250g、ミネラルスピリット1.2kg、およびオレイン酸25gからなる配合物を充填し、直径3mmのガラスビーズ(比重2.6)15kgを用い、60rpmで3時間摩砕した。摩砕終了後、ミル内のスラリーをミネラルスピリットで洗い出し、400メッシュの振動篩にかけ、通過したスラリーをフィルターで濾過し、濃縮して、加熱残分80%のケーキを得た。得られたケーキを縦型ミキサー内に移し、所定量のソルベントナフサを加え、15分混合後、乾燥し、加熱残分99.2%、投影面積が1.6m/g、体積基準のメジアン径(d50)が10.2μmである光輝性顔料を得た。
<離型剤分散液の調製>
[離型剤分散液(W1)の調製]
・ベヘン酸ベヘニル(離型剤、融点73℃) :45質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲン(登録商標)RK) :5質量部
・イオン交換水 :200質量部
上記の材料を混合し80℃に加熱して、IKA社製のウルトラタラックスT50にて十分に分散した。その後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理した後、分散液にイオン交換水を加えて固形分量を15質量%に調整して離型剤粒子の分散液(W1)を調製した。この分散液中の離型剤粒子における体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器LA-750(HORIBA製)にて測定したところ、210nmであった。
[離型剤分散液(W2)の調製]
・カルナウバワックス(東亜化成製、RC-160) :50質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲン(登録商標)RK) :1.0質量部
・イオン交換水 :200質量部
上記の材料を混合し95℃に加熱して、IKA社製のウルトラタラックスT50にて十分に分散した。その後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理した後、分散液にイオン交換水を加えて固形分量を15質量%に調整して離型剤粒子の分散液(W1)を調製した。この分散液中の離型剤粒子における体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器LA-750(HORIBA製)にて測定したところ、230nmであった。
<トナー母体粒子の作製>
以下、トナー母体粒子の作製において、各分散液の質量部は固形分換算である。
[トナー母体粒子(1)の作製]
≪凝集・融着工程および熟成工程≫
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1) :1040質量部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(1) :160質量部
・離型剤分散液(W1) :160質量部
・着色剤分散液(1) :187質量部
・アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液) :40質量部
・イオン交換水 :1500質量部
温度計、pH計および撹拌器を備えた4リットルの反応容器に上記の材料を入れ、温度25℃下に1.0%硝酸を添加してpHを3.0に調整した。その後、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックス(登録商標)T50)にて3,000rpmで分散しながら、濃度2%の硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液100質量部を30分かけて添加した。滴下終了後、10分間撹拌し、原料と凝集剤を十分に混合した。
その後、反応容器に撹拌器およびマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌されるように撹拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとにコールターマルチサイザー3(アパーチャー径100μm、ベックマン・コールター社製)にて粒径を測定した。体積基準のメジアン径が5.9μmになったところで温度を保持し、予め混合しておいた下記追加原料の混合液を20分間かけて投入した。
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1) :400質量部
・アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液) :15質量部
次いで、50℃に30分間保持した後、反応容器に、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)20%液を8質量部添加した後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料分散液のpHを9.0に制御した。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で85℃まで昇温し、85℃で保持した。
≪冷却工程≫
その後、「FPIA-3000」を用いて測定した形状係数が0.970になった時点で降温速度10℃/分で30℃まで冷却し、トナー母体粒子(1)の分散液を得た。
≪濾過・洗浄工程および乾燥工程≫
その後、濾過し、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー母体粒子(1)を得た。得られたトナー母体粒子(1)は、体積基準のメジアン径は6.0μm、平均円形度は0.971であった。
[トナー母体粒子(2)の作製]
トナー母体粒子(1)の作製において、初期原料を下記の様に変更したこと以外は、トナー母体粒子(1)と同様にして、トナー母体粒子(2)を作製した。
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1) :400質量部
・スチレンアクリル樹脂分散液(1) :640質量部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(2) :160質量部
・離型剤分散液(W1) :160質量部
・着色剤分散液(1) :187質量部
・アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液) :40質量部
・イオン交換水 :1500質量部
得られたトナー母体粒子(2)は、体積基準のメジアン径は6.1μm、平均円形度は0.972であった。
[トナー母体粒子(3)の作製]
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1) :240質量部
・スチレンアクリル樹脂分散液(1) :800質量部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(2) :160質量部
トナー母体粒子(1)の作製において、上記のように各分散液の質量部を変更した以外は同様にして、トナー母体粒子(3)を得た。得られたトナー母体粒子(3)は、体積基準のメジアン径は6.1μm、平均円形度は0.971であった。
[トナー母体粒子(4)~(15)の作製]
トナー母体粒子(1)の作製における初期原料および追加原料の非晶性ポリエステル樹脂分散液において、調製した非晶性ポリエステル樹脂分散液(A4)~(A13)をそれぞれ用いたこと以外は同様にして、トナー母体粒子(4)~(15)を得た。
[トナー母体粒子(16)の作製]
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1) :1152質量部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(1) :48質量部
トナー母体粒子(1)の作製において、上記のように各分散液の質量部を変更した以外は同様にして、トナー母体粒子(16)を得た。
[トナー母体粒子(17)の作製]
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1) :1120質量部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(1) :80質量部
トナー母体粒子(1)の作製において、上記のように各分散液の質量部を変更した以外は同様にして、トナー母体粒子(17)を得た。
[トナー母体粒子(18)の作製]
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1) :720質量部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(1) :480質量部
トナー母体粒子(1)の作製において、上記のように各分散液の質量部を変更した以外は同様にして、トナー母体粒子(18)を得た。
[トナー母体粒子(19)の作製]
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1) :640質量部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(1) :560質量部
トナー母体粒子(1)の作製において、上記のように各分散液の質量部を変更した以外は同様にして、トナー母体粒子(19)を得た。
[トナー母体粒子(20)の作製]
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(2) :160質量部
トナー母体粒子(1)の作製において、上記のように結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)に変更した以外は同様にして、トナー母体粒子(20)を得た。
[トナー母体粒子(21)の作製]
・スチレンアクリル樹脂粒子分散液(1) :1205質量部
・着色剤分散液(1) :187質量部
・イオン交換水 :2000質量部
・塩化マグネシウム :200質量部
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、スチレンアクリル樹脂分散液(1)、とイオン交換水2000質量部を投入した後、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH(25℃換算)を10に調整した。その後、着色剤分散液(1)を投入し、次いで、塩化マグネシウムをイオン交換水200質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温し、90℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径(d50)が5.9μmになったになったところで温度を保持し、予め混合しておいた下記追加原料を20分間かけて投入した。
・スチレンアクリル樹脂粒子分散液(1) :400質量部
液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム100質量部をイオン交換水450質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、85℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナー粒子の平均円形度が0.970になった時点で10℃/minの冷却速度で30℃まで冷却し、トナー母体粒子(21)を得た。
[トナー母体粒子(22)の作製]
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(A14) :450質量部
・離型剤分散液(W2) :50質量部
・光輝性顔料分散液 :365質量部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897) :1.40質量部
上記原料を2Lの円筒ステンレス容器(直径30cm)に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス(登録商標)T50)により4000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75質量部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、層流を形成するための2枚パドルの撹拌翼を用いた撹拌装置(撹拌翼の形状:三枚プロペラ、撹拌翼の大きさ(直径)15cm)、および温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、撹拌回転数を1200rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、54℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2以上3.5以下の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。
次に、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A14)100質量部を追添加し、前記凝集粒子の表面に樹脂粒子を付着させた。さらに56℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.0に上げた後、67.5℃まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、67.5℃で保持したままpHを6.0まで下げ、1時間後に加熱を止め、0.1℃/分の降温速度で冷却し、トナー母体粒子(22)を得た。得られたトナー母体粒子(22)の体積平均粒径は12.2μmであった。
その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥した。
<現像剤の作製>
[現像剤(1)の作製]
トナー母体粒子(1)100質量部に対して下記外添剤を添加し、「ヘンシェルミキサー(登録商標)」(日本コークス工業株式会社製)にて外添処理を行い、トナー粒子を作製した:
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ微粒子 0.6質量部
n-オクチルシラン処理した二酸化チタン微粒子 0.8質量部
なお、ヘンシェルミキサー(登録商標)による外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。また、上記外添剤の上記シリカ微粒子の粒径は、体積基準のメジアン径で12nmであり、上記二酸化チタン微粒子の粒径は、体積基準のメジアン径で20nmであった。
上記トナー粒子に、メチルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートとの共重合体でその表面が被覆されている、体積平均粒径40μmのフェライトキャリア粒子をトナー濃度が6質量%となる量で混合し、現像剤(1)を作製した。
[現像剤(2)~(21)の作製]
トナー母体粒子(1)の代わりに、トナー母体粒子(2)~(21)を用いたこと以外は、現像剤(1)の作製と同様にして、現像剤(2)~(21)を作製した。
[現像剤(22)の作製]
得られたトナー母体粒子(22)100質量部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)を1.5質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)を1.0質量部とを、サンプルミルを用いて10000rpmで30秒間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分し、キャリアと混合して現像剤(22)を調製した。
<低温定着性評価>
[実施例1-1~20-1、比較例1-1]
「AccurioPressC2060」(コニカミノルタ株式会社製、「AccurioPress」は同社の登録商標)の改造機に、各現像剤および記録媒体である王子製紙製PODグロスコート(坪量128g/m)を収容し、2cm×2cmの正方形のパッチ模様を有する樹脂製画像(厚さ5μm)を記録媒体上に出力した。上記樹脂製画像は、黒色(ブラック)を呈していた。
次に、60℃に加熱したホットプレートの上に、上記樹脂製画像を上に向けて記録媒体を置き、30秒後に、樹脂製画像上に粉体1(サンシャインベビー D-9クロムパウダー、株式会社GGコーポレーション製、扁平状、粒径25~40μm)を散布し、30秒静置して、加飾画像を得た。この加飾画像に0.30MPaの圧縮空気を吹き付け、粉体1の密着性を確認した。粉体が樹脂製画像から取れた場合は、ホットプレートの表面温度を1℃上げ、上記と同様にして粉体加飾画像を形成し、粉体1の密着性を同様に確認した。粉体加飾画像に圧縮空気を吹き付けても粉体が取れなくなったホットプレートの表面温度を最低粉体定着温度とし、以下の判定規準で評価した。85℃未満(ランク2以上)を合格とした:
ランク5:65℃以上70℃未満
ランク4:70℃以上75℃未満
ランク3:75℃以上80℃未満
ランク2:80℃以上85℃未満
ランク1:85℃以上。
<質感評価>
[実施例1-2]
上記<低温定着性評価>と同様にして、2cm×2cmの正方形のパッチ模様を有する樹脂製画像(厚さ5μm)を記録媒体上に出力した。
次に、85℃に加熱したホットプレートの上に、上記樹脂製画像を上に向けて記録媒体を置き、30秒後に、樹脂製画像上に粉体1(サンシャインベビー D-9クロムパウダー、株式会社GGコーポレーション製、扁平状金属粉体)を散布し、上記樹脂製画像のパッチ画像の表面をスポンジローラで摺擦した。摺擦時の押圧力は、約10kPaである。摺擦後、上記樹脂製画像を室温条件下で冷却した後、刷毛によって残余の粉体1を画像の表面から除去し、加飾画像を形成した。10人の被験者が目視で加飾画像を観察し、十分なメタリック感を感じるか否かを評価した。十分なメタリック感を感じられると答えた人が5人以上を合格とした。
[実施例2-2~実施例20-2、比較例1-2~2-2]
現像剤(1)の代わりに現像剤(2)~(22)を用いて樹脂製画像を出力したこと以外は、実施例1と同様にして加飾画像を形成し、その質感を評価した。
[実施例21-2]
加飾粉体を散布した後に摺擦工程を行わなかったこと以外は、実施例1-2と同様にして加飾画像を形成し、その質感を評価した。
[実施例22-2]
粉体1の代わりに粉体2(ホウケイ酸ガラスビーズ「UBS-0010E」、ユニチカ株式会社製、扁平状、粒径1~10μm)を散布したこと以外は、実施例1-2と同様にして加飾画像を形成した。10人の被験者が目視で加飾画像を観察し、ホウケイ酸ガラスビーズ特有の質感を感じるか否かを評価した。十分な質感を感じられると答えた人が5人以上を合格とした。
<画像耐久性評価>
上記<質感評価>に記載の方法で形成した加飾画像の1つのパッチ(2cm×2cm)について、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX-6000を用いて、照明モードにおいて同軸落射を選択し、倍率200倍で写真を撮影した。当該写真データに対し、自動面積測定(粒子カウント)における抽出モードにおいて「輝度」を選択し、抽出パラメータにおけるしきい値は0のままとして二値化処理を行い、粉体が抽出された二値化画像を得た。次に、当該二値化画像全体に占める粉体存在部分の面積割合(%)を算出した。1パッチ内の4箇所の領域について当該面積割合を算出し、平均化することにより、劣化試験前における粉体供給領域(パッチ)に対する粉体による隠ぺい率を求めた。
次いで、上記パッチの表面を、ブラシローラーを用い、100kPaの押圧力で45秒こすった(劣化試験)。劣化試験後の画像を、同様に株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX-6000を用いて倍率200倍で写真を撮影した。当該写真データに対し、自動面積測定(粒子カウント)における抽出モードにおいて「輝度」を選択し、抽出パラメータにおけるしきい値は0のままとして二値化処理を行い、粉体が抽出された二値化画像を得た。次に、当該二値化画像全体に占める粉体存在部分の面積割合(%)を算出した。1パッチ内の4箇所の領域について当該面積割合を算出し、平均化することにより、劣化試験後における粉体供給領域(パッチ)に対する粉体による隠ぺい率(%)を求めた。次に、下記式(1)に基づいて劣化試験後の粉体の残存率を算出した。
続いて、粉体供給領域(パッチ)に対して記録媒体が露出した領域を検出しやすくするため、劣化試験前のパッチに対し、オレンジ色の蛍光ペンで画像の上から優しく押し当てるようにして記録媒体の露出部分を着色した。着色した画像を、キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX-6000を用い、照明モードをリング照明に設定し、200倍にて写真を撮影した。自動面積測定(粒子カウント)における抽出モードにおいて「色」を選択し、抽出パラメータにおけるしきい値は0のままとして二値化処理を行い、当該写真データにおいてオレンジ色に着色された領域(記録媒体)が抽出された二値化画像を得た。次に、当該二値化画像全体に占める記録媒体の露出部分の面積割合(%)を算出した。1パッチ内の4箇所の領域について当該面積割合を算出し、平均化することにより、劣化試験前における粉体供給領域(パッチ)に対する記録媒体の露出面積率(%)を求めた。
次いで、前記劣化試験後のパッチに対し、同様にオレンジ色の蛍光ペンで記録媒体露出部分を着色した。着色した画像を、キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX-6000を用い、照明モードをリング照明に設定し、200倍にて写真を撮影した。自動面積測定(粒子カウント)における抽出モードにおいて「色」を選択し、抽出パラメータにおけるしきい値は0のままとして二値化処理を行い、当該写真データにおいてオレンジ色に着色された領域(記録媒体)が抽出された二値化画像を得た。次に、当該二値化画像全体に占める記録媒体の露出部分の面積割合(%)を算出した。1パッチ内の4箇所の領域について当該面積割合を算出し、平均化することにより、劣化試験後における粉体供給領域(パッチ)に対する記録媒体の露出面積率(%)を求めた。次いで、下記式(2)に基づいて、劣化試験後の樹脂層の残存率(%)を算出した。
Figure 0007180286000002
下記基準に基づいて劣化試験後の粉体および樹脂層の残存率を判定した。劣化試験前後の粉体の残存率は60%以上(ランク2以上)を合格とし、樹脂層の残存率は94%以上(ランク2以上)を合格とした:
[粉体の残存率]
ランク5:90%以上
ランク4:80%以上、90%未満
ランク3:70%以上、80%未満
ランク2:60%以上、70%未満
ランク1:60%未満
[樹脂層の残存率]
ランク5:100%(樹脂層のはがれなし)
ランク4:98%以上、100%未満
ランク3:96%以上、98%未満
ランク2:94%以上、96%未満
ランク1:94%未満。
<環境耐久性(高湿環境下での画像耐久性)評価>
上記<質感評価>に記載の方法で形成した加飾画像を高湿環境下(温度25℃、湿度70%RH)に6時間放置後、上記<画像耐久性評価>と同様の劣化試験を行い、上記式(1)に基づいて、劣化試験後の粉体の残存率を求めた。劣化試験後の粉体の残存率は60%以上(ランク2以上)を合格とした:
[粉体の残存率]
ランク5:90%以上
ランク4:80%以上、90%未満
ランク3:70%以上、80%未満
ランク2:60%以上、70%未満
ランク1:60%未満。
また、<画像耐久性評価>にて算出された劣化試験後の粉体の残存率をA(%)、<環境耐久性評価>にて算出された劣化試験後の粉体の残存率をB(%)とし、これらの差分A-B(%)を算出し、表3に示す。当該差分が小さいほど、画像耐久性の環境変動が小さい(湿度の影響によって画像耐久性が変動しにくい)ことを意味する。
Figure 0007180286000003
Figure 0007180286000004
表2に示すように、記録媒体上にポリエステル樹脂を含むトナーを用いて樹脂層を形成し、該樹脂層上に加飾粉体を供給した場合には、85℃未満で加飾粉体を樹脂層に固定化でき、低温定着性に優れていた(実施例1-1~実施例20-1)。また、表3に示すように、上記の場合には、良好な質感を有する加飾画像が得られた(実施例1-2~実施例22-2)。また、得られた加飾画像は、劣化試験後も高い粉体残存率を示し、画像耐久性に優れていた。さらに、高湿環境で保管した後で劣化試験を行っても、高い粉体残存率を示し、環境耐久性に優れていた。さらに、酸価が25mgKOH/g以下の非晶性ポリエステル樹脂を使用して樹脂層を形成した場合には、画像耐久性の環境変動(A-B)が10%未満であり、湿度によって画像耐久性が変動しにくいことがわかった。
一方、表3に示すように、光輝性顔料を添加したトナーを用いて加飾画像を形成した場合には、加飾画像の質感に乏しかった(比較例2-2)。また、表3に示すように、記録媒体上にポリエステル樹脂を含まないトナーを用いて樹脂層を形成し、該樹脂層上に加飾粉体を供給した場合には、得られる加飾画像が、摩擦により樹脂層ごと加飾粉体が脱離してしまい、画像耐久性に乏しかった(比較例1-2)。
以上の結果から、本発明の画像形成方法によれば、低温下(85℃未満)で加飾粉体を固定化でき、所望の質感(光沢感等)を発現し、かつ画像耐久性に優れた加飾画像を形成することができることがわかった。
1 記録媒体
2 定着画像
10 粉体供給装置(粉体供給手段)
11 粉体収容部
12 粉体供給ローラー
20 加熱装置(加熱手段)
30 摺擦部材(摺擦手段)

Claims (10)

  1. 記録媒体上に形成された樹脂層と、加飾粉体と、を含む画像を形成することを有する画像形成方法であって、
    前記記録媒体上に形成された樹脂層上に前記加飾粉体を供給する粉体供給工程(ただし、前記加飾粉体と共に、トナー粒子を形成する結着樹脂を供給する形態を除く)と、
    前記樹脂層を軟化させる軟化工程と、を有し、
    前記樹脂層が非晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含有し、前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、前記樹脂層の全樹脂量に対して5~30質量%である、画像形成方法。
  2. 記非晶性ポリエステル樹脂の含有量が、前記樹脂層中の全樹脂量に対して50質量%以上である、請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が8,000~150,000である、請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が8,000~70,000である、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 前記非晶性ポリエステル樹脂の酸価が5~25mgKOH/gである、請求項~4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  6. 前記加飾粉体が金属を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  7. 前記軟化工程は、前記樹脂層を加熱することを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  8. 前記粉体供給工程および前記軟化工程の後に、前記加飾粉体が供給された前記樹脂層を摺擦する摺擦工程をさらに有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  9. 前記樹脂層は、電子写真方式によって前記記録媒体上に形成された画像である、請求項1~8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  10. 前記樹脂層は、前記記録媒体上に定着された定着画像である、請求項1~9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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