JP7180287B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成方法に関する。
近年、オンデマンド印刷市場において、特色印刷、高付加価値印刷の需要が高まっている。なかでも、メタリック印刷やパール印刷に関する要望は特に大きく、光沢感(例えば、メタリック感、パール調)等の質感を付与することができる印刷技術について、多種多様な検討が行われてきた。
その方法の一つとして、トナーを接着層として利用し、金属箔、樹脂箔といった箔体を転写する方法が検討されてきた。たとえば、特許文献1では、トナー画像を形成し、トナー画像部にのみ転写箔を接着する技術が提案されている。この方法では、画像の一部のみに選択的に箔体を転写する場合、転写されない部分の箔体はすべて破棄され、経済上好ましくないという問題があった。また、ミラー調およびグリッター調の組み合わせなど、複数の異なる光沢感を有する光沢画像を印刷する場合、それぞれの質感に合わせ、複数種類の箔体を準備する必要があった。
一方、トナー中に光輝性顔料を添加する技術に関する検討も行われてきた。たとえば、特許文献2では、光輝性顔料を含むトナー粒子を用いることで、必要な画像部分にのみ光輝性を付与し、金属様の質感を有する画像を形成する技術が提案されている。
しかし、特許文献2に記載された技術においては、所望の質感を発現することが難しかった。そこで、上記の各方法とは異なる方法として、記録媒体上に形成された樹脂層に加飾粉体を付着させることにより、金属様の加飾画像を形成する技術が提案されている(特許文献3)。かような技術によれば、十分なメタリック感やパール感を、画像の必要な部分にのみ効率的に付与することができるとしている。
特開平1-200985号公報 特開2014-157249号公報 特開2013-178452号公報
しかしながら、本発明者らは検討を行った結果、特許文献3に記載された技術においては、樹脂層を軟化する際に加飾粉体が樹脂層に過度に埋没されることで粉体表面の光反射面積が小さくなり、メタリック画像を所望のミラー調やパール調等に仕上げるための調整が困難であるという問題があった。
さらに、加飾粉体の付着が弱いことによる画像表面の荒れが発生し、粉体剥がれによる周りの画像に対する汚染等の問題もあった。
そこで、本発明の目的は、ミラー調、パール調といったメタリック性が向上し、かつ粉体が剥がれ難い加飾画像を形成することができる手段を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の手段により解決される。
記録媒体上に形成された樹脂層を軟化させる工程と、記録媒体上に粉体を供給する工程と、を有する画像形成方法であって、
前記樹脂層は少なくとも1種の無機粒子を含み、前記無機粒子の個数平均一次粒子径が5nm以上500nm以下である、画像形成方法。
本発明によれば、ミラー調、パール調といったメタリック性が向上し、かつ粉体が剥がれ難い加飾画像を形成することができる手段が提供される。
本発明の一実施形態に係る粉体供給手段および画像形成方法を説明するための図である。 本発明の他の実施形態に係る粉体供給手段および画像形成方法を説明するための図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る粉体供給手段および画像形成方法を説明するための図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。さらに、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは、「アクリルおよび/またはメタクリル」を示すものである。
本発明の一実施形態に係る画像形成方法は、記録媒体上に形成された樹脂層を軟化させる工程と、記録媒体上に粉体を供給する工程と、を有する画像形成方法であって、前記樹脂層は少なくとも1種の無機粒子を含み、前記無機粒子の個数平均一次粒子径が5nm以上500nm以下である画像形成方法である。かような画像形成方法によれば、ミラー調、パール調といったメタリック性が向上し、かつ粉体が剥がれ難い加飾画像を形成することができる。
本発明の一形態に係る画像形成方法により、上記効果が得られる理由の詳細は不明であるが、以下のメカニズムによるものと考えられる。ただし、下記メカニズムは推測によるものであり、その正誤が本形態の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
本発明において、樹脂層中に5nm~500nmの粒子が存在することで、フィラー効果を発揮し樹脂層の表面部分が硬くなる。すると、樹脂層軟化時に適度な硬さを保つことができるので、粉体で加飾する際に粉体の埋没を防ぐことができる。これによって、粉体の反射面を広く保持したまま画像の形成が完了するため、画像形成工程を特定の条件に限定することなく、ミラー調・パール調といったメタリック性が向上した画像を形成することができると考えられる。個数平均一次粒子径が5nmよりも小さい無機粒子は、フィラー効果がより強くなるため粉体の埋没を防ぐことができるが、樹脂表面が硬くなりすぎることで粉体の付着が弱くなり、樹脂表面上の粉体付着量が減るため、結果としてパール調・ミラー調といったメタリック性が低下すると考えられる。また、個数平均一次粒子径が500nmよりも大きい無機粒子を用いた場合、無機粒子自体が粉体の付着を阻害することで粉体の軟化樹脂への付着が弱くなり、粉体剥がれを起こしやすくなり、結果としてパール調・ミラー調といったメタリック性が低下すると考えられる。
<樹脂層>
樹脂層は、記録媒体上に形成され、樹脂を含む。樹脂層は、樹脂以外にも、着色剤、離型剤、荷電制御剤、外添剤、分散剤、界面活性剤、可塑剤、酸化防止剤等の他の成分を含んでいてもよい。ここで、「記録媒体上に形成する」とは、記録媒体上に直接形成されてもよいし、記録媒体上に他の層(例えば加飾粉体を有する層)を介して形成されてもよいことを意味する。以下、樹脂層の各構成成分について説明する。
[ポリエステル樹脂]
(非晶性ポリエステル樹脂)
本発明の画像形成方法において、樹脂層は非晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂を含有することで、樹脂層形成後の軟化時に均一な軟化度合いになることで粉体付着状態も安定し、メタリック性をもたらす観点から有利となる。
ここで、非晶性ポリエステル樹脂とは、2価以上のカルボン酸成分(多価カルボン酸成分)と、2価以上のアルコール成分(多価アルコール成分)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。非晶性ポリエステル樹脂については特に制限はなく、本技術分野における従来公知の非晶性ポリエステル樹脂が用いられうる。
非晶性ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸成分としては、不飽和脂肪族多価カルボン酸または/および芳香族多価カルボン酸を用いることが好ましい。なお、非晶性ポリエステル樹脂を形成することができるのであれば、飽和脂肪族多価カルボン酸を併用してもよい。
不飽和脂肪族多価カルボン酸としては、たとえば、メチレンコハク酸、フマル酸、マレイン酸、3-ヘキセンジオイック酸、3-オクテンジオイック酸、炭素数1~20のアルキル基または炭素数2~20のアルケニル基で置換されたコハク酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸:3-ブテン-1,2,3-トリカルボン酸、4-ペンテン-1,2,4-トリカルボン酸、アコニット酸などの不飽和脂肪族トリカルボン酸;4-ペンテン-1,2,3,4-テトラカルボン酸などの不飽和脂肪族テトラカルボン酸などが挙げられ、また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。炭素数1~20のアルキル基または炭素数2~20のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸、デセニルコハク酸等が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。中でも、本発明の効果を一層向上させる観点から、不飽和脂肪族多価カルボン酸は、フマル酸およびドデセニルコハク酸の少なくとも一方であることが好ましい。
芳香族多価カルボン酸としては、たとえば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、t-ブチルイソフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p-フェニレン二酢酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸)、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、ヘミメリット酸などの芳香族トリカルボン酸;ピロメリット酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸;メリト酸などの芳香族ヘキサカルボン酸などが挙げられ、また、これらの低級アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル等)や酸無水物を用いることもできる。中でも、本発明の効果を一層向上させる観点から、芳香族多価カルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸ならびにこれらの低級アルキルエステルおよび酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
飽和脂肪族多価カルボン酸の例としては、後述の結晶性ポリエステル樹脂の項で挙げた多価カルボン酸成分のうち、飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、中でもアジピン酸が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分としては、芳香族多価アルコールまたは/および脂肪族多価アルコールを用いることが好ましい。
芳香族多価アルコールとしては、たとえば、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールF(ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジエチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、および1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなどのビスフェノール化合物およびこれらのアルキレンオキサイド付加物、1,3,5-ベンゼントリオール、1,2,4-ベンゼントリオール、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられ、また、これらの誘導体を用いることもできる。中でも、本発明の効果を一層向上させる観点から、芳香族多価アルコールは、ビスフェノールAおよびこれらのアルキレンオキサイド付加物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。ここで、アルキレンオキサイド付加物としては、例えば、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
脂肪族多価アルコールは、飽和、不飽和のいずれであってもよい。飽和脂肪族多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。不飽和脂肪族多価アルコールとしては、たとえば、2-ブテン-1,4-ジオール、3-ブテン-1,4-ジオール、2-ブチン-1,4-ジオール、3-ブチン-1,4-ジオール、9-オクタデセン-7,12-ジオールなどの不飽和脂肪族ジオールが挙げられる。また、上記飽和脂肪族多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。さらに、これらの誘導体を用いることもできる。中でも、脂肪族多価アルコールは、飽和脂肪族多価アルコールであることが好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびネオペンチルグリコールからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
多価アルコール成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、および/またはモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、および/またはカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
非晶性ポリエステル樹脂の製造方法は特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸成分および多価アルコール成分を重縮合する(エステル化する)ことにより当該樹脂を製造することができる。
製造の際に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等の第2族元素を含む化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;およびアミン化合物等が挙げられる。入手容易性等を考慮すると、酸化ジブチルスズ、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ、これらの塩や、テトラブトキシチタネート(オルトチタン酸テトラブチル、Ti(O-nBu))、テトライソプロピルチタネート(チタンテトライソプロポキシド)、テトラメチルチタネートなどを用いることが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記多価アルコール成分および多価カルボン酸成分の使用比率は、多価アルコール成分のヒドロキシル基[OH]と多価カルボン酸成分のカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]:[COOH])が、0.5:1~2.5:1であると好ましい。
重縮合(エステル化)の温度は、特に限定されるものではないが、150~250℃であることが好ましい。また、重縮合(エステル化)の時間も、特に限定されるものではないが、0.5~15時間であることが好ましい。重縮合中には、必要に応じて反応系内を減圧してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)の下限は、好ましくは4,000以上であり、より好ましくは6,000以上であり、さらにより好ましくは8,000以上である。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)の上限は、好ましくは250,000以下であり、より好ましくは200,000以下であり、さらに好ましくは150,000以下である。
なお、本明細書中、各樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値を採用するものとする。具体的には、装置「HLC-8120GPC」(東ソー株式会社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ-M3連」(東ソー株式会社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/分で流す。測定試料(樹脂)は、濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させる。当該溶液の調製は、超音波分散機を用いて、室温にて5分間処理を行うことにより行う。次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出する。単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成された検量線に基づいて、測定試料の分子量分布を算出する。上記検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
(結晶性ポリエステル樹脂)
本発明に係る画像形成方法において、樹脂層は、上記非晶性ポリエステル樹脂の他に、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを併用することで、樹脂層および加飾粉体間の密着性がさらに向上し、粉体剥がれがさらに抑制される。
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂であって、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、実施例に記載の示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/minで測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
結晶性ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸成分および多価アルコール成分の価数としては、好ましくはそれぞれ2~3であり、特に好ましくはそれぞれ2であるため、価数がそれぞれ2である場合、すなわち、ジカルボン酸成分、ジオール成分について説明する。
ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましく、芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。脂肪族ジカルボン酸としては、直鎖型のものを用いることが好ましい。直鎖型のものを用いることによって、結晶性が向上するという利点がある。ジカルボン酸成分は、1種類のものに限定されるものではなく、2種類以上を混合して用いてもよい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,11-ウンデカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸(テトラデカン二酸)、1,13-トリデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,16-ヘキサデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸などが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸と共に用いることのできる芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、t-ブチルイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、入手容易性および乳化容易性の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、t-ブチルイソフタル酸を用いることが好ましい。
その他、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、および上記のカルボン酸化合物の無水物あるいは炭素数1~3のアルキルエステルなども用いうる。
結晶性ポリエステル樹脂を形成するためのジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸の含有量が50構成モル%以上が好ましく、より好ましくは70構成モル%以上であり、さらに好ましくは80構成モル%以上であり、特に好ましくは100構成モル%である。上記範囲内であれば、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を十分に確保することができる。
ジオール成分としては、脂肪族ジオールを用いることが好ましく、必要に応じて脂肪族ジオール以外のジオールを含有させてもよい。脂肪族ジオールとしては、直鎖型のものを用いることが好ましい。直鎖型のものを用いることによって、結晶性が向上するという利点がある。ジオール成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオールネオペンチルグリコール、などが挙げられる。
必要に応じて用いられる脂肪族ジオール以外のジオールとしては、二重結合を有するジオール、スルホン酸基を有するジオールなどが挙げられ、具体的には、二重結合を有するジオールとしては、例えば、1,4-ブテンジオール、2-ブテン-1,4-ジオール、3-ブテン-1,6-ジオール、4-ブテン-1,8-ジオールなどが挙げられる。また、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上の多価アルコールなどが挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂を形成するためのジオール成分としては、脂肪族ジオールの含有量が50構成モル%以上とされることが好ましく、より好ましくは70構成モル%以上であり、さらに好ましくは80構成モル%以上であり、特に好ましくは100構成モル%である。上記範囲内であれば、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を確保することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法は特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸および多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより製造することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒としては、上記非晶性ポリエステル樹脂の製造方法で用いられる触媒と同様である。
重合温度は特に限定されるものではないが、150~250℃であることが好ましい。また、重合時間は特に限定されるものではないが、0.5~10時間とすると好ましい。重合中には、必要に応じて反応系内を減圧してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは5,000~50,000であり、さらにより好ましくは10,000~30,000である。
結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、50~80℃であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の融点は、吸熱ピークのピークトップの温度を示し、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて示差走査熱量分析によってDSC測定された値である。具体的には、測定試料(結晶性ポリエステル樹脂)1.0mgを、アルミニウム製パン(KITNo.B0143013)に封入し、これを「ダイヤモンドDSC」のサンプルホルダーにセットし、測定温度0~200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、加熱-冷却-加熱の温度制御を行い、その2度目の加熱におけるデータを基に解析される。
[その他の樹脂]
本発明の画像形成方法において、樹脂層には、ポリエステル樹脂以外の樹脂(以下、単に「その他の樹脂」とも称する)が含まれていてもよく、その具体例としては、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、オレフィン樹脂(環状オレフィン樹脂を含む)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂など)、ポリスルホン樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ポリビニルエステル樹脂(ポリ酢酸ビニルなど)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリビニルアルコール樹脂およびこれらの誘導体樹脂、ゴムまたはエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエンゴム、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴムなど)などが挙げられる。これらは、単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。
その他の樹脂は、共重合体であってもよく、共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体のいずれでもよい。
その他の樹脂の含有量は、樹脂層の全樹脂量に対して、好ましくは60質量%未満であり、より好ましくは50質量%未満であり、さらに好ましくは40質量%未満であり、さらにより好ましくは20質量%未満であり、特に好ましくは10質量%未満であり、最も好ましくは1質量%未満である(下限:0質量%)。
その他の樹脂は、合成品であっても市販品であってもよい。その他の樹脂の合成方法は特に制限されず、高圧ラジカル重合法、中低圧重合法、溶液重合法、スラリー重合法、塊状重合法、乳化重合法、気相重合法等の公知の重合方法を用いることができる。また、重合時に使用するラジカル重合開始剤や触媒も特に制限はなく、例えば、アゾ系またはジアゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤といったラジカル重合開始剤;過酸化物触媒、チーグラー-ナッタ触媒、メタロセン触媒といった重合触媒;等を用いることができる。乳化重合法の場合は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等の水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。
本発明の画像形成方法において、後述の軟化工程を行う場合には、樹脂層の表面状態を制御しやすいという観点から、その他の樹脂は、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂およびスチレンアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、スチレンアクリル樹脂がより好ましい。
(スチレンアクリル樹脂)
本明細書中、スチレンアクリル樹脂は、スチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを共重合して得られる樹脂である。
スチレン単量体には、CH=CH-Cの構造式で表されるスチレンの他、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものも含まれる。具体的には、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体には、エステル結合を有する官能基を側鎖に有するものである。具体的には、CH=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステル単量体の他、CH=C(CH)COOR(Rはアルキル基)で表されるメタクリル酸エステル単量体などのビニル系エステル化合物が含まれる。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
また、スチレンアクリル樹脂には、上述したスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体のみで形成された共重合体の他に、一般のビニル単量体(オレフィン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、N-ビニル化合物類など)をさらに用いて形成される共重合体も含まれる。
さらに、スチレンアクリル樹脂には、スチレン単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体およびその他の一般のビニル単量体の他、多官能性ビニル単量体や、側鎖にイオン性解離基(カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基など)を有するビニル単量体を用いて形成される共重合体も含まれる。かようなビニル単量体の例としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などがある。
樹脂層における樹脂の含有量(すなわち、ポリエステル樹脂およびその他の樹脂の合計含有量)は、特に制限されないが、軟化工程において樹脂層の表面を軟化させ、樹脂層の表面状態を制御しやすくするという観点から、60~100質量%であると好ましく、75~95質量%であるとより好ましい。
[着色剤]
本発明の樹脂層に含まれてもよい着色剤としては、公知の着色剤が挙げられる。具体的には、例えばC.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185;C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222;C.I.ピグメントブルー15:3;チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラック、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これら強磁性金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物、マンガン-銅-アルミニウム、マンガン-銅-スズなどのホイスラー合金、二酸化クロムなどの強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金などの磁性体;チタンブラックなどが挙げられる。着色剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
樹脂層における着色剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、樹脂層の全樹脂量100質量部に対して、好ましくは0.5~20質量部であり、より好ましくは1~10質量部であり、さらにより好ましくは2~9質量部である。
[離型剤]
樹脂層に含まれてもよい離型剤は、特に制限されず、公知の離型剤を用いることができる。かような離型剤としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス;マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス;パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス;ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス;カルナウバワックス、モンタンワックス、ベヘニルベヘネート(ベヘン酸ベヘニル)、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1、18-オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス;エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックス等が挙げられるが、これらに制限されない。
樹脂層における離型剤の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に制限されないが、樹脂層の全樹脂量100質量部に対して、好ましくは1~30質量部であり、より好ましくは2~20質量部である。
[荷電制御剤]
樹脂層に含まれてもよい荷電制御剤は、特に制限されず、公知の荷電制御剤を用いることができる。
樹脂層における荷電制御剤の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に制限されないが、樹脂層の全樹脂量100質量部に対して、好ましくは0.01~30質量部であり、より好ましくは0.1~10質量部である。
[外添剤]
樹脂層に含まれてもよい外添剤としては、公知の金属酸化物粒子が挙げられる。例えば、シリカ粒子、チタニア(酸化チタン)粒子、酸化ビスマス粒子、アルミナ(酸化アルミニウム)粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子、酸化鉄(III)粒子、および酸化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独でもまたは2種以上を併用してもよい。また、スチレン、メタクリル酸メチルなどの単独重合体やこれらの共重合体等の有機粒子を外添剤として使用してもよい。また、樹脂層に含まれてもよい外添剤としては、滑剤も挙げられる。例えば、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。また、これらの外添剤の形状は限定されない。球状、扁平状、平板状、針状などがあげられる。外添剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
樹脂層における外添剤の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に制限されないが、樹脂層の全樹脂量100質量部に対して、好ましくは0.1~15質量部であり、より好ましくは1~5質量部である。
[樹脂層の形成方法]
記録媒体上に樹脂層を形成する方法については、特に制限されない。たとえば、上記の樹脂層構成成分を適当な溶媒に溶解させて得た溶液を、記録媒体の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。この場合、樹脂層の塗布は、一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート等の方法により行うことができる。
また、上記樹脂層は、インクジェット方式や、電子写真方式といった印刷方式で記録媒体上に印刷された画像であってもよい。インクジェット方式および電子写真方式による画像の形成は、それぞれ公知の画像形成装置によって行うことができる。
本発明の効果をより得られやすいという観点から、樹脂層は、電子写真方式によって形成された画像であると好ましい。電子写真方式では、樹脂層構成成分を含むトナー粒子を製造し、該トナー粒子を感光体表面の静電潜像パターンに付着させてトナー像を形成し、当該トナー像を紙などの記録媒体に転写する。
以下では、トナー粒子の製造方法について説明する。
(トナー粒子の製造方法)
トナー粒子(以下、単に「トナー」とも称する)の製造方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。これらの中でも、粒子径の均一性、形状の制御性、後述のコア-シェル構造形成の容易性の観点からは、乳化凝集法を採用することが好ましい。
乳化凝集法は、界面活性剤や分散安定剤によって分散された樹脂の粒子(以下、「樹脂粒子」ともいう)の分散液を、着色剤の粒子などのトナー粒子構成成分の分散液と混合し、凝集剤を添加することによって所望のトナーの粒子径となるまで凝集させ、その後または凝集と同時に、樹脂粒子間の融着を行い、形状制御を行うことにより、トナー粒子を形成する方法である。
トナー粒子中に内添剤を含有させる場合は、樹脂粒子が内添剤(例えば、離型剤、着色剤等)を含有したものとしてもよく、また、別途内添剤(例えば、離型剤、着色剤等)のみよりなる内添剤粒子の分散液を調製し、当該内添剤粒子を、樹脂粒子を凝集させる際に、共に凝集させてもよい。
また、乳化凝集法によってはコア-シェル構造を有するトナー粒子を得ることもできる。具体的には、コア-シェル構造を有するトナー粒子は、先ず、コア粒子用の樹脂粒子と着色剤とを凝集(、融着)させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の樹脂粒子を添加して、コア粒子表面にシェル層用の樹脂粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
乳化凝集法によりトナーを製造する場合、好ましい実施形態によるトナーの製造方法は、(a)樹脂層構成成分(ポリエステル樹脂等)をそれぞれ水系媒体に分散させて分散液を調製する工程(以下、「分散液調製工程」とも称する)と、(b)上記(a)で得られた各分散液を混合し、上記樹脂粒子を凝集・融着させる工程(以下、「凝集・融着工程」とも称する)と、を含む。
以下、各工程(a)および(b)、ならびにこれらの工程以外に任意で行われる各工程(c)~(e)について詳述する。
(a)分散液調製工程
工程(a)は、ポリエステル樹脂の分散液調製工程、および必要に応じて、その他の樹脂の分散液調製工程、着色剤分散液調製工程、離型剤分散液調製工程などを含む。
以下、各分散液を調製する工程を説明する。
(a-1)ポリエステル樹脂分散液調製工程
ポリエステル樹脂分散液調製工程は、上記のポリエステル樹脂(非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂)を合成し、該ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させてポリエステル樹脂粒子の分散液を調製する工程である。なお、ポリエステル樹脂の製造方法は上述したとおりであるため、詳細を割愛する。
ポリエステル樹脂分散液の調製方法としては、例えば、溶剤を用いることなく、水系媒体中において分散処理を行う方法、ポリエステル樹脂を溶剤に溶解させて溶液とし、当該溶液に水系媒体を添加した後、脱溶剤処理を行う方法などが挙げられる。本発明においては後者の方法が好ましい。後者の方法において使用される溶剤は、特に制限されず、例えば、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン等が挙げられる。
ここで、「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものをいい、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶剤を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶剤を使用することが好ましい。好ましくは、水系媒体として水のみを使用する。
ポリエステル樹脂はカルボキシル基を含む場合がある。よって、カルボキシル基をイオン解離させて、ポリエステル樹脂を水相に安定かつ円滑に乳化させて乳化を円滑に進めるために、アンモニア、水酸化ナトリウムなどを添加してもよい。
さらに、水系媒体中には、分散安定剤が溶解されていてもよく、また油滴の分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤や樹脂粒子などが添加されていてもよい。
分散安定剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、リン酸三カルシウムなどのように酸やアルカリに可溶性のものを使用することが好ましく、または環境面の視点からは、酵素により分解可能なものを使用することが好ましい。
界面活性剤としては、公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。
また、分散安定性の向上のための樹脂粒子としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリスチレン-アクリロニトリル樹脂粒子などが挙げられる。
このような上記分散処理は、機械的エネルギーを利用して行うことができ、分散機としては、特に限定されるものではなく、ホモジナイザー、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、高圧衝撃式分散機アルティマイザーなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂分散液におけるポリエステル樹脂粒子の平均粒子径は、体積基準のメジアン径として、好ましくは60~1000nmであり、より好ましくは80~500nmであり、さらにより好ましくは100~250nmである。体積基準のメジアン径(D50)は、マイクロトラックUPA-150(日機装株式会社製)にて測定される値である。
ポリエステル樹脂分散液におけるポリエステル樹脂粒子の含有量は、分散液100質量%に対して10~50質量%の範囲とすることが好ましく、15~40質量%の範囲がより好ましい。上記範囲内であれば、粒度分布の広がりを抑制することができる。
(a-2)その他の樹脂の分散液調製工程
ここでは、「その他の樹脂」としてスチレンアクリル樹脂を例に挙げ、分散液調製工程を説明する。
スチレンアクリル樹脂分散液調製工程は、スチレンアクリル樹脂を合成し、該スチレンアクリル樹脂を水系媒体中に分散させてスチレンアクリル樹脂粒子の分散液を調製する工程である。
スチレンアクリル樹脂を水系媒体中に分散させる方法としては、特に制限されないが、例えば、スチレンアクリル樹脂を得るための単量体からスチレンアクリル樹脂粒子を形成し、当該スチレンアクリル樹脂粒子の水系分散液を調製する方法が好ましい。
本方法においては、スチレンアクリル樹脂を得るための単量体を重合開始剤と共に水系媒体中に添加して重合する。当該水系媒体は上記(a-1)で説明した通りであり、この水系媒体中には、分散安定性を向上させる目的で、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン-2-ドデシルエーテル硫酸ナトリウム等の界面活性剤や樹脂粒子などが添加されていてもよい。
重合開始剤としては、水溶性重合開始剤を用いることができる。水溶性重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性ラジカル重合開始剤を好適に用いることができる。
本方法においては、スチレンアクリル樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン;n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、ステアリル-3-メルカプトプロピオネートなどのメルカプトプロピオン酸;およびスチレンダイマーなどを用いることができる。これらは一種単独であるいは二種以上組み合わせて用いることができる。
なお、方法(I)では、スチレンアクリル樹脂を得るための単量体からスチレンアクリル樹脂粒子を形成する際に、前記単量体とともに離型剤を分散させることにより、スチレンアクリル樹脂粒子中に離型剤を含有させてもよい。また、多段階の重合反応によりスチレンアクリル樹脂粒子の分散液を調製してもよい。
スチレンアクリル樹脂分散液におけるスチレンアクリル樹脂粒子の粒子径は、体積基準のメジアン径で、好ましくは60~1000nmであり、より好ましくは80~500nmであり、さらにより好ましくは100~250nmである。体積基準のメジアン径(D50)は、マイクロトラックUPA-150(日機装株式会社製)にて測定される値である。
スチレンアクリル樹脂分散液におけるスチレンアクリル樹脂粒子の含有量は、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。このような範囲であると、粒度分布の広がりを抑制することができる。
(a-3)着色剤分散液調製工程/離型剤分散液調製工程
着色剤分散液調製工程は、着色剤を水系媒体中に分散させて着色剤粒子の分散液を調製する工程である。また、離型剤分散液調製工程は、離型剤を水系媒体中に分散させて離型剤粒子の分散液を調製する工程である。
当該水系媒体は上記(a-1)で説明した通りであり、この水系媒体中には、分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤や樹脂粒子などが添加されていてもよい。
着色剤/離型剤の分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができ、このような分散機としては、特に限定されるものではなく、上記(a-1)において説明したものを用いることができる。
(b)凝集・融着工程
この凝集・融着工程は、水系媒体中で前述のポリエステル樹脂粒子、および必要に応じて、その他の樹脂粒子と、着色剤粒子と、更に必要に応じて離型剤粒子とを凝集させ、凝集させると同時にこれら粒子を融着させ、トナー母体粒子を得る工程である。
この工程では、上記(a)で得た各分散液を混合する。ここで、各分散液の配合量を調節することで、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、その他の樹脂の含有割合が好ましい範囲に制御することができる。
次に、アルカリ金属塩、第2族元素を含む塩、アルミニウム塩等を凝集剤として添加した後、樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱して凝集を進行させ、同時に樹脂粒子同士を融着させる。次に、凝集した粒子の大きさが目標の大きさになった時に、食塩水等の塩を添加して凝集を停止させる。
凝集工程においては、凝集用分散液の温度を一定時間、好ましくは体積基準のメジアン径が4.5~7.0μmになるまで保持(熟成)することにより、融着を継続させることが肝要である。また、熟成中の粒子の平均円形度を測定し、好ましくは0.920~1.000になるまで熟成工程(結晶熟成工程ともいう)を行うことが好ましい。
(c)冷却工程
この冷却工程は、上記のトナー母体粒子の分散液を冷却処理する工程である。冷却処理における冷却速度は、特に制限されないが、0.2~20℃/分が好ましい。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
(d)濾過、洗浄、乾燥工程
濾過工程では、トナー母体粒子の分散液からトナー母体粒子を濾別する。濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェなどを使用して行う減圧濾過法、フィルタープレスなどを使用して行う濾過法などがあり、特に限定されるものではない。
次いで、洗浄工程で洗浄することにより濾別されたトナー母体粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や凝集剤などの付着物を除去する。洗浄処理は、濾液の電気伝導度が、例えば5~20μS/cmレベルになるまで水洗処理を行うものである。
乾燥工程では、洗浄処理されたトナー母体粒子に乾燥処理が施される。この乾燥工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等公知の乾燥機が挙げられ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機等を使用することも可能である。乾燥処理されたトナー母体粒子に含有される水分量は、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下である。
また、乾燥処理されたトナー母体粒子同士が弱い粒子間引力で凝集している場合には、解砕処理を行ってもよい。解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー(登録商標)、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(e)外添剤処理工程
この工程は、乾燥処理したトナー母体粒子表面へ必要に応じて外添剤を添加、混合してトナー粒子を作製する工程である。外添剤の添加により、トナー粒子の流動性、帯電性、クリーニング性等が向上するため、樹脂層の形成を円滑に行うことができる。
(現像剤)
上記のようにして得られたトナー粒子は、磁性または非磁性の1成分磁性トナーとして使用することもできる。またキャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。
2成分現像剤を使用する場合、2成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子を用いることが好ましい。
キャリアとしては、さらに磁性粒子の表面を樹脂等の被覆剤で被覆したコートキャリア、またはバインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散した分散型キャリア等用いてもよい。被覆用の樹脂組成としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン樹脂、シクロヘキシルメタクリレート-メチルメタクリレート共重合体、スチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、シリコーン樹脂、エステル樹脂あるいはフッ素樹脂などが用いられる。また、分散型キャリアを構成するための樹脂(バインダー樹脂)としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂など使用することができる。
キャリアの体積基準のメジアン径(体積平均粒子径)は、15~100μmが好ましく、25~80μmがより好ましい。キャリアの体積基準のメジアン径(d50)は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)等により測定することができる。
[樹脂層の特性]
記録媒体上に形成される樹脂層の厚さは、加飾粉体が保持されるのであれば、特に制限されないが、例えば、3~20μmである。樹脂層の厚さは、均一であってもよいし、不均一であってもよい。樹脂層の厚みの目安として、例えば、樹脂層がトナーにより形成される場合(樹脂層がトナー像である場合)、トナーの付着量が、0.1g/m~25.0g/mであると好ましく、1.0g/m~20.0g/mであるとより好ましい。
<粉体(加飾粉体)>
本発明の一形態に係る画像形成方法において、粉体(加飾粉体、本明細書中単に「粉体」とも称する)は、加飾の目的や、所期の質感に応じて適宜選択することができる。
樹脂層に供給される粉体の形状、大きさは特に制限されず、所期の質感を達成するために適切な形状および大きさを選択することが好ましい。
粉体は、形状の観点から、球形(球形粉体)、非球形(非球形粉体)に大別される。ここで、「球形粉体」とは、その断面形状または投影形状の平均円形度が0.970以上である粉体をいう(上限:1.000)。なお、当該平均円形度は、公知の方法によって求めることができるが、例えば、走査型電子顕微鏡にて撮影された写真画像をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置を用いて画像解析することにより行うことで測定できる。具体的には、解析された画像から円相当径周囲長及び周囲長を求めた上で、下記式に従って50個の粉体の円形度を求め、それらを平均して求めることができる。
Figure 0007180287000001
上式において、Aは粉体の投影面積、Bは粉体の周囲長を表す。円形度は、1.0の場合は真球であり、数値が低いほど異形の度合いが高くなる。
また、「非球形粉体」は、球形粉体以外の粉体であり、その断面形状または投影形状の平均円形度が0.970未満である粉体をいう。非球形粉体の平均円形度の下限は特に制限されないが、0.001以上であると好ましい。
なかでも、粉体の配向を制御することにより所期の質感(特に、ミラー調、パール調)が得られることから、粉体の形状は、非球形であると好ましい。すなわち、粉体は非球形粉体を含むと好ましい。このとき、粉体の全量に対する非球形粉体の含有量は多いほど好ましい。具体的には、粉体の総質量に対する非球形粉体の含有量が50~100質量%であると好ましく、70~100質量%であるとより好ましい。さらに同様の観点から、上記非球形粉体は、扁平状粉体(すなわち、扁平な形状を有する粒子)を含むとより好ましい。このとき、非球形粉体の全量に対する扁平状粉体の含有量は多いほど好ましい。具体的には、非球形粉体の総質量に対する扁平状粉体の含有量が50~100質量%であると好ましく、70~100質量%であるとより好ましい。ここで、「扁平状」または「扁平な形状」とは、当該粉体(粒子)における最大長さを長径L、当該長径Lに直交する方向における最大長さを短径l、上記長径Lに直交する方向の最小長さを厚みt、とするときに、厚みtに対する短径lの比率(l/t)が5以上である形状であることをいう。「扁平状」および「扁平な形状」の用語には、例えば、フレーク状、鱗片状、板状、薄片状等と称される形状が包含される。
粉体の平均粒子径(粉体が非球形粉体である場合には、直線距離で最も長い部分の長さの平均値)は、0.5~1000μmであると好ましく、1~500μmであるとより好ましく、5~150μmであると特に好ましい。上記範囲内であれば、樹脂層に良好に固定化され、かつ加飾画像の質感も良好となる。
粉体の平均粒子径は、任意に100個の粉体粒子について測定した粒子径の平均値である。また、個々の粒子径(長径、短径を含む)は、例えば、走査型電子顕微鏡観察により測定できる。また、扁平状粉体の長径、短径および厚みの値は、上記方法により測定された値の平均値を採用する。
粉体の材料は、特に限定されず、例えば、樹脂、ガラス、金属、金属酸化物等の種々の材料を用いることができる。なかでも、粉体は、金属および金属酸化物の少なくとも一方を含むと好ましく、金属を含むことがより好ましい。金属を含むと、加飾画像のメタリック感を良好に発現することができる。加飾粉体を構成する材料は、1種単独であってもよいし、2種以上であってもよい。粉体が2種以上の材料を含む場合は、均一に分散されている形態であってもよいし、一方の材料に他の材料が積層されてなる(被覆されてなる)形態であってもよい。かような形態として、例えば、樹脂やガラス等からなる基材(コア)に対して金属および/または金属酸化物からなる被膜(シェル)が積層した形態;金属および/または金属酸化物からなる基材(コア)に対して樹脂やガラス等からなる被膜(シェル)が積層した形態;などが挙げられるが、これらに限定されない。
粉体は、合成品であってもよいし市販品であってもよい。非球形粉体の例としては、エルジーneo(尾池イメージング株式会社)、メタシャイン(登録商標)(日本板硝子株式会社)、サンシャインベビー クロムパウダー、オーロラパウダー、パールパウダー(株式会社GGコーポレーション)、ICEGEL ミラーメタルパウダー(株式会社TAT)、ピカエース(登録商標)MCシャインダスト、エフェクトC(株式会社クラチ)、プリジェル(登録商標)マジックパウダー、ミラーシリーズ(有限会社プリアンファ)、Bonnail(登録商標)シャインパウダー(株式会社ケイズプランイング)、エルジーneo(登録商標)(尾池工業株式会社)、UBS-0010E(ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。また、球形粉体の例としては、高精度ユニビーズ(登録商標)(ユニチカ株式会社)、ファインスフィア(登録商標)(日本電気硝子製)等が挙げられる。
本発明の画像形成方法において使用される粉体は、1種のみであってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
<無機粒子>
本発明の樹脂層は、少なくとも1種の無機粒子を含み、且つ当該無機粒子の個数平均一次粒子径が5nm以上500nm以下である。個数平均一次粒子径が5nmよりも小さい粒子ではフィラー効果がより強くなるため粉体の埋没は防ぐことができるが、樹脂表面が硬くなりすぎることで粉体の付着が弱くなり、樹脂表面上の粉体付着量が減るため画像のメタリック性が低下する。個数平均一次粒子径が500nmよりも大きい無機粒子では、無機粒子自体が粉体の埋没を阻害することで粉体の軟化樹脂への付着が弱くなり、粉体剥がれを起こしやすくなり、パール調・ミラー調等のメタリック性が低下する。フィラー効果の発揮がより適度に効く観点から、無機粒子の個数平均一次粒子径は6nm以上450nm以下であること好ましく、6nm以上370nm以下であることがより好ましく、6nm以上50nm以下であることがさらに好ましい。
また、ここで、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子株式会社製)を用いて撮影した写真画像をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置LUZEX AP(株式会社ニレコ製)を用いて該写真画像の無機粒子について2値化処理する。そして、無機粒子100個についての水平方向フェレ径を算出し、その平均値を個数平均一次粒子径とする。
好ましい一実施形態において、前記無機粒子は、温度300Kにおける熱伝導率が20W・mK以上の元素由来の化合物を含有する。この熱伝導率であれば樹脂の熱伝導率よりも高くなり、樹脂層の加熱軟化時に、樹脂層全体を均一に熱伝導させることができる。これにより、樹脂層表面の軟化状態が均一となり、粉体加飾時、局所的に粉体が埋没してしまう状態を防ぐことができ、画像のメタリック性の向上や粉体剥がれの抑制に繋がると考えられる。温度300Kにおける熱伝導率が20W・mK以上の元素とは、具体的にSi、Ti、Al、Zn、Fe、Mg、Sn、Cu、Ce、Ru、Zr、Bi元素などが挙げられる。取扱いが容易であるという観点から、前記無機粒子は、シリカ、酸化チタン、酸化ビスマス、酸化アルミニウム、酸化鉄(III)、酸化スズおよび酸化亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。中でも、シリカを使用した場合には、高いメタリック性を保持しながら、加飾した粉体の剥がれがさらに抑制され、より好ましい。
好ましい一実施形態において、前記樹脂層は、X線光電子分光分析(ESCA)により測定される炭素元素量、酸素元素量、およびケイ素元素量の合計に対するケイ素元素量の割合が、下記(1)を満たす。
Figure 0007180287000002
ESCAにより測定される樹脂層中のケイ素元素量が、炭素元素量、酸素元素量、およびケイ素元素量の合計に対して0.4atm%~11atm%である場合には、樹脂層軟化時に適度な硬さを保つことができるので、粉体で加飾する際に粉体の埋没を防ぐことができ、かつ粉体付着力も優れると考えられる。ケイ素元素量(存在比率)が0.4atm%以上の場合、フィラー効果を発揮するための無機粒子の量が十分であり、樹脂層が適度に硬化できるため、粉体の埋没が抑制される。ケイ素元素量(存在比率)が11atm%以下の場合、樹脂層に対する無機粒子の割合が大きすぎず、熱伝導性が過度にならないため、樹脂の軟化の影響が少なく粉体の埋没が生じにくい。また、ケイ素元素量(存在比率)は、無機粒子中のシリカ由来の化合物からなるものの個数平均一次粒子径、シリカ粒子の添加量、ケイ素原子を有する疎水化剤の添加量、共重合モノマー量、架橋剤量等によって制御することができる。ESCAにより測定される樹脂層中のケイ素元素量が、炭素元素量、酸素元素量、およびケイ素元素量の合計に対して、0.5atm%~9.5atm%であることがより好ましく、1.0atm%~8.0atm%であることがさらに好ましい。
好ましい一実施形態において、前記樹脂層のX線光電子分光分析(ESCA)により測定される温度300Kにおける熱伝導率が20W・mK以上の元素の存在量をXとし、樹脂層に粉体を供給した後の画像のESCAにより測定されるメタリック性を発揮する元素の存在量をYとしたとき、以下の式(2)を満たす。
Figure 0007180287000003
上記式(2)を満たせば、ミラー調、パール調等のメタリック性がより向上した画像を形成することが容易となる。無機粒子の存在量に対して加飾粉体が多すぎると、無機粒子のフィラー効果が弱くなり、加飾粉体の樹脂層への沈み込みが大きくなってしまう場合がある。同様な観点から、X/Y≦6.0であることがより好ましく、X/Y≦3.0であることがさらに好ましく、X/Y≦1.0であることが特に好ましい。
また、加飾粉体中のメタリック性を発揮する元素とは、上記に記載の通り、加飾粉体に含まれる金属由来の元素を示す。2種以上の金属が混合された粉体の場合は、2種以上の元素のESCAにより測定される量(存在比率)を合算する。
同様に、温度300Kにおける熱伝導率が20W・mK以上の元素が2種以上の場合は、ESCAにより測定される量(存在比率)を合算する。
本発明の画像形成方法において使用される無機粒子は、1種のみであってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
また、無機粒子を樹脂層に添加する方法としては、特に制限されない。例えば、樹脂層の形成工程において、電子写真方式で記録媒体上に印刷を行う場合には、樹脂層構成成分と、外添剤や着色剤として所定の無機粒子とを含むトナー粒子を製造し、該トナー粒子を感光体表面の静電潜像パターンに付着させてトナー像を形成し、当該トナー像を紙などの記録媒体に転写することにより、無機粒子を含む樹脂層を形成する方法が挙げられる。
また、樹脂を含む溶液を塗布して樹脂層を形成する場合や、インクジェット方式で印刷して樹脂層を形成する場合などは、所定の無機粒子を含む着色剤を溶液やインク中に含有させることにより、無機粒子を樹脂層に添加することができる。
<記録媒体>
本発明の一形態に係る画像形成方法において使用される記録媒体としては、特に制限されず、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙またはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙等の紙類;ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等のプラスチックフィルム;布などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、記録媒体の色は特に限定されず、種々の色の記録媒体を使用することができる。
本発明の画像形成方法において、加熱を伴う軟化工程を有する場合には、記録媒体は、耐熱性を有するものであると好ましい。このような記録媒体を用いることにより、樹脂層および粉体が安定的に保持され、得られる加飾画像の耐久性が向上する。なお、「耐熱性」とは、軟化工程において到達する最も高い記録媒体の表面温度に対し、記録媒体の表面状態の変化、化学変化、物理的変化のいずれもが小さいことを意味する。
<画像形成方法>
本発明に係る画像形成方法は、(I)記録媒体上に粉体を供給する粉体供給工程(以下、単に「粉体供給工程」とも称する)と、(II)記録媒体上に形成された樹脂層を軟化させる軟化工程(以下、単に「軟化工程」とも称する)とを有する。(II)軟化工程は、上記(I)粉体供給工程の前に行われてもよいし、後に行われてもよいし、また、同時に行われてもよい。
本発明の一形態に係る画像形成方法は、上記(I)粉体供給工程および(II)軟化工程に加え、任意で(III)加飾粉体が供給された樹脂層を前記樹脂層側から摺擦する摺擦工程(以下、単に「摺擦工程」とも称する)をさらに含んでいてもよい。
以下、各工程について説明する。
[(I)粉体供給工程]
粉体供給工程では、記録媒体上に粉体を供給する。ここで、「記録媒体上に粉体を供給する」とは、記録媒体の直上に粉体を供給する形態または記録媒体上に形成された他の層(例えば樹脂層)上に粉体を供給する形態のいずれであってもよいことを意味する。中でも、少量の粉体の使用で良好な質感を発現できることから、粉体供給工程では、記録媒体上に形成された樹脂層上に粉体を供給することが好ましい。
粉体供給工程では、記録媒体上に粉体を供給する。粉体の供給方法は特に制限されない。粉体供給工程において用いられる粉体供給手段としては、粉体の性状に応じて公知の装置を用いることができる。例えば、特開2013-178452号公報に記載された粉末供給手段を、本発明に係る粉体供給手段として用いることができる。また、本発明の一形態に係る粉体供給手段は、図1~図3に示すような、粉体収容部11および粉体供給ローラー12を備えた粉体供給装置10であってもよい。
記録媒体に対して供給される粉体の量は、特に制限されず、所望の質感を発現できる量であれば特に制限されない。
記録媒体上に形成された樹脂層上に粉体を供給する場合において、粉体は、樹脂層が形成された部分にのみ選択的に供給されてもよいし、当該樹脂層が形成された部分のみならず、樹脂層が形成されていない部分も含む記録媒体表面の全体に対して供給されてもよい。さらに、樹脂層表面の一部に粉体を供給してもよいし、樹脂層表面の全体に供給してもよい。
[(II)軟化工程]
軟化工程は、上記(I)粉体供給工程の前に行われてもよいし、上記(I)粉体供給工程の後に行われてもよいし、上記(I)粉体供給工程と同時に行われてもよい。軟化工程では、例えば、樹脂層を加熱する、樹脂層に対して光を照射する等により、樹脂層を軟化(溶融)させる。中でも、樹脂層全体を均一に軟化でき、作業が容易であることから、軟化工程は、樹脂層を加熱することを有することが好ましい。
樹脂層の加熱温度の上限は、省エネルギーの観点から、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、85℃以下がさらにより好ましい。また、樹脂層の加熱温度の下限は、樹脂層を速やかに軟化させる観点から、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらにより好ましい。また、樹脂層の加熱時間は、特に制限されないが、樹脂層を適度に軟化させる観点から、10秒~5分程度が好ましい。
軟化工程において用いられる加熱手段としては、特に制限されず、公知の装置を用いることができる。図1~図3に示されるように、本発明の一形態に係る加熱手段としての加熱装置20は、記録媒体の搬送方向に対して、粉体供給装置(粉体供給手段)10の前に備えられていてもよいし、粉体供給装置(粉体供給手段)10の後に備えられていてもよい。これらの装置の配設順序は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程の行われる順序に応じて、適宜決定される。また、粉体の供給と加熱を同時に実施できる設備を備えた装置を用いることにより、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程を同時に行うことができる。
加熱手段としての加熱装置20(以下、「熱源」とも称する)は、樹脂層を軟化させる程度に加熱できるものであればよく、例えば、赤外線ランプ、ホットプレート、ニクロム線、熱風等が挙げられる。
軟化工程において、加熱手段、記録媒体および樹脂層の配置は特に制限されない。すなわち、例えば図1~図3では記録媒体1の樹脂層2が形成される面とは反対の面側に加熱装置20が配置されているが、記録媒体の樹脂層が形成される面側に加熱装置が配置されてもよい。
加熱は、樹脂層が形成された記録媒体を静置した状態で行ってもよいし、移動させながら行ってもよい。記録媒体を移動させながら加熱する方法としては、例えば、記録媒体をベルトコンベア等の搬送手段によって移動させながら加熱する方法が挙げられる。このとき、記録媒体の移動(搬送)速度は特に制限されない。生産性および所望の質感の得やすさなど考慮して、適宜設定することができる。
[(III)摺擦工程]
本発明の一形態に係る画像形成方法は、上記(I)粉体供給工程および上記(II)軟化工程の後に、加飾粉体が供給された樹脂層を前記樹脂層側から摺擦する摺擦工程を含むことが好ましい。摺擦工程を行うことにより、粉体と樹脂層の接着性が向上し、粉体が剥がれにくくなるため、画像耐久性および環境耐久性が向上する。また、余分な粉体を取り除くことができる。さらに、樹脂層に対する粉体の配向状態を均一にし、面内の光沢を均一にできるため、高いメタリック感が得られる。ここで、「摺擦」とは、摺擦手段(摺擦部材)が記録媒体上の樹脂層の表面に接触しながら、当該表面に沿って、上記樹脂層に対して相対的に移動することをいう。また、前記粉体が供給された樹脂製画像を前記樹脂層側から摺擦する工程が、記録媒体と摺擦部材との相対速度差によって摺擦することを含むことが好ましい。
また、上記「摺擦」は、樹脂層(加飾粉体が付着した樹脂層)の押圧を伴うことが好ましい。すなわち、摺擦工程では、粉体が供給された樹脂層を摺擦すると共に、押圧することを含むと好ましい。樹脂層を押圧することにより、粉体の一部が樹脂層の内部に押し込まれるため、樹脂層に対する粉体の接着を強くすることができる。よって、最終的に形成される光沢画像の強度を向上させられることに加え、形成される光沢画像におけるミラー調、パール調などの所期の外観を明瞭にすることができる。ここで、「押圧」とは、樹脂層の表面に対して交差する方向(例えば垂直方向)に樹脂層の表面を押すことをいう。
摺擦工程は、粉体が付着した樹脂層を、摺擦手段を用いて摺擦することにより行う。具体的には、摺擦工程は、加飾粉体が付着した樹脂層に対し、摺擦手段としての摺擦部材を接触させ、当該樹脂層に対して摺擦部材を相対的に移動させることにより行う。このとき、摺擦部材を移動させる方向は特に制限されず、一方向のみであってもよいし、往復運動させてもよいし、さらに多数の方向であってもよい。ただし、粉体の配向を制御しやすく、乱反射の少ないミラー調、パール調といった質感を形成する観点では、摺動部材の移動方向は、一方向のみであると好ましい。
摺擦と共に押圧を行う場合、押圧力は、特に制限されないが、樹脂層の表面に対して1~30kPaであると好ましい。1kPa以上であると、樹脂層に対する粉体の付着強度を十分に得ることができ、画像耐久性が良好となる。また、30kPa以下であると、記録媒体上に形成された樹脂層を安定して保持することができ、画像耐久性が良好となる。
摺擦工程において用いられる摺擦手段としては特に制限されず、公知の装置を用いることができる。図2~図3に示されるように、本発明の一形態に係る摺擦手段としての摺擦部材30は、記録媒体の搬送方向に対して、粉体供給装置(粉体供給手段)10の後に、または、加熱装置(加熱手段)20の後に備えられうる。これらの装置の配設順序は、各工程が行われる順序に応じて、適宜決定される。
摺擦手段に備えられる摺擦部材としては、例えば、図2~図3に示すような回転部材であってもよいし、往復運動する部材や、固定されている部材のような非回転部材であってもよい。より具体的には、摺擦部材は、水平な表面を有する樹脂層の表面に接して水平方向に、当該表面に対して相対的に移動可能な部材であってもよいし、樹脂層の表面に接する回転自在なローラー(回転ローラー)であってもよい。なかでも、作業効率の観点から、摺擦部材は、回転部材であると好ましく、回転自在なローラー(回転ローラー)であるとより好ましい。
上記摺擦部材は、樹脂層を押圧しながら、その表面が上記樹脂層の表面に対して相対的に移動自在に構成されると好ましい。摺擦部材によって押圧を行う場合、例えば、搬送されている記録媒体(樹脂層が形成された記録媒体)を、固定された摺擦部材で押圧することによって押圧を行ってもよい。あるいは、上記押圧は、記録媒体の搬送方向と同じ方向に回転し、且つ記録媒体の搬送速度よりも遅い速度で回転するローラーで摺擦することによって押圧を行ってもよいし、あるいは、記録媒体の搬送方向とは逆の方向に回転するローラーで摺擦することによって行ってもよいし、あるいは、記録媒体の搬送方向に対してその回転軸が斜めとなる向きに配置された回転自在なローラーで摺擦することによって押圧を行ってもよいし、あるいは、樹脂層の表面上を往復運動する部材で摺擦することによって押圧を行ってもよい。
よって、摺擦部材は、樹脂層の表面を押圧しながら記録媒体に対して相対的に異なる方向へ移動自在に構成されていると好ましい。
また、上記摺擦部材は、柔軟性を有することが好ましい。摺擦部材の柔軟性は、例えば、摺擦時に、樹脂層の表面の形状に追従可能な程度に摺擦部材の表面が変形する程度の柔らかさであると好ましい。すなわち、摺擦部材は、変形追従性を有していると好ましい。このような柔軟性を有する摺擦部材としては、例えば、スポンジ、ブラシ等が挙げられるがこれらに制限されない。
本発明の一形態に係る画像形成方法は、上記(I)粉体供給工程および(II)軟化工程ならびに任意で行われる(III)摺擦工程に加え、例えば、樹脂層形成工程、粉末除去工程、追い刷り印刷工程等の工程を含んでいてもよい。
[樹脂層形成工程]
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程の前に、樹脂層形成工程をさらに含んでいてもよい。
樹脂層形成工程では、記録媒体上に樹脂層を形成する。樹脂層の形成方法については、上述したとおりである。
さらに、本発明の一形態に係る画像形成方法において、上記樹脂層は、記録媒体上に定着される前の画像(未定着画像)であってもよいし、定着された画像(定着画像)であってもよい。樹脂層の表面に粉体を配置しやすく、十分に光沢性を有する画像を形成しやすいという観点から、樹脂層は、記録媒体上に定着された定着画像であると好ましい。すなわち、本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程の前に、定着画像形成工程をさらに含んでいると好ましい。定着画像は、その表面が均一に平滑に整えられているため、樹脂層中への加飾粉体の埋没が抑制され、質感の良好な加飾画像を得ることができる。また、加飾粉体の埋没を抑制しつつ、樹脂層の表面に加飾粉体を配置することができるため、多量の加飾粉体を使用する必要がなく、経済性の観点からも好ましい。
定着画像形成工程は、公知の定着画像形成装置、特には、電子写真方式を利用した画像形成装置によって行うことができる。定着画像形成方法の一例として、トナー像が転写された記録媒体に、定着手段にて熱および圧力を加え、記録媒体上のトナー像を記録媒体上に定着させる方法が採用されうる。当該方法により形成されるトナー像を樹脂層として、本発明の一形態に係る画像形成方法を行うことにより、上述のように、樹脂層中への加飾粉体の埋没が抑制でき、質感の良好な加飾画像を得ることができる。
[粉体除去工程]
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程の後、ならびに必要に応じて行われる(III)摺擦工程の後に、粉体除去工程をさらに含んでいてもよい。粉体除去工程では、樹脂層に付着しなかった加飾粉体を記録媒体上から除去する。このとき、記録媒体上から除去された加飾粉体を回収して再利用してもよい。すなわち、本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程の後、または必要に応じて行われる(III)摺擦工程の後、樹脂層に付着しなかった加飾粉体を記録媒体上から回収する、粉体回収工程をさらに含んでいてもよい。このように、加飾に用いられなかった余分な加飾粉体を回収することは、経済性の観点および環境負荷の軽減の観点から好ましい。
加飾粉体の除去または回収方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。例えば、刷毛やブラシ等の部材で掻きとる方法、粘着テープ等の粘着部材で除去する方法、粉体を吸引または吸着することができる集粉器等の公知の器械で吸引する方法等が挙げられる。このように、粉体の除去または回収工程を行うための粉体除去手段(部材)または粉体回収手段(部材)としては、上述のように、刷毛やブラシ等の部材、粉体に対して粘着性を有する粘着部材、粉体を吸引する吸引部材を有する集粉器等を用いることができる。また、粉体が磁性粉末である場合には、マグネット部材を有する集粉器を用いてもよい。
[追い刷り印刷工程]
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程の後、ならびに必要に応じて行われる(III)摺擦工程および/または粉体除去工程の後に、追い刷り印刷工程をさらに含んでいてもよい。追い刷り印刷工程では、粉体の付着した樹脂層(すなわち粉体加飾画像)を有する記録媒体上に、さらに画像を形成する。追い刷り印刷方法については、特に制限されず、公知の手法を用いることができ、たとえば、インクジェット方式や、電子写真方式といった印刷方式を用いることができる。また、追い刷り印刷工程を行うための追い刷り印刷手段としては、公知の装置を用いることができる。追い刷り印刷工程をさらに有することで、多様な付加価値を有する印刷物を得ることができ、多様なニーズに応えることができるため、有用である。
[各工程の順序]
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程を含み、これらの各工程の順序は特に制限されない。すなわち(II)軟化工程は、(I)粉体供給工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよいし、また、同時に行ってもよい。
((I)粉体供給工程の後に(II)軟化工程を行う画像形成方法)
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程の後に(II)軟化工程を行ってもよい。(II)軟化工程によって樹脂層を軟化させた後に樹脂層上に粉体を供給すると、樹脂層の軟化から粉体の供給までの間に、樹脂層が硬化し、粉体が樹脂層に付着しにくくなることがある。したがって、(II)軟化工程を先に行う場合には、樹脂層の加熱温度を高くする必要がある。これに対し、(I)粉体供給工程を先に行うことにより、樹脂層上に粉体がある状態で加熱されて樹脂層が軟化するため、加熱を最小限とすることができる。さらに、(I)粉体供給工程から(II)軟化工程までの間の時間が長くなっても加飾部分を形成することができるため、プロセス速度を高速にする必要もない。したがって、エネルギー効率の観点からは、上記の順で各工程を行うことが好ましい。
((II)軟化工程の後に(I)粉体供給工程を行う画像形成方法)
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(II)軟化工程の後に(I)粉体供給工程を行ってもよい。樹脂層上に粉体が配置された状態で加熱すると、熱が粉体によって拡散することがある。これに対し、(II)軟化工程を先に行うことにより、このような熱拡散を抑制することができ、光沢を付与する部分の端部をより明瞭に形成することができる。すなわち、光沢を付与する部分のエッジをシャープに形成することができる。
((I)粉体供給工程および(II)軟化工程を同時に行う画像形成方法)
本発明の一形態に係る画像形成方法は、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程を同時に行ってもよい。具体的には、樹脂層に加飾粉体を供給する位置に対して、少なくとも粉体が供給されている間に加熱する手法を用いてもよい。本形態では、少なくとも(I)粉体供給工程が行われている間に(II)軟化工程が行われていればよく、例えば、(I)粉体供給工程の開始直前に(II)軟化工程が開始され、(I)粉体供給工程の終了と共に(II)軟化工程を終了する形態であってもよい。また、(II)軟化工程は、(I)粉体供給工程の終了直後に終了してもよい。
このように、(I)粉体供給工程および(II)軟化工程を同時に行う形態とすることで、エネルギー(熱)の損失を少なくすることができ、光沢を付与する部分のエッジをシャープに形成することができるという利点がある。
(好ましい形態)
上述のように、本発明に係る画像形成方法は、上記(I)および(II)の工程の後に、(III)摺擦工程をさらに行うと好ましい。したがって、本発明に係る画像形成方法の好ましい一形態は、(I)粉体供給工程と、(II)軟化工程と、(III)摺擦工程と、この順に行うことを含む。また、本発明に係る画像形成方法の他の好ましい一形態は、(II)軟化工程と、(I)粉体供給工程と、(III)摺擦工程と、をこの順に行うことを含む。さらに、本発明に係る画像形成方法の他の好ましい一形態は、(I)粉体供給工程と、(II)軟化工程と、を同時に行った後、(III)摺擦工程をさらに行うことを含む。
また、上述のように、これらの(I)~(III)の工程の前に、樹脂層形成工程を行うと好ましく、当該樹脂層形成工程は、定着画像形成工程であると好ましい。すなわち、本発明に係る画像形成方法の好ましい一形態は、定着画像形成工程と、(I)粉体供給工程と、(II)軟化工程と、(III)摺擦工程と、をこの順に行うことを含む。また、本発明に係る画像形成方法の他の好ましい一形態は、定着画像形成工程と、(II)軟化工程と、(I)粉体供給工程と、(III)摺擦工程と、をこの順に行うことを含む。さらに、本発明に係る画像形成方法の他の好ましい一形態は、定着画像形成工程の後、(I)粉体供給工程と、(II)軟化工程と、を同時に行い、その後、(III)摺擦工程をさらに行うことを含む。
さらに、上述のように、上記(I)~(III)の工程の後、さらに粉体除去工程(好ましくは、粉体回収工程)および/または追い刷り印刷工程を行ってもよい。
<画像形成装置>
本発明の一形態に係る画像形成方法を行うための画像形成装置は、記録媒体上に粉体を供給する粉体供給手段、および記録媒体上に形成された樹脂層を加熱するための加熱手段を有していると好ましい。また、本発明の一形態に係る画像形成方法を行うための画像形成装置は、記録媒体上に粉体を供給すると共に加熱する、粉体供給および加熱手段を有していてもよい。さらに、上記画像形成装置は、必要に応じて、粉体が供給された樹脂層(粉体が付着した樹脂層)を摺擦する摺擦手段、樹脂層に付着しなかった粉体を記録媒体上から除去する粉体除去手段(好ましくは、粉体回収手段)、および粉体の付着した樹脂層(すなわち、すでに加飾の施された光沢画像)を有する記録媒体上に、さらに画像を形成する画像形成手段(追い刷り印刷手段)をさらに有していると好ましい。これら摺擦手段、粉体除去手段(好ましくは粉体回収手段)、画像形成手段(追い刷り印刷手段)は、単独で、または2種以上を組み合わせて画像形成装置に備えられうる。なかでも、画像形成装置が上記画像形成手段(追い刷り印刷手段)をさらに有していると、高い付加価値を有する画像の生産性を高めるという観点から好ましい。
なお、上記の粉体供給手段、加熱手段、摺擦手段、粉体除去手段(粉体回収手段)、画像形成手段(追い刷り印刷手段)等の具体的な説明は、上記各工程に係る説明に記載の通りである。
また、上記の画像形成装置は、前述した定着画像形成装置が設けられている筐体と同じ筐体内に設けられていてもよいし、定着画像形成装置が設けられている筐体の外部に設けられていてもよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。以下の実施例においては、特記しない限り、「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<コア粒子用樹脂粒子分散液1の調製>
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ラウリル硫酸ナトリウム8質量部およびイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃として、下記単量体の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン540質量部
n-ブチルアクリレート270質量部
メタクリル酸65質量部
n-オクチルメルカプタン17質量部
上記混合液の滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより単量体の重合を行い、樹脂粒子分散液(a-1)を調製した。
(第2段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱した。加熱後、上記第1段重合により調製した樹脂粒子分散液(a-1)を固形分換算で80質量部と、下記単量体、連鎖移動剤及び離型剤を90℃にて溶解させた混合液とを添加した。
スチレン285.0質量部
n-ブチルアクリレート65.0質量部
メタクリル酸20.0質量部
n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 2.0質量部
ベヘン酸ベヘニル(離型剤、融点73℃)151.0質量部。
循環経路を有する機械式分散機クレアミックス(登録商標)(エム・テクニック社製)により、1時間の混合分散処理を行い、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤の溶液を添加し、この系を84℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行って、樹脂粒子分散液(b-1)を調製した。
(第3段重合)
上記第2段重合により得られた樹脂粒子分散液(b-1)にさらにイオン交換水400質量部を添加し、よく混合した後、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加した。さらに、82℃の温度条件下で、下記単量体及び連鎖移動剤の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン450質量部
2-エチルヘキシルアクリレート140質量部
メタクリル酸52.0質量部
n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート8.0質量部。
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、コア粒子用樹脂粒子分散液1を調製した。当該分散液中の樹脂の重量平均分子量(Mw)は30,000であった。また、分散液中の樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が205nmであった。
<結晶性ポリエステル樹脂の合成およびその分散液C1の調製>
(結晶性ポリエステル樹脂の合成)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、テトラデカン二酸281質量部及び1,6-ヘキサンジオール206質量部を仕込み、この系を撹拌しながら1時間かけて内温を190℃まで昇温させた。均一に撹拌された状態であることを確認した後、触媒としてのTi(O-nBu)を、テトラデカン二酸の仕込み量100質量%に対して0.003質量%の量で投入した。
その後、生成する水を留去しながら、6時間かけて内温を190℃から240℃まで昇温させ、さらに温度240℃の条件で6時間かけて脱水縮合反応を継続することによって重合を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂は、酸価20.9、重量平均分子量(Mw)が25,200、融点(Tm)が74.9℃、再結晶化温度(Rc)が69.7℃であった。
(結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液C1の調製)
次に、得られた結晶性ポリエステル樹脂100質量部を、400質量部のメチルエチルケトンに溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS-150T(株式会社日本精機製作所製)によりV-LEVEL 300μAで30分間の超音波分散処理を行った。
その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV-700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながらメチルエチルケトンを完全に除去して、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を調製した。当該分散液中の結晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が160nmであった。
<シェル層用非晶性ポリエステル樹脂の合成およびその分散液S1の調製>
(シェル層用非晶性ポリエステル樹脂の合成)
下記スチレンアクリル樹脂の単量体、非晶性ポリエステル樹脂及びスチレンアクリル樹脂のいずれとも反応する置換基を有する単量体及び重合開始剤の混合液を滴下ロートに入れた。
スチレン80.0質量部
n-ブチルアクリレート19.0質量部
アクリル酸12.0質量部
ジ-t-ブチルパーオキサイド(重合開始剤)16.0質量部
また、下記非晶性ポリエステル樹脂の単量体を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を備えた四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物285.7質量部
テレフタル酸66.9質量部
フマル酸47.4質量部
撹拌下で、滴下ロートに入れた混合液を四つ口フラスコへ90分かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて未反応の単量体を除去した。
その後、エステル化触媒としてチタンテトラブトキサイド(Ti(n-OBu))を0.4質量部投入し、235℃まで昇温して、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間、反応を行った。
次いで、200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にて反応を行った後、脱溶剤を行い、シェル用ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂を得た。
(シェル層用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液S1の調製)
上記で得られた、シェル層用非晶性ポリエステル樹脂72質量部をメチルエチルケトン72質量部に、70℃で30分撹拌し、溶解させた。次に、この溶解液に、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液3.0質量部を添加した。この溶解液を、撹拌器を有する反応容器に入れ、撹拌しながら、70℃に温めた水252質量部を70分間にわたって滴下混合した。滴下の途中で容器内の液は白濁化し、全量滴下後に均一に乳化状の状態を得た。
次いで、この乳化液を70℃で保温したまま、ダイヤフラム式真空ポンプ「V-700」(BUCHI社製)を使用し、15kPa(150mbar)に減圧下で3時間撹拌することでメチルエチルケトンを蒸留除去し、非晶性ポリエステル樹脂の水系分散液S1を調製した。上記粒度分布測定器にて測定した結果、上記分散液に含まれる粒子は、体積平均粒子径が92nmであった。
<着色剤粒子分散液の調製>
ラウリル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した溶液を撹拌しながら、銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)420質量部を徐々に添加した。撹拌装置クレアミックス(登録商標)(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子分散液を調製した。当該分散液中の着色剤粒子は、体積基準のメジアン径が110nmであった。
(トナー1の製造)
撹拌装置、温度センサーおよび冷却管を取り付けた反応容器に、コア粒子用樹脂粒子分散液1 300質量部(固形分換算)、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩を樹脂比で1質量%(固形分換算)およびイオン交換水2000質量部を投入した。室温(25℃)下、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。さらに、着色剤粒子分散液30質量部(固形分換算)を投入し、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解させた溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置した後、60分間かけて80℃まで昇温し、液温が80℃に到達した後、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液C1 22質量部(固形分換算)を20分間かけて投入した後、粒子径の成長速度が0.01μm/分となるように撹拌速度を調整し、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)により測定した体積基準のメジアン径が6.0μmになるまで成長させた。
次いで、シェル層用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液S1 37質量部(固形分換算)を30分間かけて投入し、分散液(反応液)の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解させた水溶液を添加して、粒子径の成長を停止させた。
さらに、80℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度の測定装置「FPIA-3000」(Sysmex社製)を用いて平均円形度が0.970になった時点で2.5℃/minの冷却速度で30℃に冷却した。
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄したのち、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、外添剤として疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒子径:500nm、疎水化度:94)1.4質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)により回転翼周速35mm/秒、32℃で15分間混合した。混合後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去し、トナー1を得た。なお、当該トナー1の体積基準のメジアン径は、5.9μmであった。
(トナー2~13の製造)
トナー1の製造において、外添剤である疎水性シリカ粒子の粒子径を、下記表1に記載のように変更したこと以外は、トナー1と同様にしてトナー2~13を製造した。
(トナー14の製造)
トナー1の製造において、外添剤として疎水性シリカ粒子の代わりに酸化チタン粒子(個数平均一次粒子径:20nm、疎水化度:84)を使用したこと以外は、トナー1と同様にしてトナー14を製造した。
(トナー15の製造)
トナー1の製造において、外添剤として疎水性シリカ粒子の代わりに酸化チタン粒子(個数平均一次粒子径:9nm、疎水化度:84)を使用したこと以外は、トナー1と同様にしてトナー15を製造した。
(トナー16の製造)
トナー1の製造において、外添剤として疎水性シリカ粒子の代わりに酸化ビスマス粒子(個数平均一次粒子径:13nm)を使用したこと以外は、トナー1と同様にしてトナー16を製造した。
(トナー17の製造)
トナー1の製造において、外添剤として、個数平均一次粒子径が20nmである疎水性シリカ粒子を用い、添加量をトナー粒子100質量部に対して2.2質量部へ変更したこと以外は、トナー1と同様にしてトナー17を製造した。
(トナー18の製造)
トナー1の製造において、外添剤である疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒子径:20nm)の添加量をトナー粒子100質量部に対して3.5質量部へ変更したこと以外は、トナー1と同様にして、トナー18を製造した。
(トナー19の製造)
トナー1の製造において、外添剤である疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒子径:20nm)の添加量をトナー粒子100質量部に対して4.2質量部へ変更したこと以外は、トナー1と同様にして、トナー19を製造した。
(トナー20の製造)
トナー1の製造において、外添剤である疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒子径:20nm)の添加量をトナー粒子100質量部に対して11.3質量部へ変更したこと以外は、トナー1と同様にして、トナー20を製造した。
(トナー21~26の製造)
トナー1の製造において、外添剤として表1に記載の2種類の無機粒子を使用したこと以外は、トナー1と同様にして、トナー21~トナー26を製造した。
(トナー27~29の製造)
トナー1の製造において、外添剤である疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒子径:20nm)の添加量を、表1のように変更したこと以外は、トナー17と同様にしてトナー27~29を製造した。
(トナー30の製造)
トナー1の製造において、外添剤を使用しなかったこと以外は、トナー1と同様にして、トナー30を製造した。
(トナー31~33の製造)
トナー1の製造において、外添剤である疎水性シリカ粒子の粒子径を、下記表1に記載のように変更したこと以外は、トナー1と同様にしてトナー31~33を製造した。
(トナー34、35の製造)
トナー1の製造において、外添剤の種類を、表1に記載のようにステアリン酸マグネシウム(MgSt)およびステアリン酸カルシウム(CaSt)に変更したこと以外は、トナー1と同様にしてトナー34、35を製造した。
<現像剤の作製>
上記トナー粒子に、メチルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートとの共重合体でその表面が被覆されている、体積平均粒径40μmのフェライトキャリア粒子をトナー濃度が6質量%となる量で混合し、現像剤を作製した。
Figure 0007180287000004
<画像の形成>
「AccurioPressC2060」(コニカミノルタ株式会社製、「AccurioPress」は同社の登録商標)の改造機に現像剤および記録媒体(王子製紙株式会社製 OKトップコート紙(157g/m))を収容し、当該改造機を用いて2cm×2cmの正方形のパッチ画像(8g/m)を記録媒体上に形成し、記録媒体上に当該パッチ画像を有するトナー画像(樹脂製画像)を出力した。
80℃に加熱したホットプレートの上に樹脂製画像が形成された上記記録媒体を、上記パッチ画像を上に向けて置き、当該パッチ画像上に、粉体としてエルジーneo(尾池イメージング株式会社製、平均粒子径55μm)を規定の量で散布し、上記樹脂製画像のパッチ画像の表面をスポンジローラで25秒間摺擦した。摺擦時の方向は実験者の方へ1方向に限定し、押圧力は、約10kPaである。また、この時摺擦した粉体は扁平状であり、当該粉体の厚みに対して、長径Lに直交する方向の最小長さ(短径)の比率(l/t)は10であった。摺擦後、上記樹脂製画像を室温条件下で冷却した後、刷毛によって残余の粉体をパッチ画像の表面から除去した。こうして得られた上記樹脂製画像における上記パッチ画像の部分(最終画像)は、メタリックな画像を呈していた。下記実施例1~26および28~35については、粉体を0.3g散布させ、実施例27については粉体を0.02g散布させた。
また、各実施例および比較例において使用された各成分を、表2にまとめて記載した。
<測定・評価>
(X線光電子分光分析分析(ESCA)による樹脂製画像表面の元素分析)
各実施例および比較例における樹脂製画像表面のケイ素元素の量(存在比率)は、以下のようにして求めた。
樹脂製画像表面のケイ素元素の量(存在比率)は、X線光電子分光分析装置「K-Alpha」(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、下記条件によってケイ素元素、炭素元素及び酸素元素の定量分析を行い、各々の原子ピーク面積から相対感度因子を用いて、樹脂製画像の最表面および最表面から深さ方向3nm以内のケイ素元素の存在比率を算出した。その結果を表2に記載した。
測定条件は以下のとおりである。
X線 :AlモノクロマチックX線源
加速 :12kV、6mA
分解能 :50eV
ビーム径 :400μm
パスエネルギー:50eV
ステップサイズ:0.1eV
各実施例および比較例における、粉体を供給する前の樹脂製画像についてESCAにより測定される温度300Kにおける熱伝導率が20W・mK以上の元素に該当する元素の存在量の合計(X)と、樹脂層に粉体を供給した後の画像のESCAにより測定されるメタリック性を発揮する元素の存在量(Y)とは、以下のようにして求めた。
まず(X)については、粉体供給前の樹脂製画像を用意し、樹脂製画像中に含有されている前記元素の定量分析をESCAにより実施した。樹脂層画像中に複数の該当する元素が含まれる場合は複数元素の分析および、算出した存在比率の加算をした。(Y)については樹脂層に粉体を供給した後の画像を用意し、供給した粉体に含有されるメタリック性を発揮する元素の定量分析をESCAにより実施した。ESCAは原理上、測定深度がサンプル表層数nmであるため、加飾する粉体と無機粒子が同一元素であったとしても、加飾後の画像を測定した結果は加飾した粉体のみを検知しているとみなすことができる。
測定条件は以下のとおりである。
X線 :AlモノクロマチックX線源
加速 :12kV、6mA
分解能 :50eV
ビーム径 :400μm
パスエネルギー:50eV
ステップサイズ:0.1eV。
(粉体付着評価)
実施例および比較例において、粉体加飾後の画像の定着強度の評価を、テープ剥離試験法により行った。具体的には、定着画像に18mm幅で粘着テープ(ニチバン株式会社製:セロハンテープ)を貼り、粘着テープの上に円柱ブロックを円周方向に転がして300g/cmの線圧にてテープを画像面に密着させ、その後、粘着テープを引き剥がし、下記基準に従って評価した。ランク2~5は実用可能であり、また、ランク1の結果は不可とする。その結果を表2に記載した。
5:粉体加飾後の画像が1.8%未満の面積比で画像から欠損した。
4:粉体加飾後の画像が1.8%以上3%未満の面積比で画像から欠損した。
3:粉体加飾後の画像が3%以上4%未満の面積比で画像から欠損した。
2:粉体加飾後の画像が4%以上6%未満の面積比で画像から欠損した。
1:粉体加飾後の画像が6%以上の面積比で画像から欠損した。
なお、画像の欠損については、粉体加飾後の画像を写真としてデータ化した後、ImageJのソフトを用いて二値化することで画像の欠損部の判別をした。判別に使用した範囲は、すべて粘着テープで引きはがしを実施した箇所である。
(画像のメタリック性の評価)
各実施例および比較例で得られた画像のメタリック性の評価指標として、フロップインデックス値(見る角度による色変化)を用いた。
フロップインデックス値は、以下の式3より算出される。算出に必要な明度(L)の値は、多角度測色計(BYK-mac i)で測定した。なお、L15°とは、画像に対して15°の角度から測定した明度であり、L45°とは、画像に対して45°の角度から測定した明度であり、L110°とは、画像に対して110°の角度から測定した明度である。また、フロップインデックス値は高いほど、見る角度による色変化が大きくなるため、メタリック性が高くなる。
Figure 0007180287000005
求めたフロップインデックス値により、下記の評価基準に基づき、メタリック性を評価した。また、×となった結果は不可とする。その結果を表2に記載した。
◎:フロップインデックス値が、9.0以上
○:フロップインデックス値が、8.0以上9.0未満
×:フロップインデックス値が、8.0未満
Figure 0007180287000006
Figure 0007180287000007
表2から分かるように、実施例1~30は画像のメタリック性および粉体付着性のいずれも優れており、中でも、実施例8~12は最も良い結果が得られた。実施例8と実施例14とを比べると、無機粒子として酸化チタンを使用する場合よりも、シリカを使用する場合のほうが、メタリック性はほぼ同等であるが、加飾した粉体の剥がれやすさが抑制されていると考えられる。熱伝導率をみると、Ti<Siであり、TiはSiに比べて樹脂層全体を均一に軟化させられず、粉体が剥がれやすい部分が生じていると考えられる。
実施例21~26では複数種類の無機粒子を含有させることも可能であることを示している。実施例22~26に対し、実施例8がメタリック性に優れるのは、樹脂層に対する無機粒子全体の含有部数が好ましい量であり、加飾する粉体の付着が良好な状態になっていることが考えられる。さらにシリカの他に熱伝導率の高い元素由来の無機粒子を含んでいないため、粉体の沈み込みが生じにくい状態となっているためと考えられる。
一方、比較例1は無機粒子を使用していないため、粉体の埋没が発生し画像のメタリック性が低下し、また、粉体の埋没が不均一に発生していることで粉体が画像表面に突き出すように配置され、取り除かれやすい状態になることで粉体の付着性も低下している。比較例2~6は、無機粒子の個数平均一次粒子径が本発明の範囲外になり、その画像欠損率が高くなり、結果として画像のメタリック性も低下したと考えられる。
1 記録媒体
2 定着画像
10 粉体供給装置(粉体供給手段)
11 粉体収容部
12 粉体供給ローラー
20 加熱装置(加熱手段)
30 摺擦部材(摺擦手段)

Claims (5)

  1. 記録媒体上に形成された樹脂層を軟化させる工程と、記録媒体上に粉体を供給する工程と、を有する画像形成方法であって、
    前記樹脂層は少なくとも1種の無機粒子を含み、前記無機粒子の個数平均一次粒子径が5nm以上500nm以下であり、
    前記無機粒子が、温度300Kにおける熱伝導率が20W・mK以上の元素由来の化合物を含有し、
    前記樹脂層のX線光電子分光分析(ESCA)により測定される温度300Kにおける熱伝導率が20W・mK以上の元素の存在量をXとし、樹脂層に粉体を供給した後の画像のESCAにより測定されるメタリック性を発揮する元素の存在量をYとしたとき、以下の式(2)を満たす、画像形成方法;
    Figure 0007180287000008
  2. 前記樹脂層は、X線光電子分光分析(ESCA)により測定される炭素元素量、酸素元素量、およびケイ素元素量の合計に対するケイ素元素量の割合が、下記(1)を満たす、請求項1に記載の画像形成方法。
    Figure 0007180287000009
  3. 前記粉体が供給された樹脂製画像を前記樹脂層側から摺擦する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記粉体が供給された樹脂製画像を前記樹脂層側から摺擦する工程が、記録媒体と摺擦部材との相対速度差によって摺擦することを含む、請求項に記載の画像形成方法。
  5. 前記粉体が非球状粉体である、請求項1~のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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