JP2020031580A - β−グルカン高産生菌株、β−グルカンの製造方法、及びβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法 - Google Patents

β−グルカン高産生菌株、β−グルカンの製造方法、及びβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020031580A
JP2020031580A JP2018160929A JP2018160929A JP2020031580A JP 2020031580 A JP2020031580 A JP 2020031580A JP 2018160929 A JP2018160929 A JP 2018160929A JP 2018160929 A JP2018160929 A JP 2018160929A JP 2020031580 A JP2020031580 A JP 2020031580A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glucan
strain
culture
producing
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018160929A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020031580A5 (ja
JP6914534B2 (ja
Inventor
▲祐▼生子 守屋
Yukiko Moriya
▲祐▼生子 守屋
岡部 満康
Mitsuyasu Okabe
満康 岡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aureo Co Ltd
Original Assignee
Aureo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aureo Co Ltd filed Critical Aureo Co Ltd
Priority to JP2018160929A priority Critical patent/JP6914534B2/ja
Publication of JP2020031580A publication Critical patent/JP2020031580A/ja
Publication of JP2020031580A5 publication Critical patent/JP2020031580A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6914534B2 publication Critical patent/JP6914534B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】アウレオバシジウム属に属する微生物を利用して、低コストで効率よく、高純度のβ−グルカンを得ることができる、β−グルカンの生産技術の提供。【解決手段】アウレオバシジウムプルランスに属する菌株を親株とする変異株であって、31.5℃で培養したときのβ−グルカン産生能が高められている、該β−グルカン高産生菌株。この菌株を用いた、比較的に高温の培養条件下においてもβ−グルカン産生能が高く、工業的生産において、大型の通気攪拌槽等の設備による培養の際、至適温度への温調が必要ないか、あるいはその必要性の程度が軽減される、β−グルカンの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、β−グルカンを工業的に生産するのに適したβ−グルカン高産生菌株、該菌株によるβ−グルカンの製造方法、及びβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法に関するものである。
β−グルカンは、キノコやビール酵母、あるいは黒酵母などによって生産される多糖で、抗腫瘍作用、アレルギー軽減、抗ウイルス作用、抗菌活性などが確認されており、これを含有するサプリメントなどが商品化されている。
一般にキノコ由来のβ−グルカンは、キノコ自体の安定的な大量生産が困難であり、コストの低減化が難しい。またビール酵母由来のβ−グルカンについても、細胞壁からの抽出、精製が複雑であり、高純度のβ−グルカンを得るのが難しく、結果的にコストが高くなってしまう。それに対して黒酵母(アウレオバシジウム(Aureobasidium)属に属する微生物)は、菌体外にβ−グルカンを生産するので、分離精製が容易であり、高純度のグルカンを低価格で提供することが可能である。
黒酵母からβ−グルカンを生産する方法に関し、下記特許文献1には、窒素枯渇培地で誘導したAureobasidium属菌株の厚膜胞子を、ビタミンEを添加し粉砕した中糠0.1〜1.0重量%、グルコース0.5〜2.0重量%、ビタミンC0.2〜0.5重量%を含みpH5.0〜6.0に調整した液体培地に、培養開始時の菌数が104cell/mLになるよう植菌して20℃で96時間振とう培養したところ、そのように窒素枯渇培地で誘導した厚膜胞子が、通常の窒素源が豊富な培地で継代した分芽胞子を培養した場合に比べて、培養物中のβ−グルカン量が高い値となることが記載されている(特許文献1の段落0019、0021)。
また、下記特許文献2には、アウレオバシジウム属に属する微生物の培養に際して、培養液の攪拌翼としてトルクの大きな攪拌翼、例えばヘリカルリボン翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、アンカー翼などを用いて、培地を攪拌しながら培養し、菌の生育とグルカンの生産が増大するに従い、攪拌回転数を増加させ、その攪拌回転数と通気量を調整することによって溶存酸素濃度を15%以上に保持して培養を行うことが記載されている(特許文献2の段落0015)。
特開2004−329077号公報 特開2004−49013号公報
黒酵母を利用したβ−グルカンの大量生産の方法としては、通気撹拌培養方式などが知られているが、培養中に生産されるβ−グルカンにより培養液の粘度が非常に高まるので大型撹拌翼による高通気高撹拌が必要であり、その場合に、撹拌翼の運転やこれによって生じるジュール熱のため、20〜25℃付近が至適温度である菌の生育やβ−グルカン産生能に影響を与えて、β−グルカンの収率を思うように高められないという問題があった。あるいは、その至適温度への温調のためには、エネルギーコストがかかるという問題があった。
本発明の目的は、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属に属する微生物を利用して、低コストで効率よく、高純度のβ−グルカンを得ることができる、β−グルカンの生産技術を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のβ−グルカン高産生菌株は、アウレオバシジウム プルランスに属する菌株を親株とする変異株であって、31.5℃で3日間培養したときの培養液中のβ−グルカン含有量として、前記親株に比べて2倍以上に該β−グルカン産生能が高められていることを特徴とする。
また、本発明のβ−グルカン高産生菌株は、アウレオバシジウム プルランスに属する菌株であって、31.5℃で3日間培養したときの培養液中のβ−グルカン含有量が3g/L以上であることを特徴とする。
本発明のβ−グルカン高産生菌株によれば、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)に属する微生物を利用するので、所定の培養により、高純度のβ−グルカンを生産することができる。加えて、比較的に高温の培養条件下においてもβ−グルカン産生能が高いので、工業的生産において、大型の通気攪拌槽等の設備による培養の際、至適温度への温調が必要ないか、あるいはその必要性の程度が軽減される。これにより、工業的生産のためのエネルギーコストを大幅に削減することができ、低コストで効率よくβ−グルカンを生産することができる。
上記のβ−グルカン高産生菌株としては、例えば、Aureobasidium pullulans M-3株が挙げられる。
一方、本発明のβ−グルカンの製造方法は、上記のβ−グルカン高産生菌株を液体培地で培養し、β−グルカンを得ることを特徴とする。
本発明のβ−グルカンの製造方法によれば、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)に属する微生物を利用するので、所定の培養により、高純度のβ−グルカンを生産することができる。加えて、比較的に高温の培養条件下においてもβ−グルカン産生能が高いので、工業的生産において、大型の通気攪拌槽等の設備による培養の際、至適温度への温調が必要ないか、あるいはその必要性の程度が軽減される。これにより、工業的生産のためのエネルギーコストを大幅に削減することができ、低コストで効率よくβ−グルカンを生産することができる。
本発明のβ−グルカンの製造方法においては、前記培養を20.0〜35.0℃の温度条件で行うことが好ましい。これによれば、β−グルカン生産のより一層の効率化を図ることができる。
本発明のβ−グルカンの製造方法においては、前記培養を魚粉及び/又は大豆粉を窒素源とする液他培地で行うことが好ましい。これによれば、β−グルカン生産のより一層の促進を図ることができる。
他方、本発明のβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法は、アウレオバシジウム プルランスに属する菌株を親株とし、変異処理を行ない、30.0〜35.0℃の温度条件で培養して、前記温度条件で生育可能な菌株を選別し、更に、前記親株に比べてβ−グルカンの産生能が高められている菌株を選別することを特徴とする。
本発明のβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法によれば、β−グルカンを工業的に生産するのに適したβ−グルカン高産生菌株を得ることができる。
本発明のβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法においては、前記温度条件で生育可能な菌株を寒天培地上で選別することが好ましい。これによれば、寒天培地上に生育するコロニーの数を調整すること等により、変異処理の程度の調整が容易である。
本発明のβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法においては、前記親株に比べてβ−グルカンの産生能が高められている菌株の選別を、液体培地で培養したときの該培養液中のβ−グルカン含有量を、前記親株のそれと比較することにより行うことが好ましい。これによれば、β−グルカンの産生能が高められた菌株をより確実に選別することができる。
本発明によれば、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)に属する微生物を利用するので、所定の培養により、高純度のβ−グルカンを生産することができる。加えて、比較的に高温の培養条件下においてもβ−グルカン産生能が高いので、工業的生産において、大型の通気攪拌槽等の設備による培養の際、至適温度への温調が必要ないか、あるいはその必要性の程度が軽減される。これにより、工業的生産のためのエネルギーコストを大幅に削減することができ、低コストで効率よくβ−グルカンを生産することができる。
試験例2において、M−2株又はM−3株を、31.5℃で6日間、液体培養したときの菌体の形状を示す顕微鏡写真であり、図1(a)はM−2株の写真であり、図1(b)はM−3株の写真である。
本発明において、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)に属する微生物の培養のための培地としては、特に言及しない限り、当業者に周知の培養組成のものを適宜選択して用いることができる。また、その微生物の培養方法や、継代方法、保管方法等についても、特に言及しない限り、当業者に周知の手段で行うことができる。
なお、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)に属する微生物の培養液中のβ−グルカン含有量の決定は、例えば次のような方法で行うことができる。すなわち、培養物から菌体を遠心分離機で除去し、その培養液に対して、アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、プロテアーゼ等を用いて酵素処理を施し、蛋白質や、プルラン等のα−グルカンを分解した後、エタノール沈殿を行う。更に、ガラスフィルターでろ過し、高分子試料を得る。このとき、単糖を含む低分子物質を除くため、80%エタノールで充分に洗浄する。洗浄した高分子試料はアセトンで更に洗浄し、硫酸を加え、加水分解を行う。加水分解後、中和し、そのろ液を採取して、グルコースオキシダーゼ法によりブドウ糖を定量し、下記数式1に基づいて計算した値をβ−グルカン量とする。
・数式1:β−グルカン(g/100g)=ブドウ糖(g/100g)×0.9
また、β−グルカン含有量の決定は、いわゆる糖鎖含有高分子物質(多糖)量として決定することもできる。この場合は、培養終了後の培養物から菌体を遠心分離機で除去し、その培養液に対して、アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、プロテアーゼ等を用いて酵素処理を施し、蛋白質や、プルラン等のα−グルカンを分解した後、エタノール沈殿を行う。更に、ガラスフィルターでろ過し、高分子試料を得る。このとき、単糖を含む低分子物質を除くため、80%エタノールで充分に洗浄する。洗浄した高分子試料はアセトンで更に洗浄したものの重量を測定することで糖鎖含有高分子物質(多糖)量とする。なお、このようにして定量されるβ−グルカンは、硫酸基、リン酸基等の官能基を有するもの、あるいはβ−グルカンの構成糖であるグルコース以外の糖からなる多糖などをも含むものとして定量される。
(β−グルカン高産生菌株の作出)
本発明に用いられるβ−グルカン高産生菌株は、例えば、以下に示すスクリーニングを行うことにより、当業者にとって特別の困難性なく、作出することが可能である。ただし、以下に示す記載は、本発明の範囲を、特定の手法により作出される菌株にかかるものに限定する趣旨の記載ではない。
まず、親株として、アウレオバシジウム プルランスに属する菌株を準備する。通常、アウレオバシジウム プルランスに属する微生物であれば、所定の培養により、その培養液中にβ−グルカンを生成する。そして、その培養後の培養液から高純度のβ−グルカンを得ることができる。ただし、その培養の至適温度は20〜25℃付近である。
例えば、本出願人らによるアウレオバシジウム プルランス M−1株(独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター 受託番号FERM BP−08615)は、β−グルカンの大量生産に適したβ−グルカン産生菌株である(以下、「M−1株」と称する場合がある)。そして、得られるβ−グルカンには、優れた皮膚保湿機能や便秘改善機能や免疫賦活機能があることが示されている(特許第4000078号公報、特許第4054697号公報、特許第4369258号公報)。また、本出願人らによるアウレオバシジウム プルランス M−2株(独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター 受託番号FERM BP−10014)は、そのβ−グルカン産物に上記M−1株と同様の生理活性機能が備わるとともに、加えて、メラニン色素の生成蓄積が少ない、良質なβ−グルカンが含まれた、白黄色のジェル状物質を安定的に培養液中の菌体外に生成する。
次に、上記親株に対して変異処理を行なう。変異処理としては、当業者に周知の微生物の突然変異作出手段を採用することが可能であり、例えば、紫外線照射処理、変異原性物質処理等で行うことができる。変異源としての紫外線照射は、例えば、UVランプ等を用いて行うことができる。また、変異原性物質としては、例えば、メタンスルホン酸エチル、ニトロソグアニジン、エチジムブロマイド等を用いることができる。
ただし、本発明においては、上記の変異処理とともに、又は、その処理の後で30.0〜35.0℃の温度条件で培養し、その温度条件で生育可能な菌株を選別する必要がある。このようにすることで、通常であればアウレオバシジウム プルランスに属する微生物が生育するのには苛酷な高温下にあっても、その環境下でよく生育する変異株を得ることができる。その場合、紫外線照射であれば照射時間や照射距離等の調節によって、変異原性物質であれば濃度等の調節によって、微生物に対する変異処理の程度を調節することができる。本発明の好ましい態様においては、変異処理の程度として、処理後の微生物の30.0〜35.0℃下の生存率が、仮に変異処理しないときの生存率を100%としたとき、およそ5〜50%程度、より好ましくはおよそ10〜30%程度となるようにすることが好ましい。また、この操作を複数回、より好ましくは2〜5回、更により好ましくは2〜3回繰り返すことが好ましい。このように、適宜強弱が調整された変異処理と、高温下での培養を繰り返すことにより、高温下にあっても、よく生育する変異株を、より効率的に得ることができる。
本発明の一形態においては、上記温度条件で生育可能な菌株の選別を、寒天培地上で行うことが好ましい。これによれば、上記変異処理とともにおこなうか、あるいは、その変異処理の後に行う、選別のための培養の操作を、寒天培地上に微生物の懸濁液を塗布した後、コロニーを形成させること等により行うことができ、高温下にあっても、よく生育する変異株を、より確実に得ることができる。また、上記変異処理を、平板上の寒天培地に微生物の懸濁液を塗布した後にUVを照射したり、変異原性物質を培地組成中に含有せしめたりすることにより、その寒天培地上で行うことができ、より一層効率よく変異株を得ることができる。
次に、親株に比べてβ−グルカンの産生能が高められている菌株の選別を更に行なう。β−グルカンの産生能が高められているかどうかは、当業者に周知の手段を適宜採用して決定すればよく、その手段は特に制限はない。例えば、液体培地で培養したときのその培養液中のβ−グルカン含有量を、親株のそれと比較すること等により行うことができる。
なお、本発明の好ましい態様においては、上記のようにして得られた菌株が、下記の培養条件で3日間培養したときの培養液中のβ−グルカン含有量として、親株に比べて2倍以上、より好ましくは2.5倍以上、更により好ましくは3倍以上に高められていることを基準にして、菌株のβ−グルカン産生能が高められているかを決定し、選別することが好ましい。あるいは、場合によっては、下記の培養条件で3日間培養したときの培養液中のβ−グルカン含有量が3g/L以上、より好ましくは3.5g/L以上、更により好ましくは4g/L以上であることを基準にして、菌株のβ−グルカン産生能が高められているかを決定し、選別してもよい。
(培養条件)
培地:スクロースを最終濃度が2.0質量%であり、米ぬかを最終濃度が0.3質量%であるように、それぞれを水に溶解してなる液体培地であって、pH5.8〜6.0であり、これをオートクレーブ滅菌した該液体培地
温度条件:31.5℃
培養容器:500mL容の三角フラスコ
通気条件:溶存酸素濃度が1ppm以上(例えば、10%飽和体積濃度を下回らないよう、振とう培養装置の振とう条件として100〜300rpm)
以上のような基準を採用することにより、β−グルカンを工業的に生産するのに適した菌株をより確実に得ることができる。
上述したように、高温下にあってもよく生育する菌株の選別は、変異処理と所定高温下での培養からなる一連の選別操作を複数回繰り返して行ってもよいが、その場合、上記β−グルカン産生能による選別を組み合わせて行ってもよい。より具体的には、高温下であってもよく生育する菌株であって、更に、β−グルカン産生能が所定基準以上のものを選別し、これを一連の選別操作として複数回、より好ましくは2〜5回、更により好ましくは2〜3回繰り返してもよい。このように、適宜強弱が調整された変異処理と、高温下での培養と、β−グルカン産生能の評価とを組み合わせて、更には、この一連の選別操作を複数回繰り返して菌株を選別することにより、高温下にあってもよく生育し、なお且つ、β−グルカン産生能に優れた変異株を、より効率的に得ることができる。
(β−グルカン高産生菌株の例示)
本発明に用いられるβ−グルカン高産生菌株としては、例えば、Aureobasidium pullulans M-3株等が挙げられる。この菌株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託されており、分譲可能とされている(受託番号NITE BP−02744)。菌株以外にも、上述した方法に準じて作出された菌株や、上記所定の培養条件におけるβ−グルカン産生能の条件を満たす菌株を、適宜使用可能である。
(β−グルカンの製造方法)
本発明のβ−グルカンの製造方法では、上記に説明したβ−グルカン高産生菌株を液体培地で培養し、β−グルカンを得る。液体培地としては、上述したように、当業者に周知の培地組成のものを適宜選択して用いることができるが、より詳細には、以下のような組成が挙げられる。
すなわち、炭素源、窒素源、リン、カリウム、マグネシウム、亜鉛等の通常微生物の培養に必要な栄養成分を含む液体培地が用いられる。炭素源としてはスクロース、グルコース、マルトース、キシロース等、微生物の培養に一般的な市販の炭水化物であればいずれも使用できるが、特にスクロース、グルコース、マルトースが好ましい。後述の実施例で示されるように、スクロースであればβ−グルカンの生産性が高まる傾向があるので、より好ましい。炭素源の含有量としては、液体培地中1〜10質量%程度であることが好ましく、1〜3質量%程度であることがより好ましい(複数用いる場合はその合計量として)。窒素源としては微生物の培養に一般的に使用される大豆粉、魚粉、ファーマメディア、コーンミール、コーンスティープリカー、米ぬか等であればいずれも使用可能であるが、特に魚粉、大豆粉、米ぬかが好ましい。後述の実施例で示されるように、魚粉又は大豆粉であればβ−グルカンの生産性が高まる傾向があるので、より好ましい。また、L−グルタミン酸ナトリウム、DL−アラニン等のアミノ酸も窒素源として利用できる。窒素源の含有量としては、液体培地中0.1〜5質量%程度であることが好ましく、0.2〜0.5質量%程度であることがより好ましい(複数用いる場合はその合計量として)。その他にも、液体培地には、例えばKH2PO4を0〜1g/L、好ましくは0.05〜1g/Lで、例えばMgSO4・7H2Oを0〜5g/L、好ましくは0.1〜0.5g/Lで、例えばFeSO4・7H2Oを0〜5g/L、好ましくは0.1〜1.0g/Lで、例えばZnSO4を0〜1g/L、好ましくは0.05〜1g/Lで、適宜配合し得る。
培養は、通常の温度範囲である20〜35℃で行ってもよいが、好ましくは30〜35℃、より好ましくはチラー(冷却装置)を使用しないで、水道水、あるいは地下水、あるいは河川水を培養タンクの温度制御に利用できる範囲の温度で培養するのがより好ましい。これによれば、冷却のためのエネルギーを削減することができる。また、工業的生産のためには、好ましくは200〜200,000Lの容量、より好ましくは2,000〜50,000Lの容量、更により好ましくは5,000〜20,000Lの容量の培養槽を備えた設備で培養することが望ましい。その際、適当な攪拌翼と空気圧縮機によるスパージャーからの通気装置を備えた培養装置等を用いて、培養液中の溶存酸素を確保することが好ましい。溶存酸素濃度としては、10%飽和体積濃度を下回らないようにすることが好ましく、15%飽和体積濃度を下回らにようにすることがより好ましい。また、より確実に確保するためには、培養液の溶存酸素濃度をモニターする溶存酸素検出計を設けたり、その検出計による測定値に基づいて、攪拌数や通気量を制御して培養期間中培養液の溶存酸素濃度を維持するようにすることがより好ましい。
本発明の製造方法によって得られるβ−グルカンは、上記液体培地中で上記菌株を増殖させることによって得られる培養物自体の形態で提供されてもよく、あるいは、その培養物の一部であり、培養物から遠心分離やろ過等によって菌体部分を分離除去した溶液部分の形態で提供されてもよい。すなわち、β−グルカン含有組成物の形態で提供されてもよく、例えば、培養物自体からなる場合は、アウレオバシジウム プルランスの菌体を含有する組成物となり、菌体内や菌体外に放出されているものの溶液中に拡散せずに菌体表面にとどまっているβ−グルカンをも同時に含有することとなる。また、培養物の溶液部分からなる場合は、菌体を含有しない組成物となり、それぞれ用途に応じて使用することができる。
本発明の製造方法によって得られるβ−グルカンは、上記菌株の培養物の溶液部分を、更に、エタノール沈澱処理等することによってβ−グルカンを沈殿部に分離濃縮し、エタノール沈澱処理等によってその沈殿部に分離濃縮されない低分子物質を除いた形態のものとすることもできる。
本発明の製造方法によって得られるβ−グルカンは、上記菌株が生産するβ−グルカンの割合が、水分を除く固形分中に5〜90質量%含有する形態として提供されることが好ましく、20〜90質量%含有する形態として提供されることがより好ましい。
本発明の製造方法によって得られるβ−グルカンは、殺菌処理しない形態のものとして提供されることもできるが、通常は、上記培養物を殺菌した形態のもの、もしくは、培養物から遠心分離やろ過等によって菌体部分を分離除去した溶液部分を加熱又は加圧加熱殺菌した形態のものとして提供されることが好ましい。また、ビタミンC、有機酸(リンゴ酸、クエン酸等)等のpH調整剤でpHを4.5、より好ましくは4.0未満に調整し、食品衛生法の製造基準に定められている緩和な加熱条件で殺菌することにより、食感、着色、味、香り等の食品としての特性の変化を最小限に抑制できる。更に、ビタミンC及び/又は有機酸(リンゴ酸、クエン酸等)の添加によれば、本発明のβ−グルカン含有組成物をさわやかな呈味性を伴うものとすることができる。
本発明の製造方法によって得られるβ−グルカンは、上記菌株が産生するβ−1,3−1,6グルカン等の構造を有するβ−グルカンのほか、上記菌株が生産するその他の多糖類、オリゴ糖、食物繊維、ポリフェノール類やその他の成分、あるいは培地から持ち込まれる糖類、アミノ酸類、ビタミン類、ミネラル類等を含有する組成物の形態で提供されてもよい。
本発明の製造方法によって得られるβ−グルカン、あるいはそれを含む組成物の形態であるβ−グルカン含有組成物は、通常用いられる製剤法によって各種製剤に調製することができるが、溶解性の点から、凍結乾燥、噴霧造粒等の粉体・造粒加によって粉末、あるいは顆粒とすることが好ましい。また、それらからカプセル剤や錠剤等を調製することもできる。
本発明の製造方法によって得られるβ−グルカン、あるいはそれを含む組成物の形態であるβ−グルカン含有組成物は、清涼飲料、牛乳、ヨーグルト、乳酸菌飲料、ゼリー飲料、果汁飲料、野菜ジュース、スープ、味噌汁等の各種飲食品に配合することができる。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、本実施例において、糖質、粘度、及び濁度の測定は、それぞれ次のようにして行った。
(糖質)
液体培養物から遠心分離機を用いて菌体を除いた培養液を蒸留水で20倍希釈し、これをA液とした。次いでこのA液をさらに蒸留水で10倍希釈したものをB液とした。このB液0.5mLとフェノール試薬0.5mLとの混合液に対して、濃硫酸2.5mLを勢いよく添加し、10分放置後、激しく攪拌して、更に40分放置し、分光光度計(SHIMADZU 紫外可視分光光度計 UVmini-1240)を用いて490nmの波長での吸光度を測定した。グルコースの水溶液を標準液として定量し、そのグルコース換算量(単位:g/dl)を全糖値(TS)とした。一方、B液の0.2mLをマイクロピペットを用いてマイクロチューブに採取し、エタノールを0.8mL加え、ボルテックスミキサーで5分間攪拌した後、14500rpmで5分間遠心分離した。遠心上澄みを0.5mL採取し、全糖と同様の方法でグルコース換算量(単位:g/dl)を求めこれを残糖値(RS)とした。この全糖値(TS)と残糖値(RS)から、多糖値(PS)とβ−グルカン値(BG)を以下の計算式で求めた。
・多糖値(PS)=全糖値(TS)−残糖値(RS)
・β−グルカン値(BG)=0.75×多糖値(PS)
(粘度)
液体培養物から遠心分離機を用いて菌体を除いた培養液の約50mLをバイアル瓶(40mm×750mm)に入れ、粘度計(TVB-10M SPINDLE No. M2、東機産業)のスピンドルをセットし、スピンドル回転速度0.3rpmの設定において、その30分後の値を測定した。その後、5分ごとに3回測定し、最大値と最小値を切り捨てて、中間値の平均を求めた。
(濁度)
液体培養物から遠心分離機を用いて菌体を除いた培養液を蒸留水で10〜20倍に希釈し、ボルテックスミキサーを用いて十分攪拌した後、分光光度(SHIMADZU 紫外可視分光光度計 UVmini-1240)を用いて波長660nmで吸光度を測定した。吸光度に希釈率を乗じた値をUOD(unit of optical density)として表示した。
[試験例1]
アウレオバシジウム プルランス M−2株(独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター 受託番号FERM BP−10014)は、メラニン色素の生成蓄積が少ない、良質なβ−グルカンが含まれた、白黄色のジェル状物質を安定的に培養液中の菌体外に生成する、β−グルカンの大量生産に適した菌株である(以下、「M−2株」という。)。ただし、β−グルカン生産に対する至適温度が20〜25℃と、工業的生産の目的からすると温調のエネルギーコスト等の観点からは、若干低く、またそのβ−グルカンの蓄積濃度も0.3〜0.6g/dlと、十分とはいい難かった。そこでM−2株を親株として、β−グルカン生産に対する至適温度が改善した菌株の取得を試みた。
具体的には、以下のスクリーニングにより、M−2株の変異株として、β−グルカン高産生菌株を得た。即ち、M−2株をPDA(Potato Dextrose Agar:Difco 社製)のスラント培地上で7日間培養し、得られた菌体をPBSの10mLに懸濁し、菌体濃度がおよそ105CFU/mL程度の菌体懸濁液とした。その菌体懸濁液の0.1mLをPDAのプレート培地上に塗布し、その後のプレート培地上の菌体に対して生存率5〜15%程度となるような照射時間でUV照射処理を行った。31.5℃で7日間静置培養してコロニーを採取し、以下の培養試験により更に選別した。
炭素源としてスクロースを2.0質量%、窒素源として魚粉(市販の煮干しイワシを自家粉末化して調製した魚粉)を0.3質量%含有した培地(オートクレーブ装置にて121℃、25分殺菌)の100mLを500mL三角フラスコに入れ、上記コロニー個々をそれぞれ滅菌したスパーテルで細かく砕いたのち植菌し、ロータリーシェーカー(振とう条件:150rpm)を用いて31.5℃で3日間培養した。培養後の培養液について粘度、β−グルカンの蓄積濃度を測定し、両者が高い値を示したコロニーを候補株として選別した。
選別した候補株について、上記の変異操作処理とこれに続く培養試験による選別を、更に2回繰り返し、最終的に得られた変異株をAureobasidium pullulans M-3株と命名し、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託した(受託番号NITE BP−02744)。
[試験例2]
Aureobasidium pullulans M-3株(以下、「M−3株」という。)の菌学的性質を、親株であるM−2株と比較するために、寒天平板培地上でM−2株は24.5℃、M−3株は31.5℃で1週間培養したコロニーについて、その直径・色調、表面性状、可溶性色素生産の有無になどを巨視的に観察し、また、その栄養菌糸の形状や分生子形成様式などの微視的形態を顕微鏡下に観察した。その結果、寒天平板培地上のM−3株のコロニーの形状は、直径、色調、表面形状、色素生産などに関して、親株であるM−2株の諸形状と何らの相違も認められなかった。更に、M−3株が、親株であるM−2株同様、所定の液体培地による培養後の培養液にβ−グルカンを分泌するβ−グルカン産生菌であることは、別途、M−2株の産物を指標にしたHPLC分析等により確認された。
一方、M−3株を液体培養したときの細胞形態は、M−2株を31.5℃で液体培養した場合に比較して、著しく異なっていた。その結果を図1に示す。
図1は、M−2株又はM−3株を、炭素源としてスクロースを2.0質量%、窒素源として魚粉を0.3質量%含有した液体培地(下記試験例4で使用したものと同様の培地)を用いて、31.5℃で6日間、液体培養したときの菌体の形状を示す顕微鏡写真である。図1(a)に示されるように、親株であるM−2株では、培養液中の菌体はほとんどが糸状菌型を呈していた。これに対し、図1(b)に示されるように、M−2株の変異株であるM−3株は、培養液中の菌体はほとんどが酵母型を呈していた。
アウレオバシジウム プルランスのような不完全菌のライフサイクルでは、貧栄養培地あるいは低温などの環境条件が悪い時には、出芽後の細胞間の分離が妨げられ、細胞が連鎖した菌糸状の細胞になるものと考えられている(宮脇香織他,生物工学誌, 第88巻, 12号, 634-641(2010))。しかしながらM−3株の場合、図1で示したように、菌糸状の細胞がほとんど検出できなかった。また、別途の試験においても、窒素源の如何にかかわらず、更には、培養温度を従来の24.5℃と低くしても、M−3株では、図1(a)のM−2株にみられるような菌糸状の細胞がほとんど検出できなかった。これは、M−3株は遺伝子レベルで、環境条件が悪くなった場合に出芽後の娘細胞を分離する能力が喪失もしくは低下したためであると考えられた。そして、酵母型細胞が維持されると、細胞が連鎖した菌糸状の菌糸同士の絡み合い、菌糸塊(ペレット)の形成が抑制されて、個々の細胞に酸素や栄養成分がよりいきわたりやすくなるので、これにより高温下でのβ−グルカンの生産性に優れているものと考えられた。
[試験例3]
M−3株の培養最適化の一環として、培地の炭素源がβ−グルカン産生能に与える影響について調べた。具体的には次のようにフラスコ振とう培養試験を行った。
炭素源として、グルコース、スクロース、フラクトース、キシロース、又はマルトースをそれぞれ最終濃度が2.0質量%であるように、あるいはデンプンを硫酸で酸加水分解した糖化液をグルコース換算量にして最終濃度が2.0質量%であるように、及び、窒素源として、魚粉(いわし粉末、ヤマキ)を最終濃度が0.3質量%であるように水道水に溶解し、pHが5.8〜6.0付近にあることを確認した後、その100mLを500mL三角フラスコに分注して、フラスコごとオートクレーブ処理して(121℃、20分間)、滅菌した。これにM−3株を植菌し、振とう培養装置(TB-12R-2F、高崎科学器械)を使用して、振とう条件150rpm、温度条件31.5℃にて、4日間培養した。培養2日目には、フラスコ壁面に付着した固形分を手で振り落した。培養終了後、培養液を遠心分離して菌体を除去した培養液上澄み中の糖質量、粘度、及び濁度の諸物性を分析した。その結果を表1に示す。
その結果、β−グルカン生産能に与える炭素源の種類の影響は、親株であるM−2株と同様の傾向となり、M−2株の変異株であるM−3株の培養において、β−グルカン産生のための炭素源としては、スクロースが最適であることが明らかとなった。
[試験例4]
M−3株の培養最適化の一環として、培地の窒素源がβ−グルカン産生能に与える影響について調べた。具体的には次のようにフラスコ振とう培養試験を行った。
炭素源として、スクロースを最終濃度が2.0質量%であるように、及び、窒素源として、米ぬか(商品名「オリザドリム」、オリザ油化)、大豆粉(商品名「ソーヤフラワーFT-N」、日清オイリオグループ)、魚粉(いわし粉末、ヤマキ)、コーンスティープリカー(CSL)(商品名「ソルリス」、オリエンタル酵母工業)、又は酵母エキス(酵母エキスB2、オリエンタル酵母工業)をそれぞれ最終濃度が0.3質量%であるように水道水に溶解し、pHが5.8〜6.0付近にあることを確認した後、その100mLを500mL三角フラスコに分注して、そのフラスコごとオートクレーブ処理して(121℃、20分間)、滅菌した。これにM−3株を植菌し、振とう培養装置(TB-12R-2F型、高崎科学器械)を使用して、振とう条件150rpm、温度条件31.5℃にて、4日間培養した。培養2日目には、フラスコ壁面に付着した固形分を手で振り落した。培養終了後、培養液を遠心分離して菌体を除去した培養液上澄み中の糖質量、pH、粘度、及び濁度の諸物性を分析した。培養試験は、各窒素源について2回行った。その結果を表2に示す。
その結果、M−2株の変異株であるM−3株の培養において、β−グルカン産生のための窒素源としては、米ぬか、大豆粉、魚粉、コーンスティープリカー(CSL)、酵母エキスのいずれも使用可能であったが、特に、魚粉が最も優れており、大豆粉がそれに続いて優れていた。
[試験例5]
M−3株の培養最適化の一環として、培地の炭素源あるいは窒素源の濃厚化がβ−グルカン産生能に与える影響について調べた。具体的には、炭素源をスクロース、窒素源を魚粉とし、下記表3に示す通り、それぞれに最終濃度を変化させ、培養日数を6日にした以外は、試験例3、4と同様にして、フラスコ振とう培養試験を行った。培養終了後、培養液を遠心分離して菌体を除去した培養液上澄み中の糖質量及び粘度の諸物性を分析した。培養試験は、窒素源の各濃度について2回行った。その結果を表3に示す。
その結果、M−2株の変異株であるM−3株の培養において、窒素源である魚粉を濃厚化しても、β−グルカン産生及びその結果としての粘度への影響はほとんど見られなかった。一方で、炭素源であるスクロースを濃厚化し、培養日数を延長したとき、β-グルカン産生量は顕著に増加し、結果的に培養液の粘度も増加した。
[試験例6]
試験例1のスクリーニングで得られたM−3株について、親株であるM−2株と比較して、その培養特性の優位性を確認するために、3L−ジャーファーメンター(3MDL、丸菱バイオエンジ)での培養試験を行った。なお、両株の比較にあたっては、それぞれの菌株での最適培養条件、すなわち親株であるM−2株については培養温度24.5℃で6日培養(現行培養法)、M−3株については培養温度31.5℃で3日培養、で行った。
具体的には、液体培地としてオリザ培地(炭素源:スクロース2.0質量%、窒素源:米ぬか0.3質量%、pH5.8〜6.0、オリザ油化)又はFM培地(炭素源:スクロース2.0質量%、窒素源:魚粉0.3質量%、pH5.8〜6.0、オリザ油化)を使用し、それぞれ100mLを500mL三角フラスコに入れてオートクレーブ滅菌したものに、M−2株又はM−3株の凍結保存株の1mLを添加して、各至適温度である24.5℃又は31.5℃で3日間培養し、これを前培養液とした、その前培養液の全量を、1.6Lの滅菌したオリザ培地又はFM培地を仕込んだ3L−ジャーファーメンター(3MDL、丸菱バイオエンジ)に植菌し、溶存酸素濃度(Dissolved Oxygen, DO)を監視ながら、攪拌数と通気量を適切に制御しつつ、M−2株については培養温度24.5℃で6日間培養し、M−3株については培養温度31.5℃で3日間培養した。表4に、それぞれの培養結果を示した。
その結果、M−2株及びM−3株のそれぞれの最適培養条件で比較した場合、β-グルカンの平均生産速度(g/dl/日)が、M−3株では、M−2株と比較して2〜3倍近く増加しており、β-グルカン生産能力が著しく高いことが明らかとなった。
[試験例7]
M−3株の工業的実用性を実証するため、200L通気攪拌槽による実証試験を行った。具体的には次のように試験を行った。
液体培地としてFM培地(炭素源:スクロース2.0質量%、窒素源:魚粉0.3質量%、pH5.8〜6.0、オリザ油化)を使用し、その100mLを500mL三角フラスコに入れてオートクレーブ滅菌(121℃、25分間)したものに、M−3株の凍結保存株の1mLを添加して、24.5℃、3日間培養し、これを前前培養液とした。次いで、その前前培養液の12mLを、同様にFM培地400mLを2L三角フラスコに入れてオートクレーブ滅菌(121℃、25分間)したものの4本にそれぞれ植菌し、31.5℃の培養温度で3日間振とう培養し、この4本のフラスコの培養液1.2Lを、200L通気攪拌槽ヘの前培養液とした。
一方、200L通気攪拌槽には120Lの水道水を張り込み、これに攪拌しながらスクロース2.4kg、魚粉0.36kgを投入し、121℃で25分間滅菌した。培地の温度が31.5℃になった後、上記前培養液1.2Lを無菌的に通気攪拌槽に植菌した。攪拌翼回転速150rpm、通気量50L/minで培養を開始した。溶存酸素センサー(モデルSODC、株式会社バイオット)で溶存酸素を監視しながら、溶存酸素濃度が2ppm(15%飽和体積濃度を下回らならないように、攪拌翼回転速を最高200rpmまで上げる制御を行った。また、それでも溶存酸素濃度を15%飽和体積濃度に維持できない場合は、通気量を最高120L/minまで上げる制御を行った。培養終了後、培養液を遠心分離して菌体を除去した培養液上澄み中の糖質量、粘度、pH、及び濁度の諸物性を分析した。その結果を表5に示す。
その結果、現行のM−2株による培養生産では、管理目標値をβ−グルカンの含有量を0.6g/dl、粘度を40Pa・s前後に設定し、6日間の培養でその目標値を達成しているが、M−3株を使用した培養生産では、培養2日目で現行の目標値を上回っており、M−3株の工業的実用性について実証されたとともに、M−2株に対する優位性が確認された。
[試験例8]
M−3株の工業的実用性を更に実証するため、200L通気攪拌槽による実証試験を行った。具体的には、培養3日目にスクロースをフィードする以外、試験例7に準じて、200L通気攪拌槽による実証試験を行った。表6に、培養液物性の経時変化示した。
その結果、試験例7でも確認されたように、培養2日目で、β-グルカン蓄積量、粘度ともに、M−2株の6日目の培養液と同じレベルに達しており、M−3株の優位性が再確認された。加えて、スクロースを3日目にフィードすることにより、β−グルカンの蓄積がさらに継続し、最終的なβ-グルカン蓄積量が2g/dl以上となり、現行法の3倍以上に達することが明らかとなった。
[試験例9]
調製例7で製造されたβ−グルカン培養液について、アスコルビン酸、リンゴ酸、又はクエン酸を用いて、その培養液のpHを調整した。すなわち、培養終了後、菌体を遠心分離機で除去した後の培養液に、上記有機酸の10%水溶液を用いて、攪拌下でそれぞれpHを4.0に合わせ、オートクレーブ装置で85℃、30分間滅菌を行った。冷蔵庫で1夜放置した後、試食を行い、香味の比較を行った。その結果、酸味としては、アスコルビン酸>クエン酸>リンゴ酸の順番で強く、リンゴ酸については特に爽快感があり、さわやかな酸味が感じられた。
[試験例10]
試験例1と同様のスクリーニングにより、M−2株を親株として、その変異株のなかか31.5℃の培養で、培養後の培養液の粘度が高く、β−グルカンの蓄積量が向上した菌株を、更に3株単離した。それらをアウレオバシジウム プルランス NY3(C483)株、NY3(C151)株、又はNY3(C246)株と命名した。
試験例10のスクリーニングで得られたNY3(C483)株、NY3(C151)株、及びNY3(C246)株について、親株であるM−2株や試験例1のスクリーニングで得られたM−3株と比較して、その培養特性の優位性を確認するために、500mL三角フラスコでのフラスコ振とう培養試験を行った。
具体的には、炭素源として、シュクローを最終濃度が2.0質量%であるように、及び、窒素源として、米ぬか(商品名「オリザドリム」、オリザ油化)又は魚粉魚粉(いわし粉末、ヤマキ)を最終濃度が0.3質量%であるように水道水に溶解し、pHが5.8〜6.0付近にあることを確認した後、その100mLを500mL三角フラスコに分注して、フラスコごとオートクレーブ処理して(121℃、20分間)、滅菌した。各菌株を植菌し、振とう培養装置(TB-12R-2F、高崎科学器械)を使用して、振とう条件150rpm、温度条件31.5℃にて、3日間培養した。表7に、それぞれの培養結果を示した。
その結果、上記31.5℃での培養条件において、各変異株のβ−グルカン産生能は、その親株であるM−2株に比べて、いずれも顕著に向上していた。例えば、炭素源としてスクロース2.0質量%、窒素源として米ぬか0.3質量%を含有する液体培地で3日間培養した後のβ−グルカン値は、M−2株では0.14g/dlであったのに比べて、M−3株では0.41g/dlであり、NY3(C483)株では0.51g/dlであり、NY3(C151)株では0.45g/dlであり、NY3(C246)株では0.53g/dlであり、いずれも少なくとも2倍以上に生産能が高められることが明らかとなった。

Claims (9)

  1. アウレオバシジウム プルランスに属する菌株を親株とする変異株であって、31.5℃で3日間培養したときの培養液中のβ−グルカン含有量として、前記親株に比べて2倍以上に該β−グルカン産生能が高められていることを特徴とするβ−グルカン高産生菌株。
  2. アウレオバシジウム プルランスに属する菌株であって、31.5℃で3日間培養したときの培養液中のβ−グルカン含有量が3g/L以上であることを特徴とするβ−グルカン高産生菌株。
  3. Aureobasidium pullulans M-3株である、請求項1又は2記載のβ−グルカン高産生菌株。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のβ−グルカン高産生菌株を液体培地で培養し、β−グルカンを得ることを特徴とするβ−グルカンの製造方法。
  5. 前記培養を20.0〜35.0℃の温度条件で行う、請求項4記載のβ−グルカンの製造方法。
  6. 前記培養を魚粉及び/又は大豆粉を窒素源とする液他体培地で行う、請求項4又は5記載のβ−グルカンの製造方法。
  7. アウレオバシジウム プルランスに属する菌株を親株とし、変異処理を行ない、30.0〜35.0℃の温度条件で培養して、前記温度条件で生育可能な菌株を選別し、更に、前記親株に比べてβ−グルカンの産生能が高められている菌株を選別することを特徴とするβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法。
  8. 前記温度条件で生育可能な菌株を寒天培地上で選別する、請求項7記載のβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法。
  9. 前記親株に比べてβ−グルカンの産生能が高められている菌株の選別を、液体培地で培養したときの該培養液中のβ−グルカン含有量を、前記親株のそれと比較することにより行う、請求項7又は8記載のβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法。
JP2018160929A 2018-08-30 2018-08-30 β−グルカン高産生菌株、β−グルカンの製造方法、及びβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法 Active JP6914534B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018160929A JP6914534B2 (ja) 2018-08-30 2018-08-30 β−グルカン高産生菌株、β−グルカンの製造方法、及びβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018160929A JP6914534B2 (ja) 2018-08-30 2018-08-30 β−グルカン高産生菌株、β−グルカンの製造方法、及びβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2020031580A true JP2020031580A (ja) 2020-03-05
JP2020031580A5 JP2020031580A5 (ja) 2020-12-03
JP6914534B2 JP6914534B2 (ja) 2021-08-04

Family

ID=69666042

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018160929A Active JP6914534B2 (ja) 2018-08-30 2018-08-30 β−グルカン高産生菌株、β−グルカンの製造方法、及びβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6914534B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114015579A (zh) * 2021-08-24 2022-02-08 天津科技大学 一种高产β-葡聚糖的出芽短梗霉及其应用
CN115287247A (zh) * 2022-09-06 2022-11-04 长春工业大学 一种适用于出芽短梗霉菌株高温驯化与筛选的方法
WO2022250011A1 (ja) * 2021-05-24 2022-12-01 株式会社ソフィ β-1,3-1,6-グルカンの製造方法
CN116836807A (zh) * 2023-08-03 2023-10-03 中科阿尔诺(深圳)生物科技有限公司 一株高葡聚糖含量的微藻突变株及其应用

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030039872A (ko) * 2001-11-16 2003-05-22 주식회사 글루칸 베타 글루칸을 생산하는 아우레오바시디움 속 변이주 및이를 이용한 베타 글루칸의 생산방법
JP2004049013A (ja) * 2002-07-16 2004-02-19 Asahi Denka Kogyo Kk 新規微生物及びこれを用いたβグルカンの製造方法
JP2004269408A (ja) * 2003-03-07 2004-09-30 Aureo Co Ltd 皮膚用保湿剤
JP2004269407A (ja) * 2003-03-07 2004-09-30 Aureo Co Ltd 便秘改善剤及びそれを含有する飲食品
JP2004329077A (ja) * 2003-05-06 2004-11-25 Onaka Yasushi 培養産物とその中に含まれる新規β−1,3−1,6グルカン、及びAureobasidium属菌株を用いたβ−1,3−1,6グルカン生産方法。
JP2005220065A (ja) * 2004-02-05 2005-08-18 Aureo Co Ltd 免疫賦活剤
WO2006027914A1 (ja) * 2004-09-09 2006-03-16 Aureo Co., Ltd. β-グルカン含有組成物、その製造方法及び該組成物を含む飲食品若しくは皮膚用保湿剤
JP2009508518A (ja) * 2005-09-22 2009-03-05 ファームド メディケア プライヴェート リミテッド 全細胞生体触媒によりスクロース−6−アセテートを生成する方法
WO2014013793A1 (ja) * 2012-07-17 2014-01-23 Miura Shigenobu βグルカンの製造方法
CN106496654A (zh) * 2016-10-20 2017-03-15 常州市鼎日环保科技有限公司 一种可降解食品包装材料的制备方法
JP2018002688A (ja) * 2016-07-08 2018-01-11 株式会社アウレオ トロンボスポンジン1遺伝子発現亢進用組成物

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030039872A (ko) * 2001-11-16 2003-05-22 주식회사 글루칸 베타 글루칸을 생산하는 아우레오바시디움 속 변이주 및이를 이용한 베타 글루칸의 생산방법
JP2004049013A (ja) * 2002-07-16 2004-02-19 Asahi Denka Kogyo Kk 新規微生物及びこれを用いたβグルカンの製造方法
JP2004269408A (ja) * 2003-03-07 2004-09-30 Aureo Co Ltd 皮膚用保湿剤
JP2004269407A (ja) * 2003-03-07 2004-09-30 Aureo Co Ltd 便秘改善剤及びそれを含有する飲食品
JP2004329077A (ja) * 2003-05-06 2004-11-25 Onaka Yasushi 培養産物とその中に含まれる新規β−1,3−1,6グルカン、及びAureobasidium属菌株を用いたβ−1,3−1,6グルカン生産方法。
JP2005220065A (ja) * 2004-02-05 2005-08-18 Aureo Co Ltd 免疫賦活剤
WO2006027914A1 (ja) * 2004-09-09 2006-03-16 Aureo Co., Ltd. β-グルカン含有組成物、その製造方法及び該組成物を含む飲食品若しくは皮膚用保湿剤
JP2009508518A (ja) * 2005-09-22 2009-03-05 ファームド メディケア プライヴェート リミテッド 全細胞生体触媒によりスクロース−6−アセテートを生成する方法
WO2014013793A1 (ja) * 2012-07-17 2014-01-23 Miura Shigenobu βグルカンの製造方法
JP2018002688A (ja) * 2016-07-08 2018-01-11 株式会社アウレオ トロンボスポンジン1遺伝子発現亢進用組成物
CN106496654A (zh) * 2016-10-20 2017-03-15 常州市鼎日环保科技有限公司 一种可降解食品包装材料的制备方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022250011A1 (ja) * 2021-05-24 2022-12-01 株式会社ソフィ β-1,3-1,6-グルカンの製造方法
CN114015579A (zh) * 2021-08-24 2022-02-08 天津科技大学 一种高产β-葡聚糖的出芽短梗霉及其应用
CN114015579B (zh) * 2021-08-24 2023-03-03 天津科技大学 一种高产β-葡聚糖的出芽短梗霉及其应用
CN115287247A (zh) * 2022-09-06 2022-11-04 长春工业大学 一种适用于出芽短梗霉菌株高温驯化与筛选的方法
CN116836807A (zh) * 2023-08-03 2023-10-03 中科阿尔诺(深圳)生物科技有限公司 一株高葡聚糖含量的微藻突变株及其应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP6914534B2 (ja) 2021-08-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6914534B2 (ja) β−グルカン高産生菌株、β−グルカンの製造方法、及びβ−グルカン高産生菌株のスクリーニング方法
CN101143002B (zh) 一种深层液体发酵法制备富硒金针菇粗多糖原粉的方法
WO2016119293A1 (zh) 一种微生物发酵生产氨基葡萄糖的菌株及方法
CA3121566C (en) Aspergillus oryzae blcy-006 strain and application thereof in preparation of galactooligosaccharides
CN113234639B (zh) 一株植物乳杆菌zf632及其应用
US9896706B2 (en) Method for producing β-glucan
JP5102076B2 (ja) サッカロマイセス・セレビシエ変異株、及び該変異株を用いたrna高含有酵母の製造方法。
CN110438015B (zh) 产橙皮苷酶的枳实内生真菌及其发酵产橙皮苷酶的方法
KR101178205B1 (ko) 원형질융합에 의한 에탄올 저항성 균주, 이의 제조방법, 소디움메타게르마네이트를 이용한 고함량 바이오유기게르마늄을 함유한 효모의 제조방법 및 이에 의해 생산된 효모
JP4901372B2 (ja) デフェリフェリクリシン高生産変異株、シデロフォア生産用の液体培地、シデロフォアの製造方法
JP4889641B2 (ja) 微生物によるn−アセチル−d−グルコサミンの醗酵生産方法
JP4885611B2 (ja) γ−アミノ酪酸含有人参発酵物及びその製造方法
KR19990022043A (ko) 신규 셀룰로스 생산균
CN111621429B (zh) 一株高产酯毛榛毕赤酵母及其在木枣果酒发酵中的应用
JP4434927B2 (ja) γ−アミノ酪酸含有食品の製造方法、及びγ−アミノ酪酸高生成能を有する酵母
EP2028276A1 (en) Method for production of acetic acid bacterium-type ceramide
Agbor Microbial succession and odour reduction during the controlled fermentation of cassava tubers for the production of ‘foofoo’, a staple food consumed popularly in Nigeria
Ezugwu et al. Properties and application of pectinase obtained from Galactomyces candidum using pectin extracted from mango peels as a carbon source
JP6991120B2 (ja) γ-アミノ酪酸の製造方法
KR101189888B1 (ko) Rna 함량이 증대된 신규 효모 변이주, 그 제조방법 및 용도
CN115644332A (zh) 一种刺梨薏仁米复合饮料及其制备方法
CN111088170A (zh) 一株日本曲霉菌及其应用
CN114732103A (zh) 一种富含γ-氨基丁酸的发酵米粉的制作方法
KR100479359B1 (ko) 신규 해조류 분해
JP4969178B2 (ja) マクロホモプシスガムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201022

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201022

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20201022

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20201022

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20201120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201201

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210317

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20210317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210511

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210512

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210629

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210707

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6914534

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150