JP2004049013A - 新規微生物及びこれを用いたβグルカンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】18S rRNA遺伝子の1732塩基の配列が、特定な塩基配列、又はこの塩基配列と18S rRNA遺伝子の塩基配列に基づく分子系統学上同等の塩基配列を含み、さらに抗生物質であるシクロヘキシミド(cycloheximide)に対する抵抗性を有し、かつ、βグルカンを菌体外に分泌生産する能力を有する微生物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食物繊維・抗腫瘍剤・免疫増強剤等として有効な多糖体であるβグルカンを得るのに有用な微生物、及びその微生物を用いたβグルカンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
βグルカンは、セルロースに代表されるように、ヒトの消化酵素によって非消化性の多糖体であることから、食物繊維としての働き、即ち、コレステロール低下作用、整腸作用、血糖値上昇を抑制する作用等が期待でき、生活習慣病予防に有用な材料である。βグルカンは、分子中にグルコースのβ結合を主に保持する多糖体と定義されるが、グルコースのβ結合様式、構成する糖の種類、あるいはリン酸基・硫酸基・カルボキシル基のような官能基による構成糖の修飾度合いの相違により、様々な分子種が天然に存在している。このようないわゆるβグルカンの中には、免疫系を刺激し、生体の防御機構を活性化する働きのあるものがある。近年、ある一部のβグルカンをはじめとする免疫系を活性化する免疫修飾物質(BRM)を用いたインフルエンザ予防あるいはガン治療・老化防止の研究が注目されており、より効果の高い、一定の効果を持つβグルカンの提供、あるいは、そのようなβグルカン素材のより安価な安定した製造方法が必要となってきた。
【0003】
免疫系を活性化するβグルカン類としては、植物細胞壁成分(特公昭62−6692号公報、特開2001−323001号公報)、担子菌(キノコ)の子実体や菌糸体に含有されているもの(K.Sasaki et al., Carbohydrate Res., Vol.47, 99−104(1976)、特開平05−345725号公報)、微生物菌体の細胞壁成分や菌体外に分泌生産されるβグルカン等が知られている。
【0004】
微生物菌体の細胞壁成分は、いずれにおいてもβグルカンを含み免疫活性を増強する作用があることは一般的によく知られているが、特に安全性が高く食品としても利用価値が高いものとしては、酵母菌体(特開昭54−138115号公報、特開平09−103266号公報)、乳酸菌菌体(特開平03−229702号公報、特開平10−167972号公報)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)菌体(特公平06−92441号公報)等が知られている。
【0005】
また、免疫活性を増強する機能を有するβグルカンを菌体外に分泌生産する微生物としては、特開平03−2202号公報に記載の通り、マクロフォモブシス(Macrophomopsis)属、あるいは、アルカリゲネス属の生産するカードラン(食物繊維の科学、p108、朝倉書店、1997年)、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)(Agaric. Biol. Chem. 47(6), 1167−1172(1983)、特開平6−340701号公報)が知られている。
【0006】
担子菌(キノコ)の子実体や菌糸体に含有されているβグルカンは、免疫増強活性が高く、シイタケ子実体より抽出されるレンチナンのように、医薬品として利用されているものもある。しかし、一般的に担子菌(キノコ)の子実体や菌糸体に含有されているβグルカンは、その生育・栽培条件により含まれるβグルカン量が大きく変動し、抽出操作でβグルカンを分離する必要があり、結果として得られるβグルカンが複雑多岐の分子種にわたり、高分子体と低分子体とが混在する等、品質が不安定なものとなっている。
【0007】
このように担子菌(キノコ)では、高活性を有した一定のβグルカンを安定的に製造することが現時点での課題となっている。一方、微生物菌体の細胞壁は多量のβグルカンを含んでおり、βグルカンの供給源として興味深い。しかし、微生物菌体の細胞壁自体は、βグルカン以外の成分をも含み、また水に不溶性であるため、効果の高い水溶性のβグルカンを得るためには、担子菌と同様に抽出操作が必要であることから、一定の品質のβグルカンを安定的に抽出する方法の確立が課題であるといえる。
【0008】
これに対し、菌体外に免疫増強活性の高い水溶性βグルカンを分泌生産する微生物を用いたβグルカンの発酵生産は、均一で水溶性の高活性なβグルカンを得ることが可能であり、きわめて有効な方法である。このような考えに基づき、高活性なβグルカンを菌体外に分泌生産することが知られているアウレオバシジウム属の微生物を用いたβグルカンの製造方法が提案されてきた。
【0009】
しかしながら、アウレオバシジウム属の微生物は、シュークロースのような一般的な微生物培養に用いる炭素源を用いて培養すると、αグルカンであるプルランを菌体外に分泌生産することが知られており(特公昭51−36360号公報、特公昭51−42199号公報)、βグルカンを純度よく製造することが困難であった(特開平06−340701号公報)。また、アウレオバシジウム属の微生物は、俗名で黒酵母と呼ばれ、菌体によって生産されるメラニン色素により菌体あるいは培養液が黒色に着色し、得られるβグルカンも着色することから、製造されるβグルカンは品質が著しく損なわれたものとなっている。この点を改良するため、変異原処理により着色を認めない突然変異体を取得し、該突然変異体を用いたプルラン等の多糖体の製造方法が提案されている(特公平4−18835号公報)。しかし、メラニン色素を完全に生産せず、効率よく高純度のβグルカンを菌体外に分泌生産する(プルランを菌体外に分泌生産しない)菌株は、未だ知られていない。
【0010】
また、βグルカン製造過程、即ち培養工程において、不純物として挙げられるプルランの生産を抑制する培養方法が種々検討され、特開平06−340701号公報及び特開平07−51080号公報には、pH調整あるいは炭素源として特殊な糖類を用いることで、プルランの生産を押さえ、純度の高いβグルカンを生産できる方法が提案されている。この場合、特殊な培養条件を設定するため操作が煩雑であること、特殊な炭素源を利用するため培養に用いる培地のコストが高くなること等が、βグルカンを製造する上で問題となっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上から、アウレオバシジウム属の微生物を用いてβグルカンを生産するためには、一般的に微生物培養に用いられる安価な糖類を炭素源として培養しても、プルラン等の不純物の生産がないかあるいは抑制されており、且つ、βグルカンの製造過程で実質的にメラニン色素の生産がないかあるい抑制されており、生産されたβグルカンが着色しないような、高活性で高品質のβグルカンを効率よく菌体外に分泌生産する菌株が必要とされている。
【0012】
従って、本発明の目的は、シュークロース等の安価な糖類から高活性で高品質のβグルカンを効率良く高い生産速度で製造するのに有用な新規な微生物、該微生物を用いたβグルカンの製造方法、及び該微生物が菌体外に分泌生産するβグルカンを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために、シュークロースから、純度の高いβグルカンを効率良く菌体外に分泌生産する能力を有する微生物の探索を行った。その結果、高品質のβグルカンを高効率で菌体外に分泌生産する新規な微生物を見出した。また、さらなる検討の結果、抗生物質シクロヘキシミドに耐性を有するアウレオバシジウム属に属する菌株が、純度の高いβグルカンを効率良く菌体外に分泌生産することを見出した。
【0014】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、18S rRNA遺伝子の1732塩基の配列が、配列表の配列番号1に示す塩基配列、又はこの塩基配列と18S rRNA遺伝子の塩基配列に基づく分子系統学上同等の塩基配列を含み、さらに抗生物質であるシクロヘキシミド(cycloheximide)に対する抵抗性を有し、かつ、βグルカンを菌体外に分泌生産する能力を有する微生物を提供するものである。
また、本発明は、ITS−5.8S rRNA遺伝子の563塩基の配列が、配列表の配列番号2に示す塩基配列、又はこの塩基配列とITS−5.8S rRNA遺伝子の塩基配列に基づく分子系統学上同等の塩基配列を含み、かつ、βグルカンを菌体外に分泌生産する能力を有し、好ましくはさらに抗生物質であるシクロヘキシミド(cycloheximide)に対する抵抗性を有する微生物を提供するものである。
また、本発明は、その構造に少なくともβ−1,3−D−グルコピラノース結合を有するβグルカンを菌体外に分泌生産する能力を有する上記微生物を提供するものである。
また、本発明は、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属に属する上記微生物を提供するものである。
また、本発明は、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pulullans)ADK−34(FERM P−18932)菌株である上記微生物を提供するものである。
また、本発明は、上記微生物を培養(好ましくは炭素源として糖類を含有する培養液にて培養)し、βグルカンを菌体外に分泌生産させることを特徴とするβグルカンの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、ITS−5.8SrRNA遺伝子の配列が、配列表の配列番号2に示す塩基配列と98%以上の相同性を示す微生物を培養(好ましくは炭素源として糖類を含有する培養液にて培養)し、βグルカンを菌体外に分泌生産させることを特徴とするβグルカンの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pulullans)ADK−34(FERM P−18932)菌株を培養することによって菌体外に分泌生産され、その構造に少なくともβ−1,3−D−グルコピラノース結合を有するβグルカンを提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の微生物は、18S rRNA遺伝子の1732塩基の配列が、配列表の配列番号1に示す塩基配列、又はこの塩基配列と18S rRNA遺伝子の塩基配列に基づく分子系統学上同等の塩基配列を含み、さらにストレプトミセス グリセウス(Streptomyces griseus)等によって生産される抗生物質であるシクロヘキシミド(cycloheximide)に対する抵抗性を有し、かつ、βグルカンを菌体外に分泌生産する能力を有する微生物、及び、ITS−5.8S rRNA遺伝子の563塩基の配列が、配列表の配列番号2に示す塩基配列、又はこの塩基配列とITS−5.8S rRNA遺伝子の塩基配列に基づく分子系統学上同等の塩基配列を含み、かつ、βグルカンを菌体外に分泌生産する能力を有し、好ましくはさらにストレプトミセス グリセウス(Streptomyces griseus)等によって生産される抗生物質であるシクロヘキシミド(cycloheximide)に対する抵抗性を有する微生物である。
これらの本発明の微生物は、上記のような特徴を有する微生物であれば、野生株、保存株、寄託機関に寄託されている菌株、変異株〔UV照射や、例えば、N−メチル−N’−ニトロソグラニジン(NTG)、アクリジン、エタンメタンスルホネート(EMS)、亜硝酸等の化学物質による化学処理により突然変異を誘発させた変異株〕、あるいは、細胞融合もしくは遺伝子組み替え株等の生物工学的・遺伝子工学的手法により誘導された改良菌株等、いかなる菌株であってもよい。
【0016】
本発明の微生物は、環境、例えば、食品・野菜・果物・室内外の空気中(落下菌)・床・壁・天井・屋根・モルタル・コンクリート・タイルの目地・シャワーカーテン・ビニルクロス・冷蔵庫・洗濯機・バスタブ・室内塵・植物体表面・土壌・河川・湖沼・海水等からも得ることができる。
【0017】
本発明者等は、実施例に詳細を示すように、環境中から本発明の微生物を分離した。分離した本発明の微生物の中には、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属に属する微生物が認められた。中でも、純度が高く、非着色性のβグルカンを効率良く菌体外に分泌生産することができる1菌株をADK−34菌株と命名した。この菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに、微生物の表示(寄託者が付した識別のための表示)「Aureobasidium pullulans ADK−34」、受託番号「FERM P−18932」として寄託されている。
【0018】
また、薬剤耐性については、その菌株のコンディション、培地の種類、培養期間によって耐性を示す濃度が異なる場合があることから、本発明において「シクロヘキシミドに対する抵抗性を有する」とは、IFO−4466株、IFO−6353株及びIFO−7757株を基準として、これらの菌株に比較して、シクロヘキシミドに対する抵抗性を有することをいう。即ち、シクロヘキシミドを含有する固形培地(寒天プレート)に菌株を接種し、26℃にて10日間培養したとき、これらのIFO菌株の生育が認められないようなシクロヘキシミド濃度を有する固形培地にて、直径0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上の菌体増殖によるコロニー形成が観察される場合をいう。通常、これらのIFO菌株は、固形培地中のシクロヘキシミド濃度が20μg/ml以上であると生育が認められない。
【0019】
また、本発明において、非着色性あるいは着色が抑制された、菌株あるいは培養液又はβグルカンとは、培養液を適当に希釈し、菌体を遠心分離(10000xg、10min.)にて除去した培養希釈液の吸光度を490nmで測定し、同様に培養して得たIFO−6353株の培養希釈液の490nmにおける吸光度が0.1以上を示す条件において、本発明の微生物の菌株の場合、0.099以下、好ましくは0.060以下、さらに好ましくは0.050以下の場合をいう。
また、本発明において、高純度とは、後記の分析例3に示す生成多糖のプルランに対する純度測定において、プルラナーゼ酵素処理を行った際、酵素処理後のフェノール硫酸値の酵素処理前のフェノール硫酸値に対する比が75%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上であることをいう。
【0020】
本発明の微生物は、βグルカンを高純度に高効率に菌体外に生産させるのに有用である。本発明の微生物が生産する該βグルカンは、その構造に少なくともβ−1,3−D−グルコピラノース結合を有するβグルカンであることが好ましい。
【0021】
本発明の微生物を用いたβグルカンの製造方法の好ましい実施形態について、以下に説明する。
本発明の微生物を用いたβグルカンの製造方法においては、本発明の微生物の菌株を該微生物が生育可能である培地に作用させ、菌体外の培地中にβグルカンを生産させればよい。また、本発明の微生物の菌株を培養して得られた培養菌体を分離し、該培養菌体をβグルカンの基質である糖類を含んだ溶液あるいは培地に作用させて、菌体外にβグルカンを生産させてもよい。ただし、菌体外への分泌が準備された分泌型のβグルカンを菌体内に内包している場合もあるので、このように菌体内に分泌のため準備蓄積されているβグルカンも、本発明においては菌体外に分泌されるβグルカンとする。
【0022】
本発明の微生物を用いたβグルカンの製造方法において、本発明の微生物の菌株を培養する培地としては、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属に属する微生物が通常利用できる栄養源(炭素源、窒素源、無機塩類)を含有し、さらに必要に応じて有機栄養原を含む通常の培地を用いることができるが、炭素源として糖類を含有する培養液が好ましい。これらの培地としては、各種の合成培地、半合成培地、天然培地等いずれも利用可能である。
【0023】
上記炭素源としては、糖類が好ましく、該糖類としては、グルコース、フラクトース、マンノース、ガラクトース、キシロース、アラビノース等の単糖類、シュークロース、マルトース、ラクトース、トレハロース等の2糖類、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖等のオリゴ糖類、デキストリンやデンプン等の多糖類が挙げられ、これらを単独又は組合せて用いることができる。これらの中でも、主炭素源として、グルコース、フラクトース等の6炭糖、シュークロース、ラクトース等の2糖類、デンプンやデキストリン、あるいはこれら炭水化物の加水分解物等の多糖類を用いるのが好ましい。また、ビート搾汁、サトウキビ搾汁、柑橘類をはじめとする果実搾汁、あるいはこれらの搾汁に糖を添加したもの等を用いることもできる。この他、グリセロール、エチレングリコール等のアルコール類、マンニトール、ソルビトール、エリスリット等の糖アルコール類、有機酸等のその他の炭素源を適宜使用することができる。これらの炭素源は、培養途中で随時添加してもよく、例えば、シュークロース等の糖類を培地中へ好ましくは3〜500g/l、さらに好ましくは5〜300g/l、最も好ましくは10〜200g/lの濃度範囲となるように適宜フィードすると、βグルカンの生産速度・生成量を相対的に増大させることができる。
【0024】
上記窒素源としては、ペプトン、肉エキス、大豆粉、カゼイン、アミノ酸、麦芽エキス、コーンスティープリカー、カゼイン分解物、酵母エキス、尿素等の有機窒素源、硝酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、アンモニアガス、アンモニア水等の無機窒素源を単独又は組合せて用いることができる。
【0025】
上記無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化コバルト等の塩類、重金属類塩等を使用することができ、必要に応じてビタミン類も添加使用することができる。なお、培養中に発泡が生じる場合には、公知の各種消泡剤を適宜培地中に添加することもできる。
【0026】
本発明の微生物の菌株の培養条件には、格別の制限はなく、該菌株が良好に生育し得る範囲内で適宜選択することができる。通常、pH5.0〜8.5、20℃〜35℃で2〜8日間程度培養するとよいが、これらの培養条件は、使用微生物菌株の種類や特性、外部条件等に応じて適宜変更でき、最適条件を選択できる。また、培地への菌株の接種量は、フラスコ培養の場合は1白金耳、スケールアップの場合は種培養液を本培養液の1〜10%(v/v)添加することが好ましいが、実質的に培養可能であればこの限りではない。
【0027】
本発明の微生物の菌株の培養は、通気撹拌、振とう等による好気的条件下で行う。培養時間は、目的とするβグルカンの生成濃度に達するまで行われるのが好ましく、通常2〜5日間で行われる。また、連続的にβグルカンの基質である糖類や培地成分を連続添加し、βグルカンを連続的に生産してもよい。βグルカンの基質であるシュークロース等の糖類は、粉末のままか、あるいは高濃度に水に溶解させた液糖として培養液に添加することができ、その添加量は、培養液1l当り0.1〜500gが好ましい。添加量を500g/lより多くすると、生産速度が著しく遅くなり好ましくない。基質添加後は、好ましくは25〜35℃で1〜7日間、特に約2〜5日間、振とうあるいは通気攪拌等の操作を行い、好気的条件下で反応を進行させることにより、基質であるシュークロース等の糖類からβグルカンを製造することができる。
【0028】
また、本発明の微生物の菌株を培養することによって得られた培養菌体を分離して、該培養菌体あるいは該培養菌体の抽出液を触媒としてβグルカンを製造することもできる。この場合は、培養菌体、培養菌体調製物又は培養菌体処理物の懸濁液に、基質である糖類溶液あるいは培地を添加すればよい。上記培養菌体調製物としては、該培養菌体を例えばホモジナイズした細胞破砕液等が挙げられ、また、上記培養菌体処理物としては、培養菌体あるいは細胞破砕液をアルギン酸ゲル中、イオン交換樹脂、セラミック、キトサン等に固定化した固定化菌体等が挙げられる。これらの培養菌体、培養菌体調製物又は培養菌体処理物の懸濁液の調製に使用できる溶液としては、前記した培地、あるいはトリス−酢酸、トリス−塩酸、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の緩衝液を単独又は混合したものが挙げられる。該緩衝液のpHは、好ましくは3.5〜9.0、さらに好ましくは5.0〜8.0、最も好ましくは5.2〜7.8である。前記懸濁液中の培養菌体の量は、特に限定されるものではないが、好ましくは湿容量比で0.1〜10%程度がよい。
【0029】
前記懸濁液への基質である糖類や培地の添加は、いかなる濃度、いかなる容量でも実施できるが、1回当りの基質の添加量は、菌体の活性を維持できる範囲が好ましい。例えば、懸濁液1l当り0.1〜500gを1回又は数回に分けて添加してもよいし、0.5〜500g/day程度で連続的に添加してもよい。菌体と基質とを作用させた溶液を、任意の時間と温度でインキュベーションすることにより、βグルカンを生産させることができるが、該インキュベーションは、前述した本発明の微生物の菌株の培養と同様の条件で実施することが好ましい。
【0030】
前記の如く培養した後、菌体外に分泌生産されたβグルカンは、常法に従って、培養液より分離、採取される。具体的には、培養液から遠心分離、濾過等により菌体等の固形物を分離除去したり、活性炭、イオン交換樹脂等により不純物や塩類を除去する等、種々の既知の精製手段を選択、組合せて行うことができる。さらに、例えば、疎水性樹脂への吸着・溶出、エタノール、メタノール、酢酸エチル、n−ブタノール等を用いた溶媒沈降、シリカゲル等によるカラム法あるいは薄層クロマトグラフィー、逆相カラムを用いた分取用高速液体クロマトグラフィー等を、単独あるいは適宜組合せ、場合により反復使用することにより、分離精製することができる。
【0031】
また、菌体外に分泌生産されたβグルカンを上記の方法で分離する前後において、菌体の殺菌を実施してもよい。殺菌温度は、菌体が死滅する温度であれば特に限定されるものではないが、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃、最も好ましくは80℃以上である。また、さらに温度を上げて、例えば、90℃以上、あるいは加圧下121℃にて、菌体内に準備されている分泌型のβグルカンを熱水抽出することができる。殺菌時間及び熱水抽出時間は、任意の時間を設定できるが、好ましくは10分以上8時間以下、さらに好ましくは15分以上6時間以下、最も好ましくは30分以上2時間以下とすると、不純物の混入が抑えられ、βグルカンが劣化しないので好適である。
【0032】
また、本発明の微生物に代えて、ITS−5.8S rRNA遺伝子の配列が、配列表の配列番号2に示す塩基配列と98%以上の相同性を示す微生物を用いて、上述と同様にしてβグルカンを製造することもできる。
【0033】
また、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pulullans)ADK−34(FERM P−18932)菌株を用いてβグルカンを製造すると、その構造に少なくともβ−1,3−D−グルコピラノース結合を有するβグルカンを得ることができるため好ましい。
【0034】
本発明の微生物を用いたβグルカンの製造方法は、これまでに知られているアウレオバシジウム プルランスの菌株、あるいはアウレオバシジウム属に属する微生物を用いた培養に比較すると、プルランの生産が著しく抑制されていることから、培養物からのβグルカンの分離が容易であり、また高純度のβグルカンを得るための精製操作が簡略化できるという利点がある。さらに、アウレオバシジウム属に属する微生物、酵母、乳酸菌等の菌体の細胞壁や担子菌類や植物からの抽出βグルカンに比較して不純物が少なく、単離・精製操作が簡略化できると同時に、βグルカンの着色が著しく抑制されていることから、高品質で一定の品質を保持したβグルカンを安定的に得ることが容易である。
【0035】
本発明で得られるβグルカンは、着色がなく、高品質であり、そのまま、あるいは他の製品に添加することで、種々の用途に使用できる。
本発明で得られるβグルカンの用途としては、食品、食品添加剤、化粧品、トイレタリー製品、化成品、医薬品等が挙げられる。
【0036】
食品の具体例を以下に挙げる。
油脂食品としては、マーガリン、ショートニング、マヨネーズ、クリーム、サラダオイル、揚油、ホイップクリーム、起泡性乳化脂、ドレッシング、ファットスプレッド、カスタードクリーム、ディップクリーム等が挙げられる。本発明で得られたβグルカンは、油脂との相溶性に優れており、油脂に添加して、βグルカンを含有する油脂組成物としてから、他の原料とともに用いることが好ましい。
【0037】
さらに穀類関連製品としては、小麦粉を主成分とした食品、米類を主成分とした食品、米加工品、小麦加工品、トウモロコシ加工品、大豆加工品等が挙げられ、例えば、食パン、菓子パン、パイ・デニッシュ等のベーカリー製品、ホットケーキ、ドーナッツ、ピザ、天ぷら等、更にそれらのプレミックス、ビスケット、クッキー、スナック等の菓子類、生麺、乾麺、即席麺、カップ麺、うどん、蕎麦、中華麺、ビーフン、パスタ類等の麺類、炊飯米、餅、無菌米飯、レトルト炊飯米、上新粉、餅粉、団子、せんべい、あられ等の米製品が挙げられる。
【0038】
さらに菓子類としては、チョコレート、キャンディー・ドロップ、飴、チューインガム、焼き菓子、ケーキ、饅頭等の洋菓子又は和菓子等が挙げられる。
さらに畜肉加工品としては、ハム・ソーセージ、ハンバーグ等が挙げられ、水産加工品としては、ちくわ、かまぼこ、さつま揚げ、魚肉ソーセージ等が挙げられる。
さらに乳製品としては、バター、チーズ、アイスクリーム、ヨーグルト等が挙げられる。
【0039】
さらに飲料としては、ビール、酒、日本酒、ウイスキー、ブランデー、洋酒、焼酎、蒸留酒、発泡酒、ワイン、果実酒等のアルコール飲料、コーヒー、紅茶、日本茶、ウーロン茶、中国茶、ココア、炭酸飲料、栄養ドリンク、スポーツドリンク、コーヒードリンク、炭酸飲料、乳酸菌飲料、果汁・果実飲料等の飲料が挙げられる。
さらに調味料、ソース類としては、スパイス、タレ、焼肉のタレ、ドレッシング、ソース、味噌、醤油、カレー、ハヤシ等のルーが挙げられる。またスープとしては、コーンスープ、ポテトスープ、パンプキンスープ等のスープが挙げられる。その他、ジャム、ピーナッツバター、ふりかけ等が挙げられる。
【0040】
さらに長期保存食品としては、水産物、畜肉、果実、野菜、キノコ、コーンビーフ、ジャム、トマト等の缶詰又は瓶詰め、冷凍食品等が挙げられ、また、カレー、シチュー、ミートソース、マーボ豆腐、食肉野菜混合煮、スープ、米飯等のレトルト食品が挙げられる。また、粉末食品としては、飲料、スープ、味噌汁等の粉末インスタント食品等が挙げられる。
さらに、健康食品、薬用食品、離乳食等の育児用食品、流動食等の病人食、老人食、ダイエット食、サプリメント等が挙げられる。
さらに、電子レンジ加熱食品、電子レンジ調理食品等が挙げられる。
【0041】
食品添加剤としては、乳化剤、増粘剤、増粘安定剤、品質改良剤、酸化防止剤、安定剤、保存料、香料、甘味料、着色料、漂白剤、酸味料、ガムベース、調味料、苦味料、栄養強化剤、香辛料、製造用剤等が挙げられる。
【0042】
化粧品、トイレタリー製品としては、皮膚化粧品、頭髪用化粧品、薬用化粧品、口腔用剤等が挙げられ、具体的には、化粧水、乳液、スキンミルク、クリーム、軟膏、ローション、カラミンローション、サンスクリーン剤、サンタン剤、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、化粧下地料、パック料、クレンジング料、洗顔料、アクネ対策化粧料、エッセンス等の基礎化粧料;ファンデーション、白粉、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、チーク、口紅、ネイルカラー等のメイクアップ化粧料;シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアカラー、ヘアトニック、セット剤、整髪料、育毛料、養毛剤、ボディパウダー、デオドラント、脱毛剤、石鹸、ボディシャンプー、ハンドソープ、香水、歯磨き、口腔ケア製品、入浴剤等が挙げられる。
【0043】
化成品としては、界面活性剤、乳化剤、増粘剤、粘度調整剤等が挙げられる。医薬品としては、コレステロール低下作用、整腸作用、血糖値上昇を抑制する作用などを有し、生活習慣病を予防する医薬品、免疫増強作用を有する医薬品等が挙げられる。
【0044】
【実施例】
実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。試験例1〜2においては、本発明の微生物の菌株のスクリーニング方法を示し、試験例3〜7においては、ADK−34菌株の菌学的性質を示す。また、実施例1〜3は、ADK−34菌株を用いた本発明のβグルカンの製造方法の実施例を示す。
【0045】
〔試験例1〕菌株のスクリーニング方法1
日本において伝統的な保存食を中心に、通常、加熱調理せず摂取する市販の食品の表面に付着・生育している微生物を広く分離し、βグルカンを生産する菌株をスクリーニングした。スクリーニング方法を以下に詳述する。
先ず、対象サンプルである食品を滅菌シャーレに入れ、これに滅菌したPBS10mlを加え、滅菌済みスポイトを用いてサンプル表面をPBSで繰り返し洗浄し、サンプルの表面を洗浄した洗浄液を得た。得られた洗浄液を滅菌したPBSで10〜100倍希釈し、この200μlをプレートに添加し、コンラージ棒で広げ、2週間、室温で培養した。プレートは、YM培地(ディフコ社製)に、クロラムフェニコールを100μg/ml、寒天を1.5重量%となるようにそれぞれ添加した培地を20ml入れ、固化させたものを用いた。生育したコロニー約2万のうち、生育初期に乳白色で、次第にコロニー全体に光沢を生じ湿潤したコロニーを形成したもの、コロニー全体に光沢を生じ、中心部がわずかに黄色・褐色、あるいは黄色・褐色の輪郭を生じ、湿潤したコロニーを形成したもの、全体が乳白色〜ピンク色を呈するコロニーを形成したもの、次第に緑黒色となり毛羽立った特徴を有するコロニーが形成されたもの、以上の4形質を示すコロニーから釣菌した。なお、コロニー全体がピンク色となるが、上部に盛り上がり外周部への拡がりが認められない、光沢のないコロニーは除外した。釣菌した菌株は、単菌分離操作を実施し、再度7日間培養した後、顕微鏡観察によって出芽型分生子が観察されるもの、及び酵母様生育が認められるものを残し、分生子枝が観察されたものについては除外し、第1スクリーニング結果とした。
次に、第1スクリーニングにより得られた菌株を液体培養した。即ち、YM培地に5重量%となるようにシュークロースを添加した培地を調製し、24穴マイクロプレートを用いて、26℃、4日間の培養を行い、培養液を得た。生育した菌株が培養液全体に均一に分散し、かつ粘性を呈する培養液を与える菌株を残し、第2スクリーニング結果とした。
次に、第2スクリーニング結果により得られた菌株を単菌分離し、YM液体培地に植菌し、26℃にて96時間培養を実施した。得られた培養液に等量の蒸留水を加え、121℃にて20分間の滅菌後、培養液を遠心分離(8,000rpm)して培養上清を得た。培養上清30μlに2倍量のエタノールを加え、遠心分離(1000rpm、10min)にて沈殿を得て、100μlの蒸留水を加え、全多糖量をフェノール硫酸法にて測定し、培地について同様の操作をして得られた値より高値となったものを陽性と判定した。陽性のものを第3スクリーニング結果とした。
対象サンプルから分離・培養して生育した約2万コロニーから、第1スクリーニングにて180菌株、第2スクリーニングにて50菌株、第3スクリーニングにて14菌株を得た。第3スクリーニングで得られた菌株並びに(財)大阪発酵研究所から得た3菌株、即ちIFO−4466株、IFO−6353株及びIFO−7757株について、培養上清中のβグルカン量を下記分析例1に示す測定方法により測定するとともに、下記分析例3に示す測定方法により培養液中の生成多糖のプルランに対する純度を測定した。その結果を表1に示す。ADK−34菌株が生成する多糖は、プルラナーゼによって消化されず、その多糖量はβグルカン定量値にほぼ一致するものであり、βグルカンが純度良く生成されていると結論された。
【0046】
【表1】
【0047】
〔試験例2〕菌株のスクリーニング方法2
抗生物質シクロヘキシミドを10μg/mlの濃度で添加した培地を用いたこと以外は、試験例1と同様にして、菌株のスクリーニングを実施した。その結果、対象サンプルから分離・培養して生育した4000コロニーから、第1スクリーニングにて30菌株、第2スクリーニングにて10菌株、第3スクリーニングにて3菌株(ADK−71菌株、ADK−77菌株、ADK−82菌株)が得られた。第3スクリーニングで得られた菌株について、試験例1と同様にして、βグルカン量及び生成多糖のプルランに対する純度を測定した。その結果を表2に示す。
また、第3スクリーニングの結果得られた3菌株について形態学的な観察から菌株同定をそれぞれ試みた。YM寒天培地に植菌後、26℃、7日間培養したところ、3菌株のコロニーはいずれも、全体に光沢を生じ、中心部が黄色の輪郭を生じ、湿潤したコロニーを形成した。これらのプレートを4℃に移管して7日間保存することで、中心部の黄色は黒緑色へ変化した。ADK−71菌株及びADK−77菌株それぞれのコロニー全体は変化せず、白色〜ピンク色であった。ADK−82菌株はコロニー全体が黒色化した。また、これらの3菌株それぞれをYM液体培地で26℃にて3日間培養した菌体の顕微鏡観察では、3菌株いずれにおいても出芽型の分生子が認められ、酵母様の生育であった。また、これらの3菌株それぞれをYM寒天培地で26℃にて7日間培養したコロニーの菌体は、3菌株いずれにおいても、分生子がつながった鎖状に生育した菌体が観察されたが、分生子枝は認められなかった。以上から、3菌株はアウレオバシジウム プルランスと判定した。
【0048】
【表2】
【0049】
〔試験例3〕形態的・培養的性質
試験例1で得られた菌株の中で、ADK−34菌株について、YM培地(1重量%グルコース、0.5重量%ペプトン、0.3重量%酵母エキス、0.3重量%マルトエキストラクト、pH6.0)で26℃、3日間培養した後、顕微鏡で観察した所見を示すと、細胞の大きさは短径2〜2.5μm、長径5〜10μm、形状は卵形、表面は平滑で無色、運動性はなかった。また、菌糸はごくわずかで、幅は2.5μmであった。不均一で表面は平滑無色であった。酵母様の出芽分生子が形成された。
【0050】
〔試験例4〕寒天平板培養
試験例1で得られた菌株の中で、ADK−34菌株について、ポテトデキストロース寒天培地(栄研)で26℃にて7日間培養した。その時の所見を以下に示す。3日間の培養で、生育は良好であり、形態は円形で、全縁がギザギザで、コロニー全体に光沢があり、表面の状態は平滑、色調は白色であった。また、Colony(コロニー)は、5日間の培養で表面が平滑で淡灰白色となり、酵母様に発育し、7日間の培養でColony表面はピンク色となった。26℃にて7日間培養したプレートを、4℃にて7日間冷蔵したところ、若干ピンク色が濃くなったが、コロニー全体に変化はなかった。
【0051】
〔試験例5〕液体培養
試験例1で得られた菌株の中で、ADK−34菌株について、YM培地で培養した。その時の最適生育温度及び最適生育pHを示すと、最適生育温度は26℃であり、最適生育pHは5.0〜7.0であり、生育開始時のpHは6.2で、培養終了後のpHは7.5であった。好ましい発育温度は20〜30℃で、最適温度は26℃、発育可能温度は5〜40℃であった。グルコース、フラクトース、マンノース等のヘキソース、スクロース等の二糖類並びにデンプンを分解し、いずれの炭素源でも、培養液は、粘稠になり、特有の芳香を有した。
【0052】
試験例3〜5の結果、本発明の微生物のうち、ADK−34菌株は菌学的特徴からアウレオバシジウム属の菌株と同定された。
【0053】
〔試験例6〕シクロヘキシミド耐性試験
試験例1及び2のスクリーニングで得られた菌株、並びに(財)大阪発酵研究所に保存されている、IFO−4466株、IFO−6353株、及びIFO−7757株について、各菌株のシクロヘキシミド耐性試験を実施した。即ち、各菌株をYM寒天培地(ディフコ社製)にて26℃で5日間生育させた。YM寒天培地(ディフコ社製)にシクロヘキシミドを5,10,20,40,80μg/mlの濃度となるように添加した培地をそれぞれ調製し、上記の生育させておいた菌株を滅菌した楊子でこれらのシクロヘキシミド含有培地に植菌し、26℃にて10日間の培養後、生育したコロニーの有無を観察し、生育した場合はコロニーの直径を測定した。その結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
表1及び表3から明らかなように、IFO−4466株、IFO−6353株、及びIFO−7757株は、シクロヘキシミドに耐性を持たず、生産されるβグルカンのプルランに対する純度は低いものであった。一方、表1〜3から明らかなように、食品からの分離菌株の中で、シクロヘキシミドに耐性を有する菌株(ADK−34菌株、ADK−71菌株、ADK−77菌株、ADK−82菌株)は、βグルカンをプルランに対して純度よく生産し、シクロヘキシミドに耐性のない菌株の多くは、生産されたβグルカンのプルランに対する純度が低い結果となった。
【0056】
〔試験例7〕18S rRNA遺伝子の遺伝子解析
スクリーニングの結果得られたADK−34菌株について、18S rRNA遺伝子の1732bpの塩基配列を以下のようにして決定した。ADK−34菌株をポテトデキストロース培地(ディフコ社)にて振とう培養し、遠心分離、蒸留水による洗浄を3回行い、DNA抽出用菌体を得た。この菌体からFastPrepFP120(Qbiogene)とFastDNA−kit(Qbiogene)を用いて細胞破砕し、DNeasy PlantMini Kit(QIAGEN)によりゲノムDNA分離を行った。このゲノムDNAを鋳型として、Ready−To−Go PCR Beads(Amersharm−Pharmasia Biotech)とプライマーNS1及びNS8を用いてPCR増幅を行った。
プライマーNS1とNS8の塩基配列は、NS1: (5’−>3’) GTAGTCATATGCTTGTCTC、NS8:(5’−>3’) TCCGCAGGTTCACCTACGGAを用いた。サーマルサイクラーはgeneAmp PCR System 9600(Applied Biosystems)を用いた。反応終了後、PCR産物をQIAquickPCR purification Kit(QIAGEN)を用いて精製した。このDNAフラグメントを直接シーケンシング反応に供し、塩基配列解析はABI Prism377 DNA Sequencer (Applied Biosystems) を用いて実施した。類似の塩基配列はDNAデータベース(DDBJ, DNA Data Bank of Japan)からBLASTを利用して検索した。
その結果を配列表の配列番号1に示す。また、得られた塩基配列に基づいてデータベース検索を行い、同菌株と類縁菌との相同性を調べた結果を表4〜6に示す。決定された塩基配列(配列番号1)、相同性検索結果(表4〜6)より、ADK−34菌株はアウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)との相同性が100%であり、完全に一致した。この結果から、本菌株はアウレオバシジウム プルランスであると判定された。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
〔試験例8〕ITS−5.8S rRNA遺伝子
スクリーニングにより得られたADK−34菌株並びにIFO−6353株及びIFO−7757株について、ITS−5.8S rRNA遺伝子の563塩基配列あるいは564塩基配列を決定した。各菌株をポテトデキストロース培地(ディフコ社)にて振とう培養し、遠心分離、蒸留水による洗浄を3回行い、DNA抽出用菌体を得た。この菌体からFastPrepFP120(Qbiogene)とFastDNA−kit(Qbiogene)を用いて細胞破砕し、DNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN)によりゲノムDNA分離を行った。このゲノムDNAを鋳型として、Ready−To−Go PCR Beads(Amersharm−Pharmasia Biotech)とプライマーITS5およびITS4を用いてPCR増幅を行った。プライマーITS4とITS5の塩基配列は、ITS4:(5’−>3’) TCCTCCGCTTATTGATATGC、ITS5:(5’−>3’) GGAAGTAAAAGTCGTAACAAGG である。サーマルサイクラーはgeneAmp PCR System 9600(Applied Biosystems)を用いた。反応終了後、PCR産物をQIAquickPCR purification Kit(QIAGEN)を用いて精製した。このDNAフラグメントを直接シーケンシング反応に供し、塩基配列解析はABI Prism377 DNA Sequencer (Applied Biosystems) を用いて実施した。類似の塩基配列はDNAデータベース(DDBJ, DNA Data Bank of Japan)からBLASTを利用して検索した。
ADK−34菌株の結果を配列表の配列番号2に、IFO−6353株の結果を配列番号3に、IFO−7757株の結果を配列番号4にそれぞれ示す。また、得られた塩基配列に基づいてデ−タベース検索を行い、同菌株と類縁菌との相同性を調べた結果を表7及び8に示す。決定された塩基配列を比較したところ、ADK−34菌株とIFO−6353株及びIFO−7757株とは異なり、完全一致しなかった。ADK−34菌株とIFO−6353株との相同性は98%、ADK−34菌株とIFO−7757株との相同性は98%であった。また、相同性検索結果(表7及び8)より、ADK−34菌株のITS−5.8S領域の563塩基対が完全一致する菌株は、報告されていなかった。IFO−6353株は、報告されているアウレオバシジウム プルランス菌株である登録番号「AJ276062」と100%(表9)、即ち完全一致し、IFO−7757株は報告されているアウレオバシジウム プルランス菌株である登録番号「AJ276062」と99%で一致した(表10)。ADK−34菌株は登録番号「AJ276062」と98%の一致率であった。
以上から、ADK−34菌株は、これまでに報告されているアウレオバシジウム プルランス菌株とはITS−5.8S領域の塩基配列の一部が異なり、新菌株であると判定された。
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
【表9】
【0064】
【表10】
【0065】
〔分析例1〕βグルカンの確認方法とβグルカン量の測定方法
多糖中のβグルカンの分析は、アルコールによって沈殿する全多糖量をフェノール硫酸法にて測定し、引き続き、沈殿させた多糖中のβグルカンの確認・定量を生化学工業(株)のβ−1,3−D−グルコピラノース結合を含むβグルカンの検出・測定用キットを用いて行った。以下にその手順を説明する。
先ず、測定サンプル中の全多糖量をフェノール硫酸法にて測定した。即ち、サンプル溶液30μlに蒸留水30μlを加え、ここに300mMのNaClを含むリン酸緩衝液(pH6.9)を120μl加え、さらにエタノール540μl(3倍量)を添加し、−15℃に10分間放置して多糖を沈殿させた。上清を除去後、100μlの蒸留水を添加して沈殿を溶解させた。ここに5重量%フェノール水溶液100μl及び硫酸500μlを加えて反応させた後、該溶液の490nmにおける吸光度を測定した。また、サンプルを加えず蒸留水100μlに5重量%フェノール水溶液100μl及び硫酸500μlを加えたものをブランクとして、該ブランクの490nmにおける吸光度を測定した。プルランの10mg/mlから2倍希釈系列を作成して標準サンプルとし、該標準サンプルを使用して検量線を作成し、該検量線と上記吸光度とから、サンプル中の全多糖量の定量を実施した。
次に、全多糖量が0.1〜1mg/ml前後の溶液を、先ず1.0MのNaOHにて10倍希釈し、引き続きβグルカンフリーの蒸留水にて希釈し、1010倍まで希釈し、βグルカン希釈液を調製した。βグルカン希釈液50μlをチューブにとり、主反応試薬50μlを添加して、37℃にて30分間インキュベートした。続いて、亜硝酸ナトリウム溶液50μl、スルファミン酸アンモニウム50μl、及びNメチル2ピロリドン溶液50μlを加え、反応させた後、溶液の545nm(対照波長630nm)における吸光度を測定した。また、添付のβグルカン標準品を用いて7.5〜60pg/mlのβグルカン溶液を調製し、検量線を得た。該検量線と上記吸光度とから、各βグルカン希釈液の濃度を算出し、サンプル中のβグルカン量を求めた。
【0066】
〔分析例2〕βグルカンの分子量測定方法
βグルカンの分子量測定は、以下の通りとした。先ず、培養上清に3倍量のアルコールを加え、−20℃に冷却して10分間放置し、沈殿を得た。沈殿させたβグルカンを5mgチューブに取り、1mlの蒸留水を加えて、沸騰水中で溶解させた。該溶液を0.22μmのフィルターに通してHPLC用サンプルとした。分離にはHPLCゲル濾過カラムであるShodexのパックドカラムKS−805(昭和電工社製)を用い、流速0.6ml/min.、温度50℃とし、検出にはRI検出器を用い、水を分離溶媒として用いて実施した。分子量マーカーとしてはShodexプルラン標準液P−82(昭和電工社製)を用いて測定した。
【0067】
〔分析例3〕培養液中に存在する多糖のプルランに対する純度の測定方法
プルランを特異的に分解する酵素であるプルラナーゼ(和光純薬工業社製)を用いて、培養液中に生産された多糖のプルランに対する純度を測定した。即ち、プルラナーゼによる酵素消化反応の前後で多糖量を測定し、酵素処理後の多糖量(プルラナーゼにより消化されない多糖量)と酵素処理前の多糖量とから生成多糖のプルランに対する純度を算出した。以下に多糖量の測定方法を詳述する。
先ず、プルラナーゼ酵素希釈液50μLにクエン酸Buffer(10mmol/Lクエン酸−20mmol/Lリン酸Buffer(pH6.0))2mLを加えたものを酵素溶液とした。ポジティブコントロールとして、プルラン(東京化成工業社製)を10mg/mLに希釈した溶液を標準サンプル溶液として用いた。培養液あるいは標準サンプルを30μLずつ、2本のサンプルチューブ(1.5ml容量)に量り取り、一方に酵素溶液30μLを加え、一方にPBS30μLを加え、37℃にて1時間反応させた。反応終了後、各サンプルに、3倍量のエタノールを加えた。良く攪拌し、−15℃にて10分間インキュベートした後、4℃、15000rpmで10分間遠心分離を行い、上清を捨て、チューブを乾燥させ沈殿を得た。沈殿に蒸留水100μLを加え、撹拌し、5重量%フェノール水溶液100μLを加え、速やかに硫酸500μLを加え発色させた。冷却後、96穴マイクロプレートに100μLずつ分注し、蒸留水に5重量%フェノール水溶液及び硫酸を添加した場合をブランクとして、490nmの吸光度を測定した。また、プルランを10mg/ml〜1μg/mlに希釈した溶液で検量線を作成した。該検量線と上記吸光度とから、酵素消化反応前後の培養液中の多糖量をそれぞれ定量し、培養液中に存在する多糖のプルランに対する純度を算出した。なお、標準サンプルであるプルラン溶液を酵素消化した場合、10mg/ml溶液では90%以上の消化率が、1mg/mlの濃度の溶液では95%以上、0.1mg/ml以下では98%以上の消化率が得られた。以上のように、プルランが生成している場合は、プルラナーゼの作用により、酵素処理後のフェノール硫酸値(吸光値)は低値となり、例えば吸光値が50%減少している場合は、多糖のプルランに対する純度は50%と算出した。
【0068】
〔実施例1〕
30ml容量の試験管にYM培地(ディフコ社)5.5mlを入れ、滅菌後(121℃、20分間)、冷却してから、YPD寒天培地(ディフコ社)のスラントにて保存してあるADK−34菌株を一白金耳、植菌し、300rpmの振とう培養器にて26℃で4日間培養し、種培養液を得た。別の試験管にクザペック培地(ディフコ社、シュークロース濃度3重量%)5.5mlを入れ滅菌後、ADK−34菌株の種培養液500μlを添加(5%植菌)し、300rpmの振とう培養器にて26℃で4日間培養した。培養液は白色で顕著な粘性を有していた。培養後、培養液に等量の蒸留水を加え、15分間、高圧蒸気殺菌してから、10000rpmで15分間遠心分離して多糖を含有する培養上清を得た。培養上清中のβグルカン量及び多糖のプルランに対する純度を分析例1及び分析例3の測定方法によりそれぞれ測定した。その結果、多糖のプルランに対する純度は100%であり、βグルカン量から算出したβグルカンの対糖収率は44%であった。なお、培養上清の490nmによる吸光値は0.030であり、着色が抑制されていた。また、分析例2の測定方法によりβグルカンの分子量を測定したところ、分子量は15万〜200万を示した。
同様の方法でIFO−6353株を培養し、βグルカン量及び多糖のプルランに対する純度を測定したところ、多糖のプルランに対する純度は40%、βグルカンの対糖収率は11%と算出された。なお、培養上清の490nmによる吸光値は0.190であり、着色が認められた。
【0069】
〔実施例2〕
イースト窒素源基礎培地粉末(Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids and Ammmonium Sulfate:ディフコ社)1.7gを100mlの蒸留水に溶解させ、フィルター滅菌した。硝酸ナトリウム5gを500mlの蒸留水に溶解し、2倍濃度の硝酸ナトリウム溶液を調製した。炭素源として、シュークロース、グルコース、フラクトース、可溶性デンプン又はマルトース(和光純薬工業)を用いて、12重量%炭素源水溶液をそれぞれ調製した。硝酸ナトリウム、炭素源水溶液及び蒸留水をオートクレーブ滅菌(121℃、20min.)し、滅菌済みの試験管に、イースト窒素源基礎培地1ml、硝酸ナトリウム溶液5ml、炭素源水溶液2.5ml及び蒸留水1.5ml加え、全量を10mlとし、各炭素源を添加した炭素源チェック培地を調製した。
30ml容量の試験管に、YM培地(ディフコ社)5.5mlを入れ、滅菌後(121℃、20分間)、冷却してから、YPD寒天培地(ディフコ社)のスラントにて保存してあるADK−34菌株を一白金耳、植菌し、300rpmの振とう培養器にて26℃で4日間培養し、種培養液を得た。得られた種培養液を上記炭素源チェック培地に植菌し、300rpmの振とう培養器にて26℃で5日間培養した。培養液は白色で顕著な粘性を有していた。培養後、培養液に等量の蒸留水を加え、15分間、高圧蒸気殺菌してから、10000rpmで15分間遠心分離して多糖を含有する培養上清を得た。培養上清中のβグルカン量及び多糖のプルランに対する純度を分析例1及び分析例3の測定方法によりそれぞれ測定した。測定結果を表11に示す。表11から明らかなように、どの炭素源においても、多糖のプルランに対する純度は90%以上であり、βグルカンの対糖収率は20〜46%と算出された。なお、培養上清の490nmによる吸光度は0.026〜0.041であり、着色が抑制されていた。また、分析例2の測定方法によりβグルカンの分子量を測定したところ、分子量は15万〜200万であった。
【0070】
【表11】
【0071】
〔実施例3〕
ADK−34株をYM培地に植菌し、26にて3日間培養して、300mlの種培養液を得た。フルゾーン翼を搭載した5Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ社)に、クザペック培地3L及びシュークロース300gを入れ、滅菌・冷却後、100mlの種培養液を植菌し、26℃にて72時間の培養を実施し、培養液3Lを得た。培養液を80℃にて30分間加熱して、殺菌した後、等量の蒸留水を添加し、よく混合してから、8000rpmで15分間遠心分離して、培養希釈液を得た。培養希釈液をさらに蒸留水で5倍希釈し、吸光度を測定したところ、490nmにおいて0.023であった。培養希釈液100mlに等量のエタノールを添加し、得られた沈殿を分離し、エタノールで洗浄し、そのまま50mlの蒸留水に溶解させた。この操作を再度繰り返し、透析膜(分子量3000カット)に入れ10倍量の蒸留水で透析を実施した。最終的に100mlの多糖溶液を得た。このときのβグルカン量は25mg/ml、多糖のプルランに対する純度は95%、βグルカンの分子量は15万〜200万と算出された。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、βグルカンを効率よく高い生産速度で製造するのに有用な新規な微生物、及び該微生物を用いたβグルカンの製造方法を提供することができる。
【0073】
【配列表】
Claims (10)
- 18S rRNA遺伝子の1732塩基の配列が、配列表の配列番号1に示す塩基配列、又はこの塩基配列と18S rRNA遺伝子の塩基配列に基づく分子系統学上同等の塩基配列を含み、さらに抗生物質であるシクロヘキシミド(cycloheximide)に対する抵抗性を有し、かつ、βグルカンを菌体外に分泌生産する能力を有する微生物。
- ITS−5.8S rRNA遺伝子の563塩基の配列が、配列表の配列番号2に示す塩基配列、又はこの塩基配列とITS−5.8S rRNA遺伝子の塩基配列に基づく分子系統学上同等の塩基配列を含み、かつ、βグルカンを菌体外に分泌生産する能力を有する微生物。
- 抗生物質であるシクロヘキシミド(cycloheximide)に対する抵抗性を有する請求項2記載の微生物。
- その構造に少なくともβ−1,3−D−グルコピラノース結合を有するβグルカンを菌体外に分泌生産する能力を有する請求項1〜3のいずれかに記載の微生物。
- アウレオバシジウム(Aureobasidium)属に属する請求項1〜4のいずれかに記載の微生物。
- アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pulullans)ADK−34(FERM P−18932)菌株である請求項1〜5のいずれかに記載の微生物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の微生物を培養し、βグルカンを菌体外に分泌生産させることを特徴とするβグルカンの製造方法。
- ITS−5.8S rRNA遺伝子の配列が、配列表の配列番号2に示す塩基配列と98%以上の相同性を示す微生物を培養し、βグルカンを菌体外に分泌生産させることを特徴とするβグルカンの製造方法。
- 微生物の培養を、炭素源として糖類を含有する培養液を用いて行なう請求項7又は8記載のβグルカンの製造方法。
- アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pulullans)ADK−34(FERM P−18932)菌株を培養することによって菌体外に分泌生産され、その構造に少なくともβ−1,3−D−グルコピラノース結合を有するβグルカン。
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