JP4969178B2 - マクロホモプシスガムの製造方法 - Google Patents
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「天然・生体高分子材料の新展開」シーエムシー出版 p84〜89、p146〜147 「第三版 既存添加物 自主規格」平成14年11月 日本食品添加物協会 p120 「第三版 既存添加物 自主規格」平成14年11月 日本食品添加物協会p263
項1.(i)グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素の存在下で、マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物を培養するか、または
(ii) マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物の培養物を上記酵素と反応させる工程を有する
マクロホモプシスガムの製造方法。
(ii) マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物の培養物を上記(a)および(b)の酵素と反応させる工程を有する
項1に記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(1)マクロホモプシスの培養を、窒素源濃度が窒素元素換算で0.014〜0.043重量%となるような割合で窒素源を含む培地で通気培養することにより行う、項1乃至5のいずれかに記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(2)マクロホモプシスの培養を、窒素源濃度がタンパク質換算で0.09〜0.27重量%となるような割合で窒素源を含む培地で通気培養することにより行う、項1乃至5のいずれかに記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(3)上記培地が窒素源として脱脂綿実粉を含むものである、(1)又は(2)に記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(4)培地に含まれる脱脂綿実粉の含有量が0.15〜0.45重量%である(3)に記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(5)培養後、培養物を70〜150℃で加熱処理する工程を有する(1)乃至(4)のいずれかに記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(6)培養中に少なくとも1回、培地中への通気量を減少させる工程を有することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(7)培地中の溶存酸素量の減少時または減少後に、グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素、またはこれらの酵素のいずれか少なくとも1種とα1-6グルコシド結合のみを選択的に加水分解する酵素の存在下でマクロホモプシスガムを培養する工程を有する(6)に記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(1)培養工程
マクロホモプシスの培養は、通常、炭素源および窒素源を含む栄養培地で行われる。
上記培養工程で得られた培養物は、次いで殺菌処理に供される。
斯くして、培養物中に目的のβ-グルカンを高い割合で含むマクロホモプシスガムが産生される。
I.採取地
神奈川県小田原市の土壌より分離。
San-Ei-1株の肉眼的および顕微鏡的観察に基づく各種培地上における培養の特徴は下記の通りである。
San-Ei-1株の25℃での生育形態を調べた。
生育は比較的速く、培養二日目には菌糸の伸長が見られた。培養5日目には、白色の綿毛様の菌糸増殖が盛んであった。菌糸が全体に密に増殖する。12日目頃には、コロニーは5.5cm位になり、コロニー中心部の裏面は黄褐色化する。3週間目頃から、コロニー中心よりやや周辺部で菌糸が盛り上がりはじめた。
生育は比較的速く、菌糸は白色綿毛様である。コロニー中心部は、菌糸は余り増殖性が活発でなく、周辺部で非常に活発で、菌糸が密になり、ドーナツ様になる。更に、そこから菌糸が伸長し、ドーナツ周辺にやや疎菌糸帯を形成し、その先端周辺部に密菌糸帯を形成していく。そしてまたその疎菌糸帯も密になり、更に大きなドーナツ様コロニーとなる。12日目頃には、コロニーは6.5〜7.5cm位になる。コロニー中心部の裏面が黄褐色化する。3週間目位には、コロニー中心部への菌糸増殖が進み、全体的に菌糸が覆われた状態になる。その後、コロニー中心部よりやや周辺部で、暗緑色様に着色しつつ、菌糸の盛り上がりが起こってきた。
(1-1)および(1-2)に比較し、初期の白色綿毛様の菌糸体増殖が遅い。しかし、コロニーの拡大は速い。5日目頃からコロニー中心部より周辺部に向かい、疎・密菌糸帯の繰り返し紋様が観察される。12日目頃には、コロニーが8.5cmとなる。3週間目位には、そのまんだら紋様が全体的に菌糸で覆われるような形で薄れていく。
生育は極めて速く、ポテトデキストロース寒天培地と同様に菌糸は白色綿毛様の菌糸体増殖をする。分生子果形成に適しており、分生子果の着生成熟ともに速く盛ん。分生子果は寒天中にわずかに埋没して形成される。1% meat extraを添加して培養すると紫色に着色する。
コーンミル培地とほぼ同じ挙動である。
コーンミルなどの寒天培地上での菌糸は白色綿毛様であり、寒天に潜るようにして増殖し、分岐をもち、隔膜がある。寒天培地上で形成される分生子果は、こげ茶で球形であり、開口部を持っている。開口部の孔口は単一で、まるく中心にある。分生子果柄は無色で分岐し、基部でのみ隔膜がみられ、円筒状の形態をしている。分生子形成細胞は、全割、不定形である。分生子は無色で隔膜のない紡錘形をしている。分生子の先端は鈍角、後端は裁断状である。
pH3.5〜9で生育できるが、pH2.5以下では生育できない。生育の最適pHは5〜8である。
10〜40℃の温度域で生育するが、5℃以下または45℃以上では生育できない。35〜40℃での生育は、28℃での生育と同程度に速い。白色菌糸体の形成が主体で、分生子果の形成、成熟には28℃以下のほうが適している。生育および分生子果の形成の最適温度は20〜30℃である。
(i) マクロホモプシスガムの調製
San-Ei-1株を、容量200mLの三角フラスコに入れた栄養培地100 mL(窒素源:0.2重量%配合)(組成:グルコース 5重量%、脱脂綿実粉(Pharmamedia) 0.2重量%、リン酸二水素カリウム 0.1重量%、及び硫酸マグネシウム・7水和物 0.3重量%を配合した水性培地)に植菌して、25℃で5日間培養した。
加熱殺菌した培養物を遠心分離して、上清を回収し、これに20容量%となるようにイソプロピルアルコールを添加して、マクロホモプシスガムを沈殿させた。得られた沈殿物を85℃で3時間オーブンにて乾燥し、粉砕したものの重量を測定し、培養液1Lあたりの重量(g)に換算した(ガム乾燥重量g/L)。
ブランクを「+」として、
+ :収量1倍
+(+) :収量1.1倍
++ :収量1.2倍
++(+) :収量1.3倍
+++ :収量1.5倍
+++(+):収量1.6倍
++++ :収量1.8倍。
上記培養で生成したマクロホモプシスガムは、下記の理化学的な測定結果から、目的とするβグルカンであると同定された。
2.5Nトリフルオロ酢酸で8時間加水分解し2.5N水酸化ナトリウムで中和後、これをshodex SUGAR SP0810(昭光通商社製)を用いたHPLCにて分析したところ、グルコースのみが得られた。このことから、得られたマクロホモプシスガムは、グルコースのみを主要成分としていることが認められた。
β-1,3-グルカナーゼ(ラミナリナーゼ:シグマアルドリッチ製)により約4時間酵素消化した後、90℃で10分間加熱処理し酵素を失活させた。これをshodex SUGAR SP0810(昭光通商社製)を用いたHPLCにて分析したところ、グルコースとゲンチオビオースが得られた。両者の比率はおおよそグルコース:ゲンチオビオース=3:1であった。このことから得られたマクロホモプシスガムは、主鎖が全てD-グルコピラノース残基でβ-1,3結合したものであり、主鎖のD-グルコピラノース残基が4molに対して1molの割合でβ-1,6結合の側鎖を有するβ-グルカンであると認められた。
TSKgel GMPWXLカラム(東ソー株式会社製)を用いて、下記条件のサイズ排除クロマトグラフィーにより分子量分画した。分画された各分子量を下記条件の多角度光散乱検出器で測定した。その結果、得られたマクロホモプシスガムの分子量(重量分率平均分子量)は100万〜1000万Daであると認められた。
装置:高速液体クロマトグラフィー(日本分光株式会社製)
カラム: TSKgel GMPWXL (東ソー株式会社製)
カラム温度:25℃
移動相:50mM NaNO3+4mM NaN3
流速:0.5ml/min
注入量:100μl
試料濃度:0.5 mg/mL
前処理:0.45μmのメンブランフィルターでろ過。
装置:多角度光散乱検出器DAWN-DSP (Wyatt 製) 、示差屈折検出器(日本分光株式会社製)
検出温度:25℃。
(i) マクロホモプシスガムの調製
San-Ei-1株を、容量200mLの三角フラスコに入れた栄養培地100mL(窒素源:0.2重量%配合)(組成:グルコース5重量%、脱脂綿実粉(Pharmamedia)0.2重量%、リン酸二水素カリウム0.1重量%、及び硫酸マグネシウム・7水和物0.3重量%を配合した水性培地)に植菌して、振とう培養で25℃で5日間培養した。培養終了後(培養開始から5日目)に培養物を105℃で15分間加熱殺菌し、25℃まで冷却した後、この中に(e)βアミラーゼ(実施例32〜35)、(f)αアミラーゼ(実施例36〜39)を下記表にそれぞれ記載する割合で添加して、25℃で1〜2日間振とう反応した。比較例として、前記酵素無添加の系(比較例5〜6)で検討を行った。反応終了後(培養開始から6〜7日目)に培養物を、下記の方法に従って、培地中に生成したマクロホモプシスガムの収量(ガム乾燥重量g/L)を測定し、培地に添加した酵素の影響を調べた。
反応終了後の培養物を遠心分離して、上清を回収し、これに20容量%となるようにイソプロピルアルコールを添加して、マクロホモプシスガムを沈殿させた。得られた沈殿物を85℃で3時間オーブンにて乾燥し、粉砕したものの重量を測定し、培養液1Lあたりの重量(g)に換算した(ガム乾燥重量g/L)。加熱殺菌後に、培養物中に(a)βアミラーゼ、または(b)αアミラーゼを配合して反応させた場合の、各マクロホモプシスガムの収量(ガム乾燥重量)(g/L)をそれぞれ表5〜6に示す。なお、表に示すマクロホモプシスガムの収量(ガム収量)は、上記の基準による。
上記反応によって生じたマクロホモプシスガムについて、実験例1と同様にして理化学的な測定を行ったところ、その(1)構成糖、(2)結合様式、および(3)分子量から、生成したマクロホモプシスガムは、目的とするβグルカンであると同定された。
(i) マクロホモプシスガムの調製
San-Ei-1株を、容量200mLの三角フラスコに入れた栄養培地100 mL(窒素源:0.2重量%配合)(組成:グルコース 5重量%、脱脂綿実粉(Pharmamedia) 0.2重量%、リン酸二水素カリウム 0.1重量%、及び硫酸マグネシウム・7水和物 0.3重量%を配合した水性培地)に植菌して、25℃で5日間培養した。
実験例1に記載の方法に従って、上記で生成したマクロホモプシスガムをサイズ排除クロマトグラフィーにより分子量分画し、示差屈折率検出器で検出した。結果を図2に示す(上から、実施例40、41および比較例7の結果を示す)。
(i)で調製した粉体状態のマクロホモプシスガム(実施例41及び比較例7)をスライドガラス上に少量取り、0.02%ヨウ素液を1〜2滴滴下し、スパーテルで粉体とヨウ素液をよく混合し、反応させた。そこにイオン交換水を数滴滴下し余分なヨウ素液を洗い流し、カバーガラスを被せた。周囲の水分を拭き取り顕微鏡観察を行った。結果を図3に示す(右から、実施例41および比較例7の結果を示す)。
Claims (6)
- (i)グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素の存在下で、マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物を培養する工程、または
(ii) マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物の培養物をグルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素と反応させる工程を有する
マクロホモプシスガムの製造方法。 - (i) (a)グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素、および(b)α1-6グルコシド結合のみを選択的に加水分解する酵素の存在下で、マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物を培養する工程、または
(ii) マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物の培養物を上記(a)および(b)の酵素と反応させる工程を有する
請求項1に記載するマクロホモプシスガムの製造方法。 - マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物の培養を、グルコースを炭素源として含む培地で行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
- (ii)の工程が、マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物を、グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素のいずれも存在しない条件下で培養した後、得られた培養物をグルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素と反応させる工程である、請求項1乃至3のいずれかに記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
- (i)または(ii)の工程後、培養物または反応物からβ-グルカンを採取する工程を有する請求項1乃至4のいずれかに記載のマクロホモプシスガムの製造方法。
- 培養後の培養物に対し、70〜150℃で1〜120分の加熱処理を行うことを含む、請求項1乃至5のいずれかに記載のマクロホモプシスガムの製造方法。
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