JP4969178B2 - マクロホモプシスガムの製造方法 - Google Patents

マクロホモプシスガムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する微生物が産生するマクロホモプシスガムの製造方法に関する。特に、本発明は当該マクロホモプシスガム中のβ-グルカンを高い生産効率で取得するための製造方法に関する。
従来より、微生物が各種のβ-グルカンを産生することはよく知られている。例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属に属する微生物が産生するカードラン、担子菌スエヒロタケが産生するシゾフェラン(以上、非特許文献1)、およびマクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する微生物(以下、単に「マクロホモプシス」という)が産生するマクロホモプシスガム(特許文献1)などを挙げることができる。
これらのうち、シゾフェラン以外のβ−グルカンはいずれも食品添加物として使用が認められているものであり(非特許文献2〜3)、例えばマクロホモプシスガムについては、増粘安定剤としての用途のほか、コレステロール抑制剤としての用途も知られている(特許文献2)。
しかしながら、例えば、特許文献1に記載されている方法でマクロホモプシスを培養すると、β-グルカンとともにα-グルカンも生産される。マクロホモプシスガムが特異な物性(増粘性、ゲル化性)を有するのは、主にβ-グルカンに起因するものである。一方で、α-グルカンは混在することにより、マクロホモプシスガムの物性(増粘性、ゲル化性)に差異を与えることが多く、そのためα-グルカンを除去する必要があるが、かかるα-グルカンはβ-グルカンと同じような分子量を示す場合があり、容易にβ-グルカンと分離して除去することができないという問題がある。
「天然・生体高分子材料の新展開」シーエムシー出版 p84〜89、p146〜147 「第三版 既存添加物 自主規格」平成14年11月 日本食品添加物協会 p120 「第三版 既存添加物 自主規格」平成14年11月 日本食品添加物協会p263 特開平4−122701号公報 特開平6−135839号公報
前述するように、マクロホモプシスガムは、その産生菌であるマクロホモプシス属に属する微生物(マクロホモプシス)のβ-グルカン産生能の低さまたは従来の製造方法の収量の低さから、大量生産されておらず、有効利用されていないのが実情である。そこで、本発明は、マクロホモプシスを用いたマクロホモプシスガム製造の改良法として、マクロホモプシスガムを高い収率(収量)で製造する方法を提供することを目的とする。また本発明は、マクロホモプシスの培養において、α-グルカン産生を抑制し、β-グルカンを選択的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、マクロホモプシス培養によるマクロホモプシスガムの製造工程において、マクロホモプシスを、グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素の存在下、またはこれらの酵素のいずれか少なくとも1種とα1-6グルコシド結合のみを選択的に加水分解する酵素の存在下で培養することによって、マクロホモプシスガムが大量に産生されること、さらに、当該培養方法によると、α-グルカンの生成が抑制され、β-グルカンが選択的に大量に産生されることを見出した。さらに本発明者らは、マクロホモプシス培養後、殺菌処理した培養物に上記の酵素を添加し反応させることにより、培養物中のマクロホモプシスガムの収量、特にβ−グルカンの収量が選択的に増加することを見出した。
本発明はかかる知見に基づくものであり、下記の態様を包含する:
項1.(i)グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素の存在下で、マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物を培養するか、または
(ii) マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物の培養物を上記酵素と反応させる工程を有する
マクロホモプシスガムの製造方法。
項2.(i)(a)グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素、および(b)α1-6グルコシド結合のみを選択的に加水分解する酵素の存在下で、マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物を培養するか、または
(ii) マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物の培養物を上記(a)および(b)の酵素と反応させる工程を有する
項1に記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
項3.マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物の培養を、グルコースを炭素源として含む培地で行うことを特徴とする、項1又は2に記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
項4.(ii)の工程が、マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物を、グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素のいずれも存在しない条件下で培養した後、得られた培養物をグルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素と反応させる工程である、項1乃至3のいずれかに記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
項5.(i)または(ii)の工程後、培養物または反応物からβ-グルカンを採取する工程を有する項1乃至4のいずれかに記載のマクロホモプシスガムの製造方法。
さらに本発明には下記の態様が含まれる:
(1)マクロホモプシスの培養を、窒素源濃度が窒素元素換算で0.014〜0.043重量%となるような割合で窒素源を含む培地で通気培養することにより行う、項1乃至5のいずれかに記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(2)マクロホモプシスの培養を、窒素源濃度がタンパク質換算で0.09〜0.27重量%となるような割合で窒素源を含む培地で通気培養することにより行う、項1乃至5のいずれかに記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(3)上記培地が窒素源として脱脂綿実粉を含むものである、(1)又は(2)に記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(4)培地に含まれる脱脂綿実粉の含有量が0.15〜0.45重量%である(3)に記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(5)培養後、培養物を70〜150℃で加熱処理する工程を有する(1)乃至(4)のいずれかに記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(6)培養中に少なくとも1回、培地中への通気量を減少させる工程を有することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
(7)培地中の溶存酸素量の減少時または減少後に、グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素、またはこれらの酵素のいずれか少なくとも1種とα1-6グルコシド結合のみを選択的に加水分解する酵素の存在下でマクロホモプシスガムを培養する工程を有する(6)に記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
本発明の方法によれば、マクロホモプシスガム、特にβ-グルカンを選択的に生産することができる。
具体的には、本発明の方法によれば、マクロホモプシス培養において、好ましくないα-グルカンの生成を抑制しながら、β-グルカンを選択的に多量に生産することができる。このため、本発明の方法によれば、マクロホモプシスガムからα-グルカンを除去する手間を要さずに、β-グルカンを高い割合で含むマクロホモプシスガムを取得することができる。
本発明は、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する微生物(マクロホモプシス)を用いてマクロホモプシスガムを製造する方法に関する。マクロホモプシスは、例えば特開平1-63370号公報に記載されているように公知の不完全糸状菌である(例えば、微工研受託9366号など)。後述する実験例では、かかるマクロホモプシス属に属する寄託菌(San-Ei-1株:寄託者が付した識別のための表示「Macrophomopsis San-Ei-1 San-Ei Gen F.F.I., 20050125」、受託番号「FERM P-20389」)を例として用いて説明しているが、本発明の方法は、この寄託菌に限らず、マクロホモプシス属に属する微生物全般を用いて行うことができる方法である。
本発明によるマクロホモプシスガムの製造は、かかるマクロホモプシスを、グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素の存在下で培養するか、またはマクロホモプシスの培養物を上記酵素と反応させることによって行うことができる。また当該培養または反応は、上記酵素の少なくとも1種とα1-6グルコシド結合のみを選択的に加水分解する酵素の存在下で行うこともできる。ここで、α1-6グルコシド結合のみを選択的に加水分解する酵素としては、具体的には、プルラナーゼ、イソアミラーゼなどを挙げることができる。
ここでグルコアミラーゼ、αアミラーゼ、βアミラーゼ、プルラナーゼおよびイソアミラーゼは、いずれもグルコースがαグルコシド結合(α-1,4結合またはα-1,6結合)によって重合してなるα-グルカンを加水分解する作用を有する酵素であり、これらは、エキソ型酵素であるグルコアミラーゼおよびβアミラーゼと、エンド型酵素であるαアミラーゼ、プルラナーゼおよびイソアミラーゼとに分類することができる。
グルコアミラーゼは、デンプンまたはアミロースの非還元末端からグルコース単位で加水分解する酵素であり、商業的には、例えば、商品名グルクザイムAF6〔天野エンザイム株式会社、酵素活性はでんぷん糖化力天野法で測定される(溶性デンプン溶液(pH 4.5)を30分間に10mgのブドウ糖に相当する還元力の増加をもたらす酵素量を1単位(unit/g)とする方法、pH 4.5にて測定)〕として入手可能である。
βアミラーゼは、デンプンまたはアミロースの非還元末端からマルトース単位で加水分解する酵素であり、商業的には、例えば、商品名ビオザイムML〔天野エンザイム株式会社、酵素活性はでんぷん糖化力天野法で測定される(溶性デンプン溶液(pH 5.0)を30分間に10mgのブドウ糖に相当する還元力の増加をもたらす酵素量を1単位(unit/ml)とする方法、pH 5.0にて測定)〕として入手可能である。
αアミラーゼは、デンプンまたはアミロースをランダムに加水分解する酵素で、グルコースやオリゴ糖を生成することを特徴とする。商業的には例えば商品名ビオザイムF10SD〔天野エンザイム株式会社、酵素活性はでんぷん糊糖化力S.K.B法で測定される(30℃、60分間にリミットデキストリン1gを分解し、2%溶液のヨウ素呈色の吸光度が0.320となる酵素量を1単位(unit/g)とする方法,pH4.8にて測定)〕として入手可能である。
プルラナーゼは、α-1,6グルコシド結合を特異的に加水分解する酵素で、プルランに作用することが特徴である。商業的には、商品名プルラナーゼ「アマノ」3〔天野エンザイム株式会社、酵素活性はプルラナーゼ力天野法で測定される(プルランから1分間に1μmoleのブドウ糖に相当する還元糖を生成するとき1単位(unit/ml)とする方法,pH6.0にて測定)〕として入手可能である。
イソアミラーゼは、α-1,6グルコシド結合を特異的に加水分解する酵素で、プルランには作用しないことが特徴である。当該イソアミラーゼも商業的に入手可能な酵素である。
酵素としてグルコアミラーゼを用いる場合、マクロホモプシスの培養または培養物との反応に使用するグルコアミラーゼの量としては、通常100mL容量の培養系または反応系あたり、100units以上、好ましくは300units以上、より好ましくは600units以上の量を挙げることができる。後述の実験例で示すように、酵素の使用量(units)が多いほどマクロホモプシスガムの産生量が増大することに鑑みればその上限は特に制限されないが、使用するグルコアミラーゼの量の上限としては通常5000units、特に3000unitsを挙げることができる。
なお、ここで「unit」とは、前記天野法、S.K.B法などの酵素活性測定方法に従って求められる酵素活性の単位を意味する。
酵素としてβアミラーゼを用いる場合、マクロホモプシスの培養または培養物との反応に使用するβアミラーゼの量としては、通常100mL容量の培養系または反応系あたり100units以上、好ましくは300units以上、より好ましくは600units以上の量を挙げることができる。後述の実験例で示すように、酵素の使用量(units)が多いほどマクロホモプシスガムの産生量が増大することに鑑みればその上限は特に制限されないが、使用するβアミラーゼの量の上限としては通常5000units、特に3000unitsを挙げることができる。
酵素としてαアミラーゼを用いる場合、マクロホモプシスの培養または培養物との反応に使用するαアミラーゼの量としては、通常100mL容量の培養系または反応系あたり100units以上、好ましくは500units以上、より好ましくは1000units以上の量を挙げることができる。後述の実験例で示すように、酵素の使用量(units)が多いほどマクロホモプシスガム産生量が増大することに鑑みればその上限は特に制限されないが、使用するαアミラーゼの量の上限としては通常5000units、特に3000unitsを挙げることができる。
これらの酵素は1種単独で使用してもよいし、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらのいずれか少なくとも1種の酵素とα1-6グルコシド結合のみを選択的に加水分解する酵素、例えばプルラナーゼまたはイソアミラーゼのいずれか少なくとも1種の酵素を組み合わせて用いることもできる。α1-6グルコシド結合のみを選択的に加水分解する酵素と組み合わせる酵素として特に好ましくはβアミラーゼを挙げることができる。
α1-6グルコシド結合のみを選択的に加水分解する酵素(例えば、プルラナーゼ、イソアミラーゼ)を併用する場合、マクロホモプシスの培養または培養物との反応に使用するプルラナーゼの量として、通常100mL容量の培養系または反応系あたり30units以上、好ましくは150units以上、より好ましくは300units以上の量を、またイソアミラーゼの量として、通常100mL容量の培養系または反応系あたり30units以上、好ましくは150units以上、より好ましくは300units以上の量を挙げることができる。また、プルラナーゼまたはイソアミラーゼは、これらと組み合わせて使用するグルコアミラーゼ、αアミラーゼまたはβアミラーゼ100unitsに対して、通常20〜200units、好ましくは30〜150units、より好ましくは50〜100unitsの割合で使用することが好ましい。
マクロホモプシス培養を利用した本発明のマクロホモプシスガムの製造方法は、基本的に、(1)マクロホモプシスを培養する工程(培養工程)、(2)得られた培養物を処理する工程(培養物処理工程)、および(3)処理した培養物からマクロホモプシスガムを採取する工程(ガム採取工程)を有し、工程(1)または工程(2)のいずれかの工程中に、上記酵素との反応工程を有することを特徴とする。
培養工程(1)中に酵素反応工程を含む場合(酵素存在下で培養を行う場合)、マクロホモプシスの培養を最初から最後まで酵素存在下で行う必要は必ずしもない。例えば、マクロホモプシスの培養を、最初から上記酵素を配合した培地で行うこともできるが、培養の途中で培養液に上記酵素を添加し、さらに培養を継続することによって行うこともできる。
培養物処理工程(2)中に酵素反応工程を含む場合(培養物を酵素と反応させる場合)は、酵素非存在下で培養を行った後(培養工程(1))に、得られた培養物を酵素と反応させることが好ましい。この場合、後述するように、得られた培養物を加熱殺菌処理した後、当該加熱殺菌処理した培養物を酵素と反応させることが好ましい。
以下、(1)培養工程、(2)培養物処理工程、および(3)ガム採取工程について説明する。
(1)培養工程
マクロホモプシスの培養は、通常、炭素源および窒素源を含む栄養培地で行われる。
炭素源としては、例えばブドウ糖、麦芽糖、澱粉、澱粉分解物、ショ糖、果糖、乳糖、糖蜜、グルコース、ラクトース、フルクトース、ガラクトース、メリビオース、ラフィノース、スタキオースまたはこれらの混合物を挙げることができる。好ましくはグルコースである。かかる炭素源の栄養培地中の濃度は、特に制限されないが、通常2〜20重量%、好ましくは2〜10重量%、より好ましくは2〜5重量%を例示することができる。
窒素源としては、概ね微生物の培養に用いられる有機または無機の窒素源の全てが使用可能であり、例えば脱脂綿実粉(Pharmamedia)、コーンスティープリカー、酵母エキス、各種ペプトン、オートミール、肉エキス、カゼイン加水分解物、アンモニア塩、硝酸塩などが挙げられる。好ましくは脱脂綿実粉である。
栄養培地中の窒素源濃度として、好ましくは窒素元素換算で0.010重量%より多く0.048重量%より少ない割合、より好ましくは0.014重量%〜0.043重量%となるような割合を挙げることができる。栄養培地に配合する窒素源のより好適な範囲として、窒素元素換算で、通常0.014〜0.043重量%、好ましくは0.015〜0.040重量%、より好ましくは0.017〜0.034重量%、更に好ましくは0.019〜0.029重量%を挙げることができる。
なお、これをタンパク質量に換算した場合、タンパク質量として0.06重量%より多く0.30重量%より少ない、好ましくは0.09〜0.27重量%となるような割合を挙げることができる。栄養培地に配合する窒素源の好適な範囲をタンパク質量に換算すると、通常0.09〜0.27重量%、好ましくは0.09〜0.25重量%、より好ましくは0.11〜0.21重量%、更に好ましくは0.12〜0.18重量%となる。よって、窒素源としてタンパク質を用いる場合は、この割合を参考にしてタンパク質を栄養培地中に配合することができる。
かかる窒素源の濃度条件でマクロホモプシスを培養することによって、マクロホモプシスのβ-グルカン産生能を有意に増加させることができ、マクロホモプシスガムを高収量で取得することができる。
なお、上記のことから、窒素源として脱脂綿実粉を用いる場合、栄養培地中に脱脂綿実粉を0.10重量%より多く配合することが好ましく、通常0.15重量%以上、好ましくは0.16重量%以上、好ましくは0.18重量%以上、より好ましくは0.20重量%以上となるように配合することが望ましい。また、脱脂綿実粉は栄養培地中に0.50重量%未満で配合することが好ましく、通常0.45重量%以下、好ましくは0.42重量%以下、より好ましくは0.35重量%以下、更により好ましくは0.30重量%以下で配合する。脱脂綿実粉の好適な配合範囲としては、通常0.15〜0.45重量%、好ましくは0.16〜0.42重量%、より好ましくは0.18〜0.35重量%、さらに好ましくは0.2〜0.3重量%の濃度となるように配合することが望ましい。
栄養培地には、必要に応じて、その他の成分として、例えば塩化ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、またはリン酸等の無機塩を配合してもよいし、また鉄、銅、マンガン等の金属塩を微量配合してもよい。
培養液のpHは3.5〜9、好ましくはpH5〜8、より好ましくはpH5.5〜7の範囲にすることが望ましく、状況によっては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び硝酸アンモニウム等のアルカリ塩類、その他アミノ酸類または緩衝液等でpHを一定に調整することもある。
培養方法は、通気条件であれば特に制限されず、例えば深部通気攪拌培養(撹拌翼を用いた培養物撹拌による深部通気培養)、撹拌培養(撹拌翼を用いた培養液撹拌による培養)、振とう培養、深部通気培養、またはドラム回転式培養等の通気可能な方式を挙げることができる。例えば培養に採用される通気条件として、好ましくは0.1〜4vvm、より好ましくは0.5〜2vvm、更に好ましくは1〜2vvmの範囲を挙げることができる。なお、通気に使用される気体としては、滅菌した酸素を含む気体、具体的には大気をフィルターに通して濾過滅菌した空気を例示することができる。
好ましくは、上記通気条件下で攪拌しながら培養する方法である(深部通気攪拌培養法、撹拌培養)。攪拌の回転数(攪拌翼の攪拌速度)は、特に制限されない。例えば、10L容量(内径:200mm、高さ:390mm)の深部通気培養装置において、図1に示す高粘度培養用の門型の撹拌翼(幅:110mm、高さ:110mm、羽根の幅:15mm、培養装置の底面から20mmの位置に設置)を使用した場合、攪拌の回転数(攪拌翼の攪拌速度)として、通常50〜300rpm、好ましくは100〜250rpm、より好ましくは200〜250rpmを例示することができる。
培養温度は、通常10〜40℃の範囲であり、好ましくは15〜35℃、より好ましくは20〜30℃である。
培養時間は、培養条件に応じて適宜調整することができる。通常3日〜6日を挙げることができる。例えば、上記の深部通気培養装置を用いて、攪拌翼の攪拌速度200〜250rpm、温度条件20〜30℃、及び通気条件1〜2vvmの下で、深部通気攪拌培養する場合、培養は通常3〜6日間、好ましくは4〜5日間行うのが望ましい。
なお、通気培養を6日より長く行うと、却ってマクロホモプシスガムの収量が低下することがある。これを解消する方法として、通気培養時間を6日より長く行う場合には、培養期間中の培養物内への通気量を、少なくとも1回、減じることが好ましい(通気量の段階的低減)。具体的には、一定期間通気培養した後、培養物内への通気量を初回通気量の半分以下、さらに好ましくは三分の一以下にするのが良い。こうすることで培養中に生じる菌体の過度な増殖を抑えることができる。また、通気量を1回または複数回、段階的に低減しながら長期間培養することで、通常の培養条件(例えば上記の条件:攪拌翼の攪拌速度200〜250rpm、温度条件20〜30℃、及び通気条件1〜2vvmの下で、3〜6日間の深部通気攪拌培養)で培養するよりもマクロホモプシスガムの収量が向上することもある。
例えば通気培養法として深部通気攪拌培養法を用いる場合、培養期間中に培養物内への通気量を減じて培養する方法としては、通気条件1〜2vvmの下で、攪拌翼の初回攪拌速度200〜250rpmを用いて2〜5日間程度培養し、次いで5日目ぐらいより攪拌翼の攪拌速度を50rpm〜150rpmに減じてさらに2日以上、好ましくは6〜7日間培養する方法を挙げることができる。培養液中の攪拌通気量を減じる時期としては培養開始から3〜5日目、好ましくは4〜5日目を挙げることができる。
酵素存在下でマクロホモプシスを培養する場合、栄養培地に酵素を添加配合し、当該酵素含有培地の中でマクロホモプシスを培養することによって実施することができる。当該酵素添加の時期は特に制限されず、培養開始時から添加配合されていてもよいが、好ましくは培養開始から一定期間経過後であり、具体的には培養開始から2日目、3日目、4日目および5日目、または培養終了3日前、2日前、1日前または半日前などを例示することができる。前述するように、培養期間中に培養物内への通気量を減じて培養する場合は、当該通気量減少に併せて酵素を添加し、その後酵素存在下で培養を行うこともできる。
(2)培養物処理工程
上記培養工程で得られた培養物は、次いで殺菌処理に供される。
ここで培養物の殺菌は、培養物を加熱処理する方法により行うのが好ましい。加熱処理の温度条件としては、70〜150℃、好ましくは100〜125℃を挙げることができる。好ましくは70〜150℃で1〜120分の加熱処理、より好ましくは100〜125℃で5〜20分の加熱処理である。具体的加熱条件として、105℃で15分、または121℃で10分の条件を例示することもできる。
この加熱処理を行うことにより、培養物を殺菌すると同時に、培養物の粘度を下げることができ、その後の固液分離(濾過、遠心分離)の作業効率を向上することができる。またこの加熱処理により、培養液(濾液、上清)中に回収されるマクロホモプシスガムの収量を向上することができる。この理由は定かではないが、菌体表面に付着しているマクロホモプシスガムが加熱処理によって菌体から容易に遊離するためと考えられる。
マクロホモプシスの培養物を酵素反応させる場合、上記加熱処理した培養物に上記酵素を添加配合し、当該酵素含有培養物を20〜60℃、1〜48時間、静置または攪拌条件下でインキュベートする方法を挙げることができる。ここで使用する酵素の種類やその組み合わせならびに各酵素の使用割合については、(1)における説明と同様であり、当該説明に従って同様に行うことができる。
(3)ガム採取工程
斯くして、培養物中に目的のβ-グルカンを高い割合で含むマクロホモプシスガムが産生される。
本発明が目的とする、マクロホモプシスガム中、高収率で含むβ−グルカンは、下式に示すように、主鎖のD-グルコピラノシル残基がすべてβ-1,3結合で結合しており、主鎖のD-グルコピラノシル残基4molに1molの割合で、そのC6位の位置に、側鎖としてD-グルコピラノシル残基1つがβ-1,6結合してなる構成を有する中性多糖である。
本発明が目的とするマクロホモプシスガム中高収率で含むβ-グルカンには、重量分率平均分子量として10万〜1000万Da、好ましくは100万〜1000万Daを有するものが含まれる。なお、重量分率平均分子量は、後述の実験例に示すように、サイズ排除クロマトグラフィーにより分子量分画し、分画された各分子量を多角度光散乱検出器で測定することによって求めることができる。
培養物からマクロホモプシスガムを採取する方法は、培養物から多糖類を単離精製する際に用いられる慣用の操作を適宜組み合わせて行うことができる。
例えば、まず濾過又は遠心分離などの定法に従って培養物を固液分離し、固形分として得られる微生物菌体を除去して培養液(濾液、上清)を取得する。固液分離の方法としては、遠心分離などを例示でき、例えば1000〜12000回転、5〜30分程度の条件下での遠心分離を用いることができる。
次いで、上記で得られる培養液(濾液、上清)に、適当な沈殿剤、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、プロパノール、アセトン等の有機溶媒を、約10〜60容量%、好ましくは10〜30容量%となるような割合で添加し、マクロホモプシスガムを沈殿させる。
この際、低分子物質も、マクロホモプシスガムとともに沈殿する場合があるが、かかる混在物は、この沈殿剤(有機溶媒)の濃度を適当に調整することで除去することができる。なお、マクロホモプシスの培養物中にα-グルカンが混在している場合は、上記沈殿剤の濃度を調整してもα-グルカンをβ-グルカンから分離して除去することが難しくなる。これに対して本発明の方法によれば、マクロホモプシスの培養物中でのα-グルカンの生成および混入を抑制することができるため、上記沈殿剤を利用した沈殿処理により、容易にβ-グルカンを高い割合で含むマクロホモプシスガムが精製できるという利点を有している。
さらに沈殿物は、水に再溶解させた後、濾過又は遠心分離などの固液分離を繰り返すか、または上記沈殿剤による沈殿を繰り返すことによって、混在する不溶性または不純物が除去され、β-グルカンの含量が高いマクロホモプシスガムを精製取得することができる。得られた精製物は、適当な乾燥方法、例えば凍結乾燥、棚乾燥、ドラムドライ、スプレードライ等の方法で乾燥することができる。また必要に応じて粉砕処理してもよい。
なお、上記固液分離によって得られる培養液(上清、濾液)を、イオン交換処理して脱塩し、必要に応じて活性炭などで脱色する方法によっても精製することができる。
以下に、本発明の構成ならびに効果をより明確にするために、参考例、実験例及び実施例を記載する。但し、本発明はこれらの実施例などに何等影響されるものではない。
なお、下記の実施例などにおいて使用したマクロホモプシスは、下記の性状を有するマクロホモプシス属に属する菌株(以下、これを「San-Ei-1株」という)である。
参考例
I.採取地
神奈川県小田原市の土壌より分離。
II.各種培養基上の性状
San-Ei-1株の肉眼的および顕微鏡的観察に基づく各種培地上における培養の特徴は下記の通りである。
(1)肉眼的観察
San-Ei-1株の25℃での生育形態を調べた。
(1-1) ツアベックドックス寒天培地
生育は比較的速く、培養二日目には菌糸の伸長が見られた。培養5日目には、白色の綿毛様の菌糸増殖が盛んであった。菌糸が全体に密に増殖する。12日目頃には、コロニーは5.5cm位になり、コロニー中心部の裏面は黄褐色化する。3週間目頃から、コロニー中心よりやや周辺部で菌糸が盛り上がりはじめた。
(1-2) ポテトデキストロース寒天培地
生育は比較的速く、菌糸は白色綿毛様である。コロニー中心部は、菌糸は余り増殖性が活発でなく、周辺部で非常に活発で、菌糸が密になり、ドーナツ様になる。更に、そこから菌糸が伸長し、ドーナツ周辺にやや疎菌糸帯を形成し、その先端周辺部に密菌糸帯を形成していく。そしてまたその疎菌糸帯も密になり、更に大きなドーナツ様コロニーとなる。12日目頃には、コロニーは6.5〜7.5cm位になる。コロニー中心部の裏面が黄褐色化する。3週間目位には、コロニー中心部への菌糸増殖が進み、全体的に菌糸が覆われた状態になる。その後、コロニー中心部よりやや周辺部で、暗緑色様に着色しつつ、菌糸の盛り上がりが起こってきた。
(1-3) 麦芽エキス寒天培地
(1-1)および(1-2)に比較し、初期の白色綿毛様の菌糸体増殖が遅い。しかし、コロニーの拡大は速い。5日目頃からコロニー中心部より周辺部に向かい、疎・密菌糸帯の繰り返し紋様が観察される。12日目頃には、コロニーが8.5cmとなる。3週間目位には、そのまんだら紋様が全体的に菌糸で覆われるような形で薄れていく。
(1-4) コーンミル培地
生育は極めて速く、ポテトデキストロース寒天培地と同様に菌糸は白色綿毛様の菌糸体増殖をする。分生子果形成に適しており、分生子果の着生成熟ともに速く盛ん。分生子果は寒天中にわずかに埋没して形成される。1% meat extraを添加して培養すると紫色に着色する。
(1-5) オートミル寒天培地
コーンミル培地とほぼ同じ挙動である。
(2)顕微鏡下での形態
コーンミルなどの寒天培地上での菌糸は白色綿毛様であり、寒天に潜るようにして増殖し、分岐をもち、隔膜がある。寒天培地上で形成される分生子果は、こげ茶で球形であり、開口部を持っている。開口部の孔口は単一で、まるく中心にある。分生子果柄は無色で分岐し、基部でのみ隔膜がみられ、円筒状の形態をしている。分生子形成細胞は、全割、不定形である。分生子は無色で隔膜のない紡錘形をしている。分生子の先端は鈍角、後端は裁断状である。
(3)生育pH
pH3.5〜9で生育できるが、pH2.5以下では生育できない。生育の最適pHは5〜8である。
(4)生育温度
10〜40℃の温度域で生育するが、5℃以下または45℃以上では生育できない。35〜40℃での生育は、28℃での生育と同程度に速い。白色菌糸体の形成が主体で、分生子果の形成、成熟には28℃以下のほうが適している。生育および分生子果の形成の最適温度は20〜30℃である。
以上の分類学的性状を有するSan-Ei-1株は、サッカルド(Saccardo)の分類形式に従い、DEUTERO-MYCOTINA(不完全菌亜門)、Coelomycetes(分生子果不完全菌網)、Sphaeropsidales(スフェロプシド目)に含まれ、更に分生子果の形状、無色で紡錘形の単胞子生子の形態からマクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌に分類される〔B.C.Sutton著、「The Coelomycetes Fungi Imperfecti with Pycnidia Acervuli and Stromata」、press Commonwealth Mycological Institute England 1980〕。
なお、当該San-Ei-1株は、本出願人により、「Macrophomosis San-Ei-1 San-Ei Gen F.F.I.,Inc 20050125」(識別のための表示)と命名されて、平成17年2月4日に、日本国茨城県つくば市東1−1−1中央第6に住所を有する独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号:FERM P-20389として寄託されている(通知番号:16産生寄第389号)。
実験例1
(i) マクロホモプシスガムの調製
San-Ei-1株を、容量200mLの三角フラスコに入れた栄養培地100 mL(窒素源:0.2重量%配合)(組成:グルコース 5重量%、脱脂綿実粉(Pharmamedia) 0.2重量%、リン酸二水素カリウム 0.1重量%、及び硫酸マグネシウム・7水和物 0.3重量%を配合した水性培地)に植菌して、25℃で5日間培養した。
植菌と同時、または培養開始から3日目および4日目に、(a)グルコアミラーゼ(実施例1〜6)、(b)βアミラーゼ(実施例7〜12)、(c)αアミラーゼ(実施例13〜23)、および(d)βアミラーゼ及びプルラナーゼ(実施例24〜31)を、下記表にそれぞれ記載する割合で添加して、更に培養(培養総日数5日)を継続した。比較例として、前記酵素無添加の系(比較例1〜4)で検討を行った。
培養終了後(培養開始から5日目)、培養物を105℃で15分間加熱殺菌し、下記の方法に従って、培地中に生成したマクロホモプシスガムの収量(ガム乾燥重量g/L)を測定し、培地に添加した酵素の影響を調べた。
(ii) マクロホモプシスガムの収量(ガム乾燥重量g/L)
加熱殺菌した培養物を遠心分離して、上清を回収し、これに20容量%となるようにイソプロピルアルコールを添加して、マクロホモプシスガムを沈殿させた。得られた沈殿物を85℃で3時間オーブンにて乾燥し、粉砕したものの重量を測定し、培養液1Lあたりの重量(g)に換算した(ガム乾燥重量g/L)。
植菌時または培養開始から一定時間経過後に、培地中に(a)グルコアミラーゼ、(b)βアミラーゼ、(c)αアミラーゼ、または(d)βアミラーゼ及びプルラナーゼを配合して、San-Ei-1株を培養した場合の、各マクロホモプシスガムの収量(ガム乾燥重量)(g/L)をそれぞれ表1〜4に示す。なお、表に示すマクロホモプシスガムの収量(ガム収量)は、下記の基準による:
ブランクを「+」として、
+ :収量1倍
+(+) :収量1.1倍
++ :収量1.2倍
++(+) :収量1.3倍
+++ :収量1.5倍
+++(+):収量1.6倍
++++ :収量1.8倍。
上記の結果から、マクロホモプシスの培養を、(a)グルコアミラーゼ、(b)βアミラーゼ、(c)αアミラーゼ、または(d)βアミラーゼ及びプルラナーゼの存在下で行うことにより、マクロホモプシスから生成されるマクロホモプシスガムの量(収量)が増加することがわかった。
(iii) マクロホモプシスガムの理化学的性質
上記培養で生成したマクロホモプシスガムは、下記の理化学的な測定結果から、目的とするβグルカンであると同定された。
(1) 構成糖
2.5Nトリフルオロ酢酸で8時間加水分解し2.5N水酸化ナトリウムで中和後、これをshodex SUGAR SP0810(昭光通商社製)を用いたHPLCにて分析したところ、グルコースのみが得られた。このことから、得られたマクロホモプシスガムは、グルコースのみを主要成分としていることが認められた。
(2) 結合様式
β-1,3-グルカナーゼ(ラミナリナーゼ:シグマアルドリッチ製)により約4時間酵素消化した後、90℃で10分間加熱処理し酵素を失活させた。これをshodex SUGAR SP0810(昭光通商社製)を用いたHPLCにて分析したところ、グルコースとゲンチオビオースが得られた。両者の比率はおおよそグルコース:ゲンチオビオース=3:1であった。このことから得られたマクロホモプシスガムは、主鎖が全てD-グルコピラノース残基でβ-1,3結合したものであり、主鎖のD-グルコピラノース残基が4molに対して1molの割合でβ-1,6結合の側鎖を有するβ-グルカンであると認められた。
(3) 分子量
TSKgel GMPWXLカラム(東ソー株式会社製)を用いて、下記条件のサイズ排除クロマトグラフィーにより分子量分画した。分画された各分子量を下記条件の多角度光散乱検出器で測定した。その結果、得られたマクロホモプシスガムの分子量(重量分率平均分子量)は100万〜1000万Daであると認められた。
<サイズ排除クロマトグラフィーの条件>
装置:高速液体クロマトグラフィー(日本分光株式会社製)
カラム: TSKgel GMPWXL (東ソー株式会社製)
カラム温度:25℃
移動相:50mM NaNO3+4mM NaN3
流速:0.5ml/min
注入量:100μl
試料濃度:0.5 mg/mL
前処理:0.45μmのメンブランフィルターでろ過。
<多角度光散乱検出器の条件>
装置:多角度光散乱検出器DAWN-DSP (Wyatt 製) 、示差屈折検出器(日本分光株式会社製)
検出温度:25℃。
実験例2
(i) マクロホモプシスガムの調製
San-Ei-1株を、容量200mLの三角フラスコに入れた栄養培地100mL(窒素源:0.2重量%配合)(組成:グルコース5重量%、脱脂綿実粉(Pharmamedia)0.2重量%、リン酸二水素カリウム0.1重量%、及び硫酸マグネシウム・7水和物0.3重量%を配合した水性培地)に植菌して、振とう培養で25℃で5日間培養した。培養終了後(培養開始から5日目)に培養物を105℃で15分間加熱殺菌し、25℃まで冷却した後、この中に(e)βアミラーゼ(実施例32〜35)、(f)αアミラーゼ(実施例36〜39)を下記表にそれぞれ記載する割合で添加して、25℃で1〜2日間振とう反応した。比較例として、前記酵素無添加の系(比較例5〜6)で検討を行った。反応終了後(培養開始から6〜7日目)に培養物を、下記の方法に従って、培地中に生成したマクロホモプシスガムの収量(ガム乾燥重量g/L)を測定し、培地に添加した酵素の影響を調べた。
(ii) マクロホモプシスガムの収量(ガム乾燥重量g/L)
反応終了後の培養物を遠心分離して、上清を回収し、これに20容量%となるようにイソプロピルアルコールを添加して、マクロホモプシスガムを沈殿させた。得られた沈殿物を85℃で3時間オーブンにて乾燥し、粉砕したものの重量を測定し、培養液1Lあたりの重量(g)に換算した(ガム乾燥重量g/L)。加熱殺菌後に、培養物中に(a)βアミラーゼ、または(b)αアミラーゼを配合して反応させた場合の、各マクロホモプシスガムの収量(ガム乾燥重量)(g/L)をそれぞれ表5〜6に示す。なお、表に示すマクロホモプシスガムの収量(ガム収量)は、上記の基準による。
上記の結果から、マクロホモプシスの培養後(5日間)、加熱殺菌した培養物を (e)αアミラーゼ、または(f)βアミラーゼと反応させることにより、マクロホモプシスガムの量(収量)が増加することがわかった。
(iii) マクロホモプシスガムの理化学的性質
上記反応によって生じたマクロホモプシスガムについて、実験例1と同様にして理化学的な測定を行ったところ、その(1)構成糖、(2)結合様式、および(3)分子量から、生成したマクロホモプシスガムは、目的とするβグルカンであると同定された。
実験例3
(i) マクロホモプシスガムの調製
San-Ei-1株を、容量200mLの三角フラスコに入れた栄養培地100 mL(窒素源:0.2重量%配合)(組成:グルコース 5重量%、脱脂綿実粉(Pharmamedia) 0.2重量%、リン酸二水素カリウム 0.1重量%、及び硫酸マグネシウム・7水和物 0.3重量%を配合した水性培地)に植菌して、25℃で5日間培養した。
培養開始から3日目(実施例40)あるいは5日目(実施例41)に、培地にβアミラーゼ(650 units/100mL)を添加して、更に培養(培養総日数6日)を継続した。比較例として、前記酵素無添加の系(比較例7)で検討を行った。培養終了後(培養開始から6日目)、培養物を105℃で15分間加熱殺菌した。これを遠心分離して、上清を回収し、これに20容量%となるようにイソプロピルアルコールを添加して、マクロホモプシスガムを沈殿させた。得られた沈殿物を85℃で3時間オーブンにて乾燥し、粉砕した。
(ii)分子量
実験例1に記載の方法に従って、上記で生成したマクロホモプシスガムをサイズ排除クロマトグラフィーにより分子量分画し、示差屈折率検出器で検出した。結果を図2に示す(上から、実施例40、41および比較例7の結果を示す)。
図2において、横軸およそ5.5〜9.0mLの範囲でマクロホモプシスガムが検出される。さらに、横軸が6.7mL付近を境界にして5.5〜6.7mL部にβグルカンが、6.7〜9.0mL部にαグルカンが分画されて検出される。
ここで、βアミラーゼを添加して培養を行った実施例40(上図)及び41(中央図)では6.7〜9.0mL部にピークがないことからαグルカンは存在せず、βグルカンを選択的に精製できていることがわかる。一方、βアミラーゼ無添加培養(比較例7)(下図)の場合、5.5〜6.7mL部と6.7〜9.0mL部の両方にピークが検出されることからβ、α両グルカンが混在していることがわかる。
(iii) マクロホモプシスガム中のαグルカン確認試験
(i)で調製した粉体状態のマクロホモプシスガム(実施例41及び比較例7)をスライドガラス上に少量取り、0.02%ヨウ素液を1〜2滴滴下し、スパーテルで粉体とヨウ素液をよく混合し、反応させた。そこにイオン交換水を数滴滴下し余分なヨウ素液を洗い流し、カバーガラスを被せた。周囲の水分を拭き取り顕微鏡観察を行った。結果を図3に示す(右から、実施例41および比較例7の結果を示す)。
この結果からわかるように、βアミラーゼ無添加(比較例7)の場合、ヨウ素反応が起こっており、αグルカンの生成が確認された。一方、βアミラーゼを添加した場合は(実施例41)、ヨウ素反応はほとんど起こっておらず、αグルカンの生成は認められなかった。このことから、βアミラーゼを添加してマクロホモプシスを培養することにより、βグルカンが選択的に生成するものと思われる。
深部通気培養装置に使用される高粘度培養用の門型の攪拌翼の模式図である。 実験例3において、マクロホモプシスガムをサイズ排除クロマトグラフィーにより分子量分画し、分画された各分子量を多角度光散乱検出器で測定した結果を示す。上から実施例40(培養3日目にβアミラーゼを添加して培養)、実施例41(培養5日目にβアミラーゼを添加して培養)、および比較例7(βアミラーゼ無添加系)の結果を示す。なお、各グラフの縦軸は相対シグナル強度、横軸は溶出した溶媒量(mL)である。 実験例3で調製した培養物(左図:比較例7(βアミラーゼ無添加系)、右図:実施例41(培養5日目にβアミラーゼを添加して培養))をヨウ素反応した結果を示す(顕微鏡観察(×150倍))。

Claims (6)

  1. (i)グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素の存在下で、マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物を培養する工程、または
    (ii) マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物の培養物をグルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素と反応させる工程を有する
    マクロホモプシスガムの製造方法。
  2. (i) (a)グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素、および(b)α1-6グルコシド結合のみを選択的に加水分解する酵素の存在下で、マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物を培養する工程、または
    (ii) マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物の培養物を上記(a)および(b)の酵素と反応させる工程を有する
    請求項1に記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
  3. マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物の培養を、グルコースを炭素源として含む培地で行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
  4. (ii)の工程が、マクロホモプシス(Macrophomopsis)に属する微生物を、グルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素のいずれも存在しない条件下で培養した後、得られた培養物をグルコアミラーゼ、αアミラーゼ、およびβアミラーゼよりなる群から選択される少なくとも1種の酵素と反応させる工程である、請求項1乃至3のいずれかに記載するマクロホモプシスガムの製造方法。
  5. (i)または(ii)の工程後、培養物または反応物からβ-グルカンを採取する工程を有する請求項1乃至4のいずれかに記載のマクロホモプシスガムの製造方法。
  6. 培養後の培養物に対し、70〜150℃で1〜120分の加熱処理を行うことを含む、請求項1乃至のいずれかに記載のマクロホモプシスガムの製造方法。
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