JP4488950B2 - マクロホモプシスガム高産生菌選別方法、及び高産生菌を用いたマクロホモプシスガムの製造方法 - Google Patents

マクロホモプシスガム高産生菌選別方法、及び高産生菌を用いたマクロホモプシスガムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する微生物の中から、β-グルカン(マクロホモプシスガム)生産能の高い菌体(高生産菌)を選別または単離するための方法に関する。また、本発明は、当該菌体(高生産菌)の選別に際して、有効に用いることのできる菌体の解糸方法に関する。
さらに本発明は、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する微生物を用いたβ-グルカン(マクロホモプシスガム)の製造方法、特に、β-グルカン(マクロホモプシスガム)を高い収量で製造するための方法に関する。
従来より、微生物が各種のβ-グルカンを産生することはよく知られている。例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属に属する微生物が産生するカードラン、担子菌スエヒロタケが産生するジゾフェラン(以上、非特許文献1)、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する微生物が産生するマクロホモプシスガム(特許文献1)などを挙げることができる。
これらのうちジゾフェラン以外のβ-グルカンはいずれも食品添加物として使用が認められているものであり(非特許文献2〜3)、例えばマクロホモプシスガムについては、増粘安定剤としての用途のほか、コレステロール抑制剤としての用途も知られている(特許文献2)。
しかしながら、例えば特許文献1に記載されている培養方法によると、マクロホモプシスが産生するβ-グルカン(マクロホモプシスガム)の量は、培養時間4日間で1.5g/L以下と少なく、このため現在においても大量生産されていないのが実情である。
「天然・生体高分子材料の新展開」シーエムシー出版 p84〜89、p146〜147 「第三版 既存添加物 自主規格」平成14年11月 日本食品添加物協会 p120 「第三版 既存添加物 自主規格」平成14年11月 日本食品添加物協会p263 特開平4−122701号公報 特開平6−135839号公報
前述するように、マクロホモプシスガムは、その産生菌であるマクロホモプシス属に属する微生物(以下、単に「マクロホモプシス」という)のβ-グルカン産生能の低さまたは従来の製造方法の収量の低さ等を理由に、大量生産されておらず、有効利用されていないのが実情である。
そこで、本発明は、マクロホモプシス属に属する微生物を用いてマクロホモプシスガムを高い収量で取得するための製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明はマクロホモプシスの中から、β-グルカン(マクロホモプシスガム)産生能の高い菌体(高産生菌)を選別するための方法、及びその選別に際して有効に利用される菌体の解糸方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、マクロホモプシス属に属する菌体(マクロホモプシス)の中には少なくとも二種類の形状を有した菌体が存在し、それらの菌体は形状によってβ-グルカンの産生能力に違いがあり、産生能力の高い菌体(本発明において、当該菌体を「優性菌」という)と産生能力の低い菌体(本発明において、当該菌体を「劣性菌」という)とがあることを見いだした。そして、二種類のうち、β-グルカンの生産能が高い分岐の少ない長い糸状の菌体(優性菌)を種菌として用いることによって、マクロホモプシスガムを高い収量で生産することができることを確認した。
ところで、マクロホモプシスは複数の分岐を有する糸状の形態を有する糸状菌であり、各菌体の菌糸同士が複雑に絡み合い混在した菌体群を形成している(図1)。すなわち、マクロホモプシスの菌体群は、上記の優性菌(分岐の少ない長い糸状の菌体)の菌糸と劣性菌(分岐の多い短い糸状の菌体)の菌糸が複雑に絡み合って両者が混在した状態で形成されている。このため、上記マクロホモプシスガムの製造に有効な種菌(優性菌)を取得するためにも、マクロホモプシスの菌体群から、上記優性菌を選別し、採取するための方法が求められる。
そこで、本発明者らは、かかる方法の開発を目指し、研究を進めていたところ、マクロホモプシスを含む溶液をホモジナイズして菌体懸濁液を調製し、次いで希釈することによって、菌糸を切断するといった不都合なく複雑に絡み合った菌糸を容易に解くことができ(解糸)、その結果、得られた菌糸の中から形態観察などにより、容易に分岐の少ない長い糸状の菌体を優性菌(β-グルカンの生産能が高い菌)として選別できることを見いだした。
さらに、上記方法で調製された菌体懸濁液には、菌体(菌糸)が個々に分散されて存在していることから、菌体懸濁液から所定容量の試料を採取することによって1つの菌体(1菌糸)だけを取得することができることを見いだした。そこで、当該知見に基づいて、上記菌体懸濁液から所定容量の試料を採取して、各試料のβ-グルカンの産生能を評価し、β-グルカンの産生量を指標としてセレクションをかけていくことによって、簡単に優性菌を1菌体毎に選別し、取得できることを見いだし、こうした方法が形態観察に代わる優性菌(1菌体)の選別方法として有効であることを確認した。
本発明はかかる知見に基づくものであり、下記の態様を包含する:
項1.マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する、菌糸が絡み合って形成された菌体群をほどく方法であって、当該菌体を含む溶液をホモジナイズし、得られた菌体懸濁液を希釈する方法。
項2.下記の工程を有する、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌体群から、分岐の少ない長い糸状の菌体を選別または単離する方法:
(a) マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌体を含む溶液をホモジナイズして菌体懸濁液を調製する工程(ホモジナイズ工程)、
(b) 上記工程で得られる菌体懸濁液の一部を採取して、所定容量(x mL)あたり一菌体(一菌糸)が含まれるような割合で希釈して希釈懸濁液を調製する工程(希釈工程)
(c) 上記希釈懸濁液から試料x mLを複数検体採取して、それぞれ培地に植菌して、培養する工程(培養工程)
(d) (c)で得られる複数の培養物から、β-グルカン産生量の多い培養物を選択する工程(セレクション工程)、
(e) (d)で選択した培養物またはそれを種菌として再度培養して得られた培養物を、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌体を含む溶液に用いて、(a)〜(d)の工程を更にn回(n=0または1以上の正数)繰り返す工程、
(f) n+1回目(n=0または1以上の正数)の(d)工程で選択されたβ-グルカン産生量の多い培養物を取得する工程。
項3.マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌体を培地で通気培養し、培養物中に産生されたβ-グルカンを採取する工程を有するマクロホモプシスガムの製造方法であって、上記培養に用いる菌体(種菌)として分岐の少ない長い糸状の菌体を用いることを特徴とする方法。
項3-1.培養に用いる菌体(種菌)として、選別された分岐の少ない長い糸状の菌体を用いる項3記載の方法。
項3-2.培養に用いる菌体(種菌)として、分岐の多い短い糸状から分別された分岐の少ない長い糸状の菌体を用いる項3記載の方法。
項3-3.培養に用いる種菌として、分岐の少ない長い糸状の菌体の培養物を用いる項3記載の方法。
項4.上記分岐の少ない長い糸状の菌体が、項2に記載する方法で選別または単離されたものであるか、または形状観察によって選別または単離されたものである項3記載のマクロホモプシスガムの製造方法。
項5.項3または4に記載する方法によって得られる、下記性質を有するマクロホモプシスガム;
(a)主鎖D-グルコピラノシル残基がすべてβ-1,3結合し、当該主鎖のD-グルコピラノシル残基4つに対して1つの割合で、当該残基の6位に側鎖としてD-グルコピラノシル残基1つがβ-1,6結合してなる中性多糖、
(b)重量分率平均分子量が10万〜1000万Daのもの。
なお、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する微生物は、例えば、特開平1-63370号公報(微工研受託9366号)に記載されているように、従来より公知の不完全糸状菌である。後述する実施例では、かかるマクロホモプシスに属する寄託菌(San-Ei-1株:寄託者が付した識別のための表示「Macrophomopsis San-Ei-1 San-Ei Gen F.F.I., 20050125」、受託番号「FERM P-20389」)を例として用いて説明したが、本発明の方法は、この寄託菌に限らず、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する微生物全般に対して適用できる方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)優性菌の選別方法
前述するように、本発明者らの研究によって、マクロホモプシスには、分岐の少ない長い糸状の菌体(分岐の少ない長糸状菌)と、分岐の多い短い糸状の菌体(分岐の多い短糸状菌)の2種類あり、前者はβ-グルカンの産生能が高く(優性菌)、後者はβ-グルカンの産生能が低く(劣性菌)、β-グルカンの産生能において明確に異なる性質を有することがわかった。このため、マクロホモプシスを用いてβ-グルカンを収量よく生産するためには、マクロホモプシスの菌体の中から、分岐の少ない長い糸状の菌体(分岐の少ない長糸状菌)を選択し、それを種菌として使用することが必要である。この観点から、本発明は、少なくとも2種類の菌体が混在するマクロホモプシスの菌体群の中から、分岐の少ない長糸状菌を選別または単離する方法を提供する。
当該本発明の方法は、下記の工程(a)〜(f)を有する:
(a) マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌体を含む溶液をホモジナイズして菌体懸濁液を調製する工程(ホモジナイズ工程)、
(b) 上記工程で得られる菌体懸濁液の一部を採取して、所定容量(x mL)あたり一菌体(一菌糸)が含まれるような割合で希釈して希釈懸濁液を調製する工程(希釈工程)
(c) 上記希釈懸濁液から試料x mLを複数検体採取して、それぞれ培地に植菌して、培養する工程(培養工程)
(d) (c)で得られる複数の培養物から、β-グルカン産生量の多い培養物を選択する工程(セレクション工程)、
(e) (d)で選択した培養物またはそれを種菌として再度培養して得られた培養物を、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌体を含む溶液に用いて、(a)〜(d)の工程を更にn回(n=0または1以上の正数)繰り返す工程、
(f) n+1回目(n=0または1以上の正数)の(d)工程で選択されたβ-グルカン産生量の多い培養物を取得する工程。
上記工程のうち、ホモジナイズ工程((a)工程)と希釈工程((b)工程)は、複雑に絡み合った菌糸を解く(解糸)する工程に相当する。
ホモジナイズ工程((a)工程)において使用する菌体溶液は、制限されないが、菌体を1〜30重量%の濃度で含む溶液であることが好ましい。好ましい菌体濃度は1〜15重量%、より好ましくは5〜15重量%である。
かかる菌体を調製する溶液は、菌体の生存及び生育に影響なく、滅菌されたものであればよく、例えば滅菌水、及び栄養培地を挙げることができる。
ホモジナイズは、当業界で慣用的に使用される均質機、攪拌機、または分散機などを用いて行うことができる。ホモジナイズ条件として、均質機の回転刃または攪拌翼の回転数を、3000〜30000rpm、好ましくは6000〜15000rpm、より好ましくは8000〜12000rpmに設定することが望ましい。これより極度に少ない回転数では目的とする十分な効果は得られず、またこれより極度に多い回転数では菌糸が切断されてしまい一菌糸を取得することが出来ない。
なおホモジナイズは、10〜40℃、好ましくは20〜35℃で、1〜3600秒、好ましくは10〜900秒、より好ましくは60〜300秒の条件で行うことが望ましい。
斯くして得られる菌体含有物、すなわち上記ホモジナイズによって調製される菌体懸濁液を、次いで(b)の希釈工程に供する。ここで使用する希釈溶液も、前述するように菌体の生存及び生育に影響なく、滅菌されたものであればよく、例えば上記工程で使用される滅菌水または栄養培地を同様に用いることができる。
希釈倍率は、上記で得られる菌体懸濁液の所定容量(x mL)中に、1〜数菌体(1〜数菌糸)、好ましくは1または2〜3つの菌体(1または2〜3つの菌糸)が含まれるような割合であれば特に制限されない。理想的には所定容量(x mL)中に、ほぼ1菌体(ほぼ1菌糸)が含まれるように希釈することが好ましい。
なお、ここで所定容量は、特に制限されず、任意に定めることができるが、ハンドリングの点から、通常0.01〜0.05mL、好ましくは0.01〜0.03mL、より好ましくは0.01〜0.02mLの範囲を例示することができる。
希釈倍率としては、例えば、ホモジナイズ工程((a)工程)で得られる菌体懸濁液が、前述するように、菌体濃度1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは5〜15重量%である場合、希釈倍率として100〜10000倍、好ましくは100〜10000倍、好ましくは1000〜10000倍を挙げることができる。なお、希釈後、希釈懸濁液中に菌体が均一に分散するように、必要に応じて攪拌や振盪などを行ってもよい。
後述する実施例に示すように、かかるホモジナイズ工程((a)工程)及び希釈工程((b)工程)によって、マクロホモプシス菌体群の絡み合った菌糸をバラバラに解き、希釈懸濁液中に個々の菌体(菌糸)を分散させることができる。本発明には、かかるホモジナイズ工程((a)工程)及び希釈工程((b)工程)を有する、マクロホモプシス菌体群の解糸方法が含まれる。
なお、ホモジナイズ工程((a)工程)でマクロホモプシス菌体群の菌糸がほどけたかどうか、また希釈工程((b)工程)で菌体懸濁液の所定容量(x mL)中の菌体存在数が1〜数菌体(好ましくは1〜3菌体、より好ましくは1菌体)であるかどうかを確認する方法としては、顕微鏡観察を例示することができる。具体的には、ホモジナイズ後希釈して調製した菌体懸濁液の所定容量(0.01mL)を光学顕微鏡で観察して、菌糸がほどけていないと判断される場合には、再度ホモジナイズし、また存在する菌糸が多いと判断される場合には、さらに希釈して希釈率を上げる。すなわち、ホモジナイズ工程((a)工程)のホモジナイズ時間、及び希釈工程((b)工程)の希釈率は、顕微鏡観察によって適宜調整することによって、最適条件に設定することができる。
上記希釈工程((b)工程)で調製された希釈懸濁液を用いることによって、マクロホモプシスの中から、顕微鏡などを利用して目視的に分岐の少ない長糸状菌を選別し取得することもできるが、さらに上記の(c)〜(f)工程を実施することによっても、同様に分岐の少ない長糸状菌を選別し取得するこができる。
(c)〜(f)工程のうち、(c)工程(培養工程)及び(d)工程(セレクション工程)は、(b)工程で得られる希釈懸濁液の中から、β-グルカン産生能の高い菌体(菌糸)を、β-グルカン産生量を指標として選択する一連の工程である。
具体的には、(c)工程(培養工程)は、マクロホモプシスを1〜数菌体(1〜数菌糸)(好ましくは1〜3菌体、より好ましくはほぼ1菌体)の割合で含む試料(xmL)を、複数検体サンプリングして、それぞれを栄養培地に植菌して培養する工程である。
ここで栄養培地は、マクロホモプシスを用いたβ-グルカンの製造に使用される公知の培地を利用することができる(例えば、特開平4-122701号公報参照)。通常、炭素源と窒素源を含む培地が使用される。
栄養培地に使用される炭素源としては、例えばブドウ糖、麦芽糖、澱粉、澱粉分解物、ショ糖、果糖、乳糖、糖蜜、グルコース、ラクトース、フルクトース、ガラクトース、メリビオース、ラフィノース、スタキオースまたはこれらの混合物を挙げることができる。かかる炭素源の栄養培地中の濃度は、特に制限されないが、通常2〜20重量%、好ましくは2〜5重量%を例示することができる。
栄養培地に配合する窒素源としては、概ね微生物の培養に用いられる有機または無機の窒素源の全てが使用可能である。例えば脱脂綿実粉(Pharmamedia)、コーンスティープリカー、酵母エキス、各種ペプトン、オートミール肉エキス、カゼイン加水分解物、アンモニア塩、硝酸塩などが挙げられる。好ましくは脱脂綿実粉(Pharmamedia)である。かかる窒素源の栄養培地中の濃度は、窒素源の種類に応じて適宜設定することができるが、例えば脱脂綿実粉を使用した場合、通常0.15〜0.45重量%、好ましくは0.16〜0.42重量%、より好ましくは0.18〜0.35重量%、さらに好ましくは0.2〜0.3重量%の濃度を例示することができる。
栄養培地には、必要に応じて、その他の成分として、例えば塩化ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、またはリン酸等の無機塩を配合してもよいし、また鉄、銅、マンガン等の金属塩を微量配合してもよい。
培養温度は、通常10〜40℃の範囲、好ましくは20〜35℃、より好ましくは29〜35℃である。また培養液のpHは3.5〜9、好ましくはpH5〜8の範囲にすることが望ましく、状況によっては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硝酸アンモニウム等のアルカリ塩類、アミノ酸類、または緩衝液等でpHを一定に調整することもある。
培養方法は、通気条件であれば特に制限されず、例えば深部通気攪拌培養(撹拌翼を用いた培養液撹拌による培養)、振とう培養、深部通気培養、またはドラム回転式培養等の通気可能な方式を挙げることができる。例えば培養に採用される通気条件として、好ましくは0.1〜3vvm、より好ましくは0.5〜2vvm、更に好ましくは1〜2vvmの範囲を挙げることができる。なお、通気に使用される気体としては、滅菌した酸素を含む気体、具体的には大気をフィルターに通して濾過滅菌した空気を例示することができる。
好ましくは、上記通気条件下で攪拌しながら培養する方法である(深部通気攪拌培養法)。攪拌の回転数(攪拌翼の攪拌速度)は、特に制限されないが、通常50〜300rpm、好ましくは100〜250rpm、より好ましくは200〜250rpmを例示することができる。
培養時間は培養条件応じて適宜調整することができる。通常3日から6日の範囲から適宜選択することができる。例えば、上記の温度条件下、通気条件1〜2vvmの下で、攪拌翼の攪拌速度が200〜250rpmの範囲で深部通気攪拌培養する場合、培養は通常3〜6日間、好ましくは4〜5日間行うのが望ましい。
(d)工程(セレクション工程)は、上記で調製された複数の培養物から、β-グルカン産生量の多い培養物を選択する工程である。すなわち、培養物のβ-グルカン生産量を指標として、β-グルカン生産能の高い菌体(菌糸)を選別する工程である。培養物中のβ-グルカン産生量は、培養物を固液分離して得られる液相部に含まれるβ-グルカンの産生量を測定することによって評価することができる。培養物中のβ-グルカン産生量の評価は、具体的には、まず培養工程((c)工程)で得られる培養物を、80〜121℃程度で10分以上加熱処理し、濾過又は遠心分離などの常法に従って固液分離し、次いで固液分離により得られる培養液(濾液又は上清)に、適当な沈殿剤、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、プロパノール、アセトン等の有機溶媒を、約10〜60重量%、好ましくは約10〜30重量%となるような割合で添加し、取り出した沈殿物の重量をβ-グルカンの重量として評価する方法を挙げることができる。
斯くして培養物のβ-グルカン産生量を指標として、β-グルカン産生量の多い培養物を選択することができる。場合によっては、ここで選択された培養物が分岐の少ない長糸状菌の培養物であることもある。この場合は、この培養物を取得することにより、分岐の少ない長糸状菌が選別されたことになる(n=0の場合の(f)工程に相当する)。
また、菌体の選別精度を高めるためには、上記(d)工程(セレクション工程)で選択した培養物(β-グルカン生産量の多い培養物)を、さらに下記(e)工程、及び(f)工程に供することもできる。
(e) (d)で選択した培養物またはそれを種菌として再度培養して得られた培養物を、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌体を含む溶液として用いて、(a)〜(d)の工程を更にn回(n=1以上の正数)繰り返す工程、または、
(f) n+1回目(n=1以上の正数)の(d)工程で選択されたβ-グルカン産生量の多い培養物を取得する工程。
(e)工程において、nの回数、すなわち(a)〜(d)工程の繰り返し回数は、1回以上であれば、特に制限されないが、通常n=3回以上、好ましくはn=5回以上、より好ましくはn=7回以上を挙げることができる。
(e)工程において、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌体を含む溶液として (a)工程に供するものは、(d)で選択した培養物であってもよいし、また(d)で選択した培養物を種菌として再度培養して得られた培養物であってもよい。例えば、(d)工程で選択した培養物であって(a)工程に供するには菌体量が少ない場合は、後者の方法によって、(d)工程で選択した培養物を一旦培養して菌体量を増加させてから、(a)工程に供することができる。
斯くしてn+1回目(n=1以上の正数)のセレクション工程((d)工程)により、培養物のβ-グルカン産生量を指標として、β-グルカン産生量の多い培養物を選択することができる。当該培養物は分岐の少ない長糸状菌の培養物に相当する。よって、ここでβ-グルカン産生量の多い培養物を取得することにより、分岐の少ない長糸状菌が選別されたことになる(n=1以上の正数の場合の(f)工程に相当する)。
当該分岐の少ない長糸状菌は、マクロホモプシスのうちβ-グルカンの生産能の高い優性菌である。従って、上記方法によって選別された分岐の少ない長糸状菌(分岐の少ない長糸状菌の培養物)は、マクロホモプシスを用いたβ-グルカンの製造において、β-グルカンの生産能の高い種菌として好適に利用することができる。すなわち、上記方法は、マクロホモプシスの中からβ-グルカンの産生能の高い優性菌を選別する方法でもある。
(2)マクロホモプシスガムの製造方法
本発明は、マクロホモプシス属に属する微生物(マクロホモプシス)を用いて、高い収量にマクロホモプシスガムを製造する方法に関する。
本発明の方法は、かかるマクロホモプシスとして、前述する分岐の少ない長糸状菌を用いることを特徴とする。
ここでマクロホモプシスに属する分岐の少ない長糸状菌は、β-グルカンの生産能が高いことを特徴とする優性菌であり、前述するように、その特有な形状を指標として取得することもできるし、また上記(1)の選別方法に従って取得することもでき、その取得方法は特に制限されるものではない。
本発明の方法は、種菌として当該分岐の少ない長糸状菌を用いる以外は、マクロホモプシスを用いたβ-グルカンの製造方法として公知の方法を用いて行うことができる(例えば、特開平4-122701号公報)。具体的には、上記分岐の少ない長糸状菌を培地で通気培養して、培養液中に生成されたβ-グルカンを採取することによって実際される。
ここで栄養培地に配合する炭素源としては、例えばブドウ糖、麦芽糖、澱粉、澱粉分解物、ショ糖、果糖、乳糖、糖蜜、グルコース、ラクトース、フルクトース、ガラクトース、メリビオース、ラフィノース、スタキオースまたはこれらの混合物を挙げることができる。好ましくはグルコースである。かかる炭素源の栄養培地中の濃度は、特に制限されないが、通常2〜20重量%、好ましくは2〜10重量%、より好ましくは2〜5重量%を例示することができる。
栄養培地に配合する窒素源としては、概ね微生物の培養に用いられる有機または無機の窒素源の全てが使用可能である。例えば脱脂綿実粉(Pharmamedia)、コーンスティープリカー、酵母エキス、各種ペプトン、オートミール肉エキス、カゼイン加水分解物、アンモニア塩、硝酸塩などが挙げられる。好ましくは脱脂綿実粉(Pharmamedia)である。かかる窒素源の栄養培地中の濃度は、窒素源の種類に応じて適宜設定することができるが、例えば脱脂綿実粉を使用した場合、通常0.15〜0.45重量%(窒素元素換算で約0.014〜0.043重量%)、好ましくは0.16〜0.42重量%(窒素元素換算で約0.015〜0.040重量%)、より好ましくは0.18〜0.35重量%(窒素元素換算で約0.017〜0.034重量%)、さらに好ましくは0.2〜0.3重量%(窒素元素換算で約0.019〜0.029重量%)を例示することができる。
なお、かかる窒素源の濃度条件(例えば、窒素元素換算濃度の条件)で、マクロホモプシス属に属する微生物を培養することによって、マクロホモプシスのβ-グルカン産生能を有意に増加させることができ、マクロホモプシスガムを高収量で取得することができる。
栄養培地には、必要に応じて、その他の成分として、例えば塩化ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、またはリン酸等の無機塩を配合してもよいし、また鉄、銅、マンガン等の金属塩を微量配合してもよい。
培養は、10〜40℃、望ましくは20〜35℃で、3〜6日間、好ましくは4〜5日間行われる。また培養液のpHは3.5〜9、好ましくは5〜8の範囲にすることが望ましく、状況によっては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硝酸アンモニウム等のアルカリ塩類、アミノ酸類、または緩衝液等でpHを一定に調整することもある。
培養方法は、通気条件であれば特に制限されず、例えば深部通気攪拌培養(撹拌翼を用いた培養液撹拌による深部通気培養)、撹拌培養(撹拌翼を用いた培養液撹拌による培養)、振とう培養、深部通気培養、またはドラム回転式培養等の通気可能な方式を挙げることができる。例えば培養に採用される通気条件として、好ましくは0.1〜3vvm、より好ましくは0.5〜2vvm、更に好ましくは1〜2vvmの範囲を挙げることができる。なお、通気に使用される気体としては、滅菌した空気、具体的には大気をフィルターに通して濾過滅菌した空気を例示することができる。
好ましくは、上記通気条件下で攪拌しながら培養する方法である(深部通気攪拌培養法、撹拌培養法)。攪拌の回転数(攪拌翼の攪拌速度)は、特に制限されないが通常50〜300rpm、好ましくは100〜250rpm、より好ましくは200〜250rpmである。
培養温度は、通常10〜40℃の範囲、好ましくは20〜35℃、より好ましくは29〜35℃である。
培養時間は培養条件応じて適宜調整することができる。通常3日から6日の範囲から適宜選択することができる。例えば、上記の温度条件下、通気条件1〜2vvmの下で、攪拌翼の攪拌速度が200〜250rpmの範囲で深部通気攪拌培養する場合、培養は通常3〜6日間、好ましくは4〜5日間行うのが望ましい。
斯くして、マクロホモプシスにより培養物中に目的のβ-グルカン(マクロホモプシスガム)が産生される。
本発明が目的とするβ-グルカン(マクロホモプシスガム)は、下式に示すように、主鎖のD-グルコピラノシル残基がすべてβ-1,3結合で結合しており、主鎖のD-グルコピラノシル残基4つに1つの割合で、そのC6位の位置に、側鎖としてD-グルコピラノシル残基1つがβ-1,6結合してなる構成を有する中性多糖である。
Figure 0004488950
本発明が目的とするβ-グルカン(マクロホモプシスガム)には、重量分率平均分子量として10万〜1000万Da、好ましくは100万〜1000万Daを有するものが含まれる。なお、重量分率平均分子量は、後述の実施例に示すように、サイズ排除クロマトグラフィーにより分子量分画し、分画された各分子量を多角度光散乱検出器で測定することによって求めることができる。
次いで、本発明の方法は、上記方法により調製された培養物から目的のβ-グルカン(マクロホモプシスガム)を採取することによって実施される。培養物からβ-グルカン(マクロホモプシスガム)を採取する方法は、培養物から多糖類を単離精製する際に用いられる慣用の操作を適宜組み合わせて行うことができる。
例えば、まず培養物を滅菌し、次いで濾過又は遠心分離などの常法に従って培養物を固液分離し、固形分として得られる微生物菌体を除去して培養液(濾液、上清)を取得する。
ここで培養物の滅菌は、培養物を加熱処理する方法により行うのが好ましい。加熱処理の温度条件としては、70〜150℃、好ましくは100〜125℃を挙げることができる。好ましくは70〜150℃で1〜120分の加熱処理、より好ましくは100〜125℃で5〜20分の加熱処理である。具体的加熱条件として、105℃で15分、または121℃で10分の条件を例示することもできる。
この加熱処理を行うことにより、培養物を滅菌すると同時に、培養物の粘度を下げることができ、その後の固液分離(濾過、遠心分離)の作業効率を向上することができる。またこの加熱処理により、培養液(濾液、上清)中に回収されるβ-グルカン(マクロホモプシスガム)の収量を向上することができる。この理由は定かではないが、菌体表面に付着しているβ-グルカン(マクロホモプシスガム)が加熱処理によって菌体から容易に遊離するためと考えられる。
次に、上記で得られる培養液(濾液、上清)に、適当な沈殿剤、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、プロパノール、アセトン等の有機溶媒を、約10〜60重量%、好ましくは10〜30重量%となるような割合で添加し、β-グルカン(マクロホモプシスガム)を沈殿させる。
なお、この際、低分子物質も、β-グルカン(マクロホモプシスガム)とともに沈殿する場合があるが、かかる混在物は、この沈殿剤(有機溶媒)の濃度を適当に調整することで除去することができる。さらに沈殿物は、水に再溶解させた後、濾過又は遠心分離などの固液分離を繰り返すか、または上記沈殿剤による沈殿を繰り返すことによって、混在する不溶性または不純物が除去され、β-グルカン(マクロホモプシスガム)を精製取得することができる。得られた精製物は、適当な乾燥方法、例えば凍結乾燥、棚乾燥、ドラムドライ、スプレードライ等の方法で乾燥することができる。また必要に応じて粉砕処理してもよい。
なお、上記固液分離によって得られる培養液(上清、濾液)を、イオン交換処理して脱塩し、必要に応じて活性炭などで脱色する方法によっても精製することができる。
上記の方法によれば、マクロホモプシスの中からβ-グルカン(マクロホモプシスガム)の生産能の高い菌体(菌糸)(優性菌)を選別することができる。当該優性菌を用いることによって、マクロホモプシスを用いてβ-グルカン(マクロホモプシスガム)を高収量で生産することができ、従来の課題であったマクロホモプシスガムの大量生産が可能となる。
以下に、本発明の構成ならびに効果をより明確にするために、参考例及び実施例を記載する。但し、本発明はこれらの実施例などに何等影響されるものではない。
なお、下記の実施例において使用したマクロホモプシスは、下記の性状を有するマクロホモプシス属に属する菌株(以下、これを「San-Ei-1株」という)である。
[参考例]
I.採取地
神奈川県小田原市の土壌より分離。
II.各種培養基上の性状
San-Ei-1株の肉眼的および顕微鏡的観察に基づく各種培地上における培養の特徴は下記の通りである。
(1)肉眼的観察
San-Ei-1株の25℃での生育形態を調べた。
(1-1) ツアベックドックス寒天培地
生育は比較的速く、培養二日目には菌糸の伸長が見られた。培養5日目には、白色の綿毛様の菌糸増殖が盛んであった。菌糸が全体に密に増殖する。12日目頃には、コロニーは5.5cm位になり、コロニー中心部の裏面は黄褐色化する。3週間目頃から、コロニー中心よりやや周辺部で菌糸が盛り上がりはじめた。
(1-2) ポテトデキストロース寒天培地
生育は比較的速く、菌糸は白色綿毛様である。コロニー中心部は、菌糸は余り増殖性が活発でなく、周辺部で非常に活発で、菌糸が密になり、ドーナツ様になる。更に、そこから菌糸が伸長し、ドーナツ周辺にやや疎菌糸帯を形成し、その先端周辺部に密菌糸帯を形成していく。そしてまたその疎菌糸帯も密になり、更に大きなドーナツ様コロニーとなる。12日目頃には、コロニーは6.5〜7.5cm位になる。コロニー中心部の裏面が黄褐色化する。3週間目位には、コロニー中心部への菌糸増殖が進み、全体的に菌糸が覆われた状態になる。その後、コロニー中心部よりやや周辺部で、暗緑色様に着色しつつ、菌糸の盛り上がりが起こってきた。
(1-3) 麦芽エキス寒天培地
(1-1)および(1-2)に比較し、初期の白色綿毛様の菌糸体増殖が遅い。しかし、コロニーの拡大は速い。5日目頃からコロニー中心部より周辺部に向かい、疎・密菌糸帯の繰り返し紋様が観察される。12日目頃には、コロニーが8.5cmとなる。3週間目位には、そのまんだら紋様が全体的に菌糸で覆われるような形で薄れていく。
(1-4) コーンミル培地
生育は極めて速く、ポテトデキストロース寒天培地と同様に菌糸は白色綿毛様の菌糸体増殖をする。分生子果形成に適しており、分生子果の着生成熟ともに速く盛ん。分生子果は寒天中にわずかに埋没して形成される。1%mert extraを添加して培養すると紫色に着色する。
(1-5) オートミル寒天培地
コーンミル培地とほぼ同じ挙動である。
(2)顕微鏡下での形態
コーンミルなどの寒天培地上での菌糸は白色綿毛様であり、寒天に潜るようにして増殖し、分岐をもち、隔膜がある。寒天培地上で形成される分生子果は、こげ茶で球形であり、開口部を持っている。開口部の孔口は単一で、まるく中心にある。分生子果柄だは無職で分岐し、基部でのみ隔膜がみられ、円筒状の形態をしている。分生子形成細胞は、全割、不定形である。分生子は無色で隔膜のない紡錘形をしている。分生子の先端は鈍角、後端は裁断状である。
(3)生育pH
pH3.5〜9で生育できるが、pH2.5以下では生育できない。生育の最適pHは5〜8である。
(4)生育温度
10〜40℃の温度域で生育するが、5℃以下または45℃以上では生育できない。35〜40℃での生育は、28℃での生育と同程度に速い。白色菌糸体の形成が主体で、分生子果の形成、成熟には28℃以下のほうが適している。生育および分生子果の形成の最適温度は20〜30℃である。
以上の分類学的性状を有するSan-Ei-1株は、サッカルド(Saccardo)の分類形式に従い、DEUTERO-MYCOTINA(不完全菌亜門)、Coelomycetes(分生子果不完全菌網)、Sphaeropsidales(スフェロプシド目)に含まれ、更に分生子果の形状、無色で紡錘形の単胞子生子の形態からマクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌に分類される〔B.C.Sutton著、「The Coelomycetes Fungi Imperfecti with Pycnidia Acervuli and Stromata」、press Commonwealth Mycological Institute England 1980〕。
なお、当該San-Ei-1株は、本出願人により、「Macrophomosis San-Ei-1 San-Ei Gen F.F.I.,Inc 20050125」(識別のための表示)と命名されて、平成17年2月4日に、日本国茨城県つくば市東1−1−1中央第6に住所を有する独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号:FERM P-20389として寄託されている(通知番号:16産生寄第389号)。
(1)菌体の選別
図1に、San-Ei-1株の形状を示す。これからわかるように、マクロホモプシスは複数の菌体の菌糸が絡まった状態で存在する。
マクロホモプシス(San-Ei-1株)を含有する溶液(1.2 mLの菌液と0.8 mLのグリセロールの混合溶液)2mlを、栄養培地(グルコース5重量%、脱脂綿実粉0.3重量%、KHPO0.1重量%、及びMgSO・7HO 0.3重量%を含有する水性培地、pH7)100mLに植菌して、25℃で4日間、振盪培養した。培養終了後、菌体1mLを滅菌水9mLに懸濁し(10倍希釈)、均質機(ホモジナイザー、DIAX600:ハイドルフ社製)にて、25℃条件下で90秒間ホモジナイズした。なお、ホモジナイズ条件として、均質機の回転刃または攪拌翼の回転数を、(1)3000rpmに設定した場合、(2)8000rpmに設定した場合、及び(3)20000rpmに設定した場合の3条件を採用した。その結果、(2)の条件では各菌体の菌糸を所望の程度に解くことができたのに対し(図2)、(1)の条件では、十分に菌体を解くことができず(図3)、また(3)の条件では、菌体の菌糸が切断されて、却って菌体(優性菌、劣性菌)を混在させてしまう結果になることがわかった(図4)。
そこで、(2)の条件でホモジナイズした菌体を対象として、さらに滅菌水で1000〜10000倍希釈したところ、一菌糸ごとに完全に菌糸を解くことができた。この菌体懸濁液を光学顕微鏡で観察したところ、(a)細長く分岐の少ない菌糸(分岐の少ない長糸状菌体)(図5)と、(b)短く分岐している菌糸(分岐の多い短糸状菌体)(図6)の2つの形状の菌体が存在していることが認められた。
(2)β-グルカン産生能の評価
上記で得られた(a)分岐の少ない長糸状菌体(以下、単に「長糸状菌体」という)と、(b)分岐の多い短糸状菌体(以下、単に「短糸状菌体」という)について、β-グルカン産生能を評価して、両者を比較した。
具体的には、容量300mLの培養容器に入れた栄養培地(グルコース5重量%、脱脂綿実粉0.5重量%、KHPO0.1重量%、及びMgSO・7HO 0.3重量%を含有する水性培地)100 mLに各菌体((a)、(b))を植菌して、25℃、振とう培養で4日間前培養した(振とう数:130rpm)(前培養)。容量10 Lのジャーファンメンター (三ツワ理化学工業株式会社製)に入れた栄養培地(グルコース5重量%、脱脂綿実粉0.2重量%、KHPO0.1重量%、及びMgSO・7HO 0.3重量%を含有する水性培地、pH7)5Lに、上記前培養物((a)、(b))を全量植菌して、25℃で4日間、深部通気攪拌培養した(通気量 2vvm、攪拌速度250 rpm、攪拌翼の形状:門型)。なお、各菌体((a)、(b))は、予め、同栄養培地100mLにより25℃で4日間、振盪し前培養したものを使用した(前培養菌体全量を植菌)。上記栄養培地は、予め10 Lのジャーファンメンターに5 L分注し、121℃で15分間加熱殺菌して準備しておいたものを使用した。
培養から4日目に培養物の一部を採取して遠心分離して、上清を回収した。これに20重量%となるようにイソプロピルアルコールを添加して、β-グルカンを沈殿させ、得られた沈殿物を85℃で3時間オーブンにて乾燥した。その重量を評価し、これを培養液1Lあたりの重量(g)に換算して、各菌体のβ-グルカン産生量(g/L)とした。
結果を表1に示す。
Figure 0004488950
表1から、マクロホモプシスは形状によってβ-グルカン産生能が異なり、分岐の少ない長糸状菌体はβ-グルカン産生能が高く(優性菌)、一方分岐の多い短糸状菌体はβ-グルカン産生能が極めて低い(劣性菌)ことがわかる。このことから、分岐の多い短糸状菌体は、β-グルカン(マクロホモプシスガム)製造の培養菌(種菌)として不適であって、分岐の少ない長糸状菌体を、β-グルカン(マクロホモプシスガム)製造の培養菌(種菌)として用いることによって、高い収量でβ-グルカン(マクロホモプシスガム)を得ることができることが判明した。
菌体の選別及びβ-グルカン産生能の評価
(1)マクロホモプシス(San-Ei-1株)を含有する溶液(1.2 mLの菌液と0.8 mLのグリセロールの混合溶液)2mlを、栄養培地(グルコース5重量%、脱脂綿実粉0.3重量%、KHPO0.1重量%、及びMgSO・7HO 0.3重量%を含有する水性培地、pH7)100mLに植菌して、25℃で4日間、振盪培養した。
培養終了後、菌体1mLを滅菌水9mLに懸濁し(10倍希釈)、均質機(ホモジナイザー、DIAX600:ハイドルフ社製)にて、25℃条件下で90秒間、回転数8000rpmでホモジナイズした。ホモジナイズ後、得られた懸濁液をさらに滅菌水で10000倍に希釈し、よく振った。この希釈懸濁液から0.01mL容量の試料を複数採取して、スライドガラス滴下し光学顕微鏡にて観察したところ、当該希釈懸濁液の0.01mL中には、平均してほぼ一菌糸が存在していることが確認された。
このように、β-グルカン産生能が高い優性菌(分岐の少ない長糸状菌体)と、β-グルカン生産能が極めて低い劣性菌(分岐の多い短糸状菌体)との選別は、菌糸の形状を顕微鏡にて確認しながら採取することによって行うことができる。しかしながら、この作業は非常に技術を要する作業であり、汎用的ではない。また菌糸を観察し採取するのに時間がかかり作業中に雑菌が混入する可能性が高い。
(2)そこで同様の効果が得られ、且つ汎用的で雑菌の混入する可能性が低い方法として、上記(1)の知見(0.01 mlの希釈懸濁液にほぼ一菌糸が存在している)に基づいて、その希釈懸濁液を直接30検体のフラスコ培地(上記栄養培地)100mLに0.01 mlづつ植菌し、各希釈懸濁液に含まれる個々の菌体のβ-グルカン産生能を評価する方法を採用した。
具体的には、上記(1)においてホモジナイズ後、希釈することによって調製した希釈懸濁液0.01ml(30検体)を、各々フラスコ培地(上記栄養培地)100mLに植菌し、25℃で4日間振とう培養した。培養終了後、各検体について、各々培養物からその一部である2 mlの培養物をセラムチューブに分注し一時冷蔵保存した(保存培養物)。残りの培養物(98mL)を加熱滅菌した後(121℃、10分)、培養物を遠心分離し、菌体を除菌後、上清を取得した。得られた上清に20重量%となるようにイソプロピルアルコールを配合しβ-グルカンを沈殿させ、β-グルカンが多く沈殿している検体を調べた(表2、セレクション回数:1回目)。表2に示すように、各検体においてβ-グルカンの産生量に違いが見られた。なお、4日間培養しても菌の生育が見られなかった検体は、植菌に使用した希釈懸濁液中に一菌糸も存在していなかったと考えられる。
次いで、β-グルカンが多く沈殿した検体(すなわち、β-グルカン生産量が高い培養液)の保存培養物を、種菌として用いて、上記栄養培地で25℃、4日間振とう培養した。培養終了後、前述した方法と同様に培養物1 mlを滅菌水9 mlに加えて、均質機(ハイドルフ社製、ホモジナイザ DIAX 600)で回転数8000rpmにて90秒間分散させた。分散後、その10倍希釈した懸濁液をさらに滅菌水で10000倍に希釈し、よく振った。0.01 mlを採取し、スライドガラスに滴下し光学顕微鏡にて一菌糸を確認し、フラスコ培地(上記栄養培地)30検体に0.01 mlずつ植菌した。
これを25℃で4日間振とう培養した。培養終了後、各検体について、各々培養物からその一部である2 mlの培養物をセラムチューブに分注し一時冷蔵保存した(保存培養物)。残りの菌液(98mL)を加熱滅菌した後、遠心分離し、菌体を除いた。こうして取得した上清に20重量%となるようにイソプロピルアルコールを添加して多糖類β-グルカンを沈殿させて、β-グルカンが多く沈殿している検体を調べた(表2、セレクション回数:2回目)。表2に示すように、2回目の菌の選別により1回目に比べβ-グルカンが多く沈殿した検体(すなわち、β-グルカン産生量が高い検体)が増加していた。
このため、β-グルカンが多く沈殿した検体(すなわち、β-グルカン産生量が高い培養液)の保存培養物を、種菌として用いて、さらに上記同様の菌の培養、選別を合計8回繰り返した。こうすることで、30検体のほとんどがβ-グルカンの沈殿が多い検体(すなわち、β-グルカン産生量が高い培養物)に分類されるようになった(表2)。下記の評価のうち「+++」であった培養液を顕微鏡で観察すると、菌体はすべて長く分岐の少ない菌糸状を有していた(図7)。
Figure 0004488950
最終的に得られた菌体(選別菌)(菌体(c))と選別していない最初の菌体(San-Ei-1株)(菌体(d))について、容量300mLの培養容器に入れた栄養培地(グルコース5重量%、脱脂綿実粉0.5重量%、KHPO0.1重量%、及びMgSO・7HO 0.3重量%を含有する水性培地)100 mLに各菌体((c)、(d))を植菌して、25℃で4日間振とう培養した(振とう数:130rpm)。培養から4日目に培養物を採取して遠心分離して、上清を回収した。これに20重量%となるようにイソプロピルアルコールを添加して、β-グルカンを沈殿させ、得られた沈殿物を85℃で3時間オーブンにて乾燥した。その重量を測定し、これを培養液1Lあたりの重量(g)に換算して、各菌体のβ-グルカン成生量(g/L)とした。
その結果、選別菌のβ-グルカン生成量は1.91 g/Lであった。一方、菌の選別をおこなっていない菌体のβ-グルカン生成量は0.93 g/Lと、上記の1/2であった。
以上のことから、上記の方法によって、分岐の少ない長糸状菌体(分岐の少ない長糸状菌体の培養液)を、β-グルカン(マクロホモプシスガム)製造の培養菌(種菌)として選別することができ、これによって、高い収量でβ-グルカン(マクロホモプシスガム)を得ることができることが判明した。
なお、上記で得られたβ-グルカンは、下記の理化学的データから、マクロホモプシスガムと同定した。
(1) 構成糖は2.5Nトリフルオロ酢酸で8時間加水分解し2.5N水酸化ナトリウムで中和後、これをshodex SUGAR SP0810(昭光通商社製)を用いたHPLCにて分析した時、グルコースのみが得られた。このことから得られた多糖類がグルコースのみを主要成分としている事が認められた。
(2) 結合様式はβ-1.3グルカナーゼ(ラミナリナーゼ:シグマアルドリッチ製)により約4時間酵素消化し、90℃、10分間加熱処理し酵素を失活させた後、これをshodex SUGAR SP0810(昭光通商社製)を用いたHPLCにて分析した時、グルコースとゲンチオビオースが得られた。また両者の比率はおおよそグルコース:ゲンチオビオース=3:1であった。このことから得られた多糖類は主鎖が全てD-グルコピラノース残基でβ-1.3結合したものであり、主鎖のD-グルコピラノース残基が4残基に対して1の割合でβ-1.6結合の側鎖を有する多糖類β-グルカンであった。
(3) 分子量はTSKgel GMPwカラム(東ソー株式会社製)をカラムにサイズ排除クロマトグラフィーにより分子量分画し、分画された各分子量を多角度光散乱検出器で測定した。得られた分子量は重量分率平均分子量で10万〜1000万Daであることが認められた。
<サイズ排除クロマトグラフィーの条件>
装置:高速液体クロマトグラフィー(日本分光株式会社製)
カラム: TSKgel GMPWXL (東ソー株式会社製)
カラム温度:25℃
移動相:50mM NaNO3+4mM NaN3
流速:0.5ml/min
注入量:100μl
試料濃度:0.5 mg/mL
前処理:0.45μmのメンブランフィルターでろ過。
<多角度光散乱検出器の条件>
装置:多角度光散乱検出器DAWN-DSP (Wyatt 製) 、示差屈折検出器(日本分光株式会社製)
検出温度:25℃。
マクロホモプシス属に属する微生物(San-Ei-1株)の形状を示す図である。 実施例1(1)において、上記San-Ei-1株を、8000rpm(回転数)の条件でホモジナイズした後の当該菌株の形状を示す図である。 実施例1(1)において、上記San-Ei-1株を、3000rpm(回転数)の条件でホモジナイズした後の当該菌株の形状を示す図である。 実施例1(1)において、上記San-Ei-1株を、20000rpm(回転数)の条件でホモジナイズした後の当該菌株の形状を示す図である。 マクロホモプシス属に属する菌体のうち、分岐の少ない長い糸状の菌糸の形状を示す。 マクロホモプシス属に属する菌体のうち、分岐の多い短い糸状の菌糸の形状を示す。 実施例2の菌体選別によって得られた菌体の形状を示す図である。

Claims (3)

  1. マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する、菌糸が絡み合って形成された菌体群をほどく方法であって、当該菌体を1〜30重量%の割合で含む溶液を6000〜15000rpmの回転数でホモジナイズし、得られた菌体懸濁液を100〜10000倍に希釈する方法。
  2. 下記の工程を有する、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌体群から、β-グルカン高産生菌を選別または単離する方法:
    (a) マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌体を1〜30重量%の割合で含む溶液を6000〜15000rpmの回転数でホモジナイズして菌体懸濁液を調製する工程、
    (b) 上記工程で得られる菌体懸濁液の一部を採取して、所定容量(x mL)あたり一菌体(一菌糸)が含まれるように100〜10000倍に希釈して希釈懸濁液を調製する工程、
    (c) 上記希釈懸濁液から試料x mLを複数検体採取して、それぞれ培地に植菌して、培養する工程、
    (d) (c)で得られる複数の培養物から、β-グルカン産生量の多い培養物を選択する工程、(e) (d)で選択した培養物またはそれを種菌として再度培養して得られた培養物を、マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌体を含む溶液に用いて、(a)〜(d)の工程を更にn回(n=0または1以上の正数)繰り返す工程、
    (f) n+1回目(n=0または1以上の正数)の(d)工程で選択されたβ-グルカン産生量の多い培養物を取得する工程。
  3. マクロホモプシス(Macrophomopsis)属に属する菌体を培地で通気培養し、培養物中に産生されたβ-グルカンを採取する工程を有するマクロホモプシスガムの製造方法であって、上記培養に用いる菌体(種菌)として、請求項2に記載する方法で選別されたβ-グルカン高産生菌を用いることを特徴とする方法。
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