JP2020023587A - 1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents

1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】入手容易な原料を用いて、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンを工業的に実施可能な方法で効率的に製造する方法の提供。【解決手段】3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを、塩基の存在下に脱弗化水素反応することを特徴とする、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンを製造する方法に関する。
1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(CHCl=CF−CHF。HCFO−1233yd。以下、1233ydとも記す。)は、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(CF−CF−CHCl、HCFC−225ca)や1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CClF−CF−CClFH、HCFC−225cb)に代わる地球温暖化係数(GWP)の小さい新しい洗浄剤、冷媒、発泡剤、溶剤、およびエアゾール用途に用いられる化合物である。
本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。
1233ydは二重結合上の置換基の位置により、幾何異性体であるZ体とE体が存在する。本明細書中では特に断らずに化合物名や化合物の略称を用いた場合には、Z体およびE体から選ばれる少なくとも1種を示し、化合物名や化合物の略称の後ろに(E)または(Z)を付した場合には、其々の化合物の(E)体または(Z)体であることを示す。例えば、HCFO−1233yd(Z)はZ体を示し、HCFO−1233yd(E)はE体を示す。
1233ydの製造例としては、特許文献1の実施例に、水酸化クロム触媒を充填したハステロイC製反応管に窒素気流下で3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン(CHF−CF−CHCl。HCFC−244ca。以下、244caとも記す。)と弗化水素をガス状態で導入すると、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CHF−CF−CHF、HCFC−245ca)とともに、微量の1233ydが副生したことが記載されている。
しかし、特許文献1に記載される反応は、原料の転化率が70%程度で、かつ1233ydの生成量が副生量であってごく微量であるため、工業的規模の大量生産に適さない。
本発明者は他の1233ydの製造の可能性として、下式(A)で表わされる化合物または下式(B)で表わされる化合物を原料とする脱HX反応(ただし、式中のXはCl、IまたはBrを示す)を考えた。
Figure 2020023587
しかし、これらの化合物はいずれも、容易に入手できる化合物ではなく、また工業的に容易に製造する方法もなく、入手が困難である。また、式(B)においてXがFである化合物(CHF−CHF−CHFCl、HCFC−244ea)は、脱HX反応よりも、脱塩化水素反応が優先するため、1233ydを選択的に得ることができない。
国際公開第1994/14737号
本発明は、入手容易な原料を用いて、工業的に実施可能な方法で、1233ydを効率的に製造する経済的に有利な方法の提供を目的とする。
本発明者らは、1233ydを製造する場合の前駆体として、安定した製造方法が確立されている244caを選択し、該244caを脱弗化水素反応して1233ydを製造する方法について鋭意検討した。その結果、通常の脱弗化水素反応の条件として採用する活性炭及び金属触媒等を用いた気相反応ではなく、塩基を用いた反応を採用すると、1233ydを選択的に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下に示す構成の1233ydの製造方法を提供する。
[1]3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン(244ca)を、塩基の存在下に脱弗化水素反応することを特徴とする、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(1233yd)の製造方法。
[2]前記塩基が、金属水酸化物、金属酸化物および金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の1233ydの製造方法。
[3]前記塩基が、金属水酸化物である、[1]に記載の1233ydの製造方法。
[4]前記塩基が、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の1233ydの製造方法。
[5]前記塩基の量が、前記244caの1モルに対して0.5〜10.0モルである、[1]〜[4]のいずれかに記載の1233ydの製造方法。
[6]前記脱弗化水素反応を、5〜80℃の反応温度で行う、[1]〜[5]のいずれかに記載の1233ydの製造方法。
[7]前記244caを、溶媒、および、前記塩基の存在下に液相中で脱弗化水素反応する、[1]〜[6]のいずれかに記載の1233ydの製造方法。
[8]前記溶媒が、水である[7]に記載の1233ydの製造方法。
[9]前記塩基の量が、前記溶媒と前記塩基の総質量に対して、0.5質量%〜48質量%である[7]または[8]に記載の1233ydの製造方法。
[10]前記脱弗化水素反応を、相間移動触媒の存在下に行う[7]〜[9]のいずれかに記載の1233ydの製造方法。
[11]前記相間移動触媒が、第4級アンモニウム塩である、[10]に記載の1233ydの製造方法。
[12]前記第4級アンモニウム塩が、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドおよびメチルトリ−n−オクチルアンモニウムクロリドからなる群より選ばれる少なくとも1種である[11]に記載の1233ydの製造方法。
[13]前記脱弗化水素反応を、前記244caを溶解しうる水溶性有機溶媒の存在下に行う、[7]〜[9]のいずれかに記載の1233ydの製造方法。
[14]前記水溶性有機溶媒を、前記244caの100質量部に対して、1〜200質量部の割合で用いる[13]に記載の1233ydの製造方法。
本発明の1233ydの製造方法は、安定した製造方法が確立されており入手容易な244caを用いた方法であるため、工業的に実施しやすく、安定に実施可能な方法である。また、本発明の1233ydの製造方法によれは、高反応率および高選択率で1233ydを製造することができる。
本発明の1233ydの製造方法は、244caを、塩基の存在下に脱弗化水素反応することを特徴とする。本発明の製造方法に係る244caの脱弗化水素反応(以下、単に「脱弗化水素反応」ともいう。)は、以下の式(1)で示される反応である。
Figure 2020023587
本発明における、244caの脱弗化水素反応は、気相反応または液相反応のいずれでも行うことができ、より工業的に実施が有利である点から液相反応で行うことが好ましい。本明細書において、化合物(X)を気相反応で脱弗化水素反応させるとは、気体状態の化合物(X)が脱弗化水素化反応することをいう。化合物(X)を液相反応で脱弗化水素反応させるとは、液体状態の化合物(X)が脱弗化水素反応することをいう。
本発明の1233ydの製造方法においては、244caの転化率および1233ydの選択率の観点、および、反応装置の反応器のサイズを気相中で実施する場合に比して小さくできる等の観点から、液体状態の244caを、液相中で脱弗化水素反応させる方法が好ましい。
(244ca)
本発明の1233ydの製造方法は244caを原料とする。244caは、含フッ素化合物の製造原料または中間体として知られる化合物であり、容易に入手できる。
244caの入手方法は特に限定されず、例えば、式(2)に示されるとおり、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(TFPO)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の存在下、塩化チオニル(SOCl)によって塩素化する方法により製造可能である。この方法は、液相中または気相中で行うことができる。
Figure 2020023587
式(2)の反応において、反応器は、ガラスフラスコ、SUS製オートクレーブ、およびガラスライニング反応器等の、一般的な反応器を使用できる。ガラスフラスコを用いる場合、ラシヒリングを充填したガラス蒸留塔を設置し、244caの生成と分離を同時に行うのが好ましい。
TFPOの1モルに対するDMFの投入量は、0.001〜0.2モル、塩化チオニルの投入量は0.5〜1.5モル程度が好ましい。DMFは触媒的に作用して反応を進行させる作用を有する。式(2)の反応は等モルで定量的に反応が進行するので、どちらかが過剰である必要はない。
TFPOの1モルに対する塩化チオニルの添加速度が速すぎると、塩化水素の生成速度が上がり、生成物が塩化水素に同伴して系外へ排出されロスとなる可能性がある。したがって、反応進行による温度変動が30℃以内となるような速度で塩化チオニルを滴下することが好ましい。なお、水が存在する場合、塩化チオニルは水と反応して加水分解され、SOとHClに分解する。さらに2,2,3,3−テトラフルオロプロパンスルホン酸クロライドも加水分解し、TFPOとSOとHClに分解する。これらを防ぐために、反応器内の雰囲気は乾燥窒素ガスにて置換することが好ましい。
式(2)の反応においては、塩化チオニルの添加により、TFPOと塩化チオニルが反応し、2,2,3,3−テトラフルオロプロパンスルホン酸クロライドが生成する。2,2,3,3−テトラフルオロプロパンスルホン酸クロライドは加熱されると、脱二酸化硫黄反応を起こし、244caが生成する。加熱時の温度は70℃〜150℃であり、好ましくは90℃〜130℃である。昇温速度は任意であるが、生成した二酸化硫黄の処理が不十分となることや、生成した244caの回収が不十分となることを避けるために、1〜2℃/分程度のゆっくりとした速度で昇温して、生成速度を調整することが望ましい。
2,2,3,3−テトラフルオロプロパンスルホン酸クロライドの加熱において、昇温速度の調整が難しい場合には、例えば、2,2,3,3−テトラフルオロプロパンスルホン酸クロライドを溶媒中で加熱する方法(液相反応)を採用するのが好ましい。溶媒は2,2,3,3−テトラフルオロプロパンスルホン酸クロライド分解反応の反応温度より沸点が高く、式(2)で示される反応に関与する化合物と反応しにくい溶媒であって、非プロトン性溶媒を用いることが好ましい。具体例的には、ジメチルスルホキシド、DMF等が挙げられる。溶媒の使用量は2,2,3,3−テトラフルオロプロパンスルホン酸クロライドの1モルに対して、0.5〜3モル程度が好ましい。
2,2,3,3−テトラフルオロプロパンスルホン酸クロライドの脱二酸化硫黄反応には、上記と同様の反応器を準備し、液相反応で実施するのが好ましい。すなわち、反応器中に溶媒を添加して脱二酸化硫黄反応する温度まで加熱したところに、2,2,3,3−テトラフルオロプロパンスルホン酸クロライドを滴下することによって244caを製造する。脱二酸化硫黄反応の反応温度は70℃〜150℃であり、好ましくは90℃〜130℃である。反応容器内の雰囲気は乾燥窒素ガスにて置換することが好ましい。
式(2)の反応を経て生成する244caの粗生成物は、通常はガス状の粗い生成物であり、水洗などの方法で、塩酸および二酸化硫黄を除去する処理を行い、塩化カルシウムやモレキュラーシーブなどの乾燥剤により乾燥してコールドトラップなどの方法に供することで不純物を除き、244caを含む組成物を回収することができる。得られた244caを含む組成物は、そのまま、または、これをさらに精製して、例えば、純度が99.5質量%以上の244caの組成物として、本発明の製造方法に用いることができる。
本発明の製造方法に用いる244caとしては、純度100%の244ca以外に、精製工程を経た高純度の244caの組成物を用いてよく、244caと244ca以外の成分(例えば、不純物等)を含む、244caを含む組成物、を用いてもよい。ただし、後者の244caを含む組成物を用いる場合においては、不純物が本発明の反応に活性な不純物である場合には、予め除去しておくのが好ましい。例えば、式(2)の方法で244caを製造する場合、生成する244caとともにTFPOが残留すると、本発明の生成物である1233ydと反応する場合があるため、本発明の方法に用いる場合には、生成物中からTFPOをできるだけ除くのが好ましい。
(塩基)
本発明の製造方法においは、前記の方法等で入手した244caを、塩基の存在下に脱弗化水素反応する。塩基は、前記脱弗化水素反応が実行可能な塩基であれば特に限定されない。前記塩基は、金属水酸化物、金属酸化物および金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基を含むことが好ましい。
塩基が金属水酸化物である場合、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属水酸化物などが挙げられる。アルカリ土類金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
塩基が金属酸化物である場合、該金属酸化物を構成する金属としては、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、第12族金属元素、第13族金属元素が挙げられる。中でも、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、第6族金属元素、第8族金属元素、第10族金属元素、第12族金属元素、第13族金属元素が好ましく、ナトリウム、カルシウム、クロム、鉄、亜鉛、アルミニウムがさらに好ましい。金属酸化物は、金属の1種を含む酸化物であってもよく、2種以上の金属の複合酸化物であってもよい。金属酸化物としては、反応時間および反応収率の点から、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化クロム(クロミア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛等が好ましく、アルミナおよびクロミアがより好ましい。
塩基が金属炭酸塩である場合、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。アルカリ土類金属炭酸塩としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等の金属の炭酸塩が挙げられる。アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等の金属の炭酸塩が挙げられる。
本発明の製造方法に用いる塩基としては、反応時間および反応収率の点から、金属水酸化物が好ましく、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。金属水酸化物は、1種を単独に用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法に用いる塩基の使用量は、反応収率、および1233ydの選択率の観点から、244caの1モルに対して、0.5〜10.0モルが好ましく、0.5〜5.0モルがより好ましく、0.8〜3.0モルがさらに好ましい。
244caと塩基との反応温度としては、反応活性、および1233ydの選択率の観点から、5〜80℃が好ましく、10〜60℃がより好ましく、15〜50℃がさらに好ましい。反応温度が上記範囲に達しない場合、反応速度、反応収率が低下する可能性があり、未反応の244caが過剰に残っている場合、1233ydとの分離が困難になりうる。また、反応温度が上記範囲を超える場合、1233ydがさらに脱弗化水素して生成する1−クロロ−3,3−ジフルオロプロピンの生成量が増える可能性や、1233ydの選択率が低下する可能性がある。
未反応の244caが残っている場合、蒸留によって244caを濃縮し、本発明の原料としてリサイクルすることも可能である。
本発明の製造方法において得られる1233ydはE体であってもZ体であってもよく、これらの混合物であってもよい。ここで、244caの沸点は53℃、1233yd(Z)の沸点は54℃、であり、1233yd(E)の沸点は47〜48℃である。
本発明の製造方法においては、244caと塩基とを反応させることにより、244caの脱弗化水素反応(脱HF反応)が起こる。塩基が反応に関与するためには、244caと物理的に接触する必要がある。
本発明の製造方法を気相反応で実施する場合には、固体、好ましくは、粉末状態の塩基と気体状態の244caを接触させる方法が挙げられる。
本発明の製造方法を液相反応で実施する場合は、溶媒に溶解した塩基、すなわち溶液状態の塩基と、液体状態の244caとを接触させる方法等が挙げられる。これらのうち、反応時間、反応収率、および1233ydの選択率の観点から、後者の液相反応が好ましい。例えば、上記塩基を溶媒に溶解して得られる溶液と244caとを撹拌等の手段を用いて接触させることが好ましい。本発明の製造方法を液相反応で実施する場合、気相反応に比して小さな反応器サイズのものを採用できる観点から好ましい。
本発明の製造方法を液相反応で実施する場合に用いうる、溶液状態の塩基を調製するために用いる溶媒としては、前記塩基の所定量を溶解できかつ前記脱弗化水素反応に寄与しない溶媒であれば特に制限されない。例えば、溶媒としては、アルカリ金属水酸化物を十分に溶解でき、溶媒由来の副反応がない等の観点から水が好ましい。
本発明の製造方法を液相反応で実施する場合、244caとアルカリ金属水酸化物等の塩基とを、溶媒の存在下で、液相反応させる方法によるのが好ましい。
塩基の量は、反応速度の点から、溶媒と塩基の総量(質量)に対するアルカリ金属水酸化物等の塩基の質量の割合(単位%)が、0.5〜48質量%となる量が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。塩基量が上記範囲未満であると、十分な反応速度が得られないことがある。一方、塩基量が上記範囲を超えると、1233ydがさらに脱弗化水素反応することによって生成する1−クロロ−3,3−ジフルオロプロピンの生成量が増え、1233ydの選択率が減少する可能性がある。
本発明の製造方法を液相反応として実施する場合、反応系中に反応をより促進する目的で、本発明の効果を損なわない他の物質を存在させてもよい。例えば、塩基溶液として、親水性が高い溶媒を用いて塩基溶液を使用した場合は、他の物質としては、相間移動触媒または244caを溶解しうる水溶性有機溶媒等を存在させるのが好ましく、相間移動触媒が特に好ましい。
相間移動触媒としては、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第4級アルソニウム塩、スルホニウム塩、クラウンエーテルなどが挙げられ、第4級アンモニウム塩が好ましい。
相間移動触媒が第4級アンモニウム塩である場合、下式(i)で表される化合物(以下、「化合物(i)」と称することがある)が挙げられる。
Figure 2020023587
ただし、式(i)中、R11〜R14は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基、または反応に不活性な官能基が結合した1価の炭化水素基を表し、Yは、陰イオンを表す。
11〜R14が炭化水素基である場合、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましい。
11〜R14の炭素原子数は、4〜100が好ましい。R11〜R14は、それぞれ同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。
11〜R14が、反応に不活性な官能基が結合した1価の炭化水素基である場合の官能基は、反応条件に応じて適宜選択されるが、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ニトリル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシル基などが挙げられる。
11121314としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−プロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、メチルトリ−n−オクチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、セチルベンジルジメチルアンモニウム、セチルピリジニウム、n−ドデシルピリジニウム、フェニルトリメチルアンモニウム、フェニルトリエチルアンモニウム、N−ベンジルピコリニウム、ペンタメトニウム、ヘキサメトニウムなどが挙げられる。
としては、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられ、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオンが好ましい。
化合物(i)としては、汎用性および反応性の観点から、下記R11121314と、下記Yとの組合せが好ましい。
11121314:テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−プロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、メチルトリ−n−オクチルアンモニウム。
:フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、水酸化物イオン。
4級アンモニウム塩としては、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(TBAC)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムクロリド(TOMAC)が好ましい。
相間移動触媒が第4級ホスホニウム塩である場合、下式(ii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020023587
ただし、式(ii)中、R21〜R24は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基を表し、Yは、陰イオンを表す。
21〜R24における炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましい。
式(ii)における第4級ホスホニウム(R21222324)としては、テトラエチルホスホニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウム、エチルトリ−n−オクチルホスホニウム、セチルトリエチルホスホニウム、セチルトリ−n−ブチルホスホニウム、n−ブチルトリフェニルホスホニウム、n−アミルトリフェニルホスホニウム、メチルトリフェニルホスホニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウムなどが挙げられる。
としては、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられ、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンが好ましい。
相間移動触媒が第4級アルソニウム塩である場合、下式(iii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020023587
ただし、式(iii)中、R31〜R34は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基を表し、Yは、陰イオンを表す。
31〜R34における炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましい。
としては、ハロゲンイオンが好ましく、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンがより好ましい。
式(iii)で表わされる第4級アルソニウム塩としては、トリフェニルメチルアルソニウムフロライド、テトラフェニルアルソニウムフロライド、トリフェニルメチルアルソニウムクロライド、テトラフェニルアルソニウムクロライド、テトラフェニルアルソニウムブロマイドなどが挙げられる。
第4級アルソニウム塩としては、トリフェニルメチルアルソニウムクロライドが特に好ましい。
相間移動触媒がスルホニウム塩である場合としては、下式(iv)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020023587
ただし、式(iv)中、R41〜R43は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基を表し、Yは、陰イオンを表す。
41〜R43における炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましい。
としては、ハロゲンイオンが好ましく、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンがより好ましい。
式(iv)で表されるスルホニウム塩としては、ジ−n−ブチルメチルスルホニウムアイオダイド、トリ−n−ブチルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジヘキシルメチルスルホニウムアイオダイド、ジシクロヘキシルメチルスルホニウムアイオダイド、ドデシルメチルエチルスルホニウムクロライド、トリス(ジエチルアミノ)スルホニウムジフルオロトリメチルシリケートなどが挙げられる。
スルホニウム塩としては、ドデシルメチルエチルスルホニウムクロライドが特に好ましい。
クラウンエーテルとしては、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6などが挙げられる。
相間移動触媒の量は、244caの100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましい。相間移動触媒の量が少なすぎると、十分な反応速度が得られないことがあり、多く用いても、使用量に応じた反応促進効果は得られず、コスト面で不利である。
また、反応系が、水相と有機相に分離する場合は、相間移動触媒の代わりに、水溶性有機溶媒(例えば、テトラグライム等)を反応系中に存在させて、有機相と、塩基を含む水相を相溶化させてもよく、相間移動触媒と水溶性有機溶媒を併用してもよい。
水溶性有機溶媒としては、244caを溶解しうる有機溶媒であって、本発明の反応に影響を及ぼさない溶媒が好ましく、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、スルホラン、t−ブタノール等が好ましい。該水溶性溶媒は、通常、塩基溶液と相溶性を有する。
水溶性有機溶媒の量は、244caの100質量部に対して、1〜200質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましい。水溶性有機溶媒の量が上記範囲未満である場合、十分な反応速度が得られないことがある。また、水溶性有機溶媒の量が上記範囲を超える場合、塩基濃度が薄くなるため、反応速度が小さくなり、使用量に応じた反応促進効果は得られなくなる。
相間移動触媒または水溶性有機溶媒を用いる場合は、反応器に導入した後、一般的な撹拌手段によって、反応に関与する化合物とこれらを充分に接触させることが好ましい。
本発明における反応は、バッチ式で行ってもよいし、半連続式、連続流通式で行ってもよい。反応時間は各様式により適宜調整できる。反応器の材質としては、244ca、相間移動触媒、水溶性有機溶媒、塩基およびこれを溶液とするための溶媒、ならびに反応生成物を含む反応液成分等に不活性で、耐蝕性の材質であれば特に制限されない。例えば、ガラス、鉄、ニッケル、および鉄等を主成分とするステンレス鋼等の合金などが挙げられる。
本発明の反応においては、244caの脱弗化水素反応により、1233ydが生成するが、3−クロロ−1,1,2−トリフルオロプロペン(1233yc)の生成も考えられる。しかし、本発明の製造方法を液相反応で実施した場合、特に塩基としてアルカリ金属水酸化物の水溶液を用いて実施した場合は、1233ycはほとんど生成せず、1233ydを選択的に得ることができる利点がある。
本発明の製造方法を液相反応で実施した場合は、反応終了後に反応液を放置して、有機相と水相に分離させる。有機相中には、目的物である1233yd以外に、未反応の244ca、および1233ydがさらに脱弗化水素して生成する1−クロロ−3,3−ジフルオロプロピン等が含まれうる。これらを含む有機相中から、1233ydを回収する際には、一般的な蒸留等による分離精製方法を採用するのが好ましい。ここで、生成物中に1233yd(Z)を含む場合は、244caと1233yd(Z)の沸点が近いことから、精度の高い蒸留を行うのが好ましい。
また、1233yd(Z)の収率を高くするために1233ydのE体とZ体の分離を蒸留等の分離精製方法で実施してもよい。
本発明の製造方法により得られる1233ydを上記のように分離精製して回収することで、1233ydを高純度に含有する精製1233ydが得られる。このようにして得られる精製1233ydに、HCl等の酸分や水、酸素が含まれると、その使用に際して設備が腐食したり、1233ydの安定性が低下するなどのおそれがある。したがって、酸分、つまり塩素イオンおよびフッ素イオンの含有量は、精製1233ydの全量に対して、好ましくは10質量ppm未満、より好ましくは1質量ppm未満、最も好ましくは0.1質量ppm未満である。また、精製1233ydにおける水分濃度は1000質量ppm未満が好ましく、最も好ましくは100質量ppm未満である。精製1233ydにおける酸素濃度は1000質量ppm以下が好ましく、500質量ppm以下がより好ましい。上記範囲外では、1233ydの分解が起きたり、脱脂洗浄性能が阻害されたりする可能性がある。
本発明の製造方法によれば、入手が容易で安定的に供給されうる244caを用いて、特別な操作や反応装置を用いることなく反応を実施することで、高反応率および高選択率で1233ydを製造できる。さらに、本発明の製造方法の反応を液相反応で実施した場合には、気相反応と比較して同量の1233ydを製造する場合に反応器サイズを縮小することができる。つまり、本発明によれば原料および製造設備に要するコストを大幅に低減することができる。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[ガスクロマトグラフィーの条件]
以下の各種化合物の製造において、得られた反応組成物の組成分析はガスクロマトグラフィー(GC)を用いて行った。カラムはDB−1301(長さ60m×内径250μm×厚み1μm、アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いた。
[244caの製造例1]
244caを以下の方法によって製造した。以下の方法は、上記式(2)に示すようにTFPOを塩化チオニルによって塩素化して244caを得る方法である。
<244caの合成>
撹拌機、ジムロート、冷却器、ラシヒリングを充填したガラス蒸留塔(段数測定値5段)を設置した2リットル四つ口フラスコにTFPOの1204g(9.12モル)およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の12g(0.17モル)を加えた。塩化チオニルの1078g(0.12モル)を滴下し、室温で12時間撹拌した。その後、反応器を100℃に加熱し、還流タイマーにより還流時間/留出時間の比を5/1で反応蒸留を行った。留出した244caは20質量%水酸化カリウム水溶液で中和した。回収した244ca(純度100%)は、979g(6.50モル)であった。
[実施例1]
撹拌機、ジムロート冷却器を設置した2リットル四つ口フラスコに、製造例1で得られた244caの989.40g、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(TBAC)の9.89gを入れ、フラスコを50℃に加熱した。反応温度を50℃に維持し、40質量%水酸化カリウム(KOH)水溶液の1396.01gを30分かけて滴下した。その後、52時間撹拌を続け、有機層を回収した。なお、本例における反応時間は、上記滴下に要した時間と滴下後撹拌を行った時間の合計時間、すなわち52.5時間である。
回収した有機層を水洗した後、ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果を表1に示す。
以下に記載する転化率とは、反応に使用した原料(特に記載しない限り、244ca)のモル量に対する、反応で消費された原料(244ca)のモル量の割合(単位:%)を示し、選択率は、生成物の全量に対する、生成物(1233yd(E)、1233yd(Z)、1−クロロ−3,3−ジフルオロプロピン)の生成量(モル量)の割合(単位:%)をいう。
1233yd(E)または1233yd(Z)の収率(%)とは、反応で得られた有機相から回収量された生成物(1233yd(E)、1233yd(Z))のモル量を、反応系中に導入した244caのモル量に対する割合(単位:%)で示した数値である。表1に示す「HCFO−1233yd(E,Z)収率(%)」は、1233yd(E)および1233yd(Z)の収率の合計を表す(他の表についても同様である)。
上記で回収した有機層を水洗後、蒸留して1233yd(E)および1233yd(Z)を含む精製1233ydを得た。精製1233ydにおける塩素イオン濃度は0.14質量ppm、フッ素イオン濃度は0.16質量ppm、水分濃度は230質量ppm、酸素濃度は400ppmであった。
[実施例2〜9]
実施例1の反応装置のうち、反応器を任意の容量の三つ口または四つ口フラスコに変え、また、反応条件を表1または表2に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の手順で反応を行わせた。
各実施例で得られた有機層のガスクロマトグラムによる組成分析の結果を反応の条件等とともに表1または表2に示す。なお、表1、表2に示す反応時間は、分(min)の単位を四捨五入した時間(h)の単位で示した。
[実施例10]
実施例1の反応装置のうち、反応器を、圧力メーターを設置した容量25mLのSUS製オートクレーブに変え、反応条件を表2に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の手順で反応を行わせた。実施例10で得られた有機層のガスクロマトグラムによる組成分析の結果を反応の条件等とともに表2に示す。
[実施例11]
実施例1の反応装置のうち、反応器を、圧力メーターを設置した容量1Lのハステロイ製オートクレーブに変え、反応条件を表2に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の手順で反応を行わせた。実施例11で得られた有機層のガスクロマトグラムによる組成分析の結果を反応の条件等とともに表2に示す。
Figure 2020023587
Figure 2020023587
[実施例12〜15]
実施例12〜15は、実施例1の反応装置のうち、反応器を任意の容量の三つ口または四つ口フラスコに変え、相間移動触媒であるTBACを用いる代わりに水溶性有機溶媒を用いた。用いた水溶性有機溶媒の種類および投入量、その他反応条件を表3に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の手順で反応を行わせた。各実施例で得られた有機層のガスクロマトグラムによる組成分析の結果を反応の条件等とともに表3に示す。
Figure 2020023587
[比較例1]
垂直固定床反応器(材質:SUS316、内径22.0mm×高さ200mm)の中心に差込管(材質:SUS316、直径:3mm)を導入し、その中にK型熱電対を挿入し、内温を測定した。反応器の中央部に活性炭(日本エンバイロケミカルズ社製、白鷺活性炭CMX)の83.0mL(43.0g)を充填し、ここを触媒層とした。該触媒層を、窒素ガスを300mL/minで供給しながら電気炉によって100℃に加熱し、乾燥させた。ガスフィードラインおよび原料供給ラインを接続した70℃に加熱された原料予熱混合ラインを反応器の上部に接続した。
窒素は、マスフローコントローラを用いてガス流量を調整し、ガスフィードラインから原料予熱混合ラインに供給した。原料である244caは、プランジャーポンプを用いて液流量を調整し、原料供給ラインを通して70℃に加熱された原料予熱混合ラインに供給した。生成物は、反応器の下部から連続的に取り出した。反応器の下部から取り出された生成物の一部を採取し、ガスクロマトグラフィ(GC)による組成分析を行った。以下、反応器の下部から取り出された生成物を出口ガスという。
表4に示す条件にて窒素および原料を反応器に導入し、連続で3時間反応させた。反応終了直前に出口ガスの一部を採取し、ガスクロマトグラフィ(GC)による組成分析を行った。結果を表4に示す。
[比較例2〜4]
反応器として垂直固定床反応器(材質:SUS316、内径22.6mm×高さ200mm)、触媒にアルミナ(日揮触媒化成株式会社製、N612N)を使用し、比較例1と同様の手順で300℃で触媒を乾燥させた。その後クロロジフルオロメタン(HFC−22)を300mL/minで供給し、出口ガスの組成が安定化するまで約10時間触媒を活性化した。反応温度、その他反応条件を表4に示す条件に変更した以外は比較例1と同様の手順で反応を行わせた。反応条件および結果を表4に示す。
Figure 2020023587

Claims (14)

  1. 3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを、塩基の存在下に脱弗化水素反応することを特徴とする、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  2. 前記塩基が、金属水酸化物、金属酸化物および金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  3. 前記塩基が、金属水酸化物である、請求項1に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  4. 前記塩基が、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  5. 前記塩基の量が、前記3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンの1モルに対して0.5〜10.0モルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  6. 前記脱弗化水素反応を、5〜80℃の反応温度で行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  7. 前記3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを、溶媒、および、前記塩基の存在下に液相中で脱弗化水素反応する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  8. 前記溶媒が、水である請求項7に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  9. 前記塩基の量が、前記溶媒と前記塩基の総質量に対して、0.5質量%〜48質量%である請求項7または8に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  10. 前記脱弗化水素反応を、相間移動触媒の存在下に行う請求項7〜9のいずれか一項に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  11. 前記相間移動触媒が、第4級アンモニウム塩である、請求項10に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  12. 前記第4級アンモニウム塩が、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドおよびメチルトリ−n−オクチルアンモニウムクロリドからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項11に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  13. 前記脱弗化水素反応を、前記3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを溶解しうる水溶性有機溶媒の存在下に行う、請求項7〜9のいずれか一項に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  14. 前記水溶性有機溶媒を、前記3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンの100質量部に対して、1〜200質量部の割合で用いる請求項13に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
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