JP6245259B2 - (e)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents

(e)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(以下、R−1233zd(E体)とも言う)の製造方法に関する。
なお、本明細書において、シス−トランス異性をZ−Eで表し、シス体をZ体、トランス体をE体、Z体とE体の混合物ないしZ体とE体とを区別していないものをEZ体と言う。
本明細書では、ハロゲン化炭化水素については化合物名の後の括弧内にその化合物の略称(冷媒番号など)を記載する場合があるが、本明細書では必要に応じて化合物名に替えてその略称を用いることがある。
R−1233zd(E体)は、温室効果ガスである1,1,1,2−テトラフルオロエタン(以下、R−134aとも言う)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(以下、R−245faとも言う)に代わる冷媒、発泡剤、洗浄剤、溶剤、及びエアゾール、並びに、機能性材料の原料モノマー、及び合成用中間体として、近年期待されている。
この様なR−1233zd(E体)を製造する方法としては、例えば、ペンタクロロプロパンを触媒存在下、フッ化水素でフッ素化してジクロロトリフルオロプロパンにした後に、アルカリのアルコール溶液中で、得られたジクロロトリフルオロプロパンの脱塩化水素を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(以下、R−243faとも言う)をアルカリ水溶液と接触させて脱塩化水素反応を行う方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
これらの技術では、R−243faからR−1233zd(E体)を製造することができることが開示されている。
R−1233zd(E体)は、機能性材料の原料モノマー、及び合成用中間体として使用しうることから、高純度で得られることが好ましい。また、冷媒、発泡剤、洗浄剤、溶剤、エアゾールなどの使用においても、各種法令、表示義務、コンプライアンス等を考慮すると、高純度で得られることが好ましい。
しかし、上記提案の技術では、高純度でR−1233zd(E体)を得ることができないという問題がある。
したがって、簡便な方法により、高選択的にかつ高純度のR−1233zd(E体)が得られる、R−1233zd(E体)の製造方法、及びその製造方法により得られる組成物の提供が求められているのが現状である。
また、工業的に簡便な方法でジクロロトリフルオロプロパンを製造する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この方法においても、R−243faとともに1,3−ジクロロ−1,3,3−トリフルオロプロパン(以下、R−243fbとも言う)が副生することが知られている。
中国公開101168494号公報 国際公開第2012/145188号パンフレット 特開平8−73385号公報
特許文献1、及び2の方法では、R−1233zd(E体)と同時に、(E)−3−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(以下、R−1233ze(E体)とも言う)及び(Z)−3−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(以下、R−1233ze(Z体)とも言う)が副生していると考えられる。本発明者らは、R−1233zd(E体)がR−1233ze(E体)及びR−1233ze(Z体)と蒸留分離が困難であることを見出した。つまり、特許文献1、及び2の方法からでは高純度のR−1233zd(E体)が得られないという問題がある。
また、本発明者らは、R−243faからR−1233zd(E体)を製造する際に、R−243faの異性体であるR−243fbが反応系内に存在していると、R−243fbがR−1233ze(E体)及びR−1233ze(Z体)になることを見出した。
本発明は、簡便な方法により、高選択的にかつ高純度のR−1233zd(E体)が得られる、R−1233zd(E体)の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、R−1233zd(E体)の製造方法において、R−243fa及びR−243fbを含有する第1の組成物を精製し、R−243fa及びR−243fbの合計量に対してR−243fbの含有量が5モル%以下の第2の組成物を得た後に、
第2の組成物中のR−243faの脱塩化水素反応を行い、R−1233zd(E体)を得ることにより、簡便な方法により、高選択的にかつ高純度のR−1233zd(E体)が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明の(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(R−1233zd(E体))の製造方法は、
1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(R−243fa)及び1,3−ジクロロ−1,3,3−トリフルオロプロパン(R−243fb)を含有する第1の組成物を精製して、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(R−243fa)及び1,3−ジクロロ−1,3,3−トリフルオロプロパン(R−243fb)の合計量に対して1,3−ジクロロ−1,3,3−トリフルオロプロパン(R−243fb)の含有量が5モル%以下の第2の組成物とし、
次いで、第2の組成物中の1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(R−243fa)を脱塩化水素反応させて、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(R−1233zd(E体))を得ることを特徴とする。
本発明によれば簡便な方法により、高選択的にかつ高純度のR−1233zd(E体)が得られる、R−1233zd(E体)の製造方法を提供することができる。
図1は、実施例3における精製の挙動を示すグラフである。 図2は、比較例3における精製の挙動を示すグラフである。
本発明の製造方法における「第1の組成物を精製して第2の組成物を得る」工程を以下「精製工程(1)」とも言う。また、「第2の組成物中のR−243faの脱塩化水素反応を行い、R−1233zd(E体)を得る」工程を「製造工程(A)」とも言う。
さらに、「第1の組成物を製造する工程」を「製造工程(B)」といい、製造工程(A)から得られた反応混合物を精製する工程を「精製工程(2)」と言う。
(R−1233zd(E体)の製造方法)
本発明のR−1233zd(E体)の製造方法は、精製工程(1)と製造工程(A)とを含み、好ましくはさらに製造工程(B)及び精製工程(2)の少なくともいずれかを含む。
R−1233zd(E体)の製造方法が製造工程(B)を含む場合、R−1233zd(E体)の製造方法は、通常、製造工程(B)、精製工程(1)、製造工程(A)の順で行われる。
R−1233zd(E体)の製造方法が精製工程(2)を含む場合、R−1233zd(E体)の製造方法は、通常、精製工程(1)、製造工程(A)、精製工程(2)の順で行われる。
R−1233zd(E体)の製造方法が製造工程(B)及び精製工程(2)を含む場合、R−1233zd(E体)の製造方法は、通常、製造工程(B)、精製工程(1)、製造工程(A)及び精製工程(2)の順で行われる。
<精製工程(1)>
精製工程(1)としては、R−243fa及びR−243fbを含有する第1の組成物を精製し、R−243fa及びR−243fbの合計量に対してR−243fbの含有量が5モル%以下の第2の組成物を得る工程である。精製工程(1)における精製方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蒸留、吸着などが挙げられる。
これらの中でも、簡便に行うことができる点で、蒸留が好ましい。
[蒸留]
蒸留は、常圧下で行ってもよいし、加圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。これらの中でも、常圧下で行うことが好ましい。
蒸留を行う場合、蒸留における適当な留分を第2の組成物とすればよい。
第1の組成物は、R−243faと、R−243fbとを少なくとも含有し、更に必要に応じて、これら以外の成分(以下、その他の成分と言う)を含有する。
その他の成分としては、例えば、R−243faと沸点の近い化合物であるトリクロロメタン(クロロホルム)、テトラクロロメタン(四塩化炭素)、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロ−3,3−ジフルオロエタン(R−122)、1,1,2−トリクロロエチレン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン(R−244fa)、(EZ)−1,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(R−1232zd(EZ体))、(EZ)−3−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(R−1233ze(EZ体))、(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(以下、R−1233zd(Z体)とも言う)、3,3−ジクロロ−1,1,3−トリフルオロプロペン(R−1233zc)、その他クロロジフルオロメタン(以下、R−22とも言う)、ジクロロフルオロメタン(以下、R−21とも言う)、トリフルオロメタン(以下、R−23とも言う)などが挙げられる。
R−243fb及びその他の成分は、製造工程(B)等のR−243faを製造する過程において、副生成物として生成され、第1の組成物に含有される。
第1の組成物におけるR−243faの含有割合は、50モル%以上が好ましい。
第1の組成物におけるR−243fbの含有割合は、10モル%以下が好ましい。
第1の組成物がその他の成分を含む場合は、第1の組成物におけるその他の成分の含有割合は30モル%以下が好ましい。
第2の組成物において、R−243fa及びR−243fbの合計量に対するR−243fbの含有割合は、5モル%以下であり、3モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましい。R−243fbの含有量が、より好ましい範囲内であると、脱塩化水素反応生成物中の不純物が減り精製が容易になる点で有利である。
第2の組成物におけるR−243fbの含有割合としては、5モル%以下が好ましく、1モル%以下が更に好ましく、0.5モル%以下が特に好ましい。
通常第1の組成物の精製によりその他の成分もR−243fbと同様に除去されることより、第2の組成物におけるその他の成分の含有量も少なくなる。第2の組成物中にその他の成分が存在する場合、第2の組成物中のその他の成分の割合は1モル%以下が好ましく、0.1モル%以下がより好ましい。
第2の組成物は、R−243fa及びR−243fbの合計含有割合が100モル%であることが、その後の脱塩化水素反応の反応性向上する点、及び、脱塩化水素反応後の不純物が減り精製が容易になる点で特に好ましい。
<製造工程(A)>
製造工程(A)の脱塩化水素反応は、第2の組成物と、金属水酸化物溶液とを接触させることにより行うのが好ましい。金属水酸化物溶液としては金属水酸化物水溶液や金属水酸化物のアルコール溶液が挙げられる。
ここで、金属水酸化物としては、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属水酸化物などが挙げられる。
脱塩化水素反応は、反応時間、反応収率、及びR−1233zd(E体)の選択性の点で、第2の組成物を、相間移動触媒の存在下でアルカリ金属水酸化物水溶液と接触させる方法で行うことが好ましい。アルカリ土類金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
金属水酸化物水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液が挙げられる。金属水酸化物アルコール溶液としては、水酸化ナトリウムのエタノール溶液が挙げられる。これらの中でも、R−1233zd(E体)の選択性の点から、金属水酸化物水溶液が好ましく、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液がより好ましい。
金属水酸化物溶液の濃度は、反応速度の点から、溶質(金属水酸化物)の質量%として、0.5〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。金属水酸化物溶液が金属水酸化物水溶液である場合、濃度が上記範囲であると2層分離を簡便に行うことができる。
脱塩化水素反応における金属水酸化物溶液の使用量としては、R−243faに対して、金属水酸化物が、0.5〜2.0モル当量のアルカリ量であることが好ましく、1.0〜1.5モル当量のアルカリ量であることがより好ましい。
脱塩化水素反応において金属水酸化物水溶液を用いる場合、効率的に反応を進行させるために、相間移動触媒を用いることが好ましい。
相間移動触媒としては、例えば、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第4級アルソニウム塩、スルホニウム塩、クラウンエーテルなどが挙げられる。これらの中でも第4級アンモニウム塩が好ましい。
[第4級アンモニウム塩]
第4級アンモニウム塩としては、例えば、下記一般式(i)で表される化合物(以下、「化合物(i)」と称することがある)が挙げられる。
Figure 0006245259
ただし、一般式(i)中、R11〜R14は、それぞれ独立して、炭化水素基を表し、Yは、陰イオンを表す。
11〜R14における炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられる。これらの中でも、アルキル基、アリール基が好ましい。
11〜R14の炭素数としては、R11121314の1分子あたりの合計炭素数として、4〜100が好ましい。
11〜R14は、それぞれ同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。
11〜R14は、反応条件下で不活性な官能基により置換されていてもよい。不活性な官能基としては、反応条件に応じて異なるが、例えば、ハロゲン原子、エステル基、ニトリル基、アシル基、カルボキシ基、アルコキシ基などが挙げられる。
としては、例えば、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられる。これらの中でも、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオンが好ましい。
化合物(i)としては、化合物(i)の汎用性及び反応性の点から、下記R11121314と、下記Yとの組合せが好ましい。
11121314:テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ−n−プロピルアンモニウムイオン、テトラ−n−ブチルアンモニウムイオン、トリ−n−オクチルメチルアンモニウムイオン。
:フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、水酸化物イオン。
第4級アンモニウム塩における第4級アンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ−n−プロピルアンモニウムイオン、テトラ−n−ブチルアンモニウムイオン、トリ−n−オクチルメチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、セチルベンジルジメチルアンモニウムイオン、セチルピリジニウムイオン、n−ドデシルピリジニウムイオン、フェニルトリメチルアンモニウムイオン、フェニルトリエチルアンモニウムイオン、N−ベンジルピコリニウムイオン、ペンタメトニウムイオン、ヘキサメトニウムイオンなどが挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリドが特に好ましい。
[第4級ホスホニウム塩]
第4級ホスホニウム塩としては、下記一般式(ii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006245259
ただし、一般式(ii)中、R21〜R24は、それぞれ独立して、炭化水素基を表し、Yは、陰イオンを表す。
21〜R24における炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられる。これらの中でも、アルキル基、アリール基が好ましい。
一般式(ii)における第4級ホスホニウムイオン(R21222324)としては、例えば、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラ−n−ブチルホスホニウムイオン、トリ−n−オクチルエチルホスホニウムイオン、セチルトリエチルホスホニウムイオン、セチルトリ−n−ブチルホスホニウムイオン、n−ブチルトリフェニルホスホニウムイオン、n−アミルトリフェニルホスホニウムイオン、メチルトリフェニルホスホニウムイオン、ベンジルトリフェニルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオンなどが挙げられる。
としては、例えば、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられる。これらの中でも、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンが好ましい。
[第4級アルソニウム塩]
第4級アルソニウム塩としては、下記一般式(iii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006245259
ただし、一般式(iii)中、R31〜R34は、それぞれ独立して、炭化水素基を表し、Yは、陰イオンを表す。
31〜R34における炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられる。これらの中でも、アルキル基、アリール基が好ましい。
としては、ハロゲンイオンが好ましく、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンがより好ましい。
第4級アルソニウム塩としては、例えば、トリフェニルメチルアルソニウムフロライド、テトラフェニルアルソニウムフロライド、トリフェニルメチルアルソニウムクロライド、テトラフェニルアルソニウムクロライド、テトラフェニルアルソニウムブロマイド、これらの高分子誘導体などが挙げられる。
第4級アルソニウム塩としては、トリフェニルメチルアルソニウムクロライドが特に好ましい。
[スルホニウム塩]
スルホニウム塩としては、下記一般式(iv)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006245259
ただし、一般式(iv)中、R41〜R43は、それぞれ独立して、炭化水素基を表し、Yは、陰イオンを表す。
41〜R43における炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられる。これらの中でも、アルキル基、アリール基が好ましい。
としては、ハロゲンイオンが好ましく、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンがより好ましい。
スルホニウム塩としては、例えば、ジ−n−ブチルメチルスルホニウムアイオダイド、トリ−n−ブチルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジヘキシルメチルスルホニウムアイオダイド、ジシクロヘキシルメチルスルホニウムアイオダイド、ドデシルメチルエチルスルホニウムクロライド、トリス(ジエチルアミノ)スルホニウムジフルオロトリメチルシリケートなどが挙げられる。
スルホニウム塩としては、ドデシルメチルエチルスルホニウムクロライドが特に好ましい。
[クラウンエーテル]
クラウンエーテルとしては、例えば、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6などが挙げられる。
脱塩化水素反応における相間移動触媒の使用量としては、R−243fa 100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましい。
脱塩化水素反応は、例えば、原料である第2の組成物と、アルカリ金属水酸化物水溶液と、相間移動触媒とを、適宜選択した割合で反応器に導入し、これらが十分に接触するように一般的な手段によって攪拌を行うことで実施できる。
脱塩化水素反応における反応温度としては、反応活性、及びR−1233zd(E体)の選択性の点から、0〜80℃が好ましい。なお、反応温度は、反応時の反応容器の圧力状態により適宜調節される。例えば、常圧で脱塩化水素反応を行う場合には、反応温度は、0〜60℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。反応温度が、より好ましい範囲内であると、R−243faをより効率的な反応速度でかつ高選択的に脱塩化水素する点で有利である。
また、脱塩化水素反応を加圧反応容器中で行うことも可能であり、その場合の好ましい条件としては、98000〜200000Pa、かつ20〜60℃である。
脱塩化水素反応は、バッチ式で行ってもよいし、連続流通式で行ってもよい。
脱塩化水素反応に用いる反応器の材質としては、例えば、ガラス、鉄、ニッケル及びこれらを主成分とする合金などが挙げられる。
これらの中でも、ステンレス鋼など鉄を含む合金が好ましい。
<製造工程(B)>
製造工程(B)としては、1,1−ジフルオロエチレン(フッ化ビニリデン)とR−21とを反応させて第1の組成物を得る工程が好ましい。以下、この製造工程(B)を製造工程(B−1)と言う。
製造工程(B−1)を用いることにより、精製工程(1)において、精製がし易く、R−243fa及びR−243fb以外のその他の成分の含有量が少ない第1の組成物が得られる。
前記製造工程(B−1)における反応は、下記反応式(1)で表すことができる。なお、下記反応式におけるCClはジクロロトリフルオロプロパン(R−243)を示すものであり、R−243はR−243fa、R−243fbなどのジクロロトリフルオロプロパン異性体の総称である。この反応で得られるR−243は、通常、R−243fa及びR−243fbを含む異性体混合物である。
Figure 0006245259
なお、反応式(1)においては、R−243以外に、クロロホルム、R−23、1,1,1−トリフルオロエタン(以下、R−143aとも言う)などが反応生成物に含まれる。
前記製造工程(B−1)で得られる組成物中のR−243fbの含有割合は、反応条件(特に反応温度と用いる触媒の種類)によって異なるが、通常、R−243faに対し1モル%以上である。
前記製造工程(B−1)における反応は、触媒を用いて行うことが好ましい。触媒としては、例えば、塩化アルミニウム、トリクロロフルオロメタン等で処理された変性塩化ジルコニウム、ルイス酸触媒などが挙げられる。ルイス酸触媒としては、例えば、Al、Sb、Nb、Ta、W、Re、B、Sn、Ga、In、Zr、Hf及びTiの少なくともいずれかの元素を含むハロゲン化物などが挙げられる。
前記製造工程(B−1)において塩化アルミニウムを触媒として用いる場合、反応式(1)により得られるR−243を含有する組成物は、主にR−243faとR−243fbとを反応生成物として含有するものであり、その他に、クロロホルム、R−23、R−143aなどを反応生成物として含有する。この組成物は、第1の組成物として使用可能である。
前記製造工程(B−1)において変性塩化ジルコニウムを触媒として用いる場合(例えば、特開平4−253928号公報参照)、反応式(1)により得られる組成物は、主にR−243faとR−243fbとを反応生成物として含有するものであり、その他に、少量成分としてクロロホルム、R−23、R−143aなどを反応生成物として含有する。この組成物は、第1の組成物として使用可能である。
前記製造工程(B−1)においてルイス酸触媒を触媒として用いる場合、反応式(1)により得られる組成物は、主にR−243faとR−243fbとを反応生成物として含有するものであり、その他に、少量成分としてクロロホルム、R−23、R−143aなどを反応生成物として含有する。この組成物は、第1の組成物として使用可能である。
第1の組成物を得る方法としては、前述の製造工程(B−1)に代えて、以下の方法を用いた工程(以下、製造工程(B−2)と言う)であってもよい。
<製造工程(B−2)>
製造工程(B−2)は、ペンタハロゲノプロパンとフッ化水素とを反応させて第1の組成物を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
製造工程(B−2)における反応は、下記反応式(2)で表すことができる。なお、下記反応式におけるCClはR−243を示す。
Figure 0006245259
ただし、反応式(2)中、mは、1〜3の整数である。
前記製造工程(B−2)で得られる組成物中のR−243fbの含有割合は、反応条件(特に反応温度と用いる触媒の種類)によって異なるが、通常、R−243faに対し1モル%以上である。
<精製工程(2)>
本発明における脱塩化水素反応により得られた組成物は、必要に応じさらに精製することができる。精製としては、蒸留、吸着、洗浄などが挙げられる。洗浄としては、酸性水溶液、中性水溶液または塩基性水溶液による洗浄が挙げられる。精製としては、特に蒸留が好ましい。
脱塩化水素反応において金属水酸化物水溶液を用いた場合、反応後の組成物は水を含有する。したがって、これを精製するにあたっては、まず、組成物を有機層と水層とに分離し、その後、有機層を蒸留すればよい。
本発明では脱塩化水素反応を行う前の精製工程(1)において第1の組成物(原料組成物)中のR−243fbを低減することで、R−1233zd(E体)と分離(例えば、蒸留分離)が困難な、R−1233zd(E体)の異性体であるR−1233ze(E体)及びR−1233ze(Z体)の含有量が低減されるため、一般的な蒸留による分離精製により、高純度のR−1233zd(E体)が得られる。
<R−1233zd(E)の用途>
本発明の製造方法により得られるR−1233zd(E)は、温室効果ガスであるR−134a、R−245faに代わる冷媒、発泡剤、洗浄剤、溶剤、及びエアゾール、並びに、機能性材料の原料モノマー、及び合成用中間体として有用である。
R−1233zd(E)を、機能性材料の原料モノマー、及び合成用中間体として用いる場合には、特に高純度(例えば、99.0モル%以上)であることが好ましい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
[分析条件]
組成分析はガスクロマトグラムを用いた。カラムはDB−1301(長さ60m×内径250μm×厚み1μm、アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いた。なお、R−1233ze(E体)及びR−1233ze(Z体)については、EZ構造異性体間の構造決定に至っていないため、本実施例中においては、便宜上、上記ガスクロマトグラム分析条件においてリテンションタイムが短いEZ構造異性体を「R−1233ze(EorZ体):異性体A」と表記し、リテンションタイムが長いEZ構造異性体を「R−1233ze(EorZ体):異性体B」と表記した。
(触媒調製例1)
<変性塩化ジルコニウム触媒の調製>
上部に15cm高さの冷却器を接続し、磁気式攪拌子を入れた四ツ口1Lガラス製フラスコに、四塩化ジルコニウム256.9gを投入した。次に上部に接続した冷却器とフラスコをドライアイスで−78℃に冷却しながら636gのR−21を徐々に投入した。磁気式攪拌子で攪拌しながら上部に接続した冷却器とフラスコの温度を徐々に0℃まで上昇させ、内温が0℃到達後2.5時間攪拌を続けた。その後、上部に接続した冷却器とフラスコの冷却を停止し、室温で1晩減圧乾燥した。乾燥終了後、236.1gの触媒を回収した。
(製造例1)
<R−243fa含有組成物の合成>
ハステロイ製10Lオートクレーブに初期溶媒としてR−243faを含む組成物(R−243faが40モル%、R−243fbが8モル%、クロロホルムが29モル%、R−22が2モル%、R−21が7モル%、その他の成分が13モル%)1000gと触媒調製例1で調製した触媒78gを仕込んだ後に、−10〜−5℃まで冷却した。冷却しながら攪拌し内温が0℃未満を保つような速度で7202gのR−21をゆっくり仕込んだ。更に、冷却しながら攪拌し内温が0℃未満を保ちながら1,1−ジフルオロエチレン(フッ化ビニリデン)を8時間かけて4480g仕込んだ。仕込み終了後30分間攪拌した後、気相部を窒素で置換し、反応を終了した。反応終了後、攪拌しながら10Lオートクレーブの底部から反応粗液を抜き出した。抜き出した反応粗液の量は、12822gであった。その後、5μm径の濾紙をセットした加圧濾過器で反応粗液を濾過し、12470gの均一有機層を得た。有機層を一部回収し、ガスクロマトグラフィ(GC)により組成を分析した結果、有機層の組成比は、以下のとおりであった。
R−243fa:56モル%
R−243fb:9モル%
クロロホルム:5モル%
R−143a:1モル%
R−21:9モル%
その他の成分:20モル%
(製造例2)
<R−243fa含有組成物の蒸留精製>
マントルヒーターで加熱可能な10Lのガラス製窯、マグネット式還流装置、還流タイマー、及びジムロート冷却器を備えた径3cm高さ97cmのガラス蒸留塔にヘリパックNo.1(竹中金鋼株式会社製)を充填し(段数測定値43段)、これを用いて蒸留を行った。製造例1で得られた有機層のうち11000gを蒸留装置に仕込み、還流タイマーにより還流時間/留出時間の比を50/1〜300/1に調整しながら常圧で蒸留を行った。
その結果、R−243faが99.5モル%以上、R−243fbが0.5モル%未満の組成物が946g得られた。
また、R−243faが94.0モル%、R−243fbが6.0モル%の組成物が5646g得られた。
(製造例3)
製造例1、製造例2をそれぞれ複数回実施し、得られた組成物を混合することで以下のR−243fa含有組成物1を4157g、R−243fa含有組成物2を13225g、R−243fa含有組成物3を1570g調製した。
R−243fa含有組成物1:R−243faが99.9モル%、R−243fbが0.1モル%
R−243fa含有組成物2:R−243faが94.0モル%、R−243fbが5.9モル%、その他の成分が0.1モル%
R−243fa含有組成物3:R−243faが84.7モル%、R−243fbが15.3モル%
以下の実施例1、2においてはR−243fa含有組成物1を用いた。比較例1においてはR−243fa含有組成物2を用いた。比較例2においてはR−243fa含有組成物3を用いた。
(実施例1)
<R−1233zd(E体)の合成:R−243fa含有組成物(R−243fbが0.1モル%)のアルカリ水溶液と相間移動触媒中での脱塩化水素反応>
ハステロイ製10Lオートクレーブに、テトラn−ブチルアンモニウムクロリド(TBAC)19.3gと、製造例3で得られたR−243fa含有組成物1(R−243faが99.9モル%、R−243fbが0.1モル%)3861.9g(23.1モル)とを加えた後、内温を5〜10℃に保ちながら20質量%水酸化ナトリウム水溶液6907.7g(NaOH 34.7モル)を投入した。窒素で気相部を置換後、内温を25℃まで上昇させ2時間攪拌し、更に内温を40℃まで上昇させて6時間攪拌した。内温を5℃に冷却させた後2時間静置し、反応器下部より有機層、水層の順番で回収した。有機層回収量は2913.1g、水層回収量は7832.4gであった。有機層をガスクロマトグラフィ(GC)により組成を分析した結果及びその他反応成績を表1に示す。
(実施例2)
<R−1233zd(E体)の合成:R−243fa含有組成物(R−243fbが0.1モル%)のアルカリアルコール溶液中での脱塩化水素反応>
ガラス製1Lオートクレーブに、水酸化ナトリウム116.8g(2.9モル)、エタノール(純正化学Lot.2012K2003)270.5g、並びに、製造例3で得られたR−243fa含有組成物1(R−243faが99.9モル%、R−243fbが0.1モル%)349.5g(2.1モル)を加えた。内温を45℃まで上昇させ9時間攪拌した後、気相部バルブを開放しドライアイスで冷却したSUS316製シリンダーに揮発成分534.8gを回収した。揮発成分回収終了後、内温を室温まで冷却し蒸留水525.0gを投入し24時間攪拌した。攪拌完了後反応器を開放し水層690.3g回収した。水相中からの有機層の分離は確認されなかった。揮発成分をガスクロマトグラフィ(GC)により組成を分析した結果及びその他反応成績を表1に示す。
(比較例1)
<R−1233zd(E体)の合成:R−243fa含有組成物(R−243fbが5.9モル%)のアルカリ水溶液と相間移動触媒中での脱塩化水素反応>
ハステロイ製10Lオートクレーブに、テトラブチルアンモニウムクロリド(TBAC)19.3gと、製造例3で得られたR−243fa含有組成物2(R−243faが94.0モル%、R−243fbが5.9モル%、その他の成分が0.1モル%)3861.9g(23.1モル)とを加えた後、内温を5〜10℃に保ちながら20質量%水酸化ナトリウム水溶液6907.7g(NaOH 34.7モル)を投入した。窒素で気相部を置換後、内温を25℃まで上昇させ2時間攪拌し、更に内温を40℃まで上昇させて8時間攪拌した。内温を5℃に冷却させた後2時間静置し、反応器下部より有機層、水層の順番で回収した。有機層回収量は2835.4g、水層回収量は7723.7gであった。有機層をガスクロマトグラフィ(GC)により組成を分析した結果及びその他反応成績を表1に示す。
(比較例2)
<R−1233zd(E体)の合成:R−243fa含有組成物(R−243fbが15.3モル%)のアルカリアルコール溶液中での脱塩化水素反応>
200mLのSUS316製オートクレーブに水酸化ナトリウム16.7g(0.42モル)、エタノール(純正化学Lot.2012K2003)38.8g、並びに、製造例3で得られたR−243fa含有組成物3(R−243faが84.7モル%、R−243fbが15.3モル%)50.0g(0.30モル)を加えた。内温を45℃まで上昇させ6時間攪拌した後、気相部バルブを開放しドライアイスで冷却したSUS316製シリンダーに揮発成分77.0gを回収した。揮発成分回収終了後、内温を室温まで冷却し蒸留水75.3gを投入し1時間攪拌した。攪拌完了後反応器を開放し黄色水溶液97.0g回収した。水相中からの有機層の分離は確認されなかった。揮発成分をガスクロマトグラフィ(GC)により組成を分析した結果及びその他反応成績を表1に示す。
Figure 0006245259
表1中、「R−243fa転化率(%)」、「R−1233zd(E体)選択率(%)」、及び「R−1233zd(E体)中のR−1233ze(E or Z):異性体A含有率(%)」は、以下の式で求められる。
なお、表1及び下記における「Et」は、「エチル基」を表す。
〔R−243fa転化率(%)(X)〕
X=100×(Xa−Xb)/Xa
Xa:原料中のR−243fa量(モル%)
Xb:反応後のR−243fa量(モル%)
〔R−1233zd(E体)選択率(%)(Y)〕
Y=100×Ya/(Ya+Yb+Yc+Yd+Ye)
Ya:反応後のR−1233zd(E体)含有割合(モル%)
Yb:反応後のR−1233zd(Z体)含有割合(モル%)
Yc:反応後の3,3,3−トリフルオロプロピン含有割合(モル%)
Yd:CFCH=CHOEt(E)含有割合(モル%)
Ye:CFCH=CHOEt(Z)含有割合(モル%)
〔R−1233zd(E体)中のR−1233ze(EorZ):異性体A含有率(%)(Z)〕
Z=100×Za/(Za+Zb)
Za:反応後のR−1233ze(EorZ):異性体A含有割合(モル%)
Zb:反応後のR−1233zd(E体)含有割合(モル%)
(製造例4)
比較例1を2回実施し、得られた組成物を混合することで以下のR−1233zd(E体)含有組成物1を5564g調製した。
R−1233zd(E体)含有組成物1:R−1233zd(E体)が86.0モル%、R−1233zd(Z体)が6.4モル%、3,3,3−トリフルオロプロピンが1.0モル%、R−243faが3.8モル%、R−1233ze(EorZ体):異性体Aが2.2モル%、R−1233ze(EorZ体):異性体Bが0.4モル%、R−1233zcが0.3モル%
(実施例3)
<実施例1で合成したR−1233zd(E体)を含む有機層の蒸留精製>
加熱可能な5LのSUS製窯、還流ライン、還流タイマー、多管式冷却コンデンサー、窒素ガスライン、背圧弁、及びドライアイス冷却した低沸点物質回収トラップを備えた径2.7cm×高さ300cm(充填物高さ250cm)のSUS製蒸留塔にヘリパックNo.3(竹中金鋼株式会社製)を充填し(段数測定値30段)、これを用いて蒸留を行った。実施例1で得られた有機層(R−1233zd(E体)が90.0モル%、R−1233zd(Z体)が6.4モル%、3,3,3−トリフルオロプロピンが1.6モル%、R−243faが1.9モル%、その他の成分が0.1モル%)のうち2900gを蒸留装置に仕込み、還流タイマーにより還流時間/留出時間の比を150/1〜300/1に調整し、背圧弁を調整しながら窒素で0.2MPaに加圧下蒸留を行った。結果、R−1233zd(E体)が99.0モル%超の組成物が2364g得られた。また、窯残分として218gの組成物を回収した。本実施例の蒸留挙動を図1に、窯残分の組成を表2に示す。
(比較例3)
<比較例1で合成したR−1233zd(E体)を含む有機層の蒸留精製>
実施例3と同一の蒸留装置を用いて蒸留を行った。
製造例4で得られたR−1233zd(E体)含有組成物1(R−1233zd(E体)が86.0モル%、R−1233zd(Z体)が6.4モル%、3,3,3−トリフルオロプロピンが1.0モル%、R−243faが3.8モル%、R−1233ze(EorZ体):異性体Aが2.2モル%、R−1233ze(EorZ体):異性体Bが0.4モル%、R−1233zcが0.3モル%)5564gを蒸留装置に仕込み、還流タイマーにより還流時間/留出時間の比を300/1〜600/1に調整し、背圧弁を調整しながら窒素で0.2MPaに加圧下蒸留を行った。結果、R−1233zd(E体)が99.0モル%超の組成物は得られず、R−1233zd(E体)とR−1233ze(EorZ体):異性体Aの混合組成物として得られた。混合組成物(R−1233zd(E体)+R−1233ze(EorZ体):異性体Aが99.0モル%超)の収量は3630gであり、その組成はR−1233zd(E体)が98.3モル%、R−1233ze(EorZ体):異性体Aが1.7モル%であった。また、窯残分として559gの組成物を回収した。本比較例の蒸留挙動を図2に、窯残分の組成を表2に示す。
Figure 0006245259
本発明のR−1233zd(E体)の製造方法は、簡便な方法により、高選択的にかつ高純度のR−1233zd(E体)が得られることから、高純度のR−1233zd(E体)の製造に好適に用いることができる。
なお、2013年4月25日に出願された日本特許出願2013−092488号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (12)

  1. 1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン及び1,3−ジクロロ−1,3,3−トリフルオロプロパンを含有する第1の組成物を精製して、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン及び1,3−ジクロロ−1,3,3−トリフルオロプロパンの合計量に対して1,3−ジクロロ−1,3,3−トリフルオロプロパンの含有量が5モル%以下の第2の組成物とし、
    次いで、第2の組成物中の1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンを脱塩化水素反応させて、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを得ることを特徴とする(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  2. 第2の組成物における、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン及び1,3−ジクロロ−1,3,3−トリフルオロプロパンの合計量に対する1,3−ジクロロ−1,3,3−トリフルオロプロパンの含有量が1モル%以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 第1の組成物の精製を蒸留により行う、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 脱塩化水素反応を、第2の組成物と金属水酸化物溶液とを接触させることにより行う、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 金属水酸化物溶液が金属水酸化物水溶液である、請求項4に記載の製造方法。
  6. 金属水酸化物がアルカリ金属水酸化物である、請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 脱塩化水素反応を相間移動触媒存在下で行う、請求項4から6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 相間移動触媒が第4級アンモニウム塩である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 1,1−ジフルオロエチレンとジクロロフルオロメタンとを反応させて第1の組成物を得る、請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 塩化アルミニウム、変性塩化ジルコニウム及びルイス酸触媒から選ばれる触媒の存在下に1,1−ジフルオロエチレンとジクロロフルオロメタンとを反応させる、請求項9に記載の製造方法。
  11. ペンタハロゲノプロパンとフッ化水素とを反応させて第1の組成物を得る、請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 脱塩化水素反応により得られた組成物を精製する、請求項1から11のいずれか一項に記載の製造方法。
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