本開示は、回転体をブレーキングするための回転摩擦ブレーキに関し、より詳細には、ブレーキング力が回転体の角加速度によって調整される回転摩擦ブレーキに関する。本開示は、さらに、そのような回転摩擦ブレーキを備えるフィッシングリールに関する。
回転摩擦ブレーキは、当技術分野でよく知られている。そのようなブレーキの例は、ディスクブレーキ、ドラムブレーキなどである。これらは、すべて、これらが何らかの方法で、回転している部材の表面のうちの1つの上の1つまたは複数の制動部材からの圧力に回転体をさらすという共通点を有しており、これらの表面は、たとえば、回転体の包まれた表面(enveloped surface)の内側、回転体の包まれた表面の外側、または、回転体の平面側にある。
ほとんどの回転式摩擦ブレーキは、回転体のパーツ自体ではなく、たとえば、車または列車の制動システムなどのシステムによって動作される。したがって、これらの種類の回転摩擦ブレーキの中の制動力は、回転体自体の上の移動によって調整されることとはならない。また、自動的な回転摩擦ブレーキが存在しており、その制動力は、回転している部材の挙動に依存する。そのようなブレーキの例は、遠心ブレーキである。これらは、典型的に、回転体に接続されている複数の制動アームから構成されており、前記複数の制動アームが、軸線に沿って、回転体に対して移動され得るようになっており、これは、回転している部材の角速度が増加するにつれて、制動アームの重心が半径方向外向きに移動することを可能にする。したがって、これらの種類のブレーキの制動力は、回転している部材の角速度に依存する。
いくつかの用途では、角速度の変化率に基づいて制動作用を調整することが有益である可能性がある。状況に応じて、制動作用は、角速度のプラスの変化率、すなわち、(プラスの)角加速度に関して、または、角速度のマイナスの変化率、すなわち、角減速度とも称されるマイナスの角加速度に関して、起こることが可能である。そのようなブレーキのいくつかの潜在的な利益が存在している。利点は、それが、高い角速度が要求される用途に関して使用され得ることである。そのような用途では、遠心ブレーキは、回転速度をかなり限定する可能性があるので、それほど適切ではない。
これが問題である用途の典型的な例は、たとえばケーブルドラム、水ホース、大型のペーパーロール、および縫糸ロールなどの、システムである。これらのシステムは、典型的に、複数の回転でスプールの上に巻かれる製品(たとえば、ケーブル、ホース、紙、または糸)を含む。
ブレーキを作動させるために角速度のプラスの変化率が使用され得る用途は、エレベータの上のトロリーシステムの中にある。エレベータがあまりに速く下向きに加速し始める故障の場合、プラスの角加速度によって作動される角度ブレーキが、活性化することを許容され得、したがって、危険な速度に到達する前にすでにエレベータの下向きの運動を低減させるかまたはさらには停止させる。
ブレーキを作動させるために角速度のマイナスの変化率が使用され得る用途は、フィッシングリールのためのものである。この用途は、スプールから大量の製品を迅速に解放する必要性があり、これが、製品がスプールから引っ張られるときに、スプールのかなりのプラスの角加速度をもたらす、システムの典型的な例である。スプールのプラスの角加速度の局面は、製品にかかる引っ張り力がゼロになるとすぐに終了することになる。残念なことには、スプールの慣性は、巻き戻しを継続するように作用することになり、スプールの上に依然として含有されている製品が、それ自体で、スプールの中で、および、その付近の他の機械的なパーツの中で、もつれるというかなりのリスクをもたらす。
フィッシングリールは、フレームと、フレームの中に回転可能に装着されているラインスプールとを備える。キャスティングの間のスプールが、ラインが同じレートで繰り出されることができないが、その代わりに、いわゆるバーズネスト(birds nest)(バックラッシュとも呼ばれる)を形成するような高い速度で回転することを防止するために、フィッシングリールは、回転制動システムを装備していることが多く、回転制動システムは、通常、たとえば、1つまたは複数の摩擦ブレーキ(たとえば、遠心ブレーキ、スプールテンションブレーキなど)および磁気ブレーキなどの、異なる種類の回転ブレーキの組み合わせを備える。キャストの間に、ラインスプールの回転速度は、プラスの角加速度の比較的に短い初期の局面の間に、最大速度まで急速に増加し、その後に、マイナスの角加速度(減速度)のより長い局面の間に減少する。
先行技術のほとんどの回転摩擦ブレーキ、たとえば、遠心ブレーキおよび磁気ブレーキなどは、キャストの間に即座に作動され、したがって、プラスの角加速度の局面の間に開始する制動作用を作り出す。しかし、この局面の間に、ラインの跳ね上がり(line rise)の無視することができる程度のリスクだけが存在する。その理由は、ラインスプールを「引っ張る」のは、ラインであるか、または、より正確には、ラインに取り付けられているルアーであるからである。この理由のために、ラインスプールは、この局面の間に制動を受ける必要はない。プラスの角加速度の局面の間にラインスプールを制動することは、長いキャストを行う可能性を低減させる。しかし、ルアーおよびラインがもはやラインスプールを「引っ張らない」ときには、すなわち、マイナスの角加速度の局面の間に、ラインの跳ね上がりを防止するためにラインスプールを制動することが必要である。
スウェーデン特許SE506580(1998年1月12日にAbu ABに付与された)は、リールのマイナスの角加速度の局面の間だけ制動することを目指す、フィッシングリールのためのブレーキシステムを開示している。これは、複数の制動アームを使用することによって実現されており、それぞれのアームは、スプールのプラスの角加速度の間に、非制動位置にあるように配置されており、それぞれの制動アームは、スプールのマイナスの角加速度の間に、制動位置へ素早く動くように配置されている。
SE506580に開示されている発明に伴う特定の問題は、スプールのプラスの加速度のすべての局面の間に、制動アームが非活性化位置に位置決めされており、スプールがその最大速度に到達すると、制動アームが突然にその活性化位置へと素早く動き、制動力がスプール角速度に対してプラスの依存性を有するので、ドラムの極めて大幅な制動を開始させることである。したがって、制動作用は、スプールのプラスの角加速度局面とマイナスの角加速度局面との間の移行において滑らかでないことになり、低減されたキャスト長さ、および、望ましくないユーザ体験をもたらす。
本開示の目的は、当技術分野における上記に特定された欠点および不利益の1つまたは複数を、単独で、または、任意の組み合わせで、緩和し、軽減し、または排除することであり、かつ、少なくとも上述の問題を解決することである。さらなる目的は、回転体のための回転摩擦ブレーキを提供することであり、前記回転摩擦ブレーキは、前記回転体の角加速度によって調整される。
回転体の角加速度によって、前記回転体の角速度の変化率を意味しており、前記変化率は、プラスまたはマイナスのいずれかである。したがって、角減速度またはマイナスの角加速度と称されることも多い、角速度のマイナスの変化率も、角加速度という用語によってカバーされるべきであることが理解される。
第1の態様によれば、角速度の変化率によって調整される回転摩擦ブレーキであって、第1の本体部と、第1の本体部に回転可能に取り付けられている第2の本体部であって、第2の本体部の回転中心軸線周りに回転するように配置されている、第2の本体部と、枢動点において第2の本体部に回転可能に取り付けられている少なくとも1つの制動アームと、を備え、枢動点は、半径方向の軸線に沿って回転中心軸線に対して偏心してオフセットされており、少なくとも1つの制動アームのそれぞれは、制動部材を備え、制動部材は、第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されており、少なくとも1つの制動アームは、質量中心を有しており、質量中心は、制動アーム軸線に沿って設置されており、制動アーム軸線は、枢動点に交差し、垂直軸線に対して角度αを形成しており、垂直軸線は、枢動点を通る半径方向の軸線に対して垂直に定義されており、質量中心は、枢動点から、枢動点から回転中心軸線への距離よりも長い距離に設置されており、制動部材は、αの値にわたって、第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されており、αは、第1の角度α1よりも大きく、および/または、第2の角度α2よりも小さく、第1の角度α1は、第2の角度α2よりも大きい、回転摩擦ブレーキによって、これらのおよび他の目的が完全にまたは少なくとも部分的に実現される。
この設計の重要な特徴は、少なくとも1つの制動アームの枢動点および質量中心が、枢動点と回転中心軸線との間の距離を超える距離に互いに位置することである。プラスの角加速度の例を考察すると、この特徴の効果は、第2の本体部のプラスの角加速度の間に、少なくとも1つの制動アームが、枢動点においてモーメントを受けることになり、このモーメントは、少なくとも1つの制動アームを少なくとも1つのストップ部材と接触させることができることである。重要な特徴の別の効果は、少なくとも1つの制動アームの質量中心に作用する正味の遠心力が、枢動点から離れる方に方向付けられた成分を有することになり、したがって、回転している第2の本体部のプラスの角加速度からマイナスの角加速度への移行の間に、回転している部材に対する少なくとも1つの制動アームの相対的位置をバランスさせる助けとなることである。本開示の重要な特徴を備えた少なくとも1つの制動アームが第1の本体部の一部と物理的な接触状態になることができるように配置されている場合に、回転摩擦ブレーキが現実化され得、回転摩擦ブレーキは、回転している第2の本体部のプラスの角加速度局面の少なくとも一部の間に非活性状態になっており、第2の本体部のマイナスの角加速度局面の少なくとも一部の間に活性状態になっており、非活性状態と活性状態との間の移行において制動作用を徐々に導入する。したがって、重要な特徴は、少なくとも1つの制動アームの滑らかな移動を提供することが可能であり、たとえば、SE506580に開示されている制動アームのタイプなどの、先行技術の典型的な制動アームの移動とは対照的であり、SE506580では、1つまたは複数の制動アームが、枢動点から、枢動点と回転中心軸線との間の距離よりも小さい距離に位置決めされている質量中心を有している。
以上に考察されている例は、マイナスの角加速度によって作動されるブレーキを参照していたが、重要な特徴は、プラスの角加速度によって作動されるように配置されている回転摩擦ブレーキに関して等しく有効であることが理解されるべきである。実際に、第1の回転方向に回転しているときにマイナスの角加速度によって作動されるように配置されている回転摩擦ブレーキの実施形態は、第2の本体部が第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転される場合には、プラスの角加速度によって作動されることになる。これは、マイナスの角加速度におけるブレーキの作動を必要とする用途を意図している同じブレーキが、プラスの角加速度におけるブレーキの作動を必要とする別の用途に関しても使用され得ることを暗示している。これは、たとえば、回転している第2の本体部の反対側にブレーキを装着することによって、したがって、それが作動される方式を逆にすることによって、現実化され得る。
そのうえ、回転摩擦ブレーキの中に2つ以上の制動アームが存在していてもよいことが理解される。したがって、2つ以上の制動部材、および、2つ以上の枢動点が存在していてもよい。典型的に、それぞれの制動アームは、それ自体のそれぞれの枢動点において、第2の本体部に接続されている。しかし、2つ以上の制動アームが、同じ枢動点において、第2の本体部に接続されていてもよい。同様に、制動アームは、1つだけの制動部材を有していてもよい。代替的に、制動アームは、2つ以上の制動部材を有していてもよい。
いくつかの実施形態によれば、回転摩擦ブレーキは、少なくとも1つのストップ部材をさらに備え、少なくとも1つのストップ部材のそれぞれは、少なくとも1つの制動アームのそれぞれの移動を限定するように配置されており、角度αが、第1の角度α1よりも小さい最大角度、または、第2の角度α2よりも大きい最小角度に限定されるようになっており、したがって、第2の本体部に対する少なくとも1つの制動アームの移動を限定する。少なくとも1つのストップ部材は、第2の本体部の特定の基準回転方向に関して、第2の本体部のプラスの角加速度またはマイナスの角加速度のいずれかによって作動されるような回転摩擦ブレーキを設計することを可能にする。これは、特定の目的のためにブレーキを設計することを可能にするので、有利である可能性がある。
少なくとも1つのストップ部材が回転摩擦ブレーキのすべての実施形態に必要であるわけではないことを強調することが重要である。回転摩擦ブレーキは、プラスの角加速度およびマイナスの角加速度に関してブレーキを作動させることを可能にするように設計され得る。そのようなブレーキは、たとえば、ラインスプールに関して有用である可能性があり、ラインスプールに関しては、バーズネストを形成することを回避するために、ラインスプールのマイナスの加速度の間に制動が作動されることを依然として可能にしながら、最大プラスの加速度が限定されるべきである。開示されている回転摩擦ブレーキは、プラスの加速度およびマイナスの加速度の両方において同じ絶対的な値の角加速度によって制動力が作動される実施形態に限定されないことが理解される。いくつかの実施形態に関して、マイナスの角加速度に関してよりも、プラスの角加速度に関して、より強力な制動力を可能にすることが有益である可能性があり、または、その逆も同様である。
したがって、角速度の変化率によって調整される回転摩擦ブレーキが開示されている。回転摩擦ブレーキは、第1の本体部と、第1の本体部に回転可能に取り付けられている第2の本体部とを備え、第2の本体部は、第2の本体部の回転中心軸線周りに回転するように配置されている。回転摩擦ブレーキは、枢動点において第2の本体部に回転可能に取り付けられている少なくとも1つの制動アームをさらに備える。枢動点は、半径方向の軸線に沿って回転中心軸線に対して偏心してオフセットされている。少なくとも1つの制動アームは、制動部材を備え、制動部材は、第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されている。少なくとも1つの制動アームは、質量中心を有しており、質量中心は、制動アーム軸線に沿って設置されており、制動アーム軸線は、枢動点に交差し、垂直軸線に対して角度αを形成している。垂直軸線は、枢動点を通る半径方向の軸線に対して垂直に定義されている。質量中心は、枢動点から、枢動点から回転中心軸線への距離よりも長い距離に設置されている。制動部材は、第1の角度α1よりも大きいαの値にわたって、第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されている。回転摩擦ブレーキは、少なくとも1つのストップ部材をさらに備え、少なくとも1つのストップ部材は、αが第2の角度α2よりも小さくなることを防止するように配置されており、したがって、第2の本体部に対する少なくとも1つの制動アームの移動を限定する。
いくつかの実施形態によれば、制動部材は、弾性的であるか、または、復元力を提供し、制動アーム軸線が、第1の角度α1よりも大きく、および/または、第2の角度α2よりも小さい、角度αをとることを可能にする。これは、回転摩擦ブレーキが、角度αが第1の角度α1を超える場合に関して、角度αの増加とともに、または、角度αが第2の角度α2を下回る場合に関して、角度αの減少によって、摩擦を、ひいては制動力を、徐々に増加させることを可能にすることができることを暗示している。
これらの実施形態の利点は、これが、回転している第2の本体部に対する少なくとも1つの制動アームの移動に対して、さらなる制御を追加し、したがって、制動作用に対してもさらなる制御を追加することである。少なくとも1つの制動アームの移動のさらなる制御は、回転している第2の本体部の基準系において、枢動点周りに、少なくとも1つの制動アームのモーメントを生じさせる摩擦力からの結果であり、このモーメントは、遠心力から生じる少なくとも1つの制動アームのモーメントに対して反対側または同じ方向のいずれかに方向付けられている。したがって、摩擦に起因して起こるモーメントは、制動作用を減少または増加させようとすることになる。制動作用の減少の場合、モーメントの減少が起こることになり、したがって、システムが自己バランスされることを可能にする。可撓性の材料を使用する設計は、第1の角度α1よりも大きい角度αの範囲において、または、代替的にもしくは追加的に、第2の角度α2よりも小さい角度αの範囲において、このバランスの利用を促進させる。制動部材の弾性特性/復元特性を慎重に選ぶことによって、制動力がαの関数として調整され得る。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの制動アームは、可撓性の材料を含み、少なくとも1つの制動アームは、角度αが第1の角度α1を超えるように、または、角度αが第2の角度α2を下回るように、曲がることが許容されるようになっている。
いくつかの実施形態によれば、第1の本体部は、ドラムであり、制動部材は、ドラムの周囲壁部の内側部分に摩擦によって係合するように配置されている。
いくつかの実施形態によれば、制動部材の一部の形状は、枢動点と制動部材の外周部との間の距離が角度γの増加とともに増加するようになっており、距離は、半径方向の軸線に対して角度γをとる距離軸線に沿って定義され、制動部材の一部の形状は、制動部材が圧縮されているときに、制動部材と第1の本体部の一部との間の接触面積が徐々に増加することを可能にする。
この形状は、有利である可能性がある。その理由は、それが、制動部材の増加する圧縮に関して、制動部材と第1の本体部の一部との間の接触面積が増加することを可能にし、したがって、制動作用に影響を与えるからである。制動部材の形状を慎重に選ぶことによって、制動力がαの関数として調整され得る。
制動部材は、異なるようにして形状決めされ得る。たとえば、制動部材は、枢動点に近い位置において、第1の本体部と接触するように形状決めされ得、それによって、接触面積が、圧縮の増加とともに外向きに増加し、接触面積が、枢動点からより遠くに離れているエリアをカバーするようになっている。代替的に、制動部材は、枢動点から所定の距離にある位置において第1の本体部と接触するように形状決めされ得、それによって、接触面積は、圧縮の増加とともに内向きに増加し、接触面積が、枢動点のより近くのエリアをカバーするようになっている。
いくつかの実施形態によれば、制動部材は、2つ以上の部分を含み、2つ以上の部分のそれぞれは、その独自のセットの材料特性を有している。2つ以上の部分は、異なる材料特性を有する異なる材料を含むことが可能である。代替的に、一部分は、たとえば、積層された構成で、いくつかの材料を含むことが可能である。2つ以上の部分の使用は、利点である可能性がある。その理由は、それが、制動部材が圧縮されるときの制動アームの位置の関数として、制動力を調整する自由度をさらに増加させるからである。
角度γは、枢動点に対する制動部材の場所に応じて、反時計回り方向または時計回り方向のいずれかに定義され得ることが理解される。そのうえ、制動アームの上に2つ以上の制動部材が存在していてもよいことが理解される。たとえば、参照方向に沿った角度位置の観点から表現されると、枢動点の角度位置の後に位置する角度位置において、第1の本体部の一部に係合するように位置する、1つの制動部材と、枢動点の角度位置よりも前に位置する角度位置において、第1の本体部のさらなる一部に係合するように位置する、さらなる制動部材とが、存在していてもよい。
いくつかの実施形態によれば、制動部材の一部の形状は、角度α<α1のときに、枢動点と制動部材の外周部との間の距離が角度γの増加とともに増加するようになっている。ここで、距離は、半径方向の軸線に対して角度γをとる距離軸線に沿って定義される。制動部材の一部の形状は、範囲α>α1に関して、制動部材が圧縮されているときに、角度αの増加の関数として、制動部材と第1の本体部の一部との間の接触面積の漸増を可能にする。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの制動アームの質量中心は、平面の一方の側に位置する。平面は、半径方向の軸線に直交しており、回転中心軸線に交差している。少なくとも1つの制動アームの質量中心は、枢動点を含有しない平面の側に位置する。
これは有利である。その理由は、それが、少なくとも1つの制動アームに作用する遠心力が支配的になり過ぎることが許容されない、第2の本体部に対する位置に、少なくとも1つの制動アームを維持することを可能にするからである。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの制動アームの質量中心は、円筒形状のボリュームの中に位置する。円筒形状のボリュームは、回転中心軸線と同軸になっており、かつ、回転中心軸線に直交する円形断面積を有している。そのうえ、円形断面積の半径は、回転中心軸線と枢動点との間の距離に等しい。
これは有利である。その理由は、それが、少なくとも1つの制動アームに作用する遠心力が支配的になり過ぎることが許容されない、第2の本体部に対する位置に、少なくとも1つの制動アームを維持することを可能にするからである。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの制動アームは、少なくとも1つの制動アームの平均密度よりも高い密度を有する材料から作製された部分を備える。これは、少なくとも1つの制動アームの質量中心が少なくとも1つの制動アームの部分の中にまたはこの部分の近くに位置決めされることを可能にする。
いくつかの実施形態によれば、回転摩擦ブレーキは、少なくとも1つの防止部材をさらに備え、少なくとも1つの防止部材は、調節可能となるように配置されており、角度αが、角度α1よりも小さい最大角度、または、角度α2よりも大きい最小角度に限定されることを可能にし、少なくとも1つの防止部材のそれぞれが、制動部材のそれぞれが第1の本体部に摩擦によって係合することを防止するようになっている。防止部材は、有利である可能性がある。その理由は、それが、回転摩擦ブレーキを手動で無効にすることを可能にするからである。これは、たとえば、参照方向とは反対の回転方向に第2の本体部を回転させるときに、有益である可能性がある。
少なくとも1つのストップ部材および少なくとも1つの防止部材は、同様の技術的効果に関連付けられ得、すなわち、少なくとも1つの制動アームを角度αの範囲に限定し、角度αの範囲内において、少なくとも1つの制動アームは、第1の本体部と接触することを防止され、したがって、制動作用を完全に無効にすることが理解されるべきである。
いくつかの実施形態に関して、少なくとも1つのストップ部材は、固定されており、かつ、典型的に、第2の本体部が参照方向に回転するように動作されるときに、ブレーキがプラスの角加速度またはマイナスの角加速度によって作動されるかどうかを決定する。そのような実施形態に関して、少なくとも1つの防止部材は、典型的に移動可能であり、ブレーキを手動で無効にするために使用される。しかし、代替的な実施形態では、また、少なくとも1つのストップ部材は調節可能であり得る。そのような実施形態は、第2の本体部の特定の回転方向に関して、プラスの角加速度によって作動されることとマイナスの角加速度によって作動されることとの間で、回転摩擦ブレーキを再構成することを可能にすることができる。これは、少なくとも1つのストップ部材が、ブレーキの再構成の後に、その代わりに少なくとも1つの防止部材として作用することが可能であり、その逆もまた同様であることを暗示している。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの制動アームに対するこの部分の位置は調節可能であり、少なくとも1つの制動アームに対する質量中心の位置を変化させることを可能にする。
いくつかの実施形態によれば、第2の本体部は、2つの制動アームを備え、2つの制動アームのうちの第1の制動アームは、枢動点において、第2の本体部に回転可能に取り付けられており、2つの制動アームのうちの第2の制動アームは、第2の枢動点において、第2の本体部に回転可能に取り付けられている。枢動点および第2の枢動点は、回転中心軸線のいずれかの側において、半径方向の軸線に沿って位置し、かつ、第2の枢動点と回転中心軸線との間の距離と同じ、枢動点と回転中心軸線との間の距離になっている。これは有利である可能性がある。その理由は、第2の本体部がバランスされることを保証し、高い角速度においても滑らかな回転を可能にするからである。
いくつかの実施形態によれば、第2の本体部は、異なる特性を有する2つ以上の制動アームを備え、2つ以上の制動アームが、第2の本体部の角速度の変化率に異なって反応するように配置されるようになっている。これは、利点である可能性がある。その理由は、それが、異なる加速度領域に関して回転ブレーキの制動作用を調整することを可能にするからである。例として、回転ブレーキは、2つの制動アームを備えることが可能である。2つの制動アームの第1の制動アームは、第2の本体部の相対的に低い角加速度で反応するように配置され得、一方、2つの制動アームの第2の制動アームは、第2の本体部のより高い角加速度で反応するように配置され得る。この例の回転ブレーキは、これによって、2つの異なる角加速度の範囲に関して2つの別個の性質を示す制動力を提供することが可能である。
そのような回転ブレーキが利点となる可能性がある1つの用途は、フィッシングリールに関するものである。キャスティングの間に、第1の局面は、ベイトが空中に前方へキャストされる時間期間として定義され得る。この局面の間に、回転ブレーキの制動作用は、バックラッシュを回避するのに十分に高くなければならないが、同時に、キャストの長さを限定することになるので高過ぎてはならない。したがって、そのようなフィッシングリールの中の回転ブレーキは、第1の局面の要件を満たすように配置された1つまたは複数の第1の制動アームを備えることが可能である。これらの1つまたは複数の第1の制動アームは、第2の本体部の第1のマイナスの角加速度に応答するように配置され得る。第2の局面は、ベイトが水に衝突した時間からそれ以降に定義され得る。この局面の間に、ベイトは、水表面との接触に起因して、かなり激しく減速する。したがって、バックラッシュを回避するために、回転摩擦ブレーキが、第1の局面においてよりも第2の局面において、より高い制動力を提供することになれば、有益である可能性がある。いくつかの実施形態によれば、第2の局面のより高い制動力は、第1の局面の間にすでに作動された同じ1つまたは複数の第1の制動アームによって実現され得、増加した制動力は、第2の本体部の角速度の変化率によって達成される。しかし、代替的な実施形態に関して、回転ブレーキは、1つまたは複数の第2の制動アームを備えることが可能であり、1つまたは複数の第2の制動アームは、第1の局面の間に、非制動位置に存在するように配置されている。1つまたは複数の第2の制動アームは、第2の本体部の第2のマイナスの角加速度に応答するように配置され得、第2のマイナスの角加速度は、第1のマイナスの角加速度よりも高くなっており、したがって、より強力な制動力をスプールに提供する。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのストップ部材の位置は調節可能であり、第2の角度α2が変化されることを可能にする。これは有利である可能性がある。その理由は、それが、どちらの領域において制動が起こることになるかについて影響を及ぼすことを可能にし、領域は、プラスの角加速度の領域、または、マイナスの角加速度の領域のいずれかであるからである。
いくつかの実施形態によれば、回転摩擦ブレーキは、少なくとも1つの防止部材をさらに備え、少なくとも1つの防止部材は、調節可能となるように配置されており、角度αが角度α1よりも小さい最大角度に限定されることを可能にする。これは、ブレーキを手動で無効にすることを可能にするので、有利である可能性がある。これは、特に、その意図した回転方向の反対に第2の本体部を回転させるときに、重要である可能性がある。
いくつかの実施形態によれば、回転摩擦ブレーキは、第2の本体部の回転中心軸線周りに回転するように配置されている、さらなる本体部をさらに備え、少なくとも1つの防止部材は、さらなる本体部に固定して取り付けられており、少なくとも1つの防止部材のそれぞれは、さらなる本体部が第1の回転方向に沿って第2の本体部に関連して回転されるときに、それぞれの対応する制動アームの制動部材が第1の本体部に摩擦によって係合することを防止するように配置されている。第1の回転方向は、有利には、参照方向とは反対であることが可能であり、すなわち、第1の本体部に対する第2の本体部の回転方向とは反対であることが可能である。さらなる本体部が、参照方向とは反対の方向に第2の本体部を巻き取るために使用される巻き取りインターフェース(rewinding interface)に接続されている場合には、さらなる本体部は、一度に2つのタスクを実施することが可能である。第1のタスクは、参照方向とは反対の方向に第2の本体部を回転させるように、第2の本体部と機械的に係合することである。第2のタスクは、少なくとも1つの制動部材のそれぞれが第1の本体部に摩擦によって係合することを防止することである。したがって、第2の本体部の巻き取りのプロセスの間に、ブレーキは、自動的に無効にされることになる。
いくつかの実施形態によれば、回転摩擦ブレーキは、ロッキング機構をさらに備え、ロッキング機構は、制動部材が第1の本体部に摩擦によって係合していないときに、第2の本体部に関連して少なくとも1つの制動アームを固定するように配置されている。
いくつかの実施形態によれば、ロッキング機構は、さらなる本体部の上に配置されている少なくとも1つの第1のロッキング部材と、少なくとも1つの制動アームの上に配置されている少なくとも1つの第2のロッキング部材とを備え、少なくとも1つの第1のロッキング部材のそれぞれは、少なくとも1つの第2のロッキング部材の対応するそれぞれの上にロックするように配置されており、少なくとも1つの制動アームのそれぞれがさらなる本体部に関連してロックされ得るようになっている。
いくつかの実施形態によれば、第2の本体部は、スプールの一部であるか、スプールに固定して取り付けられているか、または、スプールと係合するように配置されており、スプールは、細長い曲げ可能な物体を含有するように配置されている。細長い曲げ可能な物体は、複数の回転でスプール周りに巻かれる。そのような曲げ可能な細長い物体を備えるシステムは、たとえば、電気ケーブル、ワイヤ、水ホース、紙、縫製用コットンなどを収容するスプールであることが可能である。
第2の態様によれば、フィッシングリールが提供され、フィッシングリールは、本開示の回転摩擦ブレーキを備え、第1の本体部は、フィッシングリールのハウジングの一部であるか、または、フィッシングリールのハウジングの一部に固定して取り付けられており、第2の本体部は、ラインスプールの一部であるか、ラインスプールに固定して取り付けられているか、または、ラインスプールと係合するように配置されている。
第3の態様によれば、角速度の変化率によって調整される回転摩擦ブレーキが提供される。回転摩擦ブレーキは、第1の本体部と、第1の本体部に回転可能に取り付けられている第2の本体部とを備え、第2の本体部は、第2の本体部の回転中心軸線周りに回転するように配置されている。回転摩擦ブレーキは、枢動点において第2の本体部に回転可能に取り付けられている少なくとも1つの制動アームをさらに備える。枢動点は、半径方向の軸線に沿って回転中心軸線に対して偏心してオフセットされている。少なくとも1つの制動アームは、制動部材を備え、制動部材は、第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されている。少なくとも1つの制動アームは、質量中心を有しており、質量中心は、制動アーム軸線に沿って設置されている。制動アーム軸線は、枢動点に交差し、垂直軸線に対して角度βを形成している。垂直軸線は、枢動点を通る半径方向の軸線に対して垂直に定義されている。質量中心は、枢動点から、枢動点から回転中心軸線への距離よりも長い距離に設置されている。制動部材は、第1の角度β1よりも小さいβの値にわたって、第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されている。回転摩擦ブレーキは、少なくとも1つのストップ部材をさらに備え、少なくとも1つのストップ部材は、βが第2の角度β2よりも大きくなることを防止するように配置されており、したがって、第2の本体部に対する少なくとも1つの制動アームの移動を限定する。
回転摩擦ブレーキのこの実施形態は、以前に説明されている実施形態と同様に機械的に働く。相違点は、単に、少なくとも1つの制動アームの形状に過ぎず、制動部材は、枢動点の他方の側で第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されており、したがって、角加速度に対する依存性が逆になる。この実施形態は有利である。その理由は、それが、たとえば、望ましくないまたは予期しないプラスの角加速度などの、プラスの角加速度の局面の間に、制動を開始させることを可能にするからである。回転摩擦ブレーキ500が有用である可能性のある例は、エレベータ、クレーン、スキーリフトなどの中で使用されているものなどの、さまざまなトロリーシステムの中の安全ブレーキである。
1つの例示的な実施形態によれば、制動部材は、弾性的であるか、または、復元力を提供し、制動アーム軸線が、第1の角度β1よりも小さい角度βをとることを可能にし、角度βの減少によって、摩擦を徐々に増加させる。
適用可能性のさらなる範囲が、下記に与えられる詳細な説明から明らかになる。しかし、詳細な説明および特定の例は、好適な実施形態を示しているが、図示目的のためだけに与えられているに過ぎないことが理解されるべきである。その理由は、特許請求の範囲内のさまざまな変形例および修正例が、この詳細な説明から当業者に明らかになるからである。
したがって、本発明は、説明されているデバイスの特定のコンポーネントパーツ、または、説明されている方法のステップに限定されないことが理解されるべきである。その理由は、そのようなデバイスおよび方法は変化することが可能であるからである。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態だけを説明する目的のためのものであり、限定することを意図していないことが理解されるべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲の中で使用されているように、冠詞の「a」、「an」、「the」、および「前記(said)」は、別段文脈により示されない限り、要素のうちの1つまたは複数が存在することを意味することが意図されていることが留意されなければならない。したがって、たとえば、「a unit」または「the unit」への言及は、いくつかのデバイスなどを備えることが可能である。そのうえ、「を備える/備える(comprising/including)」、「を含有する(containing)」という用語、および、同様の文言は、他の要素またはステップを除外していない。
本発明は、例として、添付の概略的な図面を参照して、より詳細に説明され、図面は、現在の好適な実施形態を示している。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ1の概略上面図である。回転摩擦ブレーキ1は、プラスの角加速度およびマイナスの角加速度によって作動される。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ100の概略上面図である。回転摩擦ブレーキ100は、第2の本体部が参照方向Rに回転するときに、マイナスの角加速度によって作動される。
図2に示されている回転摩擦ブレーキ100に関して、その非制動位置にある間の、すなわち、α<α1のときの、制動部材の詳細上面図である。
図2に示されている回転摩擦ブレーキ100に関して、その制動位置にある間の、すなわち、α>α1のときの、制動部材の詳細図である。
代替的な例示的な実施形態による制動部材の詳細上面図であり、この図は、その非制動位置にあるときの、すなわち、α<α1のときの、制動部材を可視化している。
図4aに示されている例示的な実施形態による制動部材の詳細上面図であり、この図は、その制動位置にあるときの、すなわち、α<α1のときの、制動部材を可視化している。
2つ以上の部分を含む制動部材の上面図であり、この図は、その非制動位置にあるときの、すなわち、α<α1のときの、制動部材を可視化している。
図2の回転摩擦ブレーキ100のための少なくとも1つの制動アームの一部の詳細上面図であり、どのように質量中心が少なくとも1つの制動アームに対して調節され得るかを示す図である。
α2<90°になっている、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ200の概略上面図である。
α2<90°になっている、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ200’の概略上面図である。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ300の概略上面図であり、ここでは、少なくとも1つのストップ部材が調節され得、したがって、第2の角度α2を調節することを示す図である。
回転摩擦ブレーキが2つの制動アームを備える、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ400の概略上面図である。
第2の本体部が参照方向Rに回転するときにプラスの角加速度の間に制動作用が起こる、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ500の概略上面図である。
制動アームが第1の本体部の内側シャフトに摩擦によって係合するように配置されている、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ600の概略上面図である。
制動アームが、回転中心軸線に直交する第1の本体部の表面に摩擦によって係合するように配置されている、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ700の斜視図である。制動アームが非制動位置にあるときの回転摩擦ブレーキ700を示す図である。
制動アームが、回転中心軸線に直交する第1の本体部の表面に摩擦によって係合するように配置されている、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ700の斜視図である。制動アームが制動位置にあるときの回転摩擦ブレーキ700を示す図である。
制動アームが第1の本体部の外周表面に摩擦によって係合するように配置されている、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ800の斜視図である。
フィッシングリール50が本開示による回転摩擦ブレーキを備える、本開示の例示的な実施形態によるフィッシングリール50の斜視図である。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ900の斜視図である。制動アームが非制動位置にあるときの回転摩擦ブレーキ900を示す図である。第1の本体部910の前面は、明確化のために切り開かれている。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ900の斜視図である。制動アームが制動位置にあるときの回転摩擦ブレーキ900を示す図である。第1の本体部910の前面は、明確化のために切り開かれている。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ1000の斜視図である。制動アームが非制動位置にあるときの回転摩擦ブレーキ1000を示す図である。第1の本体部1010の前面は、明確化のために切り開かれている。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ1000の斜視図である。制動アームが制動位置にあるときの回転摩擦ブレーキ1000を示す図である。第1の本体部1010の前面は、明確化のために切り開かれている。
図1は、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ1を図示している。回転摩擦ブレーキ1は、第1の本体部10および第2の本体部12を備え、第2の本体部12は、第1の本体部10に回転可能に取り付けられている。第2の本体部12は、第2の本体部12の回転中心軸線14周りに回転するように配置されている。回転摩擦ブレーキ1は、少なくとも1つの制動アーム16(この例では、1つの制動アーム)をさらに備え、少なくとも1つの制動アーム16は、枢動点18において、第2の本体部12に回転可能に取り付けられている。枢動点18は、半径方向の軸線20に沿って回転中心軸線14に対して偏心してオフセットされている。少なくとも1つの制動アーム16は、制動部材21aを備える。例では、少なくとも1つのアームは、さらなる制動部材21bをさらに備える。制動部材21a、21bは、第1の本体部10の一部に摩擦によって係合するように配置されている。そのうえ、少なくとも1つの制動アーム16は、質量中心22を有しており、質量中心22は、制動アーム軸線24に沿って設置されており、制動アーム軸線24は、枢動点18に交差し、外へ延在しており、枢動点18を通る半径方向の軸線20に対して垂直に定義される垂直軸線26に対して角度αを形成している。質量中心22は、枢動点18から、枢動点18から回転中心軸線14への距離よりも長い距離に設置されている。少なくとも1つの制動アーム16に関して質量中心22のそのような位置を実現するために、少なくとも1つの制動アーム16の一部分は、少なくとも1つの制動アーム16の平均密度よりも高い密度を有する材料から作製されている。その部分は、たとえば、金属から作製されてもよい。第2の本体部の回転制動は、制動部材21a、21bからの1つと第1の本体部10との間の摩擦接触によって起こる。第1の本体部10は、たとえば、ドラムであることが可能であり、制動部材21a、21bは、次いで、ドラムの周囲壁部の内側部分に摩擦によって係合するように配置されている。制動部材21a、21bは、αの値にわたって、第1の本体部10の一部に摩擦によって係合するように配置されており、αは、第1の角度α1よりも大きく、第2の角度α2よりも小さく、第1の角度α1は、第2の角度α2よりも大きい。
図1に示されている回転摩擦ブレーキ1は、第2の本体部12の角速度のプラスの変化率(すなわち、プラスの加速度)の局面の間に、および、第2の本体部12の角速度のマイナスの変化率(すなわち、マイナスの加速度、代替的に、減速度と称される)の局面の両方に、作動されることになる。用途に応じて、制動力は調節され得、制動力が、第2の本体部12のプラスの角加速度およびマイナスの角加速度の場合に関して異なるようになっている。これは、制動部材21a、21bを異なって形状決めすることによって行われ得る。代替的に、または追加的に、これは、たとえば、異なる材料を選ぶなど、制動部材を異なって設計することによって実現され得る。
いくつかの用途では、制動は、第2の本体部12のプラスの角加速度およびマイナスの角加速度の両方に関して、望ましくない可能性がある。そのような用途に関して、少なくとも1つの制動アーム16は、第1の本体部10と接触することが防止され得る。これは、少なくとも1つの制動アーム16の移動を角度αの特定の範囲の角度に限定することによって実現され得、制動部材21a、21bからの1つが、第1の本体部10と接触することができないようになっている。図2は、回転摩擦ブレーキ100の例を示しており、ここでは、角度区間が限定されている。図2の中の参照方向Rに沿って動作される場合に、回転摩擦ブレーキ100は、第2の本体部120のマイナスの角加速度によって作動されることになる。
図2は、本開示の実施形態による回転摩擦ブレーキ100を図示している。回転摩擦ブレーキ100は、第1の本体部110および第2の本体部112を備え、第2の本体部112は、第1の本体部110に回転可能に取り付けられている。第2の本体部112は、第2の本体部112の回転中心軸線114周りに回転するように配置されている。回転摩擦ブレーキ100は、少なくとも1つの制動アーム116(この例では、1つの制動アーム)をさらに備え、少なくとも1つの制動アーム116は、枢動点118において、第2の本体部112に回転可能に取り付けられている。枢動点118は、半径方向の軸線120に沿って回転中心軸線114に対して偏心してオフセットされている。少なくとも1つの制動アーム116は、制動部材121を備え、制動部材121は、第1の本体部110の一部分に摩擦によって係合するように配置されている。そのうえ、少なくとも1つの制動アーム116は、質量中心122を有しており、質量中心122は、制動アーム軸線124に沿って設置されており、制動アーム軸線124は、枢動点118に交差し、外へ延在しており、枢動点118を通る半径方向の軸線120に対して垂直に定義される垂直軸線126に対して角度αを形成している。質量中心122は、枢動点118から、枢動点118から回転中心軸線114への距離よりも長い距離に設置されている。少なくとも1つの制動アーム116に関して質量中心122のそのような位置を実現するために、少なくとも1つの制動アーム116の一部分は、少なくとも1つの制動アーム116の平均密度よりも高い密度を有する材料から作製されている。その部分は、たとえば、金属から作製されてもよい。第2の本体部の回転制動は、制動部材121と第1の本体部110との間の摩擦接触によって起こる。第1の本体部110は、たとえば、ドラムであることが可能であり、制動部材121は、次いで、ドラムの周囲壁部の内側部分に摩擦によって係合するように配置されている。制動部材121は、第1の角度α1よりも大きいαの値にわたって、第1の本体部110の一部に摩擦によって係合するように配置されている。少なくとも1つのストップ部材115(この例では、1つのストップ部材)が、αが第2の角度α2よりも小さくなることを防止するように配置されており、したがって、第2の本体部に対する少なくとも1つの制動アーム116の移動を限定する。ストップ部材115は、第2の本体部112の一体化されたパーツであってもよく、または、第2の本体部112に取り付けられてもよい。しかし、ストップ部材は、たとえば、中心軸線114に沿って設置されているシャフトの形態の、第1の本体部110の一部であることが可能であり、または、第1の本体部110がドラムである場合、ドラム壁部が、ストップ部材として機能することが可能である(図示せず)。ストップ部材が、第1の本体部110の一部であるか、または、第1の本体部110に取り付けられている場合には、制動アームと第1の本体部110のストップ部材との間の接触によって課される摩擦制動力を最小化することが重要である。
回転摩擦ブレーキは2つ以上の制動アームを有することが可能であることが理解されるべきである。制動アームのそれぞれは、これらが2つ以上である場合には、これらのそれぞれの枢動点、質量中心、および制動部材などを有することになる。また、ストップ部材の数は、変化することが可能である。それぞれの制動アームに関して1つのストップ部材が存在する可能性があるが、代替的に、制動アームよりも少ないストップ部材が存在することも可能である。たとえば、1つのストップ部材が、いくつかの制動アームに作用することが可能である。
回転摩擦ブレーキは、制動アーム116の平均密度よりも高い密度を有する材料を少なくとも1つの制動アーム116が含むことを要求しないことが強調される。また、特許請求されているような質量中心122の位置は、均一なまたはほぼ均一な密度を有する制動アーム116を使用して現実化され得、少なくとも1つの制動アーム116の設計は、その代わりに、質量中心122の正しい位置を保証する。そのような設計は、たとえば、少なくとも1つの制動アーム116の1つの位置において、材料のより大きいボリュームを含むことが可能であり、したがって、質量中心122が大きいボリュームの近くに位置することを保証する。
例示的な実施形態では、制動部材121は、弾性的であるか、または復元力を提供し、制動アーム軸線124が第1の角度α1よりも大きい角度αをとることを可能にし、これは、α>α1に関して角度αの増加とともに摩擦を徐々に増加させることを可能にする。
制動部材は、異なるようにして形状決めされ得る。たとえば、制動部材は、枢動点に近い位置において、第1の本体部と接触するように形状決めされ得、それによって、接触面積が、圧縮の増加とともに外向きに増加し、接触面積が、枢動点からより遠くに離れているエリアをカバーするようになっている。これは、図2に示されている回転摩擦ブレーキ100に関する場合である。図2の制動部材121の形状は、図3aを参照してさらに考察されることになり、図3aは、その非制動位置の、すなわち、α<α1のときの、制動部材121を示している。制動の間に第1の本体部110と接触状態にあるように適合されている制動部材121の一部は、角度αの値を増加させるために、制動部材121と第1の本体部110との間の接触面積を増加させるように設計された形状を有している。この形状は、少なくとも1つの制動アーム116が第1の本体部110と接触状態にないときに、すなわち、制動部材121が圧縮されていないα<α1に関して、枢動点118と制動部材121の外周部との間の距離(この距離は、半径方向の軸線120に対して角度γをとる距離軸線128に沿って定義される)が、角度γの増加とともに増加することになるように設計されている。制動が起こる少なくとも1つの制動アーム116のすべての位置に関して、すなわち、α>α1に関して、制動部材121は、さまざまな程度に、図3bに示されているように圧縮されることになる。圧縮の程度に応じて、制動部材121の形状は、接触面積を角度αとともに増加させることになる。制動は、接触面積に依存することになるが、また、制動部材121の厚さおよび特性にも依存することになる。たとえば、制動部材121が弾性材料から作製されている場合には、制動部材121の厚さが角度γとともに増加するならば好ましい可能性がある。
制動部材121による接触が行われる、第1の本体部110の部分は、枢動点118に関する位置に位置し、この位置は、枢動点118から、枢動点118の接線速度に対して概して逆の方向に位置することが、図1および図3a〜bから理解されるべきである。したがって、制動部材121は、第2の本体部112が参照方向Rに回転しているときに、枢動点118の角度位置よりも早い角度位置(すなわち、より小さい角度)において、第1の本体部110と接触することになる。そのような回転摩擦ブレーキ(回転摩擦ブレーキ100も含まれる)は、回転摩擦ブレーキの第1のカテゴリーに属し、これに関して、制動作用は、第2の本体部のマイナスの角加速度の間に実現される。代替的な実施形態では、制動部材による接触が行われる、第1の本体部の部分は、枢動点に関する位置に位置し得、この位置は、枢動点から、概して枢動点118の接線速度の方向に沿って方向付けされる方向に位置する。そのような場合では、制動部材は、第2の本体部が参照方向Rに回転しているときに、枢動点の角度位置よりも前にある角度位置(すなわち、より大きい角度)において、第1の本体部と接触することになる。そのような回転摩擦ブレーキは、回転摩擦ブレーキの第2のカテゴリーに属し、ここでは、制動作用は、第2の本体部のプラスの角加速度の間に実現される。
回転摩擦ブレーキの実施形態は、具体的には、これらのカテゴリーのいずれか一方(または、両方。図1を参照)に関して設計され得るが、第1のカテゴリーに属する特許請求の範囲の中の任意の回転摩擦ブレーキは、参照方向Rとは反対の回転方向に沿って動作される場合に、第2のカテゴリーに属するブレーキとして本質的に動作することになることが理解される。
図4aおよび図4bは、制動部材121’の代替的な形状を示しており、ここでは、制動部材121’は、枢動点118から所定の距離の位置において、第1の本体部110と接触するように形状決めされており、それによって、接触面積は、圧縮の増加とともに内向きに増加し、接触面積が、枢動点118のより近くのエリアをカバーするようになっている。
制動部材121の弾性特性は、たとえば、ゴム、プラスチック材料などの、弾性材料を使用することによって取得され得るが、また、ばねを備える制動部材121によっても実現され得る。これらのばねは、制動部材121の外周部と少なくとも1つの制動アーム116の残りの部分との間のボリュームを占めるように配置され得、ここで、ばねが圧縮されることになる。
図5は、代替的な設計の制動部材121”を示している。制動部材121”は、制動部材121と同じ形状を有しているが、2つ以上の部分121a、121b(例では、2つの部分)を含み、2つ以上の部分121a、121bのそれぞれは、その独自のセットの材料特性を有している。具体的には、例示的な実施形態では、2つ以上の部分121a、121bは、異なる材料特性を有する異なる材料を含む。
質量中心122と枢動点との間の距離、および/または、角度α2は、少なくとも1つの制動アーム116に対する質量中心122の位置を変化させることによって変化され得る。これは、スクリュー134を使用して少なくとも1つの制動アーム116の残りの部分にウェイト131を固定することによって実現される。ウェイトは、図6に示されているように、細長い孔部132に沿って移動可能である。細長い孔部132は、制動部材軸線と平行になっている必要はなく、非線形に形状決めされてもよく、したがって、質量中心122の位置を調節するときにより高い自由度を可能にする。
回転摩擦ブレーキ100の制動作用は、少なくとも1つの制動アーム116が第1の本体部110と物理的な接触状態になっているときに実現される。本明細書で開示されている実施形態を装備しているシステムの上で望ましくない制動が起こることを防止するために、少なくとも1つの制動アーム116の移動は、ユーザによる手動操作によって限定され得、したがって、ブレーキを無効にする。これは、図2に示されており、ここでは、回転摩擦ブレーキ100は、調節可能となるように配置されている少なくとも1つの防止部材136(例では、1つの防止部材)をさらに備える。少なくとも1つの防止部材136は、角度α>α1である位置、すなわち、制動が起こる位置に、少なくとも1つの制動アーム116が到達することを防止するために使用され得る。少なくとも1つの防止部材136は、第2の本体部112の一部であることが可能であり、したがって、第2の本体部112とともに回転するように配置され得る。また、これは、第1の本体部110の一部であることが可能である。後者の1つの実現は、少なくとも1つの制動アーム116を円形孔部の中の位置に拘束する、調節可能な直径を有する円形孔部を使用することであることが可能である。1つの解決策は、カメラの瞳の中で使用されているものなど、孔部を一緒に形成する複数のプレートを使用することであることになる。代替的に、少なくとも1つの防止部材136は、第1の本体部110および/または第2の本体部112に回転可能に取り付けられているさらなる本体部の一部であることが可能であり、さらなる本体部は、概して半径方向に延在する少なくとも1つのアームを装備しており、少なくとも1つのアームのそれぞれの1つは、第2の本体部112に対してさらなる本体部を回転させているときに、少なくとも1つの制動アーム116のそれぞれの1つをより小さいαに向けて押すように配置されている。さらなる本体部は、たとえば、巻き取りインターフェースに接続され得、巻き取りインターフェースによって、第2の本体部112は、参照方向Rに対して逆の回転方向に能動的に回転される。少なくとも1つの制動アーム116が、少なくとも1つの防止部材136によって角度α>α1に到達することを能動的に防止されるので、そのような巻き取りプロセスの間に、回転摩擦ブレーキ100は、ブレーキすることを許容されることとはならない。どのように防止部材を使用して少なくとも1つの制動アームの移動を限定するかについてのさらなる詳細は、本開示の以降の章において開示されることになる。
ここで、回転摩擦ブレーキの制動作用が、図2に示されている回転摩擦ブレーキ100を参照して説明される。しかし、説明は、特許請求の範囲内の他の実施形態に関して等しく有効であることになる。
回転摩擦ブレーキ100の制動作用は、回転している第2の本体部112の基準系において、少なくとも1つの制動アーム116(この例では、1つの制動アーム)に働かされる機械的な力およびモーメントを調査することによって説明され得る。機械的な力およびモーメントは、枢動点118において正味のモーメントMをもたらすことになり、正味のモーメントMは、回転している本体部112の基準系において、少なくとも1つの制動アーム116の移動の原因となる。角加速度が少なくとも1つの制動アーム116の上に慣性モーメントを導入することの結果として、制動作用は、回転している第2の本体部112の角加速度に依存することになる。しかし、制動作用は、また、少なくとも1つの制動アーム116に作用する遠心力、および、第1の本体部110と接触状態になっているときの少なくとも1つの制動アーム116のそれぞれの制動部材121に作用する摩擦力に依存する。力/モーメントの3つの異なる供給源は、回転している本体部112の基準系において、枢動点118における少なくとも1つの制動アーム116の上のモーメントのバランスを一緒に形成しており、角速度の範囲内で、および、角加速度の範囲内で、第1の本体部110に対する第2の本体部112の滑らかな回転制動を実現することを可能にする、モーメントのバランスを一緒に形成している。明確化のために、力/モーメントのこれらの供給源のそれぞれは、最初に、別々に考察されることになる。
第2の本体部112は、図1に示されている参照方向Rに回転しているときに、角速度のプラスの変化率(すなわち、プラスの角加速度)を受けるので、少なくとも1つの制動アーム116は、慣性モーメントを受けることになり、慣性モーメントは、枢動点118において、ここではM1として称されるモーメントをもたらす。回転が常に時計回りに(図1の中の方向R)開始することが仮定される場合には、第2の本体部112のプラスの角加速度は、M1を反時計回りに方向付けることになり、したがって、より小さい角度αに向けて少なくとも1つの制動アーム116を移動させようとし、一方、第2の本体部112のマイナスの角加速度は、M1を時計回りに方向付けられ、したがって、より大きい角度αに向けて少なくとも1つの制動アーム116を移動させようとする。慣性モーメントは(したがってM1も)、第2の本体部112の角加速度に依存する。
第2の本体部112が回転しているときに、少なくとも1つの制動アーム116は、そのボリュームのすべての部分において、遠心力を受けることになる。簡単にするために、遠心力が質量中心122のみに作用することを簡単化および仮定する。遠心力は、回転している物体に対して、この場合、第2の本体部112に対して、常に半径方向外向きに作用している。次いで、図1を検討すると、質量中心122に作用している遠心力が、枢動点118において、時計回りに方向付けられたモーメントM2をもたらすことになり、したがって、角度αを増加させようとすることが明らかである。質量中心122が半径方向外向きに移動するときに、すなわち、角度αが増加するときに、遠心力が(したがって、M2も)増加する。また、遠心力は、回転している本体部112の角速度に依存する。
少なくとも1つの制動アーム116が半径方向外向きに移動し、角度αが第1の角度α1に等しくなるようになっている場合には、制動部材121は、第1の本体部110と接触することになる。この接触は、制動部材121と第1の本体部110との間の摩擦力、すなわち、第1の本体部110に対して第2の本体部112を回転可能に制動することの原因となる摩擦力をもたらすことになる。しかし、回転している第2の本体部112の基準系において、摩擦力は、また、枢動点118周りに反時計回りに方向付けられたモーメントM3を生成させることによって、少なくとも1つの制動アーム116に影響を与える。このモーメントは、少なくとも1つの制動アーム116を回転させようとすることになり、これが角度αを減少させるようになっている。したがって、摩擦力から結果として生じるM3が、遠心力から結果として生じるM2とバランスするように作用することになる。M1は、第2の本体部112がプラスの角加速度またはマイナスの角加速度を有しているかに応じて、それぞれ、時計回りまたは反時計回りのいずれかに作用することになる。
制動部材121は弾性的であるか、または復元力を提供するので、第1の角度α1よりも大きい角度αの範囲が存在することになり、第2の本体部112は、制動を受けることになるが、αに応じて異なる程度に受けることになる。追加的に、制動部材121の弾性/復元力は、モーメントM3に寄与することになる。
図2に示されている回転摩擦ブレーキ100を検討し、上記に考察されているように少なくとも1つの制動アーム116に影響を与える機械的な力およびモーメントを考慮して、ここで、回転摩擦ブレーキ100の動作を考察することが可能である。参照方向Rにおいて、ゼロ速度からの第2の本体部112のプラスの角加速度の間に、少なくとも1つの制動アーム116は、慣性モーメントを受けることになり、慣性モーメントは、回転している第2の本体部112の基準系において、枢動点118においてモーメントM1をもたらす。角速度が低いときに、M2は無視することができ、枢動点118において、反時計回り方向に正味のモーメントをもたらす。したがって、少なくとも1つの制動アーム116は、角度αがα2に等しくなることになる位置に押されることになる。回転速度が増加するにつれて、少なくとも1つの制動アーム116に作用する遠心力が増加することになり、したがって、時計回りに方向付けられるモーメントM2を着実に増加させる。特定の回転速度において、M2の大きさは、M1の大きさよりも大きくなることになる。対応する時点において、回転している本体部112の基準系において、少なくとも1つの制動アーム116は、半径方向外向きに移動し始めることになり、したがって、角度αを増加させる。角度αがα1に等しくなるのに十分に遠くへ、少なくとも1つの制動アーム116が移動したときに、少なくとも1つの制動アーム116のそれぞれの1つの制動部材121が、第1の本体部110と接触することになり、第2の本体部112の回転制動の開始をもたらす。制動の間に、回転している第2の本体部112の基準系において、摩擦力は、枢動点118において、反時計回りに方向付けられたモーメントM3をもたらし、したがって、少なくとも1つの制動アーム116に作用しているモーメントM2に対抗することになる。したがって、枢動点118における正味のモーメントの大きさは低減されることになり、したがって、角度αを減少させる効果が、摩擦を低減させる。そして、これは、モーメントM3を低減させ、したがって、正味のモーメントなどを増加させる。したがって、回転摩擦ブレーキは、自己バランスする。パーツ、および、パーツが作製される材料の、詳細な分析および設計によって、本明細書で開示されている回転摩擦ブレーキは、異なるバージョンで現実化され得、それぞれが、その意図した使用に応じて、制動作用の異なる応答を提供する。
図2に図示されている回転摩擦ブレーキ100に関して、少なくとも1つの制動アーム116の形状、ならびに、少なくとも1つのストップ部材115の位置および寸法は、制動アーム軸線124が90°よりも大きい角度αを常に形成することになるように選ばれる(すなわち、α2>90°)。その代わりに、少なくとも1つの制動アーム116および/または少なくとも1つのストップ部材115が、異なって設計および/または位置する場合には、角度αが90°よりも小さくなることになる(すなわち、α2<90°)ブレーキを実現することが可能である。第2の角度α2の技術的効果は、遠心力に対して、角加速度に起因する慣性モーメントの相対的重要性を調節することである。図1の回転摩擦ブレーキ100は、遠心力に対して相対的に感度が高いことになる。その理由は、遠心力が、枢動点118周りに、αのすべての値に関して時計回りに方向付けられた、少なくとも1つの制動アーム116のモーメントM2をもたらすことになるからである。たとえば、回転摩擦ブレーキ100は、第2の本体部112の一定の回転速度で制動することになる。α2<90°の場合に、回転摩擦ブレーキは、その代わりに、枢動点118周りに、反時計回りに方向付けられた、少なくとも1つの制動アーム116のモーメントM2を生成させる遠心力をもたらすことになる。αがα2に等しい場合、第2の本体部112が一定の角速度で回転しているときに、したがって、制動していないときに、少なくとも1つの制動アーム116は、安定した位置で捕捉され得る。角度αの増加が起こるためには、マイナスの角加速度が必要とされることになり、このマイナスの角加速度は、枢動点118において、遠心力によって生成される少なくとも1つの制動アーム116の反時計回りのモーメントM2の大きさを超える大きさを有する、少なくとも1つの制動アーム116の(時計回りの)モーメントM1を生成させるのに十分に強力である。したがって、異なる挙動を有するブレーキが、単に第2の角度α2を調節することによって取得され得る。
図7は、本開示の実施形態による回転摩擦ブレーキ200を示しており、これに関して、α2<90°である。回転摩擦ブレーキ200のために、少なくとも1つのストップ部材215(例では、1つのストップ部材)が、90°未満の角度αによって定義される位置に制動アーム216が到達することを可能にするように配置されている。この実施形態では、少なくとも1つの制動アーム216(例では、1つの制動アーム)は、回転中心軸線214の位置を自由に通ることができなければならず、これは、常に実用的であるというわけではない可能性がある。図8は、本開示の実施形態による回転摩擦ブレーキ200’を示しており、ここでは、少なくとも1つのストップ部材215’(例では、1つのストップ部材)が、回転中心軸線214’と同軸に位置決めされており、少なくとも1つの制動アーム216’(例では、1つの制動アーム)は、非線形に形状決めされており、少なくとも1つの制動アーム216’の質量中心222’が要件α2<90°に準拠する位置に到達することを可能にする。
図2および図6をもう一度参照すると、少なくとも1つの制動アーム116の質量中心122の位置が、少なくとも1つの制動アーム116の挙動に大きな影響を及ぼし、したがって、回転摩擦ブレーキ100の動作にも大きな影響を及ぼすことが強調される。回転摩擦ブレーキ100が働く原理の説明から、少なくとも1つの制動アーム116が、α2において少なくとも1つのストップ部材115と接触し、かつ、α1において、または、α1よりもわずかに大きいところにおいて、第1の本体部110と接触することの結果として、質量中心122は、角度αの特定の範囲に常に限定されることになることが理解されるべきである。
好ましくは、質量中心122の場所は、特定の領域に限定されるべきである。これは、有利である可能性がある。その理由は、これが、遠心力が支配的になり過ぎる程度に十分大きい角度αの位置に少なくとも1つの制動アーム116が到達することを防止するからである。遠心力が支配的になり過ぎる場合には、これは、望ましくないほど頻繁に、および/または、望ましくなく高い程度まで制動する、回転摩擦ブレーキ100をもたらす可能性がある。
1つの好適なそのような領域は、円筒形状のボリュームの中にあり、円筒形状のボリュームは、回転中心軸線114と同軸になっており、第2の本体部112の回転中心軸線114に直交する円形断面積を有しており、円形断面積の半径は、回転中心軸線114と枢動点118との間の距離に等しい。したがって、好適な領域を利用する実施形態に関して、質量中心122は、第2の本体部112の物理的な境界線を離れることは許容されない。
別の好適なそのような領域は、枢動点118を含有しない平面130の側に質量中心122が位置することである。平面130は、ここでは、半径方向の軸線120に直交して定義されており、回転中心軸線114に交差している。
別の好適なそのような領域は、角度αを使用して定義され得る。第2の角度α2が80°<α2<100°の範囲内にあることが望ましい可能性がある。
第2の角度α2が88°<α2<95°の範囲内にあることが望ましい可能性がある。
第2の角度α2が90°<α2<95°の範囲内にあることが望ましい可能性がある。
ここで、本開示における回転摩擦ブレーキが説明されてきた。この説明は、選択された例示的な実施形態に関して提示されているが、本明細書で開示されているすべての実施形態に関して等しく当てはまり、かつ、本明細書で開示されていないが特許請求の範囲内にある任意の実施形態に関しても等しく当てはまることが理解される。
図9は、本開示の代替的な実施形態による回転摩擦ブレーキ300を示している。回転摩擦ブレーキ300では、少なくとも1つのストップ部材315(この例では、1つのストップ部材)が、スライド溝部317にしたがって移動されるように配置されており、したがって、角度α2がユーザによって変化されることを可能にする。したがって、そのような実施形態では、プラスの角加速度の局面の間に、第2の本体部312に対して少なくとも1つの制動アーム316の位置を調節することが可能である。これは、回転摩擦ブレーキ300の感度が調節される必要がある用途において、有利である可能性がある。少なくとも1つのストップ部材315の位置は、たとえばスクリューまたはピンを使用して、第2の本体部312に対して少なくとも1つのストップ部材315の固定を外すことによって調節される。固定を外されると、少なくとも1つのストップ部材315は、位置を調節することができ、その後に、少なくとも1つのストップ部材315は、再び第2の本体部312に対して締め付けられる。
図10は、本開示の代替的な実施形態による回転摩擦ブレーキ400を示している。回転摩擦ブレーキ400に関して、第2の本体部412は、2つの制動アーム416、416’を備える。2つの制動アームのうちの第1の制動アーム416は、枢動点418において、第2の本体部412に回転可能に取り付けられており、一方、2つの制動アームのうちの第2の制動アーム416’は、第2の枢動点418’において、第2の本体部412に回転可能に取り付けられている。枢動点418および第2の枢動点418’は、回転中心軸線414のいずれかの側において、半径方向の軸線420に沿って位置し、かつ、第2の枢動点418’と回転中心軸線414との間の距離と同じ、枢動点418と回転中心軸線414との間の距離になっている。
回転摩擦ブレーキ400の利点は、回転している第2の本体部412がバランスされることになり、したがって、高い角速度においても滑らかな振動のない回転を可能にすることである。別の利点は、1つの代わりに2つの制動アームを使用することが、同じ制動力に対してそれぞれの制動アームの重量を低減させることを可能にし、機械的なパーツの耐久性を増加させることである。これらの利点は、3つ以上の制動アームが使用される実施形態に関して、明らかに同じである。任意の数の制動アームが、原理的には、特許請求の範囲内で使用され得ることが理解される。したがって、たとえば、それぞれの枢動点に回転可能に取り付けられている3つ以上の制動アームが使用され得、枢動点は、角度的に均一に離れて広げられている。
回転摩擦ブレーキの実施形態は、マイナスの角加速度の局面の間の制動に限定されるべきではない。本開示の実施形態による回転摩擦ブレーキ500が図11に示されている。回転摩擦ブレーキ500に関して、制動は、プラスの角加速度の局面の間に開始される。回転摩擦ブレーキ500は、第1の本体部510および第2の本体部512を備え、第2の本体部512は、第1の本体部510に回転可能に取り付けられている。第2の本体部512は、第2の本体部512の回転中心軸線514周りに回転するように配置されている。回転摩擦ブレーキ500は、少なくとも1つの制動アーム516(この例では、1つの制動アーム)をさらに備え、少なくとも1つの制動アーム516は、枢動点518において、第2の本体部512に回転可能に取り付けられている。枢動点518は、半径方向の軸線520に沿って回転中心軸線514に対して偏心してオフセットされている。少なくとも1つの制動アーム516は、制動部材521を備え、制動部材521は、第1の本体部510の一部に摩擦によって係合するように配置されている。そのうえ、少なくとも1つの制動アーム516は、質量中心522を有しており、質量中心522は、制動アーム軸線524に沿って設置されており、制動アーム軸線524は、枢動点518に交差し、外へ延在しており、枢動点518を通る半径方向の軸線520に対して垂直に定義される垂直軸線526に対して角度βを形成している。質量中心522は、枢動点518から、枢動点518から回転中心軸線514への距離よりも長い距離に設置されている。少なくとも1つの制動アーム516に関して質量中心522のそのような位置を実現するために、少なくとも1つの制動アーム516の一部分は、少なくとも1つの制動アーム516の平均密度よりも高い密度を有する材料から作製されている。その部分は、たとえば、金属から作製されてもよい。第2の本体部512の回転制動は、制動部材521と第1の本体部510との間の摩擦接触によって起こる。第1の本体部510は、たとえば、ドラムであることが可能であり、制動部材521は、次いで、ドラムの周囲壁部の内側部分に摩擦によって係合するように配置されている。制動部材521は、第1の角度β1よりも小さいβの値にわたって、第1の本体部510の一部に摩擦によって係合するように配置されている。少なくとも1つのストップ部材515(この例では、1つのストップ部材)が、βが第2の角度β2よりも大きくなることを防止するように配置されており、したがって、第2の本体部に対する少なくとも1つの制動アーム516の移動を限定する。
制動部材521は、弾性的であるか、または復元力を提供し、制動アーム軸線524が第1の角度β1よりも小さい角度βをとることを可能にし、これは、β<β1に関して角度βの減少とともに摩擦を徐々に増加させることを可能にする。
図11および以上の説明の中で使用されている角度βは、本明細書で他の実施形態に関して使用されている角度αと同じ機能を有することが理解されるべきである。したがって、角度αおよび角度βは、相互交換可能に使用され得る。また、参照方向の選択に応じて、定義β=180°−αを使用することが便利である可能性がある。特許請求の範囲内にあることが可能な多くの実施形態が存在することが本開示から理解されるべきである。たとえば、制動部材は、図1、図2、図7〜図10の実施形態に開示されているものとは他のようにして、第1の本体部に摩擦によって係合するように配置され得る。たとえば、少なくとも1つの制動アームは、第1の本体部のセンターシャフトに摩擦によって係合するように配置され得る。そのような設計は、図12に示されており、図12は、本開示の実施形態による回転摩擦ブレーキ600を開示している。回転摩擦ブレーキ600は、制動アーム616が第1の本体部610のセンターシャフト617を介して第1の本体部と接触するように配置されていることを除いて、図2に示されている回転摩擦ブレーキ100と同様である。制動アーム616は、制動部材621を備え、制動部材621は、第2の本体部612のセンターシャフト617に摩擦によって係合するように配置されている。ストップ部材615は、回転中心軸線614から概して半径方向外向きの位置に配置されている。ストップ部材615は、制動アーム616の移動を限定することを可能にし、角度αが第2の角度α2よりも低くならないようになっている。回転摩擦ブレーキ600は、第2の本体部が参照方向Rに回転されるときに、マイナスの角加速度によって作動される。
代替的に、少なくとも1つの制動アームは、回転中心軸線に直交する第1の本体部の表面に摩擦によって係合するように配置され得る。この例では、制動部材は、角度αが変化するときに、たとえば、回転中心軸線と平行の軸線に沿って同軸に、第1の本体部の表面に向けて移動することができなければならない。これに対する機械的な解決策は、枢動点の場所において、スクリューを使用することである。少なくとも1つの制動アームが半径方向外向きに移動し、角度αを増加させるときに、少なくとも1つの制動アームは、同時に、第1の本体部の内側部に向けて同軸に外向きに移動する。次いで、制動部材は、枢動点の上部において、または、枢動点の近くにおいて、少なくとも1つの制動アームの外側に装着され得る。
図13aおよびbは、この原理に基づく回転摩擦ブレーキ700を示している。回転摩擦ブレーキ700では、第1の本体部710および第2の本体部712は、ディスク形状になっており、それらの間に所定の距離を形成するように、互いに平行に配置されている。第2の本体部712は、回転中心軸線714周りに、第1の本体部710に関連して回転するように配置されている。回転摩擦ブレーキ700は、制動アーム716を備え、制動アーム716は、枢動点718において、第2の本体部712に回転可能に取り付けられている。制動アーム716は、スクリュー719を備え、スクリュー719は、ネジ山付きの孔部を通して第1の本体部710に接続するように配置されている。制動部材721が、スクリュー719の遠位端部に配置されている。図13aでは、回転摩擦ブレーキ700は、活性状態ではない。制動アーム716の質量中心は、回転中心軸線714の比較的に近くに位置し、制動アーム716は、ストップ部材715と接触状態になっている。第2の本体部712が減速し始めると、図13aの中の湾曲した矢印によって示されているように、制動アームの質量中心が外向きに移動するように、制動アームは移動することになる。制動アーム軸線の角度αが変化するとき、スクリュー719は、ネジ山付きの孔部の中で回転することになり、したがって、枢動軸線718’に沿って第1の本体部710に関連して制動部材721を移動させ、制動部材721が、図13bに示されているように、第1の本体部710の一部分(図13aおよびbの中の点線の円形によって示されている)に摩擦によって係合するようになっている。代替的に、少なくとも1つの制動アームは、第1の本体部の周囲壁部の外側部分に摩擦によって係合するように配置され得る。この原理に基づく回転摩擦ブレーキが、回転摩擦ブレーキ800を示す図14に示されている。第1の本体部810および第2の本体部812は、図13aおよびbに示されている回転摩擦ブレーキ700に関するものと同じように配置されている。回転摩擦ブレーキ800は、制動アーム816を備え、制動アーム816は、枢動点818において、第2の本体部812に回転可能に取り付けられている。制動アーム816は、半径方向の軸線820に沿って概して半径方向外向きの方向に延在しており、第1の本体部810の周囲壁部811の外側部分の外側に延在する湾曲した部分を形成している。制動アーム816は、湾曲した部分の端部に制動部材を備え、制動部材は、第1の本体部の周囲壁部811の外側部分に摩擦によって係合することを可能にするように形状決めされている。
別の重要な態様は、少なくとも1つの制動アームの移動である。少なくとも1つの制動アームは、必ずしも、第2の本体部の回転中心軸線に直交する平面の中で移動する必要があるわけではないことが本開示から理解されるべきである。たとえば、枢動点は、たとえば、第2の本体部の回転中心軸線に対して90°以外の角度を形成する平面の中での少なくとも1つの制動アームの回転のために配置されているヒンジであってもよい。たとえば、制動部材は、少なくとも1つの制動アームの他方の側、すなわち、枢動点から最も遠く離れた位置に位置し得る。角度αが増加すると、制動部材は、第2の本体部の回転中心軸線と平行な次元に沿って、半径方向外向きに、および、同軸に外向きに移動することになる。角度αにおいて、制動部材は、第1の本体部の内側表面と接触状態になることになる。
本明細書で開示されている任意の実施形態の利点は、回転摩擦ブレーキが、回転している第2の本体部の角加速度によって調整されることになることである。これは、プラスの角加速度の局面の間に、比較的に速い回転速度が要求されるが、一定の角速度の局面および/またはマイナスの角加速度の局面の間に、制動が要求される用途に関して、ブレーキが有用となることを可能にする。これが有用である可能性のある用途の典型的な例は、たとえば、ケーブルドラム、水ホース、大型のペーパーロール、および縫糸ロールなどの、システムである。別の例は、ウインドラスであり、たとえば、ボートの上のアンカーチェーンを抑制および操作するために使用されるアンカーウインドラスであり、アンカーがケーブルによって上昇および低下されることを可能にする。これらのシステムは、典型的に、製品(たとえば、ケーブル、ホース、紙、または糸)を含み、製品は、その性質上、曲げ可能でありかつ細長くなっており、複数の回転でスプールの上に巻かれるように配置されている。
そのような用途のさらなる例は、フィッシングリールである。図15は、ハウジング52およびラインスプール54を備えるフィッシングリール50を示しており、ラインスプール54は、ハウジング52に回転可能に取り付けられている。ラインスプール54は、複数の回転でラインスプール54周りに巻かれるフィッシングライン56を収容するように構成されている。フィッシングリールは、巻き取りインターフェース58をさらに備え、巻き取りインターフェース58は、フィッシングライン56をラインスプールの上に巻き取ることを可能にするように配置されている。巻き取りインターフェース58は、ハンドル60によって制御される。フィッシングリール50は、回転摩擦ブレーキ70をさらに備える。回転摩擦ブレーキ70は、ラインのキャスティングの間にスプールに対する制動を提供するように配置されており、たとえば、バックラッシュを防止する。実施形態では、回転摩擦ブレーキ70は、本開示による回転摩擦ブレーキである。したがって、回転摩擦ブレーキ70は、本明細書で開示されている実施形態からの任意のものであることが可能であることが理解される。回転摩擦ブレーキは、添付の特許請求の範囲内の回転摩擦ブレーキの任意の実施形態であることが可能であることがさらに理解されるべきである。そのような回転摩擦ブレーキの例は、図10に示されている回転摩擦ブレーキ400である。例としてこれを使用して、第1の本体部410は、フィッシングリール50のハウジング52の一部であるか、または、フィッシングリール50のハウジング52に固定して取り付けられており、第2の本体部412は、ラインスプール54の一部であるか、ラインスプール54に固定して取り付けられているか、または、ラインスプール54と係合するように配置されている。
これは、いくつかの実施形態に関して、少なくとも1つの制動アームが、ラインスプールに直接的に回転可能に取り付けられてもよいことを暗示しており、すなわち、ラインスプールが第2の本体部であることが可能であることを暗示している。代替的な実施形態に関して、ラインスプールは、第2の本体部とともに回転するように配置されているさらなる本体部であることが可能である。そのようなさらなる本体部は、たとえば、接続シャフトを介して、第2の本体部に固定して取り付けられてもよいが、代替的に、たとえば、ギヤまたはピンなどの、適切な係合手段によって、第2の本体部と係合するように配置されてもよい。そのような係合手段は、さらなる本体部を第2の本体部に能動的に接続するように配置され得る。また、係合手段は、第2の本体部からさらなる本体部を切り離すように配置され得る。次いで、さらなる本体部および第2の本体部は、第2の本体部の中心軸線周りに、互いに個別に回転するように配置され得る。
キャスティングの間に、ラインが同じレートで繰り出されることができない(その代わりに、いわゆるバーズネスト(バックラッシュとも称される)を形成する)ような速い速度で、スプールが回転することを防止するために、回転摩擦ブレーキ70は、必要とされる瞬間に、ラインスプール54を制動するように配置されている。キャストの間に、ラインスプール54の回転速度は、プラスの角加速度の比較的に短い初期の局面の間に、最大速度まで急速に増加し、その後に、マイナスの角加速度のより長い局面の間に減少する。強力なプラスの角加速度の局面の間に、回転摩擦ブレーキ70は、制動しないことになる。その理由は、少なくとも1つの制動アームが、慣性モーメントによって、少なくとも1つのストップ部材に向けて、α=α2である位置まで押されることになるからである。最大角速度に到達する瞬間の辺りのどこかで(それは、プラスの角加速度の局面の終わりのとき、または、マイナスの角加速度の局面の始まりのとき、のいずれかである)、少なくとも1つの制動アームは、半径方向外向きに移動し始め、角度αを増加させることになる。制動が、α=α1において開始することになり、マイナスの角加速度の局面の間に継続する。ライン56を巻き取るために、スプール54は、逆方向に能動的に回転されなければならない。このプロセスの間の制動を防止するために、少なくとも1つの防止部材は、少なくとも1つの制動アームが角度α>α1に到達することを防止するように調節され、すなわち、制動が起こることを防止する。好ましくは、少なくとも1つの防止部材は、巻き取りインターフェース58に接続され得、巻き取りインターフェース58によって、ユーザは、ライン56をスプール54の上に巻き取る。したがって、少なくとも1つの防止部材は、キャストの間に不活性化された位置にあることになり、αがα1よりも大きくなることを可能にし、一方、巻き取りプロセスの間に活性位置にあり、したがって、αがα1に到達することを防止する。
本明細書で開示されている回転摩擦ブレーキは、第2の本体部の回転移動によって制御される。そのうえ、制動作用は、第2の本体部の回転方向に応じて異なる。したがって、実用的な用途に関して、特定の動作の間に、ブレーキを手動で完全に無効にするための手段を提供することが、利点である可能性がある。以前に開示されているように、これは、少なくとも1つの防止部材によって実現され得る。ここで、どのように少なくとも1つの防止部材が回転摩擦ブレーキの少なくとも1つの制動アームに関係し得るかを開示する、例示的な実施形態の詳細な説明が提供されることになる。
図16aおよびbは、2つの制動アーム916を備える回転摩擦ブレーキ900を示しており、2つの制動アーム916は、図10に示されている回転摩擦ブレーキ400の中で使用されている同じようにして、互いに対して反対に配置されている。少なくとも1つの制動アーム916は、第1の本体部910の内側周囲壁部の上で、第1の本体部910に摩擦によって係合するように配置されている。回転摩擦ブレーキ900は、さらなる本体部913をさらに備え、さらなる本体部913は、第2の本体部912の回転中心軸線914周りに回転するように配置されている。第2の本体部912およびさらなる本体部913は、ディスク形状になっており、互いに平行に、および、互いに所定の距離に位置する。第2の本体部912は、少なくとも1つの細長い孔部937を備え、少なくとも1つの細長い孔部937は、回転中心軸線914と少なくとも1つの枢動点918との間の半径方向の距離よりも長い、回転中心軸線914からの所定の半径方向の距離に、第2の本体部912の接線方向に沿って配置されている。少なくとも1つの細長い孔部937のそれぞれは、少なくとも1つの制動アーム916のそれぞれに少なくとも部分的に重なり合うように位置する。さらなる本体部913は、少なくとも1つの防止部材936(例では、2つの防止部材)を備え、少なくとも1つの防止部材936は、さらなる本体部913に固定して取り付けられている。少なくとも1つの防止部材936は、回転中心軸線914に対して平行の方向に延在しており、少なくとも1つの防止部材936のそれぞれが、少なくとも1つの細長い孔部937のそれぞれを通して突出するようになっている。第2の本体部912に関連してさらなる本体部913を回転させるときに、少なくとも1つの防止部材936は、少なくとも1つの制動アームと係合することが可能であり、制動部材921が第1の本体部910に摩擦によって係合することを防止するようになっている。換言すれば、少なくとも1つの防止部材936は、さらなる本体部913が第1の回転方向Lに沿って第2の本体部912に関連して回転されるときに、それぞれの対応する制動アーム916の制動部材921が第1の本体部910に摩擦によって係合することを防止するように配置されている。
この設計に伴う利点は、第1の方向Lが、ブレーキの動作回転方向、すなわち、参照方向Rとは反対になっていることである。したがって、回転摩擦ブレーキ900は、スプールの上に細長い曲げ可能な物体を必要とする用途にとりわけ良く適している。ここで、利点が、例としてフィッシングリールを使用して説明される。
フィッシングリールのある実施形態では、さらなる本体部913は、ラインスプールの一部であるか、または、ラインスプールに固定して取り付けられており、一方、1つまたは複数の制動アームを備える第2の本体部912は、1つまたは複数の細長い孔部937を通して突出している1つまたは複数の防止部材936によって、さらなる本体部913と係合するように配置されている。キャスティングの間に、さらなる本体部913が、ラインによって、参照方向Rに回転されるときに、したがって、第2の本体部912は、少なくとも1つの細長い孔部937を通して突出している少なくとも1つの防止部材936によって、さらなる本体部913とともに回転されることになる。少なくとも1つの防止部材936が非意図的に少なくとも1つの制動アーム916に影響を及ぼすことを回避するために、さらなる本体部913は、たとえば、留め金または磁石などを使用して、第2の本体部912をロックするように配置され得る。ラインを回収するなどのためにスプールを巻き取るときに、第2の本体部912は、参照方向Rとは反対の方向に回転されることになり、したがって、回転摩擦ブレーキ900を非活性化することが望ましい。その理由は、巻き取りの間に第2の本体部に課されるプラスの角加速度が、ブレーキを活性化する可能性があり、したがって、巻き取りプロセスを困難にするからである。駆動機構(たとえば、回転ハンドルまたはモータ)を装備している機械的なインターフェースなどの巻き取りインターフェースに第2の本体部912を接続することによって、フィッシングリールのユーザは、スプールを巻き取るためにハンドルを回転させることによって、したがって、ラインをスプールの上に回収することによって、第1の回転方向Lに沿って第2の本体部912を能動的に回転させることが許容されることになる。第2の本体部912が第1の回転方向Lに沿って回転されるときに、ラインスプールを備えるさらなる本体部913が、第2の本体部912とともに回転されることになる。少なくとも1つの防止部材936は、第2の本体部912の少なくとも1つの制動アーム916の制動作用を無効にすることになる。ユーザがラインを能動的に回収し、したがって、第2の本体部912がさらなる本体部913を第1の回転方向Lに能動的に回転させる限りにおいて、回転摩擦ブレーキは、無効にされることになり、したがって、効率的で容易な巻き取り手順を可能にする。
図16aおよびbに示されている回転摩擦ブレーキ900は、少なくとも1つの防止部材によって制動アームに働かされる力を能動的に維持することなく、制動を無効にすることを許容しない。この問題を克服するために、ロッキング機構が使用され得、ロッキング機構は、制動部材がさらなる本体部に摩擦によって係合しない位置に、少なくとも1つの制動アームを固定するように適合されている。図17aおよびbは、そのようなブレーキを無効にすることを可能にする回転摩擦ブレーキ1000を示している。
図17aは、制動作用に関する限り、回転摩擦ブレーキ900と同様の回転摩擦ブレーキ1000を示している。しかし、回転摩擦ブレーキ1000は、回転摩擦ブレーキを無効にする代替的な方式を有していない。回転摩擦ブレーキ1000に関して、さらなる本体部1013は、第2の本体部1012に回転可能に取り付けられている中心部分1040を有している。さらなる本体部は、少なくとも1つの防止部材1036(例では、2つの防止部材)をさらに備え、少なくとも1つの防止部材1036は、中心部分1040に固定して取り付けられている。少なくとも1つの防止部材1036は、回転中心軸線1014から概して半径方向に沿って外向きに延在している。少なくとも1つの防止部材1036は、湾曲していてもよい。少なくとも1つの制動アーム1016からのそれぞれの1つは、アンカーピン1044を備え、アンカーピン1044は、回転中心軸線1014と平行の方向に沿って延在しており、第2の本体部1012から離れる方に方向付けされている。第2の本体部1012に関連して第1の方向Lに沿ってさらなる本体部1013を回転させるときに、少なくとも1つの防止部材1036のそれぞれは、対応する制動アーム1016の上のアンカーピン1044と接触することになり、したがって、制動部材1021が第1の本体部1010と摩擦によって係合しない位置へ少なくとも1つの制動アーム1016を押す。
回転摩擦ブレーキ1000は、ロッキング機構1041a、1041bをさらに備え、ロッキング機構1041a、1041bは、制動部材1021が第1の本体部1010に摩擦によって係合していないときに、第2の本体部1012に関連して少なくとも1つの制動アーム1016を固定するように配置されている。ロッキング機構1041a、1041bは、さらなる本体部1013の上に配置されている少なくとも1つの第1のロッキング部材1041aと、少なくとも1つの制動アーム1016の上に配置されている少なくとも1つの第2のロッキング部材1041bとを備える。少なくとも1つの第1のロッキング部材1041aのそれぞれは、少なくとも1つの第2のロッキング部材1041bの対応するそれぞれの上にロックするように配置されており、少なくとも1つの制動アーム1016のそれぞれがさらなる本体部1013に関連してロックされ得るようになっている。回転摩擦ブレーキ1000に関して、少なくとも1つの第1のロッキング部材1041aは、さらなる本体部1013の中心部分1040の周囲縁部に沿って位置する少なくとも1つの凹部である。同様に、少なくとも1つの第2のロッキング部材1041bは、少なくとも1つの制動アーム1016の縁部の上の少なくとも1つの突出部である。ロッキング機構1041a、1041bは、少なくとも1つの制動アーム1016をロックすることを可能にするように配置されており、制動部材1021が第1の本体部1010に摩擦によって係合していない位置において、少なくとも1つの制動アーム1016が第2の本体部1012に関連して移動可能でないようになっている。この位置は、図17bに示されている。
特許請求されている回転摩擦ブレーキが、決して、上記に説明されている好適な実施形態に限定されないことを、当業者は認識する。対照的に、多くの修正例および変形例が、添付の特許請求の範囲内で可能である。
たとえば、異なる設計の制動アームが、同じ回転摩擦ブレーキの上で使用され得る。制動アームは、異なるようにして第1の本体部に摩擦によって係合するように配置され得る。制動アームは、第2の本体部の加速度の異なる閾値レベルにおいて活性化するように配置され得る。
追加的に、開示されている実施形態に対する変形例が、本図面、本開示、および添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求されている発明を実施する際に、当業者によって理解および実現され得る。
本開示は、回転体をブレーキングするための回転摩擦ブレーキに関し、より詳細には、ブレーキング力が回転体の角加速度によって調整される回転摩擦ブレーキに関する。本開示は、さらに、そのような回転摩擦ブレーキを備えるフィッシングリールに関する。
回転摩擦ブレーキは、当技術分野でよく知られている。そのようなブレーキの例は、ディスクブレーキ、ドラムブレーキなどである。これらは、すべて、これらが何らかの方法で、回転している部材の表面のうちの1つの上の1つまたは複数の制動部材からの圧力に回転体をさらすという共通点を有しており、これらの表面は、たとえば、回転体の包まれた表面(enveloped surface)の内側、回転体の包まれた表面の外側、または、回転体の平面側にある。
ほとんどの回転式摩擦ブレーキは、回転体のパーツ自体ではなく、たとえば、車または列車の制動システムなどのシステムによって動作される。したがって、これらの種類の回転摩擦ブレーキの中の制動力は、回転体自体の上の移動によって調整されることとはならない。また、自動的な回転摩擦ブレーキが存在しており、その制動力は、回転している部材の挙動に依存する。そのようなブレーキの例は、遠心ブレーキである。これらは、典型的に、回転体に接続されている複数の制動アームから構成されており、前記複数の制動アームが、軸線に沿って、回転体に対して移動され得るようになっており、これは、回転している部材の角速度が増加するにつれて、制動アームの重心が半径方向外向きに移動することを可能にする。したがって、これらの種類のブレーキの制動力は、回転している部材の角速度に依存する。
いくつかの用途では、角速度の変化率に基づいて制動作用を調整することが有益である可能性がある。状況に応じて、制動作用は、角速度のプラスの変化率、すなわち、(プラスの)角加速度に関して、または、角速度のマイナスの変化率、すなわち、角減速度とも称されるマイナスの角加速度に関して、起こることが可能である。そのようなブレーキのいくつかの潜在的な利益が存在している。利点は、それが、高い角速度が要求される用途に関して使用され得ることである。そのような用途では、遠心ブレーキは、回転速度をかなり限定する可能性があるので、それほど適切ではない。
これが問題である用途の典型的な例は、たとえばケーブルドラム、水ホース、大型のペーパーロール、および縫糸ロールなどの、システムである。これらのシステムは、典型的に、複数の回転でスプールの上に巻かれる製品(たとえば、ケーブル、ホース、紙、または糸)を含む。
ブレーキを作動させるために角速度のプラスの変化率が使用され得る用途は、エレベータの上のトロリーシステムの中にある。エレベータがあまりに速く下向きに加速し始める故障の場合、プラスの角加速度によって作動される角度ブレーキが、活性化することを許容され得、したがって、危険な速度に到達する前にすでにエレベータの下向きの運動を低減させるかまたはさらには停止させる。
ブレーキを作動させるために角速度のマイナスの変化率が使用され得る用途は、フィッシングリールのためのものである。この用途は、スプールから大量の製品を迅速に解放する必要性があり、これが、製品がスプールから引っ張られるときに、スプールのかなりのプラスの角加速度をもたらす、システムの典型的な例である。スプールのプラスの角加速度の局面は、製品にかかる引っ張り力がゼロになるとすぐに終了することになる。残念なことには、スプールの慣性は、巻き戻しを継続するように作用することになり、スプールの上に依然として含有されている製品が、それ自体で、スプールの中で、および、その付近の他の機械的なパーツの中で、もつれるというかなりのリスクをもたらす。
フィッシングリールは、フレームと、フレームの中に回転可能に装着されているラインスプールとを備える。キャスティングの間のスプールが、ラインが同じレートで繰り出されることができないが、その代わりに、いわゆるバーズネスト(birds nest)(バックラッシュとも呼ばれる)を形成するような高い速度で回転することを防止するために、フィッシングリールは、回転制動システムを装備していることが多く、回転制動システムは、通常、たとえば、1つまたは複数の摩擦ブレーキ(たとえば、遠心ブレーキ、スプールテンションブレーキなど)および磁気ブレーキなどの、異なる種類の回転ブレーキの組み合わせを備える。キャストの間に、ラインスプールの回転速度は、プラスの角加速度の比較的に短い初期の局面の間に、最大速度まで急速に増加し、その後に、マイナスの角加速度(減速度)のより長い局面の間に減少する。
先行技術のほとんどの回転摩擦ブレーキ、たとえば、遠心ブレーキおよび磁気ブレーキなどは、キャストの間に即座に作動され、したがって、プラスの角加速度の局面の間に開始する制動作用を作り出す。しかし、この局面の間に、ラインの跳ね上がり(line rise)の無視することができる程度のリスクだけが存在する。その理由は、ラインスプールを「引っ張る」のは、ラインであるか、または、より正確には、ラインに取り付けられているルアーであるからである。この理由のために、ラインスプールは、この局面の間に制動を受ける必要はない。プラスの角加速度の局面の間にラインスプールを制動することは、長いキャストを行う可能性を低減させる。しかし、ルアーおよびラインがもはやラインスプールを「引っ張らない」ときには、すなわち、マイナスの角加速度の局面の間に、ラインの跳ね上がりを防止するためにラインスプールを制動することが必要である。
ここで、そのような遠心ブレーキの例が、より明確な背景技術の理解のために提供される。
米国特許第3,587,474A号明細書は、スキートウなどのためのドラグラインウィンチを開示しており、ドラグラインウィンチは、回転体に枢動可能に取り付けられている2つのブレーキシュー8を有する回転摩擦ブレーキを備える。米国特許第3,587,474A号明細書の回転摩擦ブレーキは、遠心力を通して、回転体の回転速度によって作動される。
米国特許第2,587,652A号明細書は、ホースリール装置のための制動機構を開示している。制動機構は、1対の実質的に半円形のウェイト、または、内側回転ドラムの上に枢動可能に装着されるブレーキエレメントを備える。制動機構は、遠心制動機構として開示されており、遠心制動機構は、したがって、遠心力を通して、回転体の回転速度によって作動される。
米国特許第2,055,358号明細書は、複数のブレーキ部材を有する回転摩擦ブレーキを備えるフィッシングリールを開示しており、複数のブレーキ部材は、シールドの回転可能な壁部の上に配設されており、それらの端部同士の中間に枢動接続部が設けられている。米国特許第2,055,358号明細書の回転摩擦ブレーキは、遠心式に動作され、すなわち、遠心力を通して、回転体の回転速度によって作動される。
米国特許第6,076,640号明細書は、1対のブレーキレバーを有する回転摩擦ブレーキを備えるフィッシングリールを開示しており、1対のブレーキレバーは、付勢ばねによってブレーキ位置に付勢されている。ブレーキレバーは、レバーベースに枢動可能に接続されており、レバーベースは、スプールとともに回転するように配置されている。ブレーキレバーの1つの部分、カウンタウェイトアームは、カウンタウェイトを装備しており、一方、ブレーキレバーの別の部分、制動レバーは、回転していない外側本体部、ブレーキドラムに摩擦によって係合するように配置されている。米国特許第6,076,640号明細書の回転摩擦ブレーキは、遠心式に動作され、すなわち、遠心力を通して、回転体の回転速度によって作動される。
米国特許第3,477,659A号明細書は、ケーシングとスプールとの間に作用する摩擦ブレーキを備える回転可能なスプールフィッシングリールを開示しており、摩擦ブレーキは、ケーシングに摩擦によって係合するように配置されている1つまたは複数のブレーキシューを備える。米国特許第3,477,659A号明細書の回転摩擦ブレーキは、遠心力の効果によって係合するように促され、すなわち、遠心力を通して、回転体の回転速度によって作動される。
スウェーデン特許SE506580(1998年1月12日にAbu ABに付与された)は、リールのマイナスの角加速度の局面の間だけ制動することを目指す、フィッシングリールのためのブレーキシステムを開示している。これは、複数の制動アームを使用することによって実現されており、それぞれのアームは、スプールのプラスの角加速度の間に、非制動位置にあるように配置されており、それぞれの制動アームは、スプールのマイナスの角加速度の間に、制動位置へ素早く動くように配置されている。
SE506580に開示されている発明に伴う特定の問題は、スプールのプラスの加速度のすべての局面の間に、制動アームが非活性化位置に位置決めされており、スプールがその最大速度に到達すると、制動アームが突然にその活性化位置へと素早く動き、制動力がスプール角速度に対してプラスの依存性を有するので、ドラムの極めて大幅な制動を開始させることである。したがって、制動作用は、スプールのプラスの角加速度局面とマイナスの角加速度局面との間の移行において滑らかでないことになり、低減されたキャスト長さ、および、望ましくないユーザ体験をもたらす。
本開示の目的は、当技術分野における上記に特定された欠点および不利益の1つまたは複数を、単独で、または、任意の組み合わせで、緩和し、軽減し、または排除することであり、かつ、少なくとも上述の問題を解決することである。さらなる目的は、回転体のための回転摩擦ブレーキを提供することであり、前記回転摩擦ブレーキは、前記回転体の角加速度によって調整される。
回転体の角加速度によって、前記回転体の角速度の変化率を意味しており、前記変化率は、プラスまたはマイナスのいずれかである。したがって、角減速度またはマイナスの角加速度と称されることも多い、角速度のマイナスの変化率も、角加速度という用語によってカバーされるべきであることが理解される。
第1の態様によれば、角速度の変化率によって調整される回転摩擦ブレーキであって、第1の本体部と、第1の本体部に回転可能に取り付けられている第2の本体部であって、第2の本体部の回転中心軸線周りに回転するように配置されている、第2の本体部と、枢動点において第2の本体部に回転可能に取り付けられている少なくとも1つの制動アームと、を備え、枢動点は、半径方向の軸線に沿って回転中心軸線に対して偏心してオフセットされており、少なくとも1つの制動アームのそれぞれは、制動部材を備え、制動部材は、第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されており、少なくとも1つの制動アームは、質量中心を有しており、質量中心は、制動アーム軸線に沿って設置されており、制動アーム軸線は、枢動点に交差し、垂直軸線に対して角度αを形成しており、垂直軸線は、枢動点を通る半径方向の軸線に対して垂直に定義されており、質量中心は、枢動点から、枢動点から回転中心軸線への距離よりも長い距離に設置されており、制動部材は、αの値にわたって、第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されており、αは、第1の角度α1よりも大きく、および/または、第2の角度α2よりも小さく、第1の角度α1は、第2の角度α2よりも大きい、回転摩擦ブレーキによって、これらのおよび他の目的が完全にまたは少なくとも部分的に実現される。
この設計の重要な特徴は、少なくとも1つの制動アームの枢動点および質量中心が、枢動点と回転中心軸線との間の距離を超える距離に互いに位置することである。プラスの角加速度の例を考察すると、この特徴の効果は、第2の本体部のプラスの角加速度の間に、少なくとも1つの制動アームが、枢動点においてモーメントを受けることになり、このモーメントは、少なくとも1つの制動アームを少なくとも1つのストップ部材と接触させることができることである。重要な特徴の別の効果は、少なくとも1つの制動アームの質量中心に作用する正味の遠心力が、枢動点から離れる方に方向付けられた成分を有することになり、したがって、回転している第2の本体部のプラスの角加速度からマイナスの角加速度への移行の間に、回転している部材に対する少なくとも1つの制動アームの相対的位置をバランスさせる助けとなることである。本開示の重要な特徴を備えた少なくとも1つの制動アームが第1の本体部の一部と物理的な接触状態になることができるように配置されている場合に、回転摩擦ブレーキが現実化され得、回転摩擦ブレーキは、回転している第2の本体部のプラスの角加速度局面の少なくとも一部の間に非活性状態になっており、第2の本体部のマイナスの角加速度局面の少なくとも一部の間に活性状態になっており、非活性状態と活性状態との間の移行において制動作用を徐々に導入する。したがって、重要な特徴は、少なくとも1つの制動アームの滑らかな移動を提供することが可能であり、たとえば、SE506580に開示されている制動アームのタイプなどの、先行技術の典型的な制動アームの移動とは対照的であり、SE506580では、1つまたは複数の制動アームが、枢動点から、枢動点と回転中心軸線との間の距離よりも小さい距離に位置決めされている質量中心を有している。
以上に考察されている例は、マイナスの角加速度によって作動されるブレーキを参照していたが、重要な特徴は、プラスの角加速度によって作動されるように配置されている回転摩擦ブレーキに関して等しく有効であることが理解されるべきである。実際に、第1の回転方向に回転しているときにマイナスの角加速度によって作動されるように配置されている回転摩擦ブレーキの実施形態は、第2の本体部が第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転される場合には、プラスの角加速度によって作動されることになる。これは、マイナスの角加速度におけるブレーキの作動を必要とする用途を意図している同じブレーキが、プラスの角加速度におけるブレーキの作動を必要とする別の用途に関しても使用され得ることを暗示している。これは、たとえば、回転している第2の本体部の反対側にブレーキを装着することによって、したがって、それが作動される方式を逆にすることによって、現実化され得る。
そのうえ、回転摩擦ブレーキの中に2つ以上の制動アームが存在していてもよいことが理解される。したがって、2つ以上の制動部材、および、2つ以上の枢動点が存在していてもよい。典型的に、それぞれの制動アームは、それ自体のそれぞれの枢動点において、第2の本体部に接続されている。しかし、2つ以上の制動アームが、同じ枢動点において、第2の本体部に接続されていてもよい。同様に、制動アームは、1つだけの制動部材を有していてもよい。代替的に、制動アームは、2つ以上の制動部材を有していてもよい。
いくつかの実施形態によれば、回転摩擦ブレーキは、少なくとも1つのストップ部材をさらに備え、少なくとも1つのストップ部材のそれぞれは、少なくとも1つの制動アームのそれぞれの移動を限定するように配置されており、角度αが、第1の角度α1よりも小さい最大角度、または、第2の角度α2よりも大きい最小角度に限定されるようになっており、したがって、第2の本体部に対する少なくとも1つの制動アームの移動を限定する。少なくとも1つのストップ部材は、第2の本体部の特定の基準回転方向に関して、第2の本体部のプラスの角加速度またはマイナスの角加速度のいずれかによって作動されるような回転摩擦ブレーキを設計することを可能にする。これは、特定の目的のためにブレーキを設計することを可能にするので、有利である可能性がある。
少なくとも1つのストップ部材が回転摩擦ブレーキのすべての実施形態に必要であるわけではないことを強調することが重要である。回転摩擦ブレーキは、プラスの角加速度およびマイナスの角加速度に関してブレーキを作動させることを可能にするように設計され得る。そのようなブレーキは、たとえば、ラインスプールに関して有用である可能性があり、ラインスプールに関しては、バーズネストを形成することを回避するために、ラインスプールのマイナスの加速度の間に制動が作動されることを依然として可能にしながら、最大プラスの加速度が限定されるべきである。開示されている回転摩擦ブレーキは、プラスの加速度およびマイナスの加速度の両方において同じ絶対的な値の角加速度によって制動力が作動される実施形態に限定されないことが理解される。いくつかの実施形態に関して、マイナスの角加速度に関してよりも、プラスの角加速度に関して、より強力な制動力を可能にすることが有益である可能性があり、または、その逆も同様である。
したがって、角速度の変化率によって調整される回転摩擦ブレーキが開示されている。回転摩擦ブレーキは、第1の本体部と、第1の本体部に回転可能に取り付けられている第2の本体部とを備え、第2の本体部は、第2の本体部の回転中心軸線周りに回転するように配置されている。回転摩擦ブレーキは、枢動点において第2の本体部に回転可能に取り付けられている少なくとも1つの制動アームをさらに備える。枢動点は、半径方向の軸線に沿って回転中心軸線に対して偏心してオフセットされている。少なくとも1つの制動アームは、制動部材を備え、制動部材は、第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されている。少なくとも1つの制動アームは、質量中心を有しており、質量中心は、制動アーム軸線に沿って設置されており、制動アーム軸線は、枢動点に交差し、垂直軸線に対して角度αを形成している。垂直軸線は、枢動点を通る半径方向の軸線に対して垂直に定義されている。質量中心は、枢動点から、枢動点から回転中心軸線への距離よりも長い距離に設置されている。制動部材は、第1の角度α1よりも大きいαの値にわたって、第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されている。回転摩擦ブレーキは、少なくとも1つのストップ部材をさらに備え、少なくとも1つのストップ部材は、αが第2の角度α2よりも小さくなることを防止するように配置されており、したがって、第2の本体部に対する少なくとも1つの制動アームの移動を限定する。
いくつかの実施形態によれば、制動部材は、弾性的であるか、または、復元力を提供し、制動アーム軸線が、第1の角度α1よりも大きく、および/または、第2の角度α2よりも小さい、角度αをとることを可能にする。これは、回転摩擦ブレーキが、角度αが第1の角度α1を超える場合に関して、角度αの増加とともに、または、角度αが第2の角度α2を下回る場合に関して、角度αの減少によって、摩擦を、ひいては制動力を、徐々に増加させることを可能にすることができることを暗示している。
これらの実施形態の利点は、これが、回転している第2の本体部に対する少なくとも1つの制動アームの移動に対して、さらなる制御を追加し、したがって、制動作用に対してもさらなる制御を追加することである。少なくとも1つの制動アームの移動のさらなる制御は、回転している第2の本体部の基準系において、枢動点周りに、少なくとも1つの制動アームのモーメントを生じさせる摩擦力からの結果であり、このモーメントは、遠心力から生じる少なくとも1つの制動アームのモーメントに対して反対側または同じ方向のいずれかに方向付けられている。したがって、摩擦に起因して起こるモーメントは、制動作用を減少または増加させようとすることになる。制動作用の減少の場合、モーメントの減少が起こることになり、したがって、システムが自己バランスされることを可能にする。可撓性の材料を使用する設計は、第1の角度α1よりも大きい角度αの範囲において、または、代替的にもしくは追加的に、第2の角度α2よりも小さい角度αの範囲において、このバランスの利用を促進させる。制動部材の弾性特性/復元特性を慎重に選ぶことによって、制動力がαの関数として調整され得る。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの制動アームは、可撓性の材料を含み、少なくとも1つの制動アームは、角度αが第1の角度α1を超えるように、または、角度αが第2の角度α2を下回るように、曲がることが許容されるようになっている。
いくつかの実施形態によれば、第1の本体部は、ドラムであり、制動部材は、ドラムの周囲壁部の内側部分に摩擦によって係合するように配置されている。
いくつかの実施形態によれば、制動部材の一部の形状は、枢動点と制動部材の外周部との間の距離が角度γの増加とともに増加するようになっており、距離は、半径方向の軸線に対して角度γをとる距離軸線に沿って定義され、制動部材の一部の形状は、制動部材が圧縮されているときに、制動部材と第1の本体部の一部との間の接触面積が徐々に増加することを可能にする。
この形状は、有利である可能性がある。その理由は、それが、制動部材の増加する圧縮に関して、制動部材と第1の本体部の一部との間の接触面積が増加することを可能にし、したがって、制動作用に影響を与えるからである。制動部材の形状を慎重に選ぶことによって、制動力がαの関数として調整され得る。
制動部材は、異なるようにして形状決めされ得る。たとえば、制動部材は、枢動点に近い位置において、第1の本体部と接触するように形状決めされ得、それによって、接触面積が、圧縮の増加とともに外向きに増加し、接触面積が、枢動点からより遠くに離れているエリアをカバーするようになっている。代替的に、制動部材は、枢動点から所定の距離にある位置において第1の本体部と接触するように形状決めされ得、それによって、接触面積は、圧縮の増加とともに内向きに増加し、接触面積が、枢動点のより近くのエリアをカバーするようになっている。
いくつかの実施形態によれば、制動部材は、2つ以上の部分を含み、2つ以上の部分のそれぞれは、その独自のセットの材料特性を有している。2つ以上の部分は、異なる材料特性を有する異なる材料を含むことが可能である。代替的に、一部分は、たとえば、積層された構成で、いくつかの材料を含むことが可能である。2つ以上の部分の使用は、利点である可能性がある。その理由は、それが、制動部材が圧縮されるときの制動アームの位置の関数として、制動力を調整する自由度をさらに増加させるからである。
角度γは、枢動点に対する制動部材の場所に応じて、反時計回り方向または時計回り方向のいずれかに定義され得ることが理解される。そのうえ、制動アームの上に2つ以上の制動部材が存在していてもよいことが理解される。たとえば、参照方向に沿った角度位置の観点から表現されると、枢動点の角度位置の後に位置する角度位置において、第1の本体部の一部に係合するように位置する、1つの制動部材と、枢動点の角度位置よりも前に位置する角度位置において、第1の本体部のさらなる一部に係合するように位置する、さらなる制動部材とが、存在していてもよい。
いくつかの実施形態によれば、制動部材の一部の形状は、角度α<α1のときに、枢動点と制動部材の外周部との間の距離が角度γの増加とともに増加するようになっている。ここで、距離は、半径方向の軸線に対して角度γをとる距離軸線に沿って定義される。制動部材の一部の形状は、範囲α>α1に関して、制動部材が圧縮されているときに、角度αの増加の関数として、制動部材と第1の本体部の一部との間の接触面積の漸増を可能にする。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの制動アームの質量中心は、平面の一方の側に位置する。平面は、半径方向の軸線に直交しており、回転中心軸線に交差している。少なくとも1つの制動アームの質量中心は、枢動点を含有しない平面の側に位置する。
これは有利である。その理由は、それが、少なくとも1つの制動アームに作用する遠心力が支配的になり過ぎることが許容されない、第2の本体部に対する位置に、少なくとも1つの制動アームを維持することを可能にするからである。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの制動アームの質量中心は、円筒形状のボリュームの中に位置する。円筒形状のボリュームは、回転中心軸線と同軸になっており、かつ、回転中心軸線に直交する円形断面積を有している。そのうえ、円形断面積の半径は、回転中心軸線と枢動点との間の距離に等しい。
これは有利である。その理由は、それが、少なくとも1つの制動アームに作用する遠心力が支配的になり過ぎることが許容されない、第2の本体部に対する位置に、少なくとも1つの制動アームを維持することを可能にするからである。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの制動アームは、少なくとも1つの制動アームの平均密度よりも高い密度を有する材料から作製された部分を備える。これは、少なくとも1つの制動アームの質量中心が少なくとも1つの制動アームの部分の中にまたはこの部分の近くに位置決めされることを可能にする。
いくつかの実施形態によれば、回転摩擦ブレーキは、少なくとも1つの防止部材をさらに備え、少なくとも1つの防止部材は、調節可能となるように配置されており、角度αが、角度α1よりも小さい最大角度、または、角度α2よりも大きい最小角度に限定されることを可能にし、少なくとも1つの防止部材のそれぞれが、制動部材のそれぞれが第1の本体部に摩擦によって係合することを防止するようになっている。防止部材は、有利である可能性がある。その理由は、それが、回転摩擦ブレーキを手動で無効にすることを可能にするからである。これは、たとえば、参照方向とは反対の回転方向に第2の本体部を回転させるときに、有益である可能性がある。
少なくとも1つのストップ部材および少なくとも1つの防止部材は、同様の技術的効果に関連付けられ得、すなわち、少なくとも1つの制動アームを角度αの範囲に限定し、角度αの範囲内において、少なくとも1つの制動アームは、第1の本体部と接触することを防止され、したがって、制動作用を完全に無効にすることが理解されるべきである。
いくつかの実施形態に関して、少なくとも1つのストップ部材は、固定されており、かつ、典型的に、第2の本体部が参照方向に回転するように動作されるときに、ブレーキがプラスの角加速度またはマイナスの角加速度によって作動されるかどうかを決定する。そのような実施形態に関して、少なくとも1つの防止部材は、典型的に移動可能であり、ブレーキを手動で無効にするために使用される。しかし、代替的な実施形態では、また、少なくとも1つのストップ部材は調節可能であり得る。そのような実施形態は、第2の本体部の特定の回転方向に関して、プラスの角加速度によって作動されることとマイナスの角加速度によって作動されることとの間で、回転摩擦ブレーキを再構成することを可能にすることができる。これは、少なくとも1つのストップ部材が、ブレーキの再構成の後に、その代わりに少なくとも1つの防止部材として作用することが可能であり、その逆もまた同様であることを暗示している。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの制動アームに対するこの部分の位置は調節可能であり、少なくとも1つの制動アームに対する質量中心の位置を変化させることを可能にする。
いくつかの実施形態によれば、第2の本体部は、2つの制動アームを備え、2つの制動アームのうちの第1の制動アームは、枢動点において、第2の本体部に回転可能に取り付けられており、2つの制動アームのうちの第2の制動アームは、第2の枢動点において、第2の本体部に回転可能に取り付けられている。枢動点および第2の枢動点は、回転中心軸線のいずれかの側において、半径方向の軸線に沿って位置し、かつ、第2の枢動点と回転中心軸線との間の距離と同じ、枢動点と回転中心軸線との間の距離になっている。これは有利である可能性がある。その理由は、第2の本体部がバランスされることを保証し、高い角速度においても滑らかな回転を可能にするからである。
いくつかの実施形態によれば、第2の本体部は、異なる特性を有する2つ以上の制動アームを備え、2つ以上の制動アームが、第2の本体部の角速度の変化率に異なって反応するように配置されるようになっている。これは、利点である可能性がある。その理由は、それが、異なる加速度領域に関して回転ブレーキの制動作用を調整することを可能にするからである。例として、回転ブレーキは、2つの制動アームを備えることが可能である。2つの制動アームの第1の制動アームは、第2の本体部の相対的に低い角加速度で反応するように配置され得、一方、2つの制動アームの第2の制動アームは、第2の本体部のより高い角加速度で反応するように配置され得る。この例の回転ブレーキは、これによって、2つの異なる角加速度の範囲に関して2つの別個の性質を示す制動力を提供することが可能である。
そのような回転ブレーキが利点となる可能性がある1つの用途は、フィッシングリールに関するものである。キャスティングの間に、第1の局面は、ベイトが空中に前方へキャストされる時間期間として定義され得る。この局面の間に、回転ブレーキの制動作用は、バックラッシュを回避するのに十分に高くなければならないが、同時に、キャストの長さを限定することになるので高過ぎてはならない。したがって、そのようなフィッシングリールの中の回転ブレーキは、第1の局面の要件を満たすように配置された1つまたは複数の第1の制動アームを備えることが可能である。これらの1つまたは複数の第1の制動アームは、第2の本体部の第1のマイナスの角加速度に応答するように配置され得る。第2の局面は、ベイトが水に衝突した時間からそれ以降に定義され得る。この局面の間に、ベイトは、水表面との接触に起因して、かなり激しく減速する。したがって、バックラッシュを回避するために、回転摩擦ブレーキが、第1の局面においてよりも第2の局面において、より高い制動力を提供することになれば、有益である可能性がある。いくつかの実施形態によれば、第2の局面のより高い制動力は、第1の局面の間にすでに作動された同じ1つまたは複数の第1の制動アームによって実現され得、増加した制動力は、第2の本体部の角速度の変化率によって達成される。しかし、代替的な実施形態に関して、回転ブレーキは、1つまたは複数の第2の制動アームを備えることが可能であり、1つまたは複数の第2の制動アームは、第1の局面の間に、非制動位置に存在するように配置されている。1つまたは複数の第2の制動アームは、第2の本体部の第2のマイナスの角加速度に応答するように配置され得、第2のマイナスの角加速度は、第1のマイナスの角加速度よりも高くなっており、したがって、より強力な制動力をスプールに提供する。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのストップ部材の位置は調節可能であり、第2の角度α2が変化されることを可能にする。これは有利である可能性がある。その理由は、それが、どちらの領域において制動が起こることになるかについて影響を及ぼすことを可能にし、領域は、プラスの角加速度の領域、または、マイナスの角加速度の領域のいずれかであるからである。
いくつかの実施形態によれば、回転摩擦ブレーキは、少なくとも1つの防止部材をさらに備え、少なくとも1つの防止部材は、調節可能となるように配置されており、角度αが角度α1よりも小さい最大角度に限定されることを可能にする。これは、ブレーキを手動で無効にすることを可能にするので、有利である可能性がある。これは、特に、その意図した回転方向の反対に第2の本体部を回転させるときに、重要である可能性がある。
いくつかの実施形態によれば、回転摩擦ブレーキは、第2の本体部の回転中心軸線周りに回転するように配置されている、さらなる本体部をさらに備え、少なくとも1つの防止部材は、さらなる本体部に固定して取り付けられており、少なくとも1つの防止部材のそれぞれは、さらなる本体部が第1の回転方向に沿って第2の本体部に関連して回転されるときに、それぞれの対応する制動アームの制動部材が第1の本体部に摩擦によって係合することを防止するように配置されている。第1の回転方向は、有利には、参照方向とは反対であることが可能であり、すなわち、第1の本体部に対する第2の本体部の回転方向とは反対であることが可能である。さらなる本体部が、参照方向とは反対の方向に第2の本体部を巻き取るために使用される巻き取りインターフェース(rewinding interface)に接続されている場合には、さらなる本体部は、一度に2つのタスクを実施することが可能である。第1のタスクは、参照方向とは反対の方向に第2の本体部を回転させるように、第2の本体部と機械的に係合することである。第2のタスクは、少なくとも1つの制動部材のそれぞれが第1の本体部に摩擦によって係合することを防止することである。したがって、第2の本体部の巻き取りのプロセスの間に、ブレーキは、自動的に無効にされることになる。
いくつかの実施形態によれば、回転摩擦ブレーキは、ロッキング機構をさらに備え、ロッキング機構は、制動部材が第1の本体部に摩擦によって係合していないときに、第2の本体部に関連して少なくとも1つの制動アームを固定するように配置されている。
いくつかの実施形態によれば、ロッキング機構は、さらなる本体部の上に配置されている少なくとも1つの第1のロッキング部材と、少なくとも1つの制動アームの上に配置されている少なくとも1つの第2のロッキング部材とを備え、少なくとも1つの第1のロッキング部材のそれぞれは、少なくとも1つの第2のロッキング部材の対応するそれぞれの上にロックするように配置されており、少なくとも1つの制動アームのそれぞれがさらなる本体部に関連してロックされ得るようになっている。
いくつかの実施形態によれば、第2の本体部は、スプールの一部であるか、スプールに固定して取り付けられているか、または、スプールと係合するように配置されており、スプールは、細長い曲げ可能な物体を含有するように配置されている。細長い曲げ可能な物体は、複数の回転でスプール周りに巻かれる。そのような曲げ可能な細長い物体を備えるシステムは、たとえば、電気ケーブル、ワイヤ、水ホース、紙、縫製用コットンなどを収容するスプールであることが可能である。
第2の態様によれば、フィッシングリールが提供され、フィッシングリールは、本開示の回転摩擦ブレーキを備え、第1の本体部は、フィッシングリールのハウジングの一部であるか、または、フィッシングリールのハウジングの一部に固定して取り付けられており、第2の本体部は、ラインスプールの一部であるか、ラインスプールに固定して取り付けられているか、または、ラインスプールと係合するように配置されている。
第3の態様によれば、角速度の変化率によって調整される回転摩擦ブレーキが提供される。回転摩擦ブレーキは、第1の本体部と、第1の本体部に回転可能に取り付けられている第2の本体部とを備え、第2の本体部は、第2の本体部の回転中心軸線周りに回転するように配置されている。回転摩擦ブレーキは、枢動点において第2の本体部に回転可能に取り付けられている少なくとも1つの制動アームをさらに備える。枢動点は、半径方向の軸線に沿って回転中心軸線に対して偏心してオフセットされている。少なくとも1つの制動アームは、制動部材を備え、制動部材は、第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されている。少なくとも1つの制動アームは、質量中心を有しており、質量中心は、制動アーム軸線に沿って設置されている。制動アーム軸線は、枢動点に交差し、垂直軸線に対して角度βを形成している。垂直軸線は、枢動点を通る半径方向の軸線に対して垂直に定義されている。質量中心は、枢動点から、枢動点から回転中心軸線への距離よりも長い距離に設置されている。制動部材は、第1の角度β1よりも小さいβの値にわたって、第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されている。回転摩擦ブレーキは、少なくとも1つのストップ部材をさらに備え、少なくとも1つのストップ部材は、βが第2の角度β2よりも大きくなることを防止するように配置されており、したがって、第2の本体部に対する少なくとも1つの制動アームの移動を限定する。
回転摩擦ブレーキのこの実施形態は、以前に説明されている実施形態と同様に機械的に働く。相違点は、単に、少なくとも1つの制動アームの形状に過ぎず、制動部材は、枢動点の他方の側で第1の本体部の一部に摩擦によって係合するように配置されており、したがって、角加速度に対する依存性が逆になる。この実施形態は有利である。その理由は、それが、たとえば、望ましくないまたは予期しないプラスの角加速度などの、プラスの角加速度の局面の間に、制動を開始させることを可能にするからである。回転摩擦ブレーキ500が有用である可能性のある例は、エレベータ、クレーン、スキーリフトなどの中で使用されているものなどの、さまざまなトロリーシステムの中の安全ブレーキである。
1つの例示的な実施形態によれば、制動部材は、弾性的であるか、または、復元力を提供し、制動アーム軸線が、第1の角度β1よりも小さい角度βをとることを可能にし、角度βの減少によって、摩擦を徐々に増加させる。
適用可能性のさらなる範囲が、下記に与えられる詳細な説明から明らかになる。しかし、詳細な説明および特定の例は、好適な実施形態を示しているが、図示目的のためだけに与えられているに過ぎないことが理解されるべきである。その理由は、特許請求の範囲内のさまざまな変形例および修正例が、この詳細な説明から当業者に明らかになるからである。
したがって、本発明は、説明されているデバイスの特定のコンポーネントパーツ、または、説明されている方法のステップに限定されないことが理解されるべきである。その理由は、そのようなデバイスおよび方法は変化することが可能であるからである。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態だけを説明する目的のためのものであり、限定することを意図していないことが理解されるべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲の中で使用されているように、冠詞の「a」、「an」、「the」、および「前記(said)」は、別段文脈により示されない限り、要素のうちの1つまたは複数が存在することを意味することが意図されていることが留意されなければならない。したがって、たとえば、「a unit」または「the unit」への言及は、いくつかのデバイスなどを備えることが可能である。そのうえ、「を備える/備える(comprising/including)」、「を含有する(containing)」という用語、および、同様の文言は、他の要素またはステップを除外していない。
本発明は、例として、添付の概略的な図面を参照して、より詳細に説明され、図面は、現在の好適な実施形態を示している。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ1の概略上面図である。回転摩擦ブレーキ1は、プラスの角加速度およびマイナスの角加速度によって作動される。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ100の概略上面図である。回転摩擦ブレーキ100は、第2の本体部が参照方向Rに回転するときに、マイナスの角加速度によって作動される。
図2に示されている回転摩擦ブレーキ100に関して、その非制動位置にある間の、すなわち、α<α1のときの、制動部材の詳細上面図である。
図2に示されている回転摩擦ブレーキ100に関して、その制動位置にある間の、すなわち、α>α1のときの、制動部材の詳細図である。
代替的な例示的な実施形態による制動部材の詳細上面図であり、この図は、その非制動位置にあるときの、すなわち、α<α1のときの、制動部材を可視化している。
図4aに示されている例示的な実施形態による制動部材の詳細上面図であり、この図は、その制動位置にあるときの、すなわち、α<α1のときの、制動部材を可視化している。
2つ以上の部分を含む制動部材の上面図であり、この図は、その非制動位置にあるときの、すなわち、α<α1のときの、制動部材を可視化している。
図2の回転摩擦ブレーキ100のための少なくとも1つの制動アームの一部の詳細上面図であり、どのように質量中心が少なくとも1つの制動アームに対して調節され得るかを示す図である。
α2<90°になっている、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ200の概略上面図である。
α2<90°になっている、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ200’の概略上面図である。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ300の概略上面図であり、ここでは、少なくとも1つのストップ部材が調節され得、したがって、第2の角度α2を調節することを示す図である。
回転摩擦ブレーキが2つの制動アームを備える、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ400の概略上面図である。
第2の本体部が参照方向Rに回転するときにプラスの角加速度の間に制動作用が起こる、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ500の概略上面図である。
制動アームが第1の本体部の内側シャフトに摩擦によって係合するように配置されている、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ600の概略上面図である。
制動アームが、回転中心軸線に直交する第1の本体部の表面に摩擦によって係合するように配置されている、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ700の斜視図である。制動アームが非制動位置にあるときの回転摩擦ブレーキ700を示す図である。
制動アームが、回転中心軸線に直交する第1の本体部の表面に摩擦によって係合するように配置されている、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ700の斜視図である。制動アームが制動位置にあるときの回転摩擦ブレーキ700を示す図である。
制動アームが第1の本体部の外周表面に摩擦によって係合するように配置されている、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ800の斜視図である。
フィッシングリール50が本開示による回転摩擦ブレーキを備える、本開示の例示的な実施形態によるフィッシングリール50の斜視図である。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ900の斜視図である。制動アームが非制動位置にあるときの回転摩擦ブレーキ900を示す図である。第1の本体部910の前面は、明確化のために切り開かれている。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ900の斜視図である。制動アームが制動位置にあるときの回転摩擦ブレーキ900を示す図である。第1の本体部910の前面は、明確化のために切り開かれている。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ1000の斜視図である。制動アームが非制動位置にあるときの回転摩擦ブレーキ1000を示す図である。第1の本体部1010の前面は、明確化のために切り開かれている。
本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ1000の斜視図である。制動アームが制動位置にあるときの回転摩擦ブレーキ1000を示す図である。第1の本体部1010の前面は、明確化のために切り開かれている。
図1は、本開示の例示的な実施形態による回転摩擦ブレーキ1を図示している。回転摩擦ブレーキ1は、第1の本体部10および第2の本体部12を備え、第2の本体部12は、第1の本体部10に回転可能に取り付けられている。第2の本体部12は、第2の本体部12の回転中心軸線14周りに回転するように配置されている。回転摩擦ブレーキ1は、少なくとも1つの制動アーム16(この例では、1つの制動アーム)をさらに備え、少なくとも1つの制動アーム16は、枢動点18において、第2の本体部12に回転可能に取り付けられている。枢動点18は、半径方向の軸線20に沿って回転中心軸線14に対して偏心してオフセットされている。少なくとも1つの制動アーム16は、制動部材21aを備える。例では、少なくとも1つのアームは、さらなる制動部材21bをさらに備える。制動部材21a、21bは、第1の本体部10の一部に摩擦によって係合するように配置されている。そのうえ、少なくとも1つの制動アーム16は、質量中心22を有しており、質量中心22は、制動アーム軸線24に沿って設置されており、制動アーム軸線24は、枢動点18に交差し、外へ延在しており、枢動点18を通る半径方向の軸線20に対して垂直に定義される垂直軸線26に対して角度αを形成している。質量中心22は、枢動点18から、枢動点18から回転中心軸線14への距離よりも長い距離に設置されている。少なくとも1つの制動アーム16に関して質量中心22のそのような位置を実現するために、少なくとも1つの制動アーム16の一部分は、少なくとも1つの制動アーム16の平均密度よりも高い密度を有する材料から作製されている。その部分は、たとえば、金属から作製されてもよい。第2の本体部の回転制動は、制動部材21a、21bからの1つと第1の本体部10との間の摩擦接触によって起こる。第1の本体部10は、たとえば、ドラムであることが可能であり、制動部材21a、21bは、次いで、ドラムの周囲壁部の内側部分に摩擦によって係合するように配置されている。制動部材21a、21bは、αの値にわたって、第1の本体部10の一部に摩擦によって係合するように配置されており、αは、第1の角度α1よりも大きく、第2の角度α2よりも小さく、第1の角度α1は、第2の角度α2よりも大きい。
図1に示されている回転摩擦ブレーキ1は、第2の本体部12の角速度のプラスの変化率(すなわち、プラスの加速度)の局面の間に、および、第2の本体部12の角速度のマイナスの変化率(すなわち、マイナスの加速度、代替的に、減速度と称される)の局面の両方に、作動されることになる。用途に応じて、制動力は調節され得、制動力が、第2の本体部12のプラスの角加速度およびマイナスの角加速度の場合に関して異なるようになっている。これは、制動部材21a、21bを異なって形状決めすることによって行われ得る。代替的に、または追加的に、これは、たとえば、異なる材料を選ぶなど、制動部材を異なって設計することによって実現され得る。
いくつかの用途では、制動は、第2の本体部12のプラスの角加速度およびマイナスの角加速度の両方に関して、望ましくない可能性がある。そのような用途に関して、少なくとも1つの制動アーム16は、第1の本体部10と接触することが防止され得る。これは、少なくとも1つの制動アーム16の移動を角度αの特定の範囲の角度に限定することによって実現され得、制動部材21a、21bからの1つが、第1の本体部10と接触することができないようになっている。図2は、回転摩擦ブレーキ100の例を示しており、ここでは、角度区間が限定されている。図2の中の参照方向Rに沿って動作される場合に、回転摩擦ブレーキ100は、第2の本体部120のマイナスの角加速度によって作動されることになる。
図2は、本開示の実施形態による回転摩擦ブレーキ100を図示している。回転摩擦ブレーキ100は、第1の本体部110および第2の本体部112を備え、第2の本体部112は、第1の本体部110に回転可能に取り付けられている。第2の本体部112は、第2の本体部112の回転中心軸線114周りに回転するように配置されている。回転摩擦ブレーキ100は、少なくとも1つの制動アーム116(この例では、1つの制動アーム)をさらに備え、少なくとも1つの制動アーム116は、枢動点118において、第2の本体部112に回転可能に取り付けられている。枢動点118は、半径方向の軸線120に沿って回転中心軸線114に対して偏心してオフセットされている。少なくとも1つの制動アーム116は、制動部材121を備え、制動部材121は、第1の本体部110の一部分に摩擦によって係合するように配置されている。そのうえ、少なくとも1つの制動アーム116は、質量中心122を有しており、質量中心122は、制動アーム軸線124に沿って設置されており、制動アーム軸線124は、枢動点118に交差し、外へ延在しており、枢動点118を通る半径方向の軸線120に対して垂直に定義される垂直軸線126に対して角度αを形成している。質量中心122は、枢動点118から、枢動点118から回転中心軸線114への距離よりも長い距離に設置されている。少なくとも1つの制動アーム116に関して質量中心122のそのような位置を実現するために、少なくとも1つの制動アーム116の一部分は、少なくとも1つの制動アーム116の平均密度よりも高い密度を有する材料から作製されている。その部分は、たとえば、金属から作製されてもよい。第2の本体部の回転制動は、制動部材121と第1の本体部110との間の摩擦接触によって起こる。第1の本体部110は、たとえば、ドラムであることが可能であり、制動部材121は、次いで、ドラムの周囲壁部の内側部分に摩擦によって係合するように配置されている。制動部材121は、第1の角度α1よりも大きいαの値にわたって、第1の本体部110の一部に摩擦によって係合するように配置されている。少なくとも1つのストップ部材115(この例では、1つのストップ部材)が、αが第2の角度α2よりも小さくなることを防止するように配置されており、したがって、第2の本体部に対する少なくとも1つの制動アーム116の移動を限定する。ストップ部材115は、第2の本体部112の一体化されたパーツであってもよく、または、第2の本体部112に取り付けられてもよい。しかし、ストップ部材は、たとえば、中心軸線114に沿って設置されているシャフトの形態の、第1の本体部110の一部であることが可能であり、または、第1の本体部110がドラムである場合、ドラム壁部が、ストップ部材として機能することが可能である(図示せず)。ストップ部材が、第1の本体部110の一部であるか、または、第1の本体部110に取り付けられている場合には、制動アームと第1の本体部110のストップ部材との間の接触によって課される摩擦制動力を最小化することが重要である。
回転摩擦ブレーキは2つ以上の制動アームを有することが可能であることが理解されるべきである。制動アームのそれぞれは、これらが2つ以上である場合には、これらのそれぞれの枢動点、質量中心、および制動部材などを有することになる。また、ストップ部材の数は、変化することが可能である。それぞれの制動アームに関して1つのストップ部材が存在する可能性があるが、代替的に、制動アームよりも少ないストップ部材が存在することも可能である。たとえば、1つのストップ部材が、いくつかの制動アームに作用することが可能である。
回転摩擦ブレーキは、制動アーム116の平均密度よりも高い密度を有する材料を少なくとも1つの制動アーム116が含むことを要求しないことが強調される。また、特許請求されているような質量中心122の位置は、均一なまたはほぼ均一な密度を有する制動アーム116を使用して現実化され得、少なくとも1つの制動アーム116の設計は、その代わりに、質量中心122の正しい位置を保証する。そのような設計は、たとえば、少なくとも1つの制動アーム116の1つの位置において、材料のより大きいボリュームを含むことが可能であり、したがって、質量中心122が大きいボリュームの近くに位置することを保証する。
例示的な実施形態では、制動部材121は、弾性的であるか、または復元力を提供し、制動アーム軸線124が第1の角度α1よりも大きい角度αをとることを可能にし、これは、α>α1に関して角度αの増加とともに摩擦を徐々に増加させることを可能にする。
制動部材は、異なるようにして形状決めされ得る。たとえば、制動部材は、枢動点に近い位置において、第1の本体部と接触するように形状決めされ得、それによって、接触面積が、圧縮の増加とともに外向きに増加し、接触面積が、枢動点からより遠くに離れているエリアをカバーするようになっている。これは、図2に示されている回転摩擦ブレーキ100に関する場合である。図2の制動部材121の形状は、図3aを参照してさらに考察されることになり、図3aは、その非制動位置の、すなわち、α<α1のときの、制動部材121を示している。制動の間に第1の本体部110と接触状態にあるように適合されている制動部材121の一部は、角度αの値を増加させるために、制動部材121と第1の本体部110との間の接触面積を増加させるように設計された形状を有している。この形状は、少なくとも1つの制動アーム116が第1の本体部110と接触状態にないときに、すなわち、制動部材121が圧縮されていないα<α1に関して、枢動点118と制動部材121の外周部との間の距離(この距離は、半径方向の軸線120に対して角度γをとる距離軸線128に沿って定義される)が、角度γの増加とともに増加することになるように設計されている。制動が起こる少なくとも1つの制動アーム116のすべての位置に関して、すなわち、α>α1に関して、制動部材121は、さまざまな程度に、図3bに示されているように圧縮されることになる。圧縮の程度に応じて、制動部材121の形状は、接触面積を角度αとともに増加させることになる。制動は、接触面積に依存することになるが、また、制動部材121の厚さおよび特性にも依存することになる。たとえば、制動部材121が弾性材料から作製されている場合には、制動部材121の厚さが角度γとともに増加するならば好ましい可能性がある。
制動部材121による接触が行われる、第1の本体部110の部分は、枢動点118に関する位置に位置し、この位置は、枢動点118から、枢動点118の接線速度に対して概して逆の方向に位置することが、図1および図3a〜bから理解されるべきである。したがって、制動部材121は、第2の本体部112が参照方向Rに回転しているときに、枢動点118の角度位置よりも早い角度位置(すなわち、より小さい角度)において、第1の本体部110と接触することになる。そのような回転摩擦ブレーキ(回転摩擦ブレーキ100も含まれる)は、回転摩擦ブレーキの第1のカテゴリーに属し、これに関して、制動作用は、第2の本体部のマイナスの角加速度の間に実現される。代替的な実施形態では、制動部材による接触が行われる、第1の本体部の部分は、枢動点に関する位置に位置し得、この位置は、枢動点から、概して枢動点118の接線速度の方向に沿って方向付けされる方向に位置する。そのような場合では、制動部材は、第2の本体部が参照方向Rに回転しているときに、枢動点の角度位置よりも前にある角度位置(すなわち、より大きい角度)において、第1の本体部と接触することになる。そのような回転摩擦ブレーキは、回転摩擦ブレーキの第2のカテゴリーに属し、ここでは、制動作用は、第2の本体部のプラスの角加速度の間に実現される。
回転摩擦ブレーキの実施形態は、具体的には、これらのカテゴリーのいずれか一方(または、両方。図1を参照)に関して設計され得るが、第1のカテゴリーに属する特許請求の範囲の中の任意の回転摩擦ブレーキは、参照方向Rとは反対の回転方向に沿って動作される場合に、第2のカテゴリーに属するブレーキとして本質的に動作することになることが理解される。
図4aおよび図4bは、制動部材121’の代替的な形状を示しており、ここでは、制動部材121’は、枢動点118から所定の距離の位置において、第1の本体部110と接触するように形状決めされており、それによって、接触面積は、圧縮の増加とともに内向きに増加し、接触面積が、枢動点118のより近くのエリアをカバーするようになっている。
制動部材121の弾性特性は、たとえば、ゴム、プラスチック材料などの、弾性材料を使用することによって取得され得るが、また、ばねを備える制動部材121によっても実現され得る。これらのばねは、制動部材121の外周部と少なくとも1つの制動アーム116の残りの部分との間のボリュームを占めるように配置され得、ここで、ばねが圧縮されることになる。
図5は、代替的な設計の制動部材121”を示している。制動部材121”は、制動部材121と同じ形状を有しているが、2つ以上の部分121a、121b(例では、2つの部分)を含み、2つ以上の部分121a、121bのそれぞれは、その独自のセットの材料特性を有している。具体的には、例示的な実施形態では、2つ以上の部分121a、121bは、異なる材料特性を有する異なる材料を含む。
質量中心122と枢動点との間の距離、および/または、角度α2は、少なくとも1つの制動アーム116に対する質量中心122の位置を変化させることによって変化され得る。これは、スクリュー134を使用して少なくとも1つの制動アーム116の残りの部分にウェイト131を固定することによって実現される。ウェイトは、図6に示されているように、細長い孔部132に沿って移動可能である。細長い孔部132は、制動部材軸線と平行になっている必要はなく、非線形に形状決めされてもよく、したがって、質量中心122の位置を調節するときにより高い自由度を可能にする。
回転摩擦ブレーキ100の制動作用は、少なくとも1つの制動アーム116が第1の本体部110と物理的な接触状態になっているときに実現される。本明細書で開示されている実施形態を装備しているシステムの上で望ましくない制動が起こることを防止するために、少なくとも1つの制動アーム116の移動は、ユーザによる手動操作によって限定され得、したがって、ブレーキを無効にする。これは、図2に示されており、ここでは、回転摩擦ブレーキ100は、調節可能となるように配置されている少なくとも1つの防止部材136(例では、1つの防止部材)をさらに備える。少なくとも1つの防止部材136は、角度α>α1である位置、すなわち、制動が起こる位置に、少なくとも1つの制動アーム116が到達することを防止するために使用され得る。少なくとも1つの防止部材136は、第2の本体部112の一部であることが可能であり、したがって、第2の本体部112とともに回転するように配置され得る。また、これは、第1の本体部110の一部であることが可能である。後者の1つの実現は、少なくとも1つの制動アーム116を円形孔部の中の位置に拘束する、調節可能な直径を有する円形孔部を使用することであることが可能である。1つの解決策は、カメラの瞳の中で使用されているものなど、孔部を一緒に形成する複数のプレートを使用することであることになる。代替的に、少なくとも1つの防止部材136は、第1の本体部110および/または第2の本体部112に回転可能に取り付けられているさらなる本体部の一部であることが可能であり、さらなる本体部は、概して半径方向に延在する少なくとも1つのアームを装備しており、少なくとも1つのアームのそれぞれの1つは、第2の本体部112に対してさらなる本体部を回転させているときに、少なくとも1つの制動アーム116のそれぞれの1つをより小さいαに向けて押すように配置されている。さらなる本体部は、たとえば、巻き取りインターフェースに接続され得、巻き取りインターフェースによって、第2の本体部112は、参照方向Rに対して逆の回転方向に能動的に回転される。少なくとも1つの制動アーム116が、少なくとも1つの防止部材136によって角度α>α1に到達することを能動的に防止されるので、そのような巻き取りプロセスの間に、回転摩擦ブレーキ100は、ブレーキすることを許容されることとはならない。どのように防止部材を使用して少なくとも1つの制動アームの移動を限定するかについてのさらなる詳細は、本開示の以降の章において開示されることになる。
ここで、回転摩擦ブレーキの制動作用が、図2に示されている回転摩擦ブレーキ100を参照して説明される。しかし、説明は、特許請求の範囲内の他の実施形態に関して等しく有効であることになる。
回転摩擦ブレーキ100の制動作用は、回転している第2の本体部112の基準系において、少なくとも1つの制動アーム116(この例では、1つの制動アーム)に働かされる機械的な力およびモーメントを調査することによって説明され得る。機械的な力およびモーメントは、枢動点118において正味のモーメントMをもたらすことになり、正味のモーメントMは、回転している本体部112の基準系において、少なくとも1つの制動アーム116の移動の原因となる。角加速度が少なくとも1つの制動アーム116の上に慣性モーメントを導入することの結果として、制動作用は、回転している第2の本体部112の角加速度に依存することになる。しかし、制動作用は、また、少なくとも1つの制動アーム116に作用する遠心力、および、第1の本体部110と接触状態になっているときの少なくとも1つの制動アーム116のそれぞれの制動部材121に作用する摩擦力に依存する。力/モーメントの3つの異なる供給源は、回転している本体部112の基準系において、枢動点118における少なくとも1つの制動アーム116の上のモーメントのバランスを一緒に形成しており、角速度の範囲内で、および、角加速度の範囲内で、第1の本体部110に対する第2の本体部112の滑らかな回転制動を実現することを可能にする、モーメントのバランスを一緒に形成している。明確化のために、力/モーメントのこれらの供給源のそれぞれは、最初に、別々に考察されることになる。
第2の本体部112は、図1に示されている参照方向Rに回転しているときに、角速度のプラスの変化率(すなわち、プラスの角加速度)を受けるので、少なくとも1つの制動アーム116は、慣性モーメントを受けることになり、慣性モーメントは、枢動点118において、ここではM1として称されるモーメントをもたらす。回転が常に時計回りに(図1の中の方向R)開始することが仮定される場合には、第2の本体部112のプラスの角加速度は、M1を反時計回りに方向付けることになり、したがって、より小さい角度αに向けて少なくとも1つの制動アーム116を移動させようとし、一方、第2の本体部112のマイナスの角加速度は、M1を時計回りに方向付けられ、したがって、より大きい角度αに向けて少なくとも1つの制動アーム116を移動させようとする。慣性モーメントは(したがってM1も)、第2の本体部112の角加速度に依存する。
第2の本体部112が回転しているときに、少なくとも1つの制動アーム116は、そのボリュームのすべての部分において、遠心力を受けることになる。簡単にするために、遠心力が質量中心122のみに作用することを簡単化および仮定する。遠心力は、回転している物体に対して、この場合、第2の本体部112に対して、常に半径方向外向きに作用している。次いで、図1を検討すると、質量中心122に作用している遠心力が、枢動点118において、時計回りに方向付けられたモーメントM2をもたらすことになり、したがって、角度αを増加させようとすることが明らかである。質量中心122が半径方向外向きに移動するときに、すなわち、角度αが増加するときに、遠心力が(したがって、M2も)増加する。また、遠心力は、回転している本体部112の角速度に依存する。
少なくとも1つの制動アーム116が半径方向外向きに移動し、角度αが第1の角度α1に等しくなるようになっている場合には、制動部材121は、第1の本体部110と接触することになる。この接触は、制動部材121と第1の本体部110との間の摩擦力、すなわち、第1の本体部110に対して第2の本体部112を回転可能に制動することの原因となる摩擦力をもたらすことになる。しかし、回転している第2の本体部112の基準系において、摩擦力は、また、枢動点118周りに反時計回りに方向付けられたモーメントM3を生成させることによって、少なくとも1つの制動アーム116に影響を与える。このモーメントは、少なくとも1つの制動アーム116を回転させようとすることになり、これが角度αを減少させるようになっている。したがって、摩擦力から結果として生じるM3が、遠心力から結果として生じるM2とバランスするように作用することになる。M1は、第2の本体部112がプラスの角加速度またはマイナスの角加速度を有しているかに応じて、それぞれ、時計回りまたは反時計回りのいずれかに作用することになる。
制動部材121は弾性的であるか、または復元力を提供するので、第1の角度α1よりも大きい角度αの範囲が存在することになり、第2の本体部112は、制動を受けることになるが、αに応じて異なる程度に受けることになる。追加的に、制動部材121の弾性/復元力は、モーメントM3に寄与することになる。
図2に示されている回転摩擦ブレーキ100を検討し、上記に考察されているように少なくとも1つの制動アーム116に影響を与える機械的な力およびモーメントを考慮して、ここで、回転摩擦ブレーキ100の動作を考察することが可能である。参照方向Rにおいて、ゼロ速度からの第2の本体部112のプラスの角加速度の間に、少なくとも1つの制動アーム116は、慣性モーメントを受けることになり、慣性モーメントは、回転している第2の本体部112の基準系において、枢動点118においてモーメントM1をもたらす。角速度が低いときに、M2は無視することができ、枢動点118において、反時計回り方向に正味のモーメントをもたらす。したがって、少なくとも1つの制動アーム116は、角度αがα2に等しくなることになる位置に押されることになる。回転速度が増加するにつれて、少なくとも1つの制動アーム116に作用する遠心力が増加することになり、したがって、時計回りに方向付けられるモーメントM2を着実に増加させる。特定の回転速度において、M2の大きさは、M1の大きさよりも大きくなることになる。対応する時点において、回転している本体部112の基準系において、少なくとも1つの制動アーム116は、半径方向外向きに移動し始めることになり、したがって、角度αを増加させる。角度αがα1に等しくなるのに十分に遠くへ、少なくとも1つの制動アーム116が移動したときに、少なくとも1つの制動アーム116のそれぞれの1つの制動部材121が、第1の本体部110と接触することになり、第2の本体部112の回転制動の開始をもたらす。制動の間に、回転している第2の本体部112の基準系において、摩擦力は、枢動点118において、反時計回りに方向付けられたモーメントM3をもたらし、したがって、少なくとも1つの制動アーム116に作用しているモーメントM2に対抗することになる。したがって、枢動点118における正味のモーメントの大きさは低減されることになり、したがって、角度αを減少させる効果が、摩擦を低減させる。そして、これは、モーメントM3を低減させ、したがって、正味のモーメントなどを増加させる。したがって、回転摩擦ブレーキは、自己バランスする。パーツ、および、パーツが作製される材料の、詳細な分析および設計によって、本明細書で開示されている回転摩擦ブレーキは、異なるバージョンで現実化され得、それぞれが、その意図した使用に応じて、制動作用の異なる応答を提供する。
図2に図示されている回転摩擦ブレーキ100に関して、少なくとも1つの制動アーム116の形状、ならびに、少なくとも1つのストップ部材115の位置および寸法は、制動アーム軸線124が90°よりも大きい角度αを常に形成することになるように選ばれる(すなわち、α2>90°)。その代わりに、少なくとも1つの制動アーム116および/または少なくとも1つのストップ部材115が、異なって設計および/または位置する場合には、角度αが90°よりも小さくなることになる(すなわち、α2<90°)ブレーキを実現することが可能である。第2の角度α2の技術的効果は、遠心力に対して、角加速度に起因する慣性モーメントの相対的重要性を調節することである。図1の回転摩擦ブレーキ100は、遠心力に対して相対的に感度が高いことになる。その理由は、遠心力が、枢動点118周りに、αのすべての値に関して時計回りに方向付けられた、少なくとも1つの制動アーム116のモーメントM2をもたらすことになるからである。たとえば、回転摩擦ブレーキ100は、第2の本体部112の一定の回転速度で制動することになる。α2<90°の場合に、回転摩擦ブレーキは、その代わりに、枢動点118周りに、反時計回りに方向付けられた、少なくとも1つの制動アーム116のモーメントM2を生成させる遠心力をもたらすことになる。αがα2に等しい場合、第2の本体部112が一定の角速度で回転しているときに、したがって、制動していないときに、少なくとも1つの制動アーム116は、安定した位置で捕捉され得る。角度αの増加が起こるためには、マイナスの角加速度が必要とされることになり、このマイナスの角加速度は、枢動点118において、遠心力によって生成される少なくとも1つの制動アーム116の反時計回りのモーメントM2の大きさを超える大きさを有する、少なくとも1つの制動アーム116の(時計回りの)モーメントM1を生成させるのに十分に強力である。したがって、異なる挙動を有するブレーキが、単に第2の角度α2を調節することによって取得され得る。
図7は、本開示の実施形態による回転摩擦ブレーキ200を示しており、これに関して、α2<90°である。回転摩擦ブレーキ200のために、少なくとも1つのストップ部材215(例では、1つのストップ部材)が、90°未満の角度αによって定義される位置に制動アーム216が到達することを可能にするように配置されている。この実施形態では、少なくとも1つの制動アーム216(例では、1つの制動アーム)は、回転中心軸線214の位置を自由に通ることができなければならず、これは、常に実用的であるというわけではない可能性がある。図8は、本開示の実施形態による回転摩擦ブレーキ200’を示しており、ここでは、少なくとも1つのストップ部材215’(例では、1つのストップ部材)が、回転中心軸線214’と同軸に位置決めされており、少なくとも1つの制動アーム216’(例では、1つの制動アーム)は、非線形に形状決めされており、少なくとも1つの制動アーム216’の質量中心222’が要件α2<90°に準拠する位置に到達することを可能にする。
図2および図6をもう一度参照すると、少なくとも1つの制動アーム116の質量中心122の位置が、少なくとも1つの制動アーム116の挙動に大きな影響を及ぼし、したがって、回転摩擦ブレーキ100の動作にも大きな影響を及ぼすことが強調される。回転摩擦ブレーキ100が働く原理の説明から、少なくとも1つの制動アーム116が、α2において少なくとも1つのストップ部材115と接触し、かつ、α1において、または、α1よりもわずかに大きいところにおいて、第1の本体部110と接触することの結果として、質量中心122は、角度αの特定の範囲に常に限定されることになることが理解されるべきである。
好ましくは、質量中心122の場所は、特定の領域に限定されるべきである。これは、有利である可能性がある。その理由は、これが、遠心力が支配的になり過ぎる程度に十分大きい角度αの位置に少なくとも1つの制動アーム116が到達することを防止するからである。遠心力が支配的になり過ぎる場合には、これは、望ましくないほど頻繁に、および/または、望ましくなく高い程度まで制動する、回転摩擦ブレーキ100をもたらす可能性がある。
1つの好適なそのような領域は、円筒形状のボリュームの中にあり、円筒形状のボリュームは、回転中心軸線114と同軸になっており、第2の本体部112の回転中心軸線114に直交する円形断面積を有しており、円形断面積の半径は、回転中心軸線114と枢動点118との間の距離に等しい。したがって、好適な領域を利用する実施形態に関して、質量中心122は、第2の本体部112の物理的な境界線を離れることは許容されない。
別の好適なそのような領域は、枢動点118を含有しない平面130の側に質量中心122が位置することである。平面130は、ここでは、半径方向の軸線120に直交して定義されており、回転中心軸線114に交差している。
別の好適なそのような領域は、角度αを使用して定義され得る。第2の角度α2が80°<α2<100°の範囲内にあることが望ましい可能性がある。
第2の角度α2が88°<α2<95°の範囲内にあることが望ましい可能性がある。
第2の角度α2が90°<α2<95°の範囲内にあることが望ましい可能性がある。
ここで、本開示における回転摩擦ブレーキが説明されてきた。この説明は、選択された例示的な実施形態に関して提示されているが、本明細書で開示されているすべての実施形態に関して等しく当てはまり、かつ、本明細書で開示されていないが特許請求の範囲内にある任意の実施形態に関しても等しく当てはまることが理解される。
図9は、本開示の代替的な実施形態による回転摩擦ブレーキ300を示している。回転摩擦ブレーキ300では、少なくとも1つのストップ部材315(この例では、1つのストップ部材)が、スライド溝部317にしたがって移動されるように配置されており、したがって、角度α2がユーザによって変化されることを可能にする。したがって、そのような実施形態では、プラスの角加速度の局面の間に、第2の本体部312に対して少なくとも1つの制動アーム316の位置を調節することが可能である。これは、回転摩擦ブレーキ300の感度が調節される必要がある用途において、有利である可能性がある。少なくとも1つのストップ部材315の位置は、たとえばスクリューまたはピンを使用して、第2の本体部312に対して少なくとも1つのストップ部材315の固定を外すことによって調節される。固定を外されると、少なくとも1つのストップ部材315は、位置を調節することができ、その後に、少なくとも1つのストップ部材315は、再び第2の本体部312に対して締め付けられる。
図10は、本開示の代替的な実施形態による回転摩擦ブレーキ400を示している。回転摩擦ブレーキ400に関して、第2の本体部412は、2つの制動アーム416、416’を備える。2つの制動アームのうちの第1の制動アーム416は、枢動点418において、第2の本体部412に回転可能に取り付けられており、一方、2つの制動アームのうちの第2の制動アーム416’は、第2の枢動点418’において、第2の本体部412に回転可能に取り付けられている。枢動点418および第2の枢動点418’は、回転中心軸線414のいずれかの側において、半径方向の軸線420に沿って位置し、かつ、第2の枢動点418’と回転中心軸線414との間の距離と同じ、枢動点418と回転中心軸線414との間の距離になっている。
回転摩擦ブレーキ400の利点は、回転している第2の本体部412がバランスされることになり、したがって、高い角速度においても滑らかな振動のない回転を可能にすることである。別の利点は、1つの代わりに2つの制動アームを使用することが、同じ制動力に対してそれぞれの制動アームの重量を低減させることを可能にし、機械的なパーツの耐久性を増加させることである。これらの利点は、3つ以上の制動アームが使用される実施形態に関して、明らかに同じである。任意の数の制動アームが、原理的には、特許請求の範囲内で使用され得ることが理解される。したがって、たとえば、それぞれの枢動点に回転可能に取り付けられている3つ以上の制動アームが使用され得、枢動点は、角度的に均一に離れて広げられている。
回転摩擦ブレーキの実施形態は、マイナスの角加速度の局面の間の制動に限定されるべきではない。本開示の実施形態による回転摩擦ブレーキ500が図11に示されている。回転摩擦ブレーキ500に関して、制動は、プラスの角加速度の局面の間に開始される。回転摩擦ブレーキ500は、第1の本体部510および第2の本体部512を備え、第2の本体部512は、第1の本体部510に回転可能に取り付けられている。第2の本体部512は、第2の本体部512の回転中心軸線514周りに回転するように配置されている。回転摩擦ブレーキ500は、少なくとも1つの制動アーム516(この例では、1つの制動アーム)をさらに備え、少なくとも1つの制動アーム516は、枢動点518において、第2の本体部512に回転可能に取り付けられている。枢動点518は、半径方向の軸線520に沿って回転中心軸線514に対して偏心してオフセットされている。少なくとも1つの制動アーム516は、制動部材521を備え、制動部材521は、第1の本体部510の一部に摩擦によって係合するように配置されている。そのうえ、少なくとも1つの制動アーム516は、質量中心522を有しており、質量中心522は、制動アーム軸線524に沿って設置されており、制動アーム軸線524は、枢動点518に交差し、外へ延在しており、枢動点518を通る半径方向の軸線520に対して垂直に定義される垂直軸線526に対して角度βを形成している。質量中心522は、枢動点518から、枢動点518から回転中心軸線514への距離よりも長い距離に設置されている。少なくとも1つの制動アーム516に関して質量中心522のそのような位置を実現するために、少なくとも1つの制動アーム516の一部分は、少なくとも1つの制動アーム516の平均密度よりも高い密度を有する材料から作製されている。その部分は、たとえば、金属から作製されてもよい。第2の本体部512の回転制動は、制動部材521と第1の本体部510との間の摩擦接触によって起こる。第1の本体部510は、たとえば、ドラムであることが可能であり、制動部材521は、次いで、ドラムの周囲壁部の内側部分に摩擦によって係合するように配置されている。制動部材521は、第1の角度β1よりも小さいβの値にわたって、第1の本体部510の一部に摩擦によって係合するように配置されている。少なくとも1つのストップ部材515(この例では、1つのストップ部材)が、βが第2の角度β2よりも大きくなることを防止するように配置されており、したがって、第2の本体部に対する少なくとも1つの制動アーム516の移動を限定する。
制動部材521は、弾性的であるか、または復元力を提供し、制動アーム軸線524が第1の角度β1よりも小さい角度βをとることを可能にし、これは、β<β1に関して角度βの減少とともに摩擦を徐々に増加させることを可能にする。
図11および以上の説明の中で使用されている角度βは、本明細書で他の実施形態に関して使用されている角度αと同じ機能を有することが理解されるべきである。したがって、角度αおよび角度βは、相互交換可能に使用され得る。また、参照方向の選択に応じて、定義β=180°−αを使用することが便利である可能性がある。特許請求の範囲内にあることが可能な多くの実施形態が存在することが本開示から理解されるべきである。たとえば、制動部材は、図1、図2、図7〜図10の実施形態に開示されているものとは他のようにして、第1の本体部に摩擦によって係合するように配置され得る。たとえば、少なくとも1つの制動アームは、第1の本体部のセンターシャフトに摩擦によって係合するように配置され得る。そのような設計は、図12に示されており、図12は、本開示の実施形態による回転摩擦ブレーキ600を開示している。回転摩擦ブレーキ600は、制動アーム616が第1の本体部610のセンターシャフト617を介して第1の本体部と接触するように配置されていることを除いて、図2に示されている回転摩擦ブレーキ100と同様である。制動アーム616は、制動部材621を備え、制動部材621は、第2の本体部612のセンターシャフト617に摩擦によって係合するように配置されている。ストップ部材615は、回転中心軸線614から概して半径方向外向きの位置に配置されている。ストップ部材615は、制動アーム616の移動を限定することを可能にし、角度αが第2の角度α2よりも低くならないようになっている。回転摩擦ブレーキ600は、第2の本体部が参照方向Rに回転されるときに、マイナスの角加速度によって作動される。
代替的に、少なくとも1つの制動アームは、回転中心軸線に直交する第1の本体部の表面に摩擦によって係合するように配置され得る。この例では、制動部材は、角度αが変化するときに、たとえば、回転中心軸線と平行の軸線に沿って同軸に、第1の本体部の表面に向けて移動することができなければならない。これに対する機械的な解決策は、枢動点の場所において、スクリューを使用することである。少なくとも1つの制動アームが半径方向外向きに移動し、角度αを増加させるときに、少なくとも1つの制動アームは、同時に、第1の本体部の内側部に向けて同軸に外向きに移動する。次いで、制動部材は、枢動点の上部において、または、枢動点の近くにおいて、少なくとも1つの制動アームの外側に装着され得る。
図13aおよびbは、この原理に基づく回転摩擦ブレーキ700を示している。回転摩擦ブレーキ700では、第1の本体部710および第2の本体部712は、ディスク形状になっており、それらの間に所定の距離を形成するように、互いに平行に配置されている。第2の本体部712は、回転中心軸線714周りに、第1の本体部710に関連して回転するように配置されている。回転摩擦ブレーキ700は、制動アーム716を備え、制動アーム716は、枢動点718において、第2の本体部712に回転可能に取り付けられている。制動アーム716は、スクリュー719を備え、スクリュー719は、ネジ山付きの孔部を通して第1の本体部710に接続するように配置されている。制動部材721が、スクリュー719の遠位端部に配置されている。図13aでは、回転摩擦ブレーキ700は、活性状態ではない。制動アーム716の質量中心は、回転中心軸線714の比較的に近くに位置し、制動アーム716は、ストップ部材715と接触状態になっている。第2の本体部712が減速し始めると、図13aの中の湾曲した矢印によって示されているように、制動アームの質量中心が外向きに移動するように、制動アームは移動することになる。制動アーム軸線の角度αが変化するとき、スクリュー719は、ネジ山付きの孔部の中で回転することになり、したがって、枢動軸線718’に沿って第1の本体部710に関連して制動部材721を移動させ、制動部材721が、図13bに示されているように、第1の本体部710の一部分(図13aおよびbの中の点線の円形によって示されている)に摩擦によって係合するようになっている。代替的に、少なくとも1つの制動アームは、第1の本体部の周囲壁部の外側部分に摩擦によって係合するように配置され得る。この原理に基づく回転摩擦ブレーキが、回転摩擦ブレーキ800を示す図14に示されている。第1の本体部810および第2の本体部812は、図13aおよびbに示されている回転摩擦ブレーキ700に関するものと同じように配置されている。回転摩擦ブレーキ800は、制動アーム816を備え、制動アーム816は、枢動点818において、第2の本体部812に回転可能に取り付けられている。制動アーム816は、半径方向の軸線820に沿って概して半径方向外向きの方向に延在しており、第1の本体部810の周囲壁部811の外側部分の外側に延在する湾曲した部分を形成している。制動アーム816は、湾曲した部分の端部に制動部材を備え、制動部材は、第1の本体部の周囲壁部811の外側部分に摩擦によって係合することを可能にするように形状決めされている。
別の重要な態様は、少なくとも1つの制動アームの移動である。少なくとも1つの制動アームは、必ずしも、第2の本体部の回転中心軸線に直交する平面の中で移動する必要があるわけではないことが本開示から理解されるべきである。たとえば、枢動点は、たとえば、第2の本体部の回転中心軸線に対して90°以外の角度を形成する平面の中での少なくとも1つの制動アームの回転のために配置されているヒンジであってもよい。たとえば、制動部材は、少なくとも1つの制動アームの他方の側、すなわち、枢動点から最も遠く離れた位置に位置し得る。角度αが増加すると、制動部材は、第2の本体部の回転中心軸線と平行な次元に沿って、半径方向外向きに、および、同軸に外向きに移動することになる。角度αにおいて、制動部材は、第1の本体部の内側表面と接触状態になることになる。
本明細書で開示されている任意の実施形態の利点は、回転摩擦ブレーキが、回転している第2の本体部の角加速度によって調整されることになることである。これは、プラスの角加速度の局面の間に、比較的に速い回転速度が要求されるが、一定の角速度の局面および/またはマイナスの角加速度の局面の間に、制動が要求される用途に関して、ブレーキが有用となることを可能にする。これが有用である可能性のある用途の典型的な例は、たとえば、ケーブルドラム、水ホース、大型のペーパーロール、および縫糸ロールなどの、システムである。別の例は、ウインドラスであり、たとえば、ボートの上のアンカーチェーンを抑制および操作するために使用されるアンカーウインドラスであり、アンカーがケーブルによって上昇および低下されることを可能にする。これらのシステムは、典型的に、製品(たとえば、ケーブル、ホース、紙、または糸)を含み、製品は、その性質上、曲げ可能でありかつ細長くなっており、複数の回転でスプールの上に巻かれるように配置されている。
そのような用途のさらなる例は、フィッシングリールである。図15は、ハウジング52およびラインスプール54を備えるフィッシングリール50を示しており、ラインスプール54は、ハウジング52に回転可能に取り付けられている。ラインスプール54は、複数の回転でラインスプール54周りに巻かれるフィッシングライン56を収容するように構成されている。フィッシングリールは、巻き取りインターフェース58をさらに備え、巻き取りインターフェース58は、フィッシングライン56をラインスプールの上に巻き取ることを可能にするように配置されている。巻き取りインターフェース58は、ハンドル60によって制御される。フィッシングリール50は、回転摩擦ブレーキ70をさらに備える。回転摩擦ブレーキ70は、ラインのキャスティングの間にスプールに対する制動を提供するように配置されており、たとえば、バックラッシュを防止する。実施形態では、回転摩擦ブレーキ70は、本開示による回転摩擦ブレーキである。したがって、回転摩擦ブレーキ70は、本明細書で開示されている実施形態からの任意のものであることが可能であることが理解される。回転摩擦ブレーキは、添付の特許請求の範囲内の回転摩擦ブレーキの任意の実施形態であることが可能であることがさらに理解されるべきである。そのような回転摩擦ブレーキの例は、図10に示されている回転摩擦ブレーキ400である。例としてこれを使用して、第1の本体部410は、フィッシングリール50のハウジング52の一部であるか、または、フィッシングリール50のハウジング52に固定して取り付けられており、第2の本体部412は、ラインスプール54の一部であるか、ラインスプール54に固定して取り付けられているか、または、ラインスプール54と係合するように配置されている。
これは、いくつかの実施形態に関して、少なくとも1つの制動アームが、ラインスプールに直接的に回転可能に取り付けられてもよいことを暗示しており、すなわち、ラインスプールが第2の本体部であることが可能であることを暗示している。代替的な実施形態に関して、ラインスプールは、第2の本体部とともに回転するように配置されているさらなる本体部であることが可能である。そのようなさらなる本体部は、たとえば、接続シャフトを介して、第2の本体部に固定して取り付けられてもよいが、代替的に、たとえば、ギヤまたはピンなどの、適切な係合手段によって、第2の本体部と係合するように配置されてもよい。そのような係合手段は、さらなる本体部を第2の本体部に能動的に接続するように配置され得る。また、係合手段は、第2の本体部からさらなる本体部を切り離すように配置され得る。次いで、さらなる本体部および第2の本体部は、第2の本体部の中心軸線周りに、互いに個別に回転するように配置され得る。
キャスティングの間に、ラインが同じレートで繰り出されることができない(その代わりに、いわゆるバーズネスト(バックラッシュとも称される)を形成する)ような速い速度で、スプールが回転することを防止するために、回転摩擦ブレーキ70は、必要とされる瞬間に、ラインスプール54を制動するように配置されている。キャストの間に、ラインスプール54の回転速度は、プラスの角加速度の比較的に短い初期の局面の間に、最大速度まで急速に増加し、その後に、マイナスの角加速度のより長い局面の間に減少する。強力なプラスの角加速度の局面の間に、回転摩擦ブレーキ70は、制動しないことになる。その理由は、少なくとも1つの制動アームが、慣性モーメントによって、少なくとも1つのストップ部材に向けて、α=α2である位置まで押されることになるからである。最大角速度に到達する瞬間の辺りのどこかで(それは、プラスの角加速度の局面の終わりのとき、または、マイナスの角加速度の局面の始まりのとき、のいずれかである)、少なくとも1つの制動アームは、半径方向外向きに移動し始め、角度αを増加させることになる。制動が、α=α1において開始することになり、マイナスの角加速度の局面の間に継続する。ライン56を巻き取るために、スプール54は、逆方向に能動的に回転されなければならない。このプロセスの間の制動を防止するために、少なくとも1つの防止部材は、少なくとも1つの制動アームが角度α>α1に到達することを防止するように調節され、すなわち、制動が起こることを防止する。好ましくは、少なくとも1つの防止部材は、巻き取りインターフェース58に接続され得、巻き取りインターフェース58によって、ユーザは、ライン56をスプール54の上に巻き取る。したがって、少なくとも1つの防止部材は、キャストの間に不活性化された位置にあることになり、αがα1よりも大きくなることを可能にし、一方、巻き取りプロセスの間に活性位置にあり、したがって、αがα1に到達することを防止する。
本明細書で開示されている回転摩擦ブレーキは、第2の本体部の回転移動によって制御される。そのうえ、制動作用は、第2の本体部の回転方向に応じて異なる。したがって、実用的な用途に関して、特定の動作の間に、ブレーキを手動で完全に無効にするための手段を提供することが、利点である可能性がある。以前に開示されているように、これは、少なくとも1つの防止部材によって実現され得る。ここで、どのように少なくとも1つの防止部材が回転摩擦ブレーキの少なくとも1つの制動アームに関係し得るかを開示する、例示的な実施形態の詳細な説明が提供されることになる。
図16aおよびbは、2つの制動アーム916を備える回転摩擦ブレーキ900を示しており、2つの制動アーム916は、図10に示されている回転摩擦ブレーキ400の中で使用されている同じようにして、互いに対して反対に配置されている。少なくとも1つの制動アーム916は、第1の本体部910の内側周囲壁部の上で、第1の本体部910に摩擦によって係合するように配置されている。回転摩擦ブレーキ900は、さらなる本体部913をさらに備え、さらなる本体部913は、第2の本体部912の回転中心軸線914周りに回転するように配置されている。第2の本体部912およびさらなる本体部913は、ディスク形状になっており、互いに平行に、および、互いに所定の距離に位置する。第2の本体部912は、少なくとも1つの細長い孔部937を備え、少なくとも1つの細長い孔部937は、回転中心軸線914と少なくとも1つの枢動点918との間の半径方向の距離よりも長い、回転中心軸線914からの所定の半径方向の距離に、第2の本体部912の接線方向に沿って配置されている。少なくとも1つの細長い孔部937のそれぞれは、少なくとも1つの制動アーム916のそれぞれに少なくとも部分的に重なり合うように位置する。さらなる本体部913は、少なくとも1つの防止部材936(例では、2つの防止部材)を備え、少なくとも1つの防止部材936は、さらなる本体部913に固定して取り付けられている。少なくとも1つの防止部材936は、回転中心軸線914に対して平行の方向に延在しており、少なくとも1つの防止部材936のそれぞれが、少なくとも1つの細長い孔部937のそれぞれを通して突出するようになっている。第2の本体部912に関連してさらなる本体部913を回転させるときに、少なくとも1つの防止部材936は、少なくとも1つの制動アームと係合することが可能であり、制動部材921が第1の本体部910に摩擦によって係合することを防止するようになっている。換言すれば、少なくとも1つの防止部材936は、さらなる本体部913が第1の回転方向Lに沿って第2の本体部912に関連して回転されるときに、それぞれの対応する制動アーム916の制動部材921が第1の本体部910に摩擦によって係合することを防止するように配置されている。
この設計に伴う利点は、第1の方向Lが、ブレーキの動作回転方向、すなわち、参照方向Rとは反対になっていることである。したがって、回転摩擦ブレーキ900は、スプールの上に細長い曲げ可能な物体を必要とする用途にとりわけ良く適している。ここで、利点が、例としてフィッシングリールを使用して説明される。
フィッシングリールのある実施形態では、さらなる本体部913は、ラインスプールの一部であるか、または、ラインスプールに固定して取り付けられており、一方、1つまたは複数の制動アームを備える第2の本体部912は、1つまたは複数の細長い孔部937を通して突出している1つまたは複数の防止部材936によって、さらなる本体部913と係合するように配置されている。キャスティングの間に、さらなる本体部913が、ラインによって、参照方向Rに回転されるときに、したがって、第2の本体部912は、少なくとも1つの細長い孔部937を通して突出している少なくとも1つの防止部材936によって、さらなる本体部913とともに回転されることになる。少なくとも1つの防止部材936が非意図的に少なくとも1つの制動アーム916に影響を及ぼすことを回避するために、さらなる本体部913は、たとえば、留め金または磁石などを使用して、第2の本体部912をロックするように配置され得る。ラインを回収するなどのためにスプールを巻き取るときに、第2の本体部912は、参照方向Rとは反対の方向に回転されることになり、したがって、回転摩擦ブレーキ900を非活性化することが望ましい。その理由は、巻き取りの間に第2の本体部に課されるプラスの角加速度が、ブレーキを活性化する可能性があり、したがって、巻き取りプロセスを困難にするからである。駆動機構(たとえば、回転ハンドルまたはモータ)を装備している機械的なインターフェースなどの巻き取りインターフェースに第2の本体部912を接続することによって、フィッシングリールのユーザは、スプールを巻き取るためにハンドルを回転させることによって、したがって、ラインをスプールの上に回収することによって、第1の回転方向Lに沿って第2の本体部912を能動的に回転させることが許容されることになる。第2の本体部912が第1の回転方向Lに沿って回転されるときに、ラインスプールを備えるさらなる本体部913が、第2の本体部912とともに回転されることになる。少なくとも1つの防止部材936は、第2の本体部912の少なくとも1つの制動アーム916の制動作用を無効にすることになる。ユーザがラインを能動的に回収し、したがって、第2の本体部912がさらなる本体部913を第1の回転方向Lに能動的に回転させる限りにおいて、回転摩擦ブレーキは、無効にされることになり、したがって、効率的で容易な巻き取り手順を可能にする。
図16aおよびbに示されている回転摩擦ブレーキ900は、少なくとも1つの防止部材によって制動アームに働かされる力を能動的に維持することなく、制動を無効にすることを許容しない。この問題を克服するために、ロッキング機構が使用され得、ロッキング機構は、制動部材がさらなる本体部に摩擦によって係合しない位置に、少なくとも1つの制動アームを固定するように適合されている。図17aおよびbは、そのようなブレーキを無効にすることを可能にする回転摩擦ブレーキ1000を示している。
図17aは、制動作用に関する限り、回転摩擦ブレーキ900と同様の回転摩擦ブレーキ1000を示している。しかし、回転摩擦ブレーキ1000は、回転摩擦ブレーキを無効にする代替的な方式を有していない。回転摩擦ブレーキ1000に関して、さらなる本体部1013は、第2の本体部1012に回転可能に取り付けられている中心部分1040を有している。さらなる本体部は、少なくとも1つの防止部材1036(例では、2つの防止部材)をさらに備え、少なくとも1つの防止部材1036は、中心部分1040に固定して取り付けられている。少なくとも1つの防止部材1036は、回転中心軸線1014から概して半径方向に沿って外向きに延在している。少なくとも1つの防止部材1036は、湾曲していてもよい。少なくとも1つの制動アーム1016からのそれぞれの1つは、アンカーピン1044を備え、アンカーピン1044は、回転中心軸線1014と平行の方向に沿って延在しており、第2の本体部1012から離れる方に方向付けされている。第2の本体部1012に関連して第1の方向Lに沿ってさらなる本体部1013を回転させるときに、少なくとも1つの防止部材1036のそれぞれは、対応する制動アーム1016の上のアンカーピン1044と接触することになり、したがって、制動部材1021が第1の本体部1010と摩擦によって係合しない位置へ少なくとも1つの制動アーム1016を押す。
回転摩擦ブレーキ1000は、ロッキング機構1041a、1041bをさらに備え、ロッキング機構1041a、1041bは、制動部材1021が第1の本体部1010に摩擦によって係合していないときに、第2の本体部1012に関連して少なくとも1つの制動アーム1016を固定するように配置されている。ロッキング機構1041a、1041bは、さらなる本体部1013の上に配置されている少なくとも1つの第1のロッキング部材1041aと、少なくとも1つの制動アーム1016の上に配置されている少なくとも1つの第2のロッキング部材1041bとを備える。少なくとも1つの第1のロッキング部材1041aのそれぞれは、少なくとも1つの第2のロッキング部材1041bの対応するそれぞれの上にロックするように配置されており、少なくとも1つの制動アーム1016のそれぞれがさらなる本体部1013に関連してロックされ得るようになっている。回転摩擦ブレーキ1000に関して、少なくとも1つの第1のロッキング部材1041aは、さらなる本体部1013の中心部分1040の周囲縁部に沿って位置する少なくとも1つの凹部である。同様に、少なくとも1つの第2のロッキング部材1041bは、少なくとも1つの制動アーム1016の縁部の上の少なくとも1つの突出部である。ロッキング機構1041a、1041bは、少なくとも1つの制動アーム1016をロックすることを可能にするように配置されており、制動部材1021が第1の本体部1010に摩擦によって係合していない位置において、少なくとも1つの制動アーム1016が第2の本体部1012に関連して移動可能でないようになっている。この位置は、図17bに示されている。
特許請求されている回転摩擦ブレーキが、決して、上記に説明されている好適な実施形態に限定されないことを、当業者は認識する。対照的に、多くの修正例および変形例が、添付の特許請求の範囲内で可能である。
たとえば、異なる設計の制動アームが、同じ回転摩擦ブレーキの上で使用され得る。制動アームは、異なるようにして第1の本体部に摩擦によって係合するように配置され得る。制動アームは、第2の本体部の加速度の異なる閾値レベルにおいて活性化するように配置され得る。
追加的に、開示されている実施形態に対する変形例が、本図面、本開示、および添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求されている発明を実施する際に、当業者によって理解および実現され得る。