JP2019183104A - ケイ素含有無機粒子を含む熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂とケイ素含有無機粒子とポリシランとを含む。
熱可塑性樹脂としては、特に制限されず、例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂などのポリα―C2−6オレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂などの環状オレフィン系樹脂など);変性オレフィン系樹脂(塩素化ポリエチレンなどのハロゲン化オレフィン系樹脂、架橋ポリプロピレンなどの架橋オレフィン系樹脂、無水マレイン酸グラフトポリエチレンなどのグラフト共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンービニルアルコール共重合体などの共重合体など);塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂など);酢酸ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニル又はその誘導体(ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなど)など);スチレン系樹脂(ポリスチレン;アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系共重合体、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体などのゴム強化ポリスチレン系樹脂など);(メタ)アクリル系樹脂;ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのC2−4アルキレンC6−12アリレート単位を有するホモ又は共重合ポリエステル、ポリ(1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート)などのC5−10シクロアルキレンジC1−4アルキレンC6−12アリレート、ポリフェニレンアリレートなどの全芳香族系ポリエステル(ポリアリレート)など);ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂など);ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド6−6などの脂肪族ポリアミド、シクロアルカンジカルボン酸とジアミンとなどで形成された脂環族ポリアミド、MXD−6、テレフタル酸とトリメチルヘキサメチレンジアミンとなどで形成された芳香族ポリアミドなど);ポリエーテル系樹脂(ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂など);ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂など);ポリアセタール系樹脂;フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレンなど);液晶プラスチック(液晶ポリエステルなど);熱可塑性エラストマー(オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、フッ素系エラストマーなど)などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ケイ素含有無機粒子は、ケイ素を含む無機粒子であれば特に限定されず、例えば、酸化ケイ素、ケイ酸塩、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを含む無機粒子であってもよいが、ポリシランによる効果が発現し易い点から、SiO2(二酸化ケイ素)を含む無機粒子が好ましく、SiO2を主成分として含む無機粒子が特に好ましい。
ポリシランは、特に限定されず、Si−Si結合を有する鎖状(線状)、環状、分岐鎖状又は網目状のケイ素原子からなる同核高分子であればよく、下記式(1)又は(2)で表される構造単位のうち少なくとも1つの構造単位を有する場合が多い。
樹脂組成物は、必要に応じて、各種添加剤(配合剤)を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、難燃剤、安定剤(熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、着色剤(顔料など)、帯電防止剤、滑剤、加工助剤、抗菌剤、防カビ剤、強化材、ケイ素含有無機粒子を除く充填材などが挙げられる。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。これら添加剤の添加量は、添加剤の種類に応じて選択でき、添加剤の総量は、熱可塑性樹脂(特にポリプロピレン系樹脂などのオレフィン系樹脂)100重量部に対して、0.001〜100重量部の範囲から選択でき、例えば、100重量部以下(例えば、0.01〜80重量部)、好ましくは70重量部以下(例えば、0.1〜60重量部)、さらに好ましくは50重量部以下(例えば、0.1〜40重量部程度)であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂とケイ素含有無機粒子(特に、珪砂、フライアッシュ及びガラスビーズからなる群より選択された少なくとも1種)とポリシランとを溶融混練することにより製造できる。
ポリプロピレン:日本ポリプロ(株)製、「ノバテックPP BC03C」
フライアッシュ:「JIS A 6201 I種−JIS Z 8901 10種規格品」(日本粉体工業技術協会より購入)日本粉体工業技術協会 JIS試験用粉体1の3種(粒径分布は以下の通り)
5μm未満:39重量%、5〜10μm:18重量%、10〜20μm:16重量%、20〜30μm:12重量%、30〜40μm:6重量%、40〜75μm:6重量%、75μm以上:3重量%
珪砂:日本粉体工業技術協会 JIS試験用粉体1の3種(粒径分布は以下の通り)
5μm未満:39重量%、5〜10μm:18重量%、10〜20μm:16重量%、20〜30μm:12重量%、30〜40μm:6重量%、40〜75μm:6重量%、75μm以上:3重量%
ガラスビーズ:ポッターズ・バロティー二(株)製「マイクロガラスビーズEMB−10」、平均粒径:5μm
ポリシラン:大阪ガスケミカル(株)製、「ポリメチルフェニルシラン(OGSOL SI−10−40)」(重量平均分子量:700、数平均分子量:620)。
(メルトフローレートMFR(g/10分))
メルトインデクサー(タカラ工業(株)製、「TYPE:L203」)を用いて、JIS K 7210に準拠して3回測定し、3回測定した平均値をメルトフローレート値とした。なお、試験温度:230℃、試験荷重:2.16kgとした。
引張試験機((株)東洋精機製作所製、「ストログラフAP II」)を用いて、JIS K 7161に準拠して5回測定し、5回測定した平均値を、それぞれ引張降伏応力、引張破壊応力及び引張破壊呼びひずみとした。ISO多目的タイプAの試験片を用い、試験速度:50mm/分、チャック間距離:115mmとした。なお、引張破壊呼びひずみは、初期のチャック間距離を基準とし、破断時のチャック間距離の増加割合を表す。
曲げ試験機((株)東洋精機製作所製、「ベンドグラフ II」)を用いて、JIS K 7171に準拠して5回測定し、5回測定した平均値を曲げ強さ及び曲げ弾性率とした。なお、試験速度:2mm/分、スパン間距離:64mm、圧子及び支持台半径:5mmとした。
デジタルインパクトテスター((株)東洋精機製作所製)を用いて、JIS K 7111に準拠して10回測定し、10回測定した平均値をシャルピー衝撃強さとした。なお、ノッチ形状:A、ハンマ秤量:0.5Jとした。
HDT試験機((株)東洋精機製作所製、「AUTO HDT TESTER」)を用いて、JIS K 7191に準拠して3回測定し、3回測定した平均値を荷重たわみ温度とした。なお、試験片方向:フラットワイズ、昇温度速度:120℃/時、曲げ応力:0.45MPaとした。
大気中の耐熱性試験として、110℃に設定したオーブンに試料を500時間静置し、熱処理を行った。500時間後、オーブンから試料を取り出し、引張降伏応力、引張破壊応力及び引張破壊呼びひずみを上述と同様の方法にて測定した。
フライアッシュ1.5kg(30重量部)とポリシラン0.05kg(1重量部)とをミキサーを用いて混合した後、ポリプロピレン3.5kg(70重量部)を添加し、再度ミキサーで混合した。この混合物を40mm単軸押出機(いすず化工機(株)製、「40MM EXTRUDER」)のホッパーへ投入し、前記押出機で混練温度:230℃、スクリュー回転数:50rpm、押出量:約10kg/時の条件で溶融混練を行い、コンパウンド化した。続いて、このコンパウンドを80℃で4時間乾燥させ、射出成形機(日精樹脂工業(株)製、「FE80S12ASE」、金型:ISO多目的タイプA)を用いて、樹脂温度:200℃、射出圧:81MPa、冷却時間:10秒の条件で射出成形を行い、各評価で使用する試験片を作製し、耐久性評価を除く各評価を行った。
ポリプロピレンを2.5kg(50重量部)、フライアッシュを2.5kg(50重量部)とした以外は、実施例1と同様にして試料を作製し、各評価を行った。
ポリシランを添加することなく、ポリプロピレン3.5kg(70重量部)とフライアッシュ1.5kg(30重量部)とを用いた以外は、実施例1と同様にして試料を作製し、耐久性評価を除く各評価を行った。
ポリシランを添加することなく、ポリプロピレン2.5kg(50重量部)とフライアッシュ2.5kg(50重量部)とを用いた以外は、実施例1と同様にして試料を作製し、各評価を行った。
ポリシラン及びフライアッシュを添加することなく、ポリプロピレン5kg(100重量部)のみを用いた以外は、実施例1と同様にして試料を作製し、耐久性評価を除く各評価を行った。
フライアッシュの代わりに珪砂を用いた以外は、実施例1と同様にして試料を作製し、各評価を行った。
ポリシランを添加することなく、ポリプロピレン3.5kg(70重量部)と珪砂1.5kg(30重量部)とを用いた以外は、実施例3と同様にして試料を作製し、耐久性評価を除く各評価を行った。
ポリプロピレンを2.5kg(50重量部)、珪砂を2.5kg(50重量部)とした以外は、実施例3と同様にして試料を作製し、各評価を行った。
ポリシランを添加することなく、ポリプロピレン2.5kg(50重量部)と珪砂2.5kg(50重量部)とを用いた以外は、実施例1と同様にして試料を作製し、各評価を行った。
フライアッシュの代わりに炭酸カルシウムを用いた以外は、実施例2と同様にして試料を作製し、各評価を行った。
ポリシランを添加することなく、ポリプロピレン2.5kg(50重量部)と炭酸カルシウム2.5kg(50重量部)とを用いた以外は、比較例6と同様にして試料を作製し、耐久性評価を除く各評価を行った。
フライアッシュの代わりにガラスビーズを用いた以外は、実施例2と同様にして試料を作製し、各評価を行った。
ポリシランを添加することなく、ポリプロピレン2.5kg(50重量部)とガラスビーズ2.5kg(50重量部)とを用いた以外は、実施例5と同様にして試料を作製し、耐久性評価を除く各評価を行った。
Claims (13)
- 熱可塑性樹脂とケイ素含有無機粒子とを含む樹脂組成物であって、さらにポリシランを含む樹脂組成物。
- ポリシランが、鎖状及び/又は環状構造を有する請求項1に記載の樹脂組成物。
- ポリシランが、鎖状ポリアルキルアリールシラン及び/又は環状ポリジアリールシランを含む請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- ポリシランが、鎖状ポリC1−6アルキルC6−10アリールシランを含む請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- ポリシランの重量平均分子量が100〜10000である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂が、オレフィン系樹脂を含む請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- ケイ素含有無機粒子が、SiO2を含む請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
- ケイ素含有無機粒子が、フライアッシュ、珪砂及びガラスビーズからなる群より選択された少なくとも1種である請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
- ケイ素含有無機粒子の形状が等方形状である請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
- ケイ素含有無機粒子の重量割合が、熱可塑性樹脂100重量部に対して、10〜1000重量部である請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂組成物。
- ポリシランの重量割合が、ケイ素含有無機粒子100重量部に対して、0.1〜15重量部である請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂とケイ素含有無機粒子とポリシランとを溶融混練して、請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂組成物を製造する方法。
- 熱可塑性樹脂とケイ素含有無機粒子とを含む樹脂組成物の溶融流動性及び耐久性のうち少なくとも1つの特性を向上させる方法であって、熱可塑性樹脂とケイ素含有無機粒子とポリシランとを溶融混練する方法。
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