JP2019182066A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ウェット性能を維持しながら耐偏摩耗性能を向上させるタイヤの提供。【解決手段】トレッド部2に、タイヤ周方向に連続してジグザグ状に延びるクラウン主溝3と、クラウン主溝3から延びる複数のクラウン横溝5とによって区分された複数のクラウンブロック7が設けられたタイヤ1である。クラウンブロック7は、第1クラウンブロック7Aと、第2クラウンブロック7Bとを含んでいる。クラウン主溝3には、溝底がタイヤ半径方向外側に部分的に隆起したタイバー11が設けられている。タイバー11は、第1クラウンブロック7Aと第2クラウンブロック7Bとを連結する。【選択図】図1

Description

本発明は、トレッド部にブロックが設けられたタイヤに関する。
例えば、トレッド部に、複数のブロックを設けたブロックパターンのタイヤが知られている。前記ブロックは、タイヤ周方向に延びる主溝、及び、タイヤ軸方向に延びる横溝によって区分されている。この種のタイヤは、例えば、ウェット路面において、トレッド部の踏面と路面との間の水膜をスムーズに排出し優れたウェット性能を有している。
ところで、ブロックパターンのタイヤでは、タイヤの駆動及び制動時、地面に接しているブロックが地面に対してタイヤ周方向に対して滑るため、例えば、ヒールアンドトゥ摩耗等の偏摩耗が生じ易いという問題があった。特に、駆動、制動時に大きなせん断力が作用するクラウンブロックにおいては、この傾向が強く現れる。関連する技術が、下記特許文献1に記載されている。
特開2002−67624号公報
本発明は、以上のような実情に鑑み案出されたもので、ウェット性能を維持しながら耐偏摩耗性能を向上させることができるタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に連続してジグザグ状に延びるクラウン主溝と、前記クラウン主溝から第1トレッド端側及び第2トレッド端側に向かって延びる複数のクラウン横溝とによって区分された複数のクラウンブロックが設けられたタイヤであって、前記複数のクラウンブロックは、前記クラウン主溝の第1トレッド端側に配された第1クラウンブロックと、前記クラウン主溝の第2トレッド端側に配された第2クラウンブロックとを含み、前記クラウン主溝には、溝底がタイヤ半径方向外側に部分的に隆起したタイバーが設けられ、前記タイバーは、前記第1クラウンブロックと前記第2クラウンブロックとを連結する。
本発明に係るタイヤは、前記クラウン主溝が、タイヤ赤道上を延びているのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、前記タイバーが、タイヤ赤道上に設けられるのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、前記クラウン主溝が、タイヤ周方向に対する角度が20〜70度で傾く傾斜要素を含むのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、前記クラウン主溝の長手方向に沿った断面において、前記タイバーが、タイヤ半径方向外側に凸の円弧状に延びるタイヤ半径方向の外面部を有するのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、前記断面において、前記タイバーが、前記外面部の一端と前記クラウン主溝の前記溝底とを継いで、タイヤ半径方向内側に凸の円弧状に延びる側面部をさらに含むのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、前記側面部が、前記外面部の両端に設けられるのが望ましい。
また請求項8記載の発明は、前記タイバーの高さが、前記クラウン主溝の最大溝深さの0.15〜0.35倍であるのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、前記クラウン主溝が、直線状に延びる複数の傾斜要素を有し、前記傾斜要素は、前記タイバーを有しており、前記タイバーの前記傾斜要素の長手方向に沿った長さは、前記傾斜要素の長手方向に沿った長さの60%以上であるのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、それぞれの前記クラウン横溝が、前記クラウン主溝に向かって溝幅が大きくなる内側拡幅部を有するのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、それぞれの前記クラウン横溝が、タイヤ軸方向の外側に向かって溝幅が大きくなる外側拡幅部を有するのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、それぞれの前記クラウンブロックの踏面には、それぞれの前記クラウン横溝よりも溝深さの小さい浅溝が設けられるのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、それぞれの前記クラウンブロックにおいて、そのタイヤ周方向の最大長さが、そのタイヤ軸方向の最大幅の0.90〜1.15倍であるのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、前記トレッド部が、前記クラウン主溝のタイヤ軸方向の両側でタイヤ周方向に連続して延びる一対のショルダー主溝と、それぞれの前記ショルダー主溝からタイヤ軸方向の外側に向かって延びる複数のショルダー横溝とによって区分された複数のショルダーブロックを含み、それぞれの前記ショルダーブロックの踏面の面積は、ぞれぞれの前記クラウンブロックの踏面の面積の1.10〜1.20倍であるのが望ましい。
本発明に係るタイヤは、前記クラウン主溝の溝幅が、それぞれの前記ショルダー主溝の溝幅の40%〜60%であるのが望ましい。
本発明のタイヤでは、タイバーは、クラウン主溝に設けられ、第1トレッド端側に配された第1クラウンブロックと、第2トレッド端側に配された第2クラウンブロックとを連結する。このようなタイバーは、大きな接地圧の作用する第1クラウンブロックと第2クラウンブロックとの剛性を高め、駆動、制動時におけるこれらのブロックの地面に対する滑りを低減する。このため、タイヤの耐偏摩耗性能が向上する。また、タイバーは、クラウン主溝の溝底を部分的に隆起したものであるため、クラウン主溝による排水性能が実質的に維持される。
本発明の一実施形態のタイヤのトレッド部の展開図である。 (a)は、タイバーの断面図、(b)は、(a)の斜視図である。 タイヤ赤道近傍の拡大図である。 本発明の一実施形態のタイヤのトレッド部の展開図である。 タイヤ赤道近傍の拡大図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明の一実施形態を示すタイヤ1のトレッド部2の展開図である。本実施形態では、好ましいタイヤ1として、重荷重用の空気入りタイヤが示される。本発明は、重荷重用のタイヤ1に限定されるものではなく、例えば、乗用車用や自動二輪車用の空気入りタイヤ、及び、空気が充填されない非空気式タイヤにも採用される。
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2のタイヤ軸方向の両外側に一対のトレッド端Teを有している。本明細書では、便宜上、図の左側のトレッド端Teを第1トレッド端T1、図の右側のトレッド端Teを第2トレッド端T2とする。
トレッド端Teは、正規状態のタイヤ1に正規荷重を負荷し、キャンバー角0°で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。正規状態とは、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である。本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法等は、正規状態で測定された値である。トレッド端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離がトレッド幅TWである。
「正規リム」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
「正規荷重」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
本実施形態のトレッド部2は、タイヤ周方向に連続してジグザグ状に延びるクラウン主溝3と、クラウン主溝3からタイヤ軸方向の外側に延びる複数のクラウン横溝5とによって区分された複数のクラウンブロック7が設けられている。トレッド部2は、本実施形態では、さらに、クラウン主溝3のタイヤ軸方向の両側に配された一対のショルダー主溝4、4と複数のショルダー横溝6とによって区分された複数のショルダーブロック8を含んでいる。
本実施形態のクラウン主溝3は、タイヤ赤道C上を延びている。これにより、排出されにくいタイヤ赤道C近傍のトレッド部2の踏面2aと路面との間の水膜を効果的に排出することができる。本明細書では、「タイヤ赤道C上を延びる」とは、図1に示されるように、主溝とタイヤ赤道Cとが交差する交差部がタイヤ周方向に隔設される態様の他、タイヤ赤道Cを連続して主溝が交差している態様を含む。
クラウン横溝5は、クラウン主溝3から第1トレッド端T1側に延びる第1クラウン横溝5Aと、クラウン主溝3から第2トレッド端T2側に向かって延びる第2クラウン横溝5Bとを含んでいる
クラウンブロック7は、本実施形態では、クラウン主溝3とクラウン横溝5とショルダー主溝4とによって区分されている。複数のクラウンブロック7は、クラウン主溝3の第1トレッド端T1側に配された複数の第1クラウンブロック7Aと、クラウン主溝3の第2トレッド端T2側に配された複数の第2クラウンブロック7Bとを含んでいる。
クラウン主溝3には、溝底3sがタイヤ半径方向外側に部分的に隆起したタイバー11が設けられている。本実施形態のタイバー11は、第1クラウンブロック7Aと第2クラウンブロック7Bとを連結している。このようなタイバー11は、大きな接地圧の作用する第1クラウンブロック7Aと第2クラウンブロック7Bとの剛性を高め、駆動、制動時におけるこれらクラウンブロック7の地面に対する滑りを低減する。このため、タイヤ1の耐偏摩耗性能が向上する。また、タイバー11は、クラウン主溝3の溝底3sを部分的に隆起したものであるため、クラウン主溝3による排水性能が実質的に維持される。
タイバー11は、本実施形態では、タイヤ赤道C上に設けられている。このようなタイバー11は、大きな接地圧が作用するタイヤ赤道Cにおいて、クラウンブロック7同士を連結するので、地面に対する前記滑りを大きく低減する。
図2(a)は、タイバー11を含むクラウン主溝3の長手方向に沿った断面である。図2(b)は、タイバー11の断面斜視図である。図2に示されるように、タイバー11は、タイヤ半径方向外側に凸の円弧状に延びる外面部12、及び、外面部12の一端12eとクラウン主溝3の溝底3sとを継いで、タイヤ半径方向内側に凸の円弧状に延びている側面部13とを含んでいる。外面部12及び側面部13は、水の流れの抵抗を小さくするので、ウェット性能を高く維持する。また、側面部13は、タイバー11が設けられていない溝底3sとタイバー11との間の境界の剛性段差を小さくする。このため、さらに効果的に、クラウンブロック7の滑りが抑制される。
側面部13は、本実施形態では、外面部12の両側に設けられている。これにより、上述の作用が効果的に発揮される。
タイバー11の高さ(最大高さ)H1は、クラウン主溝3の溝深さ(最大深さ)D1の0.15〜0.35倍が望ましい。タイバー11の高さH1がクラウン主溝3の溝深さD1の0.15倍未満の場合、クラウンブロック7の剛性を高めることができず、地面に対する滑りを抑制できないおそれがある。タイバー11の高さH1がクラウン主溝3の溝深さD1の0.35倍を超える場合、溝内の排水抵抗が大きくなるおそれがある。このため、タイバー11の高さH1は、クラウン主溝3の溝深さ(最大深さ)D1の0.20倍以上が望ましく、0.30倍以下がより望ましい。
タイバー11は、本実施形態では、その高さH1が最大となる最大高さ位置11aからタイバー11の長手方向の両端11e、11eに向かって、高さH1が連続して漸減している。このようなタイバー11は、さらに、溝内の水をスムーズに移動させることができる。
図1に示されるように、クラウン主溝3は、例えば、タイヤ周方向に対していずれか一方側に傾斜する複数の溝部14、及び、タイヤ周方向に隣接する溝部14、14同士が連なって、タイヤ軸方向のいずれか一方側に凸となる複数の頂部15を有している。各溝部14は、例えば、左上がりに傾斜する第1溝部14Aと、第1溝部14Aとは逆向きの右上がりに傾斜する第2溝部14Bとを含んでいる。頂部15は、本実施形態では、第1トレッド端T1側に凸となる第1頂部15aと、第2トレッド端T2側に凸となる第2頂部15bとを含んでいる。
図3は、図1のタイヤ赤道C近傍の拡大図である。図3に示されるように、本実施形態の第1溝部14A及び第2溝部14Bは、少なくとも1本の傾斜要素17を含んでいる。本明細書では、傾斜要素17は、溝部14の長手方向に対して直角となる溝幅の溝幅中心線14cが直線で形成される部分をいう。第1溝部14Aは、本実施形態では、3本の傾斜要素17を含んでいる。第2溝部14Bは、本実施形態では、1本の傾斜要素17を含んでいる。
第1溝部14Aは、例えば、タイヤ赤道C上に配される第1傾斜要素17aと、第1傾斜要素17aのタイヤ周方向に対する角度θ1よりも小さな角度θ2で傾斜し、かつ、第1傾斜要素17aの両側に配される一対の第2傾斜要素17b、17bとを有している。第2溝部14Bは、例えば、タイヤ赤道C上に配される第3傾斜要素17cを有している。
第1傾斜要素17a及び第3傾斜要素17cは、本実施形態では、タイバー11が設けられている。換言すると、タイバー11は、タイヤ周方向に対して角度の異なる複数の傾斜要素17に跨って形成されていない。このように、排水抵抗の大きくなる傾斜要素17の連結部には、タイバー11が設けられないので、本実施形態のクラウン主溝3では、スムーズな排水が確保される。なお、複数の傾斜要素17に跨ってタイバー11が設けられる場合、クラウンブロック7の剛性が、一層高められる。
タイバー11の傾斜要素17の長手方向に沿った長さLaは、傾斜要素17の長手方向に沿った長さL1の60%以上が望ましい。タイバー11の前記長さLaが傾斜要素17の前記長さL1の60%未満の場合、耐偏摩耗性能を高めれないおそれがある。このため、タイバー11の前記長さLaは、傾斜要素17の前記長さL1の70%以上が、さらに望ましい。なお、タイバー11の前記長さLaが傾斜要素17の前記長さL1よりも過度に大きい場合、溝容積の低減を招き、ウェット性能が高く維持されないおそれがある。このため、タイバー11の前記長さLaは、傾斜要素17の前記長さの100%以下が望ましく、90%以下が、さらに望ましい。
第1傾斜要素17a及び第3傾斜要素17cは、本実施形態では、長手方向に沿って同じ溝幅で形成されている。これにより、第1傾斜要素17aの近傍の第1クラウンブロック7A及び第2クラウンブロック7B、並びに、第3傾斜要素17cの近傍の第1クラウンブロック7A及び第2クラウンブロック7Bの剛性変化が小さく維持され、耐偏摩耗性能を向上する。
各第2傾斜要素17bは、本実施形態では、第1傾斜要素17aとは長手方向の逆側に向かって溝幅が漸増している。このような第2傾斜要素17bは、第1溝部14A内の水をスムーズに排出し得る。
第1傾斜要素17aのタイヤ周方向に対する角度θ1及び第3傾斜要素17cのタイヤ周方向に対する角度θ3は、20〜70度が望ましい。第1傾斜要素17aの角度θ1及び第3傾斜要素17cの角度θ3が20度未満の場合、駆動、制動時のせん断力によってクラウンブロック7のタイヤ周方向の滑りを抑制できず、耐偏摩耗性能が悪化するおそれがある。第1傾斜要素17aの角度θ1及び第3傾斜要素17cの角度θ3が70度を超える場合、タイヤ1の転動による排水がスムーズになされず、ウェット性能が悪化するおそれがある。このような観点より、第1傾斜要素17aの角度θ1及び第3傾斜要素17cの角度θ3は、30度以上がより望ましく、60度以下がより望ましい。
第2傾斜要素17bのタイヤ周方向に対する角度θ2は、例えば、30度以下が望ましく、15度以下がより望ましい。このような第2傾斜要素17bは、タイヤ1の転動による溝内の水のスムーズな流れを維持する。第2傾斜要素17bは、本実施形態では、第1傾斜要素17aに連なっているので、クラウンブロック7の大きな滑りは抑制される。
図4は、トレッド部2の展開図である。図4に示されるように、本実施形態のショルダー主溝4は、タイヤ周方向に連続してジグザグ状に延びている。なお、ショルダー主溝4は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、直線状や波状に延びる態様でも良い。
ショルダー主溝4は、本実施形態では、複数の溝部14と複数の頂部15とを含んでいる。溝部14は、本実施形態では、左上がりに傾斜する第3溝部14Cと、第3溝部14Cとは逆向きの右上がりに傾斜する第4溝部14Dとを含んでいる。頂部15は、本実施形態では、第3溝部14Cと第4溝部14Dとが連なりタイヤ軸方向の内側に向かって凸となる内側頂部15c、及び、第3溝部14Cと第4溝部14Dとが連なりタイヤ軸方向の外側に凸となる外側頂部15dを含んでいる。
本実施形態の第3溝部14C及び第4溝部14Dは、少なくとも1本の傾斜要素17を含んでいる。第3溝部14Cは、本実施形態では、3本の傾斜要素17を含んでいる。本実施形態の第4溝部14Dは、本実施形態では、1本の傾斜要素17を含んでいる。
本実施形態のショルダー主溝4には、溝底をタイヤ半径方向外側に部分的に隆起したタイバーが設けられていない。これにより、クラウンブロック7のタイヤ軸方向の内側部分の剛性が外側部分の剛性よりも高められるので、クラウンブロック7のタイヤ軸方向の内外に作用する接地圧の差に基づくクラウンブロック7の偏摩耗を抑制することができる。また、ウェット性能が高く維持される。
上述の作用を効果的に発揮させるために、クラウン主溝3の溝幅W1は、ショルダー主溝4の溝幅W2の40%〜60%が望ましい。ウェット性能の大きな低下を抑制するために、クラウン主溝3の溝幅W1は、例えば、トレッド幅TWの2%〜5%が望ましい。クラウン主溝3の溝幅W1及びショルダー主溝4の溝幅W2は、それぞれ、各横溝5、6との接続部を除いた長手方向の平均の溝幅である。
本実施形態のクラウン横溝5は、クラウン主溝3とショルダー主溝4とを連結している。クラウン横溝5は、本実施形態では、クラウン主溝3の頂部15とショルダー主溝4の内側頂部15cとを連結している。
図5は、タイヤ赤道C近傍の拡大図である。図5に示されるように、クラウン横溝5は、クラウン主溝3に向かって溝幅W3が大きくなる内側拡幅部20を有している。このような内側拡幅部20は、クラウン横溝5内の水をクラウン主溝3にスムーズに排出し得る。内側拡幅部20は、本実施形態では、クラウン主溝3に連なり、かつ、クラウン主溝3に向かって溝幅W3が連続して漸増している。
クラウン横溝5は、タイヤ軸方向の外側に向かって溝幅W3が大きくなる外側拡幅部21を有している。本実施形態の外側拡幅部21は、ショルダー主溝4に連なり、かつ、タイヤ軸方向の外側に向かって溝幅W3が連続して漸増している。クラウン横溝5は、本実施形態では、外側拡幅部21と内側拡幅部20とから形成されている。これにより、クラウン横溝5内の水がよりスムーズにクラウン主溝3及びショルダー主溝4に排出され得る。
クラウン横溝5の溝幅W3(長手方向の平均)は、本実施形態では、ショルダー主溝4の溝幅W2よりも大きいのが望ましい。これにより、直進走行時、排水されにくいタイヤ軸方向に延びるクラウン横溝5の排水抵抗が小さくなるので、ウェット性能を高め得る。クラウン横溝5の溝幅W3がショルダー主溝4の溝幅W2よりも過度に大きい場合、クラウンブロック7のタイヤ周方向の剛性が小さくなり、ヒールアンドトゥ摩耗が生じ易くなる。このような観点より、クラウン横溝5の溝幅W3は、ショルダー主溝4の溝幅W2の1.1〜1.3倍が望ましい。
特に限定されるものではないが、クラウン主溝3の溝深さD1、ショルダー主溝4の溝深さ(図示省略)、クラウン横溝5の溝深さは、5〜20mm程度が望ましい。本実施形態では、クラウン主溝3、ショルダー主溝4及びクラウン横溝5の溝深さは同じである。
図4に示されるように、本実施形態のショルダー横溝6は、ショルダー主溝4からタイヤ軸方向の外側に向かって延びている。ショルダー横溝6は、本実施形態では、トレッド端Teに連なっている。このため、ショルダー主溝4内の水がトレッド端Teから排出される。
ショルダー横溝6は、本実施形態では、外側頂部15dに連結されている。これにより、ショルダー横溝6の長さが小さくなるので、ショルダー横溝6内の水が容易にトレッド端Teから排出される。
ショルダー横溝6は、本実施形態では、直線状に延びている。ショルダー横溝6は、本実施形態では、タイヤ軸方向に沿って延びている。これにより、上述の作用がより効果的に発揮される。
特に限定されるものではないが、ショルダー横溝6の溝幅W6は、ショルダー主溝4の溝幅W2よりも小さいのが望ましい。ウェット性能を維持しつつ耐偏摩耗性能を高めるために、ショルダー横溝6の溝幅W6は、ショルダー主溝4の溝幅W2の80%から95%が望ましい。また、ショルダー横溝6の溝深さ(図示省略)は、ショルダー主溝4の溝深さの40%〜60%が望ましい。
図5に示されるように、本実施形態のクラウンブロック7は、タイヤ周方向の中央部7cからタイヤ周方向の両側部7s、7sに向かってクラウンブロック7のタイヤ軸方向の幅Waが小さくなるテーパ状に形成されている。このようなクラウンブロック7は、タイヤ軸方向やタイヤ周方向に対して大きな剛性を有するので、タイヤ1の駆動及び制動時に加えて、旋回走行時に作用する横力による前記滑りを抑制することができる。
クラウンブロック7の踏面7aには、クラウン横溝5よりも溝深さの小さい浅溝23が設けられている。このような浅溝23は、クラウンブロック7の大きな剛性低下を抑制しつつ、踏面7a上の水膜を除去し得る。
浅溝23は、クラウンブロック7のブロック縁7eに連通することなく踏面7a内で終端している。このような浅溝23は、クラウンブロック7の剛性を高く維持しうる。浅溝23は、例えば、踏面7aの中心に設けられている。前記中心とは、本明細書では、浅溝23とクラウンブロック7のブロック縁7eとの最短距離Lbがクラウンブロック7のタイヤ周方向の最大長さLA及びタイヤ周方向の最大幅WAの20%以上であることをいう。
浅溝23は、本実施形態では、折れ曲がって延びている。このような浅溝23は、踏面7a上のより多くの水膜を集めうる。浅溝23は、例えば、タイヤ周方向に対して一方側に傾斜する第1傾斜部23aと、第1傾斜部23aの両端に連なり第1傾斜部23aとは逆向きに傾斜する一対の第2傾斜部23b、23bとを含んでいる。
第1傾斜部23aは、本実施形態では、第1傾斜要素17aと実質的に平行に延びている。第2傾斜部23bは、本実施形態では、第3傾斜要素17cと実質的に平行に延びている。第1傾斜要素17a及び第3傾斜要素17cは、タイバー11が設けられており、クラウンブロック7は、第1傾斜要素17a又は第3傾斜要素17cと直交する方向への剛性がとりわけ高く維持されるので、浅溝23の溝容積が確保される。「実質的に」とは、第1傾斜部23aのタイヤ周方向に対する角度θ4と第1傾斜要素17aの角度θ1との差の絶対値|θ4−θ1|が10度未満の態様をいう。また、第2傾斜部23bのタイヤ周方向に対する角度θ5と第3傾斜要素17cの角度θ3との差の絶対値|θ5−θ3|が10度未満の態様をいう。
特に限定されるものではないが、浅溝23の溝幅W7は、クラウン主溝3の溝幅W1の50%〜70%が望ましい。浅溝23の溝深さ(図示省略)は、クラウン主溝3の溝深さD1の5%〜20%が望ましい。
クラウンブロック7において、そのタイヤ周方向の最大長さLAは、そのタイヤ軸方向の最大幅WAの0.9倍以上が望ましく、0.95倍以上がさらに望ましい。また、タイヤ周方向の最大長さLAは、タイヤ軸方向の最大幅WAの1.15倍以下が望ましく、1.10倍以下がさらに望ましい。これにより、クラウンブロック7は、タイヤ軸方向の剛性とタイヤ周方向の剛性との差が小さくなるので、高い耐偏摩耗性能が発揮される。
図4に示されるように、ショルダーブロック8は、本実施形態では、その踏面8aがタイヤ周方向の中央部において、タイヤ軸方向内側に凸となる略五角形状で形成されている。ショルダーブロック8の踏面8aには、トレッド端Teに連なるショルダー浅溝25が設けられている。このようなショルダー浅溝25は、ショルダーブロック8の剛性を高く維持しつつ、ショルダーブロック8の踏面8aと路面との間の水膜を効果的に除去する。
特に限定されるものではないが、ショルダー浅溝25の長手方向の平均の溝幅W8は、ショルダーブロック8のタイヤ周方向の最大長さLCの15%〜35%が望ましい。また、ショルダー浅溝25の溝深さ(図示省略)は、ショルダー横溝6の溝深さの15%〜35%が望ましい。
ショルダーブロック8の踏面8aの面積A2は、クラウンブロック7の踏面7aの面積A1の1.10〜1.20倍が望ましい。これにより、旋回走行時、大きな横力が作用するショルダーブロック8の剛性と、大きな接地圧の作用するクラウンブロック7の剛性とをバランス良く高めることができる。このような作用をより効果的に発揮させるため、ショルダーブロック8の踏面8aの面積A2は、クラウンブロック7の踏面7aの面積A1の1.12倍以上がさらに望ましく、1.18倍以下がさらに望ましい。本明細書では、クラウンブロック7の前記面積A1は、浅溝23を埋めた面積である。また、ショルダーブロック8の前記面積A2は、ショルダー浅溝25を埋めた面積である。
下記式(1)は、各ブロック7、8のタイヤ周方向の剛性Kを求める式である。下記式(1)により求められるクラウンブロック7の剛性Kcは、137〜265(N/mm)が望ましく、ショルダーブロック8の剛性Ksは、137〜212(N/mm)が望ましい。
Figure 2019182066
ここで
F:接地時のタイヤ周方向の接線力(N)
y:ブロックのタイヤ周方向の変位(mm)
h:ブロック高さ(mm)
E:ブロックのヤング率(Pa)
I:ブロックの断面2次モーメント(mm)
A:ブロックの高さ方向の中間位置での断面積(mm)
G:ブロックのせん断剛性(=E/3)(Pa)
クラウンブロック7は、ショルダーブロック8よりも大きな接地圧が作用する。このため、クラウンブロック7の剛性Kc及びショルダーブロック8の剛性Ksを上述の通り、規定することにより、各ブロック7、8に生じるヒールアンドトゥ摩耗をバランス良く低減できる。また、これにより、各ブロック7、8の摩耗速度の差を小さくできるので、トレッド面を均一に摩耗することができる。
上述の作用を効果的に発揮させるために、クラウンブロック7の剛性Kcとショルダーブロック8の剛性Ksとの比(Kc/Ks)は、1.00〜1.25程度が望ましい。
以上、本発明の実施形態について、詳述したが、本発明は例示の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様に変形して実施し得るのは言うまでもない。
図1の基本パターンを有するサイズ215/75R17.5の重荷重用の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、各試供タイヤのウェット性能及び耐偏摩耗性能がテストされた。各試供タイヤの主な共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
装着リム:6.0×17.5
タイヤ内圧:720kPa
タイヤ装着位置:後輪(駆動輪)
テスト車両:4tトラック、荷台前方に標準積載量の50%の荷物を積載
<ウェット性能>
上記テスト車両にて、各試供タイヤが装着され、下記の条件で全長10mのテストコースを通過したときの通過タイムが測定された。結果は、通過タイムの逆数であり、実施例1の値を100とする指数で表示されている。数値が大きい程、通過タイムが小さく、ウェット性能が優れている。
路面:厚さ5mmの水膜を有するアスファルト
発進方法:2速‐1500rpm固定でクラッチを繋いで発進する。
<耐偏摩耗性能(ヒールアンドトゥ摩耗・摩耗均一性・ショルダーブロック偏摩耗)>
上記車両の一方の後輪に実施例1の試供タイヤが、他方の後輪に比較例及び他の実施例の試供タイヤがそれぞれ装着され、アスファルト路面のテストコースをいずれかのタイヤが40%摩耗するまで走行された。10%摩耗時に、クラウンブロックの先着側のブロック高さと後着側のブロック高さとの差が算出され、クラウンブロックのヒールアンドトゥ摩耗が評価された。結果は、実数で示され、数値が小さいほど良好である。また、30%摩耗時に、クラウンブロックとショルダーブロックとの摩耗量の比が算出され、クラウンブロックとショルダーブロックとの摩耗の均一性が評価された。結果は、(大きい方の摩耗量)/(小さい方の摩耗量)で表され、1.0に近づくほど良好である。さらに、40%摩耗時に、ショルダーブロックの偏摩耗が目視によって評価された。結果は、実施例1を100とする評点で表わされ、数値が大きいほど良好である。
テストの結果などが表1に示される。
Figure 2019182066
Figure 2019182066
Figure 2019182066
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比べて、ウェット性能の低下が浴せされつつ、耐偏摩耗性能が向上していることが確認できた。
1 タイヤ
2 トレッド部
3 クラウン主溝
5 クラウン横溝
7 クラウンブロック
7A第1クラウンブロック
7B第2クラウンブロック
11 タイバー

Claims (15)

  1. トレッド部に、タイヤ周方向に連続してジグザグ状に延びるクラウン主溝と、前記クラウン主溝から第1トレッド端側及び第2トレッド端側に向かって延びる複数のクラウン横溝とによって区分された複数のクラウンブロックが設けられたタイヤであって、
    前記複数のクラウンブロックは、前記クラウン主溝の第1トレッド端側に配された第1クラウンブロックと、前記クラウン主溝の第2トレッド端側に配された第2クラウンブロックとを含み、
    前記クラウン主溝には、溝底がタイヤ半径方向外側に部分的に隆起したタイバーが設けられ、
    前記タイバーは、前記第1クラウンブロックと前記第2クラウンブロックとを連結する、
    タイヤ。
  2. 前記クラウン主溝は、タイヤ赤道上を延びている、請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記タイバーは、タイヤ赤道上に設けられる、請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 前記クラウン主溝は、タイヤ周方向に対する角度が20〜70度で傾く傾斜要素を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 前記クラウン主溝の長手方向に沿った断面において、前記タイバーは、タイヤ半径方向外側に凸の円弧状に延びるタイヤ半径方向の外面部を有する、請求項1ないし4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 前記断面において、前記タイバーは、前記外面部の一端と前記クラウン主溝の前記溝底とを継いで、タイヤ半径方向内側に凸の円弧状に延びる側面部をさらに含む、請求項5記載のタイヤ。
  7. 前記側面部は、前記外面部の両端に設けられる、請求項6記載のタイヤ。
  8. 前記タイバーの高さは、前記クラウン主溝の最大溝深さの0.15〜0.35倍である、請求項1ないし7のいずれかに記載のタイヤ。
  9. 前記クラウン主溝は、直線状に延びる複数の傾斜要素を有し、
    前記傾斜要素は、前記タイバーを有しており、
    前記タイバーの前記傾斜要素の長手方向に沿った長さは、前記傾斜要素の長手方向に沿った長さの60%以上である、請求項1ないし8のいずれかに記載のタイヤ。
  10. それぞれの前記クラウン横溝は、前記クラウン主溝に向かって溝幅が大きくなる内側拡幅部を有する、請求項1ないし9のいずれかに記載のタイヤ。
  11. それぞれの前記クラウン横溝は、タイヤ軸方向の外側に向かって溝幅が大きくなる外側拡幅部を有する、請求項1ないし10のいずれかに記載のタイヤ。
  12. それぞれの前記クラウンブロックの踏面には、それぞれの前記クラウン横溝よりも溝深さの小さい浅溝が設けられる、請求項1ないし11のいずれかに記載のタイヤ。
  13. それぞれの前記クラウンブロックにおいて、そのタイヤ周方向の最大長さが、そのタイヤ軸方向の最大幅の0.90〜1.15倍である、請求項1ないし12のいずれかに記載のタイヤ。
  14. 前記トレッド部は、前記クラウン主溝のタイヤ軸方向の両側でタイヤ周方向に連続して延びる一対のショルダー主溝と、それぞれの前記ショルダー主溝からタイヤ軸方向の外側に向かって延びる複数のショルダー横溝とによって区分された複数のショルダーブロックを含み、
    それぞれの前記ショルダーブロックの踏面の面積は、ぞれぞれの前記クラウンブロックの踏面の面積の1.10〜1.20倍である、請求項1ないし13のいずれかに記載のタイヤ。
  15. 前記クラウン主溝の溝幅は、それぞれの前記ショルダー主溝の溝幅の40%〜60%である、請求項14記載のタイヤ。
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