JP2019169238A - 非水電解液用カチオン、非水電解液、それを用いた蓄電デバイス、及びそれに用いるホスホニウム塩 - Google Patents
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Abstract
Description
また、リチウム二次電池の負極としては、リチウム金属、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物(金属単体、金属酸化物、リチウムとの合金等)、炭素材料等が知られている。特に、炭素材料のうち、例えばコークス、黒鉛(人造黒鉛、天然黒鉛)等のリチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料を用いたリチウム二次電池が広く実用化されている。
コークスや黒鉛等の炭素材料はリチウム金属と同等の極めて卑な電位でリチウムと電子を貯蔵・放出するために、多くの溶媒が還元分解を受ける可能性を有している。負極上で電解液中の溶媒が還元分解すると、分解物の沈着や、ガス発生により、リチウムイオンの移動が妨げられ、サイクル特性等の電池特性を低下させる問題があった。
また、負極として、理論容量の大きいスズ又はケイ素等の金属単体やそれらの酸化物が盛んに研究開発され注目を集めている。しかし、スズ又はケイ素等の金属単体やそれらの酸化物を負極材料として用いたリチウム二次電池は、初期の容量は高いものの炭素材料の負極に比べて充放電サイクル特性が悪化しやすいという課題を抱えている。これは充放電に伴う負極活物質の体積変化が大きく、サイクル中に負極の微粉化が進むため、非水溶媒の還元分解が加速的に起こることが大きな要因の一つとして知られている。
そこで、さらなる鋭意研究を重ねた結果、リン原子を含む特定のカチオンが、サイクル特性を向上させる効果を有しながらも、電解液中で比較的安定であることを見出し、本発明を完成した。
本発明のカチオンは下記一般式(I)で表される。
炭素数1〜6のアルキル基、又は−NR1R2基が挙げられ、特に好ましくは−NR1R2基が挙げられる。
本発明の非水電解液用カチオンは下記一般式(I)で表される。
炭素数1〜6のアルキル基、又は−NR1R2基が挙げられ、特に好ましくは−NR1R2基が挙げられる。
本発明の非水電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、前記一般式(I)で表されるカチオンのうち少なくとも一種以上を非水電解液中に含有することを特徴とする。
比較例で示されるアミノホスフィン等の特定のホスフィン化合物は、蓄電デバイスの充放電に伴って、まず酸化され、非水電解液中に溶解した一部の酸化分解物が、負極で還元されることによってSEIを形成する。これにより形成されるリン原子を含むSEIは、非水電解液中の溶媒分子が負極で還元分解されるのを特に好適に抑制し、蓄電デバイスのサイクル特性を向上させると考えられる。
しかし、これらのホスフィン化合物の安定性は低く、一般的なカーボネート溶媒を用いた非水電解液中ではしだいに分解し、保存後ではサイクル特性向上効果は低下する。
この課題に対し、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、前期ホスフィン化合物の酸化された状態であるホスホニウムでは、電解液中の安定性がより高いことを見出し、さらにエチレンカーボネート骨格を有する前記一般式(I)で表されるホスホニウムでは、電解液中での高い安定性と、蓄電デバイスのサイクル特性向上効果を両立することを発見した。 このサイクル特性向上は、前記一般式(I)で表されるホスホニウムが負極上で還元分解する際、リン原子とともに、エチレンカーボネート骨格由来の分解物を同時に含むSEIを形成することに由来すると思われる。つまり、ホスホニウムがエチレンカーボネート骨格に直接結合している前記一般式(I)で表される構造が、非水電解液中に含まれるカーボネート系溶媒の還元分解を好適に抑制するSEIを生成する要因となっていると考えられる。
炭素数1〜6のアルキル基、又は−NR1R2基が挙げられ、特に好ましくは−NR1R2基が挙げられる。
まず本明細書において、「溶媒」とは溶質を溶解するための物質を示す。
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状エステル、ラクトン、エーテル、及びアミドから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。高温での電気化学特性が相乗的に向上するため、鎖状エステルが含まれることが好ましく、鎖状カーボネートが含まれることがより好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートの両方が含まれることが特に好ましい。
さらに、「鎖状カーボネート」とは炭酸直鎖アルキル化合物であるものと定義する。
その他の添加剤の具体例としては、以下の(A)〜(I)の化合物が挙げられる。
前記リチウム塩の具体例としては、リチウム ビス(オキサラト)ボレート〔LiBOB〕、リチウム ジフルオロ(オキサラト)ボレート〔LiDFOB〕、リチウム テトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート〔LiTFOP〕、及びリチウム ジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート〔LiDFOP〕から選ばれる少なくとも1種のシュウ酸骨格を有するリチウム塩、LiPO2F2やLi2PO3F等のリン酸骨格を有するリチウム塩、リチウム トリフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ボレート〔LiTFMSB〕、リチウム ペンタフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ホスフェート〔LiPFMSP〕、リチウム メチルサルフェート〔LMS〕、リチウムエチルサルフェート〔LES〕、リチウム 2,2,2−トリフルオロエチルサルフェート〔LFES〕、及びFSO3Liから選ばれる1種以上のS=O基を有するリチウム塩が好適に挙げられ、LiBOB、LiDFOB、LiTFOP、LiDFOP、LiPO2F2、LiTFMSB、LMS、LES、LFES、及びFSO3Liから選ばれるリチウム塩を含むことがより好ましい。
本発明に使用される電解質塩としては、下記のリチウム塩が好適に挙げられる。
リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4等の無機リチウム塩、LiN(SO2F)2〔LiFSI〕、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiCF3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF3(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF2)2(SO2)2NLi、(CF2)3(SO2)2NLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を有するリチウム塩等が好適に挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの中でも、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、及びLiN(SO2F)2〔LiFSI〕から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、LiPF6を用いることがもっとも好ましい。電解質塩のそれぞれの濃度は、前記の非水電解液全量に対して、通常4質量%以上であることが好ましく、9質量%以上がより好ましく、13質量%以上が更に好ましい。またその上限は、非水電解液全量に対して28質量%以下であることが好ましく、23質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
また、これらの電解質塩の好適な組み合わせとしては、LiPF6を含み、更にLiBF4、LiN(SO2CF3)2、及びLiN(SO2F)2〔LiFSI〕から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が非水電解液中に含まれている場合が好ましく、LiPF6以外のリチウム塩が非水電解液全量に占めるそれぞれの割合は、0.01質量%以上であると、サイクル特性を向上させると共に、ガス発生の抑制効果も高まる。非水電解液全量に対して10質量%以下であるとサイクル特性が低下する懸念が少ないので好ましい。好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは非水電解液全量に対して0.3質量%以上、最も好ましくは0.46質量%以上である。その上限は、好ましくは11質量%以下、さらに好ましくは9質量%以下、特に好ましくは6質量%以下である。
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩及び該非水電解液に対して前記一般式(I)で表される化合物を添加することにより得ることができる。
この際、用いる非水溶媒及び非水電解液に加える化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。
本発明の第1の蓄電デバイスであるリチウム二次電池は、正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている前記非水電解液からなる。非水電解液以外の正極、負極等の構成部材は特に制限なく使用できる。
例えば、リチウム二次電池用正極活物質としては、コバルト、マンガン、及びニッケルからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独で用いるか又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなリチウム複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO2、LiCo1−xMxO2(但し、MはSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、及びCuから選ばれる1種又は2種以上の元素、0.001≦x≦0.05)、LiMn2O4、LiNiO2、LiCo1−xNixO2(0.01<x<1)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、Li2MnO3とLiMO2(Mは、Co、Ni、Mn、Fe等の遷移金属)との固溶体、及びLiNi1/2Mn3/2O4から選ばれる1種以上が好適に挙げられ、2種以上がより好適である。また、LiCoO2とLiMn2O4、LiCoO2とLiNiO2、LiMn2O4とLiNiO2のように併用してもよい。
特にNiを含む正極活物質の場合にNiの触媒作用により正極表面での非水溶媒の分解が起き、電池の抵抗が増加しやすい傾向にある。特に高温環境下での電気化学特性が低下しやすい傾向にあるが、本発明に係るリチウム二次電池ではこれらの電気化学特性の低下を抑制することができるので好ましい。特に、正極活物質中の全遷移金属元素の原子濃度に対するNiの原子濃度の割合が、30atomic%を超える正極活物質を用いた場合に上記効果が顕著になるので好ましく、50atomic%以上が更に好ましく、75%以上が特に好ましい。具体的には、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2等が好適に挙げられる。
これらのリチウム含有オリビン型リン酸塩の一部は他元素で置換してもよく、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンの一部をCo、Mn、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Nb、Cu、Zn、Mo、Ca、Sr、W及びZr等から選ばれる1種以上の元素で置換したり、またはこれらの他元素を含有する化合物や炭素材料で被覆することもできる。これらの中では、LiFePO4またはLiMnPO4が好ましい。
また、リチウム含有オリビン型リン酸塩は、例えば前記の正極活物質と混合して用いることもできる。
正極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.5g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは2g/cm3以上であり、より好ましくは、3g/cm3以上であり、更に好ましくは、3.6g/cm3以上である。なお、上限としては、4g/cm3以下が好ましい。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵及び放出能力において、人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することが更に好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm(ナノメータ)以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。
複数の扁平状の黒鉛質微粒子が互いに非平行に集合或いは結合した塊状構造を有する人造黒鉛粒子や、例えば鱗片状天然黒鉛粒子に圧縮力、摩擦力、剪断力等の機械的作用を繰り返し与え、球形化処理を施した黒鉛粒子を用いることにより、負極の集電体を除く部分の密度を1.5g/cm3以上の密度に加圧成形したときの負極シートのX線回折測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比I(110)/I(004)が0.01以上となると一段と正極活物質からの金属溶出量の改善と、充電保存特性が向上するので好ましく、0.05以上となることがより好ましく、0.1以上となることが更に好ましい。また、過度に処理し過ぎて結晶性が低下し電池の放電容量が低下する場合があるので、上限は0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。
また、高結晶性の炭素材料(コア材)はコア材よりも低結晶性の炭素材料によって被膜されていると、サイクル特性が一段と良好となるので好ましい。被覆の炭素材料の結晶性は、TEMにより確認することができる。
高結晶性の炭素材料を使用すると、充電時において非水電解液と反応し、界面抵抗の増加によってサイクル特性を低下させる傾向があるが、本発明に係るリチウム二次電池ではサイクル特性が良好となる。
負極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.1g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは1.5g/cm3以上であり、特に好ましくは1.7g/cm3以上である。なお、上限としては、2g/cm3以下が好ましい。
電池用セパレータとしては、特に制限はされないが、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの単層または積層の微多孔性フィルム、織布、不織布等を使用できる。
第2の蓄電デバイスは、電解液と電極界面の電気二重層容量を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。本発明の一例は、電気二重層キャパシタである。この蓄電デバイスに用いられる最も典型的な電極活物質は、活性炭である。二重層容量は概ね表面積に比例して増加する。
第3の蓄電デバイスは、電極のドープ/脱ドープ反応を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。この蓄電デバイスに用いられる電極活物質として、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化銅等の金属酸化物や、ポリアセン、ポリチオフェン誘導体等のπ共役高分子が挙げられる。これらの電極活物質を用いたキャパシタは、電極のドープ/脱ドープ反応にともなうエネルギー貯蔵が可能である。
第4の蓄電デバイスは、負極であるグラファイト等の炭素材料へのリチウムイオンのインターカレーションを利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。リチウムイオンキャパシタ(LIC)と呼ばれる。正極は、例えば活性炭電極と電解液との間の電気ニ重層を利用したものや、π共役高分子電極のドープ/脱ドープ反応を利用したもの等が挙げられる。電解液には少なくともLiPF6などのリチウム塩が含まれる。
本発明の新規化合物である、ホスホニウム塩は一般式(II)で表される。
以上が好ましく、−10℃以上がより好ましい。また副反応や生成物の分解を抑制する観点から、反応温度の上限は100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
合成例1〔トリス(ジメチルアミノ)(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイトの合成〕(構造式B1)
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン2.36g(22.3mmol)と、LiPF63.38g(22.3mmol)とをジメチルカーボネート60mLに溶解させ、室温で攪拌しながらN,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサメチルホスフィントリアミン3.64g(22.3mmol)を滴下し、室温で16時間攪拌した。析出した固体を濾過し、濾物をジメチルカーボネート10mLで洗浄することで、トリス(ジメチルアミノ)(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイトとLiFとの混合物を取得した。その後、この混合物にアセトニトリル100mLを加えて濾過し、濾液を減圧乾燥することでトリス(ジメチルアミノ)(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイト6.07g(収率69%)を得た。
得られたトリス(ジメチルアミノ)(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイトについて、1H−NMR、19F−NMR及びMSの測定を行い、その構造を確認した。
結果を以下に示す。
〔トリス(ジメチルアミノ)(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイト〕
1H−NMR(400MHz,CD3CN):δ=5.68(m,1H),4.93(m,1H),4.71(m,1H),2.77(d,J=10.0Hz,9H)
19F−NMR(376MHz,CD3CN):δ=−74.9(d,J=706Hz,6F)
MS(ESIpositive)m/z=250
MS(ESInegative)m/z=145
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン4.00g(37.8mmol)と、LiPF67.63g(37.8mmol)とをジメチルカーボネート100mLに溶解させ、室温で攪拌しながらトリブチルホスフィン5.73g(37.8mmol)を滴下し、24時間室温で攪拌した。反応液に2−メトキシ−2−メチルプロパン300mLを加えると、トリブチル(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイトが液層として、ジメチルカーボネートと2−メトキシ−2−メチルプロパンの混合液に溶解せず分離するため、該液層を取得し、2−メトキシ−2−メチルプロパン30mLで3回洗浄後、濾過した。濾液を減圧乾燥することでトリブチル(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイト12.0g(収率73%)を得た。得られたトリブチル(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイトについて、1H−NMR、19F−NMR及びMSの測定を行い、その構造を確認した。
結果を以下に示す。
〔トリブチル(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイト〕
1H−NMR(400MHz,CD3CN):δ=5.59(m,1H),4.93(m,1H),4.70(m,1H),2.31(m,6H),1.62−1.48(m,12H),0.98(t,J=6.8Hz,9H)
19F−NMR(376MHz,CD3CN):δ=−74.9(d,J=706Hz,6F)
MS(ESIpositive)m/z=289
MS(ESInegative)m/z=145
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン1.50g(14.1mmol)と、LiN(SO2F)22.38g(12.7mmol)とをジメチルカーボネート30mLに溶解させ、室温で攪拌しながらN,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサメチルホスフィントリアミン2.08g(12.7mmol)を滴下し、24時間室温で攪拌した。
トリス(ジメチルアミノ)(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)アミドが液層として、ジメチルカーボネートに溶解せず分離するため、該液層を取得し、ジメチルカーボネート30mLで3回洗浄後、濾過した。濾液を減圧乾燥することでトリス(ジメチルアミノ)(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)アミド2.85g(収率52%)を得た。得られたトリス(ジメチルアミノ)(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)アミドについて、1H−NMR、19F−NMR及びMSの測定を行い、その構造を確認した。
結果を以下に示す。
〔トリス(ジメチルアミノ)(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)アミド〕
1H−NMR(400MHz,CD3CN):δ=5.68(m,1H),4.93(m,1H),4.70(m,1H),2.77(d,J=10.0Hz,9H)
19F−NMR(376MHz,CD3CN):δ=49.1(s,2F)
MS(ESIpositive)m/z=250
MS(ESInegative)m/z=180
実施例1
本発明カチオンの非水電解液中での安定性を評価するために、合成したトリス(ジメチルアミノ)(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイト(構造式B1)を非水電解液に添加し、1H−NMRを測定した。1H−NMRは重溶媒を用いず、作成した非水電解液をneat測定し、非水溶媒の1H−NMR積分値との相対値から、添加物の積分値を求めた。
1H−NMR測定は非水電解液にホスホニウム塩を添加した1時間後と、その非水電解液を25℃で1週間保管した後の2回測定し、以下の式により残存率を算出した。
残存量(%)=(1週間保管後の添加した化合物の1H−NMR積分値/添加1時間後の添加した化合物の1H−NMR積分)×100
非水電解液に添加した化合物がトリス(ジメチルアミノ)(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイト(構造式B1)の代わりに、トリブチル(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイト(構造式B4)、又はN,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサメチルホスフィントリアミンである以外は実施例1と同様に1H−NMR測定を行った。
ただし、表中の非水電解液の組成は、一般式(I)で表される化合物を除いた組成である。また、電解質塩の濃度の単位Mはmol/Lを示す。
ちなみに、実施例1の添加剤を除いた非水電解液の質量比で示した組成は、ECが32.7質量%、MECが58.3質量%、LiPF6が9.0質量%となる。
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2;90質量%、アセチレンブラック(導電剤);3質量%、人造黒鉛粉末(導電剤);3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);4質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、正極シートを作製した。正極の集電体を除く部分の密度は2.5g/cm3であった。また、酸化ケイ素10質量%、人造黒鉛80質量%を混合し、カルボキシメチルセルロース(増粘剤);2質量%と、ブタジエンの共重合体(結着剤);8質量%を水に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、負極シートを作製した。負極の集電体を除く部分の密度は1.6g/cm3であった。そして、微多孔性ポリエチレンフィルム製セパレータを用い、表2に記載の非水電解液を加えて、2032型コイン電池を作製した。非水電解液の組成、添加した化合物、添加した化合物の非水電解液に対する添加量を表2に示す。
なお、比較例4以外は、表2に記載の添加化合物を添加して24時間以内の非水電解液を使用したのに対し、比較例4は添加後に室温で2週間保管した非水電解液を用いた。
上記の方法で作製した電池を用いて25℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.2Vまで3時間充電し、次に1Cの定電流下、放電電圧3.0Vまで放電することを1サイクルとし、これを100サイクルに達するまで繰り返した。そして、以下の式によりサイクル後の容量維持率を求めた。
容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
電池特性を表2に示す。
Claims (13)
- 下記一般式(I)で表されるカチオン。
- 下記一般式(I)で表される非水電解液用カチオン。
- 前記一般式(I)において、X1〜X3はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は−NR1R2基を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示すことを特徴とする請求項1又は2に記載のカチオン。
- 非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表されるカチオンを含む蓄電デバイス用非水電解液。
- 前記一般式(I)で示されるカチオンにおいて、X1〜X3はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は−NR1R2基を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示すことを特徴とする請求項4に記載の非水電解液。
- アニオンとしてPF6 −、(FSO2)2N−、(CF3SO2)2N−、BF4 −、MeSO4 −、EtSO4 −、及びPO2F2 −からなる群より選ばれる一種または二種以上を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の非水電解液。
- 前記アニオンがPF6 −又は(FSO2)2N−であることを特徴とする請求項6に記載の非水電解液。
- 正極、負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた蓄電デバイスであって、該非水電解液が請求項4〜7のいずれか1項に記載の非水電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
- 下記一般式(II)で表されるホスホニウム塩。
- 前記一般式(II)で示される化合物において、Y−がPF6 −、(FSO2)2N−、(CF3SO2)2N−、BF4 −、MeSO4 −、EtSO4 −、及びPO2F2 −からなる群より選ばれる一種を示すことを特徴とする請求項9に記載のホスホニウム塩。
- 前記一般式(II)で示される化合物において、X4〜X6がそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は−NR3R4基を示し、R3及びR4がそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示すことを特徴とする請求項9又は10に記載のホスホニウム塩。
- 前記一般式(II)で示される化合物において、Y−がPF6 −、又は(FSO2)2N−であることを特徴とする請求項10又は11に記載のホスホニウム塩。
- 前記一般式(II)で示される化合物が、トリス(ジメチルアミノ)(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイト、トリブチル(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイト、トリス(ジメチルアミノ)(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)アミド、又はトリブチル(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)アミドのいずれかであることを特徴とする請求項9に記載のホスホニウム塩。
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