JP2017147130A - 非水電解液およびそれを用いた蓄電デバイス - Google Patents
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Abstract
Description
特に地球温暖化防止のため、CO2排出量を削減することが急務となっており、リチウム二次電池やキャパシタ等の蓄電デバイスからなる蓄電装置を搭載した環境対応車の中でも、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、バッテリー電気自動車(BEV)の早期普及が求められている。自動車は移動距離が長いため、熱帯の非常に暑い地域から極寒の地域まで幅広い温度範囲の地域で使用される可能性がある。従って、特にこれらの車載用の蓄電デバイスは、高温から低温まで幅広い温度範囲で使用しても電気化学特性が低下しないことが要求されている。
尚、本明細書において、リチウム二次電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。
また、負極としては、金属リチウム、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物(金属単体、酸化物、リチウムとの合金等)や炭素材料が知られており、特にリチウムを吸蔵及び放出することが可能なコークス、人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素材料を用いたリチウム二次電池が広く実用化されている。
更に、リチウム金属やその合金、スズ又はケイ素等の金属単体や酸化物を負極材料として用いたリチウム二次電池は、初期の容量は高いもののサイクル中に微粉化が進むため、炭素材料の負極に比べて非水溶媒の還元分解が加速的に起こり、電池容量やサイクル特性のような電池性能が大きく低下することが知られている。また、これらの負極材料の微粉化や非水溶媒の分解物が蓄積すると、負極へのリチウムの吸蔵及び放出がスムーズにできなくなり、広い温度範囲で使用した場合における電気化学特性が低下しやすくなる。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、特定の化合物を一種以上含有することで、広い温度範囲で蓄電デバイスの電気化学特性、特にリチウム電池の電気化学特性を改善できることを見出し、本発明を完成した。高温保存後の低温放電特性を向上させる効果は、前記特許文献1にはまったく示唆されていない。
(1)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表される(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)オキシ化合物を一種以上含有することを特徴とする非水電解液。
本発明の非水電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、非水電解液中に前記一般式(I)で表される(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)オキシ化合物を一種以上含有することを特徴とする非水電解液である。
本発明で使用される化合物は、前記一般式(I)に記載のとおり、アルキレン基を介さず極性基が環に直接結合した環状カーボネートである。その為、特許文献1に記載の環状カーボネート基と極性基であるスルホネート基がアルキレン基を介して結合した化合物である1,3−ジオキソラン−2−オニルメチルアリルスルホネートよりも電気化学的な分解をうけやすく正極及び負極上に緻密で耐熱性の高い被膜を形成する。その為、高温保存後の低温放電特性の様な広い温度範囲での電気化学特性を向上させることができると考えられる。
(a)アルキルハライドとカルボン酸カリウム塩との反応法
Chem.Ber.,1970,112,148記載の方法によって、アルキルハライドとカルボン酸カリウム塩を溶媒中で反応させることによって得られる。
(b)アルキルハライドとスルホン酸銀塩との反応法
Synthesis,1971,150記載の方法によって、アルキルハライドとスルホン酸銀塩を溶媒中で反応させることによって得られる。
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状エステル、ラクトン、エーテル、及びアミドから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。広い温度範囲で電気化学特性が相乗的に向上するため、鎖状エステルが含まれることが好ましく、鎖状カーボネートが含まれることが更に好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートの両方が含まれることがもっとも好ましい。
中でも高温環境下での電気化学特性向上の観点より、2,2,2−トリフルオロエチルアセテート、2,2−ジフルオロエチルアセテート、2,2,2−トリフルオロプロピオネート、メチル(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、又はエチル(2,2,2−トリルオロエチル)カーボネートがより好ましい。
その他の添加剤の具体例としては、以下の(A)〜(I)の化合物が好適に挙げられる。
リチウム塩の具体例としては、リチウム ビス(オキサラト)ボレート〔LiBOB〕、リチウム ジフルオロ(オキサラト)ボレート〔LiDFOB〕、リチウム テトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート〔LiTFOP〕、及びリチウム ジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート〔LiDFOP〕から選ばれる少なくとも一種のシュウ酸骨格を有するリチウム塩、LiPO2F2やLi2PO3F等のリン酸骨格を有するリチウム塩、リチウム トリフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ボレート〔LiTFMSB〕、リチウム ペンタフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ホスフェート〔LiPFMSP〕、リチウム メチルサルフェート〔LMS〕、リチウムエチルサルフェート〔LES〕、リチウム 2,2,2−トリフルオロエチルサルフェート〔LFES〕、及びFSO3Liから選ばれる1種以上のS=O基を有するリチウム塩が好適に挙げられ、LiBOB、LiDFOB、LiTFOP、LiDFOP、LiPO2F2、LiTFMSB、LMS、LES、LFES、及びFSO3Liから選ばれるリチウム塩を含むことがより好ましい。
本発明に使用される電解質塩としては、下記のリチウム塩が好適に挙げられる。
リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4等の無機リチウム塩、LiN(SO2F)2〔LiFSI〕、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiCF3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF3(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF2)2(SO2)2NLi、(CF2)3(SO2)2NLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を有するリチウム塩等が好適に挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの中でも、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、及びLiN(SO2F)2〔LiFSI〕から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、LiPF6を用いることがもっとも好ましい。電解質塩の濃度は、前記の非水溶媒に対して、通常0.3M以上が好ましく、0.7M以上がより好ましく、1.1M以上が更に好ましい。またその上限は、2.5M以下が好ましく、2.0M以下がより好ましく、1.6M以下が更に好ましい。
また、これらの電解質塩の好適な組み合わせとしては、LiPF6を含み、更にLiBF4、LiN(SO2CF3)2、及びLiN(SO2F)2〔LiFSI〕から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が非水電解液中に含まれている場合が好ましく、LiPF6以外のリチウム塩が非水溶媒中に占める割合は、0.001M以上であると、広い温度範囲での電気化学特性の向上効果が発揮されやすく、1.0M以下であると広い温度範囲での電気化学特性の向上効果が低下する懸念が少ないので好ましい。好ましくは0.01M以上、特に好ましくは0.03M以上、最も好ましくは0.04M以上である。その上限は、好ましくは0.8M以下、さらに好ましくは0.6M以下、特に好ましくは0.4M以下である。
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩及び該非水電解液に対して前記一般式(I)で表される(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)オキシ誘導体化合物を添加することにより得ることができる。
この際、用いる非水溶媒及び非水電解液に加える前記化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。
本明細書においてリチウム電池とは、リチウム一次電池及びリチウム二次電池の総称である。また、本明細書において、リチウム二次電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。
本発明の第1の蓄電デバイスであるリチウム電池は、正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている前記非水電解液からなる。非水電解液以外の正極、負極等の構成部材は特に制限なく使用できる。
例えば、リチウム二次電池用正極活物質としては、コバルト、マンガン、及びニッケルからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独で用いるか又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなリチウム複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO2、LiCo1−xMxO2(但し、MはSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、及びCuから選ばれる1種又は2種以上の元素、0.001≦x≦0.05)、LiMn2O4、LiNiO2、LiCo1−xNixO2(0.01<x<1)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2Mn0.3O2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、Li2MnO3とLiMO2(Mは、Co、Ni、Mn、Fe等の遷移金属)との固溶体、及びLiNi1/2Mn3/2O4からなる群より選ばれる1種以上が好適に挙げられ、2種以上がより好適である。また、LiCoO2とLiMn2O4、LiCoO2とLiNiO2、LiMn2O4とLiNiO2のように併用してもよい。
特にNiを含む正極活物質の場合にNiの触媒作用により正極表面での非水溶媒の分解が起き、電池の抵抗が増加しやすい傾向にある。特に高温環境下での電気化学特性が低下しやすい傾向にあるが、本発明に係るリチウム二次電池ではこれらの電気化学特性の低下を抑制することができるので好ましい。特に、正極活物質中の全遷移金属元素の原子濃度に対するNiの原子濃度の割合が、10atomic%を超える正極活物質を用いた場合に上記効果が顕著になるので好ましく、20atomic%以上が更に好ましく、30atomic%以上が特に好ましい。具体的には、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2Mn0.3O2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2等が好適に挙げられる。
これらのリチウム含有オリビン型リン酸塩の一部は他元素で置換してもよく、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンの一部をCo、Mn、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Nb、Cu、Zn、Mo、Ca、Sr、W、及びZrから選ばれる一種又は二種以上の元素で置換したり、又はこれらの他元素を含有する化合物や炭素材料で被覆することもできる。これらの中では、LiFePO4又はLiMnPO4が好ましい。
また、リチウム含有オリビン型リン酸塩は、例えば前記の正極活物質と混合して用いることもできる。
正極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.5g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは2g/cm3以上であり、より好ましくは、3g/cm3以上であり、更に好ましくは、3.6g/cm3以上である。なお、その上限としては、4g/cm3以下が好ましい。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵及び放出能力において、人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することがより好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm(ナノメータ)以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが更に好ましい。
特に複数の扁平状の黒鉛質微粒子が互いに非平行に集合又は結合した塊状構造を有する人造黒鉛粒子や、圧縮力、摩擦力、剪断力等の機械的作用を繰り返し与え、鱗片状天然黒鉛を球形化処理した粒子、を用いることが好ましい。
負極の集電体を除く部分の密度を1.5g/cm3以上の密度に加圧成形したときの負極シートのX線回折測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比I(110)/I(004)が0.01以上となると一段と広い温度範囲での電気化学特性が向上するので好ましく、0.05以上となることがより好ましく、0.1以上となることが更に好ましい。また、過度に処理し過ぎて結晶性が低下し電池の放電容量が低下する場合があるので、ピーク強度の比I(110)/I(004)の上限は0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。
また、高結晶性の炭素材料(コア材)はコア材よりも低結晶性の炭素材料によって被膜されていると、広い温度範囲での電気化学特性が一段と良好となるので好ましい。被覆の炭素材料の結晶性は、TEMにより確認することができる。
高結晶性の炭素材料を使用すると、充電時において非水電解液と反応し、界面抵抗の増加によって低温もしくは高温における電気化学特性を低下させる傾向があるが、本発明に係るリチウム二次電池では広い温度範囲での電気化学特性が良好となる。
負極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.1g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは1.5g/cm3以上であり、より好ましくは1.7g/cm3以上である。なお、その上限としては、2g/cm3以下が好ましい。
電池用セパレータとしては、特に制限はないが、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの単層又は積層の微多孔性フィルム、織布、不織布等を使用できる。
第2の蓄電デバイスは、電解液と電極界面の電気二重層容量を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。本発明の一例は、電気二重層キャパシタである。この蓄電デバイスに用いられる最も典型的な電極活物質は、活性炭である。二重層容量は概ね表面積に比例して増加する。
第3の蓄電デバイスは、電極のドープ/脱ドープ反応を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。この蓄電デバイスに用いられる電極活物質として、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化銅等の金属酸化物や、ポリアセン、ポリチオフェン誘導体等のπ共役高分子が挙げられる。これらの電極活物質を用いたキャパシタは、電極のドープ/脱ドープ反応にともなうエネルギー貯蔵が可能である。
第4の蓄電デバイスは、負極であるグラファイト等の炭素材料へのリチウムイオンのインターカレーションを利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。リチウムイオンキャパシタ(LIC)と呼ばれる。正極は、例えば活性炭電極と電解液との間の電気ニ重層を利用したものや、π共役高分子電極のドープ/脱ドープ反応を利用したもの等が挙げられる。電解液には少なくともLiPF6等のリチウム塩が含まれる。
〔2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル アセテート(構造式A1)の合成〕
4−クロロ−1,3−ジキソラン−2−オン2.50g(20.4mmol)の酢酸27ml溶液に、酢酸カリウム2.10g(21.4mmol)を加え、窒素気流下で15時間加熱還流した。室温まで冷却し濾過し、ジエチルエーテルで濾物を洗浄した後、ろ液を減圧濃縮した。残渣にジエチルエーテルを加えろ過し、ろ液を減圧濃縮することにより、目的の2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル アセテート1.19g(収率40%)を油状物として得た。得られた2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル アセテートについて、1H−NMRスペクトルの測定を行い、その構造を確認した。結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ= 6.70( dd, 1H, J=5.7, 2.1Hz ),4.65( dd, 1H, J=10.1, 5.7Hz ), 4.43( dd, 1H, J=10.1, 2.1Hz ), 2.18( s, 3H )
上記と同様の方法により、目的のビス(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)を白色固体として得た。得られたビス(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)オギザレートについて、1H−NMRスペクトルの測定を行い、その構造を確認した。結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ= 6.79 - 6.75( m, 2H ), 4.85 - 4.79(m, 2H ), 4.66( dd, 2H, J=10.3, 1.8Hz )
ジクロロメタン10ml中にメタンスルホン酸銀6.09g(30.0mmol)を懸濁させ、撹拌しながら4−クロロ−1,3−ジキソラン−2−オン3.06g(25.0mmol)を加え、窒素気流下で6.5時間加熱還流した。室温まで冷却し濾過により生成した塩化銀を除去した。ろ液を減圧濃縮し、残渣にジエチルエーテルを加え、ろ過することにより、目的の2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル メタンスルホネート2.00g(収率44%)を白色固体として得た。得られた2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル メタンスルホネートについて、1H−NMRスペクトルの測定を行い、その構造を確認した。結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ= 6.52( dd, 1H, J=5.7, 1.9Hz ),4.71( dd, 1H, J=10.5, 5.7Hz ), 4.55( dd, 1H, J=10.5, 1.9Hz ), 3.33( s, 3H )
上記と同様の方法により、目的の2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル エテンスルホネートを白色固体として得た。得られた2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル エテンスルホネートについて、1H−NMRスペクトルの測定を行い、その構造を確認した。結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ= 6.69( dd, 1H, J=16.5, 9.7Hz ), 6.54( dd, 1H, J=16.5, 0.8Hz ), 6.47( dd, 1H, J=5.6, 1.8Hz ), 6.27( dd, 1H, J=9.7, 0.8Hz ), 4.69( dd, 1H, J=10.5, 5.6Hz ), 4.55( dd, 1H, J=10.5, 1.8Hz )
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiNi0.33Mn0.33Co0.34O2;94質量%、アセチレンブラック(導電剤);3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);3質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の正極シートを作製した。正極の集電体を除く部分の密度は3.6g/cm3であった。また、ケイ素(単体);10質量%、人造黒鉛(d002=0.335nm、負極活物質);80質量%、アセチレンブラック(導電剤);5質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、負極シートを作製した。負極の集電体を除く部分の密度は1.5g/cm3であった。また、この電極シートを用いてX線回折測定した結果、黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比〔I(110)/I(004)〕は0.1であった。そして、正極シート、微多孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シートの順に積層し、表1及び表2に記載の組成の非水電解液を加えて、ラミネート型電池を作製した。
上記の方法で作製した電池を用いて55℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.25Vまで3時間充電し、次に1Cの定電流下、放電電圧3.0Vまで放電することを1サイクルとし、これを300サイクルに達するまで繰り返した。そして、以下の式によりサイクル後の容量維持率を求めた。
容量維持率(%)=(300サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
<初期の放電容量>
上記の方法で作製したラミネート電池を用いて、25℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.35Vまで3時間充電し、−20℃に恒温槽の温度を下げ、1Cの定電流下終止電圧2.75Vまで放電して、初期の−20℃の放電容量を求めた。
<高温充電保存試験>
次に、このラミネート電池を65℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧で終止電圧4.35Vまで3時間充電し、4.35Vに保持した状態で7日間保存を行った。その後、25℃の恒温槽に入れ、一旦1Cの定電流下終止電圧2.75Vまで放電した。
<高温充電保存後の放電容量>
更にその後、初期の放電容量の測定と同様にして、高温充電保存後の−20℃の放電容量を求めた。
<高温充電保存後の−20℃容量維持率>
高温充電保存後の−20℃容量維持率を下記の式により求めた。
高温充電保存後の放電容量維持率(%)=(高温充電保存後の−20℃の放電容量/初期の−20℃の放電容量)×100
また、電池の作製条件及び電池特性を表1〜表3に示す。
実施例1及び比較例1で用いた正極活物質に変えて、LiNi1/2Mn3/2O4(正極活物質)を用いて、正極シートを作製した。非晶質炭素で被覆されたLiNi1/2Mn3/2O4;94質量%、アセチレンブラック(導電剤);3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);3質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、正極シートを作製したこと、電池評価の際の充電終止電圧を4.9V、放電終止電圧を2.7Vとしたことの他は、実施例4及び比較例1と同様にラミネート型電池を作製し、電池評価を行った。結果を表4に示す。
実施例4及び比較例1で用いた負極活物質に代えて、チタン酸リチウムLi4Ti5O12(負極活物質)を用いて、負極シートを作製した。チタン酸リチウムLi4Ti5O12;80質量%、アセチレンブラック(導電剤);15質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、負極シートを作製したこと、電池評価の際の充電終止電圧を2.8V、放電終止電圧を1.2Vとしたこと、非水電解液の組成を所定のものに変えたことの他は、実施例1及び比較例1と同様にラミネート型電池を作製し、電池評価を行った。結果を表5に示す。
また、実施例23と比較例3の対比から、正極にニッケルマンガン酸リチウム塩(LiNi1/2Mn3/2O4)を用いた場合や実施例24〜25と比較例4の対比から、負極にチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)を用いた場合にも同様な効果がみられる。従って、本発明の効果は、特定の正極や負極に依存した効果でないことは明らかである。
また、本発明の新規な化合物は、その特殊な構造から、化学一般、特に有機化学、電気化学、生化学及び高分子化学の分野において、電解質用途、耐熱性用途等の材料として、医薬、農薬、電子材料、高分子材料等の中間原料、又は電池材料として有用である。
Claims (3)
- 非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表される(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)オキシ化合物を含有することを特徴とする非水電解液。
- 正極、負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた蓄電デバイスにおいて、該非水電解液が請求項1に記載の非水電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
- 下記一般式(II)で表される(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)オキシ化合物。
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