JP2021054766A - アルカリ金属塩化合物、それを用いた非水電解液、及びその非水電解液を用いた蓄電デバイス - Google Patents

アルカリ金属塩化合物、それを用いた非水電解液、及びその非水電解液を用いた蓄電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、非水電解液中に含有させることにより、広い温度範囲での電池の内部抵抗を抑制することができるアルカリ金属塩化合物、それを用いた非水電解液及びその非水電解液を用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】 下記一般式(I)で表されるアルカリ金属塩化合物、前記アルカリ金属塩化合物を少なくとも1種類以上含有することを特徴とする蓄電デバイス用非水電解液及び蓄電デバイス。
Figure 2021054766

(式中Mはアルカリ金属原子を示し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、式中Lは、炭素数1〜8のアルキレン基を示す。ただし、R及びR中の少なくとも一つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。)

【選択図】 なし

Description

本発明は、非水電解液中に含有させることにより、広い温度範囲での電池の内部抵抗を抑制することができるアルカリ金属塩化合物、それを用いた非水電解液、及びその非水電解液を用いた蓄電デバイスに関する。
近年、蓄電デバイス、特にリチウム二次電池は、携帯電話やノート型パソコン等の小型電子機器、電気自動車や電力貯蔵用として広く使用されている。これらの電子機器や自動車は、真夏の高温下や極寒の低温下等広い温度範囲で使用される可能性があるため、広い温度範囲でバランス良く電気化学特性を向上させることが求められている。
特に地球温暖化防止のため、CO排出量を削減することが急務となっており、リチウム二次電池やキャパシタ等の蓄電デバイスからなる蓄電装置を搭載した環境対応車の中でも、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、バッテリー電気自動車(BEV)の早期普及が求められている。自動車は移動距離が長いため、熱帯の非常に暑い地域から極寒の地域まで幅広い温度範囲の地域で使用される可能性がある。従って、特にこれらの車載用の蓄電デバイスは、高温から低温まで幅広い温度範囲で使用しても電気化学特性が低下しないことが要求されている。
尚、本明細書において、リチウム二次電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。
リチウム二次電池は、主にリチウムを吸蔵及び放出可能な材料を含む正極及び負極、ならびに、リチウム塩と非水溶媒からなる非水電解液から構成され、非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネートが使用されている。
また、負極としては、金属リチウム、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物(金属単体、酸化物、リチウムとの合金等)や炭素材料が知られており、特にリチウムを吸蔵及び放出することが可能なコークス、人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素材料を用いたリチウム二次電池が広く実用化されている。
例えば、天然黒鉛や人造黒鉛等の高結晶化した炭素材料を負極材料として用いたリチウム二次電池は、非水電解液中の溶媒が充電時に負極表面で還元分解することにより発生した分解物やガスが電池の望ましい電気化学的反応を阻害するため、電池特性の低下を生じることが分かっている。また、非水溶媒の分解物が蓄積すると、負極へのリチウムの吸蔵及び放出がスムーズにできなくなり、広い温度範囲で使用した場合における電気化学特性が低下しやすくなる。
更に、リチウム金属やその合金、スズ又はケイ素等の金属単体や酸化物を負極材料として用いたリチウム二次電池は、初期の容量は高いもののサイクル中に微粉化が進むため、炭素材料の負極に比べて非水溶媒の還元分解が加速的に起こり、電池容量や電池の内部抵抗のような電池性能が大きく低下することが知られている。また、これらの負極材料の微粉化や非水溶媒の分解物が蓄積すると、負極へのリチウムの吸蔵及び放出がスムーズにできなくなり、広い温度範囲で使用した場合における電気化学特性が低下しやすくなる。
一方、正極として、例えばLiCoO、LiMn、LiNiO、LiFePO等を用いたリチウム二次電池は、非水電解液中の非水溶媒が充電状態で正極材料と非水電解液との界面において、局部的に一部酸化分解することにより発生した分解物やガスが電池の望ましい電気化学的反応を阻害するため、やはり広い温度範囲で使用した場合における電気化学特性の低下を生じることが分かっている。
以上のように、正極上や負極上で非水電解液が分解するときの分解物により、リチウムイオンの移動が阻害されたり、発生したガスにより電池が膨れたりすることで電池性能が低下していた。そのような状況にも関わらず、リチウム二次電池が搭載されている電子機器の多機能化はますます進み、電力消費量が増大する流れにある。そのため、リチウム二次電池の高容量化はますます進んでおり、電極の密度を高めたり、電池内の無駄な空間容積を減らす等、電池内の非水電解液の占める体積が小さくなっている。従って、少しの非水電解液の分解で、広い温度範囲で使用した場合における電気化学特性が低下しやすい状況にある。特許文献1には、リチウムメチルメトキシカルボニルホスホネートなどのリン原子に特定の極性基が直接結合したリン酸リチウムを一種以上含有することで、広い温度範囲で蓄電デバイスの電気化学特性、特にリチウム電池の電気化学特性を改善できることが記載されている。
特開2016−066404号
本発明は、非水電解液中に含有させることにより、広い温度範囲での電池の内部抵抗を抑制することができるアルカリ金属塩化合物、それを用いた非水電解液、及びその非水電解液を用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の非水電解液の性能について詳細に検討した結果、前記特許文献1の非水電解液を用いた二次電池では、広い温度範囲での電池の内部抵抗を抑制するという課題に対して効果が十分でない場合があった。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、本発明のアルカリ金属塩化合物を非水電解液中に含有させることにより、広い温度範囲での電池の内部抵抗を抑制する効果を見出し、本発明を完成した。
本発明は、アルカリ金属塩化合物、それを用いた非水電解液、及びその非水電解液を用いた蓄電デバイスに関する。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(3)を提供するものである。
(1)下記一般式(I)で表されるアルカリ金属塩化合物。
Figure 2021054766
(式中Mはアルカリ金属原子を示し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、式中Lは、炭素数1〜8のアルキレン基を示す。ただし、R及びR中の少なくとも一つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。)
(2)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表されるアルカリ金属塩化合物を少なくとも1種類以上含有することを特徴とする蓄電デバイス用非水電解液。
Figure 2021054766
(式中Mはアルカリ金属原子を示し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、式中Lは、炭素数1〜8のアルキレン基を示す。ただし、R及びR中の少なくとも一つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。)
(3)正極、負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた蓄電デバイスにおいて、該非水電解液が前記(2)に記載の非水電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
本発明によれば非水電解液中に含有させることにより、広い温度範囲での電池の内部抵抗を抑制することができるアルカリ金属塩化合物、それを用いた非水電解液、及びその非水電解液を用いた蓄電デバイスを提供することができる。
〔アルカリ金属塩化合物〕
本発明のアルカリ金属塩化合物は下記の一般式(I)で表される。
Figure 2021054766
(式中Mはアルカリ金属原子を示し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、式中Lは、炭素数1〜8のアルキレン基を示す。ただし、R及びR中の少なくとも一つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。)
前記一般式中のMはアルカリ金属原子を示し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、式中Lは、炭素数1〜8のアルキレン基を示す。ただし、R及びR中の少なくとも一つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
〔非水電解液〕
本発明の非水電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表されるアルカリ金属塩化合物を少なくとも1種類以上含有することを特徴とする。
Figure 2021054766
(式中Mはアルカリ金属原子を示し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、式中Lは、炭素数1〜8のアルキレン基を示す。ただし、R及びR中の少なくとも一つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。)
本発明のアルカリ金属塩化合物を含有する非水電解液が、蓄電デバイスの広い温度範囲での電池の内部抵抗を抑制することができる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考える。本発明の一般式(I)で表されるアルカリ金属塩化合物は、P=Oのリン原子とカルボニル基の炭素原子が直接結合する部位と、硫酸エステル塩部位の2種類の部位から構成される。P=Oとカルボニル基という2種類の極性基が直接結合する前者の部位は、蓄電デバイス内部での酸化や還元といった電気化学的反応に対して高い活性を示すことが予想され、蓄電デバイスの電極近傍で高い分解性を有するために、電極表面上にSEIを形成する能力が高いと考えられる。一方後者の硫酸エステル塩部位はアルカリ金属塩であり、高い極性を有する部位である。このため、前者の部位の電気化学的分解により形成されるSEI中に、同一分子内にある硫酸エステル塩部位も同時に取り込まれ、結果としてイオン電導性の高いSEIが形成されると予想される。このように本発明の前記一般式(I)で表されるアルカリ金属塩化合物は、イオン電導性の高いSEIを好適に形成できるため、このアルカリ金属塩化合物を含有する本発明の電解液は、広い温度範囲での電池の内部抵抗を抑制し、電池特性の改善を促すと考えられる。
本発明の非水電解液に含まれるアルカリ金属塩化合物は、下記一般式(I)で表される。
Figure 2021054766
(式中Mはアルカリ金属原子を示し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、式中Lは、炭素数1〜8のアルキレン基を示す。ただし、R及びR中の少なくとも一つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。)
前記一般式(I)において、Mで示されるアルカリ金属原子としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子が好ましく、リチウム原子が最も好ましい。
前記一般式(I)において、Rは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、及び炭素数6〜12のアリール基からなる群より選ばれる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基を示し、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、及び炭素数6〜10のアリール基からなる群より選ばれる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されてもよい有機基が好適に挙げられ、中でも、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜3のアルケニル基、及び炭素数3〜4のアルキニル基からなる群より選ばれる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基からなる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましく、炭素数1〜2のアルキル基が特に好ましく、炭素数2のアルキル基が最も好ましい。
前記Rが、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基の場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、もしくはn−オクチル基等の直鎖のアルキル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、もしくは2−エチルヘキシル基等の分枝鎖のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、もしくはシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3,3−ジフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、もしくは2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基等の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、もしくは5−ヘキセン−1−イル基等の直鎖のアルケニル基、1−プロペン−2−イル基、1−ブテン−2−イル基、もしくは2−メチル−2−プロペン−1−イル基等の分岐のアルケニル基、3,3−ジフルオロ−2−プロペン−1−イル基、4,4−ジフルオロ−3−ブテン−1−イル基、3,3−ジクロロ−2−プロペン−1−イル基、もしくは4,4−ジクロロ−3−ブテン−1−イル基などの水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルケニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、もしくは4−ヘプチニル基等の直鎖のアルキニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニル基、1−メチル−3−ブチニル基、もしくは1−メチル−4−ヘプチニル基等の分岐のアルキニル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、もしくは4−tert-ブチルフェニル基等のアリール基、又は、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−フルオロ−2−トリフルオロメチルフェニル基、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、もしくはパーフルオロフェニル基等の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基が好適に挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ビニル基、2−プロペニル基、もしくは2−プロピニル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が更に好ましく、メチル基、もしくはエチル基が特に好ましく、エチル基が最も好ましい。
前記一般式(I)において、Rは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、及び炭素数6〜12のアリール基からなる群より選ばれる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基を示し、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、及び炭素数6〜10のアリール基からなる群より選ばれる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されてもよい有機基が好適に挙げられ、中でも、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜3のアルケニル基、及び炭素数3〜4のアルキニル基からなる群より選ばれる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基が好ましく、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選ばれる有機基が更に好ましく、炭素数3〜4の分枝鎖を有するアルキル基が最も好ましい。
前記Rが、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基の場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、もしくはn−オクチル基等の直鎖のアルキル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、もしくは2−エチルヘキシル基等の分枝鎖のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、もしくはシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3,3−ジフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、もしくは2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基等の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、もしくは5−ヘキセン−1−イル基等の直鎖のアルケニル基、1−プロペン−2−イル基、1−ブテン−2−イル基、2−メチル−2−プロペン−1−イル基、3−ブテン−2−イル基、もしくは3−メチル−2−ブテン−1−イル基等の分岐のアルケニル基、3,3−ジフルオロ−2−プロペン−1−イル基、4,4−ジフルオロ−3−ブテン−1−イル基、3,3−ジクロロ−2−プロペン−1−イル基、もしくは4,4−ジクロロ−3−ブテン−1−イル基などの水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルケニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、もしくは4−ヘプチニル基等の直鎖のアルキニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニル基、1−メチル−3−ブチニル基、もしくは1−メチル−4−ペンチニル基等の分岐のアルキニル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、もしくは4−tert-ブチルフェニル基等のアリール基、又は、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−フルオロ−2−トリフルオロメチルフェニル基、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、もしくはパーフルオロフェニル基等の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基が好適に挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、2−プロペニル基、もしくは2−プロピニル基が好ましく、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、もしくはtert−アミル基が更に好ましく、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、もしくはtert−ブチル基が最も好ましい。
前記一般式(I)において、Lは炭素数1〜8のアルキレン基を示し、炭素数1〜4のアルキレン基が好適に挙げられ、中でも、炭素数2〜3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基が最も好ましい。
前記Lが、1〜8のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の直鎖のアルキル基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−エチルエチレン基、2-エチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基等の分枝鎖のアルキル基が好適に挙げられ、中でも、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基が好ましく、エチレン基が最も好ましい。
前記一般式(I)で表される化合物としては、具体的に以下の化合物が好適に挙げられる。





































Figure 2021054766








Figure 2021054766








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Figure 2021054766









Figure 2021054766
上記好適例の中でも、化合物A1〜A2、A30〜A32、A35〜A38、A78〜A80、A83〜A86、A125〜A132、A134〜A141が好ましく、化合物A1〜A2、A30〜A32、A35〜A38、A78〜A80、A83〜A86がより好ましく、リチウム 2−{[エトキシ(メトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A2)、リチウム 2−{[エトキシ(エトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A78)、リチウム 2−{[エトキシ(n−プロポキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A79)、リチウム 2−{[エトキシ(n−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A80)、リチウム 2−{[エトキシ(iso−プロポキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A83)、リチウム 2−{[エトキシ(iso−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A84)、リチウム 2−{[エトキシ(sec−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A85)、リチウム 2−{[エトキシ(tert−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A86)が更に好ましく、リチウム 2−{[エトキシ(iso−プロポキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A83)、リチウム 2−{[エトキシ(iso−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A84)、リチウム 2−{[エトキシ(sec−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A85)、リチウム 2−{[エトキシ(tert−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A86)が特に好ましい。
また、前記一般式(I)で表される化合物として、化合物A1〜A160のそれぞれに対応するK塩、およびNa塩も好適に挙げられる。
上記K塩およびNa塩の好適例の中でも、カリウム 2−{[エトキシ(iso−プロポキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A83のK塩)、カリウム 2−{[エトキシ(iso−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A84のK塩)、カリウム 2−{[エトキシ(sec−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A85のK塩)、カリウム 2−{[エトキシ(tert−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A86のK塩)、ナトリウム 2−{[エトキシ(iso−プロポキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A83のNa塩)、ナトリウム 2−{[エトキシ(iso−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A84のNa塩)、ナトリウム 2−{[エトキシ(sec−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A85のNa塩)、ナトリウム 2−{[エトキシ(tert−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A86のNa塩)がより好ましく、カリウム 2−{[エトキシ(iso−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A84のK塩)、ナトリウム 2−{[エトキシ(iso−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A84のNa塩)が特に好ましい。
本発明の非水電解液において、前記一般式(I)で表されるアルカリ金属塩化合物の含有量は、非水電解液全量に対して0.0001〜10質量%であることが好ましい。該含有量は、非水電解液全量に対して0.001質量%以上であることがより好ましい。また、その上限は、非水電解液全量に対して8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下が特に好ましい。
〔非水溶媒〕
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状エステル、ラクトン、エーテル、及びアミドから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。広い温度範囲で電気化学特性が相乗的に向上するため、鎖状エステルが含まれることが好ましく、鎖状カーボネートが含まれることが更に好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートの両方が含まれることが最も好ましい。
なお、「鎖状エステル」なる用語は、鎖状カーボネート及び鎖状カルボン酸エステルを含む概念として用いる。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、トランスもしくはシス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、両者を総称して「DFEC」という)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、及び4−エチニル−1,3−ジオキソラン−2−オン(EEC)から選ばれる一種又は二種以上が挙げられ、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビニレンカーボネート及び4−エチニル−1,3−ジオキソラン−2−オン(EEC)から選ばれる一種又は二種以上がより好適である。
前記環状カーボネートの含有量は、非水電解液全量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、その上限としては、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、最も好ましくは40質量%以下であると、Liイオン透過性を損なうことなく一段と電池特性が高まるので好ましい。
また、前記炭素−炭素二重結合もしくは炭素−炭素三重結合の不飽和結合又はフッ素原子を有する環状カーボネートのうち少なくとも1種を使用すると電池特性が高まるので好ましく、炭素−炭素二重結合もしくは炭素−炭素三重結合等の不飽和結合を含む環状カーボネートとフッ素原子を有する環状カーボネートを両方含むことがより好ましい。炭素−炭素二重結合もしくは炭素−炭素三重結合等の不飽和結合を有する環状カーボネートとしては、VC、VEC、又はEECが更に好ましく、フッ素原子を有する環状カーボネートとしては、FEC又はDFECが更に好ましい。
炭素−炭素二重結合もしくは炭素−炭素三重結合の不飽和結合を有する環状カーボネートの含有量は、非水電解液全量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、その上限としては、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下であると、Liイオン透過性を損なうことなく一段と電池特性が高まるので好ましい。
フッ素原子を有する環状カーボネートの含有量は、非水電解液全量に対して好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、その上限としては、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に20質量%以下であり、最も好ましくは15質量%以下であると、Liイオン透過性を損なうことなく一段と電池特性が高まるので好ましい。
これらの溶媒は一種類で使用してもよく、また二種類以上を組み合わせて使用した場合は、広い温度範囲での電気化学特性の改善効果が更に向上するので好ましく、3種類以上を組み合わせて使用することが特に好ましい。これらの環状カーボネートの好適な組合せとしては、ECとPC、ECとVC、PCとVC、VCとFEC、ECとFEC、PCとFEC、FECとDFEC、ECとDFEC、PCとDFEC、VCとDFEC、VECとDFEC、VCとEEC、ECとEEC、ECとPCとVC、ECとPCとFEC、ECとVCとFEC、ECとVCとVEC、ECとVCとEEC、ECとEECとFEC、PCとVCとFEC、ECとVCとDFEC、PCとVCとDFEC、ECとPCとVCとFEC、又はECとPCとVCとDFEC等が好ましい。前記の組合せのうち、ECとVC、ECとFEC、PCとFEC、ECとPCとVC、ECとPCとFEC、ECとVCとFEC、ECとVCとEEC、ECとEECとFEC、PCとVCとFEC、又はECとPCとVCとFEC等の組合せがより好ましい。
鎖状エステルとしては、メチルエチルカーボネート(MEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、メチルイソプロピルカーボネート(MIPC)、メチルブチルカーボネート、及びエチルプロピルカーボネートから選ばれる1種又は2種以上の非対称鎖状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、及びジブチルカーボネートから選ばれる1種又は2種以上の対称鎖状カーボネート、ピバリン酸メチル、ピバリン酸エチル、ピバリン酸プロピル等のピバリン酸エステル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酢酸メチル、及び酢酸エチル(EA)から選ばれる1種又は2種以上の鎖状カルボン酸エステルが好適に挙げられる。
前記鎖状エステルの中でも、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、プロピオン酸メチル、酢酸メチル及び酢酸エチル(EA)から選ばれるメチル基を有する鎖状エステルが好ましく、特にメチル基を有する鎖状カーボネートが好ましい。
また、鎖状カーボネートを用いる場合には、2種以上を用いることが好ましい。さらに対称鎖状カーボネートと非対称鎖状カーボネートの両方が含まれるとより好ましく、対称鎖状カーボネートの含有量が非対称鎖状カーボネートより多く含まれると更に好ましい。
本発明の非水電解液に用いる非水溶媒における鎖状エステルの含有量は、特に制限されないが、非水電解液全量に対して、5〜90質量%の範囲で用いるのが好ましい。該含有量が5質量%以上であれば非水電解液の粘度が高くなりすぎず、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下であれば非水電解液の電気伝導度が低下して電池特性が低下するおそれが少ないので上記範囲であることが好ましい。
環状カーボネートと鎖状エステルの割合は、高温下での電気化学特性向上の観点から、環状カーボネート:鎖状エステル(質量比)が10:90〜50:50が好ましく、30:70〜40:60が特に好ましい。
その他の非水溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン及び1,2−ジブトキシエタン等の鎖状エーテル、ジメチルホルムアミド等のアミド及びスルホラン等のスルホン、並びにγ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン及びα−アンゲリカラクトン等のラクトンから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。
上記その他の非水溶媒は通常、適切な物性を達成するために、混合して使用される。その組合せは、例えば、環状カーボネートと鎖状エステルとラクトンとの組合せ又は環状カーボネートと鎖状エステルとエーテルとの組合せ等が好適に挙げられ、環状カーボネートと鎖状エステルとラクトンとの組合せがより好ましく、ラクトンの中でもγ−ブチロラクトン(GBL)を用いると更に好ましい。
その他の非水溶媒の含有量は、非水電解液全量に対して、通常1質量%以上が好ましく、より好ましくは2質量%以上であり、また通常40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。当該濃度範囲中であれば電気伝導度が低下することや、溶媒の分解による電池特性が低下するおそれが少ない。
一段と電池特性を向上させる目的で、非水電解液中にさらにその他の添加剤を加えることが好ましい。
その他の添加剤の具体例としては、以下の(A)〜(K)の化合物が挙げられる。
(A)アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、及びセバコニトリルから選ばれる1種又は2種以上のニトリル。
(B)シクロヘキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、又は1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン等の分枝アルキル基を有する芳香族化合物や、ビフェニル、ターフェニル(o−、m−、p−体)、フルオロベンゼン、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、又はジフェニルカーボネート等の芳香族化合物。
(C)メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2−イソシアナトエチル アクリレート、及び2−イソシアナトエチル メタクリレートから選ばれる1種又は2種以上のイソシアネート化合物。
(D)2−プロピニル メチル カーボネート、酢酸 2−プロピニル、ギ酸 2−プロピニル、メタクリル酸 2−プロピニル、メタンスルホン酸 2−プロピニル、ビニルスルホン酸 2−プロピニル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2−プロピニル、ジ(2−プロピニル)オギザレート、2−ブチン−1,4−ジイル ジメタンスルホネート、及び2−ブチン−1,4−ジイル ジホルメートから選ばれる1種又は2種以上の三重結合含有化合物。
(E)1,3−プロパンスルトン(PS)、1,3−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、もしくは2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオラン−4−イル アセテート等のスルトン、エチレンサルファイト等の環状サルファイト、エチレンサルフェート等の環状サルフェート、ブタン−2,3−ジイル ジメタンスルホネート、ブタン−1,4−ジイル ジメタンスルホネート、もしくはメチレンメタンジスルホネート等のスルホン酸エステル、及びジビニルスルホン、1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタン、もしくはビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテル等のビニルスルホン化合物から選ばれる1種又は2種以上のS=O基含有化合物。
(F)環状アセタール化合物としては、分子内に「アセタール基」を有する化合物であれば、その種類は特に限定されない。その具体例としては、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、又は1,3,5−トリオキサン等の環状アセタール化合物。
(G)リン酸トリメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)、エチル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、及び2−プロピニル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテートから選ばれる1種又は2種以上のリン含有化合物。
(H)カルボン酸無水物としては、分子内に「C(=O)−O−C(=O)基」を有する化合物であれば特にその種類は限定されない。その具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸等の鎖状のカルボン酸無水物、無水コハク酸、無水マレイン酸、3−アリル無水コハク酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、又は3−スルホ−プロピオン酸無水物等の環状酸無水物。
(J)ホスファゼン化合物としては、分子内に「N=P−N基」を有する化合物であれば、その種類は特に限定されない。その具体例としては、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、又はエトキシヘプタフルオロシクロテトラホスファゼン等の環状ホスファゼン化合物。
(K)下記一般式(II)で表される化合物。
Figure 2021054766
(式中R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。ただし、R及びR中の少なくとも一つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。)
一般式(II)で表される化合物で表される化合物の具体例としては、リチウム メチル メトキシカルボニルホスホネート(化合物B1)、リチウム メチル エトキシカルボニルホスホネート(化合物B2)、リチウム メチル プロポキシカルボニルホスホネート(化合物B3)、リチウム メチル iso−プロポキシカルボニルホスホネート(化合物B4)、リチウム メチル ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B5)、リチウム メチル iso−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B6)、リチウム メチル sec−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B7)、リチウム メチル tert−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B8)、リチウム エチル メトキシカルボニルホスホネート(化合物B9)、リチウム エチル エトキシカルボニルホスホネート(化合物B10)、リチウム エチル プロポキシカルボニルホスホネート(化合物B11)、リチウム エチル iso−プロポキシカルボニルホスホネート(化合物B12)、リチウム エチル ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B13)、リチウム エチル iso−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B14)、リチウム エチル sec−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B15)、リチウム エチル tert−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B16)等が挙げられる。
Figure 2021054766
上記の中でも、(A)ニトリル、(B)芳香族化合物、及び(C)イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種以上を含むと一段と電気化学特性が向上ることができ、ガス発生を抑制し、電池の内部抵抗を抑制できるので好ましい。
(A)ニトリルの中では、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、及びピメロニトリルから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
(B)芳香族化合物の中では、ビフェニル、ターフェニル(o−、m−、p−体)、フルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、及びtert−アミルベンゼンから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、ビフェニル、o−ターフェニル、フルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、及びtert−アミルベンゼンから選ばれる1種又は2種以上が特に好ましい。
(C)イソシアネート化合物の中では、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2−イソシアナトエチル アクリレート、及び2−イソシアナトエチル メタクリレートから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
前記(A)〜(C)の化合物の含有量は、非水電解液全量に対して0.01〜7質量%であることが好ましい。この範囲では、被膜が厚くなり過ぎずに十分に形成され、イオン電導性を損なうことなく一段と電池特性を向上させることができ、ガス発生を抑制することで電池の内部抵抗を抑制することができる。該含有量は、非水電解液全量に対して0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上が特に好ましく、その上限は、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
また、(D)三重結合含有化合物、(E)スルトン、環状サルファイト、スルホン酸エステル、ビニルスルホンから選ばれる環状又は鎖状のS=O基含有化合物、(F)環状アセタール化合物、(G)リン含有化合物、(H)環状酸無水物、(J)環状ホスファゼン化合物、及び(K)一般式(II)で表される化合物を含むと電池特性を向上させることができるので好ましい。
(D)三重結合含有化合物としては、2−プロピニル メチル カーボネート、メタクリル酸 2−プロピニル、メタンスルホン酸 2−プロピニル、ビニルスルホン酸 2−プロピニル、ジ(2−プロピニル)オギザレート、及び2−ブチン−1,4−ジイル ジメタンスルホネートから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、メタンスルホン酸 2−プロピニル、ビニルスルホン酸 2−プロピニル、ジ(2−プロピニル)オギザレート、及び2−ブチン−1,4−ジイル ジメタンスルホネートから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
(E)スルトン、環状サルファイト、環状サルフェート、スルホン酸エステル、及びビニルスルホンから選ばれる環状又は鎖状のS=O基含有化合物(但し、三重結合含有化合物、及び前記一般式のいずれかで表される特定の化合物は含まない)を用いることが好ましい。
前記環状のS=O基含有化合物としては、1,3−プロパンスルトン(PS)、1,3−ブタンスルトン、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオラン−4−イル アセテート、メチレン メタンジスルホネート、エチレンサルファイト、及びエチレンサルフェートから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。
また、鎖状のS=O基含有化合物としては、ブタン−2,3−ジイル ジメタンスルホネート、ブタン−1,4−ジイル ジメタンスルホネート、ジメチル メタンジスルホネート、ペンタフルオロフェニル メタンスルホネート、ジビニルスルホン、及びビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテルから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。
前記環状又は鎖状のS=O基含有化合物の中でも、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオラン−4−イル アセテート、エチレンサルフェート、ペンタフルオロフェニル メタンスルホネート、及びジビニルスルホンから選ばれる1種又は2種以上が更に好ましい。
(F)環状アセタール化合物としては、1,3−ジオキソラン、又は1,3−ジオキサンが好ましく、1,3−ジオキサンが更に好ましい。
(G)リン含有化合物としては、エチル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、又は2−プロピニル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテートが好ましく、2−プロピニル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテートが更に好ましい。
(H)環状酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、又は3−アリル無水コハク酸が好ましく、無水コハク酸又は3−アリル無水コハク酸が更に好ましい。
(J)環状ホスファゼン化合物としては、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、又はフェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン等の環状ホスファゼン化合物が好ましく、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、又はエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンが更に好ましい。
(K)一般式(II)中Rは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、及び炭素数6〜12のアリール基からなる群より選ばれる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基を示し、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、及び炭素数6〜10のアリール基からなる群より選ばれる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されてもよい有機基が好適に挙げられ、中でも、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜3のアルケニル基、及び炭素数3〜4のアルキニル基からなる群より選ばれる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基からなる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましく、炭素数1〜2のアルキル基が特に好ましく、炭素数2のアルキル基が最も好ましい。
前記Rが、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基の場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、もしくはn−オクチル基等の直鎖のアルキル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、もしくは2−エチルヘキシル基等の分枝鎖のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、もしくはシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3,3−ジフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、もしくは2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基等の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、もしくは5−ヘキセン−1−イル基等の直鎖のアルケニル基、1−プロペン−2−イル基、1−ブテン−2−イル基、もしくは2−メチル−2−プロペン−1−イル基等の分岐のアルケニル基、3,3−ジフルオロ−2−プロペン−1−イル基、4,4−ジフルオロ−3−ブテン−1−イル基、3,3−ジクロロ−2−プロペン−1−イル基、もしくは4,4−ジクロロ−3−ブテン−1−イル基などの水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルケニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、もしくは4−ヘプチニル基等の直鎖のアルキニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニル基、1−メチル−3−ブチニル基、もしくは1−メチル−4−ヘプチニル基等の分岐のアルキニル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、もしくは4−tert-ブチルフェニル基等のアリール基、又は、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−フルオロ−2−トリフルオロメチルフェニル基、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、もしくはパーフルオロフェニル基等の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基が好適に挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ビニル基、2−プロペニル基、もしくは2−プロピニル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が更に好ましく、メチル基、もしくはエチル基が特に好ましく、エチル基が最も好ましい。
前記一般式(II)中Rは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、及び炭素数6〜12のアリール基からなる群より選ばれる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基を示し、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、及び炭素数6〜10のアリール基からなる群より選ばれる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されてもよい有機基が好適に挙げられ、中でも、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜3のアルケニル基、及び炭素数3〜4のアルキニル基からなる群より選ばれる水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基が好ましく、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選ばれる有機基が更に好ましく、炭素数3〜4の分枝鎖を有するアルキル基が最も好ましい。
前記Rが、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい有機基の場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、もしくはn−オクチル基等の直鎖のアルキル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、もしくは2−エチルヘキシル基等の分枝鎖のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、もしくはシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3,3−ジフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、もしくは2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基等の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、もしくは5−ヘキセン−1−イル基等の直鎖のアルケニル基、1−プロペン−2−イル基、1−ブテン−2−イル基、2−メチル−2−プロペン−1−イル基、3−ブテン−2−イル基、もしくは3−メチル−2−ブテン−1−イル基等の分岐のアルケニル基、3,3−ジフルオロ−2−プロペン−1−イル基、4,4−ジフルオロ−3−ブテン−1−イル基、3,3−ジクロロ−2−プロペン−1−イル基、もしくは4,4−ジクロロ−3−ブテン−1−イル基などの水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルケニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、もしくは4−ヘプチニル基等の直鎖のアルキニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニル基、1−メチル−3−ブチニル基、もしくは1−メチル−4−ペンチニル基等の分岐のアルキニル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、もしくは4−tert-ブチルフェニル基等のアリール基、又は、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−フルオロ−2−トリフルオロメチルフェニル基、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、もしくはパーフルオロフェニル基等の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基が好適に挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、2−プロペニル基、もしくは2−プロピニル基が好ましく、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、もしくはtert−アミル基が更に好ましく、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、もしくはtert−ブチル基が最も好ましい。
(K)一般式(II)で表される化合物としては、リチウム メチル メトキシカルボニルホスホネート(化合物B1)、リチウム メチル エトキシカルボニルホスホネート(化合物B2)、リチウム メチル プロポキシカルボニルホスホネート(化合物B3)、リチウム メチル iso−プロポキシカルボニルホスホネート(化合物B4)、リチウム メチル ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B5)、リチウム メチル iso−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B6)、リチウム メチル sec−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B7)、リチウム メチル tert−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B8)、リチウム エチル メトキシカルボニルホスホネート(化合物B9)、リチウム エチル エトキシカルボニルホスホネート(化合物B10)、リチウム エチル プロポキシカルボニルホスホネート(化合物B11)、リチウム エチル iso−プロポキシカルボニルホスホネート(化合物B12)、リチウム エチル ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B13)、リチウム エチル iso−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B14)、リチウム エチル sec−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B15)、リチウム エチル tert−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B16)が好ましく、リチウム エチル iso−プロポキシカルボニルホスホネート(化合物B12)、リチウム エチル iso−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B14)、リチウム エチル sec−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B15)、リチウム エチル tert−ブトキシカルボニルホスホネート(化合物B16)が特に好ましい。
前記(D)〜(K)の化合物のそれぞれの含有量は、非水電解液全量に対して0.001〜5質量%であることが好ましい。この範囲では、被膜が厚くなり過ぎずに十分に形成され、イオン電導性を損なうことなく一段と電池特性を向上させることができ電池の内部抵抗る。該含有量は、非水電解液全量に対して0.01質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上が特に好ましく、その上限は、非水電解液全量に対して3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下が特に好ましい。
また、一段と高温での電気化学特性を向上させる目的で、非水電解液中にさらに、シュウ酸骨格を有するリチウム塩、リン酸骨格を有するリチウム塩及びS=O基を有するリチウム塩の中から選ばれる1種以上のリチウム塩を含むことが好ましい。
前記リチウム塩の具体例としては、リチウム ビス(オキサラト)ボレート〔LiBOB〕、リチウム ジフルオロ(オキサラト)ボレート〔LiDFOB〕、リチウム テトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート〔LiTFOP〕、及びリチウム ジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート〔LiDFOP〕から選ばれる少なくとも1種のシュウ酸骨格を有するリチウム塩、LiPOやLiPOF等のリン酸骨格を有するリチウム塩、リチウム トリフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ボレート〔LiTFMSB〕、リチウム ペンタフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ホスフェート〔LiPFMSP〕、リチウム メチルサルフェート〔LMS〕、リチウムエチルサルフェート〔LES〕、リチウム 2,2,2−トリフルオロエチルサルフェート〔LFES〕、及びFSOLiから選ばれる1種以上のS=O基を有するリチウム塩が好適に挙げられ、LiBOB、LiDFOB、LiTFOP、LiDFOP、LiPO、LiTFMSB、LMS、LES、LFES、及びFSOLiから選ばれるリチウム塩を含むことがより好ましい。
前記リチウム塩が非水電解液中に占めるそれぞれの割合は、非水電解液全量に対して0.01質量%以上8質量%以下である場合が好ましい。この範囲にあると一段と電池特性を向上させることができ、ガス発生を抑制し、電池の内部抵抗を抑制できる。好ましくは非水電解液全量に対して0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.4質量%以上である。その上限は、更に好ましくは非水電解液全量に対して6質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。
(電解質塩)
本発明に使用される電解質塩としては、下記のリチウム塩が好適に挙げられる。
リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO等の無機リチウム塩、LiN(SOF)〔LiFSI〕、LiN(SOCF、LiN(SO、LiCFSO、LiC(SOCF、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CF、LiPF(iso−C7、LiPF(iso−C7)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF(SONLi、(CF(SONLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を有するリチウム塩等が好適に挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの中でも、LiPF、LiBF、LiN(SOCF、LiN(SO、及びLiN(SOF)〔LiFSI〕から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、LiPFを用いることが最も好ましい。電解質塩のそれぞれの濃度は、前記の非水電解液全量に対して、通常4質量%以上であることが好ましく、9質量%以上がより好ましく、13質量%以上が更に好ましい。またその上限は、非水電解液全量に対して28質量%以下であることが好ましく、23質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
また、これらの電解質塩の好適な組み合わせとしては、LiPFを含み、更にLiBF、LiN(SOCF、及びLiN(SOF)〔LiFSI〕から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が非水電解液中に含まれている場合が好ましく、LiPFを含み更にLiFSIを含む組み合わせがより好ましく、LiPF以外のリチウム塩が非水電解液全量に占めるそれぞれの割合は、0.01質量%以上であると、電池特性を向上させると共に、ガス発生の抑制効果も高まり、電池の内部抵抗を抑制することができる。非水電解液全量に対して10質量%以下であると電池特性が低下する懸念が少ないので好ましい。好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは非水電解液全量に対して0.3質量%以上、最も好ましくは0.6質量%以上である。その上限は、好ましくは11質量%以下、さらに好ましくは9質量%以下、特に好ましくは6質量%以下である。
〔非水電解液の製造〕
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩及び前記一般式(I)で表されるアルカリ金属塩化合物を添加することにより得ることができる。
この際、用いる非水溶媒及び非水電解液に加える化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。
本発明の非水電解液は、下記の第1〜第4の蓄電デバイスに使用することができ、非水電解質として、液体状のものだけでなくゲル化されているものも使用し得る。更に本発明の非水電解液は固体高分子電解質用としても使用できる。中でも電解質塩にリチウム塩を使用する第1の蓄電デバイス用(即ち、リチウム電池用)または第4の蓄電デバイス用(即ち、リチウムイオンキャパシタ用)として用いることが好ましく、リチウム電池用として用いることが更に好ましく、リチウム二次電池用として用いることが最も適している。
〔第1の蓄電デバイス(リチウム電池)〕
本発明の第1の蓄電デバイスであるリチウム二次電池は、正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている前記非水電解液からなる。非水電解液以外の正極、負極等の構成部材は特に制限なく使用できる。
例えば、リチウム二次電池用正極活物質としては、コバルト、マンガン、及びニッケルからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独で用いるか又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなリチウム複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO、LiCo1−x(但し、MはSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、及びCuから選ばれる1種又は2種以上の元素、0.001≦x≦0.05)、LiMn、LiNiO、LiCo1−xNi(0.01<x<1)、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiNi0.5Mn0.3Co0.2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiMnOとLiMO(Mは、Co、Ni、Mn、Fe等の遷移金属)との固溶体、及びLiNi1/2Mn3/2から選ばれる1種以上が好適に挙げられ、2種以上がより好適である。また、LiCoOとLiMn、LiCoOとLiNiO、LiMnとLiNiOのように併用してもよい。
高充電電圧で動作するリチウム複合金属酸化物を使用すると、充電時における電解液との反応により電池の内部抵抗が上昇しやすいが、本発明に係るリチウム二次電池ではこれらの電気化学特性の低下を抑制することができる。
特にNiを含む正極活物質の場合にNiの触媒作用により正極表面での非水溶媒の分解が起き、電池の抵抗が増加しやすい傾向にある。特に高温環境下での電気化学特性が低下しやすい傾向にあるが、本発明に係るリチウム二次電池ではこれらの電気化学特性の低下を抑制することができるので好ましい。特に、正極活物質中の全遷移金属元素の原子濃度の合計値に対するNiの原子濃度の割合が、30atomic%を超える正極活物質を用いた場合に上記効果が顕著になるので好ましく、50atomic%以上が更に好ましく、75atomic%以上が特に好ましい。具体的には、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiNi0.5Mn0.3Co0.2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05等が好適に挙げられる。
更に、正極活物質として、リチウム含有オリビン型リン酸塩を用いることもできる。特に鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれる少なくとも1種以上含むリチウム含有オリビン型リン酸塩が好ましい。その具体例としては、LiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPO等が挙げられる。
これらのリチウム含有オリビン型リン酸塩の一部は他元素で置換してもよく、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンの一部をCo、Mn、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Nb、Cu、Zn、Mo、Ca、Sr、W及びZr等から選ばれる1種以上の元素で置換したり、またはこれらの他元素を含有する化合物や炭素材料で被覆することもできる。これらの中では、LiFePOまたはLiMnPOが好ましい。
また、リチウム含有オリビン型リン酸塩は、例えば前記の正極活物質と混合して用いることもできる。
また、リチウム一次電池用正極としては、CuO、CuO、AgO、AgCrO、CuS、CuSO、TiO、TiS、SiO、SnO、V、V12、VO、Nb、Bi、BiPb,Sb、CrO、Cr、MoO、WO、SeO、MnO、Mn、Fe、FeO、Fe、Ni、NiO、CoO、CoOなどの、1種もしくは2種以上の金属元素の酸化物あるいはカルコゲン化合物、SO、SOClなどの硫黄化合物、一般式(CFnで表されるフッ化炭素(フッ化黒鉛)などが挙げられる。中でも、MnO、V、フッ化黒鉛などが好ましい。
正極の導電剤は、化学変化を起こさない電子伝導材料であれば特に制限はない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等のグラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。また、グラファイトとカーボンブラックを適宜混合して用いてもよい。導電剤の正極合剤への添加量は、1〜10質量%が好ましく、特に2〜5質量%が好ましい。
正極は、前記の正極活物質をアセチレンブラック、カーボンブラック等の導電剤、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンとブタジエンの共重合体(SBR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレンプロピレンジエンターポリマー等の結着剤と混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン等の高沸点溶剤を加えて混練して正極合剤とした後、この正極合剤を集電体のアルミニウム箔やステンレス製のラス板等に塗布して、乾燥、加圧成型した後、50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度真空下で加熱処理することにより作製することができる。
正極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.5g/cm以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは2g/cm以上であり、より好ましくは、3g/cm以上であり、更に好ましくは、3.6g/cm以上である。なお、上限としては、4g/cm以下が好ましい。
リチウム二次電池用負極活物質としては、リチウム金属やリチウム合金、及びリチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料〔易黒鉛化炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm(ナノメータ)以上の難黒鉛化炭素や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛など〕、スズ(単体)、スズ化合物、ケイ素(単体)、ケイ素化合物、LiTi12などのチタン酸リチウム化合物等を1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵及び放出能力において、人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することが更に好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。
複数の扁平状の黒鉛質微粒子が互いに非平行に集合或いは結合した塊状構造を有する人造黒鉛粒子や、例えば鱗片状天然黒鉛粒子に圧縮力、摩擦力、剪断力等の機械的作用を繰り返し与え、球形化処理を施した黒鉛粒子を用いることにより、負極の集電体を除く部分の密度を1.5g/cm以上の密度に加圧成形したときの負極シートのX線回折測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比I(110)/I(004)が0.01以上となると一段と正極活物質からの金属溶出量が改善するので好ましく、0.05以上となることがより好ましく、0.1以上となることが更に好ましい。また、過度に処理し過ぎて結晶性が低下し電池の放電容量が低下する場合があるので、上限は0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。
また、負極活物質としてのリチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物としては、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、Ba等の金属元素を少なくとも1種含有する化合物が挙げられる。これらの金属化合物は単体、合金、酸化物、窒化物、硫化物、硼化物、リチウムとの合金等、何れの形態で用いてもよいが、単体、合金、酸化物、リチウムとの合金の何れかが高容量化できるので好ましい。中でも、Si、Ge及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含有するものが好ましく、Si及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含むものが電池を高容量化できるので特に好ましい。
負極は、上記の正極の作製と同様な導電剤、結着剤、高沸点溶剤を用いて混練して負極合剤とした後、この負極合剤を集電体の銅箔等に塗布して、乾燥、加圧成型した後、50℃〜250℃程度の温度で2時間程度真空下加熱処理することにより作製することができる。
負極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.1g/cm以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは1.5g/cm以上であり、特に好ましくは1.7g/cm以上である。なお、上限としては、2g/cm以下が好ましい。
また、リチウム一次電池用の負極活物質としては、リチウム金属又はリチウム合金が挙げられる。
リチウム電池の構造には特に限定はなく、単層または複層のセパレータを有するコイン型電池、円筒型電池、角型電池、ラミネート電池等を適用できる。
電池用セパレータとしては、特に制限はされないが、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの単層または積層の微多孔性フィルム、織布、不織布等を使用できる。
本発明におけるリチウム二次電池は、充電終止電圧が4.2V以上、特に4.3V以上の場合にも電池特性に優れ、更に、4.4V以上においても特性は良好である。放電終止電圧は、通常2.8V以上、更には2.5V以上とすることができるが、本願発明におけるリチウム二次電池は、2.0V以上とすることができる。電流値については特に限定されないが、通常0.1〜30Cの範囲で使用される。また、本発明におけるリチウム電池は、−40〜100℃、好ましくは−10〜80℃で充放電することができる。
本発明においては、リチウム電池の内圧上昇の対策として、電池蓋に安全弁を設けたり、電池缶やガスケット等の部材に切り込みを入れる方法も採用することができる。また、過充電防止の安全対策として、電池の内圧を感知して電流を遮断する電流遮断機構を電池蓋に設けることができる。
〔第2の蓄電デバイス(電気二重層キャパシタ)〕
第2の蓄電デバイスは、電解液と電極界面の電気二重層容量を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。本発明の一例は、電気二重層キャパシタである。この蓄電デバイスに用いられる最も典型的な電極活物質は、活性炭である。二重層容量は概ね表面積に比例して増加する。
〔第3の蓄電デバイス〕
第3の蓄電デバイスは、電極のドープ/脱ドープ反応を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。この蓄電デバイスに用いられる電極活物質として、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化銅等の金属酸化物や、ポリアセン、ポリチオフェン誘導体等のπ共役高分子が挙げられる。これらの電極活物質を用いたキャパシタは、電極のドープ/脱ドープ反応にともなうエネルギー貯蔵が可能である。
〔第4の蓄電デバイス(リチウムイオンキャパシタ)〕
第4の蓄電デバイスは、負極であるグラファイト等の炭素材料へのリチウムイオンのインターカレーションを利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。リチウムイオンキャパシタ(LIC)と呼ばれる。正極は、例えば活性炭電極と電解液との間の電気ニ重層を利用したものや、π共役高分子電極のドープ/脱ドープ反応を利用したもの等が挙げられる。電解液には少なくともLiPF6などのリチウム塩が含まれる。
実施例1、比較例1
〔リチウム 2−{[エトキシ(メトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A2)の合成〕
リチウム エチル メトキシカルボニルホスホネートと1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシドを反応させ、リチウム 2−{[エトキシ(メトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェートを得た。H−NMRの測定を行い、目的物に相当する下記ピークが確認できた。
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=4.30−4.13(m,4H),3.90(t,J=4.4Hz,2H),3.79(s,3H),1.27(t,J=7.0Hz,3H)
〔リチウム 2−{[エトキシ(iso−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A84)の合成〕
リチウム エチル iso−ブトキシカルボニルホスホネートと1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシドを反応させ、リチウム 2−{[エトキシ(iso−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェートを得た。H−NMRの測定を行い、目的物に相当する下記ピークが確認できた。
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=4.31−4.14(m,4H),4.03(d,J=6.3Hz,2H),3.90(t,J=4.5Hz,2H),2.03−1.86(m,1H),1.28(t,J=7.0Hz,3H),0.89(d,J=7.5Hz,6H)
また質量分析(イオン化法:ESI−)により、目的物のアニオン部位である333.0419(C9H18O9PS−:333.0415)を確認した。
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiNi0.8Mn0.1Co0.1;90質量%、アセチレンブラック(導電剤);3質量%、KS−4(導電剤);3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);4質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の両面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、矩形の正極シートを作製した。正極の集電体を除く部分の密度は2.5g/cmであった。また、黒鉛(負極活物質);98質量%と、カルボキシメチルセルロース(増粘剤);1質量%と、ブタジエンの共重合体(結着剤);1質量%を水に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の両面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、負極シートを作製した。負極の集電体を除く部分の密度は1.4g/cmであった。そして、正極シート、ポリオレフィンの積層の微多孔性フィルム製セパレータ、負極シートの順に積層し、表1に記載の組成の非水電解液をそれぞれ加えて、ラミネート型電池を作製した。
〔電池特性の評価〕
<電池の前処理>
上記の方法で作製したラミネート電池を用いて、25℃の恒温槽中、0.2Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.2Vまで充電し、60℃の恒温槽に移して48時間静置し、25℃の恒温槽中で0.2Cの定電流下終止電圧2.75Vまで放電した。当明細書では前記の方法を前処理と定義する。
<交流抵抗の評価>
交流抵抗は前記前処理後に終止電圧3.72Vまで充電し、0℃の恒温槽中で100mHzの交流インピーダンスの実部の抵抗値を測定し、比較例1で測定した値を100%としたときの相対値である。電池特性を表1に示す。
Figure 2021054766
なお、表1に示す実施例及び比較例においては、非水電解液全体に対する表中記載の化合物の含有量が、表1に示す量となるように、非水電解液を調製した。
上記表1において、本発明の非水電解液を用いた実施例1では、一般式(I)で表されるアルカリ金属塩化合物を含有していない比較例1と比べ、交流抵抗を抑制することができており、これらの結果から電池内の抵抗を抑制し、電池特性を改善できているといえる。
本発明の非水電解液を使用すれば、広い温度範囲における電気化学特性に優れた蓄電デバイスを得ることができる。特にハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、バッテリー電気自動車等に搭載されるリチウム二次電池等の蓄電デバイス用の非水電解液として使用すると、広い温度範囲で電気化学特性が低下しにくい蓄電デバイスを得ることができる。
また、本発明の新規な化合物は、その特殊な構造から、化学一般、特に有機化学、電気化学、生化学及び高分子化学の分野において、電解質用途、耐熱性用途等の材料として、医薬、農薬、電子材料、高分子材料等の中間原料、又は電池材料として有用である。
上記好適例の中でも、化合物A1〜A2、A30〜A32、A35〜A38、A78〜A80、A83〜A86、A125〜A132、A134〜A141が好ましく、化合物A1〜A2、A30〜A32、A35〜A38、A78〜A80、A83〜A86がより好ましく、リチウム 2−{[エトキシ(メトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A2)、リチウム 2−{[エトキシ(エトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A78)、リチウム 2−{[エトキシ(n−プロポキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A79)、リチウム 2−{[エトキシ(n−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A80)、リチウム 2−{[エトキシ(iso−プロポキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A83)、リチウム 2−{[エトキシ(iso−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A84)、リチウム 2−{[エトキシ(sec−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A85)、リチウム 2−{[エトキシ(tert−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A86)が更に好ましく、リチウム 2−{[エトキシ(iso−プロポキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A83)、リチウム 2−{[エトキシ(iso−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A84)、リチウム 2−{[エトキシ(sec−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A85)、リチウム 2−{[エトキシ(tert−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート(化合物A86)が特に好ましい。

Claims (13)

  1. 下記一般式(I)で表されるアルカリ金属塩化合物。
    Figure 2021054766
    (式中Mはアルカリ金属原子を示し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、式中Lは、炭素数1〜8のアルキレン基を示す。ただし、R及びR中の少なくとも一つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。)
  2. 前記一般式(I)において、Mがリチウム原子であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ金属塩化合物。
  3. 前記一般式(I)において、Rが少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、Rが少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキル基、Lが炭素数2〜3のアルキレン基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ金属塩化合物。
  4. 前記一般式(I)において、Rが炭素数1〜4のアルキル基、Rが炭素数1〜5のアルキル基、Lが炭素数2〜3のアルキレン基であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアルカリ金属塩化合物。
  5. 前記一般式(I)において、Rが炭素数3〜4の分枝鎖のアルキル基であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のアルカリ金属塩化合物。
  6. 前記一般式(I)で示される化合物が、リチウム 2−{[エトキシ(メトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、リチウム 2−{[エトキシ(エトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、リチウム 2−{[エトキシ(n−プロポキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、リチウム 2−{[エトキシ(iso−プロポキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、リチウム 2−{[エトキシ(n−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、リチウム 2−{[エトキシ(iso−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、リチウム 2−{[エトキシ(sec−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、及びリチウム 2−{[エトキシ(tert−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェートからなる群より選ばれる1種以上である、請求項4に記載の化合物。
  7. 非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表されるアルカリ金属塩化合物を少なくとも1種類以上含有することを特徴とする蓄電デバイス用非水電解液。
    Figure 2021054766
    (式中Mはアルカリ金属原子を示し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、式中Lは、炭素数1〜8のアルキレン基を示す。ただし、R及びR中の少なくとも一つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。)
  8. 前記一般式(I)において、Mがリチウム原子であることを特徴とする請求項7に記載の非水電解液。
  9. 前記一般式(I)において、Rが少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、Rが少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキル基、Lが炭素数2〜3のアルキレン基であることを特徴とする請求項7又は8に記載の非水電解液。
  10. 前記一般式(I)において、Rが炭素数1〜4のアルキル基、Rが炭素数1〜5のアルキル基、Lが炭素数2〜3のアルキレン基であることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の非水電解液。
  11. 前記一般式(I)において、Rが炭素数3〜4の分枝鎖のアルキル基であることを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の非水電解液。
  12. 前記一般式(I)で示される化合物が、リチウム 2−{[エトキシ(メトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、リチウム 2−{[エトキシ(エトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、リチウム 2−{[エトキシ(n−プロポキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、リチウム 2−{[エトキシ(iso−プロポキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、リチウム 2−{[エトキシ(n−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、リチウム 2−{[エトキシ(iso−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、リチウム 2−{[エトキシ(sec−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェート、及びリチウム 2−{[エトキシ(tert−ブトキシカルボニル)ホスホリル]オキシ}エチル サルフェートからなる群より選ばれる1種以上である、請求項10に記載の非水電解液。
  13. 正極、負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた蓄電デバイスであって、該非水電解液が請求項7から12のいずれか1項に記載の非水電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
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