JP2019162069A - フライ食品改質用油脂組成物 - Google Patents

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秀一 宇野
Shuichi Uno
秀一 宇野
悠文 大橋
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Abstract

【課題】本発明の課題は、バッターへの分散性が良好で、できたてのフライ類の衣のサクサク感に優れ、この優れた長時間維持できるフライ食品改質用油脂組成物を提供することにある。【解決手段】上記課題を解決するために、液状油脂(A1)と極度硬化油(A2)およびHLB値が5〜9かつ平均重合度2〜4のポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を含有し、液状油脂(A1)の含有量が80〜98.8質量%、極度硬化油(A2)の含有量が1.0〜12質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の含有量が0.2〜12質量%であるフライ食品改質用油脂組成物であり、該油脂組成物は、構成脂肪酸中炭素数20〜22の飽和脂肪酸の割合が1〜6質量%、10〜35℃における固体脂含量が1〜12%である、フライ食品改質用油脂組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、フライ食品の製造において使用されるフライ食品改質用油脂組成物、フライ食品用バッター液、およびこれを用いて製造されるフライ食品に関する。
フライ食品を製造する際、小麦粉、澱粉等の粉体に水を加え、さらに必要に応じて卵、調味料等を配合したバッター液が用いられる。バッター液使用食品として代表的なものは、天ぷらや、パン粉を使ったフライ類であり、その衣は、揚げたてのサクサクした食感が好まれる。 近年、家庭におけるフライ調理が行われる回数が減少し、代わってコンビニエンスストアの弁当やスーパーマーケットの惣菜の利用が増えている。しかし、一般にコンビニエンスストアやスーパーの惣菜として販売されているフライ食品は、調理後数時間経過していることが多く、サクサクとした食感が失われている。
こうした実情に鑑み、これまで種々の改良方法が提案されている。例えば、バッター液に食用油脂を配合する方法において、乳化剤として主要構成脂肪酸がベヘン酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルを0.2〜35質量%含有するフライ食品用改質剤を使用する技術(特許文献1)や、乳化剤にリン脂質を使用して、10〜40℃における固体脂含量を2〜25%とするフライ食品用改質剤を使用する技術(特許文献2)等が知られている。しかし、特許文献1の技術では特有の乳化剤臭や衣の口溶けの悪さが課題となる他、バッター液への分散性が不十分であり、十分な食感改良効果が得られない。一方、特許文献2の技術では、リン脂質特有の臭味が発生してしまい、フライ食品の風味を損なってしまう。
このように、バッター液への分散性が良好で、フライ類の風味を損なわずに、フライ後数時間保存しても、できたての自然な食感を維持することを実現するフライ食品改質用油脂組成物が求められている。
特開2008−253145号公報 特開2006−197817号公報
本発明の課題は、バッター液への分散性が良好で、できたてのフライ類の衣のサクサク感に優れ、できたての食感を長時間維持できるフライ食品改質用油脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、炭素数20〜22の飽和脂肪酸の割合への着目から、ハイエルシンナタネ極度硬化油と、特定構造のグリセリン脂肪酸エステルを特定量組合わせて用いたフライ食品改質用油脂組成物が、上記の課題を解決することの知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は下記の〔1〕〜〔3〕である。
〔1〕 液状油脂(A1)と極度硬化油(A2)およびHLB値が5〜9かつ平均重合度2〜4のポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を含有し、液状油脂(A1)の含有量が80〜98.8質量%、極度硬化油(A2)の含有量が1.0〜12質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の含有量が0.2〜12質量%であるフライ食品改質用油脂組成物であり、該油脂組成物は、構成脂肪酸中炭素数20〜22の飽和脂肪酸の割合が1〜6質量%、10〜35℃における固体脂含量が1〜12%である、フライ食品改質用油脂組成物。
〔2〕 フライ食品用バッター液全質量に対して、前記の〔1〕に記載のフライ食品改質用油脂組成物を1〜30質量%含有する、フライ食品用バッター液。
〔3〕 前記の〔2〕に記載のフライ食品用バッター液を使用したフライ食品。
本発明によれば、できたてのフライ類の衣のサクサク感に優れ、この優れた食感を長時間維持できるフライ食品改質用油脂組成物、この油脂組成物を含有するフライ食品用バッター液、フライ食品用麺皮およびフライ食品を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のフライ食品改質用油脂組成物は、液状油脂(A1)と極度硬化油(A2)およびHLB値が5〜9かつ平均重合度2〜4のポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を含有する。順に説明する。
[液状油脂(A1)]
本発明に用いる液状油脂(A1)は、食用可能で常温(25℃)で液状の油脂であれば特に制限はなく、例えば大豆油、菜種油、綿実油、紅花油、サフラワー油、ヒマワリ油、米糠油、コーン油、椰子油、パーム油、パーム核油、落花生油、オリーブ油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックコーン油又はハイオレイックヒマワリ油等の植物油脂、牛脂、ラード、鶏油、魚油又は乳脂等の動物油脂、さらにこれらの動植物油脂を分別、水素添加あるいはエステル交換したものまたは中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等が挙げられ、好ましくは大豆油または菜種油等が挙げられる。
本発明のフライ食品改質用油脂組成物に含まれる液状油脂(A1)の含有量は、80〜98.8質量%である。下限値としては、好ましくは82質量%以上であり、より好ましくは84質量%以上であり、さらに好ましくは87質量%以上である。上限値としては、96.8質量%以下であり、94.8質量%以下である。少な過ぎるとポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を溶解しにくくなり、多過ぎると極度硬化油(A2)の機能が十分発揮されず、フライ食品の風味の向上効果が得られない。
[極度硬化油(A2)]
本発明に用いる極度硬化油(A2)は、ハイエルシン菜種、パーム、菜種、大豆、牛脂、豚脂、魚油等の極度硬化油が挙げられ、これらの中でも、炭素数20〜22の脂肪酸残基を多く含有するハイエルシン菜種極度硬化油、魚油極度硬化油が好ましく挙げられる。
本発明のフライ食品改質用油脂組成物に含まれる極度硬化油(A2)の含有量は、1.0〜12質量%である。下限値としては、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。上限値としては、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下である。少な過ぎる場合も多過ぎる場合もポリグリセリン脂肪酸エステル(B)との協奏効果が不十分であるために、フライ食品の風味の向上効果が得られない。
[ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)]
本発明に乳化剤として用いるポリグリセリン脂肪酸エステル(B)は、HLB値が5〜9、好ましくは6〜8である。HLB値が5未満では油脂組成物をバッターに添加したときの分散性が悪くなり、HLB値が9より大きい場合は油脂に溶解させることが困難となり、フライ食品にしたときの効果が得られ難くなる。
また、本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステル(B)は、脂肪酸がエステル結合した平均重合度2〜4のグリセリン脂肪酸エステルを主要成分とする乳化剤である。平均重合度としては、好ましくは2〜3である。モノグリセリンであったり、平均重合度が大き過ぎたりすると、水または油脂成分との親和性が得られず、フライ食品にしたときの効果が得られ難くなる。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)のエステル化度は、特に制限されないが、好ましくは1〜4である。上限値として、より好ましくは3以下であり、さらに好ましくは2以下である。
本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の構成脂肪酸としては、不飽和脂肪酸を含有することが好ましい。不飽和脂肪酸としては、例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、リシノール酸、縮合リシノール酸等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の構成脂肪酸中における不飽和脂肪酸の含有量としては、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上である。
また、不飽和脂肪酸としてはオレイン酸を含有することが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の構成脂肪酸中におけるオレイン酸の含有量は、好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90%以上である。これら脂肪酸は、1種類で用いられても良いし、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステル(B)は、としてはポエムDO−100V(理研ビタミン)、サンソフトQ−17B(太陽化学)、SYグリスターMO−3S(阪本薬品工業)などが挙げられる。これらのポリグリセリン脂肪酸エステル(B)は、1又は2種以上を混合して使用することができる。
複数のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する場合には、HLBの異なる2種類以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを使用すること好ましい。その際、2種類以上のポリグリセリン脂肪酸エステルにおける最小のHLBと最大のHLBの差は、好ましくは0.1〜3.5である。下限値としては、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.5以上である。上限値としては、より好ましくは2以下であり、さらに好ましくは1以下である。
本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステル(B)は、フライ食品改質用油脂組成物中の含有量として0.2〜12質量%である。上限値としては、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。0.2質量%未満ではバッター液への分散性が低下し、強い撹拌力で強制的に油脂組成物を分散させたとしても、撹拌をとめるとすぐに分離が発生してしまい、所望の効果が得られにくくなってしまう。当該の乳化剤が12質量%より多い場合では乳化剤の臭味が強く、フライ食品の風味を損なってしまう。
本発明のフライ食品改質用油脂組成物においては、さらにバッター液の分散性、フライ後のバッター使用食品の食感を向上させるために各種乳化剤を併用することが出来る。例としては、各種レシチンおよびその加工品、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセライド、ジグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの乳化剤は、通常、予め油脂組成物中に均一に混合しておくものであるが、バッター液調製時に添加してもよい。
[フライ食品改質用油脂組成物]
本発明のフライ食品改質用油脂組成物は、上記3成分(A1)、(A2)および(B)を含有するとともに、さらに特定の構成脂肪酸割合と特定の固体脂含量を有する。
[構成脂肪酸割合と固体脂含量]
本発明のフライ食品改質用油脂組成物中の油脂全体における構成脂肪酸としては、炭素数20〜22の飽和脂肪酸の割合が1〜6質量%であり、好ましくは2.5〜5.5質量%であり、より好ましくは3.0〜5.0質量%である。また、10〜35℃における固体脂含量が1〜12%であり、好ましくは5〜10%である。
本発明のフライ食品改質用油脂組成物は、上記特定の構成脂肪酸割合と特定の固体脂含量を有することによって、通常バッター液が調製される温度において特に適した物性を有するものである。すなわち、バッター液と非常に近い粘度を示し、簡単な攪拌で容易に均一にバッター液内に分散することができる。また、フライ後の衣に適度な硬さを付与して、サクサク感や口溶けなどの食感を向上することができる。更には、経時変化が少なく、良好な食感を長期間維持することができる。
10〜35℃における固体脂含量が1%未満の場合は、必要な粘度が得られず、十分な分散性やサクサク感が得られない。一方、12%を超えると、粘度が必要以上に上昇し、かつ、余分な結晶を生じるため簡単な攪拌でバッター液へ均一に分散できない上に、バッター使用食品の食感が悪くなる。
一方、構成脂肪酸中、炭素数20〜22の飽和脂肪酸が1質量%未満では、簡単な攪拌で均一にバッター液内に分散することができなかったり、調製後に油脂が分離したりするため、フライ品の衣のサクサク感を長時間維持することができない。一方、構成脂肪酸中、炭素数20〜22の飽和脂肪酸が6質量%より多いと、粘度が極端に上昇したり、あるいは固形部分が必要以上に生じるなど、バッター液との粘度差、性状差が生じるために、簡単な攪拌のみでバッター液内で均一に分散させることができなくなったりする。さらに、高融点の油脂が多いことで、フライ食品の衣の口溶けが悪くなるうえ、不自然な食感となってしまう。
本発明において固体脂含量(SFC)とは、油脂組成物中に含まれる所定温度での固体脂の割合を表す。固体脂含量は、以下の方法(基準油脂分析試験法2.2.9、固体脂含量(NMR法))で測定したものである。その概要を以下に説明する。
固体脂含量測定時のサンプル調整法は、試料を70℃の恒温槽で加熱し、均一に試験管に入れ、ゴム栓をする。試験管に詰めた試料および対照試料(オリーブ油)を、60℃に30分間テンパリング後、それぞれの試料のNMRシグナルを測定する。これらの試料を、0℃で30分間保持し、さらに25℃で30間保持する。再び0℃にして30間テンパリングを行った後、所定の測定温度で30分間テンパリングし、試料のNMRシグナルを測定する。T℃における固体脂量は次式で求められる。
固体脂量(%)=(100−60℃オリーブ油のNMR信号)/(60℃サンプルのNMR信号)×(T℃サンプルのNMR信号)/(T℃オリーブ油のNMR信号)×100)
本発明において、10〜35℃における固体脂含量を1〜12%にするには、常温で液状の液状油脂(A)に、常温で結晶を有する油脂を一定量配合することで調製できる。常温で結晶を有する油脂としては、一般的な食用油脂の硬化油、エステル交換油、分別油およびパーム油、パームオレイン、ヤシ油、牛脂、ラード、鶏油等の元来、常温で固形を有する油脂があり、これらは単独で、あるいは2種以上を混合して使用できる。
一方、構成脂肪酸中の炭素数20〜22の飽和脂肪酸の含有量を1〜6質量%にするには、炭素数20〜22の脂肪酸を有する油脂を部分的に水添するか、あるいは炭素数20〜22の脂肪酸を含む油脂を完全に硬化したものを原料として、一定量配合することで調製できる。これらの中では、ハイエルシン酸菜種極度硬化油が特に好ましい。ハイエルシン酸菜種極度硬化油はエルシン酸含量の多い菜種油を極度硬化したもので、特に炭素数20〜22の飽和脂肪酸を多量に含有する。炭素数20〜22の飽和脂肪酸を含む形態としては、調合、配合以外にもエステル交換によって分子内に含有されたものでもよい。
本発明のフライ食品改質用油脂組成物は、必要な原材料を均一に溶解、混合することで調製することができる。また、急冷練捏、攪拌徐冷等の方法により調整することもでき、これらの方法であれば、常温で均質状態のより良好なものが得られる。本発明のフライ食品改質用油脂組成物を使用したフライ類は、衣が多孔質となり、外見上好ましいボリューム感が得られ、パン粉立ちが良いなど見栄えの良いものとなる。また、本発明のフライ食品改質用油脂組成物を使用した天ぷらの衣は、多孔質であるためより軽い食感の衣となる。
フライ食品改質用油脂組成物とバッター液との粘度および性状に著しい差異がある時には、こうした作用機構は発現し難いが、本発明のフライ食品改質用油脂組成物は、適当な粘度を有しているため、バッター液との相溶性が良好で、簡単な攪拌のみでバッター液中に均一に分散することができ、バッター液の製造において特別な装置を必要とせず、作業性に優れている。また、本発明のフライ食品改質用油脂組成物を使用して製造したフライは、加熱処理後長時間が経過しても具からの水分の吸収が少なく、衣の軟化が抑制され、できたて時の食感を維持することができる。そのため、流通状況に影響されることなく、安定した惣菜商品の供給が可能となるのである。
[フライ食品用バッター液]
本発明のフライ食品用バッター液は、本発明のフライ食品改質用油脂組成物を含有する。その他の原料は特に限定するものではなく、通常、小麦粉、澱粉などの粉体、あるいは市販のバッターミックスと水を含む。本発明のバッター液を使用した食品の例として、天ぷら、およびパン粉を使ったフライ類、さらに、たこ焼き、お好み焼きなどが挙げられる。本発明のバッター液は通常の方法で調製することができる。すなわち本発明のフライ食品改質用油脂組成物を予め他の材料とともに混ぜた後に水を加え、通常どおりに混合する方法、水に粉末類を順次加え、最後に油脂組成物を入れて混合する方法、あるいは水と油脂組成物を予め混合したものに粉等を添加する方法のいずれでもよい。本発明のフライ食品改質用油脂組成物は、年間を通じてほぼ一定の粘度を保つため、バッター液への馴染みやすさ、作業性の良さは変化しない。本発明のフライ食品用バッター液中の、本発明のフライ食品改質用油脂組成物の含有量は、1〜30質量%、好ましくは、3〜10質量%である。
[フライ食品改質用油脂組成物を配合した麺皮]
本発明のフライ食品改質用油脂組成物は麺皮に配合しても使用することができる。麺皮とは、春巻き、餃子、焼売、ワンタン、パイ等の中具を包むシートであって、本発明のフライ食品改質用油脂組成物を含有すること以外は、常法により製造したものを用いることができる。
例えば、麺皮原料である小麦粉・澱粉・糖類・水等に、本発明のフライ食品改質用油脂組成物を添加して混合することにより液状物の生地を調製し、この生地を、100〜180℃に熱したドラム上に薄く塗布してシート状に連続焼成し、これを正方形に裁断することにより製造することができる。ドラム焼成の条件は、成型に適するシート状の麺皮が得られる範囲内であれば、特に限定されるものではない。なお、本発明においては、具材を包むシート状のものであれば、小麦粉以外の穀物粉、例えば、米粉、そば粉等を原料として使用してもよい。麺皮の厚さは、特に制限されないが、0.2〜2mm程度であることが好ましい。
麺皮における上記フライ食品改質用油脂組成物の添加量は、特に制限されないが、穀物粉100質量部に対して1〜10質量部であり、好ましくは3〜7質量部であり、特に好ましくは4〜6質量部である。この範囲とすることにより、麺皮を用いて製造したフライ食品(春巻き、揚げ餃子、揚げ焼売等)はパリパリとしたクリスピー感を維持し、食感の軽さや曳き性に優れたフライ食品を提供することができる。また、これらの食感を長時間維持することができる。
[フライ食品]
本発明のフライ食品は、本発明のフライ食品改質用油脂組成物を必須成分として含有するものであって、例えば、上記のフライ食品用バッター液を使用して得られたコロッケ、とんかつ、メンチカツ、白身魚フライ、天ぷら、唐揚げ、フリッターや、上記のフライ食品用麺皮を使用して得られた春巻き、揚げ餃子、揚げ焼売、パイ等が挙げられる。
本発明のフライ食品に使用するその他の原料としては、特に限定するものでなく、通常、小麦粉、澱粉などの粉体、あるいは市販のバッターミックスと水等が挙げられる。本発明のフライ食品の製法としては、特に制限されないが、これらの原料からバッター液や麺皮を作製後、バッター液に具材を浸漬し、パン粉付けもしくはそのままの状態で油ちょう加熱したり、麺皮で中具を包み、油ちょう加熱したりすればよい。油ちょう加熱の条件は、フライ食品の種類に応じて適宜設定されるが、例えば、コロッケの場合、140〜210℃の食用油脂中で60〜600秒間油ちょう加熱することにより製造することができる。油ちょう加熱に利用される油としては、パーム油、コーン油等の一般的にフライ調理に用いる食用油脂であれば、特に制限されない。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて、さらに詳細に説明する。
まず、各例における評価法を示す。
〔脂肪酸組成〕
基準油脂分析試験法(暫15−2003)に準じて脂肪酸組成を測定した。ガスクロカ
ラムとしては、カラムDB−WAX使用し、ガスクロマトグラフィー装置(Agilen
t社製、6850型)で測定した。
〔SFC〕
基準油脂分析試験法 2.2.9 固体脂含量(NMR法)に準じて測定した。NMR
装置は、PRAXIS MODEL SFC−900Aを使用し測定した。
[フライ食品改質用油脂組成物の調製]
<実施例1>
表1の配合にしたがって、以下のようにしてフライ食品改質用油脂組成物を得た。菜種油に原材料を加え、撹拌しながら70℃まで昇温し、原材料を完全に溶解させる。その後、急冷混練装置などを用いて20℃以下まで急速に冷却してフライ食品改質用油脂組成物を得た。得られたフライ食品改質用油脂組成物をバッター液に添加して分散性を評価した。また、フライ食品を作成し、食感(衣のサクサク感および衣の口溶け)について評価し、評価結果を表1にまとめた。
<実施例2〜4>
実施例1と同じ方法で、配合の一部を変更してフライ食品改質用油脂組成物を得た。得られたフライ食品改質用油脂組成物について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を配合と共に表1に示す。
<比較例1〜4>
実施例1と同じ方法で、配合の一部を変更して油脂組成物を得た。得られた油脂組成物について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を配合と共に表2に示す。
<分散性の評価>
上記の実施例、および比較例で得られたフライ食品改質用油脂組成物について、以下の方法で分散性試験を行った。
1000mL容のステンレスビーカーに水650gを入れ、撹拌羽根を使用して泡立たないように400rpmで撹拌しながら、ここへフライ食品改質用油脂組成物50gを一度に添加し、さらに400rpmで2分混合・分散させた。その際の油脂組成物の分散性について、下記評価基準に従って4段階で評価した。その結果を表1および2に記載した。
(分散性の評価基準)
◎:極めて良好(撹拌を止めて5分以上たっても乳化層が残る)
○:良好(撹拌を止めると徐々に分離して5分後にははっきりと2層に分かれる)
△:やや悪い(撹拌を止めるとすぐに2層に分かれる)
×:悪い(撹拌しても乳化しない)
<バッター液の調製およびフライ試験>
上記の実施例1〜4および比較例1〜4で得られたフライ食品改質用油脂組成物を使用して、下記の方法でバッター液をそれぞれ調製し、調製した各バッター液について、下記の方法でフライ試験を行なった。
1,000mL容のステンレスビーカーに水600gを入れ、撹拌羽根を使用して泡立たないように400rpmで撹拌しながら、ここへフライ食品改質用油脂組成物50gを一度に添加し、さらに400rpmで2分混合・分散させた。次いで小麦粉350gを投入してさらに2分混合・分散させ、バッター液を調製した。
このバッター液に1cmの厚さにスライスした豚肉30gを浸漬し、パン粉を付着させたものを急速冷凍し、−20℃で1週間冷凍保管した。冷凍のまま180℃のフライ油(菜種油使用)で6分間フライしてフライ食品を得た。
<フライ食品の評価>
食感比較試験は15人のパネラーに、フライ食品を試食させ、食感(サクサク感、口溶け)について、下記の3点評価をさせ、その合計点を評価点数とし、下記評価基準に当てはめ評価結果とした。
食感(サクサク感)
5点:非常にサクサクとしていて、極めて良好な食感である
3点:サクサクした箇所が部分的に残っており、ほぼ良好な食感である
1点:しんなりとしており、食感が不良である
食感(口溶け)
5点:極めて良好な口溶けである
3点:ほぼ良好な口溶けである
1点:口溶けが悪く、不良である
(食感評価基準)
◎:合計点数/人数が4.1点以上5.0点以下
○:合計点数/人数が3.1点以上4.0点以下
△:合計点数/人数が2.1点以上3.0点以下
×:合計点数/人数が1.0点以上2.0点以下
Figure 2019162069
Figure 2019162069
表中に略号で記した使用材料の詳細は、次の通りである。
・ポエムDO‐100V:理研ビタミン(株)製商品名(HLB:7.4、平均グリセリン重合度:2、主要構成脂肪酸:オレイン酸、エステル化度:1)
・SYグリスターPO−3S:阪本薬品工業(株)製商品名(HLB:2.9、平均グリセリン重合度:4、主要構成脂肪酸:オレイン酸、エステル化度:5)
・SYグリスターMO−3S:阪本薬品工業(株)製商品名(HLB:8.8、平均グリセリン重合度:4、主要構成脂肪酸:オレイン酸、エステル化度:1)
・サンソフトQ−17B:太陽化学(株)製商品名(HLB:6.5、平均グリセリン重合度:2、主要構成脂肪酸:オレイン酸、エステル化度:1〜2)
表1、2に示す配合により、それぞれフライ食品改質用油脂組成物を調製した。実施例1〜4では簡単な攪拌で均一にバッター液が調製され、さらに、フライ後の食感についても経時変化も少ないものが得られることが分かる。一方、比較例1では、極度硬化油の添加量が1質量%より少ないため、バッター液への分散性が悪く、また、衣のサクサク感が十分に得られない。比較例2では、10〜35℃におけるSFCが12%以上であるために、バッター液への分散性が悪く、また、衣の口溶けが悪くなっている。比較例3では、極度硬化油を含まないため、分散性が悪く、また、フライ4時間後の衣のサクサク感が失われている。比較例4では、HLB値が7.4かつ平均重合度2のポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量が0.2質量%未満であるため、バッター液への分散性が悪く、また、衣のサクサク感が十分に得られない。比較例5では、HLB値が5〜9かつ平均重合度2〜4のポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を含有しないため、バッター液への分散性が悪く、また、衣のサクサク感が十分に得られない。

Claims (3)

  1. 液状油脂(A1)と極度硬化油(A2)およびHLB値が5〜9かつ平均重合度2〜4のポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を含有し、液状油脂(A1)の含有量が80〜98.8質量%、極度硬化油(A2)の含有量が1.0〜12質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の含有量が0.2〜12質量%であるフライ食品改質用油脂組成物であり、該油脂組成物は、構成脂肪酸中炭素数20〜22の飽和脂肪酸の割合が1〜6質量%、10〜35℃における固体脂含量が1〜12%である、フライ食品改質用油脂組成物。
  2. フライ食品用バッター液全質量に対して、請求項1に記載のフライ食品改質用油脂組成物を1〜30質量%含有する、フライ食品用バッター液。
  3. 請求項2に記載のフライ食品用バッター液を使用したフライ食品。


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